JP2023086528A - シフト量制御システム、シフト量制御方法及びプログラム - Google Patents

シフト量制御システム、シフト量制御方法及びプログラム Download PDF

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JP2023086528A JP2021201105A JP2021201105A JP2023086528A JP 2023086528 A JP2023086528 A JP 2023086528A JP 2021201105 A JP2021201105 A JP 2021201105A JP 2021201105 A JP2021201105 A JP 2021201105A JP 2023086528 A JP2023086528 A JP 2023086528A
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Abstract

【課題】撮像装置を用いたシフト量制御と比較して、高い精度でシフト量を制御できるシフト量制御システム、シフト量制御方法及びプログラムを提供する。【解決手段】シフト量制御システム80は、巻き付け装置20の被操作部を、シフト量の入力値に基づいて操作する制御部11Aと、入力値に基づいて被操作部を移動させ、被操作部のエンドエフェクタ24に配置された二次元変位計42を用いて、指標体(マスタブロック44)に所定の形状で形成された観測線の位置を測定する際に、測定された観測線の位置を取得する取得部(第3取得部11E)と、取得部で取得された観測線の初期測定位置と、巻き付け装置20を所定回数駆動後の観測線の測定位置との差に基づいて、被操作部におけるエンドエフェクタ24の取付箇所に対する二次元変位計42の位置ずれを算出し、入力値を補正する補正部11Bと、を備える。【選択図】図10

Description

本発明は、シフト量制御システム、シフト量制御方法及びプログラムに関する。
下記特許文献1には、ロボットアームに取り付けられたカメラを所定の位置へ制御してマークを撮影し、マークの予め定めた位置からのズレ量に基づいてロボットアームの制御状態を判定する状態判定装置が記載されている。
特開2020-108909号公報
上記特許文献1の管内の状態判定装置を用いると、ズレ量を補正してロボットの稼働を継続することができる。しかしながら、カメラ等の撮像装置の撮影によるズレ量の検出精度には限界がある。このため、ロボットアームなどの被操作部のシフト量の制御に高い精度が求められるシステムでは採用し難い。
本発明は、上記事実を考慮して、撮像装置を用いたシフト量制御と比較して、高い精度でシフト量を制御できるシフト量制御システム、シフト量制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
第一態様のシフト量制御システムは、ドラムにタイヤ部材を巻き付ける巻き付け装置の被操作部を、シフト量の入力値に基づいて操作する制御部と、前記入力値に基づいて前記被操作部を移動させ、前記被操作部のエンドエフェクタに配置された二次元変位計を用いて、指標体に所定の形状で形成された観測線の位置を測定する際に、測定された前記観測線の位置を取得する取得部と、前記取得部で取得された前記観測線の初期測定位置と、前記巻き付け装置を所定回数駆動後の前記観測線の測定位置との差に基づいて、前記被操作部におけるエンドエフェクタの取付箇所に対する前記変位計の位置ずれを算出し、前記入力値を補正する補正部と、を備える。
第一態様のシフト量制御システムは、制御部が、シフト量の入力値に基づいて巻き付け装置の被操作部を操作する。これにより、入力されたシフト量に応じて被操作部が移動して、ドラムにタイヤ部材が巻き付けられる。
ここで、巻き付け装置を繰り返し使用する過程で、機械振動やエンドエフェクタの自重等により、エンドエフェクタが、被操作部におけるエンドエフェクタの取付箇所に対して位置ずれする場合がある。エンドエフェクタが位置ずれすると、エンドエフェクタの制御点も位置ずれする。このような位置ずれした状態を放置すると、タイヤ部材をドラムの正確な位置に精度高く巻き付けることが難しい。
そこで、シフト量制御システムでは、制御部がシフト量の入力値に基づいて被操作部を移動させ、二次元変位計によって、指標体に所定の形状で形成された観測線の位置を測定する。そして、補正部が、観測線の初期測定位置と、巻き付け装置を所定回数駆動後の観測線の測定位置との差に基づいて、入力値を補正する。これにより、エンドエフェクタが位置ずれした状態でも、位置ずれの影響を低減できる。
このように、第一態様のシフト量制御システムでは、二次元変位計による測定値を用いて、シフト量の入力値を補正する。このため、例えばカメラのみを用いたシフト量制御と比較して、高い精度でシフト量を制御できる。
第二態様のシフト量制御システムは、前記取得部は、前記エンドエフェクタに取付けた測定冶具を、前記二次元変位計を用いて測定することにより、前記二次元変位計に対する前記エンドエフェクタの制御点の位置を取得し、前記補正部は、取得された前記エンドエフェクタの制御点の位置の、設定値とのずれに基づいて、前記入力値をさらに補正する。
第二態様のシフト量制御システムでは、測定冶具を用いることにより、二次元変位計に対するエンドエフェクタの制御点の位置を測定できる。そして、補正部が、エンドエフェクタの制御点の位置の、設定値とのずれに基づいて、入力値をさらに補正する。これより、シフト量の制御精度を向上できる。
第三態様のシフト量制御システムは、前記観測線は、前記指標体に形成された正方形状の凹部及び円形状の凹部によって形成されている。
第三態様のシフト量制御システムでは、観測線が正方形状の凹部及び円形状の凹部によって形成されている。すなわち、シフト量制御システムは、異なる2つの形状の観測線を備えている。このため、エンドエフェクタの位置にずれが生じた場合、そのずれ方に応じて、2つの観測線のそれぞれにおいて、検出されるずれ方が異なる。これにより、エンドエフェクタがどのようにずれているかを把握し易い。
第四態様のシフト量制御システムは、前記観測線は、前記指標体において互いに対向する両面に形成されている。
第四態様のシフト量制御システムでは、観測線は、前記指標体において互いに対向する両面に形成されているため、エンドエフェクタを指標体の両側から近づけてずれ量を把握できる。
第五態様のシフト量制御方法は、ドラムにタイヤ部材を巻き付ける巻き付け装置の被操作部を、シフト量の入力値に基づいて操作する工程と、前記被操作部のエンドエフェクタに配置された二次元変位計を用いて、指標体に所定の間隔で形成された観測線の位置を測定する際に、測定された前記観測線の位置を取得する工程と、取得された前記観測線の初期測定位置と、前記巻き付け装置を所定回数駆動後の前記観測線の測定位置との差に基づいて、前記被操作部におけるエンドエフェクタの取付箇所に対する前記変位計の位置ずれを算出し、前記入力値を補正する工程と、を備える。
第五態様のシフト量制御方法では、制御部が、シフト量の入力値に基づいて巻き付け装置の被操作部を操作する。これにより、入力されたシフト量に応じて被操作部が移動して、ドラムにタイヤ部材が巻き付けられる。
ここで、巻き付け装置を繰り返し使用する過程で、機械振動やエンドエフェクタの自重等により、エンドエフェクタが、被操作部におけるエンドエフェクタの取付箇所に対して位置ずれする場合がある。エンドエフェクタが位置ずれすると、エンドエフェクタの制御点も位置ずれする。このような位置ずれした状態を放置すると、タイヤ部材をドラムの正確な位置に精度高く巻き付けることが難しい。
そこで、シフト量制御方法では、制御部がシフト量の入力値に基づいて被操作部を移動させ、二次元変位計によって、指標体に所定の形状で形成された観測線の位置を測定する。そして、補正部が、観測線の初期測定位置と、巻き付け装置を所定回数駆動後の観測線の測定位置との差に基づいて、入力値を補正する。これにより、エンドエフェクタが位置ずれした状態でも、位置ずれの影響を低減できる。
このように、第五態様のシフト量制御方法では、二次元変位計による測定値を用いて、シフト量の入力値を補正する。このため、例えばカメラのみを用いたシフト量制御と比較して、高い精度でシフト量を制御できる。
第六態様のプログラムは、コンピュータを、ドラムにタイヤ部材を巻き付ける巻き付け装置の被操作部(ロボットアームやエンドエフェクタ)を、シフト量の入力値に基づいて操作する制御部と、前記入力値に基づいて前記被操作部を移動させ、前記被操作部のエンドエフェクタに配置された二次元変位計を用いて、指標体(マスタブロック)に所定の間隔で形成された観測線の位置を測定する際に、測定された前記観測線の位置を取得する取得部と、前記取得部で取得された前記観測線の初期測定位置と、前記巻き付け装置を所定回数駆動後の前記観測線の測定位置との差に基づいて、前記被操作部におけるエンドエフェクタの取付箇所に対する前記変位計の位置ずれを算出し、前記入力値を補正する補正部と、して機能させる。
第六態様のプログラムでは、制御部が、シフト量の入力値に基づいて巻き付け装置の被操作部を操作する。これにより、入力されたシフト量に応じて被操作部が移動して、ドラムにタイヤ部材が巻き付けられる。
ここで、巻き付け装置を繰り返し使用する過程で、機械振動やエンドエフェクタの自重等により、エンドエフェクタが、被操作部におけるエンドエフェクタの取付箇所に対して位置ずれする場合がある。エンドエフェクタが位置ずれすると、エンドエフェクタの制御点も位置ずれする。このような位置ずれした状態を放置すると、タイヤ部材をドラムの正確な位置に精度高く巻き付けることが難しい。
そこで、このプログラムでは、制御部がシフト量の入力値に基づいて被操作部を移動させ、二次元変位計によって、指標体に所定の形状で形成された観測線の位置を測定する。そして、補正部が、観測線の初期測定位置と、巻き付け装置を所定回数駆動後の観測線の測定位置との差に基づいて、入力値を補正する。これにより、エンドエフェクタが位置ずれした状態でも、位置ずれの影響を低減できる。
このように、第六態様のプログラムでは、二次元変位計による測定値を用いて、シフト量の入力値を補正する。このため、例えばカメラのみを用いたシフト量制御と比較して、高い精度でシフト量を制御できる。
第七態様のシフト量制御システムは、ドラムにタイヤ部材を巻き付ける巻き付け装置と、前記巻き付け装置に備えられた被操作部と、前記被操作部に配置されたエンドエフェクタと、所定の間隔で観測線が形成された指標体と、前記エンドエフェクタに配置され、前記観測線の位置を測定する二次元変位計と、前記被操作部をシフト量の入力値に基づいて操作する制御部と、前記入力値に基づいて前記被操作部を移動させて、前記二次元変位計を用いて前記観測線の位置を測定する際に、測定された前記観測線の位置を取得する取得部と、前記取得部で取得された前記観測線の初期測定位置と、前記巻き付け装置を所定回数駆動後の前記観測線の測定位置との差に基づいて、前記被操作部におけるエンドエフェクタの取付箇所に対する前記変位計の位置ずれを算出し、前記入力値を補正する補正部と、を有するシフト量制御装置と、を備える。
第七態様のシフト量制御システムは、制御部が、シフト量の入力値に基づいて巻き付け装置の被操作部を操作する。これにより、入力されたシフト量に応じて被操作部が移動して、ドラムにタイヤ部材が巻き付けられる。
ここで、巻き付け装置を繰り返し使用する過程で、機械振動やエンドエフェクタの自重等により、エンドエフェクタが、被操作部におけるエンドエフェクタの取付箇所に対して位置ずれする場合がある。エンドエフェクタが位置ずれすると、エンドエフェクタの制御点も位置ずれする。このような位置ずれした状態を放置すると、タイヤ部材をドラムの正確な位置に精度高く巻き付けることが難しい。
そこで、シフト量制御システムでは、制御部がシフト量の入力値に基づいて被操作部を移動させ、二次元変位計によって、指標体に所定の形状で形成された観測線の位置を測定する。そして、補正部が、観測線の初期測定位置と、巻き付け装置を所定回数駆動後の観測線の測定位置との差に基づいて、入力値を補正する。これにより、エンドエフェクタが位置ずれした状態でも、位置ずれの影響を低減できる。
このように、第七態様のシフト量制御システムでは、二次元変位計による測定値を用いて、シフト量の入力値を補正する。このため、例えばカメラのみを用いたシフト量制御と比較して、高い精度でシフト量を制御できる。
本発明のシフト量制御システム、シフト量制御方法及びプログラムでは、カメラを用いたシフト量制御と比較して、高い精度でシフト量を制御できる。
本発明の実施形態に係るシフト量制御システム、シフト量制御方法及びプログラムによって製造されるタイヤを示す判断面図である。 本発明の実施形態に係るシフト量制御システムを示す斜視図である。 本発明の実施形態に係るシフト量制御システムのロボットの構成を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係るシフト量制御システムのエンドエフェクタの構成を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係るシフト量制御システムにおいて、エンドエフェクタの制御点を、ビードワイヤを環状部材に巻付ける巻付け位置に配置した状態を示す斜視図である。 (A)は本発明の実施形態に係るシフト量制御システムにおいて、トラッキング装置を用いて、巻付けドラムの回転中心を墨出ししている状態を示す斜視図であり、(B)は、トラッキング装置を用いて、エンドエフェクタの制御点の位置を検出している状態を示す斜視図である。 (A)は本発明の実施形態に係るシフト量制御システムにおけるマスタブロックを示す正面図であり、(B)は(A)のB-B線断面図である。 本発明の実施形態に係るシフト量制御システムにおけるマスタブロックの平面配置を示す平面図である。 本発明の実施形態に係るシフト量制御システムにおけるシフト量制御装置の電気的な構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態に係るシフト量制御システムにおけるシフト量制御装置の機能的な構成を示すブロック図である。 (A)は本発明の実施形態に係るシフト量制御システムにおけるシフト量データベースを示す表であり、(B)はシフト量データベースから導出される誤差テーブル及び近似関数を示すグラフである。 (A)は本発明の実施形態に係るシフト量制御システムにおける重量対応シフト量データベースを示す表であり、(B)は重量対応シフト量データベースから導出される誤差テーブル及び近似関数を示すグラフである。 (A)は本発明の実施形態に係るシフト量制御システムにおいて、トラッキング装置を用いて、エンドエフェクタの制御点の位置を複数検出している状態を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係るシフト量制御システムにおいて、制御点をマスタブロックへ近接させた状態を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係るシフト量制御システムにおいて、二次元変位計を用いてマスタブロックの観測線の位置を検出している状態を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係るシフト量制御システムにおいて、二次元変位計を用いてマスタブロックの観測線の位置を検出している別の状態を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係るシフト量制御システムにおいて、トラッキング装置を用いたシフト量補正処理を示すフローチャートである。 本発明の実施形態に係るシフト量制御システムにおいて、二次元変位計を用いたシフト量補正処理を示すフローチャートである。 本発明の実施形態に係るシフト量制御システムにおいて、二次元変位計を用いたシフト量補正処理によって補正された近似関数を示すグラフである。 本発明の実施形態に係るシフト量制御システムにおけるメカニカルインターフェース座標系の原点とツール座標系の原点を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係るシフト量制御システムにおいて制御点をマスタブロックへ近接させた状態を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係るシフト量制御システムにおいて、二次元変位計を用いてマスタブロックの観測線の位置を検出している状態を示す斜視図である。 (A)は本発明の実施形態に係るシフト量制御システムにおいて、二次元変位計を用いてマスタブロックの観測線の位置を検出している別の状態を示す斜視図であり、(B)は初期値と測定値のずれを示すグラフである。 (A)は本発明の実施形態に係るシフト量制御システムにおいて、二次元変位計を用いてマスタブロックの観測線の位置を検出している別の状態を示す斜視図であり、(B)は初期値と測定値のずれを示すグラフである。 本発明の実施形態に係るシフト量制御システムにおいて、二次元変位計及びマスタブロックを用いたシフト量補正処理を示すフローチャートである。 本発明の実施形態に係るシフト量制御システムにおいて、二次元変位計とツール座標系の原点との位置ずれを把握するための冶具を示す斜視図である。 (A)は本発明の実施形態に係るシフト量制御システムにおいて、二次元変位計とツール座標系の原点とのY方向における位置ずれを示す側面図であり、(B)は二次元変位計とツール座標系の原点とのX方向における位置ずれを示す側面図である。 本発明の実施形態に係るシフト量制御システムにおいて、二次元変位計及びマスタブロックを用いたシフト量補正処理を示すフローチャートである。 本発明の実施形態に係るシフト量制御システムにおいて、二次元変位計及び冶具を用いたシフト量補正処理を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施形態に係るシフト量制御システム、シフト量制御方法及びプログラムについて、図面を参照しながら説明する。各図面において同一の符号を用いて示される構成要素は、同一の構成要素であることを意味する。但し、明細書中に特段の断りが無い限り、各構成要素は一つに限定されず、複数存在してもよい。
また、各図面において重複する構成及び符号については、説明を省略する場合がある。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において構成を省略する又は異なる構成と入れ替える等、適宜変更を加えて実施することができる。
<タイヤ>
図1には、後述する巻き付け装置20を含む生産システムによって製造可能な空気入りタイヤ(以下、「タイヤ100と称す)が示されている。図1において、タイヤ100は、適用リム(図示省略)に装着された状態で規定内圧を充填し、かつ、無負荷の状態として示されている。
ここで、「適用リム」とは、タイヤが生産され、使用される地域に有効な産業規格であって、日本ではJATMA(日本自動車タイヤ協会)のJATMA YEAR BOOK、欧州ではETRTO(The European Tyre and Rim Technical Organisation)のSTANDARDS MANUAL、米国ではTRA(The Tire and Rim Association,Inc.)のYEAR BOOK等に記載されているまたは将来的に記載される、適用サイズにおける標準リム(ETRTOのSTANDARDS MANUALではMeasuring Rim、TRAのYEAR BOOKではDesign Rim)を指す。(即ち、上記の「リム」には、現行サイズに加えて将来的に上記産業規格に含まれ得るサイズも含む。「将来的に記載されるサイズ」の例としては、ETRTO 2021年度版において「FUTURE DEVELOPMENTS」として記載されているサイズを挙げることができる。)が、上記産業規格に記載のないサイズの場合は、タイヤのビード幅に対応した幅のリムをいう。
また、「規定内圧」とは、上記JATMA等に記載されている、適用サイズ・プライレーティングにおける単輪の最大負荷能力に対応する空気圧(最高空気圧)を指し、上記産業規格に記載のないサイズの場合は、「規定内圧」は、タイヤを装着する車両毎に規定される最大負荷能力に対応する空気圧(最高空気圧)をいうものとする。
タイヤ1は、トレッド部3と、一対のショルダ部4と、一対のサイドウォール部5と、一対のビード部6と、これらの間に延在するトロイド状をなしたカーカス2と、を有している。また、タイヤ1は、カーカス2のタイヤ径方向外側であって、トレッド部3の内部にベルト3Aを有している。一対のビード部6の一方は、2つのサイドウォール部5の一方(セリアル側サイドウォール部)に連なっている。一対のビード部6の他方は、2つのサイドウォール部5の他方(反セリアル側サイドウォール部)に連なっている。なお、図1において、2つのサイドウォールの一方(または他方)は表示されていない。)
一対のビード部6のそれぞれには、ビード7が埋設されている。ビード7は、カーカス2の折返し部分の内側に埋設されている。ビード7は、少なくとも一本のビードワイヤ8をタイヤ中心軸線周りに巻き回すことによって形成されている。また、タイヤ1は、1対のビードフィラー9を有している。ビードフィラー9はそれぞれ、ビード7のタイヤ径方向外側に隣接して配置されている(図1において、一対のビードフィラー9の一方(または他方)は図示されていない。)。即ち、ビードフィラー9もまた、カーカス2の折返し部分の内側に埋設されている。
なお、本発明に係る巻き付け装置20を含む生産システムを用いることによって製造可能な空気入りタイヤは、図1に示すような構造のタイヤ1に限定されるものではない。本発明に係る、巻き付け装置20を含む生産システムは、後述するように、タイヤの構成に線状部材を巻き付けた構成を含むものであれば、様々な構成のタイヤの製造に用いることができる。
<シフト量制御システム>
図2には、本発明の実施形態に係るシフト量制御システム80が示されている。シフト量制御システム80は、シフト量制御装置10、巻き付け装置20、トラッキング装置30及び変位測定装置40を含んで構成されている。
シフト量制御システム80は、巻付け装置20によるタイヤ1(具体的には、後述する環状部材M)へのビードワイヤ8(図1参照)等の線状部材の巻付け精度を向上させるためのシステムである。シフト量制御装置10は、環状部材Mへビードワイヤ8を巻付ける際に、巻付け装置20のシフト量制御を実施する。また、シフト量制御装置10は、巻付け装置20のシフト量を補正する制御を実施する。
トラッキング装置30及び変位測定装置40は、シフト量制御装置10による、シフト量補正のために必要な情報を得るための装置である。図2においては、便宜的にトラッキング装置30及び変位測定装置40の双方が図示されているが、後述するように、トラッキング装置30及び変位測定装置40は必ずしも同時に使用しない。つまり、シフト量制御システム80には、トラッキング装置30及び変位測定装置40の一方を省略した態様も含まれる。
<巻付け装置>
巻付け装置20は、ロボット22及び巻付けドラム26を含んで形成された生産設備である。
(巻付けドラム)
巻付けドラム26は、未加硫のゴムタイヤで形成された環状部材Mを支持する支持部である。環状部材Mには、エンドエフェクタ24から上述したビードワイヤ8が供給される。
なお、図2においては、タイヤ中心軸線CL1がX方向に沿って配置され、このX方向に沿って、巻付けドラム26とロボット22とが配置されているが、本発明の実施形態はこれに限らない。図2に示した配置は、説明の便宜上好適である一例を示したものであり、例えば図8に示すように、巻付けドラム26とロボット22とは、X方向と直交するY方向に沿って配置してもよい。
(ロボットの構成)
ロボット22は、ロボットアーム112及びエンドエフェクタ24を有するタイヤの生産装置である。エンドエフェクタ24は、ロボットアーム112の先端に取り付けられている。
図3に示すように、ロボット22は、少なくとも1つの関節111(関節111a~111f)を有するロボットアーム112と、エンドエフェクタ24と、を含んで構成されている。本実施形態において、エンドエフェクタ24は、ロボットアーム112の先端E112に取り付けられている。
ロボット22は、6軸以上の自由度を有している。本実施形態において、ロボット22は、6軸ロボットである。ロボットアーム112は、第1アーム112a、第2アーム112b、第3アーム112c、第4アーム112d、第5アーム112e、第6アーム112f及び第7アーム112gを有している。
6軸ロボットであるロボット22は、6つの関節(111a~111f)を有している。第1関節111aは、例えば、第2アーム112bを第1アーム112aに対して旋回可能に連結する。第2関節111bは、例えば、第3アーム112cを第2アーム112bに対して前後方向に揺動可能に連結する。
第3関節111cは、例えば、第4アーム112dを第3アーム112cに対して上下方向に揺動可能に連結する。第4関節111dは、例えば、第5アーム112eを第4アーム112dに対して旋回可能に連結する。第5関節111eは、第6アーム112fを第5アーム112eに対して上下方向に揺動可能に連結する。
第6関節111fは、例えば、第7アーム112gを第6アーム112fに対して旋回可能に連結する。第7アーム112gの先端は、ロボットアーム112の先端E112を構成する。第7アーム112gの先端には、エンドエフェクタ24を取り付けることができる。
これらの構成により、ロボット22は、図2に示すXYZ軸の座標系において、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の3つの直線方向に自由度を有しているとともにX軸の周り、Y軸の周りおよびZ軸の周りの3つの軸の周りに自由度を有している。
ここで、X軸、Y軸およびZ軸はそれぞれ、互いに直交する軸である。本実施形態によれば、例えば、Z軸は、鉛直方向に対して平行になるように設定することができる。また、本実施形態によれば、X軸及びY軸は、タイヤ中心軸線CL1が水平面に含まれるときの当該タイヤ中心軸線CL1に対して平行になるように設定することができる。さらに、本実施形態によれば、X軸及びY軸は、タイヤ中心軸線が水平面に含まれる状態でタイヤ幅方向中心線を水平面でみたときの当該タイヤ幅方向中心線に対して平行になるように設定することができる。
(巻き付け装置の制御の概要)
巻付け装置20を形成するロボット22及び巻付けドラム26の動きは、シフト量制御装置10によって関連付けられて制御される。但し、ロボット22及び巻付けドラム26のそれぞれを、別個の制御装置によって制御することもできる。この場合、個々の制御装置は、互いに双方向通信を可能なものとすることが好ましい。
巻付けドラム26は、環状部材Mを回転させる回転駆動部26Aを含んでいる。回転駆動部26Aは、タイヤ中心軸線CL1を中心に環状部材Mを回転させることができる。本実施形態において、回転駆動部26Aは、シフト量制御装置10からの指令に従い、環状部材Mを、タイヤ中心軸線CL1を中心として所定角度ごとに回転させることができる。または、無段階に回転させることができる。
シフト量制御装置10は、エンドエフェクタ24が環状部材Mの回転角度に応じた所定位置に位置するようにロボット22を位置制御する。ロボット22は、シフト量制御装置10からの指令に従い、エンドエフェクタ24を環状部材Mの回転角度に応じた目標位置に移動させる。
(エンドエフェクタの構成)
図4には、本発明の実施形態に係るエンドエフェクタ24の構成の一例が概略で示されている。エンドエフェクタ24は、ジョイント部24A、導入部24B及び排出部24Cを備えたデバイスである。
ジョイント部24Aは、ロボットアーム112の先端E112に対して、回転可能に取り付けられる部分である。導入部24Bは、ジョイント部24Aに固定され、エンドエフェクタ24へビードワイヤ8(図1参照)を導入する部分である。排出部24Cは、駆動回転部29を介して導入部24Bに連結され、導入部24Bから導入されたビードワイヤ8をエンドエフェクタ24から排出して、環状部材M(図2参照)に向かって送り出す部分である。
ここで、排出部24Cは、駆動回転部29に固定された支持部24b、巻付ローラ23a及び二次元変位計42を備えている。
巻付ローラ23aは、支持部24bに対して自由回転可能に配置されている。図示は省略するが、巻付ローラ23aの外周面には、周溝が形成されている。ビードワイヤ8は、巻付ローラ23aの周溝に保持される。
巻付ローラ23aは、エンドエフェクタ24内を流れるビードワイヤ8(図1、2参照)をエンドエフェクタ24の外側に送り出すことができる。これによって、巻付ローラ23aを図2に示す環状部材Mに押し付ければ、巻付ローラ23aから送り出されたビードワイヤ8を環状部材Mに取り付けることができる。
したがって、巻付ローラ23aを環状部材Mに押し付けた状態でエンドエフェクタ24を環状部材Mの周りに回転させれば、ビードワイヤ8を環状部材Mに対して巻き付けることができる。あるいは、巻付ローラ23aを環状部材Mに押し付けた状態で環状部材Mを回転させれば、ビードワイヤ8を環状部材Mに対して巻き付けることができる。
シフト量制御システム80において、ビードワイヤ8を環状部材Mに巻き付けるときには、環状部材Mは、巻付けドラム26の回転駆動部26Aによって、当該回転駆動部26Aのタイヤ中心軸線CL1周りを所定角度ごとに順次回転される。
また、シフト量制御システム80において、ロボット22は、エンドエフェクタ24の巻付ローラ23aが、環状部材Mにおいてビードワイヤ8を巻き付けるべき目標位置に位置するように、当該環状部材Mの回転角度に応じた所定位置に位置制御される。
即ち、本実施形態に係るシフト量制御システム80は、環状部材Mを回転させながら、エンドエフェクタ24の巻付ローラ23aが環状部材Mの回転角度に応じた所定位置に位置するように、ロボット22を位置制御する。
本実施形態において、ビードワイヤ8を環状部材Mに巻き付ける位置は、エンドエフェクタ24の巻付ローラ23aの位置に依存する。図4に示すように、エンドエフェクタ24において、巻付ローラ23aは、ビードワイヤ8が排出される位置P(「制御点P」ともいう。)が、ジョイント部24A及び駆動回転部29のタイヤ中心軸線CL2上となる位置に配置されている。
また、排出部24Cは、巻付ローラを移動させるためのアクチュエータ23b(以下、「巻付ローラ用アクチュエータ23b」ともいう。)を有している。巻付ローラ用アクチュエータ23bは、巻付ローラ23aを環状部材Mに向かって押圧することによって、当該巻付ローラ23aを環状部材Mに押し付けることができる。また、巻付ローラ用アクチュエータ23bは、巻付ローラ23aを環状部材Mから遠ざけることによって、当該巻付ローラ23aを環状部材Mから離間させることができる。
これによって、巻付ローラ23aと環状部材Mとの間のビードワイヤ8に対する押し力を調整または解除することができる。本実施形態において、巻付ローラ用アクチュエータ23bは、エアーシリンダで構成されている。エアーシリンダによれば、環状部材Mの下地表面(巻付ローラ23aが押し付けられる環状部材Mの表面)に形成された凹凸形状の変化は、当該エアーシリンダの伸縮によって吸収することができる。
ただし、巻付ローラ用アクチュエータ23bには、油圧シリンダ、モータアクチュエータなどの、アクチュエータを採用することができる。また、本発明によれば、巻付ローラ用アクチュエータ23bは、省略することができる。
二次元変位計42は、環状部材Mの周辺情報を得るための情報取得部である。本実施形態に係るエンドエフェクタ24は、支持部24bの先端側の位置に二次元変位計42を有している。なお、二次元変位計42は、後述する変位測定装置40の一部を構成している。
二次元変位計42は、光切断法を用いたレーザー変位計であり、帯状のレーザー光を対象物の表面に照射し、その反射光を受光することで、対象物の形状を測定する。本実施形態においては、二次元変位計42は、ビードワイヤ8が取り付けられる環状部材Mの周辺の情報を集める。環状部材Mの周辺情報(以下、「対象物周辺情報」ともいう。)としては、例えば、環状部材Mの面積、長さ、幅、色、位置、形状が挙げられる。二次元変位計42から得られた対象物周辺情報は、シフト量制御装置10に入力される。シフト量制御装置10は、対象物周辺情報に基いて、ビードワイヤ8を環状部材Mに取り付けるように、ロボット22および巻付けドラム26を制御する。
<シフト量>
図2に示すシフト量制御装置10は、巻付けドラム26にタイヤ部材であるビードワイヤ8を巻き付ける巻き付け装置20の被操作部を、シフト量の入力値に基づいて操作する。
「巻き付け装置20の被操作部」とは、ロボットアーム112及びエンドエフェクタ24である。また、「シフト量の入力値」とは、シフト量制御装置10において、後述する入力部14を介してユーザによって入力された、制御点Pの移動量である。「移動量」とは、上述したX軸、Y軸及びZ軸方向の3つの直線方向に沿う移動量を含み、かつ、X軸、Y軸及びZ軸を回転中心とする3つの回転方向の移動量を含む。
(シフト量の誤差)
図5には、シフト量制御装置10が、ロボットアーム112及びエンドエフェクタ24を制御して、巻付けドラム26の環状部材Mへビードワイヤ8を巻付けようとしている状態が図示されている。
このとき、シフト量制御装置10は、シフト量の入力値に基づいて、エンドエフェクタ24の制御点Pを、所定の初期位置(「ベンチマークP0」と称す)から、巻付け作業を実施する位置P1へ移動させる制御を実施する。
しかしながら、ロボットアーム112及びエンドエフェクタ24の実際のシフト量には、入力値に対して誤差が生じ得る。例えば制御点Pが実際に移動した距離(実シフト量)が入力値と異なる場合、制御点Pは、巻付け作業を実施する位置P1から位置ずれした位置へ移動する。
このような状態でビードワイヤ8の巻付け作業を実施すると、タイヤ1のユニフォミティに影響を与える可能性がある。したがって、制御点Pの実シフト量と入力値との間の誤差を縮小することが求められる。
そこで以下の説明においては、まず、制御点Pの実シフト量と入力値との間の誤差を縮小するために用いられるトラッキング装置30及び変位測定装置40の構成について説明する。次に、巻付け装置20、トラッキング装置30及び変位測定装置40を制御するシフト量制御装置10の電気的な構成及び機能的な構成について説明する。
そして、シフト量制御装置10によって巻付け装置20、トラッキング装置30及び変位測定装置40を制御して、制御点Pの実シフト量と入力値との間の誤差を縮小する方法について説明する。
<トラッキング装置>
図6には、トラッキング装置30が示されている。トラッキング装置30は、トラッカ本体32と、リフレクタ34と、を備えている。トラッカ本体32は、レーザー光線及び角度エンコーダを用いて、リフレクタ34の3次元の位置を測定する。
トラッカ本体32から照射されたレーザー光線は、リフレクタ34で反射される。トラッカ本体32は、リフレクタ34で反射されて戻ってきた光線を検出し、トラッカ本体32からリフレクタ34までの距離、角度エンコーダの方位角と点頂角とを算出する。トラッキング装置30の使用方法については後述する。
<変位測定装置>
図2に示すように、変位測定装置40は、上述した二次元変位計42及び指標体(マスタブロック44)を含んで構成されている。二次元変位計42の構成は、上述した通りである。
変位測定装置40は、以下に説明するマスタブロック44に形成された観測線44X1、44X2、44X3、44Z1、44Z2、44Z3、44M1及び44M2(図7参照)の位置を二次元変位計42によって測定し、その測定された位置と、実際のこれらの観測線の位置との差を検出するための装置である。
(マスタブロックの構成)
図7に示すように、マスタブロック44は、略L型の板状部材であり、例えば金属や樹脂の削り出しによって製作される。マスタブロック44は、板状の面内方向を上下方向に沿って配置される。なお、図7において示すX、Y、Z方向及びマスタブロック44に関する説明におけるX、Y、Z方向は便宜的なものであり、必ずしも他図に示されたX、Y、Z方向と一致するものではない。
マスタブロック44には、観測線44X1、44X2及び44X3が形成されている。観測線44X1及び44X3は、マスタブロック44におけるX方向端部によって形成される直線である。観測線44X2は、マスタブロック44に形成された溝44Aによって形成される直線である。観測線44X1、44X2及び44X3は、Z方向に沿う直線であり、互いに所定の間隔X1(例えばX1=100[mm])で配置されている。
また、マスタブロック44には、観測線44Z1、44Z2及び44Z3が形成されている。観測線44Z1及び44Z3は、マスタブロック44におけるZ方向端部によって形成される直線である。観測線44Z2は、マスタブロック44に形成された溝44Bによって形成される直線である。観測線44Z1、44Z2及び44Z3は、X方向に沿う直線であり、互いに所定の間隔Z1(例えばZ1=100[mm])で配置されている。
さらに、マスタブロック44には、観測線44X1、44X2、44Z1及び44Z2に挟まれた位置に、観測線44M1及び44M2が形成されている。観測線44M1及び44M2は、マスタブロック44に所定の形状で形成された指標線である。
このうち、観測線44M1は、マスタブロック44に形成された略矩形状(例えば角がR加工された正方形状)の凹部44Cによって形成された線である。また、観測線44M2は、凹部44C形成された円形状の凹部44Dによって形成された線である。
これらの観測線44X1、44X2、44X3、44Z1、44Z2、44Z3、44M1及び44M2は、マスタブロック44におけるY方向の両面(対向する両面)に形成されている。
(マスタブロックの配置)
図8には、ロボット22、巻付けドラム26及びマスタブロック44の平面配置の一例が示されている。この図の矢印K1に示されるように、巻付ローラ23aの制御点Pは、所定の位置を起点として、ロボット22のロボットアーム112及びエンドエフェクタ24を操作することにより、ベンチマークP0又は巻付け作業を実施する位置P1(図5参照)へ移動する。
なお、実線の矢印K1で示される制御点Pの軌跡は、タイヤ1(図1参照)のセリアル側へのアプローチ経路を示している。反セリアル側へのアプローチ経路は破線の矢印K1で示している。
矢印K1で示される制御点Pの軌跡は、ロボットアーム112における各アーム(第1アーム112a、第2アーム112b、第3アーム112c、第4アーム112d、第5アーム112e、第6アーム112f及び第7アーム112g)及び各関節111a~111fのそれぞれを、必要に応じて駆動させることにより、実現される。
ここで、ロボット22は、第1アーム112aと第2アーム112bとの間の関節111aを操作することにより、矢印K3(図3も併せて参照)に示すように、第2アーム112b、第3アーム112c、第4アーム112d、第5アーム112e、第6アーム112f及び第7アーム112g及びエンドエフェクタ24が一体的に回転する。
このとき、制御点Pの位置も、矢印K4で示すように、関節111aの回転角αに応じて移動する。マスタブロック44は、この移動先の制御点Pから、矢印K2で示す軌跡を描いて移動できる位置に設置する。回転角αは任意の値を設定できる。
矢印K2で示す軌跡は、矢印K1で示す軌跡と、ロボットアーム112における各アーム及び各関節の動作が略同一である軌跡である。「略同一」とは、同一である場合と、ほぼ同一である場合と、を含む。
ロボットアーム112における各アーム及び各関節の動作がほぼ同一である例として、図8には、矢印K1で示す軌跡において巻付けドラム26へ近接する移動距離L1が、矢印K2で示す軌跡においてマスタブロック44へ近接する移動距離L2と異なる例が示されている。移動距離L1及びL2を除いて、2つの軌跡は同一である。
なお、マスタブロック44は、マスタブロック44の上下端の双方が、ビードワイヤ8の巻付け時に制御点Pが上下方向に動く可動域内に位置するように配置することが好ましい。
<シフト量制御装置の電気的な構成>
図9には、シフト量制御装置10の電気的な構成を示すブロック図が示されている。シフト量制御装置10は、CPU(Central Processing Unit:プロセッサ)11、一時記憶領域としてのメモリ12、不揮発性の記憶部13、キーボードとマウス等の入力部14、液晶ディスプレイ等の表示部15、媒体読み書き装置(R/W)16、通信インタフェース(I/F)部18及び外部I/F部19を備えている。CPU11、メモリ12、記憶部13、入力部14、表示部15、媒体読み書き装置16、通信I/F部18及び外部I/F部19はバスB1を介して互いに接続されている。媒体読み書き装置16は、記録媒体17に書き込まれている情報の読み出し及び記録媒体17への情報の書き込みを行う。
(記憶部)
記憶部13はHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等によって実現される。記憶媒体としての記憶部13には、シフト量制御プログラム13Aが記憶されている。シフト量制御プログラム13Aは、シフト量制御プログラム13Aが書き込まれた記録媒体17が媒体読み書き装置16にセットされ、媒体読み書き装置16が記録媒体17からのシフト量制御プログラム13Aの読み出しを行うことで、記憶部13へ記憶される。CPU11は、シフト量制御プログラム13Aを記憶部13から読み出してメモリ12に展開し、シフト量制御プログラム13Aが有するプロセスを順次実行する。
(シフト量データベース)
記憶部13には、シフト量データベース13Bが記憶されている。図11(A)に示すように、シフト量データベース13Bは、入力値と実シフト量との対応関係が複数記憶されたデータベースである。
具体的には、シフト量データベース13Bには、制御部11Aに入力された制御点Pのシフト量の入力値A1、A2、A3、…が記録され、かつ、各入力値によって制御されたリフレクタ34のシフト量(制御点Pのシフト量、又は、ロボットアーム112及びエンドエフェクタ24の実シフト量)B1、B2、B3、…が記録される。
また、記憶部13には、シフト量データベース13Bに記憶された各値を用いて、制御点Pのシフト量を補正するための演算式が記憶されている。この演算式によれば、入力値A1、A2、A3、…及びシフト量B1、B2、B3、…の対応関係から導出された図11(B)に示す誤差テーブルから、入力値Aとシフト量誤差との関係を示す近似関数F(A)を導出することができる。
(重量対応シフト量データベース)
上記のシフト量データベース13Bは、図12(A)に示す重量対応シフト量データベース13Cに代えてもよい。
重量対応シフト量データベース13Cは、被操作部(ロボットアーム112及びエンドエフェクタ24)の重量と実シフト量との対応関係が複数記憶されたデータベースである。
具体的には、重量対応シフト量データベース13Cには、制御部11Aに入力された制御点Pのシフト量の入力値A1、A2、A3、…が記録され、かつ、各入力値によって制御されたリフレクタ34のシフト量(制御点Pのシフト量、又は、ロボットアーム112及びエンドエフェクタ24の実シフト量)B1、B2、B3、…が記録され、かつ、被操作部(ロボットアーム112及びエンドエフェクタ24)の重量C1、C2、C3、…が記録される。
この場合においても、記憶部13には、重量対応シフト量データベース13Cに記憶された各値を用いて、制御点Pのシフト量を補正するための演算式が記憶されている。この演算式によれば、重量C1、C2、C3、…及びシフト量B1、B2、B3、…の対応関係から導出された、図12(B)に示す誤差テーブルから、重量Cとシフト量誤差との関係を示す近似関数F(C)を導出することができる。
なお、近似関数F(A)に示したようにシフト量の入力値に応じてシフト量誤差が変位することを考慮して、記憶部には、この近似関数F(C)が、所定の入力値毎に導出されるように演算式を記憶しておくことが好ましい。なお、本発明においては、必ずしもシフト量データベース13Bや重量対応シフト量データベース13Cを備えている必要はない。
(入力部)
入力部14では、ユーザによって、シフト量制御プログラム13Aを開始及び終了するための操作が実行される。また、上述したように、入力部14では、ユーザによって、制御点Pのシフト量を入力する操作が実行される。ユーザとは、一例として、シフト量制御システム80の管理者である。
(表示部)
表示部15には、シフト量制御プログラム13Aを開始及び終了するための情報(例えば入力ボタン)が表示される。なお、シフト量制御プログラム13Aが、ユーザの操作に依らず、例えばシフト量制御システム80の起動と共に自動的に開始される場合で、かつ、制御点Pのシフト量の入力操作が、別のシステムを介して入力される場合は、入力部14及び表示部15は必ずしも必要ではない。
<シフト量制御装置の機能的な構成>
次に、図10を参照して、本実施形態に係るシフト量制御装置10の機能的な構成について説明する。図10に示すように、シフト量制御装置10は、制御部11A、補正部11B、第1取得部11C、第2取得部11D、第3取得部11Eを含む。シフト量制御装置10のCPU11がシフト量制御プログラム13Aを実行することで制御部11A、補正部11B、第1取得部11C、第2取得部11D、第3取得部11Eとして機能する。
(制御部)
制御部11Aは、巻付けドラム26にタイヤ部材としてのビードワイヤ―8(図1参照)を巻き付ける巻き付け装置20の被操作部(ロボットアーム112及びエンドエフェクタ24)を、入力部14等を介して入力された、制御点Pのシフト量の入力値に基づいて操作する。
また、制御部11Aは、後述する補正部11Bによって補正された入力値(補正後入力値)に基づいて、巻き付け装置20の被操作部(ロボットアーム112及びエンドエフェクタ24)を操作する。
さらに、制御部11Aは、トラッキング装置30におけるトラッカ本体32を制御して、このトラッカ本体32に、リフレクタ34のシフト量(換言すると、制御点Pのシフト量、又は、ロボットアーム112及びエンドエフェクタ24の実シフト量)を測定させる。
またさらに、制御部11Aは、変位測定装置40における二次元変位計42を制御して、この二次元変位計42に、マスタブロック44に所定の間隔(100[mm])及び所定の位置に形成された観測線44X1、44X2、44X3、44Z1、44Z2、44Z3、44M1及び44M2(図7参照)の位置を測定させる。
なお、制御部11Aは、巻き付け装置20の制御とトラッカ本体32の制御を連動して実施することができる。同様に、制御部11Aは、巻き付け装置20の制御と二次元変位計42の制御を連動して実施することができる。
(変位量取得部)
変位量取得部11Fは、第1取得部11C、第2取得部11D及び第3取得部11Eを含んで構成されている。
第1取得部11Cは、トラッキング装置30におけるトラッカ本体32によって測定されたリフレクタ34のシフト量(換言すると、制御点Pのシフト量、又は、ロボットアーム112及びエンドエフェクタ24の実シフト量)を取得する。トラッカ本体32によるリフレクタ34のシフト量の測定方法については後述する。
第1取得部11Cによって取得されたリフレクタ34のシフト量は、制御部11Aに入力された制御点Pのシフト量の入力値と関連付けられて、上述した記憶部13におけるシフト量データベース13B(図11(A)参照)に記憶される。
また、記憶部13に、重量対応シフト量データベース13C(図12(A)参照)が格納されている場合は、第1取得部11Cによって取得されたリフレクタ34のシフト量は、ロボットアーム112及びエンドエフェクタ24の重量と関連付けられて、重量対応シフト量データベース13Cに記憶される。なお、本発明においてシフト量データベース13Bや重量対応シフト量データベース13Cを備えていない場合は、第1取得部11Cも備えている必要はない。この場合は、トラッキング装置30も設ける必要はない。
第2取得部11Dは、エンドエフェクタ24に配置された二次元変位計42が測定した観測線44X1、44X2、44X3、44Z1、44Z2及び44Z3(図7参照)の位置を取得する。二次元変位計42による観測線44X1、44X2、44X3、44Z1、44Z2及び44Z3の位置の測定方法は後述する。
なお、第2取得部11Dが取得する測定値は、後述する補正部11Bによって補正された入力値に基づいて被操作部(ロボットアーム112及びエンドエフェクタ24)を移動させた場合の測定値である。なお、本発明においては、必ずしも第2取得部11Dを備えている必要はない。
第3取得部11Eは、エンドエフェクタ24に配置された二次元変位計42が測定した観測線44M1及び44M2(図7参照)の位置を取得する。二次元変位計42による観測線44M1及び44M2の位置の測定方法は後述する。
また、第3取得部11Eは、エンドエフェクタ24に取付けた測定冶具50(図25参照)を、二次元変位計42を用いて測定することにより、二次元変位計42に対するエンドエフェクタ24の制御点Pの位置を取得する。二次元変位計42による測定冶具50の測定方法は後述する。
(補正部)
補正部11Bは、制御部11Aに入力された、制御点Pのシフト量の「入力値」と、第1取得部11Cが取得したリフレクタ34のシフト量(換言すると、制御点Pのシフト量、又は、ロボットアーム112及びエンドエフェクタ24の「実シフト量」)との差に基づいて、制御部11Aへの入力値を補正する。
具体的な補正フローは後述するが、補正部11Bは、制御点Pのシフト量が入力部14等を介して制御部11Aに入力されると、記憶部13に格納されたシフト量データベース13B及び演算式を用いて、図11(B)に示す近似関数F(A)を導出する。補正部11Bは、さらにこの近似関数F(A)に制御部11Aに入力された入力値を代入することで、シフト量誤差を算出する。そして、補正部は、算出された誤差分、制御部11Aに入力されたシフト量を補正して、制御部11Aへ補正された入力値を入力し直す。
そして、制御部11Aは、上述したように、補正部11Bによって補正された入力値(補正後入力値)に基づいて、巻き付け装置20の被操作部(ロボットアーム112及びエンドエフェクタ24)を操作する。なお、第1取得部11Cを備えない場合、補正部11Bは、リフレクタ34のシフト量に基づく入力値の補正処理を実施しない。
また、補正部11Bは、第2取得部11Dで取得された観測線44X1、44X2、44X3、44Z1、44Z2及び44Z3の位置と、実際の観測線44X1、44X2、44X3、44Z1、44Z2及び44Z3の位置との差に基づいて、制御部11Aへの入力値をさらに補正する。具体的な補正フローは後述する。なお、第2取得部11Dを備えない場合、補正部11Bは、観測線44X1、44X2、44X3、44Z1、44Z2及び44Z3の位置に基づく入力値の補正処理を実施しない。
さらに、補正部11Bは、第3取得部11Eで取得された観測線M1及びM2の初期測定位置と、巻き付け装置20を所定回数駆動後の観測線M1及びM2の測定位置との差に基づいて、ロボットアーム112へのエンドエフェクタ24の取付箇所(ロボットアーム112の先端E112)に対する二次元変位計42の位置ずれを算出し、制御部11Aへの入力値を補正する。具体的な補正フローは後述する。
またさらに、補正部11Bは、第3取得部11Eで取得されたエンドエフェクタ24の制御点Pの位置の、設定値とのずれに基づいて、制御部11Aへの入力値をさらに補正する。具体的な補正フローは後述する。
<トラッキング装置の使用方法>
トラッキング装置30を用いて制御点Pの実シフト量を測定するためには、まず、図6(A)に示すように、巻付けドラム26へリフレクタ34を取付ける。制御部11Aは、ユーザによる入力部14等への指示入力に応じて、トラッキング装置30におけるトラッカ本体32を制御し、トラッカ本体32からレーザー光線を照射する。また、制御部11Aは、同時に回転駆動部26Aを制御して、巻付けドラム26を回転させる。
これにより、巻付けドラム26の回転中心であるタイヤ中心軸線CL1の位置(YZ平面における位置)が、基準点P2として墨出しされる。第1取得部11Cは、基準点P2の位置を取得する。
なお、位置を特定できる点であれば、基準点P2の位置は、巻付けドラム26の回転中心でなくてもよい。例えば巻付けドラム26における任意の場所(移動しない場所が好ましい)を、基準点P2として設定できる。この場合、巻付けドラム26を回転させて基準点P2を墨出しする必要はない。
次に、図6(B)に示すように、エンドエフェクタ24にリフレクタ34を取付ける。リフレクタ34は、制御点Pの近傍に設置することが好ましい。制御部11Aは、ユーザによる入力部14等への指示入力に応じて、トラッキング装置30におけるトラッカ本体32を制御し、トラッカ本体32からレーザー光線を照射する。これにより、リフレクタ34の位置を示す測定点P3が検出される。第1取得部11Cは、測定点P3の位置を取得する。
そして、図13に示すように、制御部11Aは、ロボット22(ロボットアーム112及びエンドエフェクタ24の少なくとも一方)を制御して、制御点Pを移動させる。本例においては、制御点PをZ軸方向に沿って移動させる。このとき、制御部11Aは、シフト量の入力値に基づいてロボット22を制御して、制御点Pを複数回移動させる。例えばシフト量の入力値が100[mm]とされていた場合に、シフト量制御装置10は、ロボット22を制御して、制御点Pを100[mm]ずつ、複数回移動させる。
また、制御部11Aは、制御点Pを移動させる度にトラッカ本体32を制御して、トラッカ本体32からレーザー光線を照射する。これにより、それぞれリフレクタ34の位置(測定点P4、P5、…)が検出される。第1取得部11Cは、測定点P4、P5、…の位置を取得する。
ここで、第1取得部11Cは、例えば基準点P2、測定点P3、P4及びP5の位置から、「基準点P2と測定点P3とのZ軸方向に沿う距離」、「基準点P2と測定点P4とのZ軸方向に沿う距離」及び「基準点P2と測定点P5とのZ軸方向に沿う距離」を算出して取得する。
また、第1取得部11Cは、これらの差分から、「測定点P3と測定点P4とのZ軸方向に沿う距離」すなわち制御点Pが、測定点P3からP4へ移動した「実シフト量」を算出して取得する。同様に、第1取得部11Cは、制御点Pが、測定点P4からP5へ移動した「実シフト量」を算出して取得する。
このように取得された制御点Pの実シフト量は、シフト量の入力値と関連付けられて、記憶部13に格納されたシフト量データベース13Bに記憶される。
なお、制御部11Aは、必要に応じて、ロボット22に対する同様の制御を、制御点Pを横方向(例えばX方向又はY方向)に沿って移動させることでも実施する。また、制御点Pを、X軸、Y軸及びZ軸の周りに回転移動させることでも実施する。これにより、シフト量データベース13Bには、移動方向毎に、制御点Pの実シフト量が記憶される。
(トラッキング装置を用いたシフト量補正フロー)
図16には、トラッキング装置30を用いたシフト量補正処理200のフローが示されている。ユーザからの入力部14を介した実行指示等に応じて、シフト量制御装置10のCPU11がシフト量制御プログラム13Aを実行することにより、図16に示すシフト量補正処理が実行される。
シフト量制御プログラム13Aの実行が開始されると、ステップ202で、CPU11は、上述したように、トラッカ本体32からレーザー光線を照射し、巻付けドラム26を回転させて、基準点P2を取得する。
次に、CPU11は、ユーザによるトラッキング指示の受付待ちを行う。ユーザは、例えば巻付けドラム26からリフレクタ34を取り外し、エンドエフェクタ24に設置して、トラッキング指示を入力する。CPU11は、トラッキング指示を受け付けたか否かを判定し、肯定判定となった場合は、ステップ206へ移行する。一方、否定判定となった場合は、CPU11は、肯定判定となるまで、ステップ204を繰り返し実行する。
ステップ206で、CPU11は、上述したように、トラッカ本体32からレーザー光線を照射し、ロボット22を駆動させて、測定点P3、P4、P5、…の位置を取得する。
なお、本例においては、制御点PをZ方向に移動させて測定点P3、P4、P5、…の位置を取得することについて説明しているが、CPU11は、同様の制御により制御点Pを横方向(図13ではY方向)に移動させて、測定点の位置を取得する。
ステップ208で、CPU11は、上述したように、基準点P2及び測定点P3、P4、P5、…の位置から制御点Pの実シフト量を取得し、シフト量の入力値と関連付けて、シフト量データベース13Bに記憶する。
ステップ210で、CPU11は、シフト量の入力値と実シフト量との組み合わせ(移動方向毎の組み合わせ)が所定量記憶されたか否かを判定し、肯定判定となった場合は、ステップ212へ移行する。一方、否定判定となった場合は、ステップ202へ戻る。「所定量」とは、後述する演算式を用いて図11(B)に示す近似関数F(A)を導出ために必要な量である。
ステップ212で、CPU11は、記憶部13に格納されたシフト量データベース13B及び演算式を用いて、近似関数F(A)を導出する。近似関数F(A)は、移動方向毎に導出される。
ステップ214で、CPU11は、ユーザによる入力値の受付待ちを行う。ユーザは、任意のシフト量を、入力部14等を介して入力する。CPU11は、入力値を受け付けたか否かを判定し、肯定判定となった場合は、ステップ216へ移行する。一方、否定判定となった場合は、CPU11は、肯定判定となるまで、ステップ214を繰り返し実行する。
ステップ216で、CPU11は、ステップ212で導出された近似関数F(A)に、ステップ214で入力された入力値を代入することで、シフト量誤差を算出する。そして、制御部11Aへ補正された入力値を入力し直す。
例えば、ステップ214で入力された入力値が100[mm]で、近似関数F(A)を用いて算出されたシフト量誤差が5[mm]の場合、想定されるシフト量は105[mm]となる。この場合、CPU11は、想定されるシフト量が100[mm]となるように、制御部11Aへ補正された入力値を入力し直す。CPU11(制御部11A)は、この補正された入力値に基づいて、ロボット22を制御する。
シフト量補正処理200は、CPU11が、補正された入力値に基づいてロボット22を制御することに伴い、終了する。
<変位測定装置の使用方法>
変位測定装置40を用いてマスタブロック44の観測線44X1、44X2、44X3、44Z1、44Z2、44Z3の位置を測定するためには、まず、図8を用いて説明したように、制御部11Aは、ロボット22を制御して、制御点Pを、マスタブロック44へ近接させる。
そして制御部11Aは、図14に示すように、二次元変位計42を制御して、マスタブロック44へレーザー光線を照射する。これにより、図15Aに示すように、マスタブロック44における観測線44X1の位置を示す測定点Q1が検出される。第2取得部11Dは、測定点Q1の位置を取得する。
次に、制御部11Aは、ロボット22(ロボットアーム112及びエンドエフェクタ24の少なくとも一方)を制御して、制御点Pを移動させる。本例においては、制御点PをX軸方向に沿って移動させる。
このとき、制御部11Aは、シフト量の入力値に基づいてロボット22を制御して、制御点Pを移動させる。例えばシフト量の入力値が100[mm]とされていた場合に、シフト量制御装置10は、ロボット22を制御して、制御点Pを100[mm]移動させる。本例においては、シフト量の入力値として、観測線44X1及び44X2のX方向に沿う間隔X1(100[mm])を用いている。
そして制御部11Aは、二次元変位計42を制御して、マスタブロック44へレーザー光線を照射する。これにより、マスタブロック44における観測線44X2の位置を示す測定点Q2が検出される。第2取得部11Dは、測定点Q2の位置を取得する。
また、同様の制御により、第2取得部11Dは、マスタブロック44における観測線44X3の位置を示す測定点Q3の位置を取得する。
さらに、説明は省略するが、第2取得部11Dは、同様の制御により、マスタブロック44における観測線44Z1、Z2、Z3の位置を示す測定点R1、R2、R3(図14参照)の位置を取得することもできる。
ここで、制御点PのX方向における実シフト量L1が入力値X1と異なる場合は、移動前における二次元変位計42の照射部42Aに対する測定点Q1のX方向位置と、移動後における二次元変位計42の照射部42Aに対する測定点Q2のX方向位置と、が位置ずれする。
(変位測定装置を用いたシフト量補正フロー)
図17には、変位測定装置40を用いたシフト量補正処理220のフローが示されている。シフト量補正処理220は、上述したトラッキング装置30を用いたシフト量補正処理200の後に実行される。また、シフト量補正処理220は、ロボット22を駆動させてビードワイヤ8(図1参照)の巻付け工程を実施している間、継続的に実施される。すなわち、シフト量補正処理220は、シフト量補正処理200の終了後、直ちに実行される。
シフト量補正処理200の終了後、シフト量制御装置10のCPU11がシフト量制御プログラム13Aを実行することにより、図17に示すシフト量補正処理220が実行される。
シフト量制御プログラム13Aの実行が開始されると、ステップ222で、CPU11は、巻付け装置20が所定回数駆動したか否かを判定する。具体的には、CPU11は、タイヤ1の生産本数、ビードワイヤ8の巻付け本数、ロボット22の繰り返し動作の回数、巻付けドラム26の回転回数などを指標として、巻付け装置20の駆動回数をカウントする。
CPU11は、巻付け装置20が所定回数駆動したか否かを判定し、肯定判定となった場合は、ステップ224へ移行してロボット22を制御し、制御点Pをマスタブロック44へ近接させる。その後、ステップ226へ移行する。一方、否定判定となった場合は、CPU11は、肯定判定となるまで、ステップ222を繰り返し実行する。
ステップ226で、CPU11は、上述したように、二次元変位計42からレーザー光線を照射し、ロボット22を駆動させて、測定点Q1、Q2、Q3(図15参照)を取得する。
なお、本例においては、図示の便宜上、トラッキング装置30を用いたシフト量補正処理200(図16参照)において、ロボット22を横方向(図13ではY方向)に駆動させて測定点の位置を取得した場合について説明する。この場合、CPU11は、図15においてX方向に並ぶ測定点Q1、Q2、Q3を取得する。
シフト量補正処理200において、ロボット22を「Z方向」に駆動させて測定点の位置を取得する場合は、CPU11は、Z方向に並ぶ測定点R1、R2、R3を取得する。また、シフト量補正処理200においてロボット22をZ方向及び横方向(X方向又はY方向)に駆動させて測定点の位置を取得する場合は、CPU11は、測定点R1、R2、R3及び測定点Q1、Q2、Q3を取得する。
ステップ228で、CPU11は、測定点Q1、Q2、Q3を用いて、近似関数F(A)を補正する。
具体的には、CPU11は、図15Aに示す制御点Pが、シフト量入力値X1(シフト量補正処理200において補正された入力値)に基づいて移動した際の、実シフト量L1を算出する。実シフト量L1は、制御点Pの移動前における照射部42Aの位置、測定された測定点Q1の位置、入力されたシフト量X1に基づいて移動した後の照射部42Aの位置、照射部42Aに対する測定点Q2の位置から、算出される。
CPU11は、この実シフト量L1と、観測線44X1及び44X2のX方向に沿う実際の間隔X1と、の差に基づいて近似関数F(A)を補正して、図18に示す近似関数G(A)を導出する。
ステップ230で、CPU11は、ユーザによる入力値の受付待ちを行う。ユーザは、任意のシフト量を、入力部14等を介して入力する。CPU11は、入力値を受け付けたか否かを判定し、肯定判定となった場合は、ステップ232へ移行する。一方、否定判定となった場合は、CPU11は、肯定判定となるまで、ステップ230を繰り返し実行する。
ステップ232で、CPU11は、ステップ228で補正された近似関数G(A)に、ステップ230で入力された入力値を代入することで、シフト量誤差を算出する。そして、制御部11Aへ補正された入力値を入力し直す。CPU11(制御部11A)は、この補正された入力値に基づいて、ロボット22を制御する。
ステップ234で、CPU11は、シフト量補正処理220の終了タイミングが到来したか否かを判定し、肯定判定となった場合はシフト量補正処理220を終了する。この終了タイミングは、一例として、巻付け装置20の駆動が停止したことによって検知される。ステップ234で否定判定となった場合はステップ222へ戻る。
なお、図15Bに示すように、制御点Pは、ロボット22の制御精度やマスタブロック44の配置精度の影響により、マスタブロック44の面内方向と平行に(図15Bに示した例ではX方向に沿って)移動しない場合がある。
このような場合、CPU11は、ステップ226で、算出されたシフト量L1と、Y方向に移動したシフト量H1と、から、「実シフト量T1」を算出する。
なお、シフト量H1は、二次元変位計42の照射部42Aに対する測定点Q1のY方向位置と、移動後における二次元変位計42の照射部42Aに対する測定点Q2のY方向位置と、から取得できる。
また、実シフト量T1は、取得された実シフト量L1と及びシフト量H1を用いて計算式√{(L1)2+(H1)2}を実行することによって算出できる。
<効果>
本発明の実施形態に係るシフト量制御システム80は、制御部11Aが、シフト量の入力値に基づいて巻き付け装置20の被操作部(ロボットアーム112及びエンドエフェクタ24の少なくとも一方)を操作する。これにより、入力されたシフト量に応じて被操作部が移動して、巻付けドラム26の環状部材Mに、タイヤ部材としてのビードワイヤ8(図1参照)が巻き付けられる。
ここで、図13に示すように、トラッキング装置30が被操作部の実シフト量を測定する。この実シフト量と入力値との間に誤差がある場合、ビードワイヤ8を環状部材Mの正確な位置に巻き付けることが難しい。そこで、補正部11Bが、入力値と実シフト量との差に基づいて、入力値を補正する。これにより、実シフト量と入力値との間の誤差を縮小できる。
さらに、シフト量制御システム80では、補正部によって補正された入力値に基づいて被操作部を移動させ、図14、15に示すように、二次元変位計42によって、指標体としてのマスタブロック44に所定の間隔で形成された観測線44X1、44X2、44X3、44Z1、44Z2及び44Z3の位置を測定する。
測定された観測線の位置と、実際の観測線の位置との間にズレがある場合、ビードワイヤ8を環状部材Mの正確な位置に精度良く巻き付けることが難しい。そこで、補正部11Bが、測定された観測線の位置と、実際の観測線の位置との差に基づいて、入力値をさらに補正する。これにより、実シフト量と入力値との間の誤差をさらに縮小できる。
このように、本実施形態に係るシフト量制御システム80では、トラッキング装置30及び二次元変位計42による測定値を用いて、シフト量の入力値を二段階で補正する。このため、例えば撮像装置のみを用いたシフト量制御と比較して、高い精度でシフト量を制御できる。
また、本実施形態に係るシフト量制御システム80では、図11(A)に示すシフト量データベース13Bに、入力値と実シフト量との対応関係が複数記憶される。そして、補正部11Bが、シフト量データベース13Bに記憶された情報に基づいて、入力値を補正する。これにより、入力値と実シフト量との対応関係を1回のみ測定する場合と比較して、入力値の補正精度が向上する。
なお、本実施形態においては、シフト量制御システム80が、シフト量データベース13B又は重量対応シフト量データベース13Cを備えるものとしたが、本発明の実施形態はこれに限らない。例えばこれらのデータベースは必ずしも必要としない。
この場合、図16に示したシフト量補正処理200におけるステップ208、210は省略され、ステップ206で取得された測定点P3、P4、P5、…の位置だけを用いて、図11(B)に示す近似関数F(A)を導出する。この近似関数F(A)を導出するための演算式は任意のものを用いることができる。
なお、本実施形態においては、制御部11Aでトラッカ本体32を制御する態様について説明したが、本発明の実施形態はこれに限らない。例えばトラッカ本体32は、シフト量制御装置10とは別の装置によって制御してもよい。
この場合、シフト量制御装置10の第1取得部11Cに対する測定点P3、P4及びP5等の入力は、ユーザが実施してもよい。あるいは、ユーザは、測定点P3、P4及びP5の位置から、制御点Pが測定点P3からP4、測定点P4からP5へ移動した「実シフト量」を計算し、第1取得部11Cへ入力してもよい。
また、制御部11Aでトラッカ本体32を制御しない場合は、図16に示すシフト量補正処理において、ステップ202~206の処理は省略される。そして、シフト量補正処理200が実行されると、ユーザによる測定点P3、P4及びP5等の入力によって導出された実シフト量を、シフト量データベース13Bに記憶するステップ208から実行される。
<ツール座標系の位置ずれ>
本実施形態においては、図19に示すように、巻付ローラ23aの制御点Pが、ジョイント部24A及び駆動回転部29の回転中心軸線CL2上となる位置に配置されている。
ロボットアーム112の先端E112において、ジョイント部24Aの回転中心を原点O1、制御点Pの位置を原点O2とする。原点O1は、ロボット22のメカニカルインターフェース面を基準として定められる座標系(所謂メカニカルインターフェース座標系)の原点である。また、原点O2は、エンドエフェクタ24に定められる座標系(所謂ツール座標系)の原点であり、制御点Pの位置である。
ここで、巻き付け装置20(図2参照)を繰り返し使用する過程で、機械振動やエンドエフェクタ24の自重等により、エンドエフェクタ24が、エンドエフェクタ24の取付箇所である、ロボットアーム112の先端E112に対して位置ずれする場合がある。
エンドエフェクタ24が位置ずれすると、エンドエフェクタの制御点Pも位置ずれする。すなわち、ツール座標系の原点O2が、メカニカルインターフェース座標系の原点O1に題して位置ずれする。このような位置ずれした状態を放置すると、ビードワイヤ8(図1参照)を環状部材Mの正確な位置に精度高く巻き付けることが難しい。
また、巻き付け装置20(図2参照)を繰り返し使用する過程で、ロボット22のメカニカルインターフェース面(原点O1)が、初期位置に対して位置ずれする場合がある。一般的に、メカニカルインターフェース面を初期位置に保持することは難しく、例えばロボット22の製造メーカが定めるメカニカルインターフェース面の位置決め精度は、所定の稼働時間内に限定される場合がある。
このため、長期的にロボット22を使用する場合は、ツール座標系の原点O2の位置ずれに、メカニカルインターフェース座標系の原点O1のずれも累積される可能性がある。
そこで、本実施形態においては、以下に示す方法によって、原点O2の位置ずれ量の影響を低減するために、上述した二次元変位計42を用いて原点O2の位置ずれ量を把握して、制御部11Aへ入力された入力値を補正する。
原点O1に対する原点O2の位置ずれ量を把握するためには、少なくとも、原点O1に対する二次元変位計42における照射部42Aの位置ずれ量を把握する。そして、好ましくは、照射部42Aに対する制御点P(原点O2)の位置ずれ量をさらに把握する。
以下の説明においては、まず、原点O1に対する照射部42Aの位置ずれを把握して、制御部11Aへ入力された入力値を補正する方法を説明する。次いで、照射部42Aに対する制御点P(原点O2)の位置ずれを把握して、制御部11Aへ入力された入力値を補正する方法を説明する。
(メカニカルインターフェース座標系の原点に対する照射部の位置ずれ測定)
原点O1に対する照射部42Aの位置ずれを把握するために、制御部11Aは、図20に示すようにロボット22を制御して、制御点Pをマスタブロック44へ近接させる。そして制御部11Aは、二次元変位計42を制御して、マスタブロック44へレーザー光線を照射する。
これにより、図21に示すように、マスタブロック44における観測線44M1の位置を示す測定点F1、F4が検出される。同様に、観測線44M2の位置を示す測定点F2、F3が検出される。第2取得部11Dは、測定点F1、F2、F3及びF4の位置を取得する。
測定点F1、F2、F3及びF4の位置は、二次元変位計42の照射部42Aに対するZ方向位置として取得される。図21に示す距離a0、b0、c0及びd0は、それぞれ照射部42Aと測定点F1、F2、F3及びF4のZ方向距離であり、これらの値は、記憶部13に、測定点F1、F2、F3及びF4の「初期測定位置」として記憶される。
図22(A)には、照射部42Aが位置ずれした状態で、測定点F1、F2、F3及びF4の位置を測定している状態が示されている。この図に示された状態では、照射部42Aが、Z軸方向に位置ずれしている。
このように照射部42Aが位置ずれしていると、図22(B)に示すように、測定される距離a1、b1、c1及びd1は、距離a0、b0、c0及びd0と異なる値となる。なお、図22(B)においては、初期値と測定値とが等しい場合における初期値と測定値との関係を直線で示している。
同様に、図23(A)には、初期値を測定後、照射部42Aが位置ずれした状態で、測定点F1、F2、F3及びF4の位置を測定している状態が示されている。この図に示された状態では、照射部42Aが、Y軸方向周りに位置ずれしている。
このように照射部42Aが位置ずれしている場合も、図23(B)に示すように、測定される距離a2、b2、c2及びd2は、距離a0、b0、c0及びd0と異なる値となる。
(シフト量補正フロー)
図24には、原点O1に対する照射部42Aの位置ずれを把握して制御部11Aへ入力された入力値を補正するシフト量補正処理240のフローが示されている。シフト量補正処理240が実行されるタイミングは特に限定されるものではないが、一例として、シフト量補正処理220と同様に、上述したトラッキング装置30を用いたシフト量補正処理200の後に実行される。
また、シフト量補正処理240は、ロボット22を駆動させてビードワイヤ8(図1参照)の巻付け工程を実施している間、継続的に実施される。すなわち、シフト量補正処理240は、シフト量補正処理200の終了後、直ちに実行される。
シフト量制御装置10のCPU11がシフト量制御プログラム13Aを実行することにより、図24に示すシフト量補正処理240が実行される。
シフト量制御プログラム13Aの実行が開始されると、ステップ242で、CPU11は、ロボット22を制御し、制御点Pをマスタブロック44へ近接させる。その後、ステップ244へ移行する。
ステップ244で、CPU11は、上述したように、二次元変位計42からレーザー光線を照射し、測定点F1、F2、F3及びF4を取得する。また、CPU11は、これらの測定点F1、F2、F3及びF4の位置を示す距離a0、b0、c0及びd0(図21参照)を、照射部42Aと測定点F1、F2、F3及びF4のZ方向距離の「初期測定位置」として記憶する。
次に、ステップ246で、CPU11は、巻付け装置20が所定回数駆動したか否かを判定する。具体的には、CPU11は、タイヤ1の生産本数、ビードワイヤ8の巻付け本数、ロボット22の繰り返し動作の回数、巻付けドラム26の回転回数などを指標として、巻付け装置20の駆動回数をカウントする。この「所定回数」は、シフト量補正処理220のステップ222でカウントする回数と一致していてもよいし、異なっていてもよい。
CPU11は、巻付け装置20が所定回数駆動したか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ248へ移行し、CPU11は、ロボット22を制御して制御点Pをマスタブロック44へ近接させる。その後、ステップ250へ移行する。一方、否定判定となった場合は、CPU11は、肯定判定となるまで、ステップ246を繰り返し実行する。
ステップ250で、CPU11は、上述したように、二次元変位計42からレーザー光線を照射し、測定点F1、F2、F3及びF4を取得する。
次に、ステップ252で、CPU11は、ステップ244で測定された「初期測定位置」と、ステップ250で測定された「測定位値」(例えば距離a1、b1、c1及びd1(図22参照)や、距離a2、b2、c2及びd2(図23参照))との差に基づいて原点O1に対する照射部42Aの位置ずれを算出する。さらにCPU11は、この算出値に基づいて、制御部11Aへ入力された入力値を補正するための補正値を導出する。
ステップ254で、CPU11は、ユーザによる入力値の受付待ちを行う。ユーザは、任意のシフト量を、入力部14等を介して入力する。CPU11は、入力値を受け付けたか否かを判定し、肯定判定となった場合は、ステップ256へ移行する。一方、否定判定となった場合は、CPU11は、肯定判定となるまで、ステップ254を繰り返し実行する。
ステップ256で、CPU11は、ステップ252で導出された補正値によってシフト量を補正して、制御部11Aへ補正された入力値を入力し直す。CPU11は、この補正された入力値に基づいて、ロボット22を制御する。
ステップ258で、CPU11は、シフト量補正処理220の終了タイミングが到来したか否かを判定し、肯定判定となった場合はシフト量補正処理240を終了する。この終了タイミングは、一例として、巻付け装置20の駆動が停止したことによって検知される。ステップ258で否定判定となった場合はステップ246へ戻る。
(照射部に対するツール座標系の原点の位置ずれ測定)
照射部42Aに対する原点O2の位置ずれを把握するためには、図25に示す測定冶具50を用いる。測定冶具50は、照射部42Aからレーザー光線を照射する測定部52を備えている。測定部52は、照射方向に面した被照射面52Aと、照射方向に沿う上面52Bと、を備えている。また、被照射面52Aの一部は、照射方向奥側に傾斜した傾斜面52Cとされている。
被照射面52Aの傾斜面52Cにレーザー光線を照射することにより、第3取得部11Eは、レーザー光線によって照射された部分の寸法を取得することができる。この寸法とは、測定部52における被照射部分のY方向に沿う寸法50a、及び、照射部42Aから測定部52のZ方向の端部までのZ軸方向沿う寸法50bである。
なお、図25においては、測定冶具50の構成を説明するための便宜上、測定冶具50とエンドエフェクタ24とが離間して示されているが、測定冶具50はエンドエフェクタ24に近接あるいは接触した状態で使用される。また、測定冶具50は、原点O2に対して位置決めされた状態で使用される。すなわち、測定冶具50における各箇所と、原点O2との距離は、レーザー光線等に依らず把握することができる。
照射部42Aに対する原点O2の位置ずれを把握するためには、図26(A)に示すように、照射部42Aと原点O2とのX方向に沿う距離40Aを把握する必要がある。この距離40Aは、寸法50aが測定されて、レーザー光線が照射されたX方向の位置が特定できることにより、把握することができる。
また、照射部42Aに対する原点O2の位置ずれを把握するためには、図26(B)に示すように、照射部42Aと原点O2とのY方向に沿う距離40Bを把握する必要がある。この距離40Bは、寸法50bが測定されて、レーザー光線が照射される照射部42AのY方向位置が特定できることにより、把握することができる。
(シフト量補正フロー)
図27には、照射部42Aに対する原点O2の位置ずれを把握して制御部11Aへ入力された入力値を補正するシフト量補正処理260のフローが示されている。シフト量補正処理260は、入力部14等を介して、ユーザがシフト量補正処理260の実行を指示することに伴い、実行される。
シフト量制御装置10のCPU11がシフト量制御プログラム13Aを実行することにより、図24に示すシフト量補正処理260が実行される。
ステップ262で、CPU11は、上述したように、二次元変位計42からレーザー光線を照射し、測定部52における被照射部分のY方向に沿う寸法50a、及び、照射部42Aから測定部52のZ方向の端部までのZ軸方向沿う寸法50bを取得する。
次に、ステップ264で、CPU11は、ステップ244で測定された寸法50a及び50bから、照射部42Aと原点O2とのX方向に沿う距離40A及び照射部42Aと原点O2とのY方向に沿う距離40Bを算出する。また、CPU11は、これらの距離40A及び40Bと、予め設定された設定値とのずれに基づいて、制御部11Aへ入力された入力値を補正するための補正値を導出する。
ステップ266で、CPU11は、ユーザによる入力値の受付待ちを行う。ユーザは、任意のシフト量を、入力部14等を介して入力する。CPU11は、入力値を受け付けたか否かを判定し、肯定判定となった場合は、ステップ268へ移行する。一方、否定判定となった場合は、CPU11は、肯定判定となるまで、ステップ266を繰り返し実行する。
ステップ268で、CPU11は、ステップ264で導出された補正値によってシフト量を補正して、制御部11Aへ補正された入力値を入力し直す。CPU11は、この補正された入力値に基づいて、ロボット22を制御して、シフト量補正処理240を終了する。
なお、シフト量補正処理260は、シフト量補正処理240と併せて実施することができる。この場合、図28に示すように、シフト量補正処理240におけるステップ252の次に、ステップ270に移行して、CPU11は、ユーザによるシフト量補正指示の受付待ちを行う。
ユーザは測定冶具50を所定に位置に設置して、入力部14等を介して、シフト量補正指示を入力する。CPU11は、入力を受け付けたか否かを判定し、肯定判定となった場合は、上述したステップ262へ移行する。一方、否定判定となった場合は、CPU11は、肯定判定となるまで、ステップ266を繰り返し実行する。
そして、ステップ262の後、上述したステップ264へ移行して、さらに、シフト量補正処理240のステップ254へ移行する。
<効果>
このように、本実施形態に係るシフト量制御システム80では、図2に示すように、シフト量制御装置10がシフト量の入力値に基づいてロボット22の被操作部(ロボットアーム112及びエンドエフェクタ24の少なくとも一方)を移動させる。
また、図20~23に示すように、二次元変位計42によって、指標体であるマスタブロック44に所定の形状(矩形状及び円形状)で形成された観測線44M1、44M2の位置を測定する。そして、補正部11B(図10参照)が、観測線M1、M2の初期測定位置(一例として、図21に示す距離a0、b0、c0及びd0)と、巻き付け装置20を所定回数駆動後の観測線の測定位置(一例として、図22に示す距離a1、b1、c1及びd1)との差に基づいて、入力値を補正する。これにより、エンドエフェクタ24が位置ずれした状態でも、位置ずれの影響を低減できる。
このように、本実施形態に係るシフト量制御システム80では、二次元変位計42による測定値を用いて、シフト量の入力値を補正する。このため、例えばカメラのみを用いたシフト量制御と比較して、高い精度でシフト量を制御できる。
また、シフト量制御システムでは、図25、26に示すように、測定冶具50を用いることにより、二次元変位計42に対するエンドエフェクタ24の制御点Pの位置(原点O2の位置)を測定できる。そして、補正部11Bが、二次元変位計42に対するエンドエフェクタ24の制御点Pの位置の、設定値とのずれに基づいて、入力値をさらに補正する。これより、シフト量の制御精度を向上できる。
なお、本実施形態において、例えば、制御部11A、補正部11B、第1取得部11C、第2取得部11D及び第3取得部11Eの各処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(processor)を用いることができる。上記各種のプロセッサには、前述したように、ソフトウェア(プログラム)を実行して処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPUに加えて、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせや、CPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアント及びサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)等に代表されるように、処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)を用いることができる。このように、本発明は様々な態様で実施することができる。
10 シフト量制御装置 11A 制御部 11B 補正部 11C 第1取得部
11D 第2取得部 11E 第3取得部(取得部) 20 巻付け装置
112 ロボットアーム(被操作部) 24 エンドエフェクタ(被操作部)
30 トラッキング装置 42 二次元変位計 44 マスタブロック(指標体)
50 測定冶具



Claims (7)

  1. 巻き付け装置の被操作部を、シフト量の入力値に基づいて操作する制御部と、
    前記入力値に基づいて前記被操作部を移動させ、前記被操作部のエンドエフェクタに配置された二次元変位計を用いて、指標体に所定の形状で形成された観測線の位置を測定する際に、測定された前記観測線の位置を取得する取得部と、
    前記取得部で取得された前記観測線の初期測定位置と、前記巻き付け装置を所定回数駆動後の前記観測線の測定位置との差に基づいて、前記被操作部におけるエンドエフェクタの取付箇所に対する前記二次元変位計の位置ずれを算出し、前記入力値を補正する補正部と、
    を備えたシフト量制御システム。
  2. 前記取得部は、前記エンドエフェクタに取付けた測定冶具を、前記二次元変位計を用いて測定することにより、前記二次元変位計に対する前記エンドエフェクタの制御点の位置を取得し、
    前記補正部は、取得された前記エンドエフェクタの制御点の位置の、設定値とのずれに基づいて、前記入力値をさらに補正する、
    請求項1に記載のシフト量制御システム。
  3. 前記観測線は、前記指標体に形成された正方形状の凹部及び円形状の凹部によって形成されている、請求項1又は2に記載のシフト量制御システム。
  4. 前記観測線は、前記指標体において互いに対向する両面に形成されている、請求項1~3の何れか1項に記載のシフト量制御システム。
  5. 巻き付け装置の被操作部を、シフト量の入力値に基づいて操作する工程と、
    前記被操作部のエンドエフェクタに配置された二次元変位計を用いて、指標体に所定の間隔で形成された観測線の位置を測定する際に、測定された前記観測線の位置を取得する工程と、
    取得された前記観測線の初期測定位置と、前記巻き付け装置を所定回数駆動後の前記観測線の測定位置との差に基づいて、前記被操作部におけるエンドエフェクタの取付箇所に対する前記二次元変位計の位置ずれを算出し、前記入力値を補正する工程と、
    を備えたシフト量制御方法。
  6. コンピュータを、
    巻き付け装置の被操作部を、シフト量の入力値に基づいて操作する制御部と、
    前記入力値に基づいて前記被操作部を移動させ、前記被操作部のエンドエフェクタに配置された二次元変位計を用いて、指標体に所定の間隔で形成された観測線の位置を測定する際に、測定された前記観測線の位置を取得する取得部と、
    前記取得部で取得された前記観測線の初期測定位置と、前記巻き付け装置を所定回数駆動後の前記観測線の測定位置との差に基づいて、前記被操作部におけるエンドエフェクタの取付箇所に対する前記二次元変位計の位置ずれを算出し、前記入力値を補正する補正部と、
    して機能させるためのプログラム。
  7. 巻き付け装置と、
    前記巻き付け装置に備えられた被操作部と、
    前記被操作部に配置されたエンドエフェクタと、
    所定の間隔で観測線が形成された指標体と、
    前記エンドエフェクタに配置され、前記観測線の位置を測定する二次元変位計と、
    前記被操作部をシフト量の入力値に基づいて操作する制御部と、前記入力値に基づいて前記被操作部を移動させて、前記二次元変位計を用いて前記観測線の位置を測定する際に、測定された前記観測線の位置を取得する取得部と、前記取得部で取得された前記観測線の初期測定位置と、前記巻き付け装置を所定回数駆動後の前記観測線の測定位置との差に基づいて、前記被操作部におけるエンドエフェクタの取付箇所に対する前記二次元変位計の位置ずれを算出し、前記入力値を補正する補正部と、を有するシフト量制御装置と、
    を備えたシフト量制御システム。



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