JP2023091399A - スクロール圧縮機および空気調和装置 - Google Patents

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仁 武田
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【課題】可動スクロールを固定スクロールに安定的に押し付けることができるようにする。【解決手段】スクロール圧縮機は、固定スクロール(21)および可動スクロール(26)を有する圧縮機構(20)と、フローティング部材(50)と、支持部材(60)と、シール部材(65)とを備え、上記フローティング部材(50)と上記支持部材(60)との間には、第1空間(71)と、第2空間(72)と、溝部(63)とが形成され、上記シール部材(65)は、上記溝部(63)に設けられ、上記第1空間(71)と上記第2空間(72)とを仕切るとともに、弾性力により上記フローティング部材(50)を上記可動スクロール(26)に押し付ける。【選択図】図1

Description

特許文献1は、スクロール圧縮機および空気調和装置に関するものである。
特許文献1にはスクロール圧縮機が開示されている。特許文献1に記載のスクロール圧縮機は、圧縮機構の可動スクロールを固定スクロール側に押し付けるための第1空間および第2空間と、第1空間と第2空間との間に設けられた第3空間と、第3空間に配置され、第1空間と第2空間とを互いに仕切るシールリングと、フローティング部材とを備える。フローティング部材の背面側には第1空間と第2空間とが設けられる。第1空間に供給される高圧と、第2空間に供給される中間圧とによって、フローティング部材が押し上げられることで、フローティング部材を介して可動スクロールが固定スクロールに押し付けられる。
特開2020-193575号公報
高圧の大きさと中間圧の大きさとはスクロール圧縮機の運転条件に依存する。これにより、例えば、スクロール圧縮機の運転条件、定格条件運転時、および高差圧条件運転時等、運転条件が異なると、高圧および中間圧によるフローティング部材に対する押付け力の差が大きくなり、運転条件によってはチッピング、スラスト摺動面の損傷等の不具合が発生する可能性があった。
本開示の目的は、可動スクロールを固定スクロールに安定的に押し付けることができるようにすることにある。
本開示の第1の態様は、スクロール圧縮機を対象とする。スクロール圧縮機は、固定スクロール(21)および可動スクロール(26)を有する圧縮機構(20)と、上記可動スクロール(26)を上記固定スクロール(21)に押し付けるフローティング部材(50)と、上記フローティング部材(50)を支持する支持部材(60)と、弾性変形可能なシール部材(65)とを備え、上記フローティング部材(50)と上記支持部材(60)との間には、上記圧縮機構(20)により圧縮された流体の圧力である高圧が導入される第1空間(71)と、上記高圧よりも低圧の中間圧が導入される第2空間(72)と、上記第1空間(71)と上記第2空間(72)との間に設けられる溝部(63)とが形成され、上記高圧および上記中間圧は、上記フローティング部材(50)の背面(50a)側から上記フローティング部材(50)を上記可動スクロール(26)に押し付け、上記シール部材(65)は、上記溝部(63)に設けられ、上記第1空間(71)と上記第2空間(72)とを仕切るとともに、弾性力により上記フローティング部材(50)を上記可動スクロール(26)に押し付ける。
第1の態様では、可動スクロール(26)を固定スクロール(21)に安定的に押し付けることができる。
本開示の第2の態様は、上記第1の態様において、上記シール部材(65)は、弾性変形した状態で、上記支持部材(60)に接触するとともに、上記フローティング部材(50)に接触する。
第2の態様では、シール部材(65)の弾性力をフローティング部材(50)へ効果的に作用させることができる。
本開示の第3の態様は、上記第1または第2の態様において、上記高圧および上記中間圧の非導入時に、上記シール部材(65)の弾性力だけで上記フローティング部材(50)を上記可動スクロール(26)に押し付ける。
第3の態様では、フローティング部材(50)への高圧および中間圧による背圧がない状態、あるいは運転条件変更時に一時的に背圧が小さくなってしまう状態でも、シール部材(65)の弾性力による一定荷重で可動スクロール(26)を支えているため、背圧が不安定になってチッピングが発生することを抑制できる。
本開示の第4の態様は、スクロール圧縮機を対象とする。スクロール圧縮機は、固定スクロール(160)および可動スクロール(170)を有する圧縮機構(130)と、上記可動スクロール(170)を支持する支持部材(150)と、弾性変形可能なシール部材(152)とを備え、上記可動スクロール(170)と上記支持部材(150)との間には、上記圧縮機構(130)により圧縮された流体の圧力である高圧が導入される第3空間(102)と、上記高圧よりも低圧の中間圧が導入される第4空間(103)と、上記第3空間(102)と上記第4空間(103)との間に設けられる溝部とが形成され、上記高圧および上記中間圧は、上記可動スクロール(170)の背面側から上記可動スクロール(170)を上記固定スクロール(160)に押し付け、上記シール部材(152)は、上記溝部に設けられることで、上記第3空間(102)と上記第4空間(103)とを仕切るとともに、弾性力により上記可動スクロール(170)を上記固定スクロール(160)に押し付ける。
本開示の第4の態様では、可動スクロール(170)を固定スクロール(160)に安定的に押し付けることができる。
第5の態様は、上記第4の態様において、上記シール部材(152)は、弾性変形した状態で、上記支持部材(150)に接触するとともに、上記可動スクロール(170)に接触する。
本開示の第5の態様では、シール部材(152)の弾性力を可動スクロール(170)へ効果的に作用させることができる。
第6の態様は、上記第4または第5の態様において、上記シール部材(152)と上記可動スクロール(170)との接触面は、超仕上げ加工を施された構造を有する。
本開示の第6の態様では、スクロール圧縮機(2)の運転動作時において、可動スクロール(170)が回転することでシール部材(65)と摺動する際にシール部材(65)に対して生じる摩擦力を低減できるので、シール部材(65)ことで劣化することを抑制できる。
第7の態様は、上記第4~第6の態様のいずれか1つにおいて、上記高圧および上記中間圧の非導入時に、上記シール部材(152)の弾性力だけで上記可動スクロール(170)を上記固定スクロール(160)に押し付ける。
本開示の第7の態様では、可動スクロール(170)への高圧および中間圧による背圧がない状態、あるいは運転条件変更時に一時的に背圧が小さくなってしまう状態でも、シール部材(65)の弾性力による一定荷重で可動スクロール(170)を支えているため、背圧が不安定になってチッピングが発生することを抑制できる。
第8の態様は、上記第1~第7の態様のいずれか1つにおいて、上記シール部材(65, 152)は、Oリングである。
本開示の第8の態様では、Oリングの弾性力を用いて運転条件に依存しない力をフローティング部材(50)の背圧または可動スクロールの背圧に付加できる。
本開示の第9の態様は、空気調和装置を対象とする。空気調和装置は、上記スクロール圧縮機(1,2)を備える。
本開示の第9の態様では、空気調和装置を安定的に稼働させることができる。
図1は、本発明の第1実施形態に係るスクロール圧縮機の断面図である。 図2は、シール部材、および第3環状溝の寸法を示す図である。 図3は、スクロール圧縮機の運転動作時にフローティング部材に対して作用する圧力を示す図である。 図4は、スクロール圧縮機の停止時にフローティング部材に対して作用する圧力を示す図である。 図5は、従来のスクロール圧縮機の運転動作時にフローティング部材に対して作用する圧力を示す図である。 図6は、従来のスクロール圧縮機の停止時にフローティング部材に対して作用する圧力を示す図である。 図7は、試験結果を示す図である。 図8は、試験結果を示す図である。 図9は、本本発明の第1実施形態に係るスクロール圧縮機の断面図である。 図10は、スクロール圧縮機の運転動作時に可動スクロールに対して作用する圧力を示す図である。 図11は、スクロール圧縮機の停止時に可動スクロールに対して作用する圧力を示す図である。
本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付し、詳細な説明及びそれに付随する効果等の説明は繰り返さない。
<第1実施形態>
図1を参照して、本発明の第1実施形態に係るスクロール圧縮機(1)について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係るスクロール圧縮機(1)の断面図である。
スクロール圧縮機(1)は、低圧ドーム型のスクロール圧縮機である。スクロール圧縮機(1)は、例えば、冷凍装置に適用される。冷凍装置は、空気の温度や湿度を調節する空気調和装置、庫内を冷却する冷却装置、又は温水を生成する給湯装置を含む。スクロール圧縮機(1)は、蒸気圧縮式冷凍サイクルの冷媒回路(図示せず)に設けられ、作動流体である冷媒を圧縮する。冷媒回路では、スクロール圧縮機(1)で圧縮した冷媒が、凝縮器で凝縮し、減圧機構で減圧され、蒸発器で蒸発し、スクロール圧縮機(1)に吸入される。
図1に示すように、スクロール圧縮機(1)は、ケーシング(10)と、圧縮機構(20)と、電動機(30)と、駆動軸(40)と、フローティング部材(50)と、フレーム(60)とを備える。
ケーシング(10)は、両端が閉塞された縦長の円筒状に形成される。ケーシング(10)内には、圧縮機構(20)と、電動機(30)と、駆動軸(40)と、フローティング部材(50)と、フレーム(60)とが収容される。圧縮機構(20)と電動機(30)とは、駆動軸(40)によって連結される。駆動軸(40)は、スクロール圧縮機(1)の軸方向(Y)に沿って延びる。第1実施形態において、軸方向(Y)は、駆動軸(40)の延びる方向を示す。第1実施形態では、軸方向(Y)は、上下方向を示す。
ケーシング(10)内の上部には、仕切部材(11)が設けられる。仕切部材(11)は、ケーシング(10)の内部空間を2つの空間に仕切る。仕切部材(11)よりも上側の空間が第1ケーシング空間(S1)を構成する。仕切部材(11)よりも下側の空間が第2ケーシング空間(S2)を構成する。
ケーシング(10)には、吸入管(図示せず)と、吐出管(12)とが設けられる。吸入管は、ケーシング(10)の胴部を径方向(X)に貫通して第2ケーシング空間(S2)と連通する。吸入管は、第2ケーシング空間(S2)に低圧の流体(例えば、ガス冷媒)を導入する。吐出管(12)は、ケーシング(10)の上部を径方向(X)に貫通して第1ケーシング空間(S1)と連通する。吐出管(12)は、第1ケーシング空間(S1)内の高圧の流体をケーシング(10)外に導出する。径方向(X)は、軸方向(Y)に対して垂直な方向を示す。
圧縮機構(20)は、流体を吸入して圧縮する。圧縮機構(20)は、固定スクロール(21)と、可動スクロール(26)とを有する。固定スクロール(21)は、フレーム(60)に固定される。可動スクロール(26)は、フローティング部材(50)と固定スクロール(21)との間に配置される。可動スクロール(26)は、固定スクロール(21)に噛み合わされて固定スクロール(21)に対して偏心回転運動を行うように構成される。
固定スクロール(21)は、スクロール圧縮機(1)の軸方向(Y)の一方側(この例では、上側)に配置される。固定スクロール(21)は、固定側鏡板(22)と、固定側ラップ(23)と、外周壁部(24)とを有する。
固定側鏡板(22)は、概ね円形の板状に形成される。固定側ラップ(23)は、インボリュート曲線を描く渦巻き壁状に形成され、固定側鏡板(22)の前面(この例では、下面)から突出している。外周壁部(24)は、固定側ラップ(23)の外周側を囲むように形成され、固定側鏡板(22)の前面から突出している。固定側ラップ(23)の先端面(この例では、下端面)と、外周壁部(24)の先端面とは略面一になっている。
固定スクロール(21)の外周壁部(24)には、吸入ポート(図示せず)が形成される。吸入ポートは、第2ケーシング空間(S2)と連通する。固定スクロール(21)の固定側鏡板(22)の中央部には、固定側鏡板(22)を厚さ方向に貫通する吐出口(25)が形成される。
可動スクロール(26)は、可動側鏡板(27)と、可動側ラップ(28)と、ボス部(29)とを有する。
可動側鏡板(27)は、概ね円形の板状に形成される。可動側ラップ(28)は、インボリュート曲線を描く渦巻き壁状に形成され、可動側鏡板(27)の前面(この例では、上面)から突出している。ボス部(29)は、円筒状に形成され、可動側鏡板(27)の背面(この例では、下面)の中央部に配置される。可動スクロール(26)の可動側ラップ(28)は、固定スクロール(21)の固定側ラップ(23)と噛み合わされている。
このような構成により、固定スクロール(21)と可動スクロール(26)との間には、圧縮室(S20)が形成される。圧縮室(S20)は、流体を圧縮するための空間である。圧縮室(S20)は、吸入管、第2ケーシング空間(S2)、および吸入ポートを通じて吸入された流体を圧縮し、圧縮された流体を吐出口(25)を通じて吐出するように構成される。
電動機(30)は、ケーシング(10)内に収容され、圧縮機構(20)の下方に配置される。電動機(30)は、固定子(31)と、回転子(32)とを有する。固定子(31)は、実質的に円筒状に形成されてケーシング(10)に固定される。回転子(32)は、固定子(31)の内周に回転可能に挿通される。回転子(32)の内周には、駆動軸(40)が挿通されて固定される。
駆動軸(40)は、可動スクロール(26)を駆動する。駆動軸(40)は、可動スクロール(26)に連結され、可動スクロール(26)を回転可能に支持する。駆動軸(40)は、主軸部(41)と、偏心軸部(42)とを有する。主軸部(41)は、スクロール圧縮機(1)の軸方向(Y)に延びる。偏心軸部(42)は、主軸部(41)の上端に設けられる。偏心軸部(42)の外径は、主軸部(41)の外径よりも小さい。偏心軸部(42)の軸心は、主軸部(41)の軸心に対して所定距離だけ偏心している。
フローティング部材(50)は、可動スクロール(26)を固定スクロール(21)に押し付ける。フローティング部材(50)は、実質的に円筒状に形成される。フローティング部材(50)は、スクロール支持部(51)と、軸受部(53)と、連結部(55)とを有する。
スクロール支持部(51)は、可動スクロール(26)の背面に接触する実質的に円筒状の部分である。スクロール支持部(51)は、可動スクロール(26)を支持する。スクロール支持部(51)の外壁の下端寄りには、シール部材が収容される第1環状溝(52)が形成される。
軸受部(53)は、駆動軸(40)を回転可能に支持する。軸受部(53)は、スクロール支持部(51)よりも小さい内径を有する実質的に円筒状の部分である。軸受部(53)は、駆動軸(40)の主軸部(41)を回転可能に支持する。軸受部(53)の外壁の上端寄りには、シール部材(56)(図2参照)が収容される第2環状溝(54)が形成される。
連結部(55)は、実質的にリング状に形成された部分である。連結部(55)は、スクロール支持部(51)の下端部と、軸受部(53)の上端部とを互いに連結する。連結部(55)に対して径方向(X)外側には、シール部材が収容される第1環状溝(52)が形成される。径方向(X)外側は、径方向(X)のうち駆動軸(40)から離間する方向を示す。
可動スクロール(26)とフローティング部材(50)との間には、オルダム継手(80)が配置される。オルダム継手(80)は、可動スクロール(26)の自転防止機構として機能する。オルダム継手(80)は、可動スクロール(26)、及び、フローティング部材(50)の両方と摺動自在に係合し、可動スクロール(26)の自転を規制することで、可動スクロール(26)を固定スクロール(21)に対して偏心回転させる。
フレーム(60)は、フローティング部材(50)を支持する。フレーム(60)は、実質的に円筒状に形成される。フレーム(60)は、第2ケーシング空間(S2)において、例えば圧入によってケーシング(10)に固定される。フレーム(60)は、固定部(61)と、突出部(62)とを有する。
固定部(61)は、実質的に円筒状に形成された部分である。固定部(61)の外周面は、ケーシング(10)に固定される。固定部(61)の上面には、固定スクロール(21)が固定される。
突出部(62)は、実質的に円筒状またはリング状に形成された部分である。突出部(62)は、固定部(61)の内周部から径方向(X)内側に突出している。突出部(62)の上面の内周寄りには、シール部材(65)(図2参照)が収容される第3環状溝(63)が形成される。第3環状溝(63)は、本発明のシーリング溝の一例である。径方向(X)内側は、径方向(X)のうち駆動軸(40)に近接する方向を示す。
突出部(62)の径方向(X)内側には、貫通孔(64)が形成される。貫通孔(64)には、駆動軸(40)および軸受部(53)が挿通される。
フローティング部材(50)とフレーム(60)との間には、第1空間(71)及び第2空間(72)が形成される。
第1空間(71)は、フローティング部材(50)の連結部(55)及び軸受部(53)と、フレーム(60)の突出部(62)との間に形成される。第1空間(71)は、軸受部(53)の外周部側で、かつ、フローティング部材(50)とフレーム(60)との間に位置する。第1空間(71)は、第2環状溝(54)に収容されるシール部材(56)と、第3環状溝(63)に収容される環状のシール部材(65)とによって仕切られる。第1空間(71)は、ケーシング(10)の周方向において全周に延びている。第1空間(71)には、圧縮機構(20)により圧縮された流体の圧力である高圧が導入される。
第1空間(71)の径方向(X)外側には第2空間(72)が形成される。第1空間(71)と第2空間(72)との間には、第3環状溝(63)が設けられる。第1空間(71)と第2空間(72)とは、第3環状溝(63)に設置されたシール部材(65)(図2参照)によって仕切られる。第1空間(71)と第2空間(72)とのうち第1空間(71)が第3環状溝(63)の内側に設けられる。
固定スクロール(21)およびフレーム(60)の内部には、第1導入路(66)が形成される。第1導入路(66)の流入端は、吐出口(25)に開口している。第1導入路(66)の流出端は、第3環状溝(63)に開口している。
第2空間(72)は、フローティング部材(50)のスクロール支持部(51)及び連結部(55)と、フレーム(60)の突出部(62)との間に形成される。第2空間(72)は、フローティング部材(50)とフレーム(60)との間に位置する。第2空間(72)は、第1環状溝(52)に収容されるシール部材(図示せず)と、第3環状溝(63)に収容されるシール部材(65)とによって仕切られる。第2空間(72)は、ケーシング(10)の周方向において全周に延びている。第2空間(72)には、圧力が圧縮機構(20)へ吸入される流体の圧力より高く、かつ、圧縮機構(20)から吐出される流体の圧力(高圧)よりも低い中間圧が導入される。
固定スクロール(21)およびフレーム(60)の内部には、第2導入路(67)が形成される。第2導入路(67)の流入端は、圧縮室(S20)に開口している。第2導入路(67)の流出端は、第2空間(72)に開口している。
<運転動作>
スクロール圧縮機(1)の運転動作について説明する。
図1に示すように、電動機(30)に電力が供給されると、電動機(30)の回転子(32)が回転して、駆動軸(40)が回転駆動される。駆動軸(40)が回転駆動することで、駆動軸(40)に連結された可動スクロール(26)が固定スクロール(21)に対して偏心回転運動を行う。これにより、吸入管および第2ケーシング空間(S2)を介して圧縮室(S20)へ低圧の流体が吸入され、圧縮室(S20)内で圧縮される。圧縮された流体は、吐出口(25)及び第1ケーシング空間(S1)を介して吐出管(12)から吐出される。
第1導入路(66)には、吐出口(25)から圧縮後の流体が流入する。この流体は、第1導入路(66)を経由して第3環状溝(63)から第1空間(71)に導かれる。第1空間(71)では高い圧力(高圧)が生じ、当該高圧により、フローティング部材(50)を介して、可動スクロール(26)が固定スクロール(21)側に押し付けられる。
第2導入路(67)には、圧縮室(S20)から圧縮途中の流体が流入する。この流体は、第2導入路(67)を経由して第2空間(72)に導かれる。第2空間(72)ではやや高い圧力(中間圧)が生じ、当該中間圧によりフローティング部材(50)を介して、可動スクロール(26)が固定スクロール(21)側に押し付けられる。
<特徴部分>
図1~図4を参照して、スクロール圧縮機(1)についてさらに説明する。図2は、シール部材(65)及び第3環状溝(63)の寸法を示す図である。図3は、スクロール圧縮機(1)の運転動作時のフローティング部材(50)の状態を示す図である。図4は、スクロール圧縮機(1)の停止時のフローティング部材(50)の状態を示す図である。スクロール圧縮機(1)の停止時は、第1空間(71)への高圧の非導入時、かつ、第2空間(72)への中間圧の非導入時を示す。
図2において、点線のシール部材(65)は、シール部材(65)に対して外力が作用しておらず、シール部材(65)が弾性変形していない状態のときのシール部材(65)の形状を示す。寸法Z1は、弾性変形していないシール部材(65)の軸方向(Y)の寸法を示す。寸法Z2は、第3環状溝(63)の深さの寸法(軸方向(Y)の寸法)を示す。寸法Z3は、第3環状溝(63)の幅の寸法(径方向(X)の寸法)を示す。図2に示すように、寸法Z1は、寸法Z2よりも大きい(Z1>Z2)。寸法Z1は、寸法Z3よりも小さい(Z1<Z3)。寸法Z2は、寸法Z3よりも小さい(Z2<Z3)。寸法Z1は、例えば。3.53mmである。寸法Z2は、例えば、2.8mmである。寸法Z3は、例えば、4.4mmである。
図1、図3及び図4に示すように、フレーム(60)には第3環状溝(63)が形成される。フレーム(60)は、本発明の支持部材の一例である。第3環状溝(63)は、本発明の溝部の一例である。
第3環状溝(63)は、スクロール圧縮機(1)の駆動軸(40)を中心に環状に形成される(図1参照)。第3環状溝(63)は、フローティング部材(50)の背面(50a)に対して軸方向(Y)の他方側(この例では、下側)から対向配置される。フローティング部材(50)の背面(50a)は、フローティング部材(50)のうち軸方向(Y)の他方側を向く面である。
第3環状溝(63)は、軸方向(Y)の他方側に凹んだ形状を有し、フローティング部材(50)の背面(50a)との間に隙間を形成する。第3環状溝(63)は、第1空間(71)と第2空間(72)との間に設けられ、第1空間(71)及び第2空間(72)の各々と連通する。第1空間(71)は、第3環状溝(63)の内周側に位置する。第2空間(72)は、第3環状溝(63)の外周側に位置する。
第3環状溝(63)の底面(63a)は、フローティング部材(50)の背面(50a)と対向し、背面(50a)に対して軸方向(Y)に間隔を空けて配置される。第3環状溝(63)には、シール部材(65)が設けられる。
シール部材(65)は、弾性変形する。シール部材(65)は、例えば、水素化ニトリルゴム(HNBR)のようなゴム製の部材である。本実施形態では、シール部材(65)は、Oリングである。シール部材(65)は、第3環状溝(63)に沿って環状に形成される。シール部材(65)は、フローティング部材(50)の背面(50a)と、第3環状溝(63)の底面(63a)との間に設けられる。
図3及び図4に示すように、スクロール圧縮機(1)の運転動作時及び停止時において、 シール部材(65)は、第3環状溝(63)の底面(63a)と、フローティング部材(50)の背面(50a)とに接触しつつ、軸方向(Y)に収縮するように弾性変形した状態で第3環状溝(63)に設けられる。シール部材(65)は、軸方向(Y)に収縮するように弾性変形することで、軸方向(Y)に伸長するように弾性力(復元力)を発生する。スクロール圧縮機(1)の運転動作時(図3参照)、および停止時(図4参照)の両方において、シール部材(65)は、軸方向(Y)に収縮するように弾性変形しており、当該弾性力を発生した状態となっている。
シール部材(65)は、当該弾性力によりフローティング部材(50)を押し上げることで、フローティング部材(50)を介して可動スクロール(26)を固定スクロール(21)に押し付ける(図1参照)。図3に示すように、スクロール圧縮機(1)の運転動作時は、フローティング部材(50)に対して背面(50a)側から作用する圧力であり、第1空間(71)に導入される高圧による圧力(F1)、第2空間(72)に導入される中間圧による圧力(F2)、及び、シール部材(65)の弾性力(F3)によって、可動スクロール(26)が固定スクロール(21)に押し付けられる。図4に示すように、スクロール圧縮機(1)の停止時は、第1空間(71)に高圧が導入されず、かつ、第2空間(72)に中間圧が導入されないので、シール部材(65)の弾性力(F3)だけで、可動スクロール(26)が固定スクロール(21)に押し付けられる。
シール部材(65)は、第3環状溝(63)の底面(63a)と、フローティング部材(50)の背面(50a)とに接触することで、第1空間(71)と第2空間(72)とを仕切る。シール部材(65)により第1空間(71)と第2空間(72)とが仕切られることで、第1導入路(66)(図1参照)を流れる流体が、第3環状溝(63)に供給された後、第2空間(72)へ送られることを抑制され、第1空間(71)へ送られる。その結果、第1空間(71)で高圧が生じ、第1空間(71)に高圧が導入される。
<第1比較結果>
従来のスクロール圧縮機と第1実施形態のスクロール圧縮機(1)との第1比較結果について説明する。
図5に示すように、従来のスクロール圧縮機では、高圧が導入される高圧室(A1)と、中間圧が導入される中間圧室(A2)の仕切り部品としてシールリング(A3)が設けられていた。シールリング(A3)は、高圧室(A1)と中間圧室(A2)との間に位置する環状溝(A4)に設けられていた。図5に示すように、従来のスクロール圧縮機において、運転動作時には、高圧室(A1)に導入される高圧による圧力(A11)、および、中間圧室(A2)に導入される中間圧による圧力(A21)によってフローティング部材(A5)が押し上げられることで、可動スクロールが固定スクロールに押し付けられていた。図6に示すように、従来のスクロール圧縮機において、停止時には、シールリング(A3)がフローティング部材(A5)の背面から離間しており、フローティング部材(A5)に対して押付け力が作用していなかった。
図7において、縦軸の押付け力は、シールリング(A3)またはシール部材(65)を押し上げる力の大きさを示す。横軸の運転条件は、スクロール圧縮機の運転条件を示す。運転条件は高圧の大きさと中間圧の大きさとに依存する。ライン(L1)は第1実施形態のスクロール圧縮機(1)に関するものであり、ライン(L2)、およびライン(L3)は、従来のスクロール圧縮機(図5、図6参照)に関するものである。ライン(L3)に対応するスクロール圧縮機は、ライン(L2)に対応するスクロール圧縮機と比べて、例えば、シールリング(A3)の径を大きくすることで押付け力が大きくなるように構成している。ライン(L3)は、ライン(L2)と比較して、ラインの傾き(導入される中間圧および高圧の変化量に対する押付け力の変化量の割合)が大きくなる。
図4、図5および図7に示すように、第1実施形態のスクロール圧縮機(1)は、フローティング部材(50)に対する押付け力としてシール部材(65)の弾性力が常時作用している。よって、第1実施形態のスクロール圧縮機(1)と対応するライン(L1)は、従来のスクロール圧縮機と対応するライン(L2)と比較して、シール部材(65)の弾性力の分だけ押付け力が大きくなる。ライン(L2)ではスクロール圧縮機の停止時は押付け力は0であるが(図6参照)、ライン(L1)ではスクロール圧縮機(1)の停止時でもシール部材(65)の弾性力(F3)が初期荷重となり、押付け力を構成する。初期荷重は、例えば、120kfgである。
図7に示すように、運転エリア内において、ライン(L2)が示すスクロール圧縮機では押付け力が不足する場合、ライン(L3)が示すスクロール圧縮機を用いると、ラインの傾きが大きくなるため、中間圧および高圧が大きくなる程(座標系の右側へ向かう程)ライン(L2)に対するライン(L3)の乖離度合いが大きくなり、押付け力が過剰になる可能性がある。これに対し、ライン(L1)が示すスクロール圧縮機(1)を用いることで、ライン(L2)が示す押付け力に対して、一定の荷重であるシール部材(65)の弾性力を追加することができるので、ライン(L1)がライン(L2)から過度に乖離することを抑制できる。これにより、ライン(L1)が示す第1実施形態のスクロール圧縮機(1)によると、シール部材(65)の弾性力の大きさを調整することで、押付け力を容易に調整でき、押付け力が不足すること、および過剰になることを抑制できる。その結果、可動スクロール(170)を固定スクロール(160)に安定的に押し付けることができる。
<第2比較結果>
従来のスクロール圧縮機と第1実施形態のスクロール圧縮機(1)との第2比較結果について説明する。
図8に示すように、従来のスクロール圧縮機(図5および図6参照)は、高圧の大きさと中間圧の大きさとがスクロール圧縮機(1)の運転条件に依存してしまうため、特に、スクロール圧縮機の起動時、運転条件変更時等にはフローティング部材(A5)の背圧が安定せず、定常条件運転時および高差圧条件運転時に押付け力(Q)(図1参照)が不足することで、フローティング部材(A5)を押し下げる方向に作用する圧縮反力(R)(図1参照)に対する押付け力(Q)の割合が過少になることがある(図8の第1欄(P1)参照)。この場合、チッピング(可動スクロールの転覆)が発生することで、可動スクロールと固定スクロールとの摺動面が損傷する可能性がある。
フローティング部材(A5)の背圧が不足しないようにするために、フローティング部材(A5)における背圧が負荷される領域の面積を拡大させて、フローティング部材(A5)の背圧調整を行うと、運転条件毎に背圧による可動スクロールの押し付け力の差が大きくなり、特に高差圧条件運転時に押付け力(Q)が過大となり(図8の第2欄(P2)参照)、固定スクロールと可動スクロールのスラスト摺動面が損傷する可能性がある。
第1実施形態のスクロール圧縮機(1)では、全運転領域において運転条件に依存しない一定荷重(シール部材(65)の弾性力)が押付け力(Q)に追加される(図7のライン(L1)の初期荷重参照)。これにより、シール部材(65)の弾性力を調整することで、圧縮反力(R)に対する押付け力(Q)の割合を上げつつ、過剰な押付け力(Q)が生じないようにスクロール圧縮機(1)を容易に設計できる。検証結果では、定格条件運転時の押付け力(Q)を100とした場合において、従来の背圧調整後のスクロール圧縮機では高差圧条件運転時の押付け力(Q)が122(図8の第2欄(P2)参照)となり過大となっていることに対し、第1実施形態のスクロール圧縮機(1)では押付け力(Q)を115に抑制できた(図8の第3欄(P3)参照)。その結果、スラスト摺動面の損傷が発生することを抑制できた。
また、起動時等の背圧がない状態、または運転条件変更時に一時的に背圧が小さくなってしまう状態でも、第1実施形態のスクロール圧縮機(1)によるとシール部材(65)の弾性力による一定荷重の押付け力(Q)が付与されることで可動スクロール(26)が効果的に支持されるので、従来のスクロール圧縮機と比べて圧縮反力(R)に対する押付け力(Q)の割合が過少になることを抑制でき(図8の第1欄(P1)および第4欄(P4)参照)、背圧が不安定になることでチッピングが発生することを抑制できる。
<効果>
以上のように、シール部材(65)は、弾性変形可能である。シール部材(65)は、単一の部材であり、第3環状溝(63)に設けられる。シール部材(65)は、第1空間(71)と第2空間(72)とを仕切るとともに、弾性力によりフローティング部材(50)を可動スクロール(26)に押し付ける。可動スクロール(26)を固定スクロール(21)に押し付ける際のフローティング部材(50)に対する背圧として、スクロール圧縮機(1)の運転条件に依存しない力であるシール部材(65)の弾性力を用いることができる。その結果、可動スクロール(26)を固定スクロール(21)に安定的に押し付けることができる。
<第2実施形態>
図9を参照して、本発明の第2実施形態に係るスクロール圧縮機(2)について説明する。図9は、本発明の第2実施形態に係るスクロール圧縮機(2)の断面図である。
図9に示すように、スクロール圧縮機(2)は、第1実施形態のスクロール圧縮機(1)と比較してフローティング部材(50)(図1参照)を有しない点が異なる。以下では、スクロール圧縮機(2)について、主に、第1実施形態のスクロール圧縮機(1)と異なる点を説明する。
図9に示すように、スクロール圧縮機(2)は、ケーシング(100)と、該ケーシング(100)に収納された電動機(120)及び圧縮機構(130)とを備える。
電動機(120)は、ケーシング(100)に固定された固定子(121)と、該固定子(121)の内側に配置された回転子(122)とを備えている。回転子(122)は、駆動軸(140)に固定されている。
ケーシング(100)には、ハウジング(150)が固定されている。ハウジング(150)の上方には、上記圧縮機構(130)が配置されている。
駆動軸(140)は、主軸部(141)と、主軸部(141)の上端に連結される偏心部(142)とを有している。主軸部(141)は、ハウジング(150)により回転可能に支持される。
圧縮機構(130)は、ハウジング(150)の上面に固定されることによってケーシング(100)に対しても固定される固定スクロール(160)と、固定スクロール(160)に噛合する可動スクロール(170)とを備えている。可動スクロール(170)は、固定スクロール(160)とハウジング(150)との間に配置されている。可動スクロール(170)は、ハウジング(150)により支持される。
可動スクロール(170)は、駆動軸(140)の偏心部(142)が挿入されることで、駆動軸(140)と連結されている。 可動スクロール(170)とハウジング(150)との間には、オルダム継手(190)が配置される。オルダム継手(190)は、可動スクロール(170)の自転を規制することで、可動スクロール(170)を固定スクロール(160)に対して偏心回転させる。可動スクロール(170)は、上記固定スクロール(160)に噛み合わされた状態で該固定スクロール(160)に対して偏心回転運動を行う。
圧縮機構(130)では、固定スクロール(160)と可動スクロール(170)との間に冷媒が流入する圧縮室(S)が形成されている。可動スクロール(170)が偏心回転すると、圧縮室(S)の容積が小さくなっていく。これにより、圧縮室(S)では、冷媒が圧縮されていく。
圧縮機構(130)で圧縮された高圧冷媒が下部空間(101)に流出することで、下部空間(101)が高圧雰囲気となる。
ハウジング(150)には、内周部の上面に周方向へのびる第4環状溝(151)が形成され、この第4環状溝(151)にはシール部材(152)(図10および図11参照)が設けられる。シール部材(152)の内側には、高圧空間である第3空間(102)(図10および図11参照)が形成される。シール部材(152)の外周側には中間圧空間である第4空間(103)(図10および図11参照)が形成される。第3空間(102)には、圧縮機構(130)の吐出圧力に相当する高圧が作用する。中間圧状態の圧縮室(S)から中間圧の冷媒が第4空間(103)に間欠的に供給され、第4空間(103)が所定の中間圧の雰囲気となる。第3空間(102)の高圧と第4空間(103)の中間圧により生じる押し付け力の合力により、可動スクロール(170)が固定スクロール(160)に押し付けられる。
<特徴部分>
図9~図11を参照して、スクロール圧縮機(2)についてさらに説明する。図10は、スクロール圧縮機(2)の運転動作時の可動スクロール(170)の状態を示す図である。図11は、スクロール圧縮機(2)の停止時の可動スクロール(170)の状態を示す図である。スクロール圧縮機(2)の停止時は、第3空間(102)への高圧の非導入時、かつ、第4空間(103)への中間圧の非導入時を示す。
図9~図11に示すように、第4環状溝(151)は、スクロール圧縮機(2)の駆動軸(140)を中心に環状に形成される。第4環状溝(151)は、可動スクロール(170)の背面(170a)に対向配置される。第4環状溝(151)には、第3空間(102)と第4空間(103)とが連通する。第4環状溝(151)は、第3空間(102)と第4空間(103)との間に位置する。第4環状溝(151)の寸法は、例えば、第1実施形態の第3環状溝(63)の寸法(図2参照)と同じである。
シール部材(152)は、第1実施形態のシール部材(65)と同様の素材で構成され、弾性変形する。シール部材(152)は、例えば、Oリングである。シール部材(152)の寸法は、例えば、第1実施形態のシール部材(65)の寸法(図2参照)と同じである。シール部材(152)は、可動スクロール(170)の背面(170a)と第4環状溝(151)の底面(151a)とに接触しつつ、スクロール圧縮機(2)の軸方向(Y)(図9の上下方向)に収縮するように弾性変形した状態で第4環状溝(151)に設けられる。シール部材(152)に対して軸方向(Y)の一方側からは背面(170a)が接触し、軸方向(Y)の他方側からは底面(151a)が背職する。第2実施形態において、軸方向(Y)は、駆動軸(140)の延びる方向である。シール部材(152)は、可動スクロール(170)の背面(170a)と第4環状溝(151)の底面(151a)とに挟まれて、軸方向(Y)に収縮するように弾性変形することで、軸方向(Y)に伸長するように弾性力(復元力)を発生する。スクロール圧縮機(2)の運転動作時(図10参照)、および停止時(図11参照)の両方において、シール部材(152)は、軸方向(Y)に収縮するように弾性変形しており、当該弾性力を発生した状態となっている。
シール部材(152)は、当該弾性力により可動スクロール(170)を押し上げることで、可動スクロール(170)を固定スクロール(160)に押し付ける。図10に示すように、スクロール圧縮機(2)の運転動作時は、可動スクロール(170)に対して背面(170a)側から作用する圧力であり、第3空間(102)に導入される高圧による圧力(F4)、第4空間(103)に導入される中間圧による圧力(F5)、及び、シール部材(152)の弾性力(F6)によって、可動スクロール(170)が固定スクロール(160)に押し付けられる。図11に示すように、スクロール圧縮機(2)の停止時は、第3空間(102)に高圧が導入されず、かつ、第4空間(103)に中間圧が導入されないので、シール部材(152)の弾性力(F6)だけで、可動スクロール(170)が固定スクロール(160)に押し付けられる。
シール部材(152)は、第4環状溝(151)の底面(151a)と、可動スクロール(170)の背面(170a)とに接触することで、高圧の第3空間(102)と、中間圧の第4空間(103)とを仕切る。
<効果>
以上のように、シール部材(152)は、弾性変形可能である。シール部材(152)は、単一の部材であり、第4環状溝(151)に設けられる。シール部材(152)は、第3空間(102)と第4空間(103)とを仕切るとともに、弾性力により可動スクロール(170)を固定スクロール(160)に押し付ける。可動スクロール(170)を固定スクロール(160)に押し付ける際の可動スクロール(170)に対する背圧として、スクロール圧縮機(2)の運転条件に依存しない力であるシール部材(152)の弾性力を用いることができる。その結果、可動スクロール(170)を固定スクロール(160)に安定的に押し付けることができる。
<変形例>
なお、第2実施形態のスクロール圧縮機(2)において、シール部材(152)と上可動スクロール(170)との各々の接触面(180)(図10参照)は、超仕上げ加工を施された構造を有していてもよい。これにより、スクロール圧縮機(2)の運転動作時において、可動スクロール(170)が回転することでシール部材(65)と摺動する際にシール部材(65)に対して生じる摩擦力を低減できるので、シール部材(65)ことで劣化することを抑制できる。
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態および変形例は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
以上説明したように、本開示は、スクロール圧縮機および空気調和装置について有用である。
1 スクロール圧縮機
2 スクロール圧縮機
20 圧縮機構
21 固定スクロール
26 可動スクロール
50 フローティング部材
50a 背面
60 フレーム(支持部材)
63 第3環状溝(溝部)
65 シール部材
71 第1空間
72 第2空間
102 第3空間
103 第4空間
130 圧縮機構
150 ハウジング(支持部材)
151 第4環状溝(溝部)
160 固定スクロール
170 可動スクロール

Claims (9)

  1. 固定スクロール(21)および可動スクロール(26)を有する圧縮機構(20)と、
    上記可動スクロール(26)を上記固定スクロール(21)に押し付けるフローティング部材(50)と、
    上記フローティング部材(50)を支持する支持部材(60)と、
    弾性変形可能なシール部材(65)と
    を備え、
    上記フローティング部材(50)と上記支持部材(60)との間には、
    上記圧縮機構(20)により圧縮された流体の圧力である高圧が導入される第1空間(71)と、
    上記高圧よりも低圧の中間圧が導入される第2空間(72)と、
    上記第1空間(71)と上記第2空間(72)との間に設けられる溝部(63)と
    が形成され、
    上記高圧および上記中間圧は、上記フローティング部材(50)の背面(50a)側から上記フローティング部材(50)を上記可動スクロール(26)に押し付け、
    上記シール部材(65)は、上記溝部(63)に設けられ、上記第1空間(71)と上記第2空間(72)とを仕切るとともに、弾性力により上記フローティング部材(50)を上記可動スクロール(26)に押し付ける、
    スクロール圧縮機。
  2. 請求項1において、
    上記シール部材(65)は、弾性変形した状態で、上記支持部材(60)に接触するとともに、上記フローティング部材(50)に接触する、スクロール圧縮機。
  3. 請求項1または請求項2において、
    上記高圧および上記中間圧の非導入時に、上記シール部材(65)の弾性力だけで上記フローティング部材(50)を上記可動スクロール(26)に押し付ける、スクロール圧縮機。
  4. 固定スクロール(160)および可動スクロール(170)を有する圧縮機構(130)と、
    上記可動スクロール(170)を支持する支持部材(150)と、
    弾性変形可能なシール部材(152)と
    を備え、
    上記可動スクロール(170)と上記支持部材(150)との間には、
    上記圧縮機構(130)により圧縮された流体の圧力である高圧が導入される第3空間(102)と、
    上記高圧よりも低圧の中間圧が導入される第4空間(103)と、
    上記第3空間(102)と上記第4空間(103)との間に設けられる溝部と
    が形成され、
    上記高圧および上記中間圧は、上記可動スクロール(170)の背面側から上記可動スクロール(170)を上記固定スクロール(160)に押し付け、
    上記シール部材(152)は、上記溝部に設けられることで、上記第3空間(102)と上記第4空間(103)とを仕切るとともに、弾性力により上記可動スクロール(170)を上記固定スクロール(160)に押し付ける、
    スクロール圧縮機。
  5. 請求項4において、
    上記シール部材(152)は、弾性変形した状態で、上記支持部材(150)に接触するとともに、上記可動スクロール(170)に接触する、スクロール圧縮機。
  6. 請求項4または請求項5において、
    上記シール部材(152)と上記可動スクロール(170)との接触面は、超仕上げ加工を施された構造を有する、スクロール圧縮機。
  7. 請求項4から請求項6のいずれか1項において、
    上記高圧および上記中間圧の非導入時に、上記シール部材(152)の弾性力だけで上記可動スクロール(170)を上記固定スクロール(160)に押し付ける、スクロール圧縮機。
  8. 請求項1から請求項7のいずれか1項において、
    上記シール部材(65, 152)は、Oリングである、スクロール圧縮機。
  9. 請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のスクロール圧縮機(1,2)を備える空気調和装置。
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