JP2023075481A - 記録装置、制御方法、およびプログラム - Google Patents

記録装置、制御方法、およびプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】インク循環のための構成の劣化を抑制することができる技術を提供する。【解決手段】インクを吐出して記録を行う記録手段と、前記記録手段にインクを供給するとともに前記記録手段からインクを回収しながら、調整手段によりインクの温度を調整してインクを循環させる循環手段と、前記調整手段によるインクの温度の調整を制御するとともに、前記循環手段によるインクの循環を制御する制御手段と、を備えた記録装置であって、前記記録手段による記録を行わない非記録時に、前記制御手段は、インクの温度を調整してインクを循環させる動作を、前記循環手段を循環するインクの温度に応じて間欠的に実行するようにした。【選択図】図7

Description

本発明は、インク循環系を備えた記録装置、記録装置の制御方法、およびプログラムに関する。
特許文献1には、インク循環系を備えたインクジェット記録装置において、記録品位の低下を抑制するために、循環しているインクを加熱、冷却して、記録時のインクの温度を規定範囲内に制御するようにした技術が開示されている。
特開2009-196208号公報
ところで、大型の記録装置では、装置の立ち上げに時間を要するため、記録状態から非記録状態になっても電源を落とさない場合がある。このような場合、非記録状態では、次の記録に備えて、インクの温度が規定範囲内に入るように、温度を調整しながらインクを循環させる。これにより、次の記録を速やかに実行することができるようになる。しかしながら、この場合、非記録状態の際に、常にインクを循環させていなければならず、インク循環のための構成が劣化し易く、維持費用のコスト高を招来してしまっていた。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、インク循環のための構成の劣化を抑制することができる技術を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一実施形態は、インクを吐出して記録を行う記録手段と、前記記録手段にインクを供給するとともに前記記録手段からインクを回収しながら、調整手段によりインクの温度を調整してインクを循環させる循環手段と、前記調整手段によるインクの温度の調整を制御するとともに、前記循環手段によるインクの循環を制御する制御手段と、を備えた記録装置であって、前記記録手段による記録を行わない非記録時に、前記制御手段は、インクの温度を調整してインクを循環させる動作を、前記循環手段を循環するインクの温度に応じて間欠的に実行する、ことを特徴とする。
本発明によれば、インクを循環するための構成の劣化を抑制することができ、その結果、維持費用のコスト高を抑制することができる。
実施形態による記録装置の外観斜視図。 記録部の概略構成図。 循環部の概略構成図。 記録装置および温度制御部の制御系の構成を示すブロック図。 循環部を循環するインクの記録時の温度変化を示すグラフ。 第1管理処理のフローチャート。 第2管理処理のフローチャート。 循環部を循環するインクの非記録時の温度変化を示すグラフ。 循環部を循環するインクの非記録時の温度変化を示すグラフ。 他の実施形態での循環部を循環するインクの非記録時の温度変化を示すグラフ。
以下、添付の図面を参照しながら、記録装置、制御方法、およびプログラムの実施形態の一例を詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を限定するものではなく、また、本実施形態で説明されている特徴の組み合わせのすべてが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。また、実施形態に記載されている構成の相対位置、形状などはあくまで例示であり、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
(第1実施形態)
まず、図1乃至図9を参照しながら、第1実施形態による記録装置について説明する。
<装置構成>
図1は、実施形態による記録装置の外観斜視図である。図2は、記録部の概略構成図である。図1の記録装置10は、長尺のシートをロール状に巻き回されたロール紙を保持する保持部12と、記録されたシートが排出される排出トレイ14とを備えている。また、記録装置10は、ユーザが操作可能な操作部16を備えている。記録装置10の全体の動作は、制御部18により制御されている。なお、図1では、制御部18が記録装置10の外部に位置しているが、制御部18は、記録装置10の内部に搭載されていてもよい。また、記録装置10は、例えば、ネットワークなどを介して、汎用のパーソナルコンピュータ、携帯端末などの外部装置410(図4(a)参照)に接続されている。
また、記録装置10は、保持部12に保持されたロール紙が巻き解かれたシートSが給送され、給送されたシートSに対して記録を行う記録部20を備えている(図2参照)。記録部20は、給送されたシートSを搬送する搬送部22と、搬送部22により搬送されるシートSに対してインクを吐出して記録する記録ヘッド24と、記録ヘッド24からのインクの吐出状態を良好に維持、回復する回復部26とを備えている。回復部26は、記録ヘッド24における、インクを吐出する吐出口が形成された吐出口面を、ワイパ28によってワイピング可能な構成となっている。回復部26は、記録ヘッド24との相対的な位置関係を変更可能な構成となっており、ワイピングの際には、記録ヘッド24の下方側に位置される。
記録装置10は、記録部20の、搬送方向下流側において、記録されたシートSを切断するカット部(不図示)および記録ヘッド24からシートS上に吐出されたインクを強制的に乾燥させる乾燥部(不図示)などを備えている。つまり、記録装置10では、記録部20で記録されたシートSは、カット部によるカット、乾燥部による乾燥などを経て、記録物として排出トレイ14に排出される。
記録ヘッド24は、記録可能なシートSの幅方向の長さに対応する長さで延在する、所謂、ラインヘッドである。なお、シートのSの幅方向とは、搬送部22によるシートSの搬送方向と交差(本実施形態では直交)する方向である。つまり、記録装置10は、シートSを搬送方向に連続搬送しながら記録を行うラインプリンタである。記録ヘッド24は、異なる種類のインクを吐出する4つの記録ヘッドから構成される。本実施形態では、シアンインクを吐出する記録ヘッド24C、マゼンタインクを吐出する記録ヘッド24M、イエローインクを吐出する記録ヘッド24Y、およびブラックインクを吐出する記録ヘッド24Kが、搬送方向に沿って並設されている。各記録ヘッド24は、ホルダ30により一体で保持されている。ホルダ30は、昇降可能な構成となっている。このため、記録ヘッド24は、ホルダ30を介して、吐出口面と、搬送部22により搬送されるシートSとの間隔を変更可能となっている。
記録装置10では、異なる色のインクを吐出する4つの記録ヘッド24を備えるようにしているが、記録ヘッド24から吐出されるインクは、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインクに限定されるものではない。即ち、記録ヘッド24C、24M、24Y、24Kに加えて(または替えて)、他の色のインクを吐出する記録ヘッド24を備えるようにしてもよい。あるいは、記録結果に所定の特性の付与する処理液などのインク以外の液体を吐出可能な記録ヘッド24を備えるようにしてもよい。また、記録装置10では、ロール紙が巻き解かれたシートに対して記録を行う構成としたが、これに限定されるものではない。即ち、所定の大きさにカットされたカットシートに対して記録を行う構成としてもよい。
<循環部>
各記録ヘッド24にはそれぞれ、対応するインクタンク320(後述する)からチューブ(不図示)を介してインクが供給される。記録装置10では、インクタンク320から供給されるインクを、記録ヘッド24を含む循環部300において循環させる構成を備えている。図3は、循環部の概略構成図である。なお、こうした循環部300は、記録ヘッド24C、24M、24Y、24Kのそれぞれに対して、互いに独立して形成されており、その構成は互いに同じである。このため、以下の説明では、1つの記録ヘッド24を含む循環部300について説明する。
循環部300は、インクタンク320から供給されるインクを貯留するバッファタンク302と、記録ヘッド24とを備えている。また、循環部300は、バッファタンク302から記録ヘッド24へインクが供給される供給経路304と、記録ヘッド24からバッファタンク302にインクが回収される回収経路306とを備えている。つまり、本実施形態では、記録ヘッド24が、循環部300の一部を構成している。
供給経路304には、バッファタンク302から記録ヘッド24へ供給されるインクの流れる方向の上流側から順に、熱交換部308、第1循環ポンプ310、フィルタ312、サブタンク314、およびインク温度センサ316が備えられている。また、回収経路306には、第2循環ポンプ318が備えられている。循環部300では、隣接する部材がチューブなどで接続され、各部材を通ってインクが循環する構成となっている。
バッファタンク302は、循環部300において、最も高い位置に配置されている。バッファタンク302には、供給ポンプ322の駆動によって、インクタンク320に貯留されたインクがチューブ(不図示)を介して供給される。なお、供給ポンプ322の駆動は、制御部18により制御される。記録装置10では、インクタンク320を装置内部において収容可能な構成となっており、収容部分においてインクタンク320が着脱可能な構成となっている。バッファタンク302は、その上部において、バッファタンク302の内部と外部とを連通する大気連通口302aが形成されている。
熱交換部308は、その内部に恒温媒体Mが貯留されている。また、熱交換部308内には、恒温媒体Mに浸漬するように金属管324が配置されている。金属管324は、一方の端部324aからインクが流入し、他方の端部324bからインクが流出する構成となっている。金属管324は、例えば、その内部を通るインクが、金属管324を介して恒温媒体Mとの接触する時間を稼ぐことが可能な形状となっている。そして、供給経路304を流れるインクは、金属管324を通過する際に、恒温媒体Mと熱交換して加熱または冷却される。
熱交換部308は、恒温媒体Mの温度を調整するための温度調整部326と、恒温媒体Mを循環可能に接続されている。温度調整部326は、恒温媒体Mの温度を検知可能なセンサ332、恒温媒体Mを加熱および冷却可能な調整部334、恒温媒体Mを熱交換部308との間で循環させるポンプ336を備えている。従って、熱交換部308に貯留される恒温媒体Mは、温度調整部326によりその温度が調整されることとなる。恒温媒体Mとしては、水を含む各種の液体、あるいは、空気を含む各種の気体を用いることができる。
温度調整部326の動作は、温度制御部328により制御される。具体的には、温度制御部328は、温度調整部326の起動、停止、恒温媒体Mの温度設定、恒温媒体Mの循環の開始および停止などの制御を行う。温度制御部328は、インク温度センサ316および装置内温度センサ330が検知した温度情報を取得可能となっている。なお、装置内温度センサ330は、記録装置内の温度、例えば、循環部300近傍の温度を検知するための温度センサである。また、温度制御部328は、制御部18と接続され、制御部18によりその駆動が制御されるとともに、制御部18から記録装置10の状態に関する情報を取得可能な構成となっている。
本実施形態では、熱交換部308および温度調整部326が、循環部300において循環するインクの温度を調整する調整部として機能する。また、温度制御部328および制御部18が、循環部300において、インクの循環およびインク温度の調整を制御する制御部として機能する。
記録装置10内部の温度は、例えば、立上げ時において、記録装置10の設置環境温度に倣っており、例えば、15℃程度から40℃程度であると想定される。記録を開始すると、記録装置10では、その内部がモータ駆動による発熱などの影響によって、時間経過とともに装置内部の温度が上昇する。このように、様々な要因により変化する記録装置10内の温度は、装置内温度センサ330によって取得される。
第1循環ポンプ310は、ポンプチューブをポンプローラでしごきながら正逆方向に回転駆動することにより、正負圧を発生可能なチューブポンプ方式を用いた構成となっている。なお、供給ポンプ322も第1循環ポンプ310と同じ構成となっている。また、第2循環ポンプ318についても、第1循環ポンプ310と同じ構成となっている。第1循環ポンプ310および第2循環ポンプ318の駆動は、制御部18により制御される。
フィルタ312は、循環部300で循環するインク内の異物を取り除くために設けられる。サブタンク314は、記録ヘッド24近傍の上流側でインクを貯留するタンクである。サブタンク314は、その上部において、サブタンク314の内部と外部とを連通する大気連通口314aが形成されている。インク温度センサ316は、記録ヘッド24に流入するインクの温度を検知する。なお、インク温度センサ316については、記録ヘッド24に配置されるようにしてもよい。
<記録装置および温度制御部の制御系の構成>
次に、記録装置10および温度制御部328の構成について説明する。図4(a)は、記録装置の制御系のブロック構成図である。図4(b)は、温度制御部のブロック構成図である。なお、図4(a)(b)に示す記録装置10および温度制御部328の制御系の構成については、本実施形態で説明する動作などに関わる主要な構成のみを示している。つまり、記録装置10および温度制御部328の制御系の構成については、図4(a)(b)に示すものに限定されるものではない。なお、記録装置10では、制御部18と温度制御部328とは接続されており、温度制御部328は制御部18からの信号を受信可能な構成となっている。
制御部18は、中央処理装置(CPU)402、ROM404、RAM406を備えている。CPU402は、各種のプログラムに基づいて記録装置10における各構成部材の動作制御などを行う。ROM404は、CPU402が実行する各種の制御プログラムを格納するメモリとして機能する。RAM406は、記録装置10の制御に用いられる各種データを保存する記憶領域やワークエリアとして用いられる。制御部18は、インターフェース408に接続され、インターフェース408を介して外部装置410から出力された情報が入力される。
CPU402は、記録ヘッドドライバ412、駆動ドライバ414、回復ドライバ416、およびポンプドライバ418に接続される。記録ヘッドドライバ412は、CPU402から出力された記録信号に基づいて記録ヘッド24に設けられた記録素子を駆動してインクを吐出する。駆動ドライバ414は、CPU402から出力された信号に基づいて、搬送部22およびシートの搬送に関わる部材を駆動して、シートの搬送を制御する。回復ドライバ416は、CPU402から出力された信号に基づいて、回復部26による記録ヘッド24へのワイピング動作を制御する。ポンプドライバ418は、インク温度センサ316の温度情報に基づくCPU402から出力された信号に応じて、第1循環ポンプ310、第2循環ポンプ318の駆動を制御する。なお、ポンプドライバ418は、供給ポンプ322の駆動も制御する。
温度制御部328は、CPU422、ROM424、RAM426を備えている。CPU422は、各種のプログラムに基づいて温度調整部326における各構成部材の動作制御などを行う。ROM424は、CPU422が実行する各種の制御プログラムを格納するメモリとして機能する。RAM426は、記録装置10の制御に用いられる各種データを保存する記憶領域やワークエリアとして用いられる。
温度制御部328は、制御部18から出力された情報に基づいてその駆動が制御される。CPU422は、駆動ドライバ428およびポンプドライバ430に接続されている。駆動ドライバ428は、センサ332の温度情報に基づくCPU422から出力された信号に応じて、調整部334の駆動を制御する。ポンプドライバ430は、センサ332の温度情報に基づくCPU422から出力された信号に応じて、ポンプ336の駆動を制御する。
<インクの温度管理>
以上の構成において、記録装置10では、循環部300内のインクの温度を管理する管理処理を行う。この管理処理については、シートSに対してインクを吐出して記録を行う記録時と、当該記録を行わない非記録時とで、互いに異なる処理が実行される。
=記録時のインクの温度管理=
まず、記録時のインクの温度管理について説明する。図5(a)(b)は、記録時のインクの温度変化を示すグラフである。なお、図5(a)(b)のグラフでは、横軸に時間、縦軸にインク温度を示している。記録時のインクの温度を、例えば、インクが記録に適した粘度となる温度に含まれる37.5℃に設定されているとする。なお、インクが記録に適した粘度となる温度とは、例えば、記録結果が良好な記録品位を維持可能な温度範囲である。
循環部300では、記録の開始が指示されると、第1循環ポンプ310および第2循環ポンプ318が駆動されて、インクの循環が開始される。また、インク温度センサ316で検出する温度情報に基づいて送信される制御部18からの信号によって、温度制御部328が温度調整部326を制御して、熱交換部308内の恒温媒体Mの温度を制御する。これにより、循環部300内を循環するインクは、金属管324を通る際に恒温媒体Mによって加熱または冷却され、設定温度37.5℃の近傍に維持される。
記録時には、記録ヘッド24からインクが吐出されても、循環部300内でインクが循環していることにより、記録ヘッド24にはインクが供給される。記録時は、記録ヘッド24からのインクの吐出や装置内の温度などにより、インク温度は上昇する傾向にある。なお、記録装置10の運転状況によって、インク温度の変化は一定とはならない。このため、循環部300では、インク温度センサ316で記録ヘッド24に流入する直前のインク温度を検知し、このインク温度に基づいて、温度調整部326によって、循環するインクの温度を設定温度に調整する。具体的には、インク温度センサ316で検出された温度が37.5℃以上であれば、温度調整部326では恒温媒体Mを介してインクを冷却する。また、当該温度が37.5℃未満であれば、温度調整部326では恒温媒体Mを介してインクを加熱する。これにより、記録時には、循環部300によるインクの循環と、温度調整部326によるインクの設定温度への調整とを継続して実行することで、図5(a)のように、37.5℃の近傍でインクの温度が維持される。
また、記録時のインクの温度を、37.5±2.0℃に設定されている場合には、例えば、インク温度センサ316で検出された温度が39.5℃となると、温度調整部326では恒温媒体Mを介してインクを冷却する。また、当該温度が35.5℃となると、温度調整部326では、恒温媒体Mを介してインクを加熱する。これにより、記録時には、循環部300によるインクの循環と、温度調整部326によるインクの設定温度への調整とを継続して実行することで、図5(b)のように、37.5℃を中心に±2.0℃の範囲内でインクの温度が維持される。なお、この場合、加熱、冷却の判定基準となるインク温度は、上記した値に限定されるものではなく、インクの種類に応じて変更される。
記録時のインクの温度管理について、図6を参照しながら、詳細に説明する。記録装置10では記録の開始指示を受けると、制御部18によって、循環部300においてインクの循環が開始されるとともに、記録時のインクの温度を管理する第1管理処理が開始される。図6は、第1管理処理の詳細な処理ルーチンを示すフローチャートである。図6のフローチャートに示される一連の処理は、CPU402がROM404に記憶されているプログラムコードをRAM406に展開して実行されることにより行われる。あるいはまた、図6におけるステップの一部または全部の機能を、他のASICまたは電気回路などのハードウェアで実行してもよい。なお、各処理の説明における符号Sは、当該フローチャートにおけるステップであることを意味する。以下のフローチャートも同様である。
第1管理処理が開始されると、まず、CPU402は、第1管理温度として37.5℃を取得し(S602)、インクの温度が37.5℃以上であるか否かを判定する(S604)。第1管理温度は、記録時の循環部300内のインクの維持すべき温度であり、例えば、ROM404などの記憶領域の保存されている。S604では、インク温度センサ316で検出された温度情報に基づいて判定する。
S604において、インクの温度が37.5℃以上であると判定されると、CPU402は、循環部300内のインクを冷却する(S606)。S606では、CPU402は、温度制御部328に対して、インクの冷却を指示する信号を出力する。温度制御部328では、当該信号を受けると、温度調整部326を制御して恒温媒体Mを冷却して、金属管324内のインクを冷却する。また、S604において、インクの温度が37.5℃以上でない、つまり、インクの温度が37.5℃未満であると判定されると、CPU402は、循環部300内のインクを加熱する(S608)。S608では、CPU402は、温度制御部328に対して、インクの加熱を指示する信号を出力する。温度制御部328では、当該信号を受けると、温度調整部326を制御して恒温媒体Mを加熱して、金属管324内のインクを加熱する。
その後、記録が終了したか否かを判定し(S610)、記録が終了していないと判定されると、S604に戻る。また、S610において、記録が終了したと判定されると、この第1管理処理を終了する。なお、記録が終了すると、制御部18によって循環部300におけるインクの循環も停止される。
第1管理温度に上限値および下限値が存在する際には、S604では、第1管理温度の上限値に達したか、下限値に達したかを判定し、上限値に達しているときにはS606に進み、下限値に達しているときにはS608に進む。
=非記録時のインクの温度管理=
記録が終了すると、循環部300におけるインクの循環が停止される。具体的には、第1循環ポンプ310および第2循環ポンプ318の駆動が停止され、温度制御部328により温度調整部326の駆動(恒温媒体Mの循環など)を停止する。なお、制御部18によるインク温度の監視は維持される。
また、記録が終了すると、記録装置10では、予め設定した第2管理温度となるように、制御部18によって、非記録時の循環部300内のインクの温度を管理する第2管理処理が開始される。第2管理温度とは、非記録時の循環部300内のインクの維持すべき温度である。第2管理温度は、例えば、ROM404などの記憶領域に保存されている。図7は、管理処理の詳細な処理ルーチンを示すフローチャートである。図7のフローチャートに示される一連の処理は、CPU402がROM404に記憶されているプログラムコードをRAM406に展開して実行されることにより行われる。あるいはまた、図7におけるステップの一部または全部の機能を、他のASICまたは電気回路などのハードウェアで実行してもよい。なお、各処理の説明における符号Sは、当該フローチャートにおけるステップであることを意味する。以下のフローチャートも同様である。
第2管理処理が開始されると、まず、CPU402は、第2管理温度を取得し(S702)、記録命令があるか否かを判定する(S704)。本実施形態では、第2管理温度は、インクが記録に適した粘度となるインク温度である37.5℃±2.0℃とする。第2管理温度については、第1管理温度とともに、使用するインクの種類などによって異なる。このため、記録装置10では、使用するインクの種類によって、第1管理温度、第2管理温度を変更可能な構成としてもよい。S704では、例えば、記録の開始指示があったか否かを判定する。
S704において、記録命令があると判定されると、この第2管理処理を終了する。また、S704において、記録命令がないと判定されると、CPU402は、インク温度が第2管理温度の下限値を下回ったか否かを判定する(S706)。S706では、インク温度センサ316で検出する温度情報に基づいて判定する。具体的には、本実施形態では、インク温度センサ316で検出した温度情報に基づくインク温度が、第2管理温度の下限値(限界値)である35.5℃よりも、低いか否かを判定する。
S706において、インク温度が第2管理温度の下限値を下回った、つまり、35.5℃よりも低いと判定されると、CPU402は、インク温度を上昇させるように循環部300を駆動する(S708)。S708では、第1循環ポンプ310および第2循環ポンプ318を駆動して、循環部300においてインクの循環を開始する。また、CPU402から温度制御部328に対して、インクの加熱を指示する信号を出力する。温度制御部328では、当該信号を受けて、温度調整部326を制御して恒温媒体Mを加熱し、金属管324内のインクを加熱する。このとき、温度制御部328は、CPU402からの信号に基づいて、記録時よりも高出力で、インクを加熱するように温度調整部326を制御してもよい。これにより、インク温度を上昇させるように循環部300を駆動する時間を短くすることができる。つまり、S708では、第2管理温度の上限値に向けて、インクの温度を調整することとなる。
次に、記録命令があるか否かを判定し(S710)、記録命令があると判定されると、この第2管理処理を終了する。また、S710において、記録命令がないと判定されると、CPU402は、インク温度が第2管理温度の上限値以上であるか否かを判定する(S712)。S712では、インク温度センサ316で検出する温度情報に基づいて判定する。具体的には、インク温度センサ316で検出した温度情報に基づくインク温度が、第2管理温度の上限値(限界値)である39.5℃に達したか否かを判定することとなる。
S712において、インク温度が第2管理温度の上限値以上、つまり、39.5℃以上でない判定されると、S710に戻る。また、S712において、インク温度が第2管理温度の上限値以上、つまり、39.5℃以上であると判定されると、CPU402は、循環部300の駆動を停止し(S714)、S704に戻る。S714では、第1循環ポンプ310および第2循環ポンプ318の駆動を停止して、循環部300においてインクの循環を停止する。また、CPU402から温度制御部328に対して、温度調整部326の駆動の停止を指示する信号を出力する。温度制御部328では、当該信号を受けて、温度調整部326の駆動を停止する。
一方、S706において、インク温度が第2管理温度の下限値を下回っていない、つまり、35.5℃以上であると判定されると、CPU402は、インク温度が第2管理温度の上限値を上回ったか否かを判定する(S716)。S716では、インク温度センサ316で検出する温度情報に基づいて判定する。具体的には、インク温度センサ316で検出した温度情報に基づくインク温度が、第2管理温度の上限値である39.5℃よりも、高いか否かを判定する。
S716において、インク温度が第2管理温度の上限値を上回っていない、つまり、39.5以下であると判定されると、S704に進む。また、インク温度が第2管理温度の上限値を上回った、つまり、39.5℃よりも高いと判定されると、CPU402は、インク温度を下降させるように循環部300を駆動する(S718)。S718では、第1循環ポンプ310および第2循環ポンプ318を駆動して、循環部300においてインクの循環を開始する。また、CPU402から温度制御部328に対して、インクの冷却を指示する信号を出力する。温度制御部328では、当該信号を受けて、温度調整部326を制御して恒温媒体Mを冷却し、金属管324内のインクを冷却する。このとき、温度制御部328は、CPU402からの信号に基づいて、例えば、記録時よりも高出力で、インクを冷却するように温度調整部326を制御してもよい。これにより、インク温度を降下させるように循環部300を駆動する時間を短くすることができる。つまり、S718では、第2管理温度の下限値に向けて、インクの温度を調整することとなる。
次に、記録命令があるか否かを判定し(S720)、記録命令があると判定されると、この第2管理処理を終了する。また、S720において、記録命令がないと判定されると、CPU402は、インク温度が第2管理温度の下限値以下であるか否を判定する(S722)。S722では、インク温度センサ316で検出する温度情報に基づいて判定する。具体的には、インク温度センサ316で検出した温度情報に基づくインク温度が、第2温度管理の下限値である35.5℃に達したか否かを判定することとなる。
S722において、インク温度が第2管理温度の下限値以下、つまり、35.5℃以下でないと判定されると、S720に戻る。また、S722において、インクの温度が第2管理温度の下限値以下、つまり、35.5℃以下であると判定されると、CPU402は、循環部300を停止し(S724)、S704に戻る。S724の具体的な処理内容は、上記したS714と同じであるため、その説明は省略する。
ところで、温度調整部326の駆動を停止しても、熱交換部308内の恒温媒体Mは、金属管324内のインクを加熱または冷却可能な温度となっている。このため、温度調整部326の駆動を停止しても、一定量だけインク温度が上昇または下降する可能性がある。従って、S708やS718の処理によりインク温度の上昇または下降させた後(S712、S722の判定後)に、S714、S704を経てS706,S716に進み、第2管理温度の下限値を下回った、第2管理温度の上限値を上回ったと判定される虞がある。この場合、時間を空けずに、循環部300を再度駆動することとなる。
具体的には、例えば、S706で35.5℃を下回ったと判定され、S708でインク温度が上昇するよう循環部300を駆動した後に、S712で39.5℃以上となった判定されたとする。S712の時点で既に39.5℃以上となっており、その後、循環部300の駆動を停止して、再度S704を経て、S706の処理では、35.5℃を下回っていないと判断されるが、S716において、39.5℃を上回ったと判定される虞がある。
そこで、S712における閾値は、第2管理温度の上限値よりも所定値だけ低い所定温度に設定してもよい。また、S722における閾値は、第2管理温度の下限値よりも所定値だけ高い所定温度に設定してもよい。所定値としては、例えば、0.5℃程度とする。なお、この所定値については、インクの種類、恒温媒体Mの種類などに応じて変化する。このため、使用するインクおよび恒温媒体Mに応じて、例えば、実験的に求められる。
―具体例―
次に、非記録時の温度管理の具体例について説明する。
・第1管理温度37.5℃、装置内温度30℃の場合
まず、第1管理温度37.5℃、装置内温度30℃のときの、非記録時のインクの温度管理について説明する。図8(a)は、第1管理温度37.5℃、第2管理温度37.5±2.0℃、装置内温度30℃のときの記録後(非記録時)のインク温度の変化を示すグラフである。図8(a)では、横軸に時間、縦軸にインク温度を示している。
この場合、まず、記録が終了したタイミング(点A)で、第1循環ポンプ310、第2循環ポンプ318、および温度調整部326の駆動が停止され、その後、非記録時のインク温度を管理する第2管理処理が開始される。第2管理処理が開始されると、まず、S702で第2管理温度(37.5±2.0℃)が取得され、第2管理処理では、この第2管理温度に基づいてインク温度が管理される。
装置内温度30℃は、第1管理温度である37.5℃よりも低い。このため、点Aから時間の経過とともにインク温度が下降する。この間、第2管理処理では、S704、S706、およびS718の処理が繰り返し実行される。そして、インク温度が、第2管理温度の下限値である35.5℃を下回ると(点B)、S708でインク温度が上昇するように循環部300が駆動される。これにより、インク温度が上昇する。この間、第2管理処理では、S710およびS712の処理が繰り返し実行される。その後、インク温度が、第2管理温度の上限値である39.5℃以上となると(点C)、S714で第1循環ポンプ310、第2循環ポンプ318、および温度調整部326の駆動が停止、つまり、循環部300の駆動が停止される。循環部300の駆動が停止すると、装置内温度30℃の影響により、時間の経過とともにインク温度が下降する。そして、インク温度が再度35.5℃を下回ると(点D)、S708で循環部300が駆動される。以降、同様にして、循環部300の駆動および停止を繰り返し実行する。
ここで、記録時は、常に第1循環ポンプ310および第2循環ポンプ318を駆動してインク循環を行っている。また、温度調整部326(ポンプ336)を駆動して恒温媒体Mの循環を行っている。これにより、循環しているインクの温度を、37.5℃近傍に制御している。これに対して、非記録時は、第1循環ポンプ310、第2循環ポンプ318、および温度調整部326を、間欠的に駆動して、循環部300内のインクの温度を制御している。このとき、インク温度上昇の目標値が、第2管理温度(本実施形態では、インクが記録に適した粘度となる温度)の上限値である39.5℃であり、インク温度の上昇開始の基準値が、第2管理温度の下限値である35.5℃である。このため、第1循環ポンプ310、第2循環ポンプ318、温度調整部326などのインク循環のための構成が駆動する時間を短縮することができる。これにより、インク循環のための構成の駆動量が削減され、当該構成の劣化が抑制されるようになる。
・第1管理温度37.5℃、装置内温度45℃の場合
次に、第1管理温度37.5℃、装置内温度45℃のときの、非記録時のインクの温度管理について説明する。図8(b)は、第1管理温度37.5℃、第2管理温度37.5±2.0℃、装置内温度45℃のときの記録後のインク温度の変化を示すグラフである。図8(b)では、横軸に時間、縦軸にインク温度を示している。
この場合、まず、記録が終了したタイミング(点E)で、第1循環ポンプ310、第2循環ポンプ318、および温度調整部326の駆動が停止され、その後、非記録時のインク温度を管理する第2管理処理が開始される。第2管理処理が開始されると、まず、S702で第2管理温度(37.5±2.0℃)が取得され、第2管理処理では、この第2管理温度に基づいてインク温度が管理される。
装置内温度45℃は、第1管理温度である37.5℃よりも高い。このため、点Eから時間の経過とともにインク温度が上昇する。この間、第2管理処理では、S704、S706、およびS718の処理が繰り返し実行される。そして、インク温度が、第2管理温度の上限値である39.5℃を上回ると(点F)、S718でインク温度が下降するように循環部300が駆動される。これにより、インク温度が下降する。この間、第2管理処理では、S720およびS722の処理が繰り返し実行される。その後、インク温度が、第2管理温度の下限値である35.5℃以下となると(点G)、S714で第1循環ポンプ310、第2循環ポンプ318、および温度調整部326の駆動が停止、つまり、循環部300の駆動が停止される。循環部300の駆動が停止すると、装置内温度45℃の影響により、時間経過とともにインク温度が上昇する。そして、インク温度が再度39.5℃を上回ると(点H)、S718で循環部300が駆動される。以降、同様にして、循環部300の駆動および停止を繰り返し実行する。
ここで、記録時は、常に第1循環ポンプ310および第2循環ポンプ318を駆動してインク循環を行っている。また、温度調整部326(ポンプ336)を駆動して恒温媒体Mの循環を行っている。これにより、循環しているインクの温度を、37.5℃近傍に制御している。これに対して、非記録時は、第1循環ポンプ310、第2循環ポンプ318、および温度調整部326を、間欠的に駆動して、循環部300内のインクの温度を制御している。このとき、インク温度下降の目標値が、第2管理温度の下限値である35.5℃であり、インク温度の下降開始の基準値が、第2管理温度の上限値である39.5℃である。このため、第1循環ポンプ310、第2循環ポンプ318、温度調整部326などのインク循環のための構成が駆動する時間を短縮することができる。これにより、インク循環のための構成の駆動量が削減され、当該構成の劣化が抑制されるようになる。
・第1管理温度37.5±2.0℃、装置内温度30℃の場合
次に、第1管理温度37.5±2.0℃、装置内温度45℃のときの、非記録時のインクの温度管理について説明する。図9(a)は、第1管理温度37.5±2.0℃、第2管理温度37.5±2.0℃、装置内温度30℃のときの記録後のインク温度の変化を示すグラフである。図9(a)では、横軸に時間、縦軸にインク温度を示している。
この場合、まず、記録が終了したタイミング(点I)で、第1循環ポンプ310,第2循環ポンプ318、および温度調整部326の駆動が停止され、その後、非記録時のインク温度を管理する第2管理処理が開始される。なお、点Iについては、図9(a)では、37.5℃近傍に位置しているが、記録時には第1管理温度37.5±2.0℃に制御されているため、35.5℃から39.5℃の間のどこかに位置することとなる。第2管理処理が開始されると、まず、S702で第2管理温度(37.5±2.0℃)が取得され、第2管理処理では、この第2管理温度に基づいてインク温度が管理される。
装置内温度30℃は、第1管理温度である37.5±2.0℃よりも低い。このため、点Iから時間の経過とともにインク温度が下降する。この間、第2管理処理では、S704、S706、およびS718の処理が繰り返し実行される。そして、インク温度が、第2管理温度の下限値である35.5℃を下回ると(点J)、S708でインク温度が上昇するように循環部300が駆動される。これにより、インク温度が上昇する。この間、第2管理処理では、S710およびS712の処理が繰り返し実行される。その後、インク温度が、第2管理温度の上限値である39.5℃以上となると(点K)、S714で第1循環ポンプ310、第2循環ポンプ318、および温度調整部326の駆動が停止、つまり、循環部300の駆動が停止される。循環部300の駆動が停止すると、装置内温度30℃の影響により、時間の経過とともにインク温度が下降する。そして、インク温度が再度35.5℃を下回ると(点L)、S708で循環部300が駆動される。以降、同様にして、循環部300の駆動および停止を繰り返し実行する。
ここで、記録時は、常に第1循環ポンプ310および第2循環ポンプ318を駆動してインク循環を行っている。また、温度調整部326(ポンプ336)を駆動して恒温媒体Mの循環を行っている。これにより、循環しているインクの温度を、37.5±2.0℃の範囲内に制御している。これに対して、非記録時は、第1循環ポンプ310、第2循環ポンプ318、および温度調整部326を、間欠的に駆動して、循環部300内のインクの温度を制御している。このとき、インク温度下降の目標値が、第2管理温度の下限値である35.5℃であり、インク温度の下降開始の基準値が、第2管理温度の上限値である39.5℃である。従って、この場合も、管理温度37.5℃、装置内温度30℃の場合と同様の効果が生じる。
・第1管理温度37.5±2.0℃、装置内温度45℃の場合
次に、第1管理温度37.5±2.0℃、装置内温度45℃のときの、非記録時のインクの温度管理について説明する。図9(b)は、第1管理温度37.5±2.0℃、第2管理温度37.5±2.0℃、装置内温度45℃のときの記録後のインク温度の変化を示すグラフである。図9(b)では、横軸に時間、縦軸にインク温度を示している。
この場合、まず、記録が終了したタイミング(点M)で、第1循環ポンプ310、第2循環ポンプ318、および温度調整部326の駆動が停止され、その後、非記録時のインク温度を管理する第2管理処理が開始される。なお、点Mについては、図9(b)では、37.5℃近傍に位置しているが、記録時には第1管理温度37.5±2.0℃に制御されているため、35.5℃から39.5℃の間のどこかに位置することとなる。第2管理処理が開始されると、まず、S702で第2管理温度(37.5±2.0℃)が取得され、第2管理処理では、この第2管理温度に基づいてインク温度が管理される。
装置内温度45℃は、第1管理温度である37.5±2.0℃よりも高い。このため、点Eから時間の経過とともにインク温度が上昇する。この間、第2管理処理では、S704、S706、およびS718の処理が繰り返し実行される。そして、インク温度が、第2管理温度の上限値である39.5℃を上回ると(点N)、S718でインク温度が下降するように循環部300が駆動される。これにより、インク温度が下降する。この間、第2管理処理では、S720およびS722の処理が繰り返し実行される。その後、インク温度が、第2管理温度の下限値である35.5℃以下となると(点O)、S714で第1循環ポンプ310、第2循環ポンプ318、および温度調整部326の駆動が停止、つまり、循環部300の駆動が停止される。循環部300の駆動が停止すると、装置内温度45℃の影響により、時間経過とともにインク温度が上昇する。そして、インク温度が再度39.5℃を上回ると(点P)、S718で循環部300が駆動される。以降、同様にして、循環部300の駆動および停止を繰り返し実行する。
ここで、記録時は、常に第1循環ポンプ310および第2循環ポンプ318を駆動してインク循環を行っている。また、温度調整部326(ポンプ336)を駆動して恒温媒体Mの循環を行っている。これにより、循環しているインクの温度を、37.5±2.0℃の範囲内に制御している。これに対して、非記録時は、第1循環ポンプ310、第2循環ポンプ318、および温度調整部326を、間欠的に駆動して、循環部300内のインクの温度を制御している。このとき、インク温度下降の目標値が、第2管理温度の下限値である35.5℃であり、インク温度の下降開始の基準値が、第2管理温度の上限値である39.5℃である。従って、この場合も、管理温度37.5℃、装置内温度45℃の場合と同様の効果が生じる。
以上において説明したように、記録装置10では、非記録時のインク温度を、インクが記録に適した粘度となる温度である第2管理温度となるように、循環部300を間欠的に駆動するようにした。これにより、常に循環部300を駆動してインク温度を所定の温度となるように制御する場合と比較して、インク循環のための構成の駆動時間を短くすることができる。このため、インク循環のための構成の、駆動時間に応じた劣化が抑制されることとなる。
(第2実施形態)
次に、図10を参照しながら、第2実施形態による記録装置について説明する。なお、以下の説明では、上記した第1実施形態と同一または相当する構成については、第1実施形態で用いた符号と同一の符号を用いることにより、その詳細な説明を省略する。
第2実施形態では、第2管理温度を、インクが記録に適した粘度となる温度よりも温度範囲が広い、インクが記録可能な粘度となる温度とするようにした点において、上記第1実施形態と異なっている。以下の説明では、非記録時のインクの温度管理について、第1管理温度37.5℃とし、インクが記録可能な粘度となる温度を37.5±3.5℃とした場合の具体例を、図7のフローチャートに沿って説明する。なお、インクが記録可能な粘度となる温度とは、例えば、一定の記録品位を維持可能な温度範囲である。
・装置内温度30℃の場合
まず、装置内温度30℃のときの、非記録時のインクの温度管理について説明する。図10(a)は、第1管理温度37.5℃、第2管理温度37.5±3.5℃、装置内温度30℃のときの記録後(非記録時)のインク温度の変化を示すグラフである。図10(a)では、横軸に時間、縦軸にインク温度を示している。
この場合、まず、記録が終了したタイミング(点Q)で、第1循環ポンプ310、第2循環ポンプ318、および温度調整部326の駆動が停止され、その後、非記録時のインク温度を管理する第2管理処理が開始される。第2管理処理が開始されると、まず、S702で第2管理温度(37.5±3.5℃)が取得され、第2管理処理では、この第2管理温度に基づいてインク温度が管理される。
装置内温度30℃は、第1管理温度である37.5℃よりも低い。このため、点Qから時間の経過とともにインク温度が下降する。この間、第2管理処理では、S704、S706、およびS718の処理が繰り返し実行される。そして、インク温度が、第2管理温度の下限値である34.0℃を下回ると(点R)、S708でインク温度が上昇するように循環部300が駆動される。これにより、インク温度が上昇する。この間、第2管理処理では、S710およびS712の処理が繰り返し実行される。その後、インク温度が、第2管理温度の上限値である41.0℃以上となると(点S)、S714で第1循環ポンプ310、第2循環ポンプ318、および温度調整部326の駆動が停止、つまり、循環部300の駆動が停止される。循環部300の駆動が停止すると、装置内温度30℃の影響により、時間の経過とともにインク温度が下降する。そして、インク温度が再度34.0℃を下回ると(点T)、S708で循環部300が駆動される。以降、同様にして、循環部300の駆動および停止を繰り返し実行する。
ここで、記録時は、常に第1循環ポンプ310および第2循環ポンプ318を駆動してインク循環を行っている。また、温度調整部326(ポンプ336)を駆動して恒温媒体Mの循環を行っている。これにより、循環しているインクの温度を、37.5℃近傍に制御している。これに対して、非記録時は、第1循環ポンプ310、第2循環ポンプ318、および温度調整部326を、間欠的に駆動して、循環部300内のインクの温度を制御している。このとき、インク温度上昇の目標値が、第2管理温度(本実施形態では、インクが記録可能な粘度となる温度)の上限値である41.0℃であり、インク温度の上昇開始の基準値が、第2管理温度の下限値である34.0℃である。このため、本実施形態では、第1実施形態と同様に、第1循環ポンプ310、第2循環ポンプ318、温度調整部326などのインク循環のための構成が駆動する時間を短縮することができる。これにより、インク循環のための構成の駆動量が削減され、当該構成の劣化が抑制されるようになる。
循環部300では、熱交換部308において強制的にインク温度を上昇させているため、装置内温度に応じて下降するインク温度と比較して、時間当たりの温度変化量がインク温度上昇時の方が大きい。つまり、34.0℃から41.0℃までインク温度を上昇させる時間(つまり、循環部300の駆動時間)は、41.0℃から34.0℃までインク温度が下降する時間(つまり、循環部300の停止時間)よりも短くなる。このため、本実施形態では、非記録時が長くなるほど、第1実施形態のときよりも、循環部300の駆動時間の割合を抑制することができる。従って、本実施形態では、第1実施形態よりも、インク循環のための構成の作動時間が短くなり、当該構成の劣化が抑制されるようになる。
・装置内温度45℃の場合
次に、装置内温度45℃のときの、非記録時のインク温度管理について説明する。図10(b)は、第1管理温度37.5℃、第2管理温度37.5±3.5℃、装置内温度45℃のときの記録後のインク温度の変化を示すグラフである。図10(b)では、横軸に時間、縦軸にインク温度を示している。
この場合、まず、記録が終了したタイミング(点U)で、第1循環ポンプ310、第2循環ポンプ318、および温度調整部326の駆動が停止され、その後、非記録時のインク温度を管理する第2管理処理が開始される。第2管理処理が開始されると、まず、S702で第2管理温度(37.5±3.5℃)が取得され、第2管理処理では、この第2管理温度に基づいてインク温度が管理される。
装置内温度45℃は、第1管理温度である37.5℃よりも高い。このため、点Uから時間の経過とともにインク温度が上昇する。この間、第2管理処理では、S704、S706、およびS718の処理が繰り返し実行される。そして、インク温度が、第2管理温度の上限値である41.0℃を上回ると(点V)、S718でインク温度が下降するように循環部300が駆動される。これにより、インク温度が下降する。この間、第2管理処理では、S720およびS722の処理が繰り返し実行される。その後、インク温度が、第2管理温度の下限値である34.0℃以下となると(点W)、S714で第1循環ポンプ310、第2循環ポンプ318、および温度調整部326の駆動が停止、つまり、循環部300の駆動が停止される。循環部300の駆動が停止すると、装置内温度45℃の影響により、時間経過とともにインク温度が上昇する、そして、インク温度が再度41.0℃を上回ると(点X)、S718で循環部300が駆動される。以降、同様にして、循環部300の駆動および停止を繰り返し実行する。
ここで、記録時は、常に第1循環ポンプ310および第2循環ポンプ318を駆動してインク循環を行っている。また、温度調整部326(ポンプ336)を駆動して恒温媒体Mの循環を行っている。これにより、循環しているインクの温度を、37.5℃近傍に制御している。これに対して、非記録時は、第1循環ポンプ310、第2循環ポンプ318、および温度調整部326を、間欠的に駆動して、循環部300内のインクの温度を制御している。このとき、インク温度下降の目標値が、第2管理温度の下限値である34.0℃であり、インク温度の下降開始の基準値が、第2管理温度の上限値である41.0℃である。このため、本実施形態では、第1実施形態と同様に、第1循環ポンプ310、第2循環ポンプ318、温度調整部326などのインク循環のための構成が駆動する時間を短縮することができる。これにより、インク循環のための構成の駆動量が削減され、当該構成の劣化が抑制されるようになる。
循環部300では、熱交換部308において強制的にインク温度を下降させているため、装置内温度に応じて上昇するインク温度と比較して、時間当たりの温度変化量がインク温度下降時の方が大きい。つまり、41.0℃から34.0℃までインク温度を下降させる時間(つまり、循環部300の駆動時間)は、34.0℃から41.0℃までインク温度が上昇する時間(つまり、循環部300の停止時間)よりも短くなる。このため、本実施形態では、非記録時が長くなるほど、第1実施形態のときよりも、循環部300の駆動時間の割合を抑制することができるようになる。従って、本実施形態では、第1実施形態よりも、インク循環のための構成の作動時間が短くなり、当該構成の劣化が抑制されるようになる。
以上において説明したように、本実施形態による記録装置10では、非記録時のインク温度を、インクが記録可能な粘度となる温度である第2管理温度となるように、循環部300を間欠的に駆動するようにした。これにより、第1実施形態による記録装置10と同じ作用効果を奏するようになる。
本実施形態での第2管理温度であるインクが記録可能な粘度となる温度は、第1実施形態での第2管理温度であるインクが記録に適した粘度となる温度よりも、その範囲が広い。また、循環部300を駆動させたときのインクの昇温および降温については、装置内温度によるインクの昇温および降温よりも、時間当たりの温度変化が大きい。これらのため、本実施形態では、第1実施形態による記録装置10よりも、インク循環のための構成の駆動時間が短くなり、当該構成の駆動時間に応じた劣化が抑制されることとなる。
(他の実施形態)
なお、上記実施形態では、以下の(1)乃至(4)に示すように変化してもよい。
(1)上記実施形態では、循環部300にフィルタ312、サブタンク314、装置内温度センサ330を備えるようにしたが、これに限定されるものではない。つまり、循環部300は、フィルタ312、サブタンク314、および装置内温度センサ330の3つの部材については、それぞれ設けないようにしてもよいし、いずれか1つ、または、2つが設けられるようにしてもよい。
(2)熱交換部308、第1循環ポンプ310、第2循環ポンプ318、供給ポンプ322などについては、上記実施形態で説明した技術のみが適用されるものではなく、公知の種々の技術を適用することができる。また、上記実施形態では特に記載しなかったが、第1管理温度および第2管理温度を、例えば、ユーザが変更可能な構成としてもよい。この場合、第1管理温度および第2管理温度を変更したモードと、第1管理温度および第2管理温度を変更していないモードとを選択可能な構成としてもよい。
(3)上記実施形態では、インク温度センサ316の検出結果のみに基づいてインクの温度を調整するようにしたが、これに限定されるものではない。インク温度センサ316の検出結果とともに、装置内温度センサ330の検出結果を用いて、インクの温度の調整を行うようにしてもよい。具体的には、まず、装置内温度センサ330の検出結果に基づいて、インク温度を調整する際の目標値を設定する。そして、インク温度センサ316の検出結果に基づいて、第2管理温度の限界値を超えたと判定されると、設定した目標値となるように循環部300を駆動することとなる。
例えば、図8(a)の場合、点Aで第2管理処理が開始され、S702で第2管理温度を取得する。また、装置内温度センサ330の検出結果を取得し、目標温度を取得する。図8(a)の場合、装置内温度は30℃ですので、第2管理温度(37.5±2.0℃)よりも低いため、目標温度を第2管理温度の上限値(39.5℃)に設定する。その後、点Aから時間の経過とともにインク温度が下降し、インク温度が、第2管理温度の下限値(35.5℃)を下回ると(点B)、S708でインク温度が上昇するように循環部300が駆動される。このとき、目標温度を、装置内温度センサ330の検出結果から設定した第2管理温度の上限値に設定するようにする。
(4)上記実施形態および上記した(1)および(3)に示す各種の形態は、適宜に組み合わせるようにしてもよい。本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワークまたは記録媒体を介してシステムまたは装置に供給し、そのシステムまたは装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
10 記録装置
18 制御部
24 記録ヘッド
300 循環部

Claims (16)

  1. インクを吐出して記録を行う記録手段と、
    前記記録手段にインクを供給するとともに前記記録手段からインクを回収しながら、調整手段によりインクの温度を調整してインクを循環させる循環手段と、
    前記調整手段によるインクの温度の調整を制御するとともに、前記循環手段によるインクの循環を制御する制御手段と、を備えた記録装置であって、
    前記記録手段による記録を行わない非記録時に、前記制御手段は、インクの温度を調整してインクを循環させる動作を、前記循環手段を循環するインクの温度に応じて間欠的に実行する、ことを特徴とする記録装置。
  2. 前記制御手段は、前記非記録時において、
    インクの温度が所定の温度範囲の一方の限界値を超えると、前記循環手段によりインクの循環を開始するとともに、循環するインクの温度を、前記調整手段により前記所定の温度範囲の他方の限界値に向けて調整し、
    インクの温度が前記他方の限界値または該限界値を超えない所定温度に達すると、前記循環手段によるインクの循環および前記調整手段によるインクの温度の調整を停止する、ことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  3. 前記所定の温度範囲は、インクが記録に適した粘度となる温度範囲である、ことを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
  4. 前記所定の温度範囲は、インクが記録可能な粘度となる温度範囲である、ことを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
  5. 前記所定温度は、
    前記他方の限界値が上限値であれば、該上限値より所定値だけ低い温度であり、
    前記他方の限界値が下限値であれば、該下限値より所定値だけ高い温度である、ことを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の記録装置。
  6. 前記制御手段は、
    前記記録手段による記録を行う記録時において、前記循環手段によるインクの循環と、循環するインクの温度の前記調整手段による設定温度への調整とを継続して実行し、
    前記非記録時には、前記記録時よりも高い出力で、前記調整手段によるインクの温度の調整を行う、ことを特徴とする請求項2から5のいずれか1項に記載の記録装置。
  7. 前記循環手段は、前記調整手段と、前記記録手段と、インクを循環させるポンプと、外部から供給されたインクを貯留する第1タンクと、循環するインクの温度を検出する第1センサと、を備えることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の記録装置。
  8. 前記循環手段は、循環するインク内の異物を取り除くフィルタ、前記ポンプと前記記録手段との間に配置され、循環するインクを貯留する第2タンク、および前記記録装置内の温度を検出する第2センサの少なくともいずれか1つをさらに備える、ことを特徴とする請求項7に記載の記録装置。
  9. 前記第2センサを備えている場合、前記第2センサの検出結果に基づいて、前記調整手段により調整する温度の目標値を設定する、ことを特徴とする請求項8に記載の記録装置。
  10. 前記ポンプは、前記第1タンクに貯留されたインクを前記記録手段に供給する供給経路および前記記録手段から前記第1タンクにインクを回収する回収経路のそれぞれに設けられる、ことを特徴とする請求項7から9のいずれか1項に記載の記録装置。
  11. 前記第1センサは、前記供給経路における前記記録手段の近傍、または、前記記録手段に配置される、ことを特徴とする請求項10に記載の記録装置。
  12. 前記調整手段は、前記供給経路において、前記第1タンクと前記ポンプとの間に配置される、ことを特徴とする請求項10または11に記載の記録装置。
  13. 前記ポンプは、チューブポンプである、ことを特徴とする請求項7から12のいずれか1項に記載の記録装置。
  14. 前記調整手段は、恒温媒体により金属管を流れるインクを加熱および冷却することができる構成である、ことを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の記録装置。
  15. インクを吐出して記録を行う記録手段と、
    前記記録手段にインクを供給するとともに前記記録手段からインクを回収しながら、調整手段によりインクの温度を調整してインクを循環させる循環手段と、を備えた記録装置の制御方法であって、
    前記記録手段による記録を行わない非記録時には、インクの温度を調整してインクを循環させる動作を、前記循環手段を循環するインクの温度に応じて間欠的に実行する、ことを特徴とする制御方法。
  16. 請求項15に記載の制御方法を、コンピュータに実行させるためのプログラム。
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