JP2023074629A - 定数同定プログラム - Google Patents

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  • Investigation Of Foundation Soil And Reinforcement Of Foundation Soil By Compacting Or Drainage (AREA)

Abstract

【課題】手間と時間をかけることなくモデル式の定数を定めることができる定数同定プログラムを提供する。【解決手段】定数同定プログラムは、入力受付処理、解析値算出処理、読み出し処理、スコア算出処理、及び選択処理をコンピュータ31に実行させる。入力受付処理では、定数の上限値及び下限値の入力を受け付ける。解析値算出処理では、上限値と下限値との範囲内における複数の候補値をそれぞれ上記定数として代入し、候補値毎にモデル式を用いて降雨量に基づくダム流入量である解析値を算出する。読み出し処理では、コンピュータ31の記憶部34に記憶された降雨量に対するダム流入量の実績値を読み出す。スコア算出処理では、上記解析値と上記実績値とを用いて、両者の誤差に基づくスコアを候補値毎に算出する。選択処理では、候補値毎に算出されたスコアに基づき、複数の候補値のうちから上記定数として用いるのに適切な候補値を選択する。【選択図】図4

Description

本発明は、定数同定プログラムに関する。
治水、利水、及び水力発電といったダムの役割から、ダムの貯水量については状況に応じた最適値に保持することが好ましい。言い換えれば、ダムの水位を常に状況に応じた最適値にしておくことが好ましい。ダムの水位は、降雨によるダムへの水の流入、及び、ダムの水の下流への放流によって変わる。降雨に伴うダムへの水の流入は、ダムの集水域で降った雨が地表及び地下を通って河川に流出した後、その河川からダムに流れることによって生じる。また、ダムからの水の放流は、ダムの下流への影響を考慮して行う必要がある。
降雨時には、降雨量の変化に伴ってダムへの水の流入量が大きく変化する。このため、降雨時には、ダムからの水の放流を適切に調整しないと、ダムの水位が上限を越えたり、ダムからの水の放流に伴うダムの下流への影響が大きくなったりするおそれがある。ダムからの水の放流を適切に調整するためには、降雨に伴うダムへの水の流入量を正確に予測し、その予測した流入量に基づいてダムからの水の放流を行う必要がある。
ダムへの水の流入量を予測するため、その流入量を算出するためのモデル式を用いることが考えられる。こうしたモデル式としては、例えば特許文献1に示されるタンクモデルを用いたモデル式がある。また、上記モデル式としては、貯留関数法を用いたモデル式もある。そして、これらのモデル式を用いることにより、降雨量に基づき上記地盤から河川を介してダムに流入する水の流入量である解析値を算出することが可能になる。ただし、上記モデル式を用いて算出されるダムへの水の流入量(解析値)を、降雨に伴うダムへの水の流入量として正確なものとするためには、モデル式における複数の定数をそれぞれ適切な値に定める必要がある。上記定数については、作業者の手作業により、例えば以下のような手順で定められる。
実際の降雨の際、降雨量とダムへの水の流入量の実績値とを記録しておく。モデル式における複数の定数をそれぞれ適宜切り換えながら、降雨量に基づきモデル式を用いて上記解析値を算出する。算出された解析値が上記実績値に対し最も近くなる上記定数及びそれらの組み合わせを選択し、それら定数を上記モデル式における複数の定数として採用する。
特開2021-9150号公報
しかし、上述したモデル式における定数の定め方では、作業者が手作業により定数を変えながらモデル式を用いて解析値を算出し、算出された解析値が実績値に近くなる定数を探すという手間と時間のかかる作業を行わなければならない。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する定数同定プログラムは、降雨量に基づきダムに対する水の流入量を算出するためのモデル式を対象とし、そのモデル式の定数を定めるための処理をコンピュータに実行させる。同プログラムは、次のような入力受付処理、解析値算出処理、読み出し処理、スコア算出処理、及び選択処理をコンピュータに実行させる。入力受付処理では、定数の上限値及び下限値の入力を受け付ける。解析値算出処理では、上限値と下限値との範囲内で定数の候補値を複数設定し、それら候補値をそれぞれ上記定数として代入したモデル式を用いて上記候補値毎に、降雨量に基づく上記ダムに対する水の流入量である解析値を算出する。読み出し処理では、コンピュータに記憶された降雨量に対する上記流入量の実績値を読み出す。スコア算出処理では、解析値算出処理によって候補値毎に算出された解析値と読み出し処理によって読み出された実績値とを用いて、両者の誤差に基づくスコアを候補値毎に算出する。選択処理では、候補値毎に算出されたスコアに基づき、複数の候補値のうちから上記定数として用いるのに適切な候補値を選択する。
上記プログラムによれば、作業者がモデル式の定数の上限値と下限値とを入力すると、上限値と下限値との範囲内の値である複数の候補値のうちから、上記定数として用いるのに適切な候補値が選択される。従って、モデル式の定数を、手間と時間をかけることなく定めることができる。
なお、上記モデル式は、タンクモデルを用いたモデル式としたり、貯留関数法を用いたモデル式としたりすることが考えられる。
上記定数同定プログラムにおいて、解析値算出処理は、定められた時間間隔毎の降雨量に基づき、その時間間隔毎の上記解析値をそれぞれ複数の候補値毎に算出する。読み出し処理は、コンピュータに記憶された上記時間間隔毎の降雨量に対応する上記流入量の実績値を読み出す。スコア算出処理は、上記時間間隔毎の解析値と実績値との誤差に対しダムにおける降雨時の水の流入特性に応じた重み付けを行い、上記誤差の合計値である上記スコアを複数の候補値毎に算出する。選択処理は、候補値毎に算出された上記スコアに基づき、複数の候補値のうちから上記定数として用いるのに適切な候補値を選択するものとすることが考えられる。
上記プログラムによれば、スコアに基づきモデル式の定数として用いるのに適切な候補値を選択するに当たり、上記スコアの算出に用いられる上記誤差に対し、ダムにおける降雨時の水の流入特性に応じた重み付けが行われる。このため、上記スコアを降雨時のダムへの水の流入特性を考慮して算出することができ、そのように算出されたスコアに基づき、上記定数として用いるのに適切な候補値を選択することができる。
上記定数同定プログラムにおいて、コンピュータは、前記時間間隔毎の降雨量に対応した前記時間間隔毎の前記流入量の実績値を一つの流入量変化パターンとして、複数の流入量変化パターンを記憶しているものとする。解析値算出処理は、上記解析値を、複数の流入量変化パターンすべてについて算出するものとする。スコア算出処理は、複数の流入量変化パターンすべてについて上記スコアを算出し、それらスコアに対し重み付けをするものとする。選択処理は、上記候補値毎に算出された複数の流入量変化パターンの上記スコアの合計値に基づき、複数の候補値のうちから複数の流入量変化パターンすべてにおいて上記定数として用いるのに適切な候補値を選択するものとすることが考えられる。
上記プログラムによれば、複数の流入量変化パターンすべてで、モデル式の定数として用いるのに適切となる候補値が選択される。このため、モデル式を用いて算出される解析値が、降雨時のダムへの水の流入量として一層正確な値となる。また、複数の流入量変化パターン毎に算出される上記スコアに対し重み付けをすることにより、それら流入量変化パターンのうちの幾つかに対しての正確性を重視した候補値の選択を行うことができる。
上記定数同定プログラムにおいて、選択処理は、上記定数として用いるのに適切な候補値を選択した後、その候補値を上記定数として代入したモデル式に基づいて算出された解析値の推移を、上記実績値の推移と重ねた状態で、流入量変化パターン毎にコンピュータのディスプレイに表示するものとすることが考えられる。
このプログラムによれば、適切な候補値を選択した後、その選択で良いか否かの最終確認を、作業者がディスプレイを見ながら行うことができる。
上記定数同定プログラムにおいて、モデル式は、タンクモデルを用いたモデル式であり、解析値算出処理は、上記解析値を算出するに当たり、タンクモデルにおけるタンク毎の水の流出量をそれぞれ算出するものとされる。更に、選択処理は、算出されたタンク毎の水の流出量の推移を、上記解析値の推移及び上記実績値の推移と重ねた状態で、ディスプレイに表示することが可能とされている。
このプログラムによれば、選択した候補値で良いか否かの最終確認をするとき、ディスプレイにタンクモデルのタンク毎の流出量の推移を、上記解析値の推移及び上記実績値の推移と重ねた状態で表示することが可能である。タンク毎の流出量はそれぞれ、上記解析値の推移における立ち上がり及び立ち下がり等に影響を及ぼす。ここで、タンクモデルを用いたモデル式の定数は、タンクモデルの各タンクにそれぞれ対応して複数存在している。そして、タンクモデルを用いたモデル式の各定数は、その定数に対応するタンクの流出量に影響を及ぼす。従って、選択した候補値が最終確認で不適となった場合、上記解析値の推移に対する各タンクの流出量の推移から、各定数のうちのいずれの定数が上記不適の原因であるか判断しやすくなる。更に、上記不適の原因となった定数の上限値と下限値とを修正する際、その修正の目安がつけやすくなる。
ダムに繋がる河川及びその周辺の地盤を示す略図である。 タンクモデルを示す略図である。 (a)は定められた時間間隔毎の降雨量の変化を示すグラフであり、(b)は降雨量に基づきタンクモデルを用いたモデル式で算出した解析値の推移とダムに流入した水の流入量の実績値との推移とを示すグラフである。 コンピュータ及びその周辺機器を示す略図である。 降雨量に対するダムへの水の流入量に関するデータを示す表である。 入力受付処理が行われるときのディスプレイの表示を示す正面図である。 (a)は定められた時間間隔毎の降雨量の変化を示すグラフであり、(b)は降雨量に基づきタンクモデルを用いたモデル式で算出した解析値の推移とダムに流入した水の流入量の実績値の推移とを示すグラフである。 所定の流入量変化パターンにおける定められた時間間隔毎の解析値と実績値との誤差を示す表である。 複数の流入量変化パターン毎における誤差Aの合計値、誤差Bの合計値、及び誤差Cの合計値を示す表である。 解析値の推移及び実績値の推移を、複数の流入量変化パターン毎に表示したときのディスプレイを示す正面図である。 タンクモデルを用いたモデル式の定数同定プログラムにおける一連の処理の実行手順を示すフローチャートである。 降雨量に基づき貯留関数法を用いたモデル式で算出した解析値の推移を示すグラフである。
[第1実施形態]
以下、定数同定プログラムの第1実施形態について、図1~図11を参照して説明する。
図1に示すように、ダムに繋がる河川11には、降雨によって地盤12に染み込んだ水が流入する。この水が河川11を通ってダムに流入する。ダムから下流への水の放流量は、ダムの水位、及び、ダムへの水の流入量に基づいて調整される。ダムから下流への水の放流を適切に調整するためには、降雨に伴うダムへの水の流入量を正確に予測し、その予測した流入量に基づいてダムからの水の放流を行う必要がある。ダムへの水の流入量を予測する際には、その流入量を解析値として算出するためのモデル式が用いられる。こうしたモデル式としては、例えばタンクモデルを用いたモデル式がある。
図2は、上記タンクモデルを示している。このタンクモデルは、ダム周辺の地盤12を、穴の開いた複数段(この例では四段)のタンク13~16に見立ててモデル化したものである。
タンクモデルにおける一段目のタンク13は、図1に示す地盤12の表面17に対応している。タンク13の側面における上下の穴21,22から出る水の流量は、地盤12の表面17から河川11を介してダムに流入する水の流入量に対応している。穴21,22から出る水の流量は、穴21,22の面積と関係があり、且つ、穴21,22におけるタンク13の底からの高さとも関係がある。また、タンク13における底面の穴23から出る水の流量は、地盤12の表面17から表層18に浸透する水の流量に対応している。穴23から出る水の流量は、穴23の面積と関係がある。タンクモデルには、穴21,22の面積に対応する定数QR1U,QR1L、穴21,22におけるタンク13の底からの高さに対応する定数L1U,L1L、及び穴23の面積に対応する定数QF1が存在している。
タンクモデルにおける二段目のタンク14は、地盤12における表面17の下に位置する表層18に対応している。タンク14における側面の穴24から出る水の流量は、地盤12の表層18から河川11を介してダムに流入する水の流入量に対応している。穴24から出る水の流量は、穴24の面積と関係があり、穴24におけるタンク14の底からの高さとも関係がある。また、タンク14における底面の穴25から出る水の流量は、地盤12の表層18から中間層19に浸透する水の流量に対応している。穴25から出る水の流量は、穴25の面積と関係がある。タンクモデルには、穴24の面積に対応する定数QR2、穴24におけるタンク14の底からの高さに対応する定数L2、及び、穴25の面積に対応する定数QF2が存在している。
タンクモデルにおける三段目のタンク15は、地盤12における表層18の下に位置する中間層19に対応している。タンク15における側面の穴26から出る水の流量は、地盤12の中間層19から河川11を介してダムに流入する水の流入量に対応している。穴26から出る水の流量は、穴26の面積と関係があり、穴26におけるタンク15の底からの高さとも関係がある。また、タンク15における底面の穴27から出る水の流量は、地盤12の中間層19から深層20に浸透する水の流量に対応している。穴27から出る水の流量は、穴27の面積と関係がある。タンクモデルには、穴26の面積に対応する定数QR3、穴26におけるタンク15の底からの高さに対応する定数L3、及び、穴27の面積に対応する定数QF3が存在している。
タンクモデルにおける四段目のタンク16は、地盤12における中間層19の下に位置する深層20に対応している。タンク16における側面の穴28から出る水の流量は、地盤12の深層20から河川11を介してダムに流入する水の流入量に対応している。タンク16における底面の穴29から出る水の流量は、地盤12の深層20から流出して河川11に流出せずに地下水となる水の流量に対応している。穴28から出る水の流量は、穴28の面積と関係があり、穴28におけるタンク16の底からの高さとも関係がある。穴29から出る水の流量は、穴29の面積と関係がある。タンクモデルには、穴28,29の面積に対応する定数QR4、QF4、及び、穴28におけるタンク16の底からの高さに対応する定数L4が存在している。なお、タンクモデルには、地盤12に水が浸透してから河川11を介してダムに流出するまでの遅れ時間に対応する定数RTも存在している。
降雨に基づき地盤12から河川11を介してダムに流入する水の流入量(解析値)は、上記タンクモデルを用いたモデル式によって算出することができる。こうしたモデル式は、例えば以下の式(1)~(14)のようになる。

Q1U=QR1U・(X1-L1U)…(1)
Q1L=QR1L・(X1-L1L)…(2)
Q2=QR2・(X2-L2)…(3)
Q3=QR3・(X3-L3)…(4)
Q4=QR4・(X4-L4)…(5)

S1=QF1・X1…(6)
S2=QF2・X2…(7)
S3=QF3・X3…(8)
S4=QF4・X4…(9)

X1=前回X1-前回Q1U-前回Q1L-前回S1+R…(10)
X2=前回X2-前回Q2-前回S2+前回S1…(11)
X3=前回X3-前回Q3-前回S3+前回S2…(12)
X4=前回X4-前回Q4-前回S4+前回S3…(13)

R=f(RT)…(14)

式(1)のQ1U及び式(2)のQ1Lは、タンクモデルにおける一段目のタンク13の穴21,22から出る水の流量を表している。また、式(6)のS1は、上記タンク13の穴23から出る水の流量を表している。式(1)、式(2)、及び式(6)のX1は、上記タンク13の底から水面までの高さを表している。
式(3)のQ2は、タンクモデルにおける二段目のタンク14の穴24から出る水の流量を表している。また、式(7)のS2は、上記タンク14の穴25から出る水の流量を表している。式(3)及び式(7)のX2は、上記タンク14の底から水面までの高さを表している。
式(4)のQ3は、タンクモデルにおける三段目のタンク15の穴26から出る水の流量を表している。また、式(8)のS3は、上記タンク15の穴27から出る水の流量を表している。式(4)及び式(8)のX3は、上記タンク15の底から水面までの高さを表している。
式(5)のQ4は、タンクモデルにおける四段目のタンク16の穴28から出る水の流量を表している。また、式(9)のS4は、上記タンク16の穴29から出る水の流量を表している。式(5)及び式(9)のX4は、上記タンク16の底から水面までの高さを表している。
以下、上記水面高さX1~X4について詳しく説明する。
<水面高さX1>
上記水面高さX1は、定められた時間間隔毎の降雨量Rに基づき、式(10)を用いて算出される。詳しくは、所定タイミングTi での降雨量Rに基づく水面高さX1は、前回X1、前回Q1U、前回Q1L、前回S1、及び上記降雨量Rに基づき、式(10)を用いて算出される。
式(10)の降雨量Rは、上述した遅れ時間に対応する定数RTに基づき、式(14)を用いて算出される。式(14)から算出される降雨量Rは、上述した遅れ時間分だけ前の降雨量として算出される。従って、式(10)で用いられる降雨量Rは、上述した遅れ時間分だけ前の降雨量となる。
また、式(10)における前回X1は、式(10)での上記降雨量Rに対し、上記定められた時間間隔が過ぎる一つ前のタイミングTi-1 での降雨量Rに基づき算出された水面高さX1である。更に、式(10)の前回Q1U、前回Q1L、及び前回S1は、上記前回X1に基づき式(1)、式(2)、及び式(6)を用いて算出された流量Q1U、流量Q1L、流量S1、言い換えればタイミングTi-1 での流量Q1U、流量Q1L、流量S1である。
<水面高さX2>
上記水面高さX2は、前回X2、前回Q2、前回S2、及び前回S1に基づき、式(11)を用いて算出される。この水面高さX2は、上記タイミングTi での水面高さX2である。また、式(11)での前回X2、前回Q2、前回S2、及び前回S1は、上記タイミングTi-1 での水面高さX2、流量Q2、流量S2、及び流量S1である。
<水面高さX3>
上記水面高さX3は、前回X3、前回Q3、前回S3、及び前回S2に基づき、式(12)を用いて算出される。この水面高さX3は、上記タイミングTi での水面高さX3である。また、式(12)での前回X3、前回Q3、前回S3、及び前回S2は、上記タイミングTi-1 での水面高さX3、流量Q3、流量S3、及び流量S2である。
<水面高さX4>
上記水面高さX4は、前回X4、前回Q4、前回S4、及び前回S3に基づき、式(13)を用いて算出される。この水面高さX4は、上記タイミングTi での水面高さX4である。また、式(13)での前回X4、前回Q4、前回S4、及び前回S3は、上記タイミングTi-1 での水面高さX4、流量Q4、流量S4、及び流量S3である。
上記モデル式(1)~(14)を用いて、降雨に基づき地盤12から河川11を介してダムに流入する水の流入量である解析値が算出される。すなわち、タンクモデルにおける穴21,22,24,26,28から出る水の流量の合計値、すなわち式(1)~式(5)によって算出される流量Q1U,Q1L,Q2,Q3,Q4の合計値が、上記解析値として算出される。この解析値を降雨に伴うダムへの水の流入量として正確な値とするためには、タンクモデルを用いたモデル式(1)~(14)における複数の定数QR1U,QR1L,L1U,L1L,QF1,QR2,L2,QF2,QR3,L3,QF3,QR4,L4,QF4,RTを適切な値に定めなければならない。
図3において、(a)は所定の時間間隔毎の降雨量の変化を示し、(b)は上記降雨量に基づき上記モデル式を用いて算出した上記解析値の推移(実線)とダムに流入した水の流入量の実績値との推移(破線)とを示している。図3(b)に実線で示す解析値の推移は、上記モデル式における上述した複数の定数を適宜変更することによって変化する。従って、解析値の推移が可能な限り実績値の推移と一致するように、上記モデル式における複数の定数を定めることが好ましい。
なお、解析値の推移において、立ち上がり初期(領域A1)はタンクモデルにおける一段目のタンク13による影響が大きく、ピークに至る立ち上がり終期(領域A2)は二段目のタンク14による影響が大きい。また、解析値の推移において、ピークからの立ち下がり初期(領域A3)は三段目のタンク15による影響が大きく、立ち下がり終期(領域A4)は四段目のタンク16による影響が大きい。こうしたタンク13~16毎の解析値の推移への影響を考慮して、上記モデル式における複数の定数を定めることが考えられる。
しかし、上記モデル式における上述した複数の定数を適切なものに定めるためには、それら定数を変えながら上記モデル式を用いて解析値を算出し、算出された解析値が実績値に近くなる定数を探すという手間と時間のかかる作業を行わなければならない。こうしたことに対処するため、コンピュータに定数同定プログラムを実行させる。この定数同定プログラムにより、手間と時間をかけることなく上記モデル式の定数を定めることが可能になる。
図4に示すように、定数同定プログラムを実行させるコンピュータ31には、入力機器32とディスプレイ33とが接続されている。入力機器32としては、キーボード、マウス、及びタッチパネルといったものを採用することが考えられる。ディスプレイ33は、上記入力機器32の一つであるタッチパネルを組み込んだものであってもよい。
コンピュータ31は記憶部34を備えている。記憶部34には、降雨によるダムへの水の流入量に関する各種のデータが記憶されている。こうしたデータとしては、例えば図5に示すような降雨量に対するダムへの水の流入量の実績値があげられる。より詳しくは、定められた時間間隔毎の降雨量に対応した上記時間間隔毎の上記流入量の実績値を一つの流入量変化パターンとして、複数の流入量変化パターン(この例では10パターン)が、上記データとして記憶されている。
定数同定プログラムは、次のような入力受付処理、解析値算出処理、読み出し処理、スコア算出処理、及び選択処理をコンピュータ31に実行させる。以下、これらの処理について個別に詳しく説明する。
[入力受付処理]
この処理は、タンクモデルを用いた上記モデル式(1)~(14)における複数の定数を定めるにあたり、それら定数の上限値及び下限値を作業者が入力する際に行われる。
図6は、この処理が行われるときのディスプレイ33の表示を示している。このとき、作業者は、入力機器32を用いて、上記モデル式における複数の定数についてそれぞれ上限値及び下限値を入力する。コンピュータ31は、入力受付処理として、複数の定数それぞれについての上限値及び下限値の入力を受け付ける。
[解析値算出処理]
この処理では、上記モデル式における複数の定数のそれぞれに関して、入力された上限値と下限値との範囲内で、各定数の候補値を複数設定する。更に、各定数の候補値の組み合わせすべてに関して、組み合わされた候補値を定数として代入した上記モデル式を用いて、降雨量に基づくダムへの水の流入量である解析値を算出する。上記解析値は、定められた時間間隔毎の降雨量に基づき、その時間間隔毎の値として算出される。ここで用いられる上記時間間隔毎の降雨量としては、コンピュータ31の記憶部34に記憶された複数の流入量変化パターンでの降雨量が用いられる。従って、上記解析値は、複数の流入量変化パターン毎にそれぞれ算出される。
図7の線LI1は、各定数の候補値の所定の組み合わせ、且つ、所定の流入量変化パターンでの降雨量に基づき、算出された上記解析値の推移を示している。図7の線LI2は、上記流入量変化パターンでの降雨量の変化に基づくダムへの水の流入量の実績値の推移を示している。図7の線LI3,LI4,LI5,LI6はそれぞれ、上記流入量変化パターンでの降雨量の変化に基づくタンクモデルにおけるタンク13~16毎の水の流出量の推移を示している。
[読み出し処理]
この処理では、記憶部34に記憶された複数の流入量変化パターンに関して、それぞれ上記時間間隔毎の降雨量に対するダムへの水の流入量の実績値が読み出される。こうして読み出された実績値の推移の例が図7に線LI2で示されている。
[スコア算出処理]
この処理では、解析値算出処理によって候補値の組み合わせ毎に算出された解析値と読み出し処理によって読み出された実績値とを用いて、両者の誤差に基づくスコアを各定数の候補値の組み合わせ毎に算出する。詳しくは、記憶部34に記憶された複数の流入量変化パターンに関して、それぞれ上記時間間隔毎の上記解析値と上記実績値との誤差に対しダムにおける降雨時の水の流入特性に応じた重み付けを行う。この重み付けが行われた後の誤差の合計値が上記スコアとされる。こうしたスコアが各定数の候補値の組み合わせ毎に算出される。上記誤差の算出、上記重み付け、及び上記スコアの算出は、一つの例として以下のように行うことが可能である。
図8は、所定の流入量変化パターンにおける上記時間間隔毎の上記解析値と上記実績値との誤差を表にしている。図8から分かるように、上記解析値と上記実績値との誤差としては誤差A、誤差B、及び誤差Cの三つが用いられる。また、図8の表における「ウェイト」の欄では、上記解析値と上記実績値との誤差に対する重み付けの大きさを、例えば1~10の整数値によって定めている。この整数値が大きくなるほど、上記誤差に対し大きく重み付けされる。上記整数値、すなわち上記誤差に対する重み付けの大きさについては、作業者が1~10の範囲でダムにおける降雨時の水の流入特性を考慮して任意に定めることができる。
上記誤差Aは、上記解析値と上記実績値との絶対誤差に対し、「ウェイト」の欄の整数値に基づく重み付けがなされた値である。上記誤差Bは、上記解析値と上記実績値との絶対誤差を上記実績値で除算した値に対し、「ウェイト」の欄の整数値に基づく重み付けがなされた値である。上記誤差Cは、上記解析値と上記実績値との絶対誤差を二乗した値に対し、「ウェイト」の欄の整数値に基づく重み付けがなされた値である。更に、所定の流入量変化パターンにおける誤差Aの合計値、誤差Bの合計値、及び誤差Cの合計値がそれぞれ算出される。こうした計算が他の流入量変化パターンについても上記と同様に行われる。
図9は、複数(この例では10)の流入量変化パターン毎における誤差Aの合計値、誤差Bの合計値、及び誤差Cの合計値を表にしている。図9の表における「ウェイト」の欄では、誤差Aの合計値、誤差Bの合計値、及び誤差Cの合計値に対する重み付けの大きさを、例えば1~5の整数値によって定めている。この整数値が大きくなるほど、上記合計値に対し大きく重み付けされる。上記整数値、すなわち上記合計値に対する重み付けの大きさについては、作業者が1~5の範囲で任意に定めることができる。
そして、所定の流入量変化パターンにおいて、上記重み付けがなされた後の誤差Aの合計値と誤差Bの合計値と誤差Cの合計値との和が、上記流入量変化パターンにおける上記解析値と上記実績値との誤差に基づく上記スコアとされる。このスコアは、図9の「ウェイト」の欄の整数値に基づく重み付けがなされた値となる。こうしたスコアの算出は、他の流入量変化パターンについても上記と同様に行われる。更に、上記スコアの算出は、複数の流入量変化パターンに関して、各定数の候補値の組み合わせ毎に行われる。
[選択処理]
この処理では、複数の流入量変化パターンに関して、各定数の候補値の組み合わせ毎に算出されたスコアに基づき、各定数の候補値の組み合わせのうちから上記定数として用いるのに適切な候補値の組み合わせを選択する。詳しくは、図9に示されるスコアの合計値が、各定数の候補値の組み合わせ毎に算出される。そして、それら候補値の組み合わせ毎のスコアの合計値のうち、最も小さい合計値に対応する候補値の組み合わせが、上記定数として用いるのに適切な候補値の組み合わせとして選択される。
更に、この処理では、上記定数として用いるのに適切な候補値の組み合わせを選択した後、その候補値の組み合わせを上記定数として代入した上記モデル式に基づいて算出された上記解析値の推移を、流入量変化パターン毎にディスプレイ33に表示する。その際、コンピュータ31は、上記解析値の推移を、上記実績値の推移と重ねた状態で、ディスプレイ33に表示する。
図10は、このときのディスプレイ33の画面を示している。図10から分かるように、このときのディスプレイ33上の表示領域35~44にはそれぞれ、個別の流入量変化パターン毎の解析値の推移及び実績値の推移が表示される。また、ディスプレイ33の表示領域45には、上記モデル式の定数として選択された候補値の組み合わせが表示される。
コンピュータ31は、例えば図7に示されるように、上記解析値の推移を、上記実績値の推移及びタンクモデルのタンク13~16毎の流出量の推移と重ねた状態で、ディスプレイ33に表示することも可能となっている。コンピュータ31は、こうした解析値の推移、実績値の推移、及びタンク13~16毎の流出量の推移を、複数の流入量変化パターン毎にディスプレイ33に表示することが可能とされている。
次に、定数同定プログラムの動作について説明する。
図11は、定数同定プログラムにおける入力受付処理、解析値算出処理、読み出し処理、スコア算出処理、及び選択処理といった一連の処理の実行手順を示すフローチャートである。このフローチャートにおけるステップ101(S101)の処理は上記入力受付処理に相当し、S102及びS103の処理は上記解析値算出処理に相当する。また、S104は上記読み出し処理に相当し、S105は上記スコア算出処理に相当し、S106~S108は上記選択処理に相当する。
作業者は、図6に示されるディスプレイ33の画面表示を見ながら、入力機器32を用いて上記モデル式における複数の定数についての上限値及び下限値の入力を行う。コンピュータ31は、図11のS101の処理として、上述した作業者による上限値及び下限値の入力を受け付ける。
コンピュータ31は、S102の処理として、上記モデル式における複数の定数それぞれに関して、入力された上限値と下限値との範囲内で、各定数の候補値を複数設定する。更に、コンピュータ31は、ここでの処理として、各定数の候補値の組み合わせとして、すべての組み合わせを用意する。
コンピュータ31は、S103の処理として、各定数の候補値の組み合わせすべてに関して、組み合わされた候補値を定数として代入した上記モデル式を用いて、降雨量に基づくダムへの水の流入量である解析値の算出を行う。こうした解析値の算出は、コンピュータ31の記憶部34に記憶された複数の流入量変化パターン毎にそれぞれ行われる。
例えば、図7の流入量変化パターンでは、定められた時間間隔毎の降雨量の変化に対するダムへの水の流入量の実績値の推移が線LI2で示されている。コンピュータ31は、上記定められた時間間隔毎の降雨量に基づき、各定数の候補値の組み合わせ毎に上記モデル式を用いて、上記時間間隔毎の解析値を算出する。図7の線LI1は、各定数の候補値の所定の組み合わせを用いて算出された解析値の推移を示している。なお、図7の線LI3~LI6は、上記解析値を算出する際におけるタンクモデルの各タンク13~16毎の水の流出量の推移を示している。
S103の処理では、上述した解析値の算出、及び、タンク13~16からの水の流出量の算出が、各定数の候補値の組み合わせ毎に行われる。そして、そうした候補値の組み合わせ毎に行われる上記解析値及び上記流出量の算出が、複数の流入量変化パターンに関してそれぞれ行われる。
コンピュータ31は、図11のS104の処理として、記憶部34に記憶された複数の流入量変化パターンに関して、定められた時間間隔毎の降雨量に対するダムへの水の流入量の実績値を読み出す。例えば図7の流入量変化パターンでは、こうして読み出された実績値が線LI2で示すように推移する。実績値は、複数の流入量変化パターン毎に読み出される。
コンピュータ31は、図11のS105の処理として、複数の流入量変化パターンに関して、各定数の候補値の組み合わせ毎に算出された上記解析値と、読み出された上記実績値とを用いて、両者の誤差に基づくスコアを算出する。詳しくは、図8に示されるように、上記解析値と上記実績値とを用いて、定められた時間間隔毎の誤差A、誤差B、及び誤差Cが算出される。更に、図9に示されるように、誤差Aの合計値、誤差Bの合計値、及び誤差Cの合計値の和がスコアとして算出される。こうしたスコアの算出は、複数の流入量変化パターン毎に行われる。更に、それぞれの流入量変化パターンに関して、各定数の候補値の組み合わせ毎に上記スコアの算出が行われる。
コンピュータ31は、図11のS106の処理として、図9に示されるスコアの合計値が、各定数の候補値の組み合わせ毎に算出される。コンピュータ31は、図11のS107の処理として、それら候補値の組み合わせ毎のスコアの合計値のうち、最も小さい合計値に対応する候補値の組み合わせを、上記モデル式の定数に用いるのに適切な候補値の組み合わせとして選択する。コンピュータ31は、S108の処理として、選択した候補値の組み合わせを定数として代入した上記モデル式に基づいて算出された上記解析値の推移を、流入量変化パターン毎にディスプレイ33に表示する。
図10は、このときのディスプレイ33の画面を示している。複数の流入量変化パターン毎の解析値の推移は、それぞれディスプレイ33の表示領域35~44に表示される。更に、コンピュータ31は、表示領域35~44に、流入量変化パターン毎の解析値の推移と重なるように、その解析値に対応した流入量変化パターンでのダムへの水の流入量の実績値の推移を表示する。コンピュータ31は、タンク13~16毎の水の流出量の推移を、上記解析値の推移及び上記実績値の推移を重ねた状態で、ディスプレイ33に表示することも可能である。そうした表示を行ったときの解析値の推移、実績値の推移、及び流出量の推移の一例を、図7に線LI1~LI6で示す。
コンピュータ31は、図11のS109の処理として、上述したように選択した候補値の組み合わせに関して、作業者による合格判定があったか否かを判断する。作業者は、ディスプレイ33の表示領域35~44に表示された解析値の推移及び実績値の推移を目視で確認し、選択した候補値の組み合わせが適切であると判断した場合には入力機器32を用いて合格判定を行う。このとき、作業者は、タンク13~16毎の水の流出量の推移を、上記解析値及び上記実績値の推移と重ねた状態となるようにディスプレイ33に表示させ、その表示を目視で確認して上記合格判定の判断材料とする。作業者が合格判定を行った場合には、S109で作業者による合格判定があったと判断され、S110に進む。コンピュータ31は、S110の処理として、上記選択した候補値の組み合わせを、上記モデル式の定数として用いることを決定する。
一方、作業者がディスプレイ33の表示領域35~44に表示された解析値の推移及び実績値の推移を目視で確認し、選択した候補値の組み合わせが不適切であると判断した場合には、入力機器32を用いて不合格判定を行う。このときも、作業者は、タンク13~16毎の水の流出量の推移を、上記解析値及び上記実績値の推移と重ねた状態となるようにディスプレイ33に表示させ、その表示を目視で確認して上記不合格判定の判断材料とする。作業者が不合格判定を行った場合には、S109で作業者による合格判定がなかったと判断され、S101に戻る。この場合、コンピュータ31は、S101以降の処理を繰り返し、作業者は上記モデル式の定数についての上限値及び下限値の入力をやり直す。更に、作業者は、スコア算出処理での誤差に対する重み付け、すなわち図8の「ウェイト」欄の整数値の設定をやり直すとともに、スコア算出処理でのスコアに対する重み付け、すなわち図9の「ウェイト」欄の整数値の設定をやり直す。
以上詳述した本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)作業者が上記モデル式の定数の上限値と下限値とを入力すると、上限値と下限値との範囲内の値である複数の候補値のうちから、上記定数として用いるのに適切な候補値が選択される。従って、上記モデル式の定数を、手間と時間をかけることなく定めることができる。
(2)スコアに基づき上記モデル式の定数として用いるのに適切な候補値を選択するに当たり、上記スコアの算出に用いられる誤差A、誤差B、及び誤差Cに対し、ダムにおける降雨時の水の流入特性に応じた重み付けが行われる。このため、上記スコアを降雨時のダムへの水の流入特性を考慮して算出することができ、そのように算出されたスコアに基づき上記定数として適切な候補値を選択することができる。
(3)上記プログラムによれば、複数の流入量変化パターンすべてで、上記モデル式の定数として用いるのに適切となる候補値が選択される。このため、上記モデル式を用いて算出される解析値が、降雨時のダムへの水の流入量として一層正確な値となる。また、複数の流入量変化パターン毎に算出される上記スコアに対し重み付けをすることにより、それら流入量変化パターンのうちの幾つかに対しての正確性を重視した候補値の選択を行うことができる。
(4)選択した候補値を定数として代入した上記モデル式に基づいて算出された解析値の推移を、実績値の推移と重ねた状態で、複数の流入量変化パターン毎にディスプレイ33に表示するようにした。このため、候補値を選択した後、その選択で良いか否かの最終確認を、作業者がディスプレイ33を見ながら行うことができる。
(5)選択した候補値で良いか否かの最終確認をするとき、タンクモデルのタンク13~16毎の流出量の推移を、上記解析値の推移及び上記実績値の推移と重ねた状態で、ディスプレイ33に表示することが可能である。タンク13~16毎の流出量はそれぞれ、上記解析値の推移における立ち上がり及び立ち下がり等に影響を及ぼす。
ここで、上記モデル式の定数は、タンクモデルの各タンク13~16にそれぞれ対応して複数存在している。そして、上記モデル式の各定数は、その定数に対応するタンク13~16の流出量に影響を及ぼす。例えば、図7の例では、タンク13における水の流出量の推移(線LI3)が実績値の推移(線LI2)よりも増大側に位置するという異常が確認できる。その結果、タンク13に対応する定数QR1U,QR1L,L1U,L1L,QF1が異常であることが分かる。
このように、選択した候補値が最終確認で不適となった場合において、上記解析値の推移に対する各タンク13~16の流出量の推移から、各定数のうちのいずれの定数が上記不適の原因であるか判断しやすくなる。更に、上記不適の原因となった定数の上限値と下限値とを修正する際、その修正の目安がつけやすくなる。
[第2実施形態]
次に、定数同定プログラムの第2実施形態について、図12を参照して説明する。
この実施形態では、降雨に基づき地盤12から河川11を介してダムに流入する水の流入量(解析値)が、貯留関数法を用いたモデル式によって算出される。こうしたモデル式は、例えば以下の式(15)~(17)のようになる。

g(t)=Q(t+TL)・f…(15)
Re(t)-Q(t)=dS(t)/dt…(16)
S(t)=k・Q(t)^p…(17)

式(15)のg(t)は、降雨により地盤12から河川11に流れ込む水の流量であり、降雨に基づき地盤12から河川11を介してダムに流入する水の流入量(解析値)に相当する。また、式(15)~(17)において、Re(t)は降雨量であり、S(t)は降雨に基づき地盤12に溜まる水の量を表す貯留高であり、Q(t)は降雨に基づき地盤12から流出する水の量を表す流出高である。
式(15)のQ(t+TL)は、降雨があった後に地盤12からの水の流出が生じるまでの遅れ時間TLを考慮した流出高を表している。この流出高Q(t+TL)は、式(16)で用いられる降雨量Re(t)に対し、遅れ時間TLが経過した時点での流出高である。式(15)のfは、地盤12から流出する水の量全体のうち河川11に流出する水の量の割合である流出率を表している。
この流出率fは、降雨量R(t)が飽和雨量Rsa以上であるか否かに応じて一次流出率f1と二次流出率f2との間で切り換えられる。すなわち、降雨量R(t)が飽和雨量Rsa未満であるときには一次流出率f1が上記流出率fとされ、降雨量R(t)が飽和雨量Rsa以上であるときには二次流出率f2が上記流出率fとされる。
式(16)の「dS(t)/dt」という項は、貯留高S(t)を時間微分した値である。また、式(17)の「Q(t)^p」という項は、流出高Q(t)のp乗した値である。式(17)では、「Q(t)^p」という項に対し、係数kを乗算することにより、貯留高S(t)が算出される。
上記解析値は、降雨量Re(t)に基づき、式(15)~(17)に示されるモデル式を用いて算出される。すなわち、式(15)の流量g(t)が上記解析値として算出される。この解析値を降雨に伴うダムへの水の流入量として正確な値とするためには、式(15)~(17)といった貯留関数法を用いたモデル式における複数の定数を適切な値に定めなければならない。ここでの定数としては、遅れ時間TL、飽和雨量Rsa、一次流出率f1、二次流出率f2、係数k、累乗pといった合計六つの定数があげられる。
図12は、降雨量に基づき上記モデル式を用いて算出した上記解析値、すなわち降雨に伴うダムへの水の流入量の推移、及び、上記複数の定数を変化させたときの上記流入量(解析値)の推移への影響を示している。
上記複数の定数のうち、係数kは上記流入量(解析値)の最大値に影響を及ぼし、遅れ時間TLは上記解析値の推移を示す波形全体の発生タイミングに影響を及ぼし、累乗pは上記解析値が「0」よりも大きくなる期間に影響を及ぼす。更に、上記複数の定数のうち、一次流出率f1は降雨量R(t)が飽和雨量Rsa未満であるときの上記解析値の増加率に影響を及ぼし、二次流出率f2は降雨量R(t)が飽和雨量Rsa以上であるときの上記解析値の増加率に影響を及ぼす。更に、上記複数の定数のうち、飽和雨量Rsaは、上記解析値の立ち上がり、すなわち同解析値の増加率の急増のタイミングに影響を及ぼす。
上述した複数(六つ)の定数は、第1実施形態と同様に、定数同定プログラムをコンピュータに実行させることにより、手間と時間をかけることなく定められる。
従って、本実施形態によれば、第1実施形態の(1)~(4)の効果と同様の効果が得られるようになる。
[その他の実施形態]
なお、上記各実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・第1実施形態において、定数として用いるのに最も適切な候補値の組み合わせを選択した後、その候補値の組み合わせを定数として代入した上記モデル式を用いて解析値を算出し、その解析値の推移を次のように表示することを可能とした。すなわち、その解析値の推移を、タンクモデルの各タンク13~16毎の水の流出量の推移と重ねた状態で表示することを可能とした。しかし、必ずしも、そのように各タンク13~16毎の水の流出量の推移を表示可能とする必要はない。
・定数として用いるのに最も適切な候補値の組み合わせを選択した後、その候補値の組み合わせを定数として代入した上記モデル式を用いて算出した解析値の推移等を、ディスプレイ33に表示するようにした。しかし、そうした表示については必ずしも行う必要はない。この場合、定数として用いるのに最も適切な候補値の組み合わせを選択した後、直ちに上記候補値の組み合わせを定数として用いることを決定する。
・スコア算出処理における誤差の算出、重み付け、及びスコアの算出を、上述した例以外の方法で行うようにしてもよい。例えば、誤差の算出については、誤差A、誤差B、及び誤差Cの三つを用いるのではなく、それらのうちの一つ又は二つを用いるようにしてもよい。
・スコア算出処理における重み付けは、必ずしも行う必要はない。
・記憶部34に記憶される流入量変化パターンを一つだけとし、その流入量変化パターンのみを用いて上記モデル式の定数を定めるようにしてもよい。
・上記流入量変化パターンを記憶部34に記憶する代わりに、現在の降雨量及びダムへの水の流入量の実績値を定められた時間間隔毎に常にコンピュータ31に取り込み続ける。そして、それら降雨量及び流入量を用いて一定期間毎に上記モデル式の定数を定め直すようにしてもよい。
11…河川
12…地盤
13~16…タンク
17…表面
18…表層
19…中間層
20…深層
21~29…穴
31…コンピュータ
32…入力機器
33…ディスプレイ
34…記憶部
35~45…表示領域

Claims (7)

  1. 降雨量に基づきダムに対する水の流入量を算出するためのモデル式が対象であり、そのモデル式の定数を定めるための処理をコンピュータに実行させる定数同定プログラムにおいて、
    前記定数の上限値及び下限値の入力を受け付ける入力受付処理と、
    前記上限値と前記下限値との範囲内で前記定数の候補値を複数設定し、それら候補値をそれぞれ前記定数として代入した前記モデル式を用いて前記候補値毎に、降雨量に基づく前記ダムに対する水の流入量である解析値を算出する解析値算出処理と、
    前記コンピュータに記憶された前記降雨量に対する前記流入量の実績値を読み出す読み出し処理と、
    前記解析値算出処理によって前記候補値毎に算出された前記解析値と前記読み出し処理によって読み出された前記実績値とを用いて、両者の誤差に基づくスコアを前記候補値毎に算出するスコア算出処理と、
    前記候補値毎に算出された前記スコアに基づき、複数の前記候補値のうちから前記定数として用いるのに適切な候補値を選択する選択処理と、
    をコンピュータに実行させる定数同定プログラム。
  2. 前記モデル式は、タンクモデルを用いたモデル式である請求項1に記載の定数同定プログラム。
  3. 前記モデル式は、貯留関数法を用いたモデル式である請求項1に記載の定数同定プログラム。
  4. 前記解析値算出処理は、定められた時間間隔毎の降雨量に基づき、その時間間隔毎の前記解析値をそれぞれ複数の前記候補値毎に算出するものであり、
    前記読み出し処理は、前記コンピュータに記憶された前記時間間隔毎の前記降雨量に対応する前記流入量の実績値を読み出すものであり、
    前記スコア算出処理は、前記時間間隔毎の前記解析値と前記実績値との誤差に対し前記ダムにおける降雨時の水の流入特性に応じた重み付けを行い、前記誤差の合計値である前記スコアを複数の前記候補値毎に算出するものであり、
    前記選択処理は、前記候補値毎に算出された前記スコアに基づき、複数の前記候補値のうちから前記定数として用いるのに適切な候補値を選択するものである請求項1~3のいずれか一項に記載の定数同定プログラム。
  5. 前記コンピュータは、前記時間間隔毎の降雨量に対応した前記時間間隔毎の前記流入量の実績値を一つの流入量変化パターンとして、複数の流入量変化パターンを記憶しており、
    前記解析値算出処理は、前記解析値を、複数の前記流入量変化パターンすべてについて算出するものであり、
    前記スコア算出処理は、複数の前記流入量変化パターンすべてについて前記スコアを算出し、それらスコアに対し重み付けをするものであり、
    前記選択処理は、前記候補値毎に算出された複数の前記流入量変化パターンの前記スコアの合計値に基づき、複数の前記候補値のうちから複数の前記流入量変化パターンすべてにおいて前記定数として用いるのに適切な候補値を選択するものである請求項4に記載の定数同定プログラム。
  6. 前記選択処理は、前記定数として用いるのに適切な候補値を選択した後、その候補値を前記定数として代入したモデル式に基づいて算出した前記解析値の推移を、前記実績値の推移と重ねた状態で、前記流入量変化パターン毎に前記コンピュータのディスプレイに表示するものである請求項5に記載の定数同定プログラム。
  7. 前記モデル式は、タンクモデルを用いたモデル式であり、
    前記解析値算出処理は、前記解析値を算出するに当たり、タンクモデルにおけるタンク毎の水の流出量をそれぞれ算出するものであり、
    前記選択処理は、算出されたタンク毎の流出量の推移を、前記解析値の推移及び前記実績値の推移と重ねた状態で、前記ディスプレイに表示することが可能とされている請求項6に記載の定数同定プログラム。
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