JP2023098246A - 制御装置、電動パワーステアリング装置、および制御方法 - Google Patents

制御装置、電動パワーステアリング装置、および制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】操舵者が感じる操舵感を向上できる制御装置を備える電動パワーステアリング装置、制御方法を提供する。【解決手段】制御対象に入力される入力トルクを生成し、操舵者にハンドルから伝達される反力を制御する反力制御部と、入力トルクを補正する補正トルクを制御対象の出力とノミナルモデルとに基づいて生成するアシスト制御部と、制御対象の出力に基づいて状態補償値を入力トルクに対してフィードバックする状態フィードバック部と、を備える。アシスト制御部は、制御対象とノミナルモデルとのモデル化誤差に対する相補感度関数のゲイン特性におけるゲインが略1である周波数帯域において、制御対象の伝達関数がノミナルモデルの伝達関数に拘束されるように構成され、状態フィードバック部は、制御対象の出力に基づいて、制御対象の見かけ上の伝達関数をノミナルモデルの伝達関数に近づけるように状態補償値をフィードバックする。【選択図】図3

Description

本発明は、制御装置、電動パワーステアリング装置、および制御方法に関する。
車両に搭載される電動パワーステアリングシステムが知られている。例えば、特許文献1に記載の電動パワーステアリングシステムは、外乱トルクを推定する外乱オブザーバを含むモータ制御装置を備える。
特開2018-183046号公報
上記のような電動パワーステアリングシステムでは、車両のハンドルを操舵する操舵者が感じる操舵感の向上が求められている。しかしながら、電動パワーステアリングシステムの制御系においては、安定性と外乱抑圧特性と応答性との各要素が互いにトレードオフの関係にある。そのため、各要素の調整が難しく、車両のハンドルを操舵する操舵者が感じる操舵感を向上させにくい問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みて、操舵者が感じる操舵感を向上できる制御装置、そのような制御装置を備える電動パワーステアリング装置、および操舵者が感じる操舵感を向上できる制御方法を提供することを目的の一つとする。
本発明の制御装置の一つの態様は、操舵者が操舵するハンドルが連結された入力軸と、前記入力軸にトーションバーを介して連結された出力軸と、前記出力軸に連結されたモータと、を備える操舵機構のうち、少なくとも前記モータを含む部分を制御対象として制御する制御装置であって、前記制御対象に入力される入力トルクを前記トーションバーに生じるトーションバートルクに基づいて生成し、前記操舵者に前記ハンドルから伝達される反力を制御する反力制御部と、前記入力トルクを補正する補正トルクを前記制御対象の出力とノミナルモデルとに基づいて生成するアシスト制御部と、前記制御対象の出力に基づいて状態補償値を前記入力トルクに対してフィードバックする状態フィードバック部と、を備える。前記アシスト制御部は、前記制御対象と前記ノミナルモデルとのモデル化誤差に対する相補感度関数のゲイン特性におけるゲインが略1である周波数帯域において、前記制御対象の伝達関数が前記ノミナルモデルの伝達関数に拘束されるように構成されている。前記状態フィードバック部は、前記制御対象の出力に基づいて、前記制御対象の見かけ上の伝達関数を前記ノミナルモデルの伝達関数に近づけるように前記状態補償値をフィードバックする。
本発明の制御装置の一つの態様は、操舵者が操舵するハンドルが連結された入力軸と、前記入力軸にトーションバーを介して連結された出力軸と、前記出力軸に連結されたモータと、を備える操舵機構のうち、少なくとも前記モータを含む部分を制御対象として制御する制御装置であって、前記制御対象に入力される入力トルクを前記トーションバーに生じるトーションバートルクに基づいて生成し、前記操舵者に前記ハンドルから伝達される反力を制御する反力制御部と、前記入力トルクを補正する補正トルクを前記制御対象の出力とノミナルモデルとに基づいて生成するアシスト制御部と、前記制御対象に生じる慣性力と前記制御対象に生じる粘性力と前記制御対象に生じる摩擦力との少なくとも一部を補償する状態補償値を前記入力トルクに対してフィードバックする状態フィードバック部と、を備える。前記アシスト制御部は、前記制御対象と前記ノミナルモデルとのモデル化誤差に対する相補感度関数のゲイン特性におけるゲインが略1である周波数帯域において、前記制御対象の伝達関数が前記ノミナルモデルの伝達関数に拘束されるように構成されている。前記状態フィードバック部は、前記補正トルクによって補正された後で、かつ、前記制御対象に入力される前の前記入力トルクに対して前記状態補償値をフィードバックする。
本発明のパワーステアリング装置の一つの態様は、上記の制御装置と、前記操舵機構と、を備える。
本発明の制御方法の一つの態様は、操舵者が操舵するハンドルが連結された入力軸と、前記入力軸にトーションバーを介して連結された出力軸と、前記出力軸に連結されたモータと、を備える操舵機構のうち、少なくとも前記モータを含む部分を制御対象として制御する制御方法であって、前記制御対象に入力される入力トルクを前記トーションバーに生じるトーションバートルクに基づいて生成し、前記操舵者に前記ハンドルから伝達される反力を制御することと、前記入力トルクを補正する補正トルクを前記制御対象の出力とノミナルモデルとに基づいて生成することと、前記制御対象の出力に基づいて状態補償値を前記入力トルクに対してフィードバックすることと、を含む。前記補正トルクを生成することは、前記制御対象と前記ノミナルモデルとのモデル化誤差に対する相補感度関数のゲイン特性におけるゲインが略1である周波数帯域において、前記制御対象の伝達関数を前記ノミナルモデルの伝達関数に拘束することを含む。前記状態補償値を前記入力トルクに対してフィードバックすることは、前記制御対象の出力に基づいて、前記制御対象の見かけ上の伝達関数を前記ノミナルモデルの伝達関数に近づけるように前記状態補償値をフィードバックすることを含む。
本発明の制御方法の一つの態様は、操舵者が操舵するハンドルが連結された入力軸と、前記入力軸にトーションバーを介して連結された出力軸と、前記出力軸に連結されたモータと、を備える操舵機構のうち、少なくとも前記モータを含む部分を制御対象として制御する制御方法であって、前記制御対象に入力される入力トルクを前記トーションバーに生じるトーションバートルクに基づいて生成し、前記操舵者に前記ハンドルから伝達される反力を制御することと、前記入力トルクを補正する補正トルクを前記制御対象の出力とノミナルモデルとに基づいて生成することと、前記制御対象に生じる慣性力と前記制御対象に生じる粘性力と前記制御対象に生じる摩擦力との少なくとも一部を補償する状態補償値を前記入力トルクに対してフィードバックすることと、を含む。前記補正トルクを生成することは、前記制御対象と前記ノミナルモデルとのモデル化誤差に対する相補感度関数のゲイン特性におけるゲインが略1である周波数帯域において、前記制御対象の伝達関数を前記ノミナルモデルの伝達関数に拘束することを含む。前記状態補償値を前記入力トルクに対してフィードバックすることは、前記補正トルクによって補正された後で、かつ、前記制御対象に入力される前の前記入力トルクに対して前記状態補償値をフィードバックすることを含む。
本発明の一つの態様によれば、電動パワーステアリング装置を搭載する車両のハンドルを操舵する操舵者が感じる操舵感を向上できる。
図1は、一実施形態の電動パワーステアリング装置を模式的に示す図である。 図2は、一実施形態の制御装置の構成を示すブロック図である。 図3は、一実施形態の制御装置におけるプロセッサの機能を示す機能ブロック図である。 図4は、相補感度関数のゲイン特性、および制御対象の伝達関数とノミナルモデルの伝達関数とのモデル化誤差の逆数のゲイン特性を例示するグラフである。 図5は、モデルフォロイング制御を適用しない場合の操舵角およびトーショントルクの測定結果の一例を示すグラフである。 図6は、モデルフォロイング制御を適用した場合の操舵角およびトーショントルクの測定結果の一例を示すグラフである。 図7は、モデルフォロイング制御を適用しない場合の操舵角およびトーショントルクの測定結果の他の一例を示すグラフである。 図8は、モデルフォロイング制御を適用した場合の操舵角およびトーショントルクの測定結果の他の一例を示すグラフである。 図9は、モデルフォロイング制御を適用しない場合の操舵角およびトーショントルクの測定結果のさらに他の一例を示すグラフである。 図10は、モデルフォロイング制御を適用した場合の操舵角およびトーショントルクの測定結果のさらに他の一例を示すグラフである。 図11は、モデルフォロイング制御を適用しない場合の操舵角およびトーショントルクの測定結果のまたさらに他の一例を示すグラフである。 図12は、モデルフォロイング制御を適用した場合の操舵角およびトーショントルクの測定結果のまたさらに他の一例を示すグラフである。
以下、添付の図面を参照しながら、本開示に係る制御装置、電動パワーステアリング装置、および制御方法の実施形態を説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、および実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
以下の実施形態は、例示であり、本開示に係る制御装置、電動パワーステアリング装置、および制御方法は、以下の実施形態に限られない。例えば、以下の実施形態で示される数値、ステップ、そのステップの順序等は、あくまでも一例であり、技術的に矛盾が生じない限りにおいて種々の改変が可能である。以下に説明する実施形態または実施例などは、あくまでも例示であり、技術的に矛盾が生じない限りにおいて種々の組み合わせが可能である。
図1に示す本実施形態の電動パワーステアリング装置1000は、車両に搭載される。図1に示すように、電動パワーステアリング装置1000は、操舵機構530と、制御装置100と、を備える。操舵機構530は、ステアリング機構部520と、補助機構部540と、を有する。電動パワーステアリング装置1000は、制御装置100によって補助機構部540を制御することで、車両を運転する運転者がハンドル521を操舵することによってステアリング機構部520に生じる操舵トルクTを補助する補助トルクを生成する。当該補助トルクにより、運転者がハンドル521を操作する際における運転者の操作の負担が軽減される。車両の運転者は、車両のハンドル521を操舵する操舵者である。
ステアリング機構部520は、ハンドル521と、ステアリングシャフト522と、自在軸継手523A,523Bと、入力軸524aと、出力軸524bと、ラックアンドピニオン機構525と、ラック軸526と、左右のボールジョイント552A,552Bと、タイロッド527A,527Bと、ナックル528A,528Bと、左右の操舵車輪529A,529Bと、を有する。つまり、操舵機構530は、ハンドル521と、ステアリングシャフト522と、自在軸継手523A,523Bと、入力軸524aと、出力軸524bと、ラックアンドピニオン機構525と、ラック軸526と、左右のボールジョイント552A,552Bと、タイロッド527A,527Bと、ナックル528A,528Bと、左右の操舵車輪529A,529Bと、を有する。
ステアリングシャフト522は、操舵者が操舵するハンドル521から延びるシャフトである。入力軸524aの一端部は、自在軸継手523A,523Bを介して、ステアリングシャフト522のうちハンドル521に接続された側と逆側の端部に接続されている。これにより、入力軸524aには、自在軸継手523A,523Bおよびステアリングシャフト522を介して、ハンドル521が連結されている。出力軸524bは、入力軸524aに、後述するトーションバー546を介して連結されている。より詳細には、出力軸524bの一端部は、トーションバー546を介して入力軸524aの他端部に接続されている。出力軸524bの他端部は、ラックアンドピニオン機構525を介してラック軸526と連結されている。
入力軸524aと出力軸524bとは、同軸に配置されている。入力軸524aと出力軸524bとは、同一の中心軸回りに回転可能となっている。入力軸524aと出力軸524bとは、後述するトーションバー546が捩じれることが可能な範囲において、互いに相対回転可能である。
補助機構部540は、操舵トルクセンサ541と、舵角センサ542と、モータ543と、減速機構544と、インバータ545と、トーションバー546と、を有する。つまり、操舵機構530は、操舵トルクセンサ541と、舵角センサ542と、モータ543と、減速機構544と、インバータ545と、トーションバー546と、を有する。トーションバー546は、入力軸524aと出力軸524bとを連結している。トーションバー546は、入力軸524aおよび出力軸524bと同軸に配置されている。以下の説明においては、入力軸524aと出力軸524bとトーションバー546との共通の中心軸を通る仮想軸線を回転軸線Rと呼ぶ。トーションバー546は、回転軸線R回りに捩じれることが可能である。
操舵トルクセンサ541は、トーションバー546の回転軸線R回りの捩じれ量を検出することにより、ステアリング機構部520における操舵トルクTを検出する。操舵トルクTは、トーションバー546に生じるトーションバートルクであり、回転軸線R回りのねじりモーメントである。舵角センサ542は、入力軸524aの回転軸線R回りの回転角度θaを検出可能である。入力軸524aの回転角度θaは、ハンドル521の操舵角に等しい。つまり、舵角センサ542は、入力軸524aの回転角度θaを検出することで、ハンドル521の操舵角を検出可能である。操舵トルクセンサ541と舵角センサ542とに基づいて、出力軸524bの回転角度θbを検出することが可能である。
インバータ545は、制御装置100から入力されるモータ駆動信号に従って、直流電力を、U相、V相、およびW相の擬似正弦波である三相交流電力に変換してモータ543に供給する。モータ543は、減速機構544を介して出力軸524bに連結されている。モータ543には、インバータ545から三相交流電力が供給される。モータ543は、例えば、埋込磁石型同期モータ(IPMSM)、表面磁石型同期モータ(SPMSM)、またはスイッチトリラクタンスモータ(SRM)などである。モータ543は、インバータ545から三相交流電力が供給されることで、操舵トルクTに応じた補助トルクを生成する。モータ543は、生成した補助トルクを、減速機構544を介して出力軸524bに伝達する。
制御装置100は、操舵機構530のうち、入力軸524aと出力軸524bとモータ543とを少なくとも有する制御対象560を制御する。本実施形態において制御対象560は、ハンドル521と自在軸継手523A,523Bと入力軸524aと出力軸524bとトーションバー546とモータ543と減速機構544とを有する。制御対象560はトーションバー546を介して互いに相対回転可能な入力軸524aおよび出力軸524bを含んでいるため、制御対象560の運動は、単純な1慣性系の運動方程式のみでは記述できない。制御対象560は、操舵者がハンドル521を握る強さによって、1慣性系と2慣性系との間で変化する。操舵者がハンドル521を強く握るほど、制御対象560は、1慣性系に近くなる。操舵者がハンドル521を弱く握るほど、制御対象560は、2慣性系に近くなる。
制御装置100は、インバータ545に電気的に接続されている。制御装置100は、操舵トルクセンサ541、舵角センサ542、および車両に搭載された車速センサ300などによって検出される検出信号に基づいて、モータ駆動信号を生成し、インバータ545に出力する。制御装置100は、インバータ545を介してモータ543の回転を制御することによって、制御対象560を制御している。より詳細には、制御装置100は、インバータ545が有する複数のスイッチング素子のスイッチング動作を制御する。具体的には、制御装置100は、各スイッチング素子のスイッチング動作を制御する制御信号を生成してインバータ545に出力する。各スイッチング素子は、例えば、MOSFETである。以下の説明においては、各スイッチング素子のスイッチング動作を制御する制御信号を「ゲート制御信号」と呼ぶ。
制御装置100は、操舵トルクTなどに基づいてトルク指令値を生成し、例えばベクトル制御によって、モータ543のトルクおよびモータ543の回転速度を制御する。ベクトル制御は、モータ543に流れる電流を、トルクの発生に寄与する電流成分と、磁束の発生に寄与する電流成分とに分解し、互いに直交する各電流成分を独立に制御する方法である。制御装置100は、ベクトル制御に限らず、他のクローズドループ制御を行い得る。モータ543の回転速度は、例えば、1分間にロータが回転する回転数[rpm]、または1秒間にロータが回転する回転数[rps]などで表される。
なお、制御装置100には操舵トルクセンサ541から直接的に操舵トルクTの値が入力されてもよいし、制御装置100が操舵トルクセンサ541の出力値から操舵トルクTの値を算出してもよい。制御装置100には舵角センサ542から直接的にハンドル521の操舵角の値が入力されてもよいし、制御装置100が舵角センサ542の出力値から操舵角の値を算出してもよい。
また、制御装置100とモータ543とはモジュール化され、モータモジュールとして製造および販売される。モータモジュールはモータ543および制御装置100を備え、電動パワーステアリング装置1000に好適に利用される。また、制御装置100は、モータ543とは独立して、電動パワーステアリング装置1000を制御するための制御装置として製造および販売され得る。
図2に、本実施形態における制御装置100の構成の典型例を示す。制御装置100は、例えば、電源回路111と、角度センサ112と、入力回路113と、通信I/F114と、駆動回路115と、ROM116と、プロセッサ200と、を備える。制御装置100は、これらの各電子部品を実装したプリント配線基板(PCB)として実現され得る。
プロセッサ200には、車両に搭載された車速センサ300、操舵トルクセンサ541、および舵角センサ542が、プロセッサ200に通信可能に接続されている。プロセッサ200には、車速センサ300から車速が送信される。プロセッサ200には、操舵トルクセンサ541から操舵トルクTが送信される。プロセッサ200には、舵角センサ542から操舵角が送信される。
プロセッサ200は、半導体集積回路であり、中央演算処理装置(CPU)またはマイクロプロセッサとも称される。プロセッサ200は、ROM116に格納された、モータ駆動を制御するための命令群を記述したコンピュータプログラムを逐次実行し、所望の処理を実現する。制御装置100は、プロセッサ200に加えて、またはプロセッサ200に代えて、CPUを搭載したFPGA(Field Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、ASSP(ApplicationSpecific Standard Product)、または、これら回路の中から選択される2つ以上の回路の組み合わせを有し得る。プロセッサ200は、実電流値およびモータ543のロータの回転角などに従って電流指令値を設定してPWM(Pulse Width Modulation)信号を生成し、当該PWM信号を駆動回路115に出力する。
電源回路111は、図示しない外部電源に接続されている。電源回路111は、制御装置100の各部に必要なDC電圧を生成する。電源回路111において生成されるDC電圧は、例えば、3Vまたは5Vである。
角度センサ112は、モータ543のロータの回転角を検出してプロセッサ200に出力する。角度センサ112は、レゾルバであってもよいし、ホールICなどのホール素子であってもよいし、磁気抵抗素子を有するMRセンサであってもよい。プロセッサ200は、角度センサ112に基づいて得られるモータ543の電気角θmに基づいて、モータ543の角速度ω[rad/s]を演算することができる。なお、制御装置100は、角度センサ112の代わりに、モータ543の回転角速度を検出可能な速度センサおよびモータ543の回転角加速度を検出可能な加速度センサを備えてもよい。
入力回路113には、図示しない電流センサによって検出されたモータ電流値が入力される。以下の説明においては、図示しない電流センサによって検出されたモータ電流値を「実電流値」と呼ぶ。入力回路113は、入力された実電流値のレベルをプロセッサ200の入力レベルに必要に応じて変換し、実電流値をプロセッサ200に出力する。入力回路113の典型例は、アナログデジタル変換回路である。
通信I/F114は、例えば、車載のコントロールエリアネットワーク(CAN)に準拠してデータの送受信を行うための入出力インタフェースである。
駆動回路115は、典型的には、ゲートドライバ、またはプリドライバである。駆動回路115は、ゲート制御信号をPWM信号に従って生成し、インバータ545が有する複数のスイッチング素子のゲートにゲート制御信号を与える。例えば、駆動対象であるモータ543が低電圧で駆動可能なモータであるとき、ゲートドライバとしての駆動回路115は必ずしも必要とされない場合がある。その場合、駆動回路115におけるゲートドライバの機能は、プロセッサ200に実装され得る。
ROM116は、プロセッサ200に電気的に接続されている。ROM116は、例えば、書き込み可能なメモリ、書き換え可能なメモリ、または読み出し専用のメモリである。書き込み可能メモリとしては、例えば、PROM(Programmable Read Only Memory)が挙げられる。書き換え可能なメモリとしては、例えば、フラッシュメモリ、およびEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などが挙げられる。ROM116は、プロセッサ200にモータ駆動を制御させるための命令群を含む制御プログラムを格納している。例えば、ROM116に格納された制御プログラムは、ブート時に図示しないRAMに一旦展開される。
図3に、本実施形態のプロセッサ200の機能ブロックの一例を示す。コンピュータであるプロセッサ200は、各機能ブロックを用いてモータ543の制御に必要な処理、またはタスクを逐次実行する。図3に示すプロセッサ200の各機能ブロックは、ファームウェアなどのソフトウェアとしてプロセッサ200に実装されてもよいし、ハードウェアとしてプロセッサ200に実装されてもよいし、ソフトウェアおよびハードウェアとしてプロセッサ200に実装されてもよい。プロセッサ200における各機能ブロックの処理は、典型的に、ソフトウェアのモジュール単位でコンピュータプログラムに記述され、ROM116に格納される。ただし、FPGAなどを用いる場合、これらの機能ブロックの全部または一部は、ハードウェア・アクセラレータとして実装され得る。また、本実施形態における制御装置100の制御方法は、コンピュータに実装され、コンピュータに所望の動作を実行させることによって実施され得る。
プロセッサ200は、反力制御部210と、アシスト制御部230と、状態フィードバック部280と、減算器SU1と、加算器AD1と、加算器AD2と、を有する。つまり、制御装置100は、反力制御部210と、アシスト制御部230と、状態フィードバック部280と、減算器SU1と、加算器AD1と、加算器AD2と、を備える。言い換えれば、制御装置100のプロセッサ200に、反力制御部210とアシスト制御部230と状態フィードバック部280と減算器SU1と加算器AD1と加算器AD2とのそれぞれに対応した機能が実装されている。
反力制御部210には、操舵トルクセンサ541によって検出された操舵トルクTが入力される。反力制御部210は、制御対象560に入力される入力トルクTを操舵トルクT、すなわちトーションバー546に生じるトーションバートルクに基づいて生成する。入力トルクTは、モータ543の目標トルクであり、トルク指令値である。反力制御部210は、入力トルクTを生成してモータ543のトルクを制御することで、操舵者にハンドル521から伝達される反力を制御する。反力制御部210は、操舵周波数または操舵速が所定範囲内にあるときに操舵トルクTに位相補償を適用することによって入力トルクTを生成する。操舵周波数は、運転者のハンドル521の操作に基づいて変化する操舵角の周波数である。操舵速は、運転者のハンドル521の操作に基づいて変化する操舵角の速度である。図3に例示される反力制御部210は、ベースアシスト演算部211と、位相補償器212と、を有する。
ベースアシスト演算部211は、操舵トルクTおよび車速を取得する。ベースアシスト演算部211は、操舵トルクTおよび車速に基づいてベースアシストトルクを生成する。例えば、ベースアシスト演算部211は、操舵トルクTと車速とベースアシストトルクとの関係が規定されたルックアップテーブル(LUT)を有する。ベースアシスト演算部211は、当該ルックアップテーブルを参照して、操舵トルクTおよび車速に基づいて、対応関係にあるベースアシストトルクを決定することができる。ベースアシスト演算部211は、操舵トルクTの変動量に対するベースアシストトルクの変化量の比率によって規定される傾きに基づいてベースアシストゲインを決定することができる。
本実施形態における位相補償器212は、運転者がハンドル521を操作するときに操舵周波数が取り得る範囲内においてアシストゲインを調整し、トーションバー546の剛性を補償する。操舵周波数が取り得る範囲は、例えば、5Hz以下である。位相補償器212は、操舵周波数が5Hz以下であるときに、操舵トルクT、すなわちトーションバートルクに、例えば1次の位相補償を適用してもよい。1次の位相補償は、例えば式(1)の伝達関数によって表される。
Figure 2023098246000002
式(1)において、sはラプラス変換子であり、fは伝達関数のゼロ点の周波数[Hz]であり、fは伝達関数の極の周波数[Hz]である。ゲイン、またはループゲインを縦軸にとり、周波数の対数を横軸にとったグラフはゲイン線図と呼ばれる。ゲイン線図において、ゼロ点はゲインカーブと0dBを示す横軸との交点を意味し、極はゲインカーブの極大点を意味する。例えば、極の周波数をゼロ点の周波数よりも高くすることで位相進み補償を適用することができる。極の周波数とゼロ点の周波数との間隔が大きいほど、位相進み量が多くなる。
位相補償器212は、ベースアシスト演算部211から出力されるベースアシストトルクおよびベースアシストゲインに基づいて入力トルクTを生成する。例えば、位相補償器212は安定化補償器であり、ベースアシストトルクに安定性位相補償を適用することができる。位相補償器212は、ベースアシストゲインに応じて周波数特性が可変である2次以上の伝達関数を有し得る。2次以上の伝達関数は、応答性のパラメータおよび減衰比(ダンピング)のパラメータを用いて表される。2次以上の伝達関数は、例えば式(2)によって表すことができる。伝達関数の次数を2次とすることで伝達関数の特性にダンピングを与えることができる。ダンピングを変えることで位相特性を調整することが可能となる。
Figure 2023098246000003
式(2)において、sはラプラス変換子であり、ωは伝達関数のゼロ点の周波数であり、ωは伝達関数の極の周波数であり、ζはゼロ点の減衰比であり、ζは極の減衰比である。極の周波数ωは、ゼロ点の周波数ωよりも低い。
アシスト制御部230は、入力トルクTを補正する補正トルクTを制御対象560の出力とノミナルモデルとに基づいて生成する。本実施形態において補正トルクTは、入力トルクTにフィードバックされるフィードバックトルクである。ノミナルモデルは、制御対象560を制御する際に、制御対象560を拘束するモデルとして使用される内部モデルである。ノミナルモデルについては、後段において詳述する。本実施形態においてアシスト制御部230は、モデルフォロイング制御を行うように構成されたモデルフォロイング制御器である。アシスト制御部230の具体的な構成については後段において詳細に説明する。
減算器SU1は、入力トルクTから、アシスト制御部230から出力される補正トルクTを減算する。減算器SU1からの出力は、加算器AD1とアシスト制御部230とに入力される。加算器AD1は、減算器SU1からの出力に状態フィードバック部280からの出力を加算した値を加算器AD2に出力する。加算器AD2は、加算器AD1からの出力に外乱トルクTを加算した値を制御対象560に出力する。
外乱トルクTは、理想とするモータ543の出力トルクに対する実際のモータ543の出力トルクの差分である。外乱トルクTは、制御対象560に外部から加えられる外乱トルクを含む。外乱トルクTは、例えば、モータ543および減速機構544などの機械要素に起因する摩擦およびガタつきによって生じる余分なトルク、モータ543に生じるトルクリップル、セルフアライニングトルク、および舗装されていないガタガタ道もしくは砂利道などを走行したときに生じ得る外乱トルクなどを含む。セルフアライニングトルクは、ハンドル521を切るときに捩じれるタイヤの弾性によってハンドル521が戻る方向に働くトルクを意味する。
本実施形態においてアシスト制御部230は、入力軸524aの回転角度θaから算出される角速度ωθに基づいて補正トルクTを生成し、入力トルクTにフィードバックする。角速度ωθは、入力軸524aの回転角度θaから理論的に算出されたモータ543の角速度に相当する値である。例えば、操舵者によってハンドル521が回転させ始められた直後においては、ハンドル521の回転とともに入力軸524aは回転するものの、一方でモータ543がまだ駆動し始めておらず出力軸524bが回転していない場合がある。この場合、モータ543の実際の角速度ωはゼロであるが、理論的には入力軸524aが回転すればモータ543も回転して出力軸524bも回転する。角速度ωθは、このような理論的にモータ543が回転したとした場合のモータ543の角速度に相当する値である。そのため、角速度ωθは、モータ543の実際の角速度ωとは異なる場合がある。なお、角速度ωθの算出に用いられる回転角度θaは、舵角センサ542によって検出された値であってもよいし、出力軸524bの回転角度θbから算出された値であってもよい。
アシスト制御部230は、逆ノミナルモデル231と、ローパスフィルタ232と、ハイパスフィルタ233と、アシスト調整部270と、減算器SU2と、加算器AD3と、を有する。ハイパスフィルタ233は、第1カットオフ周波数Cf1を有する。第1カットオフ周波数Cf1は、例えば、2Hz以上、10Hz以下であり、5Hz以上、7Hz以下であることが好ましい。
ローパスフィルタ232は、第1カットオフ周波数Cf1よりも高い第2カットオフ周波数Cf2を有する。第2カットオフ周波数Cf2は、例えば、3Hz以上、50Hz以下である。ただし、第2カットオフ周波数Cf2の上限は、140Hz以上、200Hz以下程度の範囲に設定され得る。ローパスフィルタ232の次数は、3次以上である。ローパスフィルタ232は、例えば複数のローパスフィルタによって構成されてもよい。ローパスフィルタ232とハイパスフィルタ233とは、直列結合されている。
アシスト制御部230は、ローパスフィルタ232の伝達関数をQ(s)とし、ハイパスフィルタ233の伝達関数をHPF(s)とするとき、Q(s)・HPF(s)のゲイン特性におけるゲインが1である周波数帯域において、制御対象560の伝達関数P(s)が所定のノミナルモデルの伝達関数P(s)に拘束されるように構成されている。Q(s)・HPF(s)は、アシスト制御部230で構成されるインナーループの相補感度関数T(s)である。図4に示すように、Q(s)・HPF(s)、すなわち相補感度関数T(s)は、周波数fが第1カットオフ周波数Cf1以上、第2カットオフ周波数Cf2以下の周波数帯域において、ゲインが0dB、すなわち伝達関数におけるゲインが1となる。図4では、相補感度関数T(s)の絶対値を示している。なお、本明細書において「制御対象の伝達関数がノミナルモデルの伝達関数に拘束される」とは、例えば、入出力関係を見たときに、制御対象の伝達関数が、見かけ上、ノミナルモデルの伝達関数に見えるように制御対象が制御されることを意味する。
逆ノミナルモデル231は、制御対象560を拘束するために用いる所定のノミナルモデル(プラントモデル)の逆モデルである。本実施形態において所定のノミナルモデルの伝達関数P(s)は、以下の式(3)で表される。逆ノミナルモデル231の伝達関数P -1(s)は、以下の式(4)で表される。
Figure 2023098246000004
Figure 2023098246000005
式(3),(4)において、sはラプラス変換子であり、JSTGnはノミナルモデルの慣性モーメントを表すパラメータであり、BSTGnはノミナルモデルの粘性摩擦係数を表すパラメータであり、ω1nは伝達関数P(s)のゼロ点の周波数であり、ω2nは伝達関数P(s)の極の周波数であり、ζ1nは伝達関数P(s)のゼロ点における減衰比であり、ζ2nは伝達関数P(s)の極における減衰比である。
本実施形態においてノミナルモデルは、1慣性系と2慣性系との間の周波数特性を有するモデルである。上記のノミナルモデルの伝達関数P(s)を表す式(3)は、2慣性系を表す式に減衰項を加えた式である。上記の式(3)において減衰項は、2ζ1nω1nsおよび2ζ2nω2nsである。これらの減衰項を式(3)から除いた式が、2慣性系を表す式となる。本実施形態においてノミナルモデルの伝達関数P(s)の次数は、3である。
本実施形態においてノミナルモデルは、操舵者がハンドル521を操舵する際の機械特性が考慮されたモデルである。上述したように、制御対象560は、操舵者がハンドル521を強く握るほど1慣性系に近づき、操舵者がハンドル521を弱く握るほど2慣性系に近づく。そのため、制御対象560の伝達関数P(s)は、操舵者の腕からハンドル521にどのように力が加えられるかによって1慣性系と2慣性系との間で変化する。本実施形態においては、ノミナルモデルを1慣性系と2慣性系との間の周波数特性を有するモデルとすることにより、制御対象560の状態が1慣性系と2慣性系との間のいずれの状態であっても、ノミナルモデルの伝達関数P(s)と制御対象560の伝達関数P(s)とのモデル化誤差Δ(s)が大きくなり過ぎないようにできる。したがって、操舵者がハンドル521をどのように操舵したかに関わらず、ノミナルモデルを用いて好適に制御対象560を制御できる。このように、本実施形態において、ノミナルモデルは、操舵者のハンドル521の握り方によって制御対象560に与えられる機械特性を考慮したモデルとなっている。制御装置100は、このようなノミナルモデルを内部モデルとして有することにより、制御対象560の好適な制御を行うことができる。
なお、本明細書において「ノミナルモデルは、操舵者がハンドルを操舵する際の機械特性が考慮されたモデルである」とは、例えば、ノミナルモデルが、操舵者がハンドルを操舵する際の機械特性によって制御対象に与えられる影響の少なくとも一部を補償できるモデルとなっていればよい。ノミナルモデルは、例えば、操舵者の腕の動きの機械特性を直接的に組み込んだモデルであってもよい。
図3に示すように、逆ノミナルモデル231には、制御対象560の出力が入力される。具体的に逆ノミナルモデル231には、入力軸524aの回転角度θaから算出された角速度ωθが入力される。逆ノミナルモデル231は、上記の式(4)と入力された角速度ωθとに基づいてトルクTを出力する。つまり、アシスト制御部230は、制御対象560の出力に基づいてノミナルモデルを用いてトルクTを算出する。トルクTは、ノミナルモデルの出力値が制御対象560の出力値と同じ値となる場合において、ノミナルモデルに入力されるトルクの値に等しい。
減算器SU2は、逆ノミナルモデル231の出力から減算器SU1の出力を差し引いて差分トルクTを生成する。つまり、減算器SU2は、補正トルクTがフィードバックされた後において後述する状態補償値Vがフィードバックされる前の入力トルクTを、トルクTから差し引いて差分トルクTを生成する。差分トルクTは、例えば、外乱トルクTの推定値である。減算器SU2から出力された差分トルクTは、直列結合されたローパスフィルタ232およびハイパスフィルタ233によるフィルタ処理をこの順番で受け、加算器AD3に入力される。ローパスフィルタ232およびハイパスフィルタ233においてフィルタ処理された差分トルクTは、第1カットオフ周波数Cf1よりも低い周波数成分と第2カットオフ周波数Cf2よりも高い周波数成分とが除去された状態となっている。つまり、ローパスフィルタ232およびハイパスフィルタ233においてフィルタ処理された差分トルクTは、第1カットオフ周波数Cf1以上、第2カットオフ周波数Cf2以下の周波数成分TaMである。
アシスト調整部270は、摩擦および外乱に対する補償値を生成して、差分トルクTを調整する。本実施形態においてアシスト調整部270は、差分トルクTのうち周波数成分TaMを調整する。アシスト調整部270は、ハイパスフィルタ233に並列結合されている。アシスト調整部270は、摩擦補償値算出部250と、外乱補償値算出部260と、減算器SU3と、を有する。
減算器SU3は、ローパスフィルタ232からの出力値から、ハイパスフィルタ233からの出力値を差し引く。ここで、ローパスフィルタ232からの出力値は、差分トルクTから第2カットオフ周波数Cf2よりも高い周波数成分が除去された値である。ハイパスフィルタ233からの出力値は、差分トルクTから第2カットオフ周波数Cf2よりも高い周波数成分、および第1カットオフ周波数Cf1よりも低い周波数成分が除去された値である。したがって、減算器SU3から出力される値は、差分トルクTのうち第1カットオフ周波数Cf1よりも低い周波数成分TaLとなる。減算器SU3の出力は、摩擦補償値算出部250と外乱補償値算出部260とに入力される。周波数成分TaLには、摩擦力、セルフアライニングトルク、制御対象560のガタに起因する外乱トルク、および制御対象560に生じるトルクリップルなどが含まれている。
摩擦補償値算出部250は、制御対象560に生じる摩擦力の少なくとも一部を補償する摩擦補償値Vを差分トルクTに基づいて算出する。上述したように、摩擦補償値算出部250に入力される減算器SU3からの値は、差分トルクTのうち第1カットオフ周波数Cf1よりも低い周波数成分TaLとなる。したがって、本実施形態において摩擦補償値算出部250は、差分トルクTのうち第1カットオフ周波数Cf1よりも低い周波数の成分に基づいて摩擦補償値Vを算出する。
摩擦補償値算出部250は、リミッタ252と、ゲイン調整器253と、を有する。リミッタ252は、減算器SU3からの出力値に制限をかける。リミッタ252は、入力値が上限または下限の閾値を超える場合、入力値を上限または下限の閾値にクリップする。ゲイン調整器253は、リミッタ252からの出力値にゲインK1をかける。摩擦補償値算出部250は、差分トルクTのうち第1カットオフ周波数Cf1よりも低い周波数の成分に対して、リミッタ252による制限と、ゲインK1とをかけることで、摩擦補償値Vを算出する。リミッタ252の閾値およびゲインK1の値は、例えば、制御対象560に実際に生じる摩擦力に基づいて、予めどのような値にするか決められている。
アシスト制御部230におけるモデルフォロイング制御に用いる補正トルクTに摩擦補償を適用するために、モデルフォロイング制御の安定性条件に留意する必要がある。この条件は、後述するスモールゲイン定理より、安定性を考慮した特性に拘束した摩擦補償値算出部250の伝達関数のゲイン特性におけるゲインが1を超えないことである。これは、ローパスフィルタ232の設計条件から導かれる。本実施形態では、ゲイン調整器253におけるゲインK1の値を最大1とし、かつ、この条件下でゲイン特性におけるゲインが1となるようにリミッタ252の前段に減算器SU3を設けて減算処理を適用している。言い換えると、摩擦補償値算出部250は、1-HPF(s)の伝達関数を有するローパスフィルタとして振る舞う。
摩擦補償値算出部250から出力される摩擦補償値Vは、差分トルクTの周波数成分TaLに含まれる摩擦力成分の少なくとも一部を補償する値である。一般に、適度な摩擦が制御対象560に必要とされるために、摩擦補償値算出部250は、実際に制御対象560に生じる摩擦力よりも小さい値を摩擦補償値Vとして算出する。これにより、制御対象560に適度な摩擦力を残しつつ、高精度な摩擦補償を実現することが可能となる。摩擦補償値Vによる摩擦補償の対象は、例えば、モータ543の摩擦、減速機構544の摩擦、および減速機構544の摩擦左右差などである。
ここで、差分トルクTの周波数成分TaLには、摩擦力成分以外に、制御対象560に生じるセルフアライニングトルク、制御対象560に生じるガタに起因する外乱トルク、および制御対象560に生じるトルクリップルも含まれている。そのため、周波数成分TaLをリミッタ252およびゲイン調整器253で処理して得られた摩擦補償値Vには、制御対象560に生じるセルフアライニングトルク、制御対象560に生じるガタに起因する外乱トルク、および制御対象560に生じるトルクリップルの少なくとも一部を補償する補償値も含まれている。
電動パワーステアリング装置1000を搭載する車両は、自動運転モードおよび手動運転モードを有する走行モードに従って走行することが可能である。この場合、ゲイン調整器253のゲインK1は、走行モードに応じて切り替えるようにしてもよい。ゲイン調整器253のゲインK1が大きいほど摩擦の低減の程度が大きくなる。自動運転モード時のゲインK1は、手動運転モード時に設定されるゲインK1よりも大きいことが好ましい。これにより、摩擦の低減がより求められる自動運転モードに最適な摩擦補償を適用することができる。
外乱補償値算出部260は、制御対象560に生じるセルフアライニングトルクの少なくとも一部を補償する外乱補償値Vを算出する。本実施形態において外乱補償値Vは、制御対象560に生じる摩擦力、制御対象560に生じるガタに起因する外乱トルク、および制御対象560に生じるトルクリップルのうち少なくとも一部を補償する補償値を含む。外乱補償値算出部260は、逆ノミナルモデル231から出力されたトルクTと入力トルクTとの差分である差分トルクTに基づいて外乱補償値Vを算出する。つまり、外乱補償値算出部260は、制御対象560の出力に基づいてノミナルモデルを用いて算出されたトルクTと入力トルクTとの差分である差分トルクTに基づいて外乱補償値Vを算出する。上述したように、外乱補償値算出部260に入力される減算器SU3からの値は、差分トルクTのうち第1カットオフ周波数Cf1よりも低い周波数成分となる。したがって、本実施形態において外乱補償値算出部260は、差分トルクTのうち第1カットオフ周波数Cf1よりも低い周波数の成分に基づいて外乱補償値Vを算出する。
外乱補償値算出部260は、リミッタ262と、ゲイン調整器263と、を有する。リミッタ262は、減算器SU3からの出力値に制限をかける。リミッタ262は、入力値が上限または下限の閾値を超える場合、入力値を上限または下限の閾値にクリップする。リミッタ262の閾値は、例えば、リミッタ252の閾値と異なる。ゲイン調整器263は、リミッタ262からの出力値にゲインK2をかける。制御対象560の伝達関数P(s)がノミナルモデルの伝達関数P(s)に拘束される条件下でゲイン調整器263のゲインK2の最大値は決定される。ゲインK2の値は、例えば、ゲインK1の値と異なる。ゲインK2の値は、例えば、0.3以上、0.8以下程度である。ゲイン調整器263のゲインK2は、車両の走行モードに応じて切り替えるようにしてもよい。
外乱補償値Vは、差分トルクTの周波数成分TaLに含まれるセルフアライニングトルク成分の少なくとも一部を補償する値である。外乱補償値算出部260は、例えば、実際に制御対象560に生じるセルフアライニングトルクの半分程度に相当する値を外乱補償値Vとして算出する。実際に制御対象560に生じるセルフアライニングトルクは、例えば、周波数ごとに予め実験的に求められている。外乱補償値算出部260のリミッタ262の閾値およびゲインK2の値は、予め求められたセルフアライニングトルクの大きさの半分程度の値として外乱補償値Vが算出される値に調整されている。外乱補償値算出部260において算出される外乱補償値Vは、摩擦補償値算出部250において算出される摩擦補償値Vとは異なる値である。
ここで、差分トルクTの周波数成分TaLには、セルフアライニングトルク以外に、制御対象560に生じる摩擦力、制御対象560に生じるガタに起因する外乱トルク、および制御対象560に生じるトルクリップルも含まれている。そのため、周波数成分TaLをリミッタ262およびゲイン調整器263で処理して得られた外乱補償値Vには、制御対象560に生じる摩擦力、制御対象560に生じるガタに起因する外乱トルク、および制御対象560に生じるトルクリップルの少なくとも一部を補償する補償値も含まれている。
加算器AD3は、ハイパスフィルタ233からの出力値にアシスト調整部270からの出力値を加算する。つまり、加算器AD3は、周波数成分TaMに摩擦補償値Vと外乱補償値Vとを加算する。加算器AD3からは、周波数成分TaMと摩擦補償値Vと外乱補償値Vとが足し合わされて算出された補正トルクTが出力される。加算器AD3から出力される補正トルクTは、制御対象560の入力、すなわち入力トルクTにフィードバックされる。このように、本実施形態においてアシスト制御部230は、ハイパスフィルタ233によって第1カットオフ周波数Cf1よりも低い周波数成分が除去された差分トルクT、すなわち周波数成分TaMに対して、摩擦補償値Vと外乱補償値Vとを加算して補正トルクTを生成する。
状態フィードバック部280は、制御対象560の出力に基づいて、制御対象560の見かけ上の伝達関数をノミナルモデルの伝達関数P(s)に近づけるように、状態補償値Vを入力トルクTに対してフィードバックする。制御対象560の見かけ上の伝達関数とは、例えば、アシスト制御部230によって作られるフィードバックループの内側に位置する部分を1つの部分とみなした場合の当該1つの部分の伝達関数である。具体的に本実施形態において、制御対象560の見かけ上の伝達関数とは、減算器SU1から制御対象560の出力までの間の部分全体の伝達関数であり、状態フィードバック部280と制御対象560とを合わせた部分の伝達関数である。本実施形態において状態フィードバック部280は、補正トルクTによって補正された後で、かつ、制御対象560に入力される前の入力トルクTに対して状態補償値Vをフィードバックする。
状態補償値Vは、制御対象560に生じる慣性力と制御対象560に生じる粘性力と制御対象560に生じる摩擦力との少なくとも一部を補償する補償値を含む。より詳細には、状態補償値Vは、モータ543に生じる慣性力とモータ543に生じる粘性力とモータ543に生じる摩擦力との少なくとも一部を補償する補償値を含む。本実施形態において、状態補償値Vは、モータ543に生じる慣性力とモータ543に生じる粘性力とモータ543に生じる摩擦力とをそれぞれ含む補償値である。
状態フィードバック部280は、慣性補償器281と、粘性補償器282と、摩擦補償器283と、を有する。慣性補償器281は、モータ543の角速度ωに基づいて、モータ543に生じる慣性力の少なくとも一部を補償する補償値を算出する。粘性補償器282は、モータ543の角速度ωに基づいて、モータ543に生じる粘性力の少なくとも一部を補償する補償値を算出する。摩擦補償器283は、モータ543の角速度ωに基づいて、モータ543に生じる摩擦力の少なくとも一部を補償する補償値を算出する。本実施形態において状態補償値Vは、慣性補償器281によって算出された補償値と、粘性補償器282によって算出された補償値と、摩擦補償器283によって算出された補償値と、からなる。慣性補償器281によって算出された補償値と粘性補償器282によって算出された補償値と摩擦補償器283によって算出された補償値とは、加算器AD1に出力されて、補正トルクTによって補正された後の入力トルクTに加算される。
次にアシスト制御部230による制御についてさらに詳細に説明する。アシスト制御部230は、内部モデルとして有するノミナルモデルの逆モデル、すなわち逆ノミナルモデル231を用いて、制御対象560を制御する。本実施形態では、アシスト制御部230によって作られるフィードバックループによって、モータ543の角速度ωに依存するトルクリップルなどの補償を行うことが可能である。制御に用いる角速度ωの信号をモータ543の種別ごと補正することが可能であり、電流信号などに比べ角速度ωの信号の精度を高めることができる。その結果、精度の高いトルクリップルの補償をトルク制御に適用することが可能となる。
アシスト制御部230は、従来の外乱推定器(外乱オブザーバ)と構成的には類似するが、狙う作用・効果が異なる。従来の外乱推定器は、内部モデルとして有する逆プラントモデルを、制御対象560に近いモデルとすることによって外乱トルクを推定し、予め外乱トルクを加減することで外乱の影響を低減する。
本実施形態によるアシスト制御部230による制御は、フィードバックループによって、制御対象560の伝達関数P(s)が、内部モデルとして有するノミナルモデルの伝達関数P(s)に拘束される効果を活用する。例えば、トルクリップルが無いようにノミナルモデルを定義すれば、モデルフォロイング制御によって、制御対象560の伝達関数P(s)はトルクリップルの無い特性に拘束され、その結果、トルクリップルの補償を適用することにより、トルクリップルを低減することが可能となる。また、ノミナルモデルを低慣性のモデルにして制御対象560をノミナルモデルで拘束することで、制御対象560を低慣性のモデルとして扱うことができる。また、ノミナルモデルを低粘性のモデルにして制御対象560をノミナルモデルで拘束することで、制御対象560を低粘性のモデルとして扱うこともできる。アシスト制御部230によってモデルフォロイング制御を実行することにより、モータ543のトルクリップルの補償に加え、例えばロストルク補償またはモータ慣性補償が行われる。上述した式(3),(4)において、JSTGnおよびBSTGnを適切に設定することによって、制御対象560の伝達関数P(s)に所望の周波数特性を付与することができる。
制御対象560の伝達関数P(s)とノミナルモデルの伝達関数P(s)とのモデル化誤差をΔ(s)としたとき、制御対象560の伝達関数P(s)は、以下の式(5)で表される。
Figure 2023098246000006
制御対象560の伝達関数P(s)のゲイン特性は、例えば、2つの周波数値においてピークを有する。モデル化誤差Δ(s)は、例えば、制御対象560のゲイン特性における2つのピークのうちの周波数が高い方のピーク付近に現れる。そのため、図4に示すように、モデル化誤差Δ(s)の逆数1/Δ(s)は比較的高周波の領域においてボトムを有する。図4において、モデル化誤差Δ(s)は絶対値で示されている。モデル化誤差Δ(s)が大きくなると、制御対象560の伝達関数P(s)とノミナルモデルの伝達関数P(s)との乖離が大きくなり、アシスト制御部230によるノミナルモデルを用いた制御対象560の制御が不安定となる。そのため、モデル化誤差Δ(s)が比較的小さい領域において、相補感度関数T(s)、すなわちQ(s)・HPF(s)のゲインを1として、制御対象560をノミナルモデルに拘束することで、制御対象560を安定かつ好適に制御できる。モデル化誤差Δ(s)の周波数特性は、ノミナルモデルの伝達関数P(s)におけるJSTGnおよびBSTGnを調整することで調整できる。Q(s)・HPF(s)のゲインが1となる周波数帯域は、第1カットオフ周波数Cf1と第2カットオフ周波数Cf2とを調整することで調整できる。これにより、モデル化誤差Δ(s)が小さい周波数帯域において、Q(s)・HPF(s)のゲインが1となるように調整できる。
図4において、1/Δ(s)は、第2カットオフ周波数Cf2以下の周波数帯域において比較的高くなっており、第2カットオフ周波数Cf2よりも高い周波数帯域において急激に低下している。制御対象560をノミナルモデルに拘束するモデルフォロイング制御は、例えば、1/Δ(s)が1よりも大きい範囲、すなわち0dBよりも大きい範囲において安定して行うことができる。そのため、図4のように、Q(s)・HPF(s)のゲインが1となる周波数帯域において1/Δ(s)が1よりも大きくなるように調整することで、Q(s)・HPF(s)のゲインが1となる場合に、制御対象560をノミナルモデルに拘束して安定かつ好適に制御することができる。
例えば、制御対象560をノミナルモデルに拘束して安定かつ好適に制御できる周波数帯域を広げるためには、1/Δ(s)が1以下とならない範囲内、すなわち図4において1/Δ(s)を示す曲線と横軸とが交わる周波数よりも低い周波数帯域内で、第2カットオフ周波数Cf2を高くすればよい。しかしながら、第2カットオフ周波数Cf2を高くし過ぎると、第2カットオフ周波数Cf2よりも高い周波数帯域において、1/Δ(s)が低くなったにも関わらずQ(s)・HPF(s)のゲインが比較的高いままとなって、制御が不安定になる恐れがある。これに対して、本実施形態では、ローパスフィルタ232の次数を3次以上にしているため、周波数が第2カットオフ周波数Cf2よりも高い領域において、Q(s)・HPF(s)のゲインを急峻に下げることができる。これにより、第2カットオフ周波数Cf2を比較的高くしても、第2カットオフ周波数Cf2よりも高い周波数帯域ではすぐにQ(s)・HPF(s)のゲインを下げることができるため、制御対象560の制御が不安定になることを抑制できる。
アシスト制御部230のロバスト安定性は、相補感度関数T(s)とモデル化誤差Δ(s)との間に以下の式(6)に示すスモールゲイン定理が成立するときに保証される。
Figure 2023098246000007
上述したように、アシスト制御部230においてノミナルモデルを用いたモデルフォロイング制御を行うためには、T(s)=1であればよいが、ロバスト安定性を考慮すると、上記の式(6)を満たす必要がある。このことから理解されるように、全ての周波数帯域においてT(s)=1と式(6)とを両立させることはできず、アシスト制御部230による外乱などの抑制とロバスト安定性とは両立しない。
図4に示すように、周波数が第1カットオフ周波数Cf1よりも低い領域においても、Q(s)・HPF(s)のゲイン、すなわち相補感度関数T(s)のゲインが1よりも小さくなる。Q(s)・HPF(s)のゲインが1よりも小さくなる領域においては、反力制御部210において入力トルクTの制御を行うことで、制御対象560を制御している。上述したように、周波数が第2カットオフ周波数Cf2よりも高い領域では、Q(s)・HPF(s)のゲインを大きく下げて、アシスト制御部230からの補正トルクTが制御対象560の入力にほとんどフィードバックされない状態となる。一方、周波数が第1カットオフ周波数Cf1よりも低い領域では、Q(s)・HPF(s)のゲインを或る程度の大きさとして、補正トルクTが制御対象560の入力にフィードバックされるようになっている。周波数が第1カットオフ周波数Cf1よりも低い領域においては、上述したアシスト調整部270において生成された補償値がQ(s)・HPF(s)のゲインに応じて制御対象560の入力にフィードバックされる。
制御装置100は、第1カットオフ周波数Cf1よりも低い低周波数のトルク信号に対しては反力制御部210においてトルク制御を行い、かつ、第2カットオフ周波数Cf2よりも高い高周波数の外乱に対しては角速度ω≒0となる制御を行うことによって、ハンドル521が取られないように操舵の安定化を実現する。この目的を達成するために、制御装置100は、反力制御部210を用いてトルク制御の高周波ゲインを下げること、および、アシスト制御部230を用いて、制御対象560の伝達関数P(s)を高周波ゲインが下がる特性に拘束することを実行する。後者の処理を行う理由は、外乱が制御対象560に入力されたときに制御対象560がその外乱に反応しないようにするためである。
アシスト制御部230によるモデルフォロイング制御の有効範囲は、第1カットオフ周波数Cf1以上、第2カットオフ周波数Cf2以下の領域である。つまり、モデルフォロイング制御の有効範囲の下限周波数は、第1カットオフ周波数Cf1に依存する。そのため、モデルフォロイング制御の有効範囲の下限周波数は、低周波領域において反力制御部210の制御を阻害しないようにハイパスフィルタ233の第1カットオフ周波数Cf1を調整することによって決定される。
本実施形態によれば、入力トルクTを補正する補正トルクTを制御対象560の出力とノミナルモデルとに基づいて生成するアシスト制御部230は、制御対象560とノミナルモデルとのモデル化誤差Δ(s)に対する相補感度関数T(s)のゲイン特性におけるゲインが1である周波数帯域において、制御対象560の伝達関数P(s)がノミナルモデルの伝達関数P(s)に拘束されるように構成されている。具体的には、ノミナルモデルと制御対象560とのモデル化誤差Δ(s)が小さい領域において、Q(s)・HPF(s)のゲイン特性におけるゲインが1となるようにして、制御対象560とノミナルモデルとの出力の差分を補正トルクTとして入力トルクTにフィードバックすることで、制御対象560の伝達関数P(s)を見かけ上、ノミナルモデルの伝達関数P(s)に近づけることができる。そのため、例えば、ノミナルモデルをトルクリップルが生じないモデルとすることで、Q(s)・HPF(s)のゲイン特性におけるゲインが1である周波数帯域においては、制御対象560の出力からトルクリップルを取り除くことができる、または低減させることができる。また、ノミナルモデルを低慣性かつ低粘性のモデルとすることで、制御対象560を低慣性かつ低粘性なモデルに拘束することができ、制御対象560を制御しやすくできる。
例えば、従来の外乱推定器では、制御対象560に近いモデルを内部モデルとして有し、制御対象560に生じる外乱を補償していた。しかしながら、制御対象560と完全に同じモデルを内部モデルとして有することは困難であり、どうしてもモデル化誤差Δ(s)が生じる。そのため、従来の外乱推定器では、制御が不安定になることを抑制するために、すべての周波数帯域において、Q(s)・HPF(s)のゲイン特性におけるゲインを1よりも小さい値としていた。また、従来の外乱推定器では、あくまで内部モデルを制御対象560の実際のモデルに近づけるため、制御対象560に外部から加えられる外乱は推定できても、制御対象560自体に生じるトルクリップルなどを除去することはできなかった。
これに対して、本実施形態では、制御装置100が内部モデルとして有するノミナルモデルを、実際の制御対象560のモデルを再現しようとするモデルではなく、制御対象560として理想となるモデルとして設定し、モデル化誤差Δ(s)が小さい領域においてはQ(s)・HPF(s)のゲインを1とした。これにより、ノミナルモデルを好適に設定することで、実際の制御対象560に外部から加えられる外乱だけはなく、制御対象560に内部的に生じるトルクリップルなども除去することができる。したがって、本実施形態によれば、制御装置100によって制御対象560の制御を好適に行うことができ、操舵者が感じる操舵感を向上できる。
また、例えば、操舵機構530は、トーションバー546を挟んで入力軸524aと出力軸524bとが連結されている構造であり、単純な1慣性系ではない。そのため、制御装置100によって制御する対象を、例えばモータ543のみを含む1慣性系とすると、トルクリップルおよび外乱などを十分に保障しにくい場合がある。これに対して、本実施形態のように、トーションバー546を挟んだ両側の部分を含む部分を制御対象560と捉えることが考えられるが、当該制御対象560を単純な2慣性系と捉えられるかというとそうではない。上述したように、制御対象560は操舵者のハンドル521の操舵の仕方などにより、1慣性系と2慣性系との間で変化する。したがって、単純に制御対象560を2慣性系のモデルとしても、トルクリップルおよび外乱などを十分に保障しにくい場合がある。
これに対して、本実施形態によれば、ノミナルモデルは、操舵者がハンドル521を操舵する際の機械特性が考慮されたモデルである。そのため、ノミナルモデルを、操舵者のハンドル521の操舵の仕方に応じて変化する制御対象560の特性に好適に合わせることができる。これにより、上述したモデルフォロイング制御によって、制御対象560をノミナルモデルに拘束することで、より好適にトルクリップルおよび外乱などを補償することができる。したがって、操舵者が感じる操舵感をより向上できる。
また、本実施形態によれば、ノミナルモデルの伝達関数P(s)の次数は、3以上である。ここで、本発明者らにより、操舵機構530の伝達関数の次数は、例えば、6となることが明らかとなった。そのため、ノミナルモデルの伝達関数P(s)を操舵機構530の伝達関数の次数により近い高次の伝達関数とすることで、制御装置100によって操舵機構530をより好適に制御することができる。したがって、操舵者が感じる操舵感をより向上できる。
なお、本実施形態においては、制御対象を3次の伝達関数の範囲で捉え、ノミナルモデルの伝達関数P(s)の次数も3とした。しかしながら、例えば、制御対象を4次以上の伝達関数の範囲で捉え、ノミナルモデルの伝達関数P(s)の次数を4以上としてもよい。制御対象として捉える範囲の伝達関数の次数およびノミナルモデルの伝達関数P(s)の次数を操舵機構530の伝達関数の次数である6次に近づけるほど、より好適な制御を行うことができる。例えば、操舵トルクセンサ541がレゾルバなどである場合、操舵トルクセンサ541の伝達関数が2次であることが考えられる。そのため、例えば、制御対象を、本実施形態の制御対象560に対して操舵トルクセンサ541を加えた制御対象として、ノミナルモデルの伝達関数P(s)の次数を5次とすれば、より好適な制御を行うことができる。
また、本実施形態によれば、ノミナルモデルは、1慣性系と2慣性系との間の周波数特性を有するモデルである。上述したように、制御対象560の特性は、操舵者のハンドル521の操舵の仕方によって、1慣性系と2慣性系との間で変化する。そのため、ノミナルモデルを1慣性系と2慣性系との間の周波数特性を有するモデルとすることで、ノミナルモデルを用いて、より好適に制御対象560を制御できる。したがって、操舵者が感じる操舵感をより向上できる。
また、本実施形態によれば、ノミナルモデルの伝達関数P(s)を表す式は、2慣性系を表す式に減衰項を加えた式である。そのため、ノミナルモデルの伝達関数P(s)を、好適かつ容易に、1慣性系と2慣性系との間の周波数特性を有するモデルにすることができる。
また、本実施形態によれば、ノミナルモデルの伝達関数P(s)は、上記の式(3)で表される。そのため、ノミナルモデルの伝達関数P(s)を、より好適かつ容易に、1慣性系と2慣性系との間の周波数特性を有するモデルにすることができる。
以上に説明したように、制御対象560を1慣性系よりも広く捉えてノミナルモデルを制御対象560に合わせて設定することにより、ノミナルモデルを用いて従来よりも広い周波数帯域のトルクリップルなどを含む外乱をフィードバック制御により補償できる対象とすることができる。これにより、外乱を抑制できる周波数帯域を従来よりも広くすることができる。具体的に、例えば、制御対象560に生じるトルクリップルには、減速機構544に使用されるウォームギヤに起因するトルクリップルなどが含まれる。当該ウォームギヤに起因するトルクリップルは、例えば、50Hz程度の外乱となる場合がある。従来の外乱推定器などの構成では、そもそもトルクリップルを抑制すること自体できず、外乱として抑制できる周波数帯域も50Hzよりも低かったため、上記のようなウォームギヤに起因するトルクリップルは抑制できなかった。これに対して、本実施形態の構成および方法によれば、ノミナルモデルを適切に設定することにより、上記のようなウォームギヤに起因する比較的高周波のトルクリップルもアシスト制御部230によって補償することが可能となり、当該比較的高周波のトルクリップルを抑制することが可能となる。
また、本実施形態によれば、制御装置100は、制御対象560の出力に基づいて、制御対象560の見かけ上の伝達関数をノミナルモデルの伝達関数P(s)に近づけるように、状態補償値Vを入力トルクTに対してフィードバックする状態フィードバック部280を備える。そのため、アシスト制御部230によるフィードバックによって制御しようとする制御対象560を見かけ上、内部モデルとして有するノミナルモデルに近づけることができる。これにより、アシスト制御部230によるモデルフォロイング制御を行う際に、制御対象560をノミナルモデルに近いモデルとしてみなすことができ、制御対象560とノミナルモデルとのモデル化誤差Δ(s)を小さくできる。したがって、Q(s)・HPF(s)のゲイン特性におけるゲインを1として、制御対象560の伝達関数P(s)をノミナルモデルの伝達関数P(s)に拘束できる周波数帯域を広くすることができる。そのため、より広い周波数帯域においてアシスト制御部230によるモデルフォロイング制御を行うことができ、操舵者が感じる操舵感をより向上できる。
また、本実施形態によれば、状態フィードバック部280は、補正トルクTによって補正された後で、かつ、制御対象560に入力される前の入力トルクTに対して状態補償値Vをフィードバックする。そのため、状態フィードバック部280からのフィードバックを、アシスト制御部230のフィードバックループ内に入れることができる。これにより、アシスト制御部230から見て、状態フィードバック部280と制御対象560とをまとめて1つの制御対象とみなすことができる。したがって、当該まとめられた1つの制御対象の伝達関数を、制御対象560の見かけ上の伝達関数P(s)とみなすことで、ノミナルモデルを用いたアシスト制御部230による制御をより好適に行うことができる。
また、本実施形態によれば、状態補償値Vは、制御対象560に生じる慣性力と制御対象560に生じる粘性力と制御対象560に生じる摩擦力との少なくとも一部を補償する補償値を含む。そのため、制御対象560の見かけ上の伝達関数を、ノミナルモデルの伝達関数P(s)に、より近づけることができる。本実施形態では、慣性補償器281と粘性補償器282と摩擦補償器283とによって、慣性力と粘性力と摩擦力とのそれぞれを含む状態補償値Vをフィードバックさせることで、制御対象560の見かけ上の伝達関数を、ノミナルモデルの伝達関数P(s)に、より好適に近づけることができる。なお、慣性補償器281と粘性補償器282と摩擦補償器283とのそれぞれにおけるゲインは、制御対象560をノミナルモデルに近づけるような値に適宜設定される。
また、本実施形態によれば、状態補償値Vは、モータ543に生じる慣性力とモータ543に生じる粘性力とモータ543に生じる摩擦力との少なくとも一部を補償する補償値を含む。そのため、モータ543に生じる慣性力などを、ノミナルモデルに近づけるように補償することができる。これにより、制御対象560の見かけ上の伝達関数を、ノミナルモデルの伝達関数P(s)に、より好適に近づけることができる。
また、本実施形態によれば、アシスト制御部230は、制御対象560の出力に基づいてノミナルモデルを用いて算出されたトルクTと、補正トルクTによって補正された後で状態補償値Vがフィードバックされる前の入力トルクTとの差分に基づいて、補正トルクTを生成する。つまり、アシスト制御部230の減算器SU2に対して、状態補償値Vが加算される前の入力トルクTを入力することができる。そのため、アシスト制御部230から見て、状態フィードバック部280と制御対象560とを合わせて1つの制御対象としてより好適にみなしやすい。これにより、アシスト制御部230から見た制御対象560の見かけ上の伝達関数P(S)を、より好適にノミナルモデルに近づけることができる。
また、例えば、2慣性系においては出力側の慣性系の運動からでは、2慣性系全体の運動を推定しにくい。つまり、本実施形態においても、出力軸524bの回転角度θbの情報のみからでは、1慣性系と2慣性系との間のノミナルモデルの運動を推定しにくく、逆ノミナルモデル231から出力されるトルクTを好適に算出しにくい場合がある。これに対して、本実施形態によれば、アシスト制御部230は、入力軸524aの回転角度θaに基づいて補正トルクTを生成する。そのため、入力側である入力軸524aの回転角度θaを用いることで、1慣性系と2慣性系との間のノミナルモデルの運動を好適に推定することができる。これにより、逆ノミナルモデル231から出力されるトルクTを好適に算出でき、補正トルクTを好適に生成することができる。
また、セルフアライニングトルクは、操舵者がハンドル521を操舵する際の手ごたえとして操舵者に伝わる。そのため、例えば、セルフアライニングトルクが含まれる低周波領域においては、アシスト制御部230のゲインを大きく下げて、セルフアライニングトルクが補償されないようにすることが考えられる。この場合、アシスト制御部230による補償がされないため、反力制御部210において補償をかけて制御対象560を制御する。しかしこの場合、反力制御部210における補償量が大きくなり、反力制御部210のゲインが大きくなり過ぎる場合がある。そのため、制御装置100による制御が不安定になる恐れがある。
これに対して、本実施形態によれば、アシスト制御部230は、制御対象560に生じるセルフアライニングトルクの少なくとも一部を補償する外乱補償値Vを算出する外乱補償値算出部260を有する。補正トルクTは、外乱補償値Vを含む。そのため、セルフアライニングトルクが含まれる低周波領域においても、少なくともセルフアライニングトルクを補償する分だけ、アシスト制御部230による補償を行うことができる。これにより、反力制御部210において補償する必要がある補償量を小さくでき、反力制御部210におけるゲインを下げることができる。したがって、制御装置100による制御が不安定になることを抑制できる。そのため、操舵者が感じる操舵感をより向上できる。また、アシスト制御部230によってセルフアライニングトルクの少なくとも一部を補償することで、操舵者がハンドル521を操舵する際に、操舵者に加わる反力を小さくすることができる。そのため、操舵者が感じる操舵感をより向上できる。特に、本実施形態では、アシスト制御部230によってセルフアライニングトルクの一部のみを補償することで、操舵者がハンドル521を操舵する際に、操舵者に適度な手ごたえを与えつつ、操舵者がハンドル521を操舵しやすくできる。
また、本実施形態によれば、外乱補償値Vは、制御対象560に生じる摩擦力、制御対象560に生じるガタに起因する外乱トルク、および制御対象560に生じるトルクリップルのうち少なくとも一部を補償する補償値を含む。そのため、アシスト制御部230の外乱補償値算出部260において算出される外乱補償値Vによって、セルフアライニングトルクだけでなく、摩擦力、ガタに起因する外乱トルク、およびトルクリップルの少なくとも一部も補償することができる。これにより、モデルフォロイング制御を行えない第1カットオフ周波数Cf1よりも低い低周波領域においても、摩擦力、ガタに起因する外乱トルク、およびトルクリップルの少なくとも一部を補償できる。したがって、第1カットオフ周波数Cf1よりも低い低周波領域において操舵者が感じる操舵感をより向上できる。
また、本実施形態によれば、外乱補償値算出部260は、制御対象560の出力に基づいてノミナルモデルを用いて算出されたトルクTと入力トルクTとの差分である差分トルクTに基づいて外乱補償値Vを算出する。そのため、差分トルクTからセルフアライニングトルクなどの値を好適に推定でき、外乱補償値Vを好適に算出できる。
また、本実施形態によれば、外乱補償値算出部260は、差分トルクTのうち第1カットオフ周波数Cf1よりも低い周波数の成分、すなわち周波数成分TaLに基づいて外乱補償値Vを算出する。セルフアライニングトルクは、比較的低い周波数成分TaLに含まれているため、周波数成分TaLに基づいて外乱補償値Vを算出することで、好適にセルフアライニングトルクの補償を行うことができる。また、周波数成分TaLには、制御対象560に生じる摩擦力、制御対象560に生じるガタに起因する外乱トルク、および制御対象560に生じるトルクリップルも含まれる。そのため、周波数成分TaLに対して、リミッタ262およびゲイン調整器263による処理を施して外乱補償値Vを算出することで、セルフアライニングトルクに加えて、制御対象560に生じる摩擦力、制御対象560に生じるガタに起因する外乱トルク、および制御対象560に生じるトルクリップルも補償できる外乱補償値Vを算出できる。
また、本実施形態によれば、アシスト制御部230は、制御対象560に生じる摩擦力の少なくとも一部を補償する摩擦補償値Vを差分トルクTに基づいて算出する摩擦補償値算出部250を有する。アシスト制御部230は、ハイパスフィルタ233によって第1カットオフ周波数Cf1よりも低い周波数成分TaLが除去された差分トルクT、すなわち周波数成分TaMに対して、摩擦補償値Vと外乱補償値Vとを加算して補正トルクTを生成する。そのため、アシスト制御部230によって、より好適に制御対象560に生じる摩擦力を補償できる。
また、本実施形態によれば、摩擦補償値算出部250は、差分トルクTのうち第1カットオフ周波数Cf1よりも低い周波数の成分、すなわち周波数成分TaLに基づいて摩擦補償値Vを算出する。そのため、モデルフォロイング制御を行えない第1カットオフ周波数Cf1よりも低い低周波領域においても、摩擦力を好適に補償できる。これにより、第1カットオフ周波数Cf1よりも低い低周波領域において、反力制御部210のゲインをより下げることができ、制御対象560の制御が不安定になることをより抑制できる。
また、従来の摩擦補償制御では、モータ543の角速度ωがゼロ付近では、チャタリング防止のためにモータ543の角速度ωに対する摩擦補償値の変化を緩やかにせざるを得なくなる。その結果として、高精度な摩擦補償制御が行えない場合があった。発明者の検討によれば、この課題を解決するためには、摩擦を逐次推定し、補償することが望ましい。本実施形態の摩擦補償値算出部250による摩擦補償によれば、摩擦を逐次推定し、摩擦補償値Vを算出できるため、当該課題を解決できる。
また、例えば、高速道路を走行するときなどに白線または黄線などの車線を認識し、車線に追従した車両の自動走行をアシストする補助装置が開発されている。このような補助装置および電動パワーステアリング装置を搭載した車両において、減速機構544の摩擦に左右差があると、車線の中心に沿って車両を直進走行させる補助装置の制御に影響が及び得ることが知られている。本実施形態の摩擦補償値算出部250による摩擦補償によれば、減速機構544の摩擦に左右差がある場合であっても、逐次摩擦を推定できるために、上記の課題を解決することが可能となる。なお、制御対象560の出力であるモータ543の角速度ωは、減速機構544の摩擦の左右差に関する情報を含んでいる。
本発明者らは、上述した実施形態の制御装置100によるモデルフォロイング制御を適用して得られる効果を、実車測定を行うことで確認した。実車測定において、トルクリップル、粘性感、摩擦、および慣性感のそれぞれについて、モデルフォロイング制御を適用しない場合とモデルフォロイング制御を適用する場合とを比較した。
図5、図7、図9、および図11に、モデルフォロイング制御を適用しない場合の操舵角[deg]およびトーショントルク[Nm]の測定結果を示す。図6、図8、図10、および図12に、モデルフォロイング制御を適用した場合の操舵角[deg]およびトーショントルク[Nm]の測定結果を示す。図5~図12の各グラフにおいて、横軸は操舵角[deg]であり、縦軸はトーショントルク[Nm]である。トーショントルクは、トーションバートルクであり、操舵トルクTである。
図5および図6には、90[deg/s]でハンドル521を操舵した際の波形を示す。図5および図6の各拡大図を見ると、モデルフォロイング制御を適用しない図5の波形よりも、モデルフォロイング制御を適用した図6の波形の方が、トルクリップルが低減していることが確かめられた。これにより、モデルフォロイング制御を適用することで、ハンドル521を操舵する際のトルクリップルを低減できることが確かめられた。
図7および図8には、操舵周波数を2Hzとしてハンドル521を操舵した際の波形を示す。図7および図8から、モデルフォロイング制御を適用しない図7の波形CE1におけるトーショントルクの変動量D1ceよりも、モデルフォロイング制御を適用した図8の波形EM1におけるトーショントルクの変動量D1emの方が小さいことが確かめられた。これにより、モデルフォロイング制御を適用することで、ハンドル521を操舵する際の粘性感を低減できることが確かめられた。
図9および図10には、操舵周波数を0.5Hzとして±10degでハンドル521を操舵した際の波形を示す。図9および図10から、モデルフォロイング制御を適用しない図9の波形CE2において矢印で示す幅D2ceよりも、モデルフォロイング制御を適用した図10の波形EM2において矢印で示す幅D2emの方が小さいことが確かめられた。幅D2ce,D2emがそれぞれ摩擦の大きさに相当する。したがって、モデルフォロイング制御を適用することで、ハンドル521を操舵する際の摩擦を低減できることが確かめられた。
図11および図12には、操舵周波数を2Hzとしてハンドル521を切り返す操舵を実施した際の波形を示す。図11においては、破線の楕円Eceで、ハンドル521を切り返したときの波形部分を示している。図12においては、破線の楕円Eemで、ハンドル521を切り返したときの波形部分を示している。図11および図12から、モデルフォロイング制御を適用しない図11の波形CE3における切り返し時の慣性による引っ掛かりよりも、モデルフォロイング制御を適用した図12の波形EM3における切り返し時の慣性による引っ掛かりの方が小さいことが確かめられた。これにより、モデルフォロイング制御を適用することで、ハンドル521を操舵する際の慣性感を低減できることが確かめられた。
本発明は上述の実施形態に限られず、本発明の技術的思想の範囲内において、他の構成および他の方法を採用することもできる。上述した実施形態では、制御対象とノミナルモデルとのモデル化誤差に対する相補感度関数のゲイン特性におけるゲインが1である周波数帯域において制御対象の伝達関数がノミナルモデルの伝達関数に拘束されるようにアシスト制御部を構成したが、これに限られない。アシスト制御部は、制御対象とノミナルモデルとのモデル化誤差に対する相補感度関数のゲイン特性におけるゲインが略1である周波数帯域において、制御対象の伝達関数がノミナルモデルの伝達関数に拘束されるように構成されればよい。「ゲインが略1である」とは、ゲインが1である場合に加えて、例えば、ゲインが0.8以上、1.2以下である場合も含む。当該数値範囲は、例えば、モータに接続される減速機構がウォームギヤを有する場合において、ウォームギヤの正効率および逆効率を考慮した上で、実質的な外乱抑圧特性のゲインを1に調整できる範囲である。ウォームギヤの効率は0.8程度であるため、目標値1に対して、±0.2でゲインを調整する必要がある。
上記の実施形態において相補感度関数は、ローパスフィルタの伝達関数をQ(s)とし、ハイパスフィルタの伝達関数をHPF(s)とするとき、Q(s)・HPF(s)で表される関数としたが、これに限られない。例えば、制御対象の伝達関数とノミナルモデルの伝達関数とが等しい場合において、相補感度関数は、Q(s)で表されてもよい。
ノミナルモデルは、どのような伝達関数を有するモデルであってもよい。例えば、制御対象を、モータを含む1慣性系として、ノミナルモデルの伝達関数P(s)を以下の式(7)のようにしてもよい。
Figure 2023098246000008
式(7)において、sはラプラス変換子であり、Jmnはノミナルモデルの慣性モーメントを表すパラメータであり、Bmnはノミナルモデルの粘性摩擦係数を表すパラメータである。
アシスト制御部によって生成される補正トルクは、入力トルクを補正するトルクであればよく、入力トルクをどのように補正してもよい。アシスト制御部は、フィードフォワード制御などのフィードバック制御以外の制御において、補正トルクによって入力トルクを補正してもよい。
本開示における制御装置および制御方法が対象とする制御対象は、少なくともモータを含むならば、操舵機構のうちどのような部分であってもよい。制御対象は、1慣性系の制御対象であってもよいし、2慣性系以上の制御対象であってもよい。
100…制御装置、210…反力制御部、230…アシスト制御部、232…ローパスフィルタ、233…ハイパスフィルタ、250…摩擦補償値算出部、260…外乱補償値算出部、280…状態フィードバック部、521…ハンドル、524a…入力軸、524b…出力軸、530…操舵機構、543…モータ、546…トーションバー、560…制御対象、1000…電動パワーステアリング装置、Cf1…第1カットオフ周波数、Cf2…第2カットオフ周波数、P(s)…制御対象の伝達関数、P(s)…ノミナルモデルの伝達関数、T(s)…相補感度関数、T…差分トルク、T…補正トルク、T…操舵トルク(トーションバートルク)、T…トルク、T…入力トルク、V…外乱補償値、V…摩擦補償値、V…状態補償値、θa…回転角度

Claims (16)

  1. 操舵者が操舵するハンドルが連結された入力軸と、前記入力軸にトーションバーを介して連結された出力軸と、前記出力軸に連結されたモータと、を備える操舵機構のうち、少なくとも前記モータを含む部分を制御対象として制御する制御装置であって、
    前記制御対象に入力される入力トルクを前記トーションバーに生じるトーションバートルクに基づいて生成し、前記操舵者に前記ハンドルから伝達される反力を制御する反力制御部と、
    前記入力トルクを補正する補正トルクを前記制御対象の出力とノミナルモデルとに基づいて生成するアシスト制御部と、
    前記制御対象の出力に基づいて状態補償値を前記入力トルクに対してフィードバックする状態フィードバック部と、
    を備え、
    前記アシスト制御部は、前記制御対象と前記ノミナルモデルとのモデル化誤差に対する相補感度関数のゲイン特性におけるゲインが略1である周波数帯域において、前記制御対象の伝達関数が前記ノミナルモデルの伝達関数に拘束されるように構成され、
    前記状態フィードバック部は、前記制御対象の出力に基づいて、前記制御対象の見かけ上の伝達関数を前記ノミナルモデルの伝達関数に近づけるように前記状態補償値をフィードバックする、制御装置。
  2. 前記状態フィードバック部は、前記補正トルクによって補正された後で、かつ、前記制御対象に入力される前の前記入力トルクに対して前記状態補償値をフィードバックする、請求項1に記載の制御装置。
  3. 前記状態補償値は、前記制御対象に生じる慣性力と前記制御対象に生じる粘性力と前記制御対象に生じる摩擦力との少なくとも一部を補償する補償値を含む、請求項1または2に記載の制御装置。
  4. 操舵者が操舵するハンドルが連結された入力軸と、前記入力軸にトーションバーを介して連結された出力軸と、前記出力軸に連結されたモータと、を備える操舵機構のうち、少なくとも前記モータを含む部分を制御対象として制御する制御装置であって、
    前記制御対象に入力される入力トルクを前記トーションバーに生じるトーションバートルクに基づいて生成し、前記操舵者に前記ハンドルから伝達される反力を制御する反力制御部と、
    前記入力トルクを補正する補正トルクを前記制御対象の出力とノミナルモデルとに基づいて生成するアシスト制御部と、
    前記制御対象に生じる慣性力と前記制御対象に生じる粘性力と前記制御対象に生じる摩擦力との少なくとも一部を補償する状態補償値を前記入力トルクに対してフィードバックする状態フィードバック部と、
    を備え、
    前記アシスト制御部は、前記制御対象と前記ノミナルモデルとのモデル化誤差に対する相補感度関数のゲイン特性におけるゲインが略1である周波数帯域において、前記制御対象の伝達関数が前記ノミナルモデルの伝達関数に拘束されるように構成され、
    前記状態フィードバック部は、前記補正トルクによって補正された後で、かつ、前記制御対象に入力される前の前記入力トルクに対して前記状態補償値をフィードバックする、制御装置。
  5. 前記アシスト制御部は、
    第1カットオフ周波数を有するハイパスフィルタと、
    前記第1カットオフ周波数よりも高い第2カットオフ周波数を有するローパスフィルタと、
    を有し、
    前記相補感度関数は、前記ローパスフィルタの伝達関数をQ(s)とし、前記ハイパスフィルタの伝達関数をHPF(s)とするとき、Q(s)・HPF(s)で表される、請求項1から4のいずれか一項に記載の制御装置。
  6. 前記ローパスフィルタの次数は、3次以上である、請求項5に記載の制御装置。
  7. 前記状態補償値は、前記モータに生じる慣性力と前記モータに生じる粘性力と前記モータに生じる摩擦力との少なくとも一部を補償する補償値を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の制御装置。
  8. 前記アシスト制御部は、前記制御対象の出力に基づいて前記ノミナルモデルを用いて算出されたトルクと、前記補正トルクによって補正された後で前記状態補償値がフィードバックされる前の前記入力トルクとの差分に基づいて、前記補正トルクを生成する、請求項1から7のいずれか一項に記載の制御装置。
  9. 前記アシスト制御部は、前記入力軸の回転角度に基づいて前記補正トルクを生成する、請求項1から8のいずれか一項に記載の制御装置。
  10. 前記アシスト制御部は、前記制御対象に生じるセルフアライニングトルクの少なくとも一部を補償する外乱補償値を算出する外乱補償値算出部を有し、
    前記補正トルクは、前記外乱補償値を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の制御装置。
  11. 前記外乱補償値は、前記制御対象に生じる摩擦力、前記制御対象に生じるガタに起因する外乱トルク、および前記制御対象に生じるトルクリップルのうち少なくとも一部を補償する補償値を含む、請求項10に記載の制御装置。
  12. 前記アシスト制御部は、
    前記制御対象に生じる摩擦力の少なくとも一部を補償する摩擦補償値を、前記制御対象の出力に基づいて前記ノミナルモデルを用いて算出されたトルクと前記入力トルクとの差分である差分トルクに基づいて算出する摩擦補償値算出部と、
    を有し、かつ、第1カットオフ周波数を有するハイパスフィルタによって、前記第1カットオフ周波数よりも低い周波数成分が除去された前記差分トルクに対して、前記摩擦補償値と前記外乱補償値とを加算して前記補正トルクを生成する、請求項10または11に記載の制御装置。
  13. 前記摩擦補償値算出部は、前記差分トルクのうち前記第1カットオフ周波数よりも低い周波数の成分に基づいて、前記摩擦補償値を算出し、
    前記外乱補償値算出部は、前記差分トルクのうち前記第1カットオフ周波数よりも低い周波数の成分に基づいて、前記外乱補償値を算出する、請求項12に記載の制御装置。
  14. 請求項1から13のいずれか一項に記載の制御装置と、
    前記操舵機構と、
    を備える、電動パワーステアリング装置。
  15. 操舵者が操舵するハンドルが連結された入力軸と、前記入力軸にトーションバーを介して連結された出力軸と、前記出力軸に連結されたモータと、を備える操舵機構のうち、少なくとも前記モータを含む部分を制御対象として制御する制御方法であって、
    前記制御対象に入力される入力トルクを前記トーションバーに生じるトーションバートルクに基づいて生成し、前記操舵者に前記ハンドルから伝達される反力を制御することと、
    前記入力トルクを補正する補正トルクを前記制御対象の出力とノミナルモデルとに基づいて生成することと、
    前記制御対象の出力に基づいて状態補償値を前記入力トルクに対してフィードバックすることと、
    を含み、
    前記補正トルクを生成することは、前記制御対象と前記ノミナルモデルとのモデル化誤差に対する相補感度関数のゲイン特性におけるゲインが略1である周波数帯域において、前記制御対象の伝達関数を前記ノミナルモデルの伝達関数に拘束することを含み、
    前記状態補償値を前記入力トルクに対してフィードバックすることは、前記制御対象の出力に基づいて、前記制御対象の見かけ上の伝達関数を前記ノミナルモデルの伝達関数に近づけるように前記状態補償値をフィードバックすることを含む、制御方法。
  16. 操舵者が操舵するハンドルが連結された入力軸と、前記入力軸にトーションバーを介して連結された出力軸と、前記出力軸に連結されたモータと、を備える操舵機構のうち、少なくとも前記モータを含む部分を制御対象として制御する制御方法であって、
    前記制御対象に入力される入力トルクを前記トーションバーに生じるトーションバートルクに基づいて生成し、前記操舵者に前記ハンドルから伝達される反力を制御することと、
    前記入力トルクを補正する補正トルクを前記制御対象の出力とノミナルモデルとに基づいて生成することと、
    前記制御対象に生じる慣性力と前記制御対象に生じる粘性力と前記制御対象に生じる摩擦力との少なくとも一部を補償する状態補償値を前記入力トルクに対してフィードバックすることと、
    を含み、
    前記補正トルクを生成することは、前記制御対象と前記ノミナルモデルとのモデル化誤差に対する相補感度関数のゲイン特性におけるゲインが略1である周波数帯域において、前記制御対象の伝達関数を前記ノミナルモデルの伝達関数に拘束することを含み、
    前記状態補償値を前記入力トルクに対してフィードバックすることは、前記補正トルクによって補正された後で、かつ、前記制御対象に入力される前の前記入力トルクに対して前記状態補償値をフィードバックすることを含む、制御方法。
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