JP2023075715A - スクロール型圧縮機 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、互いに噛み合う固定スクロールと旋回スクロールとの間に形成された圧縮室の容積を変化させることで、吸入室に導入された気体冷媒を圧縮室で圧縮して、固定スクロールの背面における吐出室へ吐出孔を介して吐出する、スクロール型圧縮機に関する。
近年、成績係数COP(Coefficient Of Performance)の向上という観点から、ガスインジェクションサイクルを適用したスクロール型圧縮機が考案されている(例えば特許文献1参照)。ここで、ガスインジェクションサイクルは、圧縮機、凝縮器、第1膨張弁、気液分離器、第2膨張弁及び蒸発器をこの順番で配設した冷媒回路において、気液分離器で分離された気体冷媒を圧縮機の圧縮室に噴射して冷凍効果を改善するものである。このようなスクロール型圧縮機では、気体冷媒をインジェクションガスとして導入してから圧縮室へ噴射するまでの気体冷媒の流路であるインジェクション回路を備えている。
ところで、圧縮室への気体冷媒の噴射には、圧縮室内圧力と噴射圧力との差圧に基づいて自律的に行うものがあるが、圧縮室内圧力が噴射圧力を上回ると、圧縮室へ噴射された気体冷媒が気液分離器へ向けて逆流してしまうことが想定される。このため、特許文献1のインジェクション回路では、気体冷媒を圧縮室へ噴射するために吐出孔と異なる位置で固定スクロールに穿設されたインジェクションポートに、逆止弁を直接接続している。
しかし、特許文献1のインジェクション回路では、逆止弁へ気体冷媒を供給するための中間室が固定スクロールの背面の空間で吐出室と並列に設けられている。このため、吐出室の容積が圧迫され、吐出室に吐出孔を介して吐出された気体冷媒の圧力脈動を十分に減衰することができず、スクロール型圧縮機の騒音性能が低下するおそれがある。これに対し、吐出室に気体冷媒の圧力脈動を十分に減衰するのに必要な容積を与えることも考えられる。しかし、特許文献1のインジェクション回路では、固定スクロールの背面の空間で吐出室と並列に中間室が設けられているため、吐出室及び中間室を内包するハウジングを固定スクロールの背面から離れる方向へ拡張せざるを得なくなるおそれがある。
そこで、本発明は以上のような従来の問題点に鑑み、インジェクション回路を備えたことによる吐出室の容積減少を、ハウジングの拡張に依存せずに抑制したスクロール型圧縮機を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明のスクロール型圧縮機は、互いに噛み合う固定スクロールと旋回スクロールとの間に形成された圧縮室の容積を変化させるとともに、冷媒回路から取り出された気体冷媒をインジェクションガスとして圧縮室に噴射し、吸入室に導入された気体冷媒を圧縮室で圧縮して、固定スクロールの背面における吐出室へ吐出孔を介して吐出するものであって、吐出孔と異なる位置で、固定スクロールの背面から圧縮室へ延びるインジェクションポートと、一端部にインジェクションガスが導入され、他端部がインジェクションポートに連通接続されて、吐出室内に延びるインジェクションパイプと、を備え、インジェクションパイプには、一端部から他端部へ向かうインジェクションガスの流入を許容し、他端部から一端部へ向かうインジェクションガスの逆流を阻止する逆止弁が内蔵されている。
本発明のスクロール型圧縮機によれば、インジェクション回路を備えたことによる吐出室の容積減少を、ハウジングの拡張に依存せずに抑制することができる。
以下、本発明を実施するための実施形態について、添付図面を参照して詳述する。
図1は、本実施形態の前提となる、ガスインジェクションサイクルを適用した冷凍サイクル100の一例を示す。ここで、冷凍サイクル100が、冷媒回路の一例として挙げられる。
図1は、本実施形態の前提となる、ガスインジェクションサイクルを適用した冷凍サイクル100の一例を示す。ここで、冷凍サイクル100が、冷媒回路の一例として挙げられる。
冷凍サイクル100は、冷媒が循環する冷媒配管110に対して、圧縮機120、凝縮器130、第1膨張弁140、気液分離器150、第2膨張弁160及び蒸発器170をこの順番で配設して構成されている。圧縮機120は、低温・低圧の気体冷媒を圧縮して高温・高圧の気体冷媒にする。凝縮器130は、圧縮機120を通過した高温・高圧の気体冷媒を冷却して低温・高圧の液体冷媒にする。第1膨張弁140及び第2膨張弁160は、低温・高圧の液体冷媒を2段階で減圧して低温・低圧の液体冷媒にする。蒸発器170は、低温・低圧の液体冷媒を気化させて低温・低圧の気体冷媒にする。ガスインジェクションサイクルは、2段階膨張を行う第1及び第2膨張弁140,160の間の気液分離器150で中間圧力の液体冷媒から気体冷媒を分離し、これをインジェクションガス(以下、「INJガス」という)として圧縮機120の圧縮室内に噴射して、冷凍サイクル100の効率向上を図るものである。
次に、ガスインジェクションサイクルを構成する圧縮機120の一例として、固定スクロール及び旋回スクロールによって気体冷媒を圧縮する、スクロール型圧縮機1について説明する。
図2は、スクロール型圧縮機1の一例を示す。スクロール型圧縮機1は、スクロールユニット10と、気体冷媒の吸入室H1及び吐出室H2を内包するハウジング20と、スクロールユニット10を駆動させる電動モータ30と、電動モータ30を駆動制御するインバータ40と、を備えている。なお、インバータ40は、スクロール型圧縮機1に組み込まれていなくてもよい。
スクロールユニット10は、互いに噛み合わされる固定スクロール11及び旋回スクロール12を有している。固定スクロール11は、円板形状の底板11Aと、底板11Aの一面から立設するインボリュート形状(渦巻形状)のラップ11Bと、を含んでいる。旋回スクロール12は、固定スクロール11と同様に、円板形状の底板12Aと、底板12Aの一面から立設するインボリュート形状のラップ12Bと、を含んでいる。
固定スクロール11及び旋回スクロール12は、そのラップ11B及び12Bを噛み合わせるように配置されている。詳細には、固定スクロール11のラップ11Bの先端部が、旋回スクロール12の底板12Aの一面に接触し、旋回スクロール12のラップ12Bの先端部が、固定スクロール11の底板11Aの一面に接触するように配置されている。
また、固定スクロール11及び旋回スクロール12は、そのラップ11B及び12Bの周方向の角度が互いにずれた状態で、そのラップ11B及び12Bの側壁が互いに部分的に接触するように配置されている。したがって、固定スクロール11のラップ11Bと旋回スクロール12のラップ12Bとの間には、圧縮室H3として機能する、三日月形状の密閉空間が形成されている。
旋回スクロール12は、その自転が阻止された状態で、後述するクランク機構50を介して、固定スクロール11の軸心周りに公転可能に配置されている。したがって、スクロールユニット10は、固定スクロール11のラップ11Bと旋回スクロール12のラップ12Bとにより区画される圧縮室H3を中央部に移動させ、その容積を徐々に減少させる。その結果、スクロールユニット10は、ラップ11B及び12Bの外端部から圧縮室H3に吸入される気体冷媒を圧縮する。
ハウジング20は、電動モータ30及びインバータ40を収容するステータハウジング21と、スクロールユニット10を収容するセンターハウジング22と、リアハウジング23と、インバータカバー24と、を有している。そして、ステータハウジング21、センターハウジング22、リアハウジング23及びインバータカバー24が、例えば、ボルト及びワッシャを含む締結具(図示せず)によって一体的に締結されることで、スクロール型圧縮機1のハウジング20が構成されている。
ステータハウジング21は、略円筒形状の周壁部21Aと略薄板形状の仕切壁部21Bとを有している。仕切壁部21Bは、ステータハウジング21の内部空間を、電動モータ30を収容するための空間とインバータ40を収容するための空間とに区画する隔壁である。周壁部21Aの一端側、即ち、インバータ40を収容するための空間の開口は、インバータカバー24によって閉塞されている。また、周壁部21Aの他端側、即ち、電動モータ30を収容するための空間の開口は、センターハウジング22によって閉塞されている。仕切壁部21Bには、その径方向の中央部に後述する駆動軸31の一端部を回転自由に支持する、略円筒形状の支持部21Cが、周壁部21Aの他端側に向かって突設されている。
また、ステータハウジング21の周壁部21A及び仕切壁部21Bとセンターハウジング22とにより、気体冷媒の吸入室H1が区画されている。吸入室H1には、周壁部21Aに形成された吸入ポートP1を介して、低温・低圧の気体冷媒が吸入される。吸入室H1では、吸入ポートP1を介して吸入された気体冷媒が電動モータ30又はその周囲を通ってセンターハウジング22へ向けて通過できるようになっており、これにより電動モータ30の冷却も可能となっている。吸入室H1には、回転駆動される後述の駆動軸31等の摺動部位の潤滑のため、適量の潤滑油が貯留されている。このため、吸入室H1においては、気体冷媒は潤滑油との混合流体として流れている。
センターハウジング22は、ステータハウジング21との締結側とは反対側が開口した略有底円筒形状をなし、その内部にスクロールユニット10を収容することができる。センターハウジング22は、円筒部22Aとその一端側の底壁部22Bとを有している。円筒部22Aと底壁部22Bとによって区画される空間に、スクロールユニット10が収容されている。円筒部22Aの他端側には、固定スクロール11が嵌合する嵌合部22Cが形成されている。したがって、センターハウジング22の開口は、固定スクロール11によって閉塞されている。また、底壁部22Bには、その径方向の中央部が電動モータ30に向かって膨出して膨出部22Dが形成されている。膨出部22Dの径方向の中央部には、後述の駆動軸31の他端部を貫通させるための貫通孔が形成されている。そして、膨出部22Dのスクロールユニット10側には、駆動軸31の他端部を回転可能に支持するベアリング2が嵌合する嵌合部が形成されている。
センターハウジング22の底壁部22Bと旋回スクロール12の底板12Aとの間には、略薄板円環形状のスラストプレート3が配置されてセンターハウジング22に固定されている。底壁部22Bの外周部は、スラストプレート3を介して、旋回スクロール12からのスラスト力を受ける。底壁部22B及び底板12Aのスラストプレート3と当接する部位には、図示省略のシール部材が夫々埋設されている。
また、底板12Aの背面、すなわち、底板12Aのうちラップ12Bが形成されるラップ面に対して反対側の端面と底壁部22Bとの間、つまり、旋回スクロール12のうち固定スクロール11とは反対側の端面とセンターハウジング22との間には、背圧室H4が形成されている。センターハウジング22には、吸入室H1からスクロールユニット10のラップ11B及び12Bの外終端部付近の外終端部空間H5へと気体冷媒を導入する、冷媒導入通路L1が形成されている。冷媒導入通路L1は、外終端部空間H5と吸入室H1とを連通しているため、外終端部空間H5の圧力は、吸入室H1の圧力(吸入圧力Ps)と等しくなっている。
リアハウジング23は、センターハウジング22の円筒部22Aの嵌合部22C側の端部に、締結具によって締結されている。したがって、固定スクロール11は、その底板11Aが嵌合部22Cとリアハウジング23との間に挟持されて固定されている。また、リアハウジング23は、センターハウジング22との締結側が開口した略有底円筒形状をなし、円筒部23Aとその他端部の底壁部23Bとを有している。
リアハウジング23の円筒部23A及び底壁部23Bと固定スクロール11の底板11Aとによって、気体冷媒の吐出室H2が区画されている。底壁部23Bは、吐出室H2を挟んで、底板11Aと略平行に対向している。底板11Aの中央部には、気体冷媒の吐出通路(吐出孔)L2が形成されている。吐出通路L2には、吐出室H2からスクロールユニット10への気体冷媒の流れを規制する、例えば、リードバルブからなる逆止弁4が付設されている。吐出室H2には、スクロールユニット10の圧縮室H3で圧縮された気体冷媒が吐出通路L2及び逆止弁4を介して吐出される。
吐出室H2の気体冷媒は、リアハウジング23において吐出室H2とは別に区画形成されている図示省略のオイルセパレータに導入されて潤滑油が分離される。オイルセパレータにより潤滑油が分離された気体冷媒は、リアハウジング23に内外を貫通して形成された図示省略の吐出ポートから凝縮器130へ向けて吐出される。一方、オイルセパレータにより分離された潤滑油は、リアハウジング23において吐出室H2及びオイルセパレータとは別に区画形成された貯油室H6に一旦貯留された後、背圧供給通路L3を介して背圧室H4へ供給される。
電動モータ30は、例えば、三相交流モータからなり、ロータ32と、ロータ32の径方向外側に配置されるステータコアユニット33と、を有している。そして、例えば、車載のバッテリ(図示せず)からの直流電流が、インバータ40によって交流電流に変換され、電動モータ30のステータコアユニット33に供給される。
ロータ32は、その径方向中心に形成された軸孔に圧入される駆動軸31を介して、ステータコアユニット33の径方向内側で回転可能に支持されている。駆動軸31の一端部は、すべり軸受5を介して、ステータハウジング21の支持部21Cに回転可能に支持されている。駆動軸31の他端部は、膨出部22Dに形成された貫通孔を貫通して、ベアリング2によって回転可能に支持されている。インバータ40からの給電によって、ステータコアユニット33に磁界が発生すると、ロータ32に回転力が作用し、駆動軸31が回転駆動される。駆動軸31の他端部は、クランク機構50を介して、旋回スクロール12に連結されている。
クランク機構50は、旋回スクロール12の底板12Aの背面に突出形成された略円筒形状のボス部51と、駆動軸31の他端部に設けられたクランク52に偏心状態で取り付けられた偏心ブッシュ53と、を有している。偏心ブッシュ53は、すべり軸受54を介して、ボス部51の内周面に回転可能に支持されている。したがって、旋回スクロール12は、その自転が阻止された状態で、クランク機構50を介して、固定スクロール11の軸心周りに公転可能になっている。なお、駆動軸31の他端部には、旋回スクロール12の遠心力に対抗するバランサウェイト55が取り付けられている。
旋回スクロール12の自転を阻止する自転阻止機構60として、スラストプレート3には、ここから旋回スクロール12に向けて延びる、複数の自転阻止ピン61が圧入固定されている。複数の自転阻止ピン61は、駆動軸31の軸心に対して等距離かつ等間隔に配置されている。なお、自転阻止ピン61は、センターハウジング22(例えば、底壁部22B)に圧入固定してもよく、この場合には、スラストプレート3に自転阻止ピン61が貫通する貫通孔を形成すればよい。
底板12Aの背面のうち、スラストプレート3から突出する自転阻止ピン61に対向する複数個所には、底板12Aを貫通しないように、底板12Aの背面からラップ面へと向かって延びる円形孔62が夫々形成されている。そして、複数の自転阻止ピン61の先端部が、旋回スクロール12の円形孔62に内接しつつその軸心周りに公転するように嵌合されている。したがって、旋回スクロール12は、その自転が阻止された状態で、固定スクロール11の軸心周りを公転する。
スクロール型圧縮機1は、ガスインジェクションサイクルに対応すべく、気液分離器150よりINJガスを導入してから圧縮室H3へ噴射するまでのINJガスの流路であるインジェクション回路70を備えている。インジェクション回路70は、導入通路71と、インジェクションポート72と、インジェクションパイプ73と、で構成されている。
導入通路71は、リアハウジング23の底壁部23Bの内部に底壁部23Bに沿って穿設され、リアハウジング23に形成された導入ポートP2を介してスクロール型圧縮機1の外部(気液分離器150)からINJガスが導入されるように構成されている。
インジェクションポート72は、固定スクロール11の底板11Aの所定の位置で、吐出室H2から圧縮室H3へ向けて底板11Aを貫通して形成され、INJガスを圧縮室H3へ噴射できるように構成されている。インジェクションポート72の流路断面は円形状としてもよい。図中のスクロール型圧縮機1では、2つのインジェクションポート72が設けられている。
底板11Aにおけるインジェクションポート72の貫通方向は、その方向で、インジェクションポート72からリアハウジング23の底壁部23Bまでの距離が最も短くなるように決定されてもよい。しかし、貫通方向が、底板11Aの背面(固定スクロール11の背面)、すなわち、底板11Aのうちラップ11Bが形成されるラップ面と反対側の端面に対して傾斜すると、底板11Aのラップ面におけるインジェクションポート72の開口形状が歪んで大きくなってしまう。このため、インジェクションポート72から圧縮室H3へINJガスを噴射するときに、底板11Aのラップ面におけるインジェクションポート72の開口の一部が旋回スクロール12のラップ12Bの先端と対向して塞がれた状態とならないことが条件となる。図中のスクロール型圧縮機1では、底板11Aと底壁部23Bとが略平行に対向しているので、底板11Aにおけるインジェクションポート72の貫通方向を、底板11Aの背面に対して垂直方向とすることができる。
インジェクションパイプ73は、両端が開口した管状に形成され、固定スクロール11の底板11Aからこれと対向するリアハウジング23の底壁部23Bまでの間に配置されている。このインジェクションパイプ73によって、導入通路71と圧縮室H3とが連通接続され、導入通路71から圧縮室H3へINJガスが供給されるようになっている。
インジェクションパイプ73の一端部は、底壁部23Bから吐出室H2へ突出する筒状(例えば円筒状)のボス部23Cに内嵌固定されている。ボス部23Cは、底板11Aにおけるインジェクションポート72の貫通方向の延長線上に位置し、底壁部23Bから貫通方向へ突出している。ボス部23Cの内底の一部から導入通路71へは、底板11Aにおけるインジェクションポート72の貫通方向へ延びる連通路74が穿設されている。
インジェクションパイプ73の他端部は、インジェクションポート72のうち吐出室H2側に形成されたパイプ嵌合部72Aに内嵌固定されている。パイプ嵌合部72Aは、インジェクションポート72の内周面が吐出室H2に臨む開口位置から所定の深さ位置までの範囲で後退して形成され、インジェクションポート72の圧縮室H3側とパイプ嵌合部72Aとの境界に段差が形成されている。インジェクションポート72の流路断面が円形状である場合には、パイプ嵌合部72Aの内径が、インジェクションポート72のうち圧縮室H3側の内径よりも大径であればよい。
また、インジェクションパイプ73は、その内部空間に後述の逆止弁を有し、これにより、導入通路71から圧縮室H3へのINJガスの流入を許容するが、圧縮室H3から導入通路71へINJガスの逆流を阻止するようにしている。
次に図3~図6を参照して、インジェクションパイプ73の詳細構造について説明する。図3は、図2におけるインジェクションパイプ73の拡大断面図である。図4は図3のインジェクションパイプ73を導入通路71側からみた側面図である。図5は、図3のA-A線における断面図である。図6は、図3のインジェクションパイプ73の分解断面図である。
インジェクションパイプ73は、両端が開口した中空直線状の直管部材731と、シール部材732,733と、直管部材731の内部空間に配置された逆止弁734と、を備えている。
直管部材731は、インジェクションパイプ73の一端部において、ボス部23Cに内嵌固定されるようにボス部23Cの内周面に倣った外周面を備えた第1嵌合部7311を有している。また、直管部材731は、インジェクションパイプ73の他端部において、インジェクションポート72のパイプ嵌合部72Aに内嵌固定されるようにパイプ嵌合部72Aの内周面に倣った外周面を備えた第2嵌合部7312を有している。
直管部材731は、これを一端面7313から他端面7314に亘って貫通する内部通路7315を有している。以下において、便宜上、内部通路7315の流路断面は円形状として説明するが、これに限定するものではない。インジェクションパイプ73の一端部における内部通路7315には、圧縮室H3から導入通路71へ向かって、内部通路7315の内径が段階的に拡径されて、少なくとも2つの段差が形成されている。第1の段差は、コイルスプリング7342を支持するコイル支持面7315Aであり、第2の段差は、弁体7341を受ける弁体受け面7315Bである。
第2嵌合部7312のうち導入通路71側の端部には、第2嵌合部7312がパイプ嵌合部72Aに内嵌されたときに固定スクロール11の底板11Aの背面と当接するフランジ部7316が形成されている。なお、図示を省略するが、第1嵌合部7311の圧縮室H3側の端部に、第1嵌合部7311がボス部23Cの内側に内嵌されたときにボス部23Cの先端面と当接するフランジ部が形成されてもよい。
シール部材732,733は、例えばOリング等、環状に形成されている。シール部材732は、内部通路7315の延在方向の所定位置で第1嵌合部7311の外周面を全周に亘って後退させた周溝7311Aに配設されている。シール部材732は、第1嵌合部7311がボス部23Cに内嵌固定されたときに、第1嵌合部7311の外周面とボス部23Cの内周面との間に広がる隙間を遮断するものである。また、シール部材733は、内部通路7315の延在方向の所定位置で第2嵌合部7312の外周面を全周に亘って後退させた周溝7312Aに配設されている。シール部材733は、第2嵌合部7312がパイプ嵌合部72Aに内嵌固定されたときに、第2嵌合部7312の外周面とパイプ嵌合部72Aの内周面との間に広がる隙間を遮断するものである。このように配設されたシール部材732,733により、インジェクションパイプ73とボス部23C及びパイプ嵌合部72Aとの接続箇所から吐出室H2へのINJガスの漏出を抑制するようにしている。
逆止弁734は、弁体7341と、コイルスプリング7342と、プラグ7343と、を備え、弁体7341が弁座に対して直角方向に移動する、いわゆるポペット式の逆止弁である。逆止弁734は、弁体7341、コイルスプリング7342及びプラグ7343がインジェクションパイプ73の一端部の開口部7315Cに挿入されて構成されている。開口部7315Cの内径は、弁体受け面7315Bを形成するために拡径した内部通路7315の内径に相当する。
弁体7341は、円筒体7341Aと、底板7341Bと、を有している。円筒体7341Aは、その外周面が開口部7315Cの内周面と摺動して開口部7315C内をその開口方向に往復動するように形成されている。円筒体7341Aの圧縮室H3側の端面は、円筒体7341Aが開口部7315C内を圧縮室H3側に移動したときに、弁体受け面7315Bと当接し、円筒体7341Aの移動が制限されるようになっている。底板7341Bは、円盤状に形成され、その外周面が円筒体7341Aの内周面のうち導入通路71側の端部と接続されて、円筒体7341Aの導入通路71側の端面と面一になっている。円筒体7341Aには、その周方向の所定位置において、底板7341B側の端面から少なくとも底板7341Bと離間した位置まで開口部7315Cの開口方向に延びるスリット7341Cが、円筒体7341Aを径方向に貫通して設けられている。図中の逆止弁734では、円筒体7341Aの周方向の3つの位置で開口方向の全長に亘って延びるスリット7341Cが、円筒体7341Aを径方向に貫通して設けられている。したがって、円筒体7341Aは周方向で不連続となっている。
コイルスプリング7342は、自由長Lを有し、弁体7341とコイル支持面7315Aとの間に配置されている。コイルスプリング7342の一端部の外径は、円筒体7341Aの内径よりも小さく、コイルスプリング7342の一端部が底板7341Bの圧縮室H3側と当接するようになっている。コイルスプリング7342の他端部の外径は、内部通路7315の圧縮室H3側の端部の内径よりも大きく、かつ、コイル支持面7315Aが形成された内部通路7315の内径よりも小さくなっている。これにより、コイルスプリング7342の他端部は、コイル支持面7315Aと当接するようになっている。
プラグ7343は、弁体7341の弁座として機能する円盤状の本体7343Aとその中心部を厚さ方向に貫く貫通孔7343Bとを有して円環状に形成されている。プラグ7343は、その外周面が開口部7315Cの内周面と密着するように開口部7315Cに圧入固定され、弁体7341とコイル支持面7315Aとの間にコイルスプリング7342が配置された状態で弁体7341を押し込んでいる。貫通孔7343Bの内径は、弁体7341の底板7341Bの外径よりも小さくなっており、本体7343Aは底板7341Bと当接(面接触)して弁座として機能する。プラグ7343が開口部7315Cに固定されると、コイルスプリング7342は圧縮されて初期撓みが発生している。この初期撓みに応じたコイルスプリング7342の復元力によって、弁体7341の底板7341Bは弁座としての本体7343Aに押し付けられて、逆止弁734は閉弁状態となっている。この初期撓みに応じたコイルスプリング7342の復元力によって、弁体7341の底板7341Bは弁座としての本体7343Aに押し付けられ、貫通孔7343Bからスリット7341CへのINJガスの流路が遮断されている。すなわち、逆止弁734は閉弁状態となっている。
次に、図7~図9を参照して、冷凍サイクル100の稼働時における逆止弁734の動作について説明する。図7は、逆止弁734が閉弁している状態を示す。図8は、逆止弁734が開弁している状態を示す。図9は、逆止弁734が開弁したときに弁体7341の移動が制限された状態を示す。ここで、導入通路71のINJガスの圧力によって弁体7341を圧縮室H3側へ移動させる力をf1とする。また、圧縮室H3のINJガスの圧力によって弁体7341を導入通路71側へ移動させる力をf2とする。コイルスプリング7342の圧縮による撓みに応じて発生する復元力をf3とする。
図7に示すように、力f1が、力f2と初期撓みX0による復元力f3との合力以下であるとき(f1≦f2+f3)、逆止弁734は閉弁したままである。これにより、圧縮室H3に噴射されたINJガスや吸入室H1から圧縮室H3へ導入された気体冷媒がインジェクションパイプ73を介して導入通路71へ逆流することを阻止できる。力f1が、力f2と初期撓みX0による復元力f3との合力よりも大きくなると(f1>f2+f3)、弁体7341が圧縮室H3の方向へ移動を開始して底板7341Bが本体7343Aから離れ、逆止弁734が開弁する。そして、図8に示すように、力f2と復元力f3との合力が力f1とつり合うとき(f1=f2+f3)の復元力f3を発生させるコイルスプリング7342の撓みX1(>X0)となるまで弁体7341が圧縮室H3の方向へ移動する。
逆止弁734が開弁すると、図8の太線矢印で示すように、底板7341Bと本体7343Aとの間に貫通孔7343Bからスリット7341CへのINJガスの流路が形成されて、貫通孔7343Bからスリット7341CへINJガスが流れる。貫通孔7343Bからスリット7341Cへ流入したINJガスは、コイルスプリング7342のコイル線間からコイルスプリング7342の中心部を通って、内部通路7315へ流出する。これにより、導入通路71からインジェクションパイプ73を介してインジェクションポート72に供給されたINJガスが、圧縮室H3へ噴射される。
図8に示すように、コイルスプリング7342が撓みX1となるまで圧縮されたときに、前述のように力f2と復元力f3との合力が力f1とつり合うので、弁体7341の移動が停止する。そして、力f1が、力f2と撓みX1による復元力f3との合力よりも小さくなると(f1<f2+f3)、弁体7341が導入通路71の方向へ移動を開始する。弁体7341は、力f1が力f2と復元力f3との合力以上とならない限り、図7に示すように、底板7341Bが本体7343Aに当接するまで導入通路71の方向へ移動し、逆止弁734が閉弁する。
図9に示すように、力f1が力f2と復元力f3との合力に対して過大となったときには、弁体7341の円筒体7341Aが弁体受け面7315Bと当接することが想定される。このとき、コイルスプリング7342の圧縮により、仮にコイルスプリング7342のコイル線間がINJガスの通過を阻害するほど密着して閉塞されると、圧縮室H3へのINJガスの噴射が困難となって冷凍サイクル100の効率向上を妨げることになる。また、コイルスプリング7342の耐久性を損なうおそれもある。このため、図9の太線矢印で示すように、円筒体7341Aが弁体受け面7315Bと当接したときに、コイルスプリング7342のコイル線間がINJガスの通過を阻害しない程度の隙間を保持していることが好ましい。例えば、円筒体7341Aが弁体受け面7315Bと当接したときに、コイルスプリング7342のコイル線間の隙間が保持されるように、コイル支持面7315Aから弁体受け面7315Bまでの距離Dを決定することができる。あるいは、円筒体7341Aが弁体受け面7315Bと当接したときに、コイルスプリング7342のコイル線間の隙間が保持されるようなコイルスプリング7342を選定することができる。ただし、コイルスプリング7342は、逆止弁734が開弁するための圧力条件を満たす範囲で選定する必要がある。
上記のスクロール型圧縮機1では、要するに、以下のようなインジェクション回路70を備えている。すなわち、気液分離器150からINJガスを導入する導入通路71を、吐出室H2を挟んで固定スクロール11の底板11Aと略平行に対向するリアハウジング23の底壁部23Bの内部に、底壁部23Bに沿って穿設している。また、逆止弁734を内蔵する直線状のインジェクションパイプ73が、導入通路71と圧縮室H3とを連通接続している。特に、底板11Aにおけるインジェクションポート72の貫通方向を、底板11Aの背面に対して垂直方向とした場合には、インジェクションポート72からリアハウジング23の底壁部23Bまでの距離が最も短くなる。このため、導入通路71から圧縮室H3までのINJガスの流路が直線状となって流路損失が低減されるだけでなく、吐出室H2においてインジェクションパイプ73が占める容積も抑制することができる。したがって、スクロール型圧縮機1のインジェクション回路70によれば、インジェクションポート72に逆止弁を直接接続して、底板11Aの背面に逆止弁と連通する中間室を吐出室と並列に設けたインジェクション回路と比較すると、吐出室H2の容積減少を抑制することができる。これにより、スクロール型圧縮機1では、吐出室H2に吐出通路L2を介して吐出された気体冷媒の圧力脈動による騒音性能の低下を抑制することが可能となる。
また、逆止弁734は、スクロール型圧縮機1の組み立て工程の前に、予め直管部材731の内部に組み付けられて、インジェクションパイプ73として一体化されている。したがって、逆止弁734をインジェクションパイプ73として一体化していない場合と比較すると、スクロール型圧縮機1の組み立て工程を容易にすることが可能となる。
図10は、インジェクションパイプ73の変形例であるインジェクションパイプ73MDFを示す。インジェクションパイプ73MDFの構成要素はインジェクションパイプ73の構成要素と共通である。しかし、インジェクションパイプ73では、その一端部の開口部7315Cに逆止弁734が配置されていたのに対し(図3参照)、インジェクションパイプ73MDFでは、その他端部の開口部7315Dに逆止弁734MDFが配置されている点で異なる。具体的には、以下の通りである。
逆止弁734MDFは、弁体7341、コイルスプリング7342及びプラグ7343がインジェクションパイプ73の他端部の開口部7315Dに挿入されて構成されている。インジェクションパイプ73MDFの他端部における内部通路7315には、内部通路7315の内径が拡径されて、弁体7341を受ける弁体受け面7315Eが形成されている。開口部7315Dの内径は、弁体受け面7315Eを形成するために拡径した内部通路7315の内径に相当する。
弁体7341は、底板7341Bが弁体受け面7315Eに当接する方向で、インジェクションパイプ73の他端部の開口部7315Dに挿入されている。底板7341Bの外径はインジェクションパイプ73の一端部における内部通路7315の内径よりも大きくなっている。このため、弁体受け面7315Eが弁体7341の弁座として機能している。
コイルスプリング7342は、開口部7315Dに挿入されて、弁体7341の底板7341Bのうち圧縮室H3側と当接する。プラグ7343は、その外周面が開口部7315Dの内周面と密着するように開口部7315Dに圧入固定され、弁体7341及びコイルスプリング7342が開口部7315Dに挿入された状態でコイルスプリング7342を押し込んでいる。プラグ7343の貫通孔7343Bの内径は、コイルスプリング7342の外径よりも小さくなっているため、プラグ7343の導入通路71側がコイルスプリング7342を支持するコイル支持面として機能している。なお、逆止弁734MDFの動作は、逆止弁734と基本的に同様であるので、その説明を省略する。
このようなインジェクションパイプ73MDFをインジェクション回路70の一部として備えたスクロール型圧縮機1では、インジェクションパイプ73をインジェクション回路70の一部として備えたときと同様の作用効果を奏する。これに加えて、インジェクションパイプ73MDFでは、逆止弁734MDFを圧縮室H3側に配置することで、逆止弁734MDFから圧縮室H3までの距離を短縮することができる。これにより、INJガスの噴射を行っていないときに、圧縮室H3における圧縮に寄与しない無駄な空間(デッドボリューム)を低減することが可能となる。
図11は、弁体7341の変形例である弁体7341MDFを示す。弁体7341MDFは、スリット7341Cに加えて又は代えて、弁体内部通路7341Dを有している点で、弁体7341と異なる。弁体内部通路7341Dは、弁体7341MDFの内部に穿設されている。弁体内部通路7341Dの一端は、円筒体7341Aないし底板7341Bの導入通路71側の端面のうち、底板7341Bが本体7343Aに当接したときに貫通孔7343Bから離れた位置に開口している。弁体内部通路7341Dの他端は、底板7341Bの圧縮室H3側で、コイルスプリング7342の内側に臨んで開口している。逆止弁734が開弁すると、導入通路71のINJガスは、貫通孔7343Bから弁体内部通路7341Dを介してコイルスプリング7342の内側に流入し、圧縮室H3へ供給される。したがって、弁体内部通路7341Dによれば、コイルスプリング7342の圧縮によりコイル線間が密着してコイル線間におけるINJガスの通過が困難となっても、圧縮室H3へのINJガスの供給が可能となる。
図12は、スクロール型圧縮機1の第1変形例であるスクロール型圧縮機1MDF1を示す。スクロール型圧縮機1MDF1は、導入通路71を備えずに、インジェクションパイプ73にスクロール型圧縮機1MDF1の外部からINJガスを直接導入するように構成されている点でスクロール型圧縮機1と異なる。図中では、インジェクションパイプ73は、底板11Aの背面に対して垂直方向に延びて底壁部23Bを貫通し、インジェクションパイプ73の一端部が外部に露出している。
図13は、スクロール型圧縮機1の第2変形例であるスクロール型圧縮機1MDF2を示す。スクロール型圧縮機1MDF2は、スクロール型圧縮機1MDF1と同様に、導入通路71を備えていない。しかし、スクロール型圧縮機1MDF2は、底壁部23Bを貫通して設けられた導入ポートP2にインジェクションパイプ73が連通接続されているという点で、スクロール型圧縮機1MDF1と異なる。
上記のスクロール型圧縮機1MDF1,1MDF2では、吐出室H2においてインジェクションパイプ73が占める容積を抑制するようにしてもよい。このため、上記のスクロール型圧縮機1MDF1,1MDF2では、底板11Aにおけるインジェクションポート72の貫通方向は、その方向で、インジェクションポート72からリアハウジング23までの距離が最も短くなるように決定されてもよい。しかし、インジェクションポート72の貫通方向が底板11Aの背面に対して傾斜すると、底板11Aの背面と反対側のラップ面におけるインジェクションポート72の開口形状が歪んで大きくなってしまう。このため、インジェクションポート72から圧縮室H3へINJガスを噴射するときに、底板11Aにおけるインジェクションポート72の開口の一部が旋回スクロール12のラップ12Bの先端部で塞がれた状態とならないことが条件となる。この条件を満たしていることを前提に、上記のスクロール型圧縮機1MDF1において、インジェクションパイプ73を円筒部23Aから貫通させてもよい。また、上記のスクロール型圧縮機1MDF2において、円筒部23Aを貫通して設けられた導入ポートP2にインジェクションパイプ73が連通接続されてもよい。
スクロール型圧縮機1MDF1,1MDF2によれば、スクロール型圧縮機1と比較して、導入通路71を備えないことで、底壁部23Bの厚さを増大させることなく、インジェクション回路70よる吐出室H2の容積減少を抑制することができる。
以上、好ましい実施形態を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、以下のように種々の変形態様を採り得ることは自明である。
上記の実施形態におけるスクロール型圧縮機1,1MDF1,1MDF2では、インジェクションパイプ73を2つ備えていた。これに代えて、スクロール型圧縮機1,1MDF1,1MDF2において、インジェクションパイプ73を1つ若しくは3つ以上備えることができる。
上記の実施形態におけるスクロール型圧縮機1MDF1において、2つのインジェクションパイプ73を、スクロール型圧縮機1MDF1の外部で、1つの配管にまとめてもよい。これにより、スクロール型圧縮機1MDF1における気液分離器150からのINJガスの導入口を1つにすることができる。
上記の実施形態におけるスクロール型圧縮機1,1MDF1,1MDF2において、円筒体7341Aの外周面には、スリット7341Cに代えて又は加えて、円筒体7341Aの周方向の所定位置で開口方向の全長に亘って延びる溝が設けられていてもよい。この溝は、円筒体7341Aを径方向に貫通しないように形成される。
上記の実施形態におけるスクロール型圧縮機1MDF1,1MDF2において、インジェクションパイプ73は、吐出室H2内において、固定スクロール11の底板11Aからこれに対向するリアハウジング23の底壁部23Bに向けて直線状に延びていた。これは、インジェクションパイプ73が直管部材731を用いているためであるが、吐出室H2内においてインジェクションパイプ73が占める容積を低減できる場合には、直管部材731に代えて、内部通路7315の方向で湾曲した湾曲管部材を用いてもよい。湾曲管部材を用いる場合、インジェクションパイプ73がリアハウジング23の円筒部22Aを貫通してインジェクションパイプ73の一端部を外部に露出させるか、インジェクションパイプ73の一端部が円筒部22Aを貫通して設けられた導入ポートP2に接続されてもよい。ただし、湾曲管部材の内部通路7315の湾曲に伴う圧力損失が、逆止弁734の開弁期間ひいては圧縮室H3へのINJガスの噴射量に顕著な影響を与えないことを条件とする。
上記のスクロール型圧縮機1において、導入通路71はリアハウジング23の底壁部23Bの内部に底壁部23Bに沿って穿設されていた。これに代えて、導入通路71は、円筒部23Aの内部に円筒部23Aに沿って穿設されてもよい。これにより、固定スクロール11の底板11Aの背面に対してインジェクションパイプ73を傾斜させて導入通路71と圧縮室H3とを連通接続することで、吐出室H2においてインジェクションパイプ73が占める容積を抑制できる可能性がある。また、上記のスクロール型圧縮機1として、固定スクロール11の底板11Aの背面から底壁部23Bまでの間で、吐出室H2及び例えば図示省略のオイルセパレータがこの順番で配置された構成としてもよい。この場合、リアハウジング23の一部として、吐出室H2とオイルセパレータとの間を隔てる隔壁が設けられる。この隔壁の内部に隔壁に沿って、導入ポートP2と連通する導入通路71が穿設されてもよい。要するに、導入通路71は、リアハウジング23を構成する各壁部の内部に壁部に沿って穿設され、リアハウジング23の外面から貫通して設けられた導入ポートP2と連通するようになっていればよい。
上記の実施形態におけるスクロール型圧縮機1,1MDF1,1MDF2が、例えば車両用空調システムの冷媒回路等、車両に搭載される場合には、スクロールユニット10(旋回スクロール12)の動力源として、電動モータ30に代えて、エンジンの軸出力を用いることができる。
なお、上記の実施形態で説明した各技術的思想及びこれに基づく変形態様は、矛盾が生じない限りにおいて、適宜組み合せて使用することができる。例えば、スクロール型圧縮機1MDF1,1MDF2(図12、図13参照)において、インジェクションパイプ73に代えてインジェクションパイプ73MDF(図10参照)を用いたり、弁体7341に代えて弁体7341MDF(図11参照)を用いたりしてもよい。また、インジェクションパイプ73MDF(図10参照)において、弁体7341に代えて、弁体7341MDF(図11参照)を用いてもよい。
1,1MDF1,1MDF2…スクロール型圧縮機、11…固定スクロール、11A…底板、12…旋回スクロール、23…リアハウジング、23B…底壁部、23C…ボス部、71…導入通路、72…インジェクションポート、73…インジェクションパイプ、74…連通路、100…冷凍サイクル(冷媒回路)、734,734MDF…逆止弁、7315…内部通路、7315A…コイル支持面、7315C…開口部、7315D…開口部、7315E…弁体受け面、7341,7341MDF…弁体、7342…コイルスプリング、7343…プラグ(貫通孔付きプラグ)、H1…吸入室、H2…吐出室、H3…圧縮室、L2…吐出通路(吐出孔)、P2…導入ポート
Claims (5)
- 互いに噛み合う固定スクロールと旋回スクロールとの間に形成された圧縮室の容積を変化させるとともに、冷媒回路から取り出された気体冷媒をインジェクションガスとして前記圧縮室に噴射し、吸入室に導入された気体冷媒を前記圧縮室で圧縮して、前記固定スクロールの背面における吐出室へ吐出孔を介して吐出するスクロール型圧縮機であって、
前記吐出孔と異なる位置で、前記固定スクロールの背面から前記圧縮室へ延びるインジェクションポートと、
一端部に前記インジェクションガスが導入され、他端部が前記インジェクションポートに連通接続されて、前記吐出室内に延びるインジェクションパイプと、
を備え、
前記インジェクションパイプには、前記一端部から前記他端部へ向かう前記インジェクションガスの流入を許容し、前記他端部から前記一端部へ向かう前記インジェクションガスの逆流を阻止する逆止弁が内蔵されている、スクロール型圧縮機。 - 前記固定スクロールの背面とともに前記吐出室を区画するハウジングと、
前記ハウジングに形成されて、前記インジェクションガスを導入する導入ポートと、
をさらに備え、
前記インジェクションパイプの前記一端部が前記固定スクロールの背面と対向する前記ハウジングの壁部に固定されて、前記壁部が前記導入ポートと連通するように形成されている、請求項1に記載のスクロール型圧縮機。 - 前記壁部の内部に前記壁部に沿って前記導入ポートと連通する導入通路が形成され、前記固定スクロールの前記一端部は前記導入通路と連通接続されている、請求項2に記載のスクロール型圧縮機。
- 前記逆止弁は、前記他端部から前記一端部に向けて、前記他端部に内嵌固定された貫通孔付きプラグと、前記貫通孔付きプラグで支持されたコイルスプリングと、前記インジェクションパイプの内部通路を往復動可能な弁体と、をこの順番で有し、前記コイルスプリングで付勢された前記弁体が前記内部通路に全周に亘って形成された段差と当接するように前記他端部で構成され、
前記逆止弁は、前記冷媒回路側から前記弁体に加わる力が前記圧縮室側から前記弁体に加わる力以下であるときに閉弁する一方、前記冷媒回路側から前記弁体に加わる力が前記圧縮室から前記弁体に加わる力よりも大きいときに開弁する、請求項1~請求項3のいずれか1つに記載のスクロール型圧縮機。 - 前記逆止弁は、前記一端部から前記他端部に向けて、前記一端部に内嵌固定された貫通孔付きプラグと、前記インジェクションパイプの内部通路を往復動可能な弁体と、前記内部通路の内周面に形成された段差で支持されたコイルスプリングと、をこの順番で有し、前記コイルスプリングで付勢された前記弁体が前記貫通孔付きプラグと当接するように前記一端部で構成され、
前記逆止弁は、前記冷媒回路側から前記弁体に加わる力が前記圧縮室側から前記弁体に加わる力以下であるときに閉弁する一方、前記冷媒回路側から前記弁体に加わる力が前記圧縮室から前記弁体に加わる力よりも大きいときに開弁する、請求項1~請求項3のいずれか1つに記載のスクロール型圧縮機。
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