JP2023094259A - パラキシレンの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】パラキシレンを効率的に直接製造するための原料となる合成ガスの水素/炭素比を調整する効果的な方法を提供する。【解決手段】炭素含有原材料のガス化により得られた合成ガスからパラキシレンを製造する方法であって、合成ガスに水素を添加して原料混合ガスを得る混合工程と、原料混合ガスを反応器内に導入して加熱および加圧下にパラキシレン合成触媒と接触させることによりパラキシレンを含む混合ガス生成物を得る反応工程と、混合ガス生成物を冷却することで高沸点成分を凝縮させて非凝縮成分からなる気相とパラキシレンを含む油相と水溶性成分を含む水相とに分離する分離工程と、油相を精製してパラキシレンを取得する精製工程とを含み、前記混合工程において得られた前記原料混合ガスが、次式(1)R=(NH2-NCO2)/(NCO+NCO2)で定義されるR値が0.7以上2.1以下の範囲に収まる組成を有するように、水素を添加する。【選択図】図3

Description

本発明は、炭素含有原材料、特に廃プラスチックなどの廃棄物、バイオマス、石炭、石油コークなどのような固体状の炭素含有原材料を含む原材料をガス化することで得られる合成ガスから、パラキシレンを直接製造する方法に関する。
ポリエステル繊維やポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂の原料として有用なパラキシレンは、従来、石油化学コンプレックスの中でナフサの改質反応により製造されているが、この方法は化石(石油)資源を必要とするうえ、製造過程において大量の二酸化炭素を排出する。
そのため、化石資源を用いずにパラキシレンを製造する方法として、一酸化炭素および水素を含む合成ガスを原料として用いる方法が既に提案されている(非特許文献1、特許文献1)。この方法は、合成ガスをZnCrスピネル構造の触媒等によりメタノールに変換し、次いでメタノールをH-ZSM-5ゼオライト(プロトン型のZSM-5ゼオライト)の外表面をシリカライト-1で被覆した触媒等によりパラキシレンを含む芳香族化合物に変換するものである。そして、これらの触媒を混合して用いることで一酸化炭素および水素を含む合成ガスから一段の反応操作でパラキシレンを合成することができる。また、一酸化炭素の代わりに二酸化炭素を用い、これと水素とを原料としてパラキシレンを一段で合成する方法も提案されている(特許文献2)。特許文献2の方法は、メタノール合成触媒として酸化クロム触媒を用い、パラキシレン合成触媒としてH-ZSM-5ゼオライトにシリカライト-1を被覆したものを用いることでパラキシレンの生成効率を向上させるとともに、メタノール合成触媒とパラキシレン合成触媒を混合して用いることで二酸化炭素および水素を含む合成ガスから一段の反応操作でパラキシレンを合成するものである。
ところで、パラキシレン合成の原料となる合成ガスは、炭素を含む各種原材料から製造されるが、原材料や製造条件によって得られる合成ガスの組成は異なる。例えば、天然ガスの改質によって得られる合成ガスの組成(一酸化炭素や二酸化炭素に対する水素の含有比率)は、天然ガスと反応させる水蒸気や二酸化炭素の添加比率によって変わってくる。また、廃プラスチック、バイオマス、石炭、石油コークなどの固体状の炭素含有原材料のガス化によって得られる合成ガスは、天然ガスの改質によって得られる合成ガスに比べて一酸化炭素および二酸化炭素に対する水素の含有モル比率(水素/炭素比)が小さいため、水素/炭素比を調整してからプロセス原料として用いる場合がある。例えば、特許文献3は、水の電気分解によって得られた水素を合成ガスに混合したり、合成ガスの流れの一部を分岐し、その中の一酸化炭素を水性ガスシフト反応で水素に転換した後、再び元の合成ガスの流れに合流させることで、他の化学製品や燃料を合成するのに最適な水素/炭素比に調整することを記載している。また、特許文献4は、石炭のガス化で得られた合成ガスから二酸化炭素を一部除去(して水素/炭素比を調整)することにより、当該合成ガスから効率的に液体炭化水素燃料を合成することを記載している。
特表2020-535966号公報 特開2019-205969号公報 特開2010-70763号公報 米国特許出願公開2008/0098654号明細書
Peipei Zhang et al., Chemical Science, The Royal Society of Chemistry, 2017年10月, 第8巻、7941~7946頁
非特許文献1や特許文献1あるいは特許文献2の方法で合成ガスからパラキシレンを一段で合成しようとする場合、特に固体状の炭素含有原材料のガス化により製造した合成ガスを用いると一酸化炭素や二酸化炭素に対する水素の含有量が不足し、一酸化炭素や二酸化炭素の転化率が上げられないため、効率的なパラキシレン合成ができない。この点につき、特許文献3では水の電気分解で得られた水素の添加や水性ガスシフト反応で合成ガス中の水素の割合を高めることが記載されているが、特許文献3は主として合成ガスから合成燃料やアンモニアやエタノールを製造する場合を念頭において述べたものであってパラキシレンの合成に向けられたものではないし、それぞれの製品に対する具体的な最適比も検討されていない。また、水性ガスシフト反応では一酸化炭素が消費されると同時に等モル量の二酸化炭素が生成され、二酸化炭素は一酸化炭素に比べ脱酸素するために倍の水素が必要になるため、燃料や化学合成に最適となるように一酸化炭素および二酸化炭素に対する水素の含有モル比率(水素/炭素比)を上げる方法としては適さない。また、特許文献4では合成ガスから二酸化炭素を除去することで合成ガス中の炭素の割合を減らすことによりパラキシレンの合成に最適な水素/炭素比に調整することが記載されているが、除去された二酸化炭素の利用が考慮されていないので二酸化炭素の排出削減や炭素資源の有効利用という点で難があり、また、主として合成ガスから合成燃料(液体炭化水素燃料)を製造することに向けられたものであって合成ガスからパラキシレンを直接合成することに向けられたものではない。以上のように、パラキシレンを効率的に直接製造するための原料となる合成ガスの水素/炭素比を調整する効果的な方法は未だ見出されていない。
本発明は、炭素含有原材料のガス化により得られた合成ガスからパラキシレンを製造する方法であって、該合成ガスに水素を添加して原料混合ガスを得る混合工程と、該原料混合ガスを反応器内に導入して加熱および加圧下にパラキシレン合成触媒と接触させることによりパラキシレンを含む混合ガス生成物を得る反応工程と、該混合ガス生成物を冷却することで高沸点成分を凝縮させて非凝縮成分からなる気相とパラキシレンを含む油相と水溶性成分を含む水相とに分離する分離工程と、該油相を精製してパラキシレンを取得する精製工程とを含み、
前記混合工程において、得られた前記原料混合ガスが、次式(1)
Figure 2023094259000002
(式中、NH2は水素のモル分率、NCOは一酸化炭素のモル分率、NCO2は二酸化炭素のモル分率を表す。)で定義されるR値が0.7以上2.1以下の範囲に収まる組成を有するように、水素を添加することを特徴とする方法を提供し、それにより上記課題を解決するものである。
本発明の方法によれば、水素の含有比率が低い合成ガスに水素を添加してパラキシレン合成に適した水素と一酸化炭素および二酸化炭素との含有モル比率(水素/炭素比)に調整するための基準が提供されるため、水素の過剰な添加を防止して水素添加量を必要最低限に抑えることができるとともに、必要な水素の調達手段を適宜選択することで効率的な水素添加を行うことができ、固体状炭素含有原材料のガス化により製造される合成ガスを用いたパラキシレン製造プロセスの最適化を図ることができる。
本発明の方法を実施する形態のプロセスフローの一例を示す。 図1のプロセスフローにおける精製工程の一例を示す。 R値とパラキシレン生産量との関係を示す。
一般に、二酸化炭素もしくは一酸化炭素またはその両方と水素との混合ガスを合成ガスと称するが、この合成ガスを加熱および加圧してパラキシレン合成触媒に接触させればパラキシレンを含む生成ガス混合物を得ることができる(反応工程)。そうして得られた生成ガス混合物を冷却することにより高沸点成分を凝縮させれば、水溶性成分を含む水相とパラキシレンを含む油相と未反応ガスを含む気相とに分離する(分離工程)。そこで得られた油相はパラキシレンの他に各種芳香族成分を含む混合物なので、その混合物を蒸留等の分離手段により各芳香族成分に分離すれば精製されたパラキシレンを取得することができる(精製工程)。すなわち、合成ガスからのパラキシレンの製造プロセスは、大きく分けて反応工程と分離工程と精製工程とからなる。以下、本発明を実施するための好適な形態について説明する。
<反応工程>
反応工程で原料として用いる合成ガスは種々の方法で得ることができる。例えば、メタンを主成分とする天然ガスの改質により得られる合成ガスは、水素と一酸化炭素または二酸化炭素との含有モル比率(水素/炭素比)が3:1~1:1程度であって、そのままでもメタノールやジメチルエーテルの生成を介して各種芳香族化合物の混合物を得るのに適している。一方、廃プラスチックなどの廃棄物やバイオマス、石炭、石油コークなどのような固体状炭素含有原材料をガス化することにより得られる合成ガスでは、水素/炭素比は1:2~1:5程度であって、天然ガスの改質により得られる合成ガスに比べて相対的に水素の含有モル比率が小さい。そのような水素の含有モル比率が小さい合成ガスをそのまま原料として用いた場合は、一酸化炭素や二酸化炭素のメタノール等への転化率が低いことから全体として反応効率が低下することが予想される。
具体的には次のことがいえる。すなわち、一酸化炭素と水素との混合ガスを反応させた場合には、式(1)に示すようにメタノールやジメチルエーテルが生成し、こうして生成したメタノールやジメチルエーテルが式(2)に示すように低級オレフィンを経由して各種芳香族化合物の混合物を生成すると考えられる。
2CO+4H ⇒ 2CHOH (⇔ CHOCH+HO) (1)
CHOCH ⇒ C、C等 ⇒ 各種芳香族化合物 (2)
つまり、化学量論的には、一酸化炭素と水素は1:2のモル比で反応することになる。この場合、式(1)のメタノール合成反応を進行させるための触媒としては、亜鉛(または銅)とクロムの複合酸化物からなるスピネル構造の触媒を好適に用いることができる。また、式(2)の反応を進行させてパラキシレンを選択的に合成するための触媒としては、H-ZSM-5ゼオライトを好適に用いることができる。なお、H-ZSM-5ゼオライトは亜鉛等でドープされたものを用いてもよい。このとき、H-ZSM-5ゼオライトの外表面をケイ素を含む化合物(好ましくはシリカライト-1のようにZSM-5ゼオライトと同じ格子構造をもち酸点を有しないもの)で被覆すれば、生成混合物中のパラキシレンの割合を高めることができる。なお、これらの触媒を混合して用いれば、式(1)の反応と式(2)の反応が連続ないし並行して進行するため、1段の反応器でパラキシレンを含む生成物を製造できる。
一方、二酸化炭素と水素との混合ガスを反応させた場合には、メタノール(やジメチルエーテル)を生成する反応が式(3)に示すように進行する。
CO+3H ⇒ CHOH+HO (3)
つまり、化学量論的には、二酸化炭素と水素は1:3のモル比で反応することになる。この場合、メタノールが生成される際に同時に水が副生するため、特許文献2に記載されるように、式(3)の反応を進行させる触媒としては、上記亜鉛(または銅)とクロムの複合酸化物からなる触媒ではなく(亜鉛または銅を含まない)酸化クロムからなる触媒を用い、式(2)の反応を進行させる触媒としては、亜鉛ドープを行わないプロトン型のH-ZSM-5を用いる方がパラキシレンの収率を上げることができる。このとき、一酸化炭素と水素を反応させる場合と同様に、H-ZSM-5ゼオライトの外表面をケイ素を含む化合物(好ましくはシリカライト-1のようにZSM-5ゼオライトと同じ格子構造をもち酸点を有しないもの)で被覆すれば、生成混合物中のパラキシレンの割合を高めることができる。また、これらの触媒を混合して用いれば、式(3)の反応と式(2)の反応が連続ないし並行して進行するため、1段の反応器でパラキシレンを含む生成物を製造できる。
すなわち、反応工程においては、原料として用いられる合成ガス(厳密には反応器入口における原料ガス混合物)中の二酸化炭素と一酸化炭素の比率やそれ以外の成分の含有量に応じて、クロム、亜鉛および銅から適宜選択される少なくとも1種の金属の酸化物を含む触媒と、適宜亜鉛等でドープしたH-ZSM-5ゼオライトをシリカライト-1のようなケイ素を含む化合物で被覆したものを含む触媒とを組み合わせて用いればよい。この場合、天然ガスの改質により得られる合成ガスは3:1~2:1という好適な水素/炭素比を有するので、そのままでもメタノール合成反応が効率よく進行するのに対し、固体状炭素含有原材料をガス化することにより得られる合成ガスは水素/炭素比が1:2~1:5となるので、そのままでは反応に必要な水素が不足することになる。固体状炭素含有原材料のガス化により得られる合成ガス中の炭素/水素モル比率が小さくなる理由としては、第1に、当該原材料中の水素原子の割合が天然ガス(メタン)中の水素原子の割合に比べて小さいことがあるが、それに加えて、固体状原材料のガス化では反応に必要な熱エネルギー量が大きく、また伝熱壁を介した間接加熱には適さないことから、スチームではなく酸素を主として供給して原材料中の炭素や水素を部分的に酸化することで必要な熱エネルギーを得ているということもある。具体的には、ガス化工程では次のような反応が複合的に生じている。
⇒ CO+CO+HO+炭化水素 (熱分解)
C+1/2O ⇒ CO (部分酸化)
C+HO ⇒ CO+H (水性ガス化)
CO+HO ⇒ CO+H (シフト)
C+CO ⇒ 2CO (発生炉ガス化)
C+2H ⇒ CH (水添ガス化)
上に挙げた反応の中で、部分酸化とシフトと水添ガス化は発熱反応であるが、熱分解反応と水性ガス化と発生炉ガス化は吸熱反応であるから、ガス化に必要な熱エネルギーは主に部分酸化によって供給されることになる。酸素の供給が必要な所以である。
上に述べたように、固体状炭素含有原材料のガス化により得られる合成ガスは水素/炭素比が、出発反応であるメタノール合成反応の化学量論比に比べてかなり小さく、そのまま用いたのでは反応効率(一酸化炭素および二酸化炭素のメタノールへの転化率)が低下することが予想されるため水素を補充する必要がある。本発明は、反応効率が原料合成ガスの水素/炭素比によってどのように変化するかを検討したことによりなされたものである。
すなわち、合成ガス中の一酸化炭素および二酸化炭素がそれぞれ水素と反応してパラキシレンを生成する、次のような反応モデルを想定する。
8CO+13H ⇒ C10+8H
8CO+21H ⇒ C10+16H
すなわち、一酸化炭素8モルをパラキシレン1モルに変換するのに水素13モルが必要であり、二酸化炭素8モルをパラキシレン1モルに変換するのに水素21モルが必要であるから、一酸化炭素NCOモルに対して水素は(13/8)NCOモル、二酸化炭素NCO2モルに対して水素は(21/8)NCO2モルあれば、全ての一酸化炭素および二酸化炭素をパラキシレンに変換できることになる。よって、水素のモル量をNH2とすれば、
H2 = (13/8)NCO+(21/8)NCO2
であることがパラキシレン合成について化学量論的に最適な量比となる。この等式を変形すれば、
8NH2 = 13NCO+21NCO2
8NH2 = 13(NCO+NCO2)+8NCO2
8(NH2-NCO2) = 13(NCO+NCO2
(NH2-NCO2)/(NCO+NCO2) = 13/8
となるから、式(1)
Figure 2023094259000003
(式中、NH2は水素のモル分率、NCOは一酸化炭素のモル分率、NCO2は二酸化炭素のモル分率を表す。)で定義されるR値が13/8=1.625であるときが、パラキシレン合成に関しては化学量論的に最適な水素と一酸化炭素と二酸化炭素の量比になる。そして、本発明者らは、下に示す実施例において具体的に示すように、原料として用いられる合成ガスについて、こうして定義したR値が0.7以上2.1以下、好ましくは0.9~2.0であれば、パラキシレン生産量が最大化されることを確認した。
すなわち、本発明は、前記反応工程に供給される原料混合ガスが、炭素含有原材料のガス化により製造された合成ガスに水素を混合して上式(1)で定義されるR値が0.7以上2.1以下の範囲におさまるように調整された合成ガスであることを特徴とするものである。なお、本発明の好適な形態では、反応工程で生成された混合ガス生成物は、分離工程で冷却されて凝縮成分が油相と水相とを形成し、気相を形成する非凝縮成分は反応器の入口側にリサイクルされて再び反応工程に供される。合成ガスに水素が添加された原料混合ガスはこのリサイクルループに合流して供給されるわけである。この場合、上で定義するR値は原料混合ガスがリサイクルループに合流する直前(リサイクルループ入口)における値である。つまり、R値は、反応器にリサイクルされる非凝縮成分を含まない、新たに反応系に供給される原料混合ガスについて定義されなくてはならない。
水素が添加されることで原料混合ガスを構成する合成ガスは、炭素含有原材料をガス化することにより得られる。そのような炭素含有原材料としては、廃プラスチックや紙くずなどの廃棄物、木材チップなどのバイオマス、石炭、石油コークなどのような固体状炭素含有原材料が想定されているが、必ずしもこれらに限定されない。すなわち、本発明において、水素が添加されることで原料混合ガスを構成する合成ガスは、水素/炭素比が小さくて水素を添加しないとパラキシレンの合成には適さない(R値が0.7未満となる)合成ガスであれば、必ずしも固体状炭素含有原材料のガス化により得られたものでなくてもよい。例えば、製鉄所の高炉から排出されるオフガス、水素製造装置において分離されたオフガス、水と二酸化炭素の共電解により生成された合成ガス、水素と二酸化炭素の逆シフト反応により生成された合成ガスなどであってもよい。
原料混合ガスを構成するために合成ガスに添加される水素としては、特に限定されないが、上に述べた本発明の好適な形態では、分離工程で気相を形成して反応器の入口側にリサイクルされる非凝縮成分が未反応水素を含み、その一部はパージガスとしてリサイクルループから抜き出されるので、そのパージガスから水素分離器で回収した水素を用いることができる。もっとも、一般にパージガスから回収した水素だけでは合成ガスに添加される水素の全量を賄うことはできないので、不足する分は、例えば、水を電気分解することで生成した水素などで賄う必要がある。その場合の電気分解に必要な電力は、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなどの再生可能エネルギーで発生した電力を用いることが好ましい。
原料混合ガスからパラキシレンを含む生成ガス混合物を得るための反応器の形式は、原料混合ガス(気体)と反応触媒(固体)との気固接触操作が可能で所望の温度・圧力を維持できるもの(充填床、移動床、流動床など)であれば特に限定されないが、接触効率がよくチャネリングを生じにくく触媒粒子の機械的損傷も少ない点で充填床が好ましい。触媒充填量やガス流速は適宜設定できるが、充填床形式の場合、空間速度(SV)が空塔基準で100~10000/hr程度になるように触媒充填量及びガス流速を設定するのがよい。また、反応温度は250℃~600℃程度、反応圧力は1~10MPaG程度に設定することが好ましい。
<分離工程>
反応工程で得られたパラキシレンを含む生成ガス混合物は、これを後段の分離工程で冷却することにより、パラキシレンを含む高沸点成分を凝縮させる。液相はさらに反応で生成した水やアルコールなどの水溶性成分を含む水相と水と混和しない芳香族成分等(パラキシレンを含む)を含む油相とに分かれる。すなわち、気液分離器(気液液分離装置)の底側から順に下層をなす水相と中層をなす油相と上層をなす気相とに分かれるため、各相の流体をそれぞれの層が形成されている位置から装置外部へ抜き出せばよい。あるいは、生成ガス混合物を冷却して得られた気液混合物をまず気相と液相とに分けた後、液相を遠心分離や沈降分離などの比重差を利用した分離法で油相と水相とに分離してもよい。
気液分離器から抜き出された気相は、未反応ガスである二酸化炭素、一酸化炭素および水素を含むため、これを反応器の前段である加熱器の入口側に戻して反応器に循環させる。しかしながら、気相にはこれらの未反応ガス以外に、副生物である炭素数1~4の低級アルカン(主にメタン)が含まれており、こうした低級アルカンは反応器内でのパラキシレン合成反応には殆ど与らないため、循環路内のガスにこれらの低級アルカンが次第に蓄積してくる。そこで、循環路内のガスの一部は外部にパージする必要がある。循環量全体の1~20体積%程度をパージすれば循環路中の低級アルカン濃度を40体積%未満に維持できる。
パージされたガスは、一酸化炭素および水素、ならびに低級アルカンを含むため、燃料用のガスとして用いることができる。ただし、このパージガスに含まれる水素については、上に述べたように、膜分離や吸着分離(Pressure Swing Adsorption等)などにより分離回収して水素/炭素比が小さい(R値が0.7に満たない)合成ガスに添加して原料混合ガスを構成するために用いることが好ましい。
なお、反応器の入口側では原料混合ガスの加熱を行い、反応器の出口側では生成ガス混合物の冷却を行うが、生成ガス混合物の冷却で回収された熱を原料混合ガスの加熱に用いるようにすれば、加熱や冷却に必要なエネルギーを節約することができるため好ましい。また、熱交換だけでは十分な生成ガス混合物の冷却が望めない場合には、熱交換操作である程度温度が低下した生成ガス混合物を更に冷却するようにしてもよい。
<精製工程>
気液分離器から抜き出された油相は、目的化合物であるパラキシレン以外に、ベンゼン、トルエン、オルトキシレン、メタキシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼンなどといった他の芳香族化合物も含むため、必要に応じてこれらを分離する。このため、油相に対しては先ず蒸留操作によりキシレン類(オルトキシレン、メタキシレン、パラキシレン、エチルベンゼン)より沸点が低いベンゼンやトルエンを低沸点成分として、またキシレン類より沸点が高いトリメチルベンゼンなどを高沸点成分として分離することが好ましい。一方、オルトキシレン、メタキシレン、エチルベンゼンの沸点はパラキシレンと近いので、蒸留操作のみでこれらを分離するのは非効率的である。そこで、キシレン類はこれらの混合物として取得し、次いで、この混合物をゼオライトでパラキシレンを吸着分離することが好ましい。
ゼオライトはパラキシレンの分子サイズを有する細孔を有するため、パラキシレンをよく吸着するが、オルトキシレン、メタキシレン、エチルベンゼンは殆ど吸着せず、モレキュラーシーブとして機能する。すなわち、パラキシレン以外の成分(オルトキシレン、メタキシレン、エチルベンゼン、およびその他の不純物)はゼオライトに吸着されずに吸着塔を通過するため、ゼオライトを用いてこの混合物の吸着と脱着を繰り返すことにより、パラキシレンを濃縮精製することができる。具体的には、吸着剤(ゼオライト)を詰めた吸着塔にキシレン混合物を流しパラキシレンのみを吸着させ、そのパラキシレンを含む吸着剤に脱着剤を接触させてパラキシレンを脱着させ、脱着剤とパラキシレンの混合物を蒸留塔にて分離することで、高濃度のパラキシレンを得ることができる。
<その他の付属的工程>
パラキシレンを増産するために、必要に応じて、異性化処理、不均化処理をすることが望ましい。精製工程で高純度パラキシレンを取得した後に残るオルトキシレン、メタキシレンおよびエチルベンゼンは、異性化処理を行って一部をパラキシレンに変換した後、精製工程の入口側に戻すことができる。具体的には、パラキシレンを分離した後のオルトキシレン、メタキシレンおよびエチルベンゼンの混合物を加熱し、ゼオライト触媒を詰めた反応器に通すことで異性化処理を行えばよい。
また、蒸留で分離されたトルエンやトリメチルベンゼンは、不均化処理を行って一部をパラキシレンを含むキシレン混合物に変換したのち、精製工程の入り口側に戻すことができる。具体的には、トルエンやトリメチルベンゼンを含む混合物を加熱し、ゼオライト触媒を詰めた反応器に通すことで不均化処理を行えばよい。
図1は、本発明の方法を実施する形態のプロセスフローの一例を示す。本発明の方法において、廃棄物、バイオマス、石炭などの炭素含有原材料は、ガス化装置1内で外部から導入された酸素で部分燃焼することによりガス化され、得られたガス混合物を必要に応じて精製することで水素、一酸化炭素、二酸化炭素などを主として含む合成ガスとなる。こうして得られた合成ガスは、昇温装置2で加熱された後、パラキシレン合成用の反応器3に導入される。反応器3内にはクロム、亜鉛および銅から選択される少なくとも1種の金属の酸化物を含む触媒とシリカライト-1で被覆したZSM-5系ゼオライトを含む触媒とが混合充填されて混合触媒層を形成しており、反応器に導入された原料ガス混合物は反応器内で250℃~600℃および1~10MPaGの高温高圧雰囲気下に混合触媒と接触することにより反応してパラキシレンを含む生成ガス混合物になる(反応工程)。
得られた生成ガス混合物は、降温装置4で常温付近まで冷却されて気液液分離装置5に導入され、凝縮した高沸点成分は気液液分離装置5内で水溶性成分を含む水相(下層)とパラキシレンを含む油相(中層)を分離形成し、その上に未反応ガスを含む気相(上層)が形成される(分離工程)。
中層を形成する油相は、気液液分離装置5から抜き出された後、蒸留分離・吸着分離・異性化処理・不均化処理などを含む精製工程6にて処理され、目的の高純度パラキシレンが取得される(精製工程)。精製工程の詳細は後に述べる。
上層を形成する気相は、水素、一酸化炭素、二酸化炭素などの未反応ガスを含むため、気液液分離装置5から抜き出された後、循環ガスとして昇温装置2の入口側の原料混合ガスの流れに混合され、再び加熱されて反応器3に戻される。なお、循環ガスの一部は循環ガス中に少量含まれる低級アルカン(メタン、エタン、プロパンなど)の系内蓄積を防止するためにパージガスとして系外に排出され、燃料ガスとして近くの加熱炉の熱源などに有効利用される。このとき、パージガスから圧力スイング吸着(PSA)や水素透過膜を用いた膜分離などの分離操作を行う水素分離装置7により水素を分離すれば、得られた水素をガス化装置1で得られた合成ガスに添加する水素の少なくとも一部に充当することができる。
気液液分離装置5内で下層を形成する水相は、水溶性有機物などを除去するため廃水処理装置に送られて処理された後、系外に放出される。
本発明では、ガス化装置1で得られた合成ガスの水素/炭素比を上げるために、合成ガスに水素を添加する。添加する水素の少なくとも一部として、上に述べたように、パージガスから水素分離装置7で分離された水素を充当することはできるが、通常、パージガスから分離された水素だけでは合成ガスに添加する水素の全量を賄うことはできない。そこで、外部から水素を供給する必要があるが、そのための手段として図1では電気分解装置8において水の電気分解により水素を生成している。このとき、陰極から水素が発生すると同時に、陽極からは酸素が発生するので、副生した酸素はガス化に必要な酸素の少なくとも一部に充当することができる。なお、水の電気分解に必要な電力は、太陽光などの再生可能エネルギーを用いて発電したものであることが好ましい。
図2は、図1のプロセスフローにおける精製工程の一例を示す。気液液分離装置5から抜き出された油相は、本発明の目的化合物であるパラキシレン以外に、オルトキシレン、メタキシレン、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼンなどといった各種芳香族化合物を含むため、これらを常法に従って、蒸留・吸着・抽出等の操作により個々の化合物に分離して精製する必要がある。具体的には、得られた混合物を先ずベンゼン/トルエン塔11で蒸留することで、キシレン類(オルトキシレン、メタキシレン、パラキシレン)やエチルベンゼンをベンゼンやトルエンなどの低沸点成分から分離する。
低沸点成分を分離除去した後に残るキシレン類(オルトキシレン、メタキシレン、パラキシレン)及びエチルベンゼンの沸点は互いに近いので、蒸留操作のみでこれらを分離するのは非効率的である。そこで、これらの混合物からキシレン蒸留塔12でキシレン留分として炭素数9以上の重質芳香族から分離して一括取得し、次いで、ゼオライトを充填したパラキシレン吸着装置13でキシレン留分からパラキシレンのみを分離することによりパラキシレンを精製して取得することができる。ゼオライトはパラキシレンの分子サイズを有する細孔を有するため、パラキシレンをよく吸着する一方、オルトキシレン、メタキシレン、エチルベンゼンは殆ど吸着せず、モレキュラーシーブとして機能するからである。すなわち、パラキシレン以外の成分(オルトキシレン、メタキシレン、エチルベンゼンとその他の不純物)はゼオライトに吸着されずにパラキシレン吸着装置13を通過するため、ゼオライトを用いてこの混合物の吸着と脱着を繰り返すことにより、パラキシレンを濃縮精製することができるのである。
一方、ベンゼン/トルエン塔11で低沸点成分として分離されたベンゼンおよびトルエンのうち、トルエンは、脱アルキル化装置14でベンゼンに変換したり、不均化(トランスアルキル化)装置15でベンゼンとキシレン類に変換することもできる。なお、キシレン蒸留塔12から高沸点成分として分離除去された重質芳香族は、高オクタン価ガソリン用の添加物として利用できるが、重質芳香族蒸留塔16でトリメチルベンゼンを分離し、それをトルエンに混ぜて不均化処理を行うことにより、一部をパラキシレンを含むキシレン混合物に変換した後、精製工程(ベンゼン/トルエン塔11など)の入口側に戻すこともできる。
また必要に応じて、キシレンの異性化処理を行ってもよい。パラキシレン吸着装置13で高純度パラキシレンを取得した後に残るオルトキシレン、メタキシレンおよびエチルベンゼンは、異性化処理装置17で異性化処理を行って一部をパラキシレンに変換した後、精製工程(キシレン塔12など)の入口側に戻すことができる。具体的には、パラキシレンを分離した後のオルトキシレン、メタキシレンおよびエチルベンゼンの混合物を加熱し、ゼオライト触媒を詰めた反応器に通すことで異性化処理を行えばよい。
<実施例>
図1に示す構成のプロセスフローを想定した。ガス化装置1で製造された合成ガス(ストリーム2)に水素分離装置7で分離された水素(ストリーム18)と電気分解装置8で生成された水素(ストリーム6)が添加されて、原料混合ガス(ストリーム11)となり、これにリサイクルループを通って戻された気相ガス(ストリーム12)が加わって昇温装置2で加熱されたガス流(ストリーム13)が、パラキシレン合成用の反応器3に導入される。反応器3から出てきた生成ガス混合物(ストリーム14)は降温装置4で冷却され、気液液分離装置5に流入して3相に分離された後、気相から抜き出されたガス(ストリーム12)は先に述べたようにリサイクルループを通って昇温装置2の入口側に戻されるが、その一部はリサイクルループから抜き出され、水素分離装置7で先に述べた水素(ストリーム18)とパージガス(ストリーム15)とに分けられる。一方、油相から抜き出された生成液(ストリーム16)は精製工程6でパラキシレンを含む各種芳香族化合物にそれぞれ分離精製される。
以上の想定の下で、各ストリームの流量と組成をシミュレーションした結果を表1に示す。表1に示されるように、原料混合ガス(ストリーム11)についてみると、水素(H2)の質量分率は0.105(モル分率NH2=0.662)、一酸化炭素(CO)の質量分率は0.470(モル分率NCO=0.213)、二酸化炭素(CO2)の質量分率は0.417(モル分率NCO2=0.121)となるから、R値は1.62となり、このときのパラキシレンの生産量は2.51トン/時となった。
Figure 2023094259000004
<比較例>
実施例と同じく図1に示すプロセスフローを想定し、各ストリームの温度および圧力も実施例と同じ想定した。但し、水素分離装置7での水素の分離(ストリーム18)と電気分解装置8での水素の生成(ストリーム4、5、6)はない、すなわちストリーム2とストリーム11は同じものとした。
以上の想定の下で、各ストリームの流量と組成をシミュレーションした結果を表2に示す。表2に示されるように、原料混合ガス(ストリーム11)についてみると、水素(H2)の重量分率は0.048(モル分率NH2=0.445)、一酸化炭素(CO)の重量分率は0.499(モル分率NCO=0.341)、二酸化炭素(CO2)の重量分率は0.443(モル分率NCO2=0.193)となるから、R値は0.49となり、このときのパラキシレンの生産量は2.07トン/時となった。
Figure 2023094259000005
<実施例と比較例の比較>
上に述べた(表1および表2に示す)実施例と比較例の結果を比較すると、R値が1.62である実施例は、R値が0.49である比較例に比べて、パラキシレンの生産量が約21%多くなることがわかる。
<感度解析>
原料混合ガス(ストリーム11)とリサイクルループから合流するガス(ストリーム12)の体積(モル)流量比を1:5として、その他運転条件および触媒活性を一定にして、合成ガスに添加する水素量を変化させることでR値を変化させたときのPX生産量との関係をシミュレーションした結果を表3および図3に示す。表3および図3からわかるように、R値が1.625のときにパラキシレン(PX)生産量は最大となり、R値が1.625から離れるに従ってパラキシレン生産量は低下することがわかる。
Figure 2023094259000006
また、図3からは、合成ガスに水素を添加しない(比較例における)場合のパラキシレン生産量を1としたとき、パラキシレン生産量が1.05(5%増し)以上になるR値の範囲は0.7以上2.1以下であり、パラキシレン生産量が1.1(10%増し)以上になるR値の範囲は0.9以上2.0以下であることもわかる。
1 ガス化装置
2 昇温装置
3 反応器
4 降温装置
5 気液液分離装置
6 精製装置
7 水素分離装置
8 電気分解装置
11 ベンゼン/トルエン塔
12 キシレン蒸留塔
13 パラキシレン吸着装置
14 脱アルキル化装置
15 不均化装置
16 重質芳香族蒸留塔
17 キシレン異性化装置

Claims (7)

  1. 炭素含有原材料のガス化により得られた合成ガスからパラキシレンを製造する方法であって、該合成ガスに水素を添加して原料混合ガスを得る混合工程と、該原料混合ガスを反応器内に導入して加熱および加圧下にパラキシレン合成触媒と接触させることによりパラキシレンを含む混合ガス生成物を得る反応工程と、該混合ガス生成物を冷却することで高沸点成分を凝縮させて非凝縮成分からなる気相とパラキシレンを含む油相と水溶性成分を含む水相とに分離する分離工程と、該油相を精製してパラキシレンを取得する精製工程とを含み、
    前記混合工程において、得られた前記原料混合ガスが、次式(1)
    Figure 2023094259000007
    (式中、NH2は水素のモル分率、NCOは一酸化炭素のモル分率、NCO2は二酸化炭素のモル分率を表す。)で定義されるR値が0.7以上2.1以下の範囲に収まる組成を有するように、水素を添加することを特徴とする方法。
  2. 前記分離工程で分離された気相の少なくとも一部を前記反応器にリサイクルし、該リサイクルループからパージしたガスから水素を分離して、前記合成ガスに添加する水素の少なくとも一部に充当することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記水素を分離するのに圧力スイング吸着または膜分離を行うことを特徴とする請求項2に記載の方法。
  4. 再生可能エネルギー由来の電力を用いて水を電気分解することにより得た水素を、前記合成ガスに添加する水素の少なくとも一部に充当することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記水を電気分解する際に副生した酸素を前記炭素含有原材料のガス化に用いることを特徴とする請求項4に記載の方法。
  6. 前記反応工程における反応条件が、出口側反応温度250℃以上600℃以下、反応圧力が1MPaG以上10MPaGであることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記反応工程において、クロム、亜鉛および銅から選択される少なくとも1種の金属の酸化物を含む第1の触媒とZSM-5系のゼオライトを含む第2の触媒とを含む触媒を用いることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
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