JP2023084021A - 自動変速機の油圧制御装置 - Google Patents

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Abstract

Figure 2023084021000001
【課題】油温が高くなりすぎることを抑制できる自動変速機の油圧制御装置を提供すること。
【解決手段】自動変速機の油圧回路13は、オイルポンプ22と、油圧アクチュエータ24と、オイルクーラ25と、ライン圧調整バルブ23aとを備えている。ライン圧調整バルブ23aの開度が高いほど、油圧アクチュエータ24に向かうオイルの量が多くなってライン圧が高くなる一方で、オイルクーラ25に向かうオイルの量が少なくなる。油圧制御装置50は、ライン圧指示値に基づいてライン圧調整バルブ23aの開度を制御する。油圧制御装置50は、エンジン回転数が小さいほど小さい値をライン圧指示値の上限として設定する設定処理を実行する。
【選択図】図2

Description

本発明は、自動変速機の油圧制御装置に関する。
特許文献1には、エンジンの出力トルクに基づいてライン圧指示値を設定し、当該ライン圧指示値に基づいてライン圧調整用の電磁弁の開度を調整することによってライン圧を制御する油圧制御装置の一例が記載されている。ライン圧とは、自動変速機の油圧アクチュエータなどへの供給油圧の基礎となる油圧である。
特開平8-278212号公報
オイルポンプから吐出されたオイルの油路は、上記油圧アクチュエータに向かう油路と、オイルクーラに向かう油路とを有している。すなわち、オイルポンプから吐出されたオイルの一部は上記油圧回路に供給され、残りがオイルクーラに供給される。オイルがオイルクーラを通過することによって、自動変速機の油圧回路を循環するオイルの温度が高くなりすぎることが抑制される。
ここで、当該油圧回路にあっては、上記の電磁バルブの開度が大きいほど、オイルポンプから吐出されたオイルのうち、上記油圧アクチュエータに向かうオイルの量が多くなってライン圧を高くなる一方、オイルクーラに向かうオイルの量が少なくなる。そのため、電磁バルブを全開にすると、オイルクーラに向かう油量が著しく少なくなり、油温が高くなりやすくなる。
上述したように上記の油圧制御装置では、エンジンの出力トルクに基づいてライン圧指示値を設定するようにしている。そのため、例えばエンジン回転数が小さいなどの理由によってオイルポンプのオイル吐出量が比較的少ない状況下で、ライン圧指示値として大きい値が設定されることがあり得る。このような場合、上記の電磁バルブの開度を大きくしてライン圧をライン圧指示値に向けて上昇させることになる。しかし、オイルポンプのオイル吐出量に対してライン圧指示値が高すぎると、電磁バルブを全開にしてもライン圧をライン圧指示値に到達させることができないおそれがある。このような場合、電磁バルブが全開となってオイルクーラにオイルがほとんど供給されない状態が続いてしまう。その結果、油温が高くなりすぎるおそれがある。
上記課題を解決するための自動変速機の油圧制御装置は、駆動源の駆動によってオイルを吐出するオイルポンプと、油圧アクチュエータと、オイルを冷却するオイルクーラと、前記オイルポンプから吐出されたオイルのうち、前記油圧アクチュエータに向かうオイルと前記オイルクーラに向かうオイルとに分配するライン圧調整バルブと、を備え、前記ライン圧調整バルブの開度が高いほど、前記油圧アクチュエータに向かうオイルの量が多くなって前記油圧アクチュエータに供給される油圧であるライン圧が高くなるように構成された自動変速機に適用される。この油圧制御装置は、前記ライン圧の指示値であるライン圧指示値に基づいて前記ライン圧調整バルブの開度を制御する制御部を備えている。前記制御部は、前記駆動源の回転数が小さいほど小さい値を前記ライン圧指示値の上限として設定する設定処理を実行する。
上記構成によれば、駆動源の回転数が比較的小さいためにオイルポンプのオイル吐出量が比較的少ない場合には、ライン圧指示値が大きくなりにくくなる。その結果、ライン圧調整バルブの開度を大きくしてもライン圧をライン圧指示値まで上昇させることができない事象の発生を抑制できる。すなわち、ライン圧調整バルブが全開となってオイルクーラにほとんどオイルが供給されない事象が長く続くことを抑制できる。したがって、油温が高くなりすぎることを抑制できる。
図1は、実施形態の油圧制御装置が搭載される車両の動力伝達系の概略を示す構成図である。 図2は、同油圧制御装置と、自動変速機の油圧回路との概略を示す構成図である。 図3は、同油圧制御装置のCPUが実行する処理ルーチンを説明するフローチャートである。 図4は、ライン圧指示値の上限とオイルポンプのオイル吐出量との関係を示すマップである。
以下、自動変速機の油圧制御装置の一実施形態を図1~図4に従って説明する。
図1には、本実施形態の油圧制御装置50が搭載される車両10の動力伝達系が図示されている。
<車両10の動力伝達系>
車両10は、エンジン11と自動変速機12とプロペラ軸14とディファレンシャル15と複数の駆動輪16とを備えている。自動変速機12は、油圧駆動式の多段変速機であり、油圧回路13を備えている。自動変速機12から出力されたトルクは、プロペラ軸14及びディファレンシャル15を介して複数の駆動輪16に伝達される。
<油圧回路13>
図2に示すように、油圧回路13は、オイルパン21とオイルポンプ22と調圧機構23と油圧アクチュエータ24とオイルクーラ25とを備えている。オイルパン21には油圧回路13を循環するオイルが貯留される。オイルポンプ22は、エンジン11から自動変速機12に入力された回転を受けて動作する。そして、オイルポンプ22は、その動作に応じてオイルパン21内のオイルを汲み上げ、当該オイルを加圧して吐出する。本実施形態では、エンジン11が、オイルポンプ22の駆動源に対応する。オイルポンプ22から吐出されたオイルは、油圧アクチュエータ24及びオイルクーラ25に分配される。
油圧回路13は、オイルポンプ22から吐出されたオイルを油圧アクチュエータ24に供給する第1油路26と、第1油路26から分岐する第2油路27とを備えている。第2油路27は、オイルポンプ22から吐出されたオイルをオイルクーラ25に供給する油路である。
調圧機構23は、第1油路26における第2油路27との分岐点よりも油圧アクチュエータ24側に配置されている。調圧機構23は、油圧アクチュエータ24への供給油圧であるライン圧を調整すべく作動する。調圧機構23は、電磁式のライン圧調整バルブ23aを有している。ライン圧調整バルブ23aの開度によって、オイルポンプ22が吐出したオイルのうち、油圧アクチュエータ24に向かうオイルの量と、オイルクーラ25に向かうオイルの量との分配率が調整される。すなわち、ライン圧調整バルブ23aの開度が高いほど、オイルポンプ22から吐出されたオイルのうち、油圧アクチュエータ24に向かうオイルの量が増え、ライン圧が高くなる。一方、当該開度が高いほど、オイルポンプ22から吐出されたオイルのうち、オイルクーラ25に向かうオイルの量が減る。
油圧アクチュエータ24は、自動変速機12内におけるオイルの供給必要箇所へのオイル供給を調整する。供給必要箇所は、例えば、トルクコンバータ、及び、クラッチやブレーキなどの摩擦係合要素である。油圧アクチュエータ24は、例えば、複数の電磁弁を有している。
オイルクーラ25は、油圧回路13を循環するオイルを冷却する。具体的には、オイルクーラ25は、第2油路27を介してオイルクーラ25内に流入したオイルを冷却し、冷却したオイルをオイルパン21内に還流する。
なお、油圧回路13には、ライン圧Pを検出する油圧センサ31が設けられている。油圧センサ31の検出信号が油圧制御装置50に出力される。
<油圧制御装置50>
油圧制御装置50には、油圧センサ31などの複数のセンサから検出信号が入力される。油圧制御装置50は、油圧センサ31の検出信号を基にライン圧Pを検出する。油圧センサ31以外のセンサとしては、例えば、クランク角センサ32を挙げることができる。油圧制御装置50は、クランク角センサ32の検出信号を基に、エンジン回転数Neを検出する。このエンジン回転数Neが「駆動源の回転数」に対応する。
油圧制御装置50は、CPU51とメモリ52とを備えている。メモリ52には、CPU51が実行する制御プログラムなどが記憶されている。そして、当該制御プログラムをCPU51が実行することにより、CPU51が、ライン圧調整バルブ23a及び油圧アクチュエータ24を制御する。したがって、本実施形態では、CPU51が「制御部」に対応する。
<ライン圧Pの制御処理>
図3及び図4を参照し、ライン圧Pの制御処理について説明する。図3に示す処理ルーチンは、ライン圧調整バルブ23aの開度を制御するために所定の制御サイクル毎にCPU51によって実行される。
図3に示すように、本処理ルーチンにおいてステップS11では、CPU51は、ライン圧に対する要求値であるライン圧要求値PRqを取得する。ライン圧要求値PRqは、そのときの車速及び自動変速機12の変速段などによって決まるものである。
次のステップS13において、CPU51は、ライン圧指示値の上限PLを設定する。ライン圧指示値PTrは、ライン圧Pの指示値であり、ライン圧調整バルブ23aの開度を制御する際に用いられる。本実施形態では、CPU51は図4に示すマップを用いて上限PLを設定する。
図4には、ライン圧指示値の上限PLとオイルポンプ22のオイル吐出量との関係を示すマップが図示されている。当該マップでは、オイル吐出量が多いほど上限PLが高くなる。エンジン回転数Neが大きいほど、オイル吐出量は高くなる。そこで、CPU51は、エンジン回転数Neを基にオイル吐出量を推定する。そして、CPU51は、このオイル吐出量の推定値に応じた値を、図4に示すマップから上限PLとして取得する。これにより、CPU51は上限PLを設定できる。したがって、本実施形態では、ステップS13の処理が、エンジン回転数Neが小さいほど小さい値を上限PLとして設定する「設定処理」に対応する。
図3に戻り、上限PLの設定が完了すると、CPU51は、処理をステップS15に移行する。ステップS15において、CPU51は、ライン圧要求値PRqと上限PLとのうちの小さい方をライン圧指示値PTrとして設定する。
次のステップS17において、CPU51は、ライン圧指示値PTrに基づいてライン圧調整バルブ23aの開度を制御する。具体的には、CPU51は、ライン圧Pがライン圧指示値PTrよりも低いときにはライン圧調整バルブ23aの開度を高くする一方、ライン圧Pがライン圧指示値PTrよりも高いときにはライン圧調整バルブ23aの開度を低くする。こうしたバルブ制御を行うと、CPU51は、本処理ルーチンを一旦終了する。
<本実施形態の作用及び効果>
エンジン回転数Neが比較的小さい場合、オイルポンプ22のオイル吐出量が比較的少ないため、すなわちオイルポンプ22のオイル吐出圧が比較的低いため、ライン圧Pを高くしにくい。そこで、本実施形態では、エンジン回転数Neが小さい場合には、エンジン回転数Neが大きい場合と比較して大きい値がライン圧指示値PTrとして設定されにくくしている。
具体的には、エンジン回転数Neが小さいほど小さい値がライン圧指示値の上限PLとして設定される。そして、上限PLを上回らないようにライン圧指示値PTrが設定される。これにより、エンジン回転数Neが小さいほど、ライン圧指示値PTrが大きくなりにくくなる。
本実施形態では、このように設定されたライン圧指示値PTrに基づいてライン圧調整バルブ23aの開度が制御される。その結果、ライン圧調整バルブ23aの開度が全開になることを抑制でき、ひいてはオイルクーラ25にほとんどオイルが供給されない事象が長く続くことが抑制される。すなわち、オイルクーラ25によってオイルが冷却されなくなることを抑制できる。したがって、油圧回路13を循環するオイルの温度が高くなりすぎることを抑制できる。
<変更例>
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・オイルポンプ22の駆動源は、エンジン11ではなくてもよい。例えば、オイルポンプ22は、電気モータを駆動源とするポンプであってもよい。この場合、油圧制御装置が搭載される車両としては、エンジン11及び電気モータを動力源として備えるハイブリッド車両であってもよいし、動力源としてエンジン11を備えない一方で電気モータを備える車両であってもよい。
・油圧制御装置50が適用される自動変速機は、オイルポンプ22を有しているのであれば、多段変速機でなくてもよい。例えば、自動変速機は無段式の変速装置であってもよい。
・油圧制御装置50は、CPU51とメモリ52とを備えて、ソフトウェア処理を実行するものに限らない。すなわち、油圧制御装置50は、以下(a)~(c)の何れかの構成であればよい。
(a)油圧制御装置50は、コンピュータプログラムに従って各種処理を実行する一つ以上のプロセッサを備えている。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROMなどのメモリを含んでいる。メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード又は指令を格納している。メモリ、すなわちコンピュータ可読媒体は、汎用又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含んでいる。
(b)油圧制御装置50は、各種処理を実行する一つ以上の専用のハードウェア回路を備えている。専用のハードウェア回路としては、例えば、特定用途向け集積回路、すなわちASIC又はFPGAを挙げることができる。なお、ASICは、「Application Specific Integrated Circuit」の略記であり、FPGAは、「Field Programmable Gate Array」の略記である。
(c)油圧制御装置50は、各種処理の一部をコンピュータプログラムに従って実行するプロセッサと、各種処理のうちの残りの処理を実行する専用のハードウェア回路とを備えている。
11…エンジン
12…自動変速機
13…油圧回路
22…オイルポンプ
23a…ライン圧調整バルブ
24…油圧アクチュエータ
25…オイルクーラ
50…油圧制御装置
51…CPU

Claims (1)

  1. 駆動源の駆動によってオイルを吐出するオイルポンプと、油圧アクチュエータと、オイルを冷却するオイルクーラと、前記オイルポンプから吐出されたオイルのうち、前記油圧アクチュエータに向かうオイルと前記オイルクーラに向かうオイルとに分配するライン圧調整バルブと、を備え、前記ライン圧調整バルブの開度が高いほど、前記油圧アクチュエータに向かうオイルの量が多くなって前記油圧アクチュエータに供給される油圧であるライン圧が高くなるように構成された自動変速機に適用され、
    前記ライン圧の指示値であるライン圧指示値に基づいて前記ライン圧調整バルブの開度を制御する制御部を備え、
    前記制御部は、前記駆動源の回転数が小さいほど小さい値を前記ライン圧指示値の上限として設定する設定処理を実行する
    自動変速機の油圧制御装置。
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