JP2023099239A - 電波センサ及び物体検知方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本開示は、電波センサ及び物体検知方法に関する。
特許文献1は、道路に設置された電波センサを開示している。特許文献1の電波センサは、横断歩道を含むよう設定された対象エリアに電波を放射し、物体を検知する。特許文献2は、横断歩道を含むよう設定された対象エリア内に設置された参照物体の方向を測定することで、道路に設置された電波センサの向きのずれを認識することを開示している。
特許文献3は、車両に搭載されたレーダ装置を開示している。特許文献3のレーダ装置は、車両からの距離によって目標物体の検知角度範囲を変化させることを開示している。特許文献3のレーダ装置は、近距離の場合は検知角度範囲を広くし、遠距離の場合は検知角度範囲を狭くする。
道路等にインフラストラクチャーとして設置される電波センサの場合、電波センサによる監視領域である検知エリアが設定されることがある。なお、特許文献1及び特許文献2において、検知エリアは、対象エリアとして記載されている。
設定された検知エリアを監視する電波センサの場合、特許文献3のように、単に距離に応じて角度範囲が異なるだけでは、検知エリアの形状によっては、電波センサにおいて無駄な演算処理が発生することがある。例えば、特許文献3のレーダ装置のように、近距離の場合は角度範囲を広くし、遠距離の場合は度範囲を狭くすることでは、検知エリアの形状又は電波センサの設置場所によってはその検知エリアを適切にカバーできないこともある。検知エリアの形状又は電波センサの設置場所によっては、近距離の場合に角度範囲を狭くすべき場合もある。また、検知エリア内に物体検知が不要な場合のエリアが設定されることもあり、そのような場合も、単に距離に応じて角度範囲が異なるだけでは、無駄な演算が発生する。
このように、検知エリアの形状及び電波センサの設置場所は、様々であるため、単に距離に応じて角度範囲が異なるだけでは、電波センサによって無駄な演算処理が発生することがある。
したがって、無駄な演算処理を抑えることが望まれる。
本開示のある側面は、電波センサである。開示の電波センサは、前記電波センサによる監視領域である検知エリアに応じて設定された有効範囲を示す有効範囲データを記憶する記憶装置と、物体からの反射波の受信データに基づいて、前記反射波の到来方向の推定処理を実行するよう構成された処理装置と、を備え、前記受信データは、前記有効範囲内及び前記有効範囲外からの前記反射波を前記電波センサが受信することで得られるデータであり、前記処理装置は、前記有効範囲データが示す前記有効範囲に限定して、前記推定処理を実行するよう構成されている。
本開示の他の側面は、電波センサによる物体検知方法である。開示の方法は、前記電波センサによる監視領域である検知エリアに応じて設定された有効範囲及び前記有効範囲外からの反射波を受信することで受信データを得ること、前記受信データに基づいて、物体からの反射波の到来方向の推定処理を、処理装置が実行すること、を備え、前記推定処理は、前記有効範囲に限定して実行される。
本開示によれば、無駄な演算処理を抑えることができる。
[本開示の実施形態の説明]
(1)実施形態に係る電波センサは、前記電波センサによる監視領域である検知エリアに応じて設定された有効範囲を示す有効範囲データを記憶する記憶装置と、物体からの反射波の受信データに基づいて、前記反射波の到来方向の推定処理を実行するよう構成された処理装置と、を備える。前記受信データは、前記有効範囲内及び前記有効範囲外からの前記反射波を前記電波センサが受信することで得られるデータであるのが好ましい。前記処理装置は、前記有効範囲データが示す前記有効範囲に限定して、前記推定処理を実行するよう構成されているのが好ましい。有効範囲内に限定して推定処理が実行されるため、無駄な演算処理を抑えることができる。
(2)前記処理装置は、前記検知エリアを示す検知エリアデータに基づいて前記有効範囲データを生成する有効範囲設定処理を更に実行するよう構成されているのが好ましい。この場合、処理装置が有効範囲を設定できる。なお、電波センサは、外部で設定された有効範囲データを取得して、記憶してもよい。
(3)前記有効範囲は、角度方向を有し、前記角度方向における前記有効範囲は、基準値以上であるのが好ましい。この場合、有効範囲が小さくなりすぎるのを防止できる。
(4)前記記憶装置は、前記反射波の反射強度データを記憶するよう構成されているのが好ましい。前記反射強度データは、予め設定された最大範囲における前記反射強度データを格納可能に構成されているのが好ましい。前記有効範囲は、前記最大範囲内の一部の範囲であるのが好ましい。前記反射強度データは、前記有効範囲に対応した第1範囲と、前記有効範囲外に対応した第2範囲と、を有するのが好ましい。前記反射強度データの前記第1範囲には前記反射波の反射強度値が格納され、前記反射強度データの前記第2範囲には前記推定処理が行われていないことを示す値が格納されるのが好ましい。この場合、反射強度データにおいて、推定処理が行われてない箇所の判別が可能である。
(5)前記推定処理は、前記有効範囲内に設定された複数の角度帯毎に、前記到来方向を推定するよう構成されているのが好ましい。前記複数の角度帯は、第1角度帯と、前記第1角度帯とは角度幅が異なる第2角度帯と、を含むのが好ましい。この場合、異なる角度帯毎に到来方向を推定できる。
(6)前記有効範囲は、前記電波センサからの距離に応じた複数の距離帯を有し、前記複数の距離帯は、前記第1角度帯を有する第1距離帯と、前記第2角度帯を有する第2距離帯と、を含むのが好ましい。この場合、第1距離帯と第2距離帯とが、それぞれ、異なる角度帯を有することができる。
(7)前記有効範囲データは、前記有効範囲内に設定された前記複数の角度帯を示すよう構成されているのが好ましい。この場合、有効範囲データによって、角度帯を示すことができる。
(8)実施形態に係る電波センサによる物体検知方法は、前記電波センサによる監視領域である検知エリアに応じて設定された有効範囲及び前記有効範囲外からの反射波を受信することで受信データを得ること、前記受信データに基づいて、物体からの反射波の到来方向の推定処理を、処理装置が実行すること、を備える。前記推定処理は、前記有効範囲に限定して実行される。実施形態に係るコンピュータプログラムは、処理装置に前述の処理を実行させる。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な、非一時的な記憶媒体に格納される。
[本開示の実施形態の詳細]
図1は、実施形態に係る電波センサ10を示している。実施形態に係る電波センサ10は、例えば、道路における車両の監視、又は、歩道又は横断歩道における歩行者の監視に用いられる。電波センサ10は、例えば、インフラストラクチャーである道路設備として設置される。実施形態に係る電波センサ10は、インフラストラクチャー電波センサ又はインフラストラクチャーレーダとも呼ばれる。実施形態に係る電波センサ10は、車両に搭載される電波センサとは異なり、監視領域である検知エリアの近傍に据え置き設置される。
実施形態に係る電波センサ10は、図2に例示される検知エリアT1内の物体を監視するために設置される。検知エリアT1は、電波センサ10による監視領域である。図2では、検知エリアT1は、横断歩道200を含む範囲として設置される。この場合、電波センサ10は、検知エリアT1内を移動する歩行者等の物体を検知する。
なお、検知エリアT1は、車両が走行する道路を含む範囲として設置されてもよい。この場合、電波センサ10は、検知エリアT1内を移動する車両等の物体を検知する。
実施形態に係る電波センサ10は、照射した電波の反射によって物体を検知する。実施形態の電波センサ10は、ミリ波レーダセンサとして構成されている。図1に示すように、電波センサ10、物体検知のための電波を送信する送信器11と、送信した電波の反射波を受信する受信器13と、を備える。受信器13は、反射波の受信信号を出力する。電波センサは、電波センサ10から物体まで距離と、物体の存在角度と、を求める。距離と角度から、物体の2次元位置座標が特定される。
電波センサ10は、信号処理装置15を備える。信号処理装置15は、反射波の受信信号に対して信号処理を施した受信データを出力する。反射波の受信データは、電波センサ10が備える処理装置110へ与えられる。処理装置110は、例えば、CPUである。
実施形態に係る処理装置110は、有効範囲設定処理111を実行する。また、実施形態に係る処理装置110は、物体検知処理113を実行する。有効範囲設定処理111及び物体検知処理113については後述する。
電波センサ10は、処理装置110に接続された記憶装置120を備える。記憶装置120は、例えば、一次記憶装置及び二次記憶装置を有する。一次記憶装置は、例えば、RAMである。二次記憶装置は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)又はソリッドステートドライブ(SSD)である。
記憶装置120は、検知エリアデータ121及び有効範囲データを記憶する123を記憶する。また、記憶装置120は、反射強度データを記憶する。検知エリアデータ121、有効範囲データ123、及び反射強度データ125については後述する。
記憶装置120には、コンピュータプログラム150が格納されている。コンピュータプログラム150は、処理装置110に有効範囲設定処理111を実行させる。コンピュータプログラム150は、処理装置110に有効範囲設定処理111を実行させるためのプログラムコードを備える。またコンピュータプログラム150は、処理装置110に物体検知処理113を実行させる。コンピュータプログラム150は、処理装置110に物体検知処理113を実行させるプログラムコードを備える。処理装置110は、記憶装置120に格納されたコンピュータプログラム150を読み出して実行する。
電波センサ10は、外部装置との間で通信をするための通信インタフェース130を備える。通信インタフェース130は、無線通信又は有線通信用である。電波センサ10は、通信インタフェース130を介して、外部装置との間でデータを送受信することができる。外部装置は、例えば、ネットワーク上のサーバであってもよいし、他の電波センサ又は電波センサ以外の路側センサであってもよいし、電波センサ10に接続された機器であってもよい。
通信インタフェース130には、外部装置として、検知エリア設定装置20が接続される。検知エリア設定装置20は、検知エリアT1の設定のためのコンピュータプログラムが格納されたコンピュータである。検知エリアT1の設定作業者は、検知エリア設定装置20を用いて、検知エリアT1を設定する。検知エリアT1は、例えば、監視領域である横断歩道200の大きさ及び形状に応じて、横断歩道200及びその近傍を包含する大きさ及び形状に設定される。
検知エリア設定装置20は、設定作業者による決定エリア設定の操作に応じて、検知エリアT1を示す検知エリアデータ121を生成する。検知エリアデータ121は、検知エリアT1の形状を示す。検知エリアデータ121は、例えば、検知エリアT1近傍に設置された電波センサ10の位置を基準位置として、検知エリアデータ121の形状を画定するための座標データ等を含む。監視領域となる横断歩道又は道路の大きさ及び形状は、様々であるため、検知エリアT1の大きさ及び形状も様々である。検知エリアT1の設定作業によって、様々な監視領域に応じた適切な検知エリアT1が設定される。
電波センサ10の処理装置110は、検知エリアT1のどこに物体が存在しているかを示す2次元位置座標を求めることができる。これにより、検知エリアT1内における、歩行者等の移動軌跡等を求めることができる。
検知エリア設定装置20は、検知エリアデータ121を生成すると、検知エリアデータ121を電波センサ10へ出力する。電波センサ10は、通信インタフェース130を介して、検知エリアデータ121を受信すると、検知エリアデータ121を記憶装置120に保存する。保存された検知エリアデータ121は、電波センサ10の処理装置110による、有効範囲データ123の生成に用いられる。
図3は、処理装置110によって実行される有効範囲設定処理111の手順を示している。実施形態において、有効範囲は、電波センサ10からみた角度方向と距離方向とを有する。ステップS11において、処理装置110は、記憶装置120から検知エリアデータ121を読み出す。ステップS12において、処理装置110は、検知エリアデータ121が示す検知エリアT1(第1検知エリア)の周囲に所定幅のマージンを確保した第2検知エリアT2を設定する。図4は、第1検知エリアT1及び第2検知エリアT2(マージン付き検知エリアT2)を示している。なお、第1検知エリアT1の周囲のマージンは確保されていなくてもよいが、マージンを確保すると、第1検知エリアT1外であるが、マージン内の物体を検知でき有利である。
ステップS13において、処理装置110は、第2検知エリアT2をカバーするために必要な有効角度範囲Cを複数の距離帯D毎に設定する。距離帯Dは、電波センサ10からの距離に応じた領域である。距離帯Dは、例えば、1m単位で設定されるが、距離帯Dの単位が特に限定されない。例えば、第2検知エリアT2が電波センサ10から20m先まで存在する場合、1m単位の距離帯Dが20個設定される。距離帯D毎に設定される有効角度範囲Cは、第2検知エリアT2をカバーするために必要最小限でよい。したがって、図4に示すように、距離帯D毎に、有効角度範囲Cは異なる。第2検知エリアT2の形状に応じて、距離帯D毎の有効角度範囲Cを自由に設定できるため、柔軟な有効角度範囲Cの設定が可能である。
図4では、電波センサ10から遠い距離帯Dほど、有効角度範囲Cが小さくなっている。ただし、図4の有効角度範囲Cの設定は、一例であり、このような設定に限定されるわけではない。例えば、図5に示す電波センサ10の配置であると、電波センサ10に比較的近い距離帯における第1角度範囲G1よりも、やや遠い距離帯における第2角度範囲G2の方が広くなる。また、第2角度範囲G2よりも、さらに遠い距離帯における第2角度範囲G3の方が狭くなる。このように、電波センサ10から遠くなっても、一律に角度範囲が小さくならない場合もある。しかし、本実施形態によれば、距離帯D毎に有効角度範囲Cを設定できるため、図5の場合であっても、必要最小限の有効角度範囲Cを設定できる。
また、図6に示すように、検知エリアT1内に電柱220又は木が存在する場合、検知エリアT1内に非検知エリア230を設定したい場合がある。電柱220等が存在する場所を、非検知エリア230として設定しておくことで、電柱220等を人などの検知対象の物体として誤検知することを防止できる。なお、検知エリアT1内の非検知エリア230は、人が入れない場所であってもよい。
例えば、ある距離帯Dの-10°から+10°の範囲に電柱220が存在し、その範囲を非検知エリア230にしたい場合、本実施形態では、その距離帯Dの有効角度範囲Cを例えば、-40°から-10°及び+10°から+40に設定することができる。このように、本実施形態によれば、距離帯D毎に有効角度範囲Cを設定できるため、図6のように非検知エリア230に対応する角度を避けて、有効角度範囲Cを設定できる。
図7は、ステップS13の設定によって、処理装置110によって生成される有効範囲データ123の例を示している。有効範囲データ123は、予め設定された最大範囲内における有効範囲及び無効範囲を示すよう構成されている。有効範囲は、前述した複数の有効角度範囲Cの集合である。有効範囲は、後述の到来方向の推定処理S24が実行される範囲である。無効範囲は、後述の到来方向の推定処理S24が実行されない範囲である。有効範囲は、ステップS13の処理により、最大範囲内において、検知エリアT1に応じた範囲として設定される。無効範囲は、最大範囲内において、有効範囲以外の範囲である。
実施形態において、最大範囲は、電波センサ10からの最大距離と最大角度範囲Mとによって画定される。最大距離は、例えば、電波センサ10から100mである。最大角度範囲Mは、例えば、図4に示すように-90°から90°である。
図7に示す有効範囲データ123は、距離帯D毎に有効範囲及び無効範囲を示す。図7では、距離帯D毎の有効範囲は、有効角度範囲C1,C2,C3として示されている。図7に示す有効範囲データ123は、一例として、電波センサ10から9mの距離帯Dにおける有効角度範囲C1及び無効範囲F、10mの距離帯Dにおける有効角度範囲C2及び無効範囲F、並びに11mの距離帯Dにおける有効角度範囲C3及び無効範囲Fを示している。
有効範囲データ123では、各距離帯Dにおいて、有効範囲にある角度は「1」で示され、無効範囲にある角度は「0」で示されている。「1」で示された範囲の集合が有効範囲となり、「0」で示された範囲の集合が無効範囲となる。図7では、距離帯D毎に異なる有効角度範囲C1,C2,C3が設定されている。図7に示す有効範囲データ123では、各距離帯Dにおいて角度毎に有効/無効を設定可能である。したがって、任意の形状の検知エリアT1に対応した有効範囲を柔軟に設定できる。
図3のステップS14において、処理装置110は、ステップS13において設定された各距離帯Dの有効角度範囲Cが基準値以上であるか否かを判定する。なお、ここでの判定の対象となる距離帯Dは、有効角度範囲Cが存在する距離帯Dである。有効角度範囲Cが全く存在しない距離帯Dは、判定の対象にならない。
ある距離帯Dにおいて、有効角度範囲Cが基準値以上(ステップS14において「YES」)であれば、ステップS13において設定された有効角度範囲Cを維持する。ある距離帯Dにおいて、有効角度範囲Cが、基準値未満(ステップS14において「NO」)であれば、その距離帯Dにおける有効角度範囲Cを、基準値に設定する(ステップS15)。これにより、小さすぎる有効角度範囲Cが設定されるのを防止できる。
基準値は、電波センサ10を基準とする角度方向における範囲を示し、物体を検知するために必要とされる大きさに設定される。電波センサ10による物体の検知においては、図8に示すように、距離帯D毎の反射波の反射強度の分布において、極大点Pと極小点V1,V2との差が閾値以上であれば、その極大点Pが、物体に対応したピーク点であると判定される。したがって、ピーク点の存在を判定するには、極大点Pの近傍の極小点V1,V2が算出される必要がある。図8に示すように、有効範囲(有効角度範囲C)が十分に広ければ、有効範囲内に、極大点Pと極小点V1,V2とが存在するため、極大点Pをピーク点として求めることが可能である。ピーク点が、物体の存在角度になる。
一方、図9に示すように、有効範囲(有効角度範囲C)が狭すぎると、有効範囲内に、極小点V1,V2とが存在しなくなり、極大点Pをピーク点として求めることができなくなる。したがって、有効角度範囲Cは、ピーク点を検出できるようにある程度以上の大きさを持つのが好ましい。ステップS13の設定では、検知エリアT2に応じた必要最小限の有効角度範囲Cが設定されるため、有効角度範囲Cが小さすぎることがあり得る。しかし、ステップS15において、有効角度範囲Cが、予め基準値以上の広さに設定されることで、狭すぎる有効角度範囲Cが設定されるのを防止できる。
なお、基準値は、距離帯D毎に異なっていても良いし、距離帯Dにかかわらず一律の値であってもよい。また、基準値は、予め設定された値である必要はなく、反射波の強度分布に応じて適宜設定されてもよいし、電波センサ10の運用中に変更されてもよい。
図3のステップS16において、処理装置110は、距離帯D毎に角度帯A1,A2の大きさを設定する。実施形態の処理装置110は、反射波の到来方向の推定処理S24を、予め規定された角度帯A1,S2毎に行う。図10に示すように、角度帯A1,A2は、電波センサ10を基準とした角度方向における角度幅を示す。
図10では、第1距離帯D1においては、第1角度帯A1に設定され、第1距離帯D1よりも電波センサ10からみて遠方にある第2距離帯D2においては、第2角度帯A2に設定されている。図10において、第1角度帯A1と第2角度帯A2とは、角度幅がことなり、より具体的には、第1角度帯A1は第2角度帯A2よりも狭い。第1角度帯A1の角度幅は、例えば、1°であり、第2角度帯A2の角度幅は、例えば、0.5°である。角度帯A1,A2の大きさは、反射強度分布の分解能を規定し、角度帯A1,A2が大きければ、分解能が粗くなり、角度帯A1,A2が小さくなれば、分解能が細かくなる。
電波センサ10から比較的近い第1距離帯D1においては、仮に有効角度範囲Cが広くても、その有効角度範囲Cに対応した物理的な範囲は比較的狭い。したがって、第1距離帯D1においては、第1角度帯A1を大きくして分解能が粗くなっても、物理的な範囲が元々狭いため、十分な分解能を確保できる。
一方、電波センサ10から比較的遠い第2距離帯D2においては、仮に有効角度範囲Cが狭くても、その有効角度範囲Cに対応した物理的な範囲が狭いわけではない。したがって、第2距離帯D2においては、第2角度帯A2を小さくして分解能を細かくすることで、十分な分解能を確保できる。
図11は、有効範囲内に設定された複数の角度帯A1,A2を示す有効範囲データ123の例を示している。図11の有効範囲データ123では、各距離帯において、有効「1」/無効「0」を設定できる角度単位が0.5°になっている。図10に示すように、1°の角度幅を持つ第1角度帯A1が設定される第1距離帯D1においては、有効を示す「1」が、1°毎に設定され、無効を示す「0」が-0.5°、0.5°、1.5°、2.5°等に設定される。つまり、第1距離帯D1では、1度単位の第1角度帯A1が設定されている。したがって、第1距離帯D1では、1°毎に到来方向が推定される。
0.5°の角度幅を持つ第2角度帯A2が設定される第2距離帯D2においては、有効を示す「1」が、0.5°毎に設定される。つまり、第2距離帯D2では、0.5°単位の第2角度帯A2が設定されている。したがって、第2距離帯D2では、0.5°毎に到来方向が推定される。
角度帯A1,A2の設定は、距離帯に応じて処理装置110により自動的に行われてもよいし、ユーザによる操作を処理装置110が受け付けることで、ユーザにより手動で行われてもよい。
図2のステップS17において、処理装置110は、以上のようにして設定された有効範囲データ123を、記憶装置120に保存する。保存された有効範囲データ123は、反射波の到来方向推定の際に処理装置110によって参照される。
図12は、電波センサ10によって実行される物体検知処理113の手順を示している。ステップS11において、電波センサ10の送信器11は、物体検知のための送信波を放射する。ステップS12において、電波センサの受信器13は、放射された送信波から物体による反射により生じた反射波を受信する。受信器13によって受信された反射波の受信信号は、信号処理装置15に与えられる。信号処理装置15は、受信データを、処理装置110に与える。受信データは、例えば、反射波を示すデジタルデータである。
ステップS23において、処理装置110は、距離プロファイル計算処理を実行する。物体までの距離は、送信波のタイミングから物体からの反射波の受信タイミングまでの所要時間によって算出される。この所要時間は、電波が、電波センサ10と物体との間を往復するのに要した時間である。したがって、この所要時間から、電波センサ10から物体までの距離を求めることができる。距離プロファイル計算処理で、受信データに対して高速フーリエ変換(FFT)を施すことで、距離のプロファイルが計算される。
ステップS24において、処理装置110は、反射波の受信データに基づいて、反射波の到来方向の推定処理を実行する。到来方向(到来角度)は、受信器13が有する複数のアンテナ素子間における反射波の位相差に基づいて算出される。到来方向の推定処理は、有効範囲データ123が示す有効範囲内に限定して実行され、有効範囲外、すなわち無効範囲Fでは、実行されない。無効範囲Fで推定処理を実行しないことで、演算負荷を軽減できる。
有効範囲内に限定して推定処理を実行するため、処理装置110は、記憶装置120から有効範囲データ123を読み出し、有効範囲を把握する。処理装置110は、有効範囲データ123における各距離帯Dにおいて、「1」で示される角度に限定して、推定処理を実行する。処理装置110は、「0」で示される角度においては、推定処理を実行しない。
反射波は、有効範囲外すなわち無効範囲、からも到来するため、受信データは、有効範囲外からの反射波に関する情報も示している。つまり、受信データは、有効範囲内及び有効範囲外からの反射波を電波センサ10が受信することで得られるデータである。実施形態に係る処理装置110は、有効範囲外の情報を含む受信データを用いつつも、有効範囲外についての推定処理を省略することで、演算負荷を軽減する。
ステップS24の到来波の推定処理においては、有効範囲データ123が示す距離帯D毎に、設定された各角度帯A1,A2において、反射波の反射強度が算出される。つまり、処理装置110は、有効範囲データ123における各距離帯Dにおいて、「1」で示される角度に限定して、反射波の反射強度を算出する。処理装置110は、「0」で示される角度においては、反射強度を算出しない。
算出された反射強度は、反射強度データ125に格納される。図13は、反射強度データ125の一例を示している。反射強度データ125は、予め設定された最大範囲内における各位置の反射強度を格納できるよう構成されている。ここでの最大範囲は、有効範囲データ123の最大範囲と同じである。すなわち、電波センサ10からの最大距離と最大角度範囲Mとによって画定される。最大距離は、例えば、電波センサ10から100mである。最大角度範囲Mは、例えば、図4に示すように-90°から90°である。有効範囲は、最大範囲内の一部の範囲である。反射強度データ125は、最大範囲内における反射強度を格納できるため、様々な大きさ又は形状の有効範囲に対応できる。
図13に示す反射強度データ125は、距離帯D毎に各角度における反射強度を格納可能に構成されている。図13の反射強度データ125は、一例として、第1距離帯D1における各角度の反射強度vと、第2距離帯D2における各角度の反射強度vと、を示している。
反射強度データ125における最大範囲は、有効範囲よりも広いため、反射強度データ125は、有効範囲(各距離帯Dにおける有効角度範囲C1,C2)に対応した第1範囲Rと、有効範囲外(無効範囲)に対応した第2範囲Nと、を有する。
図13に示すように、有効角度範囲C1,C2に対応した第1範囲Rには、実行された推定処理の結果である反射強度vが格納される。一方、有効範囲外(無効範囲F)に対応した第2範囲Nには、前記推定処理が実行されていないことを示す値が格納される。推定処理が実行されていないことを示す値は、例えば、反射強度vがとり得ない値を示す。反射強度vがとり得ない値は、例えば、null値である。
反射強度データ125は、有効範囲外においても反射強度を格納するための領域を有している。このため、推定処理が実行されていない箇所に、反射強度がとり得る値(例えば、0)が格納されていると、処理装置110は、推定処理が実行されていない箇所の反射強度を誤認識するおそれがある。これに対して、有効範囲外(無効範囲F)に対応した第2範囲Nには、前記推定処理が実行されていないことを示す値が格納されることで、かかる誤認識が防止される。
ステップS24の推定処理によって得られた反射強度データ125は、複数の距離帯D毎の反射強度スペクトラムを示す。ステップS24で得られる反射強度スペクトラムは、図8に示す強度分布のうち、有効角度範囲C内の分布に対応する。つまり、ステップS24の推定処理では、図8の無効範囲Fにおける強度分布は求められない。
ステップS25において、処理装置110は、有効角度範囲C内の反射強度分布における極大点Pと極小点V1,V2との差が閾値以上であれば、その極大点Pが、物体に対応したピーク点であると判定する(図8参照)。ピーク点が、物体の存在角度になる。ステップS26において、処理装置110は、ピーク点が存在する距離帯Dにおいてピーク点の存在する角度を、物体が存在する位置として検知する。処理装置110は、検知エリアT1のどこに物体が存在しているかを示す2次元位置座標を求める。これにより、検知エリアT1内における、歩行者等の移動軌跡等を求めることができる。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 :電波センサ
11 :送信器
13 :受信器
15 :信号処理装置
20 :検知エリア設定装置
110 :処理装置
111 :有効範囲設定処理
113 :物体検知処理
120 :記憶装置
121 :検知エリアデータ
123 :有効範囲データ
125 :反射強度データ
130 :通信インタフェース
150 :コンピュータプログラム
200 :横断歩道
220 :電柱
230 :非検知エリア
A1 :第1角度帯
A2 :第2角度帯
C :有効角度範囲
C1 :有効角度範囲
C2 :有効角度範囲
C3 :有効角度範囲
D :距離帯
D1 :第1距離帯
D2 :第2距離帯
F :無効範囲
G1 :第1角度範囲
G2 :第2角度範囲
G3 :第2角度範囲
M :最大角度範囲
N :第2範囲
P :極大点
R :第1範囲
S24 :推定処理
T1 :第1検知エリア
T2 :第2検知エリア
V1 :極小点
V2 :極小点
v :反射強度
11 :送信器
13 :受信器
15 :信号処理装置
20 :検知エリア設定装置
110 :処理装置
111 :有効範囲設定処理
113 :物体検知処理
120 :記憶装置
121 :検知エリアデータ
123 :有効範囲データ
125 :反射強度データ
130 :通信インタフェース
150 :コンピュータプログラム
200 :横断歩道
220 :電柱
230 :非検知エリア
A1 :第1角度帯
A2 :第2角度帯
C :有効角度範囲
C1 :有効角度範囲
C2 :有効角度範囲
C3 :有効角度範囲
D :距離帯
D1 :第1距離帯
D2 :第2距離帯
F :無効範囲
G1 :第1角度範囲
G2 :第2角度範囲
G3 :第2角度範囲
M :最大角度範囲
N :第2範囲
P :極大点
R :第1範囲
S24 :推定処理
T1 :第1検知エリア
T2 :第2検知エリア
V1 :極小点
V2 :極小点
v :反射強度
Claims (8)
- 電波センサであって、
前記電波センサによる監視領域である検知エリアに応じて設定された有効範囲を示す有効範囲データを記憶する記憶装置と、
物体からの反射波の受信データに基づいて、前記反射波の到来方向の推定処理を実行するよう構成された処理装置と、
を備え、
前記受信データは、前記有効範囲内及び前記有効範囲外からの前記反射波を前記電波センサが受信することで得られるデータであり、
前記処理装置は、前記有効範囲データが示す前記有効範囲に限定して、前記推定処理を実行するよう構成されている
電波センサ。 - 前記処理装置は、前記検知エリアを示す検知エリアデータに基づいて前記有効範囲データを生成する有効範囲設定処理を更に実行するよう構成されている
請求項1に記載の電波センサ。 - 前記有効範囲は、角度方向を有し、前記角度方向における前記有効範囲は、基準値以上である
請求項2に記載の電波センサ。 - 前記記憶装置は、前記反射波の反射強度データを記憶するよう構成され、
前記反射強度データは、予め設定された最大範囲における前記反射強度データを格納可能に構成され、
前記有効範囲は、前記最大範囲内の一部の範囲であり、
前記反射強度データは、前記有効範囲に対応した第1範囲と、前記有効範囲外に対応した第2範囲と、を有し、
前記反射強度データの前記第1範囲には前記反射波の反射強度値が格納され、前記反射強度データの前記第2範囲には前記推定処理が行われていないことを示す値が格納される
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電波センサ。 - 前記推定処理は、前記有効範囲内に設定された複数の角度帯毎に、前記到来方向を推定するよう構成され、
前記複数の角度帯は、第1角度帯と、前記第1角度帯とは角度幅が異なる第2角度帯と、を含む
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電波センサ。 - 前記有効範囲は、前記電波センサからの距離に応じた複数の距離帯を有し、
前記複数の距離帯は、前記第1角度帯を有する第1距離帯と、前記第2角度帯を有する第2距離帯と、を含む
請求項5に記載の電波センサ。 - 前記有効範囲データは、前記有効範囲内に設定された前記複数の角度帯を示すよう構成されている
請求項5又は請求項6に記載の電波センサ。 - 電波センサによる物体検知方法であって、
前記電波センサによる監視領域である検知エリアに応じて設定された有効範囲及び前記有効範囲外からの反射波を受信することで受信データを得ること、
前記受信データに基づいて、物体からの反射波の到来方向の推定処理を、処理装置が実行すること、
を備え、
前記推定処理は、前記有効範囲に限定して実行される
物体検知方法。
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JP2020093071A JP2023099239A (ja) | 2020-05-28 | 2020-05-28 | 電波センサ及び物体検知方法 |
PCT/JP2021/019614 WO2021241501A1 (ja) | 2020-05-28 | 2021-05-24 | 電波センサ、物体検知方法および設定方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020093071A JP2023099239A (ja) | 2020-05-28 | 2020-05-28 | 電波センサ及び物体検知方法 |
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---|---|
JP2023099239A true JP2023099239A (ja) | 2023-07-12 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2020093071A Pending JP2023099239A (ja) | 2020-05-28 | 2020-05-28 | 電波センサ及び物体検知方法 |
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WO (1) | WO2021241501A1 (ja) |
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2020
- 2020-05-28 JP JP2020093071A patent/JP2023099239A/ja active Pending
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- 2021-05-24 WO PCT/JP2021/019614 patent/WO2021241501A1/ja active Application Filing
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