JP2023086379A - 水系電子線硬化型組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】水分散性に優れ、塗工及び乾燥後のタレがなく、硬化性に優れる水系電子線硬化型組成物の提供。【解決手段】下記成分(A)及び水を含む水系電子線硬化型組成物。・成分(A):側鎖に(メタ)アクリロイル基を有し、かつ、酸性基を有する(メタ)アクリレート系重合体であって、酸価が45~130mgKOH/gであり、(メタ)アクリル当量が500~2,000g/eqであり、重量平均分子量が20,000以下であり、未硬化の状態におけるガラス転移点が、-15~80℃である重合体。【選択図】なし

Description

本発明は、水分散性に優れ、塗工及び乾燥後のタレがなく、硬化性に優れ、実質的に有機溶媒を含まず、環境負荷が低い水系電子線硬化型組成物に関する。
活性エネルギー線硬化性組成物は、紫外線、可視光線及び電子線等の活性エネルギー線をごく短時間照射することで硬化可能であり、熱硬化等と比較して、硬化時間が短く、硬化のために必要とするエネルギーが少ない等のプロセス上のメリットを有している。
よって、生産性が高いことから、インキ、コーティング剤、及び接着剤等の用途に幅広く用いられている。
一方、アクリル系重合体は、他の重合体と比較して、引張強度及び伸び等の引張物性、並びに耐候性が優れるメリットを有している。
そこで、これらを両立する重合体として、側鎖にアクリロイル基を有するアクリル系重合体、いわゆる、アクリルアクリレートが知られている(特許文献1~3参照)。
しかしながら、これらのアクリルアクリレートは、有機溶媒系で使用されており、環境負荷が高いという問題があった。
従来、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有するアクリル系重合体の水分散体も提案されている(特許文献4~7)。しかし、これらの水分散体の多くは、カルボン酸基含有ポリマーにグリシジルメタクリレートを付加したものであり、側鎖がメタクリロイル基であるため、硬化速度が遅いという問題があったり、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有するアクリル系重合体の水分散性が不十分であったり、水分散体を使用する場合は、基材に塗工した後に塗膜を加熱により乾燥させるが、この場合にタレが発生する場合があった。
加えて、これらの分散体は、界面活性剤を使用した強制乳化であるため、耐候性が不十分といった問題があった。
特開昭58-25365号公報 特開平04-366178号公報 特開2011-57905号公報 特開平10-195142号公報 特開平10-195361号公報 特開平10-195371号公報 特開平10-195372号公報
本発明の目的は、水分散性に優れ、塗工及び乾燥後のタレがなく、硬化性に優れる水系電子線硬化型組成物を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有し、かつ、酸性基を有する(メタ)アクリレート系重合体であって、特定値の酸価、(メタ)アクリル当量、重量平均分子量、未硬化の状態におけるガラス転移点を有する重合体を含む水系電子線硬化性組成物が、前記課題を解決でき、水分散性に優れ、塗工及び乾燥後のタレがなく、硬化性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、下記成分(A)及び水を含む水系電子線硬化型組成物に関する。
・成分(A):側鎖に(メタ)アクリロイル基を有し、かつ、酸性基を有する(メタ)アクリレート系重合体であって、酸価が45~130mgKOH/gであり、(メタ)アクリル当量が500~2,000g/eqであり、重量平均分子量が20,000以下であり、未硬化の状態におけるガラス転移点が、-15~80℃である重合体。
成分(A)としては、中和物が好ましく、3級アミンの中和物が好ましく、pHが4~8である中和物が好ましい。
成分(A)としては、反応性基を有しない(メタ)アクリレート系単量体(a1-1)〔以下、「単量体(a1-1)」ともいう〕に由来する構成単位と、反応性基を有する(メタ)アクリレート系単量体(a1-2)〔以下、「単量体(a1-2)」ともいう〕に由来する構成単位とを有する共重合体(a1)〔以下、「共重合体(a1)」ともいう〕と、前記反応基に反応する基と、アクリロイル基とを有する化合物(a2)(以下、「不飽和化合物(a2)」ともいう)との反応物が好ましい。
共重合体(a1)を構成する単量体(a1-2)としては、酸性基、エポキシ基、及びヒドロキシ基からなる群より選ばれた反応性基を有する(メタ)アクリレート系単量体が好ましい。
又、成分(A)において、共重合体(a1)が単量体(a1-2)として酸性基を有する(メタ)アクリレート系単量体を構成単位として含み、不飽和化合物(a2)が酸性基と反応性する基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物が好ましい。
成分(A)としては、
共重合体(a1)が、単量体(a1-2)としてカルボキシ基を有する(メタ)アクリレート系単量体を構成単位として含み、
不飽和化合物(a2)が、ヒドロキシ基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物又はエポキシ基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物が好ましい。
成分(A)としては、単量体(a1-1)に由来する構成単位と、単量体(a1-2)に由来する構成単位とを含む共重合体(a1)であって、単量体(a1-2)としてエポキシ基を有する(メタ)アクリレート系単量体を構成単位として含む共重合体と、
不飽和化合物(a2)が、カルボキシ基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物との反応物のヒドロキシ基に、
酸無水物を付加させて得られる反応物が好ましい。
又、成分(A)としては、単量体(a1-1)に由来する構成単位と、単量体(a1-2)に由来する構成単位とを含む共重合体(a1)であって、単量体(a1-2)としてヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレート系単量体を構成単位として含む共重合体と、
不飽和化合物(a2)が、エポキシ基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物との反応物のヒドロキシ基に、
酸無水物を付加させて得られる反応物が好ましい。
本発明の組成物は、成分(A)を組成物全量に対して15~90重量%の割合で含むものが好ましい。
本発明の組成物としては、さらに、成分(A)以外のエチレン性不飽和基を有する化合物(B)(以下、「成分(B)」という)を含むものが好ましい。
この場合、成分(A)及び成分(B)の合計100重量%中に、成分(A)を5~95重量%及び成分(B)を95~5重量%含むものが好ましい。
さらに、成分(A)及び成分(B)の合計として、二重結合当量が500~2,500g/eqであるものが好ましい。
本発明の組成物は、コーティング剤用電子線硬化型組成物として好ましく使用することができ、さらに、屋外コーティング剤用電子線硬化型組成物として好ましく使用することができる。
組成物の製造方法としては、下記工程1及び工程2を順次実施して成分(A)を製造する工程を含む方法が好ましい。
工程1:反応性基を有しない(メタ)アクリレート系単量体に由来する構成単位(a1-1)と、反応性基を有する(メタ)アクリレート系単量体(a1-2)に由来する構成単位とからなる共重合体(a1)であって、単量体(a1-2)としてエポキシ基を有する(メタ)アクリレート系単量体を構成単位として含む共重合体に、カルボキシ基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物である不飽和化合物(a2)を反応させて、前記共重合体(a1)に、前記反応性基を介して、前記不飽和化合物(a2)を付加させる工程、及び
工程2:工程1で得られた反応物のヒドロキシ基に、酸無水物を付加させる工程
前記不飽和化合物(a2)としては、(メタ)アクリル酸が好ましい。
又、前記工程2の後、下記工程3を実施する方法が好ましい。
工程3:工程2で得られた反応物を中和させる工程
前記工程3において、中和剤として3級アミンを使用する方法が好ましい。
本発明の水系電子線硬化型組成物は、水分散性に優れ、塗工及び乾燥後のタレがなく、硬化性に優れる。
本発明は、下記成分(A)及び水を含む電子線硬化型組成物(以下、単に「組成物」ともいう)関する。
・成分(A):側鎖に(メタ)アクリロイル基を有し、かつ、酸性基を有する(メタ)アクリレート系重合体であって、酸価が45~130mgKOH/gであり、(メタ)アクリル当量が500~2,000g/eqであり、重量平均分子量が20,000以下であり、未硬化の状態におけるガラス転移点が、-15~80℃である重合体。
以下、成分(A)、電子線硬化型組成物、及び使用方法について説明する。
尚、本発明において、「(メタ)アクリレート重合体」とは、構成単位の主成分として(メタ)アクリレートを含有する重合体を意味し、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及び/又はメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味し、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイル及び/又はメタクリロイルを意味する。
1.成分(A)
成分(A)は、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有し、かつ、酸性基を有する(メタ)アクリレート系重合体であって、酸価が45~130mgKOH/gであり、(メタ)アクリル当量が500~2,000g/eqであり、重量平均分子量(以下、「Mw」という)が20,000以下であり、未硬化の状態におけるガラス転移点(以下、「Tg」という)が、-15~80℃である重合体である。
成分(A)の酸価は、45~130mgKOH/gであり、45~110mgKOH/gが好ましく、45~90mgKOH/gがより好ましい。
成分(A)の酸価が45mgKOH/gに満たない場合は、自己乳化性が低下してしまい、130mgKOH/gを超過する場合は、硬化物の耐水性が悪くなってしまう。
尚、本発明における酸価とは、JIS K0070に準じて測定した値を意味する。
成分(A)のアクリル当量は、500~2,000g/eqであり、好ましくは600~1,800g/eqであり、より好ましくは700~1,600g/eqである。
アクリル当量が500g/eqに満たないと、硬化物の伸び率、柔軟性が低下してしまい、2,000g/eqを超過すると、硬化速度が低下してしまい、硬化物の強度及び耐候性が低下してしまう。
本発明において、アクリル当量(g/eq)はアクリロイル基1当量(eq)あたりの重量(g)を表し、数値が大きくなるほどアクリロイル基の濃度は低くなり、数値が小さくなるほどアクリロイル基の濃度は高くなる。
アクリル当量は以下の式で求められる。以下の式中、成分(A)のアクリロイル基のモル数は、後記変性反応で共重合体(a1)に付加した不飽和化合物(a2)のアクリルロイル基のモル数であり、上記変性反応後に混在する未反応の不飽和化合物(a2)に由来するアクリロイル基は除外される。
Figure 2023086379000001
成分(A)のMwは、20,000以下であり、3,000~15,000が好ましく、5,000~12,000がより好ましい。
20,000を超過すると、比較的高濃度でも低粘度化できないため、塗工性が低下し、又、他の硬化性化合物と混合した場合、相溶性が低下してしまう。Mwが3,000以上であることにより、硬化物が耐候性、引張物性が優れたものとなる。
尚、本発明におけるMwとは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCという)によって測定された分子量をポリスチレン換算した値を意味する。
成分(A)の未硬化状態でのTgは、-15~80℃である。Tgが-15℃に満たないと、未硬化時におけるタレが発生してしまい、未硬化時におけるタックが発生し、埃等の汚染物が付着してしまい、未照射物による周囲の汚染が発生し取り扱い難くなってしまい、又、硬化膜の強度が低下してしまう。Tgが80℃を超過すると、硬化膜の柔軟性(伸び)が低下してしまう
成分(A)の未硬化状態でのTgとしては、好ましくは、-10~70℃であり、より好ましくは、0~50℃である。
尚、本発明において、Tgとは、TA Instrument製(Q-100)等の示差走査熱量計を用いて得られた熱流束曲線のベースラインと変曲点での接線の交点から決定したものを意味する。熱流束曲線は窒素雰囲気下で試料約10mgを-100℃まで冷却し、5分間保持した後、10℃/分で300℃まで昇温し、引き続き-100℃まで冷却し、5分間保持した後、10℃/分で350℃まで昇温する条件で得られる。
成分(A)としては、前記した酸価、(メタ)アクリル当量、Mw及び未硬化の状態におけるTgを満たす、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有し、かつ、酸性基を有する(メタ)アクリレート系重合体であれば、種々の重合体を使用することができる。
成分(A)は、従来の重合方法により製造可能であり、その製造方法は特に限定されないが、代表的には、(メタ)アクリレート重合体の側鎖に適当な原子又は原子団を介してアクリロイル基を結合させた重合体が挙げられる。
成分(A)の好ましい例としては、例えば、単量体(a1-1)〔反応性基を有しない(メタ)アクリレート系単量体(a1-1)〕に由来する構成単位と、単量体(a1-2)〔反応性基を有する(メタ)アクリレート系単量体(a1-2)〕に由来する構成単位とからなる共重合体(a1)と、不飽和化合物(a2)〔前記反応基と反応する基とアクリロイル基とを有する化合物(a2)〕の反応物(以下、「成分(A)-1」ともいう)等が挙げられる。
即ち、成分(A)としては、共重合体(a1)を幹ポリマーとし、当該幹ポリマーの反応性基と、不飽和化合物(a2)の反応性基と反応させることにより得られた、アクリロイル基を側鎖として結合させた重合体が好ましい。
成分(A)の別の好ましい例としては、単量体(a1-1)に由来する構成単位と、単量体(a1-2)に由来する構成単位とを含む共重合体(a1)であって、単量体(a1-2)としてエポキシ基を有する(メタ)アクリレート系単量体を構成単位として含む共重合体と、不飽和化合物(a2)が、カルボキシ基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物との反応物のヒドロキシ基に、酸無水物を付加させて得られる反応物(以下、「成分(A)-2」ともいう)が挙げられる。
成分(A)の別の好ましい例としては、単量体(a1-1)に由来する構成単位と、単量体(a1-2)に由来する構成単位とを含む共重合体(a1)であって、単量体(a1-2)としてヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレート系単量体を構成単位として含む共重合体と、
不飽和化合物(a2)が、エポキシ基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物との反応物のヒドロキシ基に、酸無水物を付加させて得られる反応物(以下、「成分(A)-3」ともいう)が挙げられる。
以下、共重合体(a1)、不飽和化合物(a2)、及び成分(A)の製造方法について説明する。
(1)共重合体(a1)
成分(A)の原料共重合体である共重合体(a1)は、単量体(a1-1)に由来する構成単位と、単量体(a1-2)に由来する構成単位とからなる共重合体である。
以下、単量体(a1-1)及び単量体(a1-2)について説明する。
(1-1)単量体(a1-1)
単量体(a1-1)は、反応性基を有しない(メタ)アクリレート系単量体(a1-1)である。
単量体(a1-1)の具体例としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、及びステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;
イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、及びジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレート;
N-(メタ)アクリロイルモルホリン;(メタ)アクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド及びN,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド類;並びに
アクリロニトリル及びメタクロニトリル等が挙げられる。
(1-2)単量体(a1-2)
単量体(a1-2)は、反応性基を有する(メタ)アクリレート系単量体である。
単量体(a1-2)としては、エポキシ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基及びイソシアネート基からなる群より選ばれた反応性基を有する(メタ)アクリレート系単量体が好ましい。
反応性基としてエポキシ基を有する単量体(a1-2)としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート及び4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等が挙げられる。
反応性基としてヒドロキシ基を有する単量体(a1-2)としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、及び2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのε-カプロラクトン付加物等が挙げられる。
反応性基としてイソシアネート基を有する単量体(a1-2)としては、例えば、(メタ)アクリロキシエチルイソシアネートが挙げられ、具体的な製品としては、「カレンズMOI」、「カレンズAOI」(何れも商品名、昭和電工製)が挙げられる。
反応性基としてカルボキシ基を有する単量体(a1-2)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトン(n≒2)モノアクリレート、(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタレート、(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート、(メタ)アクリロイルオキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタレート、β―カルボキシエチルアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートの無水フタル酸付加物、ペンタエリスリトールトリアクリレートの無水コハク酸付加物、ジペンタエリスリトールトリアクリレートの無水コハク酸付加物、ジペンタエリスリトールトリアクリレートの無水フタル酸付加物等が挙げられる。
(1-3)好ましい共重合割合
共重合体(a1)中の単量体(a1-1)と単量体(a1-2)との共重合割合としては、目的とする成分(A)におけるアクリロイル基のアクリロイル基当量に応じて設定すれば良く、単量体(a1-1)と単量体(a1-2)の合計100重量%中に、単量体(a1-1)を5~70重量%であることが好ましく、15~50重量%であることがより好ましく、20~40重量%であることがさらにより好ましい。
(1-4)共重合体(a1)の重合方法
不飽和化合物(a2)で変性する前の共重合体(a1)の製造方法としては、特に制限はないが、懸濁重合、乳化重合、溶液重合、塊状重合等の公知の方法を用いることができる。
これらの中でも、重合体の製造が容易、かつ乳化剤等の不純物を含まない点で、塊状重合、溶液重合が好ましい。
(1-4-1)溶液重合
溶液重合法としては、使用する原料モノマーを有機溶媒に溶解し、熱重合開始剤を添加し、加熱攪拌する方法が挙げられる。溶液重合法でラジカル重合により合成する場合は、使用する原料モノマーを有機溶媒に溶解し、熱ラジカル重合開始剤を添加し、加熱攪拌することにより得られる。又、必要に応じて、重合体の分子量を調節するために連鎖移動剤を使用することができる。
溶液重合法に用いられる有機溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;並びにヘキサン、ヘプタン及びミネラルスピリット等の脂肪族炭化水素類等が挙げられる。
熱重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル及びアゾビスシアノバレリックアシッド等のアゾ系開始剤;t-ブチルパーオキシピバレート、t-ヘキシルパーオキシピバレート、ジラウロイルパーオキシド、ジ(2-エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジt-ブチルパーオキシド及びジクミルパーオキシド等の有機過酸化物;並びに過酸化水素-鉄(II)塩、ペルオキソ二硫酸塩-亜硫酸水素ナトリウム、クメンヒドロペルオキシド-鉄(II)塩等が挙げられる。
熱重合開始剤の使用割合は、目標とする分子量に応じて適宜設定すれば良い。熱ラジカル重合開始剤の使用割合は、使用する全モノマーの合計100重量部に対して、0.1~10重量部が好ましい。
(1-4-2)塊状重合
塊状重合法としては、特開昭57-502171号公報、特開昭59-6207号公報、特開昭60-215007号公報等に開示された公知の方法が挙げられる。
例えば、加圧可能な反応機を溶媒で満たし、加圧下で所定温度に設定した後、各単量体、及び必要に応じて重合溶媒とからなる単量体混合物を一定の供給速度で反応器へ供給し、単量体混合物の供給量に見合う量の重合液を抜き出す方法が挙げられる。
又、単量体混合物には、必要に応じて重合開始剤を配合することもできる。その配合する場合の配合量としては、単量体混合物100重量部に対して0.001~2重量部であることが好ましい。
圧力は、反応温度と使用する単量体混合物及び溶媒の沸点に依存するもので、反応に影響を及ぼさないが、所定の反応温度を維持できる圧力であればよい。
単量体混合物の滞留時間は、1~60分であることが好ましい。滞留時間が1分に満たない場合は単量体が十分に反応しない恐れがあり、滞留時間が60分を越える場合は、生産性が悪くなってしまうことがある。好ましい滞留時間は2~40分である。
共重合体(a1)を得るために用いる重合開始剤の例としては、所定の反応温度でラジカルを発生する開始剤であれば何でもよい。具体的には、ジ-t-ブチルパーオキシド、ジ-t-ヘキシルパーオキシド、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、クメンハイドロパーオキシド、t-ブチルハイドロパーオキシド等の有機過酸化物、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、アゾビスシクロヘキサカルボニトリル、アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)ジヒドロクロリド、4,4’-アゾビス(4-シアノバレリックアシッド)等のアゾ系化合物が挙げられる。重合開始剤はこれらの内の1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
重合開始剤の使用量は、重合開始剤及び単量体の種類、所望する分子量、重合条件等により適宜調整することができるが、一般的には、使用する単量体100重量部に対して0.001~10重量部である。
共重合体(a1)の製造に有機溶媒を用いる場合、有機炭化水素系化合物が適当であり、テトラヒドロフラン及びジオキサン等の環状エーテル類、ベンゼン、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素化合物、酢酸エチル及び酢酸ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン類等、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類が例示され、これらの1種又は2種以上を用いることができる。(メタ)アクリレート共重合体をよく溶解しない有機溶媒では、反応器の壁にスケールが成長しやすく洗浄工程等で生産上の問題がおきやすい。
有機溶媒の使用量は、全ビニル単量体100重量部に対して、80重量部以下とすることが好ましい。80重量部以下とすることにより、短時間で高い転化率が得られる。より好ましくは、1~50重量部である。又、オルト酢酸トリメチル、オルト蟻酸トリメチル等の脱水剤を添加することもできる。
共重合体(a1)の製造には、公知の連鎖移動剤を使用してもよい。
反応器から抜き出された反応液は、そのまま次の工程に進むか、あるいは蒸留等により未反応単量体、有機溶媒、及び低分子量オリゴマー等の揮発性成分を留去することによって重合体を単離することができる。反応液から留去した未反応単量体、有機溶媒、及び低分子量オリゴマー等の揮発性成分の一部を原料タンクに戻すか又は直接反応器に戻し、再度重合反応に利用することもできる。
このように未反応単量体及び有機溶媒をリサイクルする方法は経済性の面から好ましい方法である。リサイクルする場合には、反応器内で望ましい単量体比と望ましい有機溶媒量を維持するように新たに供給する単量体混合物の混合比を決定する必要がある。
(1-5)共重合体(a1)の物性
共重合体(a1)のMwは、通常1,500~50,000であり、1,500~40,000が好ましく、さらに好ましくは、2,000~30,000、さらにより好ましくは、2,500~25,000、特に好ましくは3,000~15,000である。Mwが50,000以下であることにより、得られる成分(A)は比較的高濃度でも低粘度化できるため、塗工性が良くなり、又、他の硬化性樹脂と混合した場合、相溶性が良くなる。Mwが1,500以上であることにより、得られた成分(A)の硬化物は、耐候性、引張物性が優れたものとなる。
共重合体(a1)のTgについては、特に制限はないが、通常-40℃以上90℃以下であり、0℃以上90℃以下であることが好ましい。0℃以上であることにより、硬化物の強度が優れたものとなり、90℃以下であることにより、硬化物の柔軟性に優れたものとなる。さらに好ましくは、30~80℃である。
特開2014-115538号公報に開示されているような通常の溶液重合法の場合、重合温度が比較的低温であるため、共重合反応性比の影響を受け、官能基の個数が重合体分子ごとに偏りを持つことになる。一方、高温重合の場合、共重合反応性比の影響が低くなり、かつ連続重合した場合、一定の重合体が生成し続けるため、分子ごとの官能基の個数の偏りは極めて小さくなる。
又、通常の溶液重合と高温重合を比較すると、同じ分子量の重合体を合成する場合、高温重合の方が、重合開始剤の使用量が少なくなり、開始剤残渣の量も少なくなるため、耐候性が良くなる。特に、電子線硬化の場合、硬化反応において光開始剤等の重合触媒を使用しないため、重合体に含まれる開始剤残渣の量は、耐候性の影響に顕著に表われる。
したがって、本発明で使用する共重合体(a1)は、一般的に、末端二重結合濃度が0.5meq/g以下のものが好ましく、0.4meq/g以下のものがより好ましい。末端二重結合濃度が0.5meq/g以下である場合、硬化速度の低下を抑制することができる。又、本発明において、共重合体(a1)として高温連続重合で得られたものを用いる場合、共重合体(a1)の末端二重結合濃度は、0.02meq/g以上0.5meq/g以下が好ましい。0.02meq/g以上であることにより、硬化時の急速な硬化が抑制され、残留応力が残りにくくなるため力学物性が良くなる。
(2)不飽和化合物(a2)
不飽和化合物(a2)は、共重合体(a1)の反応基に反応する基とアクリロイル基とを有する化合物である。
上記のとおり、上記成分(A)は、上記重合方法等により得られた共重合体(a1)における反応性基を、上記不飽和化合物(a2)の反応性基と反応させことにより得られる。より具体的には、上記反応性基を有する共重合体(a1)に、上記反応性基を介して、上記不飽和化合物(a2)を化学的に結合させて付加することにより得られる。
上記共重合体(a1)が上記反応性基としてエポキシ基又はヒドロキシ基を有する場合、上記不飽和化合物(a2)としては、上記反応性基と反応する官能基としてカルボキシ基又はイソシアネート基を有する化合物が使用できる。
カルボキシ基を有する不飽和化合物(a2)としては、例えば、アクリル酸、アクリル酸ダイマー、アクリル酸のγ-ブチロラクトン付加物、及びアクリル酸のδ-バレロラクトン付加物等が挙げられる。
その他の具体例としては、アクリル酸のε-カプロラクトン付加物等が挙げられる。
アクリル酸のε-カプロラクトン付加物は市販されており、アロニックスM-5300〔東亞合成(株)製商品名。ポリカプロラクトン鎖長≒2)が挙げられる。
イソシアネート基を有する不飽和化合物(a2)としては、2-(アクリロイルオキシ)エチルイソシアネート及び片末端がイソシアネート基であるウレタンアクリレート等が挙げられる。
片末端がイソシアネート基であるウレタンアクリレートは、ジオールとジイソシアネートを反応させて両末端にイソシアネート基を有する化合物を製造し、これと水酸基含有アクリレートを反応させた化合物が挙げられる。この場合、ジイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート及びヘキサメチレンジイソアネート等が挙げられ、ジオールとしては、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。水酸基含有アクリレートとしては、2-ヒドロキシエチルアクリレート等が挙げられる。
当該化合物の製造方法としては、例えば、ジオクチルスズ等のスズ系触媒存在下、有機溶媒中でジイソシアネート類とジオール類を反応させて両末端にイソシアネート基を有する化合物を得た後、重合禁止剤存在下、水酸基含有アクリレート類を反応させる方法等が挙げられる。
上記共重合体(a1)が上記反応性基としてイソシアネート基又はカルボキシ基を有する共重合体の場合、不飽和化合物(a2)としては、上記反応性基と反応する官能基として、ヒドロキシ基を有する化合物を使用することができる。
ヒドロキシ基を有する不飽和化合物(a2)としては、例えば、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、3-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシブチルアクリレート、3-ヒドロキシブチルアクリレート、及び4-ヒドロキシブチルアクリレート等のヒドロキシアルキルアクリレート等が挙げられる。
その他の具体例としては、2-ヒドロキシエチルアクリレートのε-カプロラクトン付加物、アクリル酸のポリプロピレングリコール付加物、アクリル酸のポリエチレングリコール付加物、アクリル酸2-ヒドロキシエチルのポリ(3-ヒドロキシブチレート)付加物、アクリル酸のポリテトラメチレングリコール付加物等が挙げられる。
これら2-ヒドロキシエチルアクリレートのε-カプロラクトン付加物は市販されており、プラクセルFA5〔ダイセル(株)製商品名。以下同様。〕、プラクセルFA2D(分子量344)等が挙げられる。
不飽和化合物(a2)としては、これらの化合物の中でも、アクリレートオリゴマーが好ましく、さらに、硬化物のTgが-30~-90℃であるアクリレートオリゴマーがより好ましい。
尚、本発明においてオリゴマーとは、分子量250以上2,000以下の化合物を意味する。
カルボキシ基を有するアクリレートオリゴマーとしては、例えば、アクリル酸のε-カプロラクトン付加物が挙げられる。
アクリル酸のε-カプロラクトン付加物は市販されており、アロニックスM-5300〔東亞合成(株)製商品名。Tg=-78℃、ポリカプロラクトン鎖長≒2)が挙げられる。
ヒドロキシ基を有するアクリレートオリゴマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチルアクリレートのε-カプロラクトン付加物、アクリル酸のポリプロピレングリコール付加物、アクリル酸のポリエチレングリコール付加物、アクリル酸2-ヒドロキシエチルのポリ(3-ヒドロキシブチレート)付加物、及びアクリル酸のポリテトラメチレングリコール付加物が挙げられる。
2-ヒドロキシエチルアクリレートのε-カプロラクトン付加物は市販されており、プラクセルFA2D(Tg=-78℃)が挙げられる。
アクリル酸のポリプロピレングリコール付加物としては、Tg=-75℃の化合物が例示され、アクリル酸のポリエチレングリコール付加物としては、Tg=-41℃の化合物が例示され、アクリル酸2-ヒドロキシエチルのポリ(3-ヒドロキシブチレート)付加物としては、Tg=-40℃の化合物が例示され、及びアクリル酸のポリテトラメチレングリコール付加物としては、Tg=-84℃の化合物が例示される。
イソシアネート基を有するアクリレートオリゴマー(a2)としては、例えば、片末端がイソシアネート基であるウレタンアクリレート等が挙げられる。
(3)成分(A)の製造方法
成分(A)としては、前記した通り、成分(A)-1~(A)-3が好ましい。
成分(A)の製造方法としては、成分(A)-1~(A)-3に対応して、下記製法1~製法3が好ましい。
・製法1:共重合体(a1)の酸性基と、不飽和化合物(a2)における前記酸性基と反応性を有する基を反応させる方法〔成分(A)-1の製造方法〕。
・製法2:反応性基としてエポキシ基を有する共重合体(a1)に、カルボキシ基を有する不飽和化合物(a2)を反応させてヒドロキシ基を有する共重合体を得た後、当該共重合体のヒドロキシ基に酸無水物を付加させる方法〔成分(A)-2の製造方法〕。
・製法3:反応性基としてヒドロキシ基を有する共重合体(a1)に、エポキシ基を有する不飽和化合物(a2)を反応させてヒドロキシ基を有する共重合体を得た後、当該共重合体のヒドロキシ基に酸無水物を付加させる方法〔成分(A)-3の製造方法〕。
(3-1)製法1〔成分(A)-1の製造方法〕
製法1は、共重合体(a1)の酸性基と、不飽和化合物(a2)における前記酸性基と反応性を有する基を反応させる方法である。この場合、得られる反応物である成分(A)中に酸性基が残るように、不飽和化合物(a2)の反応割合を調整する。
製法1の好ましい例としては、下記製法1-1及び1-2が挙げられ、製法1-1が好ましい。
・製法1-1:カルボキシ基を有する共重合体(a1)に、ヒドロキシ基を有する不飽和化合物(a2)を反応させる方法。
・製法1-2:カルボキシ基を有する共重合体(a1)に、エポキシ基を有する不飽和化合物(a2)を反応させる方法。
製法1-1において、カルボキシ基を有する共重合体(a1)に、ヒドロキシ基を有する不飽和化合物(a2)を反応させて付加する方法としては、カルボキシ基を有する共重合体(a1)とヒドロキシ基を有する不飽和化合物(a2)を混合後、酸触媒を加え、場合によって、トルエン等の有機溶媒の存在下80~120℃に加熱し、エステル化反応を進行させるとともに生成する水を留去する方法が挙げられる。
この場合の酸触媒としては、硫酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、スルホン化ポリスチレン、及びNafion-H等が挙げられる。
さらに、反応後に残留した触媒は、水洗、アルカリ中和、イオン交換樹脂、触媒除去用ケミカルフィルター、及びろ過等の方法を一つ又は二つ以上組み合わせることにより除去できる。
この場合の共重合体(a1)と不飽和化合物(a2)の反応割合としては、製造する成分(A)の酸価に応じて適宜設定すれば良い。
共重合体(a1)が有するカルボキシ基の1モルに対して、不飽和化合物(a2)が有するヒドロキシ基が、0.5~1.5モルが好ましく、より好ましくは0.8~1.2モル、さらに好ましくは0.9~1.1モルである。
(3-2)製法2〔成分(A)-2の製造方法〕
製法2は、反応性基としてエポキシ基を有する共重合体(a1)に、カルボキシ基を有する不飽和化合物(a2)を反応させてヒドロキシ基を有する共重合体を得た後、当該共重合体のヒドロキシ基に酸無水物を付加させる方法である。
エポキシ基を有する共重合体(a1)に、カルボキシ基を有する不飽和化合物(a2)を反応させて付加する方法としては、エポキシ基を有する共重合体(a1)、カルボキシ基を有する不飽和化合物(a2)、触媒、及び溶媒を混合した状態で、60~120℃に加熱し、5~30時間程度加熱する方法が挙げられる。
エポキシ基を有する共重合体(a1)とカルボキシ基を有する不飽和化合物(a2)の反応割合としては、エポキシ基を有する共重合体(a1)のエポキシ基1モルに対して、カルボキシ基を有する不飽和化合物(a2)のカルボキシ基が0.5~1.5モルが好ましく、より好ましくは0.8~1.2、さらに好ましくは0.9~1.1である。
触媒としては、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムクロリド、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7-ウンデセン、1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタンが挙げられる。これらのうちで、硬化物の耐熱性試験後の着色が少ないという点で、トリフェニルホスフィンを使用することが好ましい。
触媒の添加量は、エポキシ基を有する共重合体(a1)及びカルボキシ基を有する不飽和化合物(a2)の合計量に対して、0.5~5重量%程度が好ましい。
有機溶媒としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。尚、エポキシ基を有する共重合体(a1)が液状である場合には、有機溶媒無添加で変性反応を行うこともできる。
上記で得られたヒドロキシ基を有する共重合体に、酸無水物を付加させる。ヒドロキシ基を有する共重合体に、酸無水物が付加及び開環することでカルボキシ基を有する共重合体となる。
酸無水物の具体例としては、無水コハク酸、無水1-ドデセニルコハク酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラメチレン無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、無水テトラクロロフタル酸、無水テトラブロモフタル酸、無水トリメリット酸等の同一分子内に1個の酸無水物基を有する化合物、又は無水ピロメリット酸、無水フタル酸ニ量体、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸無水物、及び無水トリメリット酸・エチレングリコールエステル(市販品としては、例えば、新日本理化(株)製、商品名リカシッドTMEG-100がある)等が挙げられる。
酸無水物としては、これら化合物の中でも、無水コハク酸及び1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物が反応性に優れる点で好ましい。
ヒドロキシ基を有する共重合体に、酸無水物を付加させる方法は、常法に従えば良い。
例えば、混合物(a)と酸無水物とを、触媒の存在下、60~110℃で1~20時間反応させる方法等が挙げられる。
この場合の触媒としては、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン、トリイソオクチルアミン、トリドデシルアミン、メチルジブチルアミン、N,N-ジメチルベンジルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリフェニルアミン、トリトリルアミン、トリキシリルアミン、トリビフェニルアミン、トリナフチルアミン及びトリベンジルアミン等の3級アミン;並びにベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムブロマイド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド及びセチルトリメチルアンモニウムブロマイド等の4級アンモニウム塩等、並びに酸化亜鉛等を挙げることができる。
これらは、1種又は2種以上を用いることができる。
(3-3)製法3〔成分(A)-3の製造方法〕
製法3は、反応性基としてヒドロキシ基を有する共重合体(a1)に、エポキシ基を有する不飽和化合物(a2)を反応させてヒドロキシ基を有する共重合体を得た後、当該共重合体のヒドロキシ基に酸無水物を付加させる方法である。
ヒドロキシ基を有する共重合体(a1)に、エポキシ基を有する不飽和化合物(a2)を反応させる方法としては、酸又は塩基触媒を存在させる方法等が挙げられる。
上記で得られたヒドロキシ基を有する共重合体に、酸無水物を付加させる。ヒドロキシ基を有する共重合体に、酸無水物が付加及び開環することでカルボキシ基を有する共重合体となる。
酸無水物としては、前記と同様の化合物が挙げられる。
ヒドロキシ基を有する共重合体に、酸無水物を付加させる方法としては、前記と同様の方法が挙げられる。
2.電子線硬化型組成物
本発明は、成分(A)及び水を含む電子線硬化型組成物に関する。
本発明の組成物は、成分(A)の中和物を水中に分散させたものが好ましい。成分(A)の中和物を水中に分散させる方法は、常法に従えば良い。
(1)中和及び水系化
成分(A)の製造を、好ましくは前記製法1~3を有機溶媒中で行った場合は、その後、水系化を行い成分(A)の中和物の水分散体とする方法等が挙げられる。
水系化は、例えば、上記反応で得られた成分(A)の有機溶媒溶液に、水及び塩基性化合物を添加して、撹拌及び混合して成分(A)中の酸性基を中和させると共に水中に分散させ、減圧加熱により有機溶媒を除去する方法等が挙げられる。
この場合、有機溶媒含有量を5重量%未満となるまで脱溶媒する必要があり、好ましくは3重量%未満であり、より好ましくは1.5重量%未満である。
成分(A)中の酸性基を中和する際に使用する塩基性化合物としては、種々の化合物を使用することができる。
塩基性化合物としては、無機アルカリ性物質、1級アミン、2級アミン、3級アミン、4級アンモニウム塩、その他有機塩基性化合物等を用いることができる。
無機塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム等が挙げられる。
1級アミンとしては、エチルアミン、n-プロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、sec-ブチルアミン、ヘキシルアミン、2-オクチルアミン、2-エチルヘキシルアミン、3-アミノペンタン、イソアミルアミン、2-アミノプロパノール、4-アミノブタノール、3-メトキシプロピルアミン、3-エトキシプロピルアミン、3-イソプロポキシプロピルアミン、3-(2-エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン、N,N-ジメチルエチレンジアミン、及びエチレンジアミン等が挙げられる。
2級アミンとしては、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジ-n-ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ-sec-ブチルアミン、N-メチルヘキシルアミン、ジ-n-オクチルアミン、ジ(2-エチルヘキシル)アミン、4-メチルアミノブタノール、3,3'-イミノジプロピオニトリル、及3-(2-ヒドロキシエチルアミノ)プロピルアミン等が挙げられる。
3級アミンとしては、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、トリブチルアミン、N-ブチルジメチルアミン、2-ジメチルアミノエタノール、N,N-ジエチルメチルアミン、トリイソペンチルアミン、N,N-ジメチル-2-エチルヘキサン-1-アミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、N,N-ジイソプロピル-2-エチルヘキサン-1-アミン、3-ジメチルアミノプロパノール、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン、及N,N-ジメチルベンジルアミン等が挙げられる。
4級アンモニウム塩としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、エチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメ チルアンモニウムヒドロキシド、ジメチルビス(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、及コリン等が挙げられる。
環状アミンとしては、ピロール、ピヘリジン、2-メチルピペリジン、イソニペコチン酸、N,N-ジメチル-4-ピペリジンアミン、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]- 7-ウンデセン等が挙げられる。アルコールアミンとしては、ジメチルエタノールアミン、ジグリコールアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ヒドロキシアミン、等が挙げられる。
その他有機アルカリ性物質としては、アンモニア水等が挙げられる。
これら化合物の中でも、3級アミンが好しい。3級アミンは、求核性が低いため、得られた成分(A)の(メタ)アクリロイル基にマイケル付加してしまうという副反応を抑制することができる。さらに、3級アミンとしては、組成物の乾燥工程において揮発し易いため、低分子量の化合物が好ましい。3級アミンの分子量としては、200以下が好ましい。
他の水系化の方法としては、予め単離された成分(A)に対して、水及び塩基性化合物を添加して撹拌することにより行うこともできる。
成分(A)が有機溶媒を含んだ混合液である場合には、上述のとおり、減圧加熱や蒸留により有機溶媒を留去することが一般的である。
成分(A)の中和物としては、pH4~8が好ましく、より好ましくはpH6~8である。
pH4~8とすることにより、分散状態を安定に維持することができる。
本発明においてpHとは、水系分散体の水素イオン指数を意味し、日本産業規格JIS Z8802に準拠した方法に従って測定した値を意味する。
成分(A)を水中に分散する際においては、本発明の効果を損なわない範囲で分散剤(界面活性剤)を添加することもできる。
分散剤としては、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、及び両性イオン性乳化剤等の各種の乳化剤を用いることができる。
アニオン性乳化剤としては、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルジフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、高分子乳化剤等が挙げられる。
ノニオン性乳化剤としては、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルジフェニルエーテル、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロック共重合体、アセチレンジオール系乳化剤、ソルビタン高級脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル類、グリセリン高級脂肪酸エステル類、ポリカルボン酸系高分子乳化剤、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
カチオン性乳化剤としては、アルキル(アミド)ベタイン、アルキルジミチルアミンオキシド等が挙げられる。
分散剤としては、1種のみ用いてもよく、2種以上を併用することもできる。
分散剤としては、これら乳化剤の中でも、ノニオン性界面活性剤が特に好ましい。
分散剤の添加割合としては、成分(A)を100重量部に対して、又は、後記する成分(B)を含む場合には、成分(A)及び成分(B)の合計量100重量部に対して、分散剤の純分として、2重量部以下が好ましく、より好ましくは1重量部以下である。
(2)その他の成分
本発明の組成物には、目的に応じて種々に成分を配合することができる。
好ましい成分としては、成分(A)以外のエチレン性不飽和化合物(以下、「成分(B)」ともいう、及びナノセルロース(以下、「成分(C)」ともいう)等が挙げられる。
又、上記成分以外に、分散剤、消泡剤、粘性調整剤、増粘剤、レベリング剤、垂れ防止剤、顔料、pH調整剤、架橋剤、可塑剤、安定剤、防腐剤、防カビ剤、凍結防止剤、成膜助剤、溶剤、抗菌剤、酸化防止剤、光安定剤、及び紫外線吸収剤等の添加剤を添加することができる。
尚、組成物に顔料を配合する場合は、さらに、分散剤を配合しても良く、水系用分散剤がより好ましい。
水系用分散剤としては、前記で分散剤の例として挙げた化合物等が挙げられ、これらの中でも、特に、ポリカルボン酸系高分子乳化剤であるカルボキシ基含有ポリマーのアミン又はアンモニア等の中和塩が好ましい。
ポリカルボン酸系高分子乳化剤の具体例としては、市販されており、フローレンG-700AMP〔共栄社化学(株)製〕、フローレンGW-1640〔共栄社化学(株)製〕、ノプコール5200〔サンノプコ(株)製〕、ノプコスパース6100〔サンノプコ(株)製〕、DISPERBYK-190(BYK Chemie製)、DISPERBYK-180(BYK Chemie製)、及びDISPERBYK-2010(BYK Chemie製)等が挙げられる。
以下、成分(B)及び成分(C)について説明する。
(2-1)成分(B)
本発明の組成物には、組成物全体の粘度を低下させる目的や、その他の物性を調整する目的で、必要に応じて、成分(B)である成分(A)以外のエチレン性不飽和化合物を含有してもよい。
成分(B)の具体例としては、単量体(a1-1)、単量体(a1-2)、単量体(a1-1)及び(a1-2)以外の(メタ)アクリレート〔以下、「その他(メタ)アクリレート」という〕、及びN-ビニル-2-ピロリドン等が挙げられる。
単量体(a1-1)、及び単量体(a1-2)としては、前記と同様の化合物を挙げることができる。
その他(メタ)アクリレートとしては、1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物〔以下、「単官能(メタ)アクリレート」という〕や2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物〔以下、「多官能(メタ)アクリレート」という〕等が挙げられる。
単官能(メタ)アクリレートの具体例としては、トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1-アダマンチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、о-フェニルフェノールEO変性(n=1~4)(メタ)アクリレート、p-クミルフェノールEO変性(n=1~4)(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、о-フェニルフェニル(メタ)アクリレート、p-クミルフェニル(メタ)アクリレート、N-(メタ)アクリロイルモルホリン、N-ビニルホルムアミド、N-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、N-(メタ)アクリロイルオキシエチルテトラヒドロフタルイミド等が挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートの具体例としては、ポリエステル骨格を有するウレタンアクリレート等のウレタン(メタ)アクリレート及びポリカーボネート骨格を有するウレタンアクリレート等のウレタン(メタ)アクリレート;
ビスフェノールA EO変性(n=1~2)ジ(メタ)アクリレート、及びビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等のビスフェノール骨格を有するジ(メタ)アクリレート;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(n=5~14)ジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(n=5~14)ジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコール(n=3~16)ジ(メタ)アクリレート、及びポリ(1-メチルブチレングリコール)(n=5~20)ジ(メタ)アクリレート等の(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート
1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の脂肪族ジオールのジ(メタ)アクリレート;
ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート;
トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート等の脂環式骨格を有するジ(メタ)アクリレート;
イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート、及びε-カプロラクトン変性トリス((メタ)アクロキシエチル)イソシアヌレート等のイソシアヌレート骨格を有する(メタ)アクリレート
グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのトリ又はテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンのトリ又はテトラ(メタ)アクリレート、ジグリセリンのトリ又はテトラ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールのトリ、テトラ、ペンタ又はヘキサ(メタ)アクリレート等のポリオールポリ(メタ)アクリレート;並びに
グリセリンアルキレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールアルキレンオキサイド付加物のトリ又はテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンアルキレンオキサイド付加物のトリ又はテトラ(メタ)アクリレート、ジグリセリンアルキレンオキサイド付加物のトリ又はテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールアルキレンオキサイド付加物のトリ、テトラ、ペンタ又はヘキサ(メタ)アクリレート等のポリオールアルキレンオキサイド付加物のポリ(メタ)アクリレート等等が挙げられる。
尚、上記においてEO変性とは、エチレンオキサイド変性を意味し、nはアルキレンオキサイド単位の繰返し数を意味する。
多官能(メタ)アクリレートとしては、これら化合物の中でも、ウレタン(メタ)アクリレート及びイソシアレート骨格を有する(メタ)アクリレートが好ましい。
成分(B)としては、前記した化合物の1種のみを使用しても、2種以上を併用しても良い。
成分(B)の配合割合は、目的に応じて適宜設定すれば良く、得られる硬化物の柔軟性を低下させない量であれば良いが、成分(A)及び成分(B)の合計量100重量部に対して、成分(B)を5~95重部含むことが好ましく、より好ましくは10~90重量部であり、さらに好ましくは20~80重量部であり、特に好ましくは30~70重量部である。
又、成分(A)及び成分(B)の合計として、二重結合当量が、500~2,500g/eqであることが好ましく、より好ましくは、700~1,200g/eqである。
当該二重結合当量を500g/eq以上とすることにより、硬化膜の引張物性(破断強度)及び硬化膜物性(硬度)が優れるものとすることができ、当該二重結合当量を2500g/eq以下とすることにより、耐候性に優れるものとすることができる。
尚、成分(A)及び成分(B)の合計の二重結合当量は、以下の式で求められる。以下の式中、成分(A)の(メタ)アクリロイル基のモル数は、後記変性反応で共重合体(a1)に付加した(メタ)アクリルロイル基のモル数であり、後記変性反応後に混在する未反応の不飽和化合物(a2)に由来する(メタ)アクリロイル基は除外される。
Figure 2023086379000002
上記式において、「成分(A)及び成分(B)の不飽和基の合計モル数」とは、「成分(A)の(メタ)アクリロイル基」及び「成分(B)のエチレン性不飽和基」の合計モル数を意味する。
成分(A)における(メタ)アクリロイル基が、メタクリロイル基である場合は、成分(B)におけるエチレン性不飽和基としては、硬化性に優れるものとなる点でアクリロイル基を含むことが好ましい。成分(A)及び成分(B)のエチレン性不飽和基の合計として、30モル%以上は、アクリロイル基であることが好ましい。さらに好ましくは、50モル%以上である。アクリロイル基の割合を30モル%以上とすることにより、組成物硬化膜の物性に優れるものとすることができ、特に引張物性に優れるものとすることができる。
(2-2)成分(C)
本発明の組成物には、チキソ性の付与、及び硬化膜の強度向上を目的に、必要に応じて、成分(C)であるナノセルロースを含有してもよい。
成分(C)のナノセルロースは、セルロース系原料をナノ化したものである。
植物の主成分はセルロースであり、セルロース分子が束になったものがセルロースミクロフィブリルと称される。セルロース系原料中のセルロースもまた、セルロースミクロフィブリルの形態で含まれている。本発明におけるナノセルロースは、セルロースをナノ化したものの総称を表し、微細セルロース繊維やセルロースナノクリスタル等を含む。微細セルロース繊維は、セルロースナノファイバー(CNFとも記載する)ともいう。
成分(C)としては、市販のナノセルロースを用いることもでき、針葉樹パルプ等のセルロース系原料から調製することにより得られたものを用いることもできる。
成分(C)としては、セルロース系原料を酸化して得られる酸化セルロースのナノ化したものであることが好ましく、酸化ナノセルロースを含むことが好ましい。
酸化方法としては、従来公知の方法で酸化されたもので良く、次亜塩素酸又はその塩を用いる酸化により得られたものが好ましい。
成分(C)のカルボキシ基量は、0.20mmol/g以上2.0mmol/g未満であることが好ましい。
成分(C)の平均繊維幅としては、2.0nm以上10.0nm以下が好ましく、平均繊維長としては、50nm以上800nm以下であることが好ましい。
成分(C)の平均繊維幅と平均繊維長との比で表されるアスペクト比(平均繊維長/平均繊維幅)は、20以上200以下であることが好ましい。
成分(C)の含有割合としては、10重量%以下が好ましい。
(3)組成物について
本発明の組成物は、成分(A)が水中に分散してなる組成物であり、又は、必要に応じて配合する前記したその他の成分をさらに含む組成物である。
組成物中の成分(A)の割合としては、又は、その他の成分をさらに含む場合において、成分(A)とその他の成分の合計量の割合としては、使用に適した粘度となるように調整すればよいが、組成物中に固形分として15~60重量%含むものが好ましく、より好ましくは、20~60重量%、さらにより好ましくは、20~50重量%である。
組成物の粘度としては、使用方法により適宜設定すれば良く、例えば、アプリケーターで塗工する場合には、好ましくは、500~30,000mPa・s、より好ましくは、1000~15,000mPa・sである。粘度が低すぎると、塗着後に、液だれ等が起こりやすく、粘度が高すぎると仕上がりの外観が悪くなる。スプレー塗装の場合には、50~1,000mPa・sが好ましく、100~500mPa・sがより好ましい。
本発明において粘度とは、E型粘度計(コーンプレート型粘度計)により25℃で測定した値を意味する。
3.使用方法
本発明の電子線硬化型組成物は、目的に応じて種々の使用方法を採用することができる。
例えば、本発明の組成物をコーティング剤として使用する場合は、基材に組成物を塗工し、加熱により組成物中の水分を蒸発させた後、電子線を照射して硬化させる方法が挙げられる。
又、本発明の組成物を接着剤として使用する場合は、基材に組成物を塗工し、加熱により組成物中の水分を蒸発させた後、別の基材と貼り合せた後、さらに電子線を照射して硬化させる方法が挙げられる。
本発明の組成物が適用できる基材としては、種々の材料に適用でき、無機材料、プラスチック、及び紙等が挙げられる。
無機材料としては、ガラス、金属、モルタル、コンクリート及び石材等が挙げられる。
金属としては、鋼板、アルミ及びクロム等の金属、酸化亜鉛(ZnO)及び酸化インジウムスズ(ITO)等の金属酸化物等が挙げられる。
プラスチックの具体例としては、ポリエチレン及びポリプロピレン等のポリオレフィン、ABS樹脂、ポリビニルアルコール、トリアセチルセルロース及びジアセチルセルロース等のセルロースアセテート樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET樹脂」という)、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルサルホン、ノルボルネン等の環状オレフィンをモノマーとする環状ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂及びポリウレタン樹脂等が挙げられる。プラスチックとしては熱可塑性プラスチックが好ましく、その具体例としては、PET樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート、ポリプロピレン及びポリエチレン等が例示でき、PET樹脂が好ましい。
基材としては、これら材料の中でも、金属及びプラスチックが好ましい。
基材の形状は特に限定されず、シート状、フィルム状、及び板状等の何れであってもよい。
組成物の塗工方法としては、目的に応じて適宜設定すれば良く、従来公知のバーコート、アプリケーター、ドクターブレード、ナイフコーター、コンマコーター、リバースロールコーター、ダイコーター、リップコーター、グラビアコーター及びマイクログラビアコーター等で塗工する方法が挙げられる。
本発明の組成物は水分散型組成物であり、又、少量の有機溶剤を含むこともあり、基材に塗工した後、加熱・乾燥させ、水又は/及び有機溶剤を蒸発させることが好ましい。
乾燥温度は、適用する基材が変形等の問題を生じない温度以下であれば特に限定されるものではない。好ましい加熱温度としては、40~100℃である。乾燥時間は適用する基材及び加熱温度によって適宜設定すれば良く、好ましくは0.5~20分である。
基材に対する組成物硬化膜の膜厚は、目的に応じて適宜設定すればよい。硬化膜の厚さとしては、使用する基材や製造した硬化膜を有する基材の用途に応じて選択すればよいが、1~100μmであることが好ましく、2~40μmであることがより好ましい。
本発明は、電子線硬化型組成物であり、電子線により硬化させる。
電子線は、必ずしも光重合開始剤を添加する必要がなく、硬化物の耐熱性、耐候性が優れる点で好ましい。本発明の組成物が、顔料又は紫外線吸収剤を多量に含む場合、紫外線では硬化性が悪くなるため、電子線が適している。
電子線を使用する場合は、加速電圧が50~300kVであり、吸収線量が10~1,000kGyとなるよう照射することが好ましい。
本発明の組成物は、種々の用途に使用することができる。
その具体例としては、コーティング剤、接着剤、インキ、フィルム及びレジスト等が挙げられ、コーティング剤として好ましく使用することができる。
コーティング剤の具体的用途としては、加飾フィルムや車両外装品のトップコート剤等が挙げられる。
本発明の組成物は、その硬化膜が耐候性に優れるため、特に、建築外装用、屋外表示物、及び自動車外装用等の屋外用のコーティング剤に好適に用いることができる。
以下に、実施例及び比較例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。尚、下記において「部」とは、重量部を意味する。
又、製造例及び実施例における分子量、Tg、酸価、固形分、(メタ)アクリル当量、及び残揮発成分量は、下記の方法に従い測定した。
<酸価の測定>
JIS K0070、酸価測定に準じて実施した。すなわち、サンプルを滴定量が約10mLになるように秤量し、テトラヒドロフラン約50mLに希釈した後、滴定液として0.1NのKOH/エタノール溶液により、自動滴定装置COM-1600ST(平沼産業(株)製)を用いて滴定を実施した。
<(メタ)アクリル当量>
有機溶媒成分を除く原料の使用重量(g)を、使用した反応性基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物のモル数で割った値を(メタ)アクリル当量(g/eq)とした。
尚、実施例においては、比較例としてメタクリロイル基を有する化合物を使用する場合があり、(メタ)アクリル当量と表記している。
<分子量測定>
ゲル浸透クロマトグラフ装置(型式名「HLC-8320」、東ソー(株)製)を用いて、下記の条件よりポリスチレン換算によるMw(重量平均分子量)及び数平均分子量(Mn)を得た。
○測定条件
カラム:東ソー(株)製TSKgel SuperMultiporeHZ-M×4本
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
検出器:RI
<Tgの測定>
共重合体(a1)のTgは、示差走査熱量計(DSC)にて以下の条件で測定した。
○測定条件
DSC:TA Instrument製(Q-100)
昇温温度:10℃/分
測定雰囲気:窒素
<固形分>
150℃、1時間、通風乾燥機で乾燥することにより、重量減少から固形分を求めた。
<残揮発成分量の測定>
残イソプロピルアルコール(IPA)及び残酢酸ブチルについて、ガスクロマトグラフにより、測定した。
(ガスクロマトグラフ測定条件)
ガスクロマトグラフ装置:GC390(ジーエルサイエンス社製)
カラム:CP-WAX52CB(アジレント・テクノロジー社製)
キャリアガス:窒素ガス(1.9mL/分)
インジェクション温度:220℃
ディテクター温度:230℃
オーブン温度:40℃×5分保持、7℃/分で昇温、230℃×5分保持。。
・検量線の作成
測定成分(標品)及びイソブチルアクリレート(内部標準)を、各0.02g精秤し、アセトン(5mL)に溶解させる。この混合液をガスクロマトグラフ測定し、各成分の内部標準に対する検出感度を求める。
・測定
水分散体1g及びアクリル酸イソブチル0.02gを精秤し、アセトン(10mL)に溶解させる。この混合液をガスクロマトグラフ測定し、重合体中に含まれる残揮発成分量を算出した。
各成分の検出下限:0.05重量%
1.製造例
(1)製造例1(側鎖にアクリロイル基を有する(メタ)アクリレート重合体A-1の製造)
オイルジャケットを備えた容量1000mLの加圧式攪拌槽型反応器の温度を188℃に保った。次いで、反応器の圧力を一定に保ちながら、メチルメタクリレート(以下、「MMA」という)を60部、エチルアクリレート(以下、「EA」という)を10部、グリシジルメタクリレート(以下、「GMA」という)を30部、溶媒として、メチルエチルケトン(以下、「MEK」という)を12部、オルト酢酸トリメチル(日宝化学製、商品名「MOA」、以下、「MOA」という)を3部、重合開始剤としてジ-t-ヘキシルパーオキサイド(日油製、商品名「パーヘキシルD」、以下、「DTHP」という)を1部からなる単量体混合物を、一定の供給速度(48g/分、滞留時間:12分)で原料タンクから反応器に連続供給を開始し、単量体混合物の供給量に相当する反応液を出口から連続的に抜き出した。
反応開始直後に、一旦反応温度が低下した後、重合熱による温度上昇が認められたが、オイルジャケットの温度を制御することにより、反応温度を187~189℃に保持した。
単量体混合物の供給開始から温度が安定した時点を、反応液の採取開始点とし、これから37分間反応を継続した結果、1.78kgの単量体混合液を供給し、1.78kgの反応液を回収した。その後反応液を薄膜蒸発器に導入して、未反応モノマー等の揮発成分を分離してエポキシ基を有する(メタ)アクリレート重合体(以下、「共重合体a-1」という)を1.08kg得た。
得られた共重合体a-1についてMw及びTgを測定した結果、Mwが129,000及びTgが62℃であった。
次いで、共重合体a-1(100部)、重合禁止剤としてジブチルヒドロキシトルエン(以下、「BHT」という)(0.11部)、アクリル酸(以下、「AA」という)(13.9部、重合体a-1のエポキシ基の1.05当量の酸価に相当)及び有機溶媒として酢酸ブチル(47.9部)を1Lフラスコに投入し、5%酸素窒素混合ガスをバブリングさせながら、液温を95℃に昇温し、重合体a-1を溶解させた。
均一に溶解させた後、反応触媒としてトリフェニルホスフィン(以下、「TPP」という)(0.56部)を添加し、内温95℃を保ちながら12時間攪拌した。さらにTPP(0.56部)を添加し、12時間反応させた。その後、酸価測定を行い、0.2mgKOH/gであることを確認し、反応を終了した。その結果、共重合体a-1のAA付加物(アクリレート変性体)である重合体A-1を含む酢酸ブチル溶液を得た。
重合体A-1溶液の固形分、酸価、ポリスチレン換算によるMn(数平均分子量)及びMw(重量平均分子量)、(メタ)アクリル当量(g/eq)を表1に示す。
(2)製造例2
表1に示す条件に変更した以外は、製造例1と同様な操作により、側鎖にアクリロイル基を有する(メタ)アクリレート重合体A-2を得た。
尚、表1におけるM-5300とは、後記で定義した通りである。
得られた重合体A-2溶液の固形分、酸価、ポリスチレン換算によるMn(数平均分子量)及びMw(重量平均分子量)、(メタ)アクリル当量(g/eq)を表1に示す。
Figure 2023086379000003
表1における略号は、下記を意味する。尚、下記においては、前記で既に定義したものについても、重複して記載しているものもある。
・MMA:メチルメタクリレート
・BA:ブチルアクリレート
・EA:エチルアクリレート
・GMA:グリシジルメタクリレート
・AA:アクリル酸
・MEK:メチルエチルケトン
・MOA:オルト酢酸トリメチル〔MOA(商品名)、日宝化学製〕
・DTHP:ジ-t-ヘキシルパーオキサイド〔パーヘキシルD(商品名)、日油製〕
・M5300:アクリル酸のε-カプロラクトン付加物〔アロニックスM-5300(商品名)、東亞合成(株)製、カプロラクトンの平均重合度:2、数平均分子量:300、Tg:-78℃、酸価:186mgKOH/g〕
・TPP:トリフェニルホスフィン
・DBTDL:ジブチルスズジラウレート
・BHT:ジブチルヒドロキシトルエン
2.実施例
(1)実施例1
製造例1で得られたA-1(100部)に、酢酸ブチル(18部)、及び無水コハク酸(10部)を加え、混合した。
5vol%酸素/窒素ガス流通下、この混合液を撹拌しながら80℃に昇温した。その後トリエチルアミン(9.5部)を添加し、80℃で4時間撹拌した。
得られた反応液に酢酸エチル(50部)を加え、揮発分を約半量減圧留去した。酢酸ブチルが留去するまでこの操作を繰り返し、A-1の無水コハク酸付加物(以下、「ASA-1」という)を得た。
得られたASA-1について、酸価、Mn、Mw、(メタ)アクリル当量、及び未硬化の状態におけるTgを測定した。それらの結果を表2に示す。
酢酸ブチル留去後のASA-1に、水(100部)を加えてから酢酸エチルを減圧留去し、トリエチルアミンを加え、pHを7~8に調整し、ASA-1の水分散液であるASA-1Wを得た。
表2に、水分散体である電子線硬化型組成物の固形分、残酢酸ブチル、及び残酢酸エチル量を示す。
得られた組成物を用い、下記の方法に従い、水分散性、乾燥後のタレ、及び硬化性を評価した。それらの結果を表2に示す。
<水分散性の評価>
上記組成物を静置し、1日後の外観を目視で評価した。その結果を、下記の3水準で評価した。
○:分散状態を維持。
△:一部液別れが認められる。
×:完全に分離。
<乾燥後のタレの評価>
基剤フィルムとしてコスモシャインA-4300(商品名、東洋紡製易接着PETフィルム、膜厚;50μm)を用意し、その両端にテープを貼り、当該基材フィルムの表面にバーコータ#0を用いて、乾燥後の膜厚が50~60μmになるように前記実施例及び比較例で得られた組成物を塗布した。次いで、通風乾燥機で、90℃、10分乾燥させ、組成物の乾燥塗膜を有する塗工フィルムを得た。
乾燥後フィルムを直立させ1時間静置後、目視により乾燥後のタレを、下記の2水準で評価した。
〇:乾燥塗膜の下部(塗膜面に対して垂直方向)に盛り上がり「なし」
×:乾燥塗膜の下部(塗膜面に対して垂直方向)に盛り上がり「あり」
<硬化性の評価>
上記で得られた塗工フィルムに対して、(株)NHVコーポレーション製の電子線照射装置により、加速電圧150kV、線量150kGy(ビーム電流及び搬送速度で調節)、酸素濃度300ppm以下の条件下で電子線を照射した。
硬化性は、電子線照射後の硬化膜について指触試験を行い、下記の2水準で評価した。
〇:指で擦っても硬化膜が傷つかない
×:指で擦ると硬化膜に傷が生じる
(2)実施例2~同4
表2に示す条件に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、A-1又はA-2の無水コハク酸付加物(ASA-2~同4)を得た。
得られたASA-2~同4について、酸価、Mn、Mw、(メタ)アクリル当量、及び未硬化の状態におけるTgを測定した。それらの結果を表2に示す。
表2に示すアミン種に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、ASA-2~同4の水分散液であるASA-2W~同4Wを得た。
表2に、水分散体である電子線硬化型組成物の固形分、残酢酸ブチル、及び残酢酸エチル量を示す。
得られた組成物を用い、前記と同様の方法に従い、水分散性、乾燥後のタレ、及び硬化性を評価した。それらの結果を表2に示す。
(3)比較例1及び同2
実施例1~同4とは異なり、無水コハク酸変性せずに、A-1及び同2の水系化を検討した。
製造例1で得られたA-1の酢酸ブチル溶液を使用して、酢酸ブチルを減圧留去した後、水を100部、及び乳化剤(ノイゲンEA-197D、第一工業製薬(株)製)をA-1の100部に対して1部の割合で添加し、攪拌・混合した。しかしながら、得られたA-1の水分散液であるA-1Wは、混合直後には二層分離してしまう不安定なものであった。
製造例2で得られたA-2の酢酸ブチル溶液についても上記と同様の操作を実施したが、得られたA-2の水分散液の水分散液であるA-2Wも、混合直後には二層分離してしまう不安定なものであった。
得られた組成物を用い、前記と同様の方法に従い、水分散性、乾燥後のタレ、及び硬化性の評価を試みたが、不安定な水分散液であったため、乾燥後のタレ、及び硬化性は評価できなかった。それらの結果を表2に示す。
Figure 2023086379000004
3.結果のまとめ
表2の結果から明らかな通り、本発明の組成物である実施例1~同4の組成物は、水分散性、乾燥後のタレ、及び硬化性のいずれも優れるものであった。
これに対して、酸価が本発明の下限に満たないアクリレート系重合体を含む比較例1及び同2の組成物は、水分散化が困難であり、乾燥後のタレ、及び硬化性が評価できなかった。
本発明の水系電子線硬化型組成物は、水分散性に優れ、塗工及び乾燥後のタレがなく、硬化性に優れ、実質的に溶媒を含まず、環境負荷の低い点で優れている。加えて、その硬化物は、機械的強度、耐熱性及び耐候性に優れ、これら物性が要求される分野で好適に使用することができ、接着剤、コーティング剤の他、インキ、及びフィルム等の分野で利用できる。

Claims (20)

  1. 下記成分(A)及び水を含む水系電子線硬化型組成物。
    ・成分(A):側鎖に(メタ)アクリロイル基を有し、かつ、酸性基を有する(メタ)アクリレート系重合体であって、酸価が45~130mgKOH/gであり、(メタ)アクリル当量が500~2,000g/eqであり、重量平均分子量が20,000以下であり、未硬化の状態におけるガラス転移点が、-15~80℃である重合体。
  2. 前記成分(A)が中和物である請求項1に記載の水系電子線硬化型組成物。
  3. 前記成分(A)の中和物が、3級アミンの中和物である請求項2に記載の水系電子線硬化型組成物。
  4. 前記成分(A)が中和物のpHが4~8である請求項2又は請求項3に記載の水系電子線硬化型組成物。
  5. 前記成分(A)が、反応性基を有しない(メタ)アクリレート系単量体(a1-1)〔以下、「単量体(a1-1)」という〕に由来する構成単位と、反応性基を有する(メタ)アクリレート系単量体(a1-2)〔以下、「単量体(a1-2)」という〕に由来する構成単位とを含む共重合体(a1)〔以下、「共重合体(a1)」という〕と、前記反応基に反応する基と、(メタ)アクリロイル基とを有する化合物(a2)〔以下、「不飽和化合物(a2)」という〕との反応物である請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の水系電子線硬化型組成物。
  6. 前記共重合体(a1)を構成する単量体(a1-2)が、酸性基、エポキシ基、及びヒドロキシ基からなる群より選ばれた反応性基を有する(メタ)アクリレート系単量体である請求項5に記載の水系電子線硬化型組成物。
  7. 前記成分(A)において、共重合体(a1)が単量体(a1-2)として酸性基を有する(メタ)アクリレート系単量体を構成単位として含み、不飽和化合物(a2)が酸性基と反応性する基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物である請求項6に記載の水系電子線硬化型組成物。
  8. 前記成分(A)において、
    共重合体(a1)が、単量体(a1-2)としてカルボキシ基を有する(メタ)アクリレート系単量体を構成単位として含み、
    不飽和化合物(a2)が、ヒドロキシ基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物又はエポキシ基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物である請求項7に記載の水系電子線硬化型組成物。
  9. 前記成分(A)が、単量体(a1-1)に由来する構成単位と、単量体(a1-2)に由来する構成単位とを含む共重合体(a1)であって、単量体(a1-2)としてエポキシ基を有する(メタ)アクリレート系単量体を構成単位として含む共重合体と、
    不飽和化合物(a2)が、カルボキシ基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物との反応物のヒドロキシ基に、
    酸無水物を付加させて得られる反応物である
    る請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の水系電子線硬化型組成物。
  10. 前記成分(A)が、単量体(a1-1)に由来する構成単位と、単量体(a1-2)に由来する構成単位とを含む共重合体(a1)であって、単量体(a1-2)としてヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレート系単量体を構成単位として含む共重合体と、
    不飽和化合物(a2)が、エポキシ基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物との反応物のヒドロキシ基に、
    酸無水物を付加させて得られる反応物である
    る請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の水系電子線硬化型組成物。
  11. 前記成分(A)を前記組成物全量に対して15~90重量%の割合で含む請求項1~請求項10のいずれか1項に記載の水系電子線硬化型組成物。
  12. さらに、成分(A)以外のエチレン性不飽和基を有する化合物(B)(以下、「成分(B)」という)を含む請求項1~請求項11のいずれか1項に記載の水系電子線硬化型組成物。
  13. 成分(A)及び成分(B)の合計100重量%中に、成分(A)を5~95重量%及び成分(B)を95~5重量%含む請求項12に記載の水系電子線硬化型組成物。
  14. 成分(A)及び成分(B)の合計として、二重結合当量が500~2,500g/eqである請求項12又は請求項13に記載の水系電子線硬化型組成物。
  15. 請求項1~請求項14のいずれか1項に記載の水系電子線硬化型組成物からなるコーティング剤用電子線硬化型組成物。
  16. 請求項15に記載の水系電子線硬化型組成物からなる屋外コーティング剤用電子線硬化型組成物。
  17. 下記工程1及び工程2を順次実施して下記成分(A)を製造する工程を含む水系電子線硬化型組成物の製造方法。
    工程1:反応性基を有しない(メタ)アクリレート系単量体に由来する構成単位(a1-1)と、反応性基を有する(メタ)アクリレート系単量体(a1-2)に由来する構成単位とからなる共重合体(a1)であって、単量体(a1-2)としてエポキシ基を有する(メタ)アクリレート系単量体を構成単位として含む共重合体に、カルボキシ基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物である不飽和化合物(a2)を反応させて、前記共重合体(a1)に、前記反応性基を介して、前記不飽和化合物(a2)を付加させる工程、及び
    工程2:工程1で得られた反応物のヒドロキシ基に、酸無水物を付加させる工程

    ・成分(A):側鎖に(メタ)アクリロイル基を有し、かつ、酸性基を有する(メタ)アクリレート系重合体であって、酸価が45~130mgKOH/gであり、(メタ)アクリル当量が500~2,000g/eqであり、重量平均分子量が20,000以下であり、未硬化の状態におけるガラス転移点が、-15~80℃である重合体。
  18. 前記不飽和化合物(a2)が(メタ)アクリル酸である請求項17に記載の水系電子線硬化型組成物の製造方法。
  19. 前記工程2の後、下記工程3を実施する請求項17又は請求項18記載の水系電子線硬化型組成物の製造方法。
    工程3:工程2で得られた反応物を中和させる工程
  20. 前記工程3において、中和剤として3級アミンを使用する請求項19記載の水系電子線硬化型組成物の製造方法。
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