JP2023096739A - 電子写真用トナー - Google Patents

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Abstract

【課題】低温定着性に優れ、画像の重ね合わせ時のアルコール付着による画像の色移りを抑制することができる電子写真用トナーに関すること。【解決手段】結着樹脂及び無機粒子を含有する電子写真用トナーであって、前記無機粒子のトナー中の個数平均粒子径が2μm以上6μm以下であり、前記無機粒子の含有量が、前記結着樹脂100質量部に対して、40質量部以上150質量部以下である、電子写真用トナー。【選択図】なし

Description

本発明は、例えば、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられる電子写真用トナーに関する。
特許文献1には、結晶性樹脂及び非晶質樹脂を含む結着樹脂、及び個数平均粒子径が1nm以上500nm以下の炭酸カルシウムを含有する電子写真用トナーであって、前記結晶性樹脂が、炭素数9以上14以下の脂肪族ジオールを含有するアルコール成分と、炭素数9以上14以下の脂肪族ジカルボン酸化合物を含有するカルボン酸成分とを重縮合させて得られる重縮合系樹脂成分と、スチレン系樹脂成分とを含む結晶性複合樹脂Cを含有する、電子写真用トナーが開示されている。
特許文献2には、少なくとも結着樹脂と、着色剤と、炭酸カルシウム、カオリンクレー、タルク、硫酸バリウムから選ばれる1種類以上の無機フィラーとを含むトナー材料から得られる静電荷像現像用トナーであって、前記トナーのガラス転移温度は50~58℃の範囲内であり、かつ、前記無機フィラーの含有量はトナー100重量部に対して1~10重量部であり、無機フィラーの一部がトナー母体粒子表面に存在しており、トナー母体粒子表面に存在する前記無機フィラーの割合が無機フィラーの含有量に対して5~40%の範囲内であることを特徴とする静電荷像現像用トナーが開示されている。
特許文献3には、少なくとも、第2の樹脂(b)とフィラー(f)とを含有する樹脂粒子(B)の表面に、樹脂粒子(A)または被膜(P)が付着されてなる樹脂粒子(C)からなり、前記樹脂粒子(A)または被膜(P)は、第1の樹脂(a)を含み、前記第2の樹脂(b)は、結晶性樹脂を含み、前記樹脂粒子(B)は、前記フィラー(f)を15質量%以上含むことを特徴とする静電荷像現像用トナーが開示されている。
特開2016-114828号公報 特開2014-145886号公報 特開2013-200559号公報
近年、電子写真装置の小型化、高速化、高画質化の促進とともに、定着工程における消費エネルギーを低減するという省エネルギーの観点から、トナーの低温定着性の向上が強く求められている。しかしながら、低温定着性の向上に有効な軟化点の低い樹脂は、汎用溶剤であるアルコールで可塑化しやすく、溶剤が付着した際に紙同士が付着し、色移りが生じるという課題がある。
本発明は、低温定着性に優れ、画像の重ね合わせ時のアルコール付着による画像の色移りを抑制することができる電子写真用トナーに関する。
本発明は、結着樹脂及び無機粒子を含有する電子写真用トナーであって、前記無機粒子のトナー中の個数平均粒子径が2μm以上6μm以下であり、前記無機粒子の含有量が、前記結着樹脂100質量部に対して、40質量部以上150質量部以下である、電子写真用トナーに関する。
本発明の電子写真用トナーは、低温定着性に優れ、画像の重ね合わせ時のアルコール付着による色移りを抑制することができるという優れた効果を奏するものである。
本発明の電子写真用トナーは、比較的大粒径の無機粒子を多量に含有する点に大きな特徴を有する。本発明の効果が奏される理由の詳細は不明なるも、以下のように推察される。
本発明のトナーは、トナー粒径に近いミクロンオーダーの粒径の無機粒子を多量に含むため、定着画像のトナー層表面に無機粒子が多く存在することになる。その結果、定着画像に含まれる樹脂がアルコールにより可塑化されても、無機粒子がスペーサー的に作用し、相手紙とトナー層表面の樹脂との接触面積が小さくなることで紙同士が貼りつきにくくなり、色移りを抑制できるものと考えられる。
本発明のトナーは、結着樹脂及び無機粒子を含有する。
結着樹脂としては、トナーの結着樹脂として用いられている樹脂であれば特に限定されず、ポリエステル樹脂、スチレン-アクリル樹脂等のビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン、これらの樹脂を2種以上含む複合樹脂等が挙げられるが、本発明では、低温定着性の観点から、ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂とスチレン系樹脂を有する複合樹脂等のポリエステル系樹脂を含むことが好ましい。
ポリエステル樹脂は、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含むアルコール成分と芳香族ジカルボン系化合物を含むカルボン酸成分との重縮合物であることが好ましい。
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物は、式(I):
Figure 2023096739000001
(式中、OR及びROはオキシアルキレン基であり、Rはエチレン基及び/又はプロピレン基であり、x及びyはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、xとyの和の値は、1以上、好ましくは1.5以上であり、そして、16以下、好ましくは8以下、より好ましくは6以下、さらに好ましくは4以下である)
で表される化合物が好ましく、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。
式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の含有量は、アルコール成分中、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは100モル%である。
他のアルコール成分としては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-ブテンジオール、1,3-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、グリセリン等の3価以上のアルコール等が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸系化合物としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、これらの酸の無水物、これらの酸の炭素数が1以上3以下のアルキルエステル等が挙げられ、これらの中では、テレフタル酸が好ましい。
芳香族ジカルボン酸系化合物の含有量は、カルボン酸成分中、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは100モル%である。
他のカルボン酸成分としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、炭素数1~20の炭化水素基で置換されていてもよいコハク酸、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸等の3価以上のカルボン酸系化合物、これらの酸の無水物及びアルキル基の炭素数が1以上3以下のアルキルエステル等が挙げられる。
なお、アルコール成分には1価のアルコールが、カルボン酸成分には1価のカルボン酸系化合物が、適宜含まれていてもよい。
カルボン酸成分のカルボキシ基とアルコール成分の水酸基との当量比(COOH基/OH基)は、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上、さらに好ましくは0.75以上であり、そして、好ましくは1.2以下、より好ましくは1.15以下である。
ポリエステル樹脂は、例えば、原料モノマーであるアルコール成分とカルボン酸成分とを不活性ガス雰囲気中、好ましくはエステル化触媒の存在下、さらに必要に応じて、エステル化助触媒、重合禁止剤等の存在下、好ましくは160℃以上、より好ましくは200℃以上、そして、好ましくは250℃以下、より好ましくは240℃以下の温度で重縮合させて製造することができる。
エステル化触媒としては、酸化ジブチル錫、2-エチルヘキサン酸錫(II)等の錫化合物、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のチタン化合物等が挙げられ、錫化合物が好ましい。エステル化触媒の使用量は、原料モノマー100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上であり、そして、好ましくは1.5質量部以下、より好ましくは1質量部以下である。エステル化助触媒としては、没食子酸等が挙げられる。エステル化助触媒の使用量は、原料モノマー100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、そして、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下である。重合禁止剤としては、tert-ブチルカテコール等が挙げられる。重合禁止剤の使用量は、原料モノマー100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、そして、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下である。
なお、本発明において、ポリエステル樹脂は、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステル樹脂であってもよい。変性されたポリエステル樹脂としては、例えば、特開平11-133668号公報、特開平10-239903号公報、特開平8-20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステル樹脂が挙げられる。
複合樹脂におけるポリエステル樹脂は、前記ポリエステル樹脂と同様である。
複合樹脂におけるスチレン系樹脂は、少なくとも、スチレン、又はα-メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体(以下、スチレンとスチレン誘導体をまとめて「スチレン化合物」という)を含む原料モノマーの付加重合物である。
スチレン化合物、好ましくはスチレンの含有量は、スチレン系樹脂の原料モノマー中、保存性の観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは95質量%以下、より好ましくは93質量%以下、さらに好ましくは90質量%以下である。
また、スチレン系樹脂は、原料モノマーとしてアルキル基の炭素数が7以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含んでも良い。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸(イソ)オクチル、(メタ)アクリル酸(イソ)デシル、(メタ)アクリル酸(イソ)ステアリル等が挙げられる。これらの1種又は2種以上を用いることが好ましい。なお、本明細書において、「(イソ)」は、この基が存在している場合とそうでない場合の双方を含むことを意味し、これらの基が存在していない場合には、ノルマルであることを示す。また、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸、メタクリル酸、又はその両者を示す。
スチレン系樹脂の原料モノマーとしての(メタ)アクリル酸アルキルエステルにおけるアルキル基の炭素数は、トナーの低温定着性を向上させる観点から、好ましくは7以上、より好ましくは8以上であり、そして、好ましくは12以下、より好ましくは10以下である。なお、該アルキルエステルの炭素数は、エステルを構成するアルコール成分由来の炭素数をいう。
スチレン系樹脂の原料モノマーには、スチレン化合物及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル以外の原料モノマー、例えば、エチレン、プロピレン等のエチレン性不飽和モノオレフィン類;ブタジエン等のジオレフィン類;塩化ビニル等のハロビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル等のエチレン性モノカルボン酸エステル;メチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;ビニリデンクロリド等のビニリデンハロゲン化物;N-ビニルピロリドン等のN-ビニル化合物類等が含まれていてもよい。
スチレン系樹脂の原料モノマーの付加重合反応は、例えば、ジクミルパーオキサイド等の重合開始剤、連鎖移動剤、架橋剤等の存在下、有機溶媒存在下又は無溶媒下で、常法により行うことができるが、温度条件としては、好ましくは110℃以上、より好ましくは140℃以上であり、そして、好ましくは200℃以下、より好ましくは170℃以下である。
付加重合反応の際に有機溶媒を使用する場合、キシレン、トルエン、メチルエチルケトン、アセトン等を用いることができる。有機溶媒の使用量は、スチレン系樹脂の原料モノマー100質量部に対して、10質量部以上50質量部以下が好ましい。
複合樹脂は、ポリエステル樹脂の原料モノマーとスチレン系樹脂の原料モノマーのいずれとも反応し得る両反応性モノマーを介して共有結合により化学的に結合した樹脂であることがより好ましい。
両反応性モノマーは、分子内に、水酸基、カルボキシ基、エポキシ基、第1級アミノ基及び第2級アミノ基からなる群より選ばれた少なくとも1種の官能基、好ましくは水酸基及び/又はカルボキシ基、より好ましくはカルボキシ基と、エチレン性不飽和結合とを有する化合物が好ましく、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸及び無水マレイン酸からなる群より選ばれた少なくとも1種がより好ましく、重縮合反応及び付加重合反応の反応性の観点から、アクリル酸、メタクリル酸及びフマル酸からなる群より選ばれた少なくとも1種がさらに好ましく、アクリル酸がさらに好ましい。但し、重合禁止剤と共に用いた場合は、フマル酸等のエチレン性不飽和結合を有する多価カルボン酸系化合物は、ポリエステル樹脂の原料モノマーとして機能する。この場合、フマル酸等は両反応性モノマーではなく、ポリエステル樹脂の原料モノマーである。
両反応性モノマーの使用量は、低温定着性の観点から、ポリエステル樹脂のアルコール成分の合計100モルに対して、好ましくは1モル以上、より好ましくは2モル以上、さらに好ましくは3モル以上であり、そして、スチレン系樹脂とポリエステル樹脂との分散性を高め、トナーの耐久性を向上させる観点から、好ましくは30モル以下、より好ましくは20モル以下、さらに好ましくは10モル以下である。
また、両反応性モノマーの使用量は、低温定着性の観点から、スチレン系樹脂の原料モノマーの合計100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上であり、そして、スチレン系樹脂とポリエステル樹脂との分散性を高め、トナーの耐久性を向上させる観点から、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下である。ここで、スチレン系樹脂の原料モノマーの合計は重合開始剤を含む。
複合樹脂は、例えば、ポリエステル樹脂の原料モノマーによる重縮合反応の工程(A)と、スチレン系樹脂の原料モノマーによる付加重合反応の工程(B)とを含む方法により製造することができる。(i) 工程(A)の後に工程(B)を行ってもよいし、(ii) 工程(B)の後に工程(A)を行ってもよく、(iii) 工程(A)と工程(B)を同時に行ってもよい。なお、両反応性モノマーは、スチレン系樹脂の原料モノマーとともに用いることが好ましい。
(i)の方法において、工程(B)の後に、再度反応温度を上昇させ、必要に応じて架橋剤となる3価以上の非晶質ポリエステル樹脂の原料モノマー等を反応系に添加し、工程(A)の重縮合反応や両反応性モノマーとの反応をさらに進めてもよい。
また、重縮合反応を行う工程(A)の代わりに、予め重合した重縮合系樹脂を用いてもよい。工程(A)と工程(B)を並行して進行する際には、ポリエステル樹脂の原料モノマーを含有した混合物中に、スチレン系樹脂の原料モノマーを含有した混合物を滴下して反応させることもできる。
工程(A)と工程(B)は、同一容器内で行うことが好ましい。
複合樹脂における結晶性ポリエステル樹脂とスチレン系樹脂の質量比(結晶性ポリエステル樹脂/スチレン系樹脂)は、低温定着性の観点から、好ましくは60/40以上、より好ましくは70/30以上であり、そして、耐久性の観点から、好ましくは97/3以下、より好ましくは93/7以下、さらに好ましくは90/10以下である。なお、上記の計算において、ポリエステル樹脂の質量は、用いられるポリエステル樹脂の原料モノマーの質量から、重縮合反応により脱水される反応水の量(計算値)を除いた量であり、両反応性モノマーの量は、ポリエステル樹脂の原料モノマー量に含める。また、スチレン系樹脂の量は、スチレン系樹脂の原料モノマーの合計量である。
ポリエステル系樹脂の軟化点は、保存安定性の観点から、好ましくは90℃以上、より好ましくは93℃以上、さらに好ましくは98℃以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは110℃以下、より好ましくは108℃以下、さらに好ましくは105℃以下である。本発明においては、アルコールで可塑化しやすい軟化点の低いポリエステル系樹脂を用いた場合に、本発明の効果がより顕著に奏される。
ポリエステル系樹脂のガラス転移温度は、アルコール付着による色移り抑制の観点から、好ましくは40℃以上、より好ましくは45℃以上、さらに好ましくは50℃以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは75℃以下、より好ましくは70℃以下、さらに好ましくは63℃以下である。
結着樹脂は、軟化点が90℃以上110℃以下の低軟化点ポリエステル系樹脂を含有することが好ましい。低軟化点ポリエステル系樹脂の含有量は、結着樹脂中、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは100質量%である。
本発明のトナーは、低軟化点ポリエステル樹脂に加えてさらに、高軟化点ポリエステル樹脂を含有していてもよい。
高軟化点ポリエステル樹脂の軟化点は、保存安定性の観点から、好ましくは110℃以上、より好ましくは115℃以上、さらに好ましくは120℃以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは155℃以下、より好ましくは140℃以下、さらに好ましくは125℃以下である。ポリエステル樹脂の軟化点は、原料モノマーや反応条件によって調整することができる。
低軟化点ポリエステル樹脂と高軟化点ポリエステル樹脂の質量比(低軟化点ポリエステル樹脂/高軟化点ポリエステル樹脂)は、低温定着性の観点から、好ましくは40/60以上、より好ましくは65/35以上、さらに好ましくは75/25以上であり、そして、好ましくは99/1以下、より好ましくは95/5以下である。
無機粒子としては、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、タルク等が挙げられ、これらの中では、トナー中への分散性の観点から、炭酸カルシウムが好ましい。
炭酸カルシウムは、結晶構造において、カルサイト(三方結晶)、アラゴナイト(斜方結晶)、及びバテライト(六方結晶)が知られているが、本発明では、常温常圧でより安定しているカルサイトを主体とする結晶構造を有するものが好ましい。
炭酸カルシウムとしては、化学合成で製造される軽質炭酸カルシウムや、天然の鉱石を粉砕分級して製造する重質炭酸カルシウム、貝殻等を原料とする天然物由来のもの等が知られているが、本発明においては、特に制限されることなくいずれも使用可能である。
炭酸カルシウムは、転写性が向上する観点から、脂肪酸又はロジンにより表面処理されていることが好ましい。
脂肪酸としては、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラギン酸、ベヘニン酸等が挙げられる。
脂肪酸の炭素数は、転写性の観点から、8以上が好ましく、10以上がより好ましく、12以上がさらに好ましい。また、入手性の観点から、22以下が好ましく、18以下がより好ましい。
ロジンとしては、水添ロジン、重合ロジン、不均化ロジン等のロジン酸、それらの金属塩、及びそれらのエステルより選択される少なくとも1種が好ましい。
脂肪酸により表面処理された炭酸カルシウムは、例えば、特開2004-123934号公報に記載されているように、炭酸カルシウムの水スラリーに疎水性の脂肪酸を直接投入し、その融点以上に加熱して撹拌した後、常法により脱水・乾燥・粉末化仕上げを行うことにより得られる。また、ロジンにより表面処理された炭酸カルシウムは、例えば、特開2003-26954号公報に記載されているように、湿式法により得られる。
炭酸カルシウムの表面は、脂肪酸又はロジンにより均一に被覆されていることが好ましい。
炭酸カルシウムを脂肪酸又はロジンで処理する量は、粒径等により異なるため一概には決定できないが、一般に、上記脂肪酸又はロジンの表面処理量は、炭酸カルシウム100質量部に対して、トナーの転写性を高める観点から、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは2質量部以上であり、同様の観点から、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは7質量部以下である。
無機粒子のトナー中の個数平均粒子径は、低温定着性及びアルコール付着による色移り抑制の観点から、2μm以上であり、好ましくは2.2μm以上、より好ましくは2.3μm以上であり、そして、同様の観点から、6μm以下であり、好ましくは5.8μm以下、より好ましくは5.6μm以下である。
無機粒子の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、40質量部以上であり、好ましくは50質量部以上、より好ましくは55質量部以上であり、そして、低温定着性及びアルコール付着による色移り抑制の観点から、150質量部以下であり、好ましくは130質量部以下、より好ましくは110質量部以下、さらに好ましくは90質量部以下である。
本発明のトナーには、結着樹脂及び無機粒子以外に、着色剤、離型剤、荷電制御剤、磁性粉、流動性向上剤、導電性調整剤、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤が含まれていてもよい。
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料、磁性体等を使用することができる。例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントレッド122、ピグメントグリーンB、ローダミン-Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、イソインドリン、ジスアゾエロー等が挙げられる。なお、本発明において、トナーは、黒トナー、カラートナーのいずれであってもよい。
着色剤の含有量は、トナーの画像濃度及び低温定着性を向上させる観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上であり、そして、好ましくは40質量部以下、より好ましくは20質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下である。
離型剤としては、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンポリエチレン共重合体ワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の炭化水素系ワックス及びそれらの酸化物;カルナウバワックス、モンタンワックス及びそれらの脱酸ワックス、脂肪酸エステルワックス等のエステル系ワックス;脂肪酸アミド類、脂肪酸類、高級アルコール類、脂肪酸金属塩等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を用いることができる。
離型剤の融点は、トナーの転写性の観点から、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは160℃以下、より好ましくは140℃以下、さらに好ましくは130℃以下である。
離型剤の含有量は、トナーの低温定着性と耐オフセット性の観点及び結着樹脂中への分散性の観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上であり、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは8質量部以下、さらに好ましくは7質量部以下である。
荷電制御剤は、特に限定されず、正帯電性荷電制御剤及び負帯電性荷電制御剤のいずれを含有していてもよい。
正帯電性荷電制御剤としては、ニグロシン染料、例えば「ニグロシンベースEX」、「オイルブラックBS」、「オイルブラックSO」、「ボントロンN-01」、「ボントロンN-04」、「ボントロンN-07」、「ボントロンN-09」、「ボントロンN-11」(以上、オリヱント化学工業(株)製)等;3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料;4級アンモニウム塩化合物、例えば「ボントロンP-51」(オリヱント化学工業(株)製)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、「COPY CHARGE PX VP435」(クラリアント社製)等;ポリアミン樹脂、例えば「AFP-B」(オリヱント化学工業(株)製)等;イミダゾール誘導体、例えば「PLZ-2001」、「PLZ-8001」(以上、四国化成工業(株)製)等;スチレン-アクリル系樹脂、例えば「FCA-701PT」、「FCA-201-PS」(藤倉化成(株)製)等が挙げられる。
また、負帯電性荷電制御剤としては、含金属アゾ染料、例えば「バリファーストブラック3804」、「ボントロンS-31」、「ボントロンS-32」、「ボントロンS-34」、「ボントロンS-36」(以上、オリヱント化学工業(株)製)、「アイゼンスピロンブラックTRH」、「T-77」(保土谷化学工業(株)製)等;ベンジル酸化合物の金属化合物、例えば、「LR-147」、「LR-297」(以上、日本カーリット(株)製)等;サリチル酸化合物の金属化合物、例えば、「ボントロンE-81」、「ボントロンE-84」、「ボントロンE-88」、「ボントロンE-304」(以上、オリヱント化学工業(株)製)、「TN-105」(保土谷化学工業(株)製)等;銅フタロシアニン染料;4級アンモニウム塩、例えば「COPY CHARGE NX VP434」(クラリアント社製)、ニトロイミダゾール誘導体等;有機金属化合物等が挙げられる。
荷電制御剤の含有量は、トナーの帯電安定性の観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.2質量部以上であり、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、さらに好ましくは3質量部以下、さらに好ましくは2質量部以下である。
本発明のトナーは、溶融混練法、乳化転相法、重合法等の従来より公知のいずれの方法により得られたトナーであってもよいが、生産性や無機粒子の分散性の観点から、溶融混練法による粉砕トナーが好ましい。溶融混練法による粉砕トナーの場合、例えば、結着樹脂、無機粒子、及び必要に応じて、着色剤、離型剤、荷電制御剤等の原料をヘンシェルミキサー等の混合機で均一に混合した後、密閉式ニーダー、1軸もしくは2軸の押出機、オープンロール型混練機等で溶融混練し、冷却、粉砕、分級して製造することができる。
本発明のトナーには、転写性を向上させるために、外添剤を用いることが好ましい。外添剤としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化亜鉛等の無機微粒子や、メラミン系樹脂微粒子、ポリテトラフルオロエチレン樹脂微粒子等の樹脂粒子等の有機微粒子が挙げられ、2種以上が併用されていてもよい。これらの中では、シリカが好ましく、トナーの転写性の観点から、疎水化処理された疎水性シリカであることがより好ましい。
シリカ粒子の表面を疎水化するための疎水化処理剤としては、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、ジメチルジクロロシラン(DMDS)、シリコーンオイル、オクチルトリエトキシシラン(OTES)、メチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
外添剤の平均粒子径は、トナーの帯電性や流動性、転写性の観点から、好ましくは10nm以上、より好ましくは15nm以上であり、そして、好ましくは250nm以下、より好ましくは200nm以下、さらに好ましくは90nm以下である。
外添剤の含有量は、トナーの帯電性や流動性、転写性の観点から、外添剤で処理する前のトナー粒子100質量部に対して、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、さらに好ましくは0.3質量部以上であり、そして、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下である。
本発明のトナーの体積中位粒径(D50)は、好ましくは3μm以上、より好ましくは4μm以上であり、そして、好ましくは15μm以下、より好ましくは10μm以下である。なお、本明細書において、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。また、トナーを外添剤で処理している場合には、外添剤で処理する前のトナー粒子の体積中位粒径をトナーの体積中位粒径とする。
本発明のトナーは、そのまま一成分現像用トナーとして、又はキャリアと混合して用いられる二成分現像用トナーとして、それぞれ一成分現像方式又は二成分現像方式の画像形成装置に用いることができる。
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。樹脂等の物性は、以下の方法により測定することができる。
〔樹脂の軟化点〕
フローテスター「CFT-500D」((株)島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
〔樹脂のガラス転移温度〕
示差走査熱量計「Q-100」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製)を用いて、試料0.01~0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで150℃まで昇温し、吸熱ピークを測定する。吸熱の最大ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とする。
〔無機粒子の個数平均粒子径〕
一次粒子の個数平均粒子径を指す。走査型電子顕微鏡(SEM)写真から無作為に500個の粒子の粒径(長径と短径の平均値)を測定し、それらの数平均値とする。
〔無機粒子のトナー粒子中の個数平均粒子径〕
トナー粒子中の無機粒子の粒径を測定するために、トナー粒子の切断面を走査型電子顕微鏡で観察する。即ち、トナー粒子をウルトラソニックダイヤモンドナイフを用いて切断し、トナー粒子の切断面にイオンエッチング処理を施す。そして、イオンエッチング処理を施したトナー粒子の切断面を走査型電子顕微鏡で2500倍の倍率で観察することで、トナー粒子の切断面の画像を得る。同様の操作で50個のトナー粒子の切断面の画像を得る。
得られた50個のトナー粒子の切断面の画像から、画像処理ソフトImageJ(アメリカ国立衛生研究所製)を用いて、無機粒子のドメインを抽出し、各ドメインの面積を算出する。得られたドメインの面積から面積円相当径を算出し、その個数平均値をトナー中の炭酸カルシウムの粒径とする。
〔離型剤の融点〕
示差走査熱量計「DSC 210」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製)を用いて、試料0.01~0.02gをアルミパンに計量し、昇温速度10℃/minで200℃まで昇温し、その温度から降温速度5℃/minで-10℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで180℃まで昇温し測定する。そこで得られた融解吸熱カーブから観察される吸熱の最大ピーク温度を離型剤の融点とする。
〔外添剤の平均粒子径〕
平均粒子径は、個数平均粒子径を指し、走査型電子顕微鏡(SEM)写真から500個の粒子の粒径(長径と短径の平均値)を測定し、それらの数平均値とする。
〔トナーの体積中位粒径〕
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマン・コールター(株)製)
アパチャー径:50μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマン・コールター(株)製)
電解液:アイソトンII(ベックマン・コールター(株)製)
分散液:電解液にエマルゲン109P(花王(株)製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB(グリフィン):13.6)を溶解して5質量%に調整したもの
分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機(機械名:(株)エスエヌディー製US-1、出力:80W)にて1分間分散させ、その後、前記電解液25mLを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記電解液100mLに、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度となるように、前記試料分散液を加え、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
樹脂製造例1
表1に示す、ポリエステル樹脂の原料モノマー、エステル化触媒及びエステル化助触媒を、窒素導入管、撹拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、235℃まで昇温した後、235℃で6時間重縮合させた。その後、210℃まで降温し10kPaの減圧下にて表1に記載の軟化点まで反応を行って、ポリエステル樹脂(樹脂A)を得た。物性を表1に示す。
樹脂製造例2
表1に示す、フマル酸以外のポリエステル樹脂の原料モノマー、エステル化触媒及びエステル化助触媒を、窒素導入管、撹拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、180℃で1時間保温した後に180℃から230℃まで10℃/hで昇温し、230℃で5時間重縮合させた。その後、180℃まで降温しフマル酸及び重合禁止剤を添加し、180℃で1時間反応させた後に、210℃まで10℃/hで昇温し、さらに210℃で1時間重縮合させた。さらに210℃で10kPaの減圧下にて表1に記載の軟化点まで反応を行って、ポリエステル樹脂(樹脂B)を得た。物性を表1に示す。
樹脂製造例3
表1に示す、無水トリメリット酸以外のポリエステル樹脂の原料モノマー、エステル化触媒及びエステル化助触媒を、流下式コンデンサー、窒素導入管、撹拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気、180℃まで昇温した後、210℃まで5時間かけて昇温を行った。その後、160℃まで降温し無水トリメリット酸を添加し、210℃で1時間反応させた後、さらに、220℃まで昇温し、10kPaにて表1に記載の軟化点まで反応を行ってポリエステル樹脂(樹脂C)を得た。物性を表1に示す。
樹脂製造例4
表1に示すトリメリット酸以外のポリエステル樹脂の原料モノマー及びエステル化触媒を窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、230℃にて12時間反応を行った後、10kPaにて1時間反応させた。160℃に降温し、スチレン系樹脂の原料モノマー、両反応性モノマー及び重合開始剤を滴下ロートにより1時間かけて滴下した。160℃に保持したまま1時間付加重合反応を熟成させた後、210℃に昇温し、10kPaにて1時間スチレン系樹脂の原料モノマーの除去を行った。
さらに、210℃にて、無水トリメリット酸を添加し、表1に記載の軟化点に達するまで反応を行って複合樹脂(樹脂D)を得た。得られた樹脂の物性を表1に示す。
樹脂製造例5
表1に示す、無水トリメリット酸以外のポリエステル樹脂の原料モノマー、エステル化触媒及びエステル化助触媒を、窒素導入管、撹拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、235℃まで昇温した後235℃で6時間重縮合させた。その後、210℃まで降温し無水トリメリット酸を添加し、210℃で1時間反応させた後、さらに210℃で10kPaの減圧下にて表1に記載の軟化点まで反応を行って、ポリエステル樹脂(樹脂E)を得た。物性を表1に示す。
Figure 2023096739000002
実施例1~13及び比較例1~4
表3に示す結着樹脂100質量部及び炭酸カルシウムと、離型剤「NP-055」(三井化学(株)製、ポリプロピレンワックス、融点125℃)1.0質量部、荷電制御剤「ボントロンE-304」(オリエント化学工業(株)製)1.0質量部、及び着色剤「REGAL 330」(カーボンブラック、キャボット・スペシャリティー・ケミカルズ・インク社製)5.0質量部を、ヘンシェルミキサーを用いて1分間混合後、以下に示す条件で溶融混練した。
同方向回転二軸押出機「PCM-30」((株)池貝製、軸の直径 2.9cm、軸の断面積 7.06cm2)を使用した。運転条件は、バレル設定温度 100℃、軸回転数 200r/min(軸の回転の周速 0.30m/sec)、混合物供給速度 10kg/h(軸の単位断面積あたりの混合物供給量 1.42kg/h・cm2)であった。
得られた混練物を冷却し、粉砕機「ロートプレックス」(ホソカワミクロン(株)製)により粗粉砕し、目開きが2mmのふるいを用いて粒径が2mm以下の粗粉砕物を得た。得られた粗粉砕物を、DS2型気流分級機(衝突板式、日本ニューマチック(株)製)を用いて体積中位粒径(D50)が8.0μmになるように粉砕圧を調整して微粉砕した。得られた微粉砕物を、DSX2型気流分級機(日本ニューマチック(株)製)を用いて体積中位粒径(D50)が8.5μmになるように静圧(内部圧力)を調整して分級を行い、トナー粒子を得た。
得られたトナー粒子100質量部と、外添剤として、疎水性シリカ「R972」(日本アエロジル(株)製、疎水化処理剤:DMDS、平均粒子径:16nm)0.5質量部及び疎水性シリカ「RY50」(日本アエロジル(株)製、疎水化処理剤:シリコーンオイル、平均粒子径:40nm)1.0質量部を、ヘンシェルミキサー(日本コークス工業(株)製)を用いて2100r/min(周速度29m/sec)で3分間混合して、トナーを得た。
実施例及び比較例で使用した炭酸カルシウムの詳細は、以下の通りである。
Figure 2023096739000003
試験例1〔低温定着性〕
複写機「AR-505」(シャープ(株)製)の定着機を装置外での定着が可能なように改良した装置にトナーを実装し、未定着の状態で印刷物を得た(印字面積:2cm×12cm、付着量:0.5mg/cm2)。その後、総定着圧が40kgfになるように調整した定着機(定着速度300mm/sec)を用い、定着ロールの温度を100℃から200℃へと5℃ずつ順次上昇させながら、各温度で未定着状態の印刷物の定着試験を行った。得られた印刷物の画像部分にセロハン粘着テープ「ユニセフセロハン」(三菱鉛筆(株)製、幅:18mm、JIS Z1522:2009)を貼り付け、定着機の定着ロールとは別の、30℃に設定した定着ローラーに通過させた後、テープを剥がした。テープを貼る前と剥がした後の光学反射密度を反射濃度計「RD-915」(グレタグマクベス社製)を用いて測定し、両者の比率(剥離後/貼付前×100)が最初に90%を越える定着ロールの温度を最低定着温度とした。結果を表3に示す。最低定着温度が低いほど、低温定着性が優れる。なお、定着紙には、「J紙」(富士ゼロックス社製)を使用した。
試験例2〔アルコール付着による画像の色移り〕
複写機「AR-505」(シャープ(株)製)の定着機を装置外での定着が可能なように改良した装置にトナーを実装し、未定着の状態で印刷物を得た(印字面積:2cm×12cm、付着量:0.5mg/cm2)。前記複写機の定着機にて、160℃、400mm/secの条件で印字媒体に未定着画像を定着させた。なお、印字媒体にJ紙(富士ゼロックス(株)製)を用いた。市販のトリガースプレーに99.5%エタノール(富士フイルム和光純薬(株)製)を充填し、卓上に置いた該定着画像の上部15cmの高さから、該定着画像に向けて0.1mL噴霧した。エタノールを噴霧した定着画像と、印刷していないJ紙を重ね合わせて、80g/cm2の加重下、温度25℃、相対湿度50%の条件下にて、1分間静置して、1分後に引き剥がしたときのドキュメントオフセット(画像の色移り)の有無を目視で確認し、下記評価基準に従って、色移りの程度を評価した。結果を表3に示す。
〔評価基準〕
A:色移りが確認できない
B:印刷していないJ紙側への色移りがわずかに見られる
C:印刷していないJ紙側への色移りが確認できるが、実使用可能レベルである
D:印刷していないJ紙側への色移りがはっきりと確認できる。
Figure 2023096739000004
以上の結果より、実施例1~13ではいずれも、低温定着性が良好で、色移りも抑制されていることが分かる。
これに対し、炭酸カルシウム(無機粒子)を不使用又は使用しても少なすぎる比較例1、2では、色移りが発生し、炭酸カルシウムが多すぎる比較例3では、低温定着性に欠けている。また、炭酸カルシウムの粒径が小さすぎる比較例4では、色移りが発生している。
本発明の電子写真用トナーは、静電荷像現像法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像等に好適に用いられるものである。

Claims (3)

  1. 結着樹脂及び無機粒子を含有する電子写真用トナーであって、前記無機粒子のトナー中の個数平均粒子径が2μm以上6μm以下であり、前記無機粒子の含有量が、前記結着樹脂100質量部に対して、40質量部以上150質量部以下である、電子写真用トナー。
  2. 無機粒子が炭酸カルシウムである、請求項1記載の電子写真用トナー。
  3. 結着樹脂が、軟化点が90℃以上110℃以下のポリエステル系樹脂を含有する、請求項1又は2記載の電子写真用トナー。
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