JP2023082760A - 亜酸化銅粒子、その製造方法、光焼結型組成物及びそれを用いた導電膜の形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】低抵抗である上に、均一であり且つ基材との密着性に優れる導電膜を光照射により形成することのできる光焼結型組成物を提供すること。【解決手段】スズ、マンガン、バナジウム、セリウム及び銀からなる群から選択される少なくとも1種の添加元素を含有し且つ一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子と、溶媒とを含む光焼結型組成物である。【選択図】図1
Description
本発明は、亜酸化銅粒子、その製造方法、光焼結型組成物及びそれを用いた導電膜の形成方法に関する。
基材上に導電膜を形成する方法として、金属酸化物粒子の分散体を基材に塗布して塗膜を形成した後、その塗膜に加熱処理又は光照射処理を施して焼結させる技術が知られている。特に、光照射処理を施す方法は、低温で焼結させることができるため、耐熱性の低い樹脂基材への適用が可能であるという利点がある。このような用途に用いることができる亜酸化銅粒子として、例えば、特許文献1には、アルカリ溶液と2価の鉄イオンが添加された銅イオン含有溶液の一方を他方に添加して水酸化銅を生成させた後、還元剤を添加して亜酸化銅粒子を還元析出させて得られる、走査型電子顕微鏡により測定される平均一次粒子径が0.5μm以下であり且つ30ppm以上の鉄を含有する亜酸化銅粉末が開示されている。
本発明者らが、特許文献1に記載の亜酸化銅粉末の分散体を用いて塗膜を形成し、その塗膜に光を照射して亜酸化銅粉末の還元処理を行ったところ、塗膜の一部が飛散して導電膜が不均一に形成されたり、銅への還元焼結が不十分であるために基材との密着性の低い導電膜が形成されるということが分かった。
従って、本発明は、低抵抗である上に、均一であり且つ基材との密着性に優れる導電膜を光照射により形成することのできる光焼結型組成物及びそれを用いた導電膜の形成方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記実情を鑑みて鋭意研究を重ねた結果、特定の添加元素を含有し且つ特定の形状を有する亜酸化銅粒子、並びにその亜酸化銅粒子を含む光焼結型組成物が、上記課題を解決できることを見出し本発明の完成に至った。
即ち、本発明は、スズ、マンガン、バナジウム、セリウム及び銀からなる群から選択される少なくとも1種の添加元素を含有し且つ一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有することを特徴とする亜酸化銅粒子である。
また、本発明は、上記亜酸化銅粒子と、溶媒とを含むことを特徴とする光焼結型組成物である。
また、本発明は、上記亜酸化銅粒子と、溶媒とを含むことを特徴とする光焼結型組成物である。
本発明によれば、低抵抗である上に、均一であり且つ基材との密着性に優れる導電膜を光照射により形成することのできる光焼結型組成物、並びにその光焼結型組成物の原料として用いられる亜酸化銅粒子を提供することができる。
本発明による亜酸化銅粒子は、スズ、マンガン、バナジウム、セリウム及び銀からなる群から選択される少なくとも1種の添加元素を含有し且つ一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有するものである。立方体又は直方体の形状の亜酸化銅粒子同士が面接触することにより光焼結が円滑に進行する。立方体又は直方体の一辺の長さは、立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)により1万~10万倍の拡大倍率で観察した像において測定したものである。立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の1辺の長さは、分散性の向上及び充填率が向上することにより粒子同士の接触面積が増大することで光焼結が進行しやすくなるといった観点から、好ましくは30nm~900nmである。
本明細書において、「一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子」とは、一辺の長さが10nm~1,000nmの範囲内にあれば、立方体又は直方体の頂点の一部が面取りされた不完全な形状のものも含むこととする。
本明細書において、「一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子」とは、一辺の長さが10nm~1,000nmの範囲内にあれば、立方体又は直方体の頂点の一部が面取りされた不完全な形状のものも含むこととする。
本発明に係る亜酸化銅粉末は、上記亜酸化銅粒子を含有するものである。なお、本発明において前記「一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子」の含有率は、サンプルを走査型電子顕微鏡(SEM)により1万~10万倍の拡大倍率で観察した像において、任意に抽出した粒子100個について、下記計算式により求められる個数基準での含有率が80%以上、好ましくは90%以上であることが粒子同士の接触面積が増大し光焼結が進行しやすくなる観点から好ましい。
一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の個数基準での含有率(%)=[(一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の個数/測定した亜酸化銅粒子の総数)×100]
一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の個数基準での含有率(%)=[(一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の個数/測定した亜酸化銅粒子の総数)×100]
また、本発明に係る亜酸化銅粉末に含有される一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の平均一次粒子径は15nm~1000nm、好ましくは30nm~900nmであることが分散性及び充填率が向上することにより粒子同士の接触面積が増大することで光焼結が進行しやすくなるといった観点から好ましい。なお、亜酸化銅粉末に含有される亜酸化銅粒子の平均一次粒子径は、サンプルを倍率1万~10万で走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した像において、任意に抽出した一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子50個について測定した粒子径の平均値である。ここで測定する粒子径は、亜酸化銅粒子の像を横断する線分のうち最も大きい長さ(最大長さ)とする。
亜酸化銅粉末における添加元素の好ましい含有量は、添加元素の種類に応じて異なるが、通常、1ppm~30,000ppmの範囲内である。添加元素がスズである場合、スズイオンの溶解度及び立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の一辺の長さの制御の観点から、その含有量は1ppm~30,000ppmであることが好ましく、10ppm~10,000ppmであることがより好ましく、300ppm~3,000ppmであることが最も好ましい。添加元素がマンガンである場合、マンガンイオンの溶解度及び立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の一辺の長さの制御の観点から、その含有量は10ppm~20,000ppmであることが好ましく、30ppm~10,000ppmであることがより好ましく、500ppm~5,000ppmであることが最も好ましい。添加元素がバナジウムである場合、バナジウムイオンの溶解度及び立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の一辺の長さの制御の観点から、その含有量は10ppm~20,000ppmであることが好ましく、30ppm~10,000ppmであることがより好ましく、300ppm~3,000ppmであることが最も好ましい。添加元素がセリウムである場合、セリウムイオンの溶解度及び立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の一辺の長さの制御の観点から、その含有量は10ppm~30,000ppmであることが好ましく、30ppm~20,000ppmであることがより好ましく、500ppm~18,000ppmであることが最も好ましい。添加元素が銀である場合、銀イオンの溶解度及び立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の一辺の長さの制御の観点から、その含有量は1ppm~30,000ppmであることが好ましく、5ppm~20,000ppmであることがより好ましく、100ppm~5,000ppmであることが最も好ましい。これらの添加元素の中でも、低融点であり且つ低抵抗であるという観点から、スズが好ましい。なお、本発明において、亜酸化銅粉末における添加元素の含有量は、亜酸化銅粉末1gを濃塩酸10mlで溶解させ、その液中の添加元素量をICP発光分析装置(株式会社島津製作所製ICPS-8100)により測定した値である。
本発明による亜酸化銅粒子は、銅イオンと、2価のスズイオン、2価のマンガンイオン、4価のバナジウムイオン、3価のセリウムイオン及び1価の銀イオンからなる群から選択される少なくとも1種の添加イオンとを含有する水溶液をアルカリ溶液と混合して水酸化銅を生成させた後、還元糖溶液を添加して亜酸化銅粒子を還元析出させる方法により製造することができる。水酸化銅を生成させる際及び亜酸化銅粒子を還元析出させる際は、溶液が均質になるように溶液を攪拌することが好ましい。ここでの攪拌速度は、粒子径及び粒子形状の制御という観点から、周速0.1m/s~40m/sであることが好ましい。
水溶液に含有される銅イオン源としては、塩化銅、硫酸銅、硝酸銅、シアン化銅、チオシアン化銅、フッ化銅、臭化銅、ヨウ化銅、炭酸銅、リン酸銅、ホウフッ化銅、水酸化銅、ピロリン酸銅等の無機銅化合物、酢酸銅、乳酸銅等の有機銅化合物それらの水和物等を用いることができる。これらの銅イオン源は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの銅イオン源の中でも、水への溶解度が大きく且つ安価であるという観点から、塩化銅及び硫酸銅を用いるのが好ましい。水溶液中の銅イオン濃度は、反応効率の観点から、0.1モル/L~2モル/Lであることが好ましい。銅イオン濃度が0.1モル/L未満であると、反応効率が低下し、亜酸化銅の収率が低下する場合がある。一方、銅イオン濃度が2モル/L超であると、凝集が生じやすくなる。
水溶液に含有される2価のスズイオン、2価のマンガンイオン、3価及び4価のバナジウムイオン、3価のセリウムイオン及び1価の銀イオンからなる群から選択される少なくとも1種の添加イオンは、得られる亜酸化銅粒子の銅への還元焼結性を向上させるという効果を有する。2価のスズイオン源としては、塩化スズ(II)、硫酸スズ(II)、酸化スズ(II)、フッ化スズ(II)、臭化スズ(II)、ヨウ化スズ(II)等の無機スズ化合物、酢酸スズ(II)等の有機スズ化合物、それらの水和物等を用いることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。2価のマンガンイオン源としては、硫酸マンガン(II)、塩化マンガン(II)、硝酸マンガン(II)等の無機マンガン化合物、酢酸マンガン(II)等の有機マンガン化合物、それらの水和物等を用いることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。4価のバナジウムイオン源としては、酸化硫酸バナジウム(IV)、四塩化バナジウム(IV)、酸化塩酸バナジウム(IV)、塩化バナジウム(III)、酸化バナジウム(III)、酸化バナジウム(IV)等の無機バナジウム化合物、四酢酸バナジウム(IV)等の有機バナジウム化合物、それらの水和物等を用いることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。3価のセリウムイオン源としては、塩化セリウム(III)、酸化セリウム(III)、硝酸セリウム(III)、硫酸セリウム(III)、フッ化セリウム(III)、臭化セリウム(III)、ヨウ化セリウム(III)等の無機セリウム化合物、シュウ酸セリウム(III)、酢酸セリウム(III)等の有機セリウム化合物、それらの水和物等を用いることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。1価の銀イオン源としては、クロム酸銀(I)、二クロム酸銀(I)、酸化銀(I)、ジシアノ銀(I)酸カリウム、シアン化銀(I)、臭化銀(I)、硝酸銀(I)、セレン酸銀(I)、タングステン酸銀(I)、炭酸銀(I)、チオシアン酸銀(I)、テルル化銀(I)、ふっ化銀(I)、モリブデン酸銀(I)、よう化銀(I)、硫化銀(I)、硫酸銀(I)、リン酸銀(I)、二リン酸銀(I)、亜硝酸銀(I)、イソシアン酸銀(I)、塩化銀(I)、過塩素酸銀(I)等の無機銀化合物、クエン酸銀(I)、酢酸銀(I)、乳酸銀(I)、ギ酸銀(I)、安息香酸銀(I)等の有機銀化合物、それらの水和物等を用いることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。水溶液中の添加イオン濃度は、最終的に得られる亜酸化銅粒子中の添加元素の含有量が上述した好ましい範囲内となる濃度であれば特に限定されるものではないが、共析物として亜酸化銅に取り込まれやすく且つ共析物が光焼結を容易にさせるという観点から、銅イオン1モルに対して、0.001モル~0.1モルであることが好ましい。
アルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリを水に溶解させた一般的なものを用いることができる。アルカリの濃度は、最終的に得られる立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の一辺の長さの制御及び還元反応の制御の観点から、アルカリ溶液と混合される銅イオン含有水溶液に含まれる銅イオン1モルに対して、1モル~5モルとなる量であることが好ましく、2.5モル~3.5モルとなる量であることがより好ましい。アルカリの濃度が1モル未満であると、亜酸化銅への還元が不十分となり、反応効率が低下する場合がある。一方、アルカリの濃度が5モル超であると、亜酸化銅の一部が銅まで還元される場合がある。
銅イオン含有水溶液をアルカリ溶液と混合して水酸化銅を生成させる際の反応温度は、30℃~95℃である。なお、ここでの反応温度を上記範囲内で変えることで、最終的に得られる立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の一辺の長さを制御することができる。具体的には、反応温度を高くすることで、最終的に得られる立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の一辺の長さを長くすることができる。反応時間は、特に限定されるものではないが、銅イオンの濃度、アルカリ溶液の種類及び濃度並びに反応温度によっては、混合直後から水酸化銅が生成されることから、0分超~120分以下であればよい。反応時間が120分超であると、添加イオンの作用により水酸化銅から酸化銅が徐々に生成される。
還元糖溶液に含まれる還元糖としては、グルコース、フルクトース、マルトース、ラクトース等を使用することができる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの還元糖の中でも、加水分解せずに効率的に亜酸化銅への還元を促進することができ、粒子径及び粒子形状の制御が容易であるという観点から、グルコースが好ましい。還元糖溶液中の還元糖の濃度は、0.2モル/L~5モル/Lであることが好ましい。還元糖の濃度が0.2モル/L未満であると、反応速度が遅くなり、亜酸化銅粒子の形状が立方体又は直方体になり難くなる。一方、還元糖の濃度が5モル/L超であると、還元反応が局所的に起こるようになり、立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の一辺の長さのばらつきが大きくなる傾向がある。還元糖溶液は、還元速度の制御の観点から、水酸化銅1モルに対して、還元糖が0.2モル~3モルとなるように、0秒超~60秒で添加する。水酸化銅1モルに対する還元糖の量が0.2モル未満であると、反応速度が遅くなり、反応効率が低下する。一方、水酸化銅1モルに対する還元糖の量が3モル超であると、亜酸化銅の一部が銅まで還元されて凝集が生じる場合がある。水酸化銅1モルに対する還元糖の好ましい量は、0.5モル~2モルである。また、添加時間が60秒超であると、亜酸化銅の一次粒子の粒子径及び形状を制御することができない。好ましい添加時間は、0秒超~45秒である。
還元糖溶液を添加した後、溶液を攪拌しながら亜酸化銅粒子を還元析出させる。亜酸化銅粒子を還元析出させる際の温度は、30℃~95℃である。更に、水酸化銅の生成が開始してから還元反応が終了するまでの温度上昇幅を15℃以下に維持することが重要である。水酸化銅の生成開始から亜酸化銅粒子の還元析出終了までの温度上昇幅が15℃超となると、立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子を析出させることが難しくなる。水酸化銅の生成開始から亜酸化銅粒子の還元析出終了までの温度上昇幅は、好ましくは0℃~15℃であり、より好ましくは0℃~10℃である。なお、ここでの還元反応の温度を上記範囲内で変えることで、最終的に得られる立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の一辺の長さを制御することができる。具体的には、還元反応温度を高くすることで、最終的に得られる立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の一辺の長さを長くすることができる。この還元反応を行う時間は、5分~120分である。還元反応時間が5分未満であると、水酸化銅から亜酸化銅への還元が不十分となる場合がある。一方、還元反応時間が120分超であると、析出した亜酸化銅の一部が酸化して酸化銅になる場合がある。好ましい還元反応時間は、10分~60分である。
析出した亜酸化銅粒子を含有するスラリーを濾過し、水洗することによって、亜酸化銅ケーキが得られる。濾過及び水洗の方法としては、フィルタープレス等により粒子を固定した状態で水洗する方法、スラリーをデカントし、その上澄みを除去した後に純水を加えて攪拌し、その後、再びデカントして上澄み液を除去する操作を繰り返す方法、濾過後の亜酸化銅粒子をリパルプした後に再び濾過する操作を繰り返す方法等を挙げることができる。得られた亜酸化銅粒子に対し、必要に応じて、酸化防止処理を行ってもよい。例えば、糖類、多価アルコール類、ゴム、へプトン、カルボン酸類、フェノール類、パラフィン、メルカプタン類の有機物質、シリカ等の無機物質を用いて酸化防止処理を施し、その後、得られた亜酸化銅ケーキを、銅へと還元させず且つ酸化銅へと酸化させない雰囲気及び温度(例えば、真空下、30℃~150℃)で乾燥することによって、亜酸化銅粒子を得ることができる。また、得られた亜酸化銅粒子に対し、必要に応じて、解砕、篩い分け等の処理を行ってもよい。
上述のようにして得られる亜酸化銅粒子は、光照射による銅への還元焼結性に優れているので、光焼結型組成物の原料として有用であるが、船底塗料、銅粉原料、防汚塗料の原料、殺菌剤、農薬、導電塗料、着色剤、触媒等の分野でも使用することができる。また、上述した立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の含有率が個数基準で80%以上、好ましくは90%以上である亜酸化銅粉末も同様の分野において使用することができる。
本発明による光焼結型組成物は、上述した亜酸化銅粒子と、溶媒とを含むものである。本発明による光焼結型組成物は、導電膜形成材料として用いられるだけでなく、銅配線形成材料、銅接合材料、銅めっき代替材料、整流器用材料、太陽電池用材料等として用いることもできる。粘度の上昇を抑制し且つ十分な厚さの導電膜を形成するという観点から、亜酸化銅粒子は、光焼結型組成物に対して、10質量%~90質量%含まれることが好ましく、20質量%~75質量%含まれることがより好ましい。亜酸化銅粒子の量が10質量%未満であると、光焼結型組成物を基材に塗布しても十分な厚さの塗膜が得られず、光焼結後に連続した導電膜とならない場合がある。一方、亜酸化銅粒子の量が90質量%超であると、固形成分が多くなり光焼結型組成物の粘度が上昇し、基材への塗布が困難になる場合がある。粘度上昇の抑制、取扱い性及び光焼結性の観点から、溶媒は、光焼結型組成物に対して、10質量%~90質量%含まれることが好ましく、25質量%~80質量%含まれることがより好ましい。
溶媒としては、亜酸化銅粒子の分散媒として機能するものであれば、無機溶媒又は有機溶媒であっても特に限定されない。溶媒としては、例えば、水、一価アルコール、二価アルコール、三価アルコール等の多価アルコール、エーテル類、エステル類等を挙げることができる。水以外の溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、イソブタノール、1,3-プロパンジオール、1,2,3-プロパントリオール(グリセリン)、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)、トリプロピレングリコール、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、ターピネオール、ジヒドロターピネオール、ジヒドロテルピニルモノアセテート、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、エチルラクテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジブチルエーテル、オクタン、トルエン等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの溶媒の中でも、取扱い性、塗膜の乾燥性及び粘度の観点から、水が好ましく、また、光焼結型組成物中の各成分を良好に分散する観点から、ターピネオール及びジヒドロターピネオールが好ましい。
本発明の光焼結型組成物には、亜酸化銅粒子及び溶媒以外の追加成分が含まれてもよい。そのような追加成分としては、例えば、バインダー樹脂、分散剤、保護剤、粘度調整剤、沈降防止剤、チキソ性付与剤、還元剤、導電膜を形成する対象となる基材との親和剤、焼結助剤等を挙げることができる。ただし、これら追加成分は、乾燥工程で揮発するか、又は焼結工程でガス化して除去される物質であることが好ましい。特に炭素、水素、酸素及び窒素から構成される化合物であることが好ましい。
バインダー樹脂の具体例としては、例えば、セルロース樹脂及びその誘導体、ポリウレタン、ポリエステル樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリ-N-ビニル化合物、塩素化ポリオレフィン樹脂、ポリアクリル樹脂、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アルキッド樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、α-メチルスチレン重合体、テルペン樹脂、テルペンフェノール系樹脂、石油系樹脂、水添石油樹脂、シクロペンタジエン系石油樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリイソプレン系樹脂、ポリエーテル系樹脂、エチレンオキサイド系ポリマー等が挙げられる。バインダー樹脂は、通常、溶媒に溶解させて使用される。これらのバインダー樹脂は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。バインダー樹脂としては、基板に対する密着性を向上させ、溶剤に高濃度で溶解し、還元剤としての機能を有し、導電性の良好な導電膜を形成することができる樹脂であることが好ましい。また、バインダー樹脂を配合することで組成物の粘度調製を行い得るので、組成物をインクジェット印刷、スクリーン印刷などの各種印刷用途に適した粘度のものとすることができる。効果の程度に差はあるが、これらの中でも、塗布性、密着性、光焼結性などの観点から、特にエチルセルロース、アクリル樹脂、エポキシ樹脂が好ましい。
バインダー樹脂の含有量は、上述した溶媒と合計して、光焼結型組成物に対して、10質量%~90質量%の範囲内であればよい。塗布性及び密着性を向上させる観点から、バインダー樹脂は、光焼結型組成物に対して、0.01質量%~40質量%含まれることが好ましく、0.2質量%~30質量%含まれることがより好ましい。バインダー樹脂の量が40質量%を超えると光焼結型組成物の粘度が上昇し、良好な塗膜を形成することができない場合がある。また、バインダー樹脂が光焼結後の導電膜に余分な残存樹脂として残り、導電膜の抵抗値上昇が生じる場合もある。
本発明の導電膜の形成方法は、上述した光焼結型組成物を基材に塗布して塗膜を形成する工程と、その塗膜に光を照射することにより塗膜中の亜酸化銅粒子を還元する工程とを備えるものである。
導電膜を形成する対象となる基材の材質は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート等の樹脂;石英ガラス、ソーダガラス、無アルカリガラス等のガラス;鉄、銅、アルミニウム等の金属;シリコン、ゲルマニウム等の半金属;アルミナ、ジルコニア、窒化ケイ素、炭化ケイ素等のセラミックス;紙等が挙げられる。本発明の導電膜の形成方法では、基材を加熱し過ぎることがないので、耐熱性の低い樹脂基材上に導電膜を形成するのに好適である。
光焼結型組成物を基材に塗布する方法としては、光焼結型組成物の粘度、立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の一辺の長さ等に応じて適切な方法を選択すればよい。具体的な塗布方法としては、例えば、バーコーティング法、スプレー塗布法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、ロールコーティング法、インクジェット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法等を挙げることができる。塗膜の厚さは、目的とする導電膜の厚さに応じて適宜決定すればよいが、焼結性及び密着性の観点から、0.1μm~100μmであることが好ましい。塗膜の厚さが0.1μm未満であると、亜酸化銅粒子の焼結後の体積収縮に起因して連続した導電膜となりにくく、十分な導電性が得られない場合がある。一方、塗膜の厚さが100μm超であると、光照射エネルギーが塗膜の下部まで届かずに表層のみの焼結が起こり、導電膜が基材から剥がれ易くなる。
本発明の導電膜の形成方法は、塗膜の形成後、塗膜を乾燥する工程を更に備えることが好ましい。塗膜中に残存する溶媒を乾燥により除去することで、後述する還元工程において、導電膜に欠陥が発生するのを低減することができる。塗膜の乾燥には、送風乾燥機、温風乾燥機等の公知の乾燥機を用いることができる。塗膜の乾燥条件は、通常、60℃~120℃で5分~60分である。
塗膜中の亜酸化銅粒子を銅へ還元し、焼結させるには、公知の光照射装置を用いて塗膜に対して光を照射すればよい。光照射は、温度制御を容易に行うことができるという観点から、パルス光照射とすることが好ましい。パルス光照射としては、フラッシュランプによるパルス光照射が好ましく、キセノン(Xe)フラッシュランプによるパルス光照射がより好ましい。このようなパルス光照射を行うことのできる装置は、例えば、ゼノン・コーポレーション(Xenon Corporation)製のキセノンパルス光照射装置S-シリーズやNovacentrix社製の光焼成装置Pulse Forgeシリーズ等が挙げられる。特に、ゼノン・コーポレーション社製のS-2300は、1回のパルス光で電圧1/パルス幅1と単純なパルス光の設定ができる上、更に1回のパルス光で電圧1/パルス幅1の後連続して電圧2/パルス幅2と設定できる機能を持つため、条件の異なる2ステップ以上の連続したパルス光照射が可能である。このように、ゼノン・コーポレーション社製のS-2300は、焼結のための照射エネルギーを調整することができるため、亜酸化銅の焼結に好適である。ステップ数は亜酸化銅を焼結させることができれば特に限定されるものではなく、複数のステップ数を設定してもよい。
パルス光の照射エネルギー及びパルス幅は、亜酸化銅が銅に還元され焼結できるように、立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の一辺の長さ、溶媒の種類及び濃度、塗膜の厚さ、添加剤の種類等に応じて、適宜選定することができる。具体的には、十分に焼結させ且つ基材へのダメージを軽減するという観点から、焼結のための累積パルス光照射エネルギーは、0.001J/cm2~100J/cm2であることが好ましく、0.01J/cm2~30J/cm2であることがより好ましい。累積パルス光照射エネルギーは、パルス幅との兼ね合いになるが、0.001J/cm2未満であると、亜酸化銅粒子を十分に焼結させることができない場合があり、一方、100J/cm2超であると、亜酸化銅粒子が飛散したり、基材へのダメージが大きくなる場合がある。パルス光のパルス幅は、十分に焼結させ且つ基材へのダメージを軽減するという観点から、1μ秒~100m秒であることが好ましく、10μ秒~10m秒であることがより好ましい。パルス幅は、照射エネルギーとの兼ね合いになるが、1μ秒未満であると、亜酸化銅粒子を十分に焼結させることができない場合があり、一方、100m秒超であると、亜酸化銅粒子が飛散したり、基材へのダメージが大きくなる場合がある。
パルス光の照射回数は亜酸化銅を焼結させることができれば特に限定されるものではなく、同じ照射パターンを数回繰り返したり、様々な照射パターンを数回繰り返してもよい。生産性や基材へのダメージの観点から、5回以内の照射で焼結させることが好ましいが、基材の種類によってはこの限りではない。本発明の光焼結型組成物からなる塗膜は光を照射しても飛散しにくいため、パルス光の照射エネルギー及びパルス幅を調整することにより1回の照射で焼結させることもできる。
また、パルス光照射を行う雰囲気は、特に限定されるものではなく、大気雰囲気下、不活性ガス雰囲気下、還元性ガス雰囲気下等のいずれであってもよい。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
10Lの反応容器に48質量%の水酸化ナトリウム水溶液505.0g及び純水2000.0gを加え、反応容器内を撹拌しながら、反応容器内の温度を50℃に調整して、アルカリ溶液を調製した。
一方、3Lのガラスビーカーに塩化銅(II)二水和物344.41g(2モル)、純水1600.0g及び2価のスズイオン源としての塩化スズ(II)二水和物22.56g(0.1モル)を加えて、銅イオンと2価のスズイオンとを含有する水溶液を調製した。反応容器内の温度を50℃に維持しつつ、銅イオンと2価のスズイオンとを含有する水溶液を、反応容器に約90秒かけて添加した後、周速2.1m/sで攪拌しながら10分間保持し、水酸化銅を析出させた。
10Lの反応容器に48質量%の水酸化ナトリウム水溶液505.0g及び純水2000.0gを加え、反応容器内を撹拌しながら、反応容器内の温度を50℃に調整して、アルカリ溶液を調製した。
一方、3Lのガラスビーカーに塩化銅(II)二水和物344.41g(2モル)、純水1600.0g及び2価のスズイオン源としての塩化スズ(II)二水和物22.56g(0.1モル)を加えて、銅イオンと2価のスズイオンとを含有する水溶液を調製した。反応容器内の温度を50℃に維持しつつ、銅イオンと2価のスズイオンとを含有する水溶液を、反応容器に約90秒かけて添加した後、周速2.1m/sで攪拌しながら10分間保持し、水酸化銅を析出させた。
続けて2Lのガラスビーカーにグルコース371.46g(2モル)及び純水600gを加えて、還元糖溶液を調製した。反応容器内の温度を50℃に維持しつつ、還元糖溶液を、反応容器に約45秒かけて添加した後(水酸化銅1モルに対してグルコース1モル)、周速2.1m/sで攪拌しながら15分間保持した。その後、反応容器内の攪拌を止め、スラリーを濾過し、洗浄することによりケーキを調製した。このケーキを80℃で3時間、真空乾燥して、実施例1の亜酸化銅粒子を含む亜酸化銅粉末を得た。
実施例1で得られた亜酸化銅粉末の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図1に示す。この亜酸化銅粉末を走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10万倍で観察した結果、得られた亜酸化銅粉末は略立方体の形状を有しており、各辺の長さは50nm~130nmの範囲の亜酸化銅粒子を含むものであった。また、亜酸化銅粉末に含まれるスズの含有量は920ppmであった。
また、走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10万倍で観察した像において、任意に抽出した亜酸化銅粒子100個について、一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の個数を測定した結果、一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の個数基準での含有率は96%であった。
また、走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10万倍で観察した像において、任意に抽出した一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子50個の平均一次粒子径は99nmであった。
また、走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10万倍で観察した像において、任意に抽出した亜酸化銅粒子100個について、一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の個数を測定した結果、一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の個数基準での含有率は96%であった。
また、走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10万倍で観察した像において、任意に抽出した一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子50個の平均一次粒子径は99nmであった。
<実施例2>
塩化スズ(II)二水和物の添加量を11.28g(0.05モル)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の亜酸化銅粒子を含む亜酸化銅粉末を得た。この亜酸化銅粉末を走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10万倍で観察した結果、得られた亜酸化銅粉末は略立方体の形状を有しており、各辺の長さは90nm~170nmの範囲の亜酸化銅粒子を含むものであった。また、亜酸化銅粉末に含まれるスズの含有量は490ppmであった。
また、走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10万倍で観察した像において、任意に抽出した亜酸化銅粒子100個について、一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の個数を測定した結果、一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の個数基準での含有率は97%であった。
また、走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10万倍で観察した像において、任意に抽出した一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子50個の平均一次粒子径は155nmであった。
塩化スズ(II)二水和物の添加量を11.28g(0.05モル)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の亜酸化銅粒子を含む亜酸化銅粉末を得た。この亜酸化銅粉末を走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10万倍で観察した結果、得られた亜酸化銅粉末は略立方体の形状を有しており、各辺の長さは90nm~170nmの範囲の亜酸化銅粒子を含むものであった。また、亜酸化銅粉末に含まれるスズの含有量は490ppmであった。
また、走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10万倍で観察した像において、任意に抽出した亜酸化銅粒子100個について、一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の個数を測定した結果、一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の個数基準での含有率は97%であった。
また、走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10万倍で観察した像において、任意に抽出した一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子50個の平均一次粒子径は155nmであった。
<実施例3>
塩化スズ(II)二水和物の添加量を45.12g(0.20モル)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例3の亜酸化銅粒子を含む亜酸化銅粉末を得た。この亜酸化銅粉末を走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10万倍で観察した結果、得られた亜酸化銅粉末は略立方体の形状を有しており、各辺の長さは40nm~110nmの範囲の亜酸化銅粒子を含むものであった。また、亜酸化銅粉末に含まれるスズの含有量は1480ppmであった。
また、走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10万倍で観察した像において、任意に抽出した亜酸化銅粒子100個について、一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の個数を測定した結果、一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の個数基準での含有率は95%であった。
また、走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10万倍で観察した像において、任意に抽出した一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子50個の平均一次粒子径は72nmであった。
塩化スズ(II)二水和物の添加量を45.12g(0.20モル)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例3の亜酸化銅粒子を含む亜酸化銅粉末を得た。この亜酸化銅粉末を走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10万倍で観察した結果、得られた亜酸化銅粉末は略立方体の形状を有しており、各辺の長さは40nm~110nmの範囲の亜酸化銅粒子を含むものであった。また、亜酸化銅粉末に含まれるスズの含有量は1480ppmであった。
また、走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10万倍で観察した像において、任意に抽出した亜酸化銅粒子100個について、一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の個数を測定した結果、一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の個数基準での含有率は95%であった。
また、走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10万倍で観察した像において、任意に抽出した一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子50個の平均一次粒子径は72nmであった。
<実施例4>
塩化スズ(II)二水和物22.56g(0.1モル)の代わりに酢酸マンガン(II)四水和物24.51g(0.1モル)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例4の亜酸化銅粒子を含む亜酸化銅粉末を得た。この亜酸化銅粉末を走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10万倍で観察した結果、得られた亜酸化銅粉末は略立方体の形状を有しており、各辺の長さは50nm~120nmの範囲の亜酸化銅粒子を含むものであった。また、亜酸化銅粉末に含まれるマンガンの含有量は1800ppmであった。
また、走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10万倍で観察した像において、任意に抽出した亜酸化銅粒子100個について、一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の個数を測定した結果、一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の個数基準での含有率は95%であった。
また、走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10万倍で観察した像において、任意に抽出した一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子50個の平均一次粒子径は115nmであった。
塩化スズ(II)二水和物22.56g(0.1モル)の代わりに酢酸マンガン(II)四水和物24.51g(0.1モル)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例4の亜酸化銅粒子を含む亜酸化銅粉末を得た。この亜酸化銅粉末を走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10万倍で観察した結果、得られた亜酸化銅粉末は略立方体の形状を有しており、各辺の長さは50nm~120nmの範囲の亜酸化銅粒子を含むものであった。また、亜酸化銅粉末に含まれるマンガンの含有量は1800ppmであった。
また、走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10万倍で観察した像において、任意に抽出した亜酸化銅粒子100個について、一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の個数を測定した結果、一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の個数基準での含有率は95%であった。
また、走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10万倍で観察した像において、任意に抽出した一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子50個の平均一次粒子径は115nmであった。
<実施例5>
塩化スズ(II)二水和物22.56g(0.1モル)の代わりに硫酸マンガン(II)五水和物24.1g(0.1モル)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例5の亜酸化銅粒子を含む亜酸化銅粉末を得た。この亜酸化銅粉末を走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10万倍で観察した結果、得られた亜酸化銅粉末は略立方体の形状を有しており、各辺の長さは70nm~140nmの範囲の亜酸化銅粒子を含むものであった。また、亜酸化銅粉末に含まれるマンガンの含有量は1690ppmであった。
また、走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10万倍で観察した像において、任意に抽出した亜酸化銅粒子100個について、一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の個数を測定した結果、一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の個数基準での含有率は96%であった。
また、走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10万倍で観察した像において、任意に抽出した一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子50個の平均一次粒子径は135nmであった。
塩化スズ(II)二水和物22.56g(0.1モル)の代わりに硫酸マンガン(II)五水和物24.1g(0.1モル)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例5の亜酸化銅粒子を含む亜酸化銅粉末を得た。この亜酸化銅粉末を走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10万倍で観察した結果、得られた亜酸化銅粉末は略立方体の形状を有しており、各辺の長さは70nm~140nmの範囲の亜酸化銅粒子を含むものであった。また、亜酸化銅粉末に含まれるマンガンの含有量は1690ppmであった。
また、走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10万倍で観察した像において、任意に抽出した亜酸化銅粒子100個について、一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の個数を測定した結果、一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の個数基準での含有率は96%であった。
また、走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10万倍で観察した像において、任意に抽出した一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子50個の平均一次粒子径は135nmであった。
<実施例6>
塩化スズ(II)二水和物22.56g(0.1モル)の代わりに酸化硫酸バナジウム(IV)n水和物16.3g(0.1モル)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例6の亜酸化銅粒子を含む亜酸化銅粉末を得た。この亜酸化銅粉末を走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10万倍で観察した結果、得られた亜酸化銅粉末は略立方体の形状を有しており、各辺の長さは40nm~110nmの範囲の亜酸化銅粒子を含むものであった。また、亜酸化銅粉末に含まれるバナジウムの含有量は730ppmであった。
また、走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10万倍で観察した像において、任意に抽出した亜酸化銅粒子100個について、一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の個数を測定した結果、一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の個数基準での含有率は97%であった。
また、走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10万倍で観察した像において、任意に抽出した一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子50個の平均一次粒子径は92nmであった。
塩化スズ(II)二水和物22.56g(0.1モル)の代わりに酸化硫酸バナジウム(IV)n水和物16.3g(0.1モル)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例6の亜酸化銅粒子を含む亜酸化銅粉末を得た。この亜酸化銅粉末を走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10万倍で観察した結果、得られた亜酸化銅粉末は略立方体の形状を有しており、各辺の長さは40nm~110nmの範囲の亜酸化銅粒子を含むものであった。また、亜酸化銅粉末に含まれるバナジウムの含有量は730ppmであった。
また、走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10万倍で観察した像において、任意に抽出した亜酸化銅粒子100個について、一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の個数を測定した結果、一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の個数基準での含有率は97%であった。
また、走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10万倍で観察した像において、任意に抽出した一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子50個の平均一次粒子径は92nmであった。
<実施例7>
塩化スズ(II)二水和物22.56g(0.1モル)の代わりに塩化セリウム(III)7水和物37.26g(0.1モル)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例7の亜酸化銅粒子を含む亜酸化銅粉末を得た。この亜酸化銅粉末を走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10万倍で観察した結果、得られた亜酸化銅粉末は略立方体の形状を有しており、各辺の長さは150nm~250nmの範囲の亜酸化銅粒子を含むものであった。また、亜酸化銅粉末に含まれるセリウムの含有量は16500ppmであった。
また、走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10万倍で観察した像において、任意に抽出した亜酸化銅粒子100個について、一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の個数を測定した結果、一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の個数基準での含有率は96%であった。
また、走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10万倍で観察した像において、任意に抽出した一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子50個の平均一次粒子径は210nmであった。
塩化スズ(II)二水和物22.56g(0.1モル)の代わりに塩化セリウム(III)7水和物37.26g(0.1モル)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例7の亜酸化銅粒子を含む亜酸化銅粉末を得た。この亜酸化銅粉末を走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10万倍で観察した結果、得られた亜酸化銅粉末は略立方体の形状を有しており、各辺の長さは150nm~250nmの範囲の亜酸化銅粒子を含むものであった。また、亜酸化銅粉末に含まれるセリウムの含有量は16500ppmであった。
また、走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10万倍で観察した像において、任意に抽出した亜酸化銅粒子100個について、一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の個数を測定した結果、一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の個数基準での含有率は96%であった。
また、走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10万倍で観察した像において、任意に抽出した一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子50個の平均一次粒子径は210nmであった。
<実施例8>
塩化スズ(II)二水和物22.56g(0.1モル)の代わりに硝酸銀6.8g(0.04モル)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例8の亜酸化銅粒子を含む亜酸化銅粉末を得た。この亜酸化銅粉末を走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10万倍で観察した結果、得られた亜酸化銅粉末は略立方体の形状を有しており、各辺の長さは90nm~160の範囲の亜酸化銅粒子を含むものであった。また、亜酸化銅粉末に含まれる銀の含有量は2580ppmであった。
また、走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10万倍で観察した像において、任意に抽出した亜酸化銅粒子100個について、一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の個数を測定した結果、一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の個数基準での含有率は92%であった。
また、走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10万倍で観察した像において、任意に抽出した一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子50個の平均一次粒子径は145nmであった。
塩化スズ(II)二水和物22.56g(0.1モル)の代わりに硝酸銀6.8g(0.04モル)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例8の亜酸化銅粒子を含む亜酸化銅粉末を得た。この亜酸化銅粉末を走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10万倍で観察した結果、得られた亜酸化銅粉末は略立方体の形状を有しており、各辺の長さは90nm~160の範囲の亜酸化銅粒子を含むものであった。また、亜酸化銅粉末に含まれる銀の含有量は2580ppmであった。
また、走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10万倍で観察した像において、任意に抽出した亜酸化銅粒子100個について、一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の個数を測定した結果、一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の個数基準での含有率は92%であった。
また、走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10万倍で観察した像において、任意に抽出した一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子50個の平均一次粒子径は145nmであった。
<実施例9>
反応容器内の温度を70℃に維持したこと以外は実施例1と同様にして、実施例9の亜酸化銅粒子を含む亜酸化銅粉末を得た。実施例9で得られた亜酸化銅粉末の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図2に示す。この亜酸化銅粉末を走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率3万倍で観察した結果、得られた亜酸化銅粉末は略立方体の形状を有しており、各辺の長さは280nm~460nmの範囲の亜酸化銅粒子を含むものであった。また、亜酸化銅粉末に含まれるスズの含有量は1320ppmであった。
また、走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率3万倍で観察した像において、任意に抽出した亜酸化銅粒子100個について、一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の個数を測定した結果、一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の個数基準での含有率は99%であった。
また、走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率3万倍で観察した像において、任意に抽出した一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子50個の平均一次粒子径は390nmであった。
反応容器内の温度を70℃に維持したこと以外は実施例1と同様にして、実施例9の亜酸化銅粒子を含む亜酸化銅粉末を得た。実施例9で得られた亜酸化銅粉末の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図2に示す。この亜酸化銅粉末を走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率3万倍で観察した結果、得られた亜酸化銅粉末は略立方体の形状を有しており、各辺の長さは280nm~460nmの範囲の亜酸化銅粒子を含むものであった。また、亜酸化銅粉末に含まれるスズの含有量は1320ppmであった。
また、走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率3万倍で観察した像において、任意に抽出した亜酸化銅粒子100個について、一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の個数を測定した結果、一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の個数基準での含有率は99%であった。
また、走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率3万倍で観察した像において、任意に抽出した一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子50個の平均一次粒子径は390nmであった。
<比較例1>
還元糖水溶液を反応容器に15分かけて添加したこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の亜酸化銅粒子を含む亜酸化銅粉末を得た。比較例1で得られた亜酸化銅粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図3に示す。この亜酸化銅粉末を走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10万倍で観察した結果、得られた亜酸化銅粉末は略球状の亜酸化銅粒子を含むものであった。亜酸化銅粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した像において、任意に選択した50個の亜酸化銅粒子それぞれの一次粒子径を測定し、それらの値を算術平均したところ、平均一次粒子径は110nmとなった。また、亜酸化銅粉末に含まれるスズの含有量は1180ppmであった。
還元糖水溶液を反応容器に15分かけて添加したこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の亜酸化銅粒子を含む亜酸化銅粉末を得た。比較例1で得られた亜酸化銅粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図3に示す。この亜酸化銅粉末を走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10万倍で観察した結果、得られた亜酸化銅粉末は略球状の亜酸化銅粒子を含むものであった。亜酸化銅粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した像において、任意に選択した50個の亜酸化銅粒子それぞれの一次粒子径を測定し、それらの値を算術平均したところ、平均一次粒子径は110nmとなった。また、亜酸化銅粉末に含まれるスズの含有量は1180ppmであった。
<比較例2>
塩化スズ(II)二水和物を添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして、比較例2の亜酸化銅粒子を含む亜酸化銅粉末を得た。この亜酸化銅粉末を走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率1万倍で観察した結果、得られた亜酸化銅粉末は略立方体の形状を有しており、各辺の長さは1500nm~3200nmの亜酸化銅粒子を含むものであった。
また、走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率1万倍で観察した像において、任意に抽出した亜酸化銅粒子100個について、一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の個数を測定した結果、一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の個数基準での含有率は0%であった。
また、走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率1万倍で観察した像において、任意に抽出した一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子50個の平均一次粒子径は2700nmであった。
塩化スズ(II)二水和物を添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして、比較例2の亜酸化銅粒子を含む亜酸化銅粉末を得た。この亜酸化銅粉末を走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率1万倍で観察した結果、得られた亜酸化銅粉末は略立方体の形状を有しており、各辺の長さは1500nm~3200nmの亜酸化銅粒子を含むものであった。
また、走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率1万倍で観察した像において、任意に抽出した亜酸化銅粒子100個について、一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の個数を測定した結果、一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子の個数基準での含有率は0%であった。
また、走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率1万倍で観察した像において、任意に抽出した一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有する亜酸化銅粒子50個の平均一次粒子径は2700nmであった。
<比較例3>
10Lの反応容器に48質量%の水酸化ナトリウム水溶液505.0g及び純水2000.0gを加え、反応容器内を撹拌しながら、反応容器内の温度を40℃に調整して、アルカリ溶液を調製した。
一方、3Lのガラスビーカーに塩化銅(II)二水和物344.41g(2モル)、純水100.0g及び2価のスズイオン源としての塩化スズ(II)二水和物22.56g(0.1モル)を加えて、銅イオンと2価のスズイオンとを含有する水溶液を調製した。反応容器内の温度を40℃に維持しつつ、銅イオンと2価のスズイオンとを含有する水溶液を、反応容器に約90秒かけて添加した後、周速2.1m/sで攪拌しながら10分間保持し、水酸化銅を析出させた。
10Lの反応容器に48質量%の水酸化ナトリウム水溶液505.0g及び純水2000.0gを加え、反応容器内を撹拌しながら、反応容器内の温度を40℃に調整して、アルカリ溶液を調製した。
一方、3Lのガラスビーカーに塩化銅(II)二水和物344.41g(2モル)、純水100.0g及び2価のスズイオン源としての塩化スズ(II)二水和物22.56g(0.1モル)を加えて、銅イオンと2価のスズイオンとを含有する水溶液を調製した。反応容器内の温度を40℃に維持しつつ、銅イオンと2価のスズイオンとを含有する水溶液を、反応容器に約90秒かけて添加した後、周速2.1m/sで攪拌しながら10分間保持し、水酸化銅を析出させた。
続けて2Lのガラスビーカーにグルコース371.46g(2モル)及び純水600gを加えて、還元糖溶液を調製した。還元糖溶液を、反応容器に約45秒かけて添加した後(水酸化銅1モルに対してグルコース1モル)、反応容器内の温度を70℃に昇温しつつ、周速2.1m/sで攪拌しながら15分間保持した。その後、反応容器内の攪拌を止め、スラリーを濾過し、洗浄することによりケーキを調製した。このケーキを80℃で3時間、真空乾燥して、比較例3の亜酸化銅粒子を含む亜酸化銅粉末を得た。
この亜酸化銅粉末を走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率10万倍で観察した結果、得られた亜酸化銅粉末は略球状の亜酸化銅粒子を含むものであった。亜酸化銅粉末を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した像において、任意に選択した50個の亜酸化銅粒子それぞれの一次粒子径を測定し、それらの値を算術平均したところ、平均一次粒子径は110nmとなった。また、亜酸化銅粉末に含まれるスズの含有量は1100ppmであった。
<光焼結型組成物の調製及び導電膜の形成>
得られた亜酸化銅粒子を含む亜酸化銅粉末のうち、実施例1及び9並びに比較例1及び2の亜酸化銅粉末を用いて光焼結型組成物の調製及び導電膜の形成を行った。
具体的には、亜酸化銅粉末5.0g及び純水7.0gを、混練機を用いて大気圧下、30分間1,000rpmで混練してペースト状の光焼結型組成物を調製した。光焼結型組成物をポリイミド基材(東レ・デュポン株式会社製カプトン(登録商標)500H)上にバーコーターで塗布し、厚さ4.58μmの塗膜を形成した。塗膜を大気雰囲気下、60℃で1時間乾燥させた。ポリイミド基材上に形成された塗膜に、キセノンパルス光照射装置(ゼノン・コーポレーション製S-2300)を用いて2ステップのパルス光(ステップ1の電圧:3,000V及びパルス幅:500マイクロ秒、ステップ2の電圧:1,800V及びパルス幅:8,000マイクロ秒、累積パルス光照射エネルギー:2.7J/cm2)を1回照射して導電膜を形成した。
低抵抗率計(株式会社三菱化学アナリテック製ロレスタ(登録商標)-GPMCP-T600)を用いて室温における導電膜の体積抵抗率を測定した。また、形成された導電膜を光学顕微鏡の透過法により倍率50倍で観察し、光が透過する箇所が見られず均一な導電膜が形成されているものを均一性「良好」と判断し、光が透過する箇所が見られるものを均一性「不良」と判断した。更に、形成された導電膜にテープを貼り付けた後、テープを剥離し、テープの粘着面に導電膜が付着しておらず且つポリイミド基材上に形成された導電膜がそのまま残存しているものを密着性「良好」と判断し、剥離したテープの粘着面に導電膜が付着しているものを密着性「不良」と判断した。結果を表1に示す。
得られた亜酸化銅粒子を含む亜酸化銅粉末のうち、実施例1及び9並びに比較例1及び2の亜酸化銅粉末を用いて光焼結型組成物の調製及び導電膜の形成を行った。
具体的には、亜酸化銅粉末5.0g及び純水7.0gを、混練機を用いて大気圧下、30分間1,000rpmで混練してペースト状の光焼結型組成物を調製した。光焼結型組成物をポリイミド基材(東レ・デュポン株式会社製カプトン(登録商標)500H)上にバーコーターで塗布し、厚さ4.58μmの塗膜を形成した。塗膜を大気雰囲気下、60℃で1時間乾燥させた。ポリイミド基材上に形成された塗膜に、キセノンパルス光照射装置(ゼノン・コーポレーション製S-2300)を用いて2ステップのパルス光(ステップ1の電圧:3,000V及びパルス幅:500マイクロ秒、ステップ2の電圧:1,800V及びパルス幅:8,000マイクロ秒、累積パルス光照射エネルギー:2.7J/cm2)を1回照射して導電膜を形成した。
低抵抗率計(株式会社三菱化学アナリテック製ロレスタ(登録商標)-GPMCP-T600)を用いて室温における導電膜の体積抵抗率を測定した。また、形成された導電膜を光学顕微鏡の透過法により倍率50倍で観察し、光が透過する箇所が見られず均一な導電膜が形成されているものを均一性「良好」と判断し、光が透過する箇所が見られるものを均一性「不良」と判断した。更に、形成された導電膜にテープを貼り付けた後、テープを剥離し、テープの粘着面に導電膜が付着しておらず且つポリイミド基材上に形成された導電膜がそのまま残存しているものを密着性「良好」と判断し、剥離したテープの粘着面に導電膜が付着しているものを密着性「不良」と判断した。結果を表1に示す。
表1の結果から分かるように、実施例1及び9の亜酸化銅粉末を含む光焼結型組成物から形成された導電膜は、体積抵抗率が低い上に、均一性が良好であり且つ基材との密着性に優れていた。一方、比較例1の亜酸化銅粉末を含む光焼結型組成物から形成された導電膜は、均一性が不良であり、比較例2の亜酸化銅粉末を含む光焼結型組成物から形成された導電膜は、体積抵抗率が高い上に、均一性が不良であり且つ基材との密着性も不良であった。
Claims (5)
- スズ、マンガン、バナジウム、セリウム及び銀からなる群から選択される少なくとも1種の添加元素を含有し且つ一辺の長さが10nm~1,000nmである立方体又は直方体の形状を有することを特徴とする亜酸化銅粒子。
- 請求項1に記載の亜酸化銅粒子の含有率が個数基準で80%以上であることを特徴とする亜酸化銅粉末。
- 銅イオンと、2価のスズイオン、2価のマンガンイオン、4価のバナジウムイオン、3価のセリウムイオン及び1価の銀イオンからなる群から選択される少なくとも1種の添加イオンとを含有する水溶液をアルカリ溶液と混合して水酸化銅を生成させた後、還元糖溶液を添加して亜酸化銅粒子を還元析出させることを含む亜酸化銅粒子の製造方法であって、
水酸化銅を生成させる際の温度を30℃~95℃とし、
亜酸化銅粒子を還元析出させる際の温度を30℃~95℃とし、
水酸化銅1モルに対して、還元糖が0.2モル~3モルとなるように、還元糖溶液を0秒超~60秒で添加した後、5分~120分間還元反応を行い、
水酸化銅の生成が開始してから還元反応が終了するまでの温度上昇幅を15℃以下に維持することを特徴とする亜酸化銅粒子の製造方法。 - 請求項1に記載の亜酸化銅粒子と、
溶媒と
を含むことを特徴とする光焼結型組成物。 - 請求項4に記載の光焼結型組成物を基材に塗布して塗膜を形成する工程と、
前記塗膜に光を照射することにより前記塗膜中の亜酸化銅粒子を還元する工程と
を備えることを特徴とする導電膜の形成方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2021196668A JP2023082760A (ja) | 2021-12-03 | 2021-12-03 | 亜酸化銅粒子、その製造方法、光焼結型組成物及びそれを用いた導電膜の形成方法 |
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