JP2023077469A - キックプレート構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】グレーチングへのボルトの干渉を回避すると共に、キックプレートの接合の作業を効率よく行うことができるキックプレート構造を提供する。【解決手段】一実施形態に係るキックプレート構造100は、内部プラットフォーム50の周方向D2に沿って延在し、互いに接合される第1のキックプレート56及び第2のキックプレート57と、第2のキックプレート57に固定されており、第1のキックプレート56に跨がった状態で第1のキックプレート56に接合される添接プレート58と、を備える。添接プレート58及び第1のキックプレート56は、内部プラットフォーム50の径方向D3に沿って並んでいる。添接プレート58は、皿ボルト61が挿通される挿通孔を有する。第1のキックプレート56は、皿ボルト61が挿通されると共に周方向D2に延びる長孔を有する。【選択図】図5
Description
本開示は、トランジションピースのプラットフォームに設けられるキックプレート構造に関する。
特開平8-259148号公報には、プラットフォームに設けられたキックプレートの構造が記載されている。プラットフォームは、かご室の床を構成している。かご室は、かご室の側面を構成するサイドパネルと、リターンパネルとを有する。リターンパネルには、かご室に出入りするためのドアが開閉自在に設けられる。
サイドパネルの下端とプラットフォームの左右両端との間には一対のキックプレートが設けられている。キックプレートの下端はプラットフォームと接合し、キックプレートの上端はサイドパネルと接合している。キックプレートの下端から高さ方向の中間までは鉛直方向に延びており、キックプレートの高さ方向の中間から上端まではかご室の外側に向けて広がるように傾斜している。
トランジションピースのプラットフォームは、周状に延びる複数のキックプレートと、キックプレートの内側に配置されるグレーチングとを備える。複数のキックプレートは、ボルト及びナットによって互いに接合される。複数のキックプレートを接合するボルトがプラットフォームの内側に突出していると、ボルトの頭部がグレーチングと干渉する懸念がある。従って、ボルトがグレーチングに干渉しないことが求められる。
また、複数のキックプレートの少なくともいずれかは上記のボルトが通されるボルト孔を有し、当該ボルト孔にボルトが挿通されることによって接合される。しかしながら、キックプレートには、微小な製作誤差が存在する場合があるため、ボルト孔が円形である場合にはボルトを通すのが困難になる可能性がある。従って、キックプレートの接合の作業を効率よく行えなくなる懸念がある。
本開示は、グレーチングへのボルトの干渉を回避すると共に、キックプレートの接合の作業を効率よく行うことができるキックプレート構造を提供することを目的とする。
本開示に係るキックプレート構造は、トランジションピースのプラットフォームに設けられるキックプレート構造である。キックプレート構造は、プラットフォームの周方向に沿って延在し、互いに接合される第1のキックプレート及び第2のキックプレートと、第2のキックプレートに固定されており、第1のキックプレートに跨がった状態で第1のキックプレートに接合される添接プレートと、を備える。添接プレート及び第1のキックプレートは、プラットフォームの径方向に沿って並んでいる。添接プレートは、皿ボルトが挿通される挿通孔を有する。第1のキックプレートは、皿ボルトが挿通されると共に周方向に延びる長孔を有する。
このキックプレート構造は第1のキックプレートと第2のキックプレートを備え、第1のキックプレート及び第2のキックプレートが並ぶことによってプラットフォームが形成される。キックプレート構造は、第2のキックプレートに固定された添接プレートを備え、添接プレートは第1のキックプレートに跨がるように配置される。添接プレートは、第1のキックプレートとプラットフォームの径方向に沿って並ぶように配置され、皿ボルトが挿通する挿通孔を有する。従って、添接プレートには皿ボルトが挿通されるので、ボルトの頭部が内側に突出することを回避できる。よって、プラットフォームの内側にグレーチングを配置しても皿ボルトはグレーチングに干渉しないので、グレーチングへのボルトの干渉を回避することができる。また、第1のキックプレートは、皿ボルトが挿通されると共に周方向に延びる長孔を有する。従って、第1のキックプレート、第2のキックプレート及び添接プレートの少なくともいずれかに製作誤差があった場合でも当該長孔に皿ボルトを容易に通すことができる。その結果、キックプレートの接合の作業を効率よく行うことができる。
キックプレート構造は、トランジションピースの外側に設けられるグレーチングを更に備えてもよい。第1のキックプレート及び第2のキックプレートは、グレーチングとトランジションピースとの間に形成された隙間においてグレーチングから上方に延在していてもよい。この場合、トランジションピースの外側にグレーチングが設けられ、トランジションピースとグレーチングとの間の隙間において第1のキックプレート及び第2のキックプレートがグレーチングから上方に延在している。仮に、第1のキックプレート及び第2のキックプレートが設けられない場合、グレーチングとトランジションピースとの間の隙間から物が落下する等の問題を生じさせる懸念がある。これに対し、当該隙間においてグレーチングから第1のキックプレート及び第2のキックプレートが上方に延びる場合、当該隙間から物が落下する等の問題を回避することができる。
第1のキックプレート及び第2のキックプレートの少なくともいずれかは、グレーチングが載せられるグレーチング支持部を有してもよい。この場合、第1のキックプレート及び第2のキックプレートの少なくともいずれかがグレーチング支持部を備えることにより、グレーチングを支持するための構造を簡略化することができる。従って、グレーチングを配置する作業を効率的に行うことができるので、更なる作業性の向上に寄与する。
キックプレート構造は、プラットフォームを構成する複数の梁を備えてもよく、第1のキックプレート及び第2のキックプレートの少なくともいずれかが梁に固定されていてもよい。この場合、プラットフォームの梁が第1のキックプレート及び第2のキックプレートの少なくともいずれかに固定されていることにより、プラットフォームの構造を簡易にすることができる。従って、更なる作業性の向上に寄与する。
本開示によれば、グレーチングへのボルトの干渉を回避できると共に、キックプレートの接合の作業を効率よく行うことができる。
以下では、図面を参照しながら本開示に係るキックプレート構造の実施形態について説明する。なお、本発明は、以下の例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示され、特許請求の範囲と均等の範囲における全ての変更が含まれることが意図される。図面の説明において同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解の容易化のため、一部を誇張又は簡略化して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
図1(a)は、本実施形態に係るキックプレート構造が適用される一例としての風力発電機1を示す側面図である。図1(b)は、風力発電機1のトランジションピース3を示す斜視図である。風力発電機1は、例えば、海底Bに設けられており、洋上風力発電を行う。但し、風力発電機1は、海洋に限られず、例えば、湖又は河川等、海洋とは異なる水中に設けられていてもよい。
風力発電機1は、基礎2と、基礎2に設置されるトランジションピース3と、トランジションピース3に固定されるタワー4と、タワー4の上部に取り付けられたナセル5と、ナセル5に取り付けられたブレード6と、を備える。タワー4は、例えば、コンクリート製又は鋼製である。ナセル5の内部には発電機及び増速器等が収容されており、例えば、増速器からはローター軸がナセル5の外部に突出している。
ブレード6は、ナセル5のローター軸に固定されている。風力発電機1は、例えば、3枚のブレード6を備える。ブレード6が風を受けて回転すると、当該回転はナセル5の内部の増幅器によって一定の回転数に上げられる。一定の回転数に上げられた当該回転はナセル5の内部の発電機によって電力に変換される。例えば、ナセル5は、風向風速計を備えており、風速及び風向に対応してローターの向きとブレード6の角度を制御することにより、効率的な発電を行う。
風力発電機1は、例えば、モノパイルの基礎形式を備えており、モノパイルである基礎2の上方にトランジションピース3が設けられる。風力発電機1は、水中Wに打設されたモノパイルである基礎2と、基礎2から上方に延びると共にタワー4の下端に接続されたトランジションピース3とを備える。なお、基礎2は、モノパイルの基礎形式に代えて、トリパイルの洋上風力基礎、又はジャケット式の洋上風力基礎を備えていてもよく、基礎2の形式は特に限定されない。
例えば、水平面で切断したときの基礎2の断面形状は円形状とされている。一例として、基礎2は筒状を呈する。基礎2の直径は、例えば、4m以上(一例として6m)である。基礎2は、例えば、水中Wに打ち込まれる円筒状の下部2cと、下部2cの上端から上方に向かうに従って徐々に縮径する上部2dとを有する。上部2dにはトランジションピース3が設置される。
トランジションピース3は、風力発電機1の鉛直度を確保するために設けられる。トランジションピース3は、鉛直方向D1に沿って延びる筒状部分3bと、筒状部分3bの上端に位置する外部プラットフォーム10とを有する。筒状部分3bは、例えば、外部プラットフォーム10が載せられる上部3dと、上部3dの下端から下方に向かうに従って徐々に拡径する下部3fとを有する。外部プラットフォーム10は、筒状部分3bの上端から水平方向に突出するように筒状部分3bに設置されている。
トランジションピース3の下部3fは基礎2の上部2dが通される部位である。例えば、下部3fと基礎2の上部2dの間にグラウトが充填されることによって基礎2にトランジションピース3が接合(グラウト接合)する。なお、基礎にトランジションピースを接合する手段は、上記のグラウト接合に限られない。基礎にトランジションピースを接合する手段は、例えば、ボルト接合であってもよく特に限定されない。また、基礎に予め(例えば海底Bに打ち込まれる前に)トランジションピースが接合されていてもよい。
例えば、トランジションピース3は、筒状部分3bに作業者が乗り降りするための梯子3hと、作業者が休むためのレストプラットフォーム3jとを備える。梯子3hは、例えば、筒状部分3bの下部3fから筒状部分3bの上端まで延在している。トランジションピース3は、例えば、複数のレストプラットフォーム3jを有し、複数のレストプラットフォーム3jのそれぞれが梯子3hの複数の途中部分のそれぞれに設けられる。
トランジションピース3は、例えば、電線配管3kと、グラウト配管3mとを有する。電線配管3kは、ICCP(Impressed Current Cathodic Protection:陰極防食)用の電線を収容する。トランジションピース3は、例えば、筒状部分3bから突出するように配置された電極3rを有する。
電極3rは、水中Wに配置される陽極(ICCPシステムの外部陽極)である。電極3rに電流が流れることにより、トランジションピース3の各部の電位差によって生じる電食を抑制する。グラウト配管3mは、基礎2にトランジションピース3を固定するグラウトが通る配管である。
トランジションピース3は筒状部分3bに着船設備3gを有する。着船設備3gには、トランジションピース3に上ってトランジションピース3で作業をする作業者が乗る船が到着する。着船設備3gは、例えば、鉛直方向D1に沿って延びる2本のポール3pと、ポール3pを筒状部分3bに接合する複数の接合部材3qとを備える。
2本のポール3pの間には、作業者を乗せた船の船首が入り込む。例えば、2本のポール3pの間隔は、当該船から作業者がアクセスできる程度の広さとされている。2本のポール3pの間には梯子3hが設けられる。よって、船から下りた作業者が梯子3hを使ってトランジションピース3の外部プラットフォーム10に上ることが可能である。
例えば、ポール3pの上方にはレストプラットフォーム3jが設けられる。例えば、着船設備3gの複数の接合部材3qは、ポール3pに沿って並ぶように配置されている。接合部材3qは、例えば、筒状部分3bから突出する柱状とされており、各ポール3pと筒状部分3bとを互いに接続する。ポール3p及び複数の接合部材3qは、例えば、一体化されている。
図2は、トランジションピース3の内部構造を示す分解斜視図である。図2に示されるように、トランジションピース3は、水平方向に延在する部位を有するプラットフォーム3cを備える。プラットフォーム3cは、前述した外部プラットフォーム10と、複数のケーブルがまとめられるケーブルターミネーションプラットフォーム20と、鉛直上方への空気の流入を遮断するエアタイトプラットフォーム30と、基礎2が接合される接合部40Aの上側に位置する下部プラットフォーム40とを備える。
トランジションピース3は、外部プラットフォーム10において上方に突出する管状の突出部3yを有する。突出部3yの上端にはトランジションピース3のフランジ部3zが設けられる。本実施形態において、プラットフォーム3cは、外部プラットフォーム10及び突出部3yよりも下方且つケーブルターミネーションプラットフォーム20の上方に位置する内部プラットフォーム50を含む。
例えば、内部プラットフォーム50には梯子3xが設けられている。梯子3xを用いることにより、内部プラットフォーム50からケーブルターミネーションプラットフォーム20、エアタイトプラットフォーム30及び下部プラットフォーム40に降りることが可能である。
ケーブルターミネーションプラットフォーム20は、内部プラットフォーム50の下方且つエアタイトプラットフォーム30の上方に設けられる。ケーブルターミネーションプラットフォーム20は、水中Wからのケーブルがタワー4のケーブルに接続されるプラットフォームである。
エアタイトプラットフォーム30は、ケーブルターミネーションプラットフォーム20の下方且つ下部プラットフォーム40の上方に設けられる。エアタイトプラットフォーム30は、トランジションピース3の上部と下部との空気流通を遮断するプラットフォームである。エアタイトプラットフォーム30は、海水からの空気を遮断する機能を有する。
エアタイトプラットフォーム30は、例えば、炭素鋼で構成されており、錆が生じないように塗装されている。エアタイトプラットフォーム30が海水からの空気を遮断することにより、エアタイトプラットフォーム30より上方におけるトランジションピース3の内部空間を腐食しにくい(錆等が生じにくい)環境とすることが可能である。
下部プラットフォーム40は、例えば、基礎2にトランジションピース3を設置する作業が行われるプラットフォームである。一例として、下部プラットフォーム40では、基礎2の上部2dとトランジションピース3の下部3fとの間(接合部40A)にグラウトが充填され、当該グラウトが硬化することによって基礎2にトランジションピース3をグラウト接合する作業が行われる。例えば、トランジションピース3の下部プラットフォーム40より下方の部位が基礎2に接合される接合部40Aに相当する。
図3は、内部プラットフォーム50を示す斜視図である。図4は、内部プラットフォーム50の梁51の構造を示す斜視図である。図3及び図4に示されるように、内部プラットフォーム50は、キックプレート構造100を備える。キックプレート構造100は、複数の梁51と、内部プラットフォーム50の外郭を構成する複数のキックプレート55と、梁51に載せられる複数のグレーチング59とを備える。
複数の梁51は、環状を成す複数のキックプレート55の内側に配置される。複数の梁51は、鉛直方向D1に交差する第1方向A1に延びる複数の第1の梁51Aと、鉛直方向D1及び第1方向A1の双方に交差する第2方向A2に延びる複数の第2の梁51Bとを含む。第1方向A1及び第2方向A2は、例えば、複数のキックプレート55によって画成される仮想面Sの面内方向である。第1方向A1及び第2方向A2は、例えば、互いに直交している。
例えば、第1の梁51Aの一端及び他端は、キックプレート55に溶接固定されている。内部プラットフォーム50は、例えば、第2方向A2に沿って並ぶ一対の第1の梁51Aを有する。また、内部プラットフォーム50は、一対の第1の梁51Aの間に位置する第1領域R1と、第1領域R1から見て内部プラットフォーム50の第2方向A2の一方側に位置する第2領域R2と、第1領域R1から見て内部プラットフォーム50の第2方向A2の他方側に位置する第3領域R3とを有する。
すなわち、内部プラットフォーム50は、第1領域R1、第2領域R2及び第3領域R3という3分割された領域を有する。第1領域R1、第2領域R2及び第3領域R3のそれぞれに第2の梁51Bが配置されている。第1領域R1では、例えば、複数(一例として6本)の第2の梁51Bが一対の第1の梁51Aを互いに接続している。第1領域R1において、各第2の梁51Bは、第1の梁51Aに固定されている。
複数の梁51は、例えば、第2領域R2及び第3領域R3のそれぞれにおいて第1方向A1に延在する第3の梁51Cを含む。例えば、第2領域R2には、複数(一例として2本)の第2の梁51Bと第3の梁51Cとが設けられる。第3の梁51Cは、2本の第2の梁51Bの間において第1方向A1に延在している。
例えば、第2領域R2及び第3領域R3は、内部プラットフォーム50の中心Oを通ると共に第1方向A1に延在する基準線Lに対して互いに対称となるように配置されている。すなわち、第3領域R3には、第2領域R2と同様、複数の第2の梁51Bと第3の梁51Cとが設けられる。
複数のキックプレート55は、内部プラットフォーム50の周方向D2に延びるように配置される。複数のキックプレート55は、第1のキックプレート56と、第2のキックプレート57とを含む。例えば、キックプレート構造100は複数の第1のキックプレート56と複数の第2のキックプレート57とを備え、第1のキックプレート56及び第2のキックプレート57は周方向D2に沿って交互に配置されている。
第1のキックプレート56は、例えば、第2領域R2及び第3領域R3のそれぞれに設けられる。第1のキックプレート56は、グレーチング59が載せられるグレーチング支持部56bを有する。グレーチング支持部56bは、内部プラットフォーム50の内側(例えば円形状の内部プラットフォーム50の径方向内側)に突出している。
例えば、第1のキックプレート56は、複数(一例として3つ)のグレーチング支持部56bを有し、複数のグレーチング支持部56bは周方向D2に沿って並んでいる。第1のキックプレート56には梁51が溶接によって固定されている。例えば、第1のキックプレート56には、第1の梁51A及び第2の梁51Bのそれぞれが溶接によって固定されている。
周方向D2に沿って並ぶ一対のグレーチング支持部56bの間には、梁51が溶接によって固定される梁固定部56cが設けられる。梁固定部56cには、例えば、第2の梁51Bが固定されている。第1方向A1の両端側に位置するグレーチング支持部56bの梁固定部56cとは反対側には、第1の梁51Aが固定される梁固定部56dが第1のキックプレート56に設けられる。
第2のキックプレート57は、グレーチング59が載せられるグレーチング支持部57bを有する。グレーチング支持部57bは、グレーチング支持部56bと同様、内部プラットフォーム50の内側に突出している。例えば、第2のキックプレート57は、複数のグレーチング支持部57bを有し、複数のグレーチング支持部57bは周方向D2に沿って並んでいる。例えば、第2のキックプレート57には梁51が固定されていない。
複数のグレーチング59のそれぞれは、複数の梁51によって画成された複数の領域Tに載せられる。複数のグレーチング59は、矩形状を呈する第1のグレーチング59Aと、非矩形状を呈する第2のグレーチング59Bとを含んでいる。第1のグレーチング59Aは、第2のグレーチング59Bから見て内部プラットフォーム50の径方向の中央側に配置される。
第2のグレーチング59Bは、第1のグレーチング59Aから見て内部プラットフォーム50の径方向の外側に配置される。第2のグレーチング59Bは、キックプレート55に沿って延在する湾曲面59bを有し、湾曲面59bが径方向の外側(キックプレート55側)を向くように梁51の上に載せられる。
図5は、梁51及びキックプレート55を拡大した斜視図である。図5に示されるように、第1の梁51Aは第2方向A2に突出する突出部51dを有し、第2の梁51Bは第2方向A2に沿って並ぶ一対の突出部51dの間において第2方向A2に延在している。
突出部51dの第2方向A2の端部、及び第2の梁51Bの第2方向A2の端部のそれぞれにはフランジ部51gが形成されている。例えば、梁51は上方に突出する部位を有しておらず、フランジ部51gは梁51の上方以外の方向に広がっている。本実施形態において、フランジ部51gは、第1方向A1(又は水平方向)の両側のみに突出している。しかしながら、フランジ部51gは、下方に突出していてもよい。
突出部51dのフランジ部51g、及び第2の梁51Bのフランジ部51gのそれぞれには第2方向A2に延びる貫通孔が形成されており、当該貫通孔にボルト51hが挿通されている。例えば、ボルト51hとフランジ部51gとの間にはワッシャ51jが介在しており、ボルト51hは2個のナット51kによってフランジ部51gに締め付けられている。
例えば、梁51(一例として第2の梁51B)は、梁51の上端において第1方向A1に突出する突出部51mを有する。梁51は、例えば、第1方向A1に沿って並ぶ一対の突出部51mを有し、一対の突出部51mは梁51から互いに反対方向に突出している。この突出部51mにグレーチング59が載せられることにより、梁51の上にグレーチング59を安定して載置することができる。
例えば、第2のキックプレート57の周方向D2の両端のそれぞれには添接プレート58が固定されている。添接プレート58は、例えば、溶接によって第2のキックプレート57に固定されている。添接プレート58は、例えば、隅丸長方形状(一例として隅丸正方形状)を呈する。
添接プレート58の一部は第2のキックプレート57から突出しており、第2のキックプレート57から突出した添接プレート58の部分が第1のキックプレート56に接合される。添接プレート58は、皿ボルト61とナット62によって第1のキックプレート56に接合される。
図6(a)は、内部プラットフォーム50の内側から添接プレート58を拡大した斜視図である。図6(b)は、図6(a)から添接プレート58を外した状態を示す斜視図である。図7は、添接プレート58、第1のキックプレート56、皿ボルト61及びナット62を示す断面図である。
図5、図6(a)、図6(b)及び図7に示されるように、添接プレート58及び第1のキックプレート56は、内部プラットフォーム50の径方向D3に沿って並ぶように配置される。添接プレート58は、皿ボルト61が挿通される挿通孔58bを有する。添接プレート58は、例えば、添接プレート58の第2のキックプレート57とは反対側を向く辺58fに沿って並ぶ複数(一例として2個)の挿通孔58bを有する。
皿ボルト61は頭部61bとネジ部61cとを有し、頭部61bはネジ部61cに接近するに従って皿ボルト61が縮径するように傾斜するテーパ面61dを有する。例えば、頭部61bには皿ボルト61を回転させる六角レンチが挿し込まれる六角穴61fが形成されている。
挿通孔58bは、内部プラットフォーム50の内側を向く添接プレート58の主面58cから離れるに従って縮径するように傾斜する傾斜面58dによって画成されている。傾斜面58dは皿ボルト61のテーパ面61dに倣った形状とされている。挿通孔58bに皿ボルト61が挿通されたときに傾斜面58dにテーパ面61dが接触すると共に主面58cから皿ボルト61が突出しない。すなわち、挿通孔58bに皿ボルト61が通されたときに、皿ボルト61の頭部61bは、添接プレート58の主面58cと面一になるか、又は挿通孔58bに入り込む。
第1のキックプレート56は、皿ボルト61が通される長孔56fを有する。例えば、長孔56fは、第1のキックプレート56の長手方向(一例として周方向D2)に延びる長軸を有する長円状を呈する。長孔56fの短軸の長さは、皿ボルト61のネジ部61cの外径よりも長い。
第1のキックプレート56が周方向D2に延びる長孔56fを有することにより、第1のキックプレート56又は第2のキックプレート57の周方向D2への製作誤差があった場合でも皿ボルト61を長孔56fに効率よく挿入できる。第1のキックプレート56は、例えば、第1のキックプレート56の幅方向(一例として鉛直方向D1)に沿って並ぶ複数(一例として2個)の長孔56fを有する。
添接プレート58及び第1のキックプレート56は、この順で内部プラットフォーム50の内側から外側に向かって並んでおり、添接プレート58の挿通孔58bと第1のキックプレート56の長孔56fに皿ボルト61が挿通される。挿通された皿ボルト61は、皿ボルト61の添接プレート58とは反対側に突出し、例えば、皿ボルト61の第1のキックプレート56から突出した部分に2個のナット62が締結される。これにより、添接プレート58を介して第2のキックプレート57に第1のキックプレート56が接合される。
ところで、図2及び図8に示されるように、トランジションピース3は、外部プラットフォーム10に配置されるグレーチング69を備える。グレーチング69はトランジションピース3の突出部3yの外側に配置されており、突出部3yとグレーチング69との間には隙間Eが形成される。
物の落下防止等の観点から隙間Eの幅は一定値(一例として20mm)以下にすることが求められうる。しかしながら、隙間Eの幅を一定値以下にすることは困難である場合がある。従って、本実施形態では、図9(a)及び図9(b)に示されるように、外部プラットフォーム10がキックプレート構造110を備える。キックプレート構造110では、隙間Eにおいてキックプレート55がグレーチング69から上方に延在している。
例えば、第1のキックプレート56及び第2のキックプレート57がグレーチング69から上方に延在しており、第1のキックプレート56及び第2のキックプレート57は添接プレート58を介して互いに接合されている。例えば、添接プレート58及び第1のキックプレート56は、この順でトランジションピース3の外側から内側に向かって並んでいる。前述と同様、添接プレート58の挿通孔58bと第1のキックプレート56の長孔56fに皿ボルト61が挿通される。
次に、本実施形態に係るキックプレート構造100から得られる作用効果について説明する。図5、図6(a)、図6(b)及び図7に示されるように、キックプレート構造100は第1のキックプレート56と第2のキックプレート57を備え、第1のキックプレート56及び第2のキックプレート57が並ぶことによって内部プラットフォーム50が形成される。キックプレート構造100は、第2のキックプレート57に固定された添接プレート58を備え、添接プレート58は第1のキックプレート56に跨がるように配置される。添接プレート58は、第1のキックプレート56と内部プラットフォーム50の径方向D3に沿って並ぶように配置され、皿ボルト61が挿通する挿通孔58bを有する。従って、添接プレート58には皿ボルト61が挿通されるので、ボルトの頭部が内側に突出することを回避できる。
よって、内部プラットフォーム50の内側にグレーチング59を配置しても皿ボルト61はグレーチング59に干渉しないので、グレーチング59へのボルトの干渉を回避することができる。また、第1のキックプレート56は、皿ボルト61が挿通されると共に周方向D2に延びる長孔56fを有する。従って、第1のキックプレート56に製作誤差があった場合でも長孔56fに皿ボルト61を容易に通すことができる。その結果、キックプレート55の接合の作業を効率よく行うことができる。
図9(a)及び図9(b)に示されるように、本実施形態に係るキックプレート構造110は、トランジションピース3の外側に設けられるグレーチング69を更に備え、第1のキックプレート56及び第2のキックプレート57は、グレーチング69とトランジションピース3との間に形成された隙間Eにおいてグレーチング69から上方に延在していてもよい。この場合、トランジションピース3の外側にグレーチング69が設けられ、トランジションピース3とグレーチング69との間の隙間Eにおいて第1のキックプレート56及び第2のキックプレート57がグレーチング69から上方に延在している。仮に、第1のキックプレート56及び第2のキックプレート57が設けられない場合、グレーチング69とトランジションピース3との間の隙間Eから物が落下する等の問題を生じさせる懸念がある。これに対し、隙間Eにおいてグレーチング69から第1のキックプレート56及び第2のキックプレート57が上方に延びる場合、隙間Eから物が落下する等の問題を回避することができる。
本実施形態において、図5に示されるように、第1のキックプレート56及び第2のキックプレート57は、グレーチング59が載せられるグレーチング支持部56b,57bを有する。よって、第1のキックプレート56及び第2のキックプレート57がグレーチング支持部56b、57bを備えることにより、グレーチング59を支持するための構造を簡略化することができる。従って、グレーチング59を配置する作業を効率的に行うことができるので、更なる作業性の向上に寄与する。
本実施形態において、キックプレート構造100は、内部プラットフォーム50を構成する複数の梁51を備え、第1のキックプレート56が梁51に固定されている。従って、内部プラットフォーム50の梁51が第1のキックプレート56に固定されていることにより、内部プラットフォーム50の構造を簡易にすることができる。従って、更なる作業性の向上に寄与する。
以上、本開示に係るキックプレート構造の実施形態について説明した。しかしながら、本開示に係るキックプレート構造は、前述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した要旨の範囲内において適宜変更されたものであってもよい。すなわち、キックプレート構造の各部の形状、大きさ、数、材料及び配置態様は、前述の実施形態に限られず適宜変更可能である。
例えば、前述の実施形態では、図9(a)及び図9(b)に示されるように、隙間Eにおいて第1のキックプレート56及び第2のキックプレート57がグレーチング69から上方に延在する例について説明した。しかしながら、第1のキックプレート56及び第2のキックプレート57に代えて1枚のキックプレート55がグレーチング69から上方に延在していてもよい。
すなわち、本開示に係るキックプレート構造は、
トランジションピースのプラットフォームに設けられるキックプレート構造であって、
前記プラットフォームの周方向に沿って延在するキックプレートと、
前記トランジションピースの外側に設けられるグレーチングとを備え、
前記キックプレートは、前記グレーチングと前記トランジションピースとの間に形成された隙間において前記グレーチングから上方に延在している、
ものであってもよい。この場合、前述した実施形態と同様、隙間Eから物が落下する等の問題を回避することができる。
トランジションピースのプラットフォームに設けられるキックプレート構造であって、
前記プラットフォームの周方向に沿って延在するキックプレートと、
前記トランジションピースの外側に設けられるグレーチングとを備え、
前記キックプレートは、前記グレーチングと前記トランジションピースとの間に形成された隙間において前記グレーチングから上方に延在している、
ものであってもよい。この場合、前述した実施形態と同様、隙間Eから物が落下する等の問題を回避することができる。
前述の実施形態では、第1のキックプレート56がグレーチング支持部56bを有し、第2のキックプレート57がグレーチング支持部57bを有する例について説明した。しかしながら、第1のキックプレート56及び第2のキックプレート57のいずれかのみがグレーチング支持部を有していてもよく、グレーチング支持部を省略することも可能である。
前述の実施形態では、第1のキックプレート56が梁51に固定されている例について説明した。しかしながら、第1のキックプレート56及び第2のキックプレート57の双方、又は第2のキックプレート57のみ、が梁51に固定されていてもよい。更に、第1のキックプレート56及び第2のキックプレート57の双方が別部材を介して梁51に固定されていてもよい。このように、キックプレート55と梁51との固定の態様については特に限定されない。
前述の実施形態では、内部プラットフォーム50に設けられるキックプレート構造100、及び外部プラットフォーム10に設けられるキックプレート構造110について説明した。しかしながら、本開示に係るキックプレート構造は、トランジションピース3における他のプラットフォーム3c(例えば、ケーブルターミネーションプラットフォーム20、エアタイトプラットフォーム30又は下部プラットフォーム40)に設けられるものであってもよい。
前述の実施形態では、着船設備3g、梯子3h、電線配管3k及びグラウト配管3mを有するトランジションピース3について説明した。しかしながら、トランジションピースの構成要素については、トランジションピース3の前述した例に限られず適宜変更可能である。トランジションピース3のプラットフォーム3cの構造についても適宜変更可能である。
前述の実施形態では、基礎2、トランジションピース3、タワー4、ナセル5及びブレード6を備える風力発電機1のトランジションピース3について説明した。しかしながら、基礎、トランジションピース、タワー、ナセル及びブレードの構成は、前述した実施形態に限られず適宜変更可能である。
前述の実施形態では、風力発電機1のトランジションピース3である例について説明した。しかしながら、本開示に係るキックプレート構造は、風力発電機1のトランジションピース3以外の構造物にも適用可能である。本開示に係るキックプレート構造は、例えば、石油プラットフォーム等の他の洋上構造物、又は洋上構造物以外のトランジションピースにも適用可能である。
1…風力発電機、2…基礎、3…トランジションピース、3b…筒状部分、3c…プラットフォーム、3g…着船設備、3h…梯子、3j…レストプラットフォーム、3k…電線配管、3m…グラウト配管、3p…ポール、3q…接合部材、3r…電極、3x…梯子、3y…突出部、3z…フランジ部、4…タワー、5…ナセル、6…ブレード、10…外部プラットフォーム(プラットフォーム)、20…ケーブルターミネーションプラットフォーム、30…エアタイトプラットフォーム、40…下部プラットフォーム、40A…接合部、50…内部プラットフォーム(プラットフォーム)、51…梁、51A…第1の梁、51B…第2の梁、51C…第3の梁、51d…突出部、51g…フランジ部、51h…ボルト、51j…ワッシャ、51k…ナット、51m…突出部、55…キックプレート、56…第1のキックプレート、56b,57b…グレーチング支持部、56c,56d…梁固定部、56f…長孔、57…第2のキックプレート、58…添接プレート、58b…挿通孔、58c…主面、58d…傾斜面、58f…辺、59…グレーチング、59A…第1のグレーチング、59B…第2のグレーチング、59b…湾曲面、61…皿ボルト、61b…頭部、61c…ネジ部、61d…テーパ面、61f…六角穴、62…ナット、69…グレーチング、100,110…キックプレート構造、A1…第1方向、A2…第2方向、B…海底、D1…鉛直方向、D2…周方向、D3…径方向、E…隙間、L…基準線、O…中心、R1…第1領域、R2…第2領域、R3…第3領域、S…仮想面、T…領域、W…水中。
Claims (4)
- トランジションピースのプラットフォームに設けられるキックプレート構造であって、
前記プラットフォームの周方向に沿って延在し、互いに接合される第1のキックプレート及び第2のキックプレートと、
前記第2のキックプレートに固定されており、前記第1のキックプレートに跨がった状態で前記第1のキックプレートに接合される添接プレートと、
を備え、
前記添接プレート及び前記第1のキックプレートは、前記プラットフォームの径方向に沿って並んでおり、
前記添接プレートは、皿ボルトが挿通される挿通孔を有し、
前記第1のキックプレートは、前記皿ボルトが挿通されると共に前記周方向に延びる長孔を有する、
キックプレート構造。 - 前記トランジションピースの外側に設けられるグレーチングを更に備え、
前記第1のキックプレート及び前記第2のキックプレートは、前記グレーチングと前記トランジションピースとの間に形成された隙間において前記グレーチングから上方に延在している、
請求項1に記載のキックプレート構造。 - 前記第1のキックプレート及び前記第2のキックプレートの少なくともいずれかは、グレーチングが載せられるグレーチング支持部を有する、
請求項1又は2に記載のキックプレート構造。 - 前記プラットフォームを構成する複数の梁を備え、
前記第1のキックプレート及び前記第2のキックプレートの少なくともいずれかが前記梁に固定されている、
請求項1~3のいずれか一項に記載のキックプレート構造。
Priority Applications (1)
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JP2021190732A JP2023077469A (ja) | 2021-11-25 | 2021-11-25 | キックプレート構造 |
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JP2021190732A Pending JP2023077469A (ja) | 2021-11-25 | 2021-11-25 | キックプレート構造 |
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JP (1) | JP2023077469A (ja) |
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2021
- 2021-11-25 JP JP2021190732A patent/JP2023077469A/ja active Pending
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