JP2023078111A - グルタルアルデヒドを含む魚類寄生虫駆除剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】魚類における外部寄生虫の薬剤による駆除方法を提供する。【解決手段】グルタルアルデヒドを有効成分として含有する魚類に寄生する外部寄生虫の駆除剤が提供される。【選択図】なし
Description
本発明は、魚類の寄生虫、特に魚類の外部寄生虫の駆除剤及び寄生虫駆除方法に関する。また本発明は、魚類の寄生虫により発生する寄生虫症、例えば、魚類に寄生する鞭毛虫により発症するイクチオボド症または繊毛虫類により発生するトリコジナ症などの体表または鰓に症状が発生する寄生虫症を治療する薬剤及び治療方法に関する。
魚類の体表や鰭などに付着する外部寄生原虫は、魚類の寄生虫症の原因となり、魚類の飼育において問題となっている。例えば、広く一般に親しまれている食用魚であるサケは、安定した漁業資源確保のために増殖事業が行われおり、サケ増殖事業では、母川へ戻ってきた親魚から人工的に採卵し、これに精子をかけて受精させた後、ふ化場にてふ化させ、一定程度の大きさになるまで稚魚を飼育した後、河川へ放流している。
さけ・ます類の飼育において被害を及ぼす外部寄生原虫として、鞭毛虫類のイクチオボド(Ichthyobodo salmonis)、繊毛虫類のトリコジナ(Trichodina truttae)とキロドネラ(Chilodonella piscicola)などが知られている(非特許文献1~3)。イクチオボドはサケ,カラフトマス,ベニザケとサクラマス幼稚魚に寄生する(非特許文献4)。本虫は体長約10 μmと小型の鞭毛虫で、宿主の鰭や体表を好んで寄生する。トリコジナはほぼ円形で直径は115-180μmと大型で、主にサケ稚魚の体表に寄生する(非特許文献5)。キロドネラも虫体長が60-80μmと大型の繊毛虫で,サクラマスなどの鰓に寄生する(非特許文献6)。 いずれも2分裂で増殖し,魚から魚へ水平感染する。特に、トリコジナおよびイクチオボドは、サケ稚魚の体表に寄生して、トリコジナ症やイクチオボド症を引き起こす。
トリコジナ症やイクチオボド症のサケ稚魚では、体表組織の損傷ないし壊死が生じ、ついには斃死に至る。また、斃死に至らずとも、これらの原虫の寄生により鰓にダメージを受けて海水適応能を失うことから、放流されて降海した後、海にて死滅する可能性が高まる(非特許文献7)。近年、サケふ化場においてトリコジナ症やイクチオボド症によるサケ稚魚の健康被害ないし大量斃死が起こっており、問題になっている。トリコジナはカレイ科のマツカワにも寄生して問題を引き起こし、マツカワに寄生するトリコジナを新種(Trichodina hokkaidoensis)であるとする報告がされている(非特許文献8)。
トリコジナ症やイクチオボド症に関する対策として、茶抽出物を含有する組成物の使用(特許文献1)、マトリンを含有する組成物の使用(特許文献2)、およびハーブ精油を用いる方法(特許文献3)について報告がされている。
グルタルアルデヒド(分子式:C5H8O2)は炭素数5のジアルデヒド化合物であり、グルタラールとしても知られている。本物質は、主に、皮のなめし剤、紙・プラスチックなどへの定着剤、水産用器具、内視鏡や手術器具類などの殺菌消毒剤、クーリングタワー等の殺藻剤、畜鶏舎や養鶏用器具機材の殺菌・消毒剤として用いられている。
Mizuno, S. et al., Fish Pathology, 55 (3), 61-70, 2020, 9, 61-70
水野真也 他, SALMON 情報, No.13 2019年3月
浦和茂彦、さけ・ます資源管理センターニュース, No.11, 2003年8月, 1-7
Urawa, S. et al., Scientific Reports of the Hokkaido Salmon Hatchery, 46, 175-203, 1992
Urawa, S. et al., Gyobyo Kenkyu,26(2),83-89,1991
Urawa, S. et al., J. Aquatic Animal Health, 4, 188-197, 1992
Urawa, S., Scientific Reports of the Hokkaido Salmon Hatchery, 50, 1-99, 1996
Mizuno, S. et al., Fish Pathol., 56, 115-121, 2021
トリコジナ、イクチオボドおよびキロドネラなどの魚類の外部寄生虫の駆除方法は必ずしも十分とはいえず、魚類に安全であり高い効果を発揮する駆虫方法が求められていた。
発明者らは、魚類の飼育、特にさけ・ます類の稚魚の飼育において問題となっているトリコジナ、およびイクチオボドなどの魚類の外部寄生虫の駆除方法について鋭意研究を重ね、グルタルアルデヒドを活性成分とする処置により、魚類の外部寄生虫を効果的に駆除できることを見いだし、本発明を完成させた。
本明細書は以下の発明を開示する:
(A1)魚類の外部寄生虫の駆除において使用するための、グルタルアルデヒドを含む組成物。
(A2)グルタルアルデヒドを含む薬浴に魚類を浸漬させて使用するための、A1に記載の組成物。
(A3)薬浴が25~63ppmのグルタルアルデヒドを含む、A1またはA2に記載の組成物。
(A1)魚類の外部寄生虫の駆除において使用するための、グルタルアルデヒドを含む組成物。
(A2)グルタルアルデヒドを含む薬浴に魚類を浸漬させて使用するための、A1に記載の組成物。
(A3)薬浴が25~63ppmのグルタルアルデヒドを含む、A1またはA2に記載の組成物。
(A4)魚類が淡水で飼育される魚類である、A1~A3のいずれかに記載の組成物。
(A5)浸漬時間が15~90分である、A1~A4のいずれかに記載の組成物。
(A6)魚類がサケ科の魚類である、A1~A5のいずれかに記載の組成物。
(A7)魚類がサケ属またはタイセイヨウサケ属の魚類である、A1~A6のいずれかに記載の組成物。
(A5)浸漬時間が15~90分である、A1~A4のいずれかに記載の組成物。
(A6)魚類がサケ科の魚類である、A1~A5のいずれかに記載の組成物。
(A7)魚類がサケ属またはタイセイヨウサケ属の魚類である、A1~A6のいずれかに記載の組成物。
(A8)魚類がサケ(Oncorhynchus keta)、カラフトマス(O. gorbuscha)、サクラマス(O. masou)、ベニザケ(O. nerka)、タイセイヨウサケ(Salmo salar)、およびブラウントラウト(Salmo trutta)から選択される、A1~A7のいずれかに記載の組成物。
(A9)魚類がカレイ科の魚類である、A1~A3およびA5のいずれかに記載の組成物。
(A9)魚類がカレイ科の魚類である、A1~A3およびA5のいずれかに記載の組成物。
(A10)魚類がマツカワ(Verasper moseri)、ホシガレイ(Verasper variegatus)、ターボット(Psetta maxima)、タイヘイヨウオヒョウ(Hippoglossus stenolepis)、およびタイセイヨウオヒョウ(Hippoglossus hippoglossus)から選択される、A1~A3およびA5のいずれかに記載の組成物。
(A11)魚類が0.3~0.7gの魚体重である、A1~A10のいずれかに記載の組成物。
(A11)魚類が0.3~0.7gの魚体重である、A1~A10のいずれかに記載の組成物。
(A12)外部寄生虫が、イクチオボド(Ichthyobodo salmonis)、トリコジナ(Trichodina truttae、およびTrichodina hokkaidoensis)、およびキロドネラ(Chilodonella piscicola)から選択される、A1~A11のいずれかに記載の組成物。
(A13)外部寄生虫が、イクチオボド(Ichthyobodo salmonis)、およびトリコジナ(Trichodina truttae、およびTrichodina hokkaidoensis)から選択される、A1~A12のいずれかに記載の組成物。
(A13)外部寄生虫が、イクチオボド(Ichthyobodo salmonis)、およびトリコジナ(Trichodina truttae、およびTrichodina hokkaidoensis)から選択される、A1~A12のいずれかに記載の組成物。
(B1)外部寄生虫を原因とする魚類の寄生虫症の予防または治療において使用するための、グルタルアルデヒドを含む組成物。
(B2)グルタルアルデヒドを含む薬浴に魚類を浸漬させて使用するための、B1に記載の組成物。
(B3)薬浴が25~63ppmのグルタルアルデヒドを含む、B1またはB2に記載の組成物。
(B2)グルタルアルデヒドを含む薬浴に魚類を浸漬させて使用するための、B1に記載の組成物。
(B3)薬浴が25~63ppmのグルタルアルデヒドを含む、B1またはB2に記載の組成物。
(B4)魚類が淡水で飼育される魚類である、B1~B3のいずれかに記載の組成物。
(B5)浸漬時間が15~90分である、B1~B4のいずれかに記載の組成物。
(B6)魚類がサケ科の魚類である、B1~B5のいずれかに記載の組成物。
(B7)魚類がサケ属またはタイセイヨウサケ属の魚類である、B1~B6のいずれかに記載の組成物。
(B5)浸漬時間が15~90分である、B1~B4のいずれかに記載の組成物。
(B6)魚類がサケ科の魚類である、B1~B5のいずれかに記載の組成物。
(B7)魚類がサケ属またはタイセイヨウサケ属の魚類である、B1~B6のいずれかに記載の組成物。
(B8)魚類がサケ(Oncorhynchus keta)、カラフトマス(O. gorbuscha)、サクラマス(O. masou)、ベニザケ(O. nerka)、タイセイヨウサケ(Salmo salar)、およびブラウントラウト(Salmo trutta)から選択される、B1~B7のいずれかに記載の組成物。
(B9)魚類がカレイ科の魚類である、B1~B3およびB5のいずれかに記載の組成物。
(B9)魚類がカレイ科の魚類である、B1~B3およびB5のいずれかに記載の組成物。
(B10)魚類がマツカワ(Verasper moseri)、ホシガレイ(Verasper variegatus)、ターボット(Psetta maxima)、タイヘイヨウオヒョウ(Hippoglossus stenolepis)、およびタイセイヨウオヒョウ(Hippoglossus hippoglossus)から選択される、B1~B3およびB5のいずれかに記載の組成物。
(B11)魚類が0.3~0.7gの魚体重である、B1~B10のいずれかに記載の組成物。
(B11)魚類が0.3~0.7gの魚体重である、B1~B10のいずれかに記載の組成物。
(B12)外部寄生虫が、イクチオボド(Ichthyobodo salmonis)、トリコジナ(Trichodina truttae、およびTrichodina hokkaidoensis)、およびキロドネラ(Chilodonella piscicola)から選択される、B1~B11のいずれかに記載の組成物。
(B13)外部寄生虫が、イクチオボド(Ichthyobodo salmonis)、およびトリコジナ(Trichodina truttae、およびTrichodina hokkaidoensis)から選択される、B1~B12のいずれかに記載の組成物。
(B13)外部寄生虫が、イクチオボド(Ichthyobodo salmonis)、およびトリコジナ(Trichodina truttae、およびTrichodina hokkaidoensis)から選択される、B1~B12のいずれかに記載の組成物。
(C1)魚類の外部寄生虫の駆除方法であって、グルタルアルデヒドを含む薬浴に対象の魚類を浸漬することを含む、前記方法。
(C2)薬浴が25~63ppmのグルタルアルデヒドを含む、C1に記載の方法。
(C3)魚類が淡水で飼育される魚類である、C1またはC2に記載の方法。
(C2)薬浴が25~63ppmのグルタルアルデヒドを含む、C1に記載の方法。
(C3)魚類が淡水で飼育される魚類である、C1またはC2に記載の方法。
(C4)浸漬時間が15~90分である、C1~C3のいずれかに記載の方法。
(C5)魚類がサケ科の魚類である、C1~C4のいずれかに記載の方法。
(C6)魚類がサケ属またはタイセイヨウサケ属の魚類である、C1~C5のいずれかに記載の方法。
(C5)魚類がサケ科の魚類である、C1~C4のいずれかに記載の方法。
(C6)魚類がサケ属またはタイセイヨウサケ属の魚類である、C1~C5のいずれかに記載の方法。
(C7)魚類がサケ(Oncorhynchus keta)、カラフトマス(O. gorbuscha)、サクラマス(O. masou)、ベニザケ(O. nerka)、タイセイヨウサケ(Salmo salar)、およびブラウントラウト(Salmo trutta)から選択される、C1~C6のいずれかに記載の方法。
(C8)魚類がカレイ科の魚類である、C1~C4のいずれかに記載の組成物。
(C9)魚類がマツカワ(Verasper moseri)、ホシガレイ(Verasper variegatus)、ターボット(Psetta maxima)、タイヘイヨウオヒョウ(Hippoglossus stenolepis)、およびタイセイヨウオヒョウ(Hippoglossus hippoglossus)から選択される、C1、C2およびC4のいずれかに記載の組成物。
(C10)魚類が0.3~0.7gの魚体重である、C1~C9のいずれかに記載の方法。
(C9)魚類がマツカワ(Verasper moseri)、ホシガレイ(Verasper variegatus)、ターボット(Psetta maxima)、タイヘイヨウオヒョウ(Hippoglossus stenolepis)、およびタイセイヨウオヒョウ(Hippoglossus hippoglossus)から選択される、C1、C2およびC4のいずれかに記載の組成物。
(C10)魚類が0.3~0.7gの魚体重である、C1~C9のいずれかに記載の方法。
(C11)外部寄生虫が、イクチオボド(Ichthyobodo salmonis)、トリコジナ(Trichodina truttae、およびTrichodina hokkaidoensis)、およびキロドネラ(Chilodonella piscicola)から選択される、C1~C10のいずれかに記載の方法。
(C12)外部寄生虫が、イクチオボド(Ichthyobodo salmonis)、およびトリコジナ(Trichodina truttae、およびTrichodina hokkaidoensis)から選択される、C1~C11のいずれかに記載の方法。
(C12)外部寄生虫が、イクチオボド(Ichthyobodo salmonis)、およびトリコジナ(Trichodina truttae、およびTrichodina hokkaidoensis)から選択される、C1~C11のいずれかに記載の方法。
(D1)外部寄生虫を原因とする魚類の寄生虫症の予防方法または治療方法であって、グルタルアルデヒドを含む薬浴に対象の魚類を浸漬することを含む、前記方法。
(D2)薬浴が25~65ppmのグルタルアルデヒドを含む、D1に記載の方法。
(D3)魚類が淡水で飼育される魚類である、D1またはD2に記載の方法。
(D2)薬浴が25~65ppmのグルタルアルデヒドを含む、D1に記載の方法。
(D3)魚類が淡水で飼育される魚類である、D1またはD2に記載の方法。
(D4)浸漬時間が15~90分である、D1~D3のいずれかに記載の方法。
(D5)魚類がサケ科の魚類である、D1~D4のいずれかに記載の方法。
(D6)魚類がサケ属またはタイセイヨウサケ属の魚類である、D1~D5のいずれかに記載の方法。
(D5)魚類がサケ科の魚類である、D1~D4のいずれかに記載の方法。
(D6)魚類がサケ属またはタイセイヨウサケ属の魚類である、D1~D5のいずれかに記載の方法。
(D7)魚類がサケ(Oncorhynchus keta)、カラフトマス(O. gorbuscha)、サクラマス(O. masou)、ベニザケ(O. nerka)、タイセイヨウサケ(Salmo salar)、およびブラウントラウト(Salmo trutta)から選択される、D1~D6のいずれかに記載の方法。
(D8)魚類がカレイ科の魚類である、D1、D2およびD4のいずれかに記載の組成物。
(D8)魚類がカレイ科の魚類である、D1、D2およびD4のいずれかに記載の組成物。
(D9)魚類がマツカワ(Verasper moseri)、ホシガレイ(Verasper variegatus)、ターボット(Psetta maxima)、タイヘイヨウオヒョウ(Hippoglossus stenolepis)、およびタイセイヨウオヒョウ(Hippoglossus hippoglossus)から選択される、D1、D2およびD4のいずれかに記載の組成物。
(D10)魚類が0.3~0.7gの魚体重である、D1~D9のいずれかに記載の方法。
(D10)魚類が0.3~0.7gの魚体重である、D1~D9のいずれかに記載の方法。
(D11)外部寄生虫が、イクチオボド(Ichthyobodo salmonis)、トリコジナ(Trichodina truttae、およびTrichodina hokkaidoensis)、およびキロドネラ(Chilodonella piscicola)から選択される、D1~D10のいずれかに記載の方法。
(D12)外部寄生虫が、イクチオボド(Ichthyobodo salmonis)、およびトリコジナ(Trichodina truttae、およびTrichodina hokkaidoensis)から選択される、D1~D11のいずれかに記載の方法。
(D12)外部寄生虫が、イクチオボド(Ichthyobodo salmonis)、およびトリコジナ(Trichodina truttae、およびTrichodina hokkaidoensis)から選択される、D1~D11のいずれかに記載の方法。
本発明により、魚類の寄生虫、特に魚類の外部寄生虫、例えば、イクチオボド(Ichthyobodo salmonis)、トリコジナ(Trichodina truttae、およびTrichodina hokkaidoensis)、およびキロドネラ(Chilodonella piscicola)などの駆除剤及び寄生虫駆除方法が提供される。また発明により、魚類の寄生虫により発生する寄生虫症、例えば、魚類に寄生する鞭毛虫により発症するイクチオボド症または繊毛虫類により発生するトリコジナ症などの体表または鰓に症状が発生する寄生虫症を治療する薬剤及び治療方法が提供される。
本明細書において、魚類の外部寄生虫は特に限定されず、魚類の主に体表や鰭などに付着して寄生する寄生虫を意味する。これらの寄生虫は場合によっては、鰓などの器官に寄生しうる。本発明の一つの側面において、魚類の外部寄生虫は、薬浴処理により薬液に接する位置に付着している。
本発明の一つの側面において、魚類の外部寄生虫としては、真核単細胞の寄生虫(原虫)であり、例えば、鞭毛虫類または繊毛虫類が挙げられ、具体的には鞭毛虫類のイクチオボド(Ichthyobodo salmonis、Ichthyobodo necator)、アミルウージニウム(Amyloodinium ocellatum)、およびスクーチカ症の原因虫(Miamiensis avidus)、繊毛虫類のトリコジナ(Trichodina truttae、およびTrichodina hokkaidoensis)、キロドネラ(Chilodonella piscicola)、および白点虫(Ichthyophthirius multifiliis(淡水)、Cryptocaryon irritans(海産))が挙げられる。
本発明の別の側面において、魚類の外部寄生虫としては、魚類の扁形動物門単生綱に属する単生虫(一般的にハダムシやエラムシと呼ばれる)や節足動物門甲殻綱に属するカリグスなどが挙げられる。ハダムシと呼ばれる寄生虫は単生虫類ベネデニア亜科等の海水魚に寄生するものが挙げられる。ベネデニア亜科としては、例えばベネデニア・セリオレ(Benedenia seriolae)、ベネデニア・エピネフェリ(Benedenia epinepheli)、ベネデニア・ホシナイ(Benedenia hoshinai)、ベネデニア・セキイ(Benedenia sekii)等のベネ
デニア(Benedenia)及びネオベネデニア・ジレレ(Neobenedenia girellae)、ネオベネデニア・コンゲリ(Neobenedenia congeri)等のネオベネデニア(Neobenedenia)が挙げられる。エラムシと呼ばれている単生虫は、多後吸盤類に属するヘテラキシネ科ヘテラキシネ・ヘテロセルカ(Heteraxine heterocerca)、ゼウクサプタ・ヤポニカ(Zeuxapta japonica)、ミクロコチレ科ビバギナ・タイ(Bivagina tai)、ミクロコチレ・セバスチス(Microcotyle sebastis)、ミクロコチレ・セバスチスキ(Microcotyle sebastisci)、ディクリドフォラ科ヘテロボツリウム・オカモトイ(Heterobothrium okamotoi)、ネオ
ヘテロボツリウム・ヒラメ(Neoheterobothrium hirame)などである。また、エラムシと呼ばれる寄生虫は単後吸盤類に分類されるものもあり、ラメロジスカス属ラメロジスカス(Lamellodiscus spp.)が挙げられる。カリグスはウオジラミ科に属するカリグス・ロンギペディス(Caligus longipedis)、シュードカリグス・フグ(Pseudocaligus fugu)、カリグス・オリエンタリス(Caligus orientalis)、などが挙げられる。本発明の一つの態様において、外部寄生虫として、ネオベネデニア、ベネデニア、ゼウクサプタ・ヤポニカ、ビバギナ・タイ及びラメロジスカス等が挙げられる。
デニア(Benedenia)及びネオベネデニア・ジレレ(Neobenedenia girellae)、ネオベネデニア・コンゲリ(Neobenedenia congeri)等のネオベネデニア(Neobenedenia)が挙げられる。エラムシと呼ばれている単生虫は、多後吸盤類に属するヘテラキシネ科ヘテラキシネ・ヘテロセルカ(Heteraxine heterocerca)、ゼウクサプタ・ヤポニカ(Zeuxapta japonica)、ミクロコチレ科ビバギナ・タイ(Bivagina tai)、ミクロコチレ・セバスチス(Microcotyle sebastis)、ミクロコチレ・セバスチスキ(Microcotyle sebastisci)、ディクリドフォラ科ヘテロボツリウム・オカモトイ(Heterobothrium okamotoi)、ネオ
ヘテロボツリウム・ヒラメ(Neoheterobothrium hirame)などである。また、エラムシと呼ばれる寄生虫は単後吸盤類に分類されるものもあり、ラメロジスカス属ラメロジスカス(Lamellodiscus spp.)が挙げられる。カリグスはウオジラミ科に属するカリグス・ロンギペディス(Caligus longipedis)、シュードカリグス・フグ(Pseudocaligus fugu)、カリグス・オリエンタリス(Caligus orientalis)、などが挙げられる。本発明の一つの態様において、外部寄生虫として、ネオベネデニア、ベネデニア、ゼウクサプタ・ヤポニカ、ビバギナ・タイ及びラメロジスカス等が挙げられる。
本発明の別の側面において、魚類の外部寄生虫としては、吸虫症の原因虫、例えば、シュードダクチロギルス症の原因虫(Pseudodactylogyrus bini及びPseudodactylogyrus anguillae)、コイのダクチロギルス症の原因虫(Dactylogyrus extensus、D. minutus)、ギロダクチロギルス症の原因虫(タイセイヨウサケ:Gyrodactylus salaris、コイ:G. kherulensis, G. sprostonae、キンギョ:G. kobayashii、アユ:G. japonicus、ニジマス:G. masu、およびトラフグ:G. rubripedis)、およびテトラオンクス症の原因虫(Tetraonchus awakurai)などが挙げられる。
本発明の別の側面において、魚類の外部寄生虫としては、ウオジラミ症の原因虫、例えば、サケジラミ(Lepeophtheirus salmonis)、ヤマメナガクビムシ(Salmincola californiensis)、イワナナガクビムシ(Salmincola carpionis)、イトウナガクビムシ(Salmincola stellatus);淡水魚のイカリムシ症の原因虫(Lernaea cyprinacea)、コイ、キンギョのチョウ症の原因虫(Argulus japonicus)、アユのエルガシルス症の原因虫(Ergasilus zacconis)などが挙げられる。
本明細書において、魚類は特に限定されず、海水、淡水、汽水に生息する魚類を包含する。本発明の一つの側面において、魚類は、寄生虫を駆除する必要が生じる養殖魚や観賞魚として取り扱われている魚類であり、例えば、養殖魚である。一つの態様において、魚類として、例えば、フグ目フグ科のトラフグ、スズキ目ハタ科のハタ、スズキ目シクリッド科のティラピア、など、ハダムシやエラムシなどの魚類の外部寄生虫の寄生が知られている魚類が挙げられる。
本発明の一つの側面において、魚類は海水魚であり、海水の中で生存している全ての年齢の養殖魚、水族館や商業の鑑賞魚が含まれる。特に、養殖魚では、スズキ目、カレイ目、フグ目、ニシン目(サケ目)、コイ目、キュウリウオ目、ウナギ目の魚類であり、ブリ類、ハタ類、タイ類、ヒラメ類、フグ類、サケ類、ウナギ類の魚である。具体的には、カンパチ、ヒレナガカンパチ、ブリ(ハマチ)、ヒラマサ、マアジ、シマアジ、マサバ、スズキ、マダイ、イシダイ、イシガキダイ、ティラピア、スギ、キジハタ、クエ、マハタ、チャイロマルハタ、ヤイトハタ、サラサハタ、スジアラ、タマカイ、カサゴ、ヒラメ、マツカワ、ホシガレイ、ターボット、オヒョウ、トラフグ、カワハギ、キイロハギ、ウマヅラハギ、ニジマス、大西洋サケ、ギンザケ、ベニザケ、コイ、キンギョ、アユなどが例示される。特にカンパチ、ブリ、ハタ類、コビア、スナッパー、バラマンディ、ティラピア、スズキなどで、ハダムシなどの外部寄生虫による被害が多く報告されている。
本発明の一つの側面において、魚類は、海水魚であり、例えば、スズキ目、カレイ目又はフグ目の魚類である。本発明の一つの側面において、魚類は、スズキ目の魚類であり、例えば、ブリ属、タイ科又はマグロ属に属する魚類であり、カレイ目の魚類がヒラメ科に属する魚類であり、フグ目に属する魚類がフグ科に属する魚類である。本発明の一つの側面において、魚類は、ブリ属に属する魚類であり、例えば、ブリ(Seriola quinqueradiata)、カンパチ(Seriola dumerili)、ヒラマサ(Seriola lalandi)、ヒレナガカンパチ(Seriola rivoliana)、Seriola carpenteri、Seriola fasciata、ミナミカンパチ(Seriola hippos)、Seriola peruana、及びSeriola zonataのいずれかである。本発明の一つの側面において、魚類は、タイ科に属する魚類であり、例えば、ミナミクロダイ(Acanthopagrus sivicolus)、タイワンダイ(Argyrops bleekeri Oshima)、キダイ(Dentex tumifrons)、チダイ(Evynnis tumifrons)、マダイ(Pagrus major)、クロダイ(Acanthopagrusschlegelii)、及びヘダイ(Rhabdosargus sarba、Sparus sarba)のいずれかである。本発明の一つの側面において、魚類は、マグロ属に属する魚類であり、例えば、クロマグロ(Thunnus orientalis)、タイセイヨウクロマグロ(Thunnus thynnus)、ミナミナグロ(Thunnus maccoyii)、メバチマグロ(Thunnus obesus)、ビンナガマグロ(Thunnus alalunga)、キハダマグロ(Thunnus albacares)、コシナガマグロ(Thunnus tonggol)、及びタイセイヨウマグロ(Thunnus atlanticus)のいずれかである。本発明の一つの側面において、魚類は、ヒラメ科に属する魚類であり、例えば、ヒラメ(Paralichthys olivaceus)、カリフォルニアハリバット(Paralichthys californicus)、ナツヒラメ(Paralichthys dentatus)、タマガンゾウビラメ(Pseudorhombus pentophthalmus)、ガンゾウヒラメ(Pseudorhombus cinnamoneus)、メガレイ(Pseudorhombus dupliciocellatus)、テンジクガレイ(Pseudorhombus arsius)、及びアラメガレイ(Tarphops oligolepis)のいずれかである。本発明の一つの側面において、魚類は、フグ科に属する魚類であり、例えば、トラフグ(Takifugu rubripes)又はマフグ(Takifugu porphyreus)である。
本発明の一つの側面において、魚類は淡水魚であり、淡水の中で生存している全ての年齢の養殖魚、水族館や商業の鑑賞魚が含まれる。特に、観賞魚では、鯉、キンギョなどが挙げられる。養殖魚では、サケ科の魚類、例えば、イトウ属(Hucho)、イワナ属 (Salvelinus)、サルモ属(Salmo)、サケ属(Oncorhynnchus)などの魚類が挙げられ、具体的には、イトウ(Hucho perryi)、オショロコマ(Salverinus malma)、アメマス(Salverinus leucomaenis)、カワマス(Salverinus fontinalis)、ブラウントラウト(Salmo trutta)、ニジマス(Oncorhynchus mykiss)、サクラマス(Oncorhynchus masou)、ギンザケ(Oncorhynchus kisutch)、マスノスケ(Oncorhynchus tshawytscha)、ベニザケ(ヒメマス)(Oncorhynchus nerka)、サケ(Oncorhynchus keta)、カラフトマス(Oncorhynchus gorbuscha)、タイセイヨウサケ(Salmo salar)、およびブラウントラウト(Salmo trutta)などが挙げられる。
本発明の一つの側面において、魚類は淡水中で飼育されている、ニジマス(Oncorhynchus mykiss)、サクラマス(Oncorhynchus masou)、ギンザケ(Oncorhynchus kisutch)、マスノスケ(Oncorhynchus tshawytscha)、ベニザケ(ヒメマス)(Oncorhynchus nerka)、サケ(Oncorhynchus keta)、カラフトマス(Oncorhynchus gorbuscha)などサケ属魚類である。
一つの態様において、魚類は、サケ(Oncorhynchus keta)、カラフトマス(Oncorhynchus gorbuscha)、またはサクラマス(Oncorhynchus masou)であり、放流用として飼育
される稚魚である。稚魚の魚体重は、例えば、0.1~10g、0.2~1.0g、0.3~0.7g、または0.4~0.6gである。
される稚魚である。稚魚の魚体重は、例えば、0.1~10g、0.2~1.0g、0.3~0.7g、または0.4~0.6gである。
別の態様において、魚類は、ニジマス、サクラマス、ギンザケ、またはタイセイヨウサケであり、養殖用として飼育される種苗である。魚体重は、例えば、0.1~1000g、1g~600g、10g~400g、または50g~200gである。
別の態様において、魚類は、ニジマス、イワナ、ビワマス、またはその他サケマス類の交雑種であり、淡水養殖時の魚類である。魚体重は、例えば、0.1g~3000g、0.2~200g、0.5~100g、または1g~20gである。
別の態様において、魚類は、ニジマス、サクラマス、ギンザケ、またはタイセイヨウサケであり、海水面における養殖時の魚類である。魚体重は、例えば、50~6000g、100g~5000g、200g~4000g、または400g~3000gである。
別の態様において、魚類は、ヒラメ(Paralichthys olivaceus)、マツカワ(Verasper moseri)、ホシガレイ(Verasper variegatus)、ターボット(Psetta maxima)、タイヘイヨウオヒョウ(Hippoglossus stenolepis)、タイセイヨウオヒョウ(Hippoglossus hippoglossus)などのカレイ目魚類である。一つの態様においてカレイ目魚類は、放流用種苗、養殖用種苗、養殖魚(稚魚、成魚)及び親魚である。
一つの態様において、魚類は、放流用種苗、養殖用種苗、養殖魚(稚魚、成魚)及び親魚である。
本明細書において記載されるグルタルアルデヒドは特に限定されず、購入により入手可能である。例えば、25%水溶液として販売されており、所定の濃度に希釈して薬浴を調整することができる。薬浴におけるグルタルアルデヒドの濃度は、処置する魚類の魚体重、寄生虫症の重篤度などに基づいて適宜設定することができる。薬浴におけるグルタルアルデヒドの濃度は、例えば、10~100ppm、20~63ppm、20~63ppm、25~63ppm、25~45ppm、または30~40ppmである。本明細書中でppmは溶液中の溶質の量を重量/容量で表している。
薬浴の水温は、処置する魚類の種類、魚体重、寄生虫症の重篤度などに基づいて適宜設定することができる。薬浴の水温は、例えば、10~15℃、10~14℃、10~13℃、11~13℃、または11.6~12.0℃である。
薬浴に魚類を浸漬する時間は、処置する魚類の種類、魚体重、寄生虫症の重篤度などに基づいて適宜設定することができる。薬浴に魚類を浸漬する時間は、例えば、3~180分、10~100分、15~90分、または20~60分である。
本発明の一つの側面において、魚類は放流用として飼育されているサケ属の稚魚であり、薬浴におけるグルタルアルデヒドの濃度は、例えば、10~100ppm、20~63ppm、25~63ppm、20~50ppm、25~45ppm、または30~40ppmである。薬浴の水温は、例えば、10~15℃、10~14℃、10~13℃、11~13℃、または11.6~12.0℃である。薬浴に魚類を浸漬する時間は、例えば、3~180分、10~100分、15~90分、または20~60分である。
本発明の一つの態様において、薬浴への浸漬処置は1回のみ行ってもよく、複数回、例えば、2回、3回、4回またはそれ以上行ってもよい。本発明の一つの側面において、グルタルアルデヒドによる処理と組み合わせて、他の有効成分を用いた処置をおこなってもよい。
ノルウェーのサケ養殖での薬浴法は、生簀側面をシートで囲むスカート法が採用されている。本法は、魚を狭い薬浴槽に移す必要がないため、飼育環境中の溶存酸素を確保できる。また、酸素や空気通気により環境水中の溶存酸素を保つことも可能である。このような方法と本発明を組み合わせることで、30分から60分の比較的長い薬浴が可能である。薬剤の投入は、筒状の管に多くの穴が開いている専用の器材が考案されており、生簀の表層から底層まで同時に薬剤を撒ける。さらに魚の遊泳により薬剤が拡散し均一にすることができる。
具体的には、生け簀の網の側面をシートで被い、内部の海水が保持される状態にして、生け簀内の海水にグルタルアルデヒドを所定の平均濃度となる量を投入し、10分間以上、好ましくは3~180分、10~100分、15~90分、または20~60分経過後、シートを除去することにより本発明の薬浴を行うことができる。この方法により、魚類にストレスをかけることなく、薬浴することができる。
以下に本発明の実施例を記載するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。なお、グルタルアルデヒドの濃度(ppm)を示す薬液は、原液の比重を1として調製した。
[実施例1]グルタルアルデヒドの急性毒性試験
グルタルアルデヒドの1時間の試験期間における1%致死濃度(魚類1時間LC1)および50%致死濃度(魚類1時間LC50)を確認するために以下の実験を行った。具体的な手法はOECDテストガイドライン(Test No. 203: Fish, Acute Toxicity Test (oecd-ilibrary.org) を参考にした。93~3,682 mg/Lの範囲で調整したグルタルアルデヒド液(ヘルミン25、共立製薬株式会社)1Lに、平均体重0.21gのサケ10尾を1時間暴露した。暴露後,流水下にて240時間まで飼育した。
[実施例1]グルタルアルデヒドの急性毒性試験
グルタルアルデヒドの1時間の試験期間における1%致死濃度(魚類1時間LC1)および50%致死濃度(魚類1時間LC50)を確認するために以下の実験を行った。具体的な手法はOECDテストガイドライン(Test No. 203: Fish, Acute Toxicity Test (oecd-ilibrary.org) を参考にした。93~3,682 mg/Lの範囲で調整したグルタルアルデヒド液(ヘルミン25、共立製薬株式会社)1Lに、平均体重0.21gのサケ10尾を1時間暴露した。暴露後,流水下にて240時間まで飼育した。
上記試験においてグルタルアルデヒド処理の96時間後における1%および50%致死濃度(魚類96時間LC1およびLC50)を算出した。結果を表1に示す。LC1およびLC50は、プロビット法により算出した。
[実施例2]感染魚におけるグルタルアルデヒドの急性毒性試験
イクチオボドの寄生を受けたサケ稚魚と,非感染のサケ稚魚を同居飼育し,非感染のサケ稚魚が十分に感染したことを確認した後に感染魚として試験に使用した。
イクチオボドの寄生を受けたサケ稚魚と,非感染のサケ稚魚を同居飼育し,非感染のサケ稚魚が十分に感染したことを確認した後に感染魚として試験に使用した。
グルタルアルデヒド処理の96時間後における1%致死濃度(魚類96時間LC1)および50%致死濃度(魚類96時間LC50)を確認するために以下の実験を行った。具体的な手法はOECDテストガイドライン(Test No. 203: Fish, Acute Toxicity Test (oecd-ilibrary.org) を参考にした。37.5~232.5 mg/Lの範囲で調整したグルタルアルデヒド液(ヘルミン25、共立製薬株式会社)1Lに、平均体重0.31gのサケ10尾を1時間暴露した。暴露後,流水下にて240時間まで飼育した。
上記試験においてグルタルアルデヒド処理の96時間後における1%および50%致死濃度(魚類96時間LC1およびLC50)を算出した。LC1およびLC50は、プロビット法により算出した。LC1は39ppm、LC50は125ppmであった。
上記試験においてグルタルアルデヒド処理の96時間後における1%および50%致死濃度(魚類96時間LC1およびLC50)を算出した。LC1およびLC50は、プロビット法により算出した。LC1は39ppm、LC50は125ppmであった。
[実施例3]イクチオボドおよびトリコジナの駆虫試験
イクチオボドの寄生を受けたサケ稚魚と,非感染のサケ稚魚を同居飼育し,非感染のサケ稚魚が十分に感染したことを確認した後に感染魚として試験に使用した。
6,000倍、 および9,000倍希釈グルタルアルデヒド液(ヘルミン25)10Lに,平均体重0.31gのサケ24尾を15、30、60、および90分暴露した。暴露後,流水下にて24時間あるいは48時間飼育した。飼育後の魚体を10%中性ホルマリン液に浸漬し、固定した。試験は11~13℃の水温で行った。
イクチオボドの寄生を受けたサケ稚魚と,非感染のサケ稚魚を同居飼育し,非感染のサケ稚魚が十分に感染したことを確認した後に感染魚として試験に使用した。
6,000倍、 および9,000倍希釈グルタルアルデヒド液(ヘルミン25)10Lに,平均体重0.31gのサケ24尾を15、30、60、および90分暴露した。暴露後,流水下にて24時間あるいは48時間飼育した。飼育後の魚体を10%中性ホルマリン液に浸漬し、固定した。試験は11~13℃の水温で行った。
尻鰭および背鰭に寄生する虫体を以下の手法で顕微鏡下にてカウントし、1mm2あたりの虫体数を算出した。飼育した魚1尾につき10カ所を顕微鏡観察し,10尾分のデータを取得し、10尾の平均で駆虫率を評価した。顕微鏡観察の一カ所(1視野)あたりの面積は0.25mm2であり、検出限界は0.04虫体/mm2であった。結果を表2に示す。
[実施例4]イクチオボドおよびトリコジナの駆虫試験
4,000倍希釈ホルマリンおよび6,000、7,500、および9,000倍希釈グルタルアルデヒド液(ヘルミン25)10Lに,平均体重0.31gのサケ12尾を15、30、60分暴露した。暴露後、流水下にて24時間飼育した。飼育後の魚体を10%中性ホルマリンに浸漬させ、固定した。イクチオボドの駆虫率の評価法は実施例3と同様の手法で行った。試験は11.6~12.0℃の水温で行った。
トリコジナについては,体表に寄生するトリコジナを遠心分離で集め,顕微鏡下でカウントした。10尾の個別の虫体数をカウントし平均して駆虫率を評価した。イクチオボドの駆虫試験の結果を表3に、トリコジナの駆虫試験の結果を表4にそれぞれ示す。
4,000倍希釈ホルマリンおよび6,000、7,500、および9,000倍希釈グルタルアルデヒド液(ヘルミン25)10Lに,平均体重0.31gのサケ12尾を15、30、60分暴露した。暴露後、流水下にて24時間飼育した。飼育後の魚体を10%中性ホルマリンに浸漬させ、固定した。イクチオボドの駆虫率の評価法は実施例3と同様の手法で行った。試験は11.6~12.0℃の水温で行った。
トリコジナについては,体表に寄生するトリコジナを遠心分離で集め,顕微鏡下でカウントした。10尾の個別の虫体数をカウントし平均して駆虫率を評価した。イクチオボドの駆虫試験の結果を表3に、トリコジナの駆虫試験の結果を表4にそれぞれ示す。
[実施例5]サケジラミの殺虫試験
グルタルアルデヒド(GA)のサケジラミ(Lepeophtheirus salmonis)に対する殺虫条件を以下の試験により検討した。
漁獲した直後のサケ(Oncorhynchus keta)雄562 kg(約3.5 kg/尾)を供試した。サケ体表面に寄生するサケジラミをピンセットで取り,海水を満たしたシール袋に入れ,保冷して移送した。サケジラミは1尾につき数個体見られた。
GA濃度125あるいは250 ppmとなるよう調整したヘルミン25(共立製薬)を供試した。各試料は採取海水で希釈し,各希釈液を200 mL作製して使用時まで10℃で保管した。採取時の海水の水質は,水温13.02℃,pH8.24,DO 11.27 mg/L,塩分濃度3.20 %であった。
グルタルアルデヒド(GA)のサケジラミ(Lepeophtheirus salmonis)に対する殺虫条件を以下の試験により検討した。
漁獲した直後のサケ(Oncorhynchus keta)雄562 kg(約3.5 kg/尾)を供試した。サケ体表面に寄生するサケジラミをピンセットで取り,海水を満たしたシール袋に入れ,保冷して移送した。サケジラミは1尾につき数個体見られた。
GA濃度125あるいは250 ppmとなるよう調整したヘルミン25(共立製薬)を供試した。各試料は採取海水で希釈し,各希釈液を200 mL作製して使用時まで10℃で保管した。採取時の海水の水質は,水温13.02℃,pH8.24,DO 11.27 mg/L,塩分濃度3.20 %であった。
海水を満たした細胞培養用シャーレにそれぞれサケジラミを6個体となるよう分取した。殺虫試験開始前に死亡個体が見られた場合は,生残個体と取り換えて数を揃えた。シャーレの海水を捨て,薬液に浸漬し10℃にて所定時間(60分)処置を行ったのち,薬液を捨てて海水で3回洗浄後,海水を満たして10℃で飼育した。対照は薬液に浸漬しなかった以外は同様の処理を行って飼育した。処理直後,1, 2, 3時間後に虫体の生死を判別し,全ての死亡個体および3時間後の生残個体を試験区毎にまとめて10%中性ホルマリン液にて固定した。
結果を表に表す。
結果を表に表す。
[実施例6]マツカワにおけるグルタルアルデヒドの毒性試験
グルタルアルデヒド(GA)のマツカワ(Verasper moseri)に対する毒性を確認した。
放流用として孵化したマツカワ稚魚のうち,眼位異常や体色異常等により放流されなくなった群を用いて試験を行った。また,試験中に供試魚と同一水槽で飼育していた個体にトリコジナ)の寄生が判明したため,供試魚もトリコジナの寄生を受けていたと考えられる。供試魚の平均体長は4.6cmであり、平均体重は2.5gであった。
グルタルアルデヒド(GA)のマツカワ(Verasper moseri)に対する毒性を確認した。
放流用として孵化したマツカワ稚魚のうち,眼位異常や体色異常等により放流されなくなった群を用いて試験を行った。また,試験中に供試魚と同一水槽で飼育していた個体にトリコジナ)の寄生が判明したため,供試魚もトリコジナの寄生を受けていたと考えられる。供試魚の平均体長は4.6cmであり、平均体重は2.5gであった。
GA濃度33.3~817.8 ppmとなるよう調整した25%グルタルアルデヒド(GA:和光純薬)ならびにヘルミン25(共立製薬)希釈液1 Lにマツカワ稚魚を20尾投入し1時間曝露した。暴露後,流水下で96時間後まで飼育した。暴露時間終了直後(結果では1 hと表記)から各時間までの累積死亡率を求め,暴露直後(1 h)および96時間後の50%致死濃度(LC50)および1%致死濃度(LC1)をプロビット法(SPSS ver27.0.1.0)を用いて求めた。
この結果から算出された50%致死濃度および1%致死濃度は以下の表6のとおりである。1時間後観察時のマツカワ稚魚に対するGA,およびヘルミンの50%致死濃度はいずれも462 ppmであった。96時間後観察時のマツカワ稚魚に対するGA,およびヘルミンの50%致死濃度はそれぞれ156, および141 ppmであった。
[実施例7]マツカワにおけるトリコジナ駆虫試験
グルタルアルデヒド(GA)によるトリコジナ(Trichodina sp.)の駆虫条件を以下の試験により検討した。
グルタルアルデヒド(GA)によるトリコジナ(Trichodina sp.)の駆虫条件を以下の試験により検討した。
放流用として孵化したマツカワ稚魚のうち,眼位異常や体色異常等により放流されなくなった群を各試験区につき10尾ずつ供試した。トリコジナは自然に寄生したものである。なお,GA濃度 27.8 ppmでの60分薬浴の区において1尾の斃死魚が見られている。また,トリコジナの寄生虫体数計測中にイクチオボド(Ichthyobodo sp.)と思われる細胞が多数見られたため,何らかの種のイクチオボドの寄生も起こっていた可能性も示唆された。なお,今回はイクチオボドについてはデータを取っていない。供試魚の平均体長は4.4cmであり、平均体重は1.9gであった。
トリコジナが寄生したマツカワ稚魚10尾を対象に,ヘルミン25(共立製薬)をGA濃度27.8 ppm(9,000倍希釈),31.3 ppm(8,000倍希釈),35.7 ppm(7,000倍希釈)および41.7 ppm(6,000倍希釈)となるよう希釈した液中にてそれぞれ30および60分間浸漬した。比較として対照区を設けた。具体的には,バケツに薬液10 Lを入れ,金魚網を用いて供試魚を薬液に投入し,所定時間経過後に取り出した。浸漬後は区毎にマジックテープで密閉できる網のかごに入れ,大型の水槽に沈めて流水飼育し,浸漬終了後24時間経過したのちに各区の個体を10%中性ホルマリン(和光純薬)で固定した。その後、体表に寄生するトリコジナを遠心分離で集め,顕微鏡下でカウントした。10尾の個別の虫体数をカウントし平均して駆虫率を評価した。
試験の結果を表7に示す。全ての区において99.7%以上の高い駆虫率を示しており,特に薬浴時間60分の試験区ではいずれの濃度でも駆虫率が99.9%を超えていた。なお、濃度35.7 ppmでの30分薬浴の試験区において,イクチオボドに形状が似た細胞が非常に多く含まれ計数が不可能であったサンプルが1つあったため,当試験区のみ9サンプルから測定したデータになった。
駆虫率と宿主の死亡状況から見て,GAはマツカワでのトリコジナ駆虫において効果的であることが本試験により確認された。また、60分間薬浴することで、より安定的に高い駆虫効果を発揮することが示された。
Claims (13)
- 魚類の外部寄生虫の駆除において使用するための、グルタルアルデヒドを含む組成物。
- グルタルアルデヒドを含む薬浴に魚類を浸漬させて使用するための、請求項1に記載の組成物。
- 薬浴が25~63ppmのグルタルアルデヒドを含む、請求項2に記載の組成物。
- 魚類が淡水で飼育される魚類である、請求項1に記載の組成物。
- 浸漬時間が15~90分である、請求項1に記載の組成物。
- 魚類がサケ科の魚類である、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
- 魚類がサケ属またはタイセイヨウサケ属の魚類である、請求項6に記載の組成物。
- 魚類がサケ(Oncorhynchus keta)、カラフトマス(O. gorbuscha)、サクラマス(O. masou)、ベニザケ(O. nerka)、タイセイヨウサケ(Salmo salar)、およびブラウントラウト(Salmo trutta)から選択される、請求項6に記載の組成物。
- 魚類が0.3~0.7gの魚体重である、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
- 魚類がカレイ科の魚類である、請求項1~3および5のいずれか1項に記載の組成物。
- 魚類がマツカワ(Verasper moseri)、ホシガレイ(Verasper variegatus)、ターボット(Psetta maxima)、タイヘイヨウオヒョウ(Hippoglossus stenolepis)、およびタイセイヨウオヒョウ(Hippoglossus hippoglossus)から選択される、請求項10に記載の組成物。
- 外部寄生虫が、イクチオボド(Ichthyobodo salmonis)、トリコジナ(Trichodina truttae、およびTrichodina hokkaidoensis)、およびキロドネラ(Chilodonella piscicola)から選択される、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
- 外部寄生虫が、イクチオボド(Ichthyobodo salmonis)、およびトリコジナ(Trichodina truttae、およびTrichodina hokkaidoensis)から選択される、請求項10に記載の組成物。
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