JP2023102362A - サイトカイン内包高分子ミセル - Google Patents
サイトカイン内包高分子ミセル Download PDFInfo
- Publication number
- JP2023102362A JP2023102362A JP2022002782A JP2022002782A JP2023102362A JP 2023102362 A JP2023102362 A JP 2023102362A JP 2022002782 A JP2022002782 A JP 2022002782A JP 2022002782 A JP2022002782 A JP 2022002782A JP 2023102362 A JP2023102362 A JP 2023102362A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- group
- formula
- represented
- integer
- cytokine
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Classifications
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K38/00—Medicinal preparations containing peptides
- A61K38/16—Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
- A61K38/17—Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
- A61K38/19—Cytokines; Lymphokines; Interferons
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K38/00—Medicinal preparations containing peptides
- A61K38/16—Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
- A61K38/17—Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
- A61K38/19—Cytokines; Lymphokines; Interferons
- A61K38/20—Interleukins [IL]
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K47/00—Medicinal preparations characterised by the non-active ingredients used, e.g. carriers or inert additives; Targeting or modifying agents chemically bound to the active ingredient
- A61K47/30—Macromolecular organic or inorganic compounds, e.g. inorganic polyphosphates
- A61K47/34—Macromolecular compounds obtained otherwise than by reactions only involving carbon-to-carbon unsaturated bonds, e.g. polyesters, polyamino acids, polysiloxanes, polyphosphazines, copolymers of polyalkylene glycol or poloxamers
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K47/00—Medicinal preparations characterised by the non-active ingredients used, e.g. carriers or inert additives; Targeting or modifying agents chemically bound to the active ingredient
- A61K47/50—Medicinal preparations characterised by the non-active ingredients used, e.g. carriers or inert additives; Targeting or modifying agents chemically bound to the active ingredient the non-active ingredient being chemically bound to the active ingredient, e.g. polymer-drug conjugates
- A61K47/51—Medicinal preparations characterised by the non-active ingredients used, e.g. carriers or inert additives; Targeting or modifying agents chemically bound to the active ingredient the non-active ingredient being chemically bound to the active ingredient, e.g. polymer-drug conjugates the non-active ingredient being a modifying agent
- A61K47/62—Medicinal preparations characterised by the non-active ingredients used, e.g. carriers or inert additives; Targeting or modifying agents chemically bound to the active ingredient the non-active ingredient being chemically bound to the active ingredient, e.g. polymer-drug conjugates the non-active ingredient being a modifying agent the modifying agent being a protein, peptide or polyamino acid
- A61K47/64—Drug-peptide, drug-protein or drug-polyamino acid conjugates, i.e. the modifying agent being a peptide, protein or polyamino acid which is covalently bonded or complexed to a therapeutically active agent
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K9/00—Medicinal preparations characterised by special physical form
- A61K9/10—Dispersions; Emulsions
- A61K9/107—Emulsions ; Emulsion preconcentrates; Micelles
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P35/00—Antineoplastic agents
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P37/00—Drugs for immunological or allergic disorders
- A61P37/02—Immunomodulators
- A61P37/04—Immunostimulants
Landscapes
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Public Health (AREA)
- Medicinal Chemistry (AREA)
- Pharmacology & Pharmacy (AREA)
- Animal Behavior & Ethology (AREA)
- General Health & Medical Sciences (AREA)
- Veterinary Medicine (AREA)
- Immunology (AREA)
- Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
- Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
- Epidemiology (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Zoology (AREA)
- Gastroenterology & Hepatology (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- General Chemical & Material Sciences (AREA)
- Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Molecular Biology (AREA)
- Dispersion Chemistry (AREA)
- Inorganic Chemistry (AREA)
- Medicinal Preparation (AREA)
- Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
Abstract
【課題】高分子複合体の提供。【解決手段】サイトカインと、PEG部分とポリカチオン部分とで構成されるブロック共重合体とを含む高分子複合体。ブロック共重合体は、下記の置換基を含んで成る。TIFF2023102362000029.tif3184【選択図】なし
Description
本発明は、ブロック共重合体を使用することによって、過酷なin vivo環境における安定性を向上することができるサイトカイン内包高分子ミセル、特にインターロイキン12を内包したミセルに関する。引用文献の全ての開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
タンパク質は生体内のあらゆる場所に存在する生理活性物質であることから、がんや自己免疫疾患、代謝障害などの様々な難治性疾患の治療に用いられている。しかしながら、タンパク質単体の全身投与に関して、酵素分解や腎排泄を受け、さらには免疫原性を有することから、タンパク質の生体応用に向けては送達担体の開発が必要である。そこで、タンパク質に生体適合性高分子であるポリ(エチレングリコール)(PEG)を導入したタンパク質-PEGコンジュゲートの開発が進められており、タンパク質分解酵素や免疫細胞との相互作用の抑制及びサイズの増大によりタンパク質の課題[1-4]を克服することが可能である。実際に、多くのタンパク質-PEGコンジュゲートはFDAに承認されており、タンパク質製剤として数十億ドルの市場[5,6]を有する。しかしながら、タンパク質のPEG化により酵素分解、腎排泄、及び免疫原性[7,8]を抑制する一方で、タンパク質の不可逆的な化学修飾によるタンパク質の不活性化、及びタンパク質機能[6,9]の不十分な時空間制御などの課題が挙げられる。そこで、タンパク質を可逆的な化学結合を介して製材化することにより、正常組織におけるタンパク質の発現を抑制しながら、標的組織[10]特異的に放出することができる送達担体の開発が進められている。
刺激応答性ナノキャリアは、標的組織[4,11]における生理活性物質を感知することにより、タンパク質の活性を保持しながら標的組織特異的に放出することが可能である。このようなナノキャリアの中で、ブロック共重合体とタンパク質との自律会合により形成するコア-シェル型高分子ミセルは、ブロック共重合体のコア形成鎖に環境応答性部位を導入することにより外部刺激[4]に応答したタンパク質の放出を誘導することができる。高分子ミセルが応答できる外部刺激としてpHが挙げられ、例えば、多くの疾患(例えば、がん又は自己免疫性疾患)は、正常組織(pH 7.4)[12,13]よりも低いpH (pH 6.5~7.2)を示す。
一方、本発明者はこれまでに、pH応答性無水マレイン酸誘導体[14-16]によりアミノ基がカルボキシル基に変換されたタンパク質にPEG-ポリカチオンを添加することによりポリイオンコンプレックス(PIC)型高分子ミセルを調製できることを示した。このミセルは、正常組織のpH(pH 7.4)ではタンパク質を安定にコアに内包するが、標的組織内の酸性pH(pH 6.5~7.2)ではpH応答性無水マレイン酸誘導体が開裂することによりタンパク質を放出することに成功した。
しかしながら、医療応用に向けては血中滞留性の向上による標的組織への集積性の増大が重要である。
しかしながら、医療応用に向けては血中滞留性の向上による標的組織への集積性の増大が重要である。
よって、治療用タンパク質による治療効果の増大に向けては、血中滞留性の増大、及び酸性条件におけるタンパク質の効率的な放出を可能にするミセルを開発が重要である。
本発明は、pH応答性無水マレイン酸誘導体をブロック共重合体のコア形成鎖に導入し、タンパク質のアミノ基との可逆的な共有結合を形成することによりミセルの安定性の増大及び酸性条件下でのタンパク質の効率的な放出を目指した。また、ブロック共重合体のコア形成鎖のアミノ基とタンパク質のカルボキシル基とのPIC形成によりミセルのさらなる安定化を目指した。共有結合とPIC形成によりミセル構造を安定化し、血中滞留性を増大することを目的とする。そして、目的タンパク質としてインターロイキン12(IL-12)を内包することに成功し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1] サイトカインと、下記式(1)で示されるブロック共重合体とを含む高分子複合体。
〔式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、若しくは置換されていてもよい炭素数1~12の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基、又はアジド、アミン、マレイミド、リガンド若しくは標識剤を表し、
R3は、下記式(I)で示される化合物を表し、
(式中、Ra及びRbは、それぞれ独立して、水素原子、又は置換されていてもよいアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アシル基、複素環基、複素環アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基若しくはアリールオキシ基を表す。また、RaとRbとが互いに結合し、それぞれが結合している炭素原子と共に芳香環又はシクロアルキル環を形成していてもよい。Ra及びRbがそれぞれ結合している炭素原子間の結合は、単結合であってもよいし二重結合であってもよい。)
L1は、NH、CO、又は下記式(11):
-(CH2)p1-NH- (11)
(式中、p1は1~6の整数を表す。)
で示される基、若しくは下記式(12):
-L2a-(CH2)q1-L3a- (12)
(式中、L2aは、OCO、OCONH、NHCO、NHCOO、NHCONH、CONH又はCOOを表し、L3aは、NH又はCOを表す。q1は1~6の整数を表す。)
で示される基を表し、
m1及びm2は、それぞれ独立して0~500の整数を表し(但し、m1及びm2の合計は10~500の整数を表す。)、m3、m4及びm5は、それぞれ独立して1~5の整数を表し、nは0~500の整数を表す。
「/」の表記は、その左右に示された(m1+m2)個の各モノマー単位の配列順序が任意であることを表す。〕
[2] 式(I)で示される化合物が、下記式(Ia)~(Ig)で示される化合物のうち少なくとも1種である、[1]に記載の複合体。
[3] 式(I)で示される化合物が、下記式(Ia)又は(Ib)で示される化合物である、[2]に記載の複合体。
[4] 式1で示されるブロック共重合体が下記式(2)で示されるものである、[1]に記載の複合体。
[5] サイトカインが、式1で示されるブロック共重合体に共有結合している、[1]に記載の複合体。
[6] 共有結合が、pH依存的に切断される、[5]に記載の複合体。
[7] サイトカインがインターロイキン12である、[1]~[6]のいずれか1項に記載の複合体。
[8] [1] ~[7]のいずれか1項に記載のポリマー複合体を含む、細胞表面、細胞内及び細胞外から選ばれるいずれかへのサイトカイン送達デバイス。
[9] 下記式(1)で示されるブロック共重合体を含む、細胞表面、細胞内及び細胞外から選ばれるいずれかへのサイトカイン送達キット。
〔式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、若しくは置換されていてもよい炭素数1~12の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基、又はアジド、アミン、マレイミド、リガンド若しくは標識剤を表し、
R3は、下記式(I)で示される化合物を表し、
(式中、Ra及びRbは、それぞれ独立して、水素原子、又は置換されていてもよいアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アシル基、複素環基、複素環アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基若しくはアリールオキシ基を表す。また、RaとRbとが互いに結合し、それぞれが結合している炭素原子と共に芳香環又はシクロアルキル環を形成していてもよい。Ra及びRbがそれぞれ結合している炭素原子間の結合は、単結合であってもよいし二重結合であってもよい。)
L1は、NH、CO、又は下記式(11):
-(CH2)p1-NH- (11)
(式中、p1は1~6の整数を表す。)
で示される基、若しくは下記式(12):
-L2a-(CH2)q1-L3a- (12)
(式中、L2aは、OCO、OCONH、NHCO、NHCOO、NHCONH、CONH又はCOOを表し、L3aは、NH又はCOを表す。q1は1~6の整数を表す。)
で示される基を表し、
m1及びm2はそれぞれ独立して0~500の整数を表し(但し、m1及びm2の合計は10~500の整数を表す。)、m3、m4及びm5はそれぞれ独立して1~5の整数を表し、nは0~500の整数を表す。
「/」の表記は、その左右に示された(m1+m2)個の各モノマー単位の配列順序が任意であることを表す。〕
[10] 式(I)で示される化合物が、下記式(Ia)~(Ig)で示される化合物のうちの少なくとも1種である、[9]に記載のキット。
[11] 式(I)で示される化合物が、下記式(Ia)又は(Ib)で示される化合物である、[9]に記載のキット。
[12] 式1で示されるブロック共重合体が下記式(2)で示されるものである、[9]に記載のキット。
[13]
サイトカインがインターロイキン12である、請求項9~12のいずれか1項に記載の複合体。
[14] [1]~[8]のいずれか1項に記載の複合体を含む、医薬組成物。
[15] 免疫療法又は抗腫瘍療法に用いるための、[14]に記載の医薬組成物。
[1] サイトカインと、下記式(1)で示されるブロック共重合体とを含む高分子複合体。
R3は、下記式(I)で示される化合物を表し、
L1は、NH、CO、又は下記式(11):
-(CH2)p1-NH- (11)
(式中、p1は1~6の整数を表す。)
で示される基、若しくは下記式(12):
-L2a-(CH2)q1-L3a- (12)
(式中、L2aは、OCO、OCONH、NHCO、NHCOO、NHCONH、CONH又はCOOを表し、L3aは、NH又はCOを表す。q1は1~6の整数を表す。)
で示される基を表し、
m1及びm2は、それぞれ独立して0~500の整数を表し(但し、m1及びm2の合計は10~500の整数を表す。)、m3、m4及びm5は、それぞれ独立して1~5の整数を表し、nは0~500の整数を表す。
「/」の表記は、その左右に示された(m1+m2)個の各モノマー単位の配列順序が任意であることを表す。〕
[2] 式(I)で示される化合物が、下記式(Ia)~(Ig)で示される化合物のうち少なくとも1種である、[1]に記載の複合体。
[6] 共有結合が、pH依存的に切断される、[5]に記載の複合体。
[7] サイトカインがインターロイキン12である、[1]~[6]のいずれか1項に記載の複合体。
[8] [1] ~[7]のいずれか1項に記載のポリマー複合体を含む、細胞表面、細胞内及び細胞外から選ばれるいずれかへのサイトカイン送達デバイス。
[9] 下記式(1)で示されるブロック共重合体を含む、細胞表面、細胞内及び細胞外から選ばれるいずれかへのサイトカイン送達キット。
R3は、下記式(I)で示される化合物を表し、
L1は、NH、CO、又は下記式(11):
-(CH2)p1-NH- (11)
(式中、p1は1~6の整数を表す。)
で示される基、若しくは下記式(12):
-L2a-(CH2)q1-L3a- (12)
(式中、L2aは、OCO、OCONH、NHCO、NHCOO、NHCONH、CONH又はCOOを表し、L3aは、NH又はCOを表す。q1は1~6の整数を表す。)
で示される基を表し、
m1及びm2はそれぞれ独立して0~500の整数を表し(但し、m1及びm2の合計は10~500の整数を表す。)、m3、m4及びm5はそれぞれ独立して1~5の整数を表し、nは0~500の整数を表す。
「/」の表記は、その左右に示された(m1+m2)個の各モノマー単位の配列順序が任意であることを表す。〕
[10] 式(I)で示される化合物が、下記式(Ia)~(Ig)で示される化合物のうちの少なくとも1種である、[9]に記載のキット。
サイトカインがインターロイキン12である、請求項9~12のいずれか1項に記載の複合体。
[14] [1]~[8]のいずれか1項に記載の複合体を含む、医薬組成物。
[15] 免疫療法又は抗腫瘍療法に用いるための、[14]に記載の医薬組成物。
治療用タンパク質は、難治性疾患の治療に関して期待されているが、それらの全身投与に関して不安定性、短い半減期、及び非特異的な免疫反応などの様々な課題が挙げられる。従って、刺激応答性ナノキャリアによりタンパク質を送達するアプローチは、標的組織におけるタンパク質の活性を組織選択的に増強するための有効な戦略となり得る。本発明においては、搭載したタンパク質をサイトカインとし、サイトカインをpHに依存して放出させるために、サイトカインとブロック共重合体との間でポリイオンコンプレックスを形成し、所定のpH条件下で切断可能な共有結合を介してサイトカインをカプセル化する能力を有する高分子ミセルを開発した。
カルボキシジメチルマレイン酸無水物(CDM)‐アミド結合は、生理学的pH(pH 7.4)では安定であるが、pH 6.5、すなわち腫瘍及び炎症組織の病態生理学的pHでは切断される。そこで、CDMをpH応答性官能基として選択した。本発明においては、45 %のCDM付加を有するポリ(エチレングリコール)‐ポリ(L‐リジン)ブロック共重合体を使用することにより、インターロイキン12(IL-12)を50 %以上の効率で内包した。IL-12内包ミセル(IL-12/m)をモデルとして使用することにより、生理学的条件におけるミセルの安定性、並びにpH 6.5でのミセルの崩壊及び機能性IL-12の放出が確認された。さらにIL-12/mは、IL-12単体、及び共有結合を含まない静電相互作用のみによって会合したミセルと比較して、血中半減期が向上した。従って上記モデルにより、サイトカインをin vivo送達するための系の有用性が示された。
CDM‐アミド結合はpH 6.5[17-19]で不安定であり、それにより病態学的pHでは共役アミノ化合物の放出を可能にするため、本発明においては、pH応答性部位としてCDMを選択した。従って、得られるサイトカイン内包ミセルは生理学的pHでは安定な架橋コアを形成するが、pH 6.5では遊離ブロック共重合体及び活性サイトカインに分解する。そこで本発明においては、これらのミセルがサイトカイン、特にIL-12を内包する能力を評価した。さらに本発明者は、IL-12を内包したミセルをモデルとして用いることにより、ミセルのin vitro安定性及び異なるpHでのIL-12放出、並びに全身投与後のin vivoでの血中滞留性について評価した。
1.本発明のポリマー複合体
本発明のポリマー複合体は、タンパク質内包高分子ミセル複合体(ポリイオンコンプレックス:PIC)であり、特定のカチオン性ポリマー(ブロック共重合体(ブロックコポリマーともいう)、グラフトコポリマーなど)と、タンパク質(タンパク質の詳細は後述する)とを含む。
本発明のポリマー複合体は、タンパク質内包高分子ミセル複合体(ポリイオンコンプレックス:PIC)であり、特定のカチオン性ポリマー(ブロック共重合体(ブロックコポリマーともいう)、グラフトコポリマーなど)と、タンパク質(タンパク質の詳細は後述する)とを含む。
(1)カチオン性ポリマー
本発明のPICの構成成分である特定のカチオン性高分子は、少なくとも一部にポリカチオン部分を有するカチオン性高分子である。当該カチオン性高分子は、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)部分及びポリカチオン部分を有するブロックコポリマー又はグラフトポリマーであってよく、限定はされない。本発明のPICの用途等によって、適宜好ましい態様を選択することができる。
本発明のPICの構成成分である特定のカチオン性高分子は、少なくとも一部にポリカチオン部分を有するカチオン性高分子である。当該カチオン性高分子は、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)部分及びポリカチオン部分を有するブロックコポリマー又はグラフトポリマーであってよく、限定はされない。本発明のPICの用途等によって、適宜好ましい態様を選択することができる。
上記PEG及びポリカチオンとしては、その構造(例えば重合度等)は限定されず、任意の構造のものを選択できる。なかでもポリカチオンとしては、カチオン性基を側鎖に有するポリペプチドであることが好ましい。ここで言う「カチオン性基」とは、水素イオンが配位して既にカチオンとなっている基に限らず、水素イオンが配位すればカチオンとなる基も含む意味である。このようなカチオン性基としては、公知のものが全て含まれる。カチオン性基を側鎖に有するポリペプチドとは、塩基性側鎖を有する公知のアミノ酸(リジン、アルギニン、ヒスチジン等)がペプチド結合してなるもののほか、各種アミノ酸がペプチド結合し、その側鎖(例えばアスパラギン酸やグルタミン酸の側鎖)がカチオン性基を有するように置換されたものも含む。
ここで、一般式(1)の構造式中、繰り返し単位数(重合度)がnのブロック部分がPEG部分であり、繰り返し単位数がm1の部分とm2の部分とを合わせたブロック部分(一般式(1)中、[ ] 内に示された部分)がポリカチオン部分である。また、ポリカチオン部分の構造式中の「/」の表記は、その左右に示された各モノマー単位の配列順序が任意であることを意味する。例えば、A及びBというモノマー単位から構成されるブロック部分が、[-(A)a-/-(B)b-]と表記されている場合は、a個のAとb個のBとからなる合計(a+b)個の各モノマー単位が、ランダムにどのような並び順で連結していてもよいことを意味する(但し、すべてのA及びBは直鎖状に連結している。)。
一般式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、又は置換されていてもよい炭素数1~12の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基、又はアジド、アミン、マレイミド、リガンド若しくは標識剤などの官能基を表す。
上記炭素数1~12の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、デシル基及びウンデシル基等が挙げられる。また上記アルキル基の置換基としては、例えば、アセタール化ホルミル基、シアノ基、ホルミル基、カルボキシル基、アミノ基、炭素数1~6のアルコキシカルボニル基、炭素数2~7のアシルアミド基、シロキシ基、シリルアミノ基、及びトリアルキルシロキシ基(各アルキルシロキシ基は、それぞれ独立に、炭素数1~6である)等が挙げられる。
上記炭素数1~12の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、デシル基及びウンデシル基等が挙げられる。また上記アルキル基の置換基としては、例えば、アセタール化ホルミル基、シアノ基、ホルミル基、カルボキシル基、アミノ基、炭素数1~6のアルコキシカルボニル基、炭素数2~7のアシルアミド基、シロキシ基、シリルアミノ基、及びトリアルキルシロキシ基(各アルキルシロキシ基は、それぞれ独立に、炭素数1~6である)等が挙げられる。
リガンド分子は、特定の生体分子を標的とする目的で使用される化合物を意味し、例えば、抗体、アプタマー、タンパク質、アミノ酸、低分子化合物、生体高分子のモノマーなどが挙げられる。標識剤としては、例えば希土類蛍光標識剤、クマリン、ジメチルアミノスルホニルベンゾオキサジアゾール(DBD)、ダンシル、ニトロベンゾオキサジアゾール(NBD)、ピレン、フルオレセイン、蛍光タンパク質などの蛍光標識剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記置換基がアセタール保護されたホルミル基である場合、この置換基は、酸性の穏和な条件下で加水分解されるときの別の置換基であるホルミル基(又はアルデヒド基;-CHO)に転化することができる。また、上記置換基(特にR1における置換基)がホルミル基、又はカルボキシル基若しくはアミノ基の場合は、例えば、これらの基を介して、抗体若しくはその断片又はその他の機能性若しくは標的指向性を有するタンパク質等を結合させることができる。
一般式(1)中、R3は下記一般式(I)で示される化合物を表す。
上記式(I)中、Ra及びRbは、それぞれ独立して、水素原子、又は置換されていてもよいアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アシル基、複素環基、複素環アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基若しくはアリールオキシ基を表す。また、RaとRbとが結合し、それぞれが結合している炭素原子と共に芳香環又はシクロアルキル環を形成していてもよい。また、式(I)中、Ra及びRbがそれぞれ結合している炭素原子間の結合は、単結合であってもよいし二重結合であってもよく、限定はされない。式(I)においては、両結合様式を合わせて示すために、当該炭素原子間は一本の実線ともう一本の破線で表している。
L1は、NH、CO、下記一般式(11):
-(CH2)p1-NH- (11)
(式中、p1は1~6の整数を表す。)
で示される基、又は下記一般式(12):
-L2a-(CH2)q1-L3a- (12)
(式中、L2aは、OCO、OCONH、NHCO、NHCOO、NHCONH、CONH又はCOOを表し、L3aは、NH又はCOを表す。q1は1~6の整数を表す。)
で示される基を表す。
-(CH2)p1-NH- (11)
(式中、p1は1~6の整数を表す。)
で示される基、又は下記一般式(12):
-L2a-(CH2)q1-L3a- (12)
(式中、L2aは、OCO、OCONH、NHCO、NHCOO、NHCONH、CONH又はCOOを表し、L3aは、NH又はCOを表す。q1は1~6の整数を表す。)
で示される基を表す。
上記式(1)において、m1及びm2は、それぞれ独立して0~500の整数を表し(但し、m1及びm2の合計は10~500の整数を表す。)、m3、m4及びm5は、それぞれ独立して1~5の整数を表す。上記式(1)において、nはPEG部分の繰り返し単位数(重合度)を表し、より具体的には1~500 (好ましくは100~400、より好ましくは200~300)の整数を表す。
一般式(1)で示されるカチオン性高分子の分子量(Mn)は、限定はされないが、23,000~45,000であることが好ましく、より好ましくは28,000~34,000である。また、個々のブロック部分については、PEG部分の分子量(Mw)は、8,000~15,000であることが好ましく、より好ましくは10,000~12,000であり、ポリカチオン部分の分子量(Mn)は、全体で15,000~30,000であることが好ましく、より好ましくは18,000~22,000である。
一般式(1)で示されるカチオン性高分子の製造方法は、限定はされないが、例えば、R1とPEG鎖のブロック部分とを含むセグメント(PEGセグメント)を予め合成しておき、このPEGセグメントの片末端(R1と反対の末端)に、所定のモノマーを順に重合し、その後必要に応じて側鎖をカチオン性基を含むように置換又は変換する方法、あるいは、上記PEGセグメントと、カチオン性基を含む側鎖を有するブロック部分とを予め合成しておき、これらを互いに連結する方法などが挙げられる。当該製法における各種反応の方法及び条件は、常法を考慮し適宜選択又は設定することができる。
式(I)において、置換基は飽和又は不飽和の非環式又は環式炭化水素基である。非環式炭化水素基の場合、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよい。炭化水素基としては、例えばC1-C20アルキル基、C2-C20アルケニル基、C4-C20シクロアルキル基、C6-C18アリール基、C6-C20アラルキル基、C1-C20アルコキシ基、C6-C18アリールオキシ基が挙げられる。
式(I)で示される化合物は電荷調節剤として用いられる。式(I)で示される化合物は、塩基性又は中性タンパク質の全体としての電荷を酸性タンパク質の電荷に変換するものである。換言すれば、本発明の電荷調節剤は、総荷電がプラス(+)側又はニュートラルな状態にあるタンパク質を、総荷電がマイナス(-)側にあるタンパク質となるように、電荷量をコントロールして、総荷電の変換を行うものであると言える。上記総荷電の変換は、具体的には、前記式(I)で示される化合物又はその誘導体が、タンパク質に含まれるアミノ基(プラス荷電を有する基)と結合し、タンパク質全体をマイナス荷電にすることにより行われる。この目的のため、当該結合は、例えば、前記式(I)で示される化合物と、タンパク質中のアミノ基とが結合(共有結合)して、下記式(I’)に示されるような構造をとることでなされる。
(2) サイトカイン
本発明のPICにおいて、コア部分の構成成分となるタンパク質としては、前述した式(I)で示される化合物により全体としての電荷が変換されたタンパク質(荷電変換タンパク質)であればよく、具体的には、総荷電が、塩基性又は中性タンパク質の総荷電(プラス側又はニュートラルな状態)から酸性タンパク質の総荷電と同様にマイナス側となるように変換されたタンパク質であればよい。総荷電がマイナス側となるように変換されたタンパク質は、タンパク質全体としてはアニオン性の物質(ポリアニオン)であると言える。従って、前記カチオン性高分子中のポリカチオン部分との静電的相互作用により、もともと塩基性又は中性タンパク質では形成が困難であったミセル状複合体を容易に形成することができる。
本発明のPICにおいて、コア部分の構成成分となるタンパク質としては、前述した式(I)で示される化合物により全体としての電荷が変換されたタンパク質(荷電変換タンパク質)であればよく、具体的には、総荷電が、塩基性又は中性タンパク質の総荷電(プラス側又はニュートラルな状態)から酸性タンパク質の総荷電と同様にマイナス側となるように変換されたタンパク質であればよい。総荷電がマイナス側となるように変換されたタンパク質は、タンパク質全体としてはアニオン性の物質(ポリアニオン)であると言える。従って、前記カチオン性高分子中のポリカチオン部分との静電的相互作用により、もともと塩基性又は中性タンパク質では形成が困難であったミセル状複合体を容易に形成することができる。
本発明においては、タンパク質としてサイトカインを用いる。
サイトカインは、細胞から分泌される低分子のタンパク質であり、細胞間相互作用に関与して周囲の細胞に影響を与える。その結果、細胞による免疫作用や抗腫瘍効果が発揮される。
サイトカインとしては、インターロイキン(IL)(IL-1, IL-2, IL-3, IL-4, IL-5, IL-6, IL-7, IL-8, IL-9, IL-10, IL-11, IL-12, IL-13, IL-14, IL-15, IL-16, IL-17, IL-18, IL-19, IL-20, IL-21等)、造血因子(CSF, EPO, TPO)、インターフェロン(IFN)、腫瘍壊死因子(TNF)、増殖因子(EGF, FGF, PDGF)などが挙げられ、中でも本発明においてはIL-12を使用することができる。
サイトカインは、細胞から分泌される低分子のタンパク質であり、細胞間相互作用に関与して周囲の細胞に影響を与える。その結果、細胞による免疫作用や抗腫瘍効果が発揮される。
サイトカインとしては、インターロイキン(IL)(IL-1, IL-2, IL-3, IL-4, IL-5, IL-6, IL-7, IL-8, IL-9, IL-10, IL-11, IL-12, IL-13, IL-14, IL-15, IL-16, IL-17, IL-18, IL-19, IL-20, IL-21等)、造血因子(CSF, EPO, TPO)、インターフェロン(IFN)、腫瘍壊死因子(TNF)、増殖因子(EGF, FGF, PDGF)などが挙げられ、中でも本発明においてはIL-12を使用することができる。
また、本発明に用いるサイトカインは、全長アミノ酸配列からなるものに限らず、その部分断片及びペプチド等も包含する。また、本発明に用いるサイトカインは、天然アミノ酸から構成されているものに限定はされず、少なくとも一部に非天然アミノ酸を構成成分として含む修飾サイトカインも包含する。さらに、本発明に用いるサイトカインは、必要に応じて、適宜、各種標識物質等を付加したものも包含する。
(3) ポリイオンコンプレックス(PIC)
本発明のPICは、サイトカインと、上述したカチオン性高分子中の一部(ポリカチオン部分)とが静電的相互作用をしてコア部分を形成し、当該カチオン性高分子中の他の部分(PEG部分を含む部分)がコア部分の周囲にシェル部分を形成したような状態の、コア-シェル型のミセル状複合体ということができる。
本発明のPICは、サイトカインと、上述したカチオン性高分子中の一部(ポリカチオン部分)とが静電的相互作用をしてコア部分を形成し、当該カチオン性高分子中の他の部分(PEG部分を含む部分)がコア部分の周囲にシェル部分を形成したような状態の、コア-シェル型のミセル状複合体ということができる。
本発明のPICは、サイトカイン(例えばIL-12)とカチオン性高分子とを任意のバッファー(例えばTrisバッファー等)中で混合することにより容易に調製することができる。カチオン性高分子とサイトカインとの混合比は、限定はされないが、本発明においては、例えば、ブロックコポリマー中のカチオン性基(例えばアミノ基)の総数(N)と、サイトカイン中のカルボキシル基の総数(C)との比(N/C比)を、0.1~200とすることができ、また0.5~100としてもよく、さらに1~50としてもよい。N/C比が上記範囲のときは、遊離のカチオン性高分子を低減できる等の点で好ましい。なお、上記カチオン性基(N)は、ミセルに内包するサイトカイン中のカルボキシル基と、静電的相互作用によりイオン結合を形成することができる基を意味する。
本発明のPICの大きさは、限定はされないが、例えば、動的光散乱測定法(DLS)による粒径が5~200 nmであることが好ましく、より好ましくは10~100 nmである。
本発明のPICは、細胞内に導入された後、内包していたサイトカインを放出するが、この際、細胞質内におけるpH環境の変化(弱酸性環境下(例えばpH 5.5程度)に変化)により、前記式(I)で示される化合物がサイトカインから解離する(結合が切れる)。これにより、サイトカインの全体としての電荷(総荷電)が、サイトカインがもともと有する固有の電荷(総荷電)に回復するため、導入した細胞内においては、サイトカインをその構造及び活性等が再生した状態で存在させることができる。
2.サイトカイン送達デバイス
本発明においては、上述したポリイオンコンプレックス(PIC)を含むサイトカイン送達デバイスが提供される。本発明のサイトカイン送達デバイスは、細胞内外の酸化還元環境の変化を利用し、PICのコア部分に内包したサイトカインを、標的細胞の細胞表面、細胞内及び細胞外から選ばれるいずれかに効率的に導入する手段として使用できる。
本発明においては、上述したポリイオンコンプレックス(PIC)を含むサイトカイン送達デバイスが提供される。本発明のサイトカイン送達デバイスは、細胞内外の酸化還元環境の変化を利用し、PICのコア部分に内包したサイトカインを、標的細胞の細胞表面、細胞内及び細胞外から選ばれるいずれかに効率的に導入する手段として使用できる。
具体的には、サイトカインを内包したPICを含む溶液を被験動物に投与して、体内の標的細胞に取り込ませる。その後、細胞内に取り込まれたPICがエンドソームに到達すると、式(I)に示される化合物がサイトカインより脱離し、PIC内の電荷のバランスが変化することによってPICが崩壊する。PICが崩壊すると、PICからサイトカインがリリースされ、それと同時にPICから解離したポリマーがエンドソーム膜を傷害する。それによってエンドソームが破壊されるために、放出したの細胞質内への送達が達成される。
サイトカインを内包したミセルでは、細胞外でを放出してサイトカインが細胞表面の受容体に結合するため、細胞表面を送達の対象にすることができる。
サイトカインを内包したミセルでは、細胞外でを放出してサイトカインが細胞表面の受容体に結合するため、細胞表面を送達の対象にすることができる。
本発明のサイトカイン送達デバイスは、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、ブタ、イヌ及びネコ等の各種哺乳動物に適用することができ、限定はされない。被験動物への投与方法は、通常、点滴静注などの非経口用法が採用され、投与量、投与回数及び投与期間などの各条件は、被験動物の種類及び状態に合わせて適宜設定することができる。
3.医薬組成物
本発明の複合体及びサイトカイン送達デバイスは、各種疾患の原因となる細胞にサイトカインを導入する治療(例えば、IL-12を内包する複合体の場合は抗腫瘍療法等)に用いることができる。よって本発明は、前述したPICを含む医薬組成物(例えば抗腫瘍療法用の医薬組成物)、及び、前述したPICを用いる各種疾患(例えば腫瘍)の治療方法を提供することもできる。なお、投与の方法及び条件は前記と同様である。
本発明の複合体及びサイトカイン送達デバイスは、各種疾患の原因となる細胞にサイトカインを導入する治療(例えば、IL-12を内包する複合体の場合は抗腫瘍療法等)に用いることができる。よって本発明は、前述したPICを含む医薬組成物(例えば抗腫瘍療法用の医薬組成物)、及び、前述したPICを用いる各種疾患(例えば腫瘍)の治療方法を提供することもできる。なお、投与の方法及び条件は前記と同様である。
本発明の医薬組成物において、対象となる腫瘍は、特に限定されるものではない。例えば、脳腫瘍(下垂体腺腫、神経膠腫)、頭頸部癌、頚癌、顎癌、口腔癌、唾液腺癌、舌下腺癌、耳下腺癌、鼻腔癌、副鼻腔癌、喉頭癌、食道癌、肺癌、乳癌、膵臓癌、胃癌、胆道癌(胆管癌、胆嚢癌)小腸又は十二指腸癌、大腸癌、膀胱癌、腎癌、肝癌、前立腺癌、子宮癌(子宮頸癌、子宮体癌)、卵巣癌、甲状腺癌、咽頭癌、肉腫(例えば、骨肉腫、軟骨肉腫、カポジ肉腫、筋肉腫、血管肉腫、線維肉腫など)、悪性リンパ腫(ホジキン型リンパ腫、非ホジキン型リンパ腫)、白血病(例えば、慢性骨髄性白血病(CML)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)及び急性リンパ性白血病(ALL)、リンパ腫、多発性骨髄腫(MM)、骨髄異型成症候群などを含む)、皮膚癌、メラノーマなどを挙げることができる。
また、本発明においてサイトカインとして例えば IL-10, IL-4, IL-10, IL-6, IL11, IL-13 IL-1R, IL-18R, TNF-R1, TNF-R2, TGF-β, CXCL12を使用する場合は、炎症性疾患や免疫系の疾患を対象とすることができる。
炎症性疾患としては、リウマチ、乾癬、多発性硬化症、クローン病、心筋炎、I型糖尿病、全身性エリテマトーデス、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、咽喉頭炎、膀胱炎、肝炎、肺炎、膵炎、腸炎、多発性筋炎、皮膚筋炎、強皮症、シェーグレン症候群、クローン病、多発性硬化症、重症筋無力症、ギラン・バレー症候群、急速進行性糸球体腎炎、自己免疫性溶血性貧血、特発性血小板減少性紫斑病(免疫性血小板減少症)、バセドウ病、天疱瘡などが挙げられる。
炎症性疾患としては、リウマチ、乾癬、多発性硬化症、クローン病、心筋炎、I型糖尿病、全身性エリテマトーデス、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、咽喉頭炎、膀胱炎、肝炎、肺炎、膵炎、腸炎、多発性筋炎、皮膚筋炎、強皮症、シェーグレン症候群、クローン病、多発性硬化症、重症筋無力症、ギラン・バレー症候群、急速進行性糸球体腎炎、自己免疫性溶血性貧血、特発性血小板減少性紫斑病(免疫性血小板減少症)、バセドウ病、天疱瘡などが挙げられる。
上記医薬組成物については、薬剤製造上一般に用いられる賦形剤、充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、潤滑剤、界面活性剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、溶解補助剤、防腐剤、矯味矯臭剤、無痛化剤、安定化剤及び等張化剤等を適宜選択して使用し、常法により調製することができる。
本発明の医薬組成物の投与形態としては注射が挙げられ、通常の静脈内、動脈内等の全身投与のほか、筋肉、関節内、皮下、皮内等に局所投与することができる。この場合、通常は単位投与量アンプル又は多投与量容器の形態で提供され、使用する際に適当な担体、例えば滅菌水で再溶解させる粉体であってもよい。また、これらの剤形に対し、製剤上一般に使用される添加剤を含有させることもできる。その投与量は、治療目的、ミセルの形態、投与対象の年齢、投与経路、投与回数により異なり、広範囲に変えることができ、本発明の医薬組成物に含まれるサイトカインの量は、当業者であれば適宜設定することができる。例えば、本発明の医薬組成物の有効量と適切な希釈剤及び薬理学的に使用し得る担体との組合せとして投与される有効量は、一回につき体重1kgあたり1μg~1000μgであり、1日間から6週間間隔で投与される。
4.サイトカイン送達用キット
本発明のサイトカイン送達用キットは、前記ブロックコポリマーを含むことを特徴とするものである。当該キットは、例えば、免疫治療方法、抗腫瘍療法等に好ましく用いることができる。
本発明のサイトカイン送達用キットは、前記ブロックコポリマーを含むことを特徴とするものである。当該キットは、例えば、免疫治療方法、抗腫瘍療法等に好ましく用いることができる。
本発明のキットにおいて、カチオン性高分子の保存状態は、限定はされず、その安定性(保存性)及び使用容易性等を考慮して溶液状又は粉末状等の状態を選択できる。本発明のキットは、前記ブロックコポリマー以外に、他の構成要素を含んでいてもよい。他の構成要素としては、例えば、各種バッファー、細胞内に導入する各種タンパク質(電荷変換タンパク質)、溶解用バッファー及び使用説明書(使用マニュアル)等を挙げることができる。本発明のキットは、標的細胞内に導入するサイトカインをコア部分としたポリイオンコンプレックス(PIC)を調製するために使用され、調製したPICは、標的細胞へのサイトカイン送達デバイス(例えばIL-12送達デバイス)として有効に用いることができる。
実施例
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1. PEG-p(Lys-CDM)の合成(図1-4)
ポリ(エチレングリコール)-ポリ(L-リジン)(PEG-p(Lys))を開環重合により合成した。チオ尿素(1500mg)を20mLの脱水DMFに溶解した。調製した5mLのチオ尿素溶液にMeO-PEG-NH2(Mw=12k、500mg)を溶解し、Lys(TFA)-NCA(500mg)を別の5mLのチオ尿素溶液に溶解した。次に、Lys(TFA)-NCA溶液をアルゴン雰囲気中のMeO-PEG-NH2溶液に添加した。混合物を35℃で3日間反応させ、続いて冷エーテルに対して沈殿させた。得られた重合体PEG-pLys(TFA)を、d6-DMSO中、GPC(TOSOH HLC-8220系、TOSOH, Japan; カラム: TSKゲルG4000HHR; 移動相: DMF; 流量: 0.75mL/分; 検出器: UV 220nm)及び1H-NMR (400MHz, JASCO, Japan)により特性化した。
ポリ(エチレングリコール)-ポリ(L-リジン)(PEG-p(Lys))を開環重合により合成した。チオ尿素(1500mg)を20mLの脱水DMFに溶解した。調製した5mLのチオ尿素溶液にMeO-PEG-NH2(Mw=12k、500mg)を溶解し、Lys(TFA)-NCA(500mg)を別の5mLのチオ尿素溶液に溶解した。次に、Lys(TFA)-NCA溶液をアルゴン雰囲気中のMeO-PEG-NH2溶液に添加した。混合物を35℃で3日間反応させ、続いて冷エーテルに対して沈殿させた。得られた重合体PEG-pLys(TFA)を、d6-DMSO中、GPC(TOSOH HLC-8220系、TOSOH, Japan; カラム: TSKゲルG4000HHR; 移動相: DMF; 流量: 0.75mL/分; 検出器: UV 220nm)及び1H-NMR (400MHz, JASCO, Japan)により特性化した。
TFA基の脱保護はPEG-p(Lys)(TFA)を1M NaOH含有メタノール溶液に溶解し、35℃で12時間反応させることによって行った。混合物を6~8k MWCO膜中のDI水に対して2日間透析し、次いで凍結乾燥してPEG-p(Lys)を得た。PEG-p(Lys)は、GPC (JASCXO LC-EXTREMA, JASCO, Japan; カラム: Superdex 200-10/300GL; 移動相: D-PBS; 流速: 0.75mL/分; 検出器: UV 220nm)及びD2O中の1H-NMRにより特性化した。次に、CDM (100mg)を8mLの無水CH2Cl2に溶解し、2mLのオキサリルクロリドを加えて室温で一晩反応させた。残ったオキサリルクロライドとCH2Cl2を除去するために減圧乾燥し、油状CDM-Clを得た。その後、CDM-Clを2mlの無水CH2Cl2に再度溶解し、PEG-p(Lys)(100mg)を含む8mLのCH2Cl2 を加えて室温で一晩反応させた。
PEG-p(Lys-CDM)の合成スキームを図1に示す。
PEG-p(Lys-CDM)の合成スキームを図1に示す。
最終生成物であるPEG-p(Lys-CDM)は、混合物を冷エーテルに対して沈殿させることによって回収した。PEG-p(Lys-CDM)は、GPC(JASCXO LC-EXTREMA, JASCO, Japan; カラム: Superdex 200-10/300GL; 移動相: pH 3.3の10mM酢酸及び500mM NaClの酢酸緩衝生理食塩水; 流速: 0.75mL/分; 検出器: UV 220nm) 及びd6-DMSO中の1H-NMRにより特性化した。
結果を図2~4に示す。図2~4により、分子量分布の狭い、p(Lys)の側鎖構造にCDMが導入されたポリマーであることが分かる。
結果を図2~4に示す。図2~4により、分子量分布の狭い、p(Lys)の側鎖構造にCDMが導入されたポリマーであることが分かる。
2. IL-12内包ミセル(IL-12/m)の調製(図5-6)
IL-12/mは、pH制御滴定によって調製した。空のミセルの形成を防ぐために、10mg/mLのPEG-p(Lys-CDM)をpH 5.0のリン酸緩衝液(20mM)中で調製した。40μg/mLのIL-12をpH 8.0のリン酸緩衝液(20mM)中で調製した。IL-12/mを調製するために、PEG-p(Lys-CDM)とIL-12との間の250:1質量比を使用した。PEG-p(Lys-CDM)溶液を、厳密に制御された速度(2μL/分)下でIL-12溶液に添加した。次いで、混合物をpH 8.0のPBS緩衝液を添加することによってpH 7.4に滴定し、続いて4℃下で連続的に振盪しながら一晩インキュベートした。
IL-12/mは、pH制御滴定によって調製した。空のミセルの形成を防ぐために、10mg/mLのPEG-p(Lys-CDM)をpH 5.0のリン酸緩衝液(20mM)中で調製した。40μg/mLのIL-12をpH 8.0のリン酸緩衝液(20mM)中で調製した。IL-12/mを調製するために、PEG-p(Lys-CDM)とIL-12との間の250:1質量比を使用した。PEG-p(Lys-CDM)溶液を、厳密に制御された速度(2μL/分)下でIL-12溶液に添加した。次いで、混合物をpH 8.0のPBS緩衝液を添加することによってpH 7.4に滴定し、続いて4℃下で連続的に振盪しながら一晩インキュベートした。
カプセル化効率を決定するために、Alexa-647標識IL-12を使用し、滴定した混合物を、HPLC(JASCXO LC-EXTREMA, JASCO, Japan)にロードした(カラム: Superdex 200-10/300GL, GE Healthcare, USA; 移動相: pH 7.4 PBS; 流速: 0.75mL/分; 検出器: 蛍光650/665nm)。カプセル化効率は、IL-12/mを基準とするピークと遊離IL-12との間の面積比によって決定した。非標識IL-12を使用する生物学的実験において、カプセル化効率は、混合物中のカプセル化されていないIL-12を検出するためのELISA測定によって決定した。
次いで、この混合物を、遠心分離フィルター(30万MWCO)を使用する限外濾過によって精製し、遊離IL-12を除去した。0.22μmシリンジ駆動濾過膜によって濾過した後、IL-12/mのサイズ分布を動的レーザー散乱(DLS)によって特徴付け、表面電荷をζ電位測定(Zetasizer Nano-ZS, Malvern, U.K.)によって決定した。TEM写真では、IL-12/mを最初にDI水に対して一晩透析し(10万MWCO)、リン酸塩及びNaClを除去し、次にリンタングステン酸(PTA)(2%、w/v)で染色し、TEM観察用の400メッシュ銅グリッド上に置いた(JEM-1400、JEOL)。
結果を図5~6に示す。図5~6により、調製したミセルはあらゆる濃度のIL-12を高い内包率でタンパク質を内包し、表面電位の中和された40nmサイズの粒子であることが分かる。
結果を図5~6に示す。図5~6により、調製したミセルはあらゆる濃度のIL-12を高い内包率でタンパク質を内包し、表面電位の中和された40nmサイズの粒子であることが分かる。
3. In vitroでの安定性及びpH制御薬物放出プロフィール(図7)
IL-12/mのin vitro安定性を測定するため、ミセルサンプルを調製し、pH 7.4のPBS緩衝液中に100μg/mLのPEG-p(Lys-CDM)を含有するように濃縮した。次いで、ミセル溶液を、それぞれチューブ中のpH 7.4及びpH 6.5のPBS緩衝液中に10倍希釈し、そして希釈溶液を、ミセルの誘導体計数率、平均サイズ及び多分散性変化を記録するために、所定の時点でDLS法によってモニターした。薬物放出試験では、200μLのPBS(pH 7.4)中に10μgのAlexa-647標識IL-12をそれぞれ含有するIL-12/m試料を、透析カセット(10万MWCO)中、室温下で、それぞれ1LのpH 6.5又はpH 7.4のPBSに対して透析した。所定の時点でカセットから試料を採取し、ナノドロップ分光計によって蛍光強度を測定し、累積放出比を計算した。
結果を図7に示す。図7により、調製したミセルはpH7.4では安定である一方で、pH6.5では不安定であることが分かる。
IL-12/mのin vitro安定性を測定するため、ミセルサンプルを調製し、pH 7.4のPBS緩衝液中に100μg/mLのPEG-p(Lys-CDM)を含有するように濃縮した。次いで、ミセル溶液を、それぞれチューブ中のpH 7.4及びpH 6.5のPBS緩衝液中に10倍希釈し、そして希釈溶液を、ミセルの誘導体計数率、平均サイズ及び多分散性変化を記録するために、所定の時点でDLS法によってモニターした。薬物放出試験では、200μLのPBS(pH 7.4)中に10μgのAlexa-647標識IL-12をそれぞれ含有するIL-12/m試料を、透析カセット(10万MWCO)中、室温下で、それぞれ1LのpH 6.5又はpH 7.4のPBSに対して透析した。所定の時点でカセットから試料を採取し、ナノドロップ分光計によって蛍光強度を測定し、累積放出比を計算した。
結果を図7に示す。図7により、調製したミセルはpH7.4では安定である一方で、pH6.5では不安定であることが分かる。
4. In vitro生物活性アッセイ(図8)
In vitro生物活性アッセイにおいて、BALB/cマウスから回収した脾細胞(9週間)を、1ウェルあたり100μLのRPMI培地中(10% FBS、1×ペニシリン-ストレプトマイシン、2mM L-グルタミン及び50μM 2-メルカプトエタノールを含有)、96ウェルプレート(105細胞/ウェル)に播種した。放出されたIL-12は、10μg /mLのIL-12/mをpH 5.0のPBSに10倍希釈して一晩インキュベートし、続いてさらに希釈してpH 7.4のPBS緩衝液中のIL-12当量濃度を決定することによって調製した。次いで、細胞を、天然IL-12、放出されたIL-12又はIL-12/m(0~100ng/mLのIL-12当量濃度)のいずれかと24時間インキュベートした。500g×5分で遠心分離した後に培養上清を回収し、含有IFN-γ濃度をELISAキットによって測定した。
結果を図8に示す。図8により、ミセルから放出されたIL-12は活性を保っていることが分かる。
In vitro生物活性アッセイにおいて、BALB/cマウスから回収した脾細胞(9週間)を、1ウェルあたり100μLのRPMI培地中(10% FBS、1×ペニシリン-ストレプトマイシン、2mM L-グルタミン及び50μM 2-メルカプトエタノールを含有)、96ウェルプレート(105細胞/ウェル)に播種した。放出されたIL-12は、10μg /mLのIL-12/mをpH 5.0のPBSに10倍希釈して一晩インキュベートし、続いてさらに希釈してpH 7.4のPBS緩衝液中のIL-12当量濃度を決定することによって調製した。次いで、細胞を、天然IL-12、放出されたIL-12又はIL-12/m(0~100ng/mLのIL-12当量濃度)のいずれかと24時間インキュベートした。500g×5分で遠心分離した後に培養上清を回収し、含有IFN-γ濃度をELISAキットによって測定した。
結果を図8に示す。図8により、ミセルから放出されたIL-12は活性を保っていることが分かる。
5. 凍結乾燥IL-12/mの調製(図9及び表1)
凍結乾燥のため、初めにIL-12/mを調製し、上記プロトコルにより精製し、最終精製溶液に、凍結乾燥保護剤としてトレハロース(IL-12/m溶液の総重量の5%)を添加した。この混合物を液体窒素により凍結し、凍結乾燥した。凍結乾燥粉末にDI水を元の溶液体積となるように添加して再構成し、次いで4℃で5時間静置した。再構成されたIL-12/mをDLS及びζ電位測定のためにZetasizerにロードし、IL-12/m溶液中の遊離IL-12濃度をELISAによって検出した。
凍結乾燥のため、初めにIL-12/mを調製し、上記プロトコルにより精製し、最終精製溶液に、凍結乾燥保護剤としてトレハロース(IL-12/m溶液の総重量の5%)を添加した。この混合物を液体窒素により凍結し、凍結乾燥した。凍結乾燥粉末にDI水を元の溶液体積となるように添加して再構成し、次いで4℃で5時間静置した。再構成されたIL-12/mをDLS及びζ電位測定のためにZetasizerにロードし、IL-12/m溶液中の遊離IL-12濃度をELISAによって検出した。
凍結乾燥IL-12/mの生物活性を測定するために、脾細胞を使用するin vitroアッセイを再度使用した。再構成後、凍結乾燥されたIL-12/m及び放出されたIL-12を、既報のプロトコールに従って調製した。比較のため、凍結乾燥しない元のIL-12/mを調製した。サンプルは、所定の等価濃度(0.1~10ng/mL)に希釈し、脾細胞と共に24時間インキュベートした。次いで、ELISA測定のために上清を回収し、IFN-γ濃度を測定した。
結果を図9及び表1に示す。図9及び表1により、凍結乾燥後のミセルは凍結乾燥前のミセルと同様の物理化学的特性、活性を有していることが分かる。
結果を図9及び表1に示す。図9及び表1により、凍結乾燥後のミセルは凍結乾燥前のミセルと同様の物理化学的特性、活性を有していることが分かる。
6. 血液循環(図10)
血行プロファイルは、高用量(10μg IL-12等量)及び低用量(1μg IL-12等量)の両条件下で討した。対応する薬剤を200μLのPBSに分散させ、マウスの尾静脈に静脈内(i.v.)注射した。注射後、所定の時点でマウス(1群あたりn=3)の血液サンプルを腹部大動脈から採取し、ヘパリン化チューブに保存した。次いで、血液を1000gで10分遠心分離し、上清を血漿サンプルとして回収した。血漿サンプルをELISA測定のための適切な濃度範囲まで希釈し(pH 7.4のPBS中)、放出されたIL-12濃度を測定した。
血行プロファイルは、高用量(10μg IL-12等量)及び低用量(1μg IL-12等量)の両条件下で討した。対応する薬剤を200μLのPBSに分散させ、マウスの尾静脈に静脈内(i.v.)注射した。注射後、所定の時点でマウス(1群あたりn=3)の血液サンプルを腹部大動脈から採取し、ヘパリン化チューブに保存した。次いで、血液を1000gで10分遠心分離し、上清を血漿サンプルとして回収した。血漿サンプルをELISA測定のための適切な濃度範囲まで希釈し(pH 7.4のPBS中)、放出されたIL-12濃度を測定した。
ミセルによって送達されたIL-12の総量を測定するために、まず、試料をpH 5.0 PBS中で5倍希釈することによってミセルを破壊し、4℃下で一晩インキュベートし、次いで、ELISA測定のために適切な濃度範囲になるようにELISAキットの希釈緩衝液中でさらに希釈した。PBS注射マウスにおける内因性IL-12レベルは、キットによって検出できなかった。一相減衰モデルを仮定して血漿半減期を推定し、曲線下面積(AUC)をGraphPad Prismソフトウェアを用いて計算した。
結果を図10に示す。図10により、ミセル化によりIL-12の血中滞留性を増大させ、血中でのIL-12放出を抑制できることが分かる。
結果を図10に示す。図10により、ミセル化によりIL-12の血中滞留性を増大させ、血中でのIL-12放出を抑制できることが分かる。
7. In vivo共焦点レーザー散乱顕微鏡(図11)
IL-12/mの循環状況は、8週齢のC57BL/6マウスの右耳たぶ上のin vivo共焦点レーザー走査顕微鏡(IVCLSM)観察によって追跡した。マウスを2.5%イソフルランで麻酔し、固定した。10μgのAlexa647-IL-12又はAlexa647-IL-12/mを100μLのPBSに分散させ、マウスに静脈内注射した。連続IVCLSM観察を注射直後に開始し、3時間継続した。3時間後、マウスから組織サンプルを採取した。組織サンプルは、蛍光の微小分布を調査するためにIVCLSMによって観察した。
結果を図11に示す。図11により、IL-12単体では副作用の原因である正常組織への移行が起こる一方で、IL-12/mではIL-12の血管外遊出を抑制できることが分かる。
IL-12/mの循環状況は、8週齢のC57BL/6マウスの右耳たぶ上のin vivo共焦点レーザー走査顕微鏡(IVCLSM)観察によって追跡した。マウスを2.5%イソフルランで麻酔し、固定した。10μgのAlexa647-IL-12又はAlexa647-IL-12/mを100μLのPBSに分散させ、マウスに静脈内注射した。連続IVCLSM観察を注射直後に開始し、3時間継続した。3時間後、マウスから組織サンプルを採取した。組織サンプルは、蛍光の微小分布を調査するためにIVCLSMによって観察した。
結果を図11に示す。図11により、IL-12単体では副作用の原因である正常組織への移行が起こる一方で、IL-12/mではIL-12の血管外遊出を抑制できることが分かる。
8. 生体分布(図12-14)
高用量(10μg IL-12等価)及び低用量(1μg IL-12等価)の両条件下で生体分布プロファイルを検討した。実験は、平均体積200 mm3の黒色腫及びTBNC腫瘍を担持するマウスにおいて行った。注入するための薬剤を200μLのPBSに分散させた。
高用量(10μg IL-12等価)及び低用量(1μg IL-12等価)の両条件下で生体分布プロファイルを検討した。実験は、平均体積200 mm3の黒色腫及びTBNC腫瘍を担持するマウスにおいて行った。注入するための薬剤を200μLのPBSに分散させた。
高用量実験については、先ず、Alexa Fluor-647標識IL-12を、蛍光に基づく定量化のためにメラノーマ担持マウスにおいて使用した。10μgのIL-12又はIL-12/m等量を静脈内注射した。注射24時間後、マウスから組織試料(心臓、肝臓、脾臓、肺、腎臓、腫瘍)を採取した。組織サンプルは、最初にIVISイメージングシステム(PerkinElmer, USA)によってイメージングし、次いでpH 7.4 PBS中のDounce組織ホモジナイザーによってホモジナイズした。2000g×15分の遠心分離後に上清を回収し、マルチウェルプレートリーダー(Tecan, Switzerland)を介して蛍光強度の定量を行った。さらに、IL-12分布を直接定量するため、非標識IL-12及びIL-12/mを、TNBC腫瘍担持マウスに静脈内注射した。注射の24時間後に組織サンプルを採取した。プロテイナーゼ阻害剤を含有する組織抽出試薬中でのタンパク質抽出のために、組織をホモジナイズした。サンプル抽出物を2000g×15分間遠心分離して、上清を回収した。上清中の放出されたIL-12及び総IL-12濃度を、対応する希釈プロトコール後にELISAによって検出した。
低用量実験については、メラノーマ担持マウスに非標識IL-12又はIL-12/m(注射あたり1μgのIL-12等量)を静脈内注射した。所定の時点(注射後1、4、8、24、48時間)で、マウスから組織サンプルを採取した。試料を分離し、高用量実験で使用したのと同じプロトコールに従ってELISAによって測定した。
結果を図12~14に示す。図12~14により、IL-12/mはIL-12単体よりも腫瘍集積性が高いことが分かる。また、肝臓などの正常組織に対するIL-12/mの集積がみられたが、組織内が正常pHであることから、IL-12の放出量は限定的であった。
結果を図12~14に示す。図12~14により、IL-12/mはIL-12単体よりも腫瘍集積性が高いことが分かる。また、肝臓などの正常組織に対するIL-12/mの集積がみられたが、組織内が正常pHであることから、IL-12の放出量は限定的であった。
9. 全身性及び腫瘍内サイトカイン分泌(図15-16)
治療後の全身及び腫瘍内IFN-γ及びIL-10レベルを、全身及び腫瘍内免疫応答を評価するために検出した。また、高用量(10μg IL-12等量)と低用量(1μg IL-12等量)の両条件下で実験を行った。
治療後の全身及び腫瘍内IFN-γ及びIL-10レベルを、全身及び腫瘍内免疫応答を評価するために検出した。また、高用量(10μg IL-12等量)と低用量(1μg IL-12等量)の両条件下で実験を行った。
高用量実験については、TNBC腫瘍を有するマウスに、10μgのIL-12又はIL-12/m等量を0日目と3日目にi.v.注射した。100μLの血液を眼窩静脈からヘパリン化毛細管によって毎日採取し、1000g×10分の遠心分離後、血漿サンプルを分離した(0日目及び3日目のサンプルは、IL-12又はIL-12/mの注射前に採取した)。7日目に、マウスから腫瘍を採取した。次いで、プロテイナーゼインヒビターを含む組織タンパク質抽出緩衝液中、腫瘍をDounceホモジナイザーによってホモジナイズした。2000g×15分で遠心分離を行った後、上清を回収した。血漿及び腫瘍試料中のIFN-γ及びIL-10濃度をELISAキットによって測定した。
低用量実験については、メラノーマを有するマウスに、1μgのIL-12又はIL-12/m等量を0日目にi.v.注射した。1、2及び3日目にマウスから血液、脾臓及び腫瘍試料を採取した。血液サンプルを1000g×10分間で遠心分離した後、血漿を分離した。プロテイナーゼインヒビターを含む組織タンパク質抽出緩衝液中、腫瘍及び脾臓をDounceホモジナイザーによってホモジナイズした。2000g×15分の遠心分離後に上清を回収した。試料中のIFN-γ及びIL-10濃度をELISAキットによって測定した。
結果を図15~16に示す。図15~16により、IL-12単体では抗炎症性サイトカインであるIL-10発現量が増大する一方で、IL-12/mでは炎症性サイトカイン発現量が増大することが分かる。
結果を図15~16に示す。図15~16により、IL-12単体では抗炎症性サイトカインであるIL-10発現量が増大する一方で、IL-12/mでは炎症性サイトカイン発現量が増大することが分かる。
10. 全身毒性(図17-18)
IL-12とIL-12/mの全身毒性は、全身及び腫瘍内サイトカイン分泌の高用量実験と同じ用量スケジュールで評価した。5週齢の腫瘍のないBalb/cマウスに0日目と3日目に10μg相当のIL-12又はIL-12/mをi.v.注射した。体重変化曲線を時間に対してプロットし、各マウスの体重を個々にモニターした。7日目に、マウスから血液及び組織サンプルを採取した。血液を1000g×10分間で遠心分離した後、血漿を分離した。血漿中の総蛋白質(TP)濃度、アラニントランスアミナーゼ(ALT)、血中尿素窒素(BUN)及びリパーゼをDRI-CHEM NX500血液分析器(Fujifilm、Japan)により検出した。TPとALTは肝障害の評価に用いた。BUNは腎障害の評価に、リパーゼはすい障害の評価に用いた。新鮮な肝臓及び腎臓サンプルを採取し、組織切片をH&Eで染色した。
結果を図17~18に示す。図17~18により、IL-12単体は肝臓や膵臓、腎臓に毒性を示す一方で、ミセル化により毒性を軽減できることが分かる。
IL-12とIL-12/mの全身毒性は、全身及び腫瘍内サイトカイン分泌の高用量実験と同じ用量スケジュールで評価した。5週齢の腫瘍のないBalb/cマウスに0日目と3日目に10μg相当のIL-12又はIL-12/mをi.v.注射した。体重変化曲線を時間に対してプロットし、各マウスの体重を個々にモニターした。7日目に、マウスから血液及び組織サンプルを採取した。血液を1000g×10分間で遠心分離した後、血漿を分離した。血漿中の総蛋白質(TP)濃度、アラニントランスアミナーゼ(ALT)、血中尿素窒素(BUN)及びリパーゼをDRI-CHEM NX500血液分析器(Fujifilm、Japan)により検出した。TPとALTは肝障害の評価に用いた。BUNは腎障害の評価に、リパーゼはすい障害の評価に用いた。新鮮な肝臓及び腎臓サンプルを採取し、組織切片をH&Eで染色した。
結果を図17~18に示す。図17~18により、IL-12単体は肝臓や膵臓、腎臓に毒性を示す一方で、ミセル化により毒性を軽減できることが分かる。
11. マウスの処置(図19~24)
抗腫瘍活性実験では、異なる用量スケジュールを使用した。IL-12及びIL-12/mを200μLのPBS中に分散させ、尾静脈を介してマウスに静脈注射した。100μgの抗PD-1抗体を100μLのPBSに溶解し、マウスの右下腹部に腹腔内(i.p.)注射した。
結果を図19~24に示す。図19~24により、IL-12/mはIL-12単体よりも高い抗腫瘍活性を有しており、免疫チェックポイント阻害剤との併用により治療効果を高められることが分かる。また、IL-12/mは未治療群と同程度の安全性を示すことがわかる。
抗腫瘍活性実験では、異なる用量スケジュールを使用した。IL-12及びIL-12/mを200μLのPBS中に分散させ、尾静脈を介してマウスに静脈注射した。100μgの抗PD-1抗体を100μLのPBSに溶解し、マウスの右下腹部に腹腔内(i.p.)注射した。
結果を図19~24に示す。図19~24により、IL-12/mはIL-12単体よりも高い抗腫瘍活性を有しており、免疫チェックポイント阻害剤との併用により治療効果を高められることが分かる。また、IL-12/mは未治療群と同程度の安全性を示すことがわかる。
12. 組織学(図25-28)
マウスから新鮮な腫瘍及び器官サンプルを採取し、組織切片の標本を調製した。肺サンプルについては、まず肺を4%パラホルムアルデヒド(PFA)に一晩浸漬し、次いでサンプルが完全に底に沈むまで30%スクロース溶液に浸漬した。次に、肺サンプルを最適切断温度化合物(O.C.T.化合物)で2回洗浄してスクロース溶液を除去し、O.C.T.化合物に完全に浸漬し、続いて液体窒素中で急速凍結した。腫瘍及び他の器官については、新鮮なサンプルをO.C.T.化合物に直接浸漬し、液体窒素により凍結した。凍結組織サンプルを、クリオスタット(Leica, German)により-30℃下で10μmに切片化した。
マウスから新鮮な腫瘍及び器官サンプルを採取し、組織切片の標本を調製した。肺サンプルについては、まず肺を4%パラホルムアルデヒド(PFA)に一晩浸漬し、次いでサンプルが完全に底に沈むまで30%スクロース溶液に浸漬した。次に、肺サンプルを最適切断温度化合物(O.C.T.化合物)で2回洗浄してスクロース溶液を除去し、O.C.T.化合物に完全に浸漬し、続いて液体窒素中で急速凍結した。腫瘍及び他の器官については、新鮮なサンプルをO.C.T.化合物に直接浸漬し、液体窒素により凍結した。凍結組織サンプルを、クリオスタット(Leica, German)により-30℃下で10μmに切片化した。
免疫組織化学(IHC)染色については、新鮮組織切片をまずPBSで洗浄してO.C.T化合物を除去し、4% PFAで5分間固定した。100倍希釈Hoechst 33342溶液を用いて核を15分間染色し、次いで抗体染色を行った。膜抗原(CD8、NKg2D、PD-L1)を染色するために、抗体を作業溶液としてPBS中で50倍希釈し、30分間インキュベートして組織切片に滴下した。
細胞内抗原(Tbet及びFoxp3)の染色については、切片を、まず、Foxp3/転写因子染色緩衝液セットを用い、製造業者提供のプロトコールに従って透過性にし、次いで、上記と同じ手法を用いて抗体で染色した。染色後、切片をDI水で3×5分間洗浄、乾燥し、マウント剤中にマウントした。切片を、10倍接眼レンズを用いてCLSM(LSM-700、Zeiss、German)により観察した。各ファイルの標識抗体からの蛍光強度をZEN liteソフトウェア(v3.3, Zeiss, German)によって測定し、抗体陽性細胞の数を、10個の個々の陽性細胞の平均蛍光強度で総強度を除することによって計算した。
組織病理学的検査については、H&E染色を行った。組織切片を、上記と同じプロトコールを介して調製した。切片は、H&E染色キットによって製造業者の指示書に従って染色した。切片は光学顕微鏡(Zeiss, German)で観察した。
結果を図25~28に示す。図25~28により、IL-12/mの投与後にキラーT細胞やヘルパーT細胞、NK細胞の浸潤性が向上した一方で、制御性T細胞の増加を抑制したことが分かる。また、IL-12/mの投与後にPD-L1発現量が増加しており、抗PD-1抗体との相乗効果のメカニズムが解明された。
結果を図25~28に示す。図25~28により、IL-12/mの投与後にキラーT細胞やヘルパーT細胞、NK細胞の浸潤性が向上した一方で、制御性T細胞の増加を抑制したことが分かる。また、IL-12/mの投与後にPD-L1発現量が増加しており、抗PD-1抗体との相乗効果のメカニズムが解明された。
13. フローサイトメトリー(図29)
腫瘍内リンパ球浸潤の定量分析のため、フローサイトメトリー実験を行った。サンプルを調製するために、マウスから新鮮な腫瘍を採取した。2% FBSを補ったPBS (流動緩衝液)中で腫瘍をホモジナイズし、続いてRBC溶解緩衝液を介してRBCを除去することによって、単細胞懸濁液を調製した。細胞を流動緩衝液に再懸濁し、100μmセルストレーナーを通して濾過した。懸濁液の細胞濃度を106/mLに調整し、流動緩衝液中での抗体染色に供した。染色用の抗体量は、製造業者の説明書に従って計算した。細胞を抗体と共に30分間インキュベートし、流動緩衝液を用いた500g×5分間遠心分離による洗浄とその後の再懸濁を2回繰り返した。最終的にサンプルを106細胞/mLに調整し、フローサイトメーター(LSR II, BD Bioscience, USA)にロードした。
結果を図29に示す。図29により、IL-12/mの投与後にキラーT細胞やヘルパーT細胞を含む様々なT細胞が腫瘍内に浸潤していることが分かる。
腫瘍内リンパ球浸潤の定量分析のため、フローサイトメトリー実験を行った。サンプルを調製するために、マウスから新鮮な腫瘍を採取した。2% FBSを補ったPBS (流動緩衝液)中で腫瘍をホモジナイズし、続いてRBC溶解緩衝液を介してRBCを除去することによって、単細胞懸濁液を調製した。細胞を流動緩衝液に再懸濁し、100μmセルストレーナーを通して濾過した。懸濁液の細胞濃度を106/mLに調整し、流動緩衝液中での抗体染色に供した。染色用の抗体量は、製造業者の説明書に従って計算した。細胞を抗体と共に30分間インキュベートし、流動緩衝液を用いた500g×5分間遠心分離による洗浄とその後の再懸濁を2回繰り返した。最終的にサンプルを106細胞/mLに調整し、フローサイトメーター(LSR II, BD Bioscience, USA)にロードした。
結果を図29に示す。図29により、IL-12/mの投与後にキラーT細胞やヘルパーT細胞を含む様々なT細胞が腫瘍内に浸潤していることが分かる。
Claims (15)
- サイトカインと、下記式(1)で示されるブロック共重合体とを含む高分子複合体。
R3は、下記式(I)で示される化合物を表し、
L1は、NH、CO、又は下記式(11):
-(CH2)p1-NH- (11)
(式中、p1は1~6の整数を表す。)
で示される基、若しくは下記式(12):
-L2a-(CH2)q1-L3a- (12)
(式中、L2aは、OCO、OCONH、NHCO、NHCOO、NHCONH、CONH又はCOOを表し、L3aは、NH又はCOを表す。q1は1~6の整数を表す。)
で示される基を表し、
m1及びm2は、それぞれ独立して0~500の整数を表し(但し、m1及びm2の合計は10~500の整数を表す。)、m3、m4及びm5は、それぞれ独立して1~5の整数を表し、nは0~500の整数を表す。
「/」の表記は、その左右に示された(m1+m2)個の各モノマー単位の配列順序が任意であることを表す。〕 - サイトカインが、式1で示されるブロック共重合体に共有結合している、請求項1に記載の複合体。
- 共有結合が、pH依存的に切断される、請求項5に記載の複合体。
- サイトカインがインターロイキン12である、請求項1~6のいずれか1項に記載の複合体。
- 請求項1~7のいずれか1項に記載のポリマー複合体を含む、細胞表面、細胞内及び細胞外から選ばれるいずれかへのサイトカイン送達デバイス。
- 下記式(1)で示されるブロック共重合体を含む、細胞表面、細胞内及び細胞外から選ばれるいずれかへのサイトカイン送達キット。
R3は、下記式(I)で示される化合物を表し、
L1は、NH、CO、又は下記式(11):
-(CH2)p1-NH- (11)
(式中、p1は1~6の整数を表す。)
で示される基、若しくは下記式(12):
-L2a-(CH2)q1-L3a- (12)
(式中、L2aは、OCO、OCONH、NHCO、NHCOO、NHCONH、CONH又はCOOを表し、L3aは、NH又はCOを表す。q1は1~6の整数を表す。)
で示される基を表し、
m1及びm2はそれぞれ独立して0~500の整数を表し(但し、m1及びm2の合計は10~500の整数を表す。)、m3、m4及びm5はそれぞれ独立して1~5の整数を表し、nは0~500の整数を表す。
「/」の表記は、その左右に示された(m1+m2)個の各モノマー単位の配列順序が任意であることを表す。〕 - サイトカインがインターロイキン12である、請求項9~12のいずれか1項に記載の複合体。
- 請求項1~8のいずれか1項に記載の複合体を含む、医薬組成物。
- 免疫療法又は抗腫瘍療法に用いるための、請求項14に記載の医薬組成物。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022002782A JP2023102362A (ja) | 2022-01-12 | 2022-01-12 | サイトカイン内包高分子ミセル |
PCT/JP2023/001601 WO2023136364A1 (ja) | 2022-01-12 | 2023-01-12 | サイトカイン内包高分子ミセル |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022002782A JP2023102362A (ja) | 2022-01-12 | 2022-01-12 | サイトカイン内包高分子ミセル |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2023102362A true JP2023102362A (ja) | 2023-07-25 |
Family
ID=87279211
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2022002782A Pending JP2023102362A (ja) | 2022-01-12 | 2022-01-12 | サイトカイン内包高分子ミセル |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2023102362A (ja) |
WO (1) | WO2023136364A1 (ja) |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2690276B2 (ja) * | 1995-01-10 | 1997-12-10 | 科学技術振興事業団 | 静電結合型高分子ミセル薬物担体とその薬剤 |
US20030147958A1 (en) * | 2002-01-29 | 2003-08-07 | Cheol-Hee Ahn | Biodegradable multi-block copolymers of poly(amino acid)s and poly(ethylene glycol) for the delivery of bioactive agents |
AU2020305308A1 (en) * | 2019-06-28 | 2022-01-27 | The University Of Tokyo | Protein-enclosing polymeric micelle |
-
2022
- 2022-01-12 JP JP2022002782A patent/JP2023102362A/ja active Pending
-
2023
- 2023-01-12 WO PCT/JP2023/001601 patent/WO2023136364A1/ja unknown
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
WO2023136364A1 (ja) | 2023-07-20 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US8147868B2 (en) | Physiologically active polypeptide- or protein-encapsulating polymer micelles, and method for production of the same | |
JP5277439B2 (ja) | 核酸内包高分子ミセル複合体 | |
JP2021035972A (ja) | 薬剤送達用キャリア及びこれを含む組成物 | |
JP2011105792A (ja) | ブロックコポリマー、ブロックコポリマー−金属錯体複合体、及びそれを用いた中空構造体キャリア | |
WO2010106700A1 (ja) | タンパク質の電荷調節剤、及びタンパク質内包高分子ミセル複合体 | |
JP2010526041A (ja) | 活性成分を制御放出するための自己沈澱製剤 | |
JP2022122912A (ja) | タンパク質内包高分子ミセル | |
US20120269895A1 (en) | Dendritic pic micelles with bioactive proteins | |
WO2012142292A2 (en) | Biofunctionalized polymer microparticles for biotherapeutic delivery and processes for using and making the same | |
WO2014199982A9 (ja) | ポリカチオン性トリブロックコポリマーとポリアニオン性ポリマーと生理活性ペプチドを含む組成物 | |
CN115151278A (zh) | 用于核酸疗法的靶向肿瘤的多肽纳米颗粒递送系统 | |
WO2023136364A1 (ja) | サイトカイン内包高分子ミセル | |
KR101788610B1 (ko) | 의약용 단백질의 지속방출을 위한 약물전달체 및 이의 제조방법 | |
JP2010526040A (ja) | 高分子電解質および活性成分を基にした放出制御粒子および該粒子を含む製剤 | |
WO2018038155A1 (ja) | ミセル及びその使用 | |
Hu et al. | Polymeric nano-vesicles via intermolecular action to load and orally deliver insulin with enhanced hypoglycemic effect | |
EP2959886B1 (en) | Bioenvironment-sensitive nanoparticle comprising polymer having complementary charges | |
US20120156256A1 (en) | Nanoparticles having at least one active ingredient and at least two polyelectrolytes | |
JPWO2018025699A1 (ja) | アクティブターゲティング型高分子誘導体、その高分子誘導体を含む組成物、及びそれらの用途 | |
Zhang et al. | Preparation of an Ultrahigh-DAR PDL1 monoclonal antibody-polymeric-SN38 conjugate for precise colon cancer therapy | |
KR101327181B1 (ko) | 신장세포특이적인 펩타이드 및 폴리에스테르아민 중합체를 포함하는 유전자 전달체 및 이를 포함한 신장 섬유증 예방 또는 치료용 조성물. |