JP2023094231A - 電力変換器 - Google Patents

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Abstract

Figure 2023094231000001
【課題】冷却水の温度を正確に計測し得る電力変換器を提供する。
【解決手段】電力変換器は、半導体モジュールと、ケースと、温度センサと、電流センサと、監視装置と、を備える。ケースは、半導体モジュールを収容するとともに、半導体モジュールを冷却する冷却水が流通する流路を備える。温度センサは、ケースに取り付けられており、流路内を流通する冷却水の温度を計測するために用いられる。電流センサは、半導体モジュールを流れる電流値を計測する。監視装置は、温度センサ及び電流センサに接続されており、冷却水の温度を監視する。監視装置は、少なくとも電流センサによる電流計測値を用いて、温度センサによる温度計測値を補正する。監視装置は、電流センサによる電流計測値を用いて、温度センサによる温度計測値を補正する。このため、監視装置は、温度計測値のうち、半導体モジュールの発熱に起因して上昇した温度分を補正することができる。
【選択図】図3

Description

本明細書に開示の技術は、電力変換器に関する。特に、半導体モジュールと、半導体モジュールを収容するとともに、半導体モジュールを冷却する冷却水が流通する流路を備えるケースと、を備える電力変換器に関する。
特許文献1の電力変換器では、半導体モジュールと冷却器とが交互に積層された状態で、ケースに収容される。電力変換器では、冷却水の温度を計測するための温度センサが、冷却器と当接するケースの支持壁に取付けられる。温度センサは、冷却器内の冷却水の温度を、支持壁を介して計測する。
特開2020-145793号公報
特許文献1の電力変換器では、温度センサがケースの支持壁を介して冷却水の温度を計測する。このため、温度センサの計測値は、実際の冷却水の温度から乖離することがある。しかしながら、冷却水の温度を正確に計測するために、温度センサにケースを貫通させ、温度センサと冷却水とを直接接触させてしまうと、温度センサを介して、ケース内に冷却水が漏れるおそれが生じる。本明細書では、温度センサと冷却水とを直接接触させることなく、冷却水の温度を正確に計測し得る技術を提供する。
本明細書が開示する電力変換器は、半導体モジュールと、ケースと、温度センサと、電流センサと、監視装置と、を備える。ケースは、前記半導体モジュールを収容するとともに、前記半導体モジュールを冷却する冷却水が流通する流路を備える。温度センサは、前記ケースに取り付けられており、前記流路内を流通する前記冷却水の温度を計測するために用いられる。電流センサは、前記半導体モジュールを流れる電流値を計測する。監視装置は、前記温度センサ及び前記電流センサに接続されており、前記冷却水の温度を監視する。前記監視装置は、少なくとも前記電流センサによる電流計測値を用いて、前記温度センサによる温度計測値を補正する。
半導体モジュールを電流が流れると、半導体モジュールが発熱する。その結果、半導体モジュールで発生した熱がケースに伝達し、ケースの温度が上昇する。このため、ケースに取付けられている温度センサによる温度計測値には、冷却水の温度だけでなく、半導体モジュールの発熱によって上昇したケースの温度も反映されることがある。ここで、ケースの温度の上昇は、半導体モジュールの発熱に起因するものである。このため、ケースの温度は、電流センサによる電流計測値に応じて変化する。上述した構成によると、監視装置は、電流計測値を用いて、温度センサによる温度計測値を補正する。このため、監視装置は、温度計測値を、半導体モジュールの発熱に起因して上昇したケースの温度に応じて補正することができる。その結果、本明細書が開示する電力変換器によれば、温度センサと冷却水とを直接接触させることなく、従来技術に比して、冷却水の温度を正確に計測することができる。
本明細書が開示する技術の詳細とさらなる改良は以下の「発明を実施するための形態」にて説明する。
実施例の電力変換器10の平面図を示す。 図1の線II-IIに沿った断面図を示す。 制御装置20が補正値を決定するために実行する処理のフロー図を示す。 制御装置20が記憶する温度飽和値のマップを示す。 温度センサ18の計測値の時間変化のグラフを示す。
本技術の一実施形態では、前記監視装置は、前記電流計測値に等しい電流が前記半導体モジュールを流れ続けた場合に、前記温度計測値が到達すると想定される温度飽和値を、少なくとも前記電流計測値に基づいて特定してもよい。その場合、監視装置は、特定された前記温度飽和値と、前記温度計測値とを用いて、前記温度計測値から減算すべき補正値を決定してもよい。電流計測値に等しい電流が半導体モジュールに流れ続けると、ケースの温度は、一定期間上昇し、その後、温度飽和値に収束する。このような構成によると、温度飽和値から逆算して、現在の温度計測値を補正することができる。
本技術の一実施形態では、前記監視装置は、前記温度計測値にさらに基づいて、前記温度飽和値を特定してもよい。但し、別の実施形態では、監視装置は、温度計測値に基づくことなく、電流計測値等の値に基づいて、温度飽和値を特定してもよい。
本技術の一実施形態では、前記監視装置は、前記電流計測値及び前記温度計測値を、所定の演算周期で繰り返し取得し、今回の前記電流計測値と、今回の前記温度計測値とに基づいて、前記温度飽和値を特定し、特定された前記温度飽和値と前回の前記温度計測値との間の差分に、前記演算周期の長さを加味して、今回の演算周期における前記補正値の増分を算出し、前記演算周期毎に算出される前記補正値の増分を積算することによって、今回の前記温度センサの前記計測値から減算すべき前記補正値を決定してもよい。但し、別の実施形態では、温度飽和値と前回の温度計測値との間の差分を積算することで、補正値を決定してもよい。
本技術の一実施形態では、前記温度飽和値をA、前回の前記温度計測値をB(t-1)、前記演算周期の長さをΔT、前記電力変換器に固有の時定数をτとしたときに、前記監視装置が算出する前記補正値の増分は、(A-B(t-1))・(1-exp(-ΔT/τ))の式を満たしてもよい。但し、別の実施形態では、補正値の増分が、上記の式を完全に満たさなくてもよく、上記の式に近似又は対応する関係に基づいて求められてもよい。
本技術の一実施形態では前記監視装置は、前記電流計測値と前記温度計測値と組み合わせに対応付けて、前記温度飽和値を記述するマップ又は関係式を記憶してもよい。このような構成によると、例えば、温度計測値または電流計測値が所定の閾値を超えた場合に所定の温度飽和値が特定される構成に比して、より詳細に温度飽和値を設定することができる。
本技術の一実施形態では、前記マップ又は前記関係式では、前記温度計測値が高いときほど、前記温度飽和値が小さくなるように記述されていてもよい。例えば、電力変換器が、温度計測値が高いときほど冷却水の流通量を増加させる制御構成を採用する場合、温度計測値が高いときほど、温度飽和値が低下する。このような構成によると、上記の制御構成を採用する電力変換器において、より正確な温度飽和値を特定することができる。
(実施例)
図面を参照して実施例の電力変換器について説明する。図1は、電力変換器10の平面図を示す。電力変換器10は、電動車両に搭載され、電動車両のメインバッテリの電力を走行用のモータの駆動電力に変換するデバイスである。以下では、図中座標軸のZ軸方向正側(すなわち、図1の紙面手前側)を「上」と定義する。なお、電力変換器10は、上方からカバーによって覆われるが、図1では、当該カバーの図示を省略している。
電力変換器10は、半導体モジュール16と、ケース2と、温度センサ18と、電流センサ12と、制御装置20と、を備える。
半導体モジュール16は、ケース2の底面の中央部に配置される。半導体モジュール16は、電力変換用の半導体素子を収容している。電力変換用の半導体素子は、パワー素子とも呼ばれる。電力変換用の半導体素子は、具体的には、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)や、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)などのスイッチング素子である。それらの半導体素子は、電圧コンバータ、インバータにおいて、電圧を調整し、直流を交流に変換する。それらの半導体素子は、大電流が流れるために発熱量が大きい。1個の半導体モジュール16には、3個の半導体素子が収容される。
3個の半導体素子のそれぞれは、バスバ14を介して、電流センサ12に接続される。バスバ14は、ネジ15によって、半導体モジュール16に固定される。電流センサ12は、バスバ14を介して、半導体モジュール16を流れる電流値を計測する。
制御装置20は、CPU22と、メモリ24と、を備えるコンピュータである。制御装置20は、電力変換器10が搭載される電動車両のアクセル開度、ブレーキの踏込量等、様々な情報を取得し、当該情報に基づいて、電力変換器10を制御する。制御装置20は、電流センサ12及び温度センサ18と電気的に接続される。
ケース2は、半導体モジュール16と、温度センサ18と、を収容する。なお、ケース2には、半導体モジュール16、電流センサ12、温度センサ18の他に、様々なデバイスが収容されるが、それらのデバイスについては、図示および説明を省略する。ケース2は、長手方向(すなわち、X軸方向)に延びる矩形形状を有する。特に限定されないが、ケース2は、主にアルミニウムにより構成される。
ケース2は、流路8を備える。流路8は、長手方向にケース2を貫通する空間である。流路8のX軸方向正側(すなわち、図1の紙面下側)の端には、入水管6が接続される。流路8のX軸方向負側(すなわち、図1の紙面上側)の端には、出水管4が接続される。これにより、矢印F1,F2に示されるように、入水管6を介して流路8に流入した冷却水が、流路8を流通し、出水管4から流出する。本実施例では、冷却水には水であるが、変形例では、冷却水は、不凍液であってもよい。
流路8は、半導体モジュール16に沿って延びている。図2に示されるように、流路8は、ケース2の底面から上方に延びる壁部内に形成される。これにより、流路8は、半導体モジュール16の側面に当接する。先に述べたように半導体モジュール16は、動作時の発熱量が大きい。流路8を、半導体モジュール16の側面に当接させて配置することによって、半導体モジュール16の熱が、ケース2を介して流路8内の冷却水に放熱される。これにより、半導体モジュール16の温度が閾値を超えて上昇することを防止することができる。
図2に示されるように、温度センサ18は、ケース2の壁部の上方からケース2に差し込まれる。その結果、温度センサ18の下端は、流路8の上方に位置する。温度センサ18は、流路8の上方で、流路8内の冷却水30の温度を計測する。
制御装置20は、温度センサ18から、計測した冷却水30の温度を受信する。制御装置20は、受信した冷却水30の温度に基づいて、例えば、冷却水30を流路8に圧送するポンプ(図示省略)の動作を制御する。例えば、制御装置20は、受信した冷却水30の温度が閾値を超えて上昇した場合に、ポンプの出力を増大させる。これにより、流路8に流入する冷却水30の量が増加し、冷却水30の温度が低下する。このように、制御装置20は、冷却水30の温度を監視する監視装置としても機能する。
図2に示されるように、温度センサ18の下端は、流路8から距離d1だけ離間している。このため、温度センサ18は、冷却水30の温度を、ケース2を介して計測する。先に述べたように、ケース2は、アルミニウムによって構成される。さらに、ケース2は、発熱する半導体モジュール16と接触しているため、半導体モジュール16から発生した熱は、ケース2に伝達される。これにより、ケース2の温度が上昇する。その結果、温度センサ18による計測値(以下、温度計測値と称する)は、冷却水30の温度に加え、半導体モジュール16から伝達されたケース2の温度も反映されることがある。別言すれば、温度センサ18は、冷却水30の温度を正確に計測できないことがある。
仮に温度センサ18がケース2を貫通すると、温度センサ18の下端は、冷却水30と直接接触する。これにより、温度センサ18は、ケース2を介して冷却水30の温度を計測する構成に比して、当該温度をより正確に計測することができる。しかしながら、温度センサ18がケース2を貫通すると、温度センサ18を取り付けるケース2の貫通孔を通過して、冷却水30がケース2内に漏れ出るおそれがある。
ここで、半導体モジュール16の発熱量は、半導体モジュール16を流れる電流の値に比例する。具体的には、半導体モジュール16を流れる電流の値が大きいほど、半導体モジュール16の発熱量は大きくなり、ケース2の温度が上昇する。このことから、本発明者らは、電流センサ12による計測値(以下、電流計測値と称する)を用いて、温度計測値に反映されるケース2の温度を推測することができることを発見した。制御装置20は、推測したケース2の温度を用いて温度計測値を補正することによって、温度センサ18を冷却水30に直接接触させることなく、正確な冷却水の温度を計測することができる。図3~図5を参照して、制御装置20が温度計測値を補正するために実行する処理について説明する。
制御装置20は、電力変換器10が搭載される電動車両の電源がオンされたときに、図3の処理を実行する。制御装置20は、図3の処理を演算周期ΔT(図5参照)で繰り返す。最初に、制御装置20は、温度センサ18から今回の演算周期における温度計測値Bを受信する(S2)。次いで、制御装置20は、電流センサ12から今回の演算周期における電流計測値Iを受信する(S4)。以下では、「今回の演算周期における」を、単に「今回の」と記載することがある。
制御装置20は、メモリ24(図1参照)に、図4に示されるマップM1を記憶している。マップM1の横軸は温度計測値Bの値を示し、マップM1の縦軸は温度飽和値Aの値を示す。マップM1は、電力変換器10の製造後、半導体モジュール16に様々な値の電流を継続して流し、それぞれの電流値において、収束した温度を温度飽和値Aとすることによって作成される。マップM1は、例えば、ケース2の大きさ、材質、半導体モジュール16に含まれる半導体素子の個数、温度センサ18の配置等に応じて異なる。
マップM1は、例えば、第1グラフL1と、第2グラフL2と、第3グラフL3と、を備える。理解しやすいように、各グラフL1~L3は、異なる線種で記載される。各グラフL1~L3は、異なる電流計測値Iと対応する。第1グラフL1は、半導体モジュール16に150Aの電流を継続して流した状態における温度計測値Bと温度飽和値Aとの関係式を示す。同様に、第2グラフL2は、半導体モジュール16に100Aの電流を継続して流した状態における温度計測値Bと温度飽和値Aとの関係式を示し、第3グラフL3は、半導体モジュール16に50Aの電流を継続した状態における温度計測値Bと温度飽和値Aとの関係式を示す。このように、マップM1は、電流計測値Iと温度計測値Bと組み合わせに対応付けて、温度飽和値Aを記述する。
また、先に述べたように、温度計測値Bが上昇すると、制御装置20は、ポンプの出力を増加させることによって、冷却水30(図2参照)の量を増加させる。そのため、温度計測値Bが高いときほど、ケース2の温度は低くなる。その結果、図4に示さるように、温度飽和値Aの値は、温度計測値Bが高いときほど低くなる。このため、各グラフL1~L3は、右下がりの直線で示される。このような右下がり各グラフL1~L3を利用して温度飽和値Aを特定することにより、制御装置20は、冷却水30の量の増加による温度飽和値Aの低下を加味して、温度飽和値Aを特定することができる。
制御装置20は、S4で受信した今回の電流計測値Iから、温度飽和値Aを特定するために利用するグラフを特定する。例えば、今回の電流計測値Iが150Aである場合、制御装置20は、第1グラフL1を特定する。その後、制御装置20は、図4で特定された第1グラフL1と、S2で受信した今回の温度計測値Bとが一致する点を、温度飽和値Aとして特定する(S6)。例えば、今回の温度計測値Bが第1温度計測値B1である場合、第1グラフL1と第1温度計測値B1とが一致する第1温度飽和値A1が、温度飽和値Aとして特定される。このように、マップM1を利用して温度飽和値Aを特定することによって、例えば、今回の温度計測値Bが所定の温度を超えた場合に、所定の温度飽和値Aを特定する構成に比して、より適切な温度飽和値Aを特定することができる。
図5を参照して、S8の処理において、制御装置20が、今回の補正値の増分を算出する方法について説明する。図5は、ある電流計測値Iが継続して半導体モジュール16を流れた場合における、温度計測値Bの経時変化を示す。電流計測値Iが継続して半導体モジュール16を流れ続けると、温度計測値Bは、曲線G1を描くように、演算周期ΔTごとに徐々に各温度計測値B(t-1)~B(t+3)の順で上昇し、温度飽和値Aに収束する。温度計測値Bは、初期段階では急激に上昇するが、温度飽和値Aに近づくほど緩慢に上昇する。別言すれば、演算周期ΔTにおいて温度計測値Bが増加する温度(以下、増分と称することがある)は、半導体モジュール16に電流が流れる時間が長いほど小さくなる。
図5に示されるように、タイミングt-1で計測される温度計測値B(t-1)に対して、タイミングt-1の次のタイミングtで計測される温度計測値B(t)は、増分b2だけ上昇する。同様に、タイミングt+1で計測される温度計測値B(t+1)は、温度計測値B(t)に対して、増分b3だけ上昇する。タイミングt+2で計測される温度計測値B(t+2)は、温度計測値B(t+1)に対して増分b4だけ上昇する。タイミングt+3で計測される温度計測値B(t+3)は、温度計測値B(t+2)に対して増分b5だけ上昇する。その結果、タイミングt+3では、温度計測値B(t+3)が、温度飽和値Aに限りなく近似する。このように、温度計測値Bは、演算周期ΔTごとに温度飽和値Aに近づいていく。
ここで、各増分b2~b5を比較すると、演算周期ΔTごとに、増分の大きさは縮小している。温度計測値Bには、冷却水の温度に加え、ケース2に伝達した熱の温度も反映される。すなわち、温度計測値Bは、冷却水温度Twとケース温度Tcとの合計値となる。図5に示されるように、温度計測値Bは、演算周期ΔTごとに、主にケース温度Tcの上昇に起因して上昇する。このため、演算周期ΔTごとの温度計測値Bの増分を利用することによって、演算周期ΔTごとのケース温度Tcの上昇温度を算出することができる。
さらに、増分の大きさは、演算周期ΔTの長さに応じて変化する。演算周期ΔTが短いときほど、増分の変化量は小さくなる。また、温度計測値Bは、徐々に温度飽和値Aに近づくため、温度飽和値Aと前回の温度計測値Bとの差分が小さいときほど、今回の演算周期における増分の値は小さくなる。すなわち、増分の値は、今回の温度飽和値Aと前回の温度計測値Bとの差分に比例する。さらに、演算周期ΔTが所定の期間を超えて長い場合、増分の値は、今回の温度飽和値Aと前回の温度計測値Bとの差分となる。このことから、例えば、今回の演算周期がタイミングtである場合、今回の増分b2の値は、今回の温度飽和値A、前回の温度計測値B(t-1)、演算周期ΔT、電力変換器10に固有の時定数τを用いて、下記の式(1)で示すことができる。ここで、固有の時定数τは、温度計測値Bが温度飽和値Aに到達する速さを示す指標であり、電力変換器10のサイズ、半導体モジュール16を流れる電流の大きさ等に応じて定められる。なお、今回が最初の演算周期(すなわち、t=1)の場合は、前回の温度計測値B(0)として、予め記憶された固有値を利用するとよい。
b2=(A-B(t-1))・(1-exp(-ΔT/τ)) ・・・式(1)
制御装置20は、S8の処理において、上述した式(1)に基づいて、今回の演算周期ΔT(例えば、タイミングt)における温度計測値B(t)の増分b2を算出する(S8)。次いで、制御装置20は、今回のタイミングtが、最初の演算周期(すなわち、t=1)であるか否かを判定する(S10)。今回のタイミングtが最初の演算周期である場合(S10でYES)、S12の処理をスキップして、算出した増分b2を補正値Vとして決定する(S14)。さらに、制御装置20は、決定した補正値Vを、今回の温度計測値B(t)から減じることで、今回の温度計測値B(t)を補正し、補正した今回の温度計測値B(t)を、温度センサ18の出力として決定する(S16)。
制御装置20はS16の処理で決定された出力に基づいて、例えば、ポンプを制御する。これにより、制御装置20は、補正した今回の温度計測値B(t)に基づいて、ポンプを制御することができる。このように、制御装置20は、上述した式(1)によって、ケース2の温度の影響により上昇した増分b2を算出し、今回の温度計測値B(t)から減じることによって、今回の温度計測値B(t)を補正する。これにより、制御装置20は、温度センサ18を流路8内の冷却水30と直接接触させることなく、ケース2の温度の影響を加味することによって、冷却水30の温度を正確に計測することができる。
一方、今回のタイミングtが最初の演算周期ではない場合(S10でNO)、制御装置20は、前回までの増分(例えば、増分b1)に増分b2を積算する(S12)。この場合、制御装置20は、S12の処理で算出した積算値(例えば、増分b1と増分b2との合計値)を、補正値Vとして決定する(S14)。
図5に示されるように、各温度計測値B(t-1)~B(t+3)を比較すると、温度計測値Bにおけるケース温度Tcの占める比率は、タイミングt-1の温度計測値B(t-1)において最小となる。すなわち、温度計測値Bにおけるケース温度Tcの占める比率は、最初の演算周期で最小となる。これは、半導体モジュール16を電流が流れ始める初期段階では、ケース2に伝達される熱量が少なく、冷却水30によってケース2が冷却されるため、温度計測値Bが冷却水温度Twとほぼ等しくなるためである。すなわち、最初の演算周期における温度計測値Bは、最も冷却水温度を正確に計測した値となる。
制御装置20は、前回の温度計測値B(t-1)における増分b1と今回の温度計測値B(t)における増分b2とを積算することによって、2回目以降の演算周期における増分を含む補正値Vを算出することができる。これにより、演算周期ごとに増加したケース温度Tcを、補正値Vに含むことができる。
以上、本明細書が開示する技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上記の実施形態の変形例を以下に列挙する。
(変形例1)制御装置20は、温度飽和値Aを特定しなくてもよい。その場合、制御装置20は、電流計測値Iに基づいて特定される複数の補正値Vをメモリ24に記憶してもよい。
(変形例2)制御装置20は、マップM1をメモリ24に記憶しなくてもよい。その場合、制御装置20は、電流計測値Iに基づいて特定される温度飽和値Aをメモリ24に記憶してもよい。
(変形例3)制御装置20は、今回の増分b2を決定する処理において、式(1)を必ずしも利用する必要はない。今回の増分b2が式(1)を満たす限りにおいて、制御装置20は、今回の増分b2を様々な手順で計算するように構成されてもよい。あるいは、制御装置20は、より簡便な手法として、今回の温度計測値と前回の温度計測値との差分から、今回の増分b2を算出してもよい。
(変形例4)マップM1では、温度飽和値Aは、温度計測値Bに関わらず、一定であってもよい。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
2 :ケース
4 :出水管
6 :入水管
8 :流路
10 :電力変換器
12 :電流センサ
14 :バスバ
15 :ネジ
16 :半導体モジュール
18 :温度センサ
20 :制御装置
22 :CPU
24 :メモリ
30 :冷却水
A :温度飽和値
B :温度計測値
I :電流計測値
M1 :マップ
Tc :ケース温度
Tw :冷却水温度
V :補正値

Claims (7)

  1. 半導体モジュールと、
    前記半導体モジュールを収容するとともに、前記半導体モジュールを冷却する冷却水が流通する流路を備えるケースと、
    前記ケースに取り付けられており、前記流路内を流通する前記冷却水の温度を計測するための温度センサと、
    前記半導体モジュールを流れる電流値を計測する電流センサと、
    前記温度センサ及び前記電流センサに接続されており、前記冷却水の温度を監視する監視装置と、を備え、
    前記監視装置は、少なくとも前記電流センサによる電流計測値を用いて、前記温度センサによる温度計測値を補正する、電力変換器。
  2. 前記監視装置は、
    前記電流計測値に等しい電流が前記半導体モジュールを流れ続けた場合に、前記温度計測値が到達すると想定される温度飽和値を、少なくとも前記電流計測値に基づいて特定し、
    特定された前記温度飽和値と、前記温度計測値とを用いて、前記温度計測値から減算すべき補正値を決定する、
    請求項1に記載の電力変換器。
  3. 前記監視装置は、前記温度計測値にさらに基づいて、前記温度飽和値を特定する、請求項2に記載の電力変換器。
  4. 前記監視装置は、前記電流計測値及び前記温度計測値を、所定の演算周期で繰り返し取得し、
    今回の前記電流計測値と、今回の前記温度計測値とに基づいて、前記温度飽和値を特定し、
    特定された前記温度飽和値と前回の前記温度計測値との間の差分に、前記演算周期の長さを加味して、今回の演算周期における前記補正値の増分を算出し、
    前記演算周期毎に算出される前記補正値の増分を積算することによって、今回の前記温度センサによる前記温度計測値から減算すべき前記補正値を決定する、
    請求項3に記載の電力変換器。
  5. 前記温度飽和値をA、前回の前記温度計測値をB(t-1)、前記演算周期の長さをΔT、前記電力変換器に固有の時定数をτとしたときに、前記監視装置が算出する前記補正値の増分は、
    (A-B(t-1))・(1-exp(-ΔT/τ))の式を満たす、請求項4に記載の電力変換器。
  6. 前記監視装置は、前記電流計測値と前記温度計測値と組み合わせに対応付けて、前記温度飽和値を記述するマップ又は関係式を記憶している、請求項3から5のいずれか一項に記載の電力変換器。
  7. 前記マップ又は前記関係式では、前記温度計測値が高いときほど、前記温度飽和値が小さくなるように記述されている、請求項6に記載の電力変換器。
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