JP2023084738A - 複合材及び複合材の製造方法 - Google Patents

複合材及び複合材の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2023084738A
JP2023084738A JP2021198990A JP2021198990A JP2023084738A JP 2023084738 A JP2023084738 A JP 2023084738A JP 2021198990 A JP2021198990 A JP 2021198990A JP 2021198990 A JP2021198990 A JP 2021198990A JP 2023084738 A JP2023084738 A JP 2023084738A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fiber
reinforced plastic
elastic member
composite material
precursor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021198990A
Other languages
English (en)
Inventor
拓也 中
Takuya Naka
義仁 古川
Yoshito Furukawa
尚紀 木元
Naoki Kimoto
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujikura Composites Inc
Original Assignee
Fujikura Composites Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujikura Composites Inc filed Critical Fujikura Composites Inc
Priority to JP2021198990A priority Critical patent/JP2023084738A/ja
Publication of JP2023084738A publication Critical patent/JP2023084738A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Moulding By Coating Moulds (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

【課題】繊維強化プラスチック部材と金属部材との接続部に生じる応力を緩和し、繊維強化プラスチック部材と金属部材間の電食を防止し、繊維強化プラスチック部材と金属部材間の剥離が防止された、繊維強化プラスチック部材と弾性部材と金属部材との複合材を提供する。【解決手段】金属部材と、前記金属部材上の少なくとも一部の領域にて前記金属部材と直接接して形成された、ゴム材料を有する弾性部材と、前記弾性部材上の少なくとも一部の領域にて前記弾性部材と直接接して形成された繊維強化プラスチックを有する繊維強化プラスチック部材と、を有し、前記弾性部材が、前記金属部材と前記繊維強化プラスチック部材との間に配置され、前記金属部材と前記弾性部材と前記繊維強化プラスチック部材とが一体化された複合材。【選択図】図1

Description

本発明は、繊維強化プラスチック部材と弾性部材と金属部材を有し、弾性部材が金属部材と繊維強化プラスチック部材との間に配置された複合材及び前記複合材の製造方法に関する。
現在、繊維強化プラスチック(FRP)は、軽量性と高強度を兼ね備えていることから、産業用ロボット等の生産関連装置、航空機、自動車、自転車等の輸送関連機器、テニスラケット、ゴルフクラブ等のスポーツ用品、耐震補強材等の建築構造物など、工業製品の材料として広汎に使用されている。また、繊維強化プラスチックは、ゴム材料と一体化された複合材の形態で使用されることもある。
例えば、産業用ロボットのアーム部には、剛性の確保及び振動減衰特性の向上が要求される。そこで、産業用ロボットのアーム部の部材として、繊維強化プラスチックとゴム材料との複合材として、炭素繊維強化プラスチックにより円管状に形成された外側層と、炭素繊維強化プラスチックにより円管状に形成され、前記外側層の一端から他端にわたって延在するように前記外側層の内側に配置された内側層と、前記外側層と前記内側層との間に配置されたゴム材料からなる制振層と、を備える成形体が提案されている(特許文献1)。
特許文献1では、ゴム材料からなる制振層が、炭素繊維強化プラスチックにより形成された外側層と炭素繊維強化プラスチックにより形成された内側層との間に配置されていることで、産業用ロボットのアーム部の剛性の確保及び振動減衰特性の向上を図っている。
一方で、特許文献1のような炭素繊維強化プラスチックとゴム材料の成形体ではなく、繊維強化プラスチック部材は、金属部材と一体化された複合材の形態で使用されることもある。繊維強化プラスチック部材と金属部材との複合材では、金属部材は高い熱膨張係数を有するのに対して、繊維強化プラスチック部材は熱膨張係数が略0と、金属部材と繊維強化プラスチック部材では、熱膨張係数に大きな差異がある。従って、繊維強化プラスチック部材と金属部材との複合材では、例えば、夏季や冬季における外部環境の温度によって、繊維強化プラスチック部材と金属部材との接続部に、金属部材と繊維強化プラスチック部材の熱膨張係数の差異に起因したズレが生じて、繊維強化プラスチック部材と金属部材との接続部に応力の負荷がかかり、剥離が生じるという問題がある。
そこで、繊維強化プラスチック部材と金属部材との複合材では、繊維強化プラスチック部材と金属部材との接合に、弾性接着剤を使用することで、繊維強化プラスチック部材と金属部材との接続部に生じる応力を緩和することが行われている。しかし、繊維強化プラスチック部材と金属部材との接合に、弾性接着剤を使用すると、弾性接着剤の塗布状態にムラが生じることで、繊維強化プラスチック部材と金属部材が接触して、繊維強化プラスチック部材と金属部材間で電食が生じることがあった。また、弾性接着剤の塗布状態にムラが生じることで、繊維強化プラスチック部材と弾性接着剤間及び弾性接着剤と金属部材間の接着性が十分には得られず、繊維強化プラスチック部材と金属部材間の接着強度に改善の余地があった。
また、繊維強化プラスチックに接着剤を塗布して金属部材を接着する複合材の製造方法では、接着剤の塗布工程が必要であることから製造工程が煩雑であり、接着剤の均一塗布が困難であることから、製造が簡易化できないという問題があった。
特開2012-161885号公報
上記事情に鑑み、本発明は、繊維強化プラスチック部材と金属部材との接続部に生じる応力を緩和し、繊維強化プラスチック部材と金属部材間の電食を防止し、繊維強化プラスチック部材と金属部材間の剥離が防止された、繊維強化プラスチック部材と弾性部材と金属部材との複合材、及び製造工程の煩雑化を防止でき、製造が容易である繊維強化プラスチック部材と弾性部材と金属部材との複合材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の構成の要旨は、以下の通りである。
[1]金属部材と、前記金属部材上の少なくとも一部の領域にて前記金属部材と直接接して形成された、ゴム材料を有する弾性部材と、前記弾性部材上の少なくとも一部の領域にて前記弾性部材と直接接して形成された繊維強化プラスチックを有する繊維強化プラスチック部材と、を有し、
前記弾性部材が、前記金属部材と前記繊維強化プラスチック部材との間に配置され、
前記金属部材と前記弾性部材と前記繊維強化プラスチック部材とが一体化された複合材。
[2]前記金属部材と前記弾性部材が直接接しており、前記金属部材と前記弾性部材の間に接着部材が介装されておらず、前記弾性部材と前記繊維強化プラスチック部材が直接接しており、前記弾性部材と前記繊維強化プラスチック部材の間に接着部材が介装されていない[1]に記載の複合材。
[3]前記金属部材、前記弾性部材及び前記繊維強化プラスチック部材が層状であり、前記複合材が積層体構造を有する[1]または[2]に記載の複合材。
[4]前記ゴム材料が、ニトリルゴム、フッ素ゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、水素化ニトリルゴム及びシリコーンゴムからなる群から選択された少なくとも1種である[1]乃至[3]のいずれか1つに記載の複合材。
[5]前記ゴム材料が、ニトリルゴム、フッ素ゴム及びブチルゴムからなる群から選択された少なくとも1種である[1]乃至[4]のいずれか1つに記載の複合材。
[6]前記繊維強化プラスチックが、炭素繊維強化プラスチックである[1]乃至[5]のいずれか1つに記載の複合材。
[7]前記繊維強化プラスチック部材が、繊維配向角度が第1の方向である第1の層を形成する第1の前記繊維強化プラスチックと、繊維配向角度が前記第1の方向とは異なる第2の方向である第2の層を形成する第2の前記繊維強化プラスチックと、を有する多層構造体である[1]乃至[6]のいずれか1つに記載の複合材。
[8]前記金属部材が、アルミニウムまたはアルミニウム合金である[1]乃至[7]のいずれか1つに記載の複合材。
[9]パイプ状に成形された前記複合材であり、前記金属部材が、パイプ状に成形された前記複合材の内面を形成している[1]乃至[8]のいずれか1つに記載の複合材。
[10]繊維に樹脂を含ませた未硬化または半硬化材料である繊維強化プラスチック部材の前駆体を用意する工程と、
用意された前記繊維強化プラスチック部材の前駆体上の少なくとも一部の領域に、未加硫のゴムを有する弾性部材の前駆体を直接積層させて、前記繊維強化プラスチック部材の前駆体と前記弾性部材の前駆体との積層体を得る工程と、
得られた前記積層体を、表面処理をした金属部材上の少なくとも一部の領域に、前記弾性部材の前駆体を前記金属部材の表面処理をした面に対向させた状態で直接積層させて、複合材の前駆体を得る工程と、
得られた前記複合材の前駆体を加熱処理することで、前記繊維強化プラスチック部材の前駆体の前記樹脂を熱硬化させて、繊維強化プラスチックを有する繊維強化プラスチック部材と、前記弾性部材の前駆体の前記未加硫のゴムを加硫してゴム材料を有する弾性部材と、を得て、前記金属部材と前記弾性部材と前記繊維強化プラスチック部材を一体化する一体化工程と、
を有する複合材の製造方法。
[11]用意された前記繊維強化プラスチック部材の前駆体上に、接着部材を介さずに、直接、加硫剤の配合された未加硫のゴムを有する弾性部材の前駆体を積層させる[10]に記載の複合材の製造方法。
[12]前記金属部材が、パイプ形状であり、得られた前記積層体を、前記金属部材の外周面に、接着部材を介さずに、直接、巻回して、前記複合材の前駆体を得る[10]または[11]に記載の複合材の製造方法。
本発明の複合材の態様によれば、金属部材と、前記金属部材と直接接して形成された、ゴム材料を有する弾性部材と、前記弾性部材と直接接して形成された繊維強化プラスチックを有する繊維強化プラスチック部材と、を有し、前記弾性部材が、前記金属部材と前記繊維強化プラスチック部材との間に配置されていることにより、前記弾性部材が、繊維強化プラスチック部材と金属部材との接続部に生じる応力を緩和し、さらに、繊維強化プラスチック部材と金属部材間の電食を防止する。また、本発明の複合材の態様によれば、前記金属部材と前記弾性部材と前記繊維強化プラスチック部材とが一体化されていることにより、繊維強化プラスチック部材と弾性部材間及び弾性部材と金属部材間の剥離が防止されている。
本発明の複合材の態様によれば、前記金属部材と前記弾性部材が直接接しており、前記金属部材と前記弾性部材の間に接着部材が介装されておらず、前記弾性部材と前記繊維強化プラスチック部材が直接接しており、前記弾性部材と前記繊維強化プラスチック部材の間に接着部材が介装されていないことにより、接着部材に起因した接着ムラが確実に防止されるので、繊維強化プラスチック部材と金属部材間で電食が生じること確実に防止でき、また、繊維強化プラスチック部材と弾性部材間及び弾性部材と金属部材間の剥離が確実に防止されている。
本発明の複合材の態様によれば、前記ゴム材料が、ニトリルゴム、フッ素ゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、水素化ニトリルゴム及びシリコーンゴムからなる群から選択された少なくとも1種であることにより、繊維強化プラスチック部材と弾性部材間及び弾性部材と金属部材間に密着性が得られ、優れた剥離防止性を得ることができる。
本発明の複合材の態様によれば、前記ゴム材料が、ニトリルゴム、フッ素ゴム及びブチルゴムからなる群から選択された少なくとも1種であることにより、繊維強化プラスチック部材と弾性部材間及び弾性部材と金属部材間に確実に密着性が得られ、さらに優れた剥離防止性を得ることができる。
本発明の複合材の製造方法の態様では、繊維に樹脂を含ませた未硬化または半硬化材料である繊維強化プラスチック部材の前駆体上の少なくとも一部の領域に、未加硫のゴムを有する弾性部材の前駆体を直接積層させて積層体を得、得られた積層体を、弾性部材との一体化に寄与する表面処理を施した金属部材上の少なくとも一部の領域に前記弾性部材の前駆体を前記金属部材の表面処理をした面に対向させた状態で直接積層させて複合材の前駆体を得、得られた前記複合材の前駆体を加熱処理することで、前記繊維強化プラスチック部材の前駆体の前記樹脂を熱硬化させて、繊維強化プラスチックを有する繊維強化プラスチック部材と、前記弾性部材の前駆体の前記未加硫のゴムを加硫してゴム材料を有する弾性部材と、を得るとともに、前記金属部材と前記弾性部材と前記繊維強化プラスチック部材を一体化する。すなわち、本発明の複合材の製造方法の態様では、前記複合材の前駆体を加熱処理することで、繊維に樹脂を含ませた未硬化または半硬化材料であるプリプレグを熱硬化処理し、さらには未加硫のゴムを加硫して、繊維強化プラスチックと加硫されたゴム材料を同時に得るとともに、得られた繊維強化プラスチックと加硫されたゴム材料とを一体化し、さらには、加硫されたゴム材料と表面処理を施した金属部材とを一体化する。
従って、本発明の複合材の製造方法の態様によれば、繊維強化プラスチックを有する繊維強化プラスチック部材とゴム材料を有する弾性部材を一体化するにあたり、接着剤の塗布工程自体が必要ではなく、接着剤の均一塗布も必要ではない。また、ゴム材料を有する弾性部材と金属部材を一体化するにあたり、接着剤の塗布工程自体が必要ではなく、接着剤の均一塗布も必要ではない。上記から、本発明の製造方法の態様によれば、繊維強化プラスチック部材と弾性部材と金属部材との複合材の製造工程の煩雑化を防止でき、前記複合材の製造を容易化できる。また、本発明の複合材の製造方法の態様によれば、前記複合材の前駆体を加熱処理することで、繊維強化プラスチック部材の前駆体の樹脂を熱硬化させて繊維強化プラスチックを有する繊維強化プラスチック部材と、弾性部材の前駆体の未加硫のゴムを加硫してゴム材料を有する弾性部材と、を得るとともに、金属部材と弾性部材と繊維強化プラスチック部材を一体化するので、繊維強化プラスチックを有する繊維強化プラスチック部材とゴム材料を有する弾性部材間の剥離が防止され、また、ゴム材料を有する弾性部材と金属部材間の剥離が防止された、繊維強化プラスチック部材と弾性部材と金属部材との複合材を得ることができる。
本発明の複合材の製造方法の態様によれば、前記繊維強化プラスチック部材の前駆体上に、接着部材を介さずに、直接、未加硫のゴムを有する前記弾性部材の前駆体を積層させることにより、接着部材に起因した接着ムラを防止できるので、繊維強化プラスチック部材と弾性部材間の剥離を確実に防止することができる。
本発明の複合材の製造方法の態様によれば、表面処理をした前記金属部材がパイプ形状であり、得られた前記積層体を、前記金属部材の表面処理をした外周面に、接着部材を介さずに、直接、巻回して、前記複合材の前駆体を得ることにより、接着部材に起因した接着ムラを防止できるので、弾性部材と表面処理をした金属部材間の剥離を確実に防止することができる。また、本発明の複合材の製造方法の態様によれば、前記金属部材が、パイプ状に成形された管材であり、複合材を構成する部材であることにより、管形状の繊維強化プラスチック部材を有する複合材を製造するにあたり、芯金(マンドレル)を必要としない。
本発明の複合材の実施形態例の概要を示す斜視図である。 本発明の複合材の実施形態例の概要を示す正面図である。 本発明の複合材の製造方法に用いる、繊維強化プラスチック部材の前駆体と弾性部材の前駆体の積層体の概要を示す側面図である。
以下に、本発明の複合材について、詳細を説明する。図1は、本発明の複合材の実施形態例の概要を示す斜視図である。図2は、本発明の複合材の実施形態例の概要を示す正面図である。
図1、2に示すように、本発明の実施形態例に係る複合材1は、金属部材30と、金属部材30上の少なくとも一部の領域にて金属部材30と直接接して形成された、ゴム材料を有する弾性部材20と、弾性部材20上の少なくとも一部の領域にて弾性部材20と直接接して形成された繊維強化プラスチックを有する繊維強化プラスチック部材10と、を有し、弾性部材20が、金属部材30と繊維強化プラスチック部材10との間に配置され、金属部材30と弾性部材20と繊維強化プラスチック部材10とが一体化された、金属材料とゴム材料と繊維強化プラスチックとの複合材である。本発明の実施形態例に係る複合材1は、金属部材30に弾性部材20が接着されていることで金属部材30が弾性部材20に接合された接合部35を形成し、金属部材30と弾性部材20が一体化されている。また、繊維強化プラスチック部材10が弾性部材20に接着されていることで、繊維強化プラスチック部材10が弾性部材20に接合された接合部15を形成し、繊維強化プラスチック部材10と弾性部材20が一体化されている。
複合材1は、金属部材30上の少なくとも一部の領域が弾性部材20と直接接した状態で一体化されている。また、弾性部材20と直接接した金属部材30の表面には、表面処理が施され、前記表面処理が、金属部材30と弾性部材20の一体化に寄与している。金属部材30の表面処理としては、例えば、粗面化処理が挙げられる。従って、弾性部材20と直接接した金属部材30の表面は、例えば、粗面となっている。また、繊維強化プラスチック部材10上の少なくとも一部の領域が弾性部材20と直接接した状態で一体化されている。従って、弾性部材20は、複合材1の厚さ方向において、金属部材30上の少なくとも一部の領域と繊維強化プラスチック部材10上の少なくとも一部の領域との間に介装されている。
図1、2に示すように、本発明の実施形態例に係る複合材1は、繊維強化プラスチック部材10と弾性部材20が直接接している接合部15には、繊維強化プラスチック部材10と弾性部材20との間に、接着剤等の接着部材が介装されていない。また、金属部材30と弾性部材20が直接接している接合部35には、金属部材30と弾性部材20との間に、接着剤等の接着部材が介装されていない。本発明の実施形態例に係る複合材1では、繊維強化プラスチック部材10上の少なくとも一部の領域が弾性部材20と直接接した状態で弾性部材20と一体化されていればよく、弾性部材20上の少なくとも一部の領域が繊維強化プラスチック部材10と直接接した状態で繊維強化プラスチック部材10と一体化されていればよい。また、金属部材30上の少なくとも一部の領域が弾性部材20と直接接した状態で弾性部材20と一体化されていればよく、弾性部材20上の少なくとも一部の領域が金属部材30と直接接した状態で金属部材30と一体化されていればよい。
本発明の実施形態例に係る複合材1では、弾性部材20に対向する繊維強化プラスチック部材10の略全面が、弾性部材20と直接接した状態で弾性部材20と一体化されている。また、繊維強化プラスチック部材10に対向する弾性部材20の略全面が、繊維強化プラスチック部材10と直接接した状態で繊維強化プラスチック部材10と一体化されている。従って、複合材1では、繊維強化プラスチック部材10と弾性部材20が対向している接合部15全体にわたって、接着部材が介装されていない。
また、本発明の実施形態例に係る複合材1では、弾性部材20に対向する金属部材30の略全面が、弾性部材20と直接接した状態で弾性部材20と一体化されている。また、金属部材30に対向する弾性部材20の略全面が、金属部材30と直接接した状態で金属部材30と一体化されている。従って、複合材1では、金属部材30と弾性部材20が対向している接合部35全体にわたって、接着部材が介装されていない。上記から、複合材1では、弾性部材20に対向する金属部材30の略全面に、表面処理が施されている。
複合材1では、繊維強化プラスチック部材10を構成する繊維強化プラスチックの表面部とその近傍におけるマトリックス樹脂の一部が、弾性部材20を構成するゴム材料の表面部とその近傍に入り込んでおり、弾性部材20を構成するゴム材料の表面部とその近傍の一部が、繊維強化プラスチック部材10を構成する繊維強化プラスチックの表面部とその近傍に入り込んでいることで、繊維強化プラスチック部材10が弾性部材20に接合されて接合部15を形成し、繊維強化プラスチック部材10と弾性部材20が一体化されている。すなわち、複合材1の接合部15において、繊維強化プラスチック部材10は弾性部材20に対してアンカー効果を発揮し、弾性部材20は繊維強化プラスチック部材10に対してアンカー効果を発揮していることにより、繊維強化プラスチック部材10と弾性部材20が一体化されている。
また、複合材1では、弾性部材20を構成するゴム材料の表面部とその近傍の一部が、粗面化処理等の表面処理が施された金属部材30の表面部(例えば、金属部材30の表面に形成された凹凸部)に入り込んでいることで、金属部材30が弾性部材20に接合されて接合部35を形成し、金属部材30と弾性部材20が一体化されている。すなわち、複合材1の接合部35において、弾性部材20は金属部材30に対してアンカー効果を発揮し、金属部材30の表面処理部が弾性部材20に対してアンカー効果を発揮していることにより、金属部材30と弾性部材20が一体化されている。
図1、2に示すように、複合材1では、金属部材30、弾性部材20及び繊維強化プラスチック部材10は、いずれも層状であり、複合材1が積層体構造を有している。
また、図1、2に示すように、複合材1は、パイプ状に成形された管材である。金属部材30は、管材である複合材1の最内層であり、管材である複合材1の内面(すなわち、内周面)を形成している。繊維強化プラスチック部材10は、管材である複合材1の最外層であり、管材である複合材1の外面(すなわち、外周面)を形成している。弾性部材20は、最外層である繊維強化プラスチック部材10と最内層である金属部材30との間に配置された中間層である。上記から、管材である複合材1は、その径方向に沿って内側から外側に向かって、金属部材30の層、弾性部材20の層、繊維強化プラスチック部材10の層の順に積層されている。管材である複合材1の内部は中空部40であり、複合材1の内面を形成する金属部材30は、中空部40に露出している。
繊維強化プラスチック部材10は、複合材1の周方向及び長手方向に沿って延在している。弾性部材20も、複合材1の周方向及び長手方向に沿って延在している。金属部材30も、複合材1の周方向及び長手方向に沿って延在している。
繊維強化プラスチック部材10の厚さは、特に限定されず、例えば、0.05mm以上10mm以下、より具体的には、0.10mm以上5.0mm以下が挙げられる。また、弾性部材20の厚さは、特に限定されず、繊維強化プラスチック部材10の厚さと同じでもよく、異なっていてもよい。弾性部材20の厚さとしては、例えば、0.05mm以上10mm以下、より具体的には、0.10mm以上5.0mm以下が挙げられる。また、金属部材30の厚さは、特に限定されず、繊維強化プラスチック部材10及び弾性部材20の厚さと同じでもよく、異なっていてもよい。金属部材30の厚さとしては、例えば、0.05mm以上10mm以下、より具体的には、0.10mm以上5.0mm以下が挙げられる。
複合材1は、金属部材30と、金属部材30と直接接して形成された、ゴム材料を有する弾性部材20と、弾性部材20と直接接して形成された繊維強化プラスチックを有する繊維強化プラスチック部材10と、を有し、弾性部材20が、金属部材30と繊維強化プラスチック部材10との間に配置されていることにより、弾性部材20の弾性特性が、繊維強化プラスチック部材10と金属部材30との接続部に生じる、熱膨張係数の差異に起因した応力を緩和し、さらに、弾性部材20の絶縁特性が、繊維強化プラスチック部材10と金属部材30間の電食を防止する。また、複合材1では、金属部材30と弾性部材20と繊維強化プラスチック部材10とが一体化されていることにより、繊維強化プラスチック部材10と弾性部材20との間及び弾性部材20と金属部材30との間の剥離が防止されている。
また、複合材1は、弾性部材20と繊維強化プラスチック部材10が接合部15全体にわたって直接接しており、弾性部材20と繊維強化プラスチック部材10の間に接着部材が介装されておらず、金属部材30と弾性部材20が接合部35全体にわたって直接接しており、金属部材30と弾性部材20の間に接着部材が介装されていないことにより、接着部材に起因した接着ムラが確実に防止される。従って、複合材1では、繊維強化プラスチック部材10と金属部材30が接触して繊維強化プラスチック部材10と金属部材30間で電食が生じること確実に防止でき、また、繊維強化プラスチック部材10と弾性部材20との間及び弾性部材20と金属部材30との間の剥離が確実に防止されている。
繊維強化プラスチック部材10を構成する繊維強化プラスチックとしては、例えば、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)、アラミド繊維強化プラスチック(AFRP)、セルロース繊維強化プラスチック等が挙げられる。これらのうち、軽量性、高強度、剛性の点から、炭素繊維強化プラスチックが好ましい。繊維強化プラスチックのマトリックス樹脂として、樹脂成分は特に限定されない。具体的には、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。これらの樹脂のうち、エポキシ樹脂が特に好ましい。繊維強化プラスチック部材10を構成する繊維強化プラスチックは、繊維にマトリックス樹脂を含浸させた中間材である未硬化(または半硬化)熱硬化性プリプレグを加熱処理等により熱硬化させた部材である。
本発明の実施形態例に係る複合材1では、繊維強化プラスチック部材10は、繊維配向角度が第1の方向である第1の繊維強化プラスチック層と、繊維配向角度が前記第1の方向とは異なる第2の方向である第2の繊維強化プラスチック層と、を有する多層構造体としてもよい。繊維強化プラスチック部材10は、繊維配向角度が異なるように複数層の繊維強化プラスチック層の構造体とすることで、繊維強化プラスチック部材10の面方向全体における強度が向上する。なお、繊維強化プラスチック部材10は、3層以上の繊維強化プラスチック層を有する多層構造体としてもよい。3層以上の繊維強化プラスチック層を有する多層構造体の場合、繊維配向角度が第1の方向とも第2の方向とも異なる第3の方向である第3の繊維強化プラスチック層、繊維配向角度が第1の方向とも第2の方向とも第3の方向とも異なる第4の方向である第4の繊維強化プラスチック層等、繊維配向角度が相互に異なる複数の繊維強化プラスチック層を設けてもよい。また、繊維強化プラスチック部材10は、1層の繊維強化プラスチック層からなる構造体としてもよい。
弾性部材20を構成するゴム材料としては、例えば、アクリロニトリルブタジエンゴム等のニトリルゴム(NBR)、フッ素ゴム(FKM)、ブチルゴム(IIR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム(ACM)、イソプレンゴム(IR)、スチレンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、エチレンプロピレンゴム(EPM)、クロロプレンゴム(CR)、塩素化ポリエチレン、天然ゴム(NR)等が挙げられる。これらのゴム材料は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。弾性部材20を構成するゴム材料は、未加硫のゴムを加熱処理等により加硫させた部材である。
これらのゴム材料のうち、繊維強化プラスチック部材10と弾性部材20との間及び弾性部材20と金属部材30との間に密着性が得られ、優れた剥離防止性を得ることができる点から、ニトリルゴム、フッ素ゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、水素化ニトリルゴム、シリコーンゴムが好ましく、繊維強化プラスチック部材10と弾性部材20との間及び弾性部材20と金属部材30との間に確実に密着性が得られ、さらに優れた剥離防止性を得ることができる点から、ニトリルゴム、フッ素ゴム、ブチルゴムが特に好ましい。
弾性部材20には、ゴム材料に加えて、加硫剤が配合されている。また、弾性部材20には、必要に応じて、老化防止剤、加工助剤、粘着付与剤、加硫促進助剤、充填剤、可塑剤、加硫促進剤等の各種添加剤を配合してもよい。
図1、2に示すように、金属部材30は、例えば、パイプ状に成形された管材である。金属部材30の金属種としては、特に限定されず、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鉄合金、銅、銅合金、チタン、チタン合金、ステンレス、マグネシウム、マグネシウム合金、鉛、鉛合金、炭素鋼等を挙げることができる。なお、これらの金属種は、単独で使用してもよく、複合材1の強度を向上させる点から、2種以上を併用してもよい。複合材1では、各種金属のうち、熱膨張係数の大きい金属種を用いた金属部材30であっても、弾性部材20の弾性特性が、繊維強化プラスチック部材10と金属部材30との接続部に生じる、熱膨張係数の差異に起因した応力を緩和できる。従って、複合材1では、熱膨張係数の大きい金属種を用いた金属部材30であっても、管材である複合材1の周方向及び長手方向における、金属部材30と繊維強化プラスチック部材10の熱膨張係数の差異に起因した応力を緩和できる。
次に、本発明の複合材の製造方法について説明する。図3は、本発明の複合材の製造方法に用いる、繊維強化プラスチック部材の前駆体と弾性部材の前駆体の積層体の概要を示す側面図である。
本発明の複合材の製造方法は、(1)繊維に樹脂を含ませた未硬化または半硬化材料である繊維強化プラスチック部材の前駆体10’を用意する工程と、(2)用意された前記繊維強化プラスチック部材の前駆体10’上の少なくとも一部の領域に、未加硫のゴムを有する弾性部材の前駆体20’を直接積層させて、前記繊維強化プラスチック部材の前駆体10’と前記弾性部材の前駆体20’との積層体を得る工程と、(3)得られた前記積層体を、表面処理をした金属部材30上の少なくとも一部の領域に、前記弾性部材の前駆体20’を前記金属部材30の表面処理をした面に対向させた状態で直接積層させて、複合材の前駆体を得る工程と、(4)得られた前記複合材の前駆体を加熱処理することで、前記繊維強化プラスチック部材の前駆体10’のマトリックス樹脂を熱硬化させて、繊維強化プラスチックを有する繊維強化プラスチック部材10と、前記弾性部材の前駆体20’の未加硫のゴムを加硫してゴム材料を有する弾性部材20と、を得て、前記金属部材30と前記弾性部材20と前記繊維強化プラスチック部材10を一体化する一体化工程と、を有する。
(1)繊維に樹脂を含ませた未硬化または半硬化材料である繊維強化プラスチック部材の前駆体10’を用意する工程
炭素繊維等の強化繊維に熱硬化性樹脂等のマトリックス樹脂を含ませた未硬化または半硬化材料であるプリプレグを用意する工程である。繊維強化プラスチック部材の前駆体10’として、単層プリプレグを使用してもよく、また、プリプレグを複数積層させた積層プリプレグを使用してもよく、複合材1の使用条件等に応じて、プリプレグの積層数は適宜選択可能である。なお、後述するように、図3では、説明の便宜上、繊維強化プラスチック部材の前駆体10’は、プリプレグ11として、繊維配向角度が第1の方向である第1のプリプレグ11(11-1)と、第1のプリプレグ11(11-1)上に設けられた、繊維配向角度が前記第1の方向とは異なる第2の方向である第2のプリプレグ11(11-2)と、を有する積層プリプレグとしている。
(2)繊維強化プラスチック部材の前駆体10’と弾性部材の前駆体20’との積層体を得る工程
図3に示すように、第1のプリプレグ11(11-1)と第2のプリプレグ11(11-2)を有する繊維強化プラスチック部材の前駆体10’の表面に、加硫剤の配合された未加硫のゴムを有する弾性部材の前駆体20’を積層させる工程である。この工程では、繊維強化プラスチック部材の前駆体10’の表面に、接着部材を介さずに、直接、加硫剤の配合された未加硫のゴムを有する弾性部材の前駆体20’を積層させる。繊維強化プラスチック部材の前駆体10’の表面に弾性部材の前駆体20’を積層させるにあたり、必要に応じて、繊維強化プラスチック部材の前駆体10’と弾性部材の前駆体20’の積層体に対して、例えば、プレスが行われてもよい。
なお、繊維強化プラスチック部材の前駆体10’は、3層以上のプリプレグ11を有する積層プリプレグとしてもよい。3層以上のプリプレグ11を有する積層プリプレグの場合、繊維配向角度が第1の方向とも第2の方向とも異なる第3の方向である第3のプリプレグ11、繊維配向角度が第1の方向とも第2の方向とも第3の方向とも異なる第4の方向である第4のプリプレグ11等、繊維配向角度が相互に異なる複数のプリプレグ11を積層させてもよい。
(3)複合材の前駆体を得る工程
繊維強化プラスチック部材の前駆体10’と弾性部材の前駆体20’の積層体を、表面処理をした金属部材30上に、弾性部材の前駆体20’を金属部材30の表面処理をした面に対向させた状態で直接積層させる工程である。金属部材30の表面処理は、弾性部材20との一体化に寄与する表面処理であり、表面処理としては、上記の通り、例えば、粗面化処理が挙げられる。従って、金属部材30を表面処理した後、繊維強化プラスチック部材の前駆体10’と弾性部材の前駆体20’の積層体を金属部材30上に直接積層させる。金属部材30が、パイプ形状である場合、繊維強化プラスチック部材の前駆体10’と弾性部材の前駆体20’の積層体を、金属部材30の表面処理をした外周面に、接着部材を介さずに、直接、巻回して、複合材の前駆体を得る。すなわち、金属部材30の表面処理をした外周面に、弾性部材の前駆体20’を金属部材30の表面処理をした外周面に対向させた状態で、繊維強化プラスチック部材の前駆体10’と弾性部材の前駆体20’の積層体を巻回することで、繊維強化プラスチック部材の前駆体10’と弾性部材の前駆体20’の積層体を、金属部材30上に積層させる。金属部材30が、パイプ状に成形された管材であり、複合材1を構成する部材であることから、パイプ状に成形された繊維強化プラスチック部材10を有する複合材1を製造するにあたり、芯金(マンドレル)を必要としない。
(4)金属部材30と弾性部材20と繊維強化プラスチック部材10を一体化する一体化工程
繊維強化プラスチック部材の前駆体10’と弾性部材の前駆体20’の積層体を金属部材30の外周面に巻回した状態で、熱収縮テープ等を、繊維強化プラスチック部材の前駆体10’の外周面に、その長手方向に対してらせん状に巻き付けて前記積層体を金属部材30の外周面に固定し、繊維強化プラスチック部材の前駆体10’と弾性部材の前駆体20’の積層体を金属部材30の外周面に巻回した複合材の前駆体を加熱処理する。複合材の前駆体を加熱処理することで、繊維強化プラスチック部材の前駆体10’のマトリックス樹脂を熱硬化させてプリプレグから繊維強化プラスチックを形成して、繊維強化プラスチックを有する繊維強化プラスチック部材10を得るとともに、弾性部材の前駆体20’の未加硫のゴムを加硫してゴム材料を有する弾性部材20を得る。さらには、繊維強化プラスチック部材10と弾性部材20を得るとともに、繊維強化プラスチック部材10と弾性部材20を一体化し、また、金属部材30と弾性部材20を一体化して、繊維強化プラスチック部材10と弾性部材20が金属部材30に巻回された複合材1を得る。従って、複合材1は、金属部材30と弾性部材20と繊維強化プラスチック部材10が一体化されている。
すなわち、金属部材30と弾性部材20と繊維強化プラスチック部材10を一体化する一体化工程では、複合材の前駆体を加熱処理することで、強化繊維にマトリックス樹脂を含ませた未硬化または半硬化材料であるプリプレグを熱硬化処理し、さらには未加硫のゴムを加硫して、繊維強化プラスチックと加硫されたゴム材料を同時に得るとともに、得られた繊維強化プラスチックと加硫されたゴム材料を一体化する。プリプレグから繊維強化プラスチックを形成する際に、繊維強化プラスチック部材の前駆体10’を構成するマトリックス樹脂の一部が、弾性部材の前駆体20’を構成する未加硫のゴムに入り込むとともに、未加硫のゴムを加硫してゴム材料を形成する際に、弾性部材の前駆体20’を構成する未加硫のゴムの一部が、繊維強化プラスチック部材の前駆体10’を構成するマトリックス樹脂に入り込む。上記した繊維強化プラスチック部材の前駆体10’と弾性部材の前駆体20’の相互作用によって、繊維強化プラスチック部材10と弾性部材20が接合されて接合部15を形成して、繊維強化プラスチック部材10と弾性部材20が一体化される。結果として、繊維強化プラスチック部材10を構成する繊維強化プラスチックの表面部とその近傍におけるマトリックス樹脂の一部が、弾性部材20を構成するゴム材料の表面部とその近傍に入り込み、弾性部材20を構成するゴム材料の表面部とその近傍の一部が、繊維強化プラスチック部材10を構成する繊維強化プラスチックの表面部とその近傍に入り込んだ接合部15を形成する。
さらに、金属部材30と弾性部材20と繊維強化プラスチック部材10を一体化する一体化工程では、複合材の前駆体を加熱処理することで、未加硫のゴムを加硫して加硫されたゴム材料を得るとともに、加硫されたゴム材料と金属部材30を一体化する。未加硫のゴムを加硫してゴム材料を形成する際に、弾性部材の前駆体20’を構成する未加硫のゴムの一部が、粗面化処理等の表面処理をした金属部材30の表面部(例えば、金属部材30の表面に形成された凹凸部)に入り込む。上記した弾性部材の前駆体20’と表面処理をした金属部材30の相互作用によって、金属部材30と弾性部材20が接合されて接合部35を形成して、金属部材30と弾性部材20が一体化される。結果として、弾性部材20を構成するゴム材料の表面部とその近傍の一部が、表面処理をした金属部材30の表面部に入り込んだ接合部35を形成する。
繊維強化プラスチック部材の前駆体10’と弾性部材の前駆体20’の積層体を金属部材30の外周面に巻回した複合材の前駆体を加熱処理する方法としては、繊維強化プラスチック部材の前駆体10’ に適合した加熱処理条件を、適宜選択することができる。
本発明の複合材の製造方法の態様によれば、繊維強化プラスチックを有する繊維強化プラスチック部材10とゴム材料を有する弾性部材20を一体化するにあたり、接着剤の塗布工程自体が必要ではなく、従って、接着剤の均一塗布も必要ではない。また、ゴム材料を有する弾性部材20と金属部材30を一体化するにあたり、接着剤の塗布工程自体が必要ではなく、従って、接着剤の均一塗布も必要ではない。上記から、繊維強化プラスチック部材10と弾性部材20と金属部材30との複合材1の製造工程の煩雑化を防止でき、複合材1の製造を容易化できる。また、本発明の複合材の製造方法では、繊維強化プラスチック部材の前駆体10’と弾性部材の前駆体20’の積層体を金属部材30の外周面に巻回した複合材の前駆体を加熱処理することで、繊維強化プラスチック部材の前駆体10’のマトリックス樹脂を熱硬化させて繊維強化プラスチックを有する繊維強化プラスチック部材10と、弾性部材の前駆体20’の未加硫のゴムを加硫してゴム材料を有する弾性部材20と、を得るとともに、金属部材30と弾性部材20と繊維強化プラスチック部材10を一体化する。従って、本発明の複合材の製造方法では、繊維強化プラスチックを有する繊維強化プラスチック部材10とゴム材料を有する弾性部材20との間の剥離が防止され、また、ゴム材料を有する弾性部材20と金属部材30との間の剥離が防止された、繊維強化プラスチック部材10と弾性部材20と金属部材30との複合材1を得ることができる。
また、本発明の複合材の製造方法では、繊維強化プラスチック部材の前駆体10’上に、接着部材を介さずに、直接、未加硫のゴムを有する弾性部材の前駆体20’を積層させることにより、接着部材に起因した接着ムラを防止できるので、繊維強化プラスチック部材10と弾性部材20との間の剥離を確実に防止することができる。
また、本発明の複合材の製造方法では、表面処理をした金属部材30がパイプ形状であり、繊維強化プラスチック部材の前駆体10’と弾性部材の前駆体20’の積層体を、金属部材30の表面処理をした外周面に、接着部材を介さずに、直接、巻回して、複合材の前駆体を得ることにより、接着部材に起因した接着ムラを防止できるので、弾性部材20と金属部材30との間の剥離を確実に防止することができる。
次に、本発明の複合材の他の実施形態例について説明する。上記した実施形態例に係る複合材1では、パイプ状に成形された管材であったが、複合材1の形状は、特に限定されず、複合材1の使用態様に応じて適宜選択可能であり、例えば、板状体等でもよい。従って、金属部材30の形状は、特に限定されず、パイプ形状に代えて、例えば、板状体等でもよい。
本発明の複合材は、繊維強化プラスチック部材と金属部材との接続部に生じる熱に起因した応力を緩和し、繊維強化プラスチック部材と金属部材間の電食を防止し、また、繊維強化プラスチック部材と金属部材間の剥離が防止されているので、広汎な分野で利用可能であり、例えば、産業用ロボット等の生産関連装置、航空機、自動車、自転車等の輸送関連機器等の分野で利用価値が高い。
1 複合材
10 繊維強化プラスチック部材
20 弾性部材
30 金属部材

Claims (12)

  1. 金属部材と、前記金属部材上の少なくとも一部の領域にて前記金属部材と直接接して形成された、ゴム材料を有する弾性部材と、前記弾性部材上の少なくとも一部の領域にて前記弾性部材と直接接して形成された繊維強化プラスチックを有する繊維強化プラスチック部材と、を有し、
    前記弾性部材が、前記金属部材と前記繊維強化プラスチック部材との間に配置され、
    前記金属部材と前記弾性部材と前記繊維強化プラスチック部材とが一体化された複合材。
  2. 前記金属部材と前記弾性部材が直接接しており、前記金属部材と前記弾性部材の間に接着部材が介装されておらず、前記弾性部材と前記繊維強化プラスチック部材が直接接しており、前記弾性部材と前記繊維強化プラスチック部材の間に接着部材が介装されていない請求項1に記載の複合材。
  3. 前記金属部材、前記弾性部材及び前記繊維強化プラスチック部材が層状であり、前記複合材が積層体構造を有する請求項1または2に記載の複合材。
  4. 前記ゴム材料が、ニトリルゴム、フッ素ゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、水素化ニトリルゴム及びシリコーンゴムからなる群から選択された少なくとも1種である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の複合材。
  5. 前記ゴム材料が、ニトリルゴム、フッ素ゴム及びブチルゴムからなる群から選択された少なくとも1種である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の複合材。
  6. 前記繊維強化プラスチックが、炭素繊維強化プラスチックである請求項1乃至5のいずれか1項に記載の複合材。
  7. 前記繊維強化プラスチック部材が、繊維配向角度が第1の方向である第1の層を形成する第1の前記繊維強化プラスチックと、繊維配向角度が前記第1の方向とは異なる第2の方向である第2の層を形成する第2の前記繊維強化プラスチックと、を有する多層構造体である請求項1乃至6のいずれか1項に記載の複合材。
  8. 前記金属部材が、アルミニウムまたはアルミニウム合金である請求項1乃至7のいずれか1項に記載の複合材。
  9. パイプ状に成形された前記複合材であり、前記金属部材が、パイプ状に成形された前記複合材の内面を形成している請求項1乃至8のいずれか1項に記載の複合材。
  10. 繊維に樹脂を含ませた未硬化または半硬化材料である繊維強化プラスチック部材の前駆体を用意する工程と、
    用意された前記繊維強化プラスチック部材の前駆体上の少なくとも一部の領域に、未加硫のゴムを有する弾性部材の前駆体を直接積層させて、前記繊維強化プラスチック部材の前駆体と前記弾性部材の前駆体との積層体を得る工程と、
    得られた前記積層体を、表面処理をした金属部材上の少なくとも一部の領域に、前記弾性部材の前駆体を前記金属部材の表面処理をした面に対向させた状態で直接積層させて、複合材の前駆体を得る工程と、
    得られた前記複合材の前駆体を加熱処理することで、前記繊維強化プラスチック部材の前駆体の前記樹脂を熱硬化させて、繊維強化プラスチックを有する繊維強化プラスチック部材と、前記弾性部材の前駆体の前記未加硫のゴムを加硫してゴム材料を有する弾性部材と、を得て、前記金属部材と前記弾性部材と前記繊維強化プラスチック部材を一体化する一体化工程と、
    を有する複合材の製造方法。
  11. 用意された前記繊維強化プラスチック部材の前駆体上に、接着部材を介さずに、直接、加硫剤の配合された未加硫のゴムを有する弾性部材の前駆体を積層させる請求項10に記載の複合材の製造方法。
  12. 前記金属部材が、パイプ形状であり、得られた前記積層体を、前記金属部材の外周面に、接着部材を介さずに、直接、巻回して、前記複合材の前駆体を得る請求項10または11に記載の複合材の製造方法。
JP2021198990A 2021-12-08 2021-12-08 複合材及び複合材の製造方法 Pending JP2023084738A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021198990A JP2023084738A (ja) 2021-12-08 2021-12-08 複合材及び複合材の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021198990A JP2023084738A (ja) 2021-12-08 2021-12-08 複合材及び複合材の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023084738A true JP2023084738A (ja) 2023-06-20

Family

ID=86775413

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021198990A Pending JP2023084738A (ja) 2021-12-08 2021-12-08 複合材及び複合材の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023084738A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5329649B2 (ja) タービン翼半体の製造方法、タービン翼半体、タービン翼の製造方法およびタービン翼
US5827383A (en) Stiffener reinforced assembly and method of manufacturing same
JP2741330B2 (ja) 回転体用金属被覆炭素繊維強化プラスチックパイプ及びその製造方法
US20080224440A1 (en) Crank for Bicycle and Method of Producing the Same
GB2045391A (en) Reinforced tubular structure
CA2434753A1 (en) Forming structural assemblies with 3-d woven joint pre-forms
US20070176327A1 (en) Method of manufacturing an elongate structural element configured for stiffening a shell structure, and a method for manufacturing a rigid shell structure integrated with at least one elongate stiffening element
JP2001310798A (ja) 繊維強化複合材からなる胴体構造体の製造方法、及びそれにより製造される胴体構造体
JP2003011231A (ja) 複合材パネルの製造方法
US10105898B2 (en) Resin joined body, manufacturing method of resin joined body, and vehicle structure
US20170066216A1 (en) Composite material structure and method of manufacturing composite material structure
JP2010260344A (ja) 管状体及びその製造方法
US20160075105A1 (en) Automotive vehicle exterior laminate component and method of forming same
JP2023084738A (ja) 複合材及び複合材の製造方法
WO2023100438A1 (ja) ゴルフクラブシャフト、ゴルフクラブ及びゴルフクラブシャフトの製造方法
WO2023100437A1 (ja) 複合材及び複合材の製造方法
JPH084280Y2 (ja) 繊維強化複合円筒殻
US20170284099A1 (en) Composite structural element and method of producing the same
CN118302231A (en) Golf club shaft, golf club, and method for manufacturing golf club shaft
KR100959389B1 (ko) 다축 프리프레그 시트 및 그 제조방법
JP6831378B2 (ja) 繊維強化複合体における又はこれに関連する改良
US20100034997A1 (en) Metal-composite bonding methods and compositions
JPH0868417A (ja) 繊維強化樹脂製プロペラシャフト及びその製造方法
EP4316613A1 (en) Shaft, method for manufacturing same, and shaft for golf club
JPH11286076A (ja) ゴム複合材及びその製造方法