JP2023088486A - 遮断器用緩衝装置 - Google Patents

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裕之 立川
Hiroyuki Tachikawa
篤史 廣田
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Abstract

【課題】遮断器の遮断速度を向上でき、遮断器の投入動作の緩衝力を良好に発揮できる遮断器用緩衝装置を提供すること。【解決手段】緩衝装置(20)は、油(R)が内外で流入出するシリンダ(24)と、シリンダの軸方向に移動可能に収容されたピストン(22)とを備え、操作器(11)の遮断動作及び投入動作にてピストンに動作抵抗を付与する。シリンダは、筒状の本体部(36)と、本体部の軸方向一端側を塞ぐ位置に設けられた第1シリンダ壁(37)とを備えている。第1シリンダ壁には、油が流入出するテーパ状流路(41)を備えた調整弁(40)が設けられている。調整弁は、遮断動作の開始段階の方が投入動作の終了段階に比べてテーパ状流路の流路断面積を拡大させる。【選択図】図2

Description

本発明は、遮断器用緩衝装置に関する。
開閉装置においては、電流通電のための主回路を接離する固定接点及び可動接点を有する遮断器と、この遮断器の固定接点に対する可動接点の接離を操作する操作器とを備えている。主回路の遮断は、外部から指示される遮断信号に応じて操作器によって固定接点から可動接点を離間させることで行われる。一方、主回路の投入(電気的な接続)は、外部から指示される投入信号に応じて操作器によって固定接点に対して可動接点を接触させることで行われる。
操作器にあっては遮断動作終了近傍での衝撃力を抑え、開閉機構の損傷を防止すべく緩衝装置が設けられる。かかる緩衝装置としては、特許文献1の第7図に開示されたものが知られている。
特許文献1にあっては、開閉機構における主軸の駆動力が、操作器の操作主軸に伝達され、操作主軸に所定のリンク機構を介して緩衝装置のピストンが接続される。操作器の操作主軸の移動と同時に、緩衝装置ではピストンがシリンダ内の油を孔を介して流入出させながら移動する。このとき、ピストンが緩衝され、この緩衝力がリンク機構や操作器を介して接点部等に作用する。
特開昭63-205019号公報
特許文献1のような遮断器用の緩衝装置にあっては、シリンダ内の油を流入出させる孔がシリンダの両側(投入側、遮断側)で対称に配置されている。このため、ピストンがどちらに動いても同等の流体抵抗になるように構成される。
一方、遮断器では、遮断時の速度が遮断性能に影響するため、遮断動作初期段階の緩衝力を低減して遮断速度を向上することが要求される。更に、遮断器では、遮断速度を向上しつつも、投入動作の緩衝力を維持若しくは向上することが要求される。かかる2つの要求を満たすためには、特許文献1のようにシリンダの両側に形成される孔が対称となる構成では改善の余地があった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、遮断器の遮断速度を向上でき、遮断器の投入動作の緩衝力を良好に発揮できる遮断器用緩衝装置を提供することを目的とする。
本発明における一態様となる遮断器用緩衝装置は、粘性を付与する流体が充填されるケースと、前記ケース内に収容されて前記流体が内外で流入出するシリンダと、前記シリンダの軸方向に移動可能に収容されたピストンとを備え、前記ピストンが所定のリンク機構を介して遮断器の操作器に接続され、前記操作器の遮断動作及び投入動作にて前記ピストンに動作抵抗を付与する遮断器用緩衝装置であって、前記シリンダは、筒状に設けられて前記流体が流れる孔が散点的に複数形成された本体部と、前記本体部の軸方向一端側を塞ぐ位置に設けられ、前記遮断動作で前記ピストンが離れ、前記投入動作で前記ピストンが接近するシリンダ壁とを備え、前記シリンダ壁には、前記流体が流入出する流路を備えた調整弁が設けられ、前記調整弁は、前記遮断動作の開始段階の方が前記投入動作の終了段階に比べて前記流路の流路断面積を拡大させることを特徴とする。
本発明によれば、遮断器の操作器における遮断動作と投入動作とにおいて、調整弁における流体の流入出の変化を大きくさせることができる。これにより、調整弁によって、遮断動作の開始段階でピストンに付与する動作抵抗を少なくし、投入動作の終了段階でピストンに付与する動作抵抗を大きくすることができる。この結果、遮断器の遮断速度を向上でき、遮断器の投入動作の緩衝力を良好に発揮することができる。
実施の形態に係る緩衝装置を用いた遮断器の概略図である。 実施の形態に係る緩衝装置の概略断面図である。 図2の要部拡大図である。 一部構成を省略した図3のA-A線断面図である。 実施の形態に係る緩衝装置での遮断工程の途中状態を示す図2と同様の断面図である。 実施の形態に係る緩衝装置での遮断状態を示す図2と同様の断面図である。 実施の形態に係る緩衝装置での投入工程の途中状態を示す図2と同様の断面図である。 図8Aは、実施の形態における遮断動作と速度の関係を示すグラフであり、図8Bは、実施の形態における遮断動作と緩衝力の関係を示すグラフである。 図9A及び図9Bは、第1変形例に係る調整弁の説明用断面図である。 図10A及び図10Bは、第2変形例に係る調整弁の説明用断面図であり、図10Cは、第2変形例に係る調整弁の説明用拡大側面図である。 図11A及び図11Bは、第3変形例に係る調整弁の説明用断面図である。
以下、本発明の実施の形態に係る遮断器用緩衝装置(以下、単に「緩衝装置」ともいう)について、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、下記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施することができるものである。以下の図においては、説明の便宜上、一部の構成を省略することがある。
図1は、実施の形態に係る緩衝装置を用いた遮断器の概略図である。図1に示すように、遮断器10の側方に操作器11が取り付けられている。遮断器10の主軸13と操作器11の操作主軸14は所定のリンク機構15を介して接続されている。
本実施の形態では、リンク機構15は、主軸13に設けられたレバー16と、操作主軸14に設けられたレバー17と、各レバー16、17を連結するリンク18とを備えている。レバー17にはピストンロッド19を介して油圧式の遮断器用緩衝装置(緩衝装置)20が接続されている。
図2は、実施の形態に係る緩衝装置の概略断面図である。図2に示すように、緩衝装置20は、ピストンロッド19に接続されて図2中左右方向に移動するピストン22を備えている。また、緩衝装置20は、粘性を付与する流体となる油Rが充填されるケース23と、ケース23内に収容され、且つ、ピストン22を収容するシリンダ24とを備えている。
ここで、ピストンロッド19及びピストン22は、操作器11の遮断動作にて図2中左方向に移動し、投入動作で図2中右方向に移動する。よって、シリンダ24においては図2中左側が遮断側、図2中右側が投入側となる。
ケース23は、内部でシリンダ24を保持しつつ収容している。ケース23は、円筒状に形成されたケース本体26と、ケース本体26の軸方向一端側となる図2中右端側を塞ぐ位置に設けられた第1ケース壁27と、ケース本体26の軸方向他端側となる図2中左端側を塞ぐ位置に設けられた第2ケース壁28とを備えている。
第1ケース壁27は、ケース23の内方に突出する支持軸30を介し、後述する第1シリンダ壁37に連なっている。第1ケース壁27、支持軸30及び第1シリンダ壁37には、ピストンロッド19が挿通される挿通孔31が形成される。挿通孔31の一部内周面にはオイルシール32が設けられる。
第2ケース壁28は、ケース本体26の内外を貫通する装着軸34の中途にフランジ状に形成されている。装着軸34は、緩衝装置20の外部の所定の支持構造に支持される。装着軸34の内方端に連なって後述する第2シリンダ壁38が形成されている。
シリンダ24は、円筒状に形成された本体部36と、本体部36の軸方向一端側となる図2中右端側を塞ぐ位置に設けられた第1シリンダ壁(シリンダ壁)37と、本体部36の軸方向他端側となる図2中左端側を塞ぐ位置に設けられた第2シリンダ壁38とを備えている。
シリンダ24の内部においてもケース23と同様に油Rが充填される。シリンダ24の内部には、ピストン22が図2中左右方向(シリンダ24の軸方向)に移動可能に収容される。ピストン22は、操作器11の遮断動作にて図2中左方向に移動して第1シリンダ壁37から離れ、操作器11の投入動作で図2中右方向に移動して第1シリンダ壁37に接近する。
本体部36は、ケース本体26とピストンロッド19と共通の軸中心位置を有するように設けられる。本体部36には、油Rが流れる孔39が散点的に複数形成され、かかる孔39を介して油Rがシリンダ24の内外で流入出する。また、第2シリンダ壁38においても、シリンダ24の内外で油Rを流入出させる孔38aが形成されている。
図3は、図2の要部拡大図である。図4は、ピストンを省略した図3のA-A線断面図である。図3に示すように、第1シリンダ壁37には調整弁40が設けられている。調整弁40は、第1シリンダ壁37を貫通して形成されるテーパ状流路(流路)41と、テーパ状流路41内に設けられるボール(開閉部材)42とを備えている。調整弁40は、シリンダ24の軸中心周りに複数設けられ、本実施の形態では、該中心周りに等角度毎の4箇所設けられている(図4参照)。ボール42の材質は特に限定されるものでないが、好ましくは、耐油性を有する金属によって構成される。
テーパ状流路41は、上記の孔39、38aと同様に、シリンダ24の内外で油Rを流入出させる。テーパ状流路41は、第1シリンダ壁37の内面側から外面側に向かって次第に小さくなる開口径を備えている。よって、テーパ状流路41は、シリンダ24の内側(図3中左側)が拡径側となって最大径部分を形成し、シリンダ24の外側(図3中右側)となるケース23側が縮径側となって最小径部分を形成する。
テーパ状流路41の最大径部分の径寸法は、ボール42の径寸法より大きく形成される。テーパ状流路41の最小径部分の径寸法は、ボール42の径寸法より小さく形成される。これにより、テーパ状流路41内にてボール42を移動でき、テーパ状流路41の図3中右寄りの位置でテーパ状流路41にボール42が嵌ってテーパ状流路41がボール42で閉塞される。また、この状態で、ボール42に図3中左側の力が加わると、テーパ状流路41の内周面からボール42が離れてテーパ状流路41が開放される。これにより、調整弁40は、ボール42の移動によってテーパ状流路41を開閉可能に設けられ、また、ボール42の移動位置によってテーパ状流路41の流路断面積を拡大及び縮小可能に設けられている。
第1シリンダ壁37の隣接位置には、網状部材からなる規制部材44が設けられている。規制部材44の網目の大きさは、油Rの通過を許容しつつボール42の通過を規制可能に設定されている。よって、規制部材44によって、テーパ状流路41からボール42が抜け出ることが防止される。
続いて、上記実施の形態における緩衝装置20の動作を図2に加え、図5~図7を参照して説明する。図5は、実施の形態に係る緩衝装置での遮断工程の途中状態を示す図2と同様の断面図である。図6は、実施の形態に係る緩衝装置での遮断状態を示す図2と同様の断面図である。図7は、実施の形態に係る緩衝装置での投入工程の途中状態を示す図2と同様の断面図である。なお、図2は、投入状態を示し、遮断工程の開始状態も示している。また、図6は、投入工程の開始状態も示している。
遮断器10の投入状態では、図2に示すように、ピストンロッド19及びピストン22が右寄りに配置される。これにより、ピストン22がシリンダ24の第1シリンダ壁37に接近した状態となる。この状態で、調整弁40では、ボール42がテーパ状流路41の縮径側に接触し、テーパ状流路41がボール42によって閉塞される。
遮断器10の遮断指令が入ると遮断工程が開始される。遮断工程において、遮断器10の接点を操作器11が遮断する方向に動作すると、図5に示すように、ピストンロッド19及びピストン22が連動して遮断方向となる図5中左方向に移動する。かかるピストン22の移動によって、シリンダ24内のピストン22の左側では増圧されて孔39、38aを通じてシリンダ24から油Rが流出する。また、シリンダ24内におけるピストン22の右側では減圧されて孔39を通じてシリンダ24内に油Rが流入する。
また、シリンダ24内のピストン22右側の減圧によって、調整弁40のボール42がシリンダ24の外部の油Rに押圧される。この押圧によって、ボール42がテーパ状流路41の縮径側から拡径側(左方向)に移動し、テーパ状流路41の閉塞が解除されて開放される。これにより、テーパ状流路41を通じ、ケース23内であってシリンダ24の外部となる空間から、シリンダ24内のピストン22と第1シリンダ壁37との間の空間へ油Rが流入する。
かかる油Rの流入によって、ピストン22に対する流体抵抗を減らすことができ、遮断動作の開始段階のピストン22及びピストンロッド19の動作抵抗を低減することができる。調整弁40にてテーパ状流路41の縮径側からボール42が離れる方向に移動するが、規制部材44によってテーパ状流路41の内部にボール42が収まった状態が維持される。
遮断動作が終了段階になると、図6に示すように、シリンダ24にてピストン22より図6中左側の孔39がなくなったり少なくなったりする。これにより、シリンダ24におけるピストン22の左側の油Rの圧力が高まり、ピストン22と共に動作する各部の衝撃力を抑制して緩衝効果を高めることができる。
遮断器10の遮断状態では、図6に示すように、ピストンロッド19及びピストン22が左寄りに配置される。これにより、ピストン22がシリンダ24の第2シリンダ壁38に接近した状態となる。この状態で、調整弁40では、ボール42がテーパ状流路41の拡径側に位置し、テーパ状流路41はボール42によって閉塞されずに開放される。
遮断器10の投入指令が入ると投入工程が開始される。遮断工程において、遮断器10の接点を操作器11が投入する方向に動作すると、図7に示すように、ピストンロッド19及びピストン22が連動して投入方向となる図7中右方向に移動する。かかるピストン22の移動によって、シリンダ24内のピストン22の左側では減圧されて孔39、38aを通じてシリンダ24内に油Rが流入する。また、シリンダ24内におけるピストン22の右側では増圧されて孔39を通じてシリンダ24内から油Rが流出する。
また、シリンダ24内のピストン22右側の増圧によって、調整弁40のボール42がシリンダ24内の油Rに押圧される。この押圧によって、ボール42がテーパ状流路41の拡径側から縮径側(右方向)に移動し、テーパ状流路41がボール42によって閉塞される。これにより、テーパ状流路41を通じ、シリンダ24内のピストン22と第1シリンダ壁37との油Rが流出することが規制される。
かかる油Rの流出規制によって、ピストン22に対する流体抵抗を増やすことができ、投入動作のピストン22の動作抵抗を大きくすることができる。特に、投入動作が終了段階になると、図2に示すように、シリンダ24にてピストン22より図2中右側の孔39がなくなったり少なくなったりする。これにより、シリンダ24におけるピストン22の右側の油Rの圧力が高まり、ピストン22と共に動作する各部の衝撃力を抑制して緩衝効果を高めることができる。
上記実施の形態によれば、調整弁40のボール42の移動によって、遮断動作の開始段階でテーパ状流路41を開放でき、且つ、投入動作の少なくとも終了段階でテーパ状流路41を閉塞することができる。かかるテーパ状流路41の開閉により、遮断動作(特に開始段階)と投入動作(特に終了段階)との対比にて、シリンダ24への油Rの流入出の変化を大きくさせることができる。
よって、上記実施の形態の調整弁40は、遮断動作の開始段階でピストン22に付与する動作抵抗を少なくでき、遮断器10の遮断速度向上を図ることができる。更に、投入動作の終了段階でピストン22に付与する動作抵抗を大きくでき、遮断器10の投入動作の緩衝力を良好に発揮することができる。このように、上記実施の形態では、遮断器10の遮断性能を向上と、遮断器10の投入動作時に発生する負荷の軽減とを同時に達成することができる。なお、調整弁40の上記開放及び閉塞によってテーパ状流路41の流路断面積が拡大及び縮小され、遮断動作の開始段階の方が投入動作の終了段階に比べてテーパ状流路41の流路断面積を拡大した状態となっている。
また、調整弁40のテーパ状流路41によって流路断面積を拡大可能としつつ、ボール42によって油Rの圧力変化に応じたテーパ状流路41の開閉を簡単な構成によって実現することができる。
ここで、実施の形態における遮断動作時の作用について、図8A及び図8Bのグラフを参照して説明する。図8Aは、実施の形態における遮断動作と速度の関係を示すグラフであり、図8Bは、実施の形態における遮断動作と緩衝力の関係を示すグラフである。ここで、比較例は、上記実施の形態の緩衝装置20における調整弁40の代わりに、孔38aと同等の孔を第1シリンダ壁37に形成した構成としている。かかる比較例及び実施の形態にて、遮断動作時のピストンの速度と、遮断動作による緩衝装置が付与する緩衝力とを求めるシミュレーションを実施した。その結果を図8A及び図8Bのグラフに示す。
図8Aに示すように、遮断動作の開始段階において、実施の形態の方が比較例に比べてピストンの速度を速くすることができる。これは、調整弁40にてテーパ状流路41のボール42による閉塞が解除(開放)され、テーパ状流路41での流路断面積を比較例の孔の流路断面積より大きく確保できるからである。
また、図8Bに示すように、遮断動作終了の少し前段階において、実施の形態及び比較例の両方にて緩衝力がピークとなるが、実施の形態の方が比較例に比べて緩衝力を大きくすることができる。これは、図8Aに示すように、実施の形態の方が比較例に比べてピストンの速度のピークも速くなり、これに応じて緩衝力が高まるからである。このように、実施の形態によれば、調整弁40を設けたことで、遮断動作時のピストンを高速移動として遮断性能を高めることができ、且つ、ピーク時の緩衝力を高めて遮断動作終了時に発生する各部の衝撃を緩和することができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状、向きなどについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
上記実施の形態では、粘性を付与する流体として油Rを用いたが、該油Rと同様の機能を発揮し得る限りにおいて、油R以外の液体としてもよい。
また、規制部材44は、図4に示すようにシリンダ24の第1シリンダ壁37全体を覆うように設けたが、調整弁40の設置箇所だけに散点的に設けてもよい。
また、調整弁40は、遮断動作開始時の方が投入動作時に比べてテーパ状流路41の流路断面積を大きくできればよく、投入動作の終了段階でテーパ状流路41が完全に閉塞されずに油Rが若干流れる状態としてもよい。
更に、調整弁40の流路や開閉部材、及び調整弁40の周辺構造は、上記構成に限定されるものでなく、例えば、図9~図11に示す変形例の構成にする等、種々の変更が可能である。
図9A及び図9Bは、第1変形例に係る調整弁の説明用断面図である。図9A及び図9Bの第1変形例は、調整弁50を構成する流路51がテーパ状流路51aと円筒内周面形状を有するストレート孔51bとを有する。テーパ状流路51a内には開閉部材となるボール52が設けられている。テーパ状流路51aの縮径側には、ばね(弾性部材)53の一端が固定されている。ばね53の他端はボール52に接続されている。これにより、ボール52がテーパ状流路51aから離れた場所に抜け出すことを回避できる。
第1変形例にて、投入動作におけるシリンダ24内の油(不図示)に圧力変化が生じると、ばね53の弾性力に抗してボール52が図9Aにて右側に移動する。この移動によって、図9Bに示すように、ボール52がテーパ状流路51aの縮径側に接触し、流路51がボール52によって閉塞される。
一方、第1変形例にて、遮断動作でのシリンダ24内の油の圧力変化や、シリンダ24の内外で油R圧力が略同一となると、ばね53の弾性力(復元力)によってボール52がテーパ状流路51aの拡径側(左側)に配置される。これにより、流路51はボール52によって閉塞されずに開放される。このような第1変形例によっても、遮断動作と投入動作とで調整弁50の流路51を開閉でき、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
図10A及び図10Bは、第2変形例に係る調整弁の説明用断面図であり、図10Cは、第2変形例に係る調整弁の説明用拡大側面図である。図10A~図10Cの第2変形例は、調整弁60を構成する流路61がテーパ状流路61aと、円筒内周面形状を有するストレート孔61bとを有し、それらの間に段部61cを形成している。テーパ状流路61aの拡径側には、弾性変形可能且つ伸縮自在な開閉部材62が固定されている。
図10Cに示すように、開閉部材62は、円板部62aと、円板部62aから放射状に突出して先端がテーパ状流路61aの拡径側に接続される接続部62bとを備えている。隣り合う接続部62bの間に隙間63が形成され、かかる隙間63から油(不図示)が流入出される。開閉部材62は、図10Aに示したテーパ状流路61aの拡径側に沿う位置と、図10Bに示した段部61c側に湾曲して円板部62aでストレート孔61bを閉塞する位置との間で変形可能に設けられる。開閉部材62は、図10Aに示した位置では隙間63からの油Rの流入出を許容するので、開閉部材62の変形によって流路61が開閉される。
第2変形例にて、投入動作におけるシリンダ24内の油に圧力変化が生じると、開閉部材62の弾性力に抗して開閉部材62が図10Bに示すように変形する。この変形によって、開閉部材62が段部61c側に湾曲して円板部62aでストレート孔61bが閉塞される。
一方、第2変形例にて、遮断動作でのシリンダ24内の油の圧力変化や、シリンダ24の内外で油の圧力が略同一となると、開閉部材62の弾性力(復元力)によって開閉部材62が図10Aに示すテーパ状流路61aの拡径側に配置される。これにより、隙間63からの油の流入出が許容され、流路61は開閉部材62によって閉塞されずに開放される。このような第2変形例によっても、遮断動作と投入動作とで調整弁60の流路61を開閉でき、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
図11A及び図11Bは、第3変形例に係る調整弁の説明用断面図である。図11A及び図11Bの第3変形例における調整弁70は、第1変形例の流路51と同様の形状をなす流路71にて、テーパ状流路71aの縮径側にボール(開閉部材)72の外周面形状に沿う凹部73を形成している。ボール72は、投入動作でのシリンダ24内の油(不図示)の圧力変化によって凹部73に対してクリック感を伴って嵌り合い、流路71がボール72によって閉塞される。また、遮断動作でのシリンダ24内の油の圧力変化によって、ボール72に左方向の力が加わると、ボール72が凹部73から外れてテーパ状流路71aの拡径側に移動し、流路71がボール72によって閉塞されずに開放される。
10 :遮断器
11 :操作器
15 :リンク機構
20 :遮断器用緩衝装置(緩衝装置)
22 :ピストン
23 :ケース
24 :シリンダ
36 :本体部
37 :第1シリンダ壁(シリンダ壁)
39 :孔
40 :調整弁
41 :テーパ状流路
42 :ボール(開閉部材)
50 :調整弁
51 :流路
51a :テーパ状流路
52 :ボール(開閉部材)
60 :調整弁
61 :流路
61a :テーパ状流路
62 :開閉部材
70 :調整弁
71 :流路
71a :テーパ状流路
72 :ボール(開閉部材)
R :油(流体)

Claims (4)

  1. 粘性を付与する流体が充填されるケースと、
    前記ケース内に収容されて前記流体が内外で流入出するシリンダと、
    前記シリンダの軸方向に移動可能に収容されたピストンとを備え、
    前記ピストンが所定のリンク機構を介して遮断器の操作器に接続され、前記操作器の遮断動作及び投入動作にて前記ピストンに動作抵抗を付与する遮断器用緩衝装置であって、
    前記シリンダは、筒状に設けられて前記流体が流れる孔が散点的に複数形成された本体部と、
    前記本体部の軸方向一端側を塞ぐ位置に設けられ、前記遮断動作で前記ピストンが離れ、前記投入動作で前記ピストンが接近するシリンダ壁とを備え、
    前記シリンダ壁には、前記流体が流入出する流路を備えた調整弁が設けられ、
    前記調整弁は、前記遮断動作の開始段階の方が前記投入動作の終了段階に比べて前記流路の流路断面積を拡大させることを特徴とする遮断器用緩衝装置。
  2. 前記調整弁は、前記遮断動作の開始段階で前記流路を開放し、前記投入動作の終了段階で前記流路を閉塞していることを特徴とする請求項1に記載の遮断器用緩衝装置。
  3. 前記流路は、前記シリンダ壁に形成されるテーパ状流路を含み、
    前記調整弁は、前記テーパ状流路内を移動して開閉可能な開閉部材を備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遮断器用緩衝装置。
  4. 前記開閉部材はボールによって構成されることを特徴とする請求項3に記載の遮断器用緩衝装置。
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