JP2023102002A - アナログ変調器及びアナログ変調器を用いたスイッチングアンプ - Google Patents
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Abstract
【課題】少数のアナログ素子のみで構成された簡単な構造により、動作の安定及び出力精度の向上を達成するアナログ変調器及びアナログ変調器を用いた低歪のサウンドを可能とするスイッチングアンプを提供することを目的とする。【解決手段】アナログ変調器1は、入力信号と積分信号とを比較するコンパレータ10と、負帰還ループ内の1次ローパスフィルタと、からなる。積分器11は、抵抗(Rf)111とキャパシタ(Cf)112とからなる1次LPFとする。コンパレータ10の非反転入力端子(+)には、入力信号が入力される。反転入力端子(-)には積分器11が接続される。コンパレータ10は、積分信号CをGND(グラウンド)ではなく入力信号Xと比較する。入力信号側には仮想グラウンド14(Virtual Ground、VG)が接続されている。VGは電源電圧とGNDの中間に設定し、これによりオーディオ入力の中心電位を規定する。【選択図】図3
Description
本発明は、主にオーディオに使用するアナログ変調器及びアナログ変調器を用いたスイッチングアンプに関する。
半導体の大規模集積回路(LSI)の進展により、コンパクトでしかも高音質という特徴から、デジタルアンプがそれまでのアナログ・リニアアンプに取って代わりつつある。デジタルアンプはD級アンプと総称される事もあるが、これは出力段の素子の動作点にもとづく呼称で、半導体の途中のリニア部分を使わず、飽和点のみを使用する(言い換えれば、スイッチング素子として使用する)ことを意味しており、これが高い電力効率を生み出している。モバイル機器ではこの高い効率が重視されることもデジタルアンプの普及に拍車をかけた。
デジタル・オーディオアンプの変調方式には大きく分けて、パルス幅変調(PWM=Pulse Width Modulation)と、デルタシグマ(Delta Sigma)変調との2種類がある。
PWM方式は入力シグナルを三角波と比較するコンパレータで構成されており、出力パルス幅はそれに応じて変化する(例えば、特許文献1)。この方式は本質的にフィードバック・コントロールを持っていないので、三角波発生器の精度と電源電圧の安定性などの影響を受けやすく、出力歪は大きくなりがちである。したがって多くのPWMアンプでは、アンプの直線性を改善するとともに電源電圧変動に強くするため、オーディオ周波数領域のネガティブ・フィードバックを別に備えている。
Delta Sigma方式は、フィードバック・ループ内に量子化器と積分器を持ち(非特許文献1)、外部クロックにより整形された入力に応じた密度(頻度)のビットストリームを生成する。量子化器(コンパレータ)が文字通り1ビットの分解能しか持たないため変換ノイズが重畳し、時間平均された出力の解像度の低下を招く。この変換ノイズの大部分を可聴域を超える周波数帯に押しやって(Noise Shapingと呼ぶ)、可聴域での出力の解像度を増すため、高いオーバーサンプリングレート(通常OSR =64)と数次(通常5次、最大で7次)の積分器を備える必要がある。これにより、回路は複雑となり、コストの上昇につながり、かつ、不安定となりやすいという問題があった。
また、出力トランジスタのインピーダンスに加え、その後のインダクタンスのインピーダンスが出力インピーダンスの増大を招き、ダンピング・ファクター(スピーカーのモーションを制動する能力)が劣る。また、スピーカーへの出力電圧がビットストリームの頻度と供給電圧の積に依存するので、電源電圧に変動があってもそれをフィードバックが感知するすべはなく、その安定性に特段の注意が必要である。
An Introduction to Delta Sigma Converters, https://www.beis.de/Elektronik/DeltaSigma/DeltaSigma.html (Jun 2008).
Analog Devices, Class-D Audio Power Amplifier AD1996.pdf (Jan 2005).
本発明では、新しい構成のアナログ変調器を提案するが、アナログ変調については、その原理自体はデジタル変調が考案される過程ですでに検討されている(非特許文献2)。そのブロック線図を図14に示す。
アナログ入力信号は、1ビットデジタル・アナログ・コンバーター(1-bit DAC)を介して出力からフィードバックされてきた信号と引き算された後、積分されてコンパレータに供給され、そこで比較される。コンパレータからの出力信号は入力信号の周波数の通常64倍の周波数の外部クロックでラッチされ規則正しく整形される結果、入力信号の周期で時間平均された出力が入力値に一致する。この変調器に、入力範囲のほぼ中央に一定の入力がある場合の各要素におけるビットストリームを表示すると図15のようになる。図中、1-Bit DACのパルス列に2箇所(図中矢印部)幅広な強いパルスが現れており、最終出力に無関係な可聴帯域の信号が残留するのが認められる。これが1次積分のアナログ・変調の大きな欠点である。これは、積分器を一個追加して2次の積分とすることで減じることができるが、アナログ積分をこれ以上増やすと、位相転移(phase turn)を惹起し不安定となる。
そこで、本発明では、上記課題を解決し、少数のアナログ素子のみで構成された簡単な構造により、動作の安定及び出力精度の向上を達成するアナログ変調器及びアナログ変調器を用いた低歪のサウンドを可能とするスイッチングアンプを提供することを目的とする。
この発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、入力信号と積分信号とを比較するコンパレータと、負帰還ループ内に配置された1次ローパスフィルタと、からなり、当該1次ローパスフィルタは抵抗とキャパシタとからなり、入力信号と前記コンパレータにより生成される出力パルスからの帰還信号との差を積分する積分器として作動することを特徴とするアナログ変調器、という技術的手段を用いる。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載のアナログ変調器において、入力信号側が仮想グラウンドに接続されている、という技術的手段を用いる。
請求項3に記載の発明では、請求項1または請求項2に記載のアナログ変調器において、前記コンパレータに隣接し、出力振幅を拡大するためのレベルシフト回路を備えた、という技術的手段を用いる。
請求項4に記載の発明では、スイッチングアンプが請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載のアナログ変調器を備えた、という技術的手段を用いる。
請求項5に記載の発明では、請求項4に記載のスイッチングアンプにおいて、請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載のアナログ変調器を1組備え、Bridge Tied Load接続して構成されたという技術的手段を用いる。
本発明のアナログ変調器によれば、少数のアナログ素子のみで構成された簡潔な構造により、動作の安定及び出力精度の向上を達成することができる。特に仮想グラウンドを備えたアナログ変調器は単一電源の使用を前提としているのでオーディオ用途に好適に用いることができる。また、本発明のスイッチングアンプは、オーディオアンプとして優れた応答性を有しており、低歪のサウンドを可能し、高品位のオーディオ出力が得られる。
以下、本発明の実施形態について、図を参照して説明する。
(変調器)
本発明のアナログ変調器の技術的思想は、以下のとおりである。
本発明のアナログ変調器の技術的思想は、以下のとおりである。
図14のブロック線図における外部クロックとラッチ(Latch)を取り除き、自励発振に委ねると、その周波数はコンパレータと積分器などの遅延(応答遅れ)によって決まる。外部クロックによる規制を逃れることにより、作動周波数つまりOSRを高く保つ(OSR>200)ことが容易となる。また、図中の1-bit DAC(デジタル-アナログ・コンバーター)は、事実上、レベルシフターであり、コンパレータを単一電源で駆動する場合、出力電圧のレベルと入力のレベルとを一致させることができる。
本発明のアナログ変調器の原理図を図1に、最も簡単な単純化した構成の回路図を図2に示す。アナログ変調器1は、コンパレータ10とネガティブ・フィードバック・ループ(負帰還ループ)内の1次LPF(ローパスフィルタ)のみから構成される簡易なアナログ・システムである。デジタル積分器を伝達関数H(s)=1/(1+τs) で表される1次LPFで置き換え、量子化素子をコンパレータで置き換えることにより簡略化された構成となっている。ここで、τ はLPFの時定数τ=Rf・Cfである。
図1において、11はアナログ回路による積分器であり、本発明では1次ローパスフィルタで代替しているため、かっこ内に1st-order LPFと記載してある。12は信号の合流点で、フィードバック信号Wとアナログ入力信号Xとの差を取ることを表している。13は出力信号のレベルを入力信号のレベルにシフトするためのレベルシフト回路である。
アナログ変調器1は、入力信号と積分信号とを比較するコンパレータ10と、負帰還ループ内の1次ローパスフィルタと、からなる。
積分器11は、抵抗(Rf)111とキャパシタ(Cf)112とからなる1次LPFとする。この機能は不完全積分であるが、受動素子であるので、出力パルスの急峻な変動にも追従することができる。
コンパレータ10の非反転入力端子(+)には、入力信号が入力される。反転入力端子(-)には積分器11が接続される。コンパレータ10は、積分信号CをGND(グラウンド)ではなく入力信号Xと比較する。
アナログ変調器1をオーディオ用に用い、コンパレータ10を単一電源で駆動するときには、図3に示すように、入力信号側に仮想グラウンド14(Virtual Ground、VG)を接続する構成を採用することができる。VGは電源電圧とGNDの中間に設定し、これによりオーディオ入力の中心電位を規定する。コンパレータ10の非反転入力端子(+)には、VGが付加された入力信号が入力される。これは図1のレベルシフト回路と等価である。
回路は弛緩発振器のように自励発振し、コンパレータ10の出力はほぼ+電源VCC
+ とグラウンドGNDの間で振動する。この0/1パルスと入力シグナルとの差は、RとCから構成されるLPFによって不完全積分されて、コンパレータ10の反転入力ピンに供給され、非反転入力ピンのオーディオ信号と比較される。フィードバック信号が入力を上回るとコンパレータ10は反転し、一定の応答遅れを経た後、マイナス方向に下がる。その逆の場合はプラス方向に上がる。したがって、アナログ変調器1は一連の可変幅パルス列を生成するのでPWMに属するが、フィードバックにより制御されるPWM変調器に相当する。
図4に示すように、コンパレータ10の出力側にレベルシフト回路13を挿入することにより、出力振幅をコンパレータ10のそれを超えて拡大することもできる。この構成によれば、エミッター共通回路が簡単に出力レベルを上げることができ、逆に、抵抗(Re)15を加えることにより、フィードバック信号はレベル・ダウンされる。結果として、ゲインANF=(Re+Rf)/Reを持つことになる。
ここで、図2の回路からの出力波形をシミュレーションした結果を図5に示す。コンパレータ10からの出力(矩形波)及び不完全積分結果(三角波)を示す。経過時間tを無次元時間X=(t/τ)に変換し、出力パルスのピーク高さVp
+及び Vp
-は無次元スケールで+/-0.5に正規化している。ここで、τはLPFの時定数(τ=Rf・Cf)である。シミュレーションは、入力値Vi=0.1及び無次元システム遅延xD=(tD/τ)=1/100に対して行ったものである。ここに、tD はシステム遅延である。上向き(ハイサイド)パルスは下向き(ローサイド)より幅広となっており、そのデューティ・サイクルは60%である。
このように、アナログ変調器1は原理図上ではデルタシグマ変調に準拠しているように見えるが、実際は、言わば「フィードバックにより制御されたPWM」として動作している。積分波形は通常のPWM方式における三角波のようにアップダウンするが、これは機械的に発生させるのではなく、フィードバックの結果そのように振る舞っているのであって、その中心は入力値である。したがって、出力パルスの各サイクル内で時間平均値が常に入力値に一致して完結しており、このサイクルがOSRの回数だけ連続しているため出力の精度が高い。
出力パルスの時間積分値をフィードバックして常に入力値と比較してコントロールするということは、電圧-時間ダイアグラム上で、入力ラインより上あるいは下の各パルスの"面積"が等しくなるようにフィードバックにより厳密にコントロールされるということであり、その結果、時間平均された出力が完全に入力に一致する。これが、積分を用いるアナログ・デルタシグマ変調器がオーディオ信号を精度よく再現でき、高品位のアナログ・スイッチングアンプを構築できる理由である。
しかも、途中でなんらかの外乱が加わっても、後続の半サイクルで直ちにフィードバックがパルス幅を修正するので、電源電圧の変動などの外乱に耐性を持つ。また、同じパターンのパルス列が繰り返されるだけなので、図15のような、無関係なシグナルの残留は生じない。
図6に、図5の波形の1サイクルを切り取ったものを示し、「入力ラインより上あるいは下の各パルスの面積が等しくなるようにフィードバックにより厳密にコントロールされる」ことについて詳説する。図中、縦軸の値Vを便宜上入力値Viを基準として変換することにし、V=(V-Vi)と小文字で表示することにする。したがって、ハイサイドとローサイドのパルス高さはそれぞれvp
+=Vp
+-Vi、vp
-=Vp
--Viで表される。
完全積分を考えることにする。点 [A] から出発したパルス波は点 [B] までvp
-のまま進んだ後、そこで反転し、応答遅れxD経過後に点 [D] で最大値vp
+に達する。ここで、無次元システム遅延xD期間のローサイドパルス [A-B] について積分した値をvL(負の値)と表すと、それは、続くハイサイドの期間 [D-F] の積分値で打ち消されなければならない。なぜなら、区間 [A-F] にわたる積分値はゼロであるからである。
図中、矩形 [A-B] の面積が対応するハイサイドの [D-F] の面積に等しくなる。同様に、もう一方の矩形 [F-G] の面積が [I-K] に等しくなるわけである。したがって、全体で言えば、入力ライン下のローサイドパルスの面積(vL-vH)が、その直前の入力ライン上のハイサイドパルスの面積(vH-vL)を打ち消すことになる。逆もまた真であることは言うまでもない。以上のことから、両パルスの時間平均を取れば、厳密に入力値に等しくなる(V=Viまたはv=0)。これが、完全積分を用いたデルタシグマ変調器が入力と同一の信号を出力できる仕組みである。
積分器が両サイドのパルス強度をもれなく積分している限り、パルス波形、vp
+(x)及び vp
-(x)は必ずしも矩形をしている必要はなく、任意の形状でもかまわない。このように、本変調法は出力パルスのいかなる変動要因に対しても高い耐性を有することを示唆している。ここで、積分をLPFによる不完全積分で置き換えたことによる変調誤差(相対値)は通常1/100以下と極めて小さく、オーディオ波形の歪には基本的に影響を与えない。
積分器を簡単な構造の1次LPF(ローパスフィルタ)で代用する。これは抵抗RとキャパシタCだけからなり、その機能は不完全積分と呼ばれるが、OPアンプなどのような能動素子と違って受動素子であるので、出力パルスの急峻な変動にも追従できる利点がある。ここで、代替したLPFによる変調誤差(相対値)は入力によらず一定であり、システム遅延とLPFの時定数との比が1/100以下というように1と比べて十分に小さい場合にはシステム遅延とLPFの時定数との比のみに依存する。
アナログ変調器1はデジタル素子を一切含まず、少数のアナログ素子のみで構成されているが、アナログ変調と同程度の高い精度のオーディオ出力を得ることができる。また、デジタル・デルタシグマ変調と異なりフィードバックがより直接的に働くため、電源電圧変動に強く、より大きなダンピング・ファクターも得られる。出力パルスの各サイクル内で時間平均値が常に入力値に一致して完結しており、このサイクルがOSRの回数だけ連続しているため出力の精度が高い。しかも、途中でなんらかの外乱が加わっても、次の半サイクルで直ちにフィードバックがパルス幅を修正するので、電源電圧の変動などの外乱に耐性を持つ。また、外部クロックとラッチによってパルス波形を等間隔に規制せず、同じパターンのパルス列が繰り返されるだけなので、無関係な可聴シグナルの残留は生じない。
(スイッチングアンプ)
図7にオーディオ用のスイッチングアンプ2のブロック線図を示す。通常の2チャンネル・ステレオとするにはこれらの回路が2組必要である。
図7にオーディオ用のスイッチングアンプ2のブロック線図を示す。通常の2チャンネル・ステレオとするにはこれらの回路が2組必要である。
スイッチングアンプ2は、スピーカ3に接続される2つのアナログ変調器1A、1Bと、それらに接続されるバターワース・フィルタ(Butterworth Filter)17及び反転・非反転コンバータ18を備え、BTL(Bridge-Tied Load)接続され、スピーカ3を駆動している。これにより単一電源で駆動が可能である。
アナログ変調器1A、1Bはそれぞれパワー・ドライバー16を備えている。パワー・ドライバー16は、出力段とそれを駆動する回路を総称したものであり、出力段は、パワートランジスタ・ペアのコンプリメンタリ・エミッター・フォロワ(Complementary Emitter Follower、CEF)回路か、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)ペアによるコンプリメンタリ共通ソース(Complementary Common Source)回路等が用いられることが多い。バターワース・フィルタ17は、インダクタとキャパシタとで成り立ち、LPF(ローパスフィルタ)の一種である。これにより、高周波であるパルス列から時間平均された低周波成分(オーディオ信号)を抽出する。
仮想グラウンド14は、反転・非反転コンバータ18に接続されている。入力されたオーディオ信号は、反転・非反転コンバータ18を介して、アナログ変調器1Aには位相が反転した反転信号が、アナログ変調器1Bには位相が反転していない非反転信号がそれぞれ入力される。
コンパレータ10とパワー・ドライバー16(出力段)は、ある応答遅れを有しており、一定の周波数で自励発振を行う。したがって、水晶発振器によるクロックを必要としない。スイッチングアンプ2は原則としてユニティ・ゲインのパワーアンプに過ぎないので、反転・非反転信号を同時に供給するための反転・非反転コンバータ18は一定の電圧ゲインを持つ方がよい。
基準電位として、電源電圧VCC
+とGNDの中間の仮想グラウンド14によりオーディオ信号を規定する。これにより、オーディオ信号はこのVGに対して入力されることになる。時間平均された出力、即ち、オーディオ出力は通常、バターワース・フィルタ(Butterworth Filter)と呼ばれるローパスフィルタを介して取り出される。一般に負荷へはVG基準で出力されるため、もう一台のアンプをBTL(Bridge-Tied Load)接続する必要がある。このBTL接続は D級アンプでは普通に見られる出力方式で、これは単一電源を可能とするばかりでなく、出力電圧を倍加することができる。
スイッチングアンプは上記のような構成により、低いTHD(Total Harmonic Distortion)を示し、低歪の高品位のサウンドを生み出すことができる。
[実施形態の効果]
本発明のアナログ変調器1によれば、少数のアナログ素子のみで構成された簡潔な構造により、動作の安定及び出力精度の向上を達成することができる。特に仮想グラウンド14を備えたアナログ変調器1は単一電源の使用を前提としたオーディオ用途に好適に用いることができる。また、本発明のスイッチングアンプ2は、オーディオアンプとして優れた応答性を有しており、低歪のサウンドを可能し、高品位のオーディオ出力が得られる。
本発明のアナログ変調器1によれば、少数のアナログ素子のみで構成された簡潔な構造により、動作の安定及び出力精度の向上を達成することができる。特に仮想グラウンド14を備えたアナログ変調器1は単一電源の使用を前提としたオーディオ用途に好適に用いることができる。また、本発明のスイッチングアンプ2は、オーディオアンプとして優れた応答性を有しており、低歪のサウンドを可能し、高品位のオーディオ出力が得られる。
(スイッチングアンプの周波数応答特性)
本発明のアナログ変調器を利用しBTL(Bridge Tied Load)接続してMAX913を用いた、図8に示すような10MHz弱で稼働するスイッチングアンプを作製した。これは、+5Vの単一電源で作動し、TTL/CMOSロジック用のコンプリメンタリ信号を出力する。図では、もう一方の非反転信号のための同一のアンプは省略されている。また、迅速なエミッター共通回路が出力の振幅を増大するためレベルシフトするために用いられている。フィードバック信号の方は抵抗分割(Re/Rf)によりシフト・ダウンしなければならない。この高速スイッチングアンプは一定の電圧ゲインANF=(Re+Rf)/Re を有することになる。本回路の総合ゲインは、コンバーターとアンプのゲインを合わせて約20dBとなった。レベルシフタQ1からの出力信号は単純に2段CEFによって増強されている。アイドル電流は2チャンネル基板で0.16Aにすぎなかった。
本発明のアナログ変調器を利用しBTL(Bridge Tied Load)接続してMAX913を用いた、図8に示すような10MHz弱で稼働するスイッチングアンプを作製した。これは、+5Vの単一電源で作動し、TTL/CMOSロジック用のコンプリメンタリ信号を出力する。図では、もう一方の非反転信号のための同一のアンプは省略されている。また、迅速なエミッター共通回路が出力の振幅を増大するためレベルシフトするために用いられている。フィードバック信号の方は抵抗分割(Re/Rf)によりシフト・ダウンしなければならない。この高速スイッチングアンプは一定の電圧ゲインANF=(Re+Rf)/Re を有することになる。本回路の総合ゲインは、コンバーターとアンプのゲインを合わせて約20dBとなった。レベルシフタQ1からの出力信号は単純に2段CEFによって増強されている。アイドル電流は2チャンネル基板で0.16Aにすぎなかった。
図9に正弦波信号に対する周波数応答を示す。周波数1kHzにおいて8.2Ω抵抗負荷に1Wの出力を与えた時の電圧ゲインを0dBとした。DC~100kHzにおいて>-1dBが得られたが、DCから40kHzまでの実用領域ではゲインはほぼ0dBを保っている。
このような広いパワー帯域幅は図10に示す優れた10kHz矩形波応答に呼応している。矩形波の立ち上がり及び立ち下がりの両方でシャープなエッジを示しており、オーバーシュート・アンダーシュートも認められず、良好な応答性を示している。
(スイッチングアンプの歪特性)
図11に高調波歪(THDとTHD+N)の対オーディオ周波数を示す。グラフでは、1W出力におけるTHDは大半の周波数領域で0.01%近辺に止まっている。高周波領域でも歪が上昇しないのは、図10の優れた矩形波応答を説明している。
図11に高調波歪(THDとTHD+N)の対オーディオ周波数を示す。グラフでは、1W出力におけるTHDは大半の周波数領域で0.01%近辺に止まっている。高周波領域でも歪が上昇しないのは、図10の優れた矩形波応答を説明している。
図12にTHDとTHD+Nの対出力の変化を示す。約0.01Wから1Wの小出力域においてTHDは0.01%を優に下回っており、本機の低い歪特性が示されている。これらの歪特性は従来のアナログ・デルタシグマ・オーディオアンプのものと遜色がないと言える。
アナログ変調器を用いた各種スイッチングアンプを試作した。図13に示すように、高速(10kHz近辺)で作動する試作機は、10kHz、1W出力においてすぐれた矩形波応答を示すとともに、約0.01Wから1Wの出力域において0.01%を下回るTHD(Total Harmonic Distortion、全高調波歪)を示した。このような良好なオーディオ特性はアナログ変調器を利用するスイッチングアンプが実用に価することが確認された。
1(1A、1B)…アナログ変調器
10…コンパレータ
11…積分器
111…抵抗
112…キャパシタ
13…レベルシフト回路
14…仮想グラウンド
15…抵抗
16…パワー・ドライバー
17…バターワース・フィルタ
18…反転・非反転コンバータ
2…スイッチングアンプ
3…スピーカ
10…コンパレータ
11…積分器
111…抵抗
112…キャパシタ
13…レベルシフト回路
14…仮想グラウンド
15…抵抗
16…パワー・ドライバー
17…バターワース・フィルタ
18…反転・非反転コンバータ
2…スイッチングアンプ
3…スピーカ
Claims (5)
- 入力信号と積分信号とを比較するコンパレータと、負帰還ループ内に配置された1次ローパスフィルタと、からなり、
当該1次ローパスフィルタは抵抗とキャパシタとからなり、入力信号と前記コンパレータにより生成される出力パルスからの帰還信号との差を積分する積分器として作動することを特徴とするアナログ変調器。 - 入力信号側が仮想グラウンドに接続されていることを特徴とする請求項1に記載のアナログ変調器。
- 出力振幅を拡大するためのレベルシフト回路を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアナログ変調器。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載のアナログ変調器を備えたスイッチングアンプ。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載のアナログ変調器を1組備え、Bridge Tied Load接続して構成されたことを特徴とする請求項4に記載のスイッチングアンプ。
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JP (1) | JP2023102002A (ja) |
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2022
- 2022-01-11 JP JP2022002282A patent/JP2023102002A/ja active Pending
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