JP2023104501A - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】クランキングトルクを適切に調整することができるハイブリッド車両の制御装置を提供することを課題とする。【解決手段】エンジン、前記エンジンと駆動輪との間の動力伝達経路上に設けられたモータ、前記動力伝達経路上における前記エンジンと前記モータとの間の部分に設けられたクラッチ、を有したハイブリッド車両の制御装置において、前記エンジンの積算運転時間に相関する相関値を取得する第1取得部と、前記相関値が示す前記積算運転時間が短いほど、前記クラッチを介して前記エンジンをクランキングするのに前記モータが必要となるクランキングトルクを大きく補正する第1補正部と、を備えたハイブリッド車両の制御装置。【選択図】図4
Description
本発明は、ハイブリッド車両の制御装置に関する。
走行用動力源であるエンジン及びモータを備え、モータによりエンジンをクランキングしてエンジンを始動するハイブリッド車両が知られている(例えば特許文献1参照)。
エンジンの始動性に影響を与えない範囲でクランキングトルクを低減することにより、モータにより走行できる運転領域を拡大して燃費の向上を図ることができる。ここでエンジンをクランキングする際には、モータはエンジンの回転抵抗トルクに打ち勝つだけのクランキングトルクを出力する必要がある。しかしながらこのようなエンジンの回転抵抗トルクは一定ではなく、種々の条件によって変動する。従って、回転抵抗トルクに対してクランキングトルクが不足すると、エンジンの始動性が低下するおそれがある。一方、回転抵抗トルクに対してクランキングトルクが大きすぎると、モータにより走行できる運転領域が縮小するおそれがある。
そこで本発明は、クランキングトルクを適切に調整することができるハイブリッド車両の制御装置を提供することを目的とする。
上記目的は、エンジン、前記エンジンと駆動輪との間の動力伝達経路上に設けられたモータ、前記動力伝達経路上における前記エンジンと前記モータとの間の部分に設けられたクラッチ、を有したハイブリッド車両の制御装置において、前記エンジンの積算運転時間に相関する相関値を取得する第1取得部と、前記相関値が示す前記積算運転時間が短いほど、前記クラッチを介して前記エンジンをクランキングするのに前記モータが必要となるクランキングトルクを大きく補正する第1補正部と、を備えたハイブリッド車両の制御装置によって達成できる。
前記第1補正部は、前記相関値が示す前記積算運転時間が所定値以上の場合には、前記クランキングトルクの補正量を0にしてもよい。
前記相関値は、当該ハイブリッド車両の積算走行距離であってもよい。
前記クラッチに供給されるクラッチ潤滑油の温度を取得する第2取得部と、前記クラッチ潤滑油の温度が低いほど前記クランキングトルクを低く補正する第2補正部と、を備えてもよい。
大気圧を取得する第3取得部と、前記大気圧が低いほど前記クランキングトルクを低く補正する第3補正部と、を備えてもよい。
前記エンジンを冷却する冷却水の温度を取得する第4取得部と、前記冷却水の温度が高いほど前記クランキングトルクを大きく補正する第4補正部と、を備えてもよい。
前記エンジンに供給されるエンジン潤滑油の温度を取得する第5取得部と、前記エンジン潤滑油の温度が低いほど前記クランキングトルクを大きく補正する第5補正部と、を備えてもよい。
本発明によれば、クランキングトルクを適切に調整することができるハイブリッド車両の制御装置を提供できる。
[ハイブリッド車両の概略構成]
図1は、ハイブリッド車両1の概略構成図である。ハイブリッド車両1には、エンジン10から駆動輪13までの動力伝達経路に、K0クラッチ14、モータ15、トルクコンバータ18、及び変速機19が順に設けられている。エンジン10及びモータ15はハイブリッド車両1の走行用動力源として搭載されている。エンジン10は、例えばV型6気筒ガソリンエンジンであるが気筒数はこれに限定されず、直列型のガソリンエンジンであってもよいし、ディーゼルエンジンであってもよい。K0クラッチ14、モータ15、トルクコンバータ18、及び変速機19は、変速ユニット11内に設けられている。変速ユニット11と左右の駆動輪13とは、ディファレンシャル12を介して駆動連結されている。
図1は、ハイブリッド車両1の概略構成図である。ハイブリッド車両1には、エンジン10から駆動輪13までの動力伝達経路に、K0クラッチ14、モータ15、トルクコンバータ18、及び変速機19が順に設けられている。エンジン10及びモータ15はハイブリッド車両1の走行用動力源として搭載されている。エンジン10は、例えばV型6気筒ガソリンエンジンであるが気筒数はこれに限定されず、直列型のガソリンエンジンであってもよいし、ディーゼルエンジンであってもよい。K0クラッチ14、モータ15、トルクコンバータ18、及び変速機19は、変速ユニット11内に設けられている。変速ユニット11と左右の駆動輪13とは、ディファレンシャル12を介して駆動連結されている。
K0クラッチ14は、同動力伝達経路上のエンジン10とモータ15との間に設けられている。K0クラッチ14は、解放状態から油圧の供給を受けて係合状態となって、エンジン10とモータ15との動力伝達を接続する。K0クラッチ14は、油圧供給の停止に応じて解放状態となって、エンジン10とモータ15との動力伝達を遮断する。係合状態とは、K0クラッチ14の両係合要素が連結しエンジン10とモータ15が同じ回転数となっている状態である。解放状態とは、K0クラッチ14の両係合要素が離れた状態である。
モータ15は、インバータ17を介してバッテリ16に接続されている。モータ15は、バッテリ16からの給電に応じて車両の駆動力を発生するモータとして機能し、更にエンジン10や駆動輪13からの動力伝達に応じてバッテリ16に充電する電力を発電する発電機としても機能する。モータ15とバッテリ16との間で授受される電力は、インバータ17により調整されている。
インバータ17は、後述するECU100によって制御され、バッテリ16からの直流電圧を交流電圧に変換し、またはモータ15からの交流電圧を直流電圧に変換する。モータ15がトルクを出力する力行運転の場合、インバータ17はバッテリ16の直流電圧を交流電圧に変換してモータ15に供給される電力を調整する。モータ15が発電する回生運転の場合、インバータ17はモータ15からの交流電圧を直流電圧に変換してバッテリ16に供給される電力を調整する。
トルクコンバータ18は、トルク増幅機能を有した流体継ぎ手である。変速機19は、ギア段の切替えにより変速比を多段階に切替える有段式の自動変速機であるが、これに限定されず無段式の自動変速機であってもよい。変速機19は、動力伝達経路上のモータ15と駆動輪13の間に設けられている。トルクコンバータ18を介して、モータ15と変速機19とが連結されている。トルクコンバータ18には、油圧の供給を受けて係合状態となってモータ15と変速機19とを直結するロックアップクラッチ20が設けられている。
変速ユニット11には、更にオイルポンプ21と油圧制御機構22とが設けられている。オイルポンプ21で発生した油圧は、油圧制御機構22を介して、K0クラッチ14、トルクコンバータ18、変速機19、及びロックアップクラッチ20にそれぞれ供給されている。油圧制御機構22には、K0クラッチ14、トルクコンバータ18、変速機19、及びロックアップクラッチ20のそれぞれの油圧回路と、それらの作動油圧を制御するための各種の油圧制御弁と、が設けられている。尚、トルクコンバータ18の代わりに湿式クラッチが設けられていてもよい。
ハイブリッド車両1には、同ハイブリッド車両としてのECU(Electronic Control Unit)100が設けられている。ECU100は、車両の走行制御に係る各種演算処理を行う演算処理回路と、制御用のプログラムやデータが記憶されたメモリと、を備える電子制御ユニットである。ECU100はハイブリッド車両の制御装置の一例であり、詳しくは後述する第1~第5取得部、第1~第5補正部を機能的に実現する。
ECU100は、エンジン10及びモータ15の駆動を制御する。具体的にはECU100は、エンジン10のスロットル開度、点火時期、燃料噴射量を制御することにより、エンジン10のトルクや回転数を制御する。ECU100は、インバータ17を制御してモータ15とバッテリ16との間での電力の授受量を調整することで、モータ15の回転数やトルクを制御する。またECU100は、油圧制御機構22の制御を通じて、K0クラッチ14やロックアップクラッチ20、変速機19の駆動制御を行う。
ECU100には、イグニッションスイッチ71、クランク角センサ72、走行距離センサ73、AT油温センサ74、大気圧センサ75、水温センサ76、エンジン油温センサ77からの信号が入力される。クランク角センサ72は、エンジン10のクランクシャフトの回転速度を検出する。走行距離センサ73は、ハイブリッド車両1の走行距離を検出する。AT油温センサ74は、K0クラッチ14、トルクコンバータ18、変速機19、及びロックアップクラッチ20に供給される潤滑油の温度を検出する。大気圧センサ75は大気圧を検出する。水温センサ76は、エンジン10を冷却する冷却水の温度を検出する。エンジン油温センサ77は、エンジン10の駆動部を潤滑する潤滑油の温度を検出する。
ECU100は、モータモード及びハイブリッドモードの何れかの走行モードでハイブリッド車両を走行させる。モータモードでは、ECU100はK0クラッチ14を解放し、モータ15の動力により走行する。ハイブリッドモードでは、ECU100はK0クラッチ14を係合状態に切り替えて少なくともエンジン10の動力により走行する。尚、ハイブリッドモードには、エンジン10のみの動力で走行するモードや、モータ15を力行運転させてエンジン10及びモータ15の双方を動力源として走行するモードを含む。
走行モードの切り替えは、車速やアクセル開度から求められた車両の要求駆動力と、バッテリ16の充電状態などに基づいて行われる。例えば、要求駆動力が比較的小さくバッテリ16の蓄電量を示すSOC(State Of Charge)が比較的高い場合には、燃費を向上させるためにエンジン10を停止したモータモードが選択される。要求駆動力が比較的大きい場合やバッテリ16のSOCが比較的低い場合には、エンジン10が駆動したハイブリッドモードが選択される。
ECU100は、所定の停止条件が成立した場合にエンジン10を自動停止させ、所定の再始動条件が成立した場合に自動停止したエンジン10を再始動させる間欠運転制御を実行する。例えばECU100は、ハイブリッドモードにおいてアクセル開度がゼロになった場合に、自動停止条件が成立したものとしてエンジン10を自動停止させる。また、ECU100は、例えばアクセル開度がゼロよりも大きくなった場合に、再始動条件が成立したものとしてエンジン10を自動で再始動させる。自動停止の際には、ECU100はK0クラッチ14を解放して燃焼を停止する。自動再始動の際には、ECU100はK0クラッチ14を介してモータ15によりエンジン10をクランキングして燃焼を開始し、その後にK0クラッチ14を係合させる。
図2は、モータ15のトルクと回転数との関係を示したマップである。縦軸はモータ15のトルクを示し、横軸はモータ15の回転数を示している。図2での実線は、モータ15が出力可能な最大トルクを示している。モータ15の回転数が低い場合に最大トルクは高く、モータ15の回転数が高くなるほど最大トルクは低下する。ここで、モータ15は上述したエンジン10をクランキングに必要なクランキングトルクを余剰トルクとして常時確保しておく必要がある。このため、モータモードで走行可能な運転領域は、最大トルクからクランキングトルク分を除算した範囲となる。
モータモードでの走行領域が広いほど、エンジン10の駆動頻度を抑制することができるため燃費が向上する。このため、クランキングトルクは、エンジン10の始動性に影響のない範囲でできるだけ低いことが好ましい。エンジン10のクランキングの際には、モータ15はエンジン10の回転の抵抗となる回転抵抗トルクに打ち勝つだけのクランキングトルクを出力する必要がある。エンジン10の回転抵抗トルクは一定ではなく種々の条件によって変動する。本実施例では、ECU100はこのようなエンジン10の回転抵抗トルクの変動に対応するようにクランキングトルク補正制御を実行する。
[クランキングトルク補正制御]
図3は、クランキングトルク補正制御の一例を示したフローチャートである。本制御は、イグニッションがオンであってエンジン10の運転停止中に繰り返し実行されるが、これに限定されず、例えばエンジン10の始動要求がある場合にのみ実行してもよい。最初にECU100は基本クランキングトルクを取得する(ステップS1)。基本クランキングトルクは、予め実験により得られたエンジン10を適切にクランキングすることができるトルクである。基本クランキングトルクは、例えばエンジン10の停止位置に応じて変動する変動値であってもよいし、所定の固定値であってもよい。
図3は、クランキングトルク補正制御の一例を示したフローチャートである。本制御は、イグニッションがオンであってエンジン10の運転停止中に繰り返し実行されるが、これに限定されず、例えばエンジン10の始動要求がある場合にのみ実行してもよい。最初にECU100は基本クランキングトルクを取得する(ステップS1)。基本クランキングトルクは、予め実験により得られたエンジン10を適切にクランキングすることができるトルクである。基本クランキングトルクは、例えばエンジン10の停止位置に応じて変動する変動値であってもよいし、所定の固定値であってもよい。
ECU100は、走行距離センサ73、AT油温センサ74、大気圧センサ75、水温センサ76、エンジン油温センサ77の検出値に基づいてそれぞれ積算走行距離、AT油温、大気圧、冷却水温度、及びエンジン油温を取得する(ステップS2)。ステップS2は、第1~第5取得分が実行する処理の一例である。
ECU100は、取得した積算走行距離等に基づいてクランキングトルクを補正する(ステップS3)。ステップS3は、第1~第5補正部が実行する処理の一例である。具体的には、上述した基本クランキングトルクに所定の補正量を加減算することにより、クランキングトルクを補正する。以下に補正量の算出方法について説明する。
[補正量の算出方法]
ECU100は、以下に示す図4A~図6のマップを参照して複数の補正量を算出する。図4A~図6は、補正量を算出するためのマップである。図4A~図6のマップは実験結果に基づいて規定されており、ECU100のメモリに記憶されている。
ECU100は、以下に示す図4A~図6のマップを参照して複数の補正量を算出する。図4A~図6は、補正量を算出するためのマップである。図4A~図6のマップは実験結果に基づいて規定されており、ECU100のメモリに記憶されている。
図4Aは、積算走行距離と補正量との関係を規定したマップの一例である。縦軸は補正量[N・m]を示し、横軸はハイブリッド車両1の積算走行距離[km]を示している。積算走行距離が所定値以下の範囲で積算走行距離が短いほど補正量は0から増大している。この理由は以下による。積算走行距離が短いことは、エンジン10の積算運転時間が短いこととほぼ同義であり、積算走行距離はエンジン10の積算運転時間に相関する相関値である。ここでエンジン10が新品の場合には、エンジン10の回転抵抗トルクであるメカニカルフリクショントルク(以下、フリクショントルクと称する)は大きい。エンジン10の積算運転時間が長くなるにつれて積算運転時間に応じたフリクショントルクは減少し、いわゆる慣らし運転終了後は、積算運転時間に応じたフリクショントルクは0となるからである。モータ15は、このように積算運転時間により変動するエンジン10のフリクショントルクに打ち勝つだけのクランキングトルクが必要となる。
このように積算走行距離に応じてエンジン10のフリクショントルクは異なるため、積算走行距離に基づいて補正量を算出することにより、クランキングトルクを適切に調整することができる。
尚、上述したように積算走行距離はエンジン10の積算運転時間に相関する相関値である。例えば、モータモードでの走行中にはエンジン10は原則停止しているため、積算走行距離は増大するがエンジン10の積算運転時間は増大しない。このため、モータモードでの積算走行時間が長くなるほど、積算走行距離は増大するが、エンジン10の積算運転時間は増大しない。しかしながら、モータモードでの走行中にバッテリ16の電力が不足すると、エンジン10を駆動してハイブリッドモードでの走行に切り替えられる。従って、常にモータモードで走行することは困難であり、この結果、積算走行距離はエンジン10の積算運転時間に相関する。
図4Bは、AT油温と補正量との関係を規定したマップの一例である。縦軸は補正量[N・m]を示し、横軸はAT油温[℃]を示している。AT油温が高くなるほど、補正量は負の値から正の値へと徐々に増大する。この理由は以下による。AT油温は、K0クラッチ14に供給される潤滑油の温度であり、K0クラッチ14は湿式クラッチである。このため、AT油温が低いほどこの潤滑油の粘性が高くなり、モータ15からK0クラッチ14を介してエンジン10へのトルク伝達量が増大する。即ち、AT油温が低いほど、K0クラッチ14を介してモータ15からのエンジン10に伝達されるトルクが増大するからである。
AT油温は外気温の影響を受けるため、AT油温に基づいて補正量を算出することにより、外気温の影響を抑制してクランキングトルクを適切に調整することができる。
図5Aは、大気圧と補正量との関係を規定したマップの一例である。縦軸は補正量[N・m]を示し、横軸は大気圧[kPa]を示している。大気圧が標準大気圧付近では補正量は0であり、大気圧が標準大気圧よりも低い所定値から更に低下すると、補正量は0から低下する。また、大気圧が標準大気圧よりも高い所定値から更に高くなると、補正量は0から増大する。この理由は以下による。大気圧が高いほど、クランキング時にエンジン10の各気筒に充填される空気量は増大し、大気圧が低いほど各気筒に充填される空気量は低下する。ここで圧縮行程において上昇するピストンを押し返す反発力によるコンプレッショントルクは、エンジン10の回転抵抗トルクであり、コンプレッショントルクの大きさは気筒内の空気量に比例する。クランキング時には、このコンプレッショントルクに打ち勝つだけのクランキングトルクが必要となるからである。
標高や天候により大気圧が変動するため、大気圧に基づいて補正量を算出することにより、このような環境の変化をも考慮してクランキングトルクを適切に調整することができる。
図5Bは、冷却水温度と補正量との関係を規定したマップの一例である。縦軸は補正量[N・m]を示し、横軸は冷却水温度[℃]を示している。冷却水温度が所定値以上で高くなるほど、補正量が増大する。冷却水温度が所定値以上の高温となると、エンジン10の摺動部品が膨張し、エンジン10のフリクショントルクが増大するからである。例えばエンジン10の自動停止後に短時間で再始動した場合には冷却水温度は未だに高温であるため、冷却水温度に基づいて補正量を算出することにより、クランキングトルクを適切に調整することができる。
図6は、エンジン油温と補正量との関係を規定したマップの一例である。縦軸は補正量[N・m]を示し、横軸はエンジン油温[℃]を示している。エンジン油温が所定値以下で低下するほど、補正量は0から増大する。エンジン油温が低いほど粘性が高くなり、エンジン10のフリクショントルクが増大するからである。例えばエンジン10の暖機完了前ではエンジン油温は低いため、エンジン油温に基づいて補正量を算出することにより、エンジン10の暖機完了前でもクランキングトルクを適切に調整することができる。
以上のように上記のマップでそれぞれ算出された補正量を全て基本クランキングトルクに加算することにより、クランキングトルクが補正される。このようにして、種々の理由により変動するエンジン10の回転抵抗トルクに対応するようにクランキングトルクを調整することができる。
本実施例では、図4Aに示したように積算走行距離に基づいて補正量を算出したがこれに限定されず、例えばエンジン10の積算運転時間に基づいて補正量を算出してもよい。この場合も図4Aの例と同様に、積算運転時間が所定値以下の範囲で積算運転時間が短いほど補正量は0から増大する。尚、一般的に多くの車両では走行距離センサによって積算走行距離が計測されているが、エンジン10の積算運転時間を計測する機器等が設けられている車両は少ない。このため、エンジン10の積算運転時間に基づいて補正量を算出する場合よりも、車両の積算走行距離に基づいて補正量を算出する方が汎用性に優れている。
図4A~図6では、補正量が直線状に変化する場合を例示したが、これに限定されず、曲線状に変化してもよいし、階段状に変化してもよい。
本実施例では基本クランキングトルクに種々の観点から規定された補正量を加算することによりクランキングトルクを補正する場合を説明したが、これに限定されない。例えば基本クランキングトルクに、種々の観点から規定された補正係数を乗算することによりクランキングトルクを補正してもよい。
本実施例ではマップに基づいてクランキングトルクを補正する場合を説明したが、これに限定されない。例えば、基本クランキングトルク、積算走行距離、AT油温、大気圧、冷却水温度、及びエンジン油温を引数とした演算式により、クランキングトルクを補正してもよい。
本実施例では積算走行距離、AT油温、大気圧、冷却水温度、及びエンジン油温に基づいてクランキングトルクを補正する場合を説明した。しかしながら、必ずしもこれら全てに基づいてクランキングトルクを補正する必要はない。例えば車両の用途によっては、AT油温や大気圧、冷却水温度、及びエンジン油温が大きく変化しない環境下での使用に限定される場合がある。またエンジンの種類によっては、エンジンの放熱量が比較的少なく冷却水温度やエンジン油温が大きく変化しないものものある。このような場合には、積算走行距離のみに基づいてクランキングトルクを補正してもよい。
上記実施例では、単一のECU100によりハイブリッド車両を制御する場合を例示したが、これに限定されず、例えばエンジン10を制御するエンジンECU、モータ15を制御するモータECU、K0クラッチ14を制御するクラッチECU等の複数のECUによって、上述した制御を実行してもよい。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
1 ハイブリッド車両
10 エンジン
14 K0クラッチ(クラッチ)
15 モータ
100 ECU(第1~第5取得部、第1~第5補正部)
10 エンジン
14 K0クラッチ(クラッチ)
15 モータ
100 ECU(第1~第5取得部、第1~第5補正部)
Claims (7)
- エンジン、前記エンジンと駆動輪との間の動力伝達経路上に設けられたモータ、前記動力伝達経路上における前記エンジンと前記モータとの間の部分に設けられたクラッチ、を有したハイブリッド車両の制御装置において、
前記エンジンの積算運転時間に相関する相関値を取得する第1取得部と、
前記相関値が示す前記積算運転時間が短いほど、前記クラッチを介して前記エンジンをクランキングするのに前記モータが必要となるクランキングトルクを大きく補正する第1補正部と、を備えたハイブリッド車両の制御装置。 - 前記第1補正部は、前記相関値が示す前記積算運転時間が所定値以上の場合には、前記クランキングトルクの補正量を0にする、請求項1のハイブリッド車両。
- 前記相関値は、当該ハイブリッド車両の積算走行距離である、請求項1又は2のハイブリッド車両の制御装置。
- 前記クラッチに供給されるクラッチ潤滑油の温度を取得する第2取得部と、
前記クラッチ潤滑油の温度が低いほど前記クランキングトルクを低く補正する第2補正部と、
を備えた請求項1又は2のハイブリッド車両の制御装置。 - 大気圧を取得する第3取得部と、
前記大気圧が低いほど前記クランキングトルクを低く補正する第3補正部と、
を備えた請求項1乃至4の何れかのハイブリッド車両の制御装置。 - 前記エンジンを冷却する冷却水の温度を取得する第4取得部と、
前記冷却水の温度が高いほど前記クランキングトルクを大きく補正する第4補正部と、
を備えた請求項1乃至5の何れかのハイブリッド車両の制御装置。 - 前記エンジンに供給されるエンジン潤滑油の温度を取得する第5取得部と、
前記エンジン潤滑油の温度が低いほど前記クランキングトルクを大きく補正する第5補正部と、を備えた請求項1乃至6の何れかのハイブリッド車両の制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022005523A JP2023104501A (ja) | 2022-01-18 | 2022-01-18 | ハイブリッド車両の制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2022005523A JP2023104501A (ja) | 2022-01-18 | 2022-01-18 | ハイブリッド車両の制御装置 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2023104501A true JP2023104501A (ja) | 2023-07-28 |
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Family Applications (1)
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A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20240320 |