JP2023102640A - ウレア化合物の製造方法 - Google Patents

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Keiichi Tomishige
善直 中川
Yoshinao Nakagawa
瑞帆 藪下
Mizuho YABUSHITA
亮太郎 藤井
Ryotaro FUJII
学 柳瀬
Manabu Yanase
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Abstract

【課題】ウレア化合物の製造方法に係る新規な技術を提供する。【解決手段】下記一般式(5)で示されるウレア化合物の製造方法であって、下記一般式(1)で示されるアミン化合物及び下記一般式(3)で示されるカルバミン酸化合物からなる組成物を、無ガス条件下、窒素雰囲気下、又はアルゴン雰囲気下、酸化セリウム(IV)と接触させて下記一般式(5)で示されるウレア化合物を生成させる工程(a)を含むことを特徴とする、ウレア化合物の製造方法。JPEG2023102640000014.jpg48170(一般式(1)、(3)、及び(5)中、R1~R6は、各々独立して、水素原子、フェニル基、又は炭素数1~4のアルキル基を示す。nは0又は1である。)【選択図】なし

Description

本発明は、ウレア化合物の製造方法に関する。
ウレア化合物は、ウレア結合を有する有機化合物である。ウレア化合物の合成方法としては、例えば、二酸化炭素と、アミン化合物を高温高圧下で反応させて、ウレア化合物を合成する方法(非特許文献1)や、溶媒及び酸化セシウム存在下、二酸化炭素とジアミン化合物を反応させて、ウレア化合物を合成する方法(非特許文献2)が知られている。
Green Chemistry, 12, 1811-1816(2010) Green Chemistry, 15, 1567-1577(2013)
本発明は、ウレア化合物の製造方法に係る新規な技術を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、所定のカルバミン酸化合物と所定のアミン化合物の混合組成物を、無ガス条件下、窒素雰囲気下、又はアルゴン雰囲気下、酸化セリウム(IV)に接触させることで、所定のウレア化合物が効率よく得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下に示す化合物、及びその製造方法に係る。
[1]下記一般式(5)で示されるウレア化合物の製造方法であって、
下記一般式(1)で示されるアミン化合物及び下記一般式(3)で示されるカルバミン酸化合物からなる組成物を、無ガス条件下、窒素雰囲気下、又はアルゴン雰囲気下、酸化セリウム(IV)と接触させて下記一般式(5)で示されるウレア化合物を生成させる工程(a)を含むことを特徴とする、ウレア化合物の製造方法。
(一般式(1)、(3)、及び(5)中、R~Rは、各々独立して、水素原子、フェニル基、又は炭素数1~4のアルキル基を示す。nは0又は1である。なお、一般式(1)におけるRと一般式(3)及び(5)におけるRは同一であり、R~R、及びnについても同様である。)
[2] 前記一般式(1)で示されるアミン化合物と二酸化炭素を接触させて、前記組成物を取得する工程(b)をさらに含む、[1]に記載の製造方法。
[3] 前記一般式(1)、(3)、及び(5)におけるR及びRが、各々独立して、水素原子、メチル基、又はエチル基である、[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4] 前記一般式(1)、(3)、及び(5)におけるR~Rが、各々独立して、水素原子、又はメチル基である、[1]乃至[3]のいずれか一項に記載の製造方法。
[5] 前記一般式(1)、(3)、及び(5)におけるnが、0である、[1]乃至[4]のいずれか一項に記載の製造方法。
[6] 前記組成物に含まれる前記カルバミン酸化合物の含有割合が、前記組成物に含まれる全化合物に対して5~50モル%である、[1]乃至[5]のいずれか一項に記載の製造方法。
[7] 前記工程(a)において、前記組成物と前記酸化セリウム(IV)とを80~250℃の温度で接触させる、[1]乃至[6]のいずれか一項に記載の製造方法。
[8] 前記の工程(a)において、前記組成物と前記酸化セリウム(IV)とを0~5MPaの圧力(ゲージ圧)で接触させる、[1]乃至[7]のいずれか一項に記載の製造方法。
[9] 下記一般式(6)で示されるウレア化合物の製造方法であって、
下記一般式(2)で示されるアミン化合物及び下記一般式(4)で示されるカルバミン酸化合物からなる組成物を、無ガス条件下、窒素雰囲気下、又はアルゴン雰囲気下、酸化セリウム(IV)と接触させて下記一般式(6)で示されるウレア化合物を生成させる工程(a’)を含むことを特徴とする、ウレア化合物の製造方法。
(一般式(2)、(4)、及び(6)中、Rは、各々独立して、水素原子、フェニル基、又は炭素数1~4のアルキル基を示す。なお、一般式(2)におけるRと一般式(4)及び(6)におけるRは同一である。)
[10] 前記一般式(2)で示されるアミン化合物と二酸化炭素を接触させて、前記組成物を取得する工程(b’)をさらに含む、[9]に記載の製造方法。
[11] 前記一般式(2)、(4)、及び(6)におけるRが、水素原子、n-プロピル基又はフェニル基である、[9]又は[10]に記載の製造方法。
[12] 前記組成物に含まれる前記カルバミン酸化合物の含有割合が、前記組成物に含まれる全化合物に対して10~50モル%である、[9]乃至[11]のいずれか一項に記載の製造方法。
[13] 前記工程(a’)において、前記組成物と前記酸化セリウム(IV)とを80~250℃の温度で接触させる、[9]乃至[12]のいずれか一項に記載の製造方法。
[14] 前記工程(a’)において、前記組成物と前記酸化セリウム(IV)とを0~5MPaの圧力(ゲージ圧)で接触させる、[9]乃至[13]のいずれか一項に記載の製造方法。
[15] 前記酸化セリウム(IV)が、BET比表面積50m/g以上である、[1]乃至[14]のいずれか一項に記載の製造方法。
本発明によれば、ウレア化合物の製造方法に係る新規な技術を提供することができる。
また、本発明の一実施形態によれば、非特許文献1のような高圧の二酸化炭素を要することなくウレア化合物を製造することができるため、低エネルギーでの二酸化炭素の有効利用が可能となり、環境負荷影響を低減することもできる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、一般式(5)で示されるウレア化合物を製造する第1実施形態と、一般式(6)で示されるウレア化合物をする第2実施形態を含む。
(第1実施形態)
まず、一般式(5)で示されるウレア化合物を製造する第1実施形態について説明する。
本実施形態の製造方法は、工程(a)を含むことを特徴とする一般式(5)で示されるウレア化合物の製造方法である。
工程(a)は、下記一般式(1)で示されるアミン化合物(以下、「アミン化合物(1)」とも称する)及び下記一般式(3)で示されるカルバミン酸化合物(以下、「カルバミン酸化合物(3)」とも称する)からなる組成物を、無ガス条件下、窒素雰囲気下、又はアルゴン雰囲気下、酸化セリウム(IV)と接触させて一般式(5)で示されるウレア化合物(以下、「ウレア化合物(5)」とも称する)を生成させる工程である。
一般式(1)、(3)、及び(5)中、R~Rは、各々独立して、水素原子、フェニル基、又は炭素数1~4のアルキル基を示す。nは0又は1である。なお、一般式(1)におけるRと一般式(3)及び(5)におけるRは同一であり、R~R、及びnについても同様である。
上記のR~Rにおける炭素数1~4のアルキル基については、特に限定するものではないが、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、シクロプロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、又はtert-ブチル基等を挙げることができる。
上記のR~Rのうち、R及びRについては、ウレア化合物(5)の製造効率により優れる点で、各々独立して、水素原子、メチル基、又はエチル基であることが好ましく、両方がともに水素原子、メチル基、若しくはエチル基、又は一方がエチル基で他方が水素原子であることがより好ましく、両方がともに水素原子、又は一方がエチル基で他方が水素原子であることがよりさらに好ましく、両方がともに水素原子であることが特に好ましい。
上記のR~Rのうち、R~Rについては、ウレア化合物(5)の製造効率により優れる点で、各々独立して、水素原子、又はメチル基であることが好ましく、すべてが水素原子、又はメチル基、若しくはR~Rのうちの一つがメチル基で残りが水素原子であるであることがより好ましく、すべてが水素原子、又はR~Rのうちの一つがメチル基で残りが水素原子であることがよりさらに好ましく、R~Rのうちの一つがメチル基で残りが水素原子であることが特に好ましい。
nは、0又は1であることを特徴とするが、ウレア化合物(5)の製造効率により優れる点で、0であることが好ましい。なお、一般式(5)においてnが0である場合、ウレア化合物(5)は、Rに結合する炭素とRに結合する炭素とが結合した5員環構造となる。
上記のアミン化合物(1)及びカルバミン酸化合物(3)には、それぞれ、市販のものが用いられてよく、公知の方法により合成したものが用いられてもよく、特に限定されない。
工程(a)で用いられるアミン化合物(1)及びカルバミン酸化合物(3)からなる組成物は、実質的にアミン化合物(1)及びカルバミン酸化合物(3)のみからなる組成物である。実質的にアミン化合物(1)及びカルバミン酸化合物(3)のみからなる組成物とは、組成物の原料等に意図せず混入する不純成分以外は、アミン化合物(1)及びカルバミン酸化合物(3)のみからなる組成物を指す。このような組成物の一例としては、市販品として入手可能な純度のアミン化合物(1)と市販品として入手可能な純度のカルバミン酸化合物(3)のみからなる混合物以上の純度を有する組成物を挙げることができる。
なお、アミン化合物(1)及びカルバミン酸化合物(3)からなる組成物において、上記のカルバミン酸化合物(3)の一部については、下記一般式(3’)で示される分子内双生イオン型のカルバミン酸化合物(3)として存在していると想定されるが、本実施形態において、カルバミン酸化合物(3)とは、非イオン型と分子内双生イオン型の両方のカルバミン酸化合物(3)を指す。
一般式(3’)において、R~R及びnは、上記と同義である。
本実施形態において、ウレア化合物(5)は、アミン化合物(1)及びカルバミン酸化合物(3)からなる組成物を、無ガス条件下、窒素雰囲気下、又はアルゴン雰囲気下で、酸化セリウム(IV)に接触させることによって、製造される(工程(a))。
前記の酸化セリウム(IV)は、アミン化合物(1)の存在下でカルバミン酸化合物(3)からウレア化合物(5)を合成する反応を促進させる触媒として機能するが、当該酸化セリウム(IV)については、そのBET比表面積が50m/g以上であるものが好ましく、65m/g以上であるものがより好ましく、80m/g以上であるものがより好ましい。
上記の酸化セリウム(IV)は、特に限定するものではないが、非特許文献(Green Chemistry, 15, 1567-1577(2013))に記載の方法により、第一希元素社製のHSグレードのものを600℃で3時間焼成したものが好ましい。
アミン化合物(1)及びカルバミン酸化合物(3)からなる組成物と酸化セリウム(IV)との接触は、無ガス条件下、窒素雰囲気下、又はアルゴン雰囲気下で行われる。
無ガス条件下とは、ガスを共存させない状態で反応させることを意味しており、特に限定するものではないが、例えば、固定床型の酸化セリウム(IV)触媒を配置した配管に、アミン化合物(1)及びカルバミン酸化合物(3)からなる組成物を流通させる方法や、オートクレーブ等の反応容器にアミン化合物(1)及びカルバミン酸化合物(3)からなる組成物と酸化セリウム(IV)を投入して、容器内に気体が入らないように、アミン化合物(1)及びカルバミン酸化合物(3)からなる組成物により液封して接触させる方法を挙げることができる。なお、通常、アミン化合物(1)及びカルバミン酸化合物(3)からなる組成物は、常温(15℃)において、カルバミン酸化合物(3)がアミン化合物(1)に溶解した液体である。
窒素雰囲気下、又はアルゴン雰囲気下とは、それぞれ、アミン化合物(1)及びカルバミン酸化合物(3)からなる組成物と酸化セリウム(IV)を除く反応系内の余剰空間の気体を窒素ガス、又はアルゴンガスで置換した雰囲気で反応させることを意味する。窒素ガスやアルゴンガスによる置換には、例えば、アミン化合物(1)及びカルバミン酸化合物(3)からなる組成物と酸化セリウム(IV)を投入したオートクレープに、窒素ガスやアルゴンガスを十分に流通させる方法や、1MPaの窒素ガスやアルゴンガスで反応容器を加圧し、脱圧する工程を十分に繰り返す方法を用いることができる。上記のガスを流通させる場合は、余剰空間容積の50倍以上の容積(標準状態換算)のガスを流通させることが好ましい。加圧、脱圧を繰り返す場合は、3回以上繰り返すことが好ましい。
なお、窒素雰囲気又はアルゴン雰囲気は、それぞれ、アミン化合物(1)及びカルバミン酸化合物(3)からなる組成物と酸化セリウム(IV)を除く余剰空間を窒素ガス又はアルゴンガスで置換した雰囲気であればよく、意図せず残存する窒素ガス又はアルゴンガス以外の他の気体を排除するものではない。意図せず残存してしまう窒素ガス又はアルゴンガス以外の他の気体については、酸素、窒素、二酸化炭素などを例示することができるが、二酸化炭素(二酸化炭素ガス)が実質的に含まれないことが好ましい。二酸化炭素ガスが実質的に含まれないとは、雰囲気中の二酸化炭素の含有量がアミン化合物(1)1molに対して10mmol以下であることを指し、好ましい二酸化炭素の含有量は0mmolである。
このように、本実施形態の製造方法において、アミン化合物(1)及びカルバミン酸化合物(3)からなる組成物と酸化セリウム(IV)との接触を、無ガス条件下、窒素雰囲気下、又はアルゴン雰囲気下で行うのは、アミン化合物(1)の存在下でカルバミン酸化合物(3)からウレア化合物(5)を合成する反応を促進する触媒反応において、二酸化炭素を関与させないことを目的とする。下記反応式に示すように、本実施形態に係る上記反応においては、アミン化合物(1)が主に溶媒として働き、カルバミン酸化合物(3)が反応基質となって、酸化セリウム(IV)の触媒作用を受けて、ウレア化合物(5)が製造されるが、本発明の発明者らは、この反応において二酸化炭素を遮断した条件の方が、当該触媒反応が進行しやすいことを見出した。これは、二酸化炭素が過剰に存在する雰囲気でアミン化合物(1)及びカルバミン酸化合物(3)からなる組成物と酸化セリウム(IV)との接触を行う場合、下記反応式に示すように、カルバミン酸化合物(3)と二酸化炭素が反応し、下記一般式(α)で示されるカルバミン酸化合物も生成してしまい、これを反応基質としてウレア化合物(5)が合成できないためと示唆される。
一般式(α’)において、R~R及びnは、上記と同義である。
上記の工程(a)のアミン化合物(1)及びカルバミン酸化合物(3)からなる組成物において、前記組成物に含まれるカルバミン酸化合物(3)の含有割合は、ウレア化合物(5)の製造効率により優れる点で、前記組成物に含まれる全化合物100モル%に対して、5~50モル%であることが好ましく、7~40モル%であることがより好ましく、10~30モル%であることがより好ましい。
上記の工程(a)において、アミン化合物(1)及びカルバミン酸化合物(3)からなる組成物と酸化セリウム(IV)を接触させるときの温度は、ウレア化合物(5)の製造効率により優れる点で、80~250℃の範囲であることが好ましく、90~220℃の範囲であることがより好ましく、100~200℃の範囲であることがより好ましい。
上記の工程(a)において、アミン化合物(1)及びカルバミン酸化合物(3)からなる組成物と酸化セリウム(IV)を接触させるときの圧力(ゲージ圧)は、ウレア化合物(5)の製造効率により優れる点で、0~5MPaの範囲であることが好ましく、0.2~4.5MPaの範囲であることがより好ましく、0.5~4MPaの範囲であることがより好ましく、1~3MPaの範囲であることがより好ましい。
上記の工程(a)において、酸化セリウム(IV)の使用量は、特に限定するものではないが、反応速度および経済性の観点で、通常、カルバミン酸化合物(3)1molに対して、0.05~0.4molであることが好ましく、0.1~0.3molであることがより好ましい。なお、前述した比率は、流通式(連続式)反応よりも、回分式(バッチ式)反応により適した範囲である。
酸化セリウム(IV)については、上記の酸化セリウム(IV)そのもの(酸化セリウム(IV)からなる触媒)を用いることもできるし、他の担体と混合したもの、又は他の担体に担持したものを用いることができる。
前記の担体としては、特に限定するものではないが、活性炭、シリカ、アルミナ、アルミノシリケート、ジルコニア、マグネシア、又はチタニア等を挙げることができる。
工程(a)におけるアミン化合物(1)とカルバミン酸化合物(3)からなる組成物については、アミン化合物(1)とカルバミン酸化合物(3)を混合することで得ることができるが、アミン化合物(1)と二酸化炭素を接触させることによって得てもよい(工程(b))。
工程(b)において、アミン化合物(1)と二酸化炭素を接触させると、アミン化合物(1)と二酸化炭素が反応してカルバミン酸化合物(3)が合成されるが、このとき、アミン化合物(1)の一部(一部の量のアミン化合物)が二酸化炭素と反応せず残存することで、アミン化合物(1)及びカルバミン酸化合物(3)からなる組成物を製造することができる。アミン化合物(1)と二酸化炭素の反応には、アミン化合物(1)と二酸化炭素を接触させるときの接触条件(圧力(ゲージ圧)、温度、時間など)が影響を与えることから、接触条件を適宜調整することで、アミン化合物(1)の一部を二酸化炭素と反応させずに残存させつつ、残りのアミン化合物を二酸化炭素と反応させることができる。
工程(b)におけるアミン化合物(1)については、工程(a)におけるアミン化合物(1)と同様に、市販のものを用いてもよいし、公知の方法により合成したものを用いてもよい。
工程(b)において、アミン化合物(1)と接触させる二酸化炭素については、純二酸化炭素ガスを用いてもよいし、二酸化炭素と二酸化炭素以外のガスを含有する混合ガスを用いてもよい。前記の二酸化炭素を含有する混合ガスについては、純二酸化炭素ガスを二酸化炭素以外の他のガス(例えば、大気、窒素、アルゴン等)に混合したものであってもよいし、分離膜等で処理して二酸化炭素濃度を高めた大気、火力発電所から排出される二酸化炭素含有排ガス、又は二酸化炭素ガス製造装置で製造される二酸化炭素含有ガスであってもよい。
工程(b)では、アミン化合物(1)及びカルバミン酸化合物(3)からなる組成物が得られるように、アミン化合物(1)と二酸化炭素の接触条件を適宜調整すればよいが、金属酸化物の非存在下でアミン化合物(1)と二酸化炭素の接触を行うことが好ましい。アミン化合物(1)と二酸化炭素の接触を金属酸化物の非存在下で行うと、反応時間に関わらずアミン化合物(1)の全てがカルバミン酸化合物(3)に転化しにくくなり(アミン化合物(1)が残存しやすくなり)、目的とする組成物が得られやすくなる。なお、金属酸化物触媒としては、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化ランタン(III)、酸化チタン(IV)、酸化ジルコニウム(IV)、酸化セリウム(IV)を例示することができる。
また、工程(b)では、溶媒の非存在下でアミン化合物(1)と二酸化炭素の接触を行うことが好ましい。アミン化合物(1)と二酸化炭素の接触を溶媒の非存在下で行うと、反応時間に関わらずアミン化合物(1)の全てがカルバミン酸化合物(3)に転化しにくくなり(アミン化合物(1)が残存しやすくなり)、目的とする組成物が得られやすくなる。なお、ここで言う溶媒とは、アミン化合物(1)及び二酸化炭素と反応しない液体成分を指し、例えば、水、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、tert-ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン等)、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ベンゼン、トルエン、キシレン、ピリジンを例示することができる。
工程(b)において、アミン化合物(1)と二酸化炭素を接触させる方法としては、特に限定するものではないが、例えば、バブリング接触、常圧接触、加圧接触等を挙げることができ、これらを組み合わせて行ってもよい。
前記の加圧接触の圧力(ゲージ圧)については、アミン化合物(1)及びカルバミン酸化合物(3)からなる組成物が得られるように調整すればよいが、例えば、0.01~5.0MPaの範囲が好ましく、0.01~1.0MPaの範囲がより好ましい。
工程(b)において、アミン化合物(1)と二酸化炭素を接触させる時間は、アミン化合物(1)及びカルバミン酸化合物(3)からなる組成物が得られるように調整すればよいが、例えば、0.1~24時間を挙げることができるが、1~12時間であることが好ましく、1~5時間であることがより好ましい。
工程(b)において、アミン化合物(1)と二酸化炭素を接触させる温度は、アミン化合物(1)及びカルバミン酸化合物(3)からなる組成物が得られるように調整すればよいが、例えば、10~80℃を挙げることができるが、15~60℃が好ましい。
アミン化合物(1)に接触させる二酸化炭素の量は、特に限定されるものではなく、組成物におけるアミン化合物(1)とカルバミン酸化合物(3)の含有割合を考慮して適宜設定することができる。
本実施形態の製造方法によって製造されたウレア化合物(5)については、蒸留生成によって反応混合物から単離精製することができる。
蒸留精製する際は、蒸留効率の悪化を防止するため、酸化セリウム(IV)触媒を事前に除去しておくことが好ましい。酸化セリウム(IV)触媒を事前に除去する方法としては、特に限定するものではないが、例えば、反応操作終了後の反応液に対してろ過、遠心分離等の操作によって酸化セリウム(IV)触媒を除去する方法が挙げられる。
ウレア化合物(5)の蒸留条件としては特に限定されないが、通常50℃~150℃、圧力は5mmHg~760mmHgの範囲で行われる。このとき別途分離されるアミン化合物(1)やカルバミン酸誘導体(3)については、再びウレア化合物(5)を製造する原料として使用しても差支えない。
以上説明した本実施形態の製造方法によれば、ウレア化合物(5)を効率よく生成することができる。また、本実施形態の一態様によると、非特許文献1のような高圧の二酸化炭素を要することなくウレア化合物(5)を製造することができるため、低エネルギーでの二酸化炭素の有効利用が可能となり、環境負荷影響を低減することもできる。
(第2実施形態)
次に、一般式(6)で示されるウレア化合物を製造する第2実施形態について説明する。
本実施形態の製造方法は、ウレア化合物(5)を製造する第1実施形態とは異なり、下記一般式(6)で示されるウレア化合物(以下、「ウレア化合物(6)」ともいう)を製造する方法である。ウレア化合物(6)を製造する本実施形態の製造方法は、アミン化合物(1)に代えて下記一般式(2)で示されるアミン化合物(以下、「アミン化合物(2)」とも称すると)を用いること、及びカルバミン酸化合物(3)に代えて下記一般式(4)で示されるカルバミン酸化合物(以下、「カルバミン酸化合物(4)」とも称すると)を用いること以外は、第1実施形態の製造方法と同様であるため、第1実施形態と重複する部分については詳細な説明を省略する。
(一般式(2)、(4)、及び(6)中、Rは、各々独立して、水素原子、フェニル基、又は炭素数1~4のアルキル基を示す。なお、一般式(2)におけるRと一般式(4)及び(6)におけるRは同一である。)
上記のRにおける炭素数1~4のアルキル基については、特に限定するものではないが、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、シクロプロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、又はtert-ブチル基等を挙げることができる。
上記のRについては、ウレア化合物(6)の製造効率に優れる点で、水素、n-プロピル基又はフェニル基であることが好ましく、n-プロピル基又はフェニル基であることがより好ましい。
上記のアミン化合物(2)及びカルバミン酸化合物(4)には、それぞれ、市販のものが用いられてよく、公知の方法により合成したものが用いられてもよく、特に限定されない。
本実施形態の製造方法は、工程(a’)を含むことを特徴とする。本実施形態の工程(a’)は、第1実施形態の工程(a)に対応する工程であり、アミン化合物(2)及びカルバミン酸化合物(4)からなる組成物を、無ガス条件下、窒素雰囲気下、又はアルゴン雰囲気下、酸化セリウム(IV)と接触させてウレア化合物(6)を生成させる工程である。
工程(a’)で用いられるアミン化合物(2)及びカルバミン酸化合物(4)からなる組成物は、実質的にアミン化合物(2)及びカルバミン酸化合物(4)のみからなる組成物である。実質的にアミン化合物(2)及びカルバミン酸化合物(4)のみからなる組成物とは、組成物の原料等に意図せず混入する不純成分以外は、アミン化合物(2)及びカルバミン酸化合物(4)のみからなる組成物を指す。このような組成物の一例としては、市販品として入手可能な純度のアミン化合物(2)と市販品として入手可能な純度のカルバミン酸化合物(4)のみからなる混合物以上の純度を有する組成物を挙げることができる。
なお、アミン化合物(2)及びカルバミン酸化合物(4)からなる組成物において、上記のカルバミン酸化合物(4)については、アミン化合物(2)と相互作用して、一般式(4’)で示される対イオンを形成していると想定されるが、本実施形態において、カルバミン酸化合物(4)とは、非イオン型のカルバミン酸化合物(4)だけなく、対イオンを形成しているカルバミン酸化合物(4’)に内包されるカルバミン酸イオンを含む概念である。
一般式(4’)において、Rは、上記と同義である。
本実施形態の工程(a’)におけるアミン化合物(2)、カルバミン酸化合物(4)、酸化セリウム(IV)の使用量は、それぞれ、第1実施形態の工程(a)におけるアミン化合物(1)、カルバミン酸化合物(3)、酸化セリウム(IV)の使用量と同様であり、本実施形態の工程(a’)における処理条件は、第1実施形態の工程(a)の処理条件と同様であるため、詳細な説明は省略する。
本実施形態の製造方法において、アミン化合物(2)及びカルバミン酸化合物(4)からなる組成物と酸化セリウム(IV)との接触を、無ガス条件下、窒素雰囲気下、又はアルゴン雰囲気下で行うのは、アミン化合物(2)の存在下でカルバミン酸化合物(4)からウレア化合物(6)を合成する反応を促進する触媒反応において、二酸化炭素を関与させないことを目的とする。過剰な二酸化炭素が存在しない無ガス条件下、窒素雰囲気下、又はアルゴン雰囲気下で前述した触媒反応を行うことで、ウレア化合物(6)の合成反応が進行しやすくなる。
アミン化合物(2)及びカルバミン酸化合物(4)からなる組成物は、アミン化合物(2)とカルバミン酸化合物(4)を混合することで得ることができるが、アミン化合物(2)と二酸化炭素を接触させることによって得てもよい(工程(b’))。本実施形態の工程(b’)は、第1実施形態の工程(b)に対応する工程である。
工程(b’)において、アミン化合物(2)と二酸化炭素を接触させると、アミン化合物(2)と二酸化炭素が反応してカルバミン酸化合物(4)が合成されるが、このとき、アミン化合物(2)の一部(一部の量のアミン化合物)が二酸化炭素と反応せず残存することで、アミン化合物(2)及びカルバミン酸化合物(4)からなる組成物を製造することができる。
本実施形態の工程(b’)におけるアミン化合物(2)、二酸化炭素の使用量は、それぞれ、第1実施形態の工程(b)におけるアミン化合物(1)、二酸化炭素の使用量と同様であり、本実施形態の工程(b’)における処理条件は、第1実施形態の工程(b)の処理条件と同様であるため、詳細な説明は省略する。
以上説明した本実施形態の製造方法によれば、ウレア化合物(6)を効率よく生成することができる。また、本実施形態の一態様によると、非特許文献1のような高圧の二酸化炭素を要することなくウレア化合物(6)を製造することができるため、低エネルギーでの二酸化炭素の有効利用が可能となり、環境負荷影響を低減することもできる。
本発明を以下の実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[NMR測定]
NMR測定は、日本電子株式会社製JNM-ECZ400(1H NMR、400MHz)を用いて行った。
[酸化セリウム触媒]
以下の実施例、比較例では、触媒として酸化セリウム(IV)を用いた。当該酸化セリウム(IV)については、第一希元素社製のHSグレードのものを600℃で3時間焼成したものを用いた。なお、当該酸化セリウム(IV)のBET比表面積は85m/gであった。
実施例1
一般式(1)で示されるアミン化合物に該当するエチレンジアミン(東ソー社製)6.0g(0.10mol)を200mlオートクレーブに入れて上蓋をし、容器内部を二酸化炭素(関西商工社製)で2MPaに加圧した。2MPaの二酸化炭素圧力を維持しながら、室温(約20℃)で1時間加圧状態を維持した。オートクレーブを脱圧後、容器内容物をNMRで分析したところ、一般式(3)で示されるカルバミン酸化合物に該当するエチレンジアミンカルバミン酸 2.06g(0.020mol)とエチレンジアミン4.80g(0.08mol)からなる組成物が得られた(組成物に含まれる全化合物に対するカルバミン酸化合物(3)の含有割合:20モル%)。
前記の組成物全量が入ったオートクレーブに、前記の酸化セリウム(IV)0.34g(0.002mol)を入れて上蓋をし、オートクレーブ内部雰囲気をアルゴンで置換して密閉した後、アルゴンで1MPaに加圧し、140℃で16時間加熱攪拌した。なお、オートクレーブ内部雰囲気のアルゴンによる置換は、1MPaのアルゴンガスでオートクレープを加圧し、脱圧する工程を5回繰り返すことで行った。140℃加熱時のオートクレーブ内部の圧力(ゲージ圧力)は1.4MPaであった。オートクレーブを室温まで冷却した後、得られたオートクレーブ内容物(液体)をNMRで分析した。
NMRによる分析の結果、一般式(5)で示されるウレア化合物に該当する2-イミダゾリジノンが1.31g(0.0164mol)生成していることを確認した。下記式(1)から求められるウレア化合物(5)(2-イミダゾリジノン)の収率は、82%であった。
(上記式(1)において、Xはウレア化合物(5)の収率(%)を示し、Yは生成したウレア化合物(5)のモル数(実施例1においては、0.0164mol)を示し、Zは組成物に含まれるカルバミン酸化合物(3)のモル数(実施例1においては、0.020mol)から生成可能なウレア化合物(5)の最大モル数(実施例1においては、0.020mol)を示す)。
なお、上記式(1)におけるZ(組成物に含まれるカルバミン酸化合物(3)のモル数から生成可能なウレア化合物(5)の最大モル数)については、1分子の一般式(3)で示されるカルバミン酸化合物が環化反応を起こして1分子の一般式(5)で示されるウレア化合物を生成するため、[組成物に含まれるカルバミン酸化合物(3)のモル数から生成可能なウレア化合物(5)の最大モル数]=[組成物に含まれるカルバミン酸化合物(3)のモル数]となる。
比較例1
エチレンジアミン(東ソー社製)0.05mol及びイソプロパノール(溶媒)0.05molからなる組成物6.0g、及び上記の酸化セリウム(IV)0.34g(0.012mol)を200mLオートクレーブに入れ、上蓋を取り付けた後、二酸化炭素(関西商工社製)でオートクレーブ内を置換(0.9MPaで加圧後脱圧、を5回繰り返す)した。次いで、オートクレーブ容器に二酸化炭素を、圧力が0.2MPaになるまで注入した。前記圧力(0.2MPa)条件を維持しながら、オートクレーブ内を10時間25℃で攪拌(混合)した。この時、エチレンジアミン0.05molのうち、全量がエチレンジアミンカルバミン酸に転化していた。
次いで、オートクレーブ容器を密閉状態のまま(すなわち、二酸化炭素圧力0.2MPAを維持したまま)170℃まで加熱して24時間攪拌した。170℃加熱時のオートクレーブ内部の圧力は1.4MPaであった。オートクレーブを室温まで冷却した後、実施例1と同様の条件で、内容物(液体)をNMRで分析したところ、2-イミダゾリジノンが0.006mol生成していることを確認した。上記式(1)から求められるウレア化合物(5)(2-イミダゾリジノン)の収率は、12%であった。
比較例2
比較例1において、オートクレーブ内を加圧する二酸化炭素の圧力を0.4MPaに維持する以外は比較例1と同様の条件で、反応操作を行った。エチレンジアミンから転化したエチレンジアミンカルバミン酸は0.05molであった。170℃加熱時のオートクレーブ内部の圧力は1.5MPaであった。内容物(液体)をNMRで分析したところ、2-イミダゾリジノンが0.0055mol生成していることを確認した。上記式(1)から求められるウレア化合物(5)(2-イミダゾリジノン)の収率は、11%であった。
比較例3
比較例1において、オートクレーブ内を加圧する二酸化炭素の圧力を0.6MPaに維持する以外は比較例1と同様の条件で、反応操作を行った。エチレンジアミンから転化したエチレンジアミンカルバミン酸は0.05molであった。170℃加熱時のオートクレーブ内部の圧力は1.6MPaであった。内容物(液体)をNMRで分析したところ、2-イミダゾリジノンが0.005mol生成していることを確認した。上記式(1)から求められるウレア化合物(5)(2-イミダゾリジノン)の収率は、10%であった。
比較例4
比較例1において、オートクレーブ内を加圧する二酸化炭素の圧力を1.0MPaに維持する以外は比較例1と同様の条件で、反応操作を行った。エチレンジアミンから転化したエチレンジアミンカルバミン酸は0.05molであった。170℃加熱時のオートクレーブ内部の圧力は2.0MPaであった。内容物(液体)をNMRで分析したところ、2-イミダゾリジノンが0.005mol生成していることを確認した。上記式(1)から求められるウレア化合物(5)(2-イミダゾリジノン)の収率は、10%であった。
比較例5
比較例1において、オートクレーブ内を加圧する二酸化炭素の圧力を4.5MPaに維持する以外は比較例1と同様の条件で、反応操作を行った。エチレンジアミンから転化したエチレンジアミンカルバミン酸は0.05molであった。170℃加熱時のオートクレーブ内部の圧力は5.0MPaであった。内容物(液体)をNMRで分析したところ、2-イミダゾリジノンが0.0045mol生成していることを確認した。上記式(1)から求められるウレア化合物(5)(2-イミダゾリジノン)の収率は、9%であった。
比較例6
実施例1の操作の途中に得られた、エチレンジアミンカルバミン酸2.06g(0.020mol)とエチレンジアミン4.80g(0.08mol)からなる組成物を、エタノールで洗浄することで、エチレンジアミンカルバミン酸2.06g(0.020mol)を単離した。
単離したエチレンジアミンカルバミン酸2.06g(0.020mol)、イソプロパノール1.0ml、及び酸化セリウム(IV)2.06g(0.012mol)を、200mLをオートクレーブに入れて上蓋をし、オートクレーブ内部雰囲気をアルゴンで置換してオートクレーブを密閉した後、アルゴンで1MPaに加圧し、次いで、140℃で16時間加熱攪拌した。なお、オートクレーブ内部雰囲気のアルゴンによる置換は、実施例1と同様の方法で行った。140℃加熱時のオートクレーブ内部の圧力は1.4MPaであった。オートクレーブを室温まで冷却した後、実施例1と同様の条件で、内容物(液体)をNMRで分析したところ、2-イミダゾリジノンが0.004mol生成していることを確認した。上記式(1)から求められるウレア化合物(5)(2-イミダゾリジノン)の収率は、20%であった。
比較例7
比較例6においてイソプロパノールの量を1.0mlから5mlに変更した以外は比較例6と同様の条件で、操作を行った。140℃加熱時のオートクレーブ内部の圧力は1.6MPaであった。内容物(液体)をNMRで分析したところ、2-イミダゾリジノンが0.009mol生成していることを確認した。上記式(1)から求められるウレア化合物(5)(2-イミダゾリジノン)の収率は、45%であった。
比較例8
比較例6においてイソプロパノールの量を1.0mlから10mlに変更した以外は比較例6と同様の条件で、操作を行った。140℃加熱時のオートクレーブ内部の圧力は1.8MPaであった。内容物(液体)をNMRで分析したところ、2-イミダゾリジノンが0.012mol生成していることを確認した。上記式(1)から求められるウレア化合物(5)(2-イミダゾリジノン)の収率は、60%であった。
比較例9
比較例6においてイソプロパノールの量を1.0mlから15mlに変更した以外は比較例6と同様の条件で、操作を行った。140℃℃加熱時のオートクレーブ内部の圧力は1.9MPaであった。内容物(液体)をNMRで分析したところ、2-イミダゾリジノンが0.014mol生成していることを確認した。上記式(1)から求められるウレア化合物(5)(2-イミダゾリジノン)の収率は、70%であった。
比較例10
比較例6においてイソプロパノールの量を1.0mlから20mlに変更した以外は比較例6と同様の条件で、操作を行った。140℃加熱時のオートクレーブ内部の圧力は2.0MPaであった。内容物(液体)をNMRで分析したところ、2-イミダゾリジノンが0.014mol生成していることを確認した。上記式(1)から求められるウレア化合物(5)(2-イミダゾリジノン)の収率は、70%であった。
比較例11
比較例6においてイソプロパノールの量を1.0mlから20mlに変更し、更に、アルゴン置換を二酸化炭素置換に変更し、アルゴンによる1MPaの加圧を二酸化炭素による1MPaの加圧に変更した以外は比較例6と同様の条件で、操作を行った。140℃加熱時のオートクレーブ内部の圧力は2.0MPaであった。内容物(液体)をNMRで分析したところ、2-イミダゾリジノンが0.012mol生成していることを確認した。上記式(1)から求められるウレア化合物(5)(2-イミダゾリジノン)の収率は、60%であった。
実施例2
実施例1においてエチレンジアミン6.0g(0.10mol)をアミン化合物(1)に該当する1,2―プロパンジアミン(東京化成社製)8.9g(0.12mol)に変更し、酸化セリウム(IV)を用いた触媒反応における加熱攪拌時間を16時間から48時間に変更した以外は実施例1と同様の条件で、操作を行った。この操作過程において、1,2―プロパンジアミンと二酸化炭素を接触して得られる組成物は、カルバミン酸化合物(3)に該当する1,2―プロパンジアミンカルバミン酸1.84g(0.020mol)と1,2―プロパンジアミン7.4g(0.1mol)からなる組成物であった(組成物に含まれる全化合物に対するカルバミン酸化合物(3)の含有割合:16.7モル%)。140℃加熱時のオートクレーブ内部の圧力は1.4MPaであった。反応生成物として得られたオートクレーブ内容物をNMRで分析したところ、一般式(5)で示されるウレア化合物である4-メチル-2-イミダゾリジノンが0.018mol生成していることを確認した。上記式(1)から求められるウレア化合物(5)(4-メチル-2-イミダゾリジノン)の収率は、90%であった。
実施例3
実施例1においてエチレンジアミン6.0g(0.10mol)をアミン化合物(1)に該当するN―エチルエチレンジアミン(東京化成社製)10.6g(0.12mol)に変更し、酸化セリウム(IV)を用いた触媒反応における加熱攪拌時間を16時間から72時間に変更した以外は実施例1と同様の条件で、操作を行った。この操作過程において、N―エチルエチレンジアミンと二酸化炭素を接触して得られる組成物は、カルバミン酸化合物(3)に該当するN-エチルエチレンジアミンカルバミン酸2.1g(0.020mol)とN-エチルエチレンジアミン8.8g(0.1mol)からなる組成物であった(組成物に含まれる全化合物に対するカルバミン酸化合物(3)の含有割合:16.7モル%)。140℃加熱時のオートクレーブ内部の圧力は1.7MPaであった。反応生成物として得られたオートクレーブ内容物をNMRで分析したところ、一般式(5)で示されるウレア化合物であるN-エチル-2-イミダゾリジノンが0.0163mol生成していることを確認した。上記式(1)から求められるウレア化合物(5)(N-エチル-2-イミダゾリジノン)の収率は、82%であった。
実施例4
実施例1においてエチレンジアミン6.0g(0.1mol)をアミン化合物(1)に該当するN,N’―ジメチルエチレンジアミン(東京化成社製)10.6g(0.12mol)に変更し、酸化セリウム(IV)を用いた触媒反応における加熱攪拌時間を16時間から96時間に変更した以外は実施例1と同様の条件で、操作を行った。この操作過程において、N,N’―ジメチルエチレンジアミンと二酸化炭素を接触して得られる組成物は、カルバミン酸化合物(3)に該当するN,N’―ジメチルエチレンジアミンカルバミン酸2.1g(0.020mol)とN,N’―ジメチルエチレンジアミン8.5g(0.1mol)からなる組成物であった(組成物に含まれる全化合物に対するカルバミン酸化合物(3)の含有割合:16.7モル%)。140℃加熱時のオートクレーブ内部の圧力は1.8MPaであった。反応生成物として得られたオートクレーブ内容物をNMRで分析したところ、一般式(5)で示されるウレア化合物であるN,N’ジメチル-2-イミダゾリジノンが0.0145mol生成していることを確認した。上記式(1)から求められるウレア化合物(5)(N,N’ジメチル-2-イミダゾリジノン)の収率は、73%であった。
実施例5
実施例1においてエチレンジアミン6.0g(0.10mol)をアミン化合物(1)に該当する1,3―プロパンジアミン(東京化成社製)8.9g(0.12mol)に変更し、酸化セリウム(IV)を用いた触媒反応における加熱攪拌時間を16時間から48時間に変更した以外は実施例1と同様の条件で、操作を行った。この操作過程において、1,3―プロパンジアミンと二酸化炭素を接触して得られる組成物は、カルバミン酸化合物(3)に該当する1,3―プロパンジアミンカルバミン酸1.8g(0.020mol)と1,3―プロパンジアミン7.4g(0.1mol)からなる組成物であった(組成物に含まれる全化合物に対するカルバミン酸化合物(3)の含有割合:16.7モル%)。140℃加熱時のオートクレーブ内部の圧力は1.4MPaであった。反応生成物として得られたオートクレーブ内容物をNMRで分析したところ、一般式(5)で示されるウレア化合物である1,3-ジアザン-2-オンが0.0172mol生成していることを確認した。上記式(1)から求められるウレア化合物(5)(1,3-ジアザン-2-オン)の収率は、86%であった。
実施例6
実施例1においてエチレンジアミン6.0g(0.10mol)をアミン化合物(2)に該当するブチルアミン(東京化成社製)8.8g(1.2mol)に変更し、酸化セリウム(IV)を用いた触媒反応における加熱攪拌時間を16時間から72時間に変更した以外は実施例1と同様の条件で、操作を行った。この操作過程において、ブチルアミンと二酸化炭素を接触して得られる組成物は、カルバミン酸化合物(4)に該当するブチルアミンカルバミン酸1.82g(0.020mol)とブチルアミン7.3g(0.10mol)からなる組成物であった(組成物に含まれる全化合物に対するカルバミン酸化合物(4)の含有割合:16.7モル%)。140℃加熱時のオートクレーブ内部の圧力は2.1MPaであった。
反応生成物として得られたオートクレーブ内容物をNMRで分析したところ、一般式(6)で示されるウレア化合物であるN,N’-ジブチル尿素が0.0074mol生成していることを確認した。下記式(2)から求められるウレア化合物(6)(N,N’-ジブチル尿素)の収率は、74%であった。
(上記式(2)において、Aはウレア化合物(6)の収率(%)を示し、Bは生成したウレア化合物(6)のモル数(実施例6においては、0.0074mol)を示し、Cは組成物に含まれるカルバミン酸化合物(4)のモル数(実施例1においては、0.020mol)から生成可能なウレア化合物(6)の最大モル数(実施例1においては、0.010mol)を示す)。
なお、上記式(2)におけるC(組成物に含まれるカルバミン酸化合物(4)のモル数から生成可能なウレア化合物(6)の最大モル数)については、2分子のカルバミン酸化合物(4)が縮合反応を起こして1分子のウレア化合物(6)を生成するため、[組成物に含まれるカルバミン酸化合物(4)のモル数から生成可能なウレア化合物(6)の最大モル数]=[組成物に含まれるカルバミン酸化合物(4)のモル数]÷2となる。
実施例7
実施例1においてエチレンジアミン6.0g(0.10mol)をアミン化合物(2)に該当するベンジルアミン(東京化成社製)15.0g(0.14mol)に変更し、酸化セリウム(IV)を用いた触媒反応における加熱攪拌時間を16時間から72時間に変更した以外は実施例1と同様の条件で、操作を行った。この操作過程において、ベンジルアミンと二酸化炭素を接触して得られる組成物は、カルバミン酸化合物(4)に該当するベンジルアミンカルバミン酸2.50g(0.020mol)とベンジルアミン10.72g(0.12mol)からなる組成物であった(組成物に含まれる全化合物に対するカルバミン酸化合物(4)の含有割合:14.3モル%)。140℃加熱時のオートクレーブ内部の圧力は1.5MPaであった。反応生成物として得られたオートクレーブ内容物をNMRで分析したところ、一般式(6)で示されるウレア化合物であるN,N’-ジベンジル尿素が0.0073mol生成していることを確認した。上記式(2)から求められるウレア化合物(6)(N,N’-ジベンジル尿素)の収率は、73%であった。

上記表1に示すように、実施例1~7で製造されるウレア化合物の収率は、比較例1~11で製造されるウレア化合物の収率よりも高くなっていた。この結果から、実施例1~7のウレア化合物の製造方法によれば、ウレア化合物を効率よく生成できることが理解できた。
特に、前記比較例1~5の結果から理解できるように、二酸化炭素雰囲気下において、アミン化合物(1)と二酸化炭素からカルバミン酸化合物(3)を生成するとともに、カルバミン酸化合物(3)からウレア化合物(5)を生成する場合には、二酸化炭素の圧力がより低くなるほど、ウレア化合物(5)の収率がより向上するが、二酸化炭素の圧力が最も低い比較例1であっても、その収率は12%であった。これは、アルゴン雰囲気下において、カルバミン酸化合物(3)からウレア化合物(5)の生成する実施例1~5のウレア化合物(5)の収率(73~90%)よりも低いものであった。
また、前記比較例6~10の結果から理解できるように、アルゴン雰囲気下でカルバミン酸化合物(3)からウレア化合物(5)の生成する場合、カルバミン酸化合物(3)を含有させるイソプロパノール(溶媒)の量がより多くなるほど、ウレア化合物(5)の収率がより向上するが、その収率は70%(比較例9、10)で頭打ちとなった。これは、溶媒としてアミン化合物(1)が用いられる実施例1~5のウレア化合物(5)の収率(73~90%)よりも低いものであった。

Claims (15)

  1. 下記一般式(5)で示されるウレア化合物の製造方法であって、
    下記一般式(1)で示されるアミン化合物及び下記一般式(3)で示されるカルバミン酸化合物からなる組成物を、無ガス条件下、窒素雰囲気下、又はアルゴン雰囲気下、酸化セリウム(IV)と接触させて下記一般式(5)で示されるウレア化合物を生成させる工程(a)を含むことを特徴とする、ウレア化合物の製造方法。
    (一般式(1)、(3)、及び(5)中、R~Rは、各々独立して、水素原子、フェニル基、又は炭素数1~4のアルキル基を示す。nは0又は1である。なお、一般式(1)におけるRと一般式(3)及び(5)におけるRは同一であり、R~R、及びnについても同様である。)
  2. 前記一般式(1)で示されるアミン化合物と二酸化炭素を接触させて、前記組成物を取得する工程(b)をさらに含む、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記一般式(1)、(3)、及び(5)におけるR及びRが、各々独立して、水素原子、メチル基、又はエチル基である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記一般式(1)、(3)、及び(5)におけるR~Rが、各々独立して、水素原子、又はメチル基である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 前記一般式(1)、(3)、及び(5)におけるnが、0である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 前記組成物に含まれる前記カルバミン酸化合物の含有割合が、前記組成物に含まれる全化合物に対して5~50モル%である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の製造方法。
  7. 前記工程(a)において、前記組成物と前記酸化セリウム(IV)とを80~250℃の温度で接触させる、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の製造方法。
  8. 前記の工程(a)において、前記組成物と前記酸化セリウム(IV)とを0~5MPaの圧力(ゲージ圧)で接触させる、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の製造方法。
  9. 下記一般式(6)で示されるウレア化合物の製造方法であって、
    下記一般式(2)で示されるアミン化合物及び下記一般式(4)で示されるカルバミン酸化合物からなる組成物を、無ガス条件下、窒素雰囲気下、又はアルゴン雰囲気下、酸化セリウム(IV)と接触させて下記一般式(6)で示されるウレア化合物を生成させる工程(a’)を含むことを特徴とする、ウレア化合物の製造方法。
    (一般式(2)、(4)、及び(6)中、Rは、各々独立して、水素原子、フェニル基、又は炭素数1~4のアルキル基を示す。なお、一般式(2)におけるRと一般式(4)及び(6)におけるRは同一である。)
  10. 前記一般式(2)で示されるアミン化合物と二酸化炭素を接触させて、前記組成物を取得する工程(b’)をさらに含む、請求項9に記載の製造方法。
  11. 前記一般式(2)、(4)、及び(6)におけるRが、水素原子、n-プロピル基又はフェニル基である、請求項9又は10に記載の製造方法。
  12. 前記組成物に含まれる前記カルバミン酸化合物の含有割合が、前記組成物に含まれる全化合物に対して5~50モル%である、請求項9乃至11のいずれか一項に記載の製造方法。
  13. 前記工程(a’)において、前記組成物と前記酸化セリウム(IV)とを80~250℃の温度で接触させる、請求項9乃至12のいずれか一項に記載の製造方法。
  14. 前記工程(a’)において、前記組成物と前記酸化セリウム(IV)とを0~5MPaの圧力(ゲージ圧)で接触させる、請求項9乃至13のいずれか一項に記載の製造方法。
  15. 前記酸化セリウム(IV)が、BET比表面積50m/g以上である、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の製造方法。

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