JP2023093918A - ビールテイスト飲料及びその製造方法、並びにビールテイスト飲料のエステル感、及び麦芽の重厚感を向上させる方法 - Google Patents

ビールテイスト飲料及びその製造方法、並びにビールテイスト飲料のエステル感、及び麦芽の重厚感を向上させる方法 Download PDF

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Abstract

【課題】麦芽比率が低いながらもエステル感、及び麦芽の重厚感に優れるビールテイスト飲料を提供すること。【解決手段】麦芽比率が50%未満であり、シリンゴール含有量が5μg/L以上150μg/L以下である、ビールテイスト飲料。【選択図】なし

Description

本発明は、ビールテイスト飲料及びその製造方法に関する。本発明はまた、ビールテイスト飲料のエステル感、及び麦芽の重厚感を向上させる方法にも関する。
近年、麦芽以外の種々の副原料を使用したビールテイスト飲料が盛んに開発されている。そこで、麦芽の使用比率(麦芽比率)が低いビールテイスト飲料の香味を改善する方法が検討されている。例えば、特許文献1には、麦芽オフフレーバーが少ない上に、充分な酸味を有し、かつ軽快感も良好な発酵麦芽飲料として、発酵原料の麦芽比率が50質量%未満であり、リン酸、クエン酸、ピルビン酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、ギ酸、酢酸、及びピログルタミン酸の総含有量が800~1200mg/Lであり、リナロール含有量が0.5~3ppbであることを特徴とする、発酵麦芽飲料が開示されている。
特開2015-123027号公報
麦芽の使用比率(麦芽比率)が低いビールテイスト飲料は、エステル感、及び麦芽の重厚感といった麦芽に由来する香味が不足する傾向にあり、香味に改善の余地がある。本発明者らは、麦芽比率が低減されたビールテイスト飲料において、所定の香気成分の含有量を特定の範囲内に調整することで、エステル感、及び麦芽の重厚感が向上したビールテイスト飲料が得られることを見出した。
本発明は、この知見に基づくものであり、麦芽比率が低いながらもエステル感、及び麦芽の重厚感に優れるビールテイスト飲料を提供することを目的とする。
本発明は、麦芽比率が50%未満であり、シリンゴール含有量が5μg/L以上150μg/L以下である、ビールテイスト飲料に関する。
本発明に係るビールテイスト飲料は、麦芽比率が50%未満であるビールテイスト飲料でありながら、シリンゴール含有量が5μg/L以上150μg/L以下の範囲内に調整されているため、エステル感、及び麦芽の重厚感に優れている。
上記ビールテイスト飲料は、ゲラニオール含有量が1μg/L以上であることが好ましい。
上記ビールテイスト飲料は、アセトバニロン含有量が10μg/L以上であることが好ましい。
本発明はまた、麦芽比率を50%未満に調整すること、及びシリンゴール含有量を5μg/L以上150μg/L以下に調整することを含む、ビールテイスト飲料の製造方法にも関する。
本発明は更に、ビールテイスト飲料のエステル感、及び麦芽の重厚感を向上させる方法であって、麦芽比率を50%未満に調整すること、及びシリンゴール含有量を5μg/L以上150μg/L以下に調整することを含む、方法にも関する。
本発明によれば、麦芽比率が低いながらもエステル感、及び麦芽の重厚感に優れるビールテイスト飲料を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
〔ビールテイスト飲料〕
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、麦芽比率が50%未満であり、シリンゴール含有量が5μg/L以上150μg/L以下である。
本明細書において「ビールテイスト飲料」とは、ビール様の香味を有する飲料を意味する。本実施形態に係るビールテイスト飲料は、アルコール度数が1v/v%以上であるビールテイストアルコール飲料であってもよく、アルコール度数が1v/v%未満であるノンアルコールビールテイスト飲料であってもよい。なお、本明細書においてアルコールとは、特に言及しない限りエタノールを意味する。
ビールテイストアルコール飲料としては、これに限られるものではないが、例えば、酒税法(令和二年法律第八号)上の発泡酒、その他の醸造酒、リキュールに分類されるものが挙げられる。本実施形態に係るビールテイストアルコール飲料は、上記例示したものに限られない。
ビールテイストアルコール飲料のアルコール度数は、特に制限されず、例えば、1v/v%以上、2v/v%以上、3v/v%以上、4v/v%以上、又は5v/v%以上であってよい。また、ビールテイストアルコール飲料のアルコール度数は、例えば、20v/v%以下、15v/v%以下、10v/v%以下、9v/v%以下、8v/v%以下、7v/v%以下、6v/v%以下、5v/v%以下、4v/v%以下、又は3v/v%以下であってよい。
ノンアルコールビールテイスト飲料のアルコール度数は、1v/v%未満であればよく、0.9v/v%以下、0.8v/v%以下、0.7v/v%以下、0.6v/v%以下、0.5v/v%以下、0.4v/v%以下、0.3v/v%以下、0.2v/v%以下、0.1v/v%以下、又は0.005v/v%未満(0.00v/v%)であってもよい。また、ノンアルコールビールテイスト飲料のアルコール度数は、0.1v/v%以上、0.2v/v%以上、0.3v/v%以上、0.4v/v%以上、0.5v/v%以上であってもよい。
ビールテイスト飲料のアルコール度数は、例えば、国税庁所定分析法(訓令)「3清酒 3-4アルコール分」に記載されている振動式密度計法に基づいて測定することができる。
シリンゴールは、2,6-ジメトキシフェノールとも称される化合物である。本実施形態に係るビールテイスト飲料中のシリンゴール含有量は、ビールテイスト飲料全量を基準として、5μg/L以上150μg/L以下であればよい。本発明者らは意外なことにシリンゴール含有量がこの範囲内にあることによって、エステル感、及び麦芽の重厚感が優れたものとなることを見出した。
本実施形態に係るビールテイスト飲料中のシリンゴール含有量は、ビールテイスト飲料全量を基準として、15μg/L以上150μg/L以下であることが好ましい。シリンゴール含有量がこの範囲内にあることによって、エステル感、及び麦芽の重厚感に加え、後に残る余韻も優れたものとなる。同様の観点から、本実施形態に係るビールテイスト飲料中のシリンゴール含有量は、ビールテイスト飲料全量を基準として、16μg/L以上、17μg/L以上、18μg/L以上、19μg/L以上、20μg/L以上、30μg/L以上、40μg/L以上、又は50μg/L以上であることが好ましい。更に同様の観点から、本実施形態に係るビールテイスト飲料中のシリンゴール含有量は、ビールテイスト飲料全量を基準として、140μg/L以下、130μg/L以下、120μg/L以下、110μg/L以下、100μg/L以下、90μg/L以下、80μg/L以下、70μg/L以下、60μg/L以下、50μg/L以下、40μg/L以下、35μg/L以下、30μg/L以下、25μg/L以下、24μg/L以下、23μg/L以下、22μg/L以下、又は21μg/L以下であることが好ましい。
ビールテイスト飲料中のシリンゴールの含有量は、例えば、固相マイクロ抽出-質量分析計付きガスクロマトグラフィー(Solid Phase MicroExtraction-Gas Chromatography-Mass Spectrometry:SPME-GC-MS)法により測定することができる。
本実施形態に係るビールテイスト飲料中のシリンゴール含有量は、例えば、常法によりビールテイスト飲料を製造する際、含有量が上記範囲になるようにシリンゴールを添加する方法により調整することができる。シリンゴールを添加する際、例えば、シリンゴールそのものを添加してもよく、シリンゴールを含有する組成物(例えば、香料組成物)及び原料等を添加してもよい。
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、更にゲラニオールを含有していてもよい。ゲラニオールは、3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン-1-オールとも称される化合物である。本実施形態に係るビールテイスト飲料がゲラニオールを含有する場合、本実施形態に係るビールテイスト飲料中のゲラニオール含有量は、例えば、ビールテイスト飲料全量を基準として、1μg/L以上であってよい。
本実施形態に係るビールテイスト飲料のエステル感、麦芽の重厚感、及び後に残る余韻がより一層優れたものになることから、本実施形態に係るビールテイスト飲料中のゲラニオール含有量は、ビールテイスト飲料全量を基準として、1.5μg/L以上、2.0μg/L以上、2.5μg/L以上、2.6μg/L以上、2.7μg/L以上、2.8μg/L以上、2.9μg/L以上、3.0μg/L以上、4.0μg/L以上、又は5.0μg/L以上であることが好ましい。同様の観点から、本実施形態に係るビールテイスト飲料中のゲラニオール含有量は、ビールテイスト飲料全量を基準として、11μg/L以下、10μg/L以下、9μg/L以下、8μg/L以下、7μg/L以下、6μg/L以下、5μg/L以下、4μg/L以下、3.5μg/L以下、3.4μg/L以下、3.3μg/L以下、3.2μg/L以下、又は3.1μg/L以下であることが好ましい。
ビールテイスト飲料中のゲラニオールの含有量は、例えば、固相マイクロ抽出-質量分析計付きガスクロマトグラフィー(Solid Phase MicroExtraction-Gas Chromatography-Mass Spectrometry:SPME-GC-MS)法により測定することができる。
本実施形態に係るビールテイスト飲料中のゲラニオール含有量は、例えば、常法によりビールテイスト飲料を製造する際、含有量が上記範囲になるようにゲラニオールを添加する方法、ビールテイスト飲料にゲラニオールを含有させ得る原料を使用して、ビールテイスト飲料を製造する方法等により、調整することができる。ゲラニオールを添加する際、例えば、ゲラニオールそのものを添加してもよく、ゲラニオールを含有する組成物(例えば、香料組成物)等を添加してもよい。ビールテイスト飲料にゲラニオールを含有させ得る原料としては、ゲラニオールを含有する原料、及び製造工程において、ゲラニオールに変換される前駆体を含有する原料等が挙げられ、具体的には例えば、レモンマートル、ジンジャー、カルダモン、サンショウ、ホップ等が挙げられる。
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、更にアセトバニロンを含有していてもよい。アセトバニロンは、1-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)エタノンとも称される化合物である。本実施形態に係るビールテイスト飲料がアセトバニロンを含有する場合、本実施形態に係るビールテイスト飲料中のアセトバニロン含有量は、例えば、ビールテイスト飲料全量を基準として、10μg/L以上であってよい。
本実施形態に係るビールテイスト飲料のエステル感、麦芽の重厚感、及び後に残る余韻がより一層優れたものになることから、本実施形態に係るビールテイスト飲料中のアセトバニロン含有量は、ビールテイスト飲料全量を基準として、15μg/L以上、16μg/L以上、17μg/L以上、18μg/L以上、19μg/L以上、20μg/L以上、30μg/L以上、40μg/L以上、又は50μg/L以上であることが好ましい。同様の観点から、本実施形態に係るビールテイスト飲料中のアセトバニロン含有量は、ビールテイスト飲料全量を基準として、150μg/L以下、140μg/L以下、130μg/L以下、120μg/L以下、110μg/L以下、100μg/L以下、90μg/L以下、80μg/L以下、70μg/L以下、60μg/L以下、50μg/L以下、40μg/L以下、30μg/L以下、25μg/L以下、24μg/L以下、23μg/L以下、22μg/L以下、又は21μg/L以下であることが好ましい。
ビールテイスト飲料中のアセトバニロンの含有量は、例えば、サンプルを有機溶媒で抽出したのち、有機層をガスクロマトグラフィー(GC-MS)に注入して測定することができる。
本実施形態に係るビールテイスト飲料中のアセトバニロン含有量は、例えば、常法によりビールテイスト飲料を製造する際、含有量が上記範囲になるようにアセトバニロンを添加する方法により調整することができる。アセトバニロンを添加する際、例えば、アセトバニロンそのものを添加してもよく、アセトバニロンを含有する組成物(例えば、香料組成物)及び原料等を添加してもよい。
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、麦芽比率が50%未満である。麦芽比率は、ホップ及び水以外の原料に含まれる麦芽の比率である。なお、麦芽比率の「%」は「質量%」を意味する。麦芽比率は、例えば、5%以上、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、又は45%以上であってよい。
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、原料としてホップを含有していてもよく、原料としてホップを含有していなくてもよい。ホップには、例えば、乾燥ホップ、ホップペレット、ホップエキスが含まれ、ローホップ、ヘキサホップ、テトラホップ、イソ化ホップエキス等のホップ加工品も含まれる。
麦芽は麦を発芽させることにより得られる。麦としては、例えば、大麦、小麦、ライ麦、カラス麦、オート麦、ハト麦、エン麦等が挙げられる。
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、原料として麦芽以外の麦原料を含んでいてよい。麦芽以外の麦原料としては、例えば、大麦、小麦、ライ麦、カラス麦、オート麦、ハト麦及びエン麦等の麦、並びに麦エキス等の麦加工物等が挙げられる。麦エキスは、麦から糖分及び窒素分を含む麦エキスを抽出することにより得られる。
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、原料として麦原料以外の原料(副原料)を用いてもよい。副原料としては、コーン、コーンスターチ、コーングリッツ、米、こうりゃん等の澱粉原料、液糖、砂糖等の糖質原料が挙げられる。本実施形態に係るビールテイスト飲料は、原料として酒税法の第三条第十二号ロに記載の政令で定める果実及び香味料を更に含んでいてもよい。これらの原料を含有する場合、上記果実及び香味料の含有量は、麦芽100重量部に対して、5重量部未満であることが好ましい。
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、本発明の効果を損なわない範囲で、飲料に通常配合される苦味料、着色料、甘味料、高甘味度甘味料、酸化防止剤、酸味料、香料、塩類等を含んでいてもよい。苦味料としては、上記のホップの他、例えば、イソα酸、カフェイン、ゲンチアナ抽出物、ペプチド類、テオブロミン、ナリンジン、ニガキ抽出物、ニガヨモギ抽出物、キナ抽出物等が挙げられる。着色料としては、例えば、カラメル色素、クチナシ色素、果汁色素、野菜色素、合成色素を挙げることができる。甘味料としては、例えば、果糖ぶどう糖液糖、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、ラクトース、スクロース、マルトース、グリコーゲン、デンプンを挙げることができる。高甘味度甘味料としては、例えば、ネオテーム、アセスルファムK、スクラロース、サッカリン、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二ナトリウム、チクロ、ズルチン、ステビア、グリチルリチン、ソーマチン、モネリン、アスパルテーム、アリテームを挙げることができる。酸化防止剤としては、例えば、ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノールを挙げることができる。酸味料としては、例えば、リン酸、乳酸、DL-リンゴ酸、クエン酸、アジピン酸、クエン酸三ナトリウム、グルコノデルタラクトン、グルコン酸、グルコン酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、酢酸ナトリウム、DL-酒石酸、L-酒石酸、DL-酒石酸ナトリウム、L-酒石酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、氷酢酸、フマル酸、フマル酸一ナトリウム、DL-リンゴ酸ナトリウムを挙げることができる。塩類としては、例えば、食塩、酸性りん酸カリウム、酸性りん酸カルシウム、りん酸アンモニウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、メタ重亜硫酸カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硝酸カリウム、硫酸アンモニウムを挙げることができる。
本実施形態に係るビールテイスト飲料の苦味価(BU)は、例えば、0.0以上50.0以下であってよい。本実施形態に係るビールテイスト飲料のBUは、例えば、40.0以下、30.0以下、20.0以下、又は15.0以下であってよく、1.0以上、2.0以上、3.0以上、4.0以上、5.0以上、又は10.0以上であってよい。ビールテイスト飲料の苦味価は、例えば、改訂BCOJビール分析法(公益財団法人日本醸造協会発行、ビール酒造組合国際技術委員会〔分析委員会〕編集、2013年増補改訂)の「8.15 苦味価」に記載されている方法によって測定することができる。苦味価は、例えば、原料の種類及び使用量を調整することにより、上記範囲で適宜設定することができる。
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、発酵飲料(ビールテイスト発酵飲料)であってもよく、非発酵飲料(ビールテイスト非発酵飲料)であってもよい。発酵飲料は、酵母等による発酵を経て製造されるものである。非発酵飲料は、酵母等による発酵を行わずに製造されるものである。なお、非発酵飲料には、酵母等による発酵を行わず、アルコール(例えば、原料用アルコール、スピリッツ、ウォッカ等の蒸留アルコール)を配合して製造されるビールテイスト飲料も含まれる。
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、非発泡性であってもよく、発泡性であってもよい。ここで、非発泡性とは、20℃におけるガス圧が0.049MPa(0.5kg/cm)未満であることをいい、発泡性とは、20℃におけるガス圧が0.049MPa(0.5kg/cm)以上であることをいう。発泡性とする場合、ガス圧の上限は0.294MPa(3.0kg/cm)程度としてもよい。
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、容器に入れて提供することができる。容器は密閉できるものであればよく、金属製(アルミニウム製又はスチール製など)のいわゆる缶容器・樽容器を適用することができる。また、容器は、ガラス容器、ペットボトル容器、紙容器、パウチ容器等を適用することもできる。容器の容量は特に限定されるものではなく、現在流通しているどのようなものも適用することができる。なお、気体、水分及び光線を完全に遮断し、長期間常温で安定した品質を保つことが可能な点から、金属製の容器を適用することが好ましい。
〔ビールテイスト飲料の製造方法〕
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、例えば、麦芽比率を50%未満に調整すること、及びシリンゴール含有量を5μg/L以上150μg/L以下に調整することを含む製造方法により得ることができる。当該製造方法は、例えば、原料を混合してビールテイスト飲料を製造するものであってもよく(調合法)、酵母等による発酵を経てビールテイスト飲料を製造するものであってもよい(発酵法)。
一実施形態に係る製造方法(調合法)は、例えば、水、ホップ及び/又は原料を原料タンクに配合する配合工程を含む。
本実施形態に係る製造方法は、配合工程において各成分を混合して得た混合液をろ過するろ過工程と、ろ過工程でろ過したろ過液を殺菌する第一の殺菌工程と、第一の殺菌工程で殺菌した殺菌済みのろ過液をビン、缶、ペットボトル等の容器に充填する充填工程と、充填工程で容器に充填されたろ過液を容器ごと殺菌する第二の殺菌工程と、を更に含んでいてもよい。
配合工程は、各成分がよく混ざるよう、撹拌機等により撹拌しながら混合してもよい。また、ろ過工程は、例えば、一般的なフィルター又はストレーナーによって行うことができる。第一の殺菌工程は、処理速度等の観点から、プレート殺菌によって行ってもよく、同様の処理を行うことができるのであれば、これに限定されることなく適用可能である。充填工程は、飲料の製造において通常行われる程度にクリーン度を保ったクリーンルームにて充填してもよい。第二の殺菌工程は、所定の温度及び所定の時間でろ過液を容器ごと加熱することにより行うことができる。第一又は第二の殺菌工程は、非加熱の殺菌工程としてもよい。非加熱の殺菌工程としては、紫外線(UV)殺菌等が挙げられる。殺菌工程を行わない無殺菌充填を行うことも可能である。また、発泡性の飲料とする場合は、例えば、第一の殺菌工程と充填工程の間でカーボネーションを行うとよい。
本実施形態に係る製造方法では、麦芽比率の調整は、例えば、配合工程で使用する原料の種類及び使用量を調整することで実施することができる。同様に、シリンゴール、ゲラニオール及び/又はアセトバニロン含有量の調整は、例えば、配合工程で使用する原料の種類及び使用量を調整することで実施することができる。シリンゴール、ゲラニオール及び/又はアセトバニロンは、シリンゴール、ゲラニオール及び/又はアセトバニロンそのものを原料として使用してもよいし、シリンゴール、ゲラニオール及び/又はアセトバニロンを含有する組成物(例えば、香料組成物)等を原料として使用してもよい。
他の実施形態における製造方法(発酵法)は、例えば、仕込工程及び発酵工程を備える。
仕込工程は、発酵に用いられる発酵前液を調製する工程である。仕込工程は、例えば、原料及び仕込水(仕込工程で使用される水)を用いて、発酵前液を得る工程であってよい。仕込工程はまた、例えば、糖含有液を煮沸する煮沸工程、原料液中の固形分を除去する除去工程、原料液を冷却する冷却工程をこの順に含むものであってよい。
煮沸工程では、糖含有液を煮沸して煮沸後液(煮沸後の糖含有液)を得る。糖含有液とは、酵母によるアルコール発酵が可能な成分を含有するものである。糖含有液としては、例えば、麦汁、シロップが挙げられる。麦汁とは、上述の麦原料等の糖化を経て得られる液であり、未発酵のものである。麦汁は、例えば、上述の麦原料等の原料と水とを混合する工程、原料と水とを含む液を常法により糖化して糖化液を得る工程、及び糖化液をろ過する工程を経て得ることができる。
煮沸工程では、原料液にホップを添加してよい。添加するホップとしては、例えば、乾燥ホップ、ホップペレット、ホップエキスを用いることができる。ホップは、ローホップ、ヘキサホップ、テトラホップ、イソ化ホップエキス等のホップ加工品であってもよい。
除去工程では、煮沸後液中の固形分を除去して精製液を得る。除去工程は、例えば、煮沸後液に含まれる不溶性の固形分を沈殿させることにより行うことができる。固形分としては、煮沸工程により生じた熱凝固物、煮沸工程でホップを添加した場合には、ホップのかす等が挙げられる。除去工程は、ワールプール中で実施してよい。冷却工程では、酵母による発酵が可能な温度まで精製液を冷却して発酵前液を得る。
発酵工程は、発酵前液を酵母で発酵させる工程である。発酵工程により、発酵前液を酵母により発酵させた発酵後液が得られる。発酵工程では、酵母によりアルコール発酵が行われる。より具体的には、発酵前液に酵母を接種して発酵させ、酵母により生成するアルコールを含む発酵後液を得る。
本実施形態に係る製造方法では、発酵工程後の発酵後工程として、発酵後液を熟成、冷却する工程、及び発酵後液をろ過する工程を備えていてもよい。ろ過工程を実施することにより、発酵後液から不溶性の固形分、酵母等を除去することができる。
本実施形態に係る製造方法では、他の発酵後工程として、発酵後液(又はろ過工程後の発酵後液)に対して加熱(殺菌)、各種添加物(例えば、苦味料、着色料、甘味料、高甘味度甘味料、酸化防止剤、酸味料、香料、塩類、水溶性食物繊維)の添加等を行ってもよい。
本実施形態に係る製造方法では、麦芽比率の調整は、例えば、仕込工程で使用する原料の種類及び使用量を調整することで実施することができる。本実施形態に係る製造方法では、シリンゴール、ゲラニオール及び/又はアセトバニロン含有量の調整は、例えば、仕込工程で使用する原料の種類及び使用量を調整すること、発酵後液にシリンゴール、ゲラニオール及び/又はアセトバニロンを添加すること等により実施することができる。シリンゴール、ゲラニオール及び/又はアセトバニロンは、シリンゴール、ゲラニオール及び/又はアセトバニロンそのものを原料として使用してもよいし、シリンゴール、ゲラニオール及び/又はアセトバニロンを含有する組成物(例えば、香料組成物)等を原料として使用してもよい。
〔ビールテイスト飲料のエステル感、及び麦芽の重厚感を向上させる方法〕
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、エステル感、及び麦芽の重厚感に優れるという効果を奏する。したがって、本発明は、麦芽比率を50%未満に調整すること、及びシリンゴール含有量を5μg/L以上150μg/L以下に調整することを含む、ビールテイスト飲料のエステル感、及び麦芽の重厚感を向上させる方法と捉えることもできる。当該方法は更に、ゲラニオール含有量を1μg/L以上に調整すること、及び/又はアセトバニロン含有量を10μg/L以上に調整することを含んでいてもよい。ゲラニオール含有量及び/又はアセトバニロン含有量を調整することを更に含む方法は、ビールテイスト飲料のエステル感、麦芽の重厚感、及び後に残る余韻を向上させる方法ということもできる。これらの方法における具体的な態様等として、上述した態様を制限なく適用することができる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例により限定されるものではない。
〔試験例1:ビールテイスト飲料の製造及び評価〕
(ビールテイスト飲料の製造)
市販されている発泡酒(麦芽比率25%未満、アルコール度数5.5v/v%)を用意し、試験例1-0のビールテイスト飲料とした。試験例1-0のビールテイスト飲料中のシリンゴール含有量及びゲラニオール含有量は、SPME-GC-MS法により測定した。また、試験例1-0のビールテイスト飲料中のアセトバニロン含有量は、サンプルを有機溶媒で抽出したのち、有機層を使用してGC-MS法により測定した。
試験例1-0のビールテイスト飲料に対して、シリンゴール、ゲラニオール及びアセトバニロンを表1~3に示す含有量(終濃度)となるように添加して、試験例1-1~1-5、試験例2-1~2-3及び試験例3-1~3-3のビールテイスト飲料を得た。
(官能評価)
試験例1-0~1-5、試験例2-1~2-3及び試験例3-1~3-3のビールテイスト飲料に対して、「エステル感」、「麦芽の重厚感」、「後に残る余韻」及び「総合評価」の評価項目について官能評価を実施した。官能評価は、選抜された識別能力のあるパネル3名により実施した。いずれの評価項目も評点1~5の5段階で評価し、その平均値を評価スコアとした。また、「エステル感」、「麦芽の重厚感」及び「後に残る余韻」の評価項目は試験例1-0のビールテイスト飲料の評点を1点(基準)に設定して、その他のビールテイスト飲料を評価した。
「エステル感」は、ビールらしい、発酵により生じるエステルの華やかさを感じられる感覚であり、評点が高いほどエステル感を強く感じることを示す。「麦芽の重厚感」は、麦芽に由来する重厚な香味を感じられる感覚であり、評点が高いほど麦芽の重厚感を強く感じることを示す。「後に残る余韻」は、味わいが長く続く感覚であり、評点が高いほど後に残る余韻を強く感じることを示す。「総合評価」の評価項目では、ビールテイスト飲料としての完成度に基づき評価を行い、評点が高い程、飲料としての完成度が高いことを示す。結果を表1~3に示す。
Figure 2023093918000001
Figure 2023093918000002
Figure 2023093918000003
表1に示すとおり、シリンゴール含有量が5μg/L以上150μg/L以下であるビールテイスト飲料(試験例1-1~1-4:いずれも麦芽比率25%未満)は、「エステル感」、及び「麦芽の重厚感」の評点が高く、エステル感、及び麦芽の重厚感が優れていた。また、シリンゴール含有量が15μg/L以上150μg/L以下であるビールテイスト飲料(試験例1-2~1-4:いずれも麦芽比率25%未満)は、「エステル感」、及び「麦芽の重厚感」の評点がより高いことに加え、「後に残る余韻」及び「総合評価」の評点も高く、エステル感、麦芽の重厚感、及び後に残る余韻が優れると共に飲料としての完成度も優れていた。
表2に示すとおり、シリンゴール含有量が5μg/L以上150μg/L以下であることに加え、ゲラニオール含有量を増加させたビールテイスト飲料(試験例2-1~2-3)では、「エステル感」、「麦芽の重厚感」、及び「後に残る余韻」の評点がより高くなり、エステル感、麦芽の重厚感、及び後に残る余韻がより一層優れていた。また、「総合評価」の評点もより高くなり、飲料としての完成度がより一層優れていた。
表3に示すとおり、シリンゴール含有量が5μg/L以上150μg/L以下、及びゲラニオール含有量が1μg/L以上であることに加え、アセトバニロン含有量を増加させたビールテイスト飲料(試験例3-1~3-3)では、「エステル感」、「麦芽の重厚感」、及び「後に残る余韻」の評点が更により高くなり、エステル感、麦芽の重厚感、及び後に残る余韻が更により一層優れていた。また、「総合評価」の評点も更により高くなり、飲料としての完成度が更により一層優れていた。
〔試験例2:ビールテイスト飲料の製造及び評価〕
(ビールテイスト飲料の製造)
麦芽(麦芽比率48%)、大麦(大麦比率52%)及びホップを用いて、常法により発酵前液を得た。発酵前液にビール酵母を添加して発酵させ、発酵後液を得た。発酵後液を濾過し、炭酸ガスを注入してガス圧2.3kg/cmになるように調整して、ビールテイスト飲料(アルコール度数6.0v/v%)を製造した。得られたビールテイスト飲料中のシリンゴール、ゲラニオール及びアセトバニロン含有量を試験例1と同様の手順で測定した後、表4に示す含有量(終濃度)となるようにシリンゴール、ゲラニオール及びアセトバニロンを添加して、試験例4-1のビールテイスト飲料を得た。
(官能評価)
試験例1と同様の手順で官能評価を実施した。試験例1-0のビールテイスト飲料の評点を固定して評価した点も同様である。結果を表4に示す。
Figure 2023093918000004
麦芽比率を48%とした場合であっても、シリンゴール、ゲラニオール及びアセトバニロンの含有量を所定の範囲内に調整することで、「エステル感」、「麦芽の重厚感」、「後に残る余韻」及び「総合評価」のいずれの評点も高くなり、エステル感、麦芽の重厚感、及び後に残る余韻が優れると共に飲料としての完成度にも優れるビールテイスト飲料が得られた。

Claims (5)

  1. 麦芽比率が50%未満であり、
    シリンゴール含有量が5μg/L以上150μg/L以下である、ビールテイスト飲料。
  2. ゲラニオール含有量が1μg/L以上である、請求項1に記載のビールテイスト飲料。
  3. アセトバニロン含有量が10μg/L以上である、請求項1又は2に記載のビールテイスト飲料。
  4. 麦芽比率を50%未満に調整すること、及び
    シリンゴール含有量を5μg/L以上150μg/L以下に調整することを含む、ビールテイスト飲料の製造方法。
  5. ビールテイスト飲料のエステル感、及び麦芽の重厚感を向上させる方法であって、
    麦芽比率を50%未満に調整すること、及び
    シリンゴール含有量を5μg/L以上150μg/L以下に調整することを含む、方法。
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