JP2023101350A - 太陽電池 - Google Patents

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太佑 松井
Tasuke Matsui
透 中村
Toru Nakamura
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【課題】耐久性を向上させた太陽電池を提供する。【解決手段】本開示の太陽電池は、支持部材10と、光電変換素子20と、酸素濃度調整材50と、封止部材30と、を備え、光電変換素子20および酸素濃度調整材50は、支持部材10および封止部材20によって封止され、光電変換素子20は、ペロブスカイト化合物を含む。光電変換素子20は、例えば、第1電極、光電変換層、および第2電極、をこの順に備えていてもよく、第1電極、光電変換層、正孔輸送層、および第2電極、をこの順に備えていてもよい。【選択図】図1

Description

本開示は、太陽電池に関する。
近年、組成式ABX3(Aは1価のカチオン、Bは2価のカチオン、Xはハロゲンアニ
オン)により示されるペロブスカイト型結晶、および、その類似の構造体(以下、「ペロブスカイト化合物」という)を光電変換材料として用いた、ペロブスカイト太陽電池の研究開発が進められている。ペロブスカイト太陽電池の光電変換効率、および耐久性を向上するために、様々な取り組みが行われている。
非特許文献1では、光照射下において、ペロブスカイト化合物内のカチオンは酸素と反応し、ペロブスカイト化合物の表面および粒界に金属酸化物または水酸化物が形成されることが報告されている。
特許文献1は、外装構造体で太陽電池素子が密封されたCdS/CdTeもしくはCdS/CuInSe2系太陽電池モジュールにおいて、外装構造体に設けられた孔に酸素透
過材が付与された構成を開示している。
特開平2-170475号公報
Q.Sun、他8名、Advanced Energy Materials、2017年7月、第7巻、p.1700977.
本開示の目的は、耐久性を向上させた太陽電池を提供することにある。
本開示の太陽電池は、
支持部材と、
光電変換素子と、
酸素濃度調整材と、
封止部材と、
を備え、
前記光電変換素子および前記酸素濃度調整材は、前記支持部材および前記封止部材によって封止され、
前記光電変換素子は、ペロブスカイト化合物を含む。
本開示は、耐久性を向上させた太陽電池を提供する。
図1は、第1実施形態の太陽電池の第1構成例を模式的に示す断面図である。 図2は、第1実施形態の太陽電池の第2構成例を模式的に示す断面図である。 図3は、第1実施形態の太陽電池の第3構成例を模式的に示す断面図である。 図4は、第1実施形態の太陽電池の第4構成例を模式的に示す断面図である。 図5は、第1実施形態の太陽電池の第5構成例を模式的に示す断面図である。 図6は、第1実施形態の太陽電池の第6構成例を模式的に示す断面図である。 図7は、本開示の実施形態による太陽電池における光電変換素子20の一例を模式的に示す断面図である。 図8は、第2実施形態の太陽電池を模式的に示す断面図である。
<本開示の基礎となった知見>
非特許文献1に報告されているように、鉛を含むペロブスカイト化合物は、光照射下において酸素と反応し、ペロブスカイト化合物の表面および粒界に酸化鉛(PbO)または水酸化鉛(Pb(OH)2)が形成される。酸化鉛および水酸化鉛は高い絶縁性を有する
ため、ペロブスカイト化合物の表面または粒界に酸化鉛または水酸化鉛が形成されると、光生成キャリアの移動が阻害される。その結果、ペロブスカイト太陽電池の特性が低下するという課題があった。
したがって、一般的には、ペロブスカイト太陽電池は、周囲に酸素の極力少ない(例えば、酸素濃度が体積分率で0.1ppm以下)、窒素雰囲気下で使用される。
本明細書において、水蒸気濃度および酸素濃度は、体積分率の濃度を意味する。
非特許文献1において、ペロブスカイト太陽電池の光照射試験後の規格化された光電変換効率は、太陽電池周囲の酸素濃度が0%の場合を基準として、酸素濃度が1%から20%まで増加するにつれて、単調に減少することが開示されている。
一方、本発明者らは、酸素濃度の閾値(すなわち耐久性への影響が顕著となる値)を詳細に調査した結果、酸素濃度が0%以上かつ1%以下の範囲に、ペロブスカイト太陽電池の耐久性に最適な範囲が存在することを見出した。具体的には、封止空間内の水蒸気濃度を0.1ppm以下に維持した状態で、封止空間内の酸素濃度が10ppm以上かつ3000ppm以下の範囲において、光照射試験後の光電変換効率は最大値をとる。また、封止空間内の酸素濃度が100ppm以上かつ3000ppm以下の範囲で、耐熱試験後の光電変換効率が最大となることを見出した。したがって、ペロブスカイト太陽電池の光安定性および熱安定性は、封止空間内の酸素濃度が100ppm以上かつ3000ppm以下の範囲にある場合に両立できる。
特許文献1は、CdS/CdTeもしくはCdS/CuInSe2系太陽電池モジュー
ルを開示している。CdS/CdTeもしくはCdS/CuInSe2太陽電池は、太陽
電池素子の周囲の酸素濃度が低い場合に、光電変換効率が急激に低下することが知られている。例えば、特許文献1において、酸素濃度が10%以下、5%以下、もしくは1%以下で急激に効率が低下することが開示されている。したがって、特許文献1に開示された封止構造は、CdS/CdTeもしくはCdTe/CuInSe2太陽電池について、封
止空間内の酸素濃度を1%以上、5%以上、もしくは10%以上の高濃度に維持するための構造である。特許文献1には、高い酸素濃度を維持するための封止構造として、外装構造体の一部に酸素導入孔が設けられており、その孔に、酸素透過材として有機ポリマー、
撥水性有機多孔質材、あるいは多孔質無機材料に有機物を充填したものなどが付与された構造が開示されている。さらに、孔を塞ぐためにシート状のシリコン樹脂および高密度ポリエチレンシートなどが接着剤で付与された構造が開示されている。特許文献1の外装構造体とは、特許文献1の図1を参照せよ。
しかし、特許文献1の封止構造は、孔から封止空間内へ酸素を含む外気を積極的に取り込む構造である。このため、特許文献1の封止構造をペロブスカイト太陽電池の封止構造として用いた場合は、封止空間内の酸素濃度がペロブスカイト太陽電池の耐久性に最適な範囲よりも高くなる。したがって、ペロブスカイト太陽電池の耐久性が低下するという問題が生じる。
これら先行技術に鑑み、本発明者らは、光電変換素子に接する領域の酸素濃度を低濃度に調整するための太陽電池の構造を見出した。具体的には、封止部材により光電変換素子が外気から遮断されており、封止空間内に酸素濃度調整材を備える。本構造により、実動作期間内において、光電変換素子に接する領域の酸素濃度が最適(例えば、10ppm以上かつ3000ppm以下、または100ppm以上かつ3000ppm以下)になるように制御され、太陽電池の耐久性が向上する。
以下、本開示の太陽電池について、図面を参照しながら説明する。図面において、光電変換素子からの配線、モジュールを支持するフレーム、および端子ボックスは省略されている。
(第1実施形態)
以下、第1実施形態の太陽電池について説明する。
本開示の第1実施形態による太陽電池は、支持部材と、光電変換素子と、酸素濃度調整材と、封止部材と、を備える。光電変換素子および酸素濃度調整材は、支持部材および封止部材によって封止される。光電変換素子は、ペロブスカイト化合物を含む。
第1実施形態の太陽電池は、封止部材を有するため、外気が封止空間に侵入しない。また、酸素濃度調整材の働きにより、光電変換素子に接する領域の酸素濃度をペロブスカイト太陽電池に適した低濃度の範囲にできる。その結果、ペロブスカイト化合物と酸素との反応生成物およびペロブスカイト化合物の分解生成物が適度な量となり、キャリアの移動を阻害しない。また、これらの適度な量の反応生成物および分解生成物はペロブスカイト化合物の表面または粒界に長期的に安定して存在でき、光電変換材料の欠陥を十分に終端できる。したがって、光電変換材料の欠陥により誘起される光劣化および熱劣化現象が抑制され、太陽電池の耐久性を向上させることができる。
光電変換素子に接する領域の酸素濃度は、10ppm以上かつ3000ppm以下であってもよい。これにより、光電変換材料の欠陥により誘起される光劣化現象が抑制され、太陽電池の耐久性を向上させることができる。光電変換素子に接する領域の酸素濃度は、100ppm以上かつ3000ppm以下であってもよい。光電変換材料の欠陥により誘起される光劣化および熱劣化現象が抑制され、太陽電池の耐久性をより向上させることができる。
以下、第1実施形態の太陽電池について、第1から第6構成例を用いて、より具体的に説明する。なお、第1実施形態の太陽電池は、以下の第1から第6構成例の太陽電池に限定されない。
図1は、第1実施形態の太陽電池の第1構成例を模式的に示す断面図である。
太陽電池100は、支持部材10と、光電変換素子20と、封止部材30と、酸素濃度調整材50と、を備える。図1に示されるように、支持部材10および封止部材30によって囲まれて、封止空間40が形成されていてもよい。光電変換素子20および酸素濃度調整材50は、封止空間40内に配置されている。光電変換素子20は、支持部材10に支持されている。なお、封止空間40内において酸素濃度調整材50を支持する手段は、特には限定されない。例えば、封止空間40内に、図1には示されていない充填材が充填されており、その充填材内に酸素濃度調整材50が埋め込まれることによって酸素濃度調整材50が封止空間40内に支持されていてもよい。なお、充填材として使用可能な材料については、後述する。また、支持部材10または封止部材30の封止空間40に面する壁面に、図1には示されていない何らかの固定部材を用いて酸素濃度調整材50が固定されていてもよい。
光電変換素子20および酸素濃度調整材50は、支持部材10および封止部材30によって封止されている。
光電変換素子20は、ペロブスカイト化合物を含む。
光電変換素子20は、支持部材10に接していてもよい。
図1に示されるように、酸素濃度調整材50は、光電変換素子20に接していなくてもよい。
図2は、第1実施形態の太陽電池の第2構成例を模式的に示す断面図である。
太陽電池110は、支持部材10と、光電変換素子20と、封止部材30と、酸素濃度調整材50と、を備える。図2に示されるように、支持部材10および封止部材30によって囲まれて、封止空間40が形成されていてもよい。光電変換素子20は、支持部材10に支持されている。光電変換素子20および酸素濃度調整材50は、封止空間40内に配置されている。酸素濃度調整材50は、封止部材30の封止空間40に面する面の一部を被覆している。
図2に示されるように、酸素濃度調整材50は、封止部材30の支持部材10に対向する面に接していてもよい。酸素濃度調整材50は、例えば、封止部材30の内壁に固定されていてもよい。酸素濃度調整材50は、光電変換素子20と空間を挟んで対向するように、封止部材30に接していてもよい。
酸素濃度調整材50は、太陽電池の製造において、封止部材30に塗布することによって形成されてもよいし、封止部材30の内壁の一部の改質によって形成されてもよい。封止部材30の内壁の改質とは、例えば、熱処理と化学処理との組み合わせによる封止部材30の表面の多孔質化などが挙げられる。このような多孔質化は、封止部材30が例えばガラス等によって形成されている場合に行われ得る。
図3は、第1実施形態の太陽電池の第3構成例を模式的に示す断面図である。
太陽電池120は、支持部材10と、光電変換素子20と、封止部材30と、酸素濃度調整材50と、を備える。図3に示されるように、支持部材10および封止部材30によって囲まれて、封止空間40が形成されていてもよい。光電変換素子20は、支持部材10に支持されている。光電変換素子20および酸素濃度調整材50は、封止空間40内に配置されている。酸素濃度調整材50は、封止部材30の封止空間40に面する全面を被
覆している。
図3に示されるように、酸素濃度調整材50は、封止部材30の内壁を被覆していてもよい。
酸素濃度調整材50は、光電変換素子20の表面の少なくとも一部を被覆していてもよい。酸素濃度調整材50が光電変換素子20の表面の少なくとも一部を被覆することで、封止空間40および光電変換素子20の間の酸素の移動を遅延させることができる。
図1から図3に示される太陽電池においては、酸素濃度調整材50は光電変換素子20に接していないが、酸素濃度調整材50は、光電変換素子20に接していてもよい。
酸素濃度調整材50が光電変換素子20と接することで、封止空間40および光電変換素子20の間の酸素の移動を遅延させることができる。
図4は、第1実施形態の太陽電池の第4構成例を模式的に示す断面図である。
太陽電池130は、支持部材10と、光電変換素子20と、封止部材30と、酸素濃度調整材50と、を備える。図4に示されるように、支持部材10および封止部材30によって囲まれて、封止空間40が形成されていてもよい。光電変換素子20は、支持部材10に支持されている。光電変換素子20および酸素濃度調整材50は、封止空間40内に配置されている。酸素濃度調整材50は、光電変換素子20の支持部材10に接する面を除く面を被覆している。
図4に示されるように、酸素濃度調整材50は、支持部材10上に配置された光電変換素子20の全体を被覆していてもよい。すなわち、光電変換素子20は、1つの主面が支持部材10に接し、他の主面および側面が、酸素濃度調整材50に被覆されていてもよい。これにより、光電変換素子20は封止空間40と接しない。
酸素濃度調整材50は、太陽電池の製造において、光電変換素子20上に塗布することによって形成されてもよい。
光電変換素子20は、1つの主面が支持部材10に接し、他の主面および側面の少なくとも一部が、酸素濃度調整材50に被覆されていてもよい。
図5は、第1実施形態の太陽電池の第5構成例を模式的に示す断面図である。
酸素濃度調整材50は、光電変換素子20の表面の少なくとも一部を被覆していてもよい。光電変換素子20の少なくとも一部は封止空間40と接していてもよい。図5に示される太陽電池140においては、光電変換素子20は、1つの主面が支持部材10に接し、他の主面および一方の側面が、酸素濃度調整材50に被覆されており、光電変換素子20の他方の側面は、封止空間40と接している。
酸素濃度調整材50が光電変換素子20の表面の少なくとも一部を被覆する場合、酸素濃度調整材50の厚みは、0.1μm以上かつ10000μm以下であってもよい。なお、この場合の酸素濃度調整材50の厚みとは、酸素濃度調整材50の表面から光電変換素子20に接する面までの距離の最小値である。
酸素濃度調整材50が光電変換素子20の表面の少なくとも一部を被覆する場合、光電変換素子20の体積に対する酸素濃度調整材50の体積の割合は、10%以上かつ200
00%以下であってもよく、20%以上かつ10000%以下であってもよい。酸素濃度調整材50が光電変換素子20の表面を被覆しない場合、光電変換素子20の体積に対する酸素濃度調整材50の体積の割合は、10%以上かつ1000000%以下であってもよく、20%以上かつ500000%以下であってもよい。
封止部材30は、異なる2以上の部材からなっていてもよい。図6は、第1実施形態の太陽電池の第6構成例を模式的に示す断面図である。図6に示される太陽電池150は、封止部材30が封止部材の第1部分30aおよび封止部材の第2部分30bからなる点が太陽電池100と異なっている。封止部材30は、第1部分30aおよび第2部分30bを含んでもよい。
第1部分30aおよび第2部分30bは、互いに異なる特性を有していてもよく、互いに異なる組成を有する材料を含んでいてもよい。例えば、第2部分30bは、第1部分30aと支持部材10とを接着する接着剤のような機能を有していてもよい。
第1部分30aは、例えば、支持部材10と間隔を空けて対向するように配置される。第1部分30aは、板状部材であってもよい。
第2部分30bは、例えば、支持部材10と、支持部材10と間隔を空けて対向するように配置される第1部分30aとの間に配置される。
第2部分30bの上端および下端の一方は、支持部材10の周縁部と接し、他方は、第1部分30aの周縁部と接していてもよい。図6に示されるように、第2部分30bは、光電変換素子20および酸素濃度調整材50を囲むように、枠状に設けられ、第1部分30aは、第2部分30bを介して支持部材10と対向するように設けられていてもよい。これにより、支持部材10、第1部分30a、および第2部分30bに囲まれている封止空間40を形成し、光電変換素子20および酸素濃度調整材50を封止することができる。
以下、本開示の太陽電池の各構成要素について、具体的に説明する。
(支持部材10)
支持部材10は、光電変換素子20を支持する役割を果たす。
支持部材10は、透明な材料から形成することができる。支持部材10としては、例えば、ガラス基板またはプラスチック基板を用いることができる。プラスチック基板は、例えば、プラスチックフィルムであってもよい。また、光電変換素子20を構成する第2電極27が透光性を有している場合には、支持部材10の材料は、透光性を有さない材料であってもよい。例えば、支持部材10の材料として、金属、セラミックスまたは透光性の小さい樹脂材料を用いることができる。
(光電変換素子20)
光電変換素子20は、ペロブスカイト化合物を含む。光電変換素子20は、第1電極、光電変換層、および第2電極、をこの順で備えてもよい。光電変換層は、ペロブスカイト化合物を含む。
光電変換素子20は、第1電極と光電変換層との間にさらに電子輸送層を備えていてもよいし、また、光電変換層と第2電極との間にさらに正孔輸送層を備えてもよい。光電変換素子20は、第1電極、電子輸送層、光電変換層、正孔輸送層、および第2電極、をこの順で備えていてもよい。電子輸送層と光電変換層との間に多孔質層をさらに備えてもよ
い。
図7は、本開示の実施形態による太陽電池における光電変換素子20の一例を模式的に示す断面図である。
光電変換素子20は、例えば、基板21、第1電極22、電子輸送層23、多孔質層24、光電変換層25、正孔輸送層26、および第2電極27、をこの順で備える。
光電変換素子20に光が照射されると、光電変換層25が光を吸収し、励起された電子と正孔とを発生させる。この励起された電子は、電子輸送層23を通り第1電極22に移動する。一方、光電変換層25で生じた正孔は、正孔輸送層26を介して第2電極27に移動する。これにより、光電変換素子20は、負極としての第1電極22と、正極としての第2電極27とから、電流を取り出すことができる。
光電変換素子20は、例えば、以下の方法によって作製することができる。
まず、基板21の表面に第1電極22を、化学気相蒸着法またはスパッタ法などにより形成する。次に、電子輸送層23を、化学気相蒸着法、スパッタ法、または溶液塗布法などにより形成する。次に、多孔質層24を、塗布法などにより形成する。次に、光電変換層25を形成する。光電変換層25は、例えば、溶液による塗布法、印刷法、または蒸着法などにより形成されてもよい。また、例えば、ペロブスカイト化合物を所定の厚さに切り出したものを光電変換層25として、多孔質層24上に配置してもよい。次に、光電変換層25の上に、正孔輸送層26を、化学気相蒸着法、スパッタ法、または溶液塗布法などにより形成する。次に、正孔輸送層26の上に、化学気相蒸着法、スパッタ法、または溶液塗布法などにより第2電極27を形成する。以上により、光電変換素子20が得られる。
以下、光電変換素子20の各構成要素について、具体的に説明する。
(基板21)
基板21は、付随的な構成要素である。
基板21は、光電変換素子20の各層を保持する役割を果たす。
基板21は、透明な材料から形成することができる。基板21としては、例えば、ガラス基板またはプラスチック基板を用いることができる。プラスチック基板は、例えば、プラスチックフィルムであってもよい。また、第2電極27が透光性を有している場合には、基板21の材料は、透光性を有さない材料であってもよい。例えば、基板21の材料として、金属、セラミックス、または透光性の小さい樹脂材料を用いることができる。
第1電極22が十分な強度を有している場合、第1電極22によって各層を保持することができるので、基板21を設けなくてもよい。この場合、光電変換素子20を封止しやすくするために、第1電極22は他の層よりもサイズを大きくしてもよい。
本開示の実施形態による太陽電池において、支持部材10上に光電変換素子20を配置する場合、基板21を設けなくてもよい。すなわち、支持部材10が基板21として機能してもよい。
(第1電極22)
第1電極22は、導電性を有する。
光電変換素子20が電子輸送層23を備えない場合、第1電極22は、光電変換層25とオーミック接触を形成しない材料から構成される。さらに、第1電極22は、光電変換層25からの正孔に対するブロック性を有する。光電変換層25からの正孔に対するブロック性とは、光電変換層25で発生した電子のみを通過させ、正孔を通過させない性質のことである。このような性質を有する材料とは、光電変換層25の価電子帯上端のエネルギーよりも、フェルミエネルギーが高い材料である。上記の材料は、光電変換層25よりも、フェルミエネルギーが高い材料であってもよい。具体的な材料としては、アルミニウムが挙げられる。
光電変換素子20が、第1電極22および光電変換層25の間に電子輸送層23を備える場合、第1電極22は、光電変換層25からの正孔に対するブロック性を有していなくてもよい。すなわち、第1電極22の材料は、光電変換層25との間でオーミック接触を形成する材料であってもよい。
第1電極22は、透光性を有する。例えば、可視領域から近赤外領域の光を透過する。第1電極22は、例えば、透明であり導電性を有する材料から構成される。第1電極22は、例えば、金属酸化物および/または金属窒化物を用いて形成することができる。このような材料としては、例えば、リチウム、マグネシウム、ニオブ、およびフッ素からなる群より選択される少なくとも1種がドープされた酸化チタン、錫およびシリコンからなる群より選択される少なくとも1種がドープされた酸化ガリウム、シリコンおよび酸素からなる群より選択される少なくとも1種がドープされた窒化ガリウム、アンチモンおよびフッ素からなる群より選択される少なくとも1種がドープされた酸化錫、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、およびインジウムからなる群より選択される少なくとも1種がドープされた酸化亜鉛、インジウム-錫複合酸化物、または、これらの複合物が挙げられる。
第1電極22は、透明でない材料を用いて、光が透過するパターンを設けて形成されてもよい。光が透過するパターンとしては、例えば、線状、波線状、格子状、または多数の微細な貫通孔が規則的若しくは不規則に配列されたパンチングメタル状のパターンが挙げられる。第1電極22がこれらのパターンを有すると、電極材料が存在しない部分を光が透過することができる。透明でない電極材料としては、例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム、チタン、鉄、ニッケル、スズ、亜鉛、または、これらのいずれかを含む合金を挙げることができる。また、導電性を有する炭素材料を用いることもできる。
第1電極22の光の透過率は、例えば50%以上であってもよく、80%以上であってもよい。透過すべき光の波長は、光電変換層25の吸収波長に依存する。
第1電極22の厚みは、1nm以上かつ1000nm以下であってもよい。
(電子輸送層23)
電子輸送層23は、例えば、光電変換層25および第1電極22の間に配置される。電子輸送層23を備えることにより、光電変換層25で生じた電子を第1電極22に効率よく移動させることができる。その結果、電流を効率よく取り出すことができるため、光電変換素子20の光電変換効率を向上させることができる。
電子輸送層23は、例えば、光電変換層25および第1電極22の間に配置される。電子輸送層23を備えることにより、光電変換層25で生じた電子を第1電極22に効率よく移動させることができる。その結果、電流を効率よく取り出すことができるため、光電変換素子20の光電変換効率を向上させることができる。
電子輸送層23は、電子輸送材料を含有する。電子輸送材料は、電子を輸送する材料である。電子輸送材料は、半導体であり得る。電子輸送層23は、バンドギャップが3.0eV以上の半導体から形成されていてもよい。バンドギャップが3.0eV以上の半導体で電子輸送層23を形成することにより、可視光および赤外光を光電変換層25まで透過させることができる。
電子輸送材料の例は、無機のn型半導体である。
無機のn型半導体としては、例えば、金属元素の酸化物、金属元素の窒化物、およびペロブスカイト型酸化物を用いることができる。金属元素の酸化物としては、例えば、Cd、Zn、In、Pb、Mo、W、Sb、Bi、Cu、Hg、Ti、Ag、Mn、Fe、V、Sn、Zr、Sr、Ga、Si、およびCrの酸化物を用いることができる。より具体的な例としては、TiO2またはSnO2が挙げられる。金属元素の窒化物としては、例えば、GaNが挙げられる。ペロブスカイト型酸化物の例としては、SrTiO3またはC
aTiO3が挙げられる。
電子輸送層23は、バンドギャップが6.0eVよりも大きな物質によって形成されていてもよい。バンドギャップが6.0eVよりも大きな物質としては、フッ化リチウムおよびフッ化カルシウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化物、酸化マグネシウムのようなアルカリ金属酸化物、または二酸化ケイ素などが挙げられる。この場合、電子輸送層23の電子輸送性を確保するために、電子輸送層23の厚みは、例えば、10nm以下であってもよい。
電子輸送層23は、互いに異なる材料からなる複数の層を含んでいてもよい。
光電変換素子20は、電子輸送層23を備えていなくてもよい。
(多孔質層24)
多孔質層24は、例えば、電子輸送層23および光電変換層25の間に配置される。
多孔質層24を備えることにより、光電変換層25を形成しやすくなる。多孔質層24の空隙に光電変換層25の材料が侵入し、多孔質層24が光電変換層25の足場となる。そのため、光電変換層25の材料が多孔質層24の表面で弾かれたり、凝集したりすることが起こりにくい。したがって、光電変換層25を容易に均一な膜として形成できる。
多孔質層24によって光散乱が起こることにより、光電変換層25を通過する光の光路長が増大する効果も期待される。光路長が増大すると、光電変換層25中で発生する電子および正孔の量が増加すると予測される。
多孔質層24は、電子輸送層23の上に、例えば塗布法によって形成される。光電変換素子20が電子輸送層23を備えない場合は、多孔質層24は、第1電極22の上に形成される。
多孔質層24は、多孔質体を含む。多孔質体は、空隙を含む。
多孔質体は、例えば、絶縁性または半導体の粒子の連なりによって形成される。絶縁性の粒子の例は、酸化アルミニウム粒子または酸化ケイ素粒子である。半導体の粒子の例は、無機半導体粒子である。無機半導体の例は、金属酸化物、金属元素のペロブスカイト酸化物、金属硫化物、または金属カルコゲナイドである。金属酸化物の例は、Cd、Zn、
In、Pb、Mo、W、Sb、Bi、Cu、Hg、Ti、Ag、Mn、Fe、V、Sn、Zr、Sr、Ga、Si、またはCrの酸化物である。金属酸化物のより具体的な例は、TiO2である。金属元素のペロブスカイト酸化物の例は、SrTiO3またはCaTiO3である。金属硫化物の例は、CdS、ZnS、In23、PbS、Mo2S、WS2、S
23、Bi23、ZnCdS2、またはCu2Sである。金属カルコゲナイドの例は、CsSe、In2Se3、WSe2、HgS、PbSe、またはCdTeである。
多孔質層24の厚みは、0.01μm以上かつ10μm以下であってもよく、0.05μm以上かつ1μm以下であってもよい。
多孔質層24の表面粗さについては、実効面積/投影面積で与えられる表面粗さ係数が10以上であってもよく、100以上であってもよい。投影面積とは、物体を真正面から光で照らしたときに、後ろにできる影の面積である。実効面積とは、物体の実際の表面積のことである。実効面積は、物体の投影面積および厚さから求められる体積と、物体を構成する材料の比表面積および嵩密度とから計算することができる。比表面積は、例えば、窒素吸着法によって測定される。
多孔質層24中の空隙は、光電変換層25と接する部分から電子輸送層23と接する部分まで繋がっている。すなわち、多孔質層24の空隙は、多孔質層24の一方の主面から、他方の主面まで繋がっている。これにより、光電変換層25の材料が多孔質層24の空隙を充填し、電子輸送層23の表面まで到達することができる。したがって、多孔質層24を設けても、光電変換層25と電子輸送層23とは、直接接触しているため、電子の授受が可能である。
(光電変換層25)
光電変換層25は、ペロブスカイト化合物を含む。
ペロブスカイト化合物は、組成式ABX3により表され得る。ここで、Aは1価のカチ
オンであり、Bは2価のカチオンであり、Xは1価のアニオンである。
1価のカチオンAの例は、有機カチオンまたはアルカリ金属カチオンである。
有機カチオンの例は、メチルアンモニウムカチオン(CH3NH3 +)、ホルムアミジニ
ウムカチオン(HC(NH22 +)、エチルアンモニウムカチオン(CH3CH2NH3 +
、またはグアニジニウムカチオン(CH63 +)である。
アルカリ金属カチオンの例は、カリウムカチオン(K+)、セシウムカチオン(Cs+)、またはルビジウムカチオン(Rb+)である。
2価のカチオンBの例は、鉛カチオン(Pb2+)または錫カチオン(Sn2+)である。
1価のアニオンXの例は、ハロゲンアニオンである。
A、B、およびXのそれぞれのサイトは、複数種類のイオンによって占有されていてもよい。
光電変換層25の厚みは、50nm以上かつ10μm以下であってもよい。
光電変換層25は、溶液による塗布法、印刷法、または蒸着法などを用いて形成することができる。光電変換層25は、ペロブスカイト化合物を切り出して配置することによっ
て形成されてもよい。
光電変換層25は、組成式ABX3により表されるペロブスカイト化合物を主として含
んでもよい。ここで、「光電変換層25が、組成式ABX3により表されるペロブスカイ
ト化合物を主として含む」とは、光電変換層25が、組成式ABX3により表されるペロ
ブスカイト化合物を90質量%以上含むことである。光電変換層25は、組成式ABX3
により表されるペロブスカイト化合物を95質量%以上含んでいてもよい。光電変換層25は、組成式ABX3により表されるペロブスカイト化合物からなってもよい。光電変換
層25は、組成式ABX3により表されるペロブスカイト化合物を含んでいればよく、欠
陥または不純物を含んでもよい。
光電変換層25は、組成式ABX3により表されるペロブスカイト化合物とは異なる他
の化合物をさらに含んでいてもよい。異なる他の化合物としては、例えば、Ruddlesden-Popper型の層状ペロブスカイト構造を持つ化合物、などが挙げられる。
(正孔輸送層26)
正孔輸送層26は、例えば、光電変換層25および第2電極27の間に配置される。正孔輸送層26を備えることにより、光電変換層25で生じた正孔を第2電極27に効率よく移動させることができる。その結果、電流を効率よく取り出すことができるため、光電変換素子20の光電変換効率を向上させることができる。
正孔輸送層26は、正孔輸送材料を含有する。正孔輸送材料は、正孔を輸送する材料である。正孔輸送材料は、有機半導体または無機半導体であり得る。
正孔輸送層26は、有機半導体を含んでいてもよい。有機半導体は、光電変換層25と良好な界面を形成し、接合時の界面欠陥が増加すること抑制できる。その結果、太陽電池の光電変換効率および耐久性を向上させることができる。
有機半導体の構成要素としては、トリフェニルアミン、トリアリルアミン、フェニルベンジジン、フェニレンビニレン、テトラチアフルバレン、ビニルナフタレン、ビニルカルバゾール、チオフェン、アニリン、ピロール、カルバゾール、トリプチセン、フルオレン、アズレン、ピレン、ペンタセン、ペリレン、アクリジン、またはフタロシアニンが挙げられる。
正孔輸送材料として用いられる代表的な有機半導体の例は、2,2′,7,7′-tetrakis-(N,N-di-p-methoxyphenylamine)9,9′-spirobifluorene、poly[bis(4-phenyl)(2,4,6-trimethylphenyl)amine](以下、「PTAA」と省略することがある)、poly(3-hexylthiophene-2,5-diyl)、poly(3,4-ethylenedioxythiophene)、銅フタロシアニン、である。
正孔輸送材料として用いられる無機半導体は、p型の半導体である。無機半導体の例は、Cu2O、CuGaO2、CuSCN、CuI、NiOx、MoOx、V25、または酸化グラフェンのようなカーボン材料である。ここで、x>0である。
正孔輸送層26は、互いに異なる材料からなる複数の層を含んでいてもよい。例えば、光電変換層25のイオン化ポテンシャルに対して、正孔輸送層26のイオン化ポテンシャルが順々に小さくなるように複数の層が積層されてもよい。これにより、正孔輸送特性が改善される。
正孔輸送層26の厚みは、1nm以上かつ1000nm以下であってもよく、10nm以上かつ50nm以下であってもよい。この範囲内であれば、十分な正孔輸送特性を発現でき、低抵抗を維持できるので、高効率に光発電を行うことができる。
正孔輸送層26は、塗布法、印刷法、または蒸着法などを用いて形成することができる。これは、光電変換層25と同様である。塗布法の例は、ドクターブレード法、バーコート法、スプレー法、ディップコーティング法、またはスピンコート法である。印刷法の例は、スクリーン印刷法である。必要に応じて、複数の材料を混合して正孔輸送層26を作製し、加圧または焼成してもよい。正孔輸送層26の材料が有機の低分子体または無機半導体である場合には、真空蒸着法によって、正孔輸送層26を作製することも可能である。
正孔輸送層26は、添加剤として、支持電解質、溶媒、およびドーパントからなる群より選択される少なくとも1つを含んでいてもよい。支持電解質および溶媒は、正孔輸送層26中の正孔を安定化させる効果を有する。ドーパントは、正孔輸送層26中の正孔数を増す効果を有する。
支持電解質の例は、アンモニウム塩、アルカリ土類金属塩、または遷移金属塩である。アンモニウム塩の例は、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、六フッ化リン酸テトラエチルアンモニウム、イミダゾリウム塩、またはピリジニウム塩である。アルカリ金属塩の例は、過塩素酸リチウムまたは四フッ化ホウ素カリウムである。アルカリ土類金属塩の例は、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドカルシウム(II)である。遷移金属塩の例は、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド亜鉛(II)またはトリス[4-tert-ブチル-2-(1H-ピラゾールー1-イル)ピリジン]コバルト(III)トリス(トリフルオロメタンスルホニル)である。
ドーパントの例は、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランなどの含フッ素芳香族ホウ素化合物である。
正孔輸送層26に含まれる溶媒は、イオン伝導性に優れるものであってもよい。当該溶媒は、水系溶媒であってもよく、有機溶媒であってもよい。溶質をより安定化するために、正孔輸送層26に含まれる溶媒は、有機溶媒であってもよい。具体例としては、tert-ブチルピリジン、ピリジン、およびn-メチルピロリドンなどの複素環化合物溶媒が挙げられる。
溶媒として、イオン液体を単独で用いてもよいし、他種の溶媒に混合して用いてもよい。イオン液体は、揮発性が低く、難燃性が高い点で望ましい。
イオン液体の例は、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラシアノボレートなどのイミダゾリウム系、ピリジン系、脂環式アミン系、脂肪族アミン系、またはアゾニウムアミン系である。
(第2電極27)
第2電極27は、導電性を有する。
光電変換素子20が正孔輸送層26を備えない場合、第2電極27は、光電変換層25とオーミック接触を形成しない材料から構成される。さらに、第2電極27は、光電変換層25からの電子に対するブロック性を有する。ここで、光電変換層25からの電子に対するブロック性とは、光電変換層25で発生した正孔のみを通過させ、電子を通過させな
い性質のことである。このような性質を有する材料とは、光電変換層25の伝導帯下端のエネルギーよりも、フェルミエネルギーが低い材料である。上記の材料は、光電変換層25のフェルミエネルギーよりも、フェルミエネルギーが低い材料であってもよい。具体的な材料としては、白金、金、またはグラフェンなどの炭素材料が挙げられる。
光電変換素子20が正孔輸送層26を備える場合、第2電極27は、光電変換層25からの電子に対するブロック性を有さなくてもよい。すなわち、第2電極27の材料は、光電変換層25とオーミック接触を形成する材料であってもよい。そのため、第2電極27を、透光性を有するように形成することができる。
第1電極22および第2電極27のうち、少なくとも光を入射させる側の電極が透光性を有していればよい。したがって、第1電極22および第2電極27の一方は、透光性を有さなくてもよい。すなわち、第1電極22および第2電極27の一方は、透光性を有する材料を用いていなくてもよいし、光を透過させる開口部分を含むパターンを有していなくてもよい。
(中間層)
光電変換素子20は、さらに中間層を備えてもよい。中間層は、例えば、電子輸送層23および光電変換層25の間に配置される。光電変換素子20が多孔質層24を備える場合、中間層は、例えば、多孔質層24および光電変換層25の間に配置される。
中間層は、フラーレン(C60)、C60誘導体、またはC60を持つ自己組織化単分子層(以下、「C60SAM」ともいう)を含む。中間層はカルボン酸化合物、リン酸化合物、ケイ酸化合物であってもよい。
中間層により効率的に電子収集が行われるため、電子を電子輸送層23へ輸送する際の抵抗損失が低減される。したがって、中間層を備えることにより、光電変換層25で生じた電子を電子輸送層23または第2電極27に効率よく移動させることができる。その結果、電流を効率よく取り出すことができるため、光電変換素子20の光電変換効率を向上させることができる。
60誘導体の例は、[6,6]-Phenyl C61 butyric acid methyl esterまたは[6,6]-Phenyl-C61 butyric acid butyl esterである。
C60SAMの例は、4-(1′,5′-Dihydro-1′-methyl-2′H-[5,6]fullereno-C60-Ih-[1,9-c]pyrrol-2′-yl)benzoic acid、(1,2-Methanofullerene C60)-61-carboxylic acid、またはC60 Pyrrolidine tris-acidである。
中間層は、溶液による塗布法、浸漬法、印刷法、または蒸着法などを用いて形成することができる。
光電変換素子20は、第1電極22の主面が支持部材10に面していてもよいし、第2電極27の主面が支持部材10に面していてもよい。
(封止部材30)
封止部材30は、支持部材10とともに、光電変換素子20および酸素濃度調整材50を封止する。これにより、実動作期間内における外気から封止空間40への酸素のような
ガスの侵入を防ぐことができる。
封止部材30は、ガラス、金属、セラミック、および樹脂からなる群より選択される少なくとも1つを含んでいてもよい。
封止部材30は、ガラスおよび樹脂からなる群より選択される少なくとも1つを含んでいてもよい。封止部材30は、ガラスおよび樹脂からなる群より選択される少なくとも1つからなっていてもよい。ガラスは酸素透過係数が低い。例えば、酸素透過係数は、3.05×10-18cm3・cm/(cm2・s・cmHg)以下であり、より好ましくは酸素
透過係数が3.05×10-19cm3・cm/(cm2・s・cmHg)以下である。樹脂
は酸素透過係数が低いものを用いる。ここで、封止部材30を構成する樹脂の酸素に対するバリア性が乏しい場合は、酸素透過係数が3.05×10-18cm3・cm/(cm2
s・cmHg)以下のガスバリア層が、樹脂で形成された封止部材30に形成されていてもよい。これにより、外部から封止空間40への酸素の透過を抑制できる。
支持部材10と封止部材30とは、同一の材料から構成されていてもよい。当該材料は、ガラスであってもよい。
封止部材30は、封止部材の第1部分30aおよび封止部材の第2部分30bを含む場合、第1部分30aは、支持部材10と間隔を空けて対向するように配置され、第2部分30bは、支持部材10と第1部分30aとの間に接着部材として配置されてもよい。
第1部分30aは、板状部材であってもよい。
光電変換素子20が、支持部材10側から入射する光を吸収して光電変換を行う場合は、第1部分30aは、ガラス基板程度のガスバリア性を有していればよく、光透過性を有していなくてもよい。この場合、第1部分30aの例は、金属板、ガラス基板、セラミックス板、またはプラスチック基板である。
光電変換素子20が、支持部材10と反対側から入射する光を吸収して光電変換を行う場合は、第1部分30aは、太陽光に対する透過性を有してもよい。この場合、第1部分30aの材料の例は、ガラス基板またはプラスチック基板などの透明基板である。
第2部分30bは、ガスバリア性を有し、かつ、支持部材10および第1部分30aの両方に対して高い接着性を有していてもよい。
第2部分30bの材料の例は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、またはイソプレン-イソブテン共重合樹脂などの樹脂材料である。
第2部分30bは、酸素透過係数を低減させるために、後述の、酸素濃度調整材50に用いられ得る材料を含んでいてもよい。第2部分30bが、酸素濃度調整材50に用いられ得る材料のうち例えば酸素吸着能に優れた材料を含む場合、外気の侵入を効果的に抑制することが可能である。
封止空間40は、水分ゲッター材および充填材からなる群より選択される少なくとも1つを含んでいてもよい。すなわち、本開示の太陽電池は、水分ゲッター材および充填材からなる群より選択される少なくとも1つをさらに備え、水分ゲッター材および充填材からなる群より選択される少なくとも1つは、支持部材10および封止部材30によって封止されていてもよい。これにより、太陽電池の耐久性を向上させることができる。水分ゲッター材は、例えば、水分吸着剤、または乾燥材である。
水分ゲッター材は、封止部材30の劣化および太陽電池の損傷などによる封止空間40内の水分濃度の急激な上昇を抑制することができる。したがって、光電変換素子20に接する領域の水分濃度を低く保ち、太陽電池の耐久性を向上させることができる。
水分ゲッター材としては、水分の吸着能力に優れ、封止空間40内に再放出しないものが好ましい。
充填材は、太陽電池の機械的強度(特に、耐衝撃性)を向上させることができる。
充填材としては、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、シリコン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリオレフィン樹脂、アイオノマー樹脂、またはポリイミド樹脂などの樹脂材料が挙げられる。
(酸素濃度調整材50)
酸素濃度調整材50は、支持部材10および封止部材30によって、光電変換素子20とともに封止される。酸素濃度調整材50は、封止空間40内に配置される。酸素濃度調整材50は、光電変換素子20に接する領域の酸素濃度をペロブスカイト太陽電池に適した低濃度の範囲にできる。酸素濃度調整材50は、例えば、酸素を吸収または放出して、酸素濃度調整材50の酸素濃度をペロブスカイト太陽電池に適した低濃度の範囲にする。酸素濃度調整材50は、例えば、酸素を吸収または放出して、封止空間40内の酸素濃度をペロブスカイト太陽電池に適した低濃度の範囲にする。
酸素濃度調整材50は、例えば、酸素吸脱着能力を有する材料を含む。酸素濃度調整材50は、比較的高い酸素吸脱着能力を有する材料を含んでいてもよい。
酸素濃度調整材50は、無機材料および有機材料からなる群より選択される少なくとも1つを含んでいてもよい。当該無機材料は、酸化物であってもよい。本開示において、有機材料は、多孔性配位高分子のような有機無機ハイブリッド材料を含む。
酸化物および有機材料には、酸素を吸脱着する機能を有するものが存在する。酸素濃度調整材50として酸素を吸脱着する機能を有するものを用いることで、封止空間内の酸素濃度をペロブスカイト太陽電池に適した低濃度の範囲にできる。
無機材料は、酸化セリウム、酸化カルシウム、酸化鉄、ゼオライト、多孔質シリカ、多孔性炭素、多孔質セラミック(例えば、アルミナゲル)、および金属からなる群より選択される少なくとも1つを含んでいてもよい。これらの材料は、酸素を吸脱着する能力が比較的高い。したがって、光電変換素子20に接する領域の酸素濃度を調整しやすくなる。
有機材料は、多孔性配位高分子(すなわち、有機金属構造体)、クラウンエーテル、シクロデキストリン、および樹脂からなる群より選択される少なくとも1つを含んでいてもよい。これらの材料は、酸素を吸脱着する能力が比較的高い。したがって、光電変換素子20に接する領域の酸素濃度を調整しやすくなる。
酸素濃度調整材50は、酸化セリウム、酸化カルシウム、酸化鉄、ゼオライト、多孔質シリカ、多孔性炭素、多孔質セラミック、および金属からなる群より選択される少なくとも1つを含んでいてもよく、封止部材30は、ガラスおよび樹脂からなる群より選択される少なくとも1つを含んでいてもよい。
酸素濃度調整材50は、多孔性配位高分子、クラウンエーテル、およびシクロデキスト
リンからなる群より選択される少なくとも1つを含んでいてもよく、封止部材30は、ガラスおよび樹脂からなる群より選択される少なくとも1つを含んでいてもよい。
酸素濃度調整材50は、脱酸素剤および無機多孔質材料からなる群より選択される少なくとも1つを含んでもよい。
酸素濃度調整材50は、脱酸素剤および無機多孔質材料からなる群より選択される少なくとも1つを含む充填材であってもよい。脱酸素剤は、例えば、酸化セリウム、酸化カルシウム、酸化鉄、および鉄系酸素吸着剤である。無機多孔質材料は、例えば、ゼオライト、多孔性炭素、多孔質シリカ、および多孔質セラミック(例えば、アルミナゲル)である。酸素濃度調整材50は、封止空間40が含み得る充填材として挙げられた材料に、脱酸素剤および無機多孔質材料からなる群より選択される少なくとも1つを混ぜたものであってもよい。
酸素濃度調整材50は、熱および光により分解および揮発しない材料を含んでもよい。これにより、太陽電池の実使用条件において酸素濃度を調整する機能を持続させることができる。
酸素濃度調整材50は、あらかじめ吸着させた酸素を、太陽電池の組み立て後に封止空間40内に放出することで、封止空間40の酸素濃度を調整してもよい。例えば、あらかじめ酸素濃度調整材50に吸着させた酸素が加熱により脱離することで、封止空間40内に酸素を放出してもよい。酸素濃度調整材50は、封止空間40の酸素濃度が10ppm以上かつ3000ppm以下になるような量の酸素を吸着させていてもよい。酸素濃度調整材50は、封止空間40の酸素濃度が100ppm以上かつ3000ppm以下になるような量の酸素を吸着させていてもよい。
酸素濃度調整材50は、封止空間40内の酸素を吸着することで、封止空間40の酸素濃度を調整してもよい。
酸素濃度調整材50から脱離する酸素の量を制御するために、または酸素濃度調整材50内の酸素濃度を制御するために、酸素濃度調整材50は、複数の酸素吸着剤または酸素ゲッター材を含んでいてもよい。酸素ゲッター材には、例えば、酸素濃度調整材50に用いられている他の材料とは異なる吸脱着等温線を有する材料が用いられてもよい。このように、吸脱着等温線が互いに異なる複数の材料が組み合わされて用いられることにより、酸素濃度調整材50が光電変換素子20に接する領域の酸素濃度を所望の範囲に調整できるように、酸素濃度調整材50を設計することが可能となる。
第1実施形態による太陽電池は、封止空間40内の酸素濃度、すなわち光電変換素子20に接する領域の酸素濃度を調整するために、複数の酸素濃度調整材50を含んでもよい。第1実施形態による太陽電池は、異なる材料を含む複数の酸素濃度調整材50を含んでもよい。
封止空間40の酸素濃度は、例えば、10ppm以上かつ3000ppm以下であってもよい。これにより、ペロブスカイト化合物と酸素との反応生成物またはペロブスカイトの分解生成物がペロブスカイト表面または粒界に安定して存在できる。その結果、それらの生成物がキャリア移動を阻害しないため、欠陥により誘起される光劣化が抑制される。したがって、太陽電池の耐久性を向上させることができる。
封止空間40内の酸素濃度は、例えば、100ppm以上かつ3000ppm以下であってもよい。これにより、ペロブスカイト化合物と酸素との反応生成物およびペロブスカ
イトの分解生成物がペロブスカイト表面または粒界に長期的に安定して存在でき、かつ、それら生成物がキャリア移動を阻害しない厚さを持ってペロブスカイトの欠陥を効果的に終端する。したがって、欠陥により誘起される光劣化および熱劣化現象が抑制され、太陽電池の耐久性をより向上させることができる。
酸素濃度調整材50内の酸素濃度は、10ppm以上かつ3000ppm以下であってもよい。これにより、光電変換素子20が酸素濃度調整材50に接する場合、光電変換素子20に接する領域の酸素濃度が10ppm以上かつ3000ppm以下となる。したがって、太陽電池の耐久性を向上させることができる。
酸素濃度調整材50内の酸素濃度は、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)または昇温脱離ガス分析法(TDS)等で測定できる。すなわち、光電変換素子20と酸素濃度調整材50とが接している場合、光電変換素子20に接する領域の酸素濃度は、上記の方法で酸素濃度調整材50内の酸素濃度を測定することで求められる。
酸素濃度調整材50内の酸素濃度は、100ppm以上かつ3000ppm以下であってもよい。これにより、光電変換素子20が酸素濃度調整材50に接する場合、光電変換素子20に接する領域の酸素濃度が100ppm以上かつ3000ppm以下となる。したがって、太陽電池の耐久性をより向上させることができる。
太陽電池の実動作期間内において封止空間40の酸素濃度が所望の濃度になるように、酸素濃度調整材50の材料、数、大きさ、位置、およびあらかじめ吸着させる酸素量などは、適宜調整すればよい。例えば、酸素濃度調整材50に用いる材料の酸素脱離能、太陽電池のサイズ、封止空間40の体積、および太陽電池の動作環境から、酸素濃度調整材50に含ませる酸素量と、酸素濃度調整材50の数および大きさ、とが設計される。
酸素濃度調整材50の酸素の最大吸着量は、例えば、10cm3/g以上1000cm3/g以下であってよい。
酸素濃度調整材50の比表面積は、例えば、10m2/g以上2000m2/g以下であってよい。
酸素濃度調整材50の細孔径は、例えば、0.1nm以上100nm以下であってよい。酸素濃度調整材50が光電変換素子20を被覆する場合は、酸素脱着がし難い材料、例えば0.1nm以上2nm以下の細孔径をより多く(例えば50%超)含む材料が用いられてもよい。一方、酸素濃度調整材50が光電変換素子20を被覆しない場合は、封止空間40または充填材との間で酸素濃度を平衡状態に調整し易いように、酸素の吸脱着がし易い材料、例えば広い細孔径分布(例えば0.1nm以上100nm以下)を持つ材料が用いられてもよい。
封止空間40内における酸素濃度の測定は、大気圧イオン化質量分析計、ガスクロマトグラフィー、および電気化学式酸素濃度計等によって行うことができる。酸素濃度を測定する対象となる気体は、例えば、室温(25℃)にて、シリンジで封止空間40内の気体を抽出する、或いは閉空間で太陽電池を破壊して封止空間40内に含まれる気体を流出させて、気体の成分を測定して酸素の割合を算出することにより、酸素濃度を求めることができる。ここで、一例として、閉空間に太陽電池の封止空間40内に含まれる気体を流出させて、その流出させた気体における酸素濃度を大気圧イオン化質量分析計によって測定する方法について説明する。例えば、太陽電池をアルゴンまたはクリプトンなどの不活性ガスで満たされたチャンバー内に置く。チャンバー内でモジュールを破損させることにより、太陽電池の封止空間40内に含まれる気体を流出させる。次に、チャンバー内の気体
を大気圧イオン化質量分析計で定量分析する。チャンバー内の気体中のすべての成分を定量し、その量の総和における酸素の割合を算出することにより、酸素濃度を求めることができる。封止空間40内に含まれる、酸素以外の気体としては、窒素および希ガスなどの不活性ガス、二酸化炭素、および水蒸気などが挙げられる。なお、気体の分析に用いるチャンバー内を満たす不活性ガスと同じ種類の不活性ガスが、封止空間40内に含まれていると、正確な気体の分析が困難となるおそれがある。そこで、封止空間40内に含まれる気体の種類が不明な場合、同じ太陽電池を2つ用意し、チャンバー内を満たす不活性ガスとして、互いに異なる種類の不活性ガスを用いて、2つの太陽電池についてそれぞれ上記の手順で気体の分析を行う。2つの分析結果を比較することで、封止空間40内に含まれる気体の組成を求めることができる。
(第2実施形態)
以下、第2実施形態の太陽電池について説明する。第1実施形態で説明された事項は、適宜、省略され得る。
第2実施形態の太陽電池においては、支持部材および封止部材に囲まれた封止空間の内部は、光電変換素子および酸素濃度調整材で満たされている。
以上の構成によれば、光電変換素子に接する領域の酸素濃度を調整しながら、太陽電池の強度を増すことができる。
図8は、第2実施形態の太陽電池を模式的に示す断面図である。
太陽電池200において、支持部材10および封止部材30に囲まれた封止空間の内部は、光電変換素子20および酸素濃度調整材50で満たされている。酸素濃度調整材50は、光電変換素子20の表面に接している。すなわち、太陽電池200は、第1実施形態の太陽電池における封止空間40が酸素濃度調整材50で充填されている構成に相当する。
支持部材10および封止部材30に囲まれた封止空間の内部は、光電変換素子20および酸素濃度調整材50で完全に満たされて、封止空間の内部に隙間がなくてもよい。
第2実施形態の太陽電池における酸素濃度調整材50は、酸素吸着剤を含む充填材であってもよい。
酸素吸着剤は、充填材内の酸素を吸着および/または脱着して、充填材内の酸素濃度を調整する。すなわち、封止空間40を充填する酸素濃度調整材50内の酸素濃度を調整する。例えば、10pm以上かつ3000ppm以下、または100ppm以上かつ3000ppm以下に調整する。これにより、光電変換素子20に接する領域の酸素濃度をペロブスカイト太陽電池に適した低濃度の範囲にできる。
酸素吸着剤の例は、酸化セリウム、酸化カルシウム、酸化鉄、鉄系酸素吸着剤、ゼオライト、多孔性炭素、多孔質シリカ、および多孔質セラミック(例えば、アルミナゲル)などの無機多孔質材料と、多孔性配位高分子(すなわち、有機金属構造体)、クラウンエーテル、およびシクロデキストリンなどの有機材料である。
支持部材10および封止部材30に囲まれた領域の内部が光電変換素子20および酸素濃度調整材50で満たされている場合、光電変換素子20の体積に対する酸素濃度調整材50の体積の割合は、10%以上かつ20000%以下であってもよく、20%以上かつ10000%以下であってもよい。
(太陽電池の製造方法)
本開示の電池の製造方法を説明する。以下では、一例として、図6に示される太陽電池150の製造方法を説明する。
まず、支持部材10を用意する。例えば、ガラス基板を用意する。当該ガラス基板は、光電変換素子20の基板としても機能する。
次いで、ガラス基板上に、光電変換素子20を作製する。まず、ガラス基板上に、第1電極22を形成する。例えば、基板上に、スパッタ法により、インジウム-錫複合酸化物の層が形成されることで、第1電極22が作製される。
第1電極22上に、電子輸送層23を形成する。例えば、第1電極上に、スパッタ法により酸化チタンの層が形成されることで、電子輸送層23が形成される。
次に、電子輸送層23上に、多孔質層24を形成してもよい。例えば、電子輸送層23上に、塗布によってメソポーラス構造を有する酸化チタンの層を形成することで、多孔質層24が形成される。
次に、光電変換層25を形成する。例えば、光電変換材料の原料溶液を塗布することで、形成してもよい。
次に、正孔輸送層26を形成する。例えば、正孔輸送材料の原料溶液を塗布することで、形成してもよい。原料溶液は、例えばPTAAをトルエンに溶解したものである。
次に、正孔輸送層26上に、第2電極27を形成する。例えば、真空蒸着によってAu膜を堆積させることにより、第2電極27を形成してもよい。
このようにして、支持部材10であるガラス基板上に、光電変換素子20が作製される。
次に、光電変換素子20を封止する。まず、封止部材の第1部分30aとして、カバーガラスを用意する。カバーガラスの一部に、酸素濃度調整材50を例えば塗布によって形成する。酸素濃度調整材50を接着剤で固定してもよい。
次いで、例えば、酸素濃度および水分濃度が0.1ppm以下に調整されたグローブボックス内で、酸素濃度調整材50が形成されたカバーガラスおよび封止部材の第2部分30bとしてのUV硬化樹脂を使用して、光電変換素子20を封止する。このとき、カバーガラス、UV硬化樹脂、および支持部材10のガラス基板によって、光電変換素子20およびカバーガラスに形成した酸素濃度調整材50が封止されるようにする。このようにして、太陽電池150が得られる。
太陽電池の製造方法および順序は、上述の例に限られない。上述の製造方法では、光電変換素子20は、第1電極22の主面が支持部材10に面しているが、第2電極27の主面が支持部材10に面していてもよい。
本開示は、光電変換素子に接する領域の酸素濃度をペロブスカイト太陽電池に適した低濃度の範囲にできることで、太陽電池の耐久性を大幅に向上させることができるものであり、産業上の利用の可能性が極めて高いといえる。
10 支持部材
20 光電変換素子
21 基板
22 第1電極
23 電子輸送層
24 多孔質層
25 光電変換層
26 正孔輸送層
27 第2電極
30 封止部材
30a 封止部材の第1部分
30b 封止部材の第2部分
40 封止空間
50 酸素濃度調整材
100、110、120、130、140、150、200 太陽電池

Claims (12)

  1. 支持部材と、
    光電変換素子と、
    酸素濃度調整材と、
    封止部材と、
    を備え、
    前記光電変換素子および前記酸素濃度調整材は、前記支持部材および前記封止部材によって封止され、
    前記光電変換素子は、ペロブスカイト化合物を含む、
    太陽電池。
  2. 前記酸素濃度調整材は、前記光電変換素子に接している、
    請求項1に記載の太陽電池。
  3. 前記支持部材および前記封止部材に囲まれた封止空間の内部は、
    前記光電変換素子および前記酸素濃度調整材で満たされている、
    請求項1または2に記載の太陽電池。
  4. 前記酸素濃度調整材は、無機材料および有機材料からなる群より選択される少なくとも1つを含む、
    請求項1から3のいずれか一項に記載の太陽電池。
  5. 前記無機材料は、酸化セリウム、酸化カルシウム、酸化鉄、ゼオライト、多孔質シリカ、多孔性炭素、多孔質セラミック、および金属からなる群より選択される少なくとも1つを含む、
    請求項4に記載の太陽電池。
  6. 前記有機材料は、多孔性配位高分子、クラウンエーテル、シクロデキストリン、および樹脂からなる群より選択される少なくとも1つを含む、
    請求項4に記載の太陽電池。
  7. 前記封止部材は、ガラスおよび樹脂からなる群より選択される少なくとも1つを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の太陽電池。
  8. 前記光電変換素子は、第1電極、光電変換層、および第2電極、をこの順に備える、
    請求項1から7のいずれか一項に記載の太陽電池。
  9. 水分ゲッター材および充填材からなる群より選択される少なくとも1つをさらに備え、
    前記水分ゲッター材および前記充填材からなる群より選択される少なくとも1つは、前記支持部材および前記封止部材によって封止される、
    請求項1から8のいずれか一項に記載の太陽電池。
  10. 前記光電変換素子に接する領域の酸素濃度が、100ppm以上かつ3000ppm以下である、
    請求項1から9のいずれか一項に記載の太陽電池。
  11. 前記酸素濃度調整材内の酸素濃度が、100ppm以上かつ3000ppm以下である、
    請求項10に記載の太陽電池。
  12. 前記支持部材および前記封止部材に囲まれた封止空間の酸素濃度が、100ppm以上かつ3000ppm以下である、
    請求項10または11に記載の太陽電池。
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