JP2023092101A - スカイビングカッタを用いた歯車製作方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】被加工材の歯すじ方向に歯形を変化させた歯車を効率的かつ短時間で製作できるスカイビングカッタを用いた歯車製作方法を提供することを課題とする。【解決手段】歯車素材Wの回転軸O1とスカイビングカッタCの回転軸O2が成す角度αである第1交差角を一定にしながら、第1のスカイビングカッタCを用いて歯車素材Wに対して隣接する歯面の両側を同時に切削加工する第1加工工程と、第1交差角とは異なる第2および第3交差角を一定に保ちながら第2のスカイビングカッタCを用いて歯車素材Wの一の歯面だけを切削加工する第2および第3加工工程と、第3加工工程後に第1交差角とは異なる第4および第5交差角を一定に保ちながら第2のスカイビングカッタCを用いて歯車素材の他の一の歯面だけを切削加工する第4および第5加工工程を有する歯車製作方法とする。【選択図】図1
Description
本発明は、スカイビングカッタを用いて内歯車や外歯車を加工する歯車製作方法(スカイビング加工方法)に関する。
従来、スカイビングカッタを用いた歯車の加工、いわゆるスカイビング加工における被加工材(ワーク)の寸法精度を制御する加工法として、たとえば特許文献1においてスカイビングカッタを再研削するにつれて、変化する歯形崩れをスカイビング加工時の交差角やオフセット角を制御することで未然に防ぐ方法が開示されている。
また、特許文献2において被加工材の歯すじ方向に切削送りを与えながら、オフセット角を変更して、歯形形状を変えながらスカイビング加工を行う方法が開示されている。さらに、特許文献3ではスカイビング加工における被加工材の切削加工中に交差角やオフセット角を変更して、歯形を修正する加工法が開示されている。
しかし、特許文献3に開示されているスカイビング加工法では、被加工材の歯すじ方向に歯形を変化させた歯車を製作することができない。つまり、被加工材の歯すじ方向に歯形を変化させるためには、スカイビング加工時の切削送りの最中に交差角を変える、もしくはオフセット角を変える必要があるが、加工点の位置を被加工材の軸芯上に移動させることは困難であり、また切削抵抗により加工点が変化するため要求した歯形の精度を得ることができないという問題があった。
そこで、本発明は被加工材の歯すじ方向に歯形を変化させた歯車を効率的かつ短時間で製作できるスカイビングカッタを用いた歯車製作方法を提供することを課題とする。
前述した課題を解決するために、本発明は複数のスカイビングカッタを用いて歯車素材を切削加工することで歯車を製作する複数の加工工程から形成される製作方法であり、まず、歯車素材の回転軸とスカイビングカッタの回転軸が成す角度である第1交差角を一定にしながら、第1のスカイビングカッタを用いて歯車素材に対して隣接する歯面の両側を同時に切削加工する(第1加工工程)。
第1加工工程後に、前述の第1交差角とは異なる第2交差角を一定に保ちながら第2のスカイビングカッタを用いて歯車素材の一の歯面だけを切削加工する(第2加工工程)および第2加工工程後に、第1交差角とは異なる第3交差角を一定に保ちながら第2のスカイビングカッタを用いて歯車素材の一の歯面だけを切削加工する(第3加工工程)。ここで、第2交差角と第3交差角は互いに異なる角度とする。
第3加工工程後に、第1交差角とは異なる第4交差角を一定に保ちながら第2のスカイビングカッタを用いて歯車素材の他の一の歯面だけを切削加工する(第4加工工程)および第4加工工程後に、第1交差角とは異なる第5交差角を一定に保ちながら第2のスカイビングカッタを用いて歯車素材の他の一の歯面だけを切削加工する(第5加工工程)。ここで、第4交差角と第5交差角は互いに異なる角度とする。
なお、第2のスカイビングカッタのピッチ円上の歯厚は、第1のスカイビングカッタよりも小さくすることができる。
本発明のスカイビングカッタを用いた歯車製作方法は、歯車素材の回転軸とスカイビングカッタの回転軸が成す角度である第1交差角を一定にしながら、第1のスカイビングカッタを用いて歯車素材に対して隣接する歯面の両側を同時に切削加工する第1加工工程と、第1交差角とは異なる第2および第3交差角を一定に保ちながら第2のスカイビングカッタを用いて歯車素材の一の歯面だけを切削加工する第2および第3加工工程と、第3加工工程後に第1交差角とは異なる第4および第5交差角を一定に保ちながら第2のスカイビングカッタを用いて歯車素材の他の一の歯面だけを切削加工する第4および第5加工工程を有する歯車製作方法とした。
つまり、第2ないし第4加工工程において、第1加工工程で使用するスカイビングカッタの歯厚よりも小さい歯厚のスカイビングカッタを使用して歯車素材を片歯面ずつ切削加工すること、歯車素材の歯すじ方向に歯車素材の歯先と歯元を別個に切削加工することを本発明の歯車製作方法の特徴とした。
このような製作方法により、歯車製作時における歯車素材の回転軸とスカイビングカッタの回転軸が成す角度である交差角や歯車素材のねじれ角を決めて、歯すじ方向にスカイビングカッタに送りを与えることで、歯車素材上の加工点は歯車素材の軸芯上を移動して、歯先や歯元を逃がすことができるので、結果として相手歯車と歯当たりの良い歯車を製作できるという効果を奏する。
本発明の一実施形態について図面を用いて説明する。本発明のスカイビングカッタを用いた歯車製作方法において、スカイビングカッタCと歯車素材Wの配置を示す模式図を図1に示す。歯車を製作する過程において、歯車素材Wは回転軸O1を中心として所定の回転数で回転しながら、スカイビングカッタCも回転軸O2を中心として所定の回転数で回転しながら、2つの回転軸O1、O2が成す角度、すなわち交差角αを保持した状態で、スカイビングカッタCを図1に示す上方向から下方向へ移動することで歯車が形成される。
本発明の歯車製作方法を構成する第1加工工程において、スカイビングカッタC1と歯車素材W1の加工状態の模式図を図2に示す。当該第1加工工程では、図1に示した歯車素材の回転軸とスカイビングカッタの回転軸が成す角度(第1交差角)αを一定にしながら、第1のスカイビングカッタC1を用いて歯車素材W1に対して隣接する歯面の両側(切削加工位置X)を同時に切削加工する。
第1加工工程の後に行う第2および第3加工工程において、第2のスカイビングカッタC2と歯車素材W1の加工状態の模式図を図3に示す。第1加工工程に次工程である第2加工工程では、第1加工工程時の歯車素材の回転軸とスカイビングカッタの回転軸が成す角度(交差角)を変えて、異なる交差角(第2交差角)を一定にしながら、第2のスカイビングカッタC2を用いて歯車素材Wに対して隣接する歯面の内の一の歯面(切削加工位置Y)のみを切削加工する。
引き続き行う第3加工工程では、第2加工工程で使用した第2のスカイビングカッタC2および切削加工する歯車素材Wの歯面は同じ条件として、第2加工加工時の交差角を変更して、異なる交差角(第3交差角)により切削加工を行う。
なお、第2加工工程以降の加工工程では、第1加工工程で使用した第1のスカイビングカッタC1に変えて、異なる諸元(例えば第2のスカイビングカッタのピッチ円上の歯厚を第1のスカイビングカッタよりも小さくする等)の第2のスカイビングカッタC2を用いて切削加工を行う。
最後に、第3加工工程の後に行う第4および第5加工工程において、第2のスカイビングカッタC2と歯車素材W1の加工状態の模式図を図4に示す。第3加工工程の次工程である第4加工工程では、第3加工工程時の歯車素材の回転軸とスカイビングカッタの回転軸が成す角度(交差角)を再度変えて、異なる交差角(第4交差角)を一定にしながら、第2のスカイビングカッタC2を用いて歯車素材W1に対して隣接する歯面の内の一の歯面(切削加工位置Z)のみを切削加工する。
引き続き行う第5加工工程では、第4加工工程で使用したる第2のスカイビングカッタC2および切削加工する歯車素材Wの歯面は同じ条件として、第4加工加工時の交差角を変更して、さらに異なる交差角(第5交差角)により切削加工を行う。すなわち、第4および第5加工工程で切削加工を行う歯車素材の歯面は、前工程である第2および第3加工工程で切削加工する歯面と互いに隣接する歯面同士の関係になる。
次に、前述した本発明の歯車製作方法を構成する第1ないし第5加工工程における歯車素材の歯面上の切削加工位置について図面を用いて説明する。本発明の歯車製作方法で切削加工を行う歯車素材の左側歯面の切削加工位置を示す模式図を図5、同歯車素材の右側歯面の切削加工位置を示す模式図を図6に示す。
本発明の歯車製作方法の第1加工工程では、図2にも示す様にスカイビングカッタを用いて、図5に示す歯車素材の歯面(一の歯面)L1および図6に示す歯車素材の歯面(他の一の歯面)R1の両側の歯面を同時に切削加工する。次に、第2および第3加工工程では、図6に示す歯車素材の歯面(他の一の歯面)R2、R3を順次に切削加工する。第2および第3加工工程において、歯車素材の回転軸とスカイビングカッタの回転軸が成す角度(交差角)が互いに異なる(第2交差角≠第3交差角)ので、歯面における切削加工位置も互いに異なる。
最後に、第4および第5加工工程では、図5に示す歯車素材の歯面(一の歯面)L4、L5を順次に切削加工する。第4および第5加工工程においても歯車素材の回転軸とスカイビングカッタの回転軸が成す角度(交差角)が互いに異なる(第4交差角≠第5交差角)ので、歯面における切削加工位置も互いに異なる。
以上より、本発明の歯車製作方法ではスカイビングカッタを用いて歯車素材を切削加工する際に、加工工程ごとに前述した交差角を変化させることで、歯車素材の歯先や歯元を逃がす、つまり、歯車素材の歯すじ方向に歯先や歯元を別個に切削加工する、言い換えると単一の歯車の歯面に複数の諸元の歯面を部分的にスカイビング加工することで、3次元的な歯面の製作が実現できる。
なお、本発明の歯車製作方法では、熱処理後の被削材加工の仕上げ加工である超硬製のスカイビングカッタだけでなく、低硬度材加工用のハイス(高速度工具鋼)製のスカイビングカッタの場合であっても同様に実施できることは言うまでもない。
C スカイビングカッタ
C1 第1のスカイビングカッタ
C2 第2のスカイビングカッタ
L1,L4,L5 歯車素材の歯面(一の歯面)
R1~R3 歯車素材の歯面(他の一の歯面)
O1 歯車素材の回転軸
O2 スカイビングカッタの回転軸
W,W1 歯車素材
α 交差角(第1~第5交差角)
X,Y,Z 切削加工位置
C1 第1のスカイビングカッタ
C2 第2のスカイビングカッタ
L1,L4,L5 歯車素材の歯面(一の歯面)
R1~R3 歯車素材の歯面(他の一の歯面)
O1 歯車素材の回転軸
O2 スカイビングカッタの回転軸
W,W1 歯車素材
α 交差角(第1~第5交差角)
X,Y,Z 切削加工位置
Claims (3)
- 複数のスカイビングカッタを用いて歯車素材を切削加工することにより歯車を製作する方法であって、前記歯車素材の回転軸と前記スカイビングカッタの回転軸が成す角度である第1交差角を一定にしながら、第1のスカイビングカッタを用いて前記歯車素材に対して隣接する歯面の両側を同時に切削加工する第1加工工程と、前記第1加工工程後に、前記第1交差角とは異なる第2交差角を一定に保ちながら第2のスカイビングカッタを用いて前記歯車素材の一の歯面だけを切削加工する第2加工工程と、前記第2加工工程後に、前記第1交差角とは異なる第3交差角を一定に保ちながら前記第2のスカイビングカッタを用いて前記歯車素材の前記一の歯面だけを切削加工する第3加工工程と、前記第3加工工程後に、前記第1交差角とは異なる第4交差角を一定に保ちながら前記第2のスカイビングカッタを用いて前記歯車素材の他の一の歯面だけを切削加工する第4加工工程と、前記第4加工工程後に、前記第1交差角とは異なる第5交差角を一定に保ちながら前記第2のスカイビングカッタを用いて前記歯車素材の他の一の歯面だけを切削加工する第5加工工程と、を有することを特徴とするスカイビングカッタを用いた歯車製作方法。
- 前記第2交差角と前記第3交差角は互いに異なる角度であって、かつ前記第4交差角と前記第5交差角は互いに異なる角度であることを特徴とする請求項1に記載のスカイビングカッタを用いた歯車製作方法。
- 前記第2のスカイビングカッタのピッチ円上の歯厚は、前記第1のスカイビングカッタよりも小さくすることを特徴とする請求項1または2に記載のスカイビングカッタを用いた歯車製作方法。
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JP2021207099A JP2023092101A (ja) | 2021-12-21 | 2021-12-21 | スカイビングカッタを用いた歯車製作方法 |
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