JP2023081581A - 給電システム、サーバ、及び給電方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】渋滞を抑制しながら車両に十分な給電を行なう。【解決手段】給電システムは、第1給電設備と、第2給電設備と、制御装置とを備える。第1給電設備は、第1走行レーンを走行中の車両に対して給電を行なう。第2給電設備は、第2走行レーンを走行中の車両に対して給電を行なう。制御装置は、第1走行レーンへ車両を誘導する第1誘導信号、及び、第2走行レーンへ車両を誘導する第2誘導信号を送信するように構成される。制御装置は、第2走行レーンを走行中の車両の車速が所定の第1範囲内である場合には、当該車両へ第1誘導信号を送信し、第1走行レーンを走行中の車両の車速が第1範囲よりも高速側に設定された第2範囲内である場合には、当該車両へ第2誘導信号を送信する。【選択図】図5
Description
本開示は、給電システム、サーバ、及び給電方法に関する。
特開2020-10451号公報(特許文献1)には、走行中の車両に対して給電を行なう給電設備が設けられた道路が開示されている。以下、給電設備が設けられた車線を、「給電レーン」とも称する。給電レーンは、一般に「充電レーン」とも称される。
ところで、給電レーンを走行する車両には、給電よりも時間を優先する車両(すなわち、先を急ぐ車両)と、時間よりも給電を優先する車両(すなわち、長く給電を受けたい車両)との2種類が存在する。先を急ぐ車両は速く走行し、長く給電を受けたい車両はゆっくり走行する。同じレーンを走行する車両間での車速ばらつきが大きいと、渋滞が発生しやすくなる。
渋滞を抑制するために、給電レーン走行時の最低車速を設定することも考えられる。しかしながら、こうした手法によって渋滞を抑制した場合には、給電を必要とする車両に十分な給電を行なうことができない可能性がある。
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、渋滞を抑制しながら車両に十分な給電を行なうことである。
本開示の第1の観点に係る給電システムは、第1給電設備と、第2給電設備と、制御装置とを備える。第1給電設備は、第1走行レーンを走行中の車両に対して給電を行なうように構成される。第2給電設備は、第2走行レーンを走行中の車両に対して給電を行なうように構成される。制御装置は、第1走行レーンへ車両を誘導する第1誘導信号、及び、第2走行レーンへ車両を誘導する第2誘導信号を送信するように構成される。制御装置は、第2走行レーンを走行中の車両の車速が所定の第1範囲内である場合には、当該車両へ第1誘導信号を送信するように構成される。制御装置は、第1走行レーンを走行中の車両の車速が第1範囲よりも高速側に設定された第2範囲内である場合には、当該車両へ第2誘導信号を送信するように構成される。以下、上記制御装置を、「車両制御装置」とも称する。
上記給電システムでは、少なくとも2車線の給電レーン(第1走行レーン及び第2走行レーン)が設けられている。そして、第1範囲内の速度(第2範囲よりも低速)で走行する車両が第1走行レーンに誘導され、第2範囲内の速度(第1範囲よりも高速)で走行する車両が第2走行レーンに誘導される。このように、車速に対応する給電レーンに車両を誘導することで、同じレーンを走行する車両間での車速ばらつきが小さくなり、渋滞が抑制される。たとえば、先を急ぐ車両は、第2走行レーンにおいて速く走行することができる。また、長く給電を受けたい車両は、第1走行レーンにおいてゆっくり走行することができる。上記構成によれば、渋滞を抑制しながら車両に十分な給電を行なうことが可能になる。
誘導信号を送信するか否かの判断に用いられる車速は、実測値、推定値、目標値のいずれでもよい。たとえば、第1範囲よりも高速で第2走行レーンを走行中の車両に減速要求が発生して当該車両の目標車速が第1範囲内になったときに、車両制御装置は、当該車両の実車速が第1範囲内になる前に、当該車両へ第1誘導信号を送信してもよい。また、第2範囲よりも低速で第1走行レーンを走行中の車両に加速要求が発生して当該車両の目標車速が第2範囲内になったときに、車両制御装置は、当該車両の実車速が第2範囲内になる前に、当該車両へ第2誘導信号を送信してもよい。
なお、給電レーン(走行中の車両に対して給電を行なう給電設備が設けられた車線)の数は、2車線に限られず、3車線以上であってもよい。また、上記第1走行レーン及び第2走行レーンのほかに、給電レーンではない走行レーン(無給電レーン)が設けられてもよい。
車両制御装置は、第2誘導信号を送信するときに、第2走行レーン上に隊列走行可能な1台以上の車両が存在するか否かを判断するように構成されてもよい。車両制御装置は、第2走行レーン上に隊列走行可能な1台以上の車両が存在する場合には、第2誘導信号によって第2走行レーンへ誘導される車両と、第2走行レーン上の隊列走行可能な1台以上の車両との各々に、第2走行レーン上での隊列走行を指示する第1隊列走行指令を送信するように構成されてもよい。
上記構成によれば、第2誘導信号によって第2走行レーンへ誘導される車両が、第2走行レーン上の車両とともに隊列走行を行ないやすくなる。第1隊列走行指令を受ける各車両によって隊列走行が行なわれる。隊列走行は、複数の車両が隊列を形成して道路を走行することである。隊列走行が行なわれることによって、様々な効果を期待できる。隊列走行による効果の例としては、空気抵抗の低減による消費エネルギーの削減(電費又は燃費の向上)、渋滞の抑制、追突事故の抑制、運行効率の向上が挙げられる。なお、隊列を形成する車両は、トラック、バス、乗用車のいずれでもよく、複数種の車両(たとえば、トラック、バス、及び乗用車)によって1つの隊列が形成されてもよい。
上記第2給電設備は、給電路の接続と遮断とを切り替える給電リレーと、給電リレーを制御する給電制御装置とを備えてもよい。この給電制御装置は、隊列走行中の各車両に対して給電を行なう場合には、先頭車両に対する給電を開始してから最後尾の車両に対する給電が終了するまで給電リレーを接続状態に維持し、最後尾の車両に対する給電が終了した後、給電リレーを遮断状態にするように構成されてもよい。
上記構成によれば、隊列ごとに給電リレーのオン(接続)/オフ(遮断)の切替えが行なわれる。具体的には、先頭車両に対する給電を開始してから最後尾の車両に対する給電が終了するまで給電リレーが接続状態に維持される。このため、単独走行(隊列走行非実行)の車両1台ずつに給電リレーの切替えが行なわれる場合と比べて、給電リレーの切替え回数が少なくなる。そして、給電リレーの切替え回数が少なくなることで、電力損失が抑制される。
車両制御装置は情報取得部と給電料金算出部とを備えてもよい。情報取得部は、隊列走行中の各車両に関する隊列情報及び給電実績を取得するように構成されてもよい。給電料金算出部は、隊列情報を用いて設定された給電単価と、給電実績とを用いて、隊列走行中の各車両に対する給電料金を算出するように構成されてもよい。隊列情報は、隊列の先頭車両であるか否かを識別する情報を含んでもよい。給電料金算出部は、1つの隊列に含まれる複数の車両に関して、隊列の先頭車両に対する給電単価を、隊列の先頭車両以外の車両に対する給電単価よりも低く設定するように構成されてもよい。
隊列走行において、先頭車両は、隊列を形成しない単独走行時と同等の風圧を受けて走行する一方で、後続車両が走行時に受ける風圧は、単独走行時よりも低くなる。このため、先頭車両と後続車両との間での不公平を是正する仕組みが要求される。そこで、上記給電システムでは、隊列走行において、先頭車両に適用される給電単価(給電料金の単価)を後続車両よりも低く(安く)設定する。こうした仕組みにより、先頭車両として走行するインセンティブを付与することができる。
隊列走行を行なう各車両は、第1コンピュータを備えてもよい。第1コンピュータは、隊列走行中に、前方を走行する先行車両の有無と、後方を走行する後行車両の有無とを判断し、これらの判断結果を用いて隊列情報を作成するように構成されてもよい。第2給電設備は、第2コンピュータを備えてもよい。第2コンピュータは、第2走行レーン上で隊列走行中の各車両の給電時に給電電力の検出値を用いて給電実績を作成するように構成されてもよい。
上記の給電システムでは、第2走行レーン上で隊列走行中の各車両に関する隊列情報及び給電実績が容易かつ的確に作成される。
第1コンピュータは、車両制御装置から第1隊列走行指令を受けた場合に、第1隊列走行指令に従って当該車両が隊列走行するように当該車両の自動運転を実行するように構成されてもよい。第1コンピュータは、隊列走行において、当該第1コンピュータを備える車両が先頭車両ではない場合には、先行車両の挙動を検出し、その先行車両を追従するように自動運転を実行するように構成されてもよい。
上記構成によれば、隊列走行を行ないやすくなる。なお、自動運転は、ユーザからの運転操作によらずに加速、減速、操舵の少なくとも1つが実行される運転全般を意味する。車両自身が自律して走行する自律運転(自律走行)のほか、インフラストラクチャ(たとえば、道路)からの支援を受けて車両が走行する協調型の自動運転や、車両外部のコンピュータからの遠隔操作によって車両が走行する遠隔運転なども、自動運転に含まれる。
なお、上述した第2給電設備に関する各構成は、後述する第3給電設備に適用されてもよい。
車両制御装置は、当該車両制御装置からの指示に従って自動運転可能な車両が第2走行レーンを走行中であり、その車両の車速が第1範囲内である場合には、当該車両を第1走行レーンへ誘導する自動運転指令を、第1誘導信号として送信するように構成されてもよい。車両制御装置は、当該車両制御装置からの指示に従って自動運転可能な車両が第1走行レーンを走行中であり、その車両の車速が第2範囲内である場合には、当該車両を第2走行レーンへ誘導する自動運転指令を、第2誘導信号として送信するように構成されてもよい。
上記構成によれば、車両制御装置からの指示に従って自動運転可能な車両に対して、前述の第1及び第2誘導信号による誘導を的確に行ないやすくなる。
車両制御装置は、当該車両制御装置からの指示を報知する第1報知装置を備える車両が第2走行レーンを走行中であり、その車両の車速が第1範囲内である場合には、第1走行レーンへ誘導する指示を第1報知装置に報知させる信号を、第1誘導信号として送信するように構成されてもよい。車両制御装置は、当該車両制御装置からの指示を報知する第2報知装置を備える車両が第1走行レーンを走行中であり、その車両の車速が第2範囲内である場合には、第2走行レーンへ誘導する指示を第2報知装置に報知させる信号を、第2誘導信号として送信するように構成されてもよい。
上記構成によれば、制御装置からの指示を報知する報知装置を備える車両に対して、前述の第1及び第2誘導信号による誘導を的確に行ないやすくなる。報知装置は、ナビゲーションシステムであってもよいし、メータパネル又はヘッドアップディスプレイであってもよいし、音声入力を受け付けるスマートスピーカであってもよい。
上記第1範囲は、所定の基準速度未満であってもよい。第2範囲は、基準速度以上であってもよい。
上記給電システムでは、基準速度未満の速度で走行する車両が第1走行レーンに誘導され、基準速度以上の速度で走行する車両が第2走行レーンに誘導される。先を急ぐ車両は、第2走行レーンにおいて速く走行することができる。また、長く給電を受けたい車両は、第1走行レーンにおいてゆっくり走行することができる。上記構成によれば、渋滞を抑制しながら車両に十分な給電を行なうことが可能になる。
当該給電システムは、第3走行レーンを走行中の車両に対して給電を行なう第3給電設備をさらに備えてもよい。車両制御装置は、第3走行レーンへ車両を誘導する第3誘導信号を送信するように構成されてもよい。車両制御装置は、第2走行レーンを走行中の車両の車速が第2範囲よりも高速側に設定された第3範囲内である場合には、当該車両へ第3誘導信号を送信するように構成されてもよい。車両制御装置は、第3走行レーンを走行中の車両の車速が第2範囲内である場合には、当該車両へ第2誘導信号を送信するように構成されてもよい。車両制御装置は、第3誘導信号を送信するときに、第3走行レーン上に隊列走行可能な1台以上の車両が存在するか否かを判断するように構成されてもよい。車両制御装置は、第3走行レーン上に隊列走行可能な1台以上の車両が存在する場合には、第3誘導信号によって第3走行レーンへ誘導される車両と、第3走行レーン上の隊列走行可能な1台以上の車両との各々に、第3走行レーン上での隊列走行を指示する第2隊列走行指令を送信するように構成されてもよい。
上記給電システムでは、少なくとも3車線の給電レーン(第1走行レーン、第2走行レーン、及び第3走行レーン)が設けられている。そして、第1範囲内の速度(第2範囲よりも低速)で走行する車両が第1走行レーンに誘導され、第2範囲内の速度(第1範囲よりも高速)で走行する車両が第2走行レーンに誘導され、第3範囲内の速度(第2範囲よりも高速)で走行する車両が第3走行レーンに誘導される。このように、車速に対応する給電レーンに車両を誘導することで、同じレーンを走行する車両間での車速ばらつきが小さくなり、渋滞が抑制される。先を急ぐ車両は、第3走行レーンにおいて速く走行することができる。また、長く給電を受けたい車両は、第1走行レーンにおいてゆっくり走行することができる。さらに、第3走行レーンの走行中に走行条件(たとえば、目的地)が変更されてより多くの給電が必要になった車両は、走行速度を落として第2走行レーンに誘導されてもよい。上記構成によれば、渋滞を抑制しながら車両に十分な給電を行なうことが可能になる。
本開示の第2の観点に係るサーバは、制御装置を備える。制御装置は、走行中の車両に対して給電を行なう第1給電設備が設けられた第1走行レーンへ車両を誘導する第1誘導信号と、走行中の車両に対して給電を行なう第2給電設備が設けられた第2走行レーンへ車両を誘導する第2誘導信号とを送信するように構成される。制御装置は、第2走行レーンを走行中の車両の車速が所定の第1範囲内である場合には、当該車両へ第1誘導信号を送信し、第1走行レーンを走行中の車両の車速が第1範囲よりも高速側に設定された第2範囲内である場合には、当該車両へ第2誘導信号を送信するように構成される。
上記サーバによっても、前述した給電システムと同様、渋滞を抑制しながら車両に十分な給電を行なうことが可能になる。
本開示の第3の観点に係る給電方法は、第1走行レーンを走行中の車両に対して給電を行なう第1給電設備と、第2走行レーンを走行中の車両に対して給電を行なう第2給電設備とが設けられた給電システムによる給電方法であって、第2走行レーンを走行中の車両の車速が所定の第1範囲内である場合に、第1走行レーンへ車両を誘導する第1誘導信号を当該車両へ送信することと、第1走行レーンを走行中の車両の車速が第1範囲よりも高速側に設定された第2範囲内である場合に、第2走行レーンへ車両を誘導する第2誘導信号を当該車両へ送信することを含む。
上記給電方法によっても、前述した給電システムと同様、渋滞を抑制しながら車両に十分な給電を行なうことが可能になる。
本開示によれば、渋滞を抑制しながら車両に十分な給電を行なうことが可能になる。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
図1は、本開示の実施の形態に係る給電システム10の全体構成を示す図である。図1を参照して、給電システム10は、サーバ200と給電設備300とを備える。給電設備300は、道路Rに設けられた送電コイル320を含む。車両100A及び100Bの各々は、給電システム10(より特定的には、送電コイル320)から給電を受けるように構成される。車両100A,100Bの各々は、通信ネットワークNWを介してサーバ200と通信可能に構成される。通信ネットワークNWは、たとえばインターネットと無線基地局とによって構築される広域ネットワークである。サーバ200は、たとえば通信線を介して通信ネットワークNWと接続されている。給電設備300は、車両100A及び100Bの各々と無線通信可能に構成される。車両100Aと車両100Bとは相互に車車間通信(V2V通信)可能に構成される。この実施の形態では、給電設備300が、無線通信で通信ネットワークNWにアクセスし、通信ネットワークNWを介してサーバ200と通信する。しかしこうした形態に限られず、サーバ200と給電設備300とは、通信線によって直接接続され、通信ネットワークNWを介さずに通信してもよい。
車両100A及び100Bの各々は、以下に説明する図2に示す構成を有する。以下では、区別しない場合は、車両100A及び100Bの各々を「車両100」と称する。車両100は、給電システム10において給電設備300が給電を行なう対象(給電対象)の一例に相当する。図2は、車両100、サーバ200、及び給電設備300の各々の構成を示す図である。
図2を参照して、車両100は、バッテリ110と、監視モジュール110aと、PCU(Power Control Unit)120と、モータジェネレータ(以下、「MG」と表記する)130と、電子制御装置(以下、「ECU」と表記する)150と、受電コイル160と、充電回路165と、自動運転センサ170と、ナビゲーションシステム(以下、「NAVI」と表記する)180と、HMI(Human Machine Interface)185と、通信装置190とを備える。
ECU150は、プロセッサ151、RAM(Random Access Memory)152、及び記憶装置153を含むコンピュータである。ECU150は、本開示に係る「第1コンピュータ」の一例に相当する。プロセッサ151はCPU(Central Processing Unit)であってもよい。RAM152は、プロセッサ151によって処理されるデータを一時的に記憶する作業用メモリとして機能する。記憶装置153は、格納された情報を保存可能に構成される。記憶装置153には、プログラムのほか、プログラムで使用される情報(たとえば、マップ、数式、及び各種パラメータ)が記憶されている。この実施の形態では、記憶装置153に記憶されているプログラムをプロセッサ151が実行することで、車両100における各種制御が実行される。ただしこれに限られず、各種制御は専用のハードウェア(電子回路)によって実行されてもよい。
詳細は後述するが、車両100は隊列走行可能に構成される。たとえば、車両100には、ADAS(先進運転支援システム)と協調型車間距離維持支援システム(CACC)とが実装されている。ECU150が備えるプロセッサの数は任意であり、機能別にプロセッサが用意されてもよい。
車両100は、走行用の電力を蓄電するバッテリ110を備える。車両100は、バッテリ110に蓄えられた電力を用いて走行可能に構成される。この実施の形態に係る車両100は、エンジン(内燃機関)を備えない電気自動車(BEV)である。バッテリ110としては、公知の車両用蓄電装置(たとえば、液式二次電池、全固体二次電池、又は組電池)を採用できる。車両用二次電池の例としては、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池が挙げられる。監視モジュール110aは、バッテリ110の状態(たとえば、電圧、電流、及び温度)を検出する各種センサを含み、検出結果をECU150へ出力する。監視モジュール110aは、上記センサ機能に加えて、SOC(State Of Charge)推定機能、SOH(State of Health)推定機能、セル電圧の均等化機能、診断機能、及び通信機能をさらに有するBMS(Battery Management System)であってもよい。ECU150は、監視モジュール110aの出力に基づいてバッテリ110の状態(たとえば、温度、電流、電圧、SOC、及び内部抵抗)を取得することができる。
PCU120は、たとえば、インバータと、コンバータと、リレー(以下、「SMR(System Main Relay)」と称する)とを含んで構成される。PCU120は、ECU150によって制御される。MG130は、たとえば三相交流モータジェネレータである。MG130は、PCU120によって駆動され、車両100の駆動輪を回転させるように構成される。PCU120は、バッテリ110から供給される電力を用いてMG130を駆動する。また、MG130は、回生発電を行ない、発電した電力をバッテリ110に供給するように構成される。走行のためのモータ(MG)の数は任意であり、1つでも2つでも3つ以上でもよい。走行のためのモータはインホイールモータであってもよい。SMRは、バッテリ110からMG130までの電力経路の接続/遮断を切り替えるように構成される。SMRは、車両100の走行時に閉状態(接続状態)にされる。
この実施の形態では、受電コイル160が車両100の車体下部(たとえば、床下)に設置される。ただし、受電コイルの位置は適宜変更可能であり、ホイールの近傍に受電コイルが設けられてもよい。受電コイル160は、給電システム10の送電コイル320(図1)からの電力を非接触で受電するように構成される。ワイヤレス電力伝送(WPT)の方式は任意であり、磁界共鳴方式でもよいし、電磁誘導方式でもよい。また、他の方式が採用されてもよい。充電回路165は、受電コイル160からバッテリ110までの電力経路に位置する。充電回路165は、給電システム10から受電コイル160に供給される電力を、バッテリ110の充電に適した電力に変換するように構成される。充電回路165は、たとえば、受電コイル160から出力される交流電力を直流電力に変換するAC/DC変換回路と、受電コイル160からバッテリ110までの電路の接続/遮断を切り替える充電リレーとを含む。充電回路165は、DC/DCコンバータ及びフィルタ回路をさらに含んでもよい。充電リレーは、ECU150によって制御される。充電リレーは、基本的には開状態(遮断状態)になっているが、受電コイル160で受けた電力によってバッテリ110の充電が実行されるときには閉状態(接続状態)にされる。
車両100は、走行中充電可能に構成される。車両100の走行中充電は、車両100の走行中に給電システム10(より特定的には、送電コイル320)からの電力が受電コイル160及び充電回路165を経てバッテリ110に入力される充電である。走行中充電が実行されるときには、車両100の走行中に充電リレーが閉状態にされる。
車両100は、自動運転可能に構成される自動運転車両である。この実施の形態に係る車両100は、有人走行(車内に人がいる状態での走行)と無人走行(車内に人がいない状態での走行)の両方を実行可能に構成される。車両100は、無人で自律走行可能に構成されるが、ユーザによる手動運転で走行(有人走行)することもできる。また、車両100は、有人走行中に自動運転(たとえば、オートクルーズコントロール)を実行することも可能である。
自動運転センサ170は、自動運転に使用されるセンサである。ただし、自動運転センサ170は、自動運転が実行されていないときに所定の制御で使用されてもよい。自動運転センサ170は、車両100の外部環境を認識するための情報を取得するセンサ(以下、「外部環境センサ」とも称する)と、車両100の車内環境を認識するための情報を取得するセンサ(以下、「車内環境センサ」とも称する)と、車両100の挙動に関する情報を取得するセンサ(以下、「挙動センサ」とも称する)とを含む。各センサの検出結果はECU150へ出力される。
外部環境センサの例としては、車両外部に向けたカメラ、ミリ波レーダ、及びライダーの少なくとも1つが挙げられる。ECU150は、外部環境センサの出力に基づいて、車両100の外部環境(たとえば、車両100の前方、右側方、左側方、後方の少なくとも1方向における外部環境)を認識することができる。車内環境センサの例としては、車内に向けたカメラ及び赤外線センサの少なくとも一方が挙げられる。ECU150は、車内環境センサの出力に基づいて、車両100が有人/無人のいずれの状態かを判別することができる。自動運転センサ170は、着座センサ又はシートベルトセンサを、車内環境センサとして含んでもよい。挙動センサの例としては、IMU(Inertial Measurement Unit)及びGPS(Global Positioning System)センサの少なくとも1つが挙げられる。GPSセンサは、GPSを利用した位置センサである。自動運転センサ170は、車速センサ、加速度センサ、及びヨーレートセンサの少なくとも1つを、挙動センサとして含んでもよい。ECU150は、挙動センサの出力に基づいて、車両100の位置及び姿勢(現在の状態又は今後の状態)を検出又は予測することができる。
NAVI180は、GPSモジュールと、記憶装置と(いずれも図示せず)を含んで構成される。記憶装置は、地図情報を記憶している。GPSモジュールは、図示しないGPS衛星からの信号(以下、「GPS信号」と称する)を受信するように構成される。NAVI180は、GPS信号を用いて車両100の位置を特定することができる。NAVI180は、地図情報を参照して、車両100の現在位置から目的地までの最適ルート(たとえば、最短ルート)を見つけるための経路探索を行なうように構成される。NAVI180は、データセンタと無線通信を行なって地図情報を逐次更新してもよい。
HMI185は入力装置及び表示装置を含む。HMI185は、タッチパネルディスプレイを含んでもよい。HMI185は、音声入力を受け付けるスマートスピーカを含んでもよい。HMI185は、ユーザから入力された各種の情報、及び、車両外部(たとえば、サーバ200)から取得した各種の情報を表示してもよい。HMI185は、NAVI180によって探索されたルートを表示してもよい。
ECU150は、車両100の走行に関する各種制御(たとえば、駆動制御、制動制御、及び操舵制御)を実行する。ECU150は、所定の自動運転プログラムに従い、自動運転を実行するように構成される。ECU150は、自動運転センサ170によって取得される各種情報を用いて、車両100のアクセル装置、ブレーキ装置、及び操舵装置(いずれも図示せず)を制御することにより、NAVI180に設定された走行ルート及び走行スケジュールに従う自動運転を実行してもよい。自動運転プログラムは、OTA(Over The Air)によって逐次更新されてもよい。
通信装置190は、遠距離通信モジュールと近距離通信モジュールとV2V通信モジュールとを含む。
遠距離通信モジュールは、遠距離通信のための通信I/F(インターフェース)に相当する。遠距離通信モジュールは、たとえばDCM(Data Communication Module)を含む。さらに、遠距離通信モジュールは、5G(第5世代移動通信システム)及びWiMAX(登録商標)の少なくとも一方に対応する通信I/Fを含んでもよい。遠距離通信モジュールは、図1に示した通信ネットワークNW(広域ネットワーク)にアクセス可能に構成される。車両100(ECU150)は、遠距離通信モジュールによって通信ネットワークNWにアクセスし、通信ネットワークNWを通じてサーバ200と無線通信を行なうように構成される。
近距離通信モジュールは、近距離通信のための通信I/Fに相当する。近距離通信は、遠距離通信に比べて通信距離が短い。近距離通信モジュールの通信距離は、200m未満であってもよく、1m以上30m以下であってもよい。近距離通信の例としては、無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)、又はZigBee(登録商標)による通信が挙げられる。近距離通信において、RFID(Radio Frequency Identification)とDSRC(dedicated Short Range Communication)との少なくとも一方が採用されてもよい。車両100(ECU150)は、近距離通信モジュールによって給電設備300(より特定的には、後述する通信装置340)と近距離無線通信を行なうように構成される。
V2V通信モジュールは、車車間通信のための通信I/Fに相当する。たとえば、図1に示した車両100Aと車両100Bとは、双方の車両に搭載されたV2V通信モジュールを通じて車車間で無線通信を行なうように構成される。
通信装置190は、路車間(V2I)の無線通信を行なう通信モジュールと、車内に持ち込まれた端末(たとえば、スマートフォン又はウェアラブルデバイス)と無線通信を行なう通信モジュールとの少なくとも一方をさらに含んでもよい。
給電設備300は、道路Rに設けられた複数の送電コイル320と、送電コイル320ごとに設けられた電力変換回路330と、電力変換回路330ごとに設けられた監視モジュール330aと、給電リレー335と、通信装置340と、コンピュータ(以下、「COM」と表記する)350と、電源ラインPLとを含む。COM350は、本開示に係る「第2コンピュータ」の一例に相当する。
道路Rに設けられた複数の送電コイル320と複数の電力変換回路330とは、道路Rを走行中の車両に対して給電を行なう給電回路310を構成する。監視モジュール330aは電力変換回路330ごとに設けられている。監視モジュール330aは、対応する電力変換回路330から送電コイル320を経て外部へ出力される電力を検出する給電センサを含む。なお、給電設備300に含まれる送電コイル320の数は任意である。
電力変換回路330は送電コイル320ごとに設けられている。電力変換回路330は、対応する送電コイル320に電気的に接続されている。給電回路310に含まれる各電力変換回路330は電源ラインPLに電気的に接続されている。電源ラインPLは、給電リレー335を介して、電源500(たとえば、電力系統)に電気的に接続されている。給電リレー335は、COM350によって制御される。COM350は、本開示に係る「給電制御装置」の一例に相当する。給電リレー335は、給電路の接続と遮断とを切り替えるように構成される。給電リレー335は、基本的には開状態(遮断状態)になっているが、給電回路310が給電を実行するときには閉状態(接続状態)にされる。
COM350は、プロセッサ351(たとえば、CPU)、RAM352、及び記憶装置353を含む。記憶装置353には、プログラムのほか、プログラムで使用される情報(たとえば、マップ、数式、及び各種パラメータ)が記憶されている。詳細は後述するが、給電設備300に給電が予約された場合には、給電を予約した車両に関する情報(たとえば、識別情報)が記憶装置353に記憶される。この実施の形態では、記憶装置353に記憶されているプログラムをプロセッサ351が実行することで、給電設備300における各種制御が実行される。ただしこれに限られず、各種制御は専用のハードウェア(電子回路)によって実行されてもよい。
電力変換回路330は、たとえば、COM350によって制御されるインバータ(INV)を含む。給電リレー335が閉状態(接続状態)であるときに、電力変換回路330は、電源ラインPLから電力の供給を受けて、WPTのための電力を生成し、生成した電力を送電コイル320へ出力する。たとえば、電力変換回路330から送電コイル320に交流電力が供給されることによって送電コイル320の周囲に電磁界が形成され、その電磁界を通じて給電設備300の送電コイル320と車両100の受電コイル160とが電気的に結合し、給電設備300から車両100へ非接触で電力が伝送される。
監視モジュール330aは、電力変換回路330の状態を検出する各種センサ(たとえば、電流センサ、電圧センサ、及び温度センサ)を含み、検出結果をCOM350へ出力する。監視モジュール330aは、対応する電力変換回路330及び送電コイル320を経て道路R上の車両に供給される給電電力を検出するように構成される。具体的には、監視モジュール330aは、給電電力を検出するための電流センサ及び電圧センサを含む。
通信装置340は、前述した通信装置190と同様、遠距離通信モジュールと近距離通信モジュールとを含む。給電設備300(COM350)は、遠距離通信モジュールによって通信ネットワークNWにアクセスし、通信ネットワークNWを通じてサーバ200と無線通信を行なうように構成される。また、給電設備300(COM350)は、近距離通信モジュールによって車両100(より特定的には、通信装置190)と近距離無線通信を行なうように構成される。このため、車両100が給電設備300に接近すると、両者の間での近距離無線通信による情報のやり取りが可能になる。
サーバ200は、通信装置210と、データベース220と、制御装置250とを含む。通信装置210は通信ネットワークNWを通じて車両100及び給電設備300の各々と通信を行なうように構成される。制御装置250は、給電設備300(COM350)及び車両100(ECU150)の各々と双方向に情報のやり取りを行なうように構成される。
制御装置250は、プロセッサ251(たとえば、CPU)、RAM252、及び記憶装置253を含む。記憶装置253には、プログラムのほか、プログラムで使用される情報(たとえば、マップ、数式、及び各種パラメータ)が記憶されている。この実施の形態では、記憶装置253に記憶されているプログラムをプロセッサ251が実行することで、サーバ200における各種処理が実行される。ただしこれに限られず、各種処理は専用のハードウェア(電子回路)によって実行されてもよい。
データベース220は、地図情報データベース221と、車両情報データベース222と、給電設備データベース223とを含む。以下では、データベースを「DB」と表記する。
車両情報DB222は、サーバ200に登録された各車両に関する情報を記憶する。この実施の形態では、複数の車両100(図2)がサーバ200に登録され、複数の車両100に関する情報が車両情報DB222で管理される。車両情報DB222は、車両を識別する情報(以下、「車両ID」とも称する)と関連付けて、車両に関する情報(以下、「車両情報」とも称する)を個別に管理する。車両情報には、たとえば、車両の仕様を示す情報(たとえば、車種及び定格充電電力)と、車両の位置と、走行状況(有人走行、無人走行、隊列走行、車速など)と、走行計画(たとえば、目的地)と、蓄電装置の状態(たとえば、SOC)と、給電要求に関する情報(要求の有無、要求電力)と、給電実績に関する情報とが含まれる。
給電設備DB223は、サーバ200に登録された各給電設備に関する情報を記憶する。この実施の形態では、複数の給電設備300(図2)がサーバ200に登録され、複数の給電設備300に関する情報が給電設備DB223で管理される。給電設備DB223は、給電設備を識別する情報(以下、「設備ID」とも称する)と関連付けて、給電設備に関する情報(以下、「設備情報」とも称する)を個別に管理する。設備情報には、たとえば、給電設備の仕様を示す情報(たとえば、メーカ、型式番号、給電方式、及び定格給電電力)と、給電設備の位置と、メンテナンス情報(たとえば、検査時期、部品交換時期、及び使用履歴)とが含まれる。
地図情報DB221には地図情報が記憶されている。地図情報は、所定地域内の各種道路を示す。制御装置250は、地図情報DB221、車両情報DB222、及び給電設備DB223を参照して、地図上における車両及び給電設備の各々の位置を把握してもよい。サーバ200は、さらに各地の渋滞情報及び気象情報を外部から取得してもよい。渋滞情報及び気象情報は、たとえば公知のサービスによって通信ネットワークNW上に提供されてもよい。地図情報DB221、車両情報DB222、及び給電設備DB223は、定期的に又は所定のタイミングで最新の情報に更新される。たとえば、車両100においてNAVI180に設定された走行計画が変更されると、最新の走行計画が車両100からサーバ200へ送信され、車両情報DB222が更新される。
図1に示した給電システム10においては、給電設備300が走行中の車両100に対して非接触で給電を行なうように構成される。図3は、車両100が給電設備300から給電を受けるときに、車両100、給電設備300、及びサーバ200によって実行される処理を示すフローチャートである。以下では、フローチャート中の各ステップを、単に「S」と表記する。
図1及び図2とともに図3を参照して、まず、S200において、車両100(ECU150)がサーバ200に対して給電要求を行なう。給電要求(S200)は、所定の条件(以下、「給電開始条件」と称する)が成立したときに実行される。たとえば、車両100の有人走行中にユーザがHMI185に対して所定の入力(給電を要求する入力)を行なうと、給電開始条件が成立してもよい。あるいは、車両100の無人走行中に、ECU150が、車両100の位置と、走行計画と、バッテリ110のSOCとの少なくとも1つを用いて、給電開始条件が成立するか否かを判断してもよい。たとえば、バッテリ110の充電が必要と判断される状況において給電開始条件が成立してもよい。
上記給電要求(S200)においては、ECU150が所定の給電要求信号をサーバ200へ送信する。給電要求信号は、車両100の識別情報(車両ID)及び要求電力Prq[kW]を含む。ECU150は、給電を要求する給電設備を指定して給電要求を行なってもよい。この場合、ECU150は、その給電設備を特定するための情報(たとえば、設備ID及び/又は位置)を含む給電要求信号をサーバ200へ送信する。以下、サーバ200に対して給電要求を行なった車両100を、「対象車両」と称する。
対象車両は、サーバ200に対して給電要求信号を送信した後、要求した給電が終了するまで(又は、予約した給電がキャンセルされるまで)、自らの状況を示す情報(たとえば、車両の位置、車速、及び後述する隊列情報)をサーバ200へ逐次送信する。対象車両が無人走行中のときは、対象車両は、現在の状況(たとえば、現在位置、及び現在の車速)に加えて走行制御の目標値(たとえば、車速の目標値)もサーバ200へ逐次送信する。給電要求後の対象車両の走行状況は、リアルタイムでサーバ200に監視される。
サーバ200は、対象車両からの上記給電要求信号を受信すると、S400の処理を実行する。S400では、制御装置250が、対象車両が給電を要求する給電設備を特定し、特定された給電設備へ所定の給電予約信号を送信する。給電要求信号によって給電設備が指定されていない場合には、制御装置250は、対象車両の車両情報(たとえば、車両の位置、走行計画、及びバッテリ110のSOC)を用いて、対象車両が給電を要求する給電設備を特定してもよい。制御装置250は、たとえば対象車両の予定走行ルート上に位置する1つ以上の給電設備へ給電予約信号を送信してもよい。この場合、給電が予約された給電設備の位置情報がサーバ200から対象車両へ送信され、その給電設備を含む走行ルートが対象車両のNAVI180に設定されてもよい。対象車両は、予約された給電設備を含む走行ルートがNAVI180に設定されたときに、その走行ルートに従って予約された給電設備に向かう自動運転を開始してもよい。
給電予約信号は、対象車両に関する情報(たとえば、車両ID及び要求電力Prq)を含む。制御装置250は、給電要求信号が示す車両IDに基づいて車両情報DB222から抽出した車両情報を、給電予約信号に追加してもよい。以下では、給電が予約された給電設備(すなわち、サーバ200が給電予約信号を送信した給電設備)を、「対象設備」と称する。この実施の形態では、図2に示した給電設備300が対象設備になる。
対象設備(給電設備300)が上記給電予約信号を受信すると、給電予約信号に含まれる車両情報(たとえば、車両ID及び要求電力Prq)が対象設備に登録され、S310の処理が実行される。サーバ200が複数の給電設備300へ給電予約信号を送信した場合には、図3に示す一連の処理(S310~S350)が、対象設備(給電設備300)ごとに実行される。また、1つの給電設備300が複数の車両100からの給電予約信号を受信した場合には、対象設備(給電設備300)は、図3に示す一連の処理(S310~S350)を対象車両ごとに実行する。
S310では、対象設備のCOM350が、道路に設けられた対象設備の通信装置340に対象車両が接近したか否かを判断する。通信装置340は、車両100と近距離通信可能に構成される。以下、対象設備が近距離通信可能な範囲を、「給電ゾーン」とも称する。給電ゾーン内に車両100が存在することは、車両100が対象設備(給電回路310及び通信装置340を含む)に接近したことを意味する。COM350は、近距離通信によって対象車両の車両IDを受信した場合に、S310においてYESと判断する。対象車両が接近しない間は(S310にてNO)、S310の判断が繰り返し実行される。COM350は、給電の予約(給電予約信号の受信)から所定時間経過しても対象車両の接近が確認されない場合には、タイムアウトにより図3に示す一連の処理を終了するとともに、当該予約をキャンセルしてもよい。
給電要求信号の送信(S200)の後に対象車両(車両100)が対象設備に接近すると(S210にてYES)、対象設備と対象車両との近距離通信が開始される。そして、対象車両のECU150が、S220において、所定の給電開始信号を近距離通信によって対象設備へ送信する。給電開始信号は、対象車両の識別情報(車両ID)と、後述する隊列情報(図9参照)とを含む。対象設備と対象車両との近距離通信が継続していることは、対象設備の給電ゾーン内に対象車両が存在することを意味する。
対象設備(給電設備300)が上記給電開始信号を受信すると、対象設備のCOM350が、給電予約信号によって登録された車両IDと、給電開始信号に含まれる車両IDとを照合する。そして、両者が一致すると、S310においてYESと判断され、処理がS320に進む。S320では、COM350が給電回路310を送電アクティブ状態(WPT可能な状態)とする。これにより、電力変換回路330から送電コイル320に電力が供給される。送電中は給電リレー335が閉状態(接続状態)に維持される。送電コイル320の上に車両100の受電コイル160が存在すれば、対象設備から車両100へのWPTが行なわれる。COM350は、上記車両IDによる認証の後、車両通過のタイミングに合わせて送電が開始されるように、給電回路310及び給電リレー335を制御してもよい。続けて、COM350は、S330において送電制御を行なう。具体的には、COM350は、対象車両の要求電力Prqに対応する電力が送電コイル320に供給されるように、電力変換回路330(インバータ)を制御する。COM350は、対象車両の要求電力Prqに応じて送電コイル320の交流電流の振幅を制御してもよい。給電中の監視モジュール330aによる給電電力の検出値は、取得時刻とともに記憶装置353に逐次記録される。
一方、対象車両のECU150は、給電開始信号の送信(S220)の後、S230において充電回路165を受電アクティブ状態(走行中充電可能な状態)とする。これにより、充電リレーが閉状態(接続状態)になり、対象設備(給電設備300)からの電力が対象車両の受電コイル160及び充電回路165を経てバッテリ110に入力される。続けて、ECU150は、S240においてバッテリ110の充電制御を行なう。具体的には、ECU150は、バッテリ110に入力される電力(充電電力)が要求電力Prq[kW]に近づくように充電回路165を制御する。また、ECU150は、要求電力量Wrq[kWh]に基づいて対象車両の車速制御を行なう。対象車両の車速が遅いほど、バッテリ110に入力される電力量は多くなる。ECU150は、バッテリ110の電圧及び電流の検出値を用いて、対象設備からの受電電力[kW]と、受電電力を時間積分した受電電力量[kWh]とを算出することができる。
続くS250では、バッテリ110の充電が終了したか否かを、対象車両のECU150が判断する。たとえば、充電量が要求電力量Wrqに達した場合、又はバッテリ110が満充電になった場合には、充電が終了したと判断される。また、対象設備との近距離通信が途絶えた場合(すなわち、対象車両が給電ゾーンから出た場合)にも、充電が終了したと判断される。充電が終了しない間は(S250にてNO)、S240においてバッテリ110の充電が実行される。
充電が終了すると(S250にてYES)、対象車両のECU150が、S260において、充電回路165の受電アクティブ状態を解除する。これにより、充電回路165が停止されるとともに、充電リレーが開状態(遮断状態)になる。S260の処理が実行されると、対象車両における充電処理が終了する。
対象設備のCOM350は、S340において、対象車両が給電ゾーンから離脱したか否かを判断し、対象車両が給電ゾーン内に存在する間は(S340にてNO)、S330において送電を実行する。そして、対象車両が給電ゾーンから離脱すると(S340にてYES)、COM350が、S350において、給電回路310の送電アクティブ状態を解除する。これにより、電力変換回路330(インバータ)が停止され、送電コイル320への電力の供給が停止される。ただし、この段階では給電リレー335はまだ閉状態(接続状態)となっている。送電停止後、給電リレー335は、後述する図10に示す処理によって制御される。S350の処理が実行されると、対象設備における送電処理が終了する。
図4は、この実施の形態に係る給電システム10の構成について説明するための図である。図4を参照して、道路R10は、3車線の走行レーンR1~R3を含む。走行レーンR1及びR2の各々は給電レーンに相当し、走行レーンR3は無給電レーンに相当する。走行レーンR2は、走行レーンR1及びR3の間に位置する。道路R10の入り口にゲートを設けて、給電を予約した車両だけが給電レーン(走行レーンR1,R2)に進入できるようにしてもよい。図4中の車両V1~V6の各々は、道路R10を走行中の車両であり、図2に示した車両100と同じ構成を有する。車両V1~V6については後述する。
この実施の形態に係る給電システム10は、道路R10に埋め込まれた複数の給電設備300Aと複数の給電設備300Bとを備える。走行レーンR1には、給電設備300Aが所定の間隔で配列されている。走行レーンR2には、給電設備300Bが所定の間隔で配列されている。走行レーンR1における給電設備300A同士の間隔と走行レーンR2における給電設備300B同士の間隔とは、同じであってもよいし、異なってもよい。給電設備300Aと給電設備300Bとの各々は、図2に示した給電設備300と同じ構成を有する。給電設備300Aは、走行レーンR1を走行中の車両に対して給電を行なうように構成される。給電設備300Bは、走行レーンR2を走行中の車両に対して給電を行なうように構成される。サーバ200の制御装置250は、通信ネットワークNWを介して車両V1~V6及び給電設備300A,300Bの各々と通信可能に構成される。制御装置250、走行レーンR1、走行レーンR2、給電設備300A、給電設備300Bは、それぞれ本開示に係る「制御装置」、「第1走行レーン」、「第2走行レーン」、「第1給電設備」、「第2給電設備」の一例に相当する。
制御装置250は、車両制御装置として機能する。制御装置250は、走行レーンR1へ車両を誘導する第1誘導信号、及び、走行レーンR2へ車両を誘導する第2誘導信号を送信するように構成される。制御装置250は、走行レーンR2を走行中の車両の車速が所定の第1範囲内である場合には、当該車両へ第1誘導信号を送信するように構成される。制御装置250は、走行レーンR1を走行中の車両の車速が第1範囲よりも高速側に設定された第2範囲内である場合には、当該車両へ第2誘導信号を送信するように構成される。この実施の形態では、所定の基準速度(以下、「Vs」と表記する)未満の速度範囲を、上記第1範囲とする。また、Vs以上の速度範囲を、上記第2範囲とする。Vsは、記憶装置253に記憶されている。Vsは、固定値であってもよいし、状況に応じて可変であってもよい。
図5は、制御装置250によって実行される車両制御を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、たとえば道路R10に設けられた給電設備(すなわち、給電設備300A及び300B)での給電を予約した車両(対象車両)が、道路R10に進入すると、開始される。図5に示す一連の処理は、対象車両ごとに実行される。
図1及び図2とともに図5を参照して、S100では、対象車両が道路R10の走行レーンR1~R3のいずれを走行しているかを、制御装置250が判別する。制御装置250は、対象車両から取得した対象車両の位置情報を用いて、対象車両が走行している車線(走行レーン)を特定してもよい。また、制御装置250は、給電設備300A又は300Bから取得した情報(たとえば、給電中の車両の識別情報)を用いて、対象車両が走行している車線(走行レーン)を特定してもよい。対象車両が走行レーンR1を走行している場合には(S100にて「R1」)、処理がS111に進む。対象車両が走行レーンR2を走行している場合には(S100にて「R2」)、処理がS121に進む。対象車両が走行レーンR3を走行している場合には(S100にて「R3」)、処理がS150に進む。
S111では、対象車両の車速がVs以上であるか否かを、制御装置250が判断する。具体的には、制御装置250は、対象車両が有人走行中のときは、対象車両の現在の車速(センサ検出値)がVs以上であるか否かを判断し、対象車両が無人走行中のときは、対象車両の目標車速(走行制御における車速の目標値)がVs以上であるか否かを判断する。対象車両の車速がVs以上である場合には(S111にてYES)、制御装置250が、S112において対象車両へ第2誘導信号を送信した後、処理がS150に進む。
対象車両が走行レーンR1を無人走行中である場合は、S112において、対象車両を走行レーンR2へ誘導する自動運転指令が、第2誘導信号として対象車両へ送信される。この第2誘導信号を対象車両が受信すると、対象車両のECU150が、制御装置250からの指示に従って自動運転を実行する。これにより、対象車両は走行レーンR1から走行レーンR2への車線変更を行なう。
対象車両が走行レーンR1を有人走行中である場合は、S112において、走行レーンR2へ誘導する指示をHMI185(たとえば、タッチパネルディスプレイ)に報知させる信号が、第2誘導信号として対象車両へ送信される。この第2誘導信号を対象車両が受信すると、対象車両のHMI185が、走行レーンR2へ誘導する指示をユーザに対して報知する。HMI185は、たとえば右向きの矢印(走行レーンR2の方向を示す矢印)を表示してもよい。この指示に従ってユーザが車線変更を行なうことで、対象車両は走行レーンR1から走行レーンR2へ移動する。HMI185は、本開示に係る「第2報知装置」の一例に相当する。
他方、対象車両の車速がVs未満である場合には(S111にてNO)、第2誘導信号の送信が行なわれることなく、処理がS150に進む。
S121では、対象車両の車速がVs未満であるか否かを、制御装置250が判断する。具体的には、制御装置250は、対象車両が有人走行中のときは、対象車両の現在の車速(センサ検出値)がVs未満であるか否かを判断し、対象車両が無人走行中のときは、対象車両の目標車速(走行制御における車速の目標値)がVs未満であるか否かを判断する。対象車両の車速がVs未満である場合には(S121にてYES)、制御装置250が、S122において対象車両へ第1誘導信号を送信した後、処理がS150に進む。
対象車両が走行レーンR2を無人走行中である場合は、S122において、対象車両を走行レーンR1へ誘導する自動運転指令が、第1誘導信号として対象車両へ送信される。この第1誘導信号を対象車両が受信すると、対象車両のECU150が、制御装置250からの指示に従って自動運転を実行する。これにより、対象車両は走行レーンR2から走行レーンR1への車線変更を行なう。
対象車両が走行レーンR2を有人走行中である場合は、S122において、走行レーンR1へ誘導する指示をHMI185(たとえば、タッチパネルディスプレイ)に報知させる信号が、第1誘導信号として対象車両へ送信される。この第1誘導信号を対象車両が受信すると、対象車両のHMI185が、走行レーンR1へ誘導する指示をユーザに対して報知する。HMI185は、たとえば左向きの矢印(走行レーンR1の方向を示す矢印)を表示してもよい。この指示に従ってユーザが車線変更を行なうことで、対象車両は走行レーンR2から走行レーンR1へ移動する。HMI185は、本開示に係る「第1報知装置」の一例に相当する。
他方、対象車両の車速がVs以上である場合には(S121にてNO)、第1誘導信号の送信が行なわれることなく、処理がS150に進む。
S150では、対象車両が道路R10(対象道路)を走行中か否かを、制御装置250が判断する。制御装置250は、対象車両から取得した対象車両の位置情報を用いて、対象車両が道路R10を走行中か否かを判断してもよい。対象車両が道路R10を走行している間は(S150にてYES)、処理が最初のステップ(S100)に戻る。そして、対象車両が道路R10を出ると(S150にてNO)、図5に示す一連の処理は終了する。
再び図4を参照して、車両V1~V6の各々は、道路R10に設けられた給電設備(すなわち、給電設備300A及び300B)における給電を予約した車両であり、給電設備300A及び300Bのいずれからも給電を受けることができる。以下、Vsが50km/hであり、車両V1、V2、V3、V4、V5、V6の車速がそれぞれ20km/h、60km/h、70km/h、30km/h、80km/h、100km/hである例におけるサーバ200の動作について説明する。
走行レーンR1を走行している車両V1及びV2のうち、車両V2の車速はVs以上である。このため、サーバ200は、車両V2へ第2誘導信号を送信する(図5のS112)。走行レーンR2を走行している車両V3及びV4のうち、車両V4の車速はVs未満である。このため、サーバ200は、車両V4へ第1誘導信号を送信する(図5のS122)。車両V5及びV6はいずれも無給電レーン(走行レーンR3)を走行しているため(図5のS100にて「R3」)、サーバ200は車両V5,V6に対しては誘導信号を送信しない。
サーバ200の制御装置250は、上記第2誘導信号を送信するときに、以下に説明する図6に示す処理を実行するように構成される。図6は、制御装置250が第2誘導信号を送信するときに実行する処理を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、たとえば、制御装置250が図5のS112において第2誘導信号を送信すると、開始される。
図1及び図2とともに図6を参照して、S123では、走行レーンR2上に隊列走行可能な1台以上の車両が存在するか否かを、制御装置250が判断する。走行レーンR2上に隊列走行可能な車両が存在する場合には(S123にてYES)、制御装置250は、S124において、第2誘導信号によって走行レーンR2へ誘導される車両と、走行レーンR2上の隊列走行可能な1台以上の車両との各々に、走行レーンR2上での隊列走行を指示する隊列走行指令(第1隊列走行指令)を送信する。他方、走行レーンR2上に隊列走行可能な車両が存在しない場合には(S123にてNO)、隊列走行指令が送信されることなく、図6に示す一連の処理は終了する。
図7は、図6に示した処理によって実行される車両制御について説明するための図である。図7中の車両100A~100Dの各々は、道路R10を走行中の車両であり、図2に示した車両100と同じ構成を有する。以下、図7を用いて、Vsが50km/hであり、車両100A、100B、100C、100Dの車速がそれぞれ60km/h、70km/h、60km/h、70km/hである例におけるサーバ200の動作について説明する。
図7を参照して、走行レーンR1を走行している車両100Cの車速はVs以上である。このため、サーバ200は、車両100Cへ第2誘導信号を送信する(図5のS112)。制御装置250が第2誘導信号を車両100Cへ送信するときに、車両100Cの周辺における走行レーンR2上には車両100A、100B、及び100Dが存在する。車両100A、100B、及び100Dの各々の車速はVs以上であるため、車両100A、100B、及び100Dの各々は車両100Cとともに隊列走行可能であると制御装置250は判断する。このため、制御装置250は、第2誘導信号によって走行レーンR2へ誘導される車両100Cと、走行レーンR2上の車両100A,100B,100Dとの各々に、走行レーンR2上での隊列走行を指示する隊列走行指令を送信する(図6のS124)。
図8は、隊列走行について説明するための図である。図2とともに図8を参照して、車両100A~100Dの各々のECU150(図2)は、制御装置250から隊列走行指令(図6のS124)を受けた場合に、隊列走行指令に従って当該車両が隊列走行するように当該車両の自動運転を実行する。これにより、車両100A~100Dが隊列走行する。具体的には、図8に示すように、車両100A~100Dが所定の車間距離で連続して走行し、車両100A~100Dによる隊列400が形成される。
隊列は、先頭に位置する車両(以下、「先頭車両」と称する)と、先頭車両の後に続く車両(以下、「後続車両」と称する)とを含む。以下では、後続車両のうち、最後尾に位置する車両を「最後尾車両」と称する。そして、最後尾車両ではない後続車両を「中間車両」と称する。また、基準とする車両に対して、前方を走行する車両を「先行車両」と称し、後方を走行する車両を「後行車両」と称する。図8に示す隊列400では、車両100Aが先頭車両に相当し、車両100Dが最後尾車両に相当し、車両100B,100Cが中間車両に相当する。また、車両100Bの先行車両は車両100Aであり、車両100Bの後行車両は車両100Cである。
隊列走行中の車両100A~100Dにおいて、先頭車両(車両100A)が、走行時に受ける風圧は単独走行時と同等である。一方で、後続車両(車両100B~100D)が走行時に受ける風圧は、単独走行時の風圧よりも小さくなる。車両100A~100Dの走行時の消費エネルギーの和は、車両100A~100Dの各々が単独走行した場合よりも、車両100A~100Dが隊列走行した場合のほうが小さくなる。後続車両の走行抵抗が減少することによって、走行のための消費エネルギーが減少する。このように、隊列走行を積極的に行なうことで、社会全体での消費エネルギーを低減し得る。
詳細は後述するが、この実施の形態に係る給電システムでは、先頭車両と後続車両との間での不公平を是正するため、隊列走行において先頭車両に適用される給電単価(給電料金の単価)を後続車両よりも低く(安く)設定する(図11参照)。こうした仕組みにより、先頭車両として走行するインセンティブを付与することができる。
この実施の形態では、車両100A~100Dの各々のECU150(図2)が、隊列走行において、当該車両(ECU150を備える車両)が先頭車両ではない場合には、先行車両の挙動を検出し、その先行車両を追従するように自動運転を実行するように構成される。たとえば、車両100BのECU150は、車両100A(車両100Bの前を走る車両)の挙動を検出し、車両100Aを追従するように自動運転を実行する。また、隊列走行において車両100Bの後ろを走る車両100CのECU150は、車両100Bの挙動を検出し、車両100Bを追従するように自動運転を実行する。隊列に含まれる車両100A~100Dは、隊列走行中は常時、車車間通信(V2V通信)によって相互に通信してもよい。各後続車両のECU150は、先行車両の走行状態を示す情報(たとえば、加減速情報)をV2V通信で受信し、ADAS(先進運転支援システム)によって先行車両の走行状態に対応した走行制御を実行してもよい。隊列走行における車間距離の調整は、協調型車間距離維持支援システム(CACC)によって行なわれてもよい。隊列内への割り込みが抑制されるように、隊列走行中の車間距離が調整されてもよい。車両100A~100Dの各々は、たとえばサーバ200(制御装置250)からの隊列走行指令を受けたときに、隊列走行のための上記制御を開始してもよい。そして、先頭車両の挙動がリアルタイムで後続車両に順次伝わることで、隊列において一体的な走行制御が行なわれてもよい。
隊列400を形成する車両100A~100Dの各々は有人でも無人でもよい。先頭車両(車両100A)のみに運転者が乗車しており、後続車両(車両100B~100D)は無人であってもよい。隊列走行の制御方法は上記に限られず任意である。たとえば、サーバ200が、車群に含まれる各車両に個別に隊列走行指令を送信しながら車群を一体的にリモート制御してもよい。
再び図7を参照して、この実施の形態に係る制御装置250は、隊列走行中の各車両に関する隊列情報及び給電実績を取得する情報取得部250aと、隊列情報を用いて設定された給電単価(給電料金の単価)と、給電実績とを用いて、隊列走行中の各車両に対する給電料金を算出する給電料金算出部250bとを含む。制御装置250においては、たとえば、図2に示したプロセッサ251と、プロセッサ251により実行されるプログラムとによって、情報取得部250a及び給電料金算出部250bが具現化される。ただしこれに限られず、上記各部は、専用のハードウェア(電子回路)によって具現化されてもよい。
図9は、車両100によって実行される隊列情報の作成に係る処理を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、車両100の走行中(たとえば、隊列走行が実行され得る速度域での走行中)において、ECU150によって繰り返し実行される。図9に示す一連の処理は、車両100ごとに実行される。
この実施の形態では、図9に示す処理で用いられるパラメータであるFld及びFbkが隊列情報を示す。Fld及びFbkは、図2に示した記憶装置253に記憶されている。表T100は、Fld及びFbkによって示される隊列情報の一例を示している。具体的には、Fldは、1/0に応じて先行車両の有/無を示す。Fbkは、1/0に応じて後行車両の有/無を示す。Fld、Fbkがそれぞれ「0」、「0」であることは、当該車両が単独走行中であることを意味する。Fld、Fbkがそれぞれ「0」、「1」であることは、当該車両が隊列走行中で隊列内の先頭に位置することを意味する。Fld、Fbkがそれぞれ「1」、「0」であることは、当該車両が隊列走行中で隊列内の最後尾に位置することを意味する。Fld、Fbkがそれぞれ「1」、「1」であることは、当該車両が隊列走行中で隊列内の中間に位置することを意味する。上記のように、Fld及びFbkによって示される隊列情報は、当該車両が隊列の先頭車両であるか否かを識別する情報を含む。Fldは、以下に示すS521,S522で設定され、Fbkは、以下に示すS551~S554で設定される。
図2とともに図9を参照して、S510では、ECU150が、当該車両(自車両)の前方を走行する先行車両の有無を判断する。ECU150は、自動運転センサ170(たとえば、車両100の前方に向けたカメラ、ミリ波レーダ、及びライダーの少なくとも1つ)の検出結果に基づいて、先行車両の有無を判断してもよい。たとえば、当該車両の前方の所定距離以内に他の車両(先行車両)が検出されると、先行車両が存在すると判断される。なお、先行車両の有無の判断方法は任意であり、上記に限られない。
先行車両が検出された場合には(S510にてYES)、ECU150は、S521においてFldに「1」を設定した後、続くS530で、当該車両(自車両)の後方を走行する後行車両の有無を判断する。この実施の形態では、当該車両が後行車両から後述のNbk(S580)を受信したか否かに基づいて、ECU150が後行車両の有無を判断する。しかしこれに限られず、後行車両の有無の判断方法は任意である。自動運転センサ170が車両100の後方に向けたカメラ、ミリ波レーダ、及びライダーの少なくとも1つを含む形態では、ECU150は、自動運転センサ170の検出結果に基づいて後行車両の有無を判断してもよい。たとえば、当該車両の後方の所定距離以内に他の車両(後行車両)が検出された場合に、後行車両が存在すると判断されてもよい。
当該車両が後行車両からNbk(S580)を受信しない場合には(S530にてNO)、続くS551でECU150がFbkに「0」を設定する。その後、さらに続くS560で、ECU150が当該車両のNbkに「0」を設定すると、処理はS580に進む。Nbkは、後続車両の台数を示す。Nbkは、図2に示した記憶装置253に記憶されている。S510にてYESかつS530にてNOと判断された場合には、当該車両は最後尾車両であると考えられるため、S560においてNbkに「0」(後続車両なし)が設定される。
当該車両が後行車両からNbk(S580)を受信した場合には(S530にてYES)、ECU150は、S552においてFbkに「1」を設定した後、続くS570で、後行車両から受信したNbk(S580)に1を加算して、得られた値を、当該車両のNbkとして記憶装置253に保存する。その後、処理はS580に進む。S510にてYESかつS530にてYESと判断された場合には、当該車両は中間車両であると考えられるため、S570において、後行車両のNbkに1を加えた値が当該車両のNbkに設定される。
S580では、ECU150が、当該車両及び後行車両の各々の車両ID(当該車両が最後尾車両である場合には、当該車両の車両IDのみ)と、当該車両のNbkとを含む車両情報を、V2V通信によって先行車両へ送信する。その後、処理は最初のステップ(S510)に戻る。
先行車両が検出されなかった場合には(S510にてNO)、ECU150は、S522においてFldに「0」を設定した後、続くS540で、当該車両(自車両)の後方を走行する後行車両の有無を判断する。S540の処理は、S530の処理と同じであってもよい。
当該車両が後行車両からNbk(S580)を受信した場合には(S540にてYES)、ECU150は、S553においてFbkに「1」を設定した後、続くS590で、後行車両から受信したNbk(S580)に1を加算して、得られた値を、当該車両のNbkとして記憶装置253に保存する。S510にてNOかつS540にてYESと判断された場合には、当該車両は先頭車両であると考えられるため、S590において、後行車両のNbkに1を加えた値が当該車両のNbkに設定される。その後、処理は最初のステップ(S510)に戻る。
当該車両が後行車両からNbk(S580)を受信しない場合には(S540にてNO)、続くS554でECU150がFbkに「0」を設定した後、処理は最初のステップ(S510)に戻る。S510にてNOかつS540にてNOと判断された場合には、当該車両は単独走行中であると考えられる。
上記のように、図2に示したECU150は、車両100の隊列走行中に、前方を走行する先行車両の有無と、後方を走行する後行車両の有無とを判断し、これらの判断結果を用いて隊列情報を作成するように構成される。
図10は、給電料金の算出及び報知に係る処理を示すフローチャートである。たとえば、給電設備300に予約された給電が終了すると、対象設備(給電設備300)が図10に示す処理(S371~S376)を実行する。
図2とともに図10を参照して、対象設備のCOM350は、たとえば図3のS350の処理に続けて、S371の処理を実行する。S371では、対象車両が隊列走行中か否かを、COM350が判断する。COM350は、たとえば送電開始前の通信で対象車両から受信した給電開始信号(図3のS220)に含まれる隊列情報(図9中の表T100参照)を用いて、対象車両が隊列走行中か否かを判断する。対象車両が隊列走行中である場合には(S371にてYES)、COM350は、S372において、隊列情報を用いて対象車両が最後尾車両であるか否かを判断する。
対象車両が隊列走行中であり、かつ、対象車両が最後尾車両である場合には(S371及びS372の両方でYES)、COM350は、S373において、給電リレー335を開状態(遮断状態)にする。他方、S371とS372とのいずれかにおいてNOと判断された場合には、COM350は、S374において、給電リレー335を閉状態(接続状態)のままにする。このように、COM350は、隊列走行中の各車両に対して給電を行なう場合には(S371にてYES)、先頭車両に対する給電を開始してから最後尾の車両に対する給電が終了するまで(S372にてNO)給電リレー335を接続状態に維持し、最後尾の車両に対する給電が終了した後(S372にてYES)、給電リレー335を遮断状態にする。
続くS375では、対象設備のCOM350が、給電中の監視モジュール330aによる給電電力の検出値を用いて、対象車両に対する給電実績を作成する。給電実績は、給電日時、給電電力Psd[kW]、給電時間Tsd[秒]、及び、給電量Wsd[kWh]の実績値を含み、対象車両の車両IDと関連付けられて作成される。このように、COM350は、給電レーン(たとえば、図4に示した走行レーンR1又はR2)上で隊列走行中の各車両の給電時に、監視モジュール330aによる給電電力の検出値を用いて各車両に対する給電実績を作成する。
続くS376では、対象設備のCOM350が、対象車両に関する給電実績情報をサーバ200へ送信する。給電実績情報は、対象車両の給電実績及び車両IDを含む。給電実績情報は、対象車両の隊列情報と、対象車両に給電を行なった対象設備の設備IDとをさらに含んでもよい。S376の処理が実行されると、給電設備300(対象設備)に関する図10に示す一連の処理は終了する。一方、サーバ200が給電実績情報を受信すると、受信した給電実績情報が記憶装置253に保存され、サーバ200に関する図10に示す一連の処理が開始される。
S410では、サーバ200の制御装置250が、給電設備300から受信した給電実績情報を用いて、対象車両のユーザに対して請求する給電料金を算出する。図11は、S410の詳細を示すフローチャートである。
図2及び図7とともに図11を参照して、S411では、制御装置250の情報取得部250aが対象車両の隊列情報を取得する。情報取得部250aは、たとえば記憶装置253から対象車両の隊列情報を読み出す。隊列情報は、給電設備300から受信して記憶装置253に保存されたものであってもよいし、対象車両から受信して記憶装置253に保存されたものであってもよい。
S412では、制御装置250の給電料金算出部250bが、対象車両の隊列情報を用いて、対象車両が隊列走行に参加していたか否かを判断する。対象車両が隊列走行に参加していなかった場合には(S412にてNO)、給電料金算出部250bは、S414において、対象車両の給電単価として基本単価P0を設定する。この実施の形態では、単位給電量あたりの料金を、給電単価として採用する。ただしこれに限られず、給電単価は、単位給電時間あたりの料金であってもよい。
対象車両が隊列走行に参加していた場合には(S412にてYES)、給電料金算出部250bは、S413において、対象車両の隊列情報を用いて、対象車両が先頭車両であったか否かを判断する。対象車両が先頭車両であった場合には(S413にてYES)、給電料金算出部250bは、S415において、対象車両の給電単価として、基本単価P0よりも安い単価P1(優遇単価)を設定する。対象車両が先頭車両ではなかった場合には(S413にてNO)、給電料金算出部250bは、S416において、対象車両の給電単価として、単価P1よりも高い単価P2を設定する。このように、給電料金算出部250bは、1つの隊列に含まれる複数の車両に関して、隊列の先頭車両に対する給電単価を、隊列の先頭車両以外の車両に対する給電単価よりも低く(安く)設定する。なお、単価P2と基本単価P0とは、同じであってもよいし、異なってもよい。
S414~S416のいずれかにおいて対象車両の給電単価が設定されると、S417において、制御装置250の情報取得部250aが対象車両の給電実績及び車両IDを取得する。情報取得部250aは、たとえば記憶装置253から対象車両の給電実績情報を読み出す。
その後、給電料金算出部250bは、S418において、対象車両に対する給電料金を算出する。たとえば、給電料金算出部250bは、設定された給電単価[¥/kWh]と、給電実績に含まれる給電量[kWh]とを乗算することにより、対象車両に対する給電料金を算出する。なお、図10及び図11に示す処理は、隊列走行中の各車両を対象車両として実行される。すなわち、情報取得部250aは、隊列走行中の各車両に関する隊列情報(S411)及び給電実績(S417)を取得するように構成される。また、給電料金算出部250bは、隊列情報を用いて設定された給電単価と、給電実績とを用いて、隊列走行中の各車両に対する給電料金を算出する(S418)。S418の処理が実行されると、処理は図10のS420に進む。
再び図2とともに図10を参照して、サーバ200は、S420において、S410で算出された給電料金を対象車両の車両IDと関連付けて記憶装置253に保存する。サーバ200は、車両IDごとに給電料金を管理する。その後、制御装置250は、S430において、対象車両に関する給電単価(図11のS414~S416のいずれかで設定された単価)と給電料金(図11のS418で算出された料金)とを含む給電料金情報を、対象車両へ送信する。設定された給電単価が基本単価P0ではない場合には、給電料金情報が基本単価P0をさらに含んでもよい。S430の処理が実行されると、サーバ200に関する図10に示す一連の処理は終了する。一方、対象車両が給電料金情報を受信すると、車両100(対象車両)に関する図10に示す一連の処理が開始される。
S270では、対象車両のECU150が、給電料金情報に含まれる給電単価と給電料金を、HMI185(たとえば、タッチパネルディスプレイ)に表示させる。対象車両が先頭車両であって優遇された単価が適用された場合には、ECU150は、給電料金の面で優遇された旨をユーザに報知するようにHMI185を制御する。たとえば、HMI185は、単価P1(優遇単価)とともに基本単価P0を表示することにより、基本単価P0よりも安い料金が適用されたことをユーザに知らせてもよい。これにより、先頭車両として走行することの動機付けをユーザに与えることができる。
以上説明した構成を有する給電システム10(図1~図11参照)によれば、渋滞を抑制しながら車両に十分な給電を行なうことが可能になる。また、この実施の形態に係る給電方法は、図3、図5、図6、及び図9~図11の各々に示した処理を含む。図5示した処理では、走行レーンR2(高速レーン)を走行中の車両の車速が所定の第1範囲(Vs未満の速度範囲)内である場合に(S121にてYES)、制御装置250が、走行レーンR1(低速レーン)へ車両を誘導する第1誘導信号を当該車両へ送信する(S122)。また、走行レーンR1(低速レーン)を走行中の車両の車速が第1範囲よりも高速側に設定された第2範囲(Vs以上の速度範囲)内である場合に(S111にてYES)、制御装置250が、走行レーンR2(高速レーン)へ車両を誘導する第2誘導信号を当該車両へ送信する(S112)。こうした方法によっても、渋滞を抑制しながら車両に十分な給電を行なうことが可能になる。
上記実施の形態では、車両と給電設備との間での近距離通信が確立したか否かに基づいて、車両が給電設備に接近したか否かを判断している。しかし、車両の接近を検出する手法は、こうした手法に限られず任意である。たとえば、道路又はその周辺に設けられたセンサによって車両の接近を検出してもよい。
上記図11に示した処理では、後続車両に同じ給電単価(単価P2)を設定している(S416参照)。しかしこれに限られず、後続車両の間で給電単価に差をつけてもよい。たとえば、最後尾車両の給電単価を中間車両の給電単価よりも高くしてもよい。さらに、中間車両の中でも給電単価に差をつけて、後方に位置する車両ほど給電単価を高くしてもよい。先頭車両に適用される単価の優遇分を同一隊列内の少なくとも1台の後続車両が負担するように、隊列内の各車両の給電単価が設定されてもよい。たとえば、制御装置250は、基本単価P0に対する単価P1の減額分に対応して、基本単価P0に対する単価P2の増額分を決定してもよい。
給電システムが適用される道路は、図4に示した道路R10に限られない。給電システムが適用される道路は、一般道であってもよいし、高速道路であってもよい。給電レーン(道路において給電設備が設置された領域)の長さは任意であり、たとえば5km以上100km以下であってもよいし、数kmであってもよい。図4に示した道路R10では、給電レーンの数が2車線であり、無給電レーンの数が1車線であるが、給電レーンよりも多い車線の無給電レーンが設けられてもよい。また、3車線以上の給電レーンを有する道路に上述した給電システムが適用されてもよい。
図12は、図4に示した給電システムの変形例を示す図である。図12を参照して、道路R10Aは、走行レーンR3(無給電レーン)に代えて走行レーンR3A(給電レーン)が採用されたこと以外は、道路R10と同じ構成を有する。道路R10Aは、ゲートを通過して進入及び退出する専用道路であってもよい。図12中の車両V11~V16の各々は、道路R10Aを走行中の車両であり、図2に示した車両100と同じ構成を有する。車両V11~V16については後述する。
この変形例に係る給電システム10Aは、複数の給電設備300Aと、複数の給電設備300Bと、複数の給電設備300Cとを備える。給電設備300A~300Cの各々は、道路R10Aに埋め込まれており、図2に示した給電設備300と同じ構成を有する。走行レーンR3Aには、給電設備300Cが所定の間隔で配列されている。給電設備300Cは、走行レーンR3Aを走行中の車両に対して給電を行なうように構成される。走行レーンR3A、給電設備300Cは、それぞれ本開示に係る「第3走行レーン」、「第3給電設備」の一例に相当する。
サーバ200の制御装置250は、通信ネットワークNWを介して車両V11~V16及び給電設備300A~300Cの各々と通信可能に構成される。道路R10Aに設けられた給電設備(すなわち、図12に示した給電設備300A~300C)で給電が行なわれるときには、制御装置250は、図5に示した処理に代えて、以下に説明する図13に示す処理を実行する。
図13は、図5に示した処理の変形例を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、たとえば道路R10Aに設けられた給電設備での給電を予約した車両(対象車両)が、道路R10Aに進入すると、開始される。図13に示す一連の処理は、対象車両ごとに実行される。
図2及び図12とともに図13を参照して、S100Aでは、対象車両が道路R10Aの走行レーンR1、R2、R3Aのいずれを走行しているかを、制御装置250が判別する。判別方法は、たとえば図5のS100に準ずる。
対象車両が走行レーンR1を走行している場合には、制御装置250が、S111Aにおいて、対象車両の車速が所定の第1速度(以下、「Vs1」と表記する)以上であるか否かを判断する。車速の判断方法は、たとえば図5のS111に準ずる。対象車両の車速がVs1以上である場合には(S111AにてYES)、制御装置250が、S112において対象車両へ第2誘導信号を送信した後、処理がS150に進む。他方、対象車両の車速がVs1未満である場合には(S111AにてNO)、第2誘導信号の送信が行なわれることなく、処理がS150に進む。図13中のS112、S150は、それぞれ図5中のS112、S150と同じである。
対象車両が走行レーンR2を走行している場合には、制御装置250が、S121Aにおいて、対象車両の車速がVs1未満であるか否かを判断する。車速の判断方法は、たとえば図5のS121に準ずる。対象車両の車速がVs1未満である場合には(S121AにてYES)、制御装置250が、S122において対象車両へ第1誘導信号を送信した後、処理がS150に進む。図13中のS122は、図5中のS122と同じである。
他方、対象車両の車速がVs1以上である場合には(S121AにてNO)、制御装置250が、S131において、対象車両の車速が所定の第2速度(以下、「Vs2」と表記する)を超えるか否かを判断する。車速の判断方法は、S111A,S121Aに準ずる。対象車両の車速がVs2を超える場合には(S131にてYES)、制御装置250が、S132において対象車両へ第3誘導信号を送信した後、処理がS150に進む。第3誘導信号は、走行レーンR3Aへ車両を誘導する信号である。
対象車両が走行レーンR2を無人走行中である場合は、S132において、対象車両を走行レーンR3Aへ誘導する自動運転指令が、第3誘導信号として対象車両へ送信される。この第3誘導信号を対象車両が受信すると、対象車両のECU150が、制御装置250からの指示に従って自動運転を実行する。これにより、対象車両は走行レーンR2から走行レーンR3Aへの車線変更を行なう。
対象車両が走行レーンR2を有人走行中である場合は、S132において、走行レーンR3Aへ誘導する指示をHMI185(報知装置)に報知させる信号が、第3誘導信号として対象車両へ送信される。この第3誘導信号を対象車両が受信すると、対象車両のHMI185が、走行レーンR3Aへ誘導する指示をユーザに対して報知する。HMI185は、たとえば右向きの矢印(走行レーンR3Aの方向を示す矢印)を表示してもよい。この指示に従ってユーザが車線変更を行なうことで、対象車両は走行レーンR2から走行レーンR3Aへ移動する。
対象車両の車速がVs2以下である場合には(S131にてNO)、第3誘導信号の送信が行なわれることなく、処理がS150に進む。
対象車両が走行レーンR3Aを走行している場合には、制御装置250が、S141において、対象車両の車速がVs2以下であるか否かを判断する。車速の判断方法は、S111A,S121Aに準ずる。対象車両の車速がVs2以下である場合には(S141にてYES)、制御装置250が、S142において対象車両へ第2誘導信号を送信した後、処理がS150に進む。他方、対象車両の車速がVs2を超える場合には(S141にてNO)、第2誘導信号の送信が行なわれることなく、処理がS150に進む。S142の処理は、S112の処理に準ずる。S142で送信された第2誘導信号を受信した対象車両は、第2誘導信号によって走行レーンR3Aから走行レーンR2へ誘導される。
対象車両が道路R10A(対象道路)を走行している間は(S150にてYES)、処理が最初のステップ(S100A)に戻る。そして、対象車両が道路R10Aを出ると(S150にてNO)、図13に示す一連の処理は終了する。
再び図12を参照して、車両V11~V16の各々は、道路R10Aに設けられた給電設備における給電を予約した車両であり、給電設備300A~300Cのいずれからも給電を受けることができる。以下、Vs1、Vs2がそれぞれ50km/h、100km/hであり、車両V11、V12、V13、V14、V15、V16の車速がそれぞれ30km/h、60km/h、110km/h、40km/h、80km/h、120km/hである例におけるサーバ200の動作について説明する。
走行レーンR1を走行している車両V11及びV12のうち、車両V12の車速はVs1以上である。このため、サーバ200は、車両V12へ第2誘導信号を送信する(図13のS112)。走行レーンR2を走行している車両V13及びV14のうち、車両V13の車速はVs2超であり、車両V14の車速はVs1未満である。このため、サーバ200は、車両V13へ第3誘導信号を送信し(図13のS132)、車両V14へ第1誘導信号を送信する(図13のS122)。走行レーンR3Aを走行している車両V15及びV16のうち、車両V15の車速はVs2以下である。このため、サーバ200は、車両V15へ第2誘導信号を送信する(図13のS142)。
上記のように、サーバ200の制御装置250は、走行レーンR2を走行中の車両の車速が所定の第1範囲(Vs1未満の速度範囲)内である場合には、当該車両へ第1誘導信号を送信し、走行レーンR1を走行中の車両の車速が第1範囲よりも高速側に設定された第2範囲(Vs1以上Vs2以下の速度範囲)内である場合には、当該車両へ第2誘導信号を送信する。さらに、制御装置250は、走行レーンR2を走行中の車両の車速が第2範囲よりも高速側に設定された第3範囲(Vs2超の速度範囲)内である場合には、当該車両へ第3誘導信号を送信し、走行レーンR3Aを走行中の車両の車速が第2範囲内である場合には、当該車両へ第2誘導信号を送信する。
サーバ200の制御装置250は、図13のS112又はS142において第2誘導信号を送信するときには、図6に示した処理を実行する。また、制御装置250は、第3誘導信号を送信するときには、以下に説明する図14に示す処理を実行する。
図14は、制御装置250が第3誘導信号を送信するときに実行する処理を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、たとえば、制御装置250が図13のS132において第3誘導信号を送信すると、開始される。
図1及び図2とともに図14を参照して、S133では、走行レーンR3A上に隊列走行可能な1台以上の車両が存在するか否かを、制御装置250が判断する。走行レーンR3A上に隊列走行可能な車両が存在する場合には(S133にてYES)、制御装置250は、S134において、第3誘導信号によって走行レーンR3Aへ誘導される車両と、走行レーンR3A上の隊列走行可能な1台以上の車両との各々に、走行レーンR3A上での隊列走行を指示する隊列走行指令(第2隊列走行指令)を送信する。他方、走行レーンR3A上に隊列走行可能な車両が存在しない場合には(S133にてNO)、隊列走行指令が送信されることなく、図14に示す一連の処理は終了する。
上記図14に示した処理によれば、走行レーンR3A(高速レーン)で隊列走行が実行されやすくなる。また、第2誘導信号の送信時に図6に示した処理が実行されることによって、走行レーンR2(中速レーン)で隊列走行が実行されやすくなる。ただし、上記形態に限られず、必要に応じて、走行レーンR1(低速レーン)で隊列走行が実行されるようにしてもよい。
上記実施の形態では、サーバ200としてオンプレミスサーバが採用されている(図1参照)。しかしこれに限られず、クラウドコンピューティングによってクラウド上にサーバ200の機能(たとえば、車両制御及び給電料金算出に係る機能)が実装されてもよい。また、サーバ200の少なくとも一部の機能(たとえば、車両制御と給電料金算出との少なくとも一方に係る機能)は、給電設備300のCOM350に実装されてもよい。
給電システムから給電を受ける車両(対象車両)の構成は、上記実施の形態で説明した構成(図2参照)に限られない。対象車両の構成は、有人走行専用の構成、又は無人走行専用の構成に適宜変更されてもよい。たとえば、無人走行専用の車両は、人が車両を操作するための部品(ステアリングホイールなど)を備えなくてもよい。対象車両の構成は、必ずしも自動運転機能を具備する構成に限定されない。
BEV以外のxEVが対象車両として採用されてもよい。xEVは、電力を動力源の全て又は一部として利用する車両である。BEVのほか、PHEV(プラグインハイブリッド車)、FCEV(燃料電池車)、レンジエクステンダーEVなども、xEVに含まれる。対象車両は、ソーラーパネルを備えてもよいし、飛行機能を備えてもよい。対象車両は、乗用車に限られず、バス又はトラックであってもよい。対象車両は、個人が所有する車両(POV)であってもよいし、MaaS(Mobility as a Service)車両であってもよい。MaaS車両は、MaaS事業者が管理する車両である。対象車両は、ユーザの使用目的に応じてカスタマイズされる多目的車両であってもよい。対象車両は、移動店舗車両、ロボタクシー、無人搬送車(AGV)、又は農業機械であってもよい。対象車両は、無人又は1人乗りの小型BEV(たとえば、マイクロパレット)であってもよい。
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示により示される技術的範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
10,10A 給電システム、100 車両、110 バッテリ、150 ECU、160 受電コイル、170 自動運転センサ、180 NAVI、185 HMI、190,210,340 通信装置、200 サーバ、250 制御装置、250a 情報取得部、250b 給電料金算出部、300 給電設備、310 給電回路、320 送電コイル、330 電力変換回路、335 給電リレー、NW 通信ネットワーク。
Claims (12)
- 第1走行レーンを走行中の車両に対して給電を行なう第1給電設備と、
第2走行レーンを走行中の車両に対して給電を行なう第2給電設備と、
前記第1走行レーンへ車両を誘導する第1誘導信号、及び、前記第2走行レーンへ車両を誘導する第2誘導信号を送信する制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記第2走行レーンを走行中の車両の車速が所定の第1範囲内である場合には、当該車両へ前記第1誘導信号を送信し、
前記第1走行レーンを走行中の車両の車速が前記第1範囲よりも高速側に設定された第2範囲内である場合には、当該車両へ前記第2誘導信号を送信するように構成される、給電システム。 - 前記制御装置は、
前記第2誘導信号を送信するときに、前記第2走行レーン上に隊列走行可能な1台以上の車両が存在するか否かを判断し、
前記第2走行レーン上に隊列走行可能な1台以上の車両が存在する場合には、前記第2誘導信号によって前記第2走行レーンへ誘導される車両と、前記第2走行レーン上の隊列走行可能な1台以上の車両との各々に、前記第2走行レーン上での隊列走行を指示する第1隊列走行指令を送信するように構成される、請求項1に記載の給電システム。 - 前記第2給電設備は、
給電路の接続と遮断とを切り替える給電リレーと、
前記給電リレーを制御する給電制御装置とを備え、
前記給電制御装置は、隊列走行中の各車両に対して給電を行なう場合には、先頭車両に対する給電を開始してから最後尾の車両に対する給電が終了するまで前記給電リレーを接続状態に維持し、前記最後尾の車両に対する給電が終了した後、前記給電リレーを遮断状態にするように構成される、請求項2に記載の給電システム。 - 前記制御装置は、
隊列走行中の各車両に関する隊列情報及び給電実績を取得する情報取得部と、
前記隊列情報を用いて設定された給電単価と、前記給電実績とを用いて、隊列走行中の各車両に対する給電料金を算出する給電料金算出部とを備え、
前記隊列情報は、隊列の先頭車両であるか否かを識別する情報を含み、
前記給電料金算出部は、1つの隊列に含まれる複数の車両に関して、前記隊列の先頭車両に対する給電単価を、前記隊列の先頭車両以外の車両に対する給電単価よりも低く設定する、請求項2又は3に記載の給電システム。 - 前記隊列走行を行なう各車両は、
隊列走行中に、前方を走行する先行車両の有無と、後方を走行する後行車両の有無とを判断し、これらの判断結果を用いて前記隊列情報を作成する第1コンピュータを備え、
前記第2給電設備は、
前記第2走行レーン上で隊列走行中の各車両の給電時に給電電力の検出値を用いて前記給電実績を作成する第2コンピュータを備える、請求項4に記載の給電システム。 - 前記第1コンピュータは、前記制御装置から前記第1隊列走行指令を受けた場合に、前記第1隊列走行指令に従って当該車両が隊列走行するように当該車両の自動運転を実行するように構成され、
前記第1コンピュータは、前記隊列走行において、当該第1コンピュータを備える車両が先頭車両ではない場合には、先行車両の挙動を検出し、その先行車両を追従するように自動運転を実行するように構成される、請求項5に記載の給電システム。 - 前記制御装置は、
当該制御装置からの指示に従って自動運転可能な車両が前記第2走行レーンを走行中であり、その車両の車速が前記第1範囲内である場合には、当該車両を前記第1走行レーンへ誘導する自動運転指令を、前記第1誘導信号として送信し、
当該制御装置からの指示に従って自動運転可能な車両が前記第1走行レーンを走行中であり、その車両の車速が前記第2範囲内である場合には、当該車両を前記第2走行レーンへ誘導する自動運転指令を、前記第2誘導信号として送信するように構成される、請求項1~6のいずれか一項に記載の給電システム。 - 前記制御装置は、
当該制御装置からの指示を報知する第1報知装置を備える車両が前記第2走行レーンを走行中であり、その車両の車速が前記第1範囲内である場合には、前記第1走行レーンへ誘導する指示を前記第1報知装置に報知させる信号を、前記第1誘導信号として送信し、
当該制御装置からの指示を報知する第2報知装置を備える車両が前記第1走行レーンを走行中であり、その車両の車速が前記第2範囲内である場合には、前記第2走行レーンへ誘導する指示を前記第2報知装置に報知させる信号を、前記第2誘導信号として送信するように構成される、請求項1~7のいずれか一項に記載の給電システム。 - 前記第1範囲は、所定の基準速度未満であり、
前記第2範囲は、前記基準速度以上である、請求項1~8のいずれか一項に記載の給電システム。 - 当該給電システムは、第3走行レーンを走行中の車両に対して給電を行なう第3給電設備をさらに備え、
前記制御装置は、前記第3走行レーンへ車両を誘導する第3誘導信号を送信するように構成され、
前記制御装置は、
前記第2走行レーンを走行中の車両の車速が前記第2範囲よりも高速側に設定された第3範囲内である場合には、当該車両へ前記第3誘導信号を送信し、
前記第3走行レーンを走行中の車両の車速が前記第2範囲内である場合には、当該車両へ前記第2誘導信号を送信するように構成され、
前記制御装置は、
前記第3誘導信号を送信するときに、前記第3走行レーン上に隊列走行可能な1台以上の車両が存在するか否かを判断し、
前記第3走行レーン上に隊列走行可能な1台以上の車両が存在する場合には、前記第3誘導信号によって前記第3走行レーンへ誘導される車両と、前記第3走行レーン上の隊列走行可能な1台以上の車両との各々に、前記第3走行レーン上での隊列走行を指示する第2隊列走行指令を送信するように構成される、請求項1~8のいずれか一項に記載の給電システム。 - 制御装置を備えるサーバであって、
前記制御装置は、走行中の車両に対して給電を行なう第1給電設備が設けられた第1走行レーンへ車両を誘導する第1誘導信号と、走行中の車両に対して給電を行なう第2給電設備が設けられた第2走行レーンへ車両を誘導する第2誘導信号とを送信するように構成され、
前記制御装置は、
前記第2走行レーンを走行中の車両の車速が所定の第1範囲内である場合には、当該車両へ前記第1誘導信号を送信し、
前記第1走行レーンを走行中の車両の車速が前記第1範囲よりも高速側に設定された第2範囲内である場合には、当該車両へ前記第2誘導信号を送信するように構成される、サーバ。 - 第1走行レーンを走行中の車両に対して給電を行なう第1給電設備と、第2走行レーンを走行中の車両に対して給電を行なう第2給電設備とが設けられた給電システムによる給電方法であって、
前記第2走行レーンを走行中の車両の車速が所定の第1範囲内である場合に、前記第1走行レーンへ車両を誘導する第1誘導信号を当該車両へ送信することと、
前記第1走行レーンを走行中の車両の車速が前記第1範囲よりも高速側に設定された第2範囲内である場合に、前記第2走行レーンへ車両を誘導する第2誘導信号を当該車両へ送信することと、
を含む、給電方法。
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