JP2023086250A - 緑液処理方法 - Google Patents

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聡 柏木
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Abstract

【課題】 緑液処理の操業管理をより精度よく容易に行うことができる技術を提供すること。【解決手段】 本発明は、 清澄緑液の色調及び温度を監視し、色調測定時の清澄緑液の温度を一定範囲内に管理することによって、又は、清澄緑液の温度を測定し、その測定結果に基づいて清澄緑液の色調の変化を温度補正した上で管理することによって、清澄緑液の色調から粗緑液に対する薬剤注入量を制御する、緑液処理方法を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、緑液処理方法、緑液処理管理システム、苛性化の生産性向上方法などに関する。
パルプは、木材チップに水酸化ナトリウム(以下、「苛性ソーダ」ともいう)を含む蒸解処理用水を加え蒸解することにより製造され、この蒸解処理用水として白液が用いられている。そして、蒸解工程でチップをアルカリ(白液)で蒸煮してパルプを得るとともに、パルプ廃液(黒液)から蒸解薬剤と熱エネルギーの回収を行っている。パルプの製造工程では、蒸解工程、パルプ洗浄工程、黒液濃縮工程、黒液燃焼工程、緑液処理工程、白液処理工程、消和反応工程、苛性化反応工程、石灰焼成工程などから薬剤の回収が行われ、回収された薬剤を再利用している。
黒液を燃焼して発生するスメルトには、未燃焼カーボン、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化鉄、二酸化ケイ素などの不溶性不純物(ドレッグス)が含まれている。さらに、木材チップには、この不溶性不純物のもととなる、カルシウム塩、バリウム塩、リン酸塩やセルロースやリグニンなどが豊富に含まれており、不溶性不純物が生じやすい。
このドレッグスと呼ばれる不溶性不純物は、白液処理工程における炭酸カルシウムの品質などに悪影響を及ぼす。炭酸カルシウムから酸化カルシウムが生成され、この酸化カルシウムを用いて消和反応工程及び苛性化反応工程を行い白液が製造されているため、より良好な品質の炭酸カルシウムが求められている。このため、緑液処理工程では、粗緑液からドレッグスをできるだけ除去し、より良好に清澄化された清澄緑液を製造することが重要である。
例えば、特許文献1では、撹拌中の未清澄の緑液に、緑液を完全に苛性化するのに必要な生石灰量の0.5~10%、好ましくは1~5%の生石灰を添加し、その後、固形粒子が緑液から除去されることを特徴とする、緑液の清澄方法が提案されている。
特表平1-502207公報
従来、緑液処理において、清澄緑液に含まれるSS(suspended solid;懸濁物質又は浮遊物質)の値や濁度を清澄化の指標として測定することで、緑液クラリファイアなどの緑液清澄化装置での緑液の処理状況をみている。
しかしながら、SS値又は濁度を測定するために採取される清澄緑液は、90℃前後程度の高温及びpH13程度の強アルカリであるため、取り扱いに注意が必要である。
SS値は、清澄緑液を採取し、採取した清澄緑液を濾過し乾燥した後の乾燥重量をSS値としている。このように、SS値の測定は、清澄緑液の取り扱いに注意が必要な上に、作業工程も多く、専ら手分析のため、SS値の測定を迅速化することは難しく、SS値の測定回数は例えば1日あたり3回などと少なくなる。このようにSS値では、迅速な測定結果ではなく、測定回数も少なくなるため、現状の緑液処理状況を即時把握できず、清澄緑液中の不純物の増加のような異常を発見することが遅れる傾向にあった。
また、濁度は、溶液中に分散している微細な粒子に起因する濁りの程度を光量的に測定して得ている。この濁度は、清澄緑液の溶液色によっても値が変わるため、緑液処理工程における清澄化の不良を正確に把握できないことがあるという知見を本発明者らは得ている。
さらに、本発明者らは、パルプ製造系において不純物が増加した際、特に長期定期修理明けに配管の腐食からくる金属の不純物の増加や木材種による不純物の増加の際には、清澄緑液に色の変化を起こし易いという知見を、得ている。
清澄緑液の色の変化は濁度では捉えきれず、清澄緑液の清澄化の不良を正確に把握できないため、緑液処理系の後工程である白液の品質、炭酸カルシウムの品質に悪い影響を与えることが多いという知見も本発明者らは得ている。
このように、SS値及び濁度などを得る従来の測定方法では、清澄緑液の測定の迅速化が難しく、かつ現状の緑液の清澄化処理の正確な把握が難しく、粗緑液に対する適正な薬剤注入量にすることが難しい。このため、従来の測定方法では、緑液処理の操業管理を容易に行うことは困難であった。
そこで、本発明者らは、鋭意検討した結果、清澄緑液の色調変化に基づくことで、より適正な粗緑液に対する薬剤注入量をより迅速にフィードバック制御できるアイデア、好適な態様として、緑液クラリファイア以降の清澄緑液を色調監視部にて連続的に監視し得られた色調から、緑液清澄化装置における操業状態を把握する方法又はシステム等を構築した。しかし、本発明者らは、当該方法又はシステム等において、清澄緑液の温度が変動した際に清澄緑液の色調にも変化が起こり、この色調の変化の差は粗緑液に対する薬剤注入量の誤差になっている問題点を新たに見出した。このため、本発明者らは、この誤差を少なくし測定精度を高めることによって、緑液処理の操業管理がより精度良く容易に行えると考えた。
そこで、本発明は、緑液処理の操業管理をより精度よく容易に行うことができる技術を提供することを主な目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、清澄緑液の色調及び温度を監視し、温度変化による色調の誤差を少なくする管理条件下における清澄緑液の色調に基づくことで、より適正な粗緑液に対する薬剤注入量をより精度良く容易に制御できることを見出し、以下の〔1〕~〔4〕のように本発明を完成させた。
〔1〕
清澄緑液の色調及び温度を監視し、
色調測定時の清澄緑液の温度を一定範囲内に管理することによって、又は、清澄緑液の温度を測定し、その測定結果に基づいて清澄緑液の色調の変化を温度補正した上で管理することによって、
清澄緑液の色調から粗緑液に対する薬剤注入量を制御する、緑液処理方法。
〔2〕 前記色調測定時の清澄緑液の温度を一定範囲内に管理することによって、色調の温度変化による誤差を少なくし、粗緑液に対する薬剤注入量を制御する、前記〔1〕に記載の緑液処理方法。
〔3〕 前記清澄緑液の温度を測定することによって得られた清澄緑液の温度測定値に基づいて清澄緑液の色調の変化を温度補正した上で管理することにより、温度補正後の色調から粗緑液に対する薬剤注入量を制御する、前記〔1〕に記載の緑液処理方法。
〔4〕
前記清澄緑液の色調の変化を温度補正した上で管理するため、清澄緑液の温度測定値が一定の範囲内にあるか否かを判定すること、及び、
当該一定の範囲内にある場合には、このときの清澄緑液の色調測定値に基づき、粗緑液に対する薬剤注入量を制御する、又は
当該一定の範囲内にない場合には、当該清澄緑液の色調を測定し、このときの測定温度に基づき得られた清澄緑液の色調測定値を補正し、粗緑液に対する薬剤注入量を制御する、前記〔1〕に記載の緑液処理方法。
本発明によれば、緑液処理の操業管理をより精度よく容易に行うことができる技術を提供することができる。なお、ここに記載された効果に必ずしも限定されるものではなく、本明細書中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
本発明における一の実施形態に係る緑液製造系を備えたパルプ製造系の概略構成図であるが、本発明はこれに限定されない。 図2Aは、本発明における第一実施形態の色調監視部及び温度監視部を、清澄緑液流路に設置した場合の概略構成図である。図2Bは、本発明における第一実施形態の色調監視部及び温度監視部を、清澄緑液流路のバイパスに設置した場合の概略構成図である。本発明はこれらに限定されない。 本発明の第一実施形態に関する緑液処理方法の一例(ステップS1)を示すフローチャートである。 本発明の第一実施形態に関する緑液処理方法の一例(ステップS2)を示すフローチャートである。 本発明の第一実施形態に関する緑液処理方法の一例(ステップS3)を示すフローチャートである。 本発明の第一実施形態に関する緑液処理方法(ステップS4)の一例を示すフローチャートである。 本発明の第二実施形態に関する緑液処理方法(ステップS5)の一例を示すフローチャートである。 本発明の第二実施形態に関する緑液処理方法(ステップS6)の一例を示すフローチャートである。 本発明の第二実施形態に関する緑液処理方法の一例(ステップS7)を示すフローチャートである。 本発明の第二実施形態に関する緑液処理方法の一例(ステップS8)を示すフローチャートである。 本発明の第二実施形態に関する緑液処理方法の一例(ステップS9)を示すフローチャートである。 試験例2において、溶解性鉄を添加した清澄緑液のサンプル2-1(合計Fe 2.1ppm)及びサンプル2-2(合計Fe 3.1ppm)を色調測定装置(RGBカラーアナライラザー)にて測定し、a値の温度による影響をグラフ(縦軸a値、横軸温度(℃))で示した図である。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が限定されて解釈されることはない。なお、数値における上限値と下限値(~)は、所望により、任意に組み合わせることができる。
本発明に係る緑液処理に関する一つの実施形態の例として、図1~図11などを参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。
1.本発明に係る緑液処理方法
本発明は、清澄緑液の色調を監視し、当該色調から粗緑液に対する薬剤注入量をフィードバック制御する制御工程を含む、緑液処理方法を提供することができる。
本発明に係る緑液処理方法は、パルプ製造系の緑液処理系に適用することができる(例えば、図1参照)。
<1-1.本実施形態に係る緑液処理系>
本発明に係る緑液処理方法が適用される緑液処理系の概要について、以下に簡単に説明するが、本発明はこれに限定されず、様々な緑液処理系に適用することができる。
例えば、図1を参照すると、緑液処理系は、上流から順に、溶解タンクと、粗緑液タンク(図示せず)と、緑液清澄化装置(好適には緑液クラリファイア)と、清澄緑液タンクと、それぞれを接続する各ライン(例えば、流路、配管など)といった各場所又は各部を備えていてもよい。
緑液清澄化装置として、重力沈降方式の装置、強制ろ過方式の装置などが挙げられるが、これらに特に限定されない。重力沈降方式の代表的な緑液クラリファイアが好ましい。緑液クラリファイアとして、特に限定されないが、例えば、多段クラリファイア、ユニットクラリファイア、貯槽兼用型クラリファイア、沈降濃縮式クラリファイアなどが挙げられ、このうち、貯槽兼用型が好ましい。
溶解タンク(ディゾルビングタンク)において、黒液処理系から移送されたスメルトは水に撹拌され、溶解又は分散される。これにより、苛性ソーダに加え炭酸ナトリウムを豊富に含有する緑液(以下、「粗緑液」ともいう)が生成される。溶解タンクには、図示しない送液ポンプが設けられており、粗緑液はこの送液ポンプに吸引され、ラインにて、緑液清澄化装置へと移送される。
緑液清澄化装置又はその上流において、粗緑液に緑液処理剤(以下、「薬剤」ともいう)を添加し、緑液清澄化装置において、粗緑液と緑液処理剤とを混合し固液分離することで、粗緑液に残存する未溶解成分などの不純物を粗緑液から除去する清澄化処理を行っている。この清澄化処理後により、不純物が除去された清澄緑液を得ることができる。このとき、緑液清澄化装置では、不純物を含むスラリー(緑液泥)が生成され蓄積される。このため、一定割合で(一定間隔にて又は一定量に達したとき)、緑液清澄化装置から蓄積されたスラッジを除去するため、引抜きポンプを用いてスラッジの引抜きを適宜行っている。この引き抜いたスラッジについて、スラッジ濃度測定部にて、スラリー1L中のスラッジ濃度(質量%)を測定する。当該スラッジ濃度は、JIS K 0067-1992「化学製品の減量及び残分試験方法」に基づいて行うことができる。スラッジを乾燥機を用いて105±2℃加熱乾燥し、乾燥後に重量を求める。
清澄化処理後の清澄緑液は、緑液清澄化装置から、清澄緑液移送ラインにて、清澄緑液タンクに移送されて、清澄緑液タンクにて貯留される。清澄緑液は、やがて、清澄緑液タンクから、ラインにて、苛性化系に移送される。
<1-2.本実施形態における緑液処理方法>
本発明の実施形態に係る緑液処理方法は、清澄緑液の色調を監視し、当該色調から薬剤注入量をフィードバック制御することが好適である。さらに、本実施形態では、清澄緑液の温度も監視し、温度変化による色調の誤差を少なくするように調整して管理された(「温度変化による色調誤差調整管理」ともいう)色調から、薬剤注入量をより精度よく制御することが好適である。
本実施形態では、清澄緑液の色調及び温度を監視するように構成されている、清澄緑液の色調から粗緑液に対する薬剤注入量を制御することができる。例えば、図1では、色調測定装置103を備える色調監視部102、温度センサ105を備える温度監視部104、緑液清澄化装置32の粗緑液に対して薬剤注入量を制御する薬剤注入部(34,35)、及び、これら各部を有機的に制御する制御部101を有する、緑液処理系1の概略図を示す。温度監視部104は、加温冷却部を備えてもよい。色調監視部102には、温度センサ105を備えてもよい。
より具体的な説明として、図2Aには、緑液清澄化装置(緑液クラリファイア)32の出口から消和・苛性化系40に繋がる32から40への主流路を流れる清澄緑液の色調を、色調監視部102において、清澄緑液の液面から距離を空けて当該液面の上方に設置した色調測定装置(カラーセンサ)103を用いて、測定することが示されている。また、図2Bでは、図2Aとは異なり主流路上に設けるのではなく、主流路にバイパスの従流路を設け、その従流路上に色調監視102を設けた場合である。
色調監視部102と温度センサ105とを少なくとも備えることで、制御部又は操作者等が当該温度測定値に基づき加温冷却(図示せず)を制御して色調測定時の清澄緑液の温度を一定範囲内に管理することができる、又は、制御部又は操作者等が、前記清澄緑液の温度を測定することによって得られた清澄緑液の温度測定値に基づいて清澄緑液の色調の変化を温度補正した上で管理することができる。さらに、加温冷却を特定の温度範囲内になるように温度制御しつつ色調の変化を温度補正した上で管理してもよい。
このように色調測定時の清澄緑液の温度を測定し温度管理することにより、色調の温度変化による誤差を少なくすることができる。また、このような構成を採用することによって、色調監視部を緑液処理系内の所望の場所に設置しても、色調の温度変化による誤差を少なくすることができるという利点がある。
また、前記清澄緑液の色調は、清澄緑液の色調を測定して取得された清澄緑液の色調データであることが好適である。
また、前記温度変化による色調誤差調整管理は、色調測定時の清澄緑液の温度を一定範囲内に管理すること、及び/又は、清澄緑液の温度を測定し、その測定結果に基づいて清澄緑液の色調の変化を温度補正した上で管理すること、が好適である。
ここで、本発明者らは、後記〔実施例〕に示すように、清澄緑液の色調と清澄緑液の清澄化との関連性、より具体的には、粗緑液に対し薬剤注入量が不足していると清澄緑液の色調が赤色系統になり、さらに薬剤を添加していくことで清澄緑液の色調が緑色系統に変化し、より良好に清澄化された清澄緑液を得ることができることを明らかにした。
すなわち、本実施形態は、清澄緑液の色調を監視することで、薬剤注入による現状の緑液の処理状況を、迅速かつ正確に把握することができる。
現状の緑液の処理状況には、清澄緑液の清澄化の現状(具体的には、凝集沈降していない不純物の存在状態)、粗緑液に対する薬剤注入量の現状(具体的には、過剰状態もしくは不足状態、又は適正状態)が含まれる。なお、不純物が凝集沈降できない理由として、薬剤(具体的には凝集剤)注入量が不足すると、不足分の不純物が凝集沈降できないため;薬剤(具体的には凝集剤)注入量が過剰になるとフロックが小さくなりすぎ、凝集沈降速度が低下するため;などがある。薬剤注入量が過剰すぎると、凝集沈降速度が低下することで、固液分離がうまくできずにキャリーオーバーになるリスクが高まる傾向にある。
さらに、清澄緑液の色調を監視することで、清澄緑液の清澄化の程度も迅速かつ正確に把握することもできる。また、清澄緑液の色調であれば、清澄緑液に接触させなくとも監視又は測定することも可能である。このように清澄緑液の色調を監視することで、従来のSS値及び濁度を用いる方法と比較し、薬剤注入後の現状の緑液の処理状況を迅速かつ安全に把握できる。
さらに、本実施形態では、上述のように、監視する清澄緑液の色調を用いることで現状の緑液の処理状況(具体的には薬剤注入量の現状)を迅速かつ正確に把握することができ、当該緑液の処理状況(具体的には薬剤注入量の現状)に基づき、現状の粗緑液に対して添加する薬剤の注入量(より具体的には、増加、減少、又は維持)を判定し、この判定した注入量の薬剤を粗緑液に対し添加するように制御することができる。これにより、清澄緑液が、迅速かつ正確により良好に清澄化しやすい。これにより、薬剤注入量がより適正化されるため、薬剤コストの低減も行うことができる。
さらに、本実施形態は、清澄緑液の色調を測定して取得された清澄緑液の色調データに基づき、薬剤注入量の増加、維持又は減少を、フィードバック制御することが好適であり、これにより、清澄緑液を得る際に、粗緑液に対する薬剤注入量が、過剰又は不足にならず、適正になるように制御することができる。
従来、緑液処理を行う現場ごとに、緑液処理系における処理規模、緑液処理系に求める清澄化処理能力、経時的な粗緑液中の不純物濃度の変化などが異なっている。例えば、緑液処理系では、連続的に又は間欠的にスメルトなどが溶解タンクに流入してくるため、粗緑液中の不純物濃度は一定ではなく変動しているのが一般的である。加えて従来の手法では清澄緑液を採取するため測定回数及び処理速度に限界があり、薬剤注入量の適正化のための制御が難しい。
これに対し、上述のように色調の監視及び判定量の薬剤注入のフィードバック制御することで、本実施形態では、個々の現場にあった適正な薬剤注入量に容易にすることができる。さらに、本実施形態では、上述のように、色調の監視及び判定量の薬剤注入のフィードバック制御を即時に繰り返しできるため、粗緑液中の不純物濃度の変動にも適宜対応することができ、現状の粗緑液に対して適正な薬剤注入量を添加することができる。これにより、迅速かつ正確に清澄化された清澄緑液を得ることができる。このように、本実施形態を用いることで、緑液処理の操業管理を容易に行うことができる。
さらに、本発明者らは、センシング技術を使用し、緑液クラリファイアでの操業状態を連続的に把握する際に、緑液クラリファイア以降の下流の測定対象の清澄緑液の温度が、緑液クラリファイア流出直後の清澄緑液の温度とズレ(差)があることを確認した。本発明者らは、清澄緑液を色調測定装置にて連続的に画像解析して得られた色調から粗緑液に対する薬剤注入量の適正化等の操業状態を把握するシステムにおいて、測定対象物の温度が、薬剤注入場所の対象物の温度と変動(相違)した際に、両者の色調に変化(差)が起こり、この変化により粗緑液に対する適正な薬剤注入量にならず、色調の誤差が生じることを見出した。そこで、本発明者らは、さらにこの誤差を少なくし、測定精度をより高めることを次の目的とした。
本発明者らは、緑液処理が悪いと清澄緑液が赤色を帯びてくることを見出し、これにより、清澄緑液の色調の赤み(a値)が清澄緑液の清澄性の指標となり得ることを見出し、さらに清澄緑液の色調変化を画像処理して連続的に監視することができることを見出した。本発明者らは、清澄緑液のこの赤色は、硫酸鉄IIが増えて酸化され硫酸鉄IIIになることで、清澄緑液が赤色を帯びていることによると推定し、全体の鉄の量(濃度)を下げることで赤色は少なくなると考える。しかし、本発明において、清澄緑液の鉄の量(濃度)を下げることを目的として色調を監視するのではなく、薬剤注入量の状態を判断することを目的として色調を監視するので、目的が大きく相違する。さらに、緑液クラリファイアを放出直後の清澄緑液は、85~95℃程度の高温及びpH12~14の強アルカリの場合もあり、通常は75~85℃程度であるが、長期の定期点検や修理明けや季節要因等で65~75℃程度に下がる場合もあり、その際に酸化、還元の状態が代わり、色調の変化が起きることを、本発明者らは見出した。
このようなことから、本発明者らは、清澄緑液の色調及び温度を監視し、温度変化による色調の誤差を少なくする管理条件下で、清澄緑液の色調から操業状態を管理する、緑液処理方法を提供できることを見出した。そして、本発明によれば、緑液クラリファイア後の清澄緑液を連続的に画像解析し色調から操業状態を把握する方法又はシステム等において、温度変化による色調の誤差を少なくする管理ができる。温度変化による色調の誤差を少なくする管理の好適な態様としては、色調の測定時の清澄緑液の温度を一定範囲内に管理すること、及び/又は、清澄緑液の温度を測定し、その測定結果に基づいて清澄緑液の色調の変化を温度補正した上で管理することである。これにより、本発明において、色調の測定精度をより高めることができる。また、本発明において、緑液処理の操業管理をより精度よく容易に行うことができる。また、本発明において、温度変化による色調の誤差を少なくする管理(以下、「温度変化による色調誤差調整管理」ともいう)及び清澄緑液の色調変化に基づくことで、粗緑液に対するより適正な薬剤注入量を制御でき、また、粗緑液に対するより適正な薬剤注入量をより迅速にフィードバック制御できる。
このように清澄緑液の色調の誤差を少なくし、この色調の測定精度を高めることで、例えば、粗緑液に対する薬剤注入量をより適正(例えば添加時期や添加量等)に行う等の緑液処理の操業管理をより精度良く容易に行うことができる。
<1-2-1.温度変化による色調誤差調整管理>
本実施形態の緑液処理方法では、温度変化による色調誤差調整管理を行うことが好適であり、前記温度変化による色調誤差調整管理として、例えば、第一色調誤差調整管理として、色調測定時の清澄緑液の温度を一定範囲内に管理すること、及び/又は、第二色調誤差調整管理として、清澄緑液の温度を測定し、その測定結果に基づいて清澄緑液の色調の変化を温度補正した上で管理すること、が挙げられ、これらが好適である。
本実施形態の緑液処理方法では、清澄緑液の温度を監視できることが好適であり、さらに、後述する清澄緑液の色調を監視すると共に清澄緑液の温度を監視することが好適である。
本実施形態は、清澄緑液の色調及び温度を監視し、温度変化による色調誤差調整管理下において、清澄緑液の色調から粗緑液に対する薬剤注入量をより精度良く制御する、緑液処理方法、及び当該方法を実行するように構成されている制御部を備える緑液処理装置若しくは緑液処理システムを提供することができる。当該温度変化による色調誤差調整管理を実行可能な色調誤差調整管理部は、制御部に備えられていてもよいし、サーバやクラウド等の外部に備えられていてもよい。
さらに、本実施形態では、清澄緑液の温度を監視することとして、色調に関与する清澄緑液を温度管理することがより好適であり、当該温度管理として、温度測定及び/又は温度制御(例えば加温冷却等)等が挙げられるが、これらに限定されない。色調に関与する清澄緑液の温度管理により、清澄緑液の色調測定する際の清澄緑液の温度を把握しやすくなる。
さらに、本実施形態では、清澄緑液の温度を監視すること及び清澄緑液の色調を測定する際の温度を管理することが好適である。これにより、上述のように、薬剤注入による緑液の処理状況を、迅速かつ正確に把握することができる。
<第一色調誤差調整管理>
本実施形態における第一色調誤差調整管理において、色調測定時の清澄緑液の温度を一定にすることによって、測定対象の温度変化による色調変化を抑制することができ、これにより色調測定時の温度変化による色調の誤差を少なくし色調の測定精度をより高めることができる。これにより、清澄緑液を得る際に、粗緑液に対する薬剤注入量が、過剰又は不足にさらにならず、適正になるようにより精度よく容易に制御することができる。
すなわち、本第一実施形態として、清澄緑液の色調及び温度を監視し、色調測定時の清澄緑液の温度を一定範囲内に管理することによって、清澄緑液の色調から粗緑液に対する薬剤注入量を制御する、緑液処理方法を提供することができる。
本第一実施形態における好適な第一色調誤差調整管理は、清澄緑液の温度を測定しその測定結果の温度測定値に基づいて一定範囲内の温度になるように加温冷却することが好適である。当該加温冷却する場所は、清澄緑液の色調測定を行う場所と同じ場所であることが好適である。これにより、色調測定時の清澄緑液の温度を一定範囲内に管理することができる。このように色調測定時の清澄緑液の温度を一定範囲内に管理することによって、色調の温度変化による誤差を少なくすることができ、誤差を少なくすることで粗緑液に対する薬剤注入量を適正に制御することができる。
<第二色調誤差調整管理>
本実施形態における第二色調誤差調整管理において、清澄緑液の温度管理にて、監視する清澄緑液の色調の温度に変化が生じる際に当該色調に温度補正を行うこと及び温度補正した上で管理することによって、これにより色調測定時の温度変化による色調の誤差を少なくし測定精度を高めることができる。
すなわち、本第二実施形態として、清澄緑液の色調及び温度を監視し、清澄緑液の温度を測定し、その測定結果に基づいて清澄緑液の色調の変化を温度補正した上で管理することによって、清澄緑液の色調から粗緑液に対する薬剤注入量を制御する、緑液処理方法を提供することができる。
本第二実施形態における好適な第二色調誤差調整管理は、清澄緑液の温度を測定して得られた測定結果の温度測定値に基づいて清澄緑液の色調の変化を温度補正した上で管理することが好適であり、温度補正モデル又は温度補正式を用いて清澄緑液の色調の温度補正を管理することがより好適であり、当該温度補正モデル等は清澄緑液の色調と温度との相関関係により求められたモデル又は式であることがさらに好適であり、現場ごとに温度補正モデル等を適宜求めることができる。このとき、清澄緑液の色調及び色調測定時の清澄緑液の温度と、温度補正モデル等とに基づき設定温度における温度補正後の清澄緑液の色調(値やデータ等)を取得することが好適である。このように前記清澄緑液の色調の変化を温度補正した上で温度補正の色調を管理することにより、色調の温度変化による誤差を少なくすることができ、誤差を少なくすることで粗緑液に対する薬剤注入量を適正に制御することができる。そして、第二色調誤差調整管理を行う場合は、清澄緑液移送ラインから、所望の温度に加温冷却可能な場所に清澄緑液を移送するラインを設け、さらに移送先の加温冷却可能な場所で温度測定及び色調測定を行ってもよく、これにより清澄緑液の色調変化の温度補正を管理することもできる。
<温度変化による色調誤差調整管理の別の実施形態>
また、温度変化による色調誤差調整管理の別の実施形態として、清澄緑液の色調及び温度を監視し、色調測定時の清澄緑液の温度を一定範囲内に管理すること、及び、当該一定範囲内に管理できなかった場合には、清澄緑液の温度を測定し、その測定結果に基づいて清澄緑液の色調の変化を温度補正した上で管理することによって、清澄緑液の色調から粗緑液に対する薬剤注入量を制御する、緑液処理方法を提供することができる。これにより、清澄緑液の色調変化による誤差をより少なくし、温度補正後の色調から、粗緑液に対する薬剤注入量をより適正に制御することができる。
<1-2-2.緑液の色調の監視>
本実施形態の緑液処理方法では、清澄緑液の色調を監視する。これにより、上述のように、薬剤注入による緑液の処理状況を、迅速かつ正確に把握することができる。
前記清澄緑液の色調は、特に限定されないが、色の数値化ができる表色系の色調であることが好適である。当該表色系として、混色系又は顕色系のいずれでもよいが、CIE表色系を用いることが好適である。当該CIE表色系として、例えば、RGB系、XYZ表色系、L表色系、L表色系などが挙げられるが、これらに限定されない。このうち、RGB系、XYZ表色系、及びL表色系から選択される1種又は2種以上がより好適である。
また、これらCIE表色系は、必要に応じて相互に変換することが可能である。例えば、RGB系色調から、XYZ表色系色調又はL表色系色調などに変換可能であり、また、XYZ表色系色調などからL表色系色調などにも変換可能であり、その逆の変換も可能である。
このため、本実施形態において、清澄緑液の色調として取得したRGB表色系色調などから、L表色系色調などに変換し、変換したL表色系色調などにて薬剤注入量をフィードバック制御してもよいし、L表色系色調などからRGB表色系色調などに変換し、変換したRGB表色系色調などにて薬剤注入量をフィードバック制御してもよい。
前記緑液の色調は、清澄緑液の色調を測定して取得された清澄緑液の色調データであることが好適である。より具体的には、清澄緑液の色調を監視する際に、前記清澄緑液の色調を、後で詳述する色調測定装置によって測定し、この測定値を表色系の色調データとして取得することもできる。色調データを取得後、当該色調データを、制御部に送信してもよいし、内部又は外部の記憶部に記憶させてもよい。なお、色調測定装置は、下記の色調監視場所に適宜設定することができる。
前記清澄緑液の色調を、経時的に監視することが好ましく、これにより清澄緑液の色調を経時的に取得することができる。経時的に色調を取得することで、より正確な薬剤注入量をフィードバック制御しやすい。
前記清澄緑液の色調を、連続的、又は間欠的(好適には一定間隔ごと)に監視してもよい。当該「一定間隔」とは、例えば、1~60分間隔や5~20分間隔などであり、一定間隔ごとに監視することで、取得データ量を低減し、制御部の処理速度を向上することができる。
前記監視する清澄緑液は、上記<1-1.本実施形態に係る緑液処理系>で述べた緑液清澄化装置及びそれ以降の各場所又はこれら各部のいずれの清澄緑液であってもよい。より具体的には、前記監視する緑液は、緑液清澄化装置、清澄緑液タンク、及びそれぞれをつなぐ各ライン(例えば、流路、配管など)などの緑液処理系各部から選択される1種又は2種以上の緑液であってもよい。
前記色調監視する清澄緑液は、緑液清澄化装置以降の下流がより好ましく、当該緑液清澄化装置以降の下流とは、より具体的には、緑液清澄化装置、当該装置後のライン(清澄緑液移送ライン)、及び清澄緑液タンクである。より好ましくは、緑液清澄化装置及び清澄緑液移送ラインであり、さらに好ましくは、清澄緑液移送ラインである。
さらに、清澄緑液移送ラインのなかでも、緑液清澄化装置から清澄緑液移送ラインに流した後の清澄緑液を色調監視することが好ましい。当該流した後として、薬剤注入量をフィードバック制御しやすい観点から、好ましくは当該緑液清澄化装置の「出口」又は「流出直後」であり、当該「流出直後」とは、より好適には流出後~2時間程度の間、さらに好適には流出後~1時間程度の間である。
上述した緑液処理系の各場所又は各部を、清澄緑液の色調を監視する場所とすることができる。
前記清澄緑液の色調監視場所の数は、特に限定されず、1又は2以上であってもよい。当該色調監視場所を複数にすることで、緑液の処理状況を緑液処理系全体として把握しやすくなるので、より適正な薬剤注入量になるようにフィードバック制御しやすい。
清澄緑液を経時的に監視する場合、同じ場所の清澄緑液を経時的に監視してもよいし、別々の場所の清澄緑液を経時的に監視してもよいが、同じ場所の清澄緑液を経時的に監視することで、清澄緑液の色調変化を監視しやすいので、好ましい。
前記清澄緑液を監視する場合、いずれの方向からでも清澄緑液を監視することができるが、上方向から清澄緑液を監視することが好ましい。また、前記清澄緑液を監視する場合、清澄緑液から所定の距離(例えば液面~測定面)を空けて清澄緑液の色調を監視することが好ましく、当該所定の距離として、例えば0~1000mmであり、より好ましくは30~500mm、さらに好ましくは50~200mmである。また、清澄緑液を監視する場合、緑液処理系の各場所又は各部に、清澄緑液を流入させ、監視するための色調監視用ライン(例えば、バイパスラインなど)を設けることが好ましい。このとき、流入させる清澄緑液は、液面付近(例えば、液面~液面から50cm程度の間)の清澄緑液が好ましい。これにより、清澄緑液を監視しやすく、清澄緑液の温度などを調整しやすい。
前記清澄緑液の色調監視場所に、色調測定装置(例えば、カラーセンサなど)又はこれを備える色調監視部を設けることができる。これにより、従来であれば強アルカリ及び高温といった取り扱いにくい清澄緑液を容易に経時的に監視できる。また、当該色調測定装置であれば、清澄緑液に接触させる必要もなく、清澄緑液処理系への設置も容易である。
前記色調監視する清澄緑液のpHは、特に限定されないが、清澄緑液のpH(20℃)は、好ましくは11以上、より好ましくは12以上である。前記監視する清澄緑液の温度は、特に限定されないが、好ましくは50~95℃程度、より好ましくは60~90℃、さらに好ましくは70~90℃である。
なお、本実施形態では、清澄緑液の温度監視も行って色調の温度変化による誤差を少なくできることから、清澄緑液の色調監視の場所は、設置場所の自由度がより高くなるという利点がある。そして、本実施形態では、清澄緑液の色調監視の場所は、現場の緑液処理系又はパルプ製造系の全体の配置を考慮して適宜設定することができ、一方で、操業管理をより精度よく容易に行うことができるという利点がある。
<1-2-3.緑液の温度の監視>
本実施形態の緑液処理方法では、清澄緑液の温度を監視することが好適である。清澄緑液の色調及び温度を監視することにより、清澄緑液の色調の温度変化による誤差を少なくすることができる。これにより、上述のように、薬剤注入による緑液の処理状況を、迅速かつより正確に把握することができる。
前記緑液の温度は、清澄緑液の温度を測定して取得された清澄緑液の温度測定値データ(温度データともいう)であることが好適である、より具体的には、清澄緑液の温度を監視する際に、前記清澄緑液の温度を、後述する温度測定装置(例えば、温度センサ)によって測定し、この測定値を温度測定値又はこのデータとして取得することもできる。温度測定値データを取得後、当該温度測定値データを、制御部に送信してもよいし、内部又は外部の記憶部に記憶させてもよい。
前記清澄緑液の温度を、経時的に監視することが好ましく、これにより清澄緑液の温度を経時的に取得することができる。経時的に温度を取得することで、より正確な薬剤注入量をフィードバック制御しやすい。
また、前記清澄緑液の温度を、色調監視と共に又は色調測定と同時期に、監視することが好ましく、これにより、色調の温度変化による誤差を少なくし、より正確な薬剤注入量をフィードバック制御しやすい。
また、前記清澄緑液の温度を、連続的、又は間欠的(好適には一定間隔ごと)に監視してもよい。当該「一定間隔」とは、例えば、1~60分間隔や5~20分間隔などであり、一定間隔ごとに監視することで、取得データ量を低減し、制御部の処理速度を向上することができる。
また、本実施形態において清澄緑液の温度監視として、清澄緑液の温度を温度管理することが好適である。当該清澄緑液の温度管理として、清澄緑液の温度測定すること及び/又は清澄緑液の加温冷却することが好適である。さらに、加温冷却を行う温度管理の場合、清澄緑液の色調測定を行う場所と同じ又は異なる場所の清澄緑液を所望の温度に調節するように加温冷却すること、及び当該加温冷却場所の清澄緑液の温度を測定することが好適である。
前記温度監視する清澄緑液は、上記<1-1.本実施形態に係る緑液処理系>で述べた緑液清澄化装置及びそれ以降の各場所又はこれら各部のいずれの清澄緑液であってもよい。より具体的には、前記監視する緑液は、緑液清澄化装置、清澄緑液タンク、及びそれぞれをつなぐ各ライン(例えば、流路、配管等)等の緑液処理系各部から選択される1種又は2種以上の緑液であればよい。
前記温度監視する清澄緑液は、緑液清澄化装置以降の下流がより好ましく、当該緑液清澄化装置以降の下流とは、より具体的には、緑液清澄化装置及び当該装置から緑液をラインに放出するための当該装置出口、当該装置後のライン(清澄緑液移送ライン)、及び清澄緑液タンク等である。より好ましくは、緑液清澄化装置及び清澄緑液移送ラインであり、さらに好ましくは、清澄緑液移送ラインである。さらに、清澄緑液移送ラインのなかでも、緑液清澄化装置から清澄緑液移送ラインに流した後の清澄緑液を温度監視することが好ましい。当該流した後として、薬剤注入量をフィードバック制御しやすい観点から、好ましくは「緑液清澄化装置の出口」又は「流出直後」であり、当該「流出直後」とは、より好適には流出後~2時間程度の間、さらに好適には流出後~1時間程度の間である。
上述した緑液処理系の各場所又は各部を、清澄緑液の温度を監視する場所とすることができる。
前記清澄緑液の温度監視場所の数は、特に限定されず、1又は2以上であってもよい。当該温度監視場所を複数にすることで、緑液の処理状況を緑液処理系全体として把握しやすくなるので、より適正な薬剤注入量になるようにフィードバック制御しやすい。
清澄緑液の温度を経時的に監視する場合、同じ場所の清澄緑液を経時的に監視してもよいし、別々の場所の清澄緑液の温度を経時的に監視してもよいが、同じ場所の清澄緑液の温度を経時的に監視することで、清澄緑液の温度変化を監視しやすいので、好ましい。
また、温度監視場所は、後述する色調監視場所と同一場所であることが、色調の温度変化による誤差を少なくする観点から、好適である。
<1-2-4.粗緑液に対する薬剤注入量の制御>
本実施形態では、前記清澄緑液の色調が薬剤注入量をフィードバック制御することができる。より好適には本実施形態では、前記温度変化による色調誤差調整管理に基づいた前記清澄緑液の色調から薬剤注入量を制御することができ、フィードバック制御することも可能である。これにより、現状の粗緑液に対して、適正な薬剤注入量になるように、より迅速にかつより正確にフィードバック制御することもできる。
「前記清澄緑液の色調から」とは、「現状(例えば、色調測定時)の清澄緑液の色調値から」又は「色調補正後の色調値から」が好ましく、現状の清澄緑液の色調値又は色調補正後の色調値に基づき、現状の粗緑液に対して添加する薬剤注入量を判定することが好適である。例えば、現状の清澄緑液の色調値と基準となる清澄緑液の色調値とを対比すること、現状の清澄緑液の色調値、色調補正後の清澄緑液の色調値が好適である。「前記清澄緑液の色調」は、上記「1-2-2.緑液の色調の監視」で述べたように、前記清澄緑液の色調データが好適である。
基準となる清澄緑液の色調の値(以下、「清澄緑液色調の基準値」ともいう)としては、例えば、過去に測定した清澄緑液の色調値(以下、「過去の色調値」ともいう)、清澄緑液の色調値(以下、「適正の色調値」ともいう)、上述した「1-2-1.温度変化による色調誤差調整管理」(より好適には第二色調誤差調整管理)に基づいた色調値(より好適には温度補正後の色調値)などが挙げられるが、これらに限定されない。また、当該色調値は、所定の数値の幅を有していてもよい。このうち、本実施形態において、温度変化による色調誤差調整管理に基づいた色調値(以下、「温度変化による色調値」)が好適である。
前記「過去の色調値」は、清澄緑液処理系内において過去に測定した清澄緑液の色調値であってもよく、より好適には、直近に測定された過去の清澄緑液の色調値である。当該直近とは、1つ又は2つ前に(より好適には1つ前に)測定された過去の色調値であってもよく、現状の測定時から前に60分以内(より好適には、前に5~30分以内)に測定された過去の清澄緑液の色調値であってもよく、これらの組み合わせであってもよい。さらに、同じ色調監視場所で測定した過去の清澄緑液の色調値と現状の清澄緑液の色調値とを対比することが好ましく、より具体的には、近接する直近の過去の清澄緑液の色調値と現状の清澄緑液の色調値とを対比することがより好ましい。これにより、より迅速にかつより正確に薬剤注入量をフィードバック制御することができる。
前記「適正の色調値」がRGB表色系である場合、当該RGB表色系の色調値は、薄緑色の色調を表すRGB表色系の色調値であることが好適である。R値は赤、G値は緑、B値は青を表し、3者の組合せで考えることもできる。制御を簡単にするためにG値にて管理することが好ましい。当該G値として、好ましくは(G100~255)であり、より好ましくは(G125~255)、さらに好ましくは(G150~255)、よりさらに好ましくは(G200~255)である。当該数値は現場の操業によって変わるものであり、必ずしも限定するものではない。現場に合わせた適正範囲内にすることにより、より良好に清澄化された清澄緑液を得るとともに、より良好に薬剤注入量の適正化を図ることができる。
前記「適正の色調値」がL表色系である場合、当該L表色系の色調値は、薄緑色の色調を表すL表色系の色調値であることが好適である。L値は明度、a値は高いと赤色、低いと緑色、b値は高いと黄色、低いと青色を表し、3者の組合せで考えることもできる。制御を簡単にするためにa値にて管理することが好ましい。適正値は、現場の操業条件によって変わるものであり、必ずしも限定するものではない。なお、L表色系では、a値0を基準に、-60(緑色方向)-0-(赤色方向)+60となっている。
当該a値として、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.0以下、より好ましくは0以下、さらに好ましくは-0.5以下、より好ましくは-1.0以下、さらに好ましくは-1.5以下である。当該数値範囲内にすることにより、より良好に清澄化された清澄緑液を得るとともに、より良好に薬剤注入量の適正化を図ることができる。当該a値の数値範囲は、清澄緑液が良好に清澄化された状態と判定するための指標、又は緑色系統と判定するための指標であってもよく、適正の色調値と設定することもできる。
「温度変化による色調値」において、第一色調誤差調整管理に基づいた場合には、前記色調測定時の清澄緑液温度を一定範囲内に管理することによって、色調の温度変化による誤差を少なくすることができるので、色調測定時の色調値を用いることができるが、前記「過去の色調値」、前記「適正の色調値」を用いることも可能である。また、第一色調誤差調整管理に基づいた場合には、例えば、清澄緑液の色調を測定する際の温度を、色調の温度変化による誤差を少なくするための薬剤注入時の想定される温度にするように管理することもできる。これにより、色調の温度変化による誤差を少なくして、測定時の清澄緑液の色調から、粗緑液に対する薬剤注入量が、過剰又は不足にさらにならず、より適正になるように制御することができるようになる。よって、より良好に清澄化された清澄緑液を得るとともに、より良好に薬剤注入量の適正化を図ることができる。
「温度変化による色調値」において、第二色調誤差調整管理に基づいた場合には、前記清澄緑液の温度を測定することによって得られた清澄緑液の温度測定値に基づいて清澄緑液の色調の変化を温度補正した上で管理することができ、これにより温度補正後の色調値を取得することができる。この温度補正後の色調値を得る際に、温度補正モデル(例えば、温度補正式等)を用いることがより好適であり、当該温度補正モデルは、特に限定されず、実際の現地の実機等に合わせた温度補正モデル又は温度補正式を、統計学的処理等にて得ることが望ましい。温度補正モデル等は、公知の統計学的処理を用いて得ることができ、例えば、後記実施例で示したような回帰式(y=ax+b:yは色調値、xは温度(℃)、aは傾き、bは切片)が挙げられ、単回帰分析、重回帰分析、多変量解析等を適宜採用して温度補正モデル又は温度補正式等を求めて使用することができる。第二色調誤差調整管理に基づいた場合には、例えば、清澄緑液を測定する際の温度が、薬剤注入場所の温度と違っていても、温度補正をしてより良好に薬剤注入量の適正化ができる色調値にするように管理することもできる。これにより、色調の温度変化による誤差を少なくして、色調補正後の色調から、粗緑液に対する薬剤注入量が、過剰又は不足にさらにならず、より適正になるように制御することができるようになる。よって、より良好に清澄化された清澄緑液を得るとともに、より良好に薬剤注入量の適正化を図ることができる。
前記第二色調誤差調整管理に基づいた場合の一例として、温度(℃)と色調(例えば、a値)とに相関関係に基づいて得られた回帰式の場合(aの傾きを取得)、実際に測定した温度測定値をx2、色調測定値を切片b、求めたい温度補正後の色調値をyと求めたい温度をx1とする。これを、y=a(x2-x1)+bに代入することで、温度補正後の色調値(a値)を得ることができる。より具体的な代入等の説明は、後記〔実施例〕に詳述しているので、省略する。
これにより、色調の温度変化による誤差を少なくして、粗緑液に対する薬剤注入量が、過剰又は不足にさらにならず、より適正になるように制御することができるようになる。よって、より良好に清澄化された清澄緑液を得るとともに、より良好に薬剤注入量の適正化を図ることができる。例えば、清澄緑液を測定する際の温度が、薬剤注入場所の想定される緑液の温度と違っていても、温度補正モデル及び想定される薬剤注入場所の緑液の温度から温度補正後の色調を取得でき、温度補正後の色調から、粗緑液に対する薬剤注入量が、過剰又は不足にさらにならず、より適正になるように制御することができるようになる。
本実施形態における薬剤を添加する場所として、好ましくは、緑液清澄化装置(好適には緑液クラリファイア)、及び/又はその上流であり、より好ましくはその上流にある移送ライン、さらに好ましくは溶解タンクからの粗緑液を移送するライン(以下、「粗緑液移送ライン」ともいう)である。さらに、粗緑液移送ライン上に、粗緑液を貯留するための粗緑液タンクを配置してもよく、この場合、薬剤を添加する場所として、粗緑液タンクから緑液清澄化装置までの間の粗緑液移送ラインがより好ましい。
本実施形態において、薬剤を粗緑液に添加した後、緑液清澄化装置において粗緑液を処理することで、粗緑液から不純物(例えば、不溶性不純物、金属不純物など)を除去でき、粗緑液の清澄化を促進することができる。
薬剤を添加する場所の数は、特に限定されないが、単数又は複数のいずれでもよく、1又は2以上であってもよい。
本実施形態における薬剤注入に用いる薬剤は、粗緑液を清澄化させる目的で使用できる薬剤(緑液処理剤又は薬剤ともいう)であれば、特に限定されず、同一又は異なる種類の薬剤を使用してもよい。緑液処理剤として、一般的に、緑液中のドレッグス及び/又は不溶性金属を凝集することができる高分子重合体が、使用されている。緑液処理剤として、市販されている高分子凝集剤を用いることが、コスト低減及び品質性安定の観点から、好適である。
高分子重合体として、アニオン系、カチオン系、ノニオン系、両性系のいずれでもよい。このうち、カチオン系及び/又はアニオン系の高分子重合体が好適に用いられている。高分子重合体は、公知の製造方法にて得たものを用いてもよいし、市販品を用いてもよい。当該高分子重合体を、高分子凝集剤に含有させて、緑液処理剤として使用することができる。
高分子重合体の粘度平均分子量は、特に限定されないが、1万~6,000万程度が好ましく、2万~4,000万程度がより好ましく、3万~2,000万程度がさらに好ましい。
なお、本実施形態に用いる高分子の粘度平均分子量は、JIS K 7367-1:2002 「プラスチック─毛細管形粘度計を用いたポリマー希釈溶液の粘度の求め方─第
1 部:通則」に基づいて得られたポリマーの固有粘度を使い、求めることができる。(高分子凝集剤:高分子系を中心とした沈澱凝集剤,大森英三,高分子刊行会,1973年)。
カチオン系凝集剤として用いられるカチオン系高分子重合体として、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンイミン、エチレンジアミンエピクロルヒドリン重縮合物、ポリアルキレンポリアミン、ジアリルジメチルアンモニウムクロリドやジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの四級アンモニウム塩を構成モノマーとする重合体などが挙げられ、これらから選択される1種又は2種以上を用いることができる。
アニオン系凝集剤として用いられるアニオン系高分子重合体として、特に限定されないが、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリルアミドとの共重合体、(メタ)アクリルアミド・2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸共重合体、及びそれらのアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム、カリウムなど)などが挙げられ、アクリルアミド系、及びこれらの共重合体などが挙げられ、これらから選択される1種又は2種以上を用いることができる。
アニオン系高分子重合体の粘度平均分子量は、5万~3,000万程度が好ましく、50万~2,000万程度がより好ましい。カチオン系高分子重合体にアニオン系凝集剤を併用することで、凝集物の沈降性がさらに改善される点で有利である。
本実施形態では、清澄緑液の色調に基づき、現状の粗緑液に対して添加する薬剤注入量(例えば、粗緑液1L当たりの薬剤の質量(mg))を判定することができる。色調の監視及び判定量の薬剤注入をフィードバック制御することにより、粗緑液に対してより適正な薬剤注入量になるように調整することができる。これにより、本実施形態では、最終的に、清澄緑液の色調に基づき、粗緑液に対して添加する期間(例えば、1年間、1月間、1週間、1日間など)当たりの薬剤の合計使用量を、従来の合計使用量よりも低減することができる。
なお、本実施形態における薬剤注入量の上限値及び下限値は、薬剤ごとに適宜決定することができ、特に限定されないが、例えば、一般的な緑液処理系における薬剤注入量の上限値及び下限値を参考にすることができる。一般的な緑液処理系での薬剤注入量は、粗緑液1L当たり、薬剤0.1~50mg程度である。アニオン系高分子凝集剤の添加量は、一般的に、粗緑液1L当たり、0.1~20mgが好適である。カチオン系高分子凝集剤の添加量は、一般的に、粗緑液1L当たり、0.5~40mgが好適である。
<1-2-5.本実施形態の緑液処理の例>
本実施形態の制御(好適にはフィードバック制御)の一例を、以下に説明するがこれに限定されない。また、これらの各ステップを任意に組み合わせてもよい。
本実施形態は、前記清澄緑液の色調に基づき、粗緑液に対する薬剤注入量を制御することが好適である。当該粗緑液に対する薬剤注入量の制御として、当該清澄緑液の色調が赤色系統にある場合には粗緑液に対する薬剤注入量を増量させ、及び/又は、当該清澄緑液の色調が緑色系統にある場合には粗緑液に対する薬剤注入量を減量させて、粗緑液に対して適正な薬剤注入量になるようにすることが好適である。
本実施形態は、清澄緑液の色調監視にさらに清澄緑液の温度監視を加えて、前記清澄緑液の色調及び温度に基づき、粗緑液に対する薬剤注入量を制御することがより好適である。これにより、粗緑液に対してより適正な薬剤注入量にすることができる。
より好適な態様としては、温度監視が、色調測定時の清澄緑液の温度を一定範囲内に管理することによって、及び/又は、清澄緑液の温度を測ることで清澄緑液の色調の変化を温度補正し管理することによって、色調の温度変化による誤差を少なくすることができる。そして、温度が一定範囲内にある現状の清澄緑液の色調値、及び/又は、温度補正後の色調値から、粗緑液に対する薬剤注入量をより精度よく容易にフィードバック制御することができる。
本実施形態は、前記温度監視ステップ、色調監視ステップ及び薬剤注入量制御ステップを含むことにより、色調の温度変化による誤差を少なくし、粗緑液に対する薬剤注入量を制御することができる。前記温度監視ステップ、色調監視ステップは、同時期に又は別々の時期に行うことができる。
なお、本実施形態では、例えば「温度測定値データを取得する(こと)」等の「する(こと)」を、「工程」又は「ステップ」としてもよいし、「ステップ」を「する(こと)」又は「工程」としてもよし、「工程」を「する(こと)」又はステップとしてもよい。また、本実施形態では、「機構」は、システム、装置又は部としてもよく、「装置」は、システム、機構又は部にしてもよく、「部」は、機構、装置又はシステム等に備えるための部又は装置としてもよい。
本実施形態により、緑液処理系の薬剤の使用コストをより抑制し、粗緑液をより迅速にかつより正確に清澄化できる。これにより、緑液処理の操業管理をより精度よく容易に行うことができる。
その他の実施形態のフィードバック制御は、現状等の清澄緑液の色調値を、基準となる清澄緑液の色調値と比較して、粗緑液に対して添加する薬剤注入量を判定し、その判定した薬剤注入量を粗緑液に対して添加することであってもよい。さらに、現状の清澄緑液の色調値の監視及び粗緑液に対して添加した薬剤注入量を経時的にフィードバック制御することで、粗緑液に対する薬剤注入量がより適正化してもよい。
好適な具体例として、以下に、第一色調誤差調整管理については、例えば図3及び図4~7を参考にして、第二色調誤差調整管理については、例えば図8~10を参考にして、説明するがこれに限定されない。なお、「制御部」を「操作者(ヒト)」に置き換えて実施してもよい。
<1-2-5-1.温度監視ステップ>
本実施形態の制御における温度監視ステップの例について、図3、図8等を参照して、第一色調誤差調整管理及び第二色調誤差調整管理を説明するが、これに限定されない。
第一色調誤差調整管理として、清澄緑液の温度を測定して温度測定値データを取得する。当該清澄緑液の温度が、色調測定時に、予め設定された一定範囲内になるように加温冷却をする。これにより、温度が一定範囲内にある現状の清澄緑液の色調値を得ることができる(図3参照)。
また、第二色調誤差調整管理として、清澄緑液の色調値データを取得する際に、清澄緑液の温度を測定して温度測定値データを取得する。このときの清澄緑液の温度測定値データ及び清澄緑液の色調データと、想定される清澄緑液の色調の設定温度(仮設定)、温度補正モデル又は温度補正式とに基づき、設定温度における温度補正後の清澄緑液の色調値又は色調値データを取得する。これにより、温度補正後の色調値を得ることができる(図8等参照)。
<1-2-5-2.色調監視ステップ及び薬剤注入量制御ステップ>
本実施形態における色調監視ステップ及び薬剤注入量制御ステップの例について、図4、図8等を参照して、説明するがこれに限定されない。
前記温度監視ステップを実施する際に、色調監視ステップ及び薬剤注入量制御ステップを実施することができる。色調監視ステップ及び薬剤注入量制御ステップは色調監視に基づく薬剤注入量の制御を実施するがこれに限定されない。なお、温度測定と色調測定の時期の前後は、特に限定されず、温度測定及び色調測定を同時期に実施することが好適であり、同時期としてはそれぞれの実施時期が、一部又は全部重複していればよく、それぞれの実施の開始時にずれがあってもよい。例えば、色調測定次いで温度測定又は温度測定次いで色調測定を実施してもよく、温度測定及び色調測定を同時を実施してもよい。
そして、前記色調監視ステップ及び薬剤注入量制御ステップは、前記清澄緑液の色調に基づき、当該清澄緑液の色調が赤色系統にある場合には粗緑液に対する薬剤注入量を増量させ、及び/又は、当該清澄緑液の色調が緑色系統にある場合には粗緑液に対する薬剤注入量を減量させて、粗緑液に対して適正な薬剤注入量になるようにすることが好適である。
本実施形態において、好適なフィードバック制御は、「基準となる清澄緑液の色調値と比較」せずに、現状の清澄緑液の色調値(好適には、色調測定時の清澄緑液の色調値又は温度補正後の色調値)に基づいて、薬剤注入量を粗緑液に対して添加することも可能である。「現状の清澄緑液の色調値」は、第一色調誤差調整管理にて得られた「色調測定時の清澄緑液の色調値」又は第二色調誤差調整管理にて得られた「温度補正後の色調値」が挙げられるが、これらに特に限定されない。
本実施形態において、より好適なフィードバック制御は、現状の清澄緑液の色調値を、基準となる清澄緑液の色調値と比較して、粗緑液に対して添加する薬剤注入量を判定し、その判定した薬剤注入量を粗緑液に対して添加することである。さらに、現状の清澄緑液の色調値の監視及び粗緑液に対して添加した薬剤注入量を経時的にフィードバック制御することで、粗緑液に対する薬剤注入量がより適正化していくので、好適である。
色調監視ステップによるフィードバック制御により、緑液処理系の薬剤の使用コストをより抑制し、粗緑液をより迅速にかつより正確に清澄化できる。これにより、緑液処理の操業管理をより容易に行うことができる。
このように温度監視ステップ及び色調監視ステップを組み合わせることにより、色調監視ステップ単独よりも、粗緑液をより迅速にかつより精度よくより正確に清澄化できる。これにより、緑液処理の操業管理をより精度よくより容易に行うことができる。
色調監視ステップの好適な具体例として、「温度変化による色調誤差調整管理下において」実施することが好ましく、例えば、図3~7(第一色調誤差調整管理)、図8~11(第二色調誤差調整管理)に示すように、(a)現状の清澄緑液が赤色系統の色調値の範囲内(例えば、赤色;a値>0?)である場合には、現状の薬剤注入量が、現状の粗緑液処理において、不足であると判定する。この判定結果により、現状の薬剤注入量よりも粗緑液に対する薬剤注入量を増量するように、薬剤を粗緑液に添加する。(b)現状の清澄緑液が緑色系統の色調値の範囲内(例えば、緑色又はより濃い緑色;a値<0?、乃至a値<-20?)である場合には、現状の薬剤注入量が、現状の緑液処理において、過剰であると判定する。この判定結果により、現状の薬剤注入量よりも粗緑液に対する薬剤注入量を減量するように、薬剤を緑液に添加する。(c)現状の清澄緑液が所定の色調値の範囲内(例えば、薄緑色;例えば、-20<a値<0?)である場合には、現状の薬剤注入量が適正であると判定し、現状の緑液処理において、粗緑液に対する現状の薬剤注入量を維持する。
これら(a)~(c)により、過剰又は不足をより抑制することができ、緑液処理系の薬剤の使用コストをより抑制し、粗緑液をより迅速にかつより正確に清澄化処理できる。これにより、緑液処理の操業管理をより容易に行うことができる。
より好適な具体例として、「温度変化による色調誤差調整管理下において」実施することが好ましく、例えば、図7に示すように、(a1)前記(a)において、現状の清澄緑液が赤色系統の色調値の範囲内(例えば、a値>0?)である場合(YES)であって、緑液クラリファイアからの排泥である引抜きスラッジ濃度が所定値以内(より好適には1~15質量%)である場合(YES)、現状の緑液クラリファイアの凝集による固液分離はできていると判定し、さらに不純物の除去を促進する薬剤の注入量を増加する。この判定結果に従って、粗緑液に対する薬剤注入量の増加を行う。一方で、スラッジ濃度が所定値からはずれた場合(より好適には1~15質量%でない場合)(NO)、現状の緑液クラリファイアの凝集による固液分離はできていないと判定する。この場合は、凝集に良い、又は、悪い影響を及ぼす可能性のある、不純物の除去を促進する薬剤の注入量は維持する。
より好適には、「温度変化による色調誤差調整管理下において」実施することが好ましく、(b1)前記(b)において、現状の緑液が緑色系統の色調値の範囲内(例えば、a値<-20?)である場合(YES)であって、緑液クラリファイアからの排泥である引抜きスラッジ濃度が所定値以内(より好適には1~15質量%)でない場合(NO)、現状の緑液クラリファイアの凝集による固液分離はできていないと判定する。この場合は、凝集に良い、又は、悪い影響を及ぼす可能性のある、不純物の除去を促進する薬剤の注入量は維持する。一方、スラッジ濃度が所定値以内(より好適には1~15質量%)である場合(YES)、現状の緑液クラリファイアの凝集による固液分離はできていると判定する。この場合は、凝集に良い、又は、悪い影響を及ぼす可能性のある、不純物の除去を促進する薬剤の注入量を減少する。この判定結果に従って、粗緑液に対する薬剤注入量の減量を行う。
より好適には、「温度変化による色調誤差調整管理下において」実施することが好ましく、(c1)前記(a)において現状の清澄緑液が赤色系統の色調値の範囲内(例えばa値>0?)でない場合(NO)である場合、かつ、前記(b)において現状の清澄緑液が緑色系統の色調値の範囲内(例えばa値<-20?)でない場合(NO)である場合、現状の薬剤注入量が適正であると判定し、現状の薬剤注入量を維持する。この判定結果に従って、粗緑液に対する薬剤注入量の維持を行う。なお、薬剤注入量の維持の場合、色調値は、薄緑色の範囲が好適であり、当該薄緑色として、例えば-20<a値<0等が挙げられ、好適な上限値として0等が挙げられ、好適な下限値として-30、-20、-10等が挙げられる。
これら(a1)~(c1)により、薬剤注入量の過剰又は不足を、より抑制することができ、緑液処理系の薬剤の使用コストをより抑制し、粗緑液をより迅速にかつより正確に清澄化処理できる。これにより、緑液処理の操業管理をより容易に行うことができる。
なお、上記(a1)~(c1)におけるドレッグス濃度は、入力部から操作者が入力して、制御部に送信してもよいし、予め記憶部に記憶されていたドレッグス濃度が、制御部に送信されてもよい。
なお、本実施形態において、「基準となる清澄緑液の色調値」と「粗緑液に対する薬剤注入量」(例えば、薬剤の種類及び好適な注入量)とを紐づけて管理することが好適である。これにより、「基準となる清澄緑液の色調値」から、好適な「粗緑液に対する薬剤注入量」を取得し、これを緑液処理に利用することも可能である。
さらに好適な態様として、前記清澄緑液の色調の変化を温度補正した上で管理するため、清澄緑液の温度測定値が、一定の範囲内にあるか否かを判定する。当該温度測定値が、一定の範囲内にある場合には、このときの清澄緑液の色調測定値に基づき、粗緑液に対する薬剤注入量を制御する。又は、当該温度測定値が一定の範囲内にない場合には、当該清澄緑液の色調を測定し、このときの測定温度に基づき得られた清澄緑液の色調測定値を補正し、粗緑液に対する薬剤注入量を制御する。
例えば、一定の設定温度を80±3℃と設定した場合、制御部は、色調測定時の清澄緑液の実測値が温度70~77℃の場合には、設定温度80℃になるように温度補正モデルを用いて当該色調データを温度補正し、当該温度補正色調(80℃設定)に基づき、粗緑液に対する薬剤注入量を決定する。
<1-3.本実施形態における緑液処理方法の例>
本実施形態における緑液処理方法の例の説明において、上述した「1-1.」「1-2.」等と重複する、粗緑液、清澄緑液、清澄緑液の温度、温度監視場所、温度測定値、温度変化による色調誤差調整管理、清澄緑液の色調、色調監視場所、色調値、薬剤、フィードバック制御などの各構成や各処理方法などの説明については適宜省略するが、当該「1-1.」及び「1-2.」等の説明が、本実施形態にも当てはまり、適宜採用することができる。また、本実施形態における緑液処理方法の例の説明において、後述する「2.」~「5.」等の説明を、本実施形態に当てはめることができ、適宜採用することもできる。
本実施形態における緑液処理方法は、前記清澄緑液の色調から粗緑液に対する薬剤注入量をフィードバック制御する制御工程を少なくとも含むことが好適である。
さらに好適には、前記清澄緑液の温度を監視及び/又は測定する温度監視工程をさらに含むことである。当該温度監視工程において、より好適には、清澄緑液の温度を測定して、前記色調測定時の清澄緑液の温度を一定範囲内に管理すること、及び/又は、前記色調測定値及び当該色調測定時の清澄緑液の温度測定値に基づいて清澄緑液の色調の変化を温度補正した上で管理すること、である。
さらに好適には、前記清澄緑液の色調を監視及び/又は測定する色調監視工程をさらに含むことである。当該色調監視工程において、より好適には、清澄緑液の色調を測定して色調データを取得することである。
本実施形態における制御工程において、制御部が、清澄緑液の色調に基づき又は清澄緑液の色調及び温度に基づき粗緑液に対する薬剤注入量を制御或いはフィードバック制御することができる。
制御部は、温度監視部からの清澄緑液の温度データに基づき、清澄緑液の温度及び色調を管理することができ、必要に応じて温度監視部に清澄緑液の温度の測定を指示することができる。
制御部は、当該清澄緑液の温度データに基づき、第一色調誤差調整管理として、色調測定時の清澄緑液の温度を一定範囲内に管理するように温度監視部に指示することができ、及び/又は、第二色調誤差調整管理として、清澄緑液の温度により清澄緑液の色調を温度補正管理することができ、これらを色調誤差調整管理下で得られた清澄緑液の色調データと設定することができる。
制御部又は温度監視部は、第一色調誤差調整管理として、一定範囲内の温度になるように、加温冷却部に指示することができる。
制御部又は温度監視部は、第二色調誤差調整管理として、記憶部又は外部等に格納されている温度補正モデルを用いて、色調測定値及び当該色調測定時の温度測定値と、取得したい温度補正後の色調の温度とから、温度補正後の色調値を取得することができる。
制御部は、色調監視部からの清澄緑液の色調データに基づき、清澄緑液の色調を監視することができ、必要に応じて色調監視部に清澄緑液の色調の測定を指示することができる。
制御部は、上記色調誤差調整管理下で得られた清澄緑液の色調データに基づき、薬剤注入部に対して、粗緑液に添加する所定の薬剤注入量を指示することができる。制御部は、清澄緑液の色調データに加えて、スラッジ濃度測定部からのスラッジ濃度データに基づき、薬剤注入部に対して、粗緑液に添加する所定の薬剤注入量を指示することができる。さらに、色調監視部は、所定の薬剤注入量を粗緑液に添加した緑液の処理状況を、清澄緑液の色調(色調データ)として、測定し、当該清澄緑液の色調(色調データ)を制御部に送信することができる。制御部は、色調の監視及び判定量の薬剤注入をフィードバック制御することができ、経時的に行うことが好適である。
上述のように、制御部は、前記清澄緑液の色調から粗緑液に対する薬剤注入量をフィードバック制御することができる。さらに、制御部は、前記清澄緑液の色調に基づき、薬剤注入量の調整を薬剤注入部に、連続的に又は間欠的(一定間隔ごと)に、フィードバック制御することによって、粗緑液に対して、適正な薬剤注入量にすることができる。
このようにして、制御部は、薬剤注入量の過剰又は不足を、より抑制することができ、緑液処理系の薬剤の使用コストをより抑制し、粗緑液をより迅速にかつより正確に清澄化処理できる。これにより、緑液処理の操業管理をより容易に行うことができる。
本実施形態は、清澄緑液の色調及び温度を監視し、温度変化による色調誤差調整管理下において、清澄緑液の色調から粗緑液に対する薬剤注入量をフィードバック制御する制御工程を含む、緑液処理方法を提供することもできる。
本実施形態は、前記制御工程に、温度変化による色調誤差調整管理を行う温度変化による色調誤差調整管理工程として、色調測定時の清澄緑液の温度を一定範囲内に管理する工程、及び/又は、清澄緑液の温度の測定結果に基づいて清澄緑液の色調の変化を温度補正した上で管理する工程を、含むことが好適である。
本実施形態は、前記制御工程に、さらに、前記清澄緑液の色調を測定する色調監視工程、及び/又は、粗緑液に薬剤注入を行う薬剤注入工程、を含む緑液処理方法を提供することが好適である。
より好適な本実施形態は、
温度変化による色調誤差調整管理を行うこと(温度変化による色調誤差調整管理工程)、
清澄緑液の色調を監視及び/又は測定すること(色調監視工程)、
粗緑液に薬剤を注入すること(薬剤注入工程)、及び、
前記清澄緑液の色調を監視及び/又は測定し、当該色調から粗緑液に対する薬剤注入量をフィードバックして、粗緑液に薬剤を注入することを制御すること(制御工程)、を含むことである。
さらに、より好適な本実施形態は、さらに、緑液清澄化装置から引き抜いたスラッジ濃度を測定する工程、を含む、緑液処理方法を提供することである。
より好適な本実施形態は、
温度変化による色調誤差調整管理を行うこと(温度変化による色調誤差調整管理工程)、清澄緑液の色調を監視及び/又は測定すること(色調監視工程)、
緑液清澄化装置から引き抜いたスラッジ濃度を測定すること(スラッジ濃度測定工程)、
粗緑液に薬剤を注入すること(薬剤注入工程)、及び、
清澄緑液の色調を監視及び/又は測定するとともに、前記引抜いたスラッジ濃度を監視及び/又は測定し、当該清澄緑液の色調及び当該スラッジ濃度に基づき粗緑液に対する薬剤注入量をフィードバックして、粗緑液に薬剤を注入することを制御すること(制御工程)、を含むことである。
<1-4.本実施形態における緑液処理の例>
本実施形態における緑液処理の手順などについて、図3~11を参照して、より詳細に説明するが、本実施形態における緑液処理方法は、これらに限定されない。図3~11のこれら各手順を自由に組み合わせてもよい。当該緑液処理の手順の説明は、本実施形態の緑液処理方法、緑液処理管理装置、及び緑液処理系の動作などの説明ともすることができる。
<1-4-1.本実施形態における緑液処理の例1>
本実施形態における緑液処理の例1は、温度監視ステップ(第一色調誤差調整管理ステップ)、次いで色調監視ステップ及び薬剤注入ステップを含む(図3及び4参照)。
<1-4-1-1.温度監視ステップ>
温度監視ステップにおける、色調測定時の清澄緑液の温度を一定範囲内に管理する場合のフローについて、図3を参照して、説明する。この温度監視ステップは、色調監視ステップ及び薬剤注入ステップと同時期又は別々の時期に実施することができるが、同時期が、リアルタイムに温度管理ができるので温度変化による色調の誤差を少なくできることから、好適である。
ステップ101として、制御部は、前記清澄緑液の色調の変化を管理するため、色調誤差調整管理を開始する。
ステップ102において、制御部は、温度センサ部に清澄緑液の温度測定をするように指示をする。温度センサ部は、清澄緑液の温度測定値データを、制御部に送信してもよいし、温度監視部又は記憶部を介して、制御部に送信してもよい。これにより、制御部は、清澄緑液の温度測定値データを取得する。
なお、制御部が、清澄緑液の温度の監視及び/又は測定するように、温度監視部(温度センサ部)に指示をしてもよい。温度監視部は、清澄緑液を接触式又は非接触式の温度センサにて、監視及び/又は測定することが好適であり、当該清澄緑液は、清澄緑液移送ラインから測定容器に流入させた清澄緑液であってもよい。温度監視部は、清澄緑液の温度を測定した後、当該温度測定値データを制御部に送信してもよいし、又は当該温度測定値データを、記憶部に記憶させ、当該記憶部から制御部に送信させてもよい。
ステップ103において、制御部は、第一色調誤差調整に基づき、清澄緑液の色調の誤差を少なくなるように清澄緑液の温度を調整する。予め設定された一定範囲内の温度に基づき、当該範囲内になるように加温冷却部に指示をする。制御部は、加温冷却部を用いて、清澄緑液の温度を一定の範囲内になるように調節する。一定範囲内の温度を予め設定する際に、制御部は、設定温度及び±℃のデータを、操作者による入力手段からの入力にて、記憶部から予め記憶設定されている設定温度及び±℃の送信にて、取得することができる。当該設定温度及び±℃については、後述する<2-1-3-2.加温冷却装置(加温冷却部)>の説明(例えば、一定範囲内)を適宜採用することができる。
また、制御部は、緑液清澄化装置内又は当該装置の出口等の緑液の温度を測定可能な温度センサに測定させ、その測定結果を信号又はデータとして制御部に送信するように指示をし、これにより当該温度測定値を取得し、これを設定温度(予め設定された一定範囲内の温度)として設定してもよい。
ステップ104において、制御は、温度の測定の継続か終了かを温度監視部(温度センサ部)に指示をする。継続の場合(YES)にはステップ102に戻り、終了の場合(NO)には温度測定を終了する。
なお、図3における温度監視ステップは、第二色調誤差調整管理ステップとして適用することができ、第二色調誤差調整管理ステップは、ステップ101及び102を含むステップとすることができる。当該ステップ101及び102は、前記<1-4-1-1.温度監視ステップ>のステップ101及び102と同様に行うことができ、詳細な説明は省略するが、例えば、ステップ101として、制御部は、前記清澄緑液の色調の変化を管理するため、色調誤差調整管理を開始し、ステップ102において、制御部は、温度センサ部に清澄緑液の温度測定をするように指示をし、清澄緑液の温度測定値データを取得することができる。
また、図3における温度監視ステップのより好適な態様(前記<温度変化による色調誤差調整管理の別の実施形態>)として、清澄緑液の温度測定値が一定の範囲内にあるか否かを判定するステップ、及び、当該一定の範囲内にある場合には、このときの清澄緑液の色調測定値に基づき、粗緑液に対する薬剤注入量を制御するステップ、又は当該一定の範囲内にない場合には、当該清澄緑液の色調を測定し、このときの測定温度に基づき得られた清澄緑液の色調測定値を補正し、粗緑液に対する薬剤注入量を制御するステップを実施することもできる(図示せず)。これにより、前記清澄緑液の色調の変化を温度補正した上で管理することがより良好にできる。
前記別の実施形態の場合、制御部は、上述のステップ102及び102を、ステップ1001及び1002として実施し、清澄緑液の温度測定値が一定の範囲内にあるか否かを判定するステップ1003、次いで、当該一定の範囲内にある場合をステップ1004として、当該一定の範囲内にない場合にはステップ1005として、実施することが好適である。制御部は、当該一定の範囲内に関し、上述の「設定温度及び±℃のデータ」を採用して実施することが好適である。制御部は、ステップ1004として、第一色調誤差調整管理ステップを実施することが好適であり、ステップ1005として、第二色調誤差調整管理ステップを実施することが好適である。また、制御部は、当該一定の範囲内でなかった場合には、第一色調誤差調整管理ステップにおける加温冷却による温度調整を実施してもよい。
前記別の実施形態の場合であれば、清澄緑液の色調の誤差を少なくし、この色調の測定精度を高めることで、例えば、粗緑液に対する薬剤注入量をより適正(例えば添加時期や添加量等)に行う等の緑液処理の操業管理をより精度良く容易に行うことができる。
<1-4-1-2.色調監視ステップ及び薬剤注入ステップ>
色調監視ステップ及び薬剤注入ステップについて、図4を参照して説明する。
当該色調監視ステップ及び薬剤注入ステップは、温度監視ステップ(第一色調誤差調整管理ステップ)と同時期又は別々の時期に実施することができる。
ステップ201において、薬剤注入に関するフィードバック制御が開始される。
ステップ202において、制御部は、色調監視部又は記憶部から、清澄緑液の色調データを取得する。このとき、色調監視部は、色調測定部にて測定された、測定時の清澄緑液の色調データを、制御部に送信する。
なお、制御部が、清澄緑液の色調の監視及び/又は測定するように、色調監視部に指示をしてもよい。色調監視部は、清澄緑液移送ラインから測定容器に流入させた清澄緑液を非接触にて上方向から、監視及び/又は測定することが好適である。色調監視部は、測定された色調データを記憶部に記憶させてもよく、この場合、測定された色調データは、記憶部から制御部に送信してもよい。
ステップ203において、制御部は、測定時の清澄緑液の色調データに基づき、粗緑液に対する薬剤注入量をより適正になるように調整する。より具体的には、制御部は、当該清澄緑液の色調データを、基準となる清澄緑液の色調の値(清澄緑液色調の基準値)データと比較し、より適正な薬剤注入量を判定する。当該清澄緑液色調の基準値を、予め記憶部に記憶させておき、記憶部から制御部に送信してもよい。
制御部は、当該判定に基づき、薬剤注入部に対し、粗緑液に対する薬剤注入量を指示する。これにより、薬剤注入部は、薬剤タンクから、薬剤ポンプを用いて、緑液処理系(好適には粗緑液移送ライン)の粗緑液に、薬剤を添加する。このとき、薬剤注入部は、薬剤ポンプの動作を調整して、粗緑液1L当たりの薬剤注入量を、測定時の薬剤注入量よりも増加又は減少させる、又は、測定時の薬剤注入量を維持する。
ステップ204において、制御部は、粗緑液に対する薬剤注入量の調整を行った後に、調整後の清澄緑液の色調を測定するか否かを指示する。測定する場合には、ステップ202に戻り、引き続きフィードバック制御を行う。測定をしない場合には、フィードバック制御工程を終了する。操作者は、「引き続きフィードバック制御を行う」ために、予め「測定する」を設定しておくことが好ましく、予め「測定する」を設定する場合、操作者は、適宜「終了」としてもよいし、予め終了時期などを設定しておいてもよい。
<1-4-2.本実施形態における緑液処理の例2>
本実施形態における緑液処理の例2は、温度監視ステップ(第一色調誤差調整管理ステップ)、次いで色調監視ステップ及び薬剤注入ステップを含む(図3及び5参照)。当該温度監視ステップは、<1-4-1-1.温度監視ステップ>と同様に行うことができる。
本実施形態の例2について、図3及び図5を参照して説明する。上述した、本実施形態における緑液処理の例1と重複する部分については適宜省略する。
ステップ301において、フィードバック制御が開始される。
ステップ302において、制御部は、色調監視部又は記憶部から、清澄緑液の色調データを取得する。ステップ302において、ステップ202と重複する制御部及び色調監視部などの説明については、省略する。
ステップ303において、制御部は、測定時の清澄緑液の色調データに基づき、測定時の清澄緑液の色調が、過去の清澄緑液の色調と比較し、赤色系統になったか否か(YES or NO)を判定する。
赤色系統になった場合(YES)には、ステップ304に移行し、赤色系統にならなかった場合(NO)には、ステップ306に移行する。
ステップ304において、制御部は、赤色系統の判定(YES)に基づき、薬剤注入部に対し、測定時の薬剤注入量よりも、粗緑液に対する薬剤注入量を増加させるように指示する。これにより、薬剤注入部は、薬剤ポンプの動作を調整して、測定時の薬剤注入量よりも、粗緑液1L当たりの薬剤注入量を増加させる。
ステップ305において、制御部は、赤色系統の判定(NO)に基づき、薬剤注入部に対し、測定時の薬剤注入量よりも、粗緑液に対する薬剤注入量を減少させるように指示する。これにより、薬剤注入部は、薬剤ポンプの動作を調整して、測定時の薬剤注入量よりも、粗緑液1L当たりの薬剤注入量を減少させる。
なお、図示しないが、制御部は、色調が赤色系統にならず、色調が「適正の色調値」になっている場合には、測定時の薬剤注入量を維持するように、薬剤注入部に指示することができる。
ステップ306において、制御部は、薬剤注入量の調整を行った後に、調整後の清澄緑液の色調を測定するか否かを指示する。測定する場合には、ステップ302に戻り、引き続きフィードバック制御を行う。測定をしない場合には、フィードバック制御工程を終了する。操作者は、「引き続きフィードバック制御を行う」ために、予め「測定する」を設定しておくことが好ましく、予め「測定する」を設定する場合、操作者は、適宜「終了」としてもよいし、予め終了時期などを設定しておいてもよい。
<1-4-3.本実施形態における緑液処理の例3>
本実施形態における緑液処理の例3は、温度監視ステップ(第一色調誤差調整管理ステップ)、次いで色調監視ステップ及び薬剤注入ステップを含む(図3及び6参照)。当該温度監視ステップは、<1-4-1-1.温度監視ステップ>と同様に行うことができる。
本実施形態の例3について、図3及び図6を参照して説明する。上述した、本実施形態におけるフィードバック緑液処理の例1及び2と重複する部分については適宜省略する。
ステップ401において、フィードバック制御が開始される。
ステップ402において、制御部は、色調監視部又は記憶部から、清澄緑液の色調データを取得する。ステップ402において、ステップ202と重複する制御部及び色調監視部などの説明については、省略する。
ステップ403において、制御部は、清澄緑液の色調データに基づき、測定時の清澄緑液の色調が、過去の清澄緑液の色調と比較し、緑色系統になったか否か(YES or NO)を判定する。
緑色系統になった場合(YES)には、ステップ404に移行し、緑色系統にならなかった場合(NO)には、ステップ406に移行する。
ステップ404において、制御部は、緑色系統の判定(YES)に基づき、薬剤注入部に対し、測定時の薬剤注入量よりも、粗緑液に対する薬剤注入量を減少させるように指示する。これにより、薬剤注入部は、薬剤ポンプの動作を調整して、測定時の薬剤注入量よりも、粗緑液1L当たりの薬剤注入量を減少させる。
ステップ405において、制御部は、緑色系統の判定(NO)に基づき、薬剤注入部に対し、測定時の薬剤注入量よりも、粗緑液に対する薬剤注入量を増加させるように指示する。これにより、薬剤注入部は、薬剤ポンプの動作を調整して、測定時の薬剤注入量よりも、粗緑液1L当たりの薬剤注入量を増加させる。
なお、図示しないが、制御部は、色調が緑色系統になり、色調が「適正の色調値」になっている場合には、測定時の薬剤注入量を維持するように、薬剤注入部に指示することができる。
ステップ406において、制御部は、薬剤注入量の調整を行った行後に、調整後の清澄緑液の色調を測定するか否かを指示する。測定する場合には、ステップ402に戻り、引き続きフィードバック制御を行う。測定をしない場合には、フィードバック制御工程を終了する。操作者は、「引き続きフィードバック制御を行う」ために、予め「測定する」を設定しておくことが好ましく、予め「測定する」を設定する場合、操作者は、適宜「終了」としてもよいし、予め終了時期などを設定しておいてもよい。
<1-4-4.本実施形態における緑液処理の例4>
本実施形態における緑液処理の例4は、温度監視ステップ(第一色調誤差調整管理ステップ)、次いで色調監視ステップ及び薬剤注入ステップを含む(図3及び7参照)。当該温度監視ステップは、<1-4-1-1.温度監視ステップ>と同様に行うことができる。
本実施形態の例4について、図3及び図7を参照して説明する。上述した、本実施形態における緑液処理の例1~3と重複する部分については適宜省略する。
ステップ501において、フィードバック制御が開始される。
ステップ502において、制御部は、色調監視部から、清澄緑液のRGB表色系色調データを取得する。このとき、色調監視部は、色調測定部にて測定された、測定時の清澄緑液の色調データ(RGB表色系)を、制御部に送信する。ステップ502において、ステップ202と重複する制御部及び色調監視部などの説明については、省略する。
ステップ503において、制御部は、取得した清澄緑液のRGB表色系色調データを、L表色系色調データに変換する。
なお、色調監視部が、清澄緑液のRGB表色系色調データを、L表色系色調データに変換してもよい。この場合には、制御部は、ステップ502をスキップし、ステップ503において、色調監視部から、L表色系色調データを取得するでもよい。
ステップ504において、制御部は、清澄緑液のL表色系色調データに基づき、a値が所定値以上(好適には>0)である場合(YES)、ステップ505に移行する。又は、制御部は、ステップ505を省略又はスキップしてステップ506に移行してもよい。一方で、a値が所定値以上(好適には>0)でない場合(NO)、ステップ507に移行する。
ステップ505において、制御部は、スラッジ濃度が所定値以内(好適には1~15質量%)である場合(YES)、現状の緑液クラリファイアの凝集による固液分離はできていると判定し、さらに不純物の除去を促進する薬剤の注入量を増加する。この判定結果に従って、粗緑液に対する薬剤注入量の増加を行う。ステップ506に移行する。一方で、スラッジ濃度が所定値(好適には1~15質量%)でない場合(NO)、現状の緑液クラリファイアの凝集による固液分離はできていないと判定する。この場合は、凝集に良い、または、悪い影響を及ぼす可能性のある、不純物の除去を促進する薬剤の注入量は維持し、ステップ510に移行する。
制御部は、スラッジ濃度測定部又はスラッジ濃度測定値を記憶する記憶部から、スラッジ濃度のデータを取得してもよい。なお、スラッジ濃度測定部は、一定割合でスラッジ濃度を測定し、測定されたスラッジ濃度をデータとして記憶部に記憶させてもよい。
ステップ506において、制御部は、ステップ504及び505の判定結果に基づき、薬剤注入部に対し、色調測定時の薬剤注入量よりも、粗緑液に対する薬剤注入量を増加させるように指示する。これにより、薬剤注入部は、薬剤ポンプの動作を調整して、色調測定時の薬剤注入量よりも、粗緑液1L当たりの薬剤注入量を増加させる。そして、ステップ510に移行する。
ステップ507において、制御部は、清澄緑液のL表色系色調データに基づき、a値が所定値以下(好適には<-20)である場合(YES)、ステップ508に移行する。又は、制御部は、ステップ508を省略又はスキップしてステップ509に移行してもよい。一方で、a値が所定値以下(好適には<-20)でない場合(NO)、色調測定時の薬剤注入量が適正であると判定し、色調測定時の薬剤注入量を維持し、ステップ510に移行する。
ステップ508において、制御部は、スラッジ濃度が所定値以内(好適には1~15質量%)である場合(YES)、ステップ509に移行する。一方で、スラッジ濃度が所定値以内(好適には1~15質量%)でない場合(NO)、現状の緑液クラリファイアの凝集による固液分離はできていないと判定する。この場合は、凝集に良い、または、悪い影響を及ぼす可能性のある、不純物の除去を促進する薬剤の、色調測定時の薬剤注入量を維持し、ステップ510に移行する。
ステップ509において、制御部は、ステップ507及び508の判定結果に基づき、薬剤注入部に対し、色調測定時の薬剤注入量よりも、粗緑液に対する薬剤注入量を減少させるように指示する。これにより、薬剤注入部は、薬剤ポンプの動作を調整して、色調測定時の薬剤注入量よりも、粗緑液1L当たりの薬剤注入量を減少させる。そして、ステップ510に移行する。
ステップ510において、制御部は、薬剤注入量の調整を行った後に、調整後の清澄緑液の色調を測定するか否かを指示する。測定する場合には、ステップ502に戻り、引き続きフィードバック制御を行う。測定をしない場合には、フィードバック制御工程を終了する。操作者は、「引き続きフィードバック制御を行う」ために、予め「測定する」を設定しておくことが好ましく、予め「測定する」を設定する場合、操作者は、適宜「終了」としてもよいし、予め終了時期などを設定しておいてもよい。
<1-4-5.本実施形態における緑液処理の例5>
本実施形態における緑液処理の例5は、温度監視ステップ(第二色調誤差調整管理ステップ)、次いで色調監視ステップ及び薬剤注入ステップを含む(図3及び図8等参照)
本実施形態の緑液処理の例5について、図3及び図8を参照して説明する。上述した、本実施形態における緑液処理の例1~4と重複する部分については適宜省略する。
ステップ601において、薬剤注入に関するフィードバック制御が開始される。
ステップ602において、清澄緑液の色調データ及び温度データを取得する。
なお、ステップ602における「緑液の色調データ取得」は、本実施形態の緑液処理の例2のステップ202と同様に行うことができ、詳細な説明は省略する。
また、ステップ602における「温度データ取得」は、図3におけるステップ101及び102を含む第二色調誤差調整管理ステップである。当該ステップ101及び102は、前記<1-4-1-1.温度監視ステップ>のステップ101及び102と同様に行うことができ、詳細な説明は省略するが、例えば、ステップ101として、制御部は、前記清澄緑液の色調の変化を管理するため、色調誤差調整管理を開始し、ステップ102において、制御部は、温度センサ部に清澄緑液の温度測定をするように指示をし、清澄緑液の温度測定値データを取得することができる。
ステップ603における「a値の温度補正」は、図3におけるステップ103を含む第二色調誤差調整管理ステップである。制御部は、制御部に準備されている、温度で色調を補正するための温度補正モデル(温度補正式)に、測定時の清澄緑液の色調データ(a値)及び温度データ(℃)、フィードバック制御に用いる「温度補正後の色調」を得るために仮に設定された清澄緑液の温度(℃)を当てはめ、温度補正後の色調(a値)を取得する。なお、ここで温度は℃、色調はa値を用いているが、これら単位は、相互変換可能な別の単位に変換して、温度補正後の色調を取得してもよい。温度補正モデルは、予め作成されており記憶部等にアクセスして制御部に送信されたものであってもよい。制御部は、AI学習等を用いて各特徴量から温度補正モデルを統計学的処理を利用して作成してもよく、当該特徴量として、清澄緑液の色調及び清澄緑液の温度が挙げられるが、これに限定されない。
本実施形態の緑液処理の例5のステップ604以降のステップ604及びステップ605は、ステップ603にて取得した「温度補正後の色調」以外は、本実施例の緑液処理の例1の色調監視ステップ及び薬剤注入ステップにおけるステップ203、ステップ204(図4参照)と同様に行うことができるので、詳細な説明を省略する。
ステップ604において、制御部は、「温度補正後の色調データ」に基づき、粗緑液に対する薬剤注入量をより適正になるように調整する。
ステップ605において、制御部は、粗緑液に対する薬剤注入量の調整を行った後に、調整後の清澄緑液の色調を測定するか否かを指示する。測定する場合には、ステップ202に戻り、引き続きフィードバック制御を行う。測定をしない場合には、フィードバック制御工程を終了する。
<1-4-6.本実施形態における緑液処理の例6>
本実施形態における緑液処理の例6は、温度監視ステップ(第二色調誤差調整管理ステップ)、次いで色調監視ステップ及び薬剤注入ステップを含む(図3、図9参照)
本実施形態の緑液処理の例6について、図3及び図9を参照して説明する。上述した、本実施形態における緑液処理の例1~5と重複する部分については適宜省略する。
ステップ701において、薬剤注入に関するフィードバック制御が開始される。
ステップ702において、清澄緑液の色調データ及び温度データを取得する。
ステップ703において、温度補正モデル(温度補正式)に、測定時の清澄緑液の色調データ(a値)及び温度データ(℃)、フィードバック制御に用いる「温度補正後の色調」を得るために仮に設定された清澄緑液の温度(℃)を当てはめ、温度補正後の色調(a値)を取得する。
本実施形態の緑液処理の例6のステップ704以降のステップ704、705、706、707は、ステップ703にて取得した「温度補正後の色調」以外は、本実施例の緑液処理の例2の色調監視ステップ及び薬剤注入ステップにおけるステップ303、304、305、306(図5参照)と同様に行うことができ、詳細な説明を省略する。
ステップ704において、制御部は、「温度補正後の色調データ」に基づき、粗緑液に対する薬剤注入量をより適正になるように調整する。
ステップ705において、制御部は、温度補正後の色調データに基づき、当該色調が、判定基準となる清澄緑液の色調と比較し、赤色系統になったか否か(YES or NO)を判定する。赤色系統になった場合(YES)には、ステップ705に移行し、赤色系統にならなかった場合(NO)には、ステップ706に移行する。
ステップ705において、制御部は、赤色系統の判定(YES)に基づき、薬剤注入部に対し、測定時の薬剤注入量よりも、粗緑液に対する薬剤注入量を増加させるように指示する。
ステップ706において、制御部は、赤色系統の判定(NO)に基づき、薬剤注入部に対し、測定時の薬剤注入量よりも、粗緑液に対する薬剤注入量を減少させるように指示する。
ステップ707において、制御部は、薬剤注入量の調整を行った後に、調整後の清澄緑液の色調を測定するか否かを指示する。測定する場合には、ステップ702に戻り、引き続きフィードバック制御を行う。測定をしない場合には、フィードバック制御工程を終了する。
<1-4-7.本実施形態における緑液処理の例7>
本実施形態における緑液処理の例7は、温度監視ステップ(第二色調誤差調整管理ステップ)、次いで色調監視ステップ及び薬剤注入ステップを含む(図3、図10参照)
本実施形態の緑液処理の例7について、図3及び図10を参照して説明する。上述した、本実施形態における緑液処理の例1~6と重複する部分については適宜省略する。
ステップ801において、薬剤注入に関するフィードバック制御が開始される。
ステップ802において、清澄緑液の色調データ及び温度データを取得する。
ステップ803において、温度補正モデル(温度補正式)に、測定時の清澄緑液の色調データ(a値)及び温度データ(℃)、フィードバック制御に用いる「温度補正後の色調」を得るために仮に設定された清澄緑液の温度(℃)を当てはめ、温度補正後の色調(a値)を取得する。
本実施形態の緑液処理の例7のステップ804以降のステップ804、805、806、807は、ステップ803にて取得した「温度補正後の色調」以外は、本実施例の緑液処理の例3の色調監視ステップ及び薬剤注入ステップにおけるステップ403、404、405、406(図6参照)と同様に行うことができ、詳細な説明を省略する。
ステップ804において、制御部は、「温度補正後の色調データ」に基づき、粗緑液に対する薬剤注入量をより適正になるように調整する。
ステップ804において、制御部は、清澄緑液の色調データに基づき、測定時の清澄緑液の色調が、判定基準となる清澄緑液の色調と比較し、緑色系統になったか否か(YES or NO)を判定する。緑色系統になった場合(YES)には、ステップ805に移行し、緑色系統にならなかった場合(NO)には、ステップ806に移行する。
ステップ805において、制御部は、緑色系統の判定(YES)に基づき、薬剤注入部に対し、測定時の薬剤注入量よりも、粗緑液に対する薬剤注入量を減少させるように指示する。
ステップ806において、制御部は、緑色系統の判定(NO)に基づき、薬剤注入部に対し、測定時の薬剤注入量よりも、粗緑液に対する薬剤注入量を増加させるように指示する。
ステップ807において、制御部は、薬剤注入量の調整を行った行後に、調整後の清澄緑液の色調を測定するか否かを指示する。測定する場合には、ステップ802に戻り、引き続きフィードバック制御を行う。測定をしない場合には、フィードバック制御工程を終了する。
<1-4-8.本実施形態における緑液処理の例8>
本実施形態における緑液処理の例8は、温度監視ステップ(第二色調誤差調整管理ステップ)、次いで色調監視ステップ及び薬剤注入ステップを含む(図3、図11参照)
本実施形態の緑液処理の例7について、図3及び図11を参照して説明する。上述した、本実施形態における緑液処理の例1~7と重複する部分については適宜省略する。
ステップ901において、薬剤注入に関するフィードバック制御が開始される。
ステップ902において、清澄緑液の色調データ及び温度データを取得する。
ステップ903において、温度補正モデル(温度補正式)に、測定時の清澄緑液の色調データ(a値)及び温度データ(℃)、フィードバック制御に用いる「温度補正後の色調」を得るために仮に設定された清澄緑液の温度(℃)を当てはめ、温度補正後の色調(a値)を取得する。
本実施形態の緑液処理の例8のステップ905以降のステップ905~911のそれぞれのステップは、ステップ903にて取得した「温度補正後の色調」以外は、本実施例の緑液処理の例4の色調監視ステップ及び薬剤注入ステップにおけるステップ504~510の各ステップ(図6参照)と同様に行うことができ、詳細な説明を省略する。
ステップ904において、制御部は、「温度補正後の色調データ」に基づき、粗緑液に対する薬剤注入量をより適正になるように調整する。
ステップ905において、制御部は、清澄緑液のL表色系色調データに基づき、a値が所定値以上(好適には>0)である場合(YES)、ステップ906に移行する。又は、制御部は、ステップ906を省略又はスキップしてステップ907に移行してもよい。一方で、値が所定値以上(好適には>0)でない場合(NO)、ステップ908に移行する。
ステップ906において、制御部は、スラッジ濃度が所定値以内(好適には1~15質量%)である場合(YES)、現状の緑液クラリファイアの凝集による固液分離はできていると判定し、さらに不純物の除去を促進する薬剤の注入量を増加する。この判定結果に従って、粗緑液に対する薬剤注入量の増加を行う。ステップ907に移行する。一方で、スラッジ濃度が所定値(好適には1~15質量%)でない場合(NO)、現状の緑液クラリファイアの凝集による固液分離はできていないと判定する。この場合は、凝集に良い、または、悪い影響を及ぼす可能性のある、不純物の除去を促進する薬剤の注入量は維持し、ステップ911に移行する。
ステップ907において、制御部は、ステップ905及び906の判定結果に基づき、薬剤注入部に対し、色調測定時の薬剤注入量よりも、粗緑液に対する薬剤注入量を増加させるように指示する。これにより、薬剤注入部は、薬剤ポンプの動作を調整して、色調測定時の薬剤注入量よりも、粗緑液1L当たりの薬剤注入量を増加させる。そして、ステップ911に移行する。
ステップ908において、制御部は、清澄緑液のL表色系色調データに基づき、a値が所定値以下(好適には<-20)である場合(YES)、ステップ909に移行する。又は、制御部は、ステップ909を省略又はスキップしてステップ910に移行してもよい。一方で、a値が所定値以下(好適には<-20)でない場合(NO)、色調測定時の薬剤注入量が適正であると判定し、色調測定時の薬剤注入量を維持し、ステップ911に移行する。
ステップ909において、制御部は、スラッジ濃度が所定値以内(好適には1~15質量%)である場合(YES)、ステップ910に移行する。一方で、スラッジ濃度が所定値以内(好適には1~15質量%)でない場合(NO)、現状の緑液クラリファイアの凝集による固液分離はできていないと判定する。この場合は、凝集に良い、または、悪い影響を及ぼす可能性のある、不純物の除去を促進する薬剤の、色調測定時の薬剤注入量を維持し、ステップ911に移行する。
ステップ910において、制御部は、ステップ908及び909の判定結果に基づき、薬剤注入部に対し、色調測定時の薬剤注入量よりも、粗緑液に対する薬剤注入量を減少させるように指示する。そして、ステップ911に移行する。
ステップ911において、制御部は、薬剤注入量の調整を行った後に、調整後の清澄緑液の色調を測定するか否かを指示する。測定する場合には、ステップ903に戻り、引き続きフィードバック制御を行う。測定をしない場合には、フィードバック制御工程を終了する。
2.本実施形態における緑液処理管理装置、及び当該緑液処理管理装置を備える緑液処理管理システム、緑液処理系
本実施形態における緑液処理管理装置及び当該緑液処理管理装置を備える緑液処理管理システム、緑液処理系の説明において、上述した「1.」等と重複する、粗緑液、清澄緑液、清澄緑液の温度、温度監視場所、温度測定値、温度変化による色調誤差調整管理、清澄緑液の色調、色調監視場所、色調値、薬剤、フィードバック制御などの各構成、各処理方法、各装置などの説明については適宜省略するが、当該「1.」等の説明が、本実施形態にも当てはまり、当該説明を適宜採用することができる。また、本実施形態における緑液処理方法の例の説明において、後述する「3.」~「5.」等の説明を、本実施形態にも当てはめることができ、適宜採用することもできる。
<2-1.緑液処理管理装置及び緑液処理管理システム>
本実施形態は、清澄緑液の色調及び/又は温度を監視し、当該監視結果における色調から粗緑液に対する薬剤注入量を制御する制御部を備える、緑液処理管理装置又は、当該装置を備える緑液処理管理システムを提供することができる。なお、本実施形態は、清澄緑液の色調を監視し、当該色調から粗緑液に対する薬剤注入量を制御する制御部を備える、緑液処理管理装置又は、当該装置を備える緑液処理管理システムを提供することも可能である。より好適な制御部は、清澄緑液の色調及び温度を監視し、温度変化による色調誤差調整管理に基づく色調から粗緑液に対する薬剤注入量を制御するように構成されている。さらにより好適には、清澄緑液の色調及び温度を監視し、色調測定時の清澄緑液の温度を一定範囲内に管理することによって、又は、清澄緑液の温度を測定し、その測定結果に基づいて清澄緑液の色調の変化を温度補正した上で管理することによって、清澄緑液の色調から粗緑液に対する薬剤注入量を制御するように構成されている。
本実施形態における緑液処理管理装置は、清澄緑液の色調及び温度を監視し、当該色調から粗緑液に対する薬剤注入量をフィードバック制御するような構成を有する制御部を少なくとも備えることが好適である。これにより、緑液処理系における緑液処理状況をより迅速にかつより正確に管理することができる。本実施形態を用いることで、緑液処理の操業管理をより容易に行うことができる。
緑液処理管理装置は、通信部をさらに設けてもよく、当該通信部は、制御部と、これ以外の部及び/又は装置とが、無線及び/又は無線にて送受信できるような構成を有することが好適である。このような通信部を設けることで、ネットワークによる緑液処理管理システムを構築してもよい。
緑液処理管理装置は、前記制御部と、清澄緑液の色調を監視及び/又は測定するための色調測定装置(又は「色調測定部」ともいう)とを、備えてもよい。当該色調測定装置は、前記色調監視部に備えられていてもよく、前記制御部と、前記色調測定装置を備える色調監視部と、を備える緑液処理管理装置であってもよい。
緑液処理管理装置は、前記制御部と、清澄緑液の温度を監視及び/又は測定するための温度測定装置(又は「温度測定部」ともいう)とを備えてもよい。当該温度測定装置は、前記温度測定部及び/又は色調測定部に備えられていてもよく、前記制御部と、前記温度測定部を備える温度監視部と、を備える緑液処理管理装置であってもよい。
より好適な緑液処理管理装置は、前記制御部と、前記色調監視部と、前記温度監視部とを、備える。
また、緑液処理管理装置は、後述する、入力部、出力部、記憶部、及び通信部から選択される1種又は2種以上を、適宜備えてもよい。
<2-1-1.本実施形態における制御部>
本実施形態における制御部は、清澄緑液の色調及び/又は温度を監視し、温度変化による色調誤差調整管理に基づいた清澄緑液の色調から粗緑液に対する薬剤注入量をフィードバック制御するような構成を有する。なお、本実施形態における制御部は、清澄緑液の色調を監視し、当該色調から粗緑液に対する薬剤注入量をフィードバック制御するような構成を有することも可能である。また、前記制御部は、緑液処理の状態を監視し当該清澄緑液の色調を測定するための色調監視部、及び/又は、当該清澄緑液の温度を測定するための温度監視部を少なくとも制御することができることが好適である。
前記制御部は、緑液清澄化装置に添加する薬剤を貯留する薬剤タンクと、この薬剤タンクから粗緑液に薬剤を注入する薬剤注入ポンプと、緑液処理の状態を監視し当該清澄緑液の色調を測定するための色調監視部と、当該清澄緑液の温度を測定するための温度監視部と、を制御することができることがより好適である。当該温度監視部は、当該清澄緑液の温度を測定するための及び加温冷却を制御するための温度監視部であることがより好適である。前記制御部は、薬剤タンク及び薬剤注入ポンプを備える薬剤注入部を制御し、粗緑液に対する薬剤注入量を調整してもよい。
さらに、前記制御部は、緑液清澄化装置からスラリーを引き抜く引抜きポンプと、引抜きスラッジ濃度を測定するスラッジ濃度測定部を制御することができる。
さらに、前記制御部と、薬剤タンク、薬剤注入ポンプ、色調監視部、温度監視部、引抜きポンプ、スラッジ濃度測定部などの各部とは、それぞれ、無線及び/又は有線にて送受信可能なような構成を有する通信部を設けてもよく、これによりネットワークによるシステム構築ができ、制御部は、ネットワークを介して各部を制御することができる。
前記制御部は、「1.」(好適には、<1-2.本実施形態における緑液処理方法>、<1-3.本実施形態における緑液処理方法の例>、<1-4.本実施形態における緑液処理の例>)等の本実施形態の方法に従って、緑液処理又は緑液処理管理を実行することができる。
<2-1-2.色調監視部>
前記色調監視部は、清澄緑液の色調を測定できる色調測定装置(又は「色調測定部」ともいう)を少なくとも備えることが好ましい。当該色調監視部は、無線及び/又は有線にて、少なくとも制御部と送受信できるような構成を有する通信部を、さらに設けてもよい。
前記色調測定装置の緑液処理系の設置場所は、上述した色調監視場所に設置することができ、例えば、好ましくは清澄緑液移送ラインである。
前記色調監視部は、前記色調測定装置の他に、測定容器及び/又は色調監視用ラインをさらに備えてもよい。このような場合、測定容器及び/又は色調監視用ラインに清澄緑液を流入させ、流入した清澄緑液の色調を色調測定装置にて測定してもよい。
<2-1-2-1.色調測定装置(色調測定部)>
前記色調測定装置として、例えば、色彩計、分光測色計、色差計などの計測機器を含むことができるが、これらに限定されない。
前記色調測定装置として、色彩の元となる3つの刺激値を直接測定する刺激値直読法による装置(例えば、カラーセンサ装置等);分光反射率(透過率)を測定してそこから計算によってX,Y,Z、L*a*b*などの三刺激値、もしくはその他のインデックスを計算する分光測色計(Spectrophotometer)などが挙げられる。
前記色調測定装置として、例えば、カラーセンサ装置、画像センサ装置、色彩計、分光測色計などが挙げられるが、これらに限定されない。本発明で用いられる色調測定装置は、一般的に用いられている色調測定装置でもよい。
前記色調測定装置で示される、清澄緑液の色表現の色調は、特に限定されないが、RGB表色系、XYZ表色系、及びL*a*b*表色系から選択される1種又は2種以上が好ましい。
これら表色系は相互に変換可能であるので、例えば、カラーセンサ装置、画像センサ装置、色彩計、分光測色計などで測定した表色系を、必要とする表色系に変換することができる。より具体的には、色彩計で測定したL*a*b*表色系からXYZ表色系に変換することができる。また、カラーセンサ装置で測定したRGB表色系からL*a*b*表色系に変換することができる。
前記で得られる清澄緑液の色調は、RGB表色系及び/又はXYZ表色系が好ましく、より好ましくはXYZ表色系である。カラーセンサ装置又は画像センサ装置を用いることで、得られる赤色、緑色、青色の3色の各値の組み合わせを緑液処理の清澄化の指標として利用することができる。この3色の組み合わせ条件を、粗緑液に対する薬剤注入量の増減の指標として利用することで、より適正な薬剤注入量をフィードバックすることができ、これにより粗緑液をより良好に清澄化することができる。
前記カラーセンサ装置は、投光部から光を検出対象物(清澄緑液)に照射し、検出対象物(清澄緑液)によって反射する光を受光部で検出する光センサ装置の一種である。
当該カラーセンサ装置(特にRGBカラーセンサ装置)は、赤色、緑色、青色のそれぞれの受光量及び受光量の比率を検知及び計算することができ、検出対象物の色を判別することができる(例えば、受光比率=赤:緑:青=4:4:1など)。
また、当該カラーセンサ装置は、XYZ表色系、RGB表色系として、清澄緑液の色調結果を示すことができるが、XYZ表色系から、L*a*b*表色系に変換して示すことができる。
当該カラーセンサ装置は、検出対象物を画像として取り込み解析し、各受光量及び各受光量の比率を計算したり、検出対象物の色を判別してもよい。
カラーセンサ装置は、投光部及び受光部を少なくとも備え、当該投光部及び受光部は検出部として配置され、投光部の投光する面と受光部の受光する面は同じ面(投光・受光面)であってもよい。また、投光面及び/又は受光面は、検出対象物の面の上方に、検出対象物の面と略平行に配置されていることが好適である。
投光部は、白色LED(発光ダイオード)、白色蛍光灯などの光源を含むみ、白色LEDが好ましい。
受光部は、CCD(Charge Coupled Device)、フォトダイオード(例えば、3ch(RGB)Siフォトダイオードなど)などの受光素子を含む。
測定距離は、検出対象物と、投光面及び/又は受光面との距離であり、この測定距離は、特に限定されないが、例えば、30~500mmなどが挙げられ、清澄緑液の色調を測定するための測定容器に取り込んだときの清澄緑液の液面から200~500mm程度(より好適には250~400mm)が好ましく、このときの可変スポットは直径9~18mm程度が好ましい。
測定する際の検出対象物(清澄緑液)の温度は、特に限定されないが、一般的な緑液処理系の緑液温度50~95℃が好ましく、清澄緑液の色調を測定するための測定容器に取り込んだときに60~90℃がより好ましく、70~90℃がよりさらに好ましい。
測定する際の周囲照度は、白熱ランプなど人工光の場合には、10,000 lux以下が好ましく、太陽光などの自然光の場合には、20,000 lux以下が好ましい。
なお、測定する際の周囲温度及び周囲湿度は、特に限定されないが、例えば-20~+50℃程度及び35~85% RHであればよく、通常の気候温度内や室温内(4~30℃)で測定することができる。
また、カラーセンサ装置は、必要に応じて、外部にデータを送信する通信部、条件などを入力する入力部、アラートや測定結果などをディスプレイなどに表示する出力部、測定条件や測定結果などを記憶する記憶部を備えてもよい。
カラーセンサ装置として、例えば、アンプ内蔵型ホワイトスポット光電センサ LR-W500((株)キーエンス社製)などが挙げられるが、これらに限定されない。
画像センサ装置は、カラーセンサ装置に用いられる構成(例えば、投光部、受光部など)を採用することができる。当該画像センサ装置は、検出対象物から得られた画像を解析することによって、カラーセンサ装置と同様に、赤色、緑色、青色のそれぞれの受光量及び受光量の比率を検知及び計算することができ、検出対象物の色を判別することができる。
<2-1-2-2.測定容器>
前記測定容器は、清澄緑液の色調を測定するための容器であり、色調測定装置の投光及び反射光が、透過又は通過できる構造又は材質であることが好ましい。当該材質として、ガラス、石英、プラスチック樹脂などが挙げられるが、耐アルカリ性の材質がより好適である。測定容器は、投光及び反射光が、通過できる開口部(孔など)を有していてもよく、上方向に開口していることが好ましい。
<2-1-2-3.色調監視用ライン>
前記色調監視用ラインは、上記緑液処理系の色調監視場所に適宜設けることができ、このラインに、監視及び/又は測定する清澄緑液を流してもよい。さらに、当該色調監視用ラインは、流入した清澄緑液が緑液処理系(例えば、同じ場所に)に戻るような、バイパスラインであってもよい。当該色調監視用ライン上に、色調測定装置を設けて、清澄緑液の監視などを行ってもよい。さらに、色調監視用ライン上に前記測定容器を配置し、当該測定容器に清澄緑液を流入させて、測定容器内にて清澄緑液の監視などを行ってもよい。
前記色調監視用ラインを設けることで、清澄緑液及びその量、その速度などを適宜調整して、清澄緑液を監視及び/又は測定しやすい。
<2-1-3.温度監視部>
前記温度監視部は、清澄緑液の温度を測定でいる温度測定装置(又は「温度測定部」ともいう)を少なくとも備えることが好ましい。
好適な態様として、前記温度監視部は、温度測定部(温度センサ、温度計等)及び温度調節部(温度コントローラ等)を含む、清澄緑液の温度測定及び/又は温度調節を制御できるように構成されている温度管理部と、温度管理部からの指示により清澄緑液を加温冷却するように構成されている加温冷却部とを備えることが好適である。当該温度監視部は、清澄緑液の温度測定、温度調節、加温冷却等清澄緑液の温度関連について、温度測定部、温度管理部及び加温冷却部等からの信号又はデータを受信したり或いは信号又はデータを送信して指示したりして、これらを制御することができる。温度管理部と加温冷却部とは、相互に、信号又はデータを送受信するように構成されていてもよい。加温冷却部に、温度測定部が備えられていてもよい。
また、色調に関与する清澄緑液の温度測定及び/又は色調に関与する清澄緑液の加温冷却等の温度制御等の温度管理が実行可能な温度管理部は、制御部に又は制御部外で系内に備えられていてもよいし、サーバやクラウド等の外部に備えられていてもよい。
また、温度管理装置は、温度監視場所に適宜設定してもよい。さらに、温度管理装置(好適には、温度センサ)は、冷却場所又は色調監視場所以外にも設置してもよく、例えば、薬剤注入場所及び/又はその付近の場所、より好適には、緑液清澄化装置(緑液クラリファイア)内、当該装置(緑液クラリファイア)放出直後の場所(例えば当該装置の出口等)に、配置することが、薬剤注入場所の温度を考慮することで色調変化による誤差を少なくできる観点から、好適である。
前記温度測定部の緑液処理系の設置場所は、上述した温度監視場所及び/又は色調監視場所に設置することができ、例えば、好ましくは清澄緑液移送ラインであり、色調監視場所(より好適には色調測定場所)に設置することが、色調の温度変化による誤差を少なくする観点から、より好適である。
前記温度監視部等は、無線及び/又は有線にて、少なくとも制御部と送受信できるような構成を有する通信部を、さらに設けてもよい。
<2-1-3-1.温度測定装置(温度測定部)>
前記温度測定装置としては、温度センサ、温度調節器(温度コントローラ)などの計測機器を含むことができるが、これらに限定されない。前記温度測定装置は、温度センサを少なくとも含むことが好適である。当該温度測定装置を用いることで、色調測定時の清澄緑液の温度を取得し、当該温度測定値データに基づき、より精度よく容易に、清澄緑液の色調を管理することができる。
温度センサは、接触式又は非接触式のいずれでもよい。接触式の温度センサとして、例えば、サーミスタ、熱電対、測温抵抗体等が挙げられ、非接触式の温度センサとして、放射温度センサ、色温度センサ等が挙げられ、これらから1種又は2種以上を選択することができる。
また、温度センサは、清澄緑液色調監視場所以外に、粗緑液に対して薬剤を添加し混合して清澄緑液に処理する場所又はその下流(例えば、当該処理場所の出口)に設置し、清澄緑液の温度を監視することが、適正な粗緑液に対する薬剤注入量になるようにフィードバック制御することができるので好適であり、より具体的には適正温度補正モデルを用いて温度補正後の色調を得ることができるので、望ましい。
<2-1-3-2.加温冷却装置(加温冷却部)>
前記加温冷却装置としては、加温及び冷却ができるように構成されている装置であれば、特に限定されない。加温冷却機構としては、例えば、流体(液体又は気体)を用いた熱交換式、ヒータ、冷却機構(冷媒配管、冷却水配管等)等が挙げられる。加温冷却装置は、加温及び/又は冷却の装置、温度センサ、温度調節機構等を備えることが好適である。当該温度制御装置は、フィードバック温度制御ができるように構成されていてもよい。当該温度制御のための動作制御は、公知の動作制御を用いてもよく、例えば、ON/OFF動作制御、P動作(比例動作)制御、PID動作制御が好適である。
本実施形態において、色調測定時の清澄緑液の温度を一定範囲内に管理する際に、当該一定範囲内は、特に限定されず、適宜任意に設定温度を設定することができる。例えば、一定範囲内を、設定温度±℃で設定し、当該一定範囲内で管理することができる。当該±℃としては、好適には±8℃、より好適には±5℃、さらに好適には±3℃、±2℃又は±1℃である。設定温度は、緑液清澄化装置(緑液クラリファイア)内又はその出口の温度を設定してもよいし、清澄緑液の通常の温度(75~85℃)を設定温度としてもよいし、任意の1点の温度を設定してもよい。例えば80、81、82、83、84、85℃のなかから、80℃の1点を選択し、80℃±3℃を一定範囲内と設定してもよい。
<2-2.本実施形態における緑液処理管理システム>
本実施形態に係る緑液処理管理システムには、上述した少なくとも制御部を備える緑液処理管理装置が備えられていることが好適である。本実施形態の緑液処理管理システムは、制御部又は当該制御部を備える緑液処理管理装置と、他の部又は他の装置とが、無線及び/又は有線にて、送受信可能な通信部を更に設けてもよい。
なお、本実施形態に関する方法を、緑液処理状況などを管理するための装置(例えば、コンピュータ、PLC、サーバ、クラウドサービスなど)におけるCPUなどを含む装置又は制御部によって実現させることも可能である。また、本実施形態に関する方法を、記録媒体(不揮発性メモリ(USBメモリなど)、HDD、CD、DVD、ブルーレイなど)などを備えるハードウェア資源にプログラムとして格納し、制御部によって実現させることも可能である。当該制御部によって、粗緑液に所定量の薬剤を添加するように制御する緑液処理状況の管理システムなど、当該制御部もしくは当該システムを備える装置を提供することも可能である。また、当該管理装置には、キーボードなどの入力部、ネットワークなどの通信部、ディスプレイなどの表示部などを備えてもよい。
緑液処理状況などを管理するための装置又は緑液処理の管理システムは、キーボードなどの入力部、ネットワークなどの通信部、ディスプレイなどの出力部、HDDなどの記憶部、上述した色調測定部などを備えることができる。当該装置又はシステムは、入力部、出力部、記憶部を備えることが好ましく、さらに、通信部及び/又は測定部を備えることが好ましい。
前記入力部は、本実施形態の方法を行う操作者によって、ユーザ操作を受け付けることができる。当該入力部は、例えばマウス及び/又はキーボードなどを含むことができる。また、表示装置のディスプレイ面がタッチ操作を受け付ける入力部として構成されてもよい。
前記出力部は、緑液処理状況及びこれに関連する情報(例えば、表、図、説明文など)などを出力することができる。当該出力部は、例えば、画像を表示する表示装置、音を出力するスピーカー、紙などの印刷媒体に印刷する印刷装置などを挙げることができるが、これらに限定されない。
前記記憶部は、操作者が入力したデータ、緑液処理状況をみるために設定されているデータを記憶することができる。当該記憶部は、例えば記録媒体を含んでよい。
また、本実施形態に係る緑液処理管理システムは、プログラム及びハードウェアを利用することによって実行することができる。本発明の一実施形態に係るコンピュータ1の一実施形態(図示せず)は、これに限定されないが、コンピュータ1の構成要素として、CPUを少なくとも備え、さらに、RAM、記憶部、出力部、入力部、通信部、ROM、及び測定部などから選択される1種又は2種を備えることができ、このうちRAM、記憶部、出力部及び入力部を備えることが好適であり、さらに、通信部、測定部、ROMなどを少なくとも1つ備えることが好適である。それぞれの構成要素は、例えばデータの伝送路としてのバスで接続されていることが好適である。
<2-3.緑液処理系>
本実施形態における緑液処理管理装置及び当該緑液処理管理装置を備える緑液処理管理システムの説明において、上述した「1.」<2-1.><2-2.>等と重複する、粗緑液、清澄緑液、清澄緑液の温度、温度監視場所、温度測定値、温度変化による色調誤差調整管理、清澄緑液の色調、色調監視場所、色調値、薬剤、フィードバック制御などの各構成、各処理方法、各装置などの説明については適宜省略するが、当該「1.」<2-1.><2-2.>等の説明が、本実施形態にも当てはまり、当該説明を適宜採用することができる。また、本実施形態における緑液処理方法の例の説明において、後述する「3.」~「5.」等の説明を、本実施形態にも当てはめることができ、適宜採用することもできる。
本実施形態の緑液処理系は、上述した清澄緑液の色調を監視し、当該色調から粗緑液に対する薬剤注入量をフィードバック制御する、緑液処理方法を用いることができる。
本実施形態の緑液処理系は、上述した清澄緑液の色調を監視し、当該色調から粗緑液に対する薬剤注入量をフィードバック制御するような構成を有する制御部を少なくとも備える緑液処理管理装置又は緑液処理管理システムを備えることができる。
本実施形態の緑液処理系は、パルプ製造系に適用することができる。
図1に示すように、緑液処理管理装置100に備えられている制御部101は、色調監視部102に備えられている色調測定装置(図示せず)に、現状の清澄緑液の色調を監視及び/又は測定させ、当該色調監視部102から、現状の清澄緑液の色調データを取得することができる。さらに、制御部101は、温度監視部104に、現状の清澄緑液の温度を監視及び/又は測定させ、当該温度監視部104から、現状の清澄緑液の温度測定値データを取得することができる。制御部101は、本実施形態に関する方法によって、当該取得した清澄緑液の色調データの変化に基づき、粗緑液に対する適正な薬剤注入量に調整するように、薬剤34及び薬剤注入ポンプ35を備える薬剤注入部に指示をすることができる。
薬剤移送ラインに薬剤注入部から薬剤が添加された後、緑液クラリファイア32にて緑液処理が行われる。その緑液処理状況を色調監視部102にて監視し、当該色調監視部102から、薬剤添加後の緑液の色調データが制御部101に送信され、制御部101は、薬剤添加後の清澄緑液の色調データを取得する。さらに、その緑液処理状況を温度監視部104にて監視し、当該温度監視部104から、薬剤添加後の緑液の温度測定値データが制御部101に送信され、制御部101は、薬剤添加後の清澄緑液の温度測定値データを取得する。そして、制御部101は、図2~11に示すように、色調及び/又は温度の監視及び判定量の薬剤注入を繰り返し行うことで、粗緑液に対して適正な薬剤注入量になるようにフィードバック制御を行うことができる。
これにより、緑液処理系の粗緑液に対して適正な薬剤注入量にすることができる。このように、機器測定による清澄緑液の色調に基づき粗緑液に対する薬剤注入量をフィードバック制御することができ、この制御によって粗緑液に対する適正な薬剤注入量に調整できる。これにより、緑液処理の操業管理を容易に行うことができる。
また、制御部101は、引抜きポンプ36に、緑液クラリファイアからドレッグスを含むスラッジを一定割合で引き抜くように指示することができる。さらに制御部101は、引き抜かれたスラッジ濃度の測定値を、スラッジ濃度測定部37から取得してもよいし、当該測定部37から送信され記憶していた記憶部から取得すしてもよい。そして、制御部101は、清澄緑液の色調データ及びスラッジ濃度のデータに基づき、粗緑液に対して適正な薬剤注入量に調整することができる。制御部101は、当該取得した清澄緑液の色調データの変化に基づき、粗緑液に対する適正な薬剤注入量になるように、薬剤34及び薬剤注入ポンプ35を備える薬剤注入部に指示をすることができる。
薬剤移送ラインに薬剤注入部から薬剤が添加された後、緑液クラリファイア32にて緑液処理が行われる。その緑液処理状況を色調監視部102及び/又は温度監視部104にて監視し、当該色調監視部102及び/又は温度監視部104から、薬剤添加の清澄緑液の色調データ及び/又は温度測定値データが制御部101に送信され、制御部101は、薬剤添加後の清澄緑液の色調データ及び/又は温度測定値データを取得する。そして、制御部101は、色調の監視及び判定量の薬剤注入を繰り返し行うことで、粗緑液に対する適正な薬剤注入量になるようにフィードバック制御を行うことができる(例えば、図2~5)。
これにより、緑液処理系の粗緑液に対して適正な薬剤注入量にすることができ、緑液処理の操業管理を容易に行うことができる。
3.本実施形態における緑液処理方法を用いるパルプ製造系の概要
本発明に係る緑液処理方法を用いるパルプ製造系の概要について、以下に説明するが、ここで説明するパルプ製造系は一例であり、本実施形態は当該パルプ製造系に特に限定されない。
本実施形態における緑液処理方法を用いるパルプ製造系の説明において、上述した「1.」及び「2.」と重複する粗緑液、清澄緑液、清澄緑液の温度、温度監視場所、温度測定値、温度変化による色調誤差調整管理、清澄緑液の色調、色調監視場所、色調値、薬剤、フィードバック制御などの各構成、各方法、各装置などの説明については適宜省略するが、当該「1.」及び「2.」の説明が、本実施形態にも当てはまり、当該説明を適宜採用することができる。また、本実施形態における緑液処理方法の例の説明において、後述する「3.」~「5.」の説明を、本実施形態に当てはめることができ、適宜採用することもできる。
図1は、本発明に関する緑液処理方法を用いるパルプ製造系1の概略構成図であり、本発明はこれに限定されない。本実施形態おけるパルプ製造系は、一般的なパルプ製造系に、本実施形態における緑液処理管理装置又は緑液処理管理システムを組み込んでもよい。
本実施形態に関するパルプ製造系1は、蒸解系10と、黒液処理系20と、緑液処理系30と、消和・苛性化系40と、を備えることができる。これら系は、図1において実線で示される管で互いに連通され、全体として循環路を構成していてもよい。
以下、各系についてより詳細に説明する。
<3-1.蒸解系>
蒸解系10は、蒸解釜11を有し、この蒸解釜11の下流にはパルプ精製部が設けられていてもよい。蒸解釜11には、パルプの原料である木材チップと、苛性ソーダを含有する白液とが投入され、木材チップの蒸解が行われる。
これによって生じたパルプはパルプ精選系へと移送され、当該精選系にて精選及び洗浄工程を経た後、次いで漂白工程、抄紙工程などを順次受け、紙が製造される。一方で、廃液である黒液は、苛性ソーダの回収などのため、後述するエバポレータ21へと移送される。
<3-2.黒液処理系>
黒液処理系20は、上流から順に、エバポレータ21と、ボイラ22と、を有してもよい。黒液は、エバポレータ21で濃縮された後(黒液濃縮工程)、ボイラ22へと移送され、このボイラ22内で燃焼される(黒液燃焼工程)。これにより、黒液に含有されていた無機ナトリウム塩が溶融し、ボイラ22の底部からスメルトとして排出される。排出されたスメルトは、溶解(ディゾルビング)タンク31へと移送される。
なお、ボイラ22には、熱エネルギーを回収するための熱回収系が設けられていてよい。このような熱回収系としては、従来公知のものが使用できる(例えば、特開平6-212586号公報参照)。
<3-3.緑液処理系>
本実施形態における緑液処理系30の説明において、上述した「1.」「2.」と重複する各構成、処理方法などの説明については適宜省略するが、当該「1.」及び「2.」の説明が、本実施形態にも当てはまり、適宜採用することができる。
少なくとも、清澄緑液の色調を監視でき、粗緑液に対するより適正な薬剤注入量をより迅速にフィードバック制御できる制御部101又は当該制御部101を備える緑液処理管理装置100が設けられている。さらに、緑液処理系30には、清澄緑液の色調を監視でき、清澄緑液の色調を測定できる色調監視部102が設けられていることが好適である。
さらに、緑液処理系30には、緑液処理剤を粗緑液に添加できる薬剤タンク34及び薬剤注入ポンプ35が設けられていることが好適である。薬剤タンクの数は、特に限定されず、1つ又は2つもしくは3つ以上の複数であってもよく、使用する薬剤の種類ごとに薬剤タンクを設置してもよい。薬剤注入ポンプの数は、特に限定されず、1つ又は2つもしくは3つ以上の複数であってもよく、使用する薬剤の種類ごとに薬剤注入ポンプを配置してもよい。
制御部101は、薬剤タンク34中の薬剤状態(例えば、残量、濃度、種類)を管理でき、当該薬剤状態を制御することができる。当該制御部101は、薬剤注入ポンプ35のポンプ動作を制御することができ、これにより粗緑液に添加する緑液処理剤の薬剤注入量を調整することができる。一方で、薬剤タンク34及び薬剤注入ポンプ35は、薬剤状態及び薬剤注入量の状況を、制御部101に送信することができる。
<3-4.消和・苛性化系>
消和・苛性化系40は、苛性化系41と、白液クラリファイア42と、白液タンク43と、を有してもよい。消和・苛性化系40は、この白液クラリファイア42の下流に位置するライムマッドワッシャー46、ライムマッドフィルター45、キルン44をさらに有してもよい。苛性化系41、白液クラリファイア42、白液タンク43は、互いに連通され、全体として循環路を構成する。
苛性化系41へと移送された清澄緑液は、この苛性化系41において、キルン44から供給された酸化カルシウムと混合される。この混合に関して、より詳細に説明する。
苛性化系41は、スレーカ411と、このスレーカ411の下流に位置する複数の苛性化反応槽412とを有してもよい。スレーカ411に移送された清澄緑液(通常、90~100℃、pH13~14)は、同じくスレーカ411に供給された酸化カルシウムと混合される。これにより、酸化カルシウムが水で消和されて水酸化カルシウムが生成される(消和反応工程)。その後、苛性化反応槽412へと移送されると、緑液中の炭酸ナトリウムが水酸化カルシウムと反応し、苛性ソーダ及び炭酸カルシウムが生成される(苛性化反応工程)。
このようにして得られた白液は、白液クラリファイア42へと移送される。この白液クラリファイア42において、不溶性の炭酸カルシウムが沈降され分離された後、白液は白液タンク43に貯留され、やがて蒸解釜11へと循環して再利用されることになる。一方で、分離された炭酸カルシウムは、キルン44へと回収され、キルン44にて焙焼されて、酸化カルシウムへと戻って(石灰焼成工程)、苛性化系41において再利用される。
より具体的には、苛性化系41において、キルン44で得られた酸化カルシウム(CaO)を、スレーカ411の清澄緑液に添加することで消和反応:CaO+水→Ca(OH)+水となり、さらにスレーカ411の清澄緑液のNaCOと反応し、Ca(OH)+NaCO+水→CaCO(↓)+2NaOH+水となり、CaCOが回収されたNaOHを含む水溶液は白液として使用される。このようにして、苛性ソーダ及び炭酸カルシウムは、苛性化工程中の回収サイクルにて、再生資源として繰り返し利用される。
4.本実施形態における苛性化の生産性向上方法及び生産性向上の管理システム
本実施形態における苛性化の生産性向上方法及び生産性向上の管理システムの説明において、上述した「1.」~「3.」と重複する、粗緑液、清澄緑液、清澄緑液の温度、温度監視場所、温度測定値、温度変化による色調誤差調整管理、清澄緑液の色調、色調監視場所、色調値、薬剤、フィードバック制御などの各構成、各処理方法、各装置などの説明については適宜省略するが、当該「1.」~「3.」の説明が、本実施形態にも当てはまり、当該説明を適宜採用することができる。また、本実施形態における緑液処理方法の例の説明において、後述する「5.」の説明を、本実施形態に当てはめることができ、適宜採用することもできる。
本実施形態は、前記緑液処理方法又は緑液処理系によって清澄化処理された清澄緑液を用いる、苛性化の生産性を向上する方法を提供することができる。
従来の方法では緑液清澄化が悪く、不純物があると苛性化率が下がり白液の品質が悪くなること、石灰の品質が悪くなることにつながっていた。さらに、苛性化率の低い白液は、蒸解工程に戻されても働きが悪いことになる。さらに、石灰の品質が悪いと、キルンで焼成されたときに生石灰になる有効石灰度も低くなり、新たに購入石灰の量が増えることになる。
これに対し、上述のように、本実施形態の緑液処理方法又は緑液処理系によって清澄化処理された清澄緑液は、より適正な薬剤注入量にて緑液処理されるため、より良好に清澄化されている。さらに、当該清澄緑液は、粗緑液中の不純物濃度の変動にも適宜対応して清澄化処理ができ、これにより、より良好に清澄化されている。
このため、本実施形態によって清澄化処理された緑液を用いることで、従来よりも、苛性化率がより向上し白液の品質がより良くなること、石灰の品質がより良くなる。さらに、苛性化率がより向上した白液は、蒸解工程に戻されても働きがより良好である。さらに、石灰の品質がより良好になるので、キルンで焼成されたときに生石灰になる有効石灰度もより高くなり、新たに購入石灰の量を減らすことも可能である。
なお、一般的に、苛性化率は(NaOH/(NaOH+NaCO)×100(%)(NaOとして))、焼成率は(CaO/(CaO+CaCO)×100(%))で表される。
このように、本実施形態によって清澄化処理された清澄緑液を用いることで、より良好に苛性化の生産性を向上させること、苛性化工程をより良好に制御させること、有効石灰度をより良好に制御することなどができるので、上述の「1.」~「3.」に関する本実施形態は、消和・苛性化系、当該系で用いられる方法又は装置などに適用することができる。本実施形態は、例えば、消和・苛性化処理の管理方法、消和・苛性化処理管理システム、消和・苛性化処理の管理装置などであってもよい。
よって、本実施形態は、前記緑液処理方法によって清澄化処理された清澄緑液を用いる、苛性化の生産性向上、消和・苛性化工程の制御、及び有効石灰度の制御などに関する方法、又はこれらの管理システムなどを提供することができる。
なお、苛性化の生産性の向上とは、苛性ソーダ及び/又は炭酸カルシウムの生産性を向上させることである。より具体的には、苛性化率、炭酸カルシウム回収率、苛性ソーダの品質、酸化カルシウムの品質、キルンでの焼成率などが向上すること;苛性ソーダ、炭酸カルシウム(酸化カルシウム)の回収サイクルが向上することなどが挙げられる。
本実施形態は、清澄緑液の色調を監視し、当該色調から粗緑液に対する薬剤注入量をフィードバック制御する緑液処理方法によって、清澄化処理された清澄緑液を用いる、苛性化の生産性向上の方法又はシステムを提供することができる。さらに、清澄緑液の温度を監視することが好適である。
本実施形態は、清澄緑液の色調を監視し、当該色調から粗緑液に対する薬剤注入量をフィードバック制御する緑液処理方法によって、清澄化処理された清澄緑液を用いる、消和・苛性化工程の制御の方法又はシステムを提供することができる。さらに、清澄緑液の温度を監視することが好適である。
本実施形態は、清澄緑液の色調を監視し、当該色調から粗緑液に対する薬剤注入量をフィードバック制御する緑液処理方法によって、清澄化処理された清澄緑液を用いる、有効石灰度の制御の方法又はシステムを提供することができる。さらに、清澄緑液の温度を監視することが好適である。
上述の方法又はシステムにより、例えば、蒸解系に用いる白液を製造することができる。また、キルンにて焼成する炭酸カルシウムを製造することができる。また、パルプ製造に再利用する苛性ソーダ及び/又は炭酸カルシウムを製造することができる。なお、これら効果に限定されない。
5.本発明に関するパルプ製造における薬剤の回収方法及び回収管理システム
本実施形態におけるパルプ製造における薬剤の回収方法及び回収管理システムの説明において、上述した「1.」~「4.」と重複する「粗緑液、清澄緑液、清澄緑液の温度、温度監視場所、温度測定値、温度変化による色調誤差調整管理、清澄緑液の色調、色調監視場所、色調値、薬剤、フィードバック制御など」の各構成、処理方法などの説明については適宜省略するが、当該「1.」~「4.」の説明が、本実施形態にも当てはまり、当該説明を適宜採用することができる。
本実施形態では、(a)前記緑液処理方法を用いる緑液処理工程、を含む、又は、
(b)前記緑液処理方法を用いる緑液処理工程と、当該緑液処理工程にて清澄化処理された清澄緑液を用いる消和・苛性化工程と、を含む、パルプ製造における薬剤のリサイクルシステムを提供することもできる。当該緑液処理方法は、上述した「1.」の各構成及び各方法などを、適宜採用することができる。
本実施形態では、一般的なパルプ製造工程に本発明に関する薬剤の回収工程を適用することで、薬剤の回収工程を含む、パルプ製造方法又はパルプ製造システム、パルプ製造における薬剤の回収方法、薬剤の品質又は回収率の向上方法、回収管理システムなどを提供することができる。
前記パルプ製造方法又はパルプ製造の管理システムは、特に限定されず、一般的なパルプを製造する方法又は管理システムを採用することができる。
一般的なパルプの製造工程として、例えば、木材をチップ化する原料チップ化処理工程、木材チップに苛性ソーダを含む処理用水(具体的には白液)を加え、高温高圧で煮、樹脂(リグニン)を溶かし繊維分(パルプ)を取り出す蒸解工程、パルプ中の異物をスクリーン及び洗浄装置に通して除去し洗浄する精選及び洗浄工程、蒸解工程で残った樹脂を酸素で分解する酵素脱リグニン工程、薬剤でパルプを漂白する漂白工程が挙げられ、通常このような順序にてパルプ製造が行われている。通常、パルプは、抄紙工程などを含む紙の製造に用いられている。
本実施形態の薬剤の回収方法又は回収管理システムでは、前記蒸解工程にて生じた黒液を処理する黒液処理系より生じた粗緑液を処理することが好適である。
また、本実施形態の薬剤の回収方法又は回収管理システムでは、本実施形態に関する消和・苛性化系にて得られた白液を前記蒸解工程に移送することが好適であり、より具体的には蒸解釜に添加することがより好適である。これにより、苛性化の生産性が向上した白液を用いてチップを蒸解する蒸解工程を行うことができる。
本実施形態の薬剤の回収方法又は回収管理システムによれば、苛性ソーダ及び/又は炭酸カルシウムにおける品質及び/又は回収率が向上することができる。これによって、苛性化の生産性が向上することができる。このため、本発明は、苛性ソーダ及び/又は炭酸カルシウムといった薬剤の回収方法もしくは回収管理システム、リサイクル方法もしくはリサイクル管理システムとしても、優れた技術である。
本技術は、以下の構成を採用することもできる。
・〔1〕 清澄緑液の色調を監視し、当該色調から粗緑液に対する薬剤注入量をフィードバック制御する、緑液処理方法。当該監視する清澄緑液は、緑液清澄化装置以降の下流の清澄緑液が好適である。当該フィードバック制御は、現状の色調値と基準となる清澄緑液の色調値(例えば、過去の色調値、適正の色調値)との対比に基づき行うことが好適である。当該薬剤を添加する場所は、緑液清澄化装置及び/又はその上流が好適である。当該薬剤は、緑液を清澄化させる目的で使用できる薬剤(緑液処理剤)が好適である。さらに清澄緑液の温度を監視することが好適であり、温度変化による色調誤差調節管理を行うことが好適である。また、当該色調の監視は、清澄緑液の液面から距離を空けて当該液面の上方に配置されている色調測定装置にて行うことが好適である。
・〔2〕 清澄緑液の色調及び温度を監視し、 色調測定時の清澄緑液の温度を一定範囲内に管理することによって、又は、清澄緑液の温度を測定し、その測定結果に基づいて清澄緑液の色調の変化を温度補正した上で管理することによって、 清澄緑液の色調から粗緑液に対する薬剤注入量を制御する、前記〔1〕に記載の緑液処理方法。
・〔3〕 前記色調測定時の清澄緑液の温度を一定範囲内に管理することで、色調の温度変化による誤差を少なくし、粗緑液に対する薬剤注入量を制御する、前記〔1〕又は〔2〕に記載の緑液処理方法。
・〔4〕 前記清澄緑液の温度を測定することによって得られた清澄緑液の温度測定値に基づいて清澄緑液の色調の変化を温度補正した上で管理することにより、温度補正後の色調から粗緑液に対する薬剤注入量を制御する、前記〔1〕又は〔2〕に記載の緑液処理方法。
・〔5〕 前記清澄緑液の色調の変化を温度補正した上で管理するため、清澄緑液の温度測定値が一定の範囲内にあるか否かを判定すること、及び、
当該一定の範囲内にある場合には、このときの清澄緑液の色調測定値に基づき、粗緑液に対する薬剤注入量を制御する、又は 当該一定の範囲内にない場合には、当該清澄緑液の色調を測定し、このときの測定温度に基づき得られた清澄緑液の色調測定値を補正し、粗緑液に対する薬剤注入量を制御する、前記〔1〕又は〔2〕に記載の緑液処理方法。
・〔6〕 前記清澄緑液の色調は、清澄緑液の色調を測定して取得された清澄緑液の色調データである、前記〔1〕~〔5〕のいずれか1つに記載の緑液処理方法。当該色調の表色系は、RGB系、XYZ表色系、及びL表色系から選択される1種又は2種以上であることが好適である。
・〔7〕 前記清澄緑液の色調に基づき、当該清澄緑液の色調が赤色系統にある場合には粗緑液に対する薬剤注入量を増量させ、及び/又は、当該清澄緑液の色調が緑色系統にある場合には粗緑液に対する薬剤注入量を減量させて、粗緑液に対して適正薬剤注入量になるようにフィードバック制御する、前記〔1〕~〔6〕のいずれか1つに記載の緑液処理方法。
・〔8〕 前記清澄緑液の色調からのa値に基づき、当該清澄緑液の色調がa値>0にある場合には粗緑液に対する薬剤注入量を増量させ、及び/又は、当該清澄緑液の色調がa値>0にない場合には粗緑液に対する薬剤注入量を減量させて、粗緑液に対して適正薬剤注入量になるようにフィードバック制御する、前記〔1〕~〔7〕のいずれか1つに記載の緑液処理方法。該清澄緑液の色調が薄緑色(好適には、-40<a値<0、好適な下限値として好適には-30、より好適には-20又は-10)にある場合には、粗緑液に対する薬剤注入量を維持させることが好適であり、この上限値より濃い緑色の場合には、粗緑液に対する薬剤注入量を減量させることが好適である。
・〔9〕 さらにスラッジ濃度データを加えて、前記清澄緑液の色調からのa値のデータと、当該スラッジ濃度データとに基づき、粗緑液に対する薬剤注入量をフィードバック制御する、前記〔1〕~〔8〕のいずれか1つに記載の緑液処理方法。

・〔10〕 澄緑液の色調を監視し、当該色調から粗緑液に対する薬剤注入量をフィードバック制御する制御工程を含む、緑液処理方法。当該制御工程に、さらに、前記清澄緑液の色調を測定する色調監視工程、及び/又は、粗緑液に薬剤注入を行う薬剤注入工程、を含むことが好適であり、さらに、色調誤差調整管理工程を含むことがより好適である。
・〔11〕 清澄緑液の色調を監視及び/又は測定すること(色調監視工程)、
粗緑液に薬剤を注入すること(薬剤注入工程)、及び、
前記清澄緑液の色調を監視及び/又は測定し、当該色調から粗緑液に対する薬剤注入量をフィードバックして、粗緑液に薬剤を注入することを制御すること(制御工程)、を含む、緑液処理方法。
・〔12〕 清澄緑液の色調を監視し、当該色調から粗緑液に対する薬剤注入量をフィードバック制御する制御部を備える、緑液処理管理装置。当該制御部は、前記〔1〕~〔11〕のいずれか一つに記載の緑液処理方法を行うように構成されていることが好適である。
・〔13〕 清澄緑液の色調を監視し、当該色調から粗緑液に対する薬剤注入量をフィードバック制御する制御部を備える、緑液処理管理装置を備える緑液処理管理システム。当該制御部は、前記〔1〕~〔11〕のいずれか一つに記載の緑液処理方法を行うように構成されていることが好適である。
・〔14〕
清澄緑液の色調を監視し、当該色調から粗緑液に対する薬剤注入量をフィードバック制御する緑液処理方法によって清澄化処理された清澄緑液を用いる、苛性化の生産性を向上する方法。
・〔15〕
前記〔1〕~〔11〕のいずれか一つに記載の緑液処理方法によって清澄化処理された清澄緑液を用いる、苛性化の生産性を向上する方法。
・〔16〕
清澄緑液の色調を監視し、当該色調から粗緑液に対する薬剤注入量をフィードバック制御する緑液処理方法を用いる緑液処理工程、を含む、
パルプ製造における苛性ソーダ及び/又は炭酸カルシウムのリサイクルシステム。
・〔17〕
清澄緑液の色調を監視し、当該色調から粗緑液に対する薬剤注入量をフィードバック制御する緑液処理方法を用いる緑液処理工程と、当該緑液処理工程にて清澄化処理された緑液を用いる消和・苛性化工程と、を含む、
パルプ製造における苛性ソーダ及び/又は炭酸カルシウムのリサイクルシステム。
・〔18〕
(a)前記〔1〕~〔11〕のいずれか一つに記載の緑液処理方法を用いる緑液処理工程、を含む、又は、
(b)前記〔1〕~〔11〕のいずれか一つに記載の緑液処理方法を用いる緑液処理工程と、当該緑液処理工程にて清澄化処理された緑液を用いる消和・苛性化工程と、を含む、
パルプ製造における苛性ソーダ及び/又は炭酸カルシウムのリサイクルシステム。
以下の試験例などを挙げて、本発明の実施形態について説明をする。なお、本発明の範囲は試験例などに限定されるものではない。
<試験例1>
下記のように、色調測定の緑液測定装置などを使い、清澄緑液を連続的に測定し、緑液清澄化装置への薬剤添加量の調整を検討した。清澄緑液の色調をRGBのデータとして取り出し、それぞれの数字の範囲を決め、それからずれた時に、カチオン系凝集剤(凝結剤)の添加量の増減、もしくは、アニオン系凝集剤の添加量の増減を行うように制御することを検討した。
<緑液測定装置の構成>
緑液測定装置は、RGBカラーセンサ、マルチセンサコントローラ、プログラマブルコントローラ、及びネットワーク通信ユニットを、カラーセンサ装置として、備えるものである。
清澄緑液測定の原理は、カラーセンサから投光された白色LED光が測定対象物(液面)に当たり、対象物が反射した色をカラーセンサの受光部が検出しRGBの色成分としてデータが演算出力され、当該RGB値データが通信ユニットから外部に出力される。このRGB値データは、緑液処理の制御部を含むコンピュータに出力され、コンピュータ画面にこのときのRGB値が表示される。
なお、RGBカラーセンサとして、アンプ内蔵型ホワイトスポット光電センサ LR-W500(株)キーエンス社製)を使用した。
マルチセンサコントローラとして、マルチセンサコントローラ MU-N12((株)キーエンス社製)を使用した。
プログラマブル コントローラ(PLC)として入力16点/出力16点 KV-NC32T2((株)キーエンス社製)を使用した。
ネットワーク通信ユニットとして、通信ユニット EtherNet/IPTM対応 NU-EP1((株)キーエンス社製)を使用した。
<ホワイトスポット光電センサ LR-W500>
検出距離 30~500mm(投光面から試料の液面)
最小スポットサイズ 可変スポット 約o3.5 at 100mm/約o9 at 250mm/約o18mm at 500mm
応答時間 200μs/1ms/10ms/100ms/500ms 切換式
光源 白色LED
使用周囲照度 白熱ランプ10,000 lux以下、太陽光:20,000 lux以下;
使用周囲温度 -20~+50℃(氷結しないこと)
使用周囲湿度 35~85% RH(結露しないこと)
1.本発明での液体の色調測定の実験データ
<実験条件>
上記緑液測定装置にて、以下4種類のサンプル溶液を測定した。
(1)N/1000 ヨウ素溶液
(2)大手製紙会社の清澄緑液(現場の緑液処理系より採取した清澄化処理後の清澄緑液)
(3)大手製紙会社の粗緑液を緑液処理用の高分子重合体の凝集剤により固液分離した上澄み溶液(模擬的に作製した清澄緑液)(上記(2)清澄緑液を採取したときに、粗緑液タンクに貯留されていた粗緑液)
(4)ヨウ素でんぷん反応溶液(でんぷん100mg/L)
なお、大手製紙会社の粗緑液(凝集剤無添加)のpHは13以上であった。また、粗緑液を上記緑液測定装置のカラーセンサにて測定したが、色調データを得ることができなかった。
前記(3)で、アクリルアミド系凝集剤として使用した高分子重合体(アクリルアミド・アクリル酸ソーダ共重合物、粘度平均分子量1600万)。
下記表1に示すように、清澄緑液のG値は(G228)、a値(-0.8)であった。粗緑液沈殿上澄(清澄緑液)のG値は(G241)、a値(-1.5)であった。これら試料の入手先の緑液処理系でスラッジを引き抜いたときのスラッジ濃度は8%であり、当該スラッジ濃度は、上記「JIS K 102 14.1「工場排水試験方法」 懸濁物質)にて測定されたものである。
<測定条件>
上記(1)~(4)の各サンプル溶液を、各200mL容ガラスビーカーに、200mL入れ、サンプル溶液入りのガラスビーカー1~4を用意した。サンプル溶液の液温は、室温(18℃)になるようにした。上記(2)及び(3)の清澄緑液のサンプル溶液のpH(20℃)は、pH13以上であった。
緑液測定装置のカラーセンサを、ガラスビーカーの液面の上方に配置した。このとき、カラーセンサの投光面と、ビーカーの液面とが、略平行になるようにした。カラーセンサの投光面とビーカーの液面との距離を、下記の測定距離とした。
緑液測定装置に備えるカラーセンサにて、各ガラスビーカー1~4に入っているサンプル溶液の色調を上方より測定した。
測定容器 200mL ガラスビーカー(高さ90mm、直径67mm)
測定距離 センサの投光面及び受光面から30cm(センサの測定面からビーカー液面までの距離)
測定温度 室温(18℃)
Figure 2023086250000002
<試験例1の考察>
本発明者らは、緑液処理が悪いと清澄緑液が赤色を帯びてくることを見出し、色調変化を画像処理し連続的に監視できることを見出した。なお、赤色は、硫酸鉄IIが増えて酸化され硫酸鉄IIIになり赤色を帯びていると推定している。粗緑液中の鉄の量を下げることが目的ではないが、凝集剤を粗緑液に添加することで色調が薄緑色に変化し、結果として色調が清澄緑液の清澄性の指標となりえることを見出した。
さらに、上記試験の結果を考慮した結果、緑液清澄化装置後の清澄緑液を容器に取り込み、清澄緑液の上部から、清澄緑液の色調検出できる緑液測定装置にて、清澄緑液の液面の画像を取り込み、清澄緑液の色調を解析することができる。この解析結果に基づき、清澄緑液の色調が所望の範囲内になるように、緑液清澄化装置に添加する薬剤の量を調整することができる。
例えば、清澄緑液の色調が赤色系統の場合には、粗緑液に対する薬剤を増量し、一方で清澄緑液の色調が緑色系統の場合には、粗緑液に対する薬剤を減量するように、薬剤量を調整することができる。このようにして、適正な薬剤注入量になるようにフィードバック制御することができる。
<試験例2>
下記<緑液測定装置の構成>のように、色調検出装置などを使い、清澄緑液を連続的に測定、緑液クラリファイアへの薬剤添加量を調整する。なお、<試験例2:緑液測定装置の構成>の(1)~(4)(株)キーエンス社製の説明は、<試験例1>の<緑液測定装置>での説明を採用する。また、(5)熱電対温度計は、温度センサにより緑液の温度(℃)が測定できる装置であり、市販品を使用した。
<試験例2:緑液測定装置の構成>
緑液測定装置は以下の構成による
(1)カラーセンサ (株)キーエンス社製 LR-W500
(2)コントローラ (株)キーエンス社製 MU-N12
(3)PLC (株)キーエンス社製 KV-NC32T
(4)通信ユニット (株)キーエンス社製 NU-EP1
(5)熱電対温度計
<実験条件>
上記<試験例2:緑液測定装置の構成>で構成された測定装置で、以下のサンプル2-1及び2-2を、それぞれ加温し、所定温度(70℃、80℃、90℃)で測定した。
鉄(Fe)濃度の測定方法は、JIS-K-102.57.4 ICP発光分光分析法を用いることができる。このICP発光分光分析法にて、本実験において、現場の清澄緑液(大手製紙会社清澄緑液A)中のFe量を測定した。そして、本実験において、外部標準法を参考にして、濃度のわかるFe量(溶解性鉄量)の標準液を外部から、大手製紙会社清澄緑液Aに添加し、サンプル2-1、2-2を調製した。サンプル2-1、2-2中の合計Fe濃度(ppm)を、上記ICP発光分光分析法の結果と上記標準液の濃度とから、計算して求めた。
<試験例2のサンプル>
サンプル2-1:大手製紙会社清澄緑液A+溶解性鉄 1ppm
サンプル2-2:大手製紙会社清澄緑液A+溶解性鉄 2ppm
<試験例2の測定条件>
測定容器 100mL容ガラスビーカー
測定距離 センサから30cm
測定温度 70℃、80℃、90℃
<試験例2の結果及び考察>
サンプル2-1(清澄緑液Aに、溶解性鉄を1ppm追加し、溶解性鉄を添加した清澄緑液中のFe 合計2.1ppmの溶液)を加温し、70℃、80℃、90℃のときのピーカー内の色調をRGBカラーセンサにて測定した。サンプル2-2(清澄緑液Aに、溶解性鉄を2ppm追加し、溶解性鉄を添加した清澄緑液中のFe 合計3.1ppmの溶液)を加温し、70℃、80℃、90℃のときのピーカー内の色調をRGBカラーセンサにて測定した。
図12にある下方の破線が、サンプル2-1の70℃、80℃、90℃のa値及び傾き0.13、b-9.4である。図12にある上方の破線が、サンプル2-2の70℃、80℃、90℃のa値及び傾き0.13、b-12.7である。
このように、Feを用いて、清澄緑液の色調(好適にはa値)と温度(℃)との関係を、統計学的処理(今回は、単回帰直線(y=ax+b:aは傾き、bは切片))にて、明らかにすることができ、清澄緑液の色調(a値)が温度の影響を受けることを確認できた。このため、実際の現場(実機)ごとでも、適宜、清澄緑液の色調(好適にはa値)と温度(℃)との関係を、統計学的処理にて、求めることができる。このとき、必要に応じて、清澄緑液に、溶解性鉄を外部添加したり、このFeの濃度を変化させたりして、統計学的処理にて、温度補正式又は温度補正モデルを作成することができる。この関係を求める際、鉄の測定方法は、JIS-K-102.57.4 ICP発光分光分析法を用いることができる。
<試験例2>において、清澄緑液に含まれる鉄の量を下げることやFe量の測定精度を高めることが最終的な目的ではないが、結果として、清澄緑液中のFe量が、清澄緑液の清澄性の指標となり得ることを見出した。このような<試験例2>の結果から、本発明者らは、色調測定装置の測定対象物である清澄緑液の温度を一定にすることで、不純物であるFe量の測定精度を高めることができることを、明らかにすることができた。また、本発明者らは、清澄緑液の温度を測ることで、清澄緑液の色調の温度変化のズレを補正することができ、不純物であるFe量の測定精度を高めることができる。
本発明者らは、以下の<測定原理>を導き出した。
<測定原理>
カラーセンサから投光された白色LED光が測定対象物に当たり、
対象物が反射した色を受光部が検出し、RGB、L*a*b*などの任意の色座標に演算出力する。
温度による補正を行う。
そして、本発明者らは、以下のような温度補正モデル又は温度補正式を導き出した。ただし、本実施形態において、これら温度補正モデル等にこだわるものではなく、例えば統計学的処理を用いて、実際の実機又は現場に合った温度補正モデル等を構築することも可能である。
清澄緑液の温度を測定することによって得られた清澄緑液の温度測定値に基づいて清澄緑液の色調の変化を温度補正した上で管理することについて、一例を示す。まず、清澄緑液の色調には温度の変動(温度変化)があるので、温度75℃の色調a値が、温度が80℃(設定温度)だったら、どのような色調a値になるかを考える。つまり、清澄緑液の測定温度が異なっていても、温度80℃ではどのような色調測定値になるかを求め、温度補正後の色調を判断する。そして、温度補正後の色調〔a値(80℃)〕から、粗緑液に対して薬剤注入量を制御する。
例えば
1)清澄緑液の実測値が、温度測定値70℃で、色調測定値a値が-3.0の場合には、「a値(80℃)=0.13×(80-70)+a値(70℃)=0.13×10-3.0=-2.7」である。
2)清澄緑液の実測値が、温度測定値70℃で、色調測定値a値が0.0の場合には、「a値(80℃)=0.13×(80-70)+a値(70℃)=0.13×10+0.0=1.3」である。
3)清澄緑液の実測値が、温度測定値85℃で、色調測定値a値が0.0の場合には、「a値(80℃)=0.13×(80-85)+a値(85℃)=0.13×(-5)+0.0=-0.65」である。
4)清澄緑液の実測値が、温度測定値87℃で、色調測定値a値が1.0の場合には、「a値(80℃)=0.13×(80-87)+a値(85℃)=0.13×(-7)+1.0=-0.09」である。
Figure 2023086250000003
このことから、本発明者らは、例えば、緑液クラリファイア後の清澄緑液の一部を流路等を経て容器に取り込むこと;清澄緑液を取り込んだ容器の温度を測定すること及びその上方(上部)から、色調測定装置(色調検出装置)にて、清澄緑液の画像を取り込み解析することにより、温度補正値を求めること;温度補正後の清澄緑液の色調から、緑液クラリファイアの粗緑液に添加する薬剤の量を調整すること;を含む、緑液処理方法或いは緑液処理システムを提供し、これにより、色調の温度変化による誤差を少なくし清澄緑液の色調の測定精度を高め、適正な薬剤注入量になるように調整することができる。また、パルプ製造の苛性化工程に監視、光学的センサ及び温度センサ若しくは温度制御によって測定対象物(清澄緑液、スラリー状清澄緑液等)を監視し、緑液クラリファイアをより容易により安定的に操業できるようになる。
1 パルプ製造系; 10 蒸解系; 11 蒸解釜; 20 黒液処理系; 21 エバポレータ; 22 ボイラ; 30 緑液処理(粗緑液の処理)系; 31 溶解タンク(分散); 32 緑液クラリファイア(清澄); 33 清澄緑液タンク; 36 引抜きポンプ; 37 スラッジ濃度測定部; 34 薬剤タンク; 35 薬剤注入ポンプ; 40 消和・苛性化系; 41 苛性化系; 42 白液クラリファイア; 43 白液タンク; 44 キルン; 411 スレーカ; 412 苛性化反応槽; 45 ライムマッドフィルター; 46 ライムマッドウォッシャー; 100 緑液処理管理装置;101 制御部; 102 色調監視部;103 色調センサ;104 温度監視部;105 温度センサ

Claims (4)

  1. 清澄緑液の色調及び温度を監視し、
    色調測定時の清澄緑液の温度を一定範囲内に管理することによって、又は、清澄緑液の温度を測定し、その測定結果に基づいて清澄緑液の色調の変化を温度補正した上で管理することによって、
    清澄緑液の色調から粗緑液に対する薬剤注入量を制御する、緑液処理方法。
  2. 前記色調測定時の清澄緑液の温度を一定範囲内に管理することによって、色調の温度変化による誤差を少なくし、粗緑液に対する薬剤注入量を制御する、請求項1に記載の緑液処理方法。
  3. 前記清澄緑液の温度を測定することによって得られた清澄緑液の温度測定値に基づいて清澄緑液の色調の変化を温度補正した上で管理することにより、温度補正後の色調から粗緑液に対する薬剤注入量を制御する、請求項1に記載の緑液処理方法。
  4. 前記清澄緑液の色調の変化を温度補正した上で管理するため、清澄緑液の温度測定値が一定の範囲内にあるか否かを判定すること、及び、
    当該一定の範囲内にある場合には、このときの清澄緑液の色調測定値に基づき、粗緑液に対する薬剤注入量を制御する、又は
    当該一定の範囲内にない場合には、当該清澄緑液の色調を測定し、このときの測定温度に基づき得られた清澄緑液の色調測定値を補正し、粗緑液に対する薬剤注入量を制御する、請求項1に記載の緑液処理方法。
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