JP2023093892A - 造形用金属粉末および造形用金属粉末の製造方法 - Google Patents

造形用金属粉末および造形用金属粉末の製造方法 Download PDF

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Abstract

Figure 2023093892000001
【課題】造形性に優れ、得られた造形体を焼結することによって焼結密度が高く表面性状に優れた焼結体を製造可能な造形用金属粉末およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】金属粒子を有し、前記金属粒子の体積基準での粒度分布において頻度の累積が50%である粒子径をD50とするとき、D50が3.0μm以上30.0μm以下であり、前記金属粒子の体積基準での粒度分布において頻度の累積が90%である粒子径をD90とするとき、D90/D50の比が2.00以下であり、円形度が0.60以下である前記金属粒子の体積比率が2.0%以下であることを特徴とする造形用金属粉末。
【選択図】図1

Description

本発明は、造形用金属粉末および造形用金属粉末の製造方法に関するものである。
三次元の立体物を造形する技術として、近年、金属粉末を用いた積層造形法が普及しつつある。立体物を造形する手法としては、固化させる原理に応じて、粉末焼結積層造形法(SLS : Selective Laser Sintering)、バインダージェット法、熱溶融積層法(FDM : Fused Deposition Molding)等が知られている。
このうち、粉末焼結積層造形法およびバインダージェット法は、金属粉末を層状にならして粉末層を形成する工程と、粉末層の一部を固化させる工程と、を有し、これらを繰り返すことにより、立体物を造形する技術である。
また、熱溶融積層法は、金属粉末を含む樹脂を熱で軟化させつつ、ノズルから押し出す工程と、押し出した樹脂を積み上げて固化させる工程と、を有し、これらを繰り返すことにより、立体物を造形する技術である。
特許文献1には、このような積層造形法に用いる粉末として、造形用金属粉末が開示されている。この造形用金属粉末は、円形度が0.80未満である粒子の数の比率が10%以下、円形度が0.95以上である粒子の数の比率が50%以上であることを特徴とする金属粉末である。
このような特徴を有することにより、流動性および充填性に優れる造形用金属粉末が得られる。このため、かかる造形用金属粉末を用いることにより、強度に優れた造形体が得られる。
特開2016-102229号公報
特許文献1に記載の造形用金属粉末では、造形性において改善の余地がある。特に異形状粒子の混入の抑制について十分に考慮できていない。異形状粒子は、積層造形において造形不良を発生させる原因となる。また、造形用金属粉末を用いて製造された造形体は、焼結処理に供されることで、金属焼結体となる。ところが、前述した造形不良は、金属焼結体の焼結密度や表面性状を低下させる原因となる。
本発明の適用例に係る造形用金属粉末は、
金属粒子を有し、
前記金属粒子の体積基準での粒度分布において頻度の累積が50%である粒子径をD50とするとき、D50が3.0μm以上30.0μm以下であり、
前記金属粒子の体積基準での粒度分布において頻度の累積が90%である粒子径をD90とするとき、D90/D50の比が2.00以下であり、
円形度が0.60以下である前記金属粒子の体積比率が2.0%以下であることを特徴とする。
本発明の適用例に係る造形用金属粉末の製造方法は、
原料粉末を用意する準備工程と、
体積基準での粒度分布において頻度の累積が50%である粒子径をD50とし、体積基準での粒度分布において頻度の累積が90%である粒子径をD90とするとき、前記原料粉末を液中で分級することにより、D50が3.0μm以上30.0μmであり、かつ、D90/D50の比が2.00以下である粒子を抽出する液中分級工程と、
を有することを特徴とする。
実施形態に係る造形用金属粉末の粒子を模式的に示す断面図である。 金属粒子同士が結着している二次粒子を模式的に示す斜視図である。 実施形態に係る造形用金属粉末の製造方法を説明するための工程図である。
以下、本発明の造形用金属粉末および造形用金属粉末の製造方法を添付図面に基づいて詳細に説明する。
1.造形用金属粉末
まず、実施形態に係る造形用金属粉末について説明する。図1は、実施形態に係る造形用金属粉末1の粒子を模式的に示す断面図である。
図1に示す造形用金属粉末1は、積層造形法に用いられる粉末である。積層造形法としては、粉末焼結積層造形法(SLS : Selective Laser Sintering)、バインダージェット法、熱溶融積層法(FDM : Fused Deposition Molding)等が挙げられる。このうち、粉末焼結積層造形法およびバインダージェット法では、金属粉末を層状にならして粉末層を形成する工程と、粉末層の一部を固化させる工程と、を繰り返すことにより、立体物を造形する。また、熱溶融積層法では、金属粉末を含む樹脂を熱で軟化させつつ、ノズルから押し出す工程と、押し出した樹脂を積み上げて固化させる工程と、を繰り返すことにより、立体物を造形する。
造形用金属粉末1は、後述するように、粒度分布や粒子形状において最適化が図られている。このため、上記のような積層造形法に供されたとき、緻密で表面性状に優れた、造形不良の少ない造形体を製造することができる。
以下の説明では、造形用金属粉末1の粒子を「金属粒子4」ともいう。図1に示す金属粒子4は、コア部2と、被覆膜3と、を含む。このうち、被覆膜3は、コア部2の表面を被覆するように設けられている。なお、本明細書における被覆とは、コア部2の表面全体を覆っている状態の他、表面の一部を覆っている状態も含む概念である。
このような金属粒子4を含む造形用金属粉末1は、流動性および充填性に優れる。このため、例えば、粉末焼結積層造形法やバインダージェット法において、造形用金属粉末1を層状にならして粉末層を形成するとき、凹凸や空洞が少なく平滑な粉末層が得られる。また、例えば、熱溶融積層法において、造形用金属粉末1を含む樹脂をノズルから押し出して堆積層を形成するとき、欠損や途切れを抑えつつ押し出すことができるので、凹凸や空洞が少なく平滑な堆積層が得られる。そして、このような粉末層や堆積層を用いて得られた造形体、すなわち焼結前のグリーン体を焼結することにより、緻密で表面粗さが小さい焼結体を製造することができる。
1.1.金属粒子
金属粒子4の構成材料は、特に限定されず、いかなる金属材料であってもよい。一例としては、Fe、Ni、Co、Ti等の単体、またはこれらを主成分とする合金、金属間化合物等が挙げられる。
Fe系合金としては、例えば、オーステナイト系ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼、析出硬化系ステンレス鋼のようなステンレス鋼、低炭素鋼、炭素鋼、耐熱鋼、ダイス鋼、高速度工具鋼、Fe-Ni合金、Fe-Ni-Co合金等が挙げられる。
Ni系合金としては、例えば、Ni-Cr-Fe系合金、Ni-Cr-Mo系合金、Ni-Fe系合金等が挙げられる。
Co系合金としては、例えば、Co-Cr系合金、Co-Cr-Mo系合金、Co-Al-W系合金等が挙げられる。
Ti系合金としては、例えば、Tiと、Al、V、Nb、Zr、Ta、Mo等の金属元素との合金が挙げられ、具体的には、Ti-6Al-4V、Ti-6Al-7Nb等が挙げられる。
なお、金属粒子4は、金属材料と非金属材料との複合材料で構成されていてもよい。非金属材料としては、例えば、酸化物、窒化物、炭化物、硫化物のようなセラミックス材料、ケイ素材料、炭素材料のような無機材料の他、有機化合物のような有機材料等が挙げられる。なお、複合材料では、金属材料の体積比率が大きくなるように設定される。
図1に示す造形用金属粉末1では、コア部2が金属材料で構成され、被覆膜3が非金属材料で構成されている。なお、被覆膜3は、必要に応じて設けられればよく、省略されていてもよい。
金属粒子4の体積基準での粒度分布において、頻度の累積が50%である粒子径をD50とするとき、粒子径D50が3.0μm以上30.0μm以下とされ、好ましくは4.0μm以上20.0μm以下とされ、より好ましくは5.0μm以上14.0μm以下とされる。金属粒子4の粒子径D50が前記範囲内であると、造形用金属粉末1をならして粉末層を形成したり、造形用金属粉末1を含む樹脂を押し出して堆積層を形成したりするとき、金属粒子4の充填性が高くなるため、金属粒子4同士の隙間を十分に小さくすることができる。このような粉末層や堆積層を用いて造形体を作製し、これを焼結することにより、緻密で表面粗さが小さい焼結体の製造が可能になる。
なお、金属粒子4の粒子径D50が前記下限値を下回ると、金属粒子4同士の凝集が発生し、造形用金属粉末1の流動性が低下するため、造形用金属粉末1を層状にならすとき、粉末層に凹凸や空洞が生じやすくなったり、造形用金属粉末1を含む樹脂を押し出すとき、堆積層に凹凸や空洞が生じやすくなったりする。一方、金属粒子4の粒子径D50が前記上限値を上回ると、金属粒子4同士の隙間が大きくなる。このため、金属粒子4の形状によっては、粉末層や堆積層に凹凸や空洞が生じやすくなる。
金属粒子4の体積基準での粒度分布において、頻度の累積が90%である粒子径をD90とするとき、D90/D50の比は、2.00以下とされ、好ましくは1.75以下とされ、より好ましくは1.50以下とされる。D90/D50の比が前記範囲内であると、粗大粒子の含有比率が低く、粒度分布が十分に狭いといえる。このため、このような金属粒子4を含む造形用金属粉末1では、粗大粒子に起因する流動性や充填性の低下が抑制される。なお、粗大粒子とは、例えば、粒子径が50μm以上の粒子のことをいう。
なお、D90/D50の比が前記上限値を上回ると、粗大粒子の含有比率が高くなり、造形用金属粉末1の流動性および充填性が低下する。また、D90/D50の比の下限値は、特に設定されないが、製造コストと流動性や充填性とのバランスを考慮すれば、1.2以上とするのが好ましい。
金属粒子4の体積基準での粒度分布は、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置により取得可能である。
金属粒子4の断面形状は、特に限定されず、例えば、円形、楕円形、多角形等であってもよいが、円形であるのが好ましい。
具体的には、造形用金属粉末1は、円形度が0.60以下である金属粒子4の比率が2.0%以下とされ、1.8%以下であることが好ましく、1.5%以下であることがより好ましい。このような造形用金属粉末1では、円形度が比較的低い金属粒子4の比率が十分に少なく抑えられ、相対的に円形度が比較的高い金属粒子4の比率が高くなる。このような円形度が高い金属粒子4は、転がり抵抗が小さい。また、金属粒子4同士が近接したときの隙間を特に小さく抑えることもできる。このため、円形度が0.60以下である金属粒子4の比率が前記範囲内であれば、造形用金属粉末1の流動性および充填性が高められる。
なお、円形度が0.60以下である金属粒子4の比率が前記上限値を上回ると、円形度が比較的低い金属粒子4の比率が高くなるため、造形用金属粉末1の流動性および充填性が低下する。
金属粒子4の円形度CIは、下記式(1)で定義される。
CI=4πS/L ・・・(1)
上記式(1)中、Sは、金属粒子4の投影面積、Lは、金属粒子4の周長を表す。
金属粒子4の円形度は、金属粒子4を撮像した画像に対し、以下の画像処理を行うことによって測定される。
まず、走査型電子顕微鏡(SEM)や光学顕微鏡等で撮影した複数の金属粒子4が写った画像に対し、輪郭を検出する画像処理を施す。これにより、粒子像が特定される。次に、粒子像の面積および周長を測定する。そして、上記式(1)に基づいて円形度CIを算出する。次に、複数の金属粒子4についてそれぞれ円形度CIを求める。そして、1つの画像において円形度CIが0.60以下である金属粒子4の比率を算出する。比率の算出にあたっては、100個以上の測定値を用いるのが好ましい。
なお、画像から粒子像を特定するような画像処理は、例えば、アメリカ国立衛生研究所が開発した画像処理システムImageJを用いて行うことができる。
造形用金属粉末1は、いかなる方法で製造された粉末であってもよい。製造方法の例としては、例えば、水アトマイズ法、ガスアトマイズ法、回転水流アトマイズ法等の各種アトマイズ法の他、還元法、カルボニル法、粉砕法等が挙げられる。このうち、水アトマイズ法が好ましく用いられる。つまり、金属粒子4は、水アトマイズ粒子を含む粒子であるのが好ましい。水アトマイズ粒子は、微小で真球度が高く、粒子径が比較的揃っている。また、水アトマイズ粒子は、表面に高密度の水酸基を有している。この水酸基は、後述する被覆膜3の下地となるため、コア部2と被覆膜3との密着性を高める。したがって、水アトマイズ粒子は、金属粒子4用の粒子として有用である。
なお、造形用金属粉末1では、金属粒子4同士が互いに結着し、二次粒子になっていてもよい。図2は、金属粒子4同士が結着している二次粒子6を模式的に示す斜視図である。
図2に示す二次粒子6は、金属粒子4同士が結着して構成されている。結着には、例えば樹脂材料のような有機バインダーの他、無機バインダーが用いられる。二次粒子6は、金属粒子4を含む懸濁液を用い、噴霧乾燥法、転動造粒法、流動層造粒法等の各種造粒法を用いて製造される。二次粒子6の形態になることで、見かけの球形度が高くなるため、金属粒子4に異形状粒子がやや多い場合や、金属粒子4の円形度がやや低い場合等でも、流動性および充填性に優れた造形用金属粉末1を実現することができる。
二次粒子6の平均粒径は、特に限定されないが、金属粒子4の粒子径D50の2倍以上20倍以下であるのが好ましく、3倍以上10倍以下であるのがより好ましい。このような平均粒径の二次粒子6によれば、より流動性および充填性に優れた造形用金属粉末1が得られる。
1.2.被覆膜
被覆膜3は、コア部2の表面を被覆する。これにより、金属材料で構成されているコア部2に対し、様々な特性を付与することができる。なお、被覆膜3は、必須ではなく、省略されていてもよい。
被覆膜3の構成材料としては、例えば、カップリング剤に由来する化合物が挙げられる。カップリング剤は、有機反応性基および加水分解性基を有する有機化合物である。カップリング剤を用いることにより、コア部2の表面に有機反応性基を配置することができる。このような被覆膜3を設けることにより、金属粒子4同士の凝集を抑制することができる。また、有機反応性基は、樹脂成分との親和性が高いため、バインダージェット法に用いるバインダーや熱溶融積層法に用いる樹脂に対する金属粒子4の濡れ性を高めることができる。以上の作用により、造形用金属粉末1の流動性および充填性を高めることができる。また、被覆膜3は、例えば、造形用金属粉末1の耐湿性、防錆性等を高めることにも寄与する。耐湿性や防錆性が高められることにより、造形用金属粉末1の吸湿や発錆による劣化を抑制することができる。
カップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコニウムカップリング剤等が挙げられる。このうち、シランカップリング剤が好ましく用いられる。つまり、被覆膜3は、シランカップリング剤に由来する化合物を含むことが好ましい。シランカップリング剤は、加水分解性基としてアルコキシシリル基を有しているが、このアルコキシシリル基は、反応性が高いため、密着性に優れた被覆膜3を形成することができる。また、シランカップリング剤に由来する化合物は、最終的に造形体や焼結体に取り込まれても、造形体や焼結体の特性に悪影響を及ぼしにくい。
シランカップリング剤では、アルコキシシリル基のような加水分解性基が加水分解することによって、シラノールを生じる。シラノールは、コア部2の表面に生じた水酸基と反応する。これにより、シランカップリング剤がコア部2の表面に付着する。その後、シランカップリング剤には、脱水縮合反応が生じて、コア部2の表面に結合した被覆膜3が得られる。
有機反応性基としては、例えば、環状構造含有基、フルオロアルキル基、フルオロアリール基、アミノ基、アクリル基、メタクリル基等が挙げられる。このうち、環状構造含有基、フルオロアルキル基またはフルオロアリール基が好ましく用いられる。これらは、比較的良好な耐熱性および疎水性を有するため、高温環境下でも安定し、金属粒子4同士の凝集を抑制する効果を持続させる。このため、加熱や乾燥に供される金属粒子4に用いられるカップリング剤用の有機反応性基として有用である。
環状構造含有基は、環状構造を持つ官能基である。環状構造含有基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基のようなアリール基、エポキシ基、3,4-エポキシシクロヘキシル基、オキセタニル基のような環状エーテル基等が挙げられる。
フルオロアルキル基は、1つ以上のフッ素原子で置換されている炭素数1以上16以下のアルキル基である。特にフルオロアルキル基は、パーフルオロアルキル基であるのが好ましい。
フルオロアリール基は、1つ以上のフッ素原子で置換されている炭素数6以上20以下のアリール基である。特にフルオロアリール基は、パーフルオロアリール基であるのが好ましい。
なお、被覆膜3は、互いに種類が異なる化合物で構成された複数の層を含む積層膜であってもよい。
被覆膜3の平均厚さは、1nm以上100nm以下であるのが好ましく、3nm以上50nm以下であるのがより好ましい。これにより、前述した被覆膜3の機能を十分に確保しつつ、造形用金属粉末1において被覆膜3が占める体積比率を抑えることができる。
なお、被覆膜3の平均厚さが前記下限値を下回ると、被覆膜3の構成材料によっては、被覆膜3の被覆率が低下し、造形用金属粉末1の流動性および充填性を十分に高めることができないおそれがある。一方、被覆膜3の平均厚さが前記上限値を上回ると、被覆膜3の構成材料によっては、被覆膜3が剥離しやすくなったり、造形用金属粉末1における被覆膜3の体積比率が必要以上に上昇したりするおそれがある。
被覆膜3の平均厚さは、例えば、金属粒子4の断面を拡大観察することによって測定される。具体的には、金属粒子4を収束イオンビームによって切断し、断面薄片試料を作製する。次に、得られた断面薄片試料を、走査型透過電子顕微鏡にて観察し、1つの金属粒子4について5か所以上で被覆膜3の厚さを測定する。そして、測定値を平均し、その算出結果を被覆膜3の平均厚さとする。
被覆膜3の構成元素は、例えば、EDX分析(エネルギー分散型X線分析)、オージェ電子分光測定等により確認できる。
1.3.セラミックス粒子
本実施形態に係る造形用金属粉末1は、金属粒子4に加え、セラミックス粒子5を有する。このセラミックス粒子5は、必須ではなく、省略されていてもよい。セラミックス粒子5は、その平均粒径が金属粒子4よりも小さい。このため、セラミックス粒子5は、金属粒子4の表面に分布しやすくなり、金属粒子4同士の間に介在して、金属粒子4同士の凝集を抑制する。これにより、造形用金属粉末1の流動性および充填性をさらに高めることができる。
セラミックス粒子5の構成材料としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、酸化鉄、酸化カリウム、酸化ナトリウム、酸化カルシウム、酸化クロム、酸化ニオブのような酸化物系セラミックス、窒化ホウ素、窒化ケイ素のような窒化物系セラミックス、炭化ケイ素等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上が用いられる。
このうち、セラミックス粒子5の構成材料は、酸化ケイ素を含むことが好ましい。酸化ケイ素は、化学的に安定であるとともに、最終的に造形体や焼結体に取り込まれても、造形体や焼結体の特性に悪影響を及ぼしにくい。なお、酸化ケイ素には、SiO、SiO、Si、SiO、SiO、または、これらのうちの2種以上の混合物が挙げられる。
セラミックス粒子5の平均粒径は、1nm以上100nm以下であるのが好ましく、3nm以上50nm以下であるのがより好ましく、5nm以上20nm以下であるのがさらに好ましい。セラミックス粒子5の平均粒径が前記範囲内であれば、セラミックス粒子5が金属粒子4の表面に特に分布しやすくなる。そして、金属粒子4の表面に分布したセラミックス粒子5が、転動する等して、金属粒子4同士の滑りを高めることができる。その結果、金属粒子4同士の摩擦抵抗が減少するため、造形用金属粉末1の流動性および充填性を高めることができる。また、このような平均粒径のセラミックス粒子5は、焼結体中に取り込まれても、介在物としての粒径が十分に小さいため、焼結体の表面性状や機械的特性に及ぼす影響を最小限に留めることができる。
なお、セラミックス粒子5の平均粒径が前記下限値を下回ると、セラミックス粒子5が転動しにくくなる。このため、上記のような効果が得られないおそれがある。一方、セラミックス粒子5の平均粒径が前記上限値を上回ると、セラミックス粒子5が金属粒子4の表面に分布しにくくなる。また、セラミックス粒子5に由来する介在物が造形体(グリーン体)の焼結を阻害しやすくなるおそれがある。
セラミックス粒子5の平均粒径は、金属粒子4の平均粒径(粒子径D50)の0.01%以上5.0%以下であるのが好ましく、0.05%以上1.0%以下であるのがより好ましく、0.10%以上0.50%以下であるのがさらに好ましい。これにより、セラミックス粒子5が金属粒子4の表面に分布しやすくなり、かつ、焼結体中に生じる介在物の粒径が十分に小さくなる。
金属粒子4の全質量とセラミックス粒子5の全質量との合計におけるセラミックス粒子5の全質量の比率は、特に限定されないが、0.01質量%以上1.00質量%以下であるのが好ましく、0.03質量%以上0.50質量%以下であるのがより好ましく、0.05質量%以上0.30質量%以下であるのがさらに好ましい。セラミックス粒子5の比率を前記範囲内に設定することにより、セラミックス粒子5が添加されたことによる効果を十分に享受することができ、かつ、セラミックス粒子5に由来する介在物の影響を最小限に留めることができる。
なお、セラミックス粒子5の平均粒径は、次のようにして測定される。まず、セラミックス粒子5を100倍以上の倍率で拡大観察する。そして、観察像において、セラミックス粒子5の粒子像の面積を測定する。次に、その面積と同じ面積を持つ真円の直径を算出する。算出した直径を、その粒子像の粒径とする。このようにして10個以上の粒子像について粒径を求め、平均値を算出する。算出した平均値をセラミックス粒子5の平均粒径とする。
セラミックス粒子5には、必要に応じて表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、例えば、疎水処理、カップリング剤処理、オルガノシラザン処理が挙げられる。セラミックス粒子5に疎水処理を施すことによって、セラミックス粒子5に対する水分の吸着が抑制される。そのため、セラミックス粒子5同士の凝集が抑制され、したがって、金属粒子4同士の凝集をより効果的に抑制することができる。
1.4.実施形態に係る造形用金属粉末が奏する効果
以上のように、本実施形態に係る造形用金属粉末1は、金属粒子4を有し、粒子径D50が3.0μm以上30.0μm以下であり、D90/D50の比が2.00以下であり、円形度が0.60以下である金属粒子4の体積比率が2.0%以下である。D50とは、金属粒子4の体積基準での粒度分布において頻度の累積が50%である粒子径である。D90とは、金属粒子4の体積基準での粒度分布において頻度の累積が90%である粒子径である。
このような構成によれば、流動性および充填性が高い造形用金属粉末1が得られる。かかる造形用金属粉末1を用いることにより、積層造形法において、凹凸や空洞が少ない粉末層および堆積層を容易に形成することができる。これにより、目的とする形状をなし、緻密で表面粗さが小さい造形体(グリーン体)を得ることができる。つまり、造形用金属粉末1は、造形性に優れた粉末となる。そして、この造形体を焼結することにより、焼結密度が高く表面性状に優れた焼結体を製造することができる。
また、本実施形態に係る造形用金属粉末1では、前述したように、金属粒子4が水アトマイズ粒子を含むことが好ましい。これにより、粒子径D50がより小径であっても、粒度分布が狭い、つまり、D90/D50の比が十分に小さい金属粒子4が得られる。また、コア部2と被覆膜3との密着性に優れ、耐凝集性、耐湿性、防錆性等に優れた金属粒子4が得られる。
また、本実施形態に係る造形用金属粉末1では、前述したように、金属粒子4が、金属材料で構成されているコア部2と、コア部2の表面を被覆する被覆膜3と、を含んでいる。
このような構成によれば、金属材料で構成されているコア部2に対し、様々な特性を付与することができる。例えば、被覆膜3がカップリング剤に由来する化合物を含む場合、カップリング剤が有する有機反応性基をコア部2の表面に配置することができる。これにより、金属粒子4同士の凝集を抑制し、造形用金属粉末1の流動性および充填性を高めることができる。また、カップリング剤が有する加水分解性基をコア部2の表面と反応させることができる。これにより、密着性に優れた被覆膜3が得られる。
さらに、本実施形態に係る造形用金属粉末1は、金属粒子4に加え、平均粒径が金属粒子4よりも小さいセラミックス粒子5を有している。
このような構成によれば、セラミックス粒子5が金属粒子4同士の凝集を抑制する。これにより、造形用金属粉末1の流動性および充填性をさらに高めることができる。
また、造形用金属粉末1は、図2に示すように、金属粒子4同士が結着している二次粒子6を有していてもよい。二次粒子6は、金属粒子4同士の集合化によって、見かけの球形度が高くなる。このため、金属粒子4の粒子形状によらず、造形用金属粉末1の流動性および充填性を高めることができる。
2.造形用金属粉末の製造方法
次に、実施形態に係る造形用金属粉末の製造方法について説明する。図3は、実施形態に係る造形用金属粉末の製造方法を説明するための工程図である。
図3に示す造形用金属粉末の製造方法は、準備工程S102と、液中分級工程S104と、被覆膜形成工程S106と、を有する。
2.1.準備工程
準備工程S102では、原料粉末を用意する。原料粉末は、市販品であってもよいが、前述したアトマイズ法や粉砕法、その他の製造方法により、製造された粉末であってもよい。
このうち、アトマイズ法は、冷却媒の種類や装置構成の違いによって、水アトマイズ法、回転水流アトマイズ法、ガスアトマイズ法等に分けられる。アトマイズ法は、溶融金属を、高速で噴射された液体または気体に衝突させることにより、微粉化するとともに冷却して、原料粉末を製造する方法である。
このうち、水アトマイズ法では、溶融金属が大きな負圧によって気中で分裂することにより、微細な液滴を形成する。その後、この微細な液滴が高速の噴射水流で急冷凝固し、原料粉末を得る。
なお、例えば、アトマイズ法では、液体や気体に衝突させる溶融金属の量や温度、溶融金属に衝突させる液体や気体の流速等に応じて、円形度CIを調整することができる。溶融金属の組成等に応じて多少異なるが、一例として、液体や気体に衝突させる溶融金属の量を減らしたり、温度を高めたり、溶融金属に衝突させる液体や気体の流速を下げたりすると、原料粉末の円形度CIが大きくなる傾向がある。
2.2.液中分級工程
液中分級工程S104では、原料粉末を液中で分級する。これにより、粒子径D50が3.0μm以上30.0μm以下であり、かつ、D90/D50の比が2.00以下である粒子を抽出する。このようにして前述したコア部2が得られる。
液中での分級は、湿式分級とも呼ばれる。これに対し、気中での分級は、乾式分級とも呼ばれる。乾式分級が、気中において力学的挙動の差を利用して粒子を分級するのに対し、液中で行う湿式分級は、液中において遠心力や重力等を利用して粒子を分級する。そのため、液中で行う湿式分級の方が、小径の粒子でも精度よく分級することができ、また、分級中の粒子同士の凝集を、乾式分級より抑制することができる。
具体的には、液中分級工程は、原料粉末を液体に入れ、遠心力または重力により分級する操作を含むことが好ましい。遠心力場でも、重力場でも、いずれも、高い分級精度が得られる。
より精密な分級の観点からは、重力により分級する操作を含むことがより好ましい。重力により分級する操作は、粒子の大きさ(粒径)により液中での沈降速度が異なることを利用した分級操作であり、例えば、直立筒状湿式分級器を用いて行うことができる。また、あらかじめ粒子の大きさごとの沈降速度を求めておき、沈降時間に応じて分級機から粒子を採取することで、所望の粒径を有する粒子を得ることができる。これにより、粒度分布が特に狭められた粒子を抽出することができる。
また、原料粉末を液中で分級するとき、この液体は、分散剤を含んでいるのが好ましい。分散剤を添加することにより、液中での粒子同士の凝集を抑制することができる。これにより、より精度よく原料粉末を分級することができる。分散剤としては、例えば、カルボン酸塩系分散剤、スルホン酸塩系分散剤等が挙げられる。
分散剤の添加量は、特に限定されないが、原料粉末100質量部に対して0.1質量部以上5.0質量部以下であるのが好ましく、0.2質量部以上3.0質量部以下であるのがより好ましい。
以上のような分級操作により、粒子径D50を上記範囲内に調整することができる。また、粗大粒子を除去して、D90/D50の比を上記範囲内に調整することができる。
2.3.被覆膜形成工程
被覆膜形成工程S106では、液中分級工程S104で抽出した粒子に対し、粒子表面を被覆する被覆膜を形成する。これにより、造形用金属粉末が得られる。なお、本工程は、必要に応じて行えばよく、省略されてもよい。
被覆膜の形成には、前述したように、例えば、各種カップリング剤が用いられ、好ましくはシランカップリング剤が用いられる。そして、抽出した粒子とカップリング剤を反応器内に入れ、加熱する方法、抽出した粒子にカップリング剤を噴霧する方法、カップリング剤を含む溶液に粒子を入れ、乾燥させる方法等により、液中分級工程S104で抽出した粒子(コア部)の表面に被覆膜を形成することができる。
なお、被覆膜の形成後、必要に応じて、得られた被覆膜に熱処理を行ってもよい。熱処理の条件は、例えば温度が50℃以上300℃以下で、時間が10分以上24時間以下とされる。これにより、被覆膜に残留した水和物を除去したり、未反応のカップリング剤を除去したり、被覆膜の密着性を高めたりすることができる。
また、準備工程S102と液中分級工程S104との間に、液中分級工程S104とは別の分級工程を行ってもよい。この分級工程では、原料粉末に含まれる粗大粒子をあらかじめ除去する。これにより、液中分級工程S104における分級精度を高めることができる。
また、上記の説明では、液中分級工程S104の後に被覆膜形成工程S106を行っているが、この順序は逆であってもよい。
以上のように、本実施形態に係る造形用金属粉末の製造方法は、準備工程S102と、液中分級工程S104と、を有する。準備工程S102では、原料粉末を用意する。液中分級工程S104では、原料粉末を液中で分級し、D50が3.0μm以上30.0μm以下であり、かつ、D90/D50の比が2.00以下である粒子を抽出する。なお、D50は、体積基準での粒度分布において頻度の累積が50%である粒子径を指し、D90は、体積基準での粒度分布において頻度の累積が90%である粒子径を指す。
このような構成によれば、液中での分級により、D50およびD90/D50の比がそれぞれ最適化された粒子を高精度に抽出することができる。このようにして粒度分布が高精度に制御された分級後の粒子を備える造形用金属粉末は、造形性に優れるため、得られた造形体を焼結することによって焼結密度が高く表面性状に優れた焼結体を製造することができる。すなわち、上記の構成によれば、このような効果を発揮する造形用金属粉末を製造することができる。
以上、本発明の造形用金属粉末および造形用金属粉末の製造方法について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、本発明の造形用金属粉末は、前記実施形態に任意の成分が付加されたものであってもよい。また、本発明の造形用金属粉末の製造方法は、前記実施形態に任意の目的の工程が付加されたものであってもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
3.造形用金属粉末の作製
3.1.実施例1
まず、水アトマイズ法により製造されたステンレス鋼SUS316Lの粉末を用意した。次に、得られたステンレス鋼粉末を、液中で重力を利用して分級した。以下、分級方法について詳述する。
液中での重力を利用した分級方法では、まず、原料粉末30gを400mLの純水に入れ、超音波によって分散させて原料粉末分散液を作製した。次に、この原料粉末分散液を1600mLの純水にゆっくりと投入してスラリーとし、さらに、このスラリーを330分間静置して重力により分級した。その後、液面から600mL分のスラリーをサイフォンで採取した。採取後のスラリーに対して85℃で120分の加熱乾燥を行い、水分を揮発させ、分級後の粒子を抽出した。これにより、造形用金属粉末を得た。
ここで、分級後の粒子について、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置により、体積基準の粒度分布を取得した。そして、取得した粒度分布に基づいて、粒子径D50および粒子径D90を求めた。また、D90/D50の比を算出した。算出結果を表1に示す。
さらに、分級後の粒子について、走査型電子顕微鏡による観察像から円形度CIを計測した。そして、円形度CIが0.60以下である粒子の比率を算出した。算出結果を表1に示す。
3.2.実施例2
まず、水アトマイズ法により製造されたステンレス鋼SUS316Lの粉末を用意した。次に、得られたステンレス鋼粉末を、液中で遠心力を利用して分級した。以下、分級方法について詳述する。
液中での遠心力を利用した分級方法では、まず、原料粉末を純水に入れ、含有率7質量%で分散させた原料粉末分散液を作製した。次に、この原料粉末分散液を湿式ロータリー式分級装置にて分級した。得られた分級後の原料粉末に対して85℃で120分間の加熱乾燥を行い、水分を揮発させ、分級後の粒子を抽出した。これにより、造形用金属粉末を得た。
その後、実施例1と同様にして、粒子径D50および粒子径D90を測定するとともに、D90/D50の比および円形度CIが0.60以下である粒子の比率を算出した。測定結果および算出結果を表1に示す。
3.3.実施例3
まず、ガスアトマイズ法により製造されたステンレス鋼SUS316Lの粉末を用意した。次に、得られたステンレス鋼粉末を、表1に示す方法で分級し、分級後の粒子を抽出した。これにより、表1に示す粒度特性を有する造形用金属粉末を得た。
3.4.実施例4
まず、水アトマイズ法により製造されたステンレス鋼SUS316Lの粉末を用意した。次に、得られたステンレス鋼粉末を、表1に示す方法で分級し、分級後の粒子を抽出した。これにより、表1に示す粒度特性を有する造形用金属粉末を得た。
3.5.実施例5
まず、水アトマイズ法により製造されたステンレス鋼SUS316Lの粉末を用意した。次に、得られたステンレス鋼粉末を、表1に示す方法で分級し、分級後の粒子を抽出した。
次に、分級後の粒子にシランカップリング剤処理を施した。これにより、被覆層を有する造形用金属粉末を得た。なお、シランカップリング剤には、フェニルトリメトキシシランを用いた。
3.6.実施例6
表1に示す方法でステンレス鋼粉末を分級し、分級後の粒子を抽出するとともに、シランカップリング剤として3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランを用いるようにした以外は、実施例5と同様にして被覆層を有する造形用金属粉末を得た。
3.7.比較例1
まず、ガスアトマイズ法により製造されたステンレス鋼SUS316Lの粉末を用意した。次に、得られたステンレス鋼粉末を、気中で気流を利用して分級した。具体的には、原料粉末をサイクロン式分級機によって分級した。これにより、分級後の金属粒子を抽出し、表1に示す粒度特性を有する造形用金属粉末を得た。
3.8.比較例2~6
まず、水アトマイズ法により製造されたステンレス鋼SUS316Lの粉末を用意した。次に、得られたステンレス鋼粉末を、気中で気流を利用して分級し、分級後の金属粒子を抽出した。これにより、表1に示す粒度特性を有する造形用金属粉末を得た。
3.9.実施例7
まず、水アトマイズ法により製造されたステンレス鋼SUS316Lの粉末を用意した。次に、得られたステンレス鋼粉末を、液中で重力を利用して分級した。これにより、分級後の粒子を抽出した。
次に、分級後の粒子に、セラミックス粒子としてシリカ粒子を添加した。これにより、造形用金属粉末を得た。添加したシリカ粒子の平均粒径、分級後の粒子に対する粒径比率、および、シリカ粒子の添加比率は、表2に示す通りである。
3.10.実施例8~13
ステンレス鋼粉末の製造方法、分級方法、ステンレス鋼粉末の粒度特性、セラミックス粒子の添加条件等を、表2に示すように変更した以外は、実施例7と同様にして造形用金属粉末を得た。
表1および表2に示すように、各実施例では、粒子径D50、D90/D50の比、および、円形度CIが0.60以下である金属粒子の比率、がいずれも所定の範囲内に収まっていた。
4.焼結体の作製
各実施例および各比較例で得られた造形用金属粉末を用い、バインダージェット法により、50層を積層してなる造形体を作製した。バインダー溶液には、ステアリン酸エマルジョンを使用した。
続いて、作製した造形体に脱脂処理を施して脱脂した後、焼成炉にて焼結させた。焼結条件は、アルゴン雰囲気において、1300℃×3時間とした。これにより、焼結体を得た。
5.焼結体の評価
5.1.相対密度
次に、得られた焼結体の密度を測定した。続いて、用いた造形用金属粉末の真密度に対する測定した密度の相対値、すなわち相対密度を算出した。算出結果を表1および表2に示す。
5.2.表面粗さ
次に、得られた焼結体の表面粗さを測定した。なお、表面粗さは、算術平均粗さRaのことであり、JIS B 0671-1:2002に規定された方法に準じて測定した。測定結果を表1および表2に示す。
Figure 2023093892000002
Figure 2023093892000003
表1および表2から明らかなように、各実施例の造形用金属粉末を用いて製造された焼結体は、各比較例の造形用金属粉末を用いて製造された焼結体に比べて、相対密度が高く、表面粗さが小さかった。
なお、表1および表2には示さないが、各実施例および各比較例で得られた造形用金属粉末を用い、熱溶融積層法により、50層を積層してなる造形体を作製した。そして、作製した造形体に脱脂処理を施して脱脂した後、焼結させた。得られた焼結体について相対密度および表面粗さを測定したところ、表1および表2と同じ傾向の評価結果が得られた。
したがって、本発明に係る造形用金属粉末は、積層造形法に用いることで、造形性が高い、つまり、造形不良が少ない造形体を製造可能であることがわかった。また、得られた造形体を焼結することにより、焼結密度が高く表面性状に優れた焼結体を製造可能であることがわかった。
1…造形用金属粉末、2…コア部、3…被覆膜、4…金属粒子、5…セラミックス粒子、6…二次粒子、S102…準備工程、S104…液中分級工程、S106…被覆膜形成工程

Claims (9)

  1. 金属粒子を有し、
    前記金属粒子の体積基準での粒度分布において頻度の累積が50%である粒子径をD50とするとき、D50が3.0μm以上30.0μm以下であり、
    前記金属粒子の体積基準での粒度分布において頻度の累積が90%である粒子径をD90とするとき、D90/D50の比が2.00以下であり、
    円形度が0.60以下である前記金属粒子の体積比率が2.0%以下であることを特徴とする造形用金属粉末。
  2. 前記金属粒子は、水アトマイズ粒子を含む請求項1に記載の造形用金属粉末。
  3. 前記金属粒子は、金属材料で構成されているコア部と、前記コア部の表面を被覆する被覆膜と、を含む請求項1または2に記載の造形用金属粉末。
  4. 前記被覆膜は、シランカップリング剤に由来する化合物を含む請求項3に記載の造形用金属粉末。
  5. 平均粒径が前記金属粒子よりも小さいセラミックス粒子をさらに有する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の造形用金属粉末。
  6. 前記金属粒子同士が結着している二次粒子を有する請求項1ないし5のいずれか1項に記載の造形用金属粉末。
  7. 原料粉末を用意する準備工程と、
    体積基準での粒度分布において頻度の累積が50%である粒子径をD50とし、体積基準での粒度分布において頻度の累積が90%である粒子径をD90とするとき、前記原料粉末を液中で分級することにより、D50が3.0μm以上30.0μmであり、かつ、D90/D50の比が2.00以下である粒子を抽出する液中分級工程と、
    を有することを特徴とする造形用金属粉末の製造方法。
  8. 前記液中分級工程は、前記原料粉末を液体に入れ、遠心力または重力により分級する操作を含む請求項7に記載の造形用金属粉末の製造方法。
  9. 前記液体は、分散剤を含む請求項8に記載の造形用金属粉末の製造方法。
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