JP2023081632A - 接着剤キット、接着剤層付き基材の製造方法及び物品の製造方法 - Google Patents

接着剤キット、接着剤層付き基材の製造方法及び物品の製造方法 Download PDF

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慶彦 白木
Yoshihiko Shiraki
英明 横山
Hideaki Yokoyama
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Abstract

【課題】ポリオレフィンを含有する基材に対して低い熱処理温度(例えば130℃以下)で強固な接着性を発揮できる接着剤層を形成するための、接着剤キットを提供すること。【解決手段】重量平均分子量が100000以下の低分子量ポリオレフィンを含有する第一剤と、主鎖中に炭素数40以上の炭化水素基(i)を有するポリウレタンを含有する第二剤と、を備える、接着剤キット。【選択図】なし

Description

本発明は、接着剤キット、接着剤層付き基材の製造方法、及び、物品の製造方法に関する。
ポリプロピレン等のポリオレフィンを含有する樹脂基材は、工業的に広く普及している。樹脂基材は、金属材料と比較して軽量且つ安価であり、成形及び加工が容易といった利点がある。
一般的に、樹脂基材は、金属基材と比較して表面が濡れ難いことが知られている。表面の濡れ難さ(以下、難濡れ性という。)は、例えば、接着剤を塗布する際にハジキ等の欠陥を発生させる要因となる。また、難濡れ性を示す基材は、一般的に難密着性を示すことが知られており、これも接着剤の接着不良の要因となる。
このため、従来から、基材の組成変更、表面改質等によって、接着剤との接着性を改善する検討が行われている。
例えば、特許文献1には、ポリオレフィン系樹脂に対してラジカル重合開始剤、不飽和カルボン酸単量体及び芳香族ビニル単量体を溶融混練することにより、接着性等の特性を改善した変性ポリオレフィン系樹脂組成物を得る方法が記載されている。しかし、この方法は、従来の樹脂基材をその材質から置換する必要があり、実用面、コスト面で問題があった。
特開2009-13230号公報
接着剤の強固な接着のため、高温の熱処理(例えば140℃以上)を施すことも検討されている。しかし、このような熱処理には、耐熱性の高い基材が要求されるため、実用面、コスト面で問題があった。
本発明は、ポリオレフィンを含有する基材に対して低い熱処理温度(例えば130℃以下)で強固な接着性を発揮できる接着剤層を形成するための、接着剤キットを提供することを目的とする。また、本発明は、ポリオレフィンを含有する基材上に接着剤層が配置された接着剤層付き基材であって、基材と接着剤層との強固な接着を低い熱処理温度(例えば130℃以下)で実現可能な、接着剤層付き基材を提供することを目的とする。更に、本発明は、ポリオレフィンを含有する基材に接着剤層を介して被着体が強固に接着された物品を提供することを目的とする。
本発明の一側面は、重量平均分子量が100000以下の低分子量ポリオレフィンを含有する第一剤と、主鎖中に炭素数40以上の炭化水素基(i)を有するポリウレタンを含有する第二剤と、を備える、接着剤キットに関する。
一態様において、上記ポリウレタンは、ポリオール単位(A)と、ポリイソシアネート単位(B)と、を有していてよい。このとき、上記ポリオール単位(A)は、上記炭化水素基(i)を有する第一のポリオール単位(A-1)を含んでいてよい。
一態様において、上記第一のポリオール単位(A-1)の含有量は、上記ポリオール単位(A)及び上記ポリイソシアネート単位(B)の総量基準で、75質量%以上であってよい。
一態様において、上記炭化水素基(i)は、炭素数40以上のアルカンジイル基であってよい。
一態様に係る接着剤キットは、ポリオレフィンを含有する基材上に接着剤層を形成するための接着剤キットであってよい。
本発明の他の一側面は、ポリオレフィンを含有する基材上に、重量平均分子量が100000以下の低分子量ポリオレフィンを含有する第一剤を塗布し、上記低分子量ポリオレフィンを含有する第一層を形成する第一の工程と、上記第一層上に、炭素数40以上の炭化水素基(i)を有するポリウレタンを含有する第二剤を塗布し、上記ポリウレタンを含有する第二層を形成する第二の工程と、を含む、接着剤層付き基材の製造方法に関する。
本発明の更に他の一側面は、ポリオレフィンを含有する基材上に、重量平均分子量が100000以下の低分子量ポリオレフィンを含有する第一剤を塗布し、上記低分子量ポリオレフィンを含有する第一層を形成する第一の工程と、上記第一層上に、炭素数40以上の炭化水素基(i)を有するポリウレタンを含有する第二剤を塗布し、上記ポリウレタンを含有する第二層を形成する第二の工程と、上記第二層上に被着体を配置して、上記基材、上記第一層、上記第二層及び上記被着体を備える積層体を得る第三の工程と、上記積層体を加熱して、上記基材と上記被着体とが接合された物品を得る第四の工程と、を含む、物品の製造方法に関する。
本発明によれば、ポリオレフィンを含有する基材に対して低い熱処理温度(例えば130℃以下)で強固な接着性を発揮できる接着剤層を形成するための、接着剤キットが提供される。また、本発明によれば、ポリオレフィンを含有する基材上に接着剤層が配置された接着剤層付き基材であって、基材と接着剤層との強固な接着を低い熱処理温度(例えば130℃以下)で実現可能な、接着剤層付き基材が提供される。更に、本発明によれば、ポリオレフィンを含有する基材に接着剤層を介して被着体が強固に接着された物品が提供される。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
(接着剤キット)
本実施形態の接着剤キットは、重量平均分子量が100000以下の低分子量ポリオレフィンを含有する第一剤と、主鎖中に炭素数40以上の炭化水素基(i)を有するポリウレタンを含有する第二剤と、を備える、接着剤キットである。
本実施形態の接着剤キットによれば、第一剤の塗膜と第二剤の塗膜とを順に基材上に形成することで、基材上に接着剤層を容易に形成できる。本実施形態の接着剤キットから形成される接着剤層は、第一剤が低分子量ポリオレフィンを含有し、且つ、第二剤が特定のポリウレタンを含有することで、ポリオレフィンに対して低い熱処理温度(例えば130℃以下)で強固な接着性を発現できる。このため、本実施形態の接着剤キットは、ポリオレフィンを含有する基材上に接着剤層を形成するための接着剤キットとして、好適に用いることができる。
第一剤は、低分子量ポリオレフィンを含有する。低分子量ポリオレフィンの重量平均分子量は、100000以下であり、より低い熱処理温度で強固な接着性を得られやすい観点からは、90000以下、80000以下、70000以下、60000以下、50000以下、45000以下、40000以下、35000以下、30000以下、25000以下、20000以下、15000以下、10000以下、又は9000以下であってもよい。
また、低分子量ポリオレフィンの重量平均分子量は、例えば1000以上であってよく、低分子量ポリオレフィンの融点が好適となる観点からは、2000以上、3000以上、4000以上、5000以上、6000以上、又は7000以上であってもよい。
低分子量ポリオレフィンの重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により、以下の条件で測定される値を示す。
<低分子量ポリオレフィンの重量平均分子量の測定>
装置として高速GPC装置(東ソー社製HLC-8321GPC/HT)、カラムとしてTSKgel guardcolumnHR(30)HT(7.5mmI.D.×7.5cm)を1本、TSKgel GMHHR-H(20)HT(7.8mmI.D.×30cm)を3本、記載の順に直列に接続したものを用いた(カラムはいずれも東ソー社製)。移動相として1,2,4-トリクロロベンゼンにジブチルヒドロキシトルエンを0.05質量%添加したものを使用し、移動相速度を1.0mL/分とした。カラム温度は140℃とし、検出器はRI検出器(polarity(-))で実施し、ポリスチレン換算分子量として分子量を求めた。サンプル溶液は1,2,4-トリクロロベンゼンを用いて濃度が1mg/mLとなるように調製して用いた。サンプルの注入量は300μLとした。
低分子量ポリオレフィンは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム等であってよい。
低分子量ポリオレフィンは、接着剤層が形成される基材に含まれるポリオレフィンと同種のポリオレフィンであることが好ましい。すなわち、基材中のポリオレフィンがポリエチレンである場合、低分子量ポリオレフィンはポリエチレンであることが好ましく、基材中のポリオレフィンがポリプロピレンである場合、低分子量ポリオレフィンはポリエチレンであることが好ましい。
第一剤は、溶剤を更に含有していてよい。溶剤は、低分子量ポリオレフィンを溶解可能な溶剤であればよい。溶剤としては、例えば、トルエン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、o-キシレン、p-キシレン、クロロベンゼン、1,2,4-トリクロロベンゼン、ソルベッソ100、ソルベッソ150、ソルベッソ200等の芳香族炭化水素系溶剤、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤等が挙げられ、これらのうちトルエン、o-キシレン、p-キシレンが好ましい。
第一剤中の溶剤の含有量は特に限定されず、例えば固形分濃度が後述の好適な範囲内となるよう適宜調整してよい。第一剤中の溶剤の含有量は、低分子量ポリオレフィン100質量部に対して、例えば1質量部以上であってよく、好ましくは10質量部以上、より好ましくは1000質量部以上である。また、第一剤中の溶剤の含有量は、低分子量ポリオレフィン100質量部に対して、例えば1000000質量部以下であってよく、好ましくは100000質量部以下、より好ましくは10000質量部以下である。
第一剤の固形分濃度は特に限定されず、第一剤の塗布方法に応じて適宜調整してよい。第一剤の固形分濃度は、例えば0.0010質量%以上であってよく、好ましくは0.010質量%以上、より好ましくは0.10質量%以上であり、1質量%以上であってもよい。また、第一剤の固形分濃度は、例えば99質量%以下であってよく、90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、20質量%以下、10質量%以下、5質量%以下、又は、2質量%以下であってもよい。
第一剤は、低分子量ポリオレフィン及び溶剤以外の他の成分を更に含有していてもよい。他の成分としては、例えば、触媒、消泡剤、レベリング剤、有機増粘剤、酸化防止剤、光安定剤、接着性向上剤、離型剤、補強材、軟化剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、湿潤分散剤等が挙げられる。
第一剤中の他の成分の含有量は、低分子量ポリオレフィン100質量部に対して、例えば25質量部以下であってよく、好ましくは12質量部以下、より好ましくは6質量部以下であり、2質量部以下であってもよく、0質量部であってもよい。
第二剤は、主鎖中に炭素数40以上の炭化水素基(i)を有するポリウレタンを含有する。
第二剤中のポリウレタンは、ポリオール単位(A)と、ポリイソシアネート単位(B)とを有するものであってよい。ここで、ポリオール(a)とポリイソシアネート(b)との重合により形成される構成単位のうち、ポリオール(a)由来の構成単位がポリオール単位(A)であり、ポリイソシアネート(b)由来の構成単位がポリイソシアネート単位(B)である。すなわち、ポリウレタンは、ポリオール(a)とポリイソシアネート(b)とを含む単量体の重合物であってよい。
ポリオール(a)が有するヒドロキシル基の数の平均(平均官能基数)は、例えば1.3以上であってよく、好ましくは1.7以上、より好ましくは1.9以上であり、例えば4以下であってよく、好ましくは3以下、より好ましくは2.5以下であり、更に好ましくは2.3以下である。なお、ポリオール(a)が有するヒドロキシル基の数の平均(平均官能基数)は2未満となり得るが、これは例えば、ジオール中に不純物であるモノオールが含まれることが原因であり得る。ポリオール(a)は、ジオールであることが特に好ましく、ポリオール単位(A)は、ジオール単位であることが特に好ましい。
ポリイソシアネート(b)が有するイソシアネート基(-NCO)の数の平均(平均官能基数)は、例えば1.3以上であってよく、好ましくは1.7以上、より好ましくは1.9以上であり、例えば4以下であってよく、好ましくは3以下、より好ましくは2.5以下であり、更に好ましくは2.3以下である。なお、ポリイソシアネート(b)が有するイソシアネート基の数の平均(平均官能基数)は2未満となり得るが、これは例えば、ジイソシアネート中に不純物である1官能のイソシアネートが含まれることが原因であり得る。ポリイソシアネート(b)は、ジイソシアネートであることが特に好ましく、ポリイソシアネート単位(B)は、ジイソシアネート単位であることが特に好ましい。
ポリウレタンは、ポリオール単位(A)として、炭化水素基(i)を有する第一のポリオール単位(A-1)を有することが好ましい。すなわち、ポリオール単位(A)は、炭化水素基(i)を有する第一のポリオール単位(A-1)を有することが好ましい。
第一のポリオール単位(A-1)は、炭化水素基(i)を有する第一のポリオール(a-1)由来の構成単位ということができる。
炭化水素基(i)は、飽和炭化水素基又は不飽和炭化水素基であってよく、好ましくは飽和炭化水素基であり、より好ましくはアルカンジイル基である。
炭化水素基(i)の炭素数は、40以上であり、好ましくは50以上、より好ましく75以上、更に好ましくは100以上である。また、炭化水素基(i)の炭素数は、例えば、500以下であり、好ましくは400以下、より好ましくは300以下、更に好ましくは250以下である。
炭化水素基(i)は、例えば、ポリエチレン骨格、ポリプロピレン骨格、水添ポリブタジエン骨格、ポリブテン骨格、水添ポリイソプレン骨格、水添ポリファルネセン骨格等の飽和炭化水素骨格、又は、ポリブタジエン骨格、ポリイソプレン骨格、ポリスチレン骨格等の不飽和炭化水素骨格であってよい。
第一のポリオール単位(A-1)は、飽和炭化水素骨格又は不飽和炭化水素骨格を有していてよく、飽和炭化水素骨格を有することが好ましい。また、第一のポリオール単位(A-1)は、飽和炭化水素骨格又は不飽和炭化水素骨格の両末端に酸素原子を有するポリオール単位であってよく、飽和炭化水素骨格の両末端に酸素原子を有するポリオール単位であることが好ましい。
第一のポリオール(a-1)は、例えば、飽和炭化水素骨格又は不飽和炭化水素骨格を有するポリオールであってよく、好ましくは飽和炭化水素骨格を有するポリオールである。また、第一のポリオール(a-1)は、飽和炭化水素骨格又は不飽和炭化水素骨格の両末端にヒドロキシル基を有するポリオールであってよく、飽和炭化水素骨格の両末端にヒドロキシル基を有するポリオールであることが好ましい。
第一のポリオール(a-1)が有するヒドロキシル基の数の平均(平均官能基数)は、例えば1.3以上であってよく、好ましくは1.7以上、より好ましくは1.9以上であり、例えば4以下であってよく、好ましくは3以下、より好ましくは2.5以下であり、更に好ましくは2.3以下である。なお、第一のポリオール(a-1)が有するヒドロキシル基の数の平均(平均官能基数)は2未満となり得るが、これは例えば、ジオール中に不純物であるモノオールが含まれることが原因であり得る。第一のポリオール(a-1)は、ジオールであることが特に好ましく、第一のポリオール単位(A-1)は、ジオール単位であることが特に好ましい。
第一のポリオール単位(A-1)の含有量は、ポリオール単位(A)及びポリイソシアネート単位(B)の総量基準で、例えば60質量%以上であってよく、好ましくは70質量%以上、より好ましくは75質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、一層好ましくは85質量%以上である。これにより、接着剤層の接着強度がより向上する傾向がある。また、ポリオール単位(A)の含有量は、ポリオール単位(A)及びポリイソシアネート単位(B)の総量基準で、例えば99質量%以下であってよく、98質量%以下、97質量%以下、96質量%以下、95質量%以下、又は94質量%以下であってもよい。
ポリオール単位(A)は、第一のポリオール単位(A-1)以外の他のポリオール単位を更に有していてもよい。他のポリオール単位としては、例えば、炭素数40未満の炭化水素基を有するポリオール、ポリエチレングリコール類、ポリプロピレングリコール類、ポリブチレングリコール類等のポリエーテルポリオール類、カプリル酸モノグリセライド、カプリン酸モノグリセライド、ラウリン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノグリセライド、ベヘン酸モノグリセライド等のモノグリセライド類、等に由来するポリオール単位が挙げられる。
ポリオール単位(A)に占める第一のポリオール単位(A-1)の割合(すなわち、ポリオール単位(A)の全量基準での第一のポリオール単位(A-1)の含有量)は、例えば、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上又は98質量%以上であってよく、100質量%であってもよい。これにより、接着剤層の接着強度がより向上する傾向がある。
ポリオール単位(A)の含有量は、ポリウレタンの全量基準で、例えば60質量%以上であってよく、好ましくは70質量%以上、より好ましくは75質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、一層好ましくは85質量%以上である。これにより、接着剤層の接着強度がより向上する傾向がある。また、ポリオール単位(A)の含有量は、ポリウレタンの全量基準で、例えば99質量%以下であってよく、98質量%以下、97質量%以下、96質量%以下、95質量%以下、又は94質量%以下であってもよい。
ポリウレタンは、ポリイソシアネート単位(B)として、芳香環を有する第一のポリイソシアネート単位(B-1)を有することが好ましい。すなわち、ポリイソシアネート単位(B)は、芳香環を有する第一のポリイソシアネート単位(B-1)を含むことが好ましい。
第一のポリイソシアネート単位(B-1)は、芳香環を有する第一のポリイソシアネート(b-1)由来の構成単位ということができる。
第一のポリイソシアネート(b-1)が有するイソシアネート基(-NCO)の数の平均(平均官能基数)は、例えば1.3以上であってよく、好ましくは1.7以上、より好ましくは1.9以上であり、例えば4以下であってよく、好ましくは3以下、より好ましくは2.5以下であり、更に好ましくは2.3以下である。なお、第一のポリイソシアネート(b-1)が有するイソシアネート基の数の平均(平均官能基数)は2未満となり得るが、これは例えば、ジイソシアネート中に不純物である1官能のイソシアネートが含まれることが原因であり得る。第一のポリイソシアネート(b-1)は、ジイソシアネートであることが特に好ましく、第一のポリイソシアネート単位(B-1)は、ジイソシアネート単位であることが特に好ましい。
第一のポリイソシアネート単位(B-1)が有する芳香環は、例えばベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等であってよく、ベンゼン環であることが好ましい。
第一のポリイソシアネート単位(B-1)の具体例としては、例えば、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-2,4’-ジイソシアネート、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,4-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
ポリイソシアネート単位(B)は、第一のポリイソシアネート単位(B-1)以外に、芳香環を有しない第二のポリイソシアネート単位(B-2)を更に含んでいてもよい。
第二のポリイソシアネート単位(B-2)は、芳香環を有しない第二のポリイソシアネート(b-2)由来の構成単位ということができる。
第二のポリイソシアネート(b-2)が有するイソシアネート基(-NCO)の数の平均(平均官能基数)は、例えば1.3以上であってよく、好ましくは1.7以上、より好ましくは1.9以上であり、例えば4以下であってよく、好ましくは3以下、より好ましくは2.5以下であり、更に好ましくは2.3以下である。なお、第二のポリイソシアネート(b-2)が有するイソシアネート基の数の平均(平均官能基数)は2未満となり得るが、これは例えば、ジイソシアネート中に不純物である1官能のイソシアネートが含まれることが原因であり得る。第二のポリイソシアネート(b-2)は、ジイソシアネートであることが特に好ましく、第二のポリイソシアネート単位(B-2)は、ジイソシアネート単位であることが特に好ましい。
第二のポリイソアネート単位(B-2)の具体例としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、水添ジフェニルメタン-2,4’-ジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネートが挙げられる。
ポリイソシアネート単位(B)に占める第一のポリイソシアネート単位(B-1)の割合(すなわち、ポリイソシアネート単位(B)の全量基準での第一のポリイソシアネート単位(B-1)の含有量)は、例えば、70質量%以上であってよく、80質量%以上、90質量%以上又は95質量%以上であってもよく、100質量%であってもよい。
ポリイソシアネート単位(B)に占める第二のポリイソシアネート単位(B-2)の割合(すなわち、ポリイソシアネート単位(B)の全量基準での第二のポリイソシアネート単位(B-2)の含有量)は、例えば30質量%以下であってよく、20質量%以下、10質量%以下又は5質量%以下であってもよく、0質量%であってもよい。
ポリイソシアネート単位(B)の含有量は、ポリウレタンの全量基準で、例えば1質量%以上であってよく、2質量%以上、3質量%以上、4質量%以上、5質量%以上又は6質量%以上であってもよい。また、ポリイソシアネート単位(B)の含有量は、例えば40質量%以下であってよく、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、一層好ましくは15質量%以下である。
ポリウレタンは、ポリオール単位(A)及びポリイソシアネート単位(B)以外の他の構成単位を更に有していてもよい。他の構成単位としては、例えば、ポリアミン単位、ポリアミノアルコール単位等が挙げられる。
ポリウレタン中のポリオール単位(A)及びポリイソシアネート単位(B)の合計含有量は、ポリウレタンの全量基準で、例えば90質量%以上であってよく、好ましくは95質量%以上、より好ましくは97質量%以上であり、100質量%であってもよい。
ポリウレタンの重量平均分子量(Mw)は特に限定されないが、例えば10000以上であってよく、好ましくは12500以上、より好ましくは15000以上である。また、ポリウレタンの重量平均分子量(Mw)は、例えば200000以下であってよく、好ましくは175000以下、より好ましくは160000以下である。
なお、本明細書中、ポリウレタンの重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により、以下の条件で測定される値を示す。
<ポリウレタンの重量平均分子量の測定>
装置として高速GPC装置(東ソー社製HLC-8320GPC)、カラムとしてTSKgel guardcolumn α(6.0mmI.D.×4cm)を1本、+α-M(67.8mmI.D.×30cm)を2本、記載の順に直列に接続したものを用いた(カラムはいずれも東ソー社製)。移動相としてシクロヘキサノンを使用し、移動相速度を1.0mL/分とした。カラム温度は40℃とし、検出器はRI検出器(polarity(+))で実施し、ポリスチレン換算分子量として分子量を求めた。サンプル溶液はシクロヘキサノンを用いて濃度が1mg/mLとなる様に調製して用いた。サンプルの注入量は100μLとした。
第二剤は、溶剤を更に含有していてよい。溶剤は、ポリウレタンを溶解可能な溶剤であればよい。溶剤としては、例えば、トルエン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系溶剤、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルジグリコール、エチルジグリコール、ブチルジグリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系、水等が挙げられ、これらのうち、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤が好ましい。
第二剤中の溶剤の含有量は特に限定されず、例えば固形分濃度が後述の好適な範囲内となるよう適宜調整してよい。第二剤中の溶剤の含有量は、ポリウレタン100質量部に対して、例えば1.0質量部以上であってよく、好ましくは40質量部以上、より好ましくは150質量部以上である。また、第二剤中の溶剤の含有量は、ポリウレタン100質量部に対して、例えば10000質量部以下であってよく、好ましくは3200質量部以下、より好ましくは2000質量部以下である。
第二剤の固形分濃度は特に限定されず、第二剤の塗布方法に応じて適宜調整してよい。第二剤の固形分濃度は、例えば1質量%以上であってよく、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上であり、8質量%以上であってもよい。また、第二剤の固形分濃度は、例えば99質量%以下であってよく、90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、又は、20質量%以下であってもよい。
第二剤は、ポリウレタン及び溶剤以外の他の成分を更に含有していてもよい。他の成分としては、例えば、触媒、消泡剤、レベリング剤、有機増粘剤、酸化防止剤、光安定剤、接着性向上剤、離型剤、補強材、軟化剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、湿潤分散剤等が挙げられる。
第二剤中の他の成分の含有量は、ポリウレタン100質量部に対して、例えば25質量部以下であってよく、好ましくは12質量部以下、より好ましくは6質量部以下であり、2質量部以下であってもよく、0質量部であってもよい。
本実施形態の接着剤キットは、第一剤を含有する第一の容器と、第二剤を含有する第二の容器とを備えていてよい。
本実施形態の接着剤キットは、基材(特にポリオレフィンを含有する基材)上に接着剤層を形成するために使用することができる。
本実施形態の接着剤キットにより形成される接着剤層は、低分子量ポリオレフィンを含有する第一層と、ポリウレタンを含有する第二層とを備えていてよい。第一層は、第一剤から形成され、第二層は、第二剤から形成される。このような接着剤層は、比較的低い熱処理温度であっても、ポリオレフィンに対して強固な接着性を発現できる。
第一層は、基材(特にポリオレフィンを含有する基材)上に直接形成される。第一層は、例えば、第一剤の塗布及び乾燥により形成することができる。より具体的には、第一層は、例えば、第一剤を塗布して塗膜を形成する工程と、塗膜から溶剤の少なくとも一部を除去して第一層を形成する工程と、により形成されてよい。
第一剤の塗布方法は特に限定されず、例えば、アプリケーター法、バーコート法、スピンコート法、スプレーコート法、ディップコート法、ノズルコート法、グラビアコート法、リバースロールコート法、ダイコート法、エアドクターコート法、ブレードコート法、ロッドコート法、カーテンコート法、ナイフコート法、トランスファロールコート法、スクイズコート法、含浸コート法、キスコート法、カレンダコート法、押出コート法等の方法であってよい。
乾燥方法(溶剤除去方法)は特に限定されず、例えば、加熱、減圧、風乾等の方法であってよい。
第一層の厚さは、例えば100μm以下であってよく、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下、更に好ましくは2μm以下であり、1μm以下であってもよい。これにより接着層が脆くなりづらい傾向がある。また、第一層の厚さは、例えば0.010μm以上であってよく、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.1μm以上、更に好ましくは0.15μm以上であり、0.18μm以上であってもよい。これにより第一層を用いる効果がより顕著に得られる傾向がある。
第二層は、第一層上に直接形成される。第二層は、例えば、第二剤の塗布及び乾燥により形成することができる。より具体的には、第二層は、第二剤を塗布して塗膜を形成する工程と、塗膜から溶剤の少なくとも一部を除去して第二層を形成する工程と、により形成されてよい。
第二剤の塗布方法は特に限定されず、例えば、アプリケーター法、バーコート法、スピンコート法、スプレーコート法、ディップコート法、ノズルコート法、グラビアコート法、リバースロールコート法、ダイコート法、エアドクターコート法、ブレードコート法、ロッドコート法、カーテンコート法、ナイフコート法、トランスファロールコート法、スクイズコート法、含浸コート法、キスコート法、カレンダコート法、押出コート法等の方法であってよい。
乾燥方法(溶剤除去方法)は特に限定されず、例えば、加熱、減圧、風乾等の方法であってよい。
第二層の厚さは、例えば300μm以下であってよく、好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下、更に好ましくは50μm以下であり、30μm以下であってもよい。これにより、より低コストで第二層を形成できる。また、第二層の厚さは、例えば0.05μm以上であってよく、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは1.μm以上、更に好ましくは5μm以上であり、8μm以上であってもよい。これにより、接着強度がより向上する傾向がある。
本実施形態の接着剤キットにより形成される接着剤層は、熱処理により基材に強固に接着される。熱処理温度は、例えば40℃以上であってよく、好ましくは60℃以上、より好ましくは80℃以上である。
また、熱処理温度は、例えば200℃以下であってよく、190℃以下、180℃以下、170℃以下、160℃以下、150℃以下又は140℃以下であってもよい。本実施形態の接着剤キットは、比較的低い熱処理温度であっても、ポリオレフィンに対して強固な接着性を発現できる。この観点からは、熱処理温度は、例えば、130℃以下、120℃以下、110℃以下、100℃以下又は90℃以下であってもよい。
接着剤層は、例えば、第二層上に被着体を配置した状態で熱処理されてよい。これにより、基材と被着体とを強固に接着することができる。
被着体がポリオレフィンを含有する場合、第二層上に、低分子量ポリオレフィンを含有する第三層を更に設け、第三層上に被着体を配置してもよい。第三層は、例えば、第一剤の塗布及び乾燥により形成することができる。第三層は、第一層と同様の層であってよい。
(接着剤層付き基材)
本実施形態の接着剤層付き基材は、ポリオレフィンを含有する基材と、当該基材上に配置された接着剤層と、を備える。接着剤層は、基材に接する第一層と、第一層上に配置された第二層と、を含む。接着剤層は、第二層上に、更に第三層を有していてもよい。基材、第一層、第二層及び第三層は、それぞれ上述の基材、第一層、第二層及び第三層と同様であってよい。
接着剤層付き基材は、例えば、基材上に第一剤を塗布し、第一層を形成する第一の工程と、第一層上に第二剤を塗布し、第二層を形成する第二の工程と、を含む、製造方法によって製造することができる。
上記製造方法は、第二層上に第一剤を塗布し、第三層を形成する第三の工程を更に含んでいてもよい。
第一の工程は、例えば、基材上に第一剤を直接塗布して塗膜を形成し、当該塗膜から溶剤の少なくとも一部を除去して第一層を形成する工程であってよい。
第二の工程は、例えば、第一層上に第二剤を直接塗布して塗膜を形成し、当該塗膜から溶剤の少なくとも一部を除去して第二層を形成する工程であってよい。
第三の工程は、例えば、第二層上に第一剤を直接塗布して塗膜を形成し、当該塗膜から溶剤の少なくとも一部を除去して第三層を形成する工程であってよい。
(物品)
本実施形態の物品は、基材と、被着体と、基材と被着体とを接合する接合層とを備える。
接合層は、接着剤層の熱処理により形成される層であり、基材及び被着体と強固に接着する。
物品は、例えば、基材上に第一剤を塗布して第一層を形成する第一の工程と、第一層上に第二剤を塗布して第二層を形成する第二の工程と、第二層上に被着体を配置して、基材、第一層、第二層及び被着体を備える積層体を得る第三の工程と、積層体を加熱して基材と被着体とが接合された物品を得る第四の工程と、を含む製造方法によって製造することができる。基材、第一層及び第二層は、それぞれ上述の基材、第一層及び第二層と同様であってよい。
第一の工程は、例えば、基材上に第一剤を直接塗布して塗膜を形成し、当該塗膜から溶剤の少なくとも一部を除去して第一層を形成する工程であってよい。
第二の工程は、例えば、第一層上に第二剤を直接塗布して塗膜を形成し、当該塗膜から溶剤の少なくとも一部を除去して第二層を形成する工程であってよい。
上記製造方法は、第二層上に第一剤を塗布して第三層を形成する工程を更に含んでいてもよい。当該工程は、第一剤を直接塗布して塗膜を形成し、当該塗膜から溶剤の少なくとも一部を除去して第三層を形成する工程であってよい。当該工程を含むことで、被着体がポリオレフィンを含有する場合でも、基材と被着体とを強固に接着することができる。
第三の工程は、第二層上に被着体を配置する工程であり、第二層上に直接被着体を配置する工程であってよく、第二層上に形成された第三層上に直接被着体を配置する工程であってもよい。すなわち、第三の工程で得られる積層体は、基材、第一層、第二層及び被着体がこの順に積層された積層体であってよく、基材、第一層、第二層、第三層及び被着体がこの順に積層された積層体であってもよい。
第四の工程は、積層体の熱処理により、基材と被着体とを接合する工程である。第四の工程では、積層体中の接着剤層が少なくとも加熱されればよい。第四の工程における熱処理の方法は特に限定されず、例えば、熱風による加熱、ホットプレス、レーザーによる加熱等の方法であってよい。
第四の工程における熱処理温度は、例えば40℃以上であり、好ましくは60℃以上、より好ましくは80℃以上である。
また、熱処理温度は、例えば200℃以下であってよく、190℃以下、180℃以下、170℃以下、160℃以下、150℃以下又は140℃以下であってもよい。本実施形態の接着剤層は、比較的低い熱処理温度であっても、ポリオレフィンに対して強固な接着性を発現できる。この観点からは、熱処理温度は、例えば、130℃以下、120℃以下、110℃以下、100℃以下又は90℃以下であってもよい。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<ポリウレタン(1)の製造>
撹拌機、温度計、加熱装置及び還流管を備えた容量2Lの四口セパラブルフラスコに、水酸基末端水添ポリイソプレンを150g、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート(以下、MDIと言う。)を16g、ジラウリン酸ジオクチルスズを0.10g、シクロヘキサノンを1499g、それぞれ室温下で仕込んだ後、窒素ガスを吹き込むことでフラスコ内を窒素置換した。これらを80℃条件下で均一に撹拌しながら6時間反応させることでポリウレタン(1)を含有する塗液(1)を得た。得られたポリウレタン(1)について、以下の方法で重量平均分子量を測定した。
<重量平均分子量の測定>
装置として高速GPC装置(東ソー社製HLC-8320GPC)、カラムとしてTSKgel guardcolumn α(6.0mmI.D.×4cm)を1本、+α-M(7.8mmI.D.×30cm)を2本、記載の順に直列に接続したものを用いた(カラムはいずれも東ソー社製)。移動相としてシクロヘキサノンを使用し、移動相速度を1.0mL/分とした。カラム温度は40℃とし、検出器はRI検出器(polarity(+))で実施し、ポリスチレン換算分子量として分子量を求めた。サンプル溶液はシクロヘキサノンを用いて濃度が1mg/mLとなる様に調製して用いた。サンプルの注入量は100μLとした。
<物品の製造>
第一剤として、低分子量ポリプロピレン溶液(1)を準備した。低分子量ポリプロピレン溶液(1)は、容量50mLスクリュー管に低分子量ポリオレフィン(三洋化成工業社製ビスコール660-P、重量平均分子量8000)0.030gとp-キシレン30gを仕込んだ後、窒素ガスを吹き込むことでスクリュー管内を窒素置換したものを、80℃条件下で30分間静置して低分子量ポリオレフィンを溶解させることで得た。また、第二剤として、ポリウレタン(1)を含有する塗液(1)を準備した。
第一剤及び第二剤を用いて、以下の方法でポリプロピレン基材と被着体との接着を行った。まず、第一剤をポリプロプレン基材(日立化成社製コウベポリシートPP)にアプリケーターを用いて塗布し、室温条件下で5分間静置した後、熱風乾燥器を用いて80℃で5分間乾燥させ、乾燥膜厚0.20μmの第一層を形成した。次に、第二剤を、第一層上にバーコーターを用いて塗布し、室温条件下で5分間静置した後、熱風乾燥器を用いて80℃で5分間乾燥させ、乾燥膜厚10μmの第一層及び第二層を有する積層体を得た。この積層体の第二層上にポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡製東洋紡エステルフィルムE5100)を張り合わせた後、指定の温度で10分間加熱処理することで試験片を得た。ここで、加熱処理は80℃又は185℃でおこない、それぞれの場合について試験片を作製した。
<接着強度の測定>
熱処理温度が185℃である場合と、80℃である場合との2種類の物品について、以下の方法で接着強度を測定した。結果を表1に示す。
JISK6854-2に準拠して180度剥離試験を行い、接着強度を評価した。試験はオートコム型試験機(ティー・エス・イー社製UTPS-Acs(S))を用いて測定した。
(実施例2)
第一剤中の低分子量ポリオレフィンを、重量平均分子量15000のポリプロピレン(三洋化成工業社製ビスコール550-P)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして物品の製造及び接着強度の測定を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
第一剤中の低分子量ポリオレフィンを、重量平均分子量30000のポリプロピレン(三洋化成工業社製ビスコール440-P)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして物品の製造及び接着強度の測定を行った。結果を表1に示す。
(実施例4)
第一剤中の低分子量ポリオレフィンを、重量平均分子量40000のポリプロピレン(三洋化成工業社製ビスコール330-P)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして物品の製造及び接着強度の測定を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
<物品の製造>
第一剤を使用せず、以下の方法で物品の製造を行った。
ポリウレタン(1)をポリプロプレン基材にバーコーターを用いて塗布し、室温条件下で5分間静置した後、熱風乾燥器を用いて80℃で5分間乾燥させ、乾燥膜厚10μmのポリウレタン接着剤層を有する積層体を得た。ポリウレタン層の上にポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡製東洋紡エステルフィルムE5100)を張り合わせた後、指定の温度で10分間加熱処理することで試験片を得た。ここで、加熱処理は80℃又は185℃でおこない、それぞれの場合について試験片を作製した。
得られた試験片について、実施例1と同様にして接着強度の測定を行った。結果を表1に示す。
(実施例5)
<ポリウレタン(2)の製造>
撹拌機、温度計、加熱装置及び還流管を備えた容量2Lの四口セパラブルフラスコに、水酸基末端水添ポリブタジエンを168g、MDIを22g、ジラウリン酸ジオクチルスズを0.15g、シクロヘキサノンを1710g、それぞれ室温下で仕込んだ後、窒素ガスを吹き込むことでフラスコ内を窒素置換した。これらを80℃条件下で均一に撹拌しながら6時間反応させることでポリウレタン(2)を含有する塗液(2)を得た。得られたポリウレタン(2)について、以下の方法で実施例1と同様にして重量平均分子量を測定した。
<物品の製造>
第二剤を塗液(2)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして物品の製造及び接着強度の測定を行った。結果を表2に示す。
(実施例6)
第一剤中の低分子量ポリオレフィンを、重量平均分子量40000のポリプロピレンに変更し、第二剤を塗液(2)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして物品の製造及び接着強度の測定を行った。結果を表2に示す。
(実施例7)
<物品の製造>
第一剤として、低分子量ポリプロピレン溶液(2)を準備した。低分子量ポリプロピレン溶液(2)は、容量50mLスクリュー管に低分子量ポリオレフィン(三洋化成工業社製サンワックス171-P、重量平均分子量9500)0.030gとp-キシレン30gを仕込んだ後、窒素ガスを吹き込むことでスクリュー管内を窒素置換したものを、80℃条件下で30分間静置して低分子量ポリオレフィンを溶解させることで得た。また、第二剤として、ポリウレタン(1)を含有する塗液(1)を準備した。
第一剤及び第二剤を用いて、以下の方法でポリエチレン基材と被着体との接着を行った。
まず、上記で得られた第一剤をポリエチレン基材(日立化成社製コウベポリシートEL-N-AN)にアプリケーターを用いて塗布し、室温条件下で5分間静置した後、熱風乾燥器を用いて80℃で5分間乾燥させ、乾燥膜厚0.20μmの第一層を形成した。次に、第二剤を、第一層上にバーコーターを用いて塗布し、室温条件下で5分間静置した後、熱風乾燥器を用いて80℃で5分間乾燥させ、乾燥膜厚10μmの第一層及び第二層を有する積層体を得た。積層体の第二層上にポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡製東洋紡エステルフィルムE5100)を張り合わせた後、指定の温度で10分間加熱処理することで試験片を得た。ここで、加熱処理は120℃又は140℃でおこない、それぞれの場合について試験片を作製した。
<接着強度の測定>
熱処理温度が120℃である場合と、140℃である場合との2種類の物品について、実施例1と同様にして接着強度を測定した。結果を表3に示す。
(比較例2)
<物品の製造>
第一剤を使用しない点以外は実施例7と同様にして物品の製造を行った。
得られた物品について、実施例7と同様にして接着強度の測定を行った。結果を表3に示す。
Figure 2023081632000001
Figure 2023081632000002
Figure 2023081632000003
表1~3に示すとおり、第一剤を使用せず、第二剤のみで接着剤層を形成した比較例1及び2では、高い熱処理温度では高い接着強度が発現したものの、低い熱処理温度では接着強度が著しく低下した。一方、実施例1~7では、高い熱処理温度では比較例と同等の高い接着強度を発現でき、且つ、低い熱処理温度でも、十分な接着強度が実現された。

Claims (7)

  1. 重量平均分子量が100000以下の低分子量ポリオレフィンを含有する第一剤と、
    主鎖中に炭素数40以上の炭化水素基(i)を有するポリウレタンを含有する第二剤と、
    を備える、接着剤キット。
  2. 前記ポリウレタンが、ポリオール単位(A)と、ポリイソシアネート単位(B)と、を有し、
    前記ポリオール単位(A)が、前記炭化水素基(i)を有する第一のポリオール単位(A-1)を含む、請求項1に記載の接着剤キット。
  3. 前記第一のポリオール単位(A-1)の含有量が、前記ポリオール単位(A)及び前記ポリイソシアネート単位(B)の総量基準で、75質量%以上である、請求項2に記載の接着剤キット。
  4. 前記炭化水素基(i)が、炭素数40以上のアルカンジイル基である、請求項1~3のいずれか一項に記載の接着剤キット。
  5. ポリオレフィンを含有する基材上に接着剤層を形成するための接着剤キットである、請求項1~4のいずれか一項に記載の接着剤キット。
  6. ポリオレフィンを含有する基材上に、重量平均分子量が100000以下の低分子量ポリオレフィンを含有する第一剤を塗布し、前記低分子量ポリオレフィンを含有する第一層を形成する第一の工程と、
    前記第一層上に、炭素数40以上の炭化水素基(i)を有するポリウレタンを含有する第二剤を塗布し、前記ポリウレタンを含有する第二層を形成する第二の工程と、
    を含む、接着剤層付き基材の製造方法。
  7. ポリオレフィンを含有する基材上に、重量平均分子量が100000以下の低分子量ポリオレフィンを含有する第一剤を塗布し、前記低分子量ポリオレフィンを含有する第一層を形成する第一の工程と、
    前記第一層上に、炭素数40以上の炭化水素基(i)を有するポリウレタンを含有する第二剤を塗布し、前記ポリウレタンを含有する第二層を形成する第二の工程と、
    前記第二層上に被着体を配置して、前記基材、前記第一層、前記第二層及び前記被着体を備える積層体を得る第三の工程と、
    前記積層体を加熱して、前記基材と前記被着体とが接合された物品を得る第四の工程と、
    を含む、物品の製造方法。
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