JP2023077245A - センサ、検出システム、及び、検出方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】位置に応じて感度が異なるセンサを提供する。【解決手段】センサ1は、液体の存在を検出するセンサであって、第1の電極11及び第2の電極12を備え、第1の電極及び第2の電極は、糸状あるいは帯状の構造であり、長手方向に交差する方向に並設され、第1の電極及び第2の電極の少なくとも一方は、長手方向の第1の位置において第1表面積を有する第1部分111を備えるとともに、第1の位置とは異なる長手方向の第2の位置において、第1表面積より大きい第2表面積を有する第2部分112を備える。【選択図】図1
Description
特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年8月24日開催 The 2021 International Symposium on Advanced Technologies and Applications in the Internet of Things(ATAIT 2021) WEB開催 URL http://www.atait.se.ritsumei.ac.jp/index.html にて発表
本開示は、センサ、検出システム、及び、検出方法に関する。
特許文献1は、電極における液体との非接触範囲の大きさに応じて変化する寄生抵抗の大きさを利用して、吸収部材において、電極における液体との非接触範囲の大きさを検出することを開示している。
本発明者らは、例えばおむつなどの、液体の存在を重点的に検出する位置と予備的に検出する位置とがあるものに対してセンサを用いる場合、位置に応じてセンサの感度を異ならせることが有効であることを見出した。本開示は、位置に応じて感度が異なるセンサ、そのセンサを利用した検出システム、及び、検出方法を提供することを目的の1つとする。
ある実施の形態に従うと、センサは、液体の存在を検出するセンサであって、第1の電極及び第2の電極を備え、第1の電極及び第2の電極は、糸状あるいは帯状の構造であり、長手方向に交差する方向に並設されているとともに、電極間に存在する液体の検出用であり、第1の電極及び第2の電極の少なくとも一方は、長手方向の第1の位置において第1表面積を有する第1部分を備えるとともに、第1の位置とは異なる長手方向の第2の位置において、第1表面積より大きい第2表面積を有する第2部分を備える。
ある実施の形態に従うと、検出システムは、被検出体における液体の存在を検出するシステムであって、被検出体に搭載された、第1の電極及び第2の電極を有するセンサと、センサに接続され、センサでのセンシング結果を無線通信によって出力する通信機と、センシング結果を受信する受信機と、を備え、第1の電極及び第2の電極は、糸状あるいは帯状の構造であり、長手方向に交差する方向に並設されているとともに、第1の電極及び第2の電極の少なくとも一方は、長手方向の第1の位置において第1表面積を有する第1部分を備えるとともに、第1の位置とは異なる長手方向の第2の位置において、第1表面積より大きい第2表面積を有する第2部分を有する。
ある実施の形態に従うと、検出方法は、液体の存在を検出する方法であって、糸状あるいは帯状の構造の第1の電極及び第2の電極を、長手方向に交差する方向に並設し、第1の電極及び第2の電極は、異種材料で構成され、電極間に存在する液体に接することで、電極間に液体が存在すると電極間に発電電力が生じ、第1の電極及び第2の電極の少なくとも一方は、長手方向の第1の位置において第1表面積を有する第1部分を備えるとともに、第1の位置とは異なる長手方向の第2の位置において、第1表面積より大きい第2表面積を有する第2部分を備え、発電電力量が閾値を超えたことを検出することで、液体が所定量存在することを検出する、ことを含み、閾値は、第1部分による発電電力量の最大値より大きく、第2部分における発電電力量の最大値より小さい値である。
更なる詳細は、後述の実施形態として説明される。
<1.センサ、検出システム、及び、検出方法の概要>
(1)実施の形態に係るセンサは、液体の存在を検出するセンサであって、第1の電極及び第2の電極を備え、第1の電極及び第2の電極は、糸状あるいは帯状の構造であり、長手方向に交差する方向に並設され、第1の電極及び第2の電極の少なくとも一方は、長手方向の第1の位置において第1表面積を有する第1部分を備えるとともに、第1の位置とは異なる長手方向の第2の位置において、第1表面積より大きい第2表面積を有する第2部分を備える。
第2部分の第2表面積を第1部分の第1表面積より大きくすることによって、第1部分より第2部分の方が液体に接する面積が大きくなる。そのため、電極間の第1部分と第2部分とに同じ量の液体が存在した場合に、第1部分の電極間より第2部分の電極間の方が、液体の存在検感度が向上する。つまり、センサの長手方向に、位置に応じて感度を異ならせることができる。
(2)好ましくは、第1の電極及び第2の電極は、異種材料で構成される電極間に液体が存在すると電極間に発電電力が生じ、第1部分によって生じる第1発電電力より、第2部分によって生じる第2発電電力が大きい。第2発電電力が第1発電電力より大きいことによって、発電電力を利用して液体の存在を検出するセンサの感度を、長手方向に異ならせることができる。
(3)好ましくは、センサは、液体の検出を示す検出信号を出力する出力部をさらに備え、出力部は、第1の電極及び第2の電極に接続されている。これにより、センサは、発電電力に応じた検出信号を出力することができる。
(4)好ましくは、第1の電極及び第2の電極は、排泄物を受ける吸収体を有する着用物品の、吸収体に接するよう設けられており、第1の位置は第2の位置より、着用物品を着用者が着用する際に前方に位置する。排泄物を受ける吸収体を有する着用物品は、例えば、おむつである。
第1の電極及び第2の電極が排泄物を受ける吸収体を有する着用物品の、吸収体に接するよう設けられることによって、センサは、排泄物に含まれる液体によって、着用物品への排泄の有無を検出することができる。第1の位置が第2の位置より、着用物品を着用者が着用する際に前方に位置するように第1の電極及び第2の電極を設けることによって、後方の感度を前方の感度より高くすることができる。排泄が着用物品の前方より行われ、着用者が仰臥位である場合に、吸収体に吸収された液体は後方に進行し、吸収体全体が液体を吸収した状態となる。後方の感度を前方の感度より高くすることで、吸収体全体が液体を吸収した状態、つまり、おむつである場合には交換のタイミングを検出することができる。
(5)好ましくは、第1の電極及び第2の電極の少なくとも一方は、生地に縫い付けられている。これにより、第1部分と第2部分とで、容易に表面積を異ならせることができる。
(6)好ましくは、第1部分と第2部分とは、生地に対する電極の縫構造が異なる。縫構造は、生地に対して電極が縫い付けられることによって電極が生地に対して形成する構造を指す。電極が糸状あるいは帯状の構造であることによって、縫構造を異ならせることで、第1部分と第2部分とで、容易に表面積を異ならせることができる。
(7)好ましくは、第2部分の縫構造は、第1部分の縫構造より、単位当たりの生地に対する電極の密度が高い。これにより、液体に接し得る第2表面積を第1表面積より大きくすることができる。
(8)好ましくは、第1の電極及び第2の電極は吸水体を介して接触されており、第1の電極及び第2の電極の少なくとも一方は、吸水体を生地として縫い付けられており、第2部分の縫構造は第1部分の縫構造より、縫い付けるピッチが短い。これにより、液体に接し得る第2表面積を第1表面積より大きくすることができる。
(9)好ましくは、第2部分の縫構造は第1部分の縫構造より、液体に接触する生地の表面に現れる電極の面積が大きい。これにより、生地の表面が吸収体に接している場合に、液体に接し得る第2表面積を第1表面積より大きくすることができる。
(10)好ましくは、第2部分の縫構造は、電極の縫製方向に対する重複を有する。これにより、液体に接し得る第2表面積を第1表面積より大きくすることができる。
(11)実施の形態に係る検出システムは、被検出体における液体の存在を検出するシステムであって、被検出体に搭載された、第1の電極及び第2の電極を有するセンサと、センサに接続され、センサでのセンシング結果を無線通信によって出力する通信機と、センシング結果を受信する受信機と、を備え、第1の電極及び第2の電極は、糸状あるいは帯状の構造を有し、長手方向に交差する方向に並設され第1の電極及び第2の電極の少なくとも一方は、長手方向の第1の位置において第1表面積を有する第1部分を備えるとともに、第1の位置とは異なる長手方向の第2の位置において、第1表面積より大きい第2表面積を有する第2部分を有する。
第2部分の第2表面積を第1部分の第1表面積より大きくすることによって、センサの長手方向に、位置に応じて感度を異ならせることができる。このセンサを被検出体に搭載することによって、被検出体が、例えばおむつなどの、液体の存在を重点的に検出する位置と予備的に検出する位置とがあるものである場合に、液体の存在を位置に応じて検出することができる。センサでのセンシング結果を無線通信によって出力する通信機と、センシング結果を受信する受信機とを有することによって、受信機で受信した信号でセンシング結果を得ることができる。そのため、遠隔でセンシング結果を得たり、被検出体に触れずにセンシング結果を得たり、することができる。
(12)実施の形態に係る検出方法は、液体の存在を検出する方法であって、糸状あるいは帯状の構造の第1の電極及び第2の電極を、長手方向に交差する方向に並設し、第1の電極及び第2の電極は、異種材料で構成され、電極間に液体が存在すると電極間に発電電力が生じ、第1の電極及び第2の電極の少なくとも一方は、長手方向の第1の位置において第1表面積を有する第1部分を備えるとともに、第1の位置とは異なる長手方向の第2の位置において、第1表面積より大きい第2表面積を有する第2部分を備え、発電電力量が閾値を超えたことを検出することで、液体が所定量存在することを検出する、ことを含み、閾値は、第1部分による発電電力量の最大値より大きく、第2部分による発電電力量の最大値より小さい値である。
第2部分の第2表面積を第1部分の第1表面積より大きいセンサを用いることによって、センサの長手方向に、異なる感度で液体の存在を検出することができる。このセンサを被検出体に搭載することによって、被検出体が、例えばおむつなどの、液体の存在を重点的に検出する位置と予備的に検出する位置とがあるものである場合に、閾値と第2部分の発電量とを比較することによって、第2部分における液体の存在を検出することができる。
<2.センサ、検出システム、及び、検出方法の例>
図1は、本実施の形態に係る検出システム100の概略図である。検出システム100は、被検出体における液体の存在を検出するシステムである。本実施の形態において、被検出体を吸収部材本体5とする。検出システム100は、吸収部材本体5に設置されたセンサ1によって、吸収部材本体5に存在する液体を検出する。図2は、吸収部材本体5の、図1のM-M断面図である。
本実施の形態において、吸収部材本体5は、おむつとしての基本構成を備える。すなわち、吸収部材本体5は、表面シート51、裏面シート52、及び、吸収体53を備える。吸収体53は、表面シート51と裏面シート52との間に配置されている。吸収部材本体5は、装着者に装着されたときに、装着者正面側に位置する前側54と、装着者背面側に位置する後側55と、を有する。装着者の排泄物は、表面シート51側から吸収体53へ与えられる。吸収部材本体5は、展開状態における平面視において、ほぼ矩形状である。
表面シート51は、ほぼ矩形状の液透過性シートである。表面シート51は、例えば、不織布又は織布によって形成されている。表面シート51は、装着者への装着時において、装着者の肌に接触する。表面シート51は、液体の透過性を向上させ、透過した液体が装着者側へ逆戻りし難いように構成されている。これにより、装着者から排泄された尿を吸収体53へ迅速に透過させることができる。したがって、表面シート51は、排尿があっても、吸収体53の吸水能力に余力がある限り、実質的に尿を保持せず、実質的に乾燥状態にある。この結果、装着者の肌に尿が接触するのが抑制される。
裏面シート52は、ほぼ矩形状の非液透過性シートである。裏面シート52は、防水フィルム等を有する防水材によって形成されている。裏面シート52は、吸収体53によって吸収された尿が、外部に漏れ出すのを防止する。
吸収体53は、パルプなどの吸収性繊維と、高吸収性ポリマーと、によって構成されている。高吸収性ポリマーによって、多くの液体を吸収体53に保持することができる。吸収体53は、前後に長い、ほぼ矩形状のマット体である。吸収体53は、長手方向が吸収部材本体5の前後方向と概ね一致し、吸収部材本体5の前側54と後側55とに跨って配置されている。したがって、吸収体53は、前側54で排泄された尿を吸収するとともに、前側54の吸収量を超えた尿を後側55で吸収することができる。
吸収体53と裏面シート52との間にセンサ1が配置されている。すなわち、センサ1は、吸収体53の裏面シート52側に配置されている。センサ1は、尿発電電池として機能する。センサ1は、一対の電極11,12を有する。電極11,12は、それぞれ、糸状あるいは帯状の構造を有している。センサ1は、一対の電極11,12が、長手方向に交差する幅方向に間隔を有して、吸収体53に接するように配置されている。一対の電極11,12は、前後に長い吸収体53に沿って、前後に伸びるように配置されている。すなわち、電極11,12は、長手方向が吸収体53の長手方向に概ね一致するよう配置されている。
電極11,12は、それぞれ、正極、負極として機能する。電極11,12は、電極間に存在する液体に接することで発電する。センサ1は、電極11,12の発電電力によって電極11,12間に液体が存在することを検出する。
電極11,12の少なくとも一方は、生地13に縫い付けられている。この例では、電極11,12のいずれもが導電性を有する糸状構造であって、生地13に縫い付けられている。正極として機能する電極11は、一例として、銀糸で構成されている。負極として機能する電極12は、一例として、アルミニウム糸で構成されている。生地13は、布地であって、例えば、綿素材の布地で形成されている。生地13は、吸収体53の裏面シート52側に接して配置されている。これにより、生地13に縫い付けられた糸で形成された電極11,12は、吸収体53の裏面シート52側に接する。
電極11,12の少なくとも一方として電極11は、吸収部材本体5の前側54に対応した位置(長手方向の第1の位置)において第1表面積S1を有する第1部分111を備えるとともに、吸収部材本体5の後側55に対応した位置(長手方向の第2の位置)において第2表面積S2を有する第2部分112を有する。第2表面積S2は第1表面積S1より大きい(S2>S1)。表面積は、吸収体53に接する面積を指し、生地13に縫い付けられた糸で形成された電極11,12の、生地13の少なくとも吸収体53側の表面に露出した部分の表面積を指す。
電極11の、第1部分111と第2部分112とは、生地13に対する糸の縫構造が異なる。縫構造は、生地13に対して糸が縫い付けられることによって糸が生地に対して形成する構造を指す。第1部分111と第2部分112との縫構造が異なることは、一例として、第1部分111と第2部分112とで電極11を形成する糸の縫い方が異なることである。具体的には、第2部分112の方が第1部分111より、単位当たりの生地13に対する密度が高い縫い方である。
単位当たりの生地13に対する密度が高い縫い方は、一例として、電極11を形成する糸の、生地13の吸収体53側の表面に現れる面積が大きい縫い方である。例えば、第1部分111は波縫いで生地13に縫い付けられ、第2部分112は返し縫いで生地13に縫い付けられている。返し縫いは、本返し縫い、又は、半返し縫いを指す。
他の例として、図1に示されたように、第2部分112は、第1部分111より縫製長さが長く縫い付けられている。図1の例では、第1部分111が1回、波縫いで縫い付けられているのに対して、第2部分112は、糸の縫製方向に対する重複を有する縫い方で縫い付けられている。
生地13は、布地で形成されており、吸収体53の一部として機能してもよい。この場合、生地13に縫い付けられた電極11,12は吸水体を間に挟んで配置されている。この場合の単位当たりの生地13に対する密度が高い縫い方は、一例として、電極11を形成する糸の、生地13に縫い付けるピッチが短い縫い方である。具体的には、第1部分111は長いピッチの波縫いで生地13に縫い付けられ、第2部分112は短いピッチの波縫いで生地13に縫い付けられている。
これにより、第2部分112の方が第1部分111より、電極11を形成する糸の、生地13の吸収体53側の表面への露出が多くなる。そのため、第2部分112の方が第1部分111より、電極11が吸収体53に多く接する。
なお、上記例では、電極11,12のいずれもが導電性を有する糸状構造の場合で説明したが、電極11,12のいずれか一方が、導電性を有する帯状構造であっても良い。
電極11,12は、吸収体53に接して配置されるため、液体を吸収した吸収体53が、電極11,12間の電流の発生経路となる。そのため、電極11,12には、吸収体53が吸収した液体に接することで、電流が発生する。電極11,12は吸収体53が吸収した液体によって発電するため、センサ1は、吸収体53への液体吸収の検出用に用いられる。
センサ1は、検出装置3に接続されている。検出装置3は、電極11,12の、前側54の端部に接続されている。これにより、吸収部材本体5を着用した着用者が仰臥位となったときに検出装置3が身体を圧迫することが防がれる。
図3は、検出装置3の構成を表した概略図である。図3を参照して、検出装置3は、キャパシタ31を備える。キャパシタ31は、センサ1に接続されて、電極11,12により発電された電力を蓄える。
検出装置3は、間欠電源変換回路32を備える。間欠電源変換回路32の電源端子には、キャパシタ31が接続されている。間欠電源変換回路32は、キャパシタ31を動作電源として動作する。間欠電源変換回路32は、キャパシタ31の充電電圧を監視する。
間欠電源変換回路32には、無線送信機33が接続されている。無線送信機33は、受信機7との間で無線通信を行う。無線通信は、例えば、Bluetooth(登録商標)や、Bluetooth Low Energy(登録商標)などである。
間欠電源変換回路32は、キャパシタ31の充電電圧が、無線送信機33の駆動条件として設定された設定電圧Vtに達したことを検出すると、間欠電源変換回路32は、キャパシタ31に充電された電力を無線送信機33に供給する。これにより、無線送信機33から無線信号SGが出力される。
間欠電源変換回路32が無線送信機33に供給することによってキャパシタ31の電力を消費すると、キャパシタ31の電位が低下し、間欠電源変換回路32は、動作を停止する。これにより、無線送信機33への電力の供給が停止する。電極11,12の発電が行われていれば、キャパシタ31には再び充電がなされる。
電極11,12の発電が行われていれば、キャパシタ31は充放電を繰り返す。これに伴って、無線送信機33からの無線信号SGの出力は間欠的となる。従って、無線送信機33から出力される無線信号SGは、電極11,12間に存在する液体の検出を示す検出信号となる。
無線送信機33からの無線信号SGの出力の間隔Hは、キャパシタ31への充電スピードに依存する。充電スピードは、発電量が多いほど早くなる。したがって、無線送信機33からの無線信号SGの出力の間隔Hは、電極11,12の発電量が多いほど、短くなり、発電量が少ないほど、長くなる。
電極11,12が液体に接しているほど、発電量は多くなる。すなわち、電極11,12は、長手方向を吸収体53の長手方向と概ね一致させ、吸収体53に接して配置されていることから、吸収体53に吸収された液体の量が多いほど、発電量は多くなる。従って、無線送信機33からの無線信号SGの出力の間隔Hは、吸収体53に吸収された液体の量を表している。
送信機95から送信された無線信号SGは、受信機7によって受信される。受信機7は管理装置9に接続されて、受信した無線信号SGを管理装置9に与える。管理装置9は、プロセッサ91及びメモリ92を有するコンピュータであって、一例として、スマートフォンなどの端末装置である。
プロセッサ91は、メモリ92に格納されたプログラムを実行することにより、吸収部材本体5の吸収体53の吸水度合に関する処理を行うことができる。吸収部材本体5の吸収体53の吸水度合に関する処理は、例えば、おむつ交換の要否判断の処理である。吸収部材本体5は、吸収体53の後側55まで液体が達すると、交換時期とする。おむつ交換が必要と判断された場合、管理装置9の出力装置93は、おむつ交換が必要であることを出力する。
発明者らは、銀糸で形成された電極11、及び、アルミニウム糸で形成された電極12を有するセンサ1を吸収部材本体5に配置し、吸収部材本体5に液体を注入しながらセンサ1の発電電流を測定して図4の発電電流特性を得た。計測では、吸収部材本体5の前側54から液体を注入し、時間経過に沿ってセンサ1の発電電流を測定した。時間経過は、図4において、前側54の端部からの長手方向の、吸収体53が液体を吸収した長さ、すなわち、電極が液体に接した長さ(濡れ長さ)によって表現されている。図4の横軸は濡れ長さ、縦軸は発電電流の大きさを表わしている。
図4の測定結果L11は、電極12は、綿素材の生地13に対してアルミニウム糸を波縫いにして形成され、電極11は、第1部分111においては波縫い、第2部分112においては本返し縫いを5回、縫製方向に重複させて形成されたセンサ1での発電電流の測定結果を表している。なお、図4の測定結果L21は、比較例としての測定結果であって、電極11が銀糸を縫製方向に重複させずに波縫いにして形成されたセンサでの、センサ1と同条件として発電電流を測定した結果を表している。用いたセンサ1の電極11,12の長手方向の長さは520mmであり、電極11の第1部分111は440mm、第2部分112は80mmであった。
値Aは、測定結果L11の、濡れ長さが約310mmにおける測定値を表している。吸収部材本体5の前側54の端部から約310mmの位置P1は、第1部分111に含まれる点である。従って、値Aは、吸収体53に、位置P1までは液体が吸収され、第2部分112には液体が吸収されていない状態での測定値である。
値Bは、測定結果L11の、濡れ長さが約450mmにおける測定値を表している。値Cは、測定結果L21の、濡れ長さが約440mmにおける測定値を表している。吸収部材本体5の前側54の端部から約440mmの位置P2、及び、約450mmの位置P3は、第2部分112に含まれる点である。従って、値B,Cは、いずれも、第2部分112まで液体が吸収された状態での測定値である。
図4を参照して、発電電流は、測定結果L11,L21ともに、電極の濡れ長さが長くなるほど増加する傾向を有することは確認された。濡れ長さが第1部分111である440mmより大きくなると、測定結果L11における測定値の増加速度は測定結果L21における測定値の増加速度よりも急激に大きくなり、値Bは値Cよりも150μA以上大きくなるという発電電流特性が得られた。
図4の発電電流特性より、電極11の、第2部分112における第2表面積S2を第1部分111における第1表面積S1よりも大きくすることによって、表面積を変化させない場合より、液体が第2部分112まで達したときの発電量を、第1部分111まで液体が吸収されたときの発電量より格段に大きくできることが検証された。すなわち、吸収体53の、第2部分112まで液体が達する前と後とのセンサ1の発電量を大きく異ならせることができることが検証された。
センサ1では、液体が第2部分112まで達したときの発電量が、第1部分111まで液体が吸収されたときの発電量より格段に大きくなることによって、第1部分111まで液体が吸収されたときと液体が第2部分112まで達したときとのキャパシタ31への充電速度の差を大きくすることができる。
なお、第2部分112への給水を検出する場合、電極11又は12を第2部分112のみ、つまり、後側55のみとすることも考えられる。しかしながら、電極11第1部分111まで有することにより、センサ1は長手方向全体で発電を行うようになって、発電量を増加させることができる。
発明者らは、図4の測定に用いたセンサ1及び比較例に係るセンサに検出装置3を接続し、キャパシタ31の充電電圧の時間変化を測定して図5の充電特性を得た。キャパシタ31の充電には、図4の値B,Cを得た点P2,P3まで吸収体53に液体が吸収した状態でのセンサ1及び比較例に係るセンサの発電電力を用いた。キャパシタ31には、負荷容量は4.4mFのアルミ電解コンデンサを用いた。図5の横軸は充電開始からの経過時間、縦軸は充電電圧を表している。
図5の測定結果L12はセンサ1を用いたときの充電電圧の測定結果を表し、測定結果L22は比較例に係るセンサを用いたときの充電電圧の測定結果を表している。測定結果L12,L22ともに充電開始から10秒程度の時刻T1において急激に充電電圧が上昇し、その後、緩やかに上昇している。
図5では、測定結果L12では時刻T1において充電電圧が0.6Vを上回るのに対し、測定結果L22では、時刻T1での充電電圧は0.5V程度までしか上昇しない。測定結果L22では、時刻T1の後の緩やかな上昇によって、充電電圧が0.6Vに達するのに充電開始から150秒かかっている。
この結果より、第2部分112の第2表面積S2を第1部分111の第1表面積S1より大きくすることで、しない場合よりもキャパシタ31を急速充電できることがわかった。つまり、吸収体53の、第2部分112まで液体が達する前と後とのキャパシタ31の充電速度を大きく異ならせることができることが検証された。
これらの検証を踏まえて、検出装置3の間欠電源変換回路32の設定電圧Vtは、時刻T1でセンサ1を用いたときのキャパシタ31の充電電圧より低く、比較例に係るセンサを用いたときの充電電圧より高い電圧とする。言い換えると、第1部分111における発電量の最大値より大きく、第2部分112における発電量の最大値より小さい値である。図4,図5の検証で用いたセンサ1の場合、一例として、設定電圧Vtは0.6V以上(Vt≦0.6V)とする。好ましくは、設定電圧Vtは0.6V(Vt=0.6V)とする。
これにより、吸収体53に液体が第1部分111に対応した位置まで吸収され、第2部分112に対応した位置まで達していない状態においては無線送信機33が起動されない。その結果、この状態では、無線信号SGが出力されない。液体が第2部分112まで達すると、無線送信機33が起動される。その結果、無線信号SGが出力される。そのため、受信機7で無線信号SGを受信することによって、すなわち、このように長手方向で表面積を異ならせることによって、センサ1の長手方向の液体の検出精度を異ならせることができる。管理装置9は、吸収体53に液体が十分に吸収されたこと、つまり、おむつ効果の要を判定することができる。
発明者らは、図4,図5の測定に用いたセンサ1を吸収部材本体5(おむつ)に搭載して検出システム100を構築し、検出システム100によって吸収部材本体5の交換時期を検知する実験を行った。用いた吸収部材本体5は、前側54から注水することで吸収体53の吸水は前側54から後側55に向かって進む。吸収体53は、合計で600ml程度の注水によって後側55まで吸水した状態となる。液体は、生理食塩水を用いた。
実験では、1回当たりの注入量とし、1回目の注入から600秒以上経過後に2回目を注いで、合計600mlの液体を吸収部材本体5に注入した。注入開始からの受信機7での無線信号SGの受信の有無を測定して、図6の測定結果を得た。図6の横軸は注入開始からの経過時間、縦軸は無線信号SGの受信の有無を表している。値「0」が受信なし、値「1」が受信ありを示している。
図6の結果より、1回目の注入の後、2回目の注入前の期間T2に、71秒後に無線信号SGが1回受信されている。2回目の注入の後の期間T3には、注入の22秒後に1回目が受信され、その後、4回受信されている。期間T3には、600秒間で無線信号SGが5回受信された。
この結果より、期間T2より期間T3の方がセンサ1の発電量が急激に増加していることがわかる。つまり、1回目の注入では第1部分111まで液体に接し、第2部分112は液体に接していないのに対し、2回目の注入で第2部分112まで液体に接したのが分かる。よって、検出システム100を用いることによって、管理装置9において、無線信号SGの受信間隔Hが閾値より小さく、無線信号SGを所定回数以上受信した場合に、おむつの取替え時期であると判定することが検証された。
なお、管理装置9において、無線信号SGの受信間隔Hの閾値は、第1部分111による最大発電電力量での受信間隔より短く、第2部分112による最大発電電力量での受信間隔より長い値に設定する。これにより、第1部分111による発電電力量の最大値よりも大きく、第2部分112による発電電力量の最大値よりも小さい値に、発電電力量の閾値を設定でき、この閾値を超えたことを、受信間隔の閾値より短くなったことで検出できる。つまり、本検出システム100は、第2部分112に液体が接したことを確実に検出でき、おむつの取り換え時期が確実に判定できる。
<3.付記>
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
1 :センサ
3 :検出装置
5 :吸収部材本体
7 :受信機
9 :管理装置
11 :電極
12 :電極
13 :生地
31 :キャパシタ
32 :間欠電源変換回路
33 :無線送信機
51 :表面シート
52 :裏面シート
53 :吸収体
54 :前側
55 :後側
91 :プロセッサ
92 :メモリ
93 :出力装置
95 :送信機
100 :検出システム
111 :第1部分
112 :第2部分
H :受信間隔
L11 :測定結果
L12 :測定結果
L21 :測定結果
L22 :測定結果
S1 :第1表面積
S2 :第2表面積
SG :無線信号
T2 :期間
T3 :期間
Vt :設定電圧
3 :検出装置
5 :吸収部材本体
7 :受信機
9 :管理装置
11 :電極
12 :電極
13 :生地
31 :キャパシタ
32 :間欠電源変換回路
33 :無線送信機
51 :表面シート
52 :裏面シート
53 :吸収体
54 :前側
55 :後側
91 :プロセッサ
92 :メモリ
93 :出力装置
95 :送信機
100 :検出システム
111 :第1部分
112 :第2部分
H :受信間隔
L11 :測定結果
L12 :測定結果
L21 :測定結果
L22 :測定結果
S1 :第1表面積
S2 :第2表面積
SG :無線信号
T2 :期間
T3 :期間
Vt :設定電圧
Claims (12)
- 液体の存在を検出するセンサであって、
第1の電極及び第2の電極を備え、
前記第1の電極及び前記第2の電極は、糸状あるいは帯状の構造であり、長手方向に交差する方向に並設され、
前記第1の電極及び前記第2の電極の少なくとも一方は、長手方向の第1の位置において第1表面積を有する第1部分を備えるとともに、前記第1の位置とは異なる長手方向の第2の位置において、前記第1表面積より大きい第2表面積を有する第2部分を備える
センサ。 - 前記第1の電極及び前記第2の電極は、異種材料で構成される前記電極間に前記液体が存在すると前記電極間に発電電力が生じ、
前記第1部分によって生じる第1発電電力より、前記第2部分によって生じる第2発電電力が大きい
請求項1に記載のセンサ。 - 前記液体の検出を示す検出信号を出力する出力部をさらに備え、
前記出力部は、前記第1の電極及び前記第2の電極に接続されている
請求項2に記載のセンサ。 - 前記第1の電極及び前記第2の電極は、排泄物を受ける吸収体を有する着用物品の、前記吸収体に接するよう設けられており、
前記第1の位置は前記第2の位置より、前記着用物品を着用者が着用する際に前方に位置する
請求項1~3のいずれか一項に記載のセンサ。 - 前記第1の電極及び前記第2の電極の少なくとも一方は、生地に縫い付けられている
請求項1~4のいずれか一項に記載のセンサ。 - 前記第1部分と前記第2部分とは、前記生地に対する前記電極の縫構造が異なる
請求項5に記載のセンサ。 - 前記第2部分の前記縫構造は、前記第1部分の前記縫構造より単位当たりの前記生地に対する電極の密度が高い
請求項6に記載のセンサ。 - 前記第1の電極及び前記第2の電極は吸水体を介して接触されており、
前記第1の電極及び前記第2の電極の少なくとも一方は、前記吸水体を前記生地として縫い付けられており、
前記第2部分の前記縫構造は前記第1部分の前記縫構造より、縫い付けるピッチが短い
請求項7に記載のセンサ。 - 前記第2部分の前記縫構造は前記第1部分の前記縫構造より、前記液体に接触する前記生地の表面に現れる電極の面積が大きい
請求項6に記載のセンサ。 - 前記第2部分の前記縫構造は、前記電極の縫製方向に対する重複を有する
請求項9に記載のセンサ。 - 被検出体における液体の存在を検出するシステムであって、
前記被検出体に搭載された、第1の電極及び第2の電極を有するセンサと、
前記センサに接続され、前記センサでのセンシング結果を無線通信によって出力する通信機と、
前記センシング結果を受信する受信機と、を備え、
前記第1の電極及び前記第2の電極は、糸状あるいは帯状の構造であり、長手方向に交差する方向に並設され、
前記第1の電極及び前記第2の電極の少なくとも一方は、長手方向の第1の位置において第1表面積を有する第1部分を備えるとともに、前記第1の位置とは異なる長手方向の第2の位置において、前記第1表面積より大きい第2表面積を有する第2部分を有する
検出システム。 - 液体の存在を検出する方法であって、
糸状あるいは帯状の構造の第1の電極及び第2の電極を、長手方向に交差する方向に並設し、
前記第1の電極及び前記第2の電極は、異種材料で構成され、前記電極間に前記液体が存在すると前記電極間に発電電力が生じ、
前記第1の電極及び前記第2の電極の少なくとも一方は、長手方向の第1の位置において第1表面積を有する第1部分を備えるとともに、前記第1の位置とは異なる前記長手方向の第2の位置において、前記第1表面積より大きい第2表面積を有する第2部分を備え、
前記発電電力量が閾値を超えたことを検出することで、前記液体が所定量存在することを検出する、ことを含み、
前記閾値は、前記第1部分による発電電力量の最大値より大きく、前記第2部分による発電電力量の最大値より小さい値である
検出方法。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2021190475A JP2023077245A (ja) | 2021-11-24 | 2021-11-24 | センサ、検出システム、及び、検出方法 |
US17/958,421 US20230157903A1 (en) | 2021-11-24 | 2022-10-02 | Sensor, detection system, and detection method |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2021190475A JP2023077245A (ja) | 2021-11-24 | 2021-11-24 | センサ、検出システム、及び、検出方法 |
Publications (1)
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JP2021190475A Pending JP2023077245A (ja) | 2021-11-24 | 2021-11-24 | センサ、検出システム、及び、検出方法 |
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2021
- 2021-11-24 JP JP2021190475A patent/JP2023077245A/ja active Pending
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2022
- 2022-10-02 US US17/958,421 patent/US20230157903A1/en active Pending
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A80 | Written request to apply exceptions to lack of novelty of invention |
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