JP2023092179A - 管状部品の製造方法、及びプレス装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】管状部品の形状の制約が少なく、且つ、シワや割れが発生しにくい、管状部品の製造方法及びプレス装置を提供する。【解決手段】管状部品4の製造方法は、金属板1を準備する準備工程と、金属板1を穴拡げ絞り加工により管状部品4に成形する成形工程とを有する。成形工程は、金属板を押圧して穴拡げ絞り加工を施すことにより、傾斜壁2kを有する第1中間品2を得る第1成形工程と、第1中間品2に対して、中間絞り用パンチ20P及び中間絞り用ダイス20Dを用いて、押込み絞り加工を施すことにより、傾斜した前部壁3fと、軸方向に平行、又は軸方向に対して前部壁3fの傾斜とは反対方向に傾斜した後部壁3rとを有する第2中間品3を得る第2成形工程と、押込み用ダイス30Dに配置された第2中間品3の後部壁を押込み用パンチ30Pで押して押込み絞り加工を施し、管状部品4を得る第3成形工程とを含む。【選択図】図1

Description

本発明は、管状部品の製造方法、及びその製造方法に用いられるプレス装置に関する。
例えば、軸受の軌道輪や、歯車、ホイール、オイルポンプ部品等には、金属製の管状部品(筒状部品)が用いられる。このような管状部品の製造方法として、中心部分に穴のあいたドーナツ形状の鋼の円板に絞り加工を施して管状部品を成形する方法が知られている(例えば、特開平7-155877号公報(特許文献1)、特開2009-226422号公報(特許文献2)参照)。
特許第6616027号公報(特許文献3)には、絞り加工によるシワや割れの発生を抑える筒状回転部品の製造方法が記載されている。この製造方法は、テーパが付与されたパンチ及びダイスのテーパ面同士でドーナツ形状の金属円板の両面全体を押圧して穴拡げ絞り加工を施すことにより円錐台形状の中間成形品を得る工程と、テーパ角度の小さいパンチ及びダイスで、中間成形品を押圧して更に穴拡げ絞り加工を施すことにより筒状回転部品を得る工程とを含む。
特開平7-155877号公報 特開2009-226422号公報 特許第6616027号公報
発明者らは、上記特許第6616027号公報に記載の製造方法では、目的とする管状部品の壁厚及び直径の条件によっては、製造できない場合があることを見出した。上記方法では、金属円板から円錐台形状の中間成形品が成形される。さらに、最終成形工程で、中間成形品の小径側がダイスに配置された状態で、中間成形品の大径側からパンチを挿入することで、穴拡げ絞り加工が施される。この段階で、例えば、中間成形品の壁厚が薄く、中間成形品の大径側の内周直径が、ダイスの直径よりも大きくなる場合、ダイスに挿入可能なサイズのパンチでは中間成形品をダイスに押し込むことができなくなる。そのため、上記製造方法には、製造可能な管状部品の形状に制約がある。
そこで、本願は、管状部品の形状の制約が少なく、且つ、シワや割れが発生しにくい、管状部品の製造方法及びプレス装置を開示する。
本発明の実施形態における管状部品の製造方法は、上面から下面へ貫通する穴を有する金属板を準備する準備工程と、前記金属板を穴拡げ絞り加工により管状部品に成形する成形工程とを有する。前記成形工程は、傾斜絞り用パンチのテーパ面及び傾斜絞り用ダイスのテーパ面で前記金属板を押圧して穴拡げ絞り加工を施すことにより、軸方向に対して傾斜した傾斜壁を有する第1中間品を得る第1成形工程と、前記第1中間品に対して、中間絞り用パンチ及び中間絞り用ダイスを用いて、押込み絞り加工を施すことにより、押込み方向の前部において軸方向に対して傾斜した前部壁と、前記前部壁よりも押込み方向の後部において、軸方向に平行、又は軸方向に対して前記前部壁の傾斜とは反対方向に傾斜した後部壁とを有する第2中間品を得る第2成形工程と、押込み用ダイスに配置された前記第2中間品の前記後部壁を押込み用パンチで押して押込み絞り加工を施し、管状部品を得る第3成形工程とを含む。
本開示によれば、管状部品の形状の制約が少なく、且つ、シワや割れが発生しにくい、管状部品の製造方法及びプレス装置を提供することができる。
図1は、本実施形態における管状部品の製造方法を説明するための図である。 図2は、押込み絞り加工ができない場合の例を示す図である。 図3は、図1の第1成形工程の変形例を示す図である。 図4は、図1の第2成形工程の変形例を示す図である。 図5は、図1の第2成形工程の他の変形例を示す図である。 図6は、図1の金属板1と管状部品の変形例を示す図である。 図7は、試験における工程を示す図である。
本発明の実施形態における管状部品の製造方法は、上面から下面へ貫通する穴を有する金属板を準備する準備工程と、前記金属板を穴拡げ絞り加工により管状部品に成形する成形工程とを有する。前記成形工程は、傾斜絞り用パンチのテーパ面及び傾斜絞り用ダイスのテーパ面で前記金属板を押圧して穴拡げ絞り加工を施すことにより、軸方向に対して傾斜した傾斜壁を有する第1中間品を得る第1成形工程と、前記第1中間品に対して、中間絞り用パンチ及び中間絞り用ダイスを用いて、押込み絞り加工を施すことにより、押込み方向の前部において軸方向に対して傾斜した前部壁と、前記前部壁よりも押込み方向の後部において、軸方向に平行、又は軸方向に対して前記前部壁の傾斜とは反対方向に傾斜した後部壁とを有する第2中間品を得る第2成形工程と、押込み用ダイスに配置された前記第2中間品の前記後部壁を押込み用パンチで押して押込み絞り加工を施し、管状部品を得る第3成形工程とを含む。
上記製造方法では、第1成形工程において、金属板が、傾斜壁を有する第1中間品に成形され、第2成形工程において、第1中間品が、押込み方向前部の前部壁と、後部の後部壁を有する第2中間品に成形される。後部壁は、軸方向に平行か又は前部壁と逆方向に傾斜している。第3成形工程では、押込み用パンチで第2中間品が、押込み用ダイスに押込まれて、管状部品が成形される。押込み用パンチは、第2中間品の後部壁を押す。この製造方法では、第3成形工程における押込み用パンチに適合するように、第2成形工程において後部壁を形成することができる。そのため、押込み用パンチのサイズに拘束されることなく、様々な形状の管状部品を成形することができる。したがって、管状部品の形状の制約が少なくなる。また、金属板を、傾斜する壁を有する第1中間品及び第2中間品に順次成形してから、押込み絞り加工により管状部品とするため、絞り加工によるシワや割れの発生が抑えられる。その結果、管状部品の形状の制約が少なく、且つ、シワや割れの発生を抑えることができる。
前記第2成形工程では、前記中間絞り用パンチ及び中間絞り用ダイスを複数組用いて、複数回の押込み絞り加工により、前記第2中間品を得てもよい。これにより、押込み絞り加工によるシワや割れの発生を抑えやすくできる。
前記第2成形工程におけるn回目(nは2以上の自然数)の押込み絞り加工では、n-1回目の押込み絞り加工で用いた中間絞り用ダイスよりも直径が小さい中間絞り用ダイスが用いられてもよい。これにより、第2成形工程において、段階的に、中間品の直径を絞ることができる。その結果、押込み絞り加工によるシワや割れの発生をより効果的に抑えることができる。
なお、ダイスの直径は、ダイスの内径とする。ダイスの加工対象材(例えば、第1中間品、第2中間品等)が押し込まれる内部空間の押込み方向に垂直な方向の断面における幅が最も長くなる方向の寸法をダイスの直径とする。ダイスの内部空間が円柱形状、すなわち断面が円であれば、断面の円の直径がダイスの直径となる。ダイスの内面にテーパ面が含まれる場合は、加工対象材が押し込まれる内部空間において最も断面の面積が小さくなる位置の直径をダイスの直径とする。
第1成形工程では、傾斜絞り用パンチ及び傾斜絞り用ダイスを複数組用いて、複数回の穴拡げ絞り加工により第1中間品を得てもよい。この場合、例えば、2回目以降の穴拡げ絞り加工において、前回の傾斜絞り用パンチのテーパ角度より小さいテーパ角度の傾斜絞り用パンチと、前回の傾斜絞り用ダイスのテーパ角度より小さいテーパ角度の傾斜絞り用ダイスを用いて、穴拡げ絞り加工がなされてもよい。
第2成形工程では、中間絞り用パンチ及び中間絞り用ダイスは、それぞれテーパ面を有してもよい。この場合、第2成形工程では、少なくとも中間絞り用パンチのテーパ面の角と、中間絞り用ダイスのテーパ面の角とで、第1中間品を支持して第1中間品を絞ることができる。
前記第2成形工程において、前記中間絞り用ダイスは、押込み方向に平行な内周面を有する縦壁部と、縦壁部から押込み方向の後方に向かって広くなるテーパ面を有するテーパ部を有してもよい。
前記中間絞り用パンチは、押込み方向に平行な外周面を有する基部と前記基部から押込み方向の前方へ向かって細くなるテーパ面を有する先頭部を有してもよい。
前記中間絞り用ダイスの縦壁部とテーパ部との境界、及び、前記中間絞り用パンチの前記基部と前記先頭部との境界の間で、前記第1中間品を支持して前記押込み絞り加工が行われてもよい。
上記構成の中間絞り用パンチ及び中間絞り用ダイスを用いることで、前部壁と後部壁を有する第2中間品を、効率よく成形することができる。なお、中間絞り用パンチの基部の直径は、中間絞り用ダイスの直径(縦壁部の内面の直径)より小さくてもよい。
前記第2成形工程では、軸方向に対する傾斜角度が15~45°である前記後部壁を有する前記第2中間品を得てもよい。これにより、後部壁の後端の直径が、最大直径よりも小さくなる第2中間品を効率よく成形することができる。
前記第2成形工程では、前記複数回のうち2回目以降の押込み絞り加工のそれぞれにおける前記中間絞り用ダイスが下記式で示す条件を満たしてもよい。これにより、押込み絞り加工によるシワや割れの発生をより効果的に抑えることができる。
1<(Dd_n-1/Dd_n)≦1.35
Dd_n:n回目(nは2以上の自然数)の押込み絞り加工に用いる中間絞り用ダイスの直径
Dd_n-1:n-1回目の押込み絞り加工に用いる中間絞り用ダイスの直径
なお、金属板の引張強度は、特に限定されないが、例えば、780MPa以下とすることができ、590MPaであることが好ましい。この程度の強度の材料を、上記の絞り比の条件で加工することにより、上記の効果がより顕著になる。
前記第1成形工程では、軸方向に対する傾斜角度が30~45°である前記傾斜壁を有する前記第1中間品を得てもよい。これにより、押込み絞り加工によるシワや割れの発生をより効果的に抑えることができる。
前記第3成形工程では、下記式の関係を満たす前記押込み用パンチ及び押込み用ダイスを用いて前記押込み絞り加工が前記第2中間品に対して施されてもよい。
rd3-rp3<t
rp3-rcp>0
t:前記第2中間品の壁の厚み
rd3:押込み用ダイスの半径
rp3:押込み用パンチの半径
rcp:中心軸から第2中間品の押込み方向最後端の内周端までの半径
本発明の実施形態におけるプレス装置は、上面から下面へ貫通する穴を有する金属板を穴拡げ絞り加工により管状部品に成形する。前記プレス装置は、前記金属板を穴拡げ絞り加工することにより、軸方向に対して傾斜した傾斜壁を有する第1中間品を得るのに用いられる、傾斜絞り用ダイス及び傾斜絞り用パンチと、前記第1中間品に対して、押込み絞り加工を施すことにより、押込み方向の前部において軸方向に対して傾斜した前部壁と、前記前部壁よりも押込み方向の後部において、軸方向に平行、又は軸方向に対して前部壁の傾斜とは反対方向に傾斜した後部壁とを有する第2中間品を得るのに用いられる、中間絞り用パンチ及び中間絞り用ダイスと、前記第2中間品を配置する押込み用ダイス、及び配置された前記第2中間品の前記後部壁を押して押込み絞り加工を施し管状部品を得るための押込み用パンチと、を備える。
前記傾斜絞り用ダイス及び前記傾斜絞り用パンチは、それぞれテーパ面を有し、前記傾斜絞り用ダイスのテーパ面と、前記傾斜絞り用パンチのテーパ面で前記金属板を押圧して前記第1中間品の前記傾斜壁を形成するように構成される。
前記中間絞り用ダイスは、押込み方向に平行な内周面を有する縦壁部と、縦壁部から押込み方向の後方に向かって広がるテーパ面を有するテーパ部を有する。
前記中間絞り用パンチは、押込み方向に平行な外周面を有する基部と基部から押込み方向の前方へ向かって細くなるテーパ面を有する先頭部を有する。
前記押込み用ダイスは、前記管状部品の形状に応じた内面を有する凹部を有し、前記押込み用パンチは、前記凹部に挿入可能な凸部を有する。
上記プレス装置では、傾斜絞り用ダイス及び傾斜絞り用パンチを用いた穴拡げ絞り加工により、傾斜壁を有する第1中間品が成形される。中間絞り用パンチ及び中間絞り用ダイスを用いた押込み絞り加工により、第1中間品が、押込み方向前部の前部壁と、後部の後部壁を有する第2中間品に成形される。後部壁は、軸方向に平行か又は前部壁と逆方向に傾斜している。第2中間品は、押込み用パンチで第2中間品が、押込み用ダイスに押込まれて、管状部品が成形される。押込み用パンチは、第2中間品の後部壁を押す。このプレス装置では、押込み用パンチに適合するように、中間絞り用ダイス及び中間絞り用パンチを用いて、第2中間品の後部壁を形成することができる。そのため、押込み用パンチのサイズに拘束されることなく、様々な形状の管状部品を成形することができる。したがって、管状部品の形状の制約が少なくなる。また、金属板を、傾斜する壁を有する第1中間品及び第2中間品に順次成形してから、押込み絞り可能により管状部品とするため、絞り加工によるシワや割れの発生が抑えられる。その結果、管状部品の形状の制約が少なく、且つ、シワや割れの発生を抑えることができる。上記プレス装置を用いて、上記製造方法を実行することができる。
前記プレス装置は、前記中間絞り用パンチ及び中間絞り用ダイスを複数組備えてもよい。この場合、前記プレス装置は、複数組の前記中間絞り用パンチ及び中間絞り用ダイス用いて、複数回の押込み絞り加工により、前記第2中間品を得ることができる。この場合、複数の中間絞り用ダイスの直径は異なっていてもよい。また、複数の中間絞り用パンチの直径は異なっていてもよい。例えば、複数回の押し込み絞り加工において、n回目(nは2以上の自然数)の押込み絞り加工では、n-1回目の押込み絞り加工で用いた中間絞り用ダイスよりも直径が小さい中間絞り用ダイスが用いられてもよい。
変形例として、中間絞り用ダイスは、押込み方向に平行な内周面を有する縦壁部と、縦壁部から押込み方向の後方に向かって広がるテーパ面を有するテーパ部を有し、且つ、中間絞り用パンチは、前記中間絞り用ダイスの前記テーパ部に軸方向において対向する位置に、軸方向の前方へ向かって広がるテーパ面を有する先頭部を有してもよい。これにより、押込み方向の前部において軸方向に対して傾斜した前部壁と、前部壁よりも押込み方向の後部において、軸方向に対して前部壁の傾斜とは反対方向に傾斜した後部壁とを有する第2中間品を得ることができる。この場合、前記中間絞り用ダイスのテーパ部のテーパ面の軸方向に対するテーパ角度と、前記中間絞り用パンチの先頭部のテーパ面の軸方向に対するテーパ角度は、同じであってもよい。これにより、管状部品の軸方向の形状の対称性を向上させることができる。なお、中間絞り用パンチのテーパ角度と中間絞り用ダイスのテーパ角度が同じである形態には、これらのテーパ角度が厳密に同じ場合の他、管状部品の形状の対称性の観点から許容される程度に若干異なる場合も含まれるものとする。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態による管状部品の製造方法について説明する。図中、同一又は相当部分には、同一符号を付して、その部材についての説明は繰り返さない。また、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
(実施形態)
図1は、本実施形態における管状部品の製造方法を説明するための図である。本実施形態における製造方法は、金属板1を準備する準備工程、及び金属板1を加工する成形工程を備える。成形工程は、第1成形工程、第2成形工程及び第3成形工程を含む。第1成形工程では、金属板1が、傾斜壁2kを有する第1中間品2に加工される。第1成形工程では、傾斜絞り用パンチ10P及び傾斜絞り用ダイス10Dを用いて、金属板1が穴拡げ絞り加工される。第2成形工程では、第1中間品2が第2中間品3に加工される。第2中間品3は、押込み方向の前方の前部壁3fと、後方の後部壁3rを有する。前部壁3fは、押込み方向の前方に向かって細くなるよう傾斜している。後部壁3rは、押込み方向に平行か又は前部壁3fの傾斜と反対方向に傾斜している。第2成形工程では、中間絞り用パンチ20P及び中間絞り用ダイス20Dを用いて第1中間品2が押込み絞り加工される。第3成形工程では、第2中間品3が、管状部品4に加工される。第3成形工程では、押込み用パンチ30P及び押込み用ダイス30Dを用いて、第2中間品3が押込み絞り加工される。
図1に示すように、金属板1が、第1中間品2及び第2中間品3を経て管状部品4に加工される。これにより、加工によるシワや割れの発生が抑えられる。また、前部壁3f及び後部壁3rを有する第2中間品3を押込み絞り加工により管状部品を得るため、目的とする管状部品の直径や壁厚等の選択の幅が広くなる。そのため、様々な形状の管状部品を製造することが可能になる。以下、各工程について、詳細に説明する。
(準備工程)
準備される金属板1は、上面貫通する上面1aから下面1bに貫通する穴1hを有する板状である。図1に示す例では、金属板1は、中心に穴1hを有する円板である。なお、金属板1の形状は、これに限られない。例えば、金属板1の板厚が一様でなくてもよいし、上面1a、下面1bの少なくとも一方に凹凸が設けられてもよい。金属板1は、例えば、金属の板材(ブランク)を打ち抜き加工することで得られる。打ち抜き加工により、例えば、所定の内径及び外径を有し中央部に穴が形成された金属円板が得られる。また、打ち抜かれた金属板をコイニング加工により、所望の形状に加工してもよい。
(第1成形工程)
第1成形工程では、金属板1を、傾斜絞り用パンチ10P及び傾斜絞り用ダイス10Dを用いて穴拡げ絞り加工して、第1中間品2に成形する。第1中間品2は、傾斜壁2kを有する。傾斜壁2kは、押込み方向(プレス方向)の前方に向かって細くなる。一例として、第1中間品2は、円錐台形状を有する。第1成形工程では、金属板1の上面1aが、第1中間品2の内面となり、金属板1の下面1bが第1中間品2の外面となるよう加工される。
第1成形工程の穴拡げ絞り加工は、金属板1を傾斜絞り用パンチ10Pと傾斜絞り用ダイス10Dの間に配置し、これらを相対的に近づけてプレスする工程を含む。傾斜絞り用パンチ10Pは、金属板1の穴1hの直径より大きい直径の凸部を有する。傾斜絞り用ダイス10Dは、金属板1の外径より小さい直径の凹部を有する。傾斜絞り用パンチ10Pの凸部が金属板1の上面1aを押し、傾斜絞り用ダイス10Dの凹部が金属板1の下面1bを押す。金属板1は、穴1hが拡げられながら変形する。
傾斜絞り用パンチ10P及び傾斜絞り用ダイス10Dは、いずれもテーパ面を有する。傾斜絞り用パンチ10Pのテーパ面と、傾斜絞り用ダイス10Dのテーパ面とで金属板1の上面1aと下面1bの全体を押圧して穴拡げ絞り加工がなされる。これらのテーパ面のテーパ角度は、目的とする第1中間品2の傾斜壁2kの傾斜の角度に応じた角度に設定される。図1の例では、傾斜絞り用パンチ10Pのテーパ角度θp10と、傾斜絞り用ダイス10Dのテーパ角度θd10は同じである(θp10=θd10)。この場合、傾斜壁2kの壁厚は均一になる。θp10≠θd10とすることで、一様でない壁厚の傾斜壁2kを有する第1中間品2が得られる。なお、加工によるシワ又は割れの発生を抑える観点から、θp10及びθd10は、これらに限定されないが、例えば、30~50°であることが好ましく、30~45°であることがより好ましい。
なお、本実施形態において、押込み方向(プレス方向)は、加工におけるダイスに対するパンチの動く方向と同じである。第1中間品2、第2中間品3及び管状部品4の軸方向Cは、押込み方向と同じである。また、テーパ面のテーパ角度は、押込み方向、すなわち軸方向に対するテーパ面の角度である。
(第2成形工程)
第2成形工程では、第1中間品2に対して、中間絞り用パンチ20P及び中間絞り用ダイス20Dを用いて押込み絞り加工をして、第2中間品3に成形する。第2中間品3の前部壁3fは、軸方向に傾斜した壁であり、押込み方向の前方(軸方向の先端)に向かって細くなる形状を有する。一例として、前部壁3fは、円錐台形状である。後部壁3rは、前部壁3fの押込み方向後方において軸方向に沿って延びる。図1の例では、後部壁3rは、軸方向と平行であるが、後部壁3rの形態はこれに限られない。例えば、後述するように、後部壁3rは、前部壁3fと反対方向に傾斜してもよい。
第2成形工程の押込み絞り加工は、第1中間品2を中間絞り用パンチ20Pと中間絞り用ダイス20Dの間に配置し、これらを相対的に近づけてプレスする工程を含む。中間絞り用パンチ20Pは、第1中間品2の直径より小さい基部20P1を有する。中間絞り用ダイス20Dは、第1中間品2の押込み方向前端の直径より大きい直径の凹部を含む縦壁部20D2を有する。
中間絞り用パンチ20P及び中間絞り用ダイス20Dは、いずれもテーパ面を有する。具体的には、中間絞り用ダイス20Dは、縦壁部20D2とテーパ部20D1を有する。縦壁部20D2は、押込み方向に平行な内面を有する。テーパ部20D1は、テーパ面を有し、縦壁部20D2から押込み方向の後方に向かって広くなる。中間絞り用パンチ20Pは、基部20P1と先頭部20P2を有する。基部20P1は、押込み方向に平行な外周面を有する。先頭部20P2は、テーパ面を有し、基部20P1から押込み方向の前方へ向かって細くなる。中間絞り用パンチ20Pの基部20P1の直径は、中間絞り用ダイス20Dの直径、すなわち、縦壁部20D2の内径(内面の直径)よりも小さい。中間絞り用パンチ20Pの先頭部20P2の押込み方向の前端の直径Sp20は、縦壁部20D2の内径及び第1中間品2の押込み方向の前端の内径のいずれよりも小さい。
第2成形工程では、少なくとも、中間絞り用ダイス20Dの縦壁部20D2とテーパ部20D1との境界(テーパ面の角)、及び、中間絞り用パンチ20Pの基部20P1と先頭部20P2との境界(テーパ面の角)との間で、第1中間品2を支持して押込み絞り加工が行われる。第1中間品2が中間絞り用パンチ20Pに押されて中間絞り用ダイス20Dに押し込まれる。中間絞り用パンチ20Pの基部20P1と、中間絞り用ダイス20Dの縦壁部20D2に押圧された部分が、後部壁3rとなる。すなわち、基部20P1と縦壁部20D2で、第1中間品2の後部を押圧することで、後部壁3rが成形される。
(第3成形工程)
第3成形工程では、押込み用ダイス30Dに配置された第2中間品3の後部壁3rを押込み用パンチ30Pで押して押込み絞り加工を施し、管状部品4を得る。第3成形工程の押込み絞り加工は、第2中間品3を押込み用パンチ30Pと押込み用ダイス30Dの間に配置し、これらを相対的に近づけてプレスする工程を含む。押込み用ダイス30Dは、第2中間品3の直径より小さい直径の凹部を含む。押込み用パンチ30Pは、押込み用ダイス30Dの直径より小さい直径の凸部を有する。押込み用ダイス30Dの押込み方向の先端の直径は、第2中間品3の押込み方向後端の内径より大きい。押込み用パンチ30Pは、押込み用ダイス30Dに配置された第2中間品3を押しながら、押込み用ダイス30Dの凹部に挿入される。第2中間品3は、押込み用パンチ30Pと押込み用ダイス30Dに押圧されて管状部品に成形される。
図1の例では、押込み用ダイス30D及び押込み用パンチ30Pは、押込み方向に平行な面を有する。押込み用ダイス30と押込み用パンチ30Pで第2中間品を押圧することで、軸方向に平行な縦壁を有する管状部品が形成される。押込み用ダイス30Dの直径(内径すなわち凹部の直径)は、第2成形工程の中間絞り用ダイス20Dの直径(内径すなわち凹部の直径)よりも小さい。
図1に示すように、第3成形工程では、第2中間品の壁の厚みt、押込み用ダイス30Dの半径rd3、押込み用パンチ30Pの半径、及び、第2中間品の押込み方向後端の内周の半径rcpが、下記式の関係を満たす。なお、半径rcpは、中心軸Cから第2中間品の押込み方向後端の内周端までの寸法である。
rd3-rp3<t
rp3-rcp>0
図1に示す例では、管状部品4は、軸方向に平行な縦壁を有する円筒形部品である。すなわち、管状部品4の直径は、軸方向において均一である。なお、管状部品4は、軸方向に傾斜する傾斜壁を有する形状であってもよい。この場合、傾斜壁の軸方向に対するテーパ角度は、第1中間品2の軸方向に対するテーパ角度より小さくしてもよい。すなわち、押込み用ダイス30Dのテーパ角度は、傾斜絞り用ダイス10Dよりテーパ角度の小さくてもよい。
図1に示す例では、第2成形工程により、後部壁3rを有する第2中間品3を得てから、第3成形工程により押込み絞り加工が行われる。そのため、第2成形工程により、第3成形工程で押込み可能がしやすい第2中間品を成形することができる。例えば、第1中間品2を押込み絞り加工して管状部品に成形しようとすると、管状部品の形状によっては、押込み成形ができない場合がある。
図2は、押込み成形ができない場合の例を示す図である。図2に示す例では、ダイスの直径(穴径)Dd80に比べて、加工対象材の板厚が薄い。そのため、加工対象材(傾斜壁を有する中間品)の押込み方向後端の内径Dcpがダイス80Dの直径Dd80よりも大きくなる。この加工対象材を押すには、ダイス80Dの直径Dd80より大きな直径Dp80を持つパンチ80Pが必要となる。しかし、Dp80>Dd80とすると、パンチ80Pをダイス80Dの穴に通すことができない。そのため、押込み可能はできない。
本実施形態では、図1に示すように、傾斜壁を有する第1中間品2を、第2成形工程において押込み絞り加工をして、押込み後端の内径を小さくした第2中間品3に成形する。これにより、第3成形工程において押込み絞り加工が可能になる。
(第1成形工程の変形例)
図3は、第2成形工程の変形例を示す図である。図3に示す例では、複数組の傾斜絞り用パンチ11P、12P及び傾斜絞り用ダイス11D、12Dを用いた、複数回の穴拡げ絞り加工Op11、Op12により第1中間品2が生成される。
図3の例では、2回目以降の穴拡げ絞り加工Op12で用いる傾斜絞り用パンチ12Pの軸方向に対するテーパ角度θp12は、その前の穴拡げ絞り加工Op11で用いる傾斜絞り用パンチ11Pのテーパ角度θp11より小さい(θp12>θp11)。同様に、2回目以降の穴拡げ絞り加工Op2で用いる傾斜絞り用ダイス12Dの軸方向に対するテーパ角度θd12は、その前の穴拡げ絞り加工Op1で用いる傾斜絞り用ダイス11Dのテーパ角度θd12より小さい(θd12>θd11)。このように、段階的に、縦壁の傾斜を変えて加工することで、加工によるシワ又は割れの発生をより効果的に抑えることができる。
(第2成形工程の変形例)
図4は、第2成形工程の変形例を示す図である。図4に示す例では、複数組の中間絞り用パンチ21P~23P及び中間絞り用ダイス21D~23Dを用いた、複数回の押込み絞り加工Op21~Op23により第2中間品3が生成される。
図4の例では、2回目以降の押込み絞り加工Op22、Op23で用いる中間絞り用ダイス22D、23Dの直径(縦壁部の内径)は、それぞれの前の押込み絞り加工Op21、Op22で用いる中間絞り用ダイス21D、22Dの直径より小さい(Dd21>Dd22、Dd22>Dd23)。同様に、2回目以降の押込み絞り加工Op22、Op23で用いる中間絞り用パンチ22P、23Pの直径(基部の外径)は、それぞれの前の押込み絞り加工Op21、Op22で用いる中間絞り用パンチ21P、22Pの直径より小さい(Dp21>Dp22、Dp22>Dp23)。
第2成形工程の押込み絞り加工では、第1中間品2の傾斜壁2kを中間絞り用パンチのテーパ面の角と、中間絞り用ダイスの内面で支持した状態で絞り加工がなされる。2回目以降の押込み絞り加工で、前の押込み絞り加工よりもダイス穴径およびパンチ径が小さい金型を用いて押込み絞り加工を繰り返すこと、目的とする形状の前部壁3fと後部壁3rを有する第2中間品3が製作される。このように、段階的に、絞り比を変えて加工することで、加工によるシワ又は割れの発生をより効果的に抑えることができる。
第2成形工程において、Dd_nを、n回目の押込み絞り加工に用いる中間絞り用ダイスの直径とし、Dd_n-1を、n-1回目の押込み絞り加工に用いる中間絞り用ダイスの直径とする。絞り比をDd_n-1/Dd_nとする。この場合、第2成形工程における2回目以降の押込み絞り加工のそれぞれにおける絞り比は、例えば、下記式に示す条件を満たすようにすることができる。これにより、加工によるシワ又は割れの発生をより効果的に抑えることができる。
1<(Dd_n-1/Dd_n)≦1.35
図4の例では、1<Dd21/Dd22≦1.35、1<Dd22/D23≦1.35とすることができる。
(第2成形工程の他の変形例)
図5は、第2成形工程の他の変形例を示す図である。図5に示す例では、複数組の中間絞り用パンチ21P、24P及び中間絞り用ダイス21D、24Dを用いた、複数回の押込み絞り加工Op21、Op24により第2中間品3が生成される。また、後部壁3rの傾斜が、前部壁3fの傾斜と反対方向となるように第2中間品3が成形される。なお、図5のOp21は、図4のOp21と同様に実行できる。図5のOp30は、図1に示す第3成形工程と同様に実行できる。
図5の押込み絞り加工Op24では、中間絞り用パンチ24Pの先頭部24P2は、内面をテーパ面とする凹部を有する。中間絞り用パンチ24Pのテーパ面は、中間絞り用ダイス24Dのテーパ面とは反対方向に傾斜している。中間絞り用パンチ24Pの先頭部24P2のテーパ面は、押込み方向に広がるように軸方向に対して傾斜している。中間絞り用ダイス24Dのテーパ部24D1のテーパ面は、押込み方向に細くなるように軸方向に対して傾斜している。中間絞り用ダイス24Dのテーパ部24D1の押込み方向後端の直径は、加工対象材である第1中間品2の押込み方向前端の直径より大きい。中間絞り用パンチ24Pの先頭部24P1の押込み方向前端の内面の直径は、第1中間品2の押込み方向後端の内面の直径より大きい。
押込み絞り加工Op24では、中間絞り用ダイス24Dに配置された第2中間品3を、中間絞り用パンチ24Pで押して、第2中間品3を曲げながら絞る。中間絞り用ダイス24Dのテーパ面が、第1中間品の押込み方向前部の外周面を押圧し、中間絞り用パンチ24Pのテーパ面が、第1中間品の外周面の押込み方向後部の外周面を押圧する。これにより、後部壁3rと前部壁3fが反対方向に傾斜した第2中間品3が成形される。第2中間品3の壁は、軸方向の中央部が径方向外側に突出するように曲がっている。第2中間品3の壁の軸に平行な面の断面は、ひらがなの「く」の字形状となる。これにより、第2中間品3の押込み方向後端の内径を小さく絞ることができる。そのため、例えば、第2中間品3の壁厚が、外径に比べて小さい場合であっても、押込み絞り加工Op30において、押込み用パンチ30Pで、第2中間品3の後端を押して、押込み用ダイス30Dに押込むことが可能になる。
図5に示す例では、押込み絞り加工Op24により、第2中間品3の後部壁3rを径方向の内側に傾斜させる。そのため、後部壁3rを軸方向に平行にする場合に比べて、1回の押込み絞り加工による、第2中間品3の後端の内径の絞り量を大きくできる。また、中間絞り用パンチ24Pのテーパ面のテーパ角度θp24を調整することで、後部壁3rの傾斜を調整できる。
図5に示す例では、Op24の中間絞り用ダイス24Dのテーパ角度θd24と、中間絞り用パンチ24Pのテーパ角度θp24は同じである(θp24=θd24)。これにより、管状部品4の形状の対称性を向上させられる場合がある。例えば、図5の工程で管状部品4に成形した場合に、スプリングバックにより、成型後の管状部品4の軸方向中央部の直径が両端部に比べて若干小さい形状(くびれた形状)となる場合がある。この場合、θp24=θd24とすることで、管状部品4を、軸方向に対象性を有するくびれの形状になりやすい。なお、これらのテーパ角度θp24、θd24は、異なっていてもよい(θp24≠θd24)。
(金属板の変形例)
図6は、準備工程における金属板1及びこの金属板1を成形してできる管状部品4の変形例を示す図である。準備工程で準備される金属板1は、厚みが径方向で異なる形状を有する。例えば、コイニング加工により、金属板1の径方向の厚み分布を調整できる。一例として、図6に示すように、金属板1の形状を、径方向において内周側に行くに従って厚みが大きくなる形状とすることができる。これにより、成形工程で得られる管状部品4における軸方向両端の壁厚を均一に近づけることができる。
金属板1の外側の側面は外径面1dであり、金属板1の内側の側面、すなわち穴1hの内面は、内径面1cである。図6の例では、外径面1dの軸方向の寸法(外径板厚)は、内径面1cの軸方向の寸法(内径板厚)より小さい。上面1aは、板厚方向に対して傾斜している。下面1bは、板厚方向に垂直である。
金属板1の外径部の板厚t0_outは、内径部の板厚t0_inより小さい(薄い)。金属板1において、外径面1dにおける外径板厚t0_outは、管状部品4の一方の端面4dを含む一方端部の壁厚a_upの狙い値に対する第1の相関関係に基づいて設定されてもよい。金属板1の内径面1cにおける内径板厚t0_inは、管状部品4の他方の端面4cを含む他方端部の壁厚a_downの狙い値に対する第2の相関関係に基づいて設定されてもよい。
第1の相関関係と第2の相関関係は、互いに異なってもよい。第1の相関関係は、例えば、管状部品の一方端部の壁厚a_upが外径部の板厚t0_outの一次関数によって表される関係とすることができる。第2の相関関係は、例えば、管状部品の他方端部の壁厚a_downが外径部の板厚t0_inの一次関数によって表される関係とすることができる。この場合、例えば、第1の相関関係を示す一次関数の傾きK1は、第2の相関関係を示す一次関数の傾きK2よりも、大きくてもよい。これらの相関関係は、発明者によって見出されたものである。一例として、傾きK1が1.19 ≦K1≦ 1.55とし、傾きK2が、0.63 ≦K2≦ 0.83としてもよい。
図6に示す例では、金属板1の上面1aには、窪み1ahが形成されている。窪み1ahは、穴1hの周囲を全周にわたって取り囲むよう溝である。窪み1ahは、断面が曲線の溝である。窪み1ahの断面形状は、円弧であってもよいし、円弧でなくてもよい。上から見て窪み1ahは、穴1hと同心円状に形成されている。例えば、狙いの窪み1ahに対応する形状を有する金型を用いたコイニング加工により、窪みを有する金属板1を製造できる。
金属板1を、穴拡げ絞り加工することで、図6に示す管状部品4が得られる。金属板1の上面1aにおける窪み1ahは、管状部品の内周面4aの凹部4ahとなる。管状部品4の内周面4aの凹部4ahは、軸方向の一部において、内周面4aの全周にわたって形成される。凹部4ahの形状は、金属板1の上面1aおける窪み1ahの形状の調整により、調整可能である。
穴拡げ絞り加工前の金属板1の上面1aにおける窪み1ahの最深点C0から外径面1dまでの距離a0_outは、窪み1ahの最深点C0から内径面1cまでの距離a0_inより小さい。窪み1ahの位置は、管状部品4の凹部4ahの狙い位置に対して第3の相関関係を有するように設定される。具体的には、金属板1の窪み1ahの最深点C0から内径面1cまで距離a0_inと窪み1ahの最深点C0から外径面1dまでの距離a0_outとの比率a0_out/a0_inは、管状部品の内周面4aの凹部4ahの最深点C1から一方の端面4dまでの距離h_upと、凹部の最深点C1から他方の端面4cまでの距離h_downとの比率h_up/h_downの狙い値に対して、第3の相関関係を有するように設定される。第3の相関関係は、例えば、加工後の凹部の比率h_up/h_downが、穴拡げ絞り加工前の窪みの比率a0_out/a0_inの一次関数によって表される関係とすることができる。
なお、準備される金属板1の形状は、上記例に限られない。例えば、金属板は、上面に窪みを有さない形状であってもよいし、窪みを有し板厚が一様の形状であってもよい。金属板1の材料として、例えば、鋼、アルミ、銅、ニッケル、チタン、これらの少なくとも1つを含む合金、その他の金属を用いることができる。金属板1の材料の引張強度は、特に限定されないが、例えば、780MPa以下とすることができ、590MPaであることが好ましい。
本実施形態は、これに限られないが、例えば、軸受の軌道輪等の環状又は管状部品の製造に好適に適用できる。例えば、転がり軸受の外レースや、すべり軸受のブッシュ等の管状(筒状)の成形品の製造に、本実施形態の製造方法及びプレス装置を適用することができる。或いは、自動車ブッシュやオイルポンプ部品などに使用される異形断面形状(くぼみ、突起、テーパーなど)を呈する管状の成形品の製造に、本実施形態を適用できる。
<試験結果>
図7は、試験における成形の工程を示す図である。図7において、実施例1では、第2成形工程において、後部壁3rが軸方向に平行となる第2中間品を製作した。実施例2では、第2成形工程において、後部壁3rが軸方向に対して内側へ傾斜する第2中間品を製作した。図7に示す工程(1)~(5)、(8)は、実施例1、2で同じである。工程(1)はブランクの打ち抜き加工である。工程(2)は、コイニング加工である。工程(3)は図3のOp11、工程(4)は、図3のOp12と同様である。工程(5)は図4及び図5のOp21と同様である。実施例1の工程(6)は図4のOp22、工程(7)はOp23と同様である。実施例2の工程(6a)は、図5のOp24と同様である。実施例1では、工程(6)~(7)のうち1つを省略した場合についても試験を行った。
工程(3)におけるパンチ及びダイスのテーパ角度は、θp11=45°、θd11=45°とした。工程(4)のテーパ角度は、θp12=θd12=30°とした。工程(5)~(8)のテーパ角度は、次の通りとした。θp21=θd21=30°、θp22=θd22=30°θp23=θd23=30°、θd30=30°とした。
金属板1には、めっき鋼板を用いた。下記表1は、金属板1の材料(母材)の化学成分(質量%)と目付量を示す。下記表2は、金属板1の母材の機械的性質を示す。金属板1の板厚は6mmとした。
Figure 2023092179000002
Figure 2023092179000003
下記表3は、試験結果を示す表である。下記表の各工程の評価では、各工程における成形品に割れもシワも生じていない場合を、○とし、品質に影響しない程度のシワが生じているが割れは生じていない場合を△とした。状態の評価は、工程全体を通じて、金属板を良品の管状部品に加工できた場合を可とした。
Figure 2023092179000004
試験結果から、実施例1、2のいずれにおいても、第2成形工程で第2中間品を生成してから第2成形工程の押込み絞り加工を行うことにより、シワ及び割れの発生を抑えつつ、板厚の薄い金属板を良好な管状部品に加工できることがわかった。
実施例1では、工程(6)又は工程(7)を省略した場合に、絞り比が大きくなる。絞り比が大きくなるほど、シワが発生しやすくなることがわかった。絞り比が大きくなると、後工程と前工程のダイスの周長差が大きくなるため、面内変形が生じ難くなり、面外への塑性座屈、つまりしわが発生しやすくなると推測される。上記試験結果の範囲では、発生するシワは品質に重大な影響を及ぼさないと判断できる。しかし、絞り比が大きくなり、シワの発生率が高くなると、割れに至る可能性も高くなる。上記試験結果からは、絞り比は1より大きく、1.35以下が好ましいことがわかった。
実施例2では、実施例1に比べて少ない工程で、外観にシワのない管状部品を製作することができた。これは、実施例2では、中間品の断面形状が、中央部が径方向外方に突出するように曲がった(くの字形状)を呈することで、実施例1に比べ,中間品の周長が押込み絞り加工により縮小するためと推定される。
1 金属板
2 第1中間品
3 第2中間品
4 管状部品
10P、11P、12P 傾斜絞り用パンチ
10D、11P、12P 傾斜絞り用ダイス
20P、21P、22P、23P、24P 中間絞り用パンチ
20D、21D、22D、23D、24D 中間絞り用ダイス
30P 押込み用パンチ
30D 押込み用ダイス

Claims (9)

  1. 上面から下面へ貫通する穴を有する金属板を準備する準備工程と、
    前記金属板を穴拡げ絞り加工により管状部品に成形する成形工程とを有し、
    前記成形工程は、
    傾斜絞り用パンチのテーパ面及び傾斜絞り用ダイスのテーパ面で前記金属板を押圧して穴拡げ絞り加工を施すことにより、軸方向に対して傾斜した傾斜壁を有する第1中間品を得る第1成形工程と、
    前記第1中間品に対して、中間絞り用パンチ及び中間絞り用ダイスを用いて、押込み絞り加工を施すことにより、押込み方向の前部において軸方向に対して傾斜した前部壁と、前記前部壁よりも押込み方向の後部において、軸方向に平行、又は軸方向に対して前記前部壁の傾斜とは反対方向に傾斜した後部壁とを有する第2中間品を得る第2成形工程と、
    押込み用ダイスに配置された前記第2中間品の前記後部壁を押込み用パンチで押して押込み絞り加工を施し、管状部品を得る第3成形工程とを含む、管状部品の製造方法。
  2. 請求項1に記載の管状部品の製造方法であって、
    前記第2成形工程では、前記中間絞り用パンチ及び中間絞り用ダイスを複数組用いて、複数回の押込み絞り加工により、前記第2中間品を得る、管状部品の製造方法。
  3. 請求項2に記載の管状部品の製造方法であって、
    前記第2成形工程におけるn回目(nは2以上の自然数)の押込み絞り加工では、n-1回目の押込み絞り加工で用いた中間絞り用ダイスよりも直径が小さい中間絞り用ダイスが用いられる、管状部品の製造方法。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法であって、
    前記第2成形工程において、
    前記中間絞り用ダイスは、押込み方向に平行な内面を有する縦壁部と、縦壁部から押込み方向の後方に向かって広くなるテーパ面を有するテーパ部を有し、
    前記中間絞り用パンチは、押込み方向に平行な外周面を有する基部と前記基部から押込み方向の前方へ向かって細くなるテーパ面を有する先頭部を有し、
    前記中間絞り用ダイスの縦壁部とテーパ部との境界、及び、前記中間絞り用パンチの前記基部と前記先頭部との境界の間で、前記第1中間品を支持して前記押込み絞り加工が行われる、管状部品の製造方法。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載の管状部品の製造方法であって、
    前記第2成形工程では、軸方向に対する傾斜角度が15~45°である前記後部壁を有する前記第2中間品を得る、管状部品の製造方法。
  6. 請求項2に記載の管状部品の製造方法であって、
    前記第2成形工程では、前記複数回のうち2回目以降の押込み絞り加工のそれぞれにおける前記中間絞り用ダイスが下記式で示す条件を満たす、管状部品の製造方法。
    1<(Dd_n-1/Dd_n)≦1.35
    Dd_n:n回目(nは2以上の自然数)の押込み絞り加工に用いる中間絞り用ダイスの直径
    Dd_n-1:n-1回目の押込み絞り加工に用いる中間絞り用ダイスの直径
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載の管状部品の製造方法であって、
    前記第1成形工程では、軸方向に対する傾斜角度が30~50°である前記傾斜壁を有する前記第1中間品を得る、管状部品の製造方法。
  8. 請求項1~7のいずれか1項に記載の管状部品の製造方法であって、
    前記第3成形工程では、下記式の関係を満たす前記押込み用パンチ及び押込み用ダイスを用いて前記押込み絞り加工が前記第2中間品に対して施される、管状部品の製造方法。
    rd3-rp3<t
    rp3-rcp>0
    t:第2中間品の壁の厚み
    rd3:押込み用ダイの半径
    rp3:押込み用パンチの半径
    rcp:中心軸から第2中間品の押込み方向最後端の内周端までの半径
  9. 上面から下面へ貫通する穴を有する金属板を穴拡げ絞り加工により管状部品に成形するプレス装置であって、
    前記金属板を穴拡げ絞り加工することにより、軸方向に対して傾斜した傾斜壁を有する第1中間品を得るのに用いられる、傾斜絞り用ダイス及び傾斜絞り用パンチと、
    前記第1中間品に対して、押込み絞り加工を施すことにより、押込み方向の前部において軸方向に対して傾斜した前部壁と、前記前部壁よりも押込み方向の後部において、軸方向に平行、又は軸方向に対して前記前部壁の傾斜とは反対方向に傾斜した後部壁とを有する第2中間品を得るのに用いられる、中間絞り用パンチ及び中間絞り用ダイスと、
    前記第2中間品を配置する押込み用ダイス、及び配置された前記第2中間品の前記後部壁を押して押込み絞り加工を施し管状部品を得るための押込み用パンチとを備え、
    前記傾斜絞り用ダイス及び前記傾斜絞り用パンチは、それぞれテーパ面を有し、前記傾斜絞り用ダイスのテーパ面と、前記傾斜絞り用パンチのテーパ面で前記金属板を押圧して前記第1中間品の前記傾斜壁を形成するように構成され、
    前記中間絞り用ダイスは、押込み方向に平行な内面を有する縦壁部と、縦壁部から押込み方向の後方に向かって広がるテーパ面を有するテーパ部を有し、
    前記中間絞り用パンチは、押込み方向に平行な外周面を有する基部と前記基部から押込み方向の前方へ向かって細くなるテーパ面を有する先頭部を有し、
    前記押込み用ダイスは、前記管状部品の形状に応じた内面を有する凹部を有し、前記押込み用パンチは、前記凹部に挿入可能な凸部を有する、プレス装置。
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