JP2023075004A - 画像表示装置 - Google Patents

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正和 東原
Masakazu Higashihara
典史 梶本
Norifumi Kajimoto
亮史 近藤
Akifumi Kondo
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Abstract

【課題】画像表示素子の周辺部の中心部に対する色ずれを低減する点で有利な画像表示装置を提供すること。【解決手段】画像表示装置は、画像表示素子と、画像表示素子からの光を射出瞳に導く接眼光学系とを有し、接眼光学系は、中心部と中心部とは異なる領域とで特性が異なる少なくとも一つの補正素子を含み、少なくとも一つの補正素子の特性は、画像表示素子の中心部から射出された第1の光及び画像表示素子の最周辺部から射出された第2の光が接眼光学系を通過する前よりも通過した後において第1の光に対する該第2の光の色ずれが小さくなるように設定されている。【選択図】図1

Description

本発明は、画像表示素子上の画像を、接眼光学系を介して拡大して観察するヘッドマウントディスプレイ等に好適な画像表示装置に関する。
薄型及び軽量であり、広画角な画像表示装置を実現するために、特許文献1には偏光を利用して光路を折り畳む構成が開示されている。
特開2021-71602号公報
しかしながら、特許文献1の構成では、画像表示素子の周辺部から射出された光の出射角が大きく、画像表示素子の周辺部の中心部に対する色ずれが発生するため、画像の周辺部を正しい色で観察することができない。
本発明は、画像表示素子の周辺部の中心部に対する色ずれを低減する点で有利な画像表示装置を提供することを目的とする。
本発明の一側面としての画像表示装置は、画像表示素子と、画像表示素子からの光を射出瞳に導く接眼光学系とを有し、接眼光学系は、中心部と中心部とは異なる領域とで特性が異なる少なくとも一つの補正素子を含み、少なくとも一つの補正素子の特性は、画像表示素子の中心部から射出された第1の光及び画像表示素子の最周辺部から射出された第2の光が接眼光学系を通過する前よりも通過した後において第1の光に対する該第2の光の色ずれが小さくなるように設定されていることを特徴とする。
本発明によれば、画像表示素子の周辺部の中心部に対する色ずれを低減する点で有利な画像表示装置を提供することができる。
第1実施形態に係る画像表示装置の一例であるヘッドマウントディスプレイの説明図である。 第1実施形態の右眼用接眼光学系の説明図である。 第1実施形態のヘッドマウントディスプレイの外観図である。 第1実施形態の右眼用接眼光学系の説明図である。 第1実施形態の画像表示素子から射出された光の出射角の説明図である。 第1実施形態の画像表示素子の色ずれの説明図である。 第1実施形態の偏光板とPBSの特性の説明図である。 第1実施形態の接眼光学系の色ずれの説明図である。 第2実施形態に係る画像表示装置の一例であるヘッドマウントディスプレイの説明図である。 第2実施形態の右眼用接眼光学系の説明図である。 第2実施形態の画像表示素子から射出された光の出射角の説明図である。 第2実施形態の画像表示素子の色ずれの説明図である。 第2実施形態の偏光板の特性の説明図である。 第2実施形態の接眼光学系の色ずれの説明図である。 第2実施形態の偏光板の特性の一例を示す図である。 第3実施形態に係る画像表示装置の一例であるヘッドマウントディスプレイの説明図である。 第3実施形態の右眼用接眼光学系の説明図である。 第3実施形態の偏光板の特性の説明図である。 第4実施形態に係る画像表示装置の一例であるヘッドマウントディスプレイの説明図である。 第4実施形態に係る画像表示装置の他の例であるヘッドマウントディスプレイの説明図である。 第5実施形態に係る画像表示装置の一例であるヘッドマウントディスプレイの説明図である。 第5実施形態のヘッドマウントディスプレイがPCに接続されている状態を示す図である。 第6実施形態の右眼用接眼光学系の説明図である。 第6実施形態のマイナスフィルタの特性の説明図である。 第6実施形態のマイナスフィルタの特性の説明図である。 第6実施形態の画像表示素子の発光スペクトルの説明図である。 第6実施形態の画像表示素子の発光スペクトルの説明図である。 第6実施形態の画像表示素子の発光スペクトルの説明図である。 第7実施形態の右眼用接眼光学系の説明図である。 第7実施形態のIRカットフィルタの特性の説明図である。 第7実施形態のIRカットフィルタの特性の説明図である。 第7実施形態の画像表示素子の発光スペクトルの説明図である。 第7実施形態の画像表示素子の発光スペクトルの説明図である。 第7実施形態の画像表示素子の発光スペクトルの説明図である。
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
なお、本実施形態では、主に右眼用接眼光学系について説明するが、左眼用接眼光学系についても同様である。
[第1実施形態]
図1は、本実施形態に係る画像表示装置の一例であるヘッドマウントディスプレイ(以下、HMD)101の説明図である。HMD101は、レンズ104,105,106,107、右眼用画像表示素子108、及び左眼用画像表示素子109を有する。レンズ104,105により右眼用接眼光学系が構成され、レンズ106,107により左眼用接眼光学系が構成される。右眼用画像表示素子108及び左眼用画像表示素子109は、有機ELディスプレイである。
右眼用接眼光学系は、右眼用画像表示素子108に表示された原画像を虚像として拡大投影して観察者の右眼102に導く。左眼用接眼光学系は、左眼用画像表示素子109に表示された原画像を虚像として拡大投影して観察者の左眼103に導く。右眼用接眼光学系と左眼用接眼光学系の焦点距離は12mm、水平表示画角は45°、垂直表示画角は34°、対角表示画角は54°である。また、HMD101と観察者の眼球との距離(アイレリーフ)は、18mmである。
本実施形態の接眼光学系は、偏光を利用して光路を折り畳む構成を備える。接眼光学系の光路について右眼用接眼光学系で説明する。図2は、本実施形態の右眼用接眼光学系の説明図である。右眼用接眼光学系は、右眼用画像表示素子108の側から順に、偏光板(第1偏光板)110、位相板(第1位相板)111、レンズ105,104、位相板(第2位相板)113、及び偏光分離素子(以下、PBS)114を含む。レンズ104のレンズ105の側の面には、ハーフミラー112が蒸着される。ハーフミラー112が蒸着される面は、半透過反射面(半透過反射膜)として作用する。位相板113とPBS114は、平面形状である。位相板111,113は、位相差がλ/4の波長板である。
本実施形態では、偏光板110が透過する偏光方向に対して位相板111の遅相軸は45°傾き、偏光板110が透過する偏光方向に対して位相板113の遅相軸は-45°傾き、偏光板110が透過する偏光方向とPBS114が透過する偏光方向は直交する。このような構成において、右眼用画像表示素子108から射出された光は、偏光板110を透過して直線偏光となり、位相板111を透過して円偏光となる。その後、ハーフミラー112を透過した後、位相板113を透過して直線偏光になる。該直線偏光は、偏光方向が、PBS114が透過する偏光方向に直交するため、PBS114で反射し位相板113を透過して円偏光となる。その後、ハーフミラー112で反射した後、位相板113を透過して直線偏光になる。該直線偏光は、偏光方向が、PBS114が透過する偏光方向と一致するため、PBS114を透過して観察者の右眼102に導かれる。左眼用接眼光学系についても同様の光路である。
本実施形態のように接眼光学系が偏光を利用して光路を折り畳む構成を備えることで、HMD101を薄型化可能であると共に、接眼光学系の焦点距離を短くすることができるため、広画角な画像観察を実現することができる。
図3は、HMD101の外観図である。HMD101は、頭部装着型の画像表示装置であるため、軽量であることが望ましい。そのため、接眼光学系を構成するレンズは、硝子よりも比重の小さい樹脂で作製されることが望ましい。本実施形態では、レンズ104,106を樹脂の平凸形状の非球面レンズとすることで収差補正効果を高めている。また、レンズ105,107は、樹脂の両面非球面レンズである。
図4は、本実施形態の右眼用接眼光学系の説明図である。本実施形態の右眼用接眼光学系では、射出瞳の位置をアイレリーフ(=18mm)に眼球の回転半径(=10mm)を加えた28mmの位置とし、射出瞳径を6mmとしている。これにより、上下左右を画像観察するために眼球が回転した場合でも、その方向の光が眼球に入射する。眼鏡をかけている観察者もHMD101を装着できるように、アイレリーフは15mm以上であることが望ましい。また、アイレリーフが長くなると、レンズの外径が大きくなりHMD101が大型化するため、アイレリーフは25mm以下であることが望ましい。
本実施例の接眼光学系は焦点距離が短く、薄型であるため、図4から分かるように画像表示素子の周辺部から接眼光学系の射出瞳に向かって出射する光の出射角は大きい。なお、周辺部とは、右眼用画像表示素子108の中心部より外側の領域である。図5は、本実施形態の画像表示素子から射出された光の出射角の説明図であり、表示画角と画像表示素子から射出瞳に射出された光の出射角との関係を示している。画像表示素子から射出された光の出射角は、射出瞳の中心に導かれる主光線の出射角としている。図5に示されるように、表示画角が大きくなると出射角は大きくなり、画像表示素子の水平端から射出された光の出射角は37度、垂直端から射出された光の出射角は29度である。接眼光学系の焦点距離を短くしてHMD101の薄型化を実現するためには、画像表示素子の周辺部から射出瞳の中心に射出された光の出射角は30度以上であることが望ましい。
画像表示素子から射出された光の出射角が大きくなると、有機ELの発光層の干渉やカラーフィルターの混色の影響で色ずれが発生する。本実施形態では、画像表示素子から射出された光の出射角が大きくなると、図6に示されるように、赤色の方に色度が変化して色ずれが発生する。そのため、観察者が白い画像を観察する場合、周辺部を画像観察すると赤色が観察され、自然な画像観察ができなくなってしまう。
そこで、本実施形態では、偏光板110とPBS114の少なくとも一方を、中心部と該中心部とは異なる領域(周辺部)とで特性が異なる補正素子として機能させる。偏光板110が補正素子として機能する場合、偏光板110は中心部と周辺部とで分光透過率が異なる特性を有する。また、PBS114が補正素子として機能する場合、PBS114は中心部と周辺部とで分光透過率と分光反射率との少なくとも一方が異なる特性を有する。これにより、右眼用画像表示素子108の中心部から射出された第1の光と最も外側の最周辺部から射出された第2の光が右眼用接眼光学系を通過する前よりも通過した後において、第1の光に対する第2の光の色ずれを小さくすることができる。すなわち、右眼用画像表示素子108の周辺部の色ずれをキャンセルすることができる。図7は、偏光板110とPBS114の特性の説明図である。図7(a)は、偏光板110の波長ごとの入射角0度の光に対する透過率(分光透過率)を示している。図7(b)は、PBS114の波長ごとの入射角0度の光に対する反射率(分光反射率)を示している。図7(c)は、PBS114の波長ごとの入射角0度の光に対する透過率(分光透過率)を示している。画像表示素子の青色の主波長は450nm、緑色の主波長は525nm、赤色の主波長は610nmであり、図7では各波長での透過率と反射率を示している。なお、青色の波長(第1の波長)は、430nmから480nmの範囲に含まれていればよい。また、緑色の波長(第2の波長)は、520nmから570nmの範囲に含まれていればよい。また、赤色の波長(第3の波長)は、600nmから650nmの範囲に含まれていればよい。また、中心部と周辺部で分光透過率を異ならせる場合、変化が目立たないように徐々に変化させることが望ましい。
図7(a)に示されるように、偏光板110の青色と緑色の透過率は入射角が大きくなっても変化は小さいが、赤色の透過率は入射角が大きくなると下がる。PBS114の反射率と透過率も同様の傾向である。右眼用画像表示素子108の周辺部から射出された光は、出射角が大きく、偏光板110及びPBS114への入射角も大きい。そのため、右眼用画像表示素子108の周辺部から射出された赤く色ずれした光は、偏光板110を透過し、PBS114で反射と透過をすることで、赤色の強度が低下し色ずれを低減することができる。
図8は、接眼光学系の色ずれの説明図であり、接眼光学系を通過した後の出射角と色度の関係を示している。画像表示素子単体では出射角が大きくなると図6に示されるように赤色の方に色度が変化するが、接眼光学系を通過すると図8に示されるように色度の変化が小さくなり、色ずれを低減することができる。本実施形態において、画像表示素子単体では出射角が大きくなると色度座標上での色度差xは0.1、色度差yは0.055であるが、接眼光学系を通過すると色度差xを0.04、色度差yを0.015に低減することができる。観察者が色ずれに気付きにくく自然な画像観察をするためには、色度座標上での色度差xは0.05以下、色度差yは0.05以下であることが望ましい。
本実施形態では、画像表示素子の周辺部から射出瞳に射出された光の強度と画像表示素子の中心部から射出瞳に射出された光の強度との比が最も大きい波長は赤色の主波長の610nmであり、出射角が大きくなると赤い色ずれが発生する。そこで、赤色、緑色、及び青色の波長の中で偏光板110の透過率とPBS114の透過率及び反射率が最も低い波長を赤色とすることで、画像表示素子の色ずれをキャンセルする。このように、右眼用画像表示素子108の中心部に対する周辺部の色ずれを色補正素子である偏光板110とPBS114の中心部と周辺部で分光透過率が異なる特性により低減することで、観察者はより自然な画像観察をすることが可能となる。
本実施形態の右眼用接眼光学系では、右眼用画像表示素子108の水平端から射出された光の出射角は37度、水平表示半画角は22.5度であり、偏光板110への入射角の方がPBS114への入射角よりも大きい。そのため、右眼用画像表示素子108に近い偏光板110の特性で右眼用画像表示素子108の出射角特性をキャンセルすることが望ましい。
また、右眼用接眼光学系の光路では、PBS114が反射と透過で2回作用するため、PBS114の特性で右眼用画像表示素子108の出射角特性をキャンセルすると色ずれの低減効果が高い。右眼用画像表示素子108のカラーフィルターの配列により、水平方向と垂直方向で色ずれの方向が異なる場合、偏光板110やPBS114の特性を水平方向と垂直方向で変えてもよい。右眼用画像表示素子108から射出された光の出射角が大きいとき、水平方向では赤く、垂直方向では青く色ずれする場合、偏光板110の水平方向の特性を赤の透過率が低く、垂直方向の特性を青の透過率が低くなるように設定してもよい。
本実施形態では、右眼用画像表示素子108から射出された光の出射角が大きい場合の色度のずれを低減するが、色差ΔEのずれを低減するように設定してもよい。その場合、色差ΔEは15以下であることが望ましい。
本実施形態では、レンズ104のハーフミラー112が蒸着されている面は、右眼用画像表示素子108に向かって凸の凸面である。凸面にハーフミラー112を蒸着することで、HMD101を薄型化しつつ広画角を実現することができる。また、ハーフミラー112が蒸着されている凸面を非球面形状とすることで、収差補正効果を高めることができる。
本実施形態では、レンズ105,107は、樹脂レンズであるが、外形が小さく重量増加の影響が小さいため、ガラスレンズであってもよい。ガラスレンズの複屈折は非常に小さいため、高品位な画像観察が可能となる。
また、外光のゴースト光を低減して観察画像のコントラストを高めるために、PBS114と観察者の眼球との間に偏光板を配置してもよい。
本実施形態では、アイレリーフを長くすること、及びHMD101を薄型化することを両立するため、レンズ104の位相板113とPBS114が配置されている観察者の右眼202の側の面を平面としている。レンズ104の観察者の側の面が観察者に向かって凹の凹面である場合、周辺部でのアイレリーフを確保するためにレンズ104が厚くなる。また、凸面である場合、レンズコバ部の厚さを確保するためにレンズ104が厚くなる。
本実施形態では、位相板111,113は位相差がλ/4の波長板であるが、レンズ104,105の複屈折をキャンセルするように、位相差がλ/4からずれていてもよい。この場合、レンズ104と位相板113の位相差の和が3λ/20以上かつ7λ/20以下であることが望ましい。また、レンズ105と位相板111の位相差の和が3λ/20以上かつ7λ/20以下であることが望ましい。上記範囲を外れるとゴースト光の強度が増えてしまい、自然な画像観察ができなくなる。
右眼用画像表示素子108は、本実施形態では、有機ELとして無偏光の光を放射するが、液晶ディスプレイとして直線偏光の光を放射してもよい。この場合、偏光板110が不要となり、HMD101の薄型化と部品点数を削減することができる。
本実施形態では、接眼光学系において、直線偏光の方向で透過と反射を切り替えるPBS114を用いるが、円偏光の向きで透過と反射を切り替える偏光分離素子を用いてもよい。この場合、位相板113が不要となり、HMD101の薄型化と部品点数を削減することができる。
[第2実施形態]
図9は、本実施形態に係る画像表示装置の一例であるヘッドマウントディスプレイ(以下、HMD)201の説明図である。HMD201は、レンズ204,205,206,207、右眼用画像表示素子208、及び左眼用画像表示素子209を有する。レンズ204,205により右眼用接眼光学系が構成され、レンズ206,207により左眼用接眼光学系が構成される。レンズ204,205やレンズ206,207は、接合レンズであり、保持を容易に行うことができる。右眼用画像表示素子208及び左眼用画像表示素子209は、有機ELディスプレイである。
右眼用接眼光学系は、右眼用画像表示素子208に表示された原画像を虚像として拡大投影して観察者の右眼202に導く。左眼用接眼光学系は、左眼用画像表示素子209に表示された原画像を虚像として拡大投影して観察者の左眼203に導く。右眼用接眼光学系と左眼用接眼光学系の焦点距離は13mm、水平表示画角は60°、垂直表示画角は60°、対角表示画角は78°である。また、HMD201と観察者の眼球との距離(アイレリーフ)は、20mmである。
本実施形態の接眼光学系は、偏光を利用して光路を折り畳む構成を備える。接眼光学系の光路について右眼用接眼光学系で説明する。図10は、本実施形態の右眼用接眼光学系の説明図である。右眼用接眼光学系は、右眼用画像表示素子208の側から順に、偏光板(第1偏光板)210、位相板(第1位相板)211、レンズ205,204、位相板(第2位相板)213、偏光分離素子(以下、PBS)214、及び偏光板(第2偏光板)215を含む。レンズ204のレンズ205側の面には、ハーフミラー212が蒸着される。ハーフミラー212が蒸着される面は、半透過反射面として作用する。位相板213、PBS214、及び偏光板215は、平面形状である。位相板211,213は、位相差がλ/4の波長板である。
本実施形態では、偏光板210が透過する偏光方向に対して位相板211の遅相軸は45°傾き、偏光板210が透過する偏光方向に対して位相板213の遅相軸は-45°傾き、偏光板210が透過する偏光方向とPBS214が透過する偏光方向は直交する。また、PBS214が透過する偏光方向と偏光板215が透過する偏光方向は同じである。このような構成において、右眼用画像表示素子208から射出された光は、偏光板210を透過して直線偏光となり、位相板211を透過して円偏光となる。その後、ハーフミラー212を透過した後、位相板213を透過して直線偏光になる。該直線偏光は、偏光方向がPBS214で透過する偏光方向に直交するため、PBS214で反射し位相板213を透過して円偏光となる。その後、ハーフミラー212で反射した後、位相板213を透過して直線偏光になる。該直線偏光は、偏光方向がPBS214で透過する偏光方向と一致するため、PBS214及び偏光板215を透過して観察者の右眼202に導かれる。左眼用接眼光学系についても同様の光路である。
本実施形態では、外光のゴースト光を低減して観察画像のコントラストを高めるために、PBS214と観察者の右眼202との間に偏光板215を配置する。
本実施形態のように接眼光学系を、偏光を利用して光路を折り畳む構成を備えることで、HMD201を薄型化可能であると共に、接眼光学系の焦点距離を短くできるため、広画角な画像観察を実現することができる。
HMD201は、頭部装着型の画像表示装置であるため、軽量であることが望ましい。そのため、接眼光学系を構成するレンズは、硝子よりも比重の小さい樹脂で作製されることが望ましい。本実施形態では、レンズ204,205,206,207を樹脂の非球面レンズとすることで収差補正効果を高めている。
本実施形態の接眼光学系では、射出瞳の位置をアイレリーフ(=20mm)に眼球の回転半径(=10mm)を加えた30mmの位置とし、射出瞳径を6mmとしている。これにより、上下左右を画像観察するために眼球が回転した際にも、その方向の光が眼球に入射する。眼鏡をかけている観察者もHMD201を装着できるように、アイレリーフは15mm以上であることが望ましい。また、アイレリーフが長くなると、レンズの外形が大きくなりHMD201が大型化するため、アイレリーフは25mm以下であることが望ましい。
本実施形態の接眼光学系は、焦点距離が短く、薄型であるため、画像表示素子の周辺部から接眼光学系の射出瞳に射出された光の出射角は大きい。図11は、本実施形態の画像表示素子から射出された光の出射角の説明図であり、表示画角と画像表示素子から射出瞳に射出された光の出射角との関係を示している。画像表示素子から射出された光の出射角は、射出瞳の中心に導かれる主光線の出射角としている。図11に示されるように、表示画角が大きくなると出射角は大きくなり、画像表示素子の水平端及び垂直端から射出された光の出射角は47度である。接眼光学系の焦点距離を短くしてHMD201の薄型化を実現するためには、画像表示素子から射出瞳の中心に射出された光の出射角は30度以上であることが望ましい。
画像表示素子から射出された光の出射角が大きくなると、有機ELの発光層の干渉やカラーフィルターの混色の影響で色ずれが発生する。本実施形態では、画像表示素子から射出された光の出射角が大きくなると、図12に示されるように、青色の方に色度が変化して色ずれが発生する。そのため、観察者が白い画像を観察する場合、周辺部を画像観察すると青色が観察され、自然な画像観察ができなくなってしまう。
そこで、本実施形態では、偏光板210,215の少なくとも一方を、中心部と該中心部とは異なる領域(周辺部)とで特性が異なる補正素子として機能させる。具体的には、偏光板210,215の少なくとも一方は、中心部と周辺部とで分光透過率が異なる特性を有する。これにより、右眼用画像表示素子208の中心部から射出された第1の光と最も外側の最周辺部から射出された第2の光が右眼用接眼光学系を通過する前よりも通過した後において、第1の光に対する第2の光の色ずれを小さくすることができる。すなわち、右眼用画像表示素子208の周辺部の色ずれをキャンセルすることができる。図13は、偏光板210,215の特性の説明図である。図13(a)及び図13(b)はそれぞれ、偏光板210,215の波長ごとの入射角0度の光に対する透過率(分光透過率)を示している。画像表示素子の青色の主波長は470nm、緑色の主波長は545nm、赤色の主波長は605nmであり、図13では各波長での透過率を示している。なお、青色の波長(第1の波長)は、430nmから480nmの範囲に含まれていればよい。また、緑色の波長(第2の波長)は、520nmから570nmの範囲に含まれていればよい。また、赤色の波長(第3の波長)は、600nmから650nmの範囲に含まれていればよい。
図13(a)に示されるように、偏光板210の緑色と赤色の透過率は入射角が大きくなっても変化は小さいが、青色の透過率は入射角が大きくなると下がる。偏光板215の透過率も同様の傾向である。右眼用画像表示素子208の周辺部から射出された光は、出射角が大きく、偏光板210,215への入射角も大きい。そのため、右眼用画像表示素子208の周辺部から射出された青く色ずれした光は、偏光板210,215を透過することで、青色の強度が低下し色ずれを低減することができる。
図14は、接眼光学系の色ずれの説明図であり、接眼光学系を通過した後の出射角と色度の関係を示している。画像表示素子単体では出射角が大きくなると図12に示されるように青色の方に色度が変化するが、接眼光学系を通過すると図14に示されるように色度の変化が小さくなり、色ずれを低減することができる。本実施形態において、画像表示素子単体では出射角が大きくなると色度座標上での色度差xは0.055、色度差yは0.07であるが、接眼光学系を通過すると色度差xを0.015、色度差yを0.02に低減することができる。ここで、観察者が色ずれに気付きにくく自然な画像観察をするためには、色度座標上での色度差xは0.05以下、色度差yは0.05以下であることが望ましい。
本実施形態では、画像表示素子の中心部から射出瞳に射出された光の強度に対する画像表示素子の周辺部から射出瞳に射出された光の強度の比の値が最も大きい波長は青色の主波長の470nmであり、出射角が大きくなると青い色ずれが発生する。そこで、赤色、緑色、及び青色の波長の中で偏光板210,215の透過率が最も低い波長を青色とすることで、画像表示素子の色ずれをキャンセルする。このように、画像表示素子の中心部に対する周辺部の色ずれを色補正素子である偏光板210,215の中心部と周辺部で分光透過率が異なる特性により低減することで、観察者はより自然な画像観察をすることが可能となる。
本実施形態の右眼用接眼光学系では、右眼用画像表示素子208の水平端から射出された光の出射角は47度、水平表示半画角は30度であり、偏光板210への入射角の方が偏光板215への入射角よりも大きい。そのため、右眼用画像表示素子208に近い偏光板210の特性で画像表示素子の出射角特性をキャンセルすることが望ましい。また、右眼用画像表示素子208の水平端から射出された光の出射角よりも水平表示半画角の方が大きく、偏光板215への入射角の方が偏光板210への入射角よりも大きい場合がある。この場合、偏光板215の特性で右眼用画像表示素子208の出射角特性をキャンセルすることが望ましい。
本実施形態では、偏光板の特性で画像表示素子から射出された光の出射角による色ずれをキャンセルするが、位相板の特性でキャンセルしてもよい。その場合、偏光板やPBSと組み合わせた場合の透過率や反射率を変えるために、位相板の波長ごとの透過率(分光透過率)を変えてもよいし、位相板の波長ごとの位相量を変えてもよい。
また、ハーフミラーの中心部と該中心部とは異なる領域とで分光透過率と分光反射率の少なくとも一方が異なる特性で画像表示素子から射出された光の出射角による色ずれをキャンセルしてもよい。その場合、図9に示されるように、画像表示素子の中心部から射出された光と周辺部から射出された光のハーフミラー透過時の入射角の差は大きいが、ハーフミラー反射時の入射角の差は小さい。そのため、ハーフミラー透過時の特性で色ずれをキャンセルすることが望ましい。
本実施形態では、画像表示素子から射出された光の出射角が大きい場合、光の出射方向によらず青色に色ずれする。ずれる色が同じであるため、入射方向に応じて偏光板の特性を変える必要がない。また、ずれる色が人間の比視感度が低い色である青色であるため、画像表示素子から射出された光の強度が高くなっても観察者が感じる色ずれは小さい。
偏光板210の特性が水平方向と垂直方向で異なる場合、人間の視野は垂直方向よりも水平方向が広く、観察者は水平方向の色ずれを気付きやすいため、水平方向の色ずれが小さくなる特性とすることが望ましい。例えば、水平方向の特性を、青色のキャンセル効果が高い図15(a)、垂直方向の特性を図15(b)のようにすればよい。また、偏光板215の特性が水平方向と垂直方向で異なる場合、水平方向の色ずれが小さくなる特性とすることが望ましい。
本実施形態では、右眼用画像表示素子208から射出された光の出射角が大きい場合の色度のずれを低減するが、偏光板210,215の特性を色差ΔEのずれを低減するように設定してもよい。その場合、色ごとの透過率や反射率の絶対値を変えてもよい。
本実施形態では、レンズ204のハーフミラー112が蒸着されている面は、右眼用画像表示素子208に向かって凸の凸面である。凸面にハーフミラー212を蒸着することで、HMD201を薄型化しつつ広画角を実現することができる。また、ハーフミラー212が蒸着されている凸面を非球面形状とすることで、収差補正効果を高めることができる。
本実施形態では、レンズ204,205は接合されているため、ハーフミラー212が蒸着されている面をレンズ205の観察者の右眼202の側の面としてもよい。その場合でもハーフミラー212が蒸着されている面は、右眼用画像表示素子208に向かって凸の凸面である。
本実施形態では、アイレリーフを長くすること、及びHMD201を薄型化することを両立するため、レンズ204の位相板213とPBS214が形成されている観察者の右眼202の側の面を平面としている。
本実施形態では、位相板211,213は位相差がλ/4の波長板であるが、レンズ204,205の複屈折をキャンセルするように、位相差がλ/4からずれていてもよい。この場合、レンズ204と位相板213の位相差の和が3λ/20以上かつ7λ/20以下であることが望ましい。また、レンズ205と位相板211の位相差の和が3λ/20以上かつ7λ/20以下であることが望ましい。上記範囲を外れるとゴースト光の強度が増えてしまい、自然な画像観察ができなくなる。
[第3実施形態]
図16は、本実施形態に係る画像表示装置の一例であるヘッドマウントディスプレイ(以下、HMD)301の説明図である。HMD301は、レンズ304,305,306,307、右眼用画像表示素子308、及び左眼用画像表示素子309を有する。レンズ304,305により右眼用接眼光学系が構成され、レンズ306,307により左眼用接眼光学系が構成される。レンズ304,305やレンズ306,307は、接合レンズであり、保持を容易に行うことができる。右眼用画像表示素子308及び左眼用画像表示素子309は、有機ELディスプレイである。
右眼用接眼光学系は、右眼用画像表示素子308に表示された原画像を虚像として拡大投影して観察者の右眼302に導く。左眼用接眼光学系は、左眼用画像表示素子309に表示された原画像を虚像として拡大投影して観察者の左眼303に導く。右眼用接眼光学系と左眼用接眼光学系の焦点距離は13mm、水平表示画角は60°、垂直表示画角は60°、対角表示画角は78°である。また、HMD201と観察者の眼球との距離(アイレリーフ)は、20mmである。
本実施形態の接眼光学系は、偏光を利用して光路を折り畳む構成を備える。接眼光学系の光路について右眼用接眼光学系で説明する。図17は、本実施形態の右眼用接眼光学系の説明図である。右眼用接眼光学系は、右眼用画像表示素子308の側から順に、偏光板(第1偏光板)310、位相板(第1位相板)311、レンズ305,304、位相板(第2位相板)313、偏光分離素子(以下、PBS)314、及び偏光板(第2偏光板)315を含む。レンズ304のレンズ305側の面には、ハーフミラー312が蒸着される。ハーフミラー312が蒸着される面は、半透過反射面として作用する。位相板313、PBS314、及び偏光板315は、平面形状である。位相板311,313は、位相差がλ/4の波長板である。接眼光学系の光路については、第1実施形態又は第2実施形態と同様であるため、説明は省略する。
本実施例の接眼光学系は焦点距離が短く、薄型であるため、画像表示素子の周辺部から接眼光学系の射出瞳に向かって出射する光の出射角は大きく、画像表示素子の水平端及び垂直端から射出された光の出射角は47度である。接眼光学系の焦点距離を短くしてHMD101の薄型化を実現するためには、画像表示素子の周辺部から射出瞳の中心に射出された光の出射角は30度以上であることが望ましい。
画像表示素子から射出された光の出射角が大きくなると、有機ELの発光層の干渉やカラーフィルターの混色の影響で色ずれが発生する。本実施形態では、画像表示素子から射出された光の出射角が大きくなると、カラーフィルターの混色により表示画面の右端は青色の方に、左端は赤色の方に色ずれが発生する。そのため、観察者が白い画像を観察する場合、周辺部を画像観察すると赤色や青色が観察され、自然な画像観察ができなくなってしまう。
そこで、本実施形態では、偏光板310を、中心部と該中心部以外の領域(周辺部)とで特性が異なる補正素子として機能させる。具体的には、偏光板310は、中心部、周辺部の右端、及び周辺部の左端で分光透過率が異なる特性を有する。これにより、右眼用画像表示素子308の中心部から射出された第1の光と最も外側の最周辺部から射出された第2の光が右眼用接眼光学系を通過する前よりも通過した後において、第1の光に対する第2の光の色ずれを小さくすることができる。すなわち、右眼用画像表示素子308の周辺部の右端の青色及び左端の赤色の色ずれをキャンセルすることができる。図18は、偏光板310の特性の説明図であり、偏光板310の中心部、周辺部の右端、及び周辺部の左端の分光透過率を示している。図18に示されるように、偏光板310の中心の透過率に対して、右端では青色側の波長の透過率を下げ、左端では赤色側の波長の透過率を下げている。そのため、画像表示素子の右端から射出された青く色ずれした光は偏光板310の右端を透過することで強度が低下し、青色の色ずれが低減される。また、右眼用画像表示素子308の左端から射出された赤く色ずれした光は偏光板310の左端を透過することで強度が低下し、赤色の色ずれが低減される。右眼用画像表示素子308の青色の主波長は470nm、緑色の主波長は545nm、赤色の主波長は605nmである。なお、青色の波長(第1の波長)は、430nmから480nmの範囲に含まれていればよい。また、緑色の波長(第2の波長)は、520nmから570nmの範囲に含まれていればよい。また、赤色の波長(第3の波長)は、600nmから650nmの範囲に含まれていればよい。
以上説明したように、右眼用画像表示素子308の中心部に対する周辺部の色ずれを、色補正素子である偏光板310の中心部と周辺部の分光透過率を変えることで低減することができるため、観察者はより自然な画像観察が可能となる。
本実施形態では、図16に示されるように、右眼用画像表示素子308に近い偏光板310の光束幅が小さく画角ごとに分離しやすいため、偏光板310の場所ごとの特性で右眼用画像表示素子308の出射角特性をキャンセルすることが望ましい。
本実施形態では、偏光板の特性で画像表示素子から射出された光の出射角による色ずれをキャンセルするが、位相板の特性でキャンセルしてもよい。その場合、偏光板やPBSと組み合わせた場合の透過率や反射率を変えるために、位相板の波長ごとの透過率(分光透過率)を変えてもよいし、位相板の波長ごとの位相量を変えてもよい。
また、ハーフミラーの中心部と該中心部とは異なる領域とで分光透過率と分光反射率の少なくとも一方が異なる特性で画像表示素子から射出された光の出射角による色ずれをキャンセルしてもよい。その場合、図16に示されるように、画像表示素子からの光の光束幅が小さく画角ごとに分離しやすいため、ハーフミラーの場所ごとの特性で色ずれをキャンセルすることが望ましい。
[第4実施形態]
図19は、本実施形態に係る画像表示装置の一例であるヘッドマウントディスプレイ(以下、HMD)401の説明図である。HMD401は、レンズ404,405,406,407、右眼用画像表示素子408、及び左眼用画像表示素子409を有する。レンズ404,405により右眼用接眼光学系が構成され、レンズ406,407により左眼用接眼光学系が構成される。右眼用画像表示素子408及び左眼用画像表示素子409は、有機ELディスプレイである。
右眼用接眼光学系は、右眼用画像表示素子408に表示された原画像を虚像として拡大投影して観察者の右眼402に導く。左眼用接眼光学系は、左眼用画像表示素子409に表示された原画像を虚像として拡大投影して観察者の左眼403に導く。右眼用接眼光学系と左眼用接眼光学系の焦点距離は10mm、水平表示画角は90°、垂直表示画角は90°、対角表示画角は110°である。また、HMD201と観察者の眼球との距離(アイレリーフ)は、12mmである。
本実施形態の接眼光学系は、偏光を利用して光路を折り畳む構成を備える。該構成は、実施例1と同様であるため、詳細な説明は省略する。
本実施例の接眼光学系は焦点距離が短く、薄型であるため、画像表示素子の周辺部から接眼光学系の射出瞳に向かって出射する光の出射角は大きく、画像表示素子の水平端及び垂直端から射出された光の出射角は60度である。接眼光学系の焦点距離を短くしてHMD101の薄型化を実現するためには、画像表示素子の周辺部から射出瞳の中心に射出された光の出射角は30度以上であることが望ましい。
画像表示素子から射出された光の出射角が大きくなると、有機ELの発光層の干渉やカラーフィルターの混色の影響で色ずれが発生する。本実施形態では、画像表示素子から射出された光の出射角が大きくなると、カラーフィルターの混色により表示画面の周辺部に青い色ずれが発生する。そのため、観察者が白い画像を観察する場合、周辺部を画像観察すると青色が観察され、自然な画像観察ができなくなってしまう。
そこで、本実施形態では、レンズ405,407の少なくとも一方を、中心部と該中心部とは異なる領域(周辺部)とで特性が異なる補正素子として機能させる。具体的には、レンズ405,407の画像表示素子の側の曲面に蒸着する反射防止膜が、中心部と周辺部とで分光透過率が異なる特性を有する。これにより、画像表示素子の中心部から射出された第1の光と最も外側の最周辺部から射出された第2の光が接眼光学系を通過する前よりも通過した後において、第1の光に対する第2の光の色ずれを小さくすることができる。すなわち、画像表示素子の周辺部の色ずれをキャンセルすることができる。
以上説明したように、画像表示素子の中心部に対する周辺部の色ずれを、色補正素子であるレンズ405,407の反射防止膜の中心部と周辺部の分光透過率を変えることで低減することができるため、観察者はより自然な画像観察が可能となる。
レンズ405,407の画像表示素子の側の曲面は画像表示素子の中心部からの光の入射角と周辺部からの光の入射角との差が大きいため、レンズ405,407の画像表示素子の側の曲面に蒸着する反射防止膜の特性で色ずれを低減することが望ましい。また、レンズ404,406の両面やレンズ405,407の観察者の側の面にも同様の特性の反射防止膜を蒸着してもよい。その場合、色ずれ低減の効果を大きくすることができる。
また、画像表示素子のカバーガラスも画像表示素子の中心部からの光の入射角と周辺部からの光の入射角との差が大きいため、カバーガラスに反射防止膜を蒸着し、その特性を入射角が大きくなるにつれて青色の波長の透過率が下がるようにしてもよい。
更に、図20に示されるように、右眼用画像表示素子408とレンズ405との間と左眼用画像表示素子409とレンズ407との間に色補正素子410,411を配置して、色補正素子410,411の特性で周辺部の色ずれをキャンセルしてもよい。そのとき、色補正素子410,411の特性は、入射角が大きくなるにつれて青色の波長の透過率が下がるようにする。
また、第3実施形態のように右端が青色、左端が赤色のように表示画面の場所ごとにずれる色が異なる場合、レンズ405,407の反射防止膜の特性を中心部、及び周辺部の右端と左端で変えればよい。具体的には、反射防止膜の中心の透過率に対して、右端では青色側の波長の透過率を下げて、左端では赤色側の波長の透過率を下げればよい。これにより、画像表示素子の右端から射出された青く色ずれした光はレンズ405,407の右端を透過することで強度が低下し、青色の色ずれが低減される。また、画像表示素子の左端から射出された赤く色ずれした光はレンズ405,407の左端を透過することで強度が低下し、赤色の色ずれが低減される。この場合でも、レンズ404,406の反射防止膜、カバーガラスの反射防止膜、又は色補正素子410,411の分光透過率を中心に対して右端と左端で変えることで、色ずれを低減してもよい。
[第5実施形態]
図21は、本実施形態に係る画像表示装置の一例であるヘッドマウントディスプレイ(以下、HMD)501の説明図である。図22は、HMD501がPC510に接続されている状態を示す図である。
HMD501は、レンズ504,505,506,507、右眼用画像表示素子508、左眼用画像表示素子509、及び画像処理部511を有する。レンズ504,505により右眼用接眼光学系が構成され、レンズ506,507により左眼用接眼光学系が構成される。レンズ504,505やレンズ506,507は、接合レンズであり、保持を容易に行うことができる。右眼用画像表示素子508及び左眼用画像表示素子509は、有機ELディスプレイである。
右眼用接眼光学系は、右眼用画像表示素子508に表示された原画像を虚像として拡大投影して観察者の右眼502に導く。左眼用接眼光学系は、左眼用画像表示素子509に表示された原画像を虚像として拡大投影して観察者の左眼503に導く。右眼用接眼光学系と左眼用接眼光学系の焦点距離は13mm、水平表示画角は60°、垂直表示画角は60°、対角表示画角は78°である。また、HMD201と観察者の眼球との距離(アイレリーフ)は、20mmである。
本実施形態の接眼光学系は、偏光を利用して光路を折り畳む構成を備える。該構成は、実施例2と同様であるため、詳細な説明は省略する。
本実施例の接眼光学系は焦点距離が短く、薄型であるため、画像表示素子の周辺部から接眼光学系の射出瞳に向かって出射する光の出射角は大きく、画像表示素子の水平端及び垂直端から射出された光の出射角は47度である。接眼光学系の焦点距離を短くしてHMD101の薄型化を実現するためには、画像表示素子の周辺部から射出瞳の中心に射出された光の出射角は30度以上であることが望ましい。
画像表示素子から射出された光の出射角が大きくなると、有機ELの発光層の干渉やカラーフィルターの混色の影響で色ずれが発生する。本実施形態では、画像表示素子から射出された光の出射角が大きくなると、カラーフィルターの混色により表示画面の周辺部に青い色ずれが発生する。そのため、観察者が白い画像を観察する場合、周辺部を画像観察すると青色が観察され、自然な画像観察ができなくなってしまう。
そこで、本実施形態では、画像表示素子に表示する画像の中心部と周辺部の特性を変えることで周辺部の色ずれをキャンセルする。画像表示素子に表示する画像は、接眼光学系の分光透過率を考慮したホワイトバランスとしており、通常は画像表示素子の全面で同じホワイトバランスとしている。本実施形態では、中心部に対して周辺部で色ずれが発生するため、画像処理部511により中心部と周辺部とでホワイトバランスを変えることで周辺部の色ずれを低減する。本実施形態では、周辺部の画像は青く色ずれするため、周辺部のホワイトバランスを、青色に対して赤色と緑色のゲインを上げて中心に対して黄色になるように調整する。これにより、画像表示素子の周辺部に表示された画像は、ホワイトバランスが中心部に対して黄色になっており、出射角が大きいことで青く色ずれするため、射出された画像は中心部に対して色ずれが低減された画像となる。
ここで、画像表示素子の青色の主波長は470nm、緑色の主波長は545nm、赤色の主波長は605nmである。なお、青色の波長(第1の波長)は、430nmから480nmの範囲に含まれていればよい。また、緑色の波長(第2の波長)は、520nmから570nmの範囲に含まれていればよい。また、赤色の波長(第3の波長)は、600nmから650nmの範囲に含まれていればよい。
本実施形態では、画像表示素子の周辺部から射出瞳に射出される光の強度と画像表示素子の中心部から射出瞳に射出される光の強度との比が最も大きい波長は、青色の主波長の470nmであり、出射角が大きくなると青い色ずれが発生する。そこで、赤色、緑色、及び青色の波長の中で画像表示素子の周辺部のゲインと中心部のゲインとの比が最も小さい波長を青色の波長とすることで、画像表示素子の色ずれをキャンセルする。このように、中心部と周辺部のホワイトバランスを変えることで画像表示素子の中心部に対する周辺部の色ずれを低減することができ、観察者はより自然な画像観察が可能となる。なお、中心部に対して周辺部のホワイトバランスを変える場合、中心部から周辺部にかけて徐々に変えてもよいし、最周辺部のみ変えてもよい。また、本実施形態のように周辺部の色ずれが場所によらず青色である場合、中心部から周辺部にかけて変化させる色ごとのゲインの値を中心部からの距離の関数として保持してもよい。その場合、マップとして保持する場合に比べて必要なメモリを削減することができる。
本実施形態では、画像処理部511がホワイトバランスを変えているが、HMD501の表示画像を生成するPC510で変えてもよい。この場合、HMD501の内部での処理が低減されるため、画像処理部511の低消費電力化を実現することができる。
画像表示素子が液晶ディスプレイで周辺部の色ずれが場所によって異なり、右端が青く、左端が赤く色ずれする場合、右端と左端の特性を変えることで色ずれを低減することができる。この場合、右端の画像は青く色ずれしているため、右端のホワイトバランスを、青色に対して赤色と緑色のゲインを上げて中心部に対して黄色になるように調整する。また、左端の画像は赤く色ずれしているため、左端のホワイトバランスを、赤色に対して緑色と青色のゲインを上げて中心に対して青緑色(シアン)になるように調整する。これにより、画像表示素子の右端に表示された画像は、ホワイトバランスが中心部に対して黄色になっており、出射角が大きいことで青く色ずれするため、射出された画像は中心に対して色ずれが低減される。また、画像表示素子の左端に表示された画像は、ホワイトバランスが中心部に対して青緑色になっており、出射角が大きいことで赤く色ずれするため、射出された画像は中心に対して色ずれが低減される。
[第6実施形態]
図23は、本実施形態の右眼用接眼光学系の説明図である。本実施形態に係る右眼用接眼光学系は、補正素子として右眼用画像表示素子108と偏光板110との間に設置された誘電体多層膜(マイナスフィルタ)601を有している点で、第1実施形態に係る右眼用接眼光学系とは異なる。本実施形態において第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。本実施形態においては、マイナスフィルタ601により前述の色ずれを低減させる。以下、この誘電体多層膜で色ずれを低減させる手法について説明する。
まず一般的に、誘電体多層膜は高屈折率の誘電体膜と低屈折率の誘電体膜を交互に積層させることで特定の波長域での透過率を低下させることができる光学フィルタとして利用されている。本明細書では、周囲の波長域よりも透過率が低下している波長域を阻止帯域、その他の高透過率波長域を透過帯域と称する。阻止帯域の幅が比較的狭く、図24に示すように局所的に透過率が低下するような特性を持つフィルタはマイナスフィルタとして知られている。図24のマイナスフィルタは500nm近辺の低透過率領域が阻止帯域であり、それ以外の高透過率域が透過帯域である。フィルタの多層膜の構成、材料等は必要な特性に応じて適宜設計される。このような誘電体多層膜を利用した光学フィルタは基本的に干渉の効果により所望の透過特性を得るように設計されているため、図25に示すように0度入射時の特性に対し、斜め入射時には透過特性が短波長側にシフトすることが知られている。本実施形態では、図23の有機EL側の面にマイナスフィルタが形成されており、下記表に層構成を示す。基板はBK7ガラスであり、高屈折率材料としてTa、低屈折率材料としてSiOを使用し、これらを60層積層した構成となっている。
Figure 2023075004000002
図26は本実施形態における、0度射出方向の有機ELパネルの発光スペクトル分布およびマイナスフィルタ601の0度入射方向の透過率分布である。図27は30度射出方向の有機ELパネルの発光スペクトル分布およびマイナスフィルタ601の30度入射方向の透過率分布である。図28は50度射出方向の有機ELパネルの発光スペクトル分布およびマイナスフィルタ601の50度入射方向の透過率分布である。まず、マイナスフィルタ601が無い場合の0度射出方向に対する30度射出方向の光の色差ΔE*abは15.6であり、色度差Δxの絶対値は0.0024、色度差のΔyの絶対値は0.0227である。また、マイナスフィルタ601が無い場合の0度射出方向に対する50度射出方向の光の色差ΔE*abは27.0であり、色度差Δxの絶対値は0.0009、色度差Δyの絶対値は0.03608である。
図26、図27、図28の発光スペクトルから、射出角度が大きくなると青の強度が強くなり色差および色度差がついていることがわかる。本実施形態で配置されているマイナスフィルタは、図26に示すように0度入射時に500nm近辺に阻止帯域を持つように設計されている。また、マイナスフィルタは、図27及び図28に示すように斜め入射により阻止帯域が短い波長側にシフトし、徐々に青の波長領域の光の透過率を下げるように機能する。この結果、本実施形態ではマイナスフィルタ601を通ることにより、0度射出方向に対する30度射出方向の光の色差ΔE*abは6.5、色度差Δxの絶対値は0.007、色度差Δyの絶対値は0.004となる。また、0度射出方向に対する50度射出方向の光の色差ΔE*abは10.2、色度差Δxの絶対値は0.018、色度差Δyの絶対値は0.013となる。
このように、有機ELディスプレイが斜め方向の射出により青が強くなる色ずれ特性を、マイナスフィルタの阻止帯域が斜め透過時に短波長側にシフトすることを利用して低減させている。本実施形態のように、ディスプレイの青成分が強くなる傾向を持つ場合、0度入射時の誘電体フィルタの阻止帯域が一般的な青の波長である430~480nmと緑の波長である520~570nmの間に存在するように設計しておく。これにより、垂直入射時には色に対する変化が少なく、かつ斜め入射時に青の成分を低減させることができる。このように、出射角に対して低減させたい色成分よりも長い波長側に阻止帯域を存在すれば、斜め入射時に可視光域内の阻止帯域のシフトすることにより色差もしくは色度差を低減させることができる。これは緑(520~570nm)や赤(600~650nm)の成分に対しても同様のことが言える。また、複数の色成分に対して補正を行う場合は阻止帯域が複数存在するフィルタを使用することも可能である。
本実施例の画像表示素子単体では50度方向の出射角では色度差の絶対値はxが0.0009、yが0.03608である。接眼光学系を通過すると色度差の絶対値はxが0.018と増えたが、yが0.013に低減できている。ここで、観察者が色ずれに気付きにくく自然な観察をするためには、色度差の絶対値はx、yそれぞれともに0・03以下であることが望ましい。本実施形態では、色度差が自然な観察をすることが可能なレベルに補正されていることがわかる。
また、色差ΔE*abは27.0から10.2まで低減できている。ここで、観察者が色ずれに気付きにくく自然な観察をするためには、色度座標上での色度差ΔE*abは15以下であることが望ましい。本実施形態では、色差が自然な観察をすることが可能なレベルに補正されていることがわかる。
本実施形態では、フィルタを別部品としえて配置したが、有機ELパネルのカバーガラス表面に設置すればスペースは部品を減らすことができて好ましい。また、任意の光学面の表面に形成することも可能である。それらの場合は基材の屈折率等に合わせて適宜必要な多層膜構成を設計すればよい。また、有機ELパネルの発光スペクトル、表示光学系、斜め方向の出射角での色ずれ特性等に応じて、誘電体多層膜の構成は適宜設計されうるものである。
以上の説明により、本実施形態の画像観察装置は、画像像表示素子の発光部から射出瞳の間の1つの面に誘電体多層膜を有する。誘電体多層膜の入射角特性により、画像表示素子の中心部から射出瞳に出射する光に対する画像表示素子の周辺部から射出瞳に出射する光の色差もしくは色度差が前記誘電体多層膜を通過すると小さくなっていることがわかる。
[第7実施形態]
図29は、本実施形態の右眼用接眼光学系の説明図である。本実施形態に係る右眼用接眼光学系は、補正素子として右眼用画像表示素子208と偏光板210との間に設置された誘電体多層膜(IRカットフィルタ)602を有している点で、第2実施形態に係る右眼用接眼光学系とは異なる。本実施形態において第2実施形態と同様の構成については説明を省略する。本実施形態においては、IRカットフィルタ602により前述の色ずれを低減させる。以下、この誘電体多層膜で色ずれを低減させる手法について説明する。
図30に示すように赤外領域で透過率が低下するような特性を持つ誘電体多層膜フィルタはIRカットフィルタとして知られている。図30のIRカットフィルタは690nm未満の高透過率領域が透過帯域であり、それより長波長側の低透過率域が阻止帯域である。フィルタの多層膜の構成、材料等は必要な特性に応じて適宜設計される。これらの誘電体多層膜を利用した光学フィルタは基本的に干渉の効果により所望の透過特性を得るように設計されているため、図31に示すように0度入射時の特性に対し、斜め入射時には透過特性が短波長側にシフトすることが知られている。本実施形態では、図29の302の有機EL側の面にはIRカットフィルタが形成されており、下記表に層構成を示す。基板はBK7ガラスであり、高屈折率材料としてTiO、低屈折率材料としてSiOを使用し、これらを35層積層した構成となっている。
Figure 2023075004000003
図32は本実施形態における、0度射出方向の有機ELパネルの発光スペクトル分布およびIRカットフィルタの0度入射方向の透過率分布である。図33は30度射出方向の有機ELパネルの発光スペクトル分布およびIRカットフィルタの30度入射方向の透過率分布である。図34は50度射出方向の有機ELパネルの発光スペクトル分布およびIRカットフィルタの50度入射方向の透過率分布である。まず、IRカットフィルタが無い場合の0度射出方向に対する30度射出方向の光の色差ΔE*abは17.4であり、色度差Δxの絶対値は0.0015、色度差Δyの絶対値は0.0212である。また、0度射出方向に対する50度射出方向の光の色差ΔE*abは21.7であり、色度差Δxの絶対値は0.0083、色度差Δyの絶対値は0.0208である。
図32、図33、図34の発光スペクトルおよび色度差から、射出角度が大きくなると赤の強度が強くなり色差がついていることがわかる。本実施形態で配置されているマイナスフィルタは、図32に示すように0度入射時に赤外波長域である730nm以上の波長域に阻止帯域を持つように設計されている。また、マイナスフィルタは、図33及び図34に示すように斜め入射により阻止帯域が短い波長側にシフトし、徐々に赤の波長領域の光の透過率を下げるように機能する。この結果、本実施形態ではIRカットフィルタ602を通ることにより、0度射出方向に対する30度射出方向の光の色差ΔE*abは13.1、色度差Δxは0.0023、色度差Δyは0.0166となる。また、0度射出方向に対する50度射出方向の光の色差ΔE*abは11.4、色度差Δxは0.0108、色度差Δyは0.0173となる。このように、有機ELディスプレイが斜め方向の射出により赤が強くなる色むら特性を、IRカットフィルタの阻止帯域が斜め透過時に短波長側にシフトすることで低減させている。
本実施形態のように、ディスプレイの赤成分が強くなる傾向を持つ場合、0度入射時の誘電体フィルタの阻止帯域が一般的な赤の波長である640nm以上に存在するように設計しておく。これにより、垂直入射時には色に対する変化が少なく、かつ斜め入射時に赤の成分を低減させることができる。このように、第一の実施形態と同じく出射角に対して低減させたい色成分よりも長い波長側に阻止帯域が存在する誘電体多層膜フィルタを使用すれば、斜め入射時に可視光域内の阻止帯域のシフトにより色差もしくは色度差を低減させることができる。
なお、本実施形態のように赤の成分を低減させる場合には、マイナスフィルタのように局所的に阻止帯域が存在するフィルタでなくてもよく、長波長側の非可視光領域にわたって広い範囲で阻止帯域が存在するIRカットフィルタを使用することができる。
本実施例の画像表示素子単体では50度方向の出射角では色度差の絶対値はxが0.0083、yが0.0208である。接眼光学系を通過すると色度差の絶対値はxが0.0108と増えるが、yが0.0173に低減できている。ここで、観察者が色ずれに気付きにくく自然な観察をするためには、色度座標上での色度差の絶対値はx、yそれぞれともに0・03以下であることが望ましく、より好ましくは0.018以下にすることが望ましい。本実施形態では、色度差が自然な観察をすることが可能なレベルに補正されていることがわかる。
また、色差ΔE*abは21.7から11.4まで低減できている。ここで、観察者が色ずれに気付きにくく自然な観察をするためには、色差ΔE*abは15以下であることが望ましい。本実施形態では、色差が自然な観察をすることが可能なレベルに補正されていることがわかる。
本実施形態では、フィルタを別部品として配置したが、有機ELパネルのカバーガラス表面に設置すればスペースは部品を減らすことができて好ましい。また、その他任意の光学面の表面に形成することも可能である。それらの場合は基材の屈折率等に合わせて適宜必要な多層膜構成を設計すればよい。また、有機ELパネルの発光スペクトル、表示光学系、斜め方向の出射角での色ずれ特性等に応じて、誘電体多層膜の構成は適宜設計されうるものである。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
101,201,301,401,501 HMD(画像表示装置)
108,208,308,408,508 右眼用画像表示素子
109,209,309,409,509 左眼用画像表示素子

Claims (26)

  1. 画像表示素子と、
    前記画像表示素子からの光を射出瞳に導く接眼光学系とを有し、
    前記接眼光学系は、中心部と該中心部とは異なる領域とで特性が異なる少なくとも一つの補正素子を含み、
    前記少なくとも一つの補正素子の特性は、前記画像表示素子の中心部から射出された第1の光及び前記画像表示素子の最周辺部から射出された第2の光が前記接眼光学系を通過する前よりも通過した後において該第1の光に対する該第2の光の色ずれが小さくなるように設定されていることを特徴とする画像表示装置。
  2. 前記少なくとも一つの補正素子は、位相板を含み、
    該位相板の中心部と該中心部とは異なる領域とでは、分光透過率と波長ごとの位相量との少なくとも一方が異なることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
  3. 前記少なくとも一つの補正素子は、偏光分離素子を含み、
    該偏光分離素子の中心部と該中心部とは異なる領域とでは、分光透過率と分光反射率との少なくとも一方が異なることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像表示装置。
  4. 前記偏光分離素子は、第1の直線偏光を反射し、該第1の直線偏光の偏光方向に直交する偏光方向の第2の直線偏光を透過することを特徴とする請求項3に記載の画像表示装置。
  5. 前記少なくとも一つの補正素子は、偏光板を含み、
    該偏光板の中心部と該中心部とは異なる領域とでは、分光透過率が異なることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の画像表示装置。
  6. 前記少なくとも一つの補正素子は、位相板、偏光分離素子、及び偏光板を含み、
    430nmから480nmの範囲に含まれる第1の波長、520nmから570nmの範囲に含まれる第2の波長、及び600nmから650nmの範囲に含まれる第3の波長のうち、前記第1の光の強度に対する前記第2の光の強度の比の値が最も大きい波長と、前記最周辺部から前記射出瞳までの光路における、前記偏光板の透過率、前記位相板の透過率、前記偏光分離素子の反射率、及び前記偏光分離素子の透過率の少なくとも1つが最も小さい波長とが同じであることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の画像表示装置。
  7. 前記少なくとも一つの補正素子は、半透過反射膜であり、
    該半透過反射膜の中心部と該中心部とは異なる領域とでは、分光透過率と分光反射率との少なくとも一方が異なることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の画像表示装置。
  8. 前記少なくとも一つの補正素子は、反射防止膜であり、
    該反射防止膜の中心部と該中心部とは異なる領域とでは、分光透過率が異なることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の画像表示装置。
  9. 430nmから480nmの範囲に含まれる第1の波長、520nmから570nmの範囲に含まれる第2の波長、及び600nmから650nmの範囲に含まれる第3の波長のうち、前記第1の光の強度に対する前記第2の光の強度の比の値が最も大きい波長と、前記最周辺部から前記射出瞳までの光路における前記反射防止膜の透過率が最も小さい波長とが同じであることを特徴とする請求項8に記載の画像表示装置。
  10. 前記少なくとも一つの補正素子は、誘電体多層膜であり、
    該誘電体多層膜の中心部と該中心部とは異なる領域とでは、分光透過率と分光反射率との少なくとも一方が異なることを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載の画像表示装置。
  11. 前記誘電体多層膜は、前記画像表示素子に設けられていることを特徴とする請求項10に記載の画像表示装置。
  12. 430nmから480nmの範囲に含まれる波長を第1の波長、520nmから570nmの範囲に含まれる波長を第2の波長、及び600nmから650nmの範囲に含まれる波長を第3の波長とするとき、該第1の波長と該第2の波長との間の帯域、該第2の波長と該第3の波長との間の帯域、該第3の波長よりも長波長側の帯域の何れかにおいて前記誘電体多層膜の阻止帯域が存在することを特徴とする請求項11に記載の画像表示装置。
  13. 前記誘電体多層膜は、マイナスフィルタ又はIRカットフィルタであることを特徴とする請求項10乃至12の何れか一項に記載の画像表示装置。
  14. 前記接眼光学系は、前記画像表示素子の側から順に、第1偏光板、第1位相板、レンズ、第2位相板、及び偏光分離素子を含むことを特徴とする請求項1乃至13の何れか一項に記載の画像表示装置。
  15. 前記接眼光学系は、前記画像表示素子の側から順に、第1偏光板、第1位相板、レンズ、第2位相板、偏光分離素子、及び第2偏光板を含むことを特徴とする請求項1乃至13の何れか一項に記載の画像表示装置。
  16. 前記第2の光の出射角は、前記接眼光学系の表示半画角よりも大きく、
    前記第1偏光板と前記第1位相板の少なくとも一方は、前記補正素子として機能することを特徴とする請求項14又は15に記載の画像表示装置。
  17. 前記第2の光の出射角は、前記接眼光学系の表示半画角よりも大きく、
    前記第2位相板、前記偏光分離素子、及び前記第2偏光板の少なくとも一つは、前記補正素子として機能することを特徴とする請求項15に記載の画像表示装置。
  18. 前記第1の光及び前記第2の光が前記接眼光学系を通過した後、前記第1の光に対する前記第2の光の色差ΔEは15以下であることを特徴とする請求項1乃至17の何れか一項に記載の画像表示装置。
  19. 前記第1の光及び前記第2の光が前記接眼光学系を通過した後、前記第1の光に対する前記第2の光の色度差xは0.05以下、かつ色度差yは0.05以下であることを特徴とする請求項1乃至18の何れか一項に記載の画像表示装置。
  20. 前記第2の光の出射角は、30度以上であることを特徴とする請求項1乃至19の何れか一項に記載の画像表示装置。
  21. 前記第1の光の強度に対する前記第2の光の強度の比の値が最も大きい波長は、430nmから480nmの範囲に含まれることを特徴とする請求項1乃至20の何れか一項に記載の画像表示装置。
  22. 430nmから480nmの範囲に含まれる第1の波長、520nmから570nmの範囲に含まれる第2の波長、及び600nmから650nmの範囲に含まれる第3の波長のうち、前記第1の光の強度に対する前記第2の光の強度の比の値が最も大きい波長は、前記画像表示素子から射出された光の出射方向によらず同じであることを特徴とする請求項1乃至21の何れか一項に記載の画像表示装置。
  23. 前記第1の光及び前記第2の光が前記接眼光学系を通過した後、前記第1の光に対する前記第2の光の水平方向の色ずれは、垂直方向の色ずれよりも小さいことを特徴とする請求項1乃至22の何れか一項に記載の画像表示装置。
  24. 前記画像表示素子の中心部と該中心部とは異なる領域とでホワイトバランスが異なることを特徴とする請求項1乃至23の何れか一項に記載の画像表示装置。
  25. 430nmから480nmの範囲に含まれる第1の波長、520nmから570nmの範囲に含まれる第2の波長、及び600nmから650nmの範囲に含まれる第3の波長のうち、前記第1の光の強度に対する前記第2の光の強度の比の値が最も大きい波長は、前記画像表示素子の前記中心部のゲインに対する前記画像表示素子の前記最周辺部のゲインとの比が最も小さい波長と同じであることを特徴とする請求項24に記載の画像表示装置。
  26. 画像表示素子と、
    前記画像表示素子からの光を射出瞳に導く接眼光学系とを有し、
    前記接眼光学系は、前記画像表示素子の中心部から射出された第1の光及び前記画像表示素子の最も外側の最周辺部から射出された第2の光が前記接眼光学系を通過する前よりも通過した後において該第1の光に対する該第2の光の色ずれが小さくなるように、前記画像表示素子の中心部と該中心部とは異なる領域とでホワイトバランスが異なることを特徴とする画像表示装置。
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