JP2023096415A - 熱電変換材料、および、それを用いた熱電変換素子 - Google Patents

熱電変換材料、および、それを用いた熱電変換素子 Download PDF

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Abstract

【課題】 優れた熱電性能を有するCu2Se系熱電変換材料、および、それを用いた熱電変換素子を提供すること。【解決手段】 本発明の熱電変換材料は、ドープドまたはアンドープドのCu2Se系化合物であって、一般式M12M2(ここで、M1は、銅(Cu)および/または銀(Ag)であり、M2は、セレン(Se)、硫黄(S)、鉄(Fe)、および、テルル(Te)からなる群から少なくとも1種選択される)で表される物質を含有する、Cu2Se系化合物と、M1とM2と酸素(O)とを含有する酸化物とを含有する複合体である。【選択図】 図1

Description

本発明は、熱電変換材料、および、それを用いた熱電変換素子に関する。
廃熱から電気を生み出す熱電変換材料は、センサーの自立電源や次世代の発電材料として期待されている。将来の重要な発電技術に昇華させるには、その熱電変換効率の向上、使用材料の毒性の削減、バルクから薄膜までの多様性が重要となる。また、用途の豊富さの観点から、室温近傍での高性能化が望まれている。現状では、BiTe系材料が実用化されているほぼ唯一の材料であるが、Te元素の有毒性、希少元素であることによるコストの高さの問題があり、普及が進んでいない。一方、無毒なユビキタス系等の熱電変換材料は、環境への適合性では優れているものの、その無次元性能指数(熱電効率を示す指針:zT)が低く、一般的な社会普及は困難な状況である。
そんな中、それらの中間的な位置づけであったのが、CuSe熱電変換材料であった(例えば、非特許文献1を参照)。非特許文献1によれば、CuSeは、バルク・室温近傍でzTが約0.15程度(BiTeは、0.85程度)であり、Teと比較してSeの毒性は低いことが特徴である。この室温近傍におけるzTを向上できれば、BiTe系材料に代替できるため、好ましい。
H.Liuら,Nature Materials 11,422-425,2012
以上から、本発明の課題は、優れた熱電性能を有するCuSe系熱電変換材料、および、それを用いた熱電変換素子を提供することである。
本発明による熱電変換材料は、ドープドまたはアンドープドのCuSe系化合物であって、一般式M1M2(ここで、M1は、銅(Cu)および/または銀(Ag)であり、M2は、セレン(Se)、硫黄(S)、鉄(Fe)、および、テルル(Te)からなる群から少なくとも1種選択される)で表される物質を含有する、CuSe系化合物と、前記M1と前記M2と酸素(O)とを含有する酸化物とを含有する複合体であり、これにより上記課題を解決する。
前記CuSe系化合物は、立方晶系に属し、F-43mの対称性を有してもよい。
前記酸化物は、一般式M1[M2O]Oで表されてもよい。
前記M1は、少なくともCuを含有し、前記M2は、少なくともSeを含有してもよい。
前記CuSe系化合物は、一般式Cu2-xAgSe1-yM3(ただし、M3は、硫黄(S)、鉄(Fe)、および、テルル(Te)からなる群から少なくとも1種選択され、0≦x<2、0≦y<1を満たす)で表される物質を含有してもよい。
前記複合体は、CuAgSeM3(ただし、Tは、ドーパントであり、ルビジウム(Rb)、カリウム(K)、ビスマス(Bi)、鉛(Pb)、ストロンチウム(Sr)、マンガン(Mn)、ランタン(La)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)、ナトリウム(Na)、イットリウム(Y)、ホルミウム(Ho)、カドミウム(Cd)、ジスプロシウム(Dy)、イッテルビウム(Yb)、ユーロピウム(Eu)、水素(H)、塩素(Cl)、バナジウム(V)、水銀(Hg)、リチウム(Li)、テルビウム(Tb)、サマリウム(Sm)、インジウム(In)、および、タリウム(Tl)からなる群から少なくとも1種選択される元素であり、式中a+b+c+d+e+f=1である)の組成式で表され、パラメータa~fは、それぞれ、
0.5≦a≦0.8、
0.0≦b≦0.8
0.15≦c≦0.3、
0.0≦d≦0.3
0.01≦e≦0.1、および、
0.0≦f≦0.05
を満たしてもよい。
前記パラメータa~fは、それぞれ、
0.7≦a≦0.8、
0.0≦b≦0.2
0.2≦c≦0.3、
0.0≦d≦0.1
0.01≦e≦0.03、および、
0.0≦f≦0.01
を満たしてもよい。
前記パラメータcおよびeは、
2.5≦e/c≦3.5
を満たしてもよい。
前記パラメータcおよびeは、
2.8≦e/c≦3.2
を満たしてもよい。
前記パラメータb、dおよびfは、0であってもよい。
前記酸化物は、立方晶系に属し、P23の対称性を有してもよい。
前記複合体中の前記酸化物の含有量は、0体積%より大きく15体積%以下の範囲であってもよい。
前記複合体中の前記酸化物の含有量は、3体積%以上10体積%以下の範囲であってもよい。
前記複合体は、酸化銅(I)(CO)、酸化銅(II)(CuO)、酸化セレン、および、CuとSeとからなる化合物からなる群から少なくとも1種選択される物質をさらに含有してもよい。
前記複合体の相転移温度は、330K以上370K以下の範囲であってもよい。
本発明による熱電変換素子は、交互に直列に接続されたp型熱電変換材料およびn型熱電変換材料を備え、前記p型熱電変換材料は、上述のの熱電変換材料であり、これにより上記課題を解決する。
本発明による熱電変換材料は、ドープドまたはアンドープドのCuSe系化合物と、それを構成する元素と酸素(O)とを含有する酸化物とを含有する複合体である。熱電変換材料として知られているCuSe系化合物を主成分として含有するため熱電性能を発揮する。特に、酸化物との複合体となることにより、性能指数zTが向上した熱電変換材料となり得る。このような熱電変換材料は、熱電変換素子に適用できる。
Cu[SeO]Oで表される結晶を示す模式図 本発明による熱電変換素子を模式的に示す図 COSCOS(薄膜製造装置)を模式的に示す図 例5の薄膜の表面の種々の倍率のSEM像示す図 例1~例5の薄膜のXPSスペクトルを示す図 例5の薄膜の表面のEDXマッピング図を示す図 例5の薄膜の断面のSEM像とEBSD像とを示す図 例5の薄膜のFFT回折パターンを示す図 例5の薄膜の異なる傾斜条件のFFT回折パターンを示す図 例5の薄膜のさらに異なる傾斜条件のFFT回折パターンを示す図 例1~例5の薄膜の室温における熱伝導率を示す図 例1~例5の薄膜のパワーファクタの温度依存性を示す図 例1~例5の薄膜の性能指数の温度依存性を示す図
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。なお、同様の要素には同様の番号を付し、その説明を省略する。
(実施の形態1)
実施の形態1では、本発明による熱電変換材料およびその製造方法について説明する。
本発明の熱電変換材料は、CuSe系化合物を主成分とし、それを構成する元素と酸素(O)とを含有する酸化物との複合体である。本願発明者らは、上述のCuSe系化合物が、上記酸化物と複合化されることにより、熱電特性を向上させることを見出した。
本願明細書において、CuSe系化合物は、一般式M1M2(ここで、M1は、銅(Cu)および/または銀(Ag)であり、M2は、セレン(Se)、硫黄(S)、鉄(Fe)、および、テルル(Te)からなる群から少なくとも1種選択される)で表される物質を含有する。これらは、いずれも、熱電変換材料として知られている。
CuSe系化合物の代表的な物質の1つには、M1がCuであり、M2がSeであるCuSeで表される物質がある。CuSeはp型熱電材料として知らており、その結晶構造は、立方晶系に属し、空間群F-43m(Internatioanl Tables for Crystallographyの216番)の対称性を有する。好ましくは、格子定数a=b=cは、0.5845±0.05nmを満たす。この範囲であれば、結晶構造が安定であり、優れた熱電性能を発揮する。
CuSe系化合物は、400K近傍に可逆的相転移があることが分かっている。相転移によってキャリアに散乱が生じ、ゼーベック係数が増加し、熱伝導率が低下するため、相転移後には性能指数(無次元性能指数)zTが向上する。本発明の熱電変換材料は、CuSe系化合物とそれを構成する元素と酸素(O)とを含有する酸化物との複合体であるため、CuSe系化合物の相転移温度を低温側にシフトできる。その結果、室温などのより低温における熱電性能が向上し得る。
また、CuSe系化合物は、伝導型を制御するため、あるいは、所望の導電率とするために、ドープされていてもよいし(ドープド)、ドープされていなくてもよい(アンドープド)。アンドープドのCuSe系化合物は、p型熱電変換材料として知られているが、ドーパントを添加することによって、導電率を向上させたり、伝導型を制御したりできる。
このようなドーパントには、ルビジウム(Rb)、カリウム(K)、ビスマス(Bi)、鉛(Pb)、ストロンチウム(Sr)、マンガン(Mn)、ランタン(La)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)、ナトリウム(Na)、イットリウム(Y)、ホルミウム(Ho)、カドミウム(Cd)、ジスプロシウム(Dy)、イッテルビウム(Yb)、ユーロピウム(Eu)、水素(H)、塩素(Cl)、バナジウム(V)、水銀(Hg)、リチウム(Li)、テルビウム(Tb)、サマリウム(Sm)、インジウム(In)、および、タリウム(Tl)からなる群から少なくとも1種選択される元素がある。これらは、CuSe系化合物において通常用いられるドーパントであり、上述の一般式のM1元素あるいはM2元素の一部を置換し得る。ドーパントの添加量は、CuSe系化合物の結晶構造を維持する限り特に制限はないが、例示的には、5%以下であってよい。
本発明の熱電変換材料における酸化物は、M1とM2と酸素(O)とを含有する。本願発明者らは、上述のCuSe系化合物が、上記酸化物と複合化されることにより、熱電特性を向上させることを見出した。その機序については、分かっていないが、酸化物の有する新たなバンド構造発現の寄与によるものであると考える。
複合体中におけるM1とM2と酸素(O)とを含有する酸化物の含有量は、特に制限はないが、0体積%より大きく15体積%以下の範囲であればよい。この範囲であれば、熱電性能が向上し得る。M1とM2と酸素(O)とを含有する酸化物の含有量は、好ましくは、3体積%以上10体積%以下の範囲である。この範囲であれば、CuSe系化合物の相転移温度を低温側にシフトさせ、その結果室温における熱電性能が顕著に向上させることができる。M1とM2と酸素(O)とを含有する酸化物の含有量は、より好ましくは、4体積%以上8体積%以下の範囲である。このような観点から、CuSe系化合物の主成分とする量は、少なくとも85体積%より多ければよく、好ましくは、90%より多く、より好ましくは92%より多く96%未満である。
M1とM2と酸素(O)とを含有する酸化物は、好ましくは、一般式M1[M2O]Oで表される。M1[M2O]Oで表される酸化物は、本願発明者らが発見し、結晶構造解析により新規結晶であると確認した。CuSe系化合物をM1[M2O]Oで表される酸化物と複合化することにより、室温における性能指数zTを劇的に向上させることができる。
図1は、Cu[SeO]Oで表される結晶を示す模式図である。
M1[M2O]Oで表される酸化物として、M1がCuであり、M2がSeであるCu[SeO]O結晶について構造解析を行った結果、図1に示される結晶構造モデルが得られた。
Cu[SeO]O結晶は、立方晶系に属し、P23空間群(International Tables for Crystallographyの198番)の対称性を有し、表1に示す結晶パラメータおよび原子座標位置を占めることが分かった。
Figure 2023096415000002
表1において、格子定数a、b、cは単位格子の軸の長さを示し、α、β、γは単位格子の軸間の角度を示す。原子座標は単位格子中の各原子の位置を、単位格子を単位とした0から1の間の値で示す。この結晶中には、Cu、Se、Oの原子が存在し、Cuは2種類の席Cu1およびCu2に存在する解析結果を得た。また、Seは席をSe1およびSe2の2種類の席に存在する解析結果を得た。さらに、OはO1からO4の4種類の席に存在する解析結果を得た。
Cu[SeO]O結晶と同一の結晶構造を有する結晶として、M1[M2O]O結晶がある。M1は、Cuおよび/またはAgである。M2は、Se、S、Fe、および、Teからなる群から少なくとも1種選択される元素である。このような結晶も、CuSe系化合物と複合化することにより、熱電性能を向上させることができる。
本発明の熱電変換材料が、CuSe系化合物とM1[M2O]O結晶との複合体であることは、X線回折あるいは中性子線回折によって同定できる。
M1は、好ましくは、Cuを含有し、M2は、好ましくは、Seを含有する。
この場合の一実施形態として、本発明の熱電変換材料は、CuSe系化合物として少なくともドープドまたはアンドープドのCuSeを含有し、酸化物として、少なくともCu[SeO]O結晶を含有し、これらの複合体である。複合化することにより、Seの含有量を削減しても、優れた熱電性能を発揮できるため、環境負荷の低減に有利であり、コストの削減も可能である。
この場合の一実施形態として、本発明の熱電変換材料は、CuSe系化合物としてドープドまたはアンドープドの一般式Cu2-xAgSe1-yM3(ただし、M3は、硫黄(S)、鉄(Fe)、および、テルル(Te)からなる群から少なくとも1種選択され、0≦x<2、0≦y<1を満たす)で表される物質を含有してもよい。
この場合の一実施形態として、本発明の熱電変換材料において、複合体は、酸化銅(I)(CO)、酸化銅(II)(CuO)、酸化セレン、および、CuとSeとからなる化合物からなる群から少なくとも1種選択される物質を含有してもよい。CuとSeとからなる化合物は、例えば、CuSe、CuSe、CuSe等のCuとSeとを含有する任意の化合物であってよい。このような物質は熱電性能を低減させないため好ましい。これらの物質を含有する量は、好ましくは、3体積%以下であってよい。
M1は、より好ましくはCuであり、M2は、より好ましくはSeである。この場合、本発明の熱電変換材料は、ドープドまたはアンドープドのCuSeと、Cu[SeO]O結晶との複合体である。これにより、室温において高い性能指数を示す。また、CuSe単相の熱電変換材料に比べて、Seの含有量を低減できるので、環境負荷の低減ならびにコストの削減を可能にする。
一実施の形態として、本発明の複合体は、CuAgSeM3(ただし、Tは、ドーパントであり、Rb、K、Bi、Pb、Sr、Mn、La、Co、Zn、Na、Y、Ho、Cd、Dy、Yb、Eu、H、V、Hg、Li、Tb、Sm、In、および、Tlからなる群から少なくとも1種選択される元素であり、式中a+b+c+d+e+f=1である)の組成式で表され、パラメータa~fは、それぞれ、
0.5≦a≦0.8、
0.0≦b≦0.8
0.15≦c≦0.3、
0.0≦d≦0.3
0.01≦e≦0.1、および、
0.0≦f≦0.05
を満たしてもよい。この場合、ドープドまたはアンドープドのCuSe系化合物と、M1[M2O]O結晶との複合体となるため、優れた熱電性能を発揮する。
パラメータa~fは、好ましくは、それぞれ、
0.7≦a≦0.8、
0.0≦b≦0.2
0.2≦c≦0.3、
0.0≦d≦0.1
0.01≦e≦0.03、および、
0.0≦f≦0.01
を満たしてもよい。この場合、ドープドまたはアンドープドのCuSe系化合物と、M1[M2O]O結晶との複合体となり、M1[M2O]O結晶の含有量が上記範囲となるため、優れた熱電性能を発揮する。
パラメータcおよびeは、好ましくは、
2.5≦e/c≦3.5
を満たす。これにより、M1[M2O]O結晶としてCu[SeO]O結晶を含有するため、優れた熱電性能を発揮する。
パラメータcおよびeは、より好ましくは、
2.8≦e/c≦3.2
を満たしてもよい。これにより、M1[M2O]O結晶としてCu[SeO]O結晶を含有し、上記含有量を満たすため、優れた熱電性能を発揮する。
パラメータb、dおよびfは、0であってもよい。これにより、本発明の熱電変換材料は、CuSeとCu[SeO]O結晶との複合体となり、環境負荷の低減とコスト削減を達成できる。
本発明の熱電変換材料は、上述したように、組成を制御することにより、室温における性能指数を向上させることができ、例えば、本発明の熱電変換材料が薄膜である場合、室温においてzT=0.6が確認されており、バルク体であればさらに高い性能指数となり得る。
さらに、本発明の熱電変換材料は、上述したように、組成を制御することにより、400Kより低い相転移温度有し得るが、好ましくは、330K以上370K以下の温度範囲に相転移温度を有する。その結果、特に、室温において優れた熱電性能を発揮し得る。
本発明の熱電変換材料は、薄膜であってもバルク体であってもよく、用途に応じて適宜選択される。
次に、本発明の熱電変換材料の例示的な製造方法について説明する。
まず、本発明の熱電変換材料がバルク体である場合の製造方法を説明する。M1元素を含有する原料(M1は、銅(Cu)および/または銀(Ag)である)、M2元素を含有する原料(M2は、セレン(Se)、硫黄(S)、鉄(Fe)、および、テルル(Te)からなる群から少なくとも1種選択される)、必要に応じて、T元素を含有する原料(Tは、ルビジウム(Rb)、カリウム(K)、ビスマス(Bi)、鉛(Pb)、ストロンチウム(Sr)、マンガン(Mn)、ランタン(La)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)、ナトリウム(Na)、イットリウム(Y)、ホルミウム(Ho)、カドミウム(Cd)、ジスプロシウム(Dy)、イッテルビウム(Yb)、ユーロピウム(Eu)、水素(H)、塩素(Cl)、バナジウム(V)、水銀(Hg)、リチウム(Li)、テルビウム(Tb)、サマリウム(Sm)、インジウム(In)、および、タリウム(Tl)からなる群から少なくとも1種選択される)を、例えば、上述の組成式を満たすように混合し、焼成することによって得られる。
M1元素を含有する原料およびM2元素を含有する原料は、それぞれ、M1金属単体およびM2金属単体であってよいが、例えば、M1の酸化物、炭酸塩、窒化物、酸窒化物、塩化物、フッ化物または酸フッ化物、M2の酸化物、炭酸塩、窒化物、酸窒化物、塩化物、フッ化物または酸フッ化物を用いてもよい。
T元素を含有する原料も、T元素が水素を除いて、T金属単体であってよいが、Tの酸化物、炭酸塩、窒化物、酸窒化物、塩化物、フッ化物または酸フッ化物を用いてよい。
焼成は、原料の混合物が反応する温度に加熱すればよく、例示的には、1073K以上1773K以下の温度範囲に加熱する。焼成は、原料の混合物が酸素を含有する場合には、好ましくは、窒素またはアルゴン、ヘリウム等の希ガスである不活性雰囲気、または、真空中で行われる。焼成は、原料の混合物が酸素を含有しない場合には、酸素濃度を調節した不活性雰囲気または真空中で行ってよい。焼成時間は、焼成温度によって異なるが、例示的には、30分以上48時間以下の範囲である。昇温速度は、特に制限はないが、5K/時間以上20K/時間以下の範囲の昇温速度を採用できる。このようにしてバルク体である本発明の熱電変換材料が得られる。
焼成に先立って、原料の混合物を成形してもよい。これにより、反応が促進するため好ましい。このような成形にはプレス成型が使用され得る。また、焼成後、焼成体を急冷してもよい。これにより、均一な焼成体が得られる。
このようにして得られた焼成体を粉砕し、焼結することによって、本発明の熱電変換材料を焼結体として提供してもよい。焼結は、例示的には、焼成体を粉砕し、所定の形状に成形した成形体を、10MPa以上100MPa以下の圧力範囲で1073K以上1273K℃以下の温度範囲で行われる。焼結時間は、5分以上12時間以下の時間であればよい。焼結は、通常のホットプレス法、パルス通電焼結法、あるいは、放電プラズマ焼結(SPS)を採用できる。得られた焼結体を高速カッター等により成型(成形)し、熱電変換素子(熱電変換モジュールと呼んでもよい)や後述の成膜用のターゲットに採用してもよい。
次に、本発明の熱電変換材料が薄膜である場合の製造方法を説明する。本発明の熱電変換材料は、物理的気相成長法により製造できる。例えば、上述した焼結体またはCuSe系化合物の焼結体をターゲットに用いるか、あるいは、M1元素からなるターゲット(M1は、銅(Cu)および/または銀(Ag)である)、M2元素からなるターゲット(M2は、セレン(Se)、硫黄(S)、鉄(Fe)、および、テルル(Te)からなる群から少なくとも1種選択される)、必要に応じて、T元素からなるターゲット(Tは、ルビジウム(Rb)、カリウム(K)、ビスマス(Bi)、鉛(Pb)、ストロンチウム(Sr)、マンガン(Mn)、ランタン(La)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)、ナトリウム(Na)、イットリウム(Y)、ホルミウム(Ho)、カドミウム(Cd)、ジスプロシウム(Dy)、イッテルビウム(Yb)、ユーロピウム(Eu)、水素(H)、塩素(Cl)、バナジウム(V)、水銀(Hg)、リチウム(Li)、テルビウム(Tb)、サマリウム(Sm)、インジウム(In)、および、タリウム(Tl)からなる群から少なくとも1種選択される、ただし、水素、塩素を除く)を用い、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、分子線エピタキシー法、イオンプレーティングを採用し、製造できる。
例えば、スパッタリング法を採用する場合、Ar等のスパッタガス圧を0.1Pa以上1Pa以下の範囲、基板温度を室温(298K)以上1000K以下の範囲、RF出力を30W以上150W以下の範囲、ターゲット-基板間距離を40mm以上70mm以下の範囲といったスパッタリング条件とすることにより、本発明の薄膜である熱電変換材料を所望の基板上に製造できる。
(実施の形態2)
実施の形態2では、実施の形態1で説明した熱電変換材料を用いた熱電変換素子について説明する。
図2は、本発明による熱電変換素子を模式的に示す図である。
図2は、本発明の熱電変換材料が薄膜形態である場合の熱電変換素子200を示す。本発明による熱電変換素子200は、少なくとも本発明の熱電変換材料を備える。本発明の熱電変換材料は、上述したとおりであるため、説明を省略する。
詳細には、本発明による熱電変換素子200は、一対のp型熱電変換材料220およびn型熱電変換材料230、ならびに、これらのそれぞれの端部に電極240を含む。電極240により、p型薄膜熱電変換材料220およびn型薄膜熱電変換材料230は、電気的に直列に接続される。これら、一対のp型薄膜熱電変換材料220およびn型薄膜熱電変換材料230、ならびに、電極240は、基板210上に位置する。基板210は、上述したように、フレキシブル高分子基板、ガラス基板、金属基板、セラミック基板、および、半導体基板からなる群から選択される。基板210がフレキシブル高分子基板であれば、熱電変換素子200は、フレキシブルなシート型熱電変換素子となり得る。
ここで、p型薄膜熱電変換材料220は、本発明の薄膜熱電変換材料である。n型薄膜熱電変換材料230は、特に制限はないが、例示的には、カーボンナノチューブ、フラーレン、Bi(Se,Te)、PbTe、SiGe、GaP、GdSe、FeSi等が挙げられる。これらの材料は、n型熱電変換材料として知られており、薄膜の形態をとり得る。
電極240は、通常の電極材料であり得るが、例示的には、Al、Ni、Cu、Pt、酸化インジウムスズ(ITO)等である。
電極240の一方が高温側、電極240のもう一方が低温側となるような環境に、本発明の熱電変換素子200を設置して、端部の電極を電気回路等に接続すると、ゼーベック効果によって電圧が発生し、電極240の一方、n型薄膜熱電変換材料230、電極240のもう一方、p型薄膜熱電変換材料220の順で電流が流れる。詳細には、n型熱電変換材料230内の電子が、高温側の電極240から熱エネルギーを得て、低温側の電極240へ移動し、そこで熱エネルギーを放出し、それに対して、p型薄膜熱電変換材料220の正孔が高温側の電極240から熱エネルギーを得て、低温側の電極240へ移動して、そこで熱エネルギーを放出するという原理によって電流が流れる。
本発明では、p型薄膜熱電変換材料220として実施の形態1で説明した本発明の熱電変換材料を使用でき、フレキシブルで素子の曲げにも追随する熱電変換素子200を実現できる。また、本発明の熱電変換材料を用いれば、とりわけ200℃以下の低温領域において高い熱電性能にも優れるため、体温および廃熱を利用したウェアラブルデバイスおよびIoT電源としてフレキシブル熱電変換素子を提供できる。
このように、本発明の熱電変換素子は、好ましくは、本発明の熱電変換材料(図2ではp型熱電変換材料)と、それとは伝導型の異なる熱電変換材料(図2ではn型熱電変換材料)とを備え、交互に直列に接続され得る。
図2では、π型の熱電変換素子を用いて説明したが、本発明の熱電変換材料は、U字型熱電変換素子(図示せず)に用いてもよい。この場合も同様に、本発明の熱電変換材料からなるn型熱電変換材料およびp型熱電変換材料が、交互に電気的に直列に接続されて構成される。
図2では、n型薄膜熱電変換材料230を用いて説明してきたが、n型薄膜熱電変換材料230に代えて、金属材料や別のp型薄膜熱電変換材料を用いてもよい。例えば、n型薄膜熱電変換材料230に代えて金属材料を用いる場合、金属材料は電極240と同様の材料であってよい。n型薄膜熱電変換材料230に代えてp型薄膜熱電変換材料を用いる場合、p型薄膜熱電変換材料220に用いた本発明の熱電変換材料のゼーベック係数と異なるゼーベック係数、好ましくはより小さなゼーベック係数を有する別の本発明の熱電変換材料を採用できる。このような構成であっても、上述のように熱エネルギーを電気に効率的に変えることができる。
次に具体的な実施例を用いて本発明を詳述するが、本発明がこれら実施例に限定されないことに留意されたい。
[例1~例5]
例1~例5では、M1がCuであり、M2がSeであるCuSeターゲットを用いて、コンビナトリアル・スパッタ・コーティング・システム(COSCOS)(例えば、コンバーテック2008.3を参照)であるスパッタリング法により薄膜である本発明の熱電変換材料を製造した。
図3は、COSCOS(薄膜製造装置)を模式的に示す図である。
COSCOS(薄膜製造装置300)は、少なくとも、ガス導入口とガス排気口とを備える真空チャンバ310と、CuSeターゲット330と、基板340を取り付ける基板ホルダーとを備え、基板340とCuSeターゲット330との間を接続する電源350とを備える。図3では、CuSeターゲット330上にシャッター360を備える。基板ホルダーには加熱手段を備える。各ターゲットが基板340の直下にくるよう、基板ホルダーまたはターゲットが回転可能なように構成されている。ターゲットはスパッタソースに取り付けられている。さらに、COSCSOは、外部制御装置(図示せず)を備えており、基板ホルダーの回転制御、真空排気システム、スパッタガス圧、基板温度、バイアス電圧、ターゲット-基板間距離、シャッターの開閉等を自動制御した。
真空チャンバ310にCuSeターゲット(直径:50mm、厚さ:6mm、株式会社高純度化学製)を設置した。
基板には熱電特性評価(アルミナ(Al)コート)基板(サイズ:10mm×10mm×0.3mm、LINSEIS社製)、および、石英基板(サイズ:25mm×16mm×0.5mm)を用い、洗浄し、基板ホルダー(最大14枚設置可能)に設置した。ターゲット-基板間距離は55mmに固定した。真空チャンバにはArガス(純度99.999%以上)が接続され、水晶振動子膜厚計(QCM)により、膜厚をモニタリングした。表2に示す実験条件を外部制御装置に登録し、全自動により薄膜を製造した。
Figure 2023096415000003
例1~例5の薄膜を、エネルギー分散型X線分光(EDX)を備えた走査型電子顕微鏡(SEM、株式会社日立ハイテクイノロジーズ製、S-3700)により観察した。観察結果を図4に示す。例1~例5の薄膜の表面および深部の化学結合状態および原子濃度をX線光電子分光装置(アルバック・ファイ製、Quanterea SXM)により評価した。結果を図5および表3に示す。
例1~例5の薄膜の断面の様子をSEMにより観察し、EDXにより元素分析を行った。結果を図6に示す。例1~例5の薄膜の断面の様子および後方散乱電子回折(EBSD)像をSEMにより観察した。結果を図7に示す。
例1~例5の薄膜について透過型電子顕微鏡(TEM、JEM-2100F、日本電子株式会社製)を用い、高速フーリエ変換(FFT)法によりFFT回折パターンを測定した。FFT回折パターンから薄膜の結晶相を同定し、同定結果と元素分析の結果とから結晶相の含有量を算出した。これらの結果を図8~図10および表4に示す。
例1~例5の薄膜の熱抵抗および電気抵抗率を、それぞれ、ω法ナノ薄膜熱伝導率計(例えば、特許第5598813号参照)、および、4端子法を用いた抵抗率計を用いて測定した。得られた熱抵抗および電気抵抗率から、それぞれ、熱伝導率および導電率を算出した。例1~例5の薄膜の熱物性としてゼーベック係数を定常温度差法により一体型熱電性能評価装置(LINSEIS社)を用いて測定した。これらの測定結果から性能指数zTを算出した。これらの結果を図11~図13および表5に示す。
以上の結果をまとめて説明する。
図4は、例5の薄膜の表面の種々の倍率のSEM像示す図である。
図4によれば、例5の薄膜は、微結晶の密な集合体であることが分かった。図示しないが、例1~例4の薄膜も同様の様態であった。
図5は、例1~例5の薄膜のXPSスペクトルを示す図である。
図5によれば、例1~例5の薄膜は、主としてCuSe相を含有することが分かった。図示しないが、例1~例5の薄膜の表面には吸着酸素の存在が確認され、CuO由来のピークやCuO由来のピーク、SeO由来のピークが確認された。
図6は、例5の薄膜の表面のEDXマッピング図を示す図である。
EDXマッピング図は、グレースケールで示されるが、各図面において対応する元素が存在する場所が明るく示される。Cu、Seおよび酸素(O)は、凝集することなく、薄膜全体に均一に分布していることが分かった。なお、炭素(C)および白金(Pt)は、それぞれ、表面保護用のカーボンおよび表面コートである。例1~例4の薄膜も同様に約10μmの膜厚を有し、Cu、Seおよび酸素(O)が一様に分布していた。断面SEM像(図示せず)によれば、例5の薄膜の厚さは、13.25μmであった。同様に、断面SEM像から求めた例1~例4の薄膜の厚さを表3にまとめて示す。
Figure 2023096415000004
表3に示すように、例1~例5の薄膜は、CuAgSeM3の組成式で表したとき、パラメータb、dおよびfは0であり、パラメータa、c、eは、それぞれ、
0.5≦a≦0.8、
0.15≦c≦0.3、および、
0.01≦e≦0.1
を満たし、詳細には、
0.7≦a≦0.8、
0.2≦c≦0.3、および、
0.01≦e≦0.03
を満たすことが分かった。
図7は、例5の薄膜の断面のSEM像とEBSD像とを示す図である。
図7によれば、例5の薄膜の基板(石英基板)側には空隙が見られたが、表面側は密な薄膜であった。この空隙は、相転移を繰り返したことによる体積変化を伴う結晶化の影響によると考える。また、例5の薄膜は、図4を参照して説明したように微結晶からなるが、基板側の結晶粒の粒径は小さく、表面側に向かって結晶粒が大きく成長していることが分かった。さらに、EBSD像によれば、結晶粒は種々のグレースケールを示しており、例5の薄膜は多結晶であることが分かった。図示しないが、例1~例4の薄膜も同様に基板側から表面側に向かって粒成長した結晶粒からなる多結晶であった。
図8は、例5の薄膜のFFT回折パターンを示す図である。
図9は、例5の薄膜の異なる傾斜条件のFFT回折パターンを示す図である。
図10は、例5の薄膜のさらに異なる傾斜条件のFFT回折パターンを示す図である。
図8~図10(A)は、例5の薄膜の種々の傾斜条件のFFT回折パターンである。図8~図10(B)は、図8~図10(A)のFFT回折パターンを、立方晶系に属し、空間群F-43m(Internatioanl Tables for Crystallographyの216番)の対称性を有するCuSeでフィッティングした結果を示し、一部のスポットが良好にフィットすることが分かった。
図8~図10(C)は、図8~図10(A)のFFT回折パターンを、立方晶系に属し、P23空間群(International Tables for Crystallographyの198番)の対称性を有するCu[SeO]Oでフィッティングした結果を示し、(B)でフィットしたスポット以外の残るスポットが良好にフィットすることが分かった。このCu[SeO]O結晶は、本願発明者らが発見し、結晶構造解析により新規結晶であると確認した。XPSでごくわずかに観察されたCuO由来、CuO由来、SeO由来のピークは、新規結晶によるものと推測する。
このことから、例5の薄膜は、CuSe(空間群F-43m)相と、Cu[SeO]O相との複合体であることが分かった。同様に、例1~例4の薄膜も、CuSe(空間群F-43m)相と、Cu[SeO]O相との複合体であることを確認した。
Figure 2023096415000005
表4に示すように、例2~例5の薄膜は、CuSe(空間群F-43m)相と、Cu[SeO]O相との複合体であり、複合体中のCu[SeO]O相の含有量は、15体積%以下であり、詳細には3体積%以上10体積%以下であることが分かった。
図11は、例1~例5の薄膜の室温における熱伝導率を示す図である。
図12は、例1~例5の薄膜のパワーファクタの温度依存性を示す図である。
図13は、例1~例5の薄膜の性能指数の温度依存性を示す図である。
図11によれば、例1~例5の薄膜の熱伝導率は、1.2W/mK以上1.5W/mK以下の範囲であった。図示しないが、例1~例5の薄膜の室温(25℃)のゼーベック係数を測定したところ、それぞれ、11μV/K、36μV/K、32μV/K、40μV/K、および、42μV/Kであり、正のゼーベック係数を示し、p型伝導であることを確認した。
図12によれば、例1~例5の薄膜は、測定温度域において、高いパワーファクタを達成でき、p型熱電変換材料として機能することが分かった。特に、例2~例5の薄膜に着目すると、室温近傍の低温において優れた熱電性能を示しており、これは、Cu[SeO]O相と複合化することにより、CuSeの相転移温度(400K)が350K前後までシフトしたためと考える。一方、例1の薄膜は、高温側にて例2の薄膜よりも優れた熱電性能を示したが、低温側の相転移温度のシフトは見られなかった。これは、室温で製膜したため、例1の薄膜の膜質が、例2~例5の薄膜の膜質に比べて低いためと考える。
図13では、室温における熱伝導率を用い、性能指数zTを算出した結果を示す。驚くべきことに、例5の薄膜では、室温(25℃)において、zTは0.6であった。この値は、非特許文献1で示すバルク体のそれ(0.4)よりも大きかった。したがって、薄膜に代えて、本発明の熱電変換材料をバルク体で用いれば、さらに大きなzTを達成でき、BiTe系熱電材料(室温におけるzTは0.85)を凌駕し得る。
Figure 2023096415000006
以上の結果から、本発明の熱電変換材料は、600K以下の貧熱を回収するに好適といえ、民生利用の熱電変換素子を提供できることが示された。
本発明の熱電変換材料は、BiTe系熱電材料を凌駕する高い性能指数ZTを有するため、各種電気機器に用いられる熱電冷却装置および発電装置に利用される。特に、薄膜材料の提供も可能であるため、ウェアラブルデバイスやIoT電源としてフレキシブル熱電変換素子を提供できる。
200 熱電変換素子
210、340 基板
220 p型熱電変換材料
230 n型熱電変換材料
240 電極
300 薄膜製造装置
310 真空チャンバ
330 CuSeターゲット
350 電源
360 シャッター

Claims (16)

  1. ドープドまたはアンドープドのCuSe系化合物であって、一般式M1M2(ここで、M1は、銅(Cu)および/または銀(Ag)であり、M2は、セレン(Se)、硫黄(S)、鉄(Fe)、および、テルル(Te)からなる群から少なくとも1種選択される)で表される物質を含有する、CuSe系化合物と、
    前記M1と前記M2と酸素(O)とを含有する酸化物と
    を含有する複合体である、熱電変換材料。
  2. 前記CuSe系化合物は、立方晶系に属し、F-43mの対称性を有する、請求項1に記載の熱電変換材料。
  3. 前記酸化物は、一般式M1[M2O]Oで表される、請求項1または2に記載の熱電変換材料。
  4. 前記M1は、少なくともCuを含有し、
    前記M2は、少なくともSeを含有する、請求項1~3のいずれかに記載の熱電変換材料。
  5. 前記CuSe系化合物は、一般式Cu2-xAgSe1-yM3(ただし、M3は、硫黄(S)、鉄(Fe)、および、テルル(Te)からなる群から少なくとも1種選択され、0≦x<2、0≦y<1を満たす)で表される物質を含有する、請求項4に記載の熱電変換材料。
  6. 前記複合体は、CuAgSeM3(ただし、Tは、ドーパントであり、ルビジウム(Rb)、カリウム(K)、ビスマス(Bi)、鉛(Pb)、ストロンチウム(Sr)、マンガン(Mn)、ランタン(La)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)、ナトリウム(Na)、イットリウム(Y)、ホルミウム(Ho)、カドミウム(Cd)、ジスプロシウム(Dy)、イッテルビウム(Yb)、ユーロピウム(Eu)、水素(H)、塩素(Cl)、バナジウム(V)、水銀(Hg)、リチウム(Li)、テルビウム(Tb)、サマリウム(Sm)、インジウム(In)、および、タリウム(Tl)からなる群から少なくとも1種選択される元素であり、式中a+b+c+d+e+f=1である)の組成式で表され、パラメータa~fは、それぞれ、
    0.5≦a≦0.8、
    0.0≦b≦0.8
    0.15≦c≦0.3、
    0.0≦d≦0.3
    0.01≦e≦0.1、および、
    0.0≦f≦0.05
    を満たす、請求項5に記載の熱電変換材料。
  7. 前記パラメータa~fは、それぞれ、
    0.7≦a≦0.8、
    0.0≦b≦0.2
    0.2≦c≦0.3、
    0.0≦d≦0.1
    0.01≦e≦0.03、および、
    0.0≦f≦0.01
    を満たす、請求項6に記載の熱電変換材料。
  8. 前記パラメータcおよびeは、
    2.5≦e/c≦3.5
    を満たす、請求項6または7に記載の熱電変換材料。
  9. 前記パラメータcおよびeは、
    2.8≦e/c≦3.2
    を満たす、請求項8に記載の熱電変換材料。
  10. 前記パラメータb、dおよびfは、0である、請求項6~9のいずれかに記載の熱電変換材料。
  11. 前記酸化物は、立方晶系に属し、P23の対称性を有する、請求項3に記載の熱電変換材料。
  12. 前記複合体中の前記酸化物の含有量は、0体積%より大きく15体積%以下の範囲である、請求項1~11のいずれかに記載の熱電変換材料。
  13. 前記複合体中の前記酸化物の含有量は、3体積%以上10体積%以下の範囲である、請求項12に記載の熱電変換材料。
  14. 前記複合体は、酸化銅(I)(CO)、酸化銅(II)(CuO)、酸化セレン、および、CuとSeとからなる化合物からなる群から少なくとも1種選択される物質をさらに含有する、請求項1~15のいずれかに記載の熱電変換材料。
  15. 前記複合体の相転移温度は、330K以上370K以下の範囲である、請求項1~14のいずれかに記載の熱電変換材料。
  16. 交互に直列に接続されたp型熱電変換材料およびn型熱電変換材料を備える熱電変換素子であって、前記p型熱電変換材料は、請求項1~15のいずれかに記載の熱電変換材料である、熱電変換素子。
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