JP2023091959A - ガス組成調整器および炭素有価物の製造装置 - Google Patents

ガス組成調整器および炭素有価物の製造装置 Download PDF

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昂嗣 滝沢
Takatsugu Takizawa
アルツゲ ラシカ ダサナヤケ
Aluthge Rasika Dasanayake
圭祐 飯島
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Figure 2023091959000001
【課題】原料ガスから簡便に合成ガスを生成し得るガス組成調整器、および得られた合成ガスを使用して炭素有価物を製造する炭素有価物の製造装置を提供すること。
【解決手段】本発明の一態様によれば、ガス組成調整器が提供される。このガス組成調整器は、吸着剤を有する。吸着剤は、第1族および第2族に属する金属元素から選択される少なくとも1種を含有する炭酸塩、酸化物またはそれらの混合物を含み、二酸化炭素を含む原料ガスを接触させることにより、二酸化炭素を吸着し、水素を含む離脱ガスを接触させることにより、吸着した二酸化炭素を離脱させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ガス組成調整器および炭素有価物の製造装置に関する。
近年、温室効果ガスの一種である二酸化炭素(CO)は、その大気中の濃度が上昇を続けている。大気中の二酸化炭素の濃度の上昇は、地球温暖化を助長する。したがって、大気中に放出される二酸化炭素を回収することは重要であり、さらに回収した二酸化炭素を炭素有価物に変換して再利用できれば、炭素循環社会を実現することができる。
また、地球規模の施策としても、気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書にもあるように、地球温暖化の原因となる二酸化炭素について、先進国における削減率を、1990年を基準として各国別に定め、共同で約束期間内に削減目標値を達成することが定められている。
その削減目標を達成するため、製鉄所、精錬所または火力発電所から発生した二酸化炭素を含む排気ガスも対象となっており、これらの業界における二酸化炭素の削減に関して、様々な技術改良が行われている。かかる技術の一例としては、CO回収・貯留(CCS)が挙げられる。しかしながら、この技術では、貯留という物理的な限界があり、根本的な解決策とはなっていない。
そこで、二酸化炭素を炭素有価物へと変換して有効利用するための種々のプロセスが検討されている。これらのプロセスの原料となる一酸化炭素と水素との混合ガスである合成ガスを、複数の酸素キャリアを用いて逆水性ガスシフト反応により製造する方法が知られている(特許文献1参照)。
国際公開第2021/116066号明細書
例えば、高炉等からの排ガスを原料として使用する場合、種々のガス成分が含まれることから、一旦、排ガスを精製して、二酸化炭素の濃度を高めた後、合成ガスを製造する操作が必要である。すなわち、現状、二酸化炭素から合成ガスを生成するためには、多段の操作が必要である。
本発明では上記事情に鑑み、原料ガスから簡便に合成ガスを生成し得るガス組成調整器、および得られた合成ガスを使用して炭素有価物を製造する炭素有価物の製造装置を提供することとした。
本発明の一態様によれば、ガス組成調整器が提供される。このガス組成調整器は、吸着剤を有する。吸着剤は、第1族および第2族に属する金属元素から選択される少なくとも1種を含有する炭酸塩、酸化物またはそれらの混合物を含み、二酸化炭素を含む原料ガスを接触させることにより、二酸化炭素を吸着し、水素を含む離脱ガスを接触させることにより、吸着した二酸化炭素を離脱させる。
かかる態様によれば、原料ガスから簡便に合成ガスを生成することができる。
炭素有価物の製造装置の全体構成を示す模式図である。 吸着部の構成を示す概念図である。
以下、本発明のガス組成調整器および炭素有価物の製造装置について、好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、炭素有価物の製造装置の全体構成を示す模式図である。図2は、吸着部の構成を示す概念図である。
図1に示す炭素有価物の製造装置1は、二酸化炭素から炭素有価物を製造する装置であり、離脱ガス供給部3と、ガス組成調整器4と、反応器5と、生成ガス排出部6とを備えている。
ガス組成調整器4には、ガスラインGL1を介して高炉(溶解炉)2が接続され、ガスラインGL2を介して離脱ガス供給部3が接続されている。
ガス組成調整器4と反応器5とは、ガスラインGL4を介して接続されている。
また、反応器5には、ガスラインGL5を介して生成ガス排出部6が接続されている。
なお、本明細書中では、ガスの流れ方向に対して上流側を単に「上流側」、下流側を単に「下流側」とも記載する。
本実施形態では、高炉2から排出される排ガスを原料ガスとして利用する構成であるが、例えば、製鉄所または精錬所に付属するその他の炉であってもよい。好ましい他の炉としては、シャフト炉、転炉、電気炉等が挙げられる。各炉では、内容物の溶融、精錬等の際に、排ガスが生成(発生)する。排ガスは、通常、二酸化炭素および一酸化炭素に加えて、窒素、酸素、水蒸気、メタン等の他のガス成分を含む。
高炉2からの排ガス(高炉ガス)は、高炉2において銑鉄を製造する際に発生するガスであり、二酸化炭素が10~15体積%、窒素が55~60体積%、一酸化炭素が25~30体積%、水素が1~5体積%で含まれる。
また、転炉からの排ガス(転炉ガス)は、転炉において鋼を製造する際に発生するガスであり、二酸化炭素が15~20体積%、一酸化炭素が50~60体積%、窒素が15~25体積%、水素が1~5体積%で含まれる。
なお、原料ガスには、ゴミ焼却場にける燃焼炉(焼却炉)から排出される排ガスを使用することもできる。この場合、内容物(廃棄物)としては、例えば、プラスチック廃棄物、生ゴミ、都市廃棄物(MSW)、廃棄タイヤ、バイオマス廃棄物、家庭ゴミ(布団、紙類)、建築部材等が挙げられる。なお、これらの廃棄物は、1種を単独で含んでいても、2種以上を含んでいてもよい。
また、ゴミ焼却場にける燃焼炉からの排ガスの場合、二酸化炭素が5~15体積%、窒素が60~70体積%、酸素が5~10体積%、水蒸気が15~25体積%で含まれる。
これらの排ガスを使用すれば、従来、大気中に排出していた二酸化炭素を有効利用することができ、環境への負荷を低減することができる。これらの中でも、炭素循環という観点からは、製鉄所または精錬所で発生した二酸化炭素を含む排ガスが好ましい。
ガス組成調整器4は、吸着剤4Aを有し、通過させるガスのガス組成を調整(変更)することができる。具体的には、吸着剤4Aは、二酸化炭素を含む排ガス(原料ガス)を接触させることにより、二酸化炭素を吸着し、水素を含む離脱ガスを接触させることにより、吸着した二酸化炭素を離脱させる。これにより、一酸化炭素の濃度が高い合成ガスを得ることができる。
ガス組成調整器4は、図2に示すように、吸着剤4Aをそれぞれ充填(収容)した複数の管体41と、複数の管体41を収納したハウジング42とを備える多管式の反応装置(固定層式の反応装置)で構成されている。かかる多管式の反応装置によれば、吸着剤4Aと排ガス(原料ガス)および離脱ガスとの接触の機会を十分に確保することができる。その結果、合成ガスの製造効率を高めることができる。
本実施形態の吸着剤4Aは、例えば、粒子状(顆粒状)、鱗片状、ペレット状等であることが好ましい。かかる形状の吸着剤4Aであれば、管体41への充填効率を高めることができ、管体41内に供給されるガスとの接触面積をより増大させることができる。
吸着剤4Aを成型体として利用する場合、その直径は、特に限定されないが、1~50mmであることが好ましく、3~30mmであることがより好ましい。この場合、吸着剤4Aと排ガス(二酸化炭素)との接触面積をさらに高め、二酸化炭素の吸着効率および離脱効率をより向上させることができる。
粒子状の吸着剤4Aは、より球形度が高まることから、転動造粒により製造された成形体であることが好ましい。
また、吸着剤4Aは、担体に担持または結合剤で結合させるようにしてもよい。
担体または結合剤の構成材料としては、排ガス(原料ガス)との接触や反応条件等により変性し難ければよく、例えば、炭素材料(グラファイト、グラフェン等)、MoCのような炭化物、ゼオライト、モンモリロナイト、ZrO、TiO、V、CeO、Al、SiOのような酸化物およびこれらを含む複合酸化物等が挙げられる。
これらの中でも、担体または結合剤の構成材料としては、ゼオライト、モンモリロナイト、ZrO、TiO、V、Al、SiOおよびこれらを含む複合酸化物が好ましい。かかる材料で構成される担体は、吸着剤4Aの反応に悪影響を及ぼさず、吸着剤4Aの担持能に優れる点で好ましい。ここで、担体は、吸着剤4Aの反応には関与せず、吸着剤4Aを単に支持(保持)する。
かかる形態の一例としては、担体の表面の少なくとも一部を吸着剤4Aで被覆する構成、吸着剤4Aの粒子を結合剤で結合する構成等が挙げられる。
なお、吸着剤4Aと担体または結合剤との質量での比は、5:95~95:5であることが好ましく、10:90~90:10であることがより好ましく、20:80~80:20であることがさらに好ましく、30:70~70:30であることが特に好ましく、40:60~60:40が最も好ましい。
吸着剤4Aは、第1族および第2族に属する金属元素から選択される少なくとも1種を含有する炭酸塩、酸化物またはそれらの混合物を含んでいる。これらの化合物は、二酸化炭素の吸着力が高く、かつ水素による一酸化炭素(炭素有価物)への変換能が高いことから好ましい。
第1族および第2族に属する金属元素としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウム等が挙げられる。これらの中でも、炭酸塩、酸化物またはそれらの混合物は、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウムおよびバリウムのうちの少なくとも1種を含有することが好ましい。かかる化合物は、上記特性により優れている。
また、ガス組成調整器4において、吸着剤4A(炭酸塩、酸化物またはそれらの混合物)自体で管体(円筒状の成形体)41を作製してもよい。さらに、吸着剤4Aで、ブロック状、格子状(例えば、網状、ハニカム状)等の成形体を作製し、ハウジング42内に配置するようにしてもよい。これらの場合、充填剤としての吸着剤4Aは省略するようにしてもよいし、併用してもよい。
これらの中では、吸着剤4Aで網状体を作製し、ハウジング42内に配置する構成が好ましい。かかる構成の場合、ガス組成調整器4内で排ガスおよび離脱ガスの通過抵抗が高まるのを防止しつつ、吸着剤4Aと排ガスおよび離脱ガスとの接触の機会を十分に確保することもできる。
なお、ガス組成調整器4の容積は、処理する排ガスの量(炭素有価物の製造装置1のサイズ)に応じて、適宜設定される。また、複数のガス組成調整器4を設ける場合、それらの容積は、互いにほぼ等しく設定されてもよく、複数のガス組成調整器4のうちの少なくとも1つの容積は、排ガスおよび離脱ガスの種類、吸着剤4Aの性能等に応じて異ならせてもよい。
ガスラインGL1の途中には、接続部2側から順に、圧縮部と、微成分除去部と、排ガス加熱部(原料ガス加熱部)等を設けるようにしてもよい。
圧縮部は、ガス組成調整器4に供給する前の排ガスの圧力を上昇させる。これにより、ガス組成調整器4で一度に処理可能な排ガスの量を増大させることができる。このため、ガス組成調整器4における二酸化炭素の吸脱着効率をより向上させることができる。
かかる圧縮部は、例えば、遠心式圧縮機、軸流式圧縮機のようなターボ圧縮機、往復動圧縮機(レシプロ圧縮機)、ダイアフラム式圧縮機、シングルスクリュー圧縮機、ツインスクリュー圧縮機、スクロール圧縮機、ロータリー圧縮機、ロータリーピストン型圧縮機、スライドベーン型圧縮機のような容積圧縮機、低圧に対応可能なルーツブロワー(二葉送風機)、遠心式のブロワー等で構成することができる。
これらの中でも、圧縮部は、炭素有価物の製造装置1の大規模化の容易性の観点からは、遠心式圧縮機で構成することが好ましく、炭素有価物の製造装置1の製造コストを低減する観点からは、往復動圧縮機で構成することが好ましい。
圧縮部を通過した後の排ガスの圧力は、特に限定されないが、0~1MPaGであることが好ましく、0~0.5MPaGであることがより好ましく、0.01~0.5MPaGであることがさらに好ましい。この場合、炭素有価物の製造装置1の耐圧性を必要以上に高めることなく、ガス組成調整器4における二酸化炭素の吸脱着効率をさらに向上させることができる。
微成分除去部は、排ガス中に含まれる微成分(微量な不要ガス成分等)を除去する。
かかる微成分除去部は、例えば、気液分離器、保護器(ガードリアクター)およびスクラバー(吸収塔)のうちの少なくとも1種の処理器で構成することができる。
複数の処理器を使用する場合、それらの配置順序は任意であるが、気液分離器と保護器とを組み合わせて使用する場合、気液分離器を保護器より上流側に配置するのが好ましい。この場合、排ガス中からの微成分の除去効率をより高めることができるとともに、保護器の使用期間(寿命)を延長することができる。
気液分離器は、例えば、圧縮部で排ガスを圧縮した際に生じる凝縮水(液体)を排ガスから分離する。この場合、凝縮水中には、排ガス中に残存する不要ガス成分等も溶解して除去される。
気液分離器は、例えば、単なる容器、旋回流式分離器、遠心分離器、表面張力式分離器等で構成することができる。これらの中でも、気液分離器は、構成が単純であり、安価であること等から、単なる容器で構成することが好ましい。この場合、容器内の気液界面には、気体の通過は許容するが、液体の通過を阻止するフィルタを配置するようにしてもよい。
また、この場合、容器の底部には、液体ラインを接続し、その途中にバルブを設けるようにしてもよい。かかる構成によれば、容器内に貯留された凝縮水は、バルブを開放することにより、液体ラインを介して、炭素有価物の製造装置1外に排出することができる。
なお、液体ラインを後述するタンク30に接続して、排出する凝縮水を再利用するようにしてもよい。
気液分離器で凝縮水が除去された排ガスは、例えば、保護器に供給するように構成することができる。
かかる保護器は、排ガス中に含まれる微成分であって、吸着剤4Aとの接触により吸着剤4Aの活性を低下させる成分(不活化成分)を捕捉可能な物質を備えていることが好ましい。
かかる構成によれば、排ガスが保護器を通過する際に、保護器内の物質が不活化成分と反応(捕捉)することにより、ガス組成調整器4内の吸着剤4Aに到達するのを阻止または抑制して保護すること(すなわち、活性の低下を防止すること)ができる。このため、吸着剤4Aによる二酸化炭素の吸脱着効率が、不活化成分の悪影響により極端に低下するのを防止または抑制することができる。
かかる物質には、吸着剤4Aに含まれる組成であって、不活化成分との接触により吸着剤4Aの活性を低下させる組成を有する物質、具体的には、吸着剤4Aに含まれる炭酸金属塩または金属酸化物と同一または類似の物質を使用することができる。ここで、類似の金属酸化物とは、それに含まれる金属元素は同一であるが、組成が異なる金属酸化物、またはそれに含まれる金属元素の種類は異なるが、元素周期律表における族が同一である金属酸化物のことを言う。
また、不活化成分としては、硫黄、水銀、硫黄化合物、ハロゲン化合物、有機シリコーン、有機リンおよび有機金属化合物から選択される少なくとも1種であることが好ましく、硫黄および硫黄化合物から選択される少なくとも1種であることがより好ましい。かかる不活化成分を予め除去しておけば、吸着剤4Aの活性が急激に低下するのを効果的に防止することができる。
なお、上記物質は、吸着剤4Aの不活化成分と同一の成分により活性が低下する物質であればよく、酸化鉄、酸化亜鉛のような金属酸化物が上記不活化成分の捕捉能に優れる点で好ましい。
保護器は、ハウジング内に網材を配置し、上記物質の粒子を網材上に載置する構成、ハウジング内に、上記物質で構成されたハニカム状のフィルタ部材や、円筒状または粒子状の成形体を配置する構成等とすることができる。
特に、保護器を圧縮部(気液分離器)と排ガス加熱部との間に配置する場合には、上記物質の熱による劣化を防止しつつ、不活化成分の除去効率を向上させることができる。
排ガス加熱部は、ガス組成調整器4に供給する前の排ガスを加熱する。排ガス加熱部で反応前(還元前)の排ガスを予め加熱しておくことにより、ガス組成調整器4において、吸着剤4Aによる二酸化炭素の吸脱着(還元)反応をより促進することができる。
排ガス加熱部は、例えば、電熱器と、熱交換器(エコノマイザ)とで構成することができる。
熱交換器は、ガス組成調整器4を通過した後のガス(合成ガス)を排出するガスラインGL4を構成する一部の配管を屈曲させ、ガスラインGL1を構成する配管に接近させて構成される。かかる構成によれば、ガス組成調整器4を通過した後の高温のガス(合成ガス)の熱を利用して、ガス組成調整器4に供給する前の排ガスを熱交換により加熱するため、熱の有効利用を図ることができる。
かかる熱交換器は、例えば、ジャケット式熱交換器、浸漬コイル式熱交換器、二重管式熱交換器、シェル&チューブ式熱交換器、プレート式熱交換器、スパイラル式熱交換器等として構成することができる。
また、排ガス加熱部では、電熱器および熱交換器のいずれか一方を省略してもよい。
排ガス加熱部では、電熱器に代えて、燃焼炉等を使用することもできる。ただし、電熱器を使用すれば、その動力源として、後述するような再生可能エネルギーとしての電力(電気エネルギー)を使用できるため、環境への負荷を低減することができる。
また、排ガス加熱部の上流側(例えば、微成分除去部の途中である気液分離器と保護器との間)において、ガスラインGL1から排気ガスラインを分岐させ、その端部に炭素有価物の製造装置1外に設けられたベント部を接続してもよい。
この場合、排気ガスラインの途中には、好ましくはバルブが設けられる。
仮に、炭素有価物の製造装置1(ガスラインGL1)内の圧力が必要以上に上昇した場合には、バルブを開放することにより、排気ガスラインを介してベント部から排ガスの一部を排出(放出)することができる。これにより、炭素有価物の製造装置1の圧力の上昇による破損を未然に防止することができる。
離脱ガス供給部3は、吸着剤4Aに吸着された二酸化炭素を離脱させる離脱ガスを、ガス組成調整器4に供給する。
本実施形態の離脱ガス供給部3は、水の電気分解により水素を発生させる水素発生装置で構成され、この水素発生装置に水を貯留した炭素有価物の製造装置1外のタンク(図示せず。)が接続されている。かかる構成により、水素発生装置(離脱ガス供給部3)から供給された水素を含む離脱ガスが、ガスラインGL2を通過して、ガス組成調整器4に供給される。
水素発生装置によれば、多量の水素を比較的安価かつ簡便に生成することができる。また、炭素有価物の製造装置1内で発生する凝縮水を再利用できるという利点もある。なお、炭素有価物の製造装置1の中でも、水素発生装置での電気エネルギーの消費が大きいため、再生可能エネルギーとしての電力を使用することが有効である。
再生可能エネルギーとしては、太陽光発電、風カ発電、水力発電、波力発電、潮力発電、バイオマス発電、地熱発電、太陽熱および地中熱から選択される少なくとも1つを利用した電気エネルギーが使用可能である。
なお、水素発生装置には、副生水素を発生する装置を使用することもできる。この場合、副生水素を含む離脱ガスがガス組成調整器4に供給される。副生水素を発生する装置としては、例えば、塩化ナトリウム水溶液を電気分解する装置、石油を水蒸気改質する装置、アンモニアを製造する装置等が挙げられる。
また、炭素有価物の製造装置1外のコークス炉に接続部を介してガスラインGL2を接続し、コークス炉からの排ガスを離脱ガスとして使用するようにしてもよい。この場合、接続部が離脱ガス供給部を構成する。コークス炉からの排ガスは、水素およびメタンを主成分とし、水素を50~60体積%で含むためである。
ガス組成調整器4を通過した離脱ガス中に、未反応の水素が含まれる場合、かかる水素の一部をリサイクルして、再度、ガス組成調整器4に供給するようにしてもよい。
また、ガスラインGL2の途中には、離脱ガス加熱部を設けるようにしてもよい。この離脱ガス加熱部は、ガス組成調整器4に供給する前の離脱ガスを加熱する。離脱ガス加熱部で反応前(酸化前)の離脱ガスを予め加熱しておくことにより、ガス組成調整器4における離脱ガスによる二酸化炭素の離脱反応をより促進することができる。
離脱ガス加熱部は、上記排ガス加熱部と同様にして構成することができる。離脱ガス加熱部は、電熱器のみ、熱交換器のみ、電熱器と熱交換器との組み合わせで構成することが好ましく、熱交換器のみ、電熱器と熱交換器との組み合わせで構成することがより好ましい。
離脱ガス加熱部が熱交換器を備えれば、ガス組成調整器4を通過した後の高温のガス(例えば、合成ガス)の熱を利用して、ガス組成調整器4に供給する前の離脱ガスを熱交換により加熱するため、熱の有効利用を図ることができる。
離脱ガスをガス組成調整器4に供給すると、上述した吸着剤4Aは、離脱ガスに接触することにより、吸着した二酸化炭素を優先的に離脱させ、好ましくは、離脱した二酸化炭素の少なくとも一部を吸着剤4Aの表面や、ガス(気相)中で一酸化炭素に変換させることができる。また、吸着剤4Aは、吸着された二酸化炭素の少なくとも一部が上記還元ガスと反応して一酸化炭素(炭素有価物)に変換された後、離脱させ得る物質で構成することもできる。かかる構成により、ガス組成調整器4での変換により生じる一酸化炭素をも有効利用することができる。なお、二酸化炭素は、その全てが一酸化炭素に変換されてもよく、一部が一酸化炭素に、残りが副反応による化合物に変換されてもよい。
また、一酸化炭素は、吸着剤4Aに吸着された二酸化炭素と、離脱ガス中に含まれる水素との反応により生成されることが好ましい。この場合、比較的簡便な方法で、二酸化炭素の一酸化炭素への変換が可能である。
なお、水素による二酸化炭素の一酸化炭素への変換は、ニッケルにより悪影響を受けるため、吸着剤4A中に含まれるニッケルの量は、できる限り少ない方が好ましい。
具体的には、吸着剤4A全体に対するニッケルの含有量は、3質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましく、0質量%であることが特に好ましい。このようにニッケルの含有量が少ない吸着剤4Aであれば、水素による二酸化炭素の一酸化炭素への変換をより促進させることができる。
ガス組成調整器4を通過した合成ガス(二酸化炭素が除去された排ガスおよび一酸化炭素が添加された離脱ガス)は、反応器5に供給される。
反応器5では、ガス組成調整器4から排出された合成ガスを使用して炭素有価物を製造する。
ガス組成調整器4を通過したガスは、上述したように一酸化炭素の濃度が高く、かつ水素も十分な量で含む。このため、反応器5において、炭素有価物を高収率で製造することができる。
炭素有価物としては、好ましくは、アルコール系化合物またはオレフィン系化合物が挙げられる。これらの化合物は、工業用途で幅広い使用が可能なためである。
アルコール系化合物としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、1,4-ブタンジオール、エチレングリコール等が挙げられ、これらの1種または2種以上であってもよい。かかるアルコール系化合物を製造する場合、反応器5は、微生物を含む培養液を収容する培養槽で構成することができる。
かかる方法で使用可能な微生物としては、例えば、クロストリジウム(Clostridium)属細菌、ムーレラ(Moorella)属細菌、アセトバクテリウム(Acetobacterium)属細菌、カルボキシドセラ(Carboxydocella)属細菌、ロドシュードモナス(Rhodopseudomonas)属細菌、ユーバクテリウム(Eubacterium)属細菌、ブチリバクテリウム(Butyribacterium)属細菌、オリゴトロファ(Oligotropha)属細菌、ブラディリゾビウム(Bradyrhizobium)属細菌、ラルソトニア(Ralsotonia)属細菌等が挙げられる。
これらの微生物は、そのまま使用することができる他、目的とする物質(化合物)を合成する酵素をコードする核酸を導入して使用することもできる。
オレフィン系化合物としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブタジエン等が挙げられ、これらの1種または2種以上であってもよい。これらのオレフィン系化合物は、各種の工業製品の原料として有用であることから好ましい。
この場合、反応器5の反応温度は、100~400℃であることが好ましく、圧力は、0.1~2.5MPaGであることが好ましい。
なお、ガス組成調整器4を通過したガスは、反応器5に供給し続ける連続方式を採用することもでき、反応器5の出口ポートを閉じた状態で、上記ガスを反応器5に供給(封入)した後、反応器5の出口ポートを開けるバッチ方式を採用することもできる。
次に、炭素有価物の製造装置1の使用方法(作用)について説明する。
[1]まず、排ガス(原料ガス)を供給する炉(例えば、高炉2)とガス組成調整器4とを連通する。
[2]次に、この状態で、炉から排ガス(原料ガス)の供給を開始する。
[3]排ガスは、ガス組成調整器4に供給される。ガス組成調整器4では、排ガス中の二酸化炭素が吸着剤4Aに選択的に吸着される。これにより、一酸化炭素の濃度がより高まった排ガス(すなわち、合成ガス)が生成される。
上記工程[3]におけるガス組成調整器4(排ガス、吸着剤4A)の温度(反応温度)は、200~1200℃であることが好ましく、300~1000℃であることがより好ましく、400~800℃であることがさらに好ましい。反応温度を上記範囲に設定すれば、例えば、吸着剤4Aへの二酸化炭素の吸着量を増大させることができる。
[4]次に、ガス組成調整器4を通過した合成ガスは、反応器5に供給される。反応器5では、一酸化炭素および水素から、炭素有価物が製造される。
[5]次に、炭素有価物を含む生成ガスは、生成ガス排出部6から炭素有価物の製造装置1外に排出され、次工程に供される。
[6]次に、ガスライン(流路)を切り換えることにより、離脱ガス供給部3とガス組成調整器4とを連通する。
[7]次に、この状態で、タンクから水(離脱ガス原料)を水素発生装置(離脱ガス供給部3)に供給し、水から水素を生成する。
[8]次に、水素を含む離脱ガスは、ガス組成調整器4に供給される。ガス組成調整器4では、吸着剤4Aと離脱ガス(水素)との接触により、二酸化炭素が離脱するとともに、一酸化炭素が生成する。これにより、一酸化炭素の濃度がより高まった合成ガスが得られる。
上記工程[8]におけるガス組成調整器4(排ガス、吸着剤4A)の温度(反応温度)も、200~1200℃であることが好ましく、300~1000℃であることがより好ましく、400~800℃であることがさらに好ましい。反応温度を上記範囲に設定すれば、例えば、二酸化炭素の吸着剤4Aからの離脱や、二酸化炭素の一酸化炭素への変換をより促進することができる。
なお、炭酸塩、酸化物またはそれらの混合物は、これらに含まれる金属元素の種類に応じて、その反応に適した温度(至適温度)を有する。上記工程[3]および[8]における反応温度は、吸着剤4Aが例えばカルシウムを含む場合、800~1000℃であることが好ましく、吸着剤4Aが例えばマグネシウムを含む場合、200~400℃であることが好ましく、吸着剤4Aが例えばリチウムを含む場合、400~700℃であることが好ましく、吸着剤4Aが例えばストロンチウムを含む場合、800~1200℃であることが好ましい。
また、ガス組成調整器4を通過させる前記原料ガスの空間速度SV2に対する前記離脱ガスの空間速度SV1の比(SV1/SV2)は、0.1~10であることが好ましく、0.1~8であることがより好ましく、0.1~3であることがさらに好ましい。この場合、ガス組成調整器4に供給する離脱ガスの空間速度が適度になるため、二酸化炭素の離脱速度と一酸化炭素への転換速度とが適度になり、得られる合成ガス中の一酸化炭素の濃度を必要かつ十分に高めることができる。
[9]次に、ガス組成調整器4を通過した合成ガスは、反応器5に供給される。反応器5では、一酸化炭素および水素から、炭素有価物が製造される。
[10]次に、炭素有価物を含む生成ガスは、生成ガス排出部6から炭素有価物の製造装置1外に排出され、次工程に供される。
なお、排ガスから得られる合成ガスと、離脱ガスから得られる合成ガスとは、同一の反応器5に供給するようにしてもよく、一酸化炭素の濃度の違いに基づいて、異なる反応器5に供給するようにしてもよい。
以上説明したような炭素有価物の製造装置1(ガス組成調整器4)によれば、二酸化炭素から一酸化炭素を経由して効率よく炭素有価物を製造することができる。
また、排ガス(原料ガス)に含まれる各ガス成分の濃度調整をほとんど要することなく、そのまま炭素有価物の製造装置1(ガス組成調整器4)に供給することができる。このため、合成ガスひいては炭素有価物の製造効率を十分に高めることができる。
なお、上記工程[3]で生成した合成ガスと上記工程[8]で生成した合成ガスとは、混合することなく、別個の反応器5に供給するように構成してもよい。
さらに、次に記載の各態様で提供されてもよい。
前記ガス組成調整器において、前記吸着剤は、前記離脱ガスを接触させることにより、吸着した前記二酸化炭素の少なくとも一部を一酸化炭素として離脱させる、ガス組成調整器。
前記ガス組成調整器において、前記一酸化炭素は、前記吸着剤に吸着された前記二酸化炭素と、前記離脱ガス中に含まれる前記水素との反応により生成される、ガス組成調整器。
前記ガス組成調整器において、前記炭酸塩、酸化物またはそれらの混合物は、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウムおよびバリウムのうちの少なくとも1種を含有する、ガス組成調整器。
前記ガス組成調整器において、当該ガス組成調整器の温度は、200~1200℃である、ガス組成調整器。
前記ガス組成調整器において、前記吸着剤全体に対するニッケルの含有量は、3質量%以下である、ガス組成調整器。
前記ガス組成調整器において、当該ガス組成調整器を通過させる前記原料ガスの空間速度SV2に対する前記離脱ガスの空間速度SV1の比(SV1/SV2)は、0.1~10である、ガス組成調整器。
前記ガス組成調整器において、原料ガスは、前記二酸化炭素に加え、一酸化炭素、水素および窒素のうちの少なくとも1種を含む、ガス組成調整器。
炭素有価物を製造する装置であって、前記ガス組成調整器と、反応器とを有し、前記反応器は、前記ガス組成調整器に接続され、前記ガス組成調整器から排出されたガスを使用して前記炭素有価物を製造する、炭素有価物の製造装置。
前記炭素有価物の製造装置であって、前記炭素有価物は、アルコール系化合物またはオレフィン系化合物である、炭素有価物の製造装置。
もちろん、この限りではない。
既述のとおり、本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を何ら限定するものではない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
例えば、本発明のガス製造装置は、上記実施形態に対して、他の任意の追加の構成を有していてもよく、同様の機能を発揮する任意の構成と置換されていてよく、一部の構成が省略されていてもよい。
上記実施形態では、ガス組成調整器を多管式の反応装置として説明したが、管体41を省略して、ハウジング42に、直接、吸着剤4Aを充填して構成してもよい。
上記実施形態では、離脱ガスとして水素を含むガスを代表に説明したが、離脱ガスには、水素に加えて、炭化水素(例えば、メタン、エタン、アセチレン等)およびアンモニアから選択される少なくとも1種を若干量で含むガスを使用することもできる。
また、本発明において使用可能な原料ガスとしては、二酸化炭素に加え、一酸化炭素、水素および窒素のうちの少なくとも1種を含むガスが好適である。したがって、原料ガスとしては、特に、高炉ガスまたは転炉ガスが好ましい。
以下に、実施例および比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
1.吸着剤の調製
(吸着剤A)
50質量部の酸化カルシウムと50質量部の酸化アルミニウムとを乳鉢で混合し、大気中、5℃/分の昇温速度で850℃まで昇温した後、850℃で7時間焼成した。これにより、吸着剤Aを得た。なお、得られた吸着剤Aには、炭酸カルシウムおよび酸化カルシウムが含まれていた。
(吸着剤B)
まず、吸着剤の前駆体として、4.21gの硝酸カルシウム(II)四水和物(富士フイルム和光純薬工業株式会社製、純度:98.5%以上)と、2.17gのオキシ硝酸ジルコニウム(II)二水和物(キシダ化学株式会社製、純度:99.0%)とを、それぞれ計量した。
次いで、5.45gのクエン酸(富士フイルム和光純薬工業株式会社製、純度:99.5%)を計量し、40mLの脱イオン水に溶解してクエン酸水溶液を得た。その後、上記前駆体(硝酸金属塩)を、攪拌しつつクエン酸水溶液に65℃で添加した。
30分経過後、温度を80℃に上昇させた。
粘性のゲルが形成されるまで、連続して撹拌しつつ、80℃の温度を維持した。その後、ゲルを乾燥炉へ移動させた。ゲルの乾燥は、120℃、20時間で行った。
生成された有機および無機化合物の膨潤した塊状物を粉砕し、5℃/分の昇温速度で850℃まで昇温した後、850℃で7時間焼成した。これにより、吸着剤Bを得た。
(吸着剤C)
まず、吸着剤の前駆体として、6.77gの硝酸カルシウム(II)四水和物(富士フイルム和光純薬工業株式会社製、純度:98.5%以上)と、1.16gの硝酸鉄(III)九水和物(富士フイルム和光純薬工業株式会社製、純度:99.9%)と、0.411gの硝酸セリウム(III)六水和物(シグマアルドリッチ社製、純度:99.0%)とを、それぞれ計量した。
次いで、13.66gのクエン酸(富士フイルム和光純薬工業株式会社製)を計量し、217mLの脱イオン水に溶解してクエン酸水溶液を得た。その後、上記前駆体(硝酸金属塩)を、攪拌しつつクエン酸水溶液に65℃で添加した。
30分経過後、4.84gのエチレングリコール(富士フイルム和光純薬工業株式会社製、純度:99.5%)をクエン酸水溶液に添加し、温度を80℃に上昇させた。
粘性のゲルが形成されるまで、連続して撹拌しつつ、80℃の温度を維持した。その後、ゲルを乾燥炉へ移動させた。ゲルの乾燥は、100℃、20時間で行った。
生成された有機および無機化合物の膨潤した塊状物を粉砕し、5℃/分の昇温速度で850℃まで昇温した後、850℃で7時間焼成した。これにより、吸着剤Cを得た。
(吸着剤D)
まず、吸着剤の前駆体として、6.78gの硝酸カルシウム(II)四水和物(富士フイルム和光純薬工業株式会社製、純度:98.5%以上)と、0.824gの硝酸マンガン六水和物(富士フイルム和光純薬工業株式会社製、純度:99.0%)と、0.411gの硝酸セリウム(III)六水和物(シグマアルドリッチ社製、純度:99.0%)とを、それぞれ計量した。
次いで、13.67gのクエン酸(富士フイルム和光純薬工業株式会社製)を計量し、217mLの脱イオン水に溶解してクエン酸水溶液を得た。その後、上記前駆体(硝酸金属塩)を、攪拌しつつクエン酸水溶液に65℃で添加した。
30分経過後、4.84gのエチレングリコール(富士フイルム和光純薬工業株式会社製、純度:99.5%)をクエン酸水溶液に添加し、温度を80℃に上昇させた。
粘性のゲルが形成されるまで、連続して撹拌しつつ、80℃の温度を維持した。その後、ゲルを乾燥炉へ移動させた。ゲルの乾燥は、100℃、20時間で行った。
生成された有機および無機化合物の膨潤した塊状物を粉砕し、5℃/分の昇温速度で850℃まで昇温した後、850℃で7時間焼成した。これにより、吸着剤Dを得た。
(吸着剤E)
50質量部の酸化カルシウムと50質量部のシリカ(シグマアルドリッチ社製)とを乳鉢で混合し、大気中、5℃/分の昇温速度で850℃まで昇温した後、850℃で7時間焼成した。これにより、吸着剤Eを得た。なお、得られた吸着剤Eには、炭酸カルシウムおよび酸化カルシウムが含まれていた。
(吸着剤F)
50質量部の酸化カルシウムと50質量部の酸化マグネシウムとを乳鉢で混合し、大気中、5℃/分の昇温速度で850℃まで昇温した後、850℃で7時間焼成した。これにより、吸着剤Fを得た。なお、得られた吸着剤Fには、炭酸カルシウム、酸化カルシウムおよび酸化マグネシウムが含まれていた。
(吸着剤G)
50質量部の酸化ストロンチウムと50質量部の酸化アルミニウムとを乳鉢で混合し、大気中、5℃/分の昇温速度で850℃まで昇温した後、850℃で7時間焼成した。これにより、吸着剤Gを得た。なお、得られた吸着剤Gには、酸化ストロンチウムが含まれていた。
(吸着剤H)
50質量部の酸化バリウムと50質量部の酸化アルミニウムとを乳鉢で混合し、大気中、5℃/分の昇温速度で850℃まで昇温した後、850℃で7時間焼成した。これにより、吸着剤Hを得た。なお、得られた吸着剤Hには、酸化バリウムが含まれていた。
(吸着剤I)
まず、吸着剤の前駆体として、1.80gの硝酸リチウム(富士フイルム和光純薬工業株式会社製、純度:99.0%)と、3.49gのオキシ硝酸ジルコニウム(II)二水和物(キシダ化学株式会社製、純度:99.0%)とを、それぞれ計量した。
次いで、16.4gのクエン酸(富士フイルム和光純薬工業株式会社製)を計量し、216mLの脱イオン水に溶解してクエン酸水溶液を得た。その後、上記前駆体(硝酸金属塩)を、攪拌しつつクエン酸水溶液に65℃で添加した。
30分経過後、5.84gのエチレングリコール(富士フイルム和光純薬工業株式会社製、純度:99.5%)をクエン酸水溶液に添加し、温度を80℃に上昇させた。
粘性のゲルが形成されるまで、連続して撹拌しつつ、80℃の温度を維持した。その後、ゲルを乾燥炉へ移動させた。ゲルの乾燥は、100℃、20時間で行った。
生成された有機および無機化合物の膨潤した塊状物を粉砕し、5℃/分の昇温速度で850℃まで昇温した後、850℃で7時間焼成した。これにより、吸着剤Iを得た。
(非吸着剤)
5質量部の酸化ニッケルと95質量部の酸化アルミニウムとを乳鉢で混合し、大気中、5℃/分の昇温速度で850℃まで昇温した後、850℃で7時間焼成した。これにより、非吸着剤を得た。なお、得られた非吸着剤には、酸化ニッケルが含まれていた。
2.二酸化炭素の吸着試験
マイクロリアクターと、マイクロリアクターに直結するガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)とを備える迅速触媒評価システム(フロンティア・ラボ株式会社製、「シングルμ-リアクターRx-3050SR」)を用いて、以下の手順により各吸着剤および非吸着剤の特性を評価した。
まず、内径3mm、長さ78mmの石英反応管内に、0.2gの吸着剤または非吸着剤を充填した。その後、5mL/minの流量でヘリウムガスを流しつつ、40℃/minの昇温速度で昇温させ、20分間加熱した。
次に、マイクロリアクターには、水素ガスを流量5mL/minまたは15mL/minで5分間流して、吸着剤または非吸着剤上の不純物を除去した。
その後、ガス交換のために、ヘリウムガスを流量3mL/minで10分間流した後、二酸化炭素と一酸化炭素とをそれぞれ50vol%含有する混合ガスを流量3mL/minで2分間流して、二酸化炭素の吸着反応を実施し、吸着効率を評価した。このとき、マイクロリアクターの排出口から排出される生成ガスには、一酸化炭素が含まれていた。
その後、ガス交換のために、ヘリウムガスを流量3mL/minで5分間流した。
なお、本試験は、実施例1~6、9および比較例では、マイクロリアクターの温度を650℃に維持するとともに、大気圧条件で行った。また、実施例7~8では、マイクロリアクターの温度を850℃に維持するとともに、大気圧条件で行った。
なお、ガスクロマトグラフ質量分析計における測定条件は、以下の通りである。
カラム温度:200℃
インジェクション温度:200℃
検出器温度:250℃
カラム:EGAチューブ(L:2.5m、φ(内径):0.15mm、t:0mm)
カラム流量:1.00mL/分
スプリット比:250
パージ流量:3.0mL/分
また、吸着剤または非吸着剤による二酸化炭素の吸着効率(以下、「吸着効率」とも記載する。)は、次の式により計算した。
なお、吸着効率は、石英反応管内への二酸化炭素と一酸化炭素とをそれぞれ50vol%含有する混合ガスの流通を開始した後、1分間の平均比率である。
XCO(%)=nCO,out/(nCO,out+nCO2,out)×100
上記式中、nCO,outは生成ガス中に含まれる単位時間当たりの一酸化炭素生成量(mmol)であり、nCO2,outは生成ガス中に含まれる単位時間当たりの二酸化炭素生成量(mmol)である。
この結果を、以下の表1に示す。なお、表1中には、各実施例の吸着効率は、比較例で測定された値を「1」とした場合の相対値として示す。
Figure 2023091959000002
3.二酸化炭素の変換試験
マイクロリアクターと、マイクロリアクターに直結するガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)とを備える迅速触媒評価システム(フロンティア・ラボ株式会社製、「シングルμ-リアクターRx-3050SR」)を用いて、以下の手順により各吸着剤および各非吸着剤の特性を評価した。
まず、内径3mm、長さ78mmの石英反応管内に、0.2gの吸着剤または非吸着剤を充填した。その後、5mL/minの流量でヘリウムガスを流しつつ、40℃/minの昇温速度で昇温させ、20分間加熱した。
次に、マイクロリアクターには、水素ガスを流量5mL/minまたは15mL/minで5分間流して、吸着剤または非吸着剤上の不純物を除去した。
その後、ガス交換のために、ヘリウムガスを流量3mL/minで10分間流した後、二酸化炭素と一酸化炭素とをそれぞれ50vol%含有する混合ガスを流量3mL/minで2分間流して、二酸化炭素の吸着反応を実施した。
次に、ガス交換のために、ヘリウムガスを流量3mL/minで5分間流した後、水素ガス(離脱ガス)を流量3mL/minで8分間流して、吸着剤または非吸着剤に吸着された二酸化炭素の離脱および変換反応を行った。
その後、ガス交換のために、ヘリウムガスを流量3mL/minで5分間流した。
なお、本試験は、実施例1~6、9および比較例では、マイクロリアクターの温度を750℃に維持するとともに、大気圧条件で行った。また、実施例7~8では、マイクロリアクターの温度を850℃に維持するとともに、大気圧条件で行った。
吸着剤または非吸着剤による二酸化炭素の一酸化炭素への変換効率(以下、「変換効率」とも記載する。)は、水素ガス(離脱ガス)を流量3mL/minで8分間を供給しているときに生成した一酸化炭素のモル量(mmol)を充填した吸着剤または非吸着剤の重量(g)で割った値(mmol/g)で算出した。
なお、ガスクロマトグラフ質量分析計における測定条件は、「2.二酸化炭素の吸着試験」と同様である。
この結果を、以下の表2に示す。なお、表2中には、各実施例および比較例2の変換効率は、比較例1で測定された値を「1」とした場合の相対値として示す。
Figure 2023091959000003
4.水素ガスの空間速度の影響
実施例1の吸着剤に対して、水素ガス(離脱ガス)の空間速度を変更しつつ、上記と同様にして二酸化炭素の変換試験を行った。このとき、各実施例1A~1Eにおける、水素ガス(離脱ガス)の総流入量(mL)は全て同じ量になるようにした。
この結果を、以下の表3に示す。なお、表3中には、各実施例1A~1Dの吸着剤による変換効率は、実施例1Eで測定された値を「1」とした場合の相対値として示す。また、表3中のSV1は、水素ガス(離脱ガス)であり、SV2は、混合ガス(原料ガス)の空間速度である。
Figure 2023091959000004
1 :炭素有価物の製造装置
2 :高炉
3 :離脱ガス供給部
4 :ガス組成調整器
41 :管体
42 :ハウジング
4A :吸着剤
5 :反応器
6 :生成ガス排出部
GL1 :ガスライン
GL2 :ガスライン
GL4 :ガスライン
GL5 :ガスライン

Claims (10)

  1. ガス組成調整器であって、
    吸着剤を有し、
    前記吸着剤は、第1族および第2族に属する金属元素から選択される少なくとも1種を含有する炭酸塩、酸化物またはそれらの混合物を含み、二酸化炭素を含む原料ガスを接触させることにより、前記二酸化炭素を吸着し、水素を含む離脱ガスを接触させることにより、吸着した前記二酸化炭素を離脱させる、ガス組成調整器。
  2. 請求項1に記載のガス組成調整器において、
    前記吸着剤は、前記離脱ガスを接触させることにより、吸着した前記二酸化炭素の少なくとも一部を一酸化炭素として離脱させる、ガス組成調整器。
  3. 請求項2に記載のガス組成調整器において、
    前記一酸化炭素は、前記吸着剤に吸着された前記二酸化炭素と、前記離脱ガス中に含まれる前記水素との反応により生成される、ガス組成調整器。
  4. 請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のガス組成調整器において、
    前記炭酸塩、酸化物またはそれらの混合物は、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウムおよびバリウムのうちの少なくとも1種を含有する、ガス組成調整器。
  5. 請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のガス組成調整器において、
    当該ガス組成調整器の温度は、200~1200℃である、ガス組成調整器。
  6. 請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のガス組成調整器において、
    前記吸着剤全体に対するニッケルの含有量は、3質量%以下である、ガス組成調整器。
  7. 請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のガス組成調整器において、
    当該ガス組成調整器を通過させる前記原料ガスの空間速度SV2に対する前記離脱ガスの空間速度SV1の比(SV1/SV2)は、0.1~10である、ガス組成調整器。
  8. 請求項1~請求項7のいずれか1項に記載のガス組成調整器において、
    原料ガスは、前記二酸化炭素に加え、一酸化炭素、水素および窒素のうちの少なくとも1種を含む、ガス組成調整器。
  9. 炭素有価物を製造する装置であって、
    請求項1~請求項8のいずれか1項に記載のガス組成調整器と、反応器とを有し、
    前記反応器は、前記ガス組成調整器に接続され、前記ガス組成調整器から排出されたガスを使用して前記炭素有価物を製造する、炭素有価物の製造装置。
  10. 請求項9に記載の炭素有価物の製造装置であって、
    前記炭素有価物は、アルコール系化合物またはオレフィン系化合物である、炭素有価物の製造装置。
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