JP2023077843A - ホットメルト接着剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】使い捨て製品の部材に対する塗工性及び接着性に優れ、貯蔵安定性に優れ、なおかつ、天然樹脂の使用率が高く、臭気が低いホットメルト接着剤、及びそのホットメルト接着剤を用いて得られる使い捨て製品を提供すること。【解決手段】(A)ビニル系芳香族炭化水素と共役ジエン化合物との共重合体である熱可塑性ブロック共重合体、(B)粘着付与樹脂及び(C)ワックスを含み、(B)粘着付与樹脂が、(B1)酸価が20mgKOH/g以下である天然樹脂を含む、ホットメルト接着剤。【選択図】なし
Description
本発明はホットメルト接着剤に関し、さらに詳しくは紙おむつ、ナプキンに代表される使い捨て製品分野に使用されるホットメルト接着剤に関するものである。
紙おむつ及びナプキン等に代表される使い捨て製品には、ホットメルト接着剤が使用されている。ホットメルト接着剤は、不織布、ティッシュ及びポリエチレンフィルム等の基材に塗布され、これら複数の基材を組み合わせて使い捨て製品が製造される。
ホットメルト接着剤として、熱可塑性ブロック共重合体を主成分とする合成ゴム系ホットメルト接着剤、及びエチレン/プロピレン/ブテン共重合体に代表されるオレフィン系ホットメルト接着剤を主に例示することができる。塗工性及び凝集力等を考慮すると、オレフィン系接着剤より、合成ゴム系ホットメルト接着剤が利用されることがある。
一般に、ホットメルト接着剤はベースポリマーと可塑剤を含んでいる。ベースポリマーを減量し、可塑剤を増量することでホットメルト接着剤を低粘度化し、塗布適正を向上させることが検討されている。
しかしながら、可塑剤の含有量が多量になると、ホットメルト接着剤の凝集力が低下し、軟化点も低下する。凝集力の低いホットメルト接着剤は、容易に凝集破壊を起こすために、使い捨て製品の部材(例えば、ポリエチレンフィルム及びポリプロピレンフィルム)に対する接着性が不十分になる。また、軟化点が30℃以下のホットメルト接着剤は、例えば、倉庫内に固化状態で保管されても、夏季に溶融してその形状を保持できず、コールドフロー現象を発現させ、貯蔵安定性が不十分になる。
さらに、近年では、環境に与える負荷を軽減する観点から、ホットメルト接着剤にもロジンエステル等の天然樹脂の使用率を高めることが推奨されている。例えば、特許文献1及び2には、スチレンブロックポリマーとロジンエステルを含むホットメルト接着剤が開示されている。
特許文献1には、スチレン系熱可塑性エラストマーと、プロセスオイルと、酸変性ロジンを含むホットメルト接着剤が開示されている([請求項1][0023][0024]表1)。特許文献2には、部分水素添加型スチレンブロックコポリマーと、ロジンエステルを含むホットメルト接着剤が開示されている([請求項1][0071][0083]表1)。
一方で、特許文献1及び2のホットメルト接着剤は、ロジンエステルの含有量が低く、臭気が強いので、環境に与える負荷を軽減することはできない。また、使い捨て製品の部材に対する接着力も不十分である。特に、特許文献2のホットメルト接着剤に至っては、粘度が高く、スプレー塗工に対する適性を有していない。
本発明は、使い捨て製品の部材に対する塗工性及び接着性に優れ、貯蔵安定性に優れ、なおかつ、天然樹脂の使用率が高く、臭気が低いホットメルト接着剤、及びそのホットメルト接着剤を用いて得られる使い捨て製品を提供することを目的とする。
本発明および本発明の好ましい態様は以下のとおりである。
1.(A)ビニル系芳香族炭化水素と共役ジエン化合物との共重合体である熱可塑性ブロック共重合体、(B)粘着付与樹脂及び(C)ワックスを含み、
(B)粘着付与樹脂が、(B1)酸価が20mgKOH/g以下である天然樹脂を含む、ホットメルト接着剤。
1.(A)ビニル系芳香族炭化水素と共役ジエン化合物との共重合体である熱可塑性ブロック共重合体、(B)粘着付与樹脂及び(C)ワックスを含み、
(B)粘着付与樹脂が、(B1)酸価が20mgKOH/g以下である天然樹脂を含む、ホットメルト接着剤。
2.(B1)天然樹脂の軟化点が90℃以上である、前記1に記載のホットメルト接着剤。
3.(B1)天然樹脂がロジンエステルを含む、前記1又は2に記載のホットメルト接着剤。
4.成分(A)、成分(B)、成分(C)の総量100質量部に対し、(B1)酸価が20mgKOH/g以下である天然樹脂が20質量部以上含まれる、前記1~3のいずれかに記載のホットメルト接着剤。
5.(C)ワックスが、(C1)融点が60~120℃であるワックスを含む、前記1~4のいずれかに記載のホットメルト接着剤。
6.(C1)ワックスがフィッシャートロプシュワックスを含む、前記5に記載のホットメルト接着剤。
7.成分(A)、成分(B)、成分(C)の総量100質量部に対し、(C1)融点が60~120℃であるワックスが1~10質量部含まれる、前記5または6に記載のホットメルト接着剤。
8.前記1~7のいずれかに記載のホットメルト接着剤を有する使い捨て製品。
本発明によれば、使い捨て製品の部材に対する塗工性、接着性に優れ、貯蔵安定性に優れ、なおかつ、天然樹脂の使用率が高く、臭気が低いホットメルト接着剤が提供される。本発明のホットメルト接着剤は、使い捨て製品を製造する用途に好適である。本発明のホットメルト接着剤を使用することで、環境に与える負荷が小さい使い捨て製品を製造することができる。
本発明のホットメルト接着剤は、(A)熱可塑性ブロック共重合体、(B)粘着付与樹脂及び(C)ワックスを含有する。
<(A)熱可塑性ブロック共重合体>
本発明のホットメルト接着剤において、(A)熱可塑性ブロック共重合体とは、ビニル系芳香族炭化水素と共役ジエン化合物とがブロック共重合した共重合体である。(A)熱可塑性ブロック共重合体は、通常、ビニル系芳香族炭化水素ブロックと共役ジエン化合物ブロックを有して成る共重合体を含む樹脂組成物である。
本発明のホットメルト接着剤において、(A)熱可塑性ブロック共重合体とは、ビニル系芳香族炭化水素と共役ジエン化合物とがブロック共重合した共重合体である。(A)熱可塑性ブロック共重合体は、通常、ビニル系芳香族炭化水素ブロックと共役ジエン化合物ブロックを有して成る共重合体を含む樹脂組成物である。
ここで、「ビニル系芳香族炭化水素」とは、ビニル基を有する芳香族炭化水素化合物を意味し、具体的には、例えば、スチレン、o-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、1,3-ジメチルスチレン、α-メチルスチレン、ビニルナフタレン、及びビニルアントラセン等を例示できる。これらの中でも好ましいものはスチレンである。これらのビニル系芳香族炭化水素は、単独で又は組み合わせて使用できる。
「共役ジエン化合物」とは、少なくとも一対の共役二重結合を有するジオレフィン化合物を意味する。「共役ジエン化合物」として、具体的には、例えば、1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン(又はイソプレン)、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエンを例示することができる。これらの中でも好ましいものは、1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエンである。これらの共役ジエン化合物は、単独で又は組み合わせて使用することができる。
本発明に係る(A)熱可塑性ブロック共重合体は、未水素添加物であっても、水素添加物であってもよい。
「(A)熱可塑性ブロック共重合体の未水素添加物」とは、具体的には、共役ジエン化合物に基づくブロックが水素添加されていないものが例示される。また、「(A)熱可塑性ブロック共重合体の水素添加物」とは、具体的には、共役ジエン化合物に基づくブロックの全部、若しくは一部が水素添加されたブロック共重合体が例示される。
「(A)熱可塑性ブロック共重合体の水素添加物」の水素添加された割合を、「水素添加率」で示すことができる。「(A)熱可塑性ブロック共重合体の水素添加物」の「水素添加率」とは、共役ジエン化合物に基づくブロックに含まれる全脂肪族二重結合を基準とし、その中で、水素添加されて飽和炭化水素結合に転換された二重結合の割合をいう。この「水素添加率」は、赤外分光光度計及び核磁器共鳴装置等によって測定することができる。
「(A)熱可塑性ブロック共重合体の未水素添加物」として、具体的には、例えばスチレン-イソプレンブロック共重合体(「SIS」ともいう)、スチレン-ブタジエンブロック共重合体(「SBS」ともいう)が例示される。「(A)熱可塑性ブロック共重合体の水素添加物」として、具体的には、例えば水素添加されたスチレン-イソプレンブロック共重合体(「SEPS」ともいう)及び水素添加されたスチレン-ブタジエンブロック共重合体(「SEBS」ともいう)が例示される。
本発明の目的を達成する限り、(A)熱可塑性ブロック共重合体の構造は、リニア型であっても、ラジアル型であっても良い。
尚、本明細書では、「リニア型」とは、線状構造を意味する。リニア型スチレンブロック共重合体とは、スチレンのブロックと共役ジエンのブロックとが結合した線状共重合体である。
ラジアル型スチレンブロック共重合体とは、カップリング剤を中心にして、リニア型スチレンブロック共重合体が複数放射状に突出した構造を有する分岐状スチレンブロック共重合体である。
ラジアル型スチレンブロック共重合体の具体的な構造を以下に示す。
[化1]
(S-E)nY (1)
(S-E)nY (1)
式中、nは2以上の整数、Sはスチレンブロック、Eは共役ジエン化合物ブロック、Yはカップリング剤である。nは好ましくは3又は4であり、特にnが3であることが望ましい。共役ジエン化合物としては、ブタジエン又はイソプレンが好ましい。
スチレンブロック共重合体は樹脂組成物であり、式(2)で表されるスチレン共役ジエンブロック共重合体を一定の割合で含有する。
[化2]
S-E (2)
S-E (2)
式中、S及びEは上記と同意義である。式(2)のスチレン共役ジエンブロック共重合体は「ジブロック」と呼ばれることがある。
カップリング剤はリニア型スチレンブロック共重合体を放射状に結合させる多官能性化合物である。カップリング剤の種類は特に限定されない。
カップリング剤の一例としては、ハロゲン化シラン、アルコキシシランなどのシラン化合物、ハロゲン化すずなどのすず化合物、ポリカルボン酸エステル、エポキシ化大豆油などのエポキシ化合物、ペンタエリスリトールテトラアクリレートなどのアクリルエステル、エポキシシラン、ジビニルベンゼンなどのジビニル化合物などが挙げられる。具体例としては、トリクロロシラン、トリブロモシラン、テトラクロロシラン、テトラブロモシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラクロロすず、ジエチルアジペートなどが挙げられる。
成分(A)としては、市販品を用いることができる。市販品の一例としては、
日本ゼオン社製のクインタック3390(商品名)、クインタック3270(商品名)、クインタック3620(商品名);
LCY GRITコーポレーション製のLCY5562(商品名)、LCY3545(商品名);
TSRCコーポレーション製のTaipol4270、VECTOR 4213NS(商品名);
Jinhai Chemicalコーポレーション製のJH8291(商品名)、JH8151(商品名)、JH8161(商品名);
旭化成(株)社製のアサプレンT432(商品名)、アサプレンT436(商品名);
クレイトン社製のクレイトンD1161(商品名);
等が挙げられる。
日本ゼオン社製のクインタック3390(商品名)、クインタック3270(商品名)、クインタック3620(商品名);
LCY GRITコーポレーション製のLCY5562(商品名)、LCY3545(商品名);
TSRCコーポレーション製のTaipol4270、VECTOR 4213NS(商品名);
Jinhai Chemicalコーポレーション製のJH8291(商品名)、JH8151(商品名)、JH8161(商品名);
旭化成(株)社製のアサプレンT432(商品名)、アサプレンT436(商品名);
クレイトン社製のクレイトンD1161(商品名);
等が挙げられる。
<(B)粘着付与樹脂>
粘着付与樹脂とは、熱可塑性ブロック共重合体に粘着性を付与し得る樹脂一般をいう。粘着付与樹脂としては、例えば、ロジン系、テルペン系、石油樹脂系、クロマン樹脂系の樹脂を使用することができる。本発明のホットメルト接着剤において、(B)粘着付与樹脂は天然樹脂を含み、該天然樹脂は、酸価が20mgKOH/g以下である。本明細書において、天然樹脂とは、天然樹脂から成る粘着付与樹脂をいう。また、本明細書において、酸価が20以下である天然樹脂を、「(B1)天然樹脂」ということがある。
粘着付与樹脂とは、熱可塑性ブロック共重合体に粘着性を付与し得る樹脂一般をいう。粘着付与樹脂としては、例えば、ロジン系、テルペン系、石油樹脂系、クロマン樹脂系の樹脂を使用することができる。本発明のホットメルト接着剤において、(B)粘着付与樹脂は天然樹脂を含み、該天然樹脂は、酸価が20mgKOH/g以下である。本明細書において、天然樹脂とは、天然樹脂から成る粘着付与樹脂をいう。また、本明細書において、酸価が20以下である天然樹脂を、「(B1)天然樹脂」ということがある。
(B1)天然樹脂は、ホットメルト接着剤の凝集力を維持し、適度なタックを付与してホットメルト接着剤の接着性を向上させ、臭気を低くすることができる。
粘着付与樹脂の酸価を20以下に低減することで揮発性成分量が減少する。その結果、本発明のホットメルト接着剤は、(B1)天然樹脂を含むことで揮発性成分が減少して、臭気発生を抑制することが可能となる。(B1)天然樹脂の酸価は、好ましくは15mgKOH/g以下、より好ましくは10mgKOH/g以下である。
(B1)天然樹脂は、(B)粘着付与樹脂100質量部中に、(B1)天然樹脂が20質量部以上、好ましくは30~100質量部、より好ましくは50~100質量部、最も好ましくは100質量部を占める量で含まれる。
本明細書において、「天然樹脂」とは、動植物の生理的、病理的作用により分泌されるか、またはそれらの組織から抽出された樹脂状物質、抽出された樹脂状物質の変性物とする。(B1)天然樹脂は、主に、ロジン系とテルペン系に大別される。
ロジン系としては、ロジン、ロジン誘導体(水素化ロジン、ロジンエステル、不均化ロジン、重合ロジン、マレイン化ロジン、マレイン酸変性ロジン樹脂、ロジン変性フェノール樹脂)が挙げられる。
テルペン系としては、テルペン樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水素化テルペン樹脂が挙げられる。
(B1)天然樹脂は、バイオマス度が50%以上であることが好ましく、65%以上であることがさらに好ましく、80%以上であることが最も望ましい。
成分(B1)のバイオマス度が上記範囲であることで、本発明のホットメルト接着剤は、バイオマス度が高くなり、環境に好ましいものとなる。
本明細書において、「バイオマス度」は、生物由来物質にしか含まれていない炭素C14の含量を測定して算出される値であり、加速器質量分析装置(AMS)で測定される。C14は、石油や石炭のような化石資源には含まれていない。対象物質(成分(B1))のC14含量を算出することで、成分(B1)のバイオマス度を算出でき、成分(B1)のバイオマス度からホットメルト接着剤全体のバイオマス度を算出できる。
(B1)天然樹脂として、市販品を利用することができる。市販品としては、クレイトン社製のSYLVALITE 9100(商品名)、SYLVALITE 9000(商品名)、SYLVALITE RE100L(商品名)、SYLVALITE 2115(商品名)、
GuangdongKOMOコーポレーション製のKE100L(商品名)、
荒川化学工業社製のパインクリスタルKE100(商品名)、パインクリスタルKE311(商品名)等のロジンエステル;
クレイトン社製のSYLVARES TRM1115(商品名)、SYLVARES 6100(商品名)等のテルペン樹脂;
が挙げられる。
GuangdongKOMOコーポレーション製のKE100L(商品名)、
荒川化学工業社製のパインクリスタルKE100(商品名)、パインクリスタルKE311(商品名)等のロジンエステル;
クレイトン社製のSYLVARES TRM1115(商品名)、SYLVARES 6100(商品名)等のテルペン樹脂;
が挙げられる。
本発明において、(B1)天然樹脂は、ロジンエステルを含むことが好ましい。本発明のホットメルト接着剤は、ロジンエステルを含むことで、塗工適正や接着性がより向上し、臭気を低減することができるので、使い捨て製品用として好ましい。
本発明において、(B)粘着付与樹脂は、(B2)石油樹脂を含んでも差し支えない。(B)粘着付与樹脂が(B2)石油樹脂を含むことで、ホットメルト接着剤の貯蔵安定性が向上する。
本明細書において、「石油樹脂」とは、不飽和石油留分を重合して製造される合成樹脂、ナフサ分解で副生する不飽和性の高いC5留分などがおもな原料に用い、この原料をフリーデルクラフツ触媒によって重合して得られる樹脂をいう。
(B2)石油樹脂としては、脂肪族系、芳香族系、共重合系、水添系等に大別される。脂肪族系石油樹脂は、ナフサ分解油のC5留分を原料とする樹脂である。芳香族系石油樹脂は、ナフサ分解油のC9留分を原料とする樹脂である。共重合系石油樹脂は、脂肪族系石油樹脂と芳香族系石油樹脂両者の性質を併せ持つC5~C9留分共重合樹脂を原料とする。水添石油樹脂は、芳香族石油樹脂又はジシクロペンタジエン系重合樹脂を水素化して得られる。
(B2)石油樹脂の市販品としては、エネオス社製のT-Rez HA103(商品名)、T-Rez HB125(商品名)、T-Rez HC103(商品名)、Zibo Luhua Hongjin New Materialコーポレーション製のHD1120(商品名)、HD1100(商品名)、エクソンモービル社製のECR5600(商品名)、イーストマン社製のイーストタックH130(商品名)、Plastolyn290LV(商品名)、コロン社製のSUKOREZ SU420(商品名)、SUKOREZ SU400(商品名)、出光興産社製のアイマーブS100(商品名)、アイマーブP125(商品名)、荒川化学工業社製のアルコンM100(商品名)、アルコンP115(商品名)等が挙げられる。
本発明のホットメルト接着剤では、成分(A)~成分(C)の総量100質量部に対し、成分(B)が、好ましい形態では(B1)天然樹脂が、好ましくは20~95質量部、より好ましくは50~90質量部、更に好ましくは60~80質量部含まれる。成分(B)又は(B1)天然樹脂の配合量が上述の範囲であると、本願のホットメルト接着剤は、使い捨て製品の部材に対する接着性が向上する。
<(C)ワックス>
本明細書で(C)ワックスとは、常温で固体、加熱すると液体となる有機物であって、一般的に「ワックス」とされているものをいい、ワックス状の性質を有するものであれば、本発明に係るホットメルト接着剤を得ることができる限り、特に制限されるものではない。ワックスの重量平均分子量は、一般に10000未満である。
本明細書で(C)ワックスとは、常温で固体、加熱すると液体となる有機物であって、一般的に「ワックス」とされているものをいい、ワックス状の性質を有するものであれば、本発明に係るホットメルト接着剤を得ることができる限り、特に制限されるものではない。ワックスの重量平均分子量は、一般に10000未満である。
本発明のホットメルト接着剤は、(C)ワックスを含むことで、コールドフローが抑制されて貯蔵安定性が向上し、塗工後の動的粘度が上昇するために揮発性成分の拡散、揮発が抑制されて臭気が低減される。
(C)ワックスは、ホットメルト接着剤に一般的に用いられるワックスであって、本発明が目的とするホットメルト接着剤を得ることができるものであれば極性官能基等で変性されていてもよい。
具体的には、(C)ワックスとしては、フィッシャートロプシュワックス、ポリオレフィンワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス)等の合成ワックス系;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの石油ワックス;カスターワックスなどの天然ワックス;等を例示できる。
本発明において、(C)ワックスとしては、フィッシャートロプシュワックスを含むことが好ましい。フィッシャートロプシュワックスとは、フィッシャートロプシュ法によって合成され、一般的にフィッシャートロプシュワックスとされているもの(酸変性体を含む)をいう。フィッシャートロプシュワックスは、成分分子が比較的幅広い炭素数分布を持つワックスから成分分子が狭い炭素数分布を持つようにワックスを分取したものである。(C)ワックスが、フィッシャートロプッシュワックスを含む場合、ホットメルト接着剤の塗工後の固化速度および初期凝集力のバランスがより向上し得る。
(C)ワックスは、融点が60~120℃であるワックスを含むことが好ましい。本明細書においては、融点が60~120℃であるワックスを、「(C1)ワックス」ということがある。(C1)ワックスの融点は、好ましくは70~110℃であり、より好ましくは75~105℃である。(C1)ワックスは、ホットメルト接着剤の塗工適性を向上させつつ、臭気を低くすることができる。フィッシャートロプシュワックスの融点が60~120℃である場合、さらに、ホットメルト接着剤の塗工適性が向上し、臭気が低くなる。
(C1)ワックスは、(C)ワックス100質量部中に、(C1)ワックスが、好ましくは30~100質量部、より好ましくは50~100質量部、最も好ましくは100質量部を占める量で含まれる。
本発明において、(C)ワックスは、(C2)融点が120℃を超えるワックスを含んでも差し支えない。(C)ワックスが(C2)ワックスを含むことで、ホットメルト接着剤の貯蔵安定性が向上する。
代表的なフィッシャートロプシュワックスとして、サゾールH1(商品名)、サゾールH8(商品名)、サゾールH105(商品名)及びサゾールC80(商品名)を例示することができ、いずれもサゾールワックス社から市販されている。
また、パラフィンワックスの市販品として、日本精蝋社製のParaffin Wax-150(商品名)、Paraffin Wax-155(商品名)が挙げられる。(C)ワックスは、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
マイクロスタリンワックスの市販品としては、日本精蝋社製のHi-Mic2095(商品名)、Hi-Mic1080(商品名)、Hi-Mic1090(商品名)が挙げられる。
本発明のホットメルト接着剤では、成分(A)~成分(C)の総量100質量部に対し、成分(C)が、好ましい形態では(C1)ワックスが、好ましくは1~10質量部、より好ましくは3~8質量部、更に好ましくは4~6質量部含まれる。成分(C)又は(C1)ワックスの配合量が上述の範囲であると、本願のホットメルト接着剤は、貯蔵安定性が向上し、臭気が低減される。
<(D)可塑剤>
本発明のホットメルト接着剤は、好ましくは、成分(A)、成分(B)及び成分(C)以外に、(D)塑剤を含有するのが好ましい。可塑剤は、ホットメルト接着剤の溶融粘度低下、柔軟性の付与、被着体への濡れ向上を目的として配合され、ホットメルト接着剤の塗工性を改良する。(D)可塑剤として、例えばパラフィン系オイル、ナフテン系オイル及び芳香族系オイルを挙げることができる。(D)可塑剤は、成分(A)~成分(C)の総量100質量部に対し、好ましくは40質量部以下、より好ましくは30質量部以下になる量でホットメルト接着剤に含まれる。
本発明のホットメルト接着剤は、好ましくは、成分(A)、成分(B)及び成分(C)以外に、(D)塑剤を含有するのが好ましい。可塑剤は、ホットメルト接着剤の溶融粘度低下、柔軟性の付与、被着体への濡れ向上を目的として配合され、ホットメルト接着剤の塗工性を改良する。(D)可塑剤として、例えばパラフィン系オイル、ナフテン系オイル及び芳香族系オイルを挙げることができる。(D)可塑剤は、成分(A)~成分(C)の総量100質量部に対し、好ましくは40質量部以下、より好ましくは30質量部以下になる量でホットメルト接着剤に含まれる。
可塑剤の量が上記範囲であることによって、本発明のホットメルト接着剤は、接着力がより向上する。
可塑剤としては、市販品を用いることができる。例えば、Kukdong Oil&Chem社製のWhite Oil Broom350(商品名)、出光興産社製のダイアナフレシアS32(商品名)、ダイアナプロセスオイルPW-90(商品名)、DNオイルKP-68(商品名)、BPケミカルズ社製のEnerperM1930(商品名)、Crompton社製のKaydol(商品名)、エッソ社製のPrimol352(商品名)、出光興産社製のプロセスオイルNS100、ペトロチャイナカンパニー社製のKN4010(商品名)を例示することができる。これらの可塑剤は、単独で又は組み合わせて使用することができる。
本発明に係るホットメルト接着剤は、必要に応じて、更に各種添加剤を含んでもよい。そのような各種添加剤として、例えば、安定化剤及び微粒子充填剤を例示することができる。
安定化剤とは、ホットメルト接着剤の熱による分子量低下、ゲル化、着色、臭気の発生等を防止して、ホットメルト接着剤の安定性を向上するために配合されるものであり、本発明が目的とするホットメルト接着剤を得ることができるものであれば、特に制限されるものではない。「安定化剤」として、例えば酸化防止剤及び紫外線吸収剤を例示することができる。
紫外線吸収剤は、ホットメルト接着剤の耐光性を改善するために使用される。「酸化防止剤」は、ホットメルト接着剤の酸化劣化を防止するために使用される。酸化防止剤及び紫外線吸収剤は、一般的に使い捨て製品に使用されるものであって、後述する目的とする使い捨て製品を得ることができるものであれば使用することができ、特に制限されるものではない。
酸化防止剤として、例えばフェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、リン系酸化防止剤を例示できる。紫外線吸収剤として、例えばベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤を例示できる。更に、ラクトン系安定剤を添加することもできる。これらは単独又は組み合わせて使用することができる。
安定化剤として、市販品を使用することができる。例えば、住友化学工業(株)製のスミライザーGM(商品名)、スミライザーTPD(商品名)及びスミライザーTPS(商品名)、チバスペシャリティーケミカルズ社製のイルガノックス1010(商品名)、イルガノックスHP2225FF(商品名)、イルガフォス168(商品名)及びイルガノックス1520(商品名)、城北化学社製のJF77(商品名)を例示することができる。これら安定化剤は、単独で又は組み合わせて使用することができる。
本発明のホットメルト接着剤は、上記成分を所定の割合で配合し、必要に応じて更に種々の添加剤を配合し、加熱して溶融し混合することで製造される。具体的には、上記成分を攪拌機付きの溶融混合釜に投入し、加熱混合することによって製造される。
得られたホットメルト接着剤は、150℃における溶融粘度が、好ましくは7000mPa・s未満、より好ましくは5000mPa・s未満、更に好ましくは2000mPa・s未満である。「溶融粘度」とは、ホットメルト接着剤の溶融体の粘度をいう。溶融粘度は、JAI7-1991に記載されたB法に基づき、ブルックフィールドRVT型粘度計(スピンドルNo.27)を使用して測定される。
使い捨て製品は、ポリエチレンフィルム及び薄い不織布等の部材を使用して製造される。これら使い捨て製品の部材の耐熱温度を考慮し、これらが、収縮または破断しない塗工温度として、150℃における溶融粘度を測定する。ホットメルト接着剤は、溶融粘度が低い値であるほど塗工し易くなるので、溶融粘度は、塗工適性の指標として使用することができる。
ホットメルト接着剤の溶融粘度が5000mPa・s未満である場合、使い捨て製品の部材に対し、容易に均一に、スプレー塗工、間欠塗工することが可能である。ホットメルト接着剤の溶融粘度が5000mPa・s~7000mPa・sである場合、使い捨て製品の部材に対し、スプレー塗工、間欠塗工することが可能である。一方、ホットメルト接着剤の溶融粘度が7000mPa・sを超えた場合、使い捨て製品の部材に対し、間欠塗工することが困難になる。
ホットメルト接着剤は、軟化点が、好ましくは30℃より高く、より好ましくは70℃より高く、更に好ましくは80℃より高いものである。ホットメルト接着剤の軟化点は、リング&ボール法(日本接着剤工業会規格JAI-7-1999に規定された方法)に基づいて測定される。
ホットメルト接着剤は、軟化点が高い値であるほどコールドフロー現象が生じ難くなるので、軟化点は、貯蔵安定性の指標として使用することができる。
本発明に係るホットメルト接着剤は、紙加工、製本、使い捨て製品等、幅広く利用されるが、主に使い捨て製品に使用される。「使い捨て製品」とは、例えばいわゆる衛生材料であれば、特に限定されるものではない。衛生材料として、具体的には紙おむつ、生理用ナプキン、ペットシート、病院用ガウン、手術用白衣等を例示できる。
本発明の別の要旨において、上述のホットメルト接着剤が塗布されて得られる使い捨て製品を提供する。使い捨て製品は、織布、不織布、ゴム、樹脂、紙類からなる群から選ばれた少なくとも一つの部材と、ポリオレフィンフィルムとを本発明に係るホットメルト接着剤を用いて接着して構成される。ポリオレフィンフィルムとしては、耐久性やコスト等の理由から好ましくは、ポリエチレンフィルムである。
使い捨て製品の製造ラインでは、一般に使い捨て製品の各種部材(例えば、不織布等)やポリオレフィンフィルムの少なくとも一方にホットメルト接着剤を塗布し、フィルムと部材とを圧着して、使い捨て製品が製造される。塗布の際、ホットメルト接着剤は、種々の噴出機から噴出されて使用されてよい。
本発明において、塗布は、接触塗布、非接触塗布のいずれでも良い。
「接触塗布」とは、ホットメルト接着剤を塗布する際、噴出機を部材やフィルムに接触させる塗布方法のことである。具体的には、Vスリット塗工が挙げられる。
「非接触塗布」とは、ホットメルト接着剤を塗布する際、噴出機を部材やフィルムに接触させない塗布方法のことである。具体的な非接触塗布方法として、例えば、螺旋状に塗布できるスパイラル塗工、波状に塗布できるオメガ塗工やコントロールシーム塗工、面状に塗布できるスロットスプレー塗工やカーテンスプレー塗工、点状に塗工できるドット塗工などを例示できる。
以下、本発明を実施例及び比較例により具体的かつ詳細に説明するが、これらの実施例は本発明の一態様にすぎず、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。尚、実施例の記載において、特に記載がない限り、溶媒を考慮しない部分を、質量部及び質量%の基準とする。
1.ホットメルト接着剤の製造
本実施例で使用した成分を以下に示す。
(A)熱可塑性ブロック共重合体
(A1)スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(スチレン15質量%、メルトインデックス11、Chengngbningbo Jinhai Chenguang社製のJH SIS 8161(商品名))
(A2)スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(スチレン15質量%、メルトインデックス10、Chengngbningbo Jinhai Chenguang社製のJH SIS 8151(商品名))
(A3)スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(スチレン35質量%、15%トルエン粘度46mPas、旭化成ケミカルズ社製のアサプレンT438(商品名))
(A4)スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(スチレン40質量%、メルトインデックス4、旭化成ケミカルズ社製のタフプレン T125(商品名))
本実施例で使用した成分を以下に示す。
(A)熱可塑性ブロック共重合体
(A1)スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(スチレン15質量%、メルトインデックス11、Chengngbningbo Jinhai Chenguang社製のJH SIS 8161(商品名))
(A2)スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(スチレン15質量%、メルトインデックス10、Chengngbningbo Jinhai Chenguang社製のJH SIS 8151(商品名))
(A3)スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(スチレン35質量%、15%トルエン粘度46mPas、旭化成ケミカルズ社製のアサプレンT438(商品名))
(A4)スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(スチレン40質量%、メルトインデックス4、旭化成ケミカルズ社製のタフプレン T125(商品名))
(B)粘着付与樹脂
(B1)酸価が20mgKOH/g以下の天然樹脂
(B1-1)ロジンエステル(酸価10mgKOH/g、軟化点104℃、クレイトン社製のSYLVALITE 9100(商品名))
(B1-2)ロジンエステル(酸価8mgKOH/g、軟化点102℃、クレイトン社製のSYLVALITE 9000(商品名))
(B1-3)ロジンエステル(酸価15mgKOH/g、軟化点98℃、クレイトン社製のSYLVALITE RE100L(商品名)
(B1-4)ロジンエステル(酸価9mgKOH/g、軟化点114℃、クレイトン社製のSYLVALITE 2115(商品名))
(B1-5)テルペン樹脂(酸価0mgKOH/g、軟化点100℃、ヤスハラケミカル社製のクリアロン K100(商品名)
(B1)酸価が20mgKOH/g以下の天然樹脂
(B1-1)ロジンエステル(酸価10mgKOH/g、軟化点104℃、クレイトン社製のSYLVALITE 9100(商品名))
(B1-2)ロジンエステル(酸価8mgKOH/g、軟化点102℃、クレイトン社製のSYLVALITE 9000(商品名))
(B1-3)ロジンエステル(酸価15mgKOH/g、軟化点98℃、クレイトン社製のSYLVALITE RE100L(商品名)
(B1-4)ロジンエステル(酸価9mgKOH/g、軟化点114℃、クレイトン社製のSYLVALITE 2115(商品名))
(B1-5)テルペン樹脂(酸価0mgKOH/g、軟化点100℃、ヤスハラケミカル社製のクリアロン K100(商品名)
(B1’)酸価が20mgKOH/gより高い天然樹脂
(B1’-6)ロジンエステル(酸価22mgKOH/g、軟化点29℃、クレイトン社製のSYLVALITE RE25(商品名))
(B1’-7)ロジンエステル(酸価170mgKOH/g、軟化点78℃、Wuzhou Sun Shine Forestry & ChemicalsのRHR 101HK(商品名))
(B1’-6)ロジンエステル(酸価22mgKOH/g、軟化点29℃、クレイトン社製のSYLVALITE RE25(商品名))
(B1’-7)ロジンエステル(酸価170mgKOH/g、軟化点78℃、Wuzhou Sun Shine Forestry & ChemicalsのRHR 101HK(商品名))
(B2)石油樹脂
(B2-1)水素添加石油系樹脂(軟化点103℃、ENEOS社製のT-REZ HA103(商品名))
(B2-2)水素添加石油系樹脂(50℃粘度が3000mPas、イーストマンケミカル社製のリガライト R1010(商品名))
(B2-3)酸変性石油系樹脂(酸価2mgKOH/g 軟化点96℃、日本ゼオン社製のクイントンCX495(商品名)
(B2-1)水素添加石油系樹脂(軟化点103℃、ENEOS社製のT-REZ HA103(商品名))
(B2-2)水素添加石油系樹脂(50℃粘度が3000mPas、イーストマンケミカル社製のリガライト R1010(商品名))
(B2-3)酸変性石油系樹脂(酸価2mgKOH/g 軟化点96℃、日本ゼオン社製のクイントンCX495(商品名)
(C)ワックス
(C1)融点60~120℃のワックス
(C1-1)フィッシャートロプシュワックス(融点101℃、サゾール社製のサゾールワックス H1(商品名))
(C1-2)フィッシャートロプシュワックス(融点75℃、サゾール社製のサゾールワックス C80(商品名))
(C1)融点60~120℃のワックス
(C1-1)フィッシャートロプシュワックス(融点101℃、サゾール社製のサゾールワックス H1(商品名))
(C1-2)フィッシャートロプシュワックス(融点75℃、サゾール社製のサゾールワックス C80(商品名))
(C2)ポリエチレンワックスックス(融点126℃、三井化学社製のハイワックス 400P(商品名))
(D)可塑剤
(D1)パラフィンオイル(出光興産社製のダフニーオイル KP-68(商品名))
(D1)パラフィンオイル(出光興産社製のダフニーオイル KP-68(商品名))
(D2)ナフテンオイル(ペトロチャイナカンパニー社製のKN4010(商品名))
(E)安定化剤
(E1)ヒンダードフェノール系酸化防止剤(アデカ社のアデカスタブ AO-60)
(E1)ヒンダードフェノール系酸化防止剤(アデカ社のアデカスタブ AO-60)
上述の成分を表1,2に示される割合で配合し、攪拌・混合することでホットメルト接着剤を調製した。
具体的には、各成分を225ml容器に入れ、グラスコルヒーターで160℃に加熱し、撹拌機を用い、攪拌速度300~500rpmで20分間、各成分の配合物を攪拌した。表1,2に開示された実施例及び比較例のホットメルト接着剤の組成に関する数値は全て質量部(固形分)である。
2.ホットメルト接着剤の性能評価
上述のホットメルト接着剤について、塗工適正(150℃における溶融粘度)、貯蔵安定性(軟化点)、接着性能(剥離強度)、及び臭気を評価した。評価用のサンプル作製方法、評価試験方法及び評価基準を、以下に記載する。
上述のホットメルト接着剤について、塗工適正(150℃における溶融粘度)、貯蔵安定性(軟化点)、接着性能(剥離強度)、及び臭気を評価した。評価用のサンプル作製方法、評価試験方法及び評価基準を、以下に記載する。
<塗工適性(150℃における溶融粘度)>
JAI7-1991に記載されたB法に基づき、各々のホットメルト接着剤の150℃の粘度を測定した。測定は、ブルックフィールド粘度計を使用し、27番のローターを用いた。使い捨て製品の部材を収縮又は破断させることなく、スプレー塗工可能な性能を確認するために、ホットメルト接着剤の塗工適性を以下の基準で評価した。
JAI7-1991に記載されたB法に基づき、各々のホットメルト接着剤の150℃の粘度を測定した。測定は、ブルックフィールド粘度計を使用し、27番のローターを用いた。使い捨て製品の部材を収縮又は破断させることなく、スプレー塗工可能な性能を確認するために、ホットメルト接着剤の塗工適性を以下の基準で評価した。
A(優)・・・150℃溶融粘度が2000mPa・s未満
B(良)・・・150℃溶融粘度が2000mPa・s以上、5000mPa・s未満
B(可)・・・150℃溶融粘度が5000mPa・s以上、7000mPa・s未満
D(不可)・・・150℃における溶融粘度が7000mPa・sより高い
B(良)・・・150℃溶融粘度が2000mPa・s以上、5000mPa・s未満
B(可)・・・150℃溶融粘度が5000mPa・s以上、7000mPa・s未満
D(不可)・・・150℃における溶融粘度が7000mPa・sより高い
<貯蔵安定性(軟化点)>
ホットメルト接着剤の軟化点は、リング&ボール法(日本接着剤工業会規格JAI-7-1999に規定された方法)で測定した。測定された軟化点に基づき、ホットメルト接着剤の貯蔵安定性を以下の基準で評価した。ホットメルト接着剤は、軟化点が高くなるにつれ、コールドフローが発生し難くなり、貯蔵安定性が向上する。
ホットメルト接着剤の軟化点は、リング&ボール法(日本接着剤工業会規格JAI-7-1999に規定された方法)で測定した。測定された軟化点に基づき、ホットメルト接着剤の貯蔵安定性を以下の基準で評価した。ホットメルト接着剤は、軟化点が高くなるにつれ、コールドフローが発生し難くなり、貯蔵安定性が向上する。
A(優)・・・軟化点が80℃より高い
B(良)・・・軟化点が70℃より高く、80℃以下
C(可)・・・軟化点が30℃より高く、70℃以下
D(不可)・・・軟化点が30℃以下
B(良)・・・軟化点が70℃より高く、80℃以下
C(可)・・・軟化点が30℃より高く、70℃以下
D(不可)・・・軟化点が30℃以下
<接着性(剥離強度)>
厚さ50μmのPETフィルムに、各ホットメルト接着剤を塗工し、厚さ50μmの接着層を形成し、これを25mm幅に成形して試験体とした。
厚さ50μmのPETフィルムに、各ホットメルト接着剤を塗工し、厚さ50μmの接着層を形成し、これを25mm幅に成形して試験体とした。
一方、JIS染色堅ろう度試験用(JIS L 0803準拠)の綿(カナキン3号)を織り目方向に30×60mmに切り出し、貼り合わせ用の基材とした。
試験体と貼り合わせ用基材を23℃の環境で30分以上養生した後、2kgローラーで300mm/minの速度で貼りあわせた。貼り合わせ後、23℃環境で24時間養生して、万能型引っ張り試験機を用い、300mm/minの速度で180°剥離試験を行った。ホットメルト接着剤(実施例および比較例)の各々について、少なくとも3個の試料を測定して、平均値を求めて、剥離強度の値とした。剥離強度は、以下の基準で評価した
A(優)・・・剥離強度が1000g/25mmを超える
B(良)・・・剥離強度が500g/25mmより高く、1000g/25mm以下
C(可)・・・剥離強度が100g/25mmより高く、~500g/25mm以下
D(不可)・・・剥離強度が100g/25mm以下
B(良)・・・剥離強度が500g/25mmより高く、1000g/25mm以下
C(可)・・・剥離強度が100g/25mmより高く、~500g/25mm以下
D(不可)・・・剥離強度が100g/25mm以下
<臭気>
(官能臭気強度)
実施例および比較例のホットメルト組成物50gを評価サンプルとし、各サンプル50gを225mlガラス容器に入れてアルミ箔で蓋をした後、23℃の恒温室で1時間静置した。その後、アルミ箔を外し、速やかに臭気を確認した。評価基準は以下のとおりである。
(官能臭気強度)
実施例および比較例のホットメルト組成物50gを評価サンプルとし、各サンプル50gを225mlガラス容器に入れてアルミ箔で蓋をした後、23℃の恒温室で1時間静置した。その後、アルミ箔を外し、速やかに臭気を確認した。評価基準は以下のとおりである。
A(優)・・・臭気をほとんど感知しない
B(良)・・・わずかな臭気を感知する
C(可)・・・明らかな臭気を感知するが、不快ではない
D(不可)・・・強く不快な臭気を感知する
B(良)・・・わずかな臭気を感知する
C(可)・・・明らかな臭気を感知するが、不快ではない
D(不可)・・・強く不快な臭気を感知する
(計測臭気強度)
実施例および比較例のホットメルト組成物50gを評価サンプルとし、各サンプル50gを225mlガラス容器に入れてアルミ箔で蓋をした後、23℃の恒温室で1時間静置した。その後、アルミ箔を外し、ポータブル型匂いセンサ XP-329IIIRにて臭気強度を測定した。モニターモードで1分間測定を行い、ピークレベルを臭気強度とした。
実施例および比較例のホットメルト組成物50gを評価サンプルとし、各サンプル50gを225mlガラス容器に入れてアルミ箔で蓋をした後、23℃の恒温室で1時間静置した。その後、アルミ箔を外し、ポータブル型匂いセンサ XP-329IIIRにて臭気強度を測定した。モニターモードで1分間測定を行い、ピークレベルを臭気強度とした。
A(優)・・・臭気強度が25レベル未満
B(良)・・・臭気強度が25レベル以上、30レベル未満
C(可)・・・臭気強度が30レベル以上、35レベル未満
D(不可)・・・臭気強度が35レベル以上
B(良)・・・臭気強度が25レベル以上、30レベル未満
C(可)・・・臭気強度が30レベル以上、35レベル未満
D(不可)・・・臭気強度が35レベル以上
表4、5に示されるように、実施例1~13のホットメルト接着剤は、塗工適正、貯蔵安定性、箔接着性に優れ、臭気の発生を抑制することができる。特に、実施例1~3のホットメルト接着剤は、全ての評価がAの評価を示している。
表6に示されるように、比較例のホットメルト接着剤は、臭気の発生を抑制できない。比較例1のホットメルト接着剤に至っては、塗工適正以外の評価が全てDの評価になっている。
本発明に係るホットメルト接着剤は、ロジンエステル等の天然樹脂を多量に含むので、環境保護の面で好ましく、臭気発生を抑制できるので、使い捨て製品に好適である。
Claims (6)
- (A)ビニル系芳香族炭化水素と共役ジエン化合物との共重合体である熱可塑性ブロック共重合体、(B)粘着付与樹脂及び(C)ワックスを含み、
(B)粘着付与樹脂が、(B1)酸価が20mgKOH/g以下である天然樹脂を含む、ホットメルト接着剤。 - (B1)天然樹脂の軟化点が90℃以上である、請求項1に記載のホットメルト接着剤。
- (B1)天然樹脂がロジンエステルを含む、請求項1又は2に記載のホットメルト接着剤。
- 成分(A)、成分(B)、成分(C)の総量100質量部に対し、(B1)酸価が20mgKOH/g以下である天然樹脂が20質量部以上含まれる、請求項1~3のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤。
- (C)ワックスが、(C1)融点が60~120℃であるワックスを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤。
- 請求項1~5のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤を有する使い捨て製品。
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