JP2023078492A - プッシュスイッチ - Google Patents

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【課題】押下時のクリック感が改善され、且つクリック音が低減されたプッシュスイッチを提供する。【解決手段】本発明に係る一実施形態のプッシュスイッチは、キーキャップが押下されて基板に接近することで可動接点が基板の固定接点に接触してオン状態となるプッシュスイッチであって、キーキャップと基板の間に配置され、弾性変形に伴う復元力が、正の極大値であるピーク荷重まで単調増加したあと、負の極小値であるボトム荷重まで単調減少する、第1の弾性部材と、キーキャップと基板の間に配置された第2の弾性部材と、を備え、キーキャップを押下するために要する押圧荷重が、第1の弾性部材の復元力と第2の弾性部材の復元力を合わせた荷重特性で表わされることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、プッシュスイッチに関する。
PC(パーソナルコンピューター)用のキーボード、TV等の映像機器用のリモコン等の操作ボタンとして、プッシュスイッチが用いられる。一般的なプッシュスイッチは、押下時のクリック感及びクリック音によって、押下されたことを機器の操作者に伝える。例えば、特許文献1には、全体の薄型化を図りながら、どこを操作しても同じ操作荷重でスイッチオンすることができ、さらには、クリック感を的確に得ることができる押しボタンスイッチが記載されている。
特開2003-257278号公報
しかし、プッシュスイッチが押下されたときに生じるクリック音は、機器の操作者以外の第三者に不快感を与えることもある。このため、プッシュスイッチが押下されたことを主に押下時のクリック感によって機器の操作者に伝える一方で、押下時のクリック音については低減されたプッシュスイッチが求められている。
本発明は、押下時のクリック感が改善され、且つクリック音が低減されたプッシュスイッチを提供することを目的とする。
本発明に係る一実施形態のプッシュスイッチは、キーキャップが押下されて基板に接近することで可動接点が基板の固定接点に接触してオン状態となるプッシュスイッチであって、キーキャップと基板の間に配置され、弾性変形に伴う復元力が、正の極大値であるピーク荷重まで単調増加したあと、負の極小値であるボトム荷重まで単調減少する、第1の弾性部材と、キーキャップと基板の間に配置された第2の弾性部材と、を備え、キーキャップを押下するために要する押圧荷重が、第1の弾性部材の復元力と第2の弾性部材の復元力を合わせた荷重特性で表わされることを特徴とする。
上記のプッシュスイッチにおいて、第2の弾性部材は、弾性変形に伴う復元力が、第1の弾性部材のピーク荷重よりも大きい極大値であるピーク荷重まで単調増加したあと、正の極小値であるボトム荷重まで単調減少することが好ましい。
上記のプッシュスイッチにおいて、第2の弾性部材の正のボトム荷重の絶対値が、第1の弾性部材の負のボトム荷重の絶対値よりも大きいことが好ましい。
上記のプッシュスイッチにおいて、第1の弾性部材は、金属からなり、第2の弾性部材は、樹脂からなることが好ましい。
上記のプッシュスイッチにおいて、第1の弾性部材は、天井が開口されたドーム形状を有し、上面がキーキャップに接し、端部から突出した2以上の脚部を有し、脚部を介して基板に配置され、第2の弾性部材は、ドーム形状を有し、第1の弾性部材の開口された領域において上面がキーキャップに接し、外縁部の下端が基板に接していることが好ましい。
上記のプッシュスイッチにおいて、中央の開口部からキーキャップの上面が露出するように基板に配置され、第1の弾性部材の脚部を基板との間に保持するケースを更に備えることが好ましい。
上記のプッシュスイッチにおいて、第1の弾性部材は、キーキャップと第2の弾性部材の間に配置され、ドーム形状を有し、ドーム形状の上面がキーキャップに接し、第2の弾性部材は、第1の弾性部材と基板の間に配置され、ドーム形状を有し、ドーム形状の上面が第1の弾性部材に接していることが好ましい。
上記のプッシュスイッチにおいて、基板に固定されて、第1の弾性部材及び第2の弾性部材を位置決めする位置決め部材を更に備え、第1の弾性部材は、端部から突出した脚部を有し、第2の弾性部材は、外縁部に孔を有し、位置決め部材は、第1の弾性部材の脚部を収納する脚収納穴を有し、第1の弾性部材の脚部が、第2の弾性部材の孔を介して位置決め部材の脚収納穴に配置されることが好ましい。
上記のプッシュスイッチにおいて、第1の弾性部材の脚部及び第2の弾性部材の外縁部を、位置決め部材との間に保持する枠部材を更に備えることが好ましい。
上記のプッシュスイッチにおいて、基板は、互いに空隙を隔てて配置された可動接点と固定接点を有するシートスイッチを有し、第2の弾性部材は、天井に配置された押圧部を有し、押圧部、可動接点及び固定接点が平面視で重なるように配置されることが好ましい。
上記のプッシュスイッチにおいて、可動接点は、第2の弾性部材の天井に配置され、可動接点及び固定接点が平面視で重なるように配置されることが好ましい。
上記のプッシュスイッチにおいて、第2の弾性部材の正の極小値であるボトム荷重の絶対値が、10(gf)以上であることが好ましい。
上記のプッシュスイッチにおいて、荷重特性のトップ荷重a及びボトム荷重bを用いて100×(a-b)/aで表されるクリック率が80%以上であることが好ましい。
上記のプッシュスイッチにおいて、第2の弾性部材は、第1の弾性部材と基板の間に配置され、弾性変形に伴う復元力がゼロ又は正であり、且つ弾性変形に伴う復元力が第1の弾性部材のピーク荷重よりも小さいことが好ましい。
上記のプッシュスイッチにおいて、荷重特性の極小値であるボトム荷重が正であることが好ましい。
上記のプッシュスイッチにおいて、第1の弾性部材及び第2の弾性部材が、金属からなることが好ましい。
上記のプッシュスイッチにおいて、第1の弾性部材は、ドーム形状を有し、第2の弾性部材は、平板形状を有することが好ましい。
本発明によれば、押下時のクリック感が改善され、且つクリック音が低減されたプッシュスイッチが提供される。
本発明に係る第1実施形態のプッシュスイッチの構成を模式的に示した図である。 押圧されたときのプッシュスイッチの動作を模式的に示した断面図である。 プッシュスイッチの荷重特性を、第1の弾性部材の弾性特性及び第2の弾性部材の弾性特性とともに示したグラフである。 第1の弾性部材の構造の例を示した図である。 第1の弾性部材の構造の他の例を示した図である。 第1の弾性部材の構造の更に他の例を示した図である。 本発明に係る第2実施形態のプッシュスイッチの構成を模式的に示した図である。 第2実施形態のプッシュスイッチの荷重特性を、第1の弾性部材の弾性特性及び第2の弾性部材の弾性特性とともに示したグラフである。 第2実施形態のプッシュスイッチの第1の弾性部材の構造の例を示した図である。 本発明に係る第3実施形態のプッシュスイッチの構成を模式的に示した図である。 第3実施形態の第1の弾性部材及び第2の弾性部材の構造の例を示した図である。 押圧されたときの第3実施形態のプッシュスイッチの動作を模式的に示した断面図である。 第3実施形態のプッシュスイッチの荷重特性を、第1の弾性部材の弾性特性及び第2の弾性部材の弾性特性とともに示したグラフである。 プッシュスイッチの基板の変形例を示した図である。
本発明に係るプッシュスイッチは、互いに弾性特性が異なる第1の弾性部材と第2の弾性部材とを備えることを特徴とする。第1の弾性部材は、金属からなり、ピーク荷重が正で、ボトム荷重が負であることが好ましい。第2の弾性部材は、樹脂からなり、ピーク荷重が第1の弾性部材のピーク荷重よりも大きく、ボトム荷重が正であることが好ましい。
これにより、キーキャップを押下する操作者の感じる押圧荷重は、第1の弾性部材の復元力と第2の弾性部材の復元力を合わせた荷重特性で表わされる。ピーク荷重の大きい第2の弾性部材が樹脂等からなるため、押圧時のクリック音が低減される。また、ピーク荷重が正で、ボトム荷重が負である弾性特性を有する第1の弾性部材が、プッシュスイッチの荷重特性のピーク荷重を大きくし、ボトム荷重を小さくするように作用するため、キーキャップを押下する操作者の感じるクリック感が改善される。
以下、本発明に係る好適な実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、各図において同一、又は相当する機能を有するものは、同一符号を付し、その説明を省略又は簡潔にすることもある。
(第1実施形態)
図1(a)~図1(c)は、本発明に係る第1実施形態のプッシュスイッチ1の構成を模式的に示した図である。図1(a)は、プッシュスイッチ1の斜視図であり、図1(b)はプッシュスイッチ1の分解斜視図であり、図1(c)は、図1(a)に示したA-A′線に沿ったプッシュスイッチ1の断面図である。プッシュスイッチ1は、基板2、キーキャップ3、第1の弾性部材4、第2の弾性部材5、及びケース7を備える。
プッシュスイッチ1は、操作者の指等の押圧物Pによってキーキャップ3が上方から押下されて基板2に接近することで、可動接点21aが固定接点21bに接触してオン状態となる。プッシュスイッチ1がオン状態となると、プッシュスイッチ1がオン状態となったことを表す信号が、ケーブル24を介して不図示の外部装置へ出力される。プッシュスイッチ1は、例えば、PC(パーソナルコンピューター)用のキーボード、TV等の映像機器用のリモコン等の操作ボタンとして用いられる。プッシュスイッチ1の平面形状は、例えば17.3mm×17.3mmの矩形状とされるが、プッシュスイッチ1の形状等は用途に合わせて適宜決定されてよく、例えば、円形又は多角形等の平面形状を有してもよい。
基板2は、プッシュスイッチ1の輪郭と概ね一致する平面形状を有する。基板2は、上から順に、第1のシート20a、第2のシート20b、及び下基板20cを重ねて構成される。第1のシート20aは、中央部に可動接点21aを有し、第2のシート20bは、中央部に固定接点21bを有する。第1のシート20a及び第2のシート20bは、ポリエチレンテレフタレート等を主材料とする絶縁性の高い材料で形成され、中央部を除き絶縁層を挟んで重ね合わされる。可動接点21a及び固定接点21bは、銅等を主材料とする導電性の高い材料で形成され、互いに空隙を隔てて配置される。これにより、第1のシート20a及び第2のシート20bは、シートスイッチ(メンブレンスイッチ)を構成する。下基板20cは、ポリイミド又はポリアミド等を主材料とする絶縁性の高い材料で形成された平板形状を有し、プッシュスイッチ1の裏面を構成する。下基板20cは、基板2内で可動接点21aと電気的に接続された接続端子と、基板2内で固定接点21bと電気的に接続された接続端子を、裏面側に有してもよい。これにより、プッシュスイッチ1を外部装置と電気的に接続するためのケーブル24が、プッシュスイッチ1の裏側から引き出されるため、プッシュスイッチ1の配線が容易になる。なお、下基板20cの裏面側の接続端子が、ケーブル24等を介さずに、外部装置の接続端子に直接接続されてもよい。
基板2は、第1の弾性部材4の脚部41を固定するための固定部材23を有してもよい。固定部材23は、接着剤及び接着シート等の接着部材によって基板2上に接着されてよく、或いはインサートモールド等によって基板2と一体成形されてもよい。
また、基板2は、プッシュスイッチ1がオン状態となったときには、基板2上に実装されたLED(Light-Emitting Diode)等の発光素子を光らせて、プッシュスイッチ1がオン状態となったことを知らせるように構成されてもよい。
キーキャップ3は、例えば、プラスチック等の硬い樹脂材料で形成され、第1の弾性部材4及び第2の弾性部材5を介して基板2に繋げられる。キーキャップ3が押下されていないとき、固定接点21bは可動接点21aに接触しておらず、プッシュスイッチ1はオフ状態である。キーキャップ3が押下されると、キーキャップ3が基板2に接近することで可動接点21aが固定接点21bに接触し、プッシュスイッチ1はオン状態となる。キーキャップ3の平面形状は、例えば直径12.2mmの円形状とされるが、キーキャップ3の形状等は用途に合わせて適宜決定されてよく、例えば、矩形状又は多角形等の平面形状を有してもよい。
第1の弾性部材4は、キーキャップ3と基板2の間に配置され、キーキャップ3が操作者により押下されると弾性変形し、弾性変形に伴う復元力によって、操作者がプッシュスイッチ1を押下する際に感じる押圧荷重を生じる。第1の弾性部材4は、鉄、銅、アルミニウム、ステンレス鋼(SUS)等の金属を主材料とする材料で形成されることが好ましいが、後述の弾性特性を満たせば、金属以外の材料で形成されてもよい。本実施形態の第1の弾性部材4は、天井が開口されたドーム形状を有し、キーキャップ3の外縁部の下面に設けられた突起部が第1の弾性部材4の対応する外縁部に設けられた孔内に配置され、且つ上面がキーキャップ3の下面に接するように配置される。また、第1の弾性部材4は、端部から水平方向に突出した複数の脚部41を有し、脚部41の下面が基板2又は固定部材23の上面に接するように配置される。
第2の弾性部材5は、キーキャップ3と基板2の間に配置され、キーキャップ3が操作者により押下されると弾性変形し、弾性変形に伴う復元力によって、操作者がプッシュスイッチ1を押下する際に感じる押圧荷重を生じる。第2の弾性部材5は、シリコーンゴム等の可撓性を有する樹脂を主材料とする材料で形成されることが好ましいが、クリック音が抑制され、且つ後述の弾性特性を満たせば、樹脂以外の材料で形成されてもよい。本実施形態の第2の弾性部材5は、ドーム形状を有し、第1の弾性部材4の開口された領域において、上面がキーキャップ3の中央部の下面に接するように配置される。また、第2の弾性部材5は、外縁部の下端が基板2の上面に接するように配置される。
第2の弾性部材5は、ドーム形状の天井に押圧部50を有する。押圧部50、可動接点21a及び固定接点21bは、平面視で重なるように配置されている。これにより、キーキャップ3が押下されると、押圧部50が可動接点21aを上方から押下して、可動接点21aを固定接点21bに接触させる。なお、第2の弾性部材5の天井の下面がそのまま押圧部50とされてもよい。
ケース7は、プラスチック又は金属等で形成され、基板2を上方から覆うように配置されて、基板2及び基板2上に配置された各部材を保護する。ケース7は、上面中央にキーキャップ3の輪郭と概ね一致する平面形状の開口部70を有し、開口部70がキーキャップ3の外縁を囲むように基板2に配置される。これにより、開口部70からキーキャップ3の上面が露出する。ケース7は、図1(c)に示すように、第1の弾性部材4の脚部41を、ケース7と基板2又は固定部材23との間に保持するように構成されてもよい。ケース7と基板2又は固定部材23との間には隙間が存在するため、キーキャップ3が押下されて第1の弾性部材4が弾性変形すると、第1の弾性部材4の脚部41は、基板2又は固定部材23の上面に沿って基板2の外側へ移動することができる。
図2は、押圧されたときのプッシュスイッチ1の動作を模式的に示した断面図である。キーキャップ3が、例えば、操作者の指等の押圧物Pによって上方から押圧されると、第1の弾性部材4及び第2の弾性部材5は弾性変形し、操作者がプッシュスイッチ1を押下する際に感じる押圧荷重を生じつつ、キーキャップ3を基板2に接近させる。キーキャップ3が基板2に接近して、第2の弾性部材5の押圧部50が可動接点21aを上方から押下すると、可動接点21aが固定接点21bに接触する。この結果、可動接点21aと固定接点21bとが短絡したことを示す信号が、ケーブル24を介して出力される。
図3は、プッシュスイッチ1の荷重特性を、第1の弾性部材4の弾性特性及び第2の弾性部材5の弾性特性とともに示したグラフである。曲線f1、f2、fは、それぞれ、第1の弾性部材4、第2の弾性部材5、プッシュスイッチ1の特性を示している。図3の横軸は、プッシュスイッチ1のキーキャップ3の変位量であるストロークと、対応する第1の弾性部材4及び第2の弾性部材5のそれぞれの弾性変形の大きさを、ミリメートル単位[mm]で示している。また、図3の縦軸は、プッシュスイッチ1のキーキャップ3を押下するために要する押圧荷重と、対応する第1の弾性部材4及び第2の弾性部材5のそれぞれの弾性変形に伴う復元力を、グラム重単位[gf]で示している。なお、1[N]は、約102[gf]に相当する。
曲線f1は、例えば、図1(a)~図1(c)に示したプッシュスイッチ1の構成において、第2の弾性部材5を取り除いて、キーキャップ3と基板2を第1の弾性部材4のみを介して繋げた場合に得られるプッシュスイッチ1の荷重特性である。キーキャップ3が押下されていないとき、第1の弾性部材4は弾性変形していないため、弾性変形に伴う復元力はゼロである。
第1の弾性部材4の弾性変形に伴う復元力は、曲線f1に示すように、第1の弾性部材4の変形に伴ってゼロから単調増加し、極大値a1であるピーク荷重となる。そして、復元力は、更なる第1の弾性部材4の変形に伴って単調減少し、極小値b1であるボトム荷重となる。その後、復元力は、更なる第1の弾性部材4の変形に伴って単調増加する。このような、極大値a1及び極小値b1がそれぞれ一つずつ現れる弾性特性は、第1の弾性部材4が単純なドーム形状を有する場合に、ドーム形状が極大値a1において反転することによって得られる。ドーム形状の斜面の傾き又は天井の開口の大きさ等の形状を変えることで、極大値a1であるピーク荷重の大きさ、極小値b1であるボトム荷重の大きさが調整される。第1の弾性部材4の弾性変形に伴う復元力を示す曲線f1は、ピーク荷重が正で、ボトム荷重が負であることを特徴とする。
曲線f2は、例えば、図1(a)~図1(c)に示したプッシュスイッチ1の構成において、第1の弾性部材4を取り除いて、キーキャップ3と基板2を第2の弾性部材5のみを介して繋げた場合に得られるプッシュスイッチ1の荷重特性である。キーキャップ3が押下されていないとき、第2の弾性部材5は弾性変形していないため、弾性変形に伴う復元力はゼロである。
第2の弾性部材5の弾性変形に伴う復元力も、曲線f2に示すように、極大値a2であるピーク荷重まで単調増加したあと、極小値b2であるボトム荷重まで単調減少する。第2の弾性部材5の弾性変形に伴う復元力は、第1の弾性部材4の弾性変形に伴う復元力よりも常に大きい。第2の弾性部材5の弾性変形に伴う復元力を示す曲線f2は、ピーク荷重が正で、ボトム荷重も正であることを特徴とする。
曲線fは、図1(a)~図1(c)に示したように、キーキャップ3と基板2を第1の弾性部材4及び第2の弾性部材5の両方を介して繋げた場合に得られるプッシュスイッチ1の荷重特性である。
キーキャップ3を押下するために必要とされる押圧荷重は、曲線fに示すように、第1の弾性部材4の弾性変形に伴う復元力を示す曲線f1と、第2の弾性部材5の弾性変形に伴う復元力を示す曲線f2を足し合わせたものとなっている。すなわち、キーキャップ3を押下する操作者の感じる押圧荷重は、第1の弾性部材4の復元力と第2の弾性部材5の復元力を合わせた荷重特性で表わされる。
したがって、曲線fも、曲線f1及び曲線f2と同様に、極大値aであるピーク荷重まで単調増加したあと、極小値bであるボトム荷重まで単調減少する。曲線fは、ピーク荷重が正で、ボトム荷重も正であることを特徴とする。そのために、第2の弾性部材5の正のボトム荷重の絶対値は、第1の弾性部材4の負のボトム荷重の絶対値よりも大きくされる。これにより、押下された第1の弾性部材4のドーム形状が反転して元の形状に戻らなくなっても、第2の弾性部材5の復元力によって第1の弾性部材4のドーム形状が元に戻される。第2の弾性部材5の正のボトム荷重の絶対値は、10(gf)以上であることが好ましい。
第1の弾性部材4及び第2の弾性部材5のうち、ピーク荷重の大きい方の第2の弾性部材5が金属ではなく樹脂からなるため、操作者がキーキャップ3を押下したときのクリック音が低減される。特に、固定接点21bの直上に緩衝効果に優れる樹脂からなる第2の弾性部材5が配置されることで、押下時のクリック音が低減される。
また、ピーク荷重が正で、ボトム荷重が負である弾性特性を有する第1の弾性部材4が、プッシュスイッチ1の荷重特性のピーク荷重を大きくし、ボトム荷重を小さくするように作用するため、プッシュスイッチ1を押下する操作者の感じるクリック感が改善される。
プッシュスイッチ1を押下する操作者の感じるクリック感は、例えば、プッシュスイッチ1のトップ荷重a及びボトム荷重bを用いて、下式(1)で計算されるクリック率で定量的に表される。
クリック率(%) = 100×(a-b)/a (1)
樹脂からなる第2の弾性部材5のボトム荷重を単に小さくするだけでは、クリック率を改善することは難しい。樹脂からなる第2の弾性部材5のボトム荷重を小さくすると、ドーム形状が反転したときの弾性変形に伴う復元力が小さくなって元の形状に戻らなくなる反転不良が生じるおそれがあるからである。そこで、本発明では、第2の弾性部材5のボトム荷重を小さくする代わりに、第2の弾性部材5に第1の弾性部材4を組み合わせることによって、プッシュスイッチ1のクリック率が改善されるようにしている。
クリック率は、一般には50%以上がよいとされるが、本発明では、第1の弾性部材4の形状を変えて、第1の弾性部材4の負のボトム荷重の絶対値を調整することで、クリック率を所望の値に設定することができる。これにより、例えば、押下時のクリック率を80%以上にしたうえで、クリック音を低減することも可能となる。
プッシュスイッチ1がオン状態になるまでに必要な総押下荷重は、図に示す曲線fを横軸のストロークで積分した面積の大きさで表わされる。第1の弾性部材4の曲線f1は、正の部分と負の部分が互いに上下が反転した概ね同じ形状を有しているため、曲線f1を横軸のストロークで積分すると互いに打ち消し合ってほぼゼロとなる。このため、第1の弾性部材4は、プッシュスイッチ1の荷重特性のピーク荷重を大きくし、ボトム荷重を小さくするように作用する一方で、総押下荷重をほとんど増加させないため、プッシュスイッチ1を押下する操作者の負荷もほとんど増加しない。
図4(a)及び図4(b)は、第1の弾性部材4の構造の例を示した図である。図4(a)は、第1の弾性部材4の構造の例を示した平面図であり、図4(b)は、図4(a)に示したB-B′線に沿った第1の弾性部材4の断面図である。第1の弾性部材4は、図4(a)及び図4(b)に示すように、中央に開口部42を有してもよい。これにより、第1の弾性部材4の弾性特性が調整される。また、プッシュスイッチ1がオン状態となったことを、基板2上に実装されたLED等の発光素子を光らせて知らせる場合に、キーキャップ3がより明るく光る。
図5(a)及び図5(b)は、第1の弾性部材4の構造の他の例を示した図である。図5(a)は、第1の弾性部材4の構造の他の例を示した平面図であり、図5(b)は、図5(a)に示したB-B′線に沿った第1の弾性部材4の断面図である。第1の弾性部材4は、図5(a)及び図5(b)に示すように、外縁部に沿って複数の開口部43を更に有してもよい。
図6(a)~図6(c)は、第1の弾性部材4の構造の更に他の例を示した図である。第1の弾性部材4は、図6(a)に示すように、円弧と直線を組み合わせた外縁形状を有してもよい。また、第1の弾性部材4は、図6(b)に示すように、凹部と凸部を組み合わせた外縁形状を有してもよい。また、第1の弾性部材4は、図6(a)~図6(c)に示すように、中央に開口部42を有してもよく、また、開口部42を有していなくてもよい。
以上のように、本発明に係る一実施形態のプッシュスイッチは、キーキャップが押下されて基板に接近することで可動接点が基板の固定接点に接触してオン状態となるプッシュスイッチであって、キーキャップと基板の間に配置され、弾性変形に伴う復元力が、正の極大値であるピーク荷重まで単調増加したあと、負の極小値であるボトム荷重まで単調減少する、第1の弾性部材と、キーキャップと基板の間に配置された第2の弾性部材と、を備え、キーキャップを押下するために要する押圧荷重が、第1の弾性部材の復元力と第2の弾性部材の復元力を合わせた荷重特性で表わされることを特徴とする。これにより、押下時のクリック感が改善され、且つクリック音が低減されたプッシュスイッチが提供される。
(第2実施形態)
図7(a)~図7(c)は、本発明に係る第2実施形態のプッシュスイッチ10の構成を模式的に示した図である。図7(a)は、キーキャップ3の図示を省略したプッシュスイッチ10の斜視図であり、図7(b)は、その分解斜視図であり、図7(c)は、図7(a)に示したA-A′線に沿ったプッシュスイッチ10の断面図である。プッシュスイッチ10は、基板2、キーキャップ3、第1の弾性部材4、第2の弾性部材5、ケース7、位置決め部材8、及び枠部材9を備える。
図7(a)~図7(c)に示す本実施形態のプッシュスイッチ10は、図1(a)~図1(c)に示した第1実施形態のプッシュスイッチ1と、主に第1の弾性部材4の配置及び形状が異なっている。その他については、第1実施形態と概ね同じであるため、第1実施形態と異なる点について説明する。
第1の弾性部材4は、キーキャップ3と第2の弾性部材5の間に配置され、キーキャップ3が操作者により押下されると弾性変形し、弾性変形に伴う復元力によって、操作者がプッシュスイッチ10を押下する際に感じる押圧荷重を生じる。第1の弾性部材4は、鉄、銅、アルミニウム、ステンレス鋼(SUS)等の金属を主材料とする材料で形成されることが好ましいが、後述の弾性特性を満たせば、金属以外の材料で形成されてもよい。本実施形態の第1の弾性部材4は、ドーム形状を有し、キーキャップ3の下面に設けられた突起部が、第1の弾性部材4の対応する上面に設けられた孔内に配置され、且つ上面がキーキャップ3の下面に接するように配置される。また、第1の弾性部材4は、端部から斜め下方に突出した複数の脚部41を有し、脚部41は、第2の弾性部材5に設けられた孔52を介して、位置決め部材8に配置される。
第2の弾性部材5は、第1の弾性部材4と基板2の間に配置され、キーキャップ3が操作者により押下されると弾性変形し、弾性変形に伴う復元力によって、操作者がプッシュスイッチ10を押下する際に感じる押圧荷重を生じる。第2の弾性部材5は、シリコーンゴム等の可撓性を有する樹脂を主材料とする材料で形成されることが好ましいが、クリック音が抑制され、且つ後述の弾性特性を満たせば、樹脂以外の材料で形成されてもよい。本実施形態の第2の弾性部材5は、ドーム形状を有し、上面が第1の弾性部材4の中央部の下面に接するように配置される。また、第2の弾性部材5は、位置決め部材8に配置される。第2の弾性部材5は、第1の弾性部材4の脚部41が貫通する孔52を有する。
位置決め部材8は、接着剤及び接着シート等の接着部材によって基板2に固定される。位置決め部材8は、第2の弾性部材5の孔52と平面視で重なる脚収納穴81を有し、第1の弾性部材4の脚部41を、孔52を介して脚収納穴81に収納して、第1の弾性部材4及び第2の弾性部材5を位置決めする。これにより、押圧部50、可動接点21a及び固定接点21bが、平面視で重なるように配置されるとともに、第1の弾性部材4、第2の弾性部材5、及び基板2が位置決めされるため、プッシュスイッチ10の荷重特性及びスイッチ動作が安定する。なお、脚収納穴81は、位置決め部材8を貫通する貫通孔であってもよく、位置決め部材8を貫通しない凹部であってもよい。
枠部材9は、プラスチック又は金属等で形成され、第1の弾性部材4の脚部41及び第2の弾性部材5の外縁部と平面視で重なるように配置され、第1の弾性部材4の脚部41と第2の弾性部材5の外縁部を、枠部材9と基板2との間に保持する。これにより、第1の弾性部材4の脚部41が、第2の弾性部材5の孔52から外れないように、枠部材9によって固定される。
図8は、第2実施形態のプッシュスイッチ10の荷重特性を、第1の弾性部材4の弾性特性及び第2の弾性部材5の弾性特性とともに示したグラフである。図8に示す第2実施形態のプッシュスイッチ10の荷重特性も、図3に示した第1実施形態のプッシュスイッチ10と同様の荷重特性を有することが分かる。
図9(a)及び図9(b)は、第2実施形態のプッシュスイッチ10の第1の弾性部材4の構造の例を示した図である。図9(a)は、第1の弾性部材4の構造の例を示した平面図であり、図9(b)は、図9(a)に示したB-B′線に沿った第1の弾性部材4の断面図である。
第2実施形態の第1の弾性部材4は、第1実施形態の第1の弾性部材4と比較して、小型化が可能であるため、プッシュスイッチ10の組み立て性が向上する。そのために、第1の弾性部材4の中央の開口部42の大きさは小さくされることが好ましい。第1の弾性部材4は、外縁部に沿って複数の開口部43を更に有してもよい。これにより、第1の弾性部材4の弾性特性が更に調整される。また、プッシュスイッチ10がオン状態となったことを、基板2上に実装されたLED等の発光素子を光らせて知らせる場合に、キーキャップ3が更に明るく光る。
(第3実施形態)
図10(a)~図10(c)は、本発明に係る第3実施形態のプッシュスイッチ11の構成を模式的に示した図である。図10(a)は、プッシュスイッチ11の斜視図であり、図10(b)はプッシュスイッチ11の分解斜視図であり、図10(c)は、図10(a)に示したA-A′線に沿ったプッシュスイッチ11の断面図である。プッシュスイッチ11は、基板2、キーキャップ3、第1の弾性部材4、第2の弾性部材5、及びケース7を備える。
図10(a)~図10(c)に示す本実施形態のプッシュスイッチ11は、図10(a)~図10(c)に示した第1実施形態のプッシュスイッチ11と、主に第1の弾性部材4及び第2の弾性部材5が異なっている。その他については、第1実施形態と概ね同じであるため、第1実施形態と異なる点について説明する。
第1の弾性部材4は、キーキャップ3と第2の弾性部材5の間に配置され、キーキャップ3が操作者により押下されると弾性変形し、弾性変形に伴う復元力によって、操作者がプッシュスイッチ11を押下する際に感じる押圧荷重を生じる。第1の弾性部材4は、鉄、銅、アルミニウム、ステンレス鋼(SUS)等の金属を主材料とする材料で形成されることが好ましいが、後述の弾性特性を満たせば、金属以外の材料で形成されてもよい。第1の弾性部材4は、ドーム形状を有する。また、第1の弾性部材4は、端部から斜め下方に突出した複数の脚部41を有し、脚部41の下面が基板2の上面に接するように、基板2に配置される。
第2の弾性部材5は、第1の弾性部材4と基板2の間に配置され、キーキャップ3が操作者により押下されると弾性変形し、弾性変形に伴う復元力によって、操作者がプッシュスイッチ11を押下する際に感じる押圧荷重を生じる。第2の弾性部材5は、鉄、銅、アルミニウム、ステンレス鋼(SUS)等の金属を主材料とする材料で形成されることが好ましいが、後述の弾性特性を満たせば、金属以外の材料で形成されてもよい。第2の弾性部材5は、平板形状を有する。また、第2の弾性部材5は、端部から斜め下方に突出した複数の脚部51を有し、脚部51の下面が基板2の上面に接するように、基板2に配置される。
第2の弾性部材5は、中央に開口部53を有する。また、第1の弾性部材4は、ドーム形状の天井に押圧部40を有する。押圧部40、開口部53、可動接点21a及び固定接点21bは、平面視で重なるように配置されている。これにより、キーキャップ3が押下されると、押圧部40が開口部53から可動接点21aを押下して、可動接点21aを固定接点21bに接触させる。なお、押圧部40は、図10(c)に示すように、第1の弾性部材4の天井から下方に突出するように形成される以外に、例えば、第1の弾性部材4の天井の下面がそのまま押圧部40とされてもよい。
図11(a)及び図11(b)は、第3実施形態の第1の弾性部材4及び第2の弾性部材5の構造の例を示した図である。図11(a)は、図10(c)に示した領域Xを上側から見たときの平面図であり、図11(b)は、図11(a)に示したC-C′線に沿った第1の弾性部材4及び第2の弾性部材5の断面図である。
第1の弾性部材4と第2の弾性部材5は、プッシュスイッチ11が押圧されていないときは互いに接しないように配置される。プッシュスイッチ11が押圧されると、キーキャップ3が第1の弾性部材4を押圧して第1の弾性部材4のドーム形状を反転させることによって、第1の弾性部材4と第2の弾性部材5が互いに接する。この結果、第1の弾性部材4及び第2の弾性部材5の弾性変形に伴う復元力が、キーキャップ3を押圧する力に対して生じる。
第1の弾性部材4の複数の脚部41、及び第2の弾性部材5の脚部51は、図11(a)に示すように、平面視で重ならないようにそれぞれ基板2に配置される。これにより、第1の弾性部材4及び第2の弾性部材5が、脚部41及び脚部51を介して基板2にバランスよく配置されるため、キーキャップ3を押下するために要する押圧荷重が安定する。
図12は、押圧されたときの第3実施形態のプッシュスイッチ11の動作を模式的に示した断面図である。キーキャップ3が、例えば、操作者の指等の押圧物Pによって上方から押圧されると、第1の弾性部材4及び第2の弾性部材5は弾性変形し、操作者がプッシュスイッチ11を押下する際に感じる押圧荷重を生じつつ、キーキャップ3を基板2に接近させる。キーキャップ3が基板2に接近して、第1の弾性部材4の押圧部40が可動接点21aを上方から押下すると、可動接点21aが固定接点21bに接触する。この結果、可動接点21aと固定接点21bとが短絡したことを示す信号が、ケーブル24を介して出力される。
図13は、第3実施形態のプッシュスイッチ11の荷重特性を、第1の弾性部材4の弾性特性及び第2の弾性部材5の弾性特性とともに示したグラフである。曲線f1、f2、fは、それぞれ、第1の弾性部材4、第2の弾性部材5、プッシュスイッチ11の特性を示している。図13の横軸は、プッシュスイッチ11のキーキャップ3の変位量であるストロークと、対応する第1の弾性部材4及び第2の弾性部材5のそれぞれの弾性変形の大きさを、ミリメートル単位[mm]で示している。また、図13の縦軸は、プッシュスイッチ11のキーキャップ3を押下するために要する押圧荷重と、対応する第1の弾性部材4及び第2の弾性部材5のそれぞれの弾性変形に伴う復元力を、グラム重単位[gf]で示している。なお、1[N]は、約102[gf]に相当する。
曲線f1は、例えば、図10(a)~図10(c)に示したプッシュスイッチ11の構成において、第2の弾性部材5を取り除いて、キーキャップ3と基板2を第1の弾性部材4のみを介して繋げた場合に得られるプッシュスイッチ11の荷重特性である。キーキャップ3が押下されていないとき、第1の弾性部材4は弾性変形していないため、弾性変形に伴う復元力はゼロである。
第1の弾性部材4の弾性変形に伴う復元力は、曲線f1に示すように、第1の弾性部材4の変形に伴ってゼロから単調増加し、極大値a1であるピーク荷重となる。そして、復元力は、更なる第1の弾性部材4の変形に伴って単調減少し、x1において第1の弾性部材4の押圧部40が可動接点21aに接触したあと、極小値b1であるボトム荷重となる。その後、復元力は、更なる第1の弾性部材4の変形に伴って単調増加する。なお、第1の弾性部材4の天井の下面がそのまま押圧部40とされる場合、極小値b1であるボトム荷重は、図13に破線で示すように、押圧部40が下方に突出するように形成される場合よりも小さくなる。
このような、極大値a1及び極小値b1がそれぞれ一つずつ現れる弾性特性は、第1の弾性部材4が単純なドーム形状を有する場合に、ドーム形状が極大値a1において反転することによって得られる。ドーム形状の斜面の傾き又は天井の開口の大きさ等の形状を変えることで、極大値a1であるピーク荷重の大きさ、極小値b1であるボトム荷重の大きさが調整される。第1の弾性部材4の弾性変形に伴う復元力を示す曲線f1は、ピーク荷重が正で、ボトム荷重が負であることを特徴とする。
曲線f2は、例えば、図10(a)~図10(c)に示したプッシュスイッチ11の構成において、第1の弾性部材4を取り除いて、キーキャップ3と基板2を第2の弾性部材5のみを介して繋げた場合に得られるプッシュスイッチ11の荷重特性である。実際には、第2の弾性部材5は第1の弾性部材4を介して押圧されるが、第1の弾性部材4のドーム形状が反転してx0において第1の弾性部材4が第2の弾性部材5を押圧するまでは、第2の弾性部材5は弾性変形していないため、弾性変形に伴う復元力はゼロである。
第2の弾性部材5の弾性変形に伴う復元力は、曲線f2に示すように、x0において第1の弾性部材4が第2の弾性部材5を押圧すると、弾性変形に伴ってゼロから単調増加し、x2において基板2に接触して一定値となる。第2の弾性部材5の弾性変形に伴う復元力は、ストロークが正であれば常にゼロ又は正であり、且つ第1の弾性部材4の極大値a1であるピーク荷重よりも常に小さいことを特徴とする。このような弾性特性は、第2の弾性部材5が、押圧されても形状が反転しない平板形状を有することによって得られる。
曲線fは、図10(a)~図10(c)に示したように、キーキャップ3と基板2を第1の弾性部材4及び第2の弾性部材5の両方を介して繋げた場合に得られるプッシュスイッチ11の荷重特性である。
キーキャップ3を押下するために必要とされる押圧荷重は、曲線fに示すように、第1の弾性部材4の弾性変形に伴う復元力を示す曲線f1と、第2の弾性部材5の弾性変形に伴う復元力を示す曲線f2を足し合わせたものとなっている。すなわち、キーキャップ3を押下する操作者の感じる押圧荷重は、第1の弾性部材4の復元力と第2の弾性部材5の復元力を合わせた荷重特性で表わされる。
したがって、曲線fも、曲線f1と同様に、極大値aであるピーク荷重まで単調増加したあと、極小値bであるボトム荷重まで単調減少する。曲線fは、ピーク荷重が正で、ボトム荷重も正であることを特徴とする。そのために、第1の弾性部材4の負のボトム荷重の絶対値は、第2の弾性部材5の対応する弾性変形の大きさにおける復元力よりも小さくされる。例えば、第1の弾性部材4の天井の下面がそのまま押圧部40とされる場合、負の極小値b1であるボトム荷重の絶対値は図13に破線で示すように大きくなるため、第2の弾性部材5も、弾性変形の大きさにおける復元力が大きくなるように構成される。これにより、押下された第1の弾性部材4のドーム形状が反転して元の形状に戻らなくなっても、第2の弾性部材5の復元力によって第1の弾性部材4のドーム形状が元に戻される。
また、ピーク荷重が正で、ボトム荷重が負である弾性特性を有する第1の弾性部材4が、プッシュスイッチ11の荷重特性のピーク荷重を大きくし、ボトム荷重を小さくするように作用する。これにより、プッシュスイッチ11のピーク荷重及びボトム荷重を調整することが可能となるため、プッシュスイッチ11を押下する操作者の感じるクリック感が改善される。また、第2の弾性部材5は、弾性変形に伴って形状が反転しない平板形状を有するため、押圧時のクリック音が低減される。
プッシュスイッチ11を押下する操作者の感じるクリック感は、例えば、プッシュスイッチ11のトップ荷重a及びボトム荷重bを用いて、上式(1)で計算されるクリック率で定量的に表される。
クリック率は、一般には50%以上がよいとされるが、本発明では、第1の弾性部材4の形状を変えて、第1の弾性部材4の負のボトム荷重の絶対値を調整することで、クリック率を所望の値に設定することができる。これにより、例えば、押下時のクリック率を80%以上にしたうえで、クリック音を低減することも可能となる。
プッシュスイッチ11がオン状態になるまでに必要な総押下荷重は、図に示す曲線fを横軸のストロークで積分した面積の大きさで表わされる。第1の弾性部材4の曲線f1は、正の部分と負の部分を有しているため、曲線f1を横軸のストロークで積分すると互いに一部打ち消し合う。このため、第1の弾性部材4は、プッシュスイッチ11の荷重特性のピーク荷重を大きくし、ボトム荷重を小さくするように作用する一方で、総押下荷重をあまり増加させないため、プッシュスイッチ11を押下する操作者の負荷もあまり増加しない。
上記の実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明に係る技術的範囲が限定的に解釈されてはならない。すなわち、本発明は、その技術思想又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。例えば、上記の実施形態の構成は組み合わせて実施することもできる。
例えば、基板2は、図1(c)に示した第1のシート20aと第2のシート20bで構成されたシートスイッチ(メンブレンスイッチ)を用いずに構成することもできる。図14(a)及び図14(b)は、プッシュスイッチ1、10、11の基板2の変形例を示した図である。
図14(a)に示す可動接点21aは、第1の弾性部材4の天井又は第2の弾性部材5の天井に配置されている。可動接点21aは、銅等を主材料とする導電性の高い材料で形成される。他方、固定接点21bは基板2の表面にプリントされている。例えば、固定接点21bは、図14(b)に示すように、第1の電極22a及び第2の電極22bが基板2の表面にプリントされて形成される。可動接点21aと固定接点21bは、平面視で重なるように配置される。これにより、キーキャップ3が押下されると、可動接点21aが固定接点21bに接触して、第1の電極22aと第2の電極22bとが可動接点21aを介して短絡する。この結果、第1の電極22aと第2の電極22bとが短絡したことを示す信号が、ケーブル24を介して出力される。
1、10、11 プッシュスイッチ
2 基板
3 キーキャップ
4 第1の弾性部材
5 第2の弾性部材
7 ケース
8 位置決め部材
9 枠部材
20a 第1のシート
20b 第2のシート
20c 下基板
21a 可動接点
21b 固定接点
22a 第1の電極
22b 第2の電極
23 固定部材
24 ケーブル
40 押圧部
41 脚部
42 開口部
43 開口部
50 押圧部
51 脚部
52 孔
53 開口部
70 開口部
81 脚収納穴

Claims (17)

  1. キーキャップが押下されて基板に接近することで可動接点が前記基板の固定接点に接触してオン状態となるプッシュスイッチであって、
    前記キーキャップと前記基板の間に配置され、弾性変形に伴う復元力が、正の極大値であるピーク荷重まで単調増加したあと、負の極小値であるボトム荷重まで単調減少する、第1の弾性部材と、
    前記キーキャップと前記基板の間に配置された第2の弾性部材と、
    を備え、前記キーキャップを押下するために要する押圧荷重が、前記第1の弾性部材の復元力と前記第2の弾性部材の復元力を合わせた荷重特性で表わされることを特徴とするプッシュスイッチ。
  2. 前記第2の弾性部材は、弾性変形に伴う復元力が、前記第1の弾性部材のピーク荷重よりも大きい極大値であるピーク荷重まで単調増加したあと、正の極小値であるボトム荷重まで単調減少する、
    請求項1に記載のプッシュスイッチ。
  3. 前記第2の弾性部材の正のボトム荷重の絶対値が、前記第1の弾性部材の負のボトム荷重の絶対値よりも大きい、
    請求項2に記載のプッシュスイッチ。
  4. 前記第1の弾性部材は、金属からなり、
    前記第2の弾性部材は、樹脂からなる、
    請求項1~3のいずれか一項に記載のプッシュスイッチ。
  5. 前記第1の弾性部材は、天井が開口されたドーム形状を有し、上面が前記キーキャップに接し、端部から突出した2以上の脚部を有し、前記脚部を介して前記基板に配置され、
    前記第2の弾性部材は、ドーム形状を有し、前記第1の弾性部材の開口された領域において上面が前記キーキャップに接し、外縁部の下端が前記基板に接している、
    請求項1~4のいずれか一項に記載のプッシュスイッチ。
  6. 中央の開口部から前記キーキャップの上面が露出するように前記基板に配置され、前記第1の弾性部材の前記脚部を前記基板との間に保持するケースを更に備える、
    請求項5に記載のプッシュスイッチ。
  7. 前記第1の弾性部材は、前記キーキャップと前記第2の弾性部材の間に配置され、ドーム形状を有し、ドーム形状の上面が前記キーキャップに接し、
    前記第2の弾性部材は、前記第1の弾性部材と前記基板の間に配置され、ドーム形状を有し、ドーム形状の上面が前記第1の弾性部材に接している、
    請求項1~4のいずれか一項に記載のプッシュスイッチ。
  8. 前記基板に固定されて、前記第1の弾性部材及び前記第2の弾性部材を位置決めする位置決め部材を更に備え、
    前記第1の弾性部材は、端部から突出した脚部を有し、
    前記第2の弾性部材は、外縁部に孔を有し、
    前記位置決め部材は、前記第1の弾性部材の前記脚部を収納する脚収納穴を有し、
    前記第1の弾性部材の前記脚部が、前記第2の弾性部材の前記孔を介して前記位置決め部材の前記脚収納穴に配置される、
    請求項7に記載のプッシュスイッチ。
  9. 前記第1の弾性部材の前記脚部及び前記第2の弾性部材の外縁部を、前記位置決め部材との間に保持する枠部材を更に備える、
    請求項8に記載のプッシュスイッチ。
  10. 前記基板は、互いに空隙を隔てて配置された前記可動接点と前記固定接点を有するシートスイッチを有し、
    前記第2の弾性部材は、天井に配置された押圧部を有し、
    前記押圧部、前記可動接点及び前記固定接点が平面視で重なるように配置される、
    請求項1~9のいずれか一項に記載のプッシュスイッチ。
  11. 前記可動接点は、前記第2の弾性部材の天井に配置され、
    前記可動接点及び前記固定接点が平面視で重なるように配置される、
    請求項1~9のいずれか一項に記載のプッシュスイッチ。
  12. 前記第2の弾性部材の正の極小値であるボトム荷重の絶対値が、10(gf)以上である、
    請求項1~11のいずれか一項に記載のプッシュスイッチ。
  13. 前記荷重特性のトップ荷重a及びボトム荷重bを用いて100×(a-b)/aで表されるクリック率が80%以上である、
    請求項1~12のいずれか一項に記載のプッシュスイッチ。
  14. 前記第2の弾性部材は、前記第1の弾性部材と前記基板の間に配置され、弾性変形に伴う復元力がゼロ又は正であり、且つ弾性変形に伴う復元力が前記第1の弾性部材のピーク荷重よりも小さい、
    請求項1に記載のプッシュスイッチ。
  15. 前記荷重特性の極小値であるボトム荷重が正である、
    請求項14に記載のプッシュスイッチ。
  16. 前記第1の弾性部材及び前記第2の弾性部材が、金属からなる、
    請求項14又は15に記載のプッシュスイッチ。
  17. 前記第1の弾性部材は、ドーム形状を有し、
    前記第2の弾性部材は、平板形状を有する、
    請求項14~16のいずれか一項に記載のプッシュスイッチ。
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