JP2023091584A - 耐油紙及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】局所的に油が浸透する不具合が抑制された耐油性能の高い耐油紙を提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、直鎖脂肪酸含有量が1600ppm以下であるパルプを主成分とする基紙の片面または両面に耐油剤を含む耐油層を有することを特徴とし、耐油層中の耐油剤の少なくとも一部が基紙中に浸透している耐油紙に関する。【選択図】なし

Description

本発明は耐油紙とその製造方法に関する。更に詳しくは、耐油性能の高い耐油紙とその製造方法に関する。
コンビニエンスストアやファストフード店で販売されるハンバーガー、揚げ物等の油脂を含む食品の包装材や、紙皿等の紙器に、耐油性を有する紙である耐油紙が用いられている。近年の耐油紙は、耐油剤としてフッ素系樹脂を含むものが幅広く使用されている。(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、フッ素系樹脂を主成分とした耐油剤を使用しても耐油紙への油の浸透を十分に防げない場合がある。具体的には、耐油紙に局所的な油の浸透部分が生じることがあり、その改善が求められている。
特開平8-209590号公報
本発明は、このような問題に鑑み、耐油性能に優れた耐油紙及びその製造方法を提案する。更に詳しくは、局所的に油が浸透する不具合が抑制された耐油性能の高い耐油紙を提供することを目的とする。
本発明の他の目的並びに作用効果については、以下の記述を参照することにより、当業者であれば容易に理解されるであろう。
上記課題を解決するため、本発明に係る耐油紙は、直鎖脂肪酸含有量が1600ppm以下であるパルプを主成分とする基紙の片面または両面に耐油剤を含む耐油層を有することを特徴とし、耐油層中の耐油剤の少なくとも一部が基紙中に浸透している耐油紙である。さらに、本発明に係る耐油紙の製造方法は、パルプを主成分とする基紙に耐油剤を含む加工液を塗布若しくは含浸させる耐油紙の製造方法であって、前記基紙は直鎖脂肪酸含有量が1600ppm以下であることを特徴とする。このような構成とすることで、局所的に油が浸透する不具合が抑制された耐油性能の高い耐油紙を製造することができる。
また、本発明においては、前記直鎖脂肪酸は、炭素数が24、26及び28からなる群より選択される炭素数でありかつ基紙中の含有量が1200ppm以下であってもよい。この範囲であれば更に耐油性能が高い耐油紙を製造することができる。
また、本発明においては、前記基紙にサイズ剤を含まないことが好ましい。基紙にサイズ剤を含ませないことで耐油剤が基紙に浸透しやすくなり更に高い耐油性能を発現する。
また、本発明においては、前記耐油剤を含む加工液にノニオン性界面活性剤を含ませてもよい。耐油剤を含む加工液の表面張力が下がり耐油剤が基紙に浸透しやすくなるだけでなく、イオン性を有する耐油剤や助剤を凝集させることなく高い耐油性能を発現することができる。
本発明によれば、基紙への耐油剤の浸透が大きくかつムラなく起こり、結果として局所的な油の浸透が抑制された耐油性能が高い耐油紙を提供することができる。
次に、本発明について実施形態を示して詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
本発明の耐油紙においては、パルプを主成分とする基紙に耐油剤を含む耐油層を有することを特徴とし、耐油層中の耐油剤の少なくとも一部が基紙中に浸透していることにより優れた耐油性を示す。本発明において、耐油紙の基紙の片面または両面に耐油層に有するが、両面に耐油層を有することが好ましい。そのため、以下においては主に両面に耐油層を有する本発明に実施形態について述べるが、本発明においては、基紙の片面に耐油層に有する耐油紙も同様に本発明の耐油紙であることを意図する。本発明の耐油紙の製造方法は、いずれの方法であってもよいが、本発明の一実施形態の耐油紙の製造方法では、パルプを主成分とする基紙に耐油剤を含む加工液を塗布又は含浸させる。それによって、本発明の耐油紙に耐油層を形成することができる、ここで耐油層は、基紙の面に層状に存在しているだけでなく、その成分の一部、特に耐油剤の少なくとも一部は一様にムラなく基紙に浸透する。それによって、局所的な油の浸透が抑制された耐油性能が高い耐油紙を提供することができる。
ここで、主成分とは、基紙を構成する成分のうち質量基準で最も含有量の多い成分をいい、成分のうち50質量%以上含む成分をいう。本実施形態では、基紙を構成する成分のうちパルプが80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが更に好ましい。基紙に使用する原料パルプとしては、針葉樹晒しクラフトパルプ(NBKP)と広葉樹晒しクラフトパルプ(LBKP)が好ましい。広葉樹未晒しクラフトパルプ(LUKP)針葉樹未晒しクラフトパルプ(NUKP)などの化学パルプ、砕木パルプ(GP)やサーモメカニカルパルプ(TMP)などの機械パルプ、脱墨パルプなどの古紙パルプはリグニン、夾雑物などが含まれるため使用の際は最小限、若しくは未使用とすることが好ましい。パルプとしては、広葉樹晒しクラフトパルプ(LBKP)を主成分とすることが好ましく、全パルプ中、広葉樹晒しクラフトパルプ(LBKP)を50質量%以上すればよい。例えば、全パルプ中、広葉樹晒しクラフトパルプ(LBKP)を50~90質量%、好ましくは60~80質量%、例えば、65~75質量%、針葉樹晒しクラフトパルプ(NBKP)を10~50質量%、好ましくは20~40質量%、例えば、25~35質量%とすればよい。本発明においては、包装用途のような坪量20~100g/mの領域では破れが懸念されるためNBKPを配合することが好ましい。
ここで使用されるLBKPを作るための木材チップは主にアカシア材とユーカリ材が使用される。アカシア材としてアカシアマンギューム、アカシアアウリカルフォルミス、アカシアカテキュー、アカシアデカレンス、アカシアホロセリシア、アカシアレプトカルパ、アカシアマイデニアイ、アカシアメランシー、アカシアメラノキシロン、アカシアネリフォーラ、アカシアシリベストリス、又はアカシアペレグリナリス等やこれらの交雑種が挙げられ、これらのうちの少なくとも1種の樹種を使用することが好ましい。アカシア材は、比重が低く入手が容易で安価である一方で、直鎖脂肪酸、特に、炭素数が24、26、及び28からなる群より選択される炭素数である直鎖脂肪酸を多く含むため、直鎖脂肪酸量を減らすためにはアカシア材をあまり多量に配合しないことが好ましい。日本の場合、比較的近い国、例えばベトナムなどの東南アジアやオーストラリアから輸入する場合、距離が短いことからシーズニング期間が短いため直鎖脂肪酸量が多くなりやすい。
ユーカリ材としてはユーカリカマルドレンシス、ユーカリデグルプタ、ユーカリグロブラス、ユーカリグランディス、ユーカリマキュラータ、ユーカリパンクタータ、ユーカリサリグナ、ユーカリテレニコルニス、ユーカリユーロフィラ、アカシアアウラコカルパ、又はアカシアクラシカルパ等やこれらの交雑種が挙げられる。ユーカリ材は入手にコストがかかる一方で、炭素数が24、26、及び28からなる群より選択される炭素数である直鎖脂肪酸が少ないため、直鎖脂肪酸量を減らすためにはユーカリ材を多く配合することが好ましい。本発明の耐油紙の製造方法においては、基紙中直鎖脂肪酸含有量を1600ppm以下とする必要があるが、アカシア材とユーカリ材の比率、産地等を適切に調整することにより、または、パルプ原料の加工工程を適宜調整することにより直鎖脂肪酸含有量を調整することができる。例えば、アカシア材とユーカリ材の質量比率を10:90~60:40、好ましくは20:80~50:50とすればよい。
NBKPを作るための針葉樹材としては特に限定されないが、とうひ若しくはつが類樹木、もみ類樹木、まつ類樹木、杉類樹木等が好ましく使用される。これらの樹種より得られたNBKPにおいて、炭素数が24、26、及び28からなる群より選択される炭素数である直鎖脂肪酸は少なく、例えば、400ppm以下となる。
本発明の耐油紙及びその製造方法においては、基紙中の直鎖脂肪酸含有量が1600ppm以下である。ここで、本明細書において、ppmは、質量百万分率である。耐油紙に求められる性能、特に食品等の包装材用途に用いられる耐油紙に求められる性能は、食用油に長時間接触してもしみ込みにくい性能である。このような性能を考慮すると、耐油紙には紙表面全体において局所的にも耐油性能のバラツキが少ないことが求められる。基紙中の直鎖脂肪酸含有量を1600ppm以下と少量とすることで、耐油剤の基紙中への浸透がムラなく生じ、それによって、耐油層だけでなく耐油剤が基紙中に一定の割合で入りこみ、それによって優れた耐油性を得ることができる。すなわち表面の耐油層だけでなく、紙の厚み方向へ耐油剤が浸透することでより優れた耐油性を得ることができる。一方、基紙中の直鎖脂肪酸の含有量が多くなると、親水性であるパルプ繊維の一部が疎水性となり、その結果、耐油剤を含む加工液の基紙への浸透ムラが発生し、これが耐油紙表面における局所的な耐油性能の低下、すなわち、耐油紙における局所的な油の浸透につながることが考えられる。そこで、本発明の耐油紙においては、基紙中の直鎖脂肪酸の含有量を1600ppm以下とする。これによって、食用油に長時間接触しても紙中に油がしみ込みにくい性能を付与する。基紙中の直鎖脂肪酸の含有量を1600ppm以下、好ましくは1300ppm以下とすることにより耐油剤を含む加工液の基紙への浸透ムラを抑制し、耐油紙に局所的な耐油性能のバラツキが生じることを抑制する。また、直鎖脂肪酸にも様々あるが、アカシア材に多く含まれる炭素数が24、26及び28の直鎖脂肪酸が最も影響が大きく、これを少なくすることが好ましい。例えば、当該直鎖脂肪酸の含有量を1200ppm以下とすることが好ましく、1000ppm以下がより好ましい。
前記原料パルプは、離解機及び叩解機を使用して適切な叩解度を有するパルプスラリーとする。本発明においては、カナダ標準濾水度(JIS P 8121:1995 パルプのろ水度試験方法)でCSF150~500mlとすることが好ましい。より好ましくは、CSF200~350mlであり、更に好ましくはCSF250~310mlである。
適切な叩解度に調整したパルプスラリーを原料スラリーとし、抄紙機で抄紙して耐油紙の基紙を形成する。抄紙機は公知の抄紙機を用いることができる。すなわち、長網式抄紙機、円網式抄紙機、ハイブリッドフォーマー、ギャップフォーマー等で抄紙することができる。基紙の坪量は特に限定するものではないが、包装用途であれば20~300g/mであることが好ましい。基紙の構成は坪量が20~100g/mの領域であれば単層抄きが好ましい。多層とすると1層当たりの坪量が小さくなり生産がし難いだけでなく紙が硬くなり、包装用途として不向きとなる。
また、基紙にはロジンエマルジョンサイズ剤などのサイズ剤を含有させることができる。しかしながら、本発明においては、基紙に含有させないことが好ましい。サイズ剤を含有させないことにより耐油剤が含まれる加工液が基紙に浸透しやすくなり、結果的に耐油性能が発現しやすくなる。基紙のステキヒトサイズ度は1秒以下が好ましく、0秒がより好ましい。尚、ステキヒトサイズ度はJIS P8122:04紙及び板紙―サイズ度の測定方法-ステキヒト法、により測定される。
原料スラリーには、本発明の目的とする効果を損なわない範囲で、填料、湿潤紙力剤、紙力増強剤、歩留まり向上剤、着色染料、着色顔料、硫酸バンド、などの製紙用添加剤を適宜添加してもよい。例えば、パルプ100質量部に対して、硫酸バンドを0.1~1質量部添加することができる。例えば、紙力増強剤として両性デンプンや両性ポリアクリルアマイドなどをパルプ100質量部に対して0.1~1質量部添加することができる。例えば、湿潤紙力剤をパルプ100質量部に対して0.1~1質量部添加することができる。一方、耐油性能を高めるために填料、特に無機填料は耐油紙中に1質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以下である。本明細書において、無機填料には、原料パルプに由来して意図せずに混入する灰分が含まれる。耐油紙中に含まれる無機填料の含有量の下限値は、特に限定されないが、この非意図的に混入する灰分を考慮して、0.1質量%以上であってもよい。
こうして得られた基紙の両面に耐油剤を含む加工液を塗布させるか、又は基紙の両面から耐油剤を含む加工液を含浸させる。ここで用いる耐油剤としては、特に限定するものではなく、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂などの公知の耐油剤を使用できるが、フッ素系樹脂が好ましい。加工液の塗布又は含浸方法についても特に限定するものではなく、オンマシンコーターであってもオフコーターであってもよい。塗工方式も特に限定するものではなく、2本ロールサイズプレス、ゲートロールサイズプレス、メタリングサイズプレス等の塗工機や加工液の入ったバットに付ける含浸機などで付与することができる。これらの中でも、製造効率や耐油適性の観点からオンマシンで2本ロールサイズプレスを使用する、若しくはオフコーターで含浸機を使用することが好ましい。加工液中の耐油剤の含有量は、特に限定するものではないが、基紙の両面当たりの耐油剤の付着量が、固形分換算で0.03~0.30g/mとなるように調整することが好ましく、より好ましくは0.07~0.15g/mの範囲である。
加工液には耐油剤の他にノニオン性界面活性剤を含ませることが好ましい。ノニオン性界面活性剤は耐油剤を含む溶液の表面張力が下がり耐油剤が基紙に浸透しやすくなるだけでなく、イオン性を有する耐油剤や助剤を凝集させることなく高い耐油性能を発現する。ノニオン性界面活性剤にはエステル型、エーテル型、エステル・エーテル型、等がある。エステル型はグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル及びしょ糖脂肪酸エステルが挙げられる。エーテル型はポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールなどが挙げられる。エステル・エーテル型は分子中にエステル結合とエーテル結合の両方を有するものである。加工液中のノニオン性界面活性剤の含有量は特に限定するものではないが、基紙への両面当たりのノニオン性界面活性剤の付着量が固形分換算で0.01~0.0.10g/mとなるように調整することが好ましく、より好ましくは0.03~0.08g/mの範囲である。
加工液には耐油剤とノニオン性界面活性剤の他に、例えば、澱粉、酸化澱粉、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミドなどの公知の水溶性高分子を含有させることもできる、中でもポリビニルアルコールは耐油性に寄与するため好ましい。よってフッ素系樹脂、ノニオン性界面活性剤及びポリビニルアルコールを含むことが好ましい。加工液中のポリビニルアルコールの含有量は特に限定するものではないが、基紙への両面当たりのポリビニルアルコールの付着量が固形分換算で0.05~0.50g/mとなるように調整することが好ましく、より好ましくは0.07~0.4g/mの範囲である。
本実施形態においては、乾燥後の基紙を、必要に応じて平滑化処理してもよい。平滑化処理の方法は特に限定するものではなく、マシンキャンダー、ソフトキャレンダ-、スーパーキャレンダ-などを用いることができる。
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、例中の「部」、「%」は、特に断らない限りそれぞれ「質量部」、「質量%」を示す。なお、添加部数は、固形分換算の値である。
<実施例1>
LBKP70部(アカシア材とユーカリ材の質量比が、アカシア材:ユーカリ材=40:60)、NBKP30部を水中に分散させ、カナディアンスタンダードフリーネス(CSF)300mlに叩解してパルプスラリーを得た。得られたパルプスラリーに硫酸バンドを0.5部、両性デンプン(商品名:ネオタック#110M/日本食品加工社製)0.4部、湿潤紙力剤(商品名:WS4030/星光PMC社製)0.2部、両性ポリアクリルアマイド(商品名:ハーマイドRB234/ハリマ化成社製)0.1部をそれぞれ添加し原料スラリーを得た。得られた原料スラリーを用いて長網抄紙機によって抄紙し基紙を得た。得られた基紙の全ての直鎖脂肪酸含有量は1180ppmであった。また、炭素数24、26、28の直鎖脂肪酸含有量は910ppmであった。基紙にはプレスパートで窄水して乾燥後、2本ロールサイズプレスにて耐油剤(AG-E060、濃度20%/AGC社製)0.2%、ノニオン性界面活性剤(メイカサーフ-28、固形分20%/明成化学工業社製)0.1%、ポリビニルアルコール(PVA117/クラレ社製)0.3%の加工液を基紙の両面あたり0.3g/mとなるように塗布し、シリンダードライヤーで乾燥し、多段キャレンダーにより平滑化処理をさせて目的とする耐油紙を得た。なお、坪量は40g/mであった。
<実施例2>
LBKPのアカシア材とユーカリ材の質量比をアカシア材:ユーカリ材=20:80に変更した以外は実施例1と同様にして耐油紙を得た。基紙中の全ての直鎖脂肪酸含有量は820ppmであった。また、炭素数24、26、28の直鎖脂肪酸含有量は630ppmであった。
<実施例3>
LBKPのアカシア材とユーカリ材の質量比をアカシア中材:ユーカリ材=60:40に変更した以外は実施例1と同様にして耐油紙を得た。基紙の全ての直鎖脂肪酸含有量は1550ppmであった。また、炭素数24、26、28の直鎖脂肪酸含有量は1190ppmであった。
<実施例4>
パルプスラリーにロジンエマルジョンサイズ剤(商品名:CC-1404/星光PMC社製))0.1部を更に添加したこと以外は実施例1と同様にして耐油紙を得た。基紙中の全ての直鎖脂肪酸含有量は1180ppmであった。また、炭素数24、26、28の直鎖脂肪酸含有量は910ppmであった。
<実施例5>
パルプスラリーにノニオン性界面活性剤(メイカサーフ-28、固形分20%/明成化学工業社製)を添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして耐油紙を得た。基紙中の全ての直鎖脂肪酸含有量は1180ppmであった。また、炭素数24、26、28の直鎖脂肪酸含有量は910ppmであった。
<比較例1>
LBKPのアカシア材とユーカリ材の質量比をアカシア材:ユーカリ材=70:30に変更した以外は実施例1と同様にして耐油紙を得た。基紙中の全ての直鎖脂肪酸含有量は1730ppmであった。また、炭素数24、26、28の直鎖脂肪酸含有量は1330ppmであった。
<比較例2>
比較例1において、加工液の基紙への塗布量を、両面あたり0.3g/mから0.5g/mとなるように変更した以外は比較例1と同様にして耐油紙を得た。基紙中の全ての直鎖脂肪酸含有量は1730ppmであった。また、炭素数24、26、28の直鎖脂肪酸含有量は1330ppmであった。
<耐油性評価1>
JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No41:2000紙及び板紙―はつ油度試験方法-キット法に基づいて測定した。その試験結果をキットナンバーとして表1に示した。当該試験方法は、紙にヒマシ油を含む試験液を滴下してから15秒後のしみ込みの評価を行うものであり、比較的短時間のしみ込みを評価する試験である。なお、当該方法はキット法による試験であり、キットナンバーが大きいほど耐油性に優れ、本発明においてはキットナンバーが5以上の耐油性を有していればよい。
<耐油性評価2>
サラダ油を試験片へ滴下し、目視で浸透具合を確認した。評価基準は以下に示した通りである。尚、サラダ油は日清サラダ油(日清オイリオグループ社製)を使用した。その試験結果をサラダ油耐油性として表1に示した。本試験は、サラダ油に長時間接触した後の油のしみ込みを評価するものであり、耐油性評価1と比較して長時間の耐油性を試験するものである。
◎:3時間以上経過しても浸透しなかった。合格。
○:1~3時間で浸透した。合格。
×:1時間以内に浸透した。不合格。
<脂肪酸量定量>
基紙をテトラメチルアンモニウム水和物(TMAH)でメチル化を行いGCMSへ供した。分析条件はICP590℃パイロフォイル、15秒間加熱、ガスクロマトグラフ質量分析計GCMS-QP2010ウルトラ(島津製作所製)を用い分析した。テトラコサン酸(C24)は保持時間24.32分、ヘキサコサン酸(C26)は保持時間25.73分、オクタコサン酸(C28)は保持時間27.07分のピーク面積より、あらかじめ求められた各標準物質の検量線より定量した。これ以外の炭素数の直鎖脂肪酸についても該当する保持時間から同様に定量した。その定量結果を、各パルプの含有量と共に表1に示した。
Figure 2023091584000001
表1に示すとおり、実施例1~5で得られた耐油紙は長時間にわたる耐油性を示し、耐油紙として適切に使用できる紙であった。これらであれば、包装用紙として適切に使用することができ、例えば、コンビニエンスストアやファストフード店で販売されるハンバーガー、揚げ物等の油脂を含む食品の包装材として、紙皿等の紙器として、さらには耐油性を有する紙である耐油紙として比較的長時間にわたり適切に使用することができる。一方で、比較例1及び比較例2で得られた耐油紙は、直鎖脂肪酸量が多いため加工液の浸透ムラが大きく結果として特に長時間の耐油性能は得られなかった。

Claims (7)

  1. 直鎖脂肪酸含有量が1600ppm以下であるパルプを主成分とする基紙の片面または両面に耐油剤を含む耐油層を有することを特徴とする耐油紙。
  2. 耐油層中の耐油剤の少なくとも一部が基紙中に浸透していることを特徴とする、請求項1に記載の耐油紙。
  3. 前記直鎖脂肪酸は、炭素数が24、26及び28からなる群より選択される炭素数でありかつ基紙中の含有量が1200ppm以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の耐油紙。
  4. 前記基紙はサイズ剤を含まないことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一つに記載の耐油紙。
  5. 前記耐油剤を含む加工液にノニオン性界面活性剤を含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一つに記載の耐油紙。
  6. パルプを主成分とする基紙に耐油剤を含む加工液を塗布又は含浸させる耐油紙の製造方法であって、前記基紙は直鎖脂肪酸含有量が1600ppm以下であることを特徴とする前記方法。
  7. 前記直鎖脂肪酸は、炭素数が24、26及び28からなる群より選択される炭素数でありかつ基紙中の含有量が1200ppm以下であることを特徴とする、請求項6に記載の耐油紙の製造方法。
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