JP2023101035A - 通信装置、通信方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】同時送受信対応装置と同時送受信非対応装置が混在する無線LANシステムにおいて、効率的に複数接続動作を実施すること。【解決手段】本発明の通信装置は、第1の接続と第2の接続を維持する通信装置であって、第1のフレームと第2のフレームを生成するフレーム生成部と、前記第1の接続に基づいて、前記第1のフレームを送信し、前記第2の接続に基づいて前記第2のフレームを送信する送信部と、を備え、前記第1のフレームの宛先情報と、前記第2のフレームの宛先情報に基づいて、前記第1のフレームのフレーム長と、前記第2のフレームのフレーム長を設定する。【選択図】図11
Description
本発明は、通信装置、及び通信方法に関する。
無線LAN(Local Area Network)規格であるIEEE802.11のさらなる高速化を実現する、IEEE802.11axがIEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers Inc.)により仕様化が進められており、仕様ドラフトに準拠した無線LANデバイスが市場に登場している。現在、IEEE802.11axの後継規格として、IEEE802.11beの標準化活動が開始されている。無線LANデバイスの急速な普及に伴い、IEEE802.11be標準化においては、無線LANデバイスの過密配置環境においてユーザあたりの更なるスループット向上の検討が行われている。
無線LANでは、国・地域からの許可(免許)を必要とせずに無線通信を実施可能なアンライセンスバンドを用いて、フレーム送信を行うことができる。現在広く使用されているアンライセンスバンド帯としては、2.4GHz帯と5GHz帯がある。2.4GHz帯はカバレッジが比較的広くとれる一方で、通信装置間の干渉の影響が大きく、また通信帯域幅も広くは取れない。一方で、5GHz帯は通信帯域を広くとれる一方で、カバレッジは広く取れない。よって、様々なサービス・アプリケーションを無線LANで実現するためには、使用する周波数バンドを適切に切り替える必要がある。しかし、従来の無線LAN装置においては、通信に用いる周波数バンドを切り替えるためには、一度現在の接続を切断する必要があった。
そこで、IEEE802.11be標準化においては、通信装置が複数の接続(リンク)を維持することを可能とする、複数接続動作(Multi-link Operation:MLO)に関する議論が行われている(非特許文献1参照)。複数接続動作によれば、通信装置は、使用する無線リソースや通信に係る設定が異なる接続を複数維持することができる。すなわち、複数接続動作を用いることで、通信装置は、異なる周波数バンドの接続を同時に維持することができるから、再接続動作を行うことなく、フレームを送信する周波数バンドを変更することが可能となる。
IEEE 802.11-20/0115-04、Jan.2020。
しかし、複数接続動作を用いることは、複数の接続において、独立にフレームの送受信が行われる場合も発生することを意味している。このことは、1つの接続においてフレーム送信を行っているときに、同時に、別の接続においてフレーム受信が行われている場合があることを意味して入り、複数接続動作を実施するためには、フレーム送信とフレーム受信を同時に行う同時送受信(Simultaneously Transmission and Reception:STR)に通信装置が対応していなければならないことを意味している。しかし、同時送受信の実施には、ハードウェアに高い要求条件が存在するため、すべての通信装置が対応することは困難である。
本発明は以上の課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、同時送受信対応装置と同時送受信非対応装置が混在する無線LANシステムにおいて、効率的に複数接続動作を実施する通信装置および通信方法を開示するものである。
上述した課題を解決するための本発明に係る通信装置および通信方法は、次の通りである。
(1)すなわち、本発明の一態様に係る通信装置は、第1の接続と第2の接続を維持する通信装置であって、第1のフレームと第2のフレームを生成するフレーム生成部と、前記第1の接続に基づいて、前記第1のフレームを送信し、前記第2の接続に基づいて前記第2のフレームを送信する送信部と、を備え、前記第1のフレームの宛先情報と、前記第2のフレームの宛先情報に基づいて、前記第1のフレームのフレーム長と、前記第2のフレームのフレーム長を設定する。
(2)また、本発明の一態様に係る通信装置は、上記(1)に記載され、前記第1のフレームの宛先情報と、前記第2のフレームの宛先情報と、が前記第1のフレームと前記第2のフレームの宛先が同じであることを示す場合、前記第1のフレームのフレームエンドと、前記第2のフレームのフレームエンドと、が一致する。
(3)また、本発明の一態様に係る通信装置は、上記(1)に記載され、前記第2のフレームの宛先情報が所定の情報を示す場合、前記第1のフレームのフレームエンドと、前記第2のフレームのフレームエンドと、が一致する。
(4)また、本発明の一態様に係る通信装置は、上記(1)に記載され、前記第1のフレームは、第1の期間と、第2の期間を備え、前記フレーム生成部は、前記第1のフレームに、前記第1の期間と第2の期間を和で表される期間を示す情報と、前記第1の期間と前記第2の期間の何れか1つを示す情報と、を記載する。
(5)また、本発明の一態様に係る通信方法は、第1の接続と第2の接続を維持する通信装置の通信方法であって、第1のフレームと第2のフレームを生成するステップと、前記第1の接続に基づいて、前記第1のフレームを送信し、前記第2の接続に基づいて前記第2のフレームを送信するステップと、前記第1のフレームの宛先情報と、前記第2のフレームの宛先情報に基づいて、前記第1のフレームのフレーム長と、前記第2のフレームのフレーム長を設定するステップと、を備える。
本発明によれば、同時送受信対応装置と同時送受信非対応装置が混在する無線LANシステムにおいて、効率的に複数接続動作を実施することができるから、無線LANデバイスのユーザスループットの改善に寄与することができる。
本実施形態における通信システムは、無線送信装置(アクセスポイント装置、基地局装置: Access point、基地局装置)、および複数の無線受信装置(ステーション装置、端末装置: station、端末装置)を備える。また、基地局装置と端末装置とで構成されるネットワークを基本サービスセット(BSS: Basic service set、管理範囲)と呼ぶ。また、本実施形態に係るステーション装置は、アクセスポイント装置の機能を備えることができる。同様に、本実施形態に係るアクセスポイント装置は、ステーション装置の機能を備えることができる。そのため、以下では、単に通信装置と述べた場合、該通信装置は、ステーション装置とアクセスポイント装置の両方を示すことができる。
BSS内の基地局装置および端末装置は、それぞれCSMA/CA(Carrier sense multipleaccess with collision avoidance)に基づいて、通信を行なうものとする。本実施形態においては、基地局装置が複数の端末装置と通信を行なうインフラストラクチャモードを対象とするが、本実施形態の方法は、端末装置同士が通信を直接行なうアドホックモードでも実施可能である。アドホックモードでは、端末装置が、基地局装置の代わりとなりBSSを形成する。アドホックモードにおけるBSSを、IBSS(Independent Basic Service Set)とも呼称する。以下では、アドホックモードにおいてIBSSを形成する端末装置を、基地局装置とみなすこともできる。
IEEE802.11システムでは、各装置は、共通のフレームフォーマットを持った複数のフレームタイプの送信フレームを送信することが可能である。送信フレームは、物理(Physical:PHY)層、媒体アクセス制御(Medium accesscontrol:MAC)層、論理リンク制御(LLC: Logical Link Control)層、でそれぞれ定義されている。
PHY層の送信フレームは、物理プロトコルデータユニット(PPDU: PHY protocol dataunit、物理層フレーム)と呼ばれる。PPDUは、物理層での信号処理を行なうためのヘッダ情報等が含まれる物理層ヘッダ(PHYヘッダ)と、物理層で処理されるデータユニットである物理サービスデータユニット(PSDU:PHY service data unit、MAC層フレーム)等から構成される。PSDUは無線区間における再送単位となるMACプロトコルデータユニット(MPDU: MAC protocol data unit)が複数集約された集約MPDU(A-MPDU:Aggregated MPDU)で構成されることが可能である。
PPDUは対応する規格に応じて変調される。例えば、IEEE802.11n規格であれば、直交周波数分割多重(OFDM:Orthogonal frequency division multiplexing)信号に変調される。
PHYヘッダには、信号の検出・同期等に用いられるショートトレーニングフィールド(STF: Shorttraining field)、データ復調のためのチャネル情報を取得するために用いられるロングトレーニングフィールド(LTF: Long training field)などの参照信号と、データ復調のための制御情報が含まれているシグナル(Signal:SIG)などの制御信号が含まれる。また、STFは、対応する規格に応じて、レガシーSTF(L-STF: Legacy-STF)や、高スループットSTF(HT-STF: Highthroughput-STF)や、超高スループットSTF(VHT-STF: Very highthroughput-STF)や、高効率STF(HE-STF: High efficiency-STF)や、超高スループットSTF(EHT-STF:Extremely High Throughput-STF)等に分類され、LTFやSIGも同様にL-LTF、HT-LTF、VHT-LTF、HE-LTF、L-SIG、HT-SIG、VHT-SIG、HE-SIG、EHT-SIGに分類される。VHT-SIGは更にVHT-SIG-A1とVHT-SIG-A2とVHT-SIG-Bに分類される。同様に、HE-SIGは、HE-SIG-A1~4と、HE-SIG-Bに分類される。また、同一規格における技術更新を想定し、追加の制御情報が含まれているUniversal SIGNAL(U-SIG)フィールドが含まれることができる。
SIGには、受信したフレームを復調するための情報として、変調方式や符号化率を示す情報(MCS)や、空間データ多重数(レイヤー数)、空間多重ユーザ数、時空間符号化の有無を示す情報(例えば、時空間符号化送信ダイバーシチの有無を示す情報)、該フレームの宛先を示す情報、該フレームのフレーム長の関連付けられた情報(TXOP等)等が含まれることができる。
さらに、PHYヘッダは当該送信フレームの送信元のBSSを識別する情報(以下、BSS識別情報とも呼称する)を含むことができる。BSSを識別する情報は、例えば、当該BSSのSSID(Service Set Identifier)や当該BSSの基地局装置のMACアドレスであることができる。また、BSSを識別する情報は、SSIDやMACアドレス以外の、BSSに固有な値(例えばBSS Color等)であることができる。
なお、SIGを含むPHYヘッダは、データ復調に必要な情報を含むため、無線誤りへの耐性を有することが望ましい。また、PHYヘッダは、宛先となる無線LAN装置以外の無線LAN装置にも正しく受信されることが望ましい。通信環境が劣悪な無線LAN装置が存在することも踏まえ、PHYヘッダ、特にSIGに関しては、冗長性の高い変調方式や符号化率が設定されることが望ましい。例えば、通信装置はPHYヘッダには、BPSK変調などの変調多値数の小さい変調方式や、低い符号化率を設定することができる。
MPDUはMAC層での信号処理を行なうためのヘッダ情報等が含まれるMAC層ヘッダ(MAC header)と、MAC層で処理されるデータユニットであるMACサービスデータユニット(MSDU: MAC service data unit)もしくはフレームボディ、ならびにフレームに誤りがないかをどうかをチェックするフレーム検査部(Frame check sequence:FCS)で構成されている。また、複数のMSDUは集約MSDU(A-MSDU: Aggregated MSDU)として集約されることも可能である。
MAC層の送信フレームのフレームタイプは、装置間の接続状態などを管理するマネージメントフレーム、装置間の通信状態を管理するコントロールフレーム、および実際の送信データを含むデータフレームの3つに大きく分類され、それぞれは更に複数種類のサブフレームタイプに分類される。コントロールフレームには、受信完了通知(Ack: Acknowledge)フレーム、送信要求(RTS: Request to send)フレーム、受信準備完了(CTS: Clearto send)フレーム等が含まれる。マネージメントフレームには、ビーコン(Beacon)フレーム、プローブ要求(Probe request)フレーム、プローブ応答(Probe response)フレーム、認証(Authentication)フレーム、接続要求(Association request)フレーム、接続応答(Association response)フレーム等が含まれる。データフレームには、データ(Data)フレーム、ポーリング(CF-poll)フレーム等が含まれる。各装置は、MACヘッダに含まれるフレームコントロールフィールドの内容を読み取ることで、受信したフレームのフレームタイプおよびサブフレームタイプを把握することができる。
なお、Ackには、Block Ackが含まれても良い。Block Ackは、複数のMPDUに対する受信完了通知を実施可能である。
ビーコンフレームには、ビーコンが送信される周期(Beacon interval)やSSIDを記載するフィールド(Field)が含まれる。基地局装置は、ビーコンフレームを周期的にBSS内に報知することが可能であり、端末装置はビーコンフレームを受信することで、端末装置周辺の基地局装置を把握することが可能である。端末装置が基地局装置より報知されるビーコンフレームに基づいて基地局装置を把握することを受動的スキャニング(Passive scanning)と呼ぶ。一方、端末装置がプローブ要求フレームをBSS内に報知することで、基地局装置を探査することを能動的スキャニング(Active scanning)と呼ぶ。基地局装置は該プローブ要求フレームへの応答としてプローブ応答フレームを送信することが可能であり、該プローブ応答フレームの記載内容は、ビーコンフレームと同等である。
端末装置は基地局装置を認識したあとに、該基地局装置に対して接続処理を行なう。接続処理は認証(Authentication)手続きと接続(Association)手続きに分類される。端末装置は接続を希望する基地局装置に対して、認証フレーム(認証要求)を送信する。基地局装置は、認証フレームを受信すると、該端末装置に対する認証の可否などを示すステータスコードを含んだ認証フレーム(認証応答)を該端末装置に送信する。端末装置は、該認証フレームに記載されたステータスコードを読み取ることで、自装置が該基地局装置に認証を許可されたか否かを判断することができる。なお、基地局装置と端末装置は認証フレームを複数回やり取りすることが可能である。
端末装置は認証手続きに続いて、基地局装置に対して接続手続きを行なうために、接続要求フレームを送信する。基地局装置は接続要求フレームを受信すると、該端末装置の接続を許可するか否かを判断し、その旨を通知するために、接続応答フレームを送信する。接続応答フレームには、接続処理の可否を示すステータスコードに加えて、端末装置を識別するためのアソシエーション識別番号(AID: Association identifier)が記載されている。基地局装置は接続許可を出した端末装置にそれぞれ異なるAIDを設定することで、複数の端末装置を管理することが可能となる。
接続処理が行われたのち、基地局装置と端末装置は実際のデータ伝送を行なう。IEEE802.11システムでは、分散制御機構(DCF: Distributed Coordination Function)と集中制御機構(PCF: Point Coordination Function)、およびこれらが拡張された機構(拡張分散チャネルアクセス(EDCA: Enhanced distributed channel access)や、ハイブリッド制御機構(HCF: Hybrid coordination function)等)が定義されている。以下では、基地局装置が端末装置にDCFで信号を送信する場合を例にとって説明する。
DCFでは、基地局装置および端末装置は、通信に先立ち、自装置周辺の無線チャネルの使用状況を確認するキャリアセンス(CS: Carrier sense)を行なう。例えば、送信局である基地局装置は予め定められたクリアチャネル評価レベル(CCAレベル: Clear channel assessment level)よりも高い信号を該無線チャネルで受信した場合、該無線チャネルでの送信フレームの送信を延期する。以下では、該無線チャネルにおいて、CCAレベル以上の信号が検出される状態をビジー(Busy)状態、CCAレベル以上の信号が検出されない状態をアイドル(Idle)状態と呼ぶ。このように、各装置が実際に受信した信号の電力(受信電力レベル)に基づいて行なうCSを物理キャリアセンス(物理CS)と呼ぶ。なおCCAレベルをキャリアセンスレベル(CS level)、もしくはCCA閾値(CCA threshold:CCAT)とも呼ぶ。なお、基地局装置および端末装置は、CCAレベル以上の信号を検出した場合は、少なくともPHY層の信号を復調する動作に入る。
基地局装置は送信する送信フレームに種類に応じたフレーム間隔(IFS: Inter frame space)だけキャリアセンスを行ない、無線チャネルがビジー状態かアイドル状態かを判断する。基地局装置がキャリアセンスする期間は、これから基地局装置が送信する送信フレームのフレームタイプおよびサブフレームタイプによって異なる。IEEE802.11システムでは、期間の異なる複数のIFSが定義されており、最も高い優先度が与えられた送信フレームに用いられる短フレーム間隔(SIFS: Short IFS)、優先度が比較的高い送信フレームに用いられるポーリング用フレーム間隔(PCF IFS: PIFS)、最も優先度の低い送信フレームに用いられる分散制御用フレーム間隔(DCF IFS: DIFS)などがある。基地局装置がDCFでデータフレームを送信する場合、基地局装置はDIFSを用いる。
基地局装置はDIFSだけ待機したあとで、フレームの衝突を防ぐためのランダムバックオフ時間だけ更に待機する。IEEE802.11システムにおいては、コンテンションウィンドウ(CW: Contention window)と呼ばれるランダムバックオフ時間が用いられる。CSMA/CAでは、ある送信局が送信した送信フレームは、他送信局からの干渉が無い状態で受信局に受信されることを前提としている。そのため、送信局同士が同じタイミングで送信フレームを送信してしまうと、フレーム同士が衝突してしまい、受信局は正しく受信することができない。そこで、各送信局が送信開始前に、ランダムに設定される時間だけ待機することで、フレームの衝突が回避される。基地局装置はキャリアセンスによって無線チャネルがアイドル状態であると判断すると、CWのカウントダウンを開始し、CWが0となって初めて送信権を獲得し、端末装置に送信フレームを送信できる。なお、CWのカウントダウン中に基地局装置がキャリアセンスによって無線チャネルをビジー状態と判断した場合は、CWのカウントダウンを停止する。そして、無線チャネルがアイドル状態となった場合、先のIFSに続いて、基地局装置は残留するCWのカウントダウンを再開する。
受信局である端末装置は、送信フレームを受信し、該送信フレームのPHYヘッダを読み取り、受信した送信フレームを復調する。そして、端末装置は復調した信号のMACヘッダを読み取ることで、該送信フレームが自装置宛てのものか否かを認識することができる。なお、端末装置は、PHYヘッダに記載の情報(例えばVHT-SIG-Aの記載されるグループ識別番号(GID: Groupidentifier, Group ID))に基づいて、該送信フレームの宛先を判断することも可能である。
端末装置は、受信した送信フレームが自装置宛てのものと判断し、そして誤りなく送信フレームを復調できた場合、フレームを正しく受信できたことを示すACKフレームを送信局である基地局装置に送信しなければならない。ACKフレームは、SIFS期間の待機だけ(ランダムバックオフ時間は取られない)で送信される最も優先度の高い送信フレームの一つである。基地局装置は端末装置から送信されるACKフレームの受信をもって、一連の通信を終了する。なお、端末装置がフレームを正しく受信できなかった場合、端末装置はACKを送信しない。よって基地局装置は、フレーム送信後、一定期間(SIFS+ACKフレーム長)の間、受信局からのACKフレームを受信しなかった場合、通信は失敗したものとして、通信を終了する。このように、IEEE802.11システムの1回の通信(バーストとも呼ぶ)の終了は、ビーコンフレームなどの報知信号の送信の場合や、送信データを分割するフラグメンテーションが用いられる場合などの特別な場合を除き、必ずACKフレームの受信の有無で判断されることになる。
端末装置は、受信した送信フレームが自装置宛てのものではないと判断した場合、PHYヘッダ等に記載されている該送信フレームの長さ(Length)に基づいて、ネットワークアロケーションベクタ(NAV: Networkallocation vector)を設定する。端末装置は、NAVに設定された期間は通信を試行しない。つまり、端末装置は物理CSによって無線チャネルがビジー状態と判断した場合と同じ動作をNAVに設定された期間行なうことになるから、NAVによる通信制御は仮想キャリアセンス(仮想CS)とも呼ばれる。NAVは、PHYヘッダに記載の情報に基づいて設定される場合に加えて、隠れ端末問題を解消するために導入される送信要求(RTS: Request to send)フレームや、受信準備完了(CTS:
Clear to send)フレームによっても設定される。
Clear to send)フレームによっても設定される。
各装置がキャリアセンスを行ない、自律的に送信権を獲得するDCFに対して、PCFは、ポイントコーディネータ(PC:Point coordinator)と呼ばれる制御局が、BSS内の各装置の送信権を制御する。一般に基地局装置がPCとなり、BSS内の端末装置の送信権を獲得することになる。
PCFによる通信期間には、非競合期間(CFP: Contention free period)と競合期間(CP: Contention period)が含まれる。CPの間は、前述してきたDCFに基づいて通信が行われ、PCが送信権を制御するのはCFPの間となる。PCである基地局装置は、CFPの期間(CFP Max duration)などが記載されたビーコンフレームをPCFの通信に先立ちBSS内に報知する。なお、PCFの送信開始時に報知されるビーコンフレームの送信にはPIFSが用いられ、CWを待たずに送信される。該ビーコンフレームを受信した端末装置は、該ビーコンフレームに記載されたCFPの期間をNAVに設定する。以降、NAVが経過する、もしくはCFPの終了をBSS内に報知する信号(例えばCF-endを含んだデータフレーム)が受信されるまでは、端末装置はPCより送信される送信権獲得をシグナリングする信号(例えばCF-pollを含んだデータフレーム)を受信した場合のみ、送信権を獲得可能である。なお、CFPの期間内では、同一BSS内でのパケットの衝突は発生しないから、各端末装置はDCFで用いられるランダムバックオフ時間を取らない。
無線媒体は複数のリソースユニット(Resource unit:RU)に分割されることができる。図4は無線媒体の分割状態の1例を示す概要図である。例えば、リソース分割例1では、無線通信装置は無線媒体である周波数リソース(サブキャリア)を9個のRUに分割することができる。同様に、リソース分割例2では、無線通信装置は無線媒体であるサブキャリアを5個のRUに分割することができる。当然ながら、図4に示すリソース分割例はあくまで1例であり、例えば、複数のRUはそれぞれ異なるサブキャリア数によって構成されることも可能である。また、RUとして分割される無線媒体には周波数リソースだけではなく空間リソースも含まれることができる。無線通信装置(例えばAP)は、各RUに異なる端末装置宛てのフレームを配置することで、複数の端末装置(例えば複数のSTA)に同時にフレームを送信することができる。APは、無線媒体の分割の状態を示す情報(Resource allocation information)を、共通制御情報として、自装置が送信するフレームのPHYヘッダに記載することができる。更に、APは、各STA宛てのフレームが配置されたRUを示す情報(resource unit assignment information)を、固有制御情報として、自装置が送信するフレームのPHYヘッダに記載することができる。
また、複数の端末装置(例えば複数のSTA)は、それぞれ割り当てられたRUにフレームを配置して送信することで、同時にフレームを送信することができる。複数のSTAは、APから送信されるトリガ情報を含んだフレーム(Trigger frame:TF)を受信した後、所定の期間待機したのち、フレーム送信を行なうことができる。各STAは、該TFに記載の情報に基づいて自装置に割り当てられたRUを把握することができる。また、各STAは、該TFを基準としたランダムアクセスによりRUを獲得することができる。
APは、1つのSTAに複数のRUを同時に割り当てることができる。該複数のRUは、連続するサブキャリアで構成されることも出来るし、不連続のサブキャリアで構成されることも出来る。APは、1つのSTAに割り当てた複数のRUを用いて、1つのフレームを送信することが出来るし、複数のフレームをそれぞれ異なるRUに割り当てて送信することができる。該複数のフレームの少なくとも1つは、Resource allocation informationを送信する複数の端末装置に対する共通の制御情報を含むフレームであることができる。
1つのSTAは、APより複数のRUを割り当てられることができる。STAは、割り当てられた複数のRUを用いて、1つのフレームを送信することができる。また、STAは割り当てられた複数のRUを用いて、複数のフレームをそれぞれ異なるRUに割り当てて送信することができる。該複数のフレームは、それぞれ異なるフレームタイプのフレームであることができる。
APは、1つのSTAに複数のAID(Association ID)を割り当てることができる。APは、1つのSTAに割り当てた複数のAIDに対して、それぞれRUを割り当てることができる。APは、1つのSTAに割り当てた複数のAIDに対して、それぞれ割り当てたRUを用いて、それぞれ異なるフレームを送信することができる。該異なるフレームは、それぞれ異なるフレームタイプのフレームであることができる。
1つのSTAは、APより複数のAID(Associate ID)を割り当てられることができる。1つのSTAは割り当てられた複数のAIDに対して、それぞれRUを割り当てられることができる。1つのSTAは、自装置に割り当てられた複数のAIDにそれぞれ割り当てられたRUは、全て自装置に割り当てられたRUと認識し、該割り当てられた複数のRUを用いて、1つのフレームを送信することができる。また、1つのSTAは、該割り当てられた複数のRUを用いて、複数のフレームを送信することができる。このとき、該複数のフレームには、それぞれ割り当てられたRUに関連付けられたAIDを示す情報を記載して送信することができる。APは、1つのSTAに割り当てた複数のAIDに対して、それぞれ割り当てたRUを用いて、それぞれ異なるフレームを送信することができる。該異なるフレームは、異なるフレームタイプのフレームであることができる。
以下では、基地局装置、端末装置を総称して、無線通信装置もしくは通信装置とも呼称する。また、ある無線通信装置が別の無線通信装置と通信を行う際にやりとりされる情報をデータ(data)とも呼称する。つまり、無線通信装置は、基地局装置及び端末装置を含む。
無線通信装置は、PPDUを送信する機能と受信する機能のいずれか、または両方を備える。図1は、無線通信装置が送信するPPDU構成の一例を示した図である。IEEE802.11a/b/g規格に対応するPPDUはL-STF、L-LTF、L-SIG及びDataフレーム(MAC Frame、MACフレーム、ペイロード、データ部、データ、情報ビット等)を含んだ構成である。IEEE802.11n規格に対応するPPDUはL-STF、L-LTF、L-SIG、HT-SIG、HT-STF、HT-LTF及びDataフレームを含んだ構成である。IEEE802.11ac規格に対応するPPDUはL-STF、L-LTF、L-SIG、VHT-SIG-A、VHT-STF、VHT-LTF、VHT-SIG-B及びMACフレームの一部あるいは全てを含んだ構成である。IEEE802.11ax標準で検討されているPPDUは、L-STF、L-LTF、L-SIG、L-SIGが時間的に繰り返されたRL-SIG、HE-SIG-A、HE-STF、HE-LTF、HE-SIG-B及びDataフレームの一部あるいは全てを含んだ構成である。IEEE802.11be標準で検討されているPPDUは、L-STF、L-LTF、L-SIG、RL-SIG、U-SIG、EHT-SIG、EHT-STF、HET-LTF及びDataフレームの一部あるいは全てを含んだ構成である。
図1中の点線で囲まれているL-STF、L-LTF及びL-SIGはIEEE802.11規格において共通に用いられる構成である(以下では、L-STF、L-LTF及びL-SIGをまとめてL-ヘッダとも呼称する)。例えばIEEE 802.11a/b/g規格に対応する無線通信装置は、IEEE802.11n/ac規格に対応するPPDU内のL-ヘッダを適切に受信することが可能である。IEEE 802.11a/b/g規格に対応する無線通信装置は、IEEE802.11n/ac規格に対応するPPDUを、IEEE 802.11a/b/g規格に対応するPPDUとみなして受信することができる。
ただし、IEEE 802.11a/b/g規格に対応する無線通信装置はL-ヘッダの後に続く、IEEE802.11n/ac規格に対応するPPDUを復調することができないため、送信アドレス(TA:Transmitter Address)や受信アドレス(RA:Receiver Address)やNAVの設定に用いられるDuration/IDフィールドに関する情報を復調することができない。
IEEE 802.11a/b/g規格に対応する無線通信装置が適切にNAVを設定する(あるいは所定の期間受信動作を行う)ための方法として、IEEE802.11は、L-SIGにDuration情報を挿入する方法を規定している。L-SIG内の伝送速度に関する情報(RATE field、L-RATE field、L-RATE、L_DATARATE、L_DATARATE field)、伝送期間に関する情報(LENGTH field、L-LENGTH field、L-LENGTH)は、IEEE 802.11a/b/g規格に対応する無線通信装置が適切にNAVを設定するために使用される。
図2は、L-SIGに挿入されるDuration情報の方法の一例を示す図である。図2においては、一例としてIEEE802.11ac規格に対応するPPDU構成を示しているが、PPDU構成はこれに限定されない。IEEE802.11n規格に対応のPPDU構成及びIEEE802.11ax規格に対応するPPDU構成でも良い。TXTIMEは、PPDUの長さに関する情報を備え、aPreambleLengthは、プリアンブル(L-STF+L-LTF)の長さに関する情報を備え、aPLCPHeaderLengthは、PLCPヘッダ(L-SIG)の長さに関する情報を備える。L_LENGTHは、IEEE802.11規格の互換性をとるために設定される仮想的な期間であるSignal Extension、L_RATEに関連するNops、1シンボル(symbol,OFDM symbol等)の期間に関する情報であるaSymbolLength、PLCP Service fieldが含むビット数を示すaPLCPServiceLength、畳みこみ符号のテールビット数を示すaPLCPConvolutionalTailLengthに基づいて算出される。無線通信装置は、L_LENGTHを算出し、L-SIGに挿入することができる。また、無線通信装置は、L-SIG Durationを算出することができる。L-SIG Durationは、L_LENGTHを含むPPDUと、その応答として宛先の無線通信装置より送信されることが期待されるAckとSIFSの期間を合計した期間に関する情報を示す。
図3は、L-SIG TXOP Protectionにおける、L-SIG Durationの一例を示した図である。DATA(フレーム、ペイロード、データ等)は、MACフレームとPLCPヘッダの一部または両方から構成される。また、BAはBlock Ack、またはAckである。PPDUは、L-STF,L-LTF,L-SIGを含み、さらにDATA,BA、RTSあるいはCTSのいずれかまたはいずれか複数を含んで構成されることができる。図3に示す一例では、RTS/CTSを用いたL-SIG TXOP Protectionを示しているが、CTS-to-Selfを用いても良い。ここで、MAC Durationは、Duration/ID fieldの値によって示される期間である。また、InitiatorはL-SIG TXOP Protection期間の終了を通知するためにCF_Endフレームを送信することができる。
続いて、無線通信装置が受信するフレームからBSSを識別する方法について説明する。無線通信装置が、受信するフレームからBSSを識別するためには、PPDUを送信する無線通信装置が当該PPDUにBSSを識別するための情報(BSS color,BSS識別情報、BSSに固有な値)を挿入することが好適である。BSS colorを示す情報は、HE-SIG-Aに記載されることが可能である。
無線通信装置は、L-SIGを複数回送信する(L-SIG Repetition)ことができる。例えば、受信側の無線通信装置は、複数回送信されるL-SIGをMRC(Maximum Ratio Combining)を用いて受信することで、L-SIGの復調精度が向上する。さらに無線通信装置は、MRCによりL-SIGを正しく受信完了した場合に、当該L-SIGを含むPPDUがIEEE802.11ax規格に対応するPPDUであると解釈することができる。
無線通信装置は、PPDUの受信動作中も、当該PPDU以外のPPDUの一部(例えば、IEEE802.11により規定されるプリアンブル、L-STF、L-LTF、PLCPヘッダ等)の受信動作を行うことができる(二重受信動作とも呼称する)。無線通信装置は、PPDUの受信動作中に、当該PPDU以外のPPDUの一部を検出した場合に、宛先アドレスや、送信元アドレスや、PPDUあるいはDATA期間に関する情報の一部または全部を更新することができる。
Ack及びBAは、応答(応答フレーム)とも呼称されることができる。また、プローブ応答や、認証応答、接続応答を応答と呼称することができる。
[1.第1の実施形態]
[1.第1の実施形態]
図5は、本実施形態に係る無線通信システムの一例を示した図である。無線通信システム3-1は、無線通信装置1-1及び無線通信装置2-1~4を備えている。なお、無線通信装置1-1を基地局装置1-1とも呼称し、無線通信装置2-1~4を端末装置2-1~4とも呼称する。また、無線通信装置2-1~4および端末装置2-1~4を、無線通信装置1-1に接続されている装置として、無線通信装置2Aおよび端末装置2Aとも呼称する。無線通信装置1-1及び無線通信装置2Aは、無線接続されており、お互いにPPDUの送受信を行うことができる状態にある。また、本実施形態に係る無線通信システムは、無線通信システム3-1の他に無線通信システム3-2を備える。無線通信システム3-2は、無線通信装置1-2及び無線通信装置2-5~8を備えている。なお、無線通信装置1-2を基地局装置1-2とも呼称し、無線通信装置2-5~8を端末装置2-5~8とも呼称する。また、また、無線通信装置2-5~8および端末装置2-5~8を、無線通信装置1-2に接続されている装置として、無線通信装置2Bおよび端末装置2Bとも呼称する。無線通信システム3-1と無線通信システム3-2は異なるBSSを形成するが、これはESS(Extended Service Set)が異なることを必ずしも意味していない。ESSは、LAN(Local Area Network)を形成するサービスセットを示している。つまり、同じESSに属する無線通信装置は、上位層から同一のネットワークに属しているとみなされることができる。なお、無線通信システム3-1および3-2は、さらに複数の無線通信装置を備えることも可能である。
図5において、以下の説明においては、無線通信装置2Aが送信する信号は、無線送信装置1-1および無線通信装置2Bには到達する一方で、無線通信装置1-2には到達しないものとする。つまり、無線通信装置2Aがあるチャネルを使って信号を送信すると、無線通信装置1-1と、無線通信装置2Bは、当該チャネルをビジー状態と判断する一方で、無線通信装置1-2は、当該チャネルをアイドル状態と判断する。また、無線通信装置2Bが送信する信号は、無線送信装置1-2および無線通信装置2Aには到達する一方で、無線通信装置1-1には到達しないものとする。つまり、無線通信装置2Bがあるチャネルを使って信号を送信すると、無線通信装置1-2と、無線通信装置2Aは、当該チャネルをビジー状態と判断する一方で、無線通信装置1-1は、当該チャネルをアイドル状態と判断する。
図6は、無線通信装置1-1、1-2、2A及び2B(以下では、まとめて無線通信装置10-1もしくはステーション装置10-1もしくは単にステーション装置とも呼称)の装置構成の一例を示した図である。無線通信装置10-1は、上位層部(上位層処理ステップ)10001-1と、自律分散制御部(自律分散制御ステップ)10002-1と、送信部(送信ステップ)10003-1と、受信部(受信ステップ)10004-1と、アンテナ部10005-1と、を含んだ構成である。
上位層部10001-1は、他のネットワークと接続され、自律分散制御部10002-1にトラフィックに関する情報を通知することができる。トラフィックに関する情報とは、例えば、他の無線通信装置宛ての情報であっても良いし、マネージメントフレームやコントロールフレームに含まれる制御情報でも良い。
図7は、自律分散制御部10002-1の装置構成の一例を示した図である。自律分散制御部10002-1は、CCA部(CCAステップ)10002a-1と、バックオフ部(バックオフステップ)10002b-1と、送信判断部(送信判断ステップ)10002c-1とを含んだ構成である。
CCA部10002a-1は、受信部から通知される、無線リソースを介して受信する受信信号電力に関する情報と、受信信号に関する情報(復号後の情報を含む)のいずれか一方、または両方を用いて、当該無線リソースの状態判断(busyまたはidleの判断を含む)を行うことができる。CCA部10002a-1は、当該無線リソースの状態判断情報を、バックオフ部10002b-1及び送信判断部10002c-1に通知することができる。
バックオフ部10002b-1は、無線リソースの状態判断情報を用いて、バックオフを行うことができる。バックオフ部10002b-1は、CWを生成し、カウントダウン機能を有する。例えば、無線リソースの状態判断情報がidleを示す場合に、CWのカウントダウンを実行し、無線リソースの状態判断情報がbusyを示す場合に、CWのカウントダウンを停止することができる。バックオフ部10002b-1は、CWの値を送信判断部10002c-1に通知することができる。
送信判断部10002c-1は、無線リソースの状態判断情報、またはCWの値のいずれか一方、あるいは両方を用いて送信判断を行う。例えば、無線リソースの状態判断情報がidleを示し、CWの値が0の時に送信判断情報を送信部10003-1に通知することができる。また、無線リソースの状態判断情報がidleを示す場合に送信判断情報を送信部10003-1に通知することができる。
送信部10003-1は、物理層フレーム生成部(物理層フレーム生成ステップ)10003a-1と、無線送信部(無線送信ステップ)10003b-1とを含んだ構成である。物理層フレーム生成部10003a-1は、送信判断部10002c-1から通知される送信判断情報に基づき、物理層フレーム(PPDU)を生成する機能を有する。物理層フレーム生成部10003a-1は、上位層から送られる送信フレームに対して誤り訂正符号化、変調、プレコーディングフィルタ乗算等を施す。物理層フレーム生成部10003a-1は、生成した物理層フレームを無線送信部10003b-1に通知する。
図8は本実施形態に係る物理フレーム生成部の誤り訂正符号化の一例を示す図である。図8に示すように、斜線の領域には、情報ビット(システマティックビット)系列、白抜きの領域には冗長(パリティ)ビット系列が配置される。情報ビットおよび冗長ビットはそれぞれ適切にビットインターリーバが適用されている。物理フレーム生成部は配置されたビット系列に対し、リダンダンシーバージョン(RV)の値に応じて決定される開始位置として、必要なビット数を読み出すことができる。ビット数を調整することで符号化率の柔軟な変更、すなわちパンクチャリングが可能となる。なお、図8においては、RVは全部で4通りが示されているが、本実施形態に係る誤り訂正符号化において、RVの選択肢は、特定の値に限定されるものではない。RVの位置については、ステーション装置間で共有されている必要がある。
物理層フレーム生成部は、MACレイヤから転送されてきた情報ビットに対して、誤り訂正符号化を施すが、誤り訂正符号化を施す単位(符号化ブロック長)は何かに限定されるものではない。例えば、物理層フレーム生成部は、MACレイヤから転送されてきた情報ビット系列を所定の長さの情報ビット系列に分割し、それぞれに誤り訂正符号化を施し、複数の符号化ブロックとすることができる。なお、符号化ブロックを構成する際に、MACレイヤから転送されてきた情報ビット系列にダミービットを挿入することもできる。
物理層フレーム生成部10003a-1が生成するフレームには、制御情報が含まれる。該制御情報には、各無線通信装置宛てのデータが、どのRU(ここでRUには周波数リソースと空間リソースの両方を含む)に配置されているかを示す情報が含まれる。また、物理層フレーム生成部10003a-1が生成するフレームには、宛先端末である無線通信装置にフレーム送信を指示するトリガーフレームが含まれる。該トリガーフレームには、フレーム送信を指示された無線通信装置がフレームを送信する際に用いるRUを示す情報が含まれている。
無線送信部10003b-1は、物理層フレーム生成部10003a-1が生成する物理層フレームを、無線周波数(RF:Radio Frequency)帯の信号に変換し、無線周波数信号を生成する。無線送信部10003b-1が行う処理には、デジタル・アナログ変換、フィルタリング、ベースバンド帯からRF帯への周波数変換等が含まれる。
受信部10004-1は、無線受信部(無線受信ステップ)10004a-1と、信号復調部(信号復調ステップ)10004b-1を含んだ構成である。受信部10004-1は、アンテナ部10005-1が受信するRF帯の信号から受信信号電力に関する情報を生成する。受信部10004-1は、受信信号電力に関する情報と、受信信号に関する情報をCCA部10002a-1に通知することができる。
無線受信部10004a-1は、アンテナ部10005-1が受信するRF帯の信号をベースバンド信号に変換し、物理層信号(例えば、物理層フレーム)を生成する機能を有する。無線受信部10004a-1が行う処理には、RF帯からベースバンド帯への周波数変換処理、フィルタリング、アナログ・デジタル変換が含まれる。
信号復調部10004b-1は、無線受信部10004a-1が生成する物理層信号を復調する機能を有する。信号復調部10004b-1が行う処理には、チャネル等化、デマッピング、誤り訂正復号化等が含まれる。信号復調部10004b-1は、物理層信号から、例えば、物理層ヘッダが含む情報と、MACヘッダが含む情報と、送信フレームが含む情報とを取り出すことができる。信号復調部10004b-1は、取り出した情報を上位層部10001-1に通知することができる。なお、信号復調部10004b-1は、物理層ヘッダが含む情報と、MACヘッダが含む情報と、送信フレームが含む情報のいずれか、あるいは全てを取り出すことができる。
アンテナ部10005-1は、無線送信部10003b-1が生成する無線周波数信号を、無線装置0-1に向けて、無線空間に送信する機能を有する。また、アンテナ部10005-1は、無線装置0-1から送信される無線周波数信号を受信する機能を有する。
無線通信装置10-1は、送信するフレームのPHYヘッダやMACヘッダに、自装置が無線媒体を利用する期間を示す情報を記載することにより、自装置周辺の無線通信装置に当該期間だけNAVを設定させることができる。例えば、無線通信装置10-1は送信するフレームのDuration/IDフィールドまたはLengthフィールドに当該期間を示す情報を記載することができる。自装置周辺の無線通信装置に設定されたNAV期間を、無線通信装置10-1が獲得したTXOP期間(もしくは単にTXOP)と呼ぶこととする。そして、該TXOPを獲得した無線通信装置10-1を、TXOP獲得者(TXOP holder、TXOPホルダー)と呼ぶ。無線通信装置10-1がTXOPを獲得するために送信するフレームのフレームタイプは何かに限定されるものではなく、コントロールフレーム(例えばRTSフレームやCTS-to-selfフレーム)でも良いし、データフレームでも良い。
TXOPホルダーである無線通信装置10-1は、該TXOPの間で、自装置以外の無線通信装置に対して、フレームを送信することができる。無線通信装置1-1がTXOPホルダーであった場合、該TXOPの期間内で、無線通信装置1-1は無線通信装置2Aに対してフレームを送信することができる。また、無線通信装置1-1は、該TXOP期間内で、無線通信装置2Aに対して、無線通信装置1-1宛てのフレーム送信を指示することができる。無線通信装置1-1は、該TXOP期間内で、無線通信装置2Aに対して、無線通信装置1-1宛てのフレーム送信を指示する情報を含むトリガーフレームを送信することができる。
無線通信装置1-1は、フレーム送信を行なう可能性のある全通信帯域(例えばOperationbandwidth)に対してTXOPを確保してもよいし、実際にフレームを送信する通信帯域(例えばTransmissionbandwidth)等の特定の通信帯域(Band)に対して確保してもよい。
無線通信装置1-1が獲得したTXOPの期間内でフレーム送信の指示を行なう無線通信装置は、必ずしも自装置に接続されている無線通信装置には限定されない。例えば、無線通信装置は、自装置の周辺にいる無線通信装置にReassociationフレームなどのマネージメントフレームや、RTS/CTSフレーム等のコントロールフレームを送信させるために、自装置に接続されていない無線通信装置に、フレームの送信を指示することができる。
本実施形態において、ステーション装置の信号復調部は、受信した信号に対して、物理レイヤにおいて、復号処理を行い、誤り検出を行うことができる。ここで復号処理は、受信した信号に適用されている誤り訂正符号に対する復号処理を含む。ここで、誤り検出は、受信した信号に予め付与されている誤り検出符号(例えば巡回冗長検査(CRC)符号)を用いた誤り検出や、もともと誤り検出機能を備える誤り訂正符号(例えば低密度パリティ検査符号(LDPC))による誤り検出を含む。物理レイヤにおける復号処理は、符号化ブロック毎に適用されることが可能である。
上位層部は、信号復調部における物理レイヤの復号の結果をMACレイヤに転送する。MACレイヤでは、転送されてきた物理レイヤの復号結果から、MACレイヤの信号を復元する。そして、MACレイヤにおいて、誤り検出を行い、受信フレームの送信元のステーション装置が送信したMACレイヤの信号が正しく復元できたか否かを判断する。
本実施形態に係る通信装置は、複数の接続(リンク)を維持することができる。ここで、接続を維持するということは、所定の設定に基づいてフレームの送受信を行うことができることを意味する。図9は本実施形態に係る通信の様子を示す概要図である。図9に示すように、本実施形態に係るアクセスポイント装置1-1は、ステーション装置2-1とステーション装置2-2との接続をそれぞれ異なるキャリア周波数を用いて維持することができる。例えば、本実施形態に係るアクセスポイント装置1-1は、ステーション装置2-1との間の接続9-1に対しては2.4GHz帯の周波数を設定し、ステーション装置2-2との間の接続9-2に対しては5GHz帯の周波数を設定することができる。
図10は本実施形態に係る通信の様子を示す概要図である。図10に示すように、本実施形態に係るアクセスポイント装置1-1は、ステーション装置2-1に対して、2つの接続を維持することができる。例えば、接続10-1に対しては2.4GHz帯の周波数を設定し、接続10-2に対しては5GHz帯の周波数を設定することができる。このように設定することで、アクセスポイント装置1-1は、2つの周波数を用いて、ステーション装置2-1とフレーム交換を実施することが可能となる。
本実施形態に係る通信装置は、複数の接続を維持している場合、それぞれの接続において、それぞれ独立にフレーム交換を行うことが可能である。このことは、各接続の通信状態によっては、1つの接続でフレーム送信が実施されているときに、別の接続においてはフレーム受信が実施されている場合があることを意味している。そのため、通信装置はフレーム送信とフレーム受信を同時に行う同時送受信(Simultaneously Transmission and Reception:STR)に対応しなければならないことを意味している。しかし、すべての通信装置がSTRに対応することはできない。そのため、通信装置は、自装置および他の通信装置のSTRの対応の有無に応じて、適切に通信を実施しなければならない。本実施形態に係る通信装置は、自装置が維持する複数の接続の接続先が同じ通信装置であるか異なる通信装置であるかで、通信方法を変更することができる。
本実施形態に係る通信装置は、自装置が維持する複数の接続の接続先が異なる通信装置であるか、同じ通信装置であるかの何れであるかを判断し、各接続で送信するフレームのフレーム長を設定する。図11は本実施形態に係る通信の様子を示す概要図である。図11に示すように、本実施形態に係るアクセスポイント装置は、維持している複数の接続の接続先が異なる設定である場合、各接続で送信するフレームの終わり(フレームエンド)が揃うようにフレーム長を設定する。このように設定することで、アクセスポイント装置が各ステーション装置から受信する応答フレーム(ACKフレーム等)を同時に受信することができ、また、自装置が1つの接続でフレーム送信中である場合に、別の接続でフレーム受信を行う必要がなくなる。
アクセスポイント装置は、2つの接続のフレーム長を設定するために、フレームにダミー信号を挿入することができる。図12は本実施形態に係るフレームの一例を示す概要図である。図12(1)に示すように、アクセスポイント装置は、送信フレーム12-1にダミー信号12-2を挿入し、送信フレームのPHYヘッダ(もしくはMACヘッダ、おしくはフレームボディ内部)にダミー信号12-2が挿入されていることを示す情報を記載することができる。このときアクセスポイント装置は、ステーション装置2-1に対しては、期間12-11もしくは期間12-12に関連付けられた情報を通知する一方で、ステーション装置2-1以外の通信装置に対しては期間12-10に関連付けられた情報を通知することが望ましい。例えば、アクセスポイント装置は、EHT-SIGに期間12-11もしくは期間12-12に関連付けられた情報を記載する一方で、L-SIGには、期間12-10に関連付けられた情報を記載することができる。
また、アクセスポイント装置は、図12(2)に示すように、実際にダミー信号を挿入せずに、無送信区間12-3を挿入し、送信フレーム12-1のPHYヘッダに、アクセスポイント装置が想定するフレーム長を示す情報を記載することができる。例えば、アクセスポイント装置は、EHT-SIGに期間12-11もしくは期間12-12に関連付けられた情報を記載する一方で、L-SIGには、期間12-10に関連付けられた情報を記載することができれば、アクセスポイント装置は、ダミー信号12-2は必ずしも送信する必要はない。このように設定することで、アクセスポイント装置は消費電力を抑えることができ、また周辺のBSSへの与干渉を小さくすることができる。しかし、期間12-12を示す情報を正しく取得することが出来なかった通信装置は、期間12-11において、フレーム送信を行ってしまう可能性がある。そのため、アクセスポイント装置は、フレームに無送信区間12-3を挿入する場合は、事前にRTS/CTSフレーム交換によって、予めTXOPを確保しておくことができる。
本実施形態に係るステーション装置であって、図12に示す送信フレーム12-1の宛先にはなっていない場合、期間12-12を認識し、また、期間12-12が無送信区間12-3であると認識した場合に、所定の条件下においては、無送信区間12-3を含む期間12-10の一部でフレーム送信を行うことができる。所定の条件として、例えば、ステーション装置が属するBSSが、該送信フレームを送信した通信装置が属するBSSとは異なる場合である。この場合、ステーション装置は、送信フレーム12-1の宛先となる通信装置とは地理的に離れている可能性があり、お互いに与える干渉の影響が限定的になるためである。また、所定の条件としては、送信フレーム12-1のHET SIGに無送信区間12-3におけるフレーム送信を許可することを示す情報が記載されている場合がある。当然、フレーム送信を禁止することが示されていれば、無送信区間12-3においてフレーム送信を行うことができない。なお、フレーム送信を許可するか否かを示す情報は、送信フレーム12-1のPHYヘッダに記載されることができるが、送信フレーム12-1のPHYヘッダには、送信フレーム12-1が送信される接続に関する情報に加えて、他の接続に関連付けられ情報を記載することも可能である。
アクセスポイント装置は、複数の接続を用いて送信フレームを送信する場合、該送信フレームに、宛先に関連付けられた情報を記載することができる。従来の無線LAN規格と同様にアクセスポイント装置は該送信フレームのMACヘッダに宛先フィールドに、宛先通信装置のMACアドレスを記載することができる。また、本実施形態に係るアクセスポイント装置は、MACヘッダの宛先フィールドに所定の情報を記載することができる。例えば、アクセスポイント装置は、宛先フィールドに自装置のMACアドレスを記載し、該送信フレームのEHT SIGに該宛先通信装置を示す情報(AID、Partial AID, MACアドレス)を記載することができる。このように設定することで、レガシー通信装置は、少なくとも自装置宛の送信フレームではないことが分かる一方で、本実施形態に係る通信装置は、EHT SIGを読み取ることで、自装置宛の送信フレームであるか否かを判断することができる。
該宛先通信装置を示す情報は、複数の接続で送信されている送信フレームの全てに記載する必要は必ずしもない。例えば、アクセスポイント装置が、複数の接続を用いて同じ通信装置にフレームを送信している場合、複数の接続で送信されているフレームの何れか一つに宛先通信装置を示す情報を記載する一方で、他の送信フレームには、アクセスポイント装置によって維持されている他の接続を示す情報(例えば、先に記載した、宛先通信装置を示す情報が記載されたフレームが送信されている接続)を記載することもできる。
また、アクセスポイント装置は、複数の接続を用いてフレームを送信する場合に、フレームの宛先通信装置の記載方法によって、それぞれのフレームのフレームエンドが揃っているか否かを通知することができる。例えば、アクセスポイント装置は、フレームエンドを揃えない場合は、EHT-SIGに宛先通信装置を示す情報を記載しない、もしくは当該フィールドに所定の情報を記載することができる。これは、アクセスポイント装置がSTRに対応している、もしくはSTRの機能を停止してないのであれば、複数の接続において、フレームの送受信が同時に行われいても問題ないからである。
アクセスポイント装置がSTRに対応しているか否か、もしくは複数の接続に設定されている無線パラメータにおいて、アクセスポイント装置がSTRを実施できるか否かに基づいて、アクセスポイント装置は、フレームエンドを揃えるか否かを決定することができる。アクセスポイント装置は、複数の接続に設定するキャリア周波数の周波数差が所定の値以下であった場合、フレームエンドを揃えることができる。
アクセスポイント装置は、フレームの送信を企図したとき(送信するデータが自装置のバッファに発生した場合、もしくは接続されているステーション装置にフレーム送信を要求する場合)、複数の接続において、それぞれバックオフ処理を行うことができる。アクセスポイント装置は、複数の接続において、共通のバックオフカウンタを設定し、各接続において、無線媒体がアイドルであった場合に、バックオフカウンタを減らす(デクリメント)することができる。このとき、複数の接続において、少なくとも1つの接続において無線媒体がアイドルと判断された場合は、バックオフ処理を継続する。そして、バックオフカウンタが0となった場合、その時点で無線媒体がアイドルと判断されている接続において、フレーム送信を行うことができる。なお、該バックオフ処理の途中で、無線媒体がビジーであると判断された接続においては、その後に、該バックオフ処理の最中に再び無線媒体がアイドルと判断されたとしても、該接続においては、フレーム送信は行わない。
アクセスポイント装置は、MLOにおいては、複数のバックオフ処理を並列に実施することができる。アクセスポイント装置は、複数の接続毎にランダムバックオフカウンタを設定することができる。そして、各接続において、バックオフカウンタが0になった場合、該接続においてフレーム送信を行うことが可能である。
アクセスポイント装置は、通常のバックオフ処理に加えて、MLO専用のバックオフ処理を実施することができる。アクセスポイント装置は、MLOにおいて、所定の接続(プライマリ接続、コントロール接続)において、通常のバックオフ処理を実施する一方で、該プライマリ接続以外の複数の接続においては、MLO専用のバックオフカウンタを設定し、該プライマリ接続以外の複数の接続の少なくとも1つの無線媒体がアイドルと判断され、かつプライマリ接続の無線媒体がアイドルと判断されている場合、該MLO専用のバックオフカウンタの値を減らすことができる。アクセスポイント装置は、プライマリ接続におけるバックオフカウンタが0となり、かつその時点でMLO専用のバックオフカウンタが0となっていた場合、プライマリ接続と、MLO専用のバックオフカウンタが0となるまで無線媒体がアイドルと判断され続けた接続において、フレーム送信を行うことができる。また、アクセスポイント装置は、MLO専用のバックオフカウンタを、プライマリ接続以外の複数の接続において、それぞれ独立に設定することができる。この場合、プライマリ接続におけるバックオフカウンタが0となった場合に、MLO専用のバックオフカウンタが0となっている複数の接続において、フレーム送信をアクセスポイント装置は実施することができる。また、アクセスポイント装置は、複数の接続に設定したMLO専用のバックオフカウンタが所定の値より小さい場合に、該MLO専用のバックオフカウンタに関連付けられた接続において、フレーム送信を行うことができる。
アクセスポイント装置は、接続されている複数のステーション装置に対して、自装置が維持している複数の接続を用いて、フレーム送信を実施させることができる。このとき、アクセスポイント装置は、各ステーションに対して、フレーム送信を行う接続を維持することができる。アクセスポイント装置は、各ステーションのフレーム送信を引き起こすトリガーフレームを送信することができる。アクセスポイント装置は、該トリガーフレームに、各ステーションがフレーム送信を実施する接続に関連付けられた情報を記載することができる。なお、該トリガーフレームには、該トリガーフレームの宛先端末装置に対して、キャリアセンスを実施させるか否かを示す情報を含めることができる。該トリガーフレームは、複数のステーションを宛先とすることができる。このとき、該トリガーフレームには、アクセスポイント装置が該トリガーフレームを送信する接続とは異なる接続に関する情報を記載することができる。例えば、アクセスポイント装置が、第1の接続に基づいて該トリガーフレームを送信する場合に、該トリガーフレームの宛先であるステーション装置に対して、第2の接続に基づいたフレーム送信を引き起こすことができる。
アクセスポイント装置は、接続されている複数のステーション装置に対して、フレーム送信を行うことができる複数の接続の候補を通知することができる。アクセスポイント装置は各ステーション装置に対して送信するトリガーフレームに、フレーム送信を行うことができる複数の接続の候補を記載することができる。このとき、ステーション装置は、該トリガーフレームに記載されている複数の接続の候補から、任意の1つ、もしくは複数の接続を選択してフレーム送信を行うことが可能である。ただし、この場合、他のステーション装置が送信するフレームと、自装置が送信したフレームが衝突してしまう可能性がある。
そこで、アクセスポイント装置は、MLOにおいて、各ステーション装置にフレーム送信を指示する場合、専用のバックオフカウンタを各ステーションに設定することができる。例えば、アクセスポイント装置は、ビーコンフレームやMLOを設定する際に送信するフレーム(MLO setup frame)に対して、該専用のバックオフカウンタに関する情報(ランダムバックオフ値の初期乱数に関連付けられた値)を記載することができる。
各ステーション装置は、該専用のバックオフカウンタに関する情報に基づいて、それぞれMLO専用のバックオフ値を設定することができる。そして、各ステーション装置は、アクセスポイント装置から送信されるトリガーフレームに、フレーム送信が可能な複数の接続の候補が記載されていた場合、該専用のバックオフカウンタを減らし、該専用のバックオフカウンタが0となった場合、該複数の接続の候補から、1つもしくは複数の接続を選択し、フレーム送信を行うことができる。該専用のバックオフカウンタの減らし方は、何かに限定されるものではなく、例えば、該トリガーフレームを受信するたびに、ステーション装置は所定数だけ該専用のバックオフカウンタを減らすことができる。例えば、ステーション装置は、該トリガーフレームを受信してから、該複数の接続の候補のうち、少なくとも1つの接続において無線媒体がアイドルと判断できた場合、該専用のバックオフカウンタを減らすことができる。この場合、ステーション装置は、該専用のバックオフカウンタが0となるまで、一度も無線媒体がビジーとならなかった接続において、フレーム送信を行うことができる。
ステーション装置は、アクセスポイント装置が実施するMLOへの参加を拒否することを、アクセスポイント装置に通知することができる。これは、ステーション装置が、アクセスポイント装置への接続時に、自装置が、MLOへの参加の能力を保有していることを通知している場合も同様である。
本実施形態に係るアクセスポイント装置とステーション装置は同じ動作を行うことができる。すなわち、ステーション装置は、異なるアクセスポイント装置との間でMLOを設定することができる。この場合、ステーション装置は、各アクセスポイント装置に対して、自装置が、他のアクセスポイント装置との接続を維持していることを通知することができる。また、ステーション装置は、自装置が接続している複数のアクセスポイント装置が、それぞれ異なるBSSに属していた場合でも、それぞれのアクセスポイント装置が送信するフレームは、自装置が接続しているBSSと同じBSSに属しているフレームと認識することができる。すなわち、通常、第1のアクセスポイント装置と接続している第1のステーション装置は、第1のアクセスポイント装置とは異なるBSSを形成している第2のアクセスポイント装置が送信しているフレームは、自装置が接続しているBSSとは異なるBSS(Overlapped BSS:OBSS)のフレーム(inter BSS frame)と認識する。しかし、本実施形態に係るステーション装置は、第1のアクセスポイント装置と第2のアクセスポイント装置への両方の接続を維持している場合、第1のアクセスポイント装置が送信するフレームと、第2のアクセスポイント装置が送信するフレームはいずれも、自装置が接続するBSSのフレーム(intra BSS frame)と認識することができる。
ただし、以上の方法によれば、ステーション装置に対するマネージメント効率は向上する一方で、intra BSS frameの検出によるフレーム送信機会の喪失も招いてしまう。そこで、本実施形態のステーション装置は、複数のアクセスポイント装置との接続を維持している場合、該複数のアクセスポイント装置が送信するフレームを、すべてinter BSS frameと認識することも可能である。
本実施形態に係るアクセスポイント装置およびステーション装置は、送信するフレームに自装置が接続しているBSSに関連付けられた情報(BSS color)を記載することができるが、アクセスポイント装置およびステーション装置は、MLOにおいて、複数の接続を用いる場合、該BSSに関連付けられた情報として、複数の接続を用いない場合とは、異なる情報を記載することができる。該異なる情報は、新たなBSSを示す情報でも良いし、MLOに関連付けられたフレームであることを示す情報でも良い。
以上、説明してきた方法によれば、通信装置は効率的に複数の接続を用いた通信を実施することができるから、周波数利用効率の改善が実現される。
[2.全実施形態共通]
[2.全実施形態共通]
本発明に係る無線通信装置で動作するプログラムは、本発明に関わる上記実施形態の機能を実現するように、CPU等を制御するプログラム(コンピュータを機能させるプログラム)である。そして、これら装置で取り扱われる情報は、その処理時に一時的にRAMに蓄積され、その後、各種ROMやHDDに格納され、必要に応じてCPUによって読み出し、修正・書き込みが行なわれる。プログラムを格納する記録媒体としては、半導体媒体(例えば、ROM、不揮発性メモリカード等)、光記録媒体(例えば、DVD、MO、MD、CD、BD等)、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等のいずれであってもよい。また、ロードしたプログラムを実行することにより、上述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、オペレーティングシステムあるいは他のアプリケーションプログラム等と共同して処理することにより、本発明の機能が実現される場合もある。
また市場に流通させる場合には、可搬型の記録媒体にプログラムを格納して流通させたり、インターネット等のネットワークを介して接続されたサーバコンピュータに転送したりすることができる。この場合、サーバコンピュータの記憶装置も本発明に含まれる。また、上述した実施形態における通信装置の一部、または全部を典型的には集積回路であるLSIとして実現してもよい。通信装置の各機能ブロックは個別にチップ化してもよいし、一部、または全部を集積してチップ化してもよい。各機能ブロックを集積回路化した場合に、それらを制御する集積回路制御部が付加される。
また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現しても良い。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いることも可能である。
なお、本願発明は上述の実施形態に限定されるものではない。本願発明の無線通信装置は、移動局装置への適用に限定されるものではなく、屋内外に設置される据え置き型、または非可動型の電子機器、たとえば、AV機器、キッチン機器、掃除・洗濯機器、空調機器、オフィス機器、自動販売機、その他生活機器などに適用出来ることは言うまでもない。
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も特許請求の範囲に含まれる。
本発明は、通信装置、および通信方法に用いて好適である。
1-1、1-2 アクセスポイント装置
2-1~8 ステーション装置
3-1、3-2 管理範囲
10001-1 上位層部
10002-1 自律分散制御部
10002a-1 CCA部
10002b-1 バックオフ部
10002c-1 送信判断部
10003-1 送信部
10003a-1 物理層フレーム生成部
10003b-1 無線送信部
10004-1 受信部
10004a-1 無線受信部
10004b-1 信号復調部
10005-1 アンテナ部
2-1~8 ステーション装置
3-1、3-2 管理範囲
10001-1 上位層部
10002-1 自律分散制御部
10002a-1 CCA部
10002b-1 バックオフ部
10002c-1 送信判断部
10003-1 送信部
10003a-1 物理層フレーム生成部
10003b-1 無線送信部
10004-1 受信部
10004a-1 無線受信部
10004b-1 信号復調部
10005-1 アンテナ部
Claims (5)
- 第1の接続と第2の接続を維持する通信装置であって、
第1のフレームと第2のフレームを生成するフレーム生成部と、
前記第1の接続に基づいて、前記第1のフレームを送信し、前記第2の接続に基づいて前記第2のフレームを送信する送信部と、を備え、
前記第1のフレームの宛先情報と、前記第2のフレームの宛先情報に基づいて、前記第1のフレームのフレーム長と、前記第2のフレームのフレーム長を設定する通信装置。 - 前記第1のフレームの宛先情報と、前記第2のフレームの宛先情報と、が前記第1のフレームと前記第2のフレームの宛先が同じであることを示す場合、前記第1のフレームのフレームエンドと、前記第2のフレームのフレームエンドと、が一致する、請求項1記載の通信装置。
- 前記第2のフレームの宛先情報が所定の情報を示す場合、前記第1のフレームのフレームエンドと、前記第2のフレームのフレームエンドと、が一致する、請求項1に記載の通信装置。
- 前記第1のフレームは、第1の期間と、第2の期間を備え、
前記フレーム生成部は、前記第1のフレームに、前記第1の期間と第2の期間を和で表される期間を示す情報と、前記第1の期間と前記第2の期間の何れか1つを示す情報と、を記載する、請求項1に記載の通信装置。 - 第1の接続と第2の接続を維持する通信装置の通信方法であって、
第1のフレームと第2のフレームを生成するステップと、
前記第1の接続に基づいて、前記第1のフレームを送信し、前記第2の接続に基づいて前記第2のフレームを送信するステップと、
前記第1のフレームの宛先情報と、前記第2のフレームの宛先情報に基づいて、前記第1のフレームのフレーム長と、前記第2のフレームのフレーム長を設定するステップと、を備える通信方法。
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---|---|---|---|
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JP2020093908A JP2023101035A (ja) | 2020-05-29 | 2020-05-29 | 通信装置、通信方法 |
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JP2020093908A Pending JP2023101035A (ja) | 2020-05-29 | 2020-05-29 | 通信装置、通信方法 |
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WO2019044535A1 (ja) * | 2017-08-31 | 2019-03-07 | ソニー株式会社 | 通信装置および方法 |
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- 2021-05-21 US US17/926,649 patent/US20230199882A1/en active Pending
- 2021-05-21 WO PCT/JP2021/019413 patent/WO2021241452A1/ja active Application Filing
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Publication number | Publication date |
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