JP2023073785A - 積層体、及び積層体の製造方法 - Google Patents

積層体、及び積層体の製造方法 Download PDF

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義之 横山
Yoshiyuki Yokoyama
高広 岸岡
Takahiro Kishioka
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Abstract

【課題】金属層に異方性を付与できる積層体を製造できる積層体の製造方法などの提供。【解決手段】基材と、前記基材上に形成された金属層と、前記金属層上に形成された感光性繊維層とを有する積層体を製造する積層体の製造方法であって、感光性繊維製造用組成物を用いて電界紡糸法により紡糸され、前記金属層上に感光性繊維から形成される前記感光性繊維層が形成される工程を含み、前記電界紡糸法による前記紡糸が、前記感光性繊維製造用組成物を吐出するためのノズルと、前記ノズルと対向して配置された、前記基材上に形成された前記金属層とが、相対移動しながら行われる、積層体の製造方法。【選択図】図2E

Description

本発明は、積層体、積層体の製造方法、及びパターン状の金属層を有する基材の製造方法に関する。
近年、太陽電池やタッチパネルの需要拡大と共に、ITO(Indium Tin Oxide)膜を用いた透明導電性フィルムや透明配線パターンの市場が拡大している。しかし、レアメタルであるインジウムはコストが高く、脆弱で曲げ耐性もあまりないため、代替材料の開発が強く求められている。
最近、エレクトロスピニング法(電界紡糸法)の発展によって、衣服・電池・医療等多くの分野で高分子ナノファイバーの利用が進み始めている。その中で、高分子ナノファイバーが持つ細かい網目構造をエッチングマスクとして利用し金属薄膜をエッチングすることで、可視光の波長よりも細かい金属ネットワーク構造からなる透明導電性フィルムを形成する手法が新たに研究されている(非特許文献1、2)。
また、特許文献1、2には、エレクトロスピニング法で得られる高分子ナノファイバーに感光性を付与し、堆積したナノファイバーシートを光で任意の形状にパターニングする技術(感光性ナノファイバー化技術)が記載されている。
さらに、特許文献3には、感光性ナノファイバー化技術を用いて加工した金属パターンを製造する方法が記載されている。
国際公開第2015/056789号パンフレット 国際公開第2016/171233号パンフレット 国際公開第2020/162131号パンフレット
Keisuke Azuma, Koichi Sakajiri, Hidetoshi Matsumoto, Sungmin Kang,Junji Watanabe and Masatoshi Tokita, Mat.Lett., 115, 187(2014) Tianda He, Aozhen Xie, Darrell H.Reneker and Yu Zhu, ACS Nano, 8(5), 4782(2014)
本発明は、金属層に異方性を付与できる積層体を製造できる積層体の製造方法、及び金属層に異方性を付与できる積層体、並びにそれらを用いた、パターン状の金属層を有する基材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は以下を包含する。
[1] 基材と、前記基材上に形成された金属層と、前記金属層上に形成された感光性繊維層とを有する積層体を製造する積層体の製造方法であって、
感光性繊維製造用組成物を用いて電界紡糸法により紡糸され、前記金属層上に感光性繊維から形成される前記感光性繊維層が形成される工程を含み、
前記電界紡糸法による前記紡糸が、前記感光性繊維製造用組成物を吐出するためのノズルと、前記ノズルと対向して配置された、前記基材上に形成された前記金属層とが、相対移動しながら行われる、
積層体の製造方法。
[2] 前記電界紡糸法による前記紡糸の際、前記金属層が表面に形成された前記基材が回転体の表面に固定されており、
前記相対移動が前記回転体の円周方向の回転による相対移動である、
[1]に記載の積層体の製造方法。
[3] 前記電界紡糸法による前記紡糸の際の前記回転体の周速度が、0.5m/秒以上である、[2]に記載の積層体の製造方法。
[4] 前記感光性繊維製造用組成物が、ポジ型感光性樹脂組成物である、[1]~[3]のいずれかに記載の積層体の製造方法。
[5] 前記ポジ型感光性樹脂組成物が、(メタ)アクリル樹脂及びポリビニルフェノール樹脂の少なくともいずれか、溶解抑制剤、及び溶剤を含有する、[4]に記載の積層体の製造方法。
[6] 前記ポジ型感光性樹脂組成物が、更に電解質を含有する、[5]に記載の積層体の製造方法。
[7] 前記感光性繊維層が形成される工程が、
前記電界紡糸法による前記紡糸が、前記ノズルと前記金属層とが第1の方向に相対移動しながら行われ、第1の感光性繊維層が形成される第1紡糸処理と、
前記第1の感光性繊維層がパターン状に加工される加工処理と、
前記電界紡糸法による前記紡糸が、前記ノズルと前記パターン状の前記第1の感光性繊維層が形成された前記金属層とが前記第1の方向とは異なる第2の方向に相対移動しながら行われる第2紡糸処理と、を含む、
[1]~[6]のいずれかに記載の積層体の製造方法。
[8] 相対移動における前記第1の方向と前記第2の方向とが、前記金属層上の走査方向として見たときに、直交している、[7]に記載の積層体の製造方法。
[9] 基材と、前記基材上に形成された金属層と、前記金属層上に形成された感光性繊維層とを有する積層体であって、
前記感光性繊維層が、感光性繊維から形成されており、
前記感光性繊維層における前記感光性繊維が、配向性を有して配されており、
前記配向性が、前記感光性繊維層をマスクとして前記金属層をエッチングして得られた、前記感光性繊維層の網目状パターンが転写された前記金属層について、直交する2つの方向の表面抵抗値を測定した際に、測定された前記2つの方向の表面抵抗値の比が、小さい方の表面抵抗値を分母とし、大きい方の表面抵抗値を分子としたときに、1.5以上であるような配向性である、
積層体。
[10] 前記感光性繊維が、感光性繊維製造用組成物から形成された感光性繊維である、[9]に記載の積層体。
[11] 前記感光性繊維製造用組成物が、ポジ型感光性樹脂組成物である、[10]に記載の積層体。
[12] [1]~[8]のいずれかに記載の積層体の製造方法により得られた積層体、及び[9]~[11]のいずれかに記載の積層体のいずれかの前記感光性繊維層が、マスクを介して露光される工程と、
前記マスクを介して露光された前記感光性繊維層が、現像液により現像され、パターン状の感光性繊維層が形成される工程と、
前記パターン状の前記感光性繊維層をマスクとして前記金属層がエッチングされ、パターン状の金属層が形成される工程と、
を含む、パターン状の金属層を有する基材の製造方法。
本発明によれば、金属層に異方性を付与できる積層体を製造できる積層体の製造方法、及び金属層に異方性を付与できる積層体、並びにそれらを用いた、パターン状の金属層を有する基材の製造方法を提供することができる。
パターン状の金属層を有する基材の製造方法の一例を説明するための模式図である(その1)。 パターン状の金属層を有する基材の製造方法の一例を説明するための模式図である(その2)。 パターン状の金属層を有する基材の製造方法の一例を説明するための模式図である(その3)。 パターン状の金属層を有する基材の製造方法の一例を説明するための模式図である(その4)。 パターン状の金属層を有する基材の製造方法の一例を説明するための模式図である(その5)。 パターン状の金属層を有する基材の製造方法の一例を説明するための模式図である(その6)。 回転ドラムの周速度1.96m/秒で作製した感光性繊維層のSEM写真である(その1)。 回転ドラムの周速度1.96m/秒で作製した感光性繊維層のSEM写真である(その2)。 回転ドラムの周速度3.93m/秒で作製した感光性繊維層のSEM写真である(その1)。 回転ドラムの周速度3.93m/秒で作製した感光性繊維層のSEM写真である(その2)。 回転ドラムの周速度7.85m/秒で作製した感光性繊維層のSEM写真である(その1)。 回転ドラムの周速度7.85m/秒で作製した感光性繊維層のSEM写真である(その2)。 回転ドラムの周速度11.78m/秒で作製した感光性繊維層のSEM写真である(その1)。 回転ドラムの周速度11.78m/秒で作製した感光性繊維層のSEM写真である(その2)。 加熱前の感光性樹脂層のSEM写真である。 加熱後の感光性樹脂層のSEM写真である。 配線パターンのSEM写真である(その1)。 配線パターンのSEM写真である(その2)。 配向性の見られない感光性繊維層のSEM写真である。
(積層体)
本発明の積層体は、基材と、金属層と、感光性繊維層とを有する。
<基材>
基材としては、特に限定されないが、リソグラフィー処理に対して変形、変性等を起こさない材質の基材が好ましい。そのような基材としては、例えば、樹脂、ガラス、セラミックス、プラスチック、シリコン等の半導体が挙げられる。
基材の形状としては、特に限定されず、例えば、フィルム、シート、板、布(織布、編布、不織布)、糸などが挙げられる。
基材の材質としての樹脂は天然樹脂又は合成樹脂いずれでもよい。天然樹脂としては、例えば、セルロース、三酢酸セルロース(CTA)、デキストラン硫酸を固定化したセルロースなどが挙げられる。合成樹脂としては、例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリエステル系ポリマーアロイ(PEPA)、ポリスチレン(PS)、ポリスルホン(PSF)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリウレタン(PU)、エチレンビニルアルコール(EVAL)、ポリエチレン(PE)、ポリエステル(PE)(例えばポリエチレンテレフタレート(PET))、ポリプロピレン(PP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、各種イオン交換樹脂、ポリエーテルスルホン(PES)、シリコーン樹脂(例えはポリジメチルシロキサン(PDMS))などが挙げられる。繰り返し屈曲性(耐屈曲性)を有するためには、ポリエステル(PE)であることが好ましく、ポリエステル(PE)の中でもポリエチレンテレフタレート(PET)であることがより好ましい。
フィルム又はシート状の基材の厚みとしては、特に制限されないが、屈曲性と強度とのバランスに優れる点で、1μm~500μmが好ましく、5μm~200μmがより好ましく、10μm~100μmが特に好ましい。
<金属層>
金属層は、基材上に形成されている。
金属層を構成する金属としては、例えば、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、クロム、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、オスミウム、チタン、イリジウム、白金、金、アルミニウムなどが挙げられる。
これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
金属パターンを利用した透明導電性フィルムを提供する上では、導電性の観点から銅、銀、アルミニウムが好ましく、またフレキシブル透明電極(透明導電膜)を提供する上では、アルミニウム、銅等の金属又は合金が好ましく、さらに軽量さと低価格の観点からアルミニウムがより好ましい。
金属層の厚みとしては、特に限定されないが、5nm~1μmが好ましく、10nm~500nmがより好ましく、20nm~100nmが特に好ましい。
金属層の形成方法としては、特に限定されないが、例えば、物理蒸着法が挙げられる。
<感光性繊維層>
感光性繊維層は、金属層上に形成されている。
感光性繊維層は、感光性繊維から形成されている。
感光性繊維層における感光性繊維は、配向性を有して配されている。
ここでの配向性とは、感光性繊維層をマスクとして金属層をエッチングして得られた、感光性繊維層の網目状パターンが転写された金属層について、直交する2つの方向の表面抵抗値を測定した際に、測定された2つの方向の表面抵抗値の比が、小さい方の表面抵抗値を分母とし、大きい方の表面抵抗値を分子としたときに、1.5以上であるような配向性である。
表面抵抗値の比は、1.5以上であれば、特に制限されないが、1.8以上が好ましく、2.0以上がより好ましい。
表面抵抗値の比の上限値としては、特に制限されないが、表面抵抗値の比は、10以下であってもよいし、8.0以下であってもよいし、5.0以下であってもよい。
表面抵抗値は、例えば、4端子抵抗測定法により測定することができる。
感光性繊維層の厚みとしては、特に制限されないが、例えば、5μm~50μmである。
感光性繊維は、例えば、感光性繊維製造用組成物から形成された感光性繊維である。
感光性繊維製造用組成物の詳細については、後述する。
感光性繊維層の作製方法としては、後述する積層体の製造方法における電界紡糸法が好ましい。
(積層体の製造方法)
本発明の積層体の製造方法は、感光性繊維層が形成される工程を少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の工程を含んでもよい。
製造される積層体は、基材と、基材上に形成された金属層と、金属層上に形成された感光性繊維層とを有する。
基材としては、例えば、本発明の積層体の説明において例示した基材が挙げられる。
金属層としては、例えば、本発明の積層体の説明において例示した金属層が挙げられる。
<感光性繊維層が形成される工程>
感光性繊維層が形成される工程では、感光性繊維製造用組成物を用いて電界紡糸法により紡糸され、金属層上に感光性繊維から形成される感光性繊維層が形成される。
電界紡糸法による紡糸は、感光性繊維製造用組成物を吐出するためのノズルと、ノズルと対向して配置された、金属層が表面に形成された基材とが、相対移動しながら行われる。
電界紡糸法は、公知の紡糸方法であり、公知の電界紡糸装置を用いて行うことができる。感光性繊維製造用組成物をノズル(例、ニードル等)の先端から吐出する速度(吐出速度);印加電圧;感光性繊維製造用組成物を吐出するノズルの先端から、これを受け取る基材までの距離(吐出距離)等の各種条件は、製造する繊維の直径等に応じて適宜設定できる。
吐出速度は、通常0.1~100μl/minであり、好ましくは0.5~50μl/minであり、より好ましくは1~20μl/minである。
印加電圧は、通常0.5~80kVであり、好ましくは1~60kVであり、より好ましくは3~40kVである。
吐出距離は、通常1~60cmであり、好ましくは2~40cmであり、より好ましくは3~30cmである。
ノズルと基材との相対移動の速度としては、特に制限されないが、0.5m/秒以上が好ましく、1m/秒以上がより好ましく、5m/秒以上が特に好ましい。
相対移動の速度の上限値としては、特に制限されないが、相対移動の速度としては、30m/秒以下が好ましく、20m/秒以下がより好ましく、15m/秒以下が特に好ましい。
紡糸が行われる際のノズルと基材との相対移動は、一方向の相対移動であってもよいし、往復移動であってもよい。
電界紡糸法による紡糸の際、金属層が表面に形成された基材が回転体の表面に固定されていることが好ましい。そして、相対移動は回転体の円周方向の回転による相対移動であることが好ましい。この場合、ノズルの位置は固定されていてもよいし、後述するように、回転体の回転方向と直交する方向に低速で移動させてもよい。
電界紡糸法による紡糸の際の回転体の周速度としては、特に制限されないが、0.5m/秒以上が好ましく、1m/秒以上がより好ましく、5m/秒以上が特に好ましい。
回転体の周速度の上限値としては、特に制限されないが、回転体の周速度としては、30m/秒以下が好ましく、20m/秒以下がより好ましく、15m/秒以下が特に好ましい。
回転体は、通常、円柱状であり、その側面に基材が固定される。回転体は中実であってもよいし、中空であってもよい。回転体が中空の場合、筒のように上面及び底面が開いていてもよい。
なお、回転体の回転軸は、通常、ノズルの先端から回転体に伸ばした仮想線と直交している。
ノズルの位置が固定されかつ回転体が円周方向の回転運動のみをしていると、ノズルの先端から回転体に伸ばした仮想線が回転体の表面に当たって作成される交点(仮想線と回転体の表面との交点)の軌跡は幾重にも重なることになる。そうすると、基材上の金属層に付着する感光性繊維が金属層の同じ箇所にのみ付着することになる。それを避けるために、基材を固定した回転体又はノズルは、紡糸の際に、回転体の回転方向と直交する方向に、移動させてもよい。移動速度としては、特に制限されないが、回転速度よりも十分に遅い速度であることが好ましい。
感光性繊維層が形成される工程においては、第1紡糸処理と加工処理と第2紡糸処理とを含んでいてもよい。
第1紡糸処理では、電界紡糸法による紡糸が、ノズルと金属層とが第1の方向に相対移動しながら行われ、第1の感光性繊維層が形成される。
加工処理では、第1の感光性繊維層がパターン状に加工される。
第2紡糸処理では、電界紡糸法による紡糸が、ノズルとパターン状の第1の感光性繊維層が形成された金属層とが第1の方向とは異なる第2の方向に相対移動しながら行われる。
第1紡糸処理と加工処理と第2紡糸処理とを含むことで、製造された積層体を用いてパターン状の金属層を形成する際に、感光性繊維の長軸方向を導通する方向に沿わせることができるため、パターン状の金属層の導通特性を高くすることができる。
第1の感光性繊維層をパターン状に加工する方法としては、特に制限されず、例えば、後述する本発明のパターン状の金属層を有する基材の製造方法で説明されるパターン状の感光性繊維層を形成する方法が挙げられる。
なお、相対移動における第1の方向と第2の方向とは、金属層上の走査方向として見たときに、直交していることが好ましい。なお、直交とは完全な90°を指すのではなく、例えば、90°±5°であってもよい。
感光性繊維層が形成される工程においては、紡糸によって金属層上に感光性繊維を配した後に、感光性繊維を加熱することが好ましい。
例えば、感光性繊維層を金属層のマスクとして機能させるためには、感光性繊維層と金属層との密着性を上げることが好ましい。密着性が不十分であると、感光性繊維層の繊維ネットワーク構造の金属層への転写が不十分になり、転写後の金属層の繊維ネットワーク構造に断線等の欠陥が生じ、導電性が低下する恐れがあるためである。密着性を高める方法の一例は、感光性繊維を加熱することである。感光性繊維のガラス転移温度以上で加熱することが効果的である。
また、感光性繊維を加熱することによって3次元状に堆積していた感光性繊維を2次元状のネットワーク形状に変化させることができる。
感光性繊維を加熱する温度は、通常50~300℃の範囲であり、好ましくは60~250℃であり、より好ましくは70~200℃である。
加熱方法は、上記の加熱温度で加熱し得るものであれば特に制限されず、自体公知の方法又はそれに準ずる方法で適宜加熱することができる。該加熱方法の具体例としては、大気下にてホットプレート又はオーブン等を使用する方法等が挙げられる。
加熱時間としては、加熱温度等に応じて適宜設定し得るが、架橋反応速度、生産効率の観点から、1分~48時間が好ましく、1分~36時間がより好ましく、1分~24時間が特に好ましい。
<感光性繊維製造用組成物>
感光性繊維製造用組成物は、ポジ型感光性樹脂組成物又はネガ型感光性樹脂組成物である。
なお、ポジ型感光性樹脂組成物とは、例えば、光の作用により、現像液(例えば、アルカリ現像液、有機溶剤系現像液)難溶性又は不溶性から、現像液易溶性となる材料(例えば、ポジ型フォトレジスト、ポジ型感光性材料等)をいい、またネガ型感光性樹脂組成物とは、例えば、光の作用により、現像液易溶性から、現像液難溶性又は不溶性となる材料(例えば、ネガ型フォトレジスト、ネガ型感光性材料等)をいう。
以下、ポジ型感光性樹脂組成物をポジ型感光性材料ということがあり、ネガ型感光性樹脂組成物をネガ型感光性材料ということがある。
<<ポジ型感光性材料>>
ポジ型感光性材料は、繊維状にし得るものであれば特に制限されず、従来から、ポジ型フォトレジストやポジ型感光性樹脂組成物等として用いられている公知の材料を用いればよいが、化学増幅型のポジ型感光性材料が好ましい。化学増幅型のポジ型感光性材料の構成成分としては、例えば、(i)ノボラック樹脂及び溶解抑制剤;(ii)ポリビニルフェノール樹脂又は(メタ)アクリル樹脂及び光酸発生剤;(iii)光酸発生基を側鎖に有する構造単位を含むポリビニルフェノール樹脂又は(メタ)アクリル樹脂;等が挙げられる。
または、(iv)ポリビニルフェノール樹脂又は(メタ)アクリル樹脂、並びに溶解抑制剤も、ポジ型感光性樹脂組成物等として用いられるポジ型感光性材料である。
ポジ型感光性材料は、上記の(i)を含むか、上記の(ii)を含むか、上記の(iii)を含むか、あるいは上記の(iv)を含んでよい。
ノボラック樹脂は、従来、ポジ型感光性材料において用いられているものを制限なく使用し得るが、例えば、フェノール類とアルデヒド類とを酸触媒の存在下で重合させて得られる樹脂等が挙げられる。
上記のフェノール類としては、例えば、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール等のクレゾール類;2,3-キシレノール、2,4-キシレノール、2,5-キシレノール、2,6-キシレノール、3,4-キシレノール、3,5-キシレノール等のキシレノール類;o-エチルフェノール、m-エチルフェノール、p-エチルフェノール、2-イソプロピルフェノール、3-イソプロピルフェノール、4-イソプロピルフェノール、o-ブチルフェノール、m-ブチルフェノール、p-ブチルフェノール、p-tert-ブチルフェノール等のアルキルフェノール類;2,3,5-トリメチルフェノール、3,4,5-トリメチルフェノール等のトリアルキルフェノール類;レゾルシノール、カテコール、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、フロログリシノール等の多価フェノール類;アルキルレゾルシン、アルキルカテコール、アルキルハイドロキノン等のアルキル多価フェノール類(いずれのアルキル基も炭素数1~4である);α-ナフトール、β-ナフトール、ヒドロキシジフェニル、ビスフェノールA等が挙げられる。これらのフェノール類は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記アルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド、ニトロベンズアルデヒド、アセトアルデヒド等が挙げられる。これらのアルデヒド類は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記酸触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、亜リン酸等の無機酸類;蟻酸、シュウ酸、酢酸、ジエチル硫酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸類;酢酸亜鉛等の金属塩類等が挙げられる。
ノボラック樹脂の重量平均分子量は特に制限されないが、好ましくは500~50,000であり、解像度および紡糸性の観点から、より好ましくは、1,500~15,000である。
本発明において「重量平均分子量」とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて測定される、ポリスチレン換算の分子量をいう。
溶解抑制剤は、従来から、ポジ型感光性材料において感光剤として用いられているものを制限なく使用し得るが、例えば、1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸エステル、1,2-ナフトキノンジアジド-4-スルホン酸エステル等のナフトキノンジアジド化合物等が挙げられ、好ましくは1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸エステルである。
溶解抑制剤の含有量は、ノボラック樹脂100質量部に対して、通常5~50質量部であり、好ましくは10~40質量部である。
ポリビニルフェノール樹脂は、従来から、ポジ型感光性材料において用いられているものを制限なく使用し得るが、例えば、ヒドロキシスチレン類をラジカル重合開始剤の存在下で重合させて得られる樹脂等が挙げられる。
上記のヒドロキシスチレン類としては、例えば、o-ヒドロキシスチレン、m-ヒドロキシスチレン、p-ヒドロキシスチレン、2-(o-ヒドロキシフェニル)プロピレン、2-(m-ヒドロキシフェニル)プロピレン、2-(p-ヒドロキシフェニル)プロピレン等が挙げられる。これらのヒドロキシスチレン類は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記のラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジブチルパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスバレロニトリル等のアゾビス化合物等が挙げられる。
ポリビニルフェノール樹脂の重量平均分子量は特に制限されないが、好ましくは500~50,000であり、解像性および紡糸性の観点から、より好ましくは、1,500~25,000である。
(メタ)アクリル樹脂は、従来、ポジ型感光性材料において用いられているものを制限なく使用し得るが、例えば、(メタ)アクリル基を有する重合性単量体をラジカル重合開始剤の存在下で重合させて得られる樹脂等が挙げられる。
上記の(メタ)アクリル基を有する重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸プロピルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸ペンチルエステル、(メタ)アクリル酸ヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸ヘプチルエステル、(メタ)アクリル酸オクチルエステル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸ノニルエステル、(メタ)アクリル酸デシルエステル、(メタ)アクリル酸ウンデシルエステル、(メタ)アクリル酸ドデシルエステル、(メタ)アクリル酸トリフルオロエチルエステル、及び(メタ)アクリル酸テトラフルオロプロピルエステル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;ジアセトンアクリルアミド等のアクリルアミド;(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、(メタ)アクリル酸、α-ブロモ(メタ)アクリル酸、α-クロル(メタ)アクリル酸、β-フリル(メタ)アクリル酸、及びβ-スチリル(メタ)アクリル酸等が挙げられる。これらの(メタ)アクリル基を有する重合性単量体は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記のラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジブチルパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスバレロニトリル等のアゾビス化合物等が挙げられる。
また、上記(メタ)アクリル樹脂は、(メタ)アクリル基を有する重合性単量体に加えて、スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン等のα-位又は芳香族環において置換されている重合可能なスチレン誘導体;アクリロニトリル、ビニル-n-ブチルエーテル等のビニルアルコールのエステル類;マレイン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノイソプロピル等のマレイン酸モノエステル;フマール酸、ケイ皮酸、α-シアノケイ皮酸、イタコン酸、クロトン酸等の重合性単量体の1種又は2種以上が共重合されていてもよい。
なお、本明細書中、「(メタ)アクリル」は「アクリル」及び「メタクリル」の両方を意味する。
(メタ)アクリル樹脂の重量平均分子量は特に制限されないが、好ましくは500~500,000であり、解像性および紡糸性の観点から、より好ましくは、1,500~100,000である。
ポリビニルフェノール樹脂又は(メタ)アクリル樹脂は、酸不安定保護基によって保護されているアルカリ可溶基を側鎖に有する構造単位を含むことが好ましい。
上記の酸不安定保護基としては、例えば、tert-ブチル基、tert-ブトキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニルメチル基、tert-アミロキシカルボニル基、tert-アミロキシカルボニルメチル基、1,1-ジエチルプロピルオキシカルボニル基、1,1-ジエチルプロピルオキシカルボニルメチル基、1-エチルシクロペンチルオキシカルボニル基、1-エチルシクロペンチルオキシカルボニルメチル基、1-エチル-2-シクロペンテニルオキシカルボニル基、1-エチル-2-シクロペンテニルオキシカルボニルメチル基、1-エトキシエトキシカルボニルメチル基、2-テトラヒドロピラニルオキシカルボニルメチル基、2-テトラヒドロフラニルオキシカルボニルメチル基、テトラヒドロフラン-2-イル基、2-メチルテトラヒドロフラン-2-イル基、テトラヒドロピラン-2-イル基、2-メチルテトラヒドロピラン-2-イル基等が挙げられる。
上記のアルカリ可溶基としては、例えば、フェノール性ヒドロキシ基、カルボキシ基等が挙げられる。
酸不安定保護基によって保護されているアルカリ可溶基を側鎖に有する構造単位を含むポリビニルフェノール樹脂又は(メタ)アクリル樹脂は、例えば、ポリビニルフェノール樹脂又は(メタ)アクリル樹脂のアルカリ可溶基に、酸不安定保護基を化学反応させて導入することによって製造し得る。また、ポリビニルフェノール樹脂又は(メタ)アクリル樹脂の原料モノマーに、酸不安定保護基によって保護されているアルカリ可溶基を側鎖に有する構造単位に対応する単量体を混合し、得られたモノマー混合物を共重合することによっても製造し得る。
光酸発生剤は、光の作用により直接若しくは間接的に酸を発生する化合物であれば特に制限はなく、例えば、ジアゾメタン化合物、オニウム塩化合物、スルホンイミド化合物、ニトロベンジル化合物、鉄アレーン錯体、ベンゾイントシラート化合物、ハロゲン含有トリアジン化合物、シアノ基含有オキシムスルホナート化合物及びナフタルイミド系化合物等が挙げられる。
ジアゾメタン化合物としては、例えば、ビス(p-トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1-ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4-ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン等が挙げられる。
オニウム塩化合物としては、例えば、ビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート等が挙げられる。
スルホンイミド化合物としては、例えば、N-(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N-(ノナフルオロ-ノルマルブタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N-(カンファースルホニルオキシ)スクシンイミド、N-(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ナフタルイミド等が挙げられる。
ニトロベンジル化合物としては、例えば、p-トルエンスルホン酸2-ニトロベンジル、p-トルエンスルホン酸2,6-ジニトロベンジル、p-トルエンスルホン酸2,4-ジニトロベンジル等が挙げられる。
鉄アレーン錯体としては、例えば、ビスシクロペンタジエニル-(η6-イソプロピルベンゼン)-鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート等が挙げられる。
ベンゾイントシラート化合物としては、例えば、ベンゾイントシラート、α-メチルベンゾイントシラート等が挙げられる。
ハロゲン含有トリアジン化合物としては、例えば、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-[2-(2-フリル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-[2-(5-メチル-2-フリル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン等が挙げられる。
シアノ基含有オキシムスルホナート化合物としては、例えば、α-(メチルスルホニルオキシイミノ)-4-メトキシベンジルシアニド、α-(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)-4-メトキシベンジルシアニド、α-(エチルスルホニルオキシイミノ)-4-メトキシベンジルシアニド、α-(プロピルスルホニルオキシイミノ)-4-メチルベンジルシアニド等が挙げられる。
ナフタルイミド系化合物としては、例えば、6-(n-ブチルチオ)-2-(パーフルオロブチルスルホニルオキシ)-2-アザ-2H-フェナレン-1,3-ジオン、6-(n-ブチルチオ)-2-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)-2-アザ-2H-フェナレン-1,3-ジオンおよび6-(イソプロピルチオ)-2-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)-2-アザ-2H-フェナレン-1,3-ジオン等が挙げられる。
光酸発生剤の含有量は、ポリビニルフェノール樹脂又は(メタ)アクリル樹脂100質量部に対して、通常0.1~50質量部であり、好ましくは3~30質量部である。
光酸発生基を側鎖に有する構造単位を含むポリビニルフェノール樹脂又は(メタ)アクリル樹脂は、例えば、ポリビニルフェノール樹脂又は(メタ)アクリル樹脂の原料モノマーに、上記の光酸発生剤をモノマーとして混合し、得られたモノマー混合物を共重合することによって製造し得る。
光酸発生基を側鎖に有する構造単位を含むポリビニルフェノール樹脂の重量平均分子量は特に制限されないが、好ましくは500~50,000であり、解像性および紡糸性の観点から、より好ましくは、1,500~25,000である。
光酸発生基を側鎖に有する構造単位を含む(メタ)アクリル樹脂の重量平均分子量は特に制限されないが、好ましくは500~500,000であり、解像性および紡糸性の観点から、より好ましくは、1,500~10,000である。
ポジ型感光性材料は、自体公知の方法で製造すればよく、例えば、(i)ノボラック樹脂及び溶解抑制剤を含むポジ型感光性材料(ポジ型フォトレジスト)は、特公平7-66184号公報等に記載の方法で、(ii)ポリビニルフェノール樹脂又は(メタ)アクリル樹脂及び光酸発生剤を含むポジ型感光性材料(ポジ型フォトレジスト)は、特公平7-66184号公報、特開2007-79589号公報、又は特開平10-207066号公報等に記載の方法で、(iii)光酸発生基を側鎖に有する構造単位を含むポリビニルフェノール樹脂又は(メタ)アクリル樹脂を含むポジ型感光性材料(ポジ型フォトレジスト)は、特開平9-189998号公報、特開2002-72483号公報、特開2010-85971号公報、又は特開2010-256856号公報等に記載の方法で製造できる。または、市販品を使用してもよい。
(iv)のポジ型感光性材料の製造に関して、特許第5093525号等に記載の方法で製造できる。
<<ネガ型感光性材料>>
ネガ型感光性材料は、繊維になり得るものであれば特に制限されず、従来、ネガ型フォトレジストやネガ型感光性樹脂組成物等として用いられている公知の材料を用いればよいが、化学増幅型のネガ型感光性材料が好ましい。化学増幅型のネガ型感光性材料の構成成分としては、例えば、(A)ヒドロキシ基、ヒドロキシメチル基及び炭素原子数1~5のアルコキシメチル基から選ばれる少なくとも1種の基を側鎖に有する構造単位を含む高分子化合物(好ましくは、酸を触媒として架橋構造を形成し得る高分子化合物)および(B)光酸発生剤等が挙げられる。
なお、「炭素原子数1~5のアルコキシメチル基」における炭素原子数1~5は、アルコキシ基の炭素原子数を指す。
ネガ型感光性材料は、(A)ヒドロキシ基、ヒドロキシメチル基及び炭素原子数1~5のアルコキシメチル基から選ばれる少なくとも1種の基を側鎖に有する構造単位を含む高分子化合物(以下、単に「成分A」とも称する)および(B)光酸発生剤(以下、単に「成分B」とも称する)を含んでよい。
[成分A]
成分Aは、ヒドロキシ基、ヒドロキシメチル基及び炭素原子数1~5のアルコキシメチル基から選ばれる少なくとも1種の基を側鎖に有する構造単位を含み、光酸発生剤により発生した酸(H)を触媒として、ヒドロキシ基、ヒドロキシメチル基及び炭素原子数1~5のアルコキシメチル基から選ばれる少なくとも1種の基が反応することにより、ポリマー鎖間が結合して架橋構造が形成される。
これらの基の中でも、反応性の観点からヒドロキシ基が特に好ましい。
ここで、「炭素原子数1~5のアルコキシメチル基」は、直鎖状又は分岐鎖状のいずれでもよく、その具体例としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、n-プロポキシメチル基、イソプロポキシメチル基、n-ブトキシメチル基、イソブトキシメチル基、sec-ブトキシメチル基、tert-ブトキシメチル基、n-ペントキシメチル基、イソペントキシメチル基、ネオペントキシメチル基、tert-ペントキシメチル基、1-エチルプロポキシメチル基、2-メチルブトキシメチル基等が挙げられる。該アルコキシメチル基の炭素原子数は、好ましくは1~4であり、より好ましくは1~3である。
成分Aは、好ましくは、(A1)一般式(1):
Figure 2023073785000002
〔式中、
は、水素原子又はメチル基を示し、
は、エステル結合又はアミド結合を示し、
は、少なくとも1個の水素原子がヒドロキシ基、ヒドロキシメチル基又は炭素原子数1~5のアルコキシメチル基で置換されている炭素原子数1~10のアルキル基又は炭素原子数6~10の芳香族炭化水素基を示す。〕
で表される構造単位を含む高分子化合物(以下、単に「成分A1」とも称する)及び/又は(A2)天然高分子(以下、単に「成分A2」とも称する)を含む。より好ましくは、成分Aは、成分A1及び/又は成分A2である。
一般式(1)における各基の定義について、以下に詳述する。
は、水素原子又はメチル基を示す。
は、エステル結合又はアミド結合を示す。
は、少なくとも1個の水素原子がヒドロキシ基、ヒドロキシメチル基又は炭素原子数1~5のアルコキシメチル基で置換されている炭素原子数1~10のアルキル基又は炭素原子数6~10の芳香族炭化水素基を示す。
「炭素原子数1~5のアルコキシメチル基」は、直鎖状又は分岐鎖状のいずれでもよく、その具体例としては、上記と同様のものが挙げられ、好適な炭素原子数も上記と同様である。
「炭素原子数1~10のアルキル基」は、直鎖状又は分岐鎖状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、1-エチルプロピル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、1,1-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、2-エチルブチル基、ヘキシル基、ペンチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。該アルキル基の炭素原子数は、好ましくは1~6であり、より好ましくは1~4である。
また、Rにおける炭素原子数6~10の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等が挙げられる。
は、ネガ型感光性材料を用いて形成された感光性繊維を露光したときに、成分Bを触媒として反応性を有する架橋反応部位として作用させる観点から、好ましくは、少なくとも1個の水素原子がヒドロキシ基、ヒドロキシメチル基又は炭素原子数1~5のアルコキシメチル基(より好ましくはヒドロキシ基)で置換されている炭素原子数1~10(より好ましくは炭素原子数1~6、特に好ましくは炭素原子数1~4)のアルキル基、又は少なくとも1個の水素原子がヒドロキシ基、ヒドロキシメチル基又は炭素原子数1~5のアルコキシメチル基(より好ましくはヒドロキシ基)で置換されているフェニル基である。
一般式(1)で表される構造単位は、Rが、水素原子又はメチル基であり、Qが、エステル結合であり、Rが、少なくとも1個の水素原子がヒドロキシ基で置換されている炭素原子数1~10(より好ましくは炭素原子数1~6、特に好ましくは炭素原子数1~4)のアルキル基であることが好ましい。
一般式(1)で表される構造単位は、好ましくは、一般式(1A)で表される構造単位である。
Figure 2023073785000003
〔式中、Rは上記Rと同義であり、Rは上記Rと同義である。〕
成分A1は、一般式(1)で表される構造単位を1種単独で含んでもよいし、2種以上含んでもよい。
成分A1は、本発明の目的を損なわない限り、一般式(1)で表される構造単位以外の構造単位を含んでもよいが、成分A1の全構造単位に対する、一般式(1)で表される構造単位の含有割合は、架橋反応を効率的に行わせる観点から、5モル%以上が好ましく、15モル%以上がより好ましい。
成分A1は、さらに一般式(2):
Figure 2023073785000004
〔式中、
は、水素原子又はメチル基を示し、
およびRは、同一または異なっていてもよく、水素原子を示すか、又はヒドロキシ基若しくはカルボキシ基で置換されていてもよい炭素原子数1~4のアルキル基を示す。〕
で表される構造単位を含むことが望ましい。
成分A1は、一般式(2)で表される構造単位を1種単独で含んでもよいし、2種以上含んでもよい。
一般式(2)のRおよびRにおける「炭素原子数1~4のアルキル基」は、直鎖状又は分岐鎖状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基を挙げることができる。
本発明において「ヒドロキシ基若しくはカルボキシ基で置換されていてもよい」とは上記「炭素原子数1~4のアルキル基」に含まれる水素原子の一部又は全部がヒドロキシ基若しくはカルボキシ基で置換されていてもよいことを示す。
一般式(2)で表される構造単位は、Rが、水素原子又はメチル基であり、RおよびRがともにメチル基であるのがより好ましい。
成分A1の重量平均分子量は、適切な繊維形成の観点から、好ましくは1,000~1,000,000の範囲であり、より好ましくは5,000~500,000の範囲であり、特に好ましくは10,000~200,000の範囲である。
成分A1は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
成分A1は、自体公知の方法又はそれに準ずる方法によって製造することができる。例えば、各構造単位に対応する単量体(一般式(1)で表される構造単位に対応する単量体、一般式(1)で表される構造単位以外の構造単位(好ましくは一般式(2)で表される構造単位)に対応する単量体)を、適当な溶媒(例、プロピレングリコールモノエチルエーテル等)中で、適当な重合開始剤(例、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル等)を使用して重合することにより製造できるが、これに限定されない。また、市販品を使用してもよい。
一般式(1)で表される構造単位に対応する単量体としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(例えば、CAS番号:868-77-9の化合物)、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート(例えば、CAS番号:923-26-2の化合物)、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート(例えば、CAS番号:2478-10-6の化合物)、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド(例えば、CAS番号:923-02-4の化合物)、N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド(例えば、CAS番号:5238-56-2の化合物)、N-(2-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド(例えば、CAS番号:26099-09-2の化合物)、p-ヒドロキシ(メタ)アクリルアニリド(例えば、CAS番号:19243-95-9の化合物)、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられ、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド又はN-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドが好ましく、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが最も好ましい。
なお、本発明において(メタ)アクリレート化合物とは、アクリレート化合物とメタクリレート化合物の両方をいう。
一般式(2)で表される構造単位に対応する単量体としては、例えば、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-(1-メチルプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(1-エチルプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(1-プロピルブチル)(メタ)アクリルアミド、N-(1-ブチルペンチル)(メタ)アクリルアミド、2-カルボキシイソプロピル(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシイソプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられ、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、2-カルボキシイソプロピル(メタ)アクリルアミド又は2-ヒドロキシイソプロピル(メタ)アクリルアミドが最も好ましい。
成分A1が、一般式(2)で表される構造単位を有する場合、感光性繊維は温度応答性を有する。この場合、成分A1の全構造単位に対する、一般式(2)で表される構造単位の含有割合は、60~95モル%が好ましい。
成分A1は、一般式(1)で表される構造単位及び一般式(2)で表される構造単位に加え、さらに任意の構造単位を含んでいてもよい。かかる任意の構造単位は、感光性繊維の性能を損なわず、上記一般式(1)で表される構造単位に対応する単量体及び一般式(2)で表される構造単位に対応する単量体と重合することができる単量体由来の構造単位であれば特に制限は無い。このような単量体としては、例えば、アルキル基の炭素原子数が1~10の(メタ)アクリル酸エステル類、ベンジル(メタ)アクリレート、アクリルアミド類(例、アクリルアミド、N-アルキルアクリルアミド、N-アリールアクリルアミド、N,N-ジアルキルアクリルアミド、N,N-ジアリールアクリルアミド、N-メチル-N-フェニルアクリルアミド、N-2-アセトアミドエチル-N-アセチルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類(例、メタクリルアミド、N-アルキルメタクリルア
ミド、N-アリールメタクリルアミド、N,N-ジアルキルメタクリルアミド、N,N-ジアリールメタクリルアミド、N-メチル-N-フェニルメタクリルアミド、N-エチル-N-フェニルメタクリルアミド等)が挙げられる。これらはいずれか1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
例えば疎水性の側鎖を有する、アルキル基の炭素原子数が1~10の(メタ)アクリル酸エステル類やベンジル(メタ)アクリレート等を使用した場合、成分A1の親疎水バランスを調整することができる。
成分A2は、ヒドロキシ基、ヒドロキシメチル基及び炭素原子数1~5のアルコキシメチル基から選ばれる少なくとも1種の基を側鎖に有する構造単位を含む天然高分子(好ましくは、酸を触媒として架橋構造を形成し得る天然高分子)であれば特に制限されない。成分A2は、天然高分子に加水分解等の反応を起こさせた変性天然高分子でもあってもよい。また成分A2は、生体高分子(変性生体高分子を含む)であってもよい。本明細書において「生体高分子」とは、生体由来の高分子の総称である。
成分A2は、好ましくはデンプン又はグリコーゲンの加水分解物であるデキストリン、並びにその誘導体である。ここでデキストリンの誘導体とは、デキストリンのヒドロキシ基の一部又は全部を置換基(例、アセトキシ基、ベンゾイル基等)で置換したものをいう。
成分A2の重量平均分子量は、好ましくは1,000~5,000,000であり、より好ましくは1,000~100,000である。
成分A2はいずれか1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
[成分B]
成分Bは、光の作用により直接若しくは間接的に酸を発生する化合物であれば特に制限はなく、例えば、ジアゾメタン化合物、オニウム塩化合物、スルホンイミド化合物、ニトロベンジル化合物、鉄アレーン錯体、ベンゾイントシラート化合物、ハロゲン含有トリアジン化合物、シアノ基含有オキシムスルホナート化合物及びナフタルイミド系化合物等が挙げられる。これらの具体例は、例えば、ポジ型感光性材料の構成成分としての光酸発生剤の説明において挙げた具体例が挙げられる。
成分Bは、好ましくはシアノ基含有オキシムスルホナート化合物であり、特に好ましくはα-(メチルスルホニルオキシイミノ)-4-メトキシベンジルシアニドである。
成分Bはいずれか1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。成分Bは、自体公知の方法又はそれに準ずる方法によって製造することができる。また、市販品を用いてもよい。
[成分C]
成分A及び成分Bを含むネガ型感光性材料は、さらに(C)架橋剤(以下、単に「成分C」とも称する)を含有してよい。
成分Cとしては、成分Bにより発生した酸(H)を触媒にして、成分Aが有する、ヒドロキシ基、ヒドロキシメチル基および炭素原子数1~5のアルコキシメチル基から選ばれる少なくとも1種の基と反応し得る基を、1分子中に2個以上有する化合物であれば特に制限なく使用することができる。好ましくは当該基を1分子中に3~4個有する化合物、より好ましくは当該基を1分子中に4個有する化合物である。
具体的には、例えば、1,3,4,6-テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル、1,3,4,6-テトラキス(ブトキシメチル)グリコールウリル等のアミノプラスト架橋剤;2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジヒドロキシメチルフェニル)プロパン等のフェノプラスト架橋剤;ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート架橋剤;1,4-ビス(ビニルオキシ)ブタン等のビニルエーテル架橋剤;等が挙げられる。
成分Cは、好ましくはアミノプラスト架橋剤であり、好ましくは1,3,4,6-テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル又は1,3,4,6-テトラキス(ブトキシ
メチル)グリコールウリルであり、より好ましくは1,3,4,6-テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリルである。
成分Cはいずれか1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。成分Cは、自体公知の方法又はそれに準ずる方法によって製造することができ、また、市販品を用いてもよい。
ネガ型感光性材料は、成分Cを含有することで、成分Bが酸(H)を発生すると、成分Aのポリマー鎖同士の反応による架橋構造だけでなく、成分Aのポリマー鎖が成分Cを介在して3次元的に架橋する反応が進行する。
また、ネガ型感光性材料は、市販品を使用してもよい。
感光性繊維製造用組成物は、電解質を含有することが好ましい。電解質を感光性繊維製造用組成物に加えることで、感光性繊維製造用組成物の電気伝導度が高まり、ノズルの先端から吐出する際の液滴内部の静電反発力が大きくなることで、細い繊維径の感光性繊維が得られやすくなる。
電解質としては、例えば、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリブチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロマイドなどが挙げられる。
感光性繊維製造用組成物における電解質の含有量としては、特に制限されないが、感光性繊維製造用組成物に含有される樹脂に対して、0.01~5質量%が好ましく、0.05~3質量%がより好ましく、0.1~1質量%が特に好ましい。
感光性繊維製造用組成物は、紡糸助剤を含有することが好ましい。紡糸助剤を感光性繊維製造用組成物に加えることで電界紡糸時の噴霧状態の安定化を図ることができる。
紡糸助剤としては、例えば、水溶性高分子などが挙げられる。水溶性高分子としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。
感光性繊維製造用組成物における紡糸助剤の含有量としては、特に制限されないが、感光性繊維製造用組成物に含有される樹脂に対して、0.05~10質量%が好ましく、0.1~5質量%がより好ましく、0.5~3質量%が特に好ましい。
感光性繊維製造用組成物は、通常、溶剤を含有する。
溶剤は、ポジ型又はネガ型感光性材料の構成成分を均一に溶解又は分散し得、且つ、各構成成分と反応しないものであれば特に制限されないが、極性溶剤が好ましい。
当該極性溶剤としては、例えば、水、メタノール、エタノール、2-プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ヘキサフルオロイソプロパノール等が挙げられ、感光性繊維製造用組成物の紡糸し易さの観点から、好ましくはヘキサフルオロイソプロパノールである。
溶剤は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
感光性繊維製造用組成物における溶剤を除く構成成分の含有量は、解像性および紡糸性の観点から、溶剤を除く感光性繊維製造用組成物の固形分を基準に、好ましくは60~100質量%であり、より好ましくは60~95質量%であり、特に好ましくは70~90質量%である。
感光性繊維製造用組成物が成分A及びBを含むネガ型感光性樹脂組成物の場合、感光性繊維製造用組成物における成分Aの含有割合は、適度な太さを有する感光性繊維の製造や、感光性繊維製造用組成物の保存安定性の観点から、1~90質量%が好ましく、5~70質量%がより好ましい。
感光性繊維製造用組成物が成分A及びBを含むネガ型感光性樹脂組成物の場合、組成物における成分Bの含有割合は、温度応答性樹脂の特性を保つ観点、また解像性および紡糸性の観点から、0.1~50質量%が好ましく、0.5~40質量%がより好ましく、1~20質量%が特に好ましい。
感光性繊維製造用組成物が成分A及びBを含むネガ型感光性樹脂組成物の場合、組成物に含まれる成分Aと成分Bの質量比(成分Aの質量/成分Bの質量)は、成分Aと成分Bとの反応効率の観点から、5~50が好ましく、10~40がより好ましい。
感光性繊維製造用組成物が成分A~Cを含むネガ型感光性樹脂組成物の場合、組成物における成分Cの含有割合は、成分Aとの反応効率の観点から、0.1~15質量%が好ましく、0.3~10質量%がより好ましく、0.5~5質量%が特に好ましい。
感光性繊維製造用組成物は、本発明の目的を著しく損なわない限り、繊維製造用組成物に通常使用される添加剤を必要に応じて含んでもよい。当該添加剤としては、例えば、界面活性剤、レオロジー調整剤、薬剤、微粒子等が挙げられる。
感光性繊維製造用組成物の製造方法は、特に限定されず、ポジ型感光性樹脂組成物又はネガ型感光性樹脂組成物の公知の調製方法を用いることができる。
(パターン状の金属層を有する積層体の製造方法)
本発明の、パターン状の金属層を有する積層体の製造方法は、露光工程と、第1パターン化工程と、第2パターン化工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて、加熱工程などのその他の工程を含んでもよい。
本発明でいう「パターン」とは、例えば、主に直線、曲線及びこれらの組み合わせから構成される、図案、模様等の空間的な物の形として認識されるものを指す。また、パターンは任意の形状であればよく、パターン自体に規則性があっても無くてもよい。
<露光工程>
露光工程としては、本発明の積層体の製造方法により得られた積層体、及び本発明の積層体のいずれかの感光性繊維層が、マスクを介して露光される工程であれば、特に限定されない。
露光は、例えば、g線(波長436nm)、h線(波長405nm)、i線(波長365nm)、水銀ランプ、各種レーザー(例、KrFエキシマレーザー(波長248nm)、ArFエキシマレーザー(波長193nm)、F2エキシマレーザー(波長157nm)等のエキシマレーザー)、EUV(極端紫外線、波長13nm)、LED等により行うことができる。
露光の際の照射量としては、特に限定されない。
マスクの材質、形状、大きさ、構造としては、特に限定されず、形成したい感光性繊維層のパターンに応じて、適宜選択すればよい。
<第1パターン化工程>
第1パターン化工程としては、マスクを介して露光された感光性繊維層が、現像液により現像され、パターン状の感光性繊維層が形成される工程であれば、特に限定されない。
現像液としては、特に限定されず、例えば、ポジ型感光性樹脂組成物又はネガ型感光性樹脂組成物のパターン形成のために通常使用される現像液を用いることができる。
現像液としては、水性の現像液であってもよいし、有機溶媒系の現像液であってもよい。
水性の現像液としては、例えば、各種アルカリ性水溶液が挙げられる。
アルカリ性水溶液のアルカリ源としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類;エチルアミン、N-プロピルアミン等の第一アミン類;ジエチルアミン、ジ-N-ブチルアミン等の第二アミン類;トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類;ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の第4級アンモニウム塩;ピロール、ピペリジン等の環状アミン類などが挙げられる。
有機溶媒系の現像液に用いられる有機溶媒としては、例えば、例えば、アルコール類(例、1-ブタノール、2-ブタノール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、1-ヘプタノール、2-ヘプタノール、tert-アミルアルコール、ネオペンチルアルコール、2-メチル-1-プロパノール、2-メチル-1-ブタノール、2-メチル-2-ブタノール、3-メチル-1-ブタノール、3-メチル-3-ペンタノール、シクロペンタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、3-ヘキサノール、2,3-ジメチル-2-ブタノール、3,3-ジメチル-1-ブタノール、3,3-ジメチル-2-ブタノール、2-ジエチル-1-ブタノール、2-メチル-1-ペンタノール、2-メチル-2-ペンタノール、2-メチル-3-ペンタノール、3-メチル-1-ペンタノール、3-メチル-2-ペンタノール、3-メチル-3-ペンタノール、4-メチル-1-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、4-メチル-3-ペンタノール、1-ブトキシ-2-プロパノール及びシクロヘキサノール等)及び通常のレジスト組成物等に使用される溶媒(例、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、エトシキ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等)等が挙げられる。
現像液は、界面活性剤等の添加剤を含んでいてもよい。
<第2パターン化工程>
第2パターン化工程としては、パターン状の感光性繊維層をマスクとして金属層がエッチングされ、パターン状の金属層が形成される工程であれば、特に限定されない。
エッチングとしては、例えば、エッチング液を用いたウェットエッチングが挙げられる。
エッチング液としては、例えば、酸性水溶液、アルカリ水溶液などが挙げられる。
ウェットエッチングは、例えば、金属層が形成された基材をエッチング液に浸漬することとで行われる。
浸漬時間やエッチング液の温度などは、特に制限されず、使用するエッチング液の種類や濃度、及び溶解させる金属層の種類や厚みに応じて適宜選択することができる。
<加熱工程>
露光工程と第1パターン化工程との間に加熱工程が含まれていてもよい。
この加熱工程は、露光後加熱(Post Exposure Bake:PEB)とも呼ばれる。
加熱温度は、加熱時間等に応じて適宜設定し得るが、例えば、80~200℃である。また、加熱時間は、加熱温度等に応じて適宜設定し得るが、例えば、1~20分間である。
<除去工程>
第2パターン化工程に後には、除去工程として、パターン状の感光性樹脂層が除去される工程を行ってもよい。
パターン状の感光性樹脂層の除去は、例えば、有機溶媒を用いて行われる。有機溶媒としては、例えば、アセトンが挙げられる。
感光性繊維層が除去された後の、パターン状の金属層における可視光の波長領域における光透過率としては、特に制限されないが、例えば5%以上であり、例えば8%以上であり、例えば10%以上であり、例えば15%以上であり、例えば20%以上であり、例えば30%以上であり、例えば40%以上であり、例えば50%以上であり、例えば60%以上である。
以下、図を用いてパターン状の金属層を有する基材の製造方法の一例を説明する。
表面に金属層2が形成された基材1を用意する(図1A)。
電界紡糸装置を用意する。電界紡糸装置は、シリンジ10、回転体ドラム11及び高電圧ポンプ12を有する。電界紡糸装置において、シリンジ10のノズルは、回転体ドラム11と対向配置されている。電界紡糸装置の回転体ドラム11の表面に、金属層2が形成された基材1を、金属層2が表を向くように貼り付ける。そして、シリンジ10に充填された感光性繊維製造用組成物を、高圧下で、矢印の方向に回転させた回転体ドラム11に向かって吐出する(図1B)。
そうすると、金属層2上に、矢印の回転方向に配向した感光性繊維から形成される感光性繊維層3が得られる(図1C)。図1Cの積層体は、本発明の積層体の一例である。また、ここまでの説明は、本発明の積層体の製造方法の一例の説明でもある。
次に、感光性繊維層3の上に所望のパターンを有するマスクを載せ、マスク越しに感光性繊維層3を露光する。その後、現像液により感光性繊維層3を現像すると、マスクパターンに対応したパターン状の感光性繊維層3Aが得られる(図1D)。
次に、パターン状の感光性繊維層3Aをマスクとして、金属層2をエッチングすると、エッチング液に接した金属層2が基材1から除去され、基材1が露出する(図1E)。
次に、パターン状の感光性繊維層3Aを有機溶媒により溶解除去すると、パターン状の感光性繊維層3Aの下にあったパターン状の金属層2Aが露出する(図1F)。
以上により、パターン状の金属層を有する基材が得られる。
図1Fのパターン状の金属層2Aは、矩形パターンの長辺方向に配向している感光性繊維をマスクとして得られる。そのため、パターン状の金属層2Aの矩形パターンの長辺方向の導電性は短辺方向の導電性よりも高い。そのため、長辺方向に導通させたい回路において、高い導電性を与えることができる。
次に実施例を挙げ本発明の内容を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
<a.共重合体の製造>
4-ヒドロキシフェニルメタクリレート10g、ベンジルアクリレート20.04g、及びベンジルメタクリレート7.92gをテトラヒドロフラン120mlに溶解し、10分間窒素バブリングを行った。続いて、重合開始剤として2,2’-アゾビス(イソ酪酸)ジメチル0.26gを加え、窒素雰囲気下、70℃で加熱還流して、6時間重合を行った。重合後、n-ヘキサン2Lに重合溶液を注ぎ、ポリマーを析出させ、濾別、乾燥して、白色のポリマー(共重合体)を得た。得られたポリマーの構造は、種々の分析法から4-ヒドロキシフェニルメタクリレート構造のモル分率25%、ベンジルアクリレート構造のモル分率55%、及びベンジルメタクリレート構造のモル分率20%のポリマー(共重合体)であることがわかった。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりテトラヒドロフラン中で、このポリマーのポリスチレン換算の分子量を調べたところ、重量平均分子量(Mw)は31,000であった。
<b.感光性繊維製造用組成物の調製>
上記の共重合体1g、溶解抑制剤(ナフトキノンジアゾスルホン酸エステル化合物)0.4g、電解質(テトラブチルアンモニウムクロリド)0.005g、及び紡糸助剤(ポリエチレングリコール、平均分子量400万)0.01gを有機溶剤(ヘキサフルオロイソプロパノール)65.7gに溶解し、ポジ型の感光性繊維製造用組成物を調製した。また、この組成物から溶剤成分を乾燥除去した後の固形成分のガラス転移温度を、示差走査熱量計(DSC)により調べたところ、ガラス転移温度は85℃であった。
<c.電界紡糸法による感光性繊維層の製造方法>
本実施例において、電界紡糸法による感光性繊維の製造は、高圧電源部に(株)グリーンテクノ製GT80Pを用いた自作のエレクトロスピニング装置を用いて実施した。感光性繊維製造用組成物は、1mlのロック式プラスチック製注射筒(アズワン株式会社製)に注入した。注射筒には、針長13mmのロック式金属製ニードル24G(武蔵エンジニアリング株式会社製)を取り付けた。次に、感光性繊維を受け取るためのアルミニウム蒸着PETフィルム(PETフィルムの厚み12μm、アルミニウム蒸着膜の厚み50nm)を、高速で回転可能な回転ドラム(ドラム直径75mm)上に、アルミニウム蒸着膜を表面にして張り付け、ニードル先端と回転ドラム上に張り付けたアルミニウム蒸着PETフィルム間の距離(吐出距離)を10cmに調整した。電界紡糸中の印加電圧は5kV、吐出速度は5μl/秒、吐出時間は10秒、実験室内の温度は25℃とした。
回転ドラムの回転数を、500rpm(周速度:1.96m/秒)~3000rpm(周速度:11.78m/秒)として、それぞれ電界紡糸法を行った結果、アルミニウム蒸着PETフィルムのアルミニウム蒸着膜面に、直径約300nmの感光性繊維が堆積した感光性繊維層が得られた。得られた感光性繊維層のSEM写真を図2A~図2Hに示した。各図の感光性繊維層を製造する際の回転ドラムの回転数及び周速度は以下のとおりである。
図2A:回転ドラムの回転数500rpm(周速度1.96m/秒)
図2B:回転ドラムの回転数500rpm(周速度1.96m/秒)
図2C:回転ドラムの回転数1,000rpm(周速度3.93m/秒)
図2D:回転ドラムの回転数1,000rpm(周速度3.93m/秒)
図2E:回転ドラムの回転数2,000rpm(周速度7.85m/秒)
図2F:回転ドラムの回転数2,000rpm(周速度7.85m/秒)
図2G:回転ドラムの回転数3,000rpm(周速度11.78m/秒)
図2H:回転ドラムの回転数3,000rpm(周速度11.78m/秒)
いずれの周速でもドラム回転方向に配向した感光性繊維層が得られるようになり、さらに、周速度が速くなるに従って、配向性のより高い感光性繊維層が得られるようになった。
<d.感光性繊維層のパターニング>
周速度が11.78m/秒の条件で上記電界紡糸を行って得られた、感光性繊維層が積層されたアルミニウム蒸着PETフィルム(第1積層体)を用いた。
第1積層体を回転ドラムから剥がした後、90℃のオーブンで2分間加熱を行った。加熱によって、感光性繊維層中の残留溶媒を除去し、さらに、感光性繊維の熱ダレを利用して感光性繊維層をアルミニウム蒸着PETフィルムに密着させると同時に、3次元状に堆積していた感光性繊維を2次元状のネットワーク形状に変化させ、第2積層体を得た。加熱前の感光性樹脂層のSEM写真を図3Aに示す。加熱後の感光性樹脂層のSEM写真を図3Bに示す。
次に、超高圧水銀ランプを光源に用いて、第2積層体の感光性繊維層を、回転ドラムの回転方向(感光性繊維層の配向方向)に平行な配線パターン(L/S=250/250μm)、および、回転ドラムの回転方向(回転繊維層の配向方向)に垂直な配線パターン(L/S=250/250μm)が描かれているフォトマスクを介してコンタクト露光した。露光波長は、350nm~450nmまでのブロードバンド露光とし、露光量は、i線波長にて測定し、28.5mJ/cmとした。感光性繊維層の露光後、現像液(金属腐食防止剤を含有させたアルカリ性水溶液(水酸化テトラメチルアンモニウム3.3%))に2分間暴露し、次いで、純水で2分間リンスした。その後、40℃のオーブンで5分間加熱して乾燥させ、アルミニウム蒸着PETフィルム上に、回転ドラムの回転方向(感光性繊維層の配向方向)に平行な配線パターン、および、回転ドラムの回転方向(感光性繊維層の配向方向)に垂直な配線パターンを持つ感光性繊維層を有する積層体(第3積層体)を得た。
<e.アルミニウム蒸着PETフィルムのエッチング>
上記第3積層体を、アルミニウムエッチング液Pure Etch AS1(リン酸・硝酸・酢酸系、林純薬工業株式会社製)に浸漬し、感光性繊維層をエッチングマスクとして、アルミニウムのウェットエッチングを行った(25℃、1分)。その後、感光性繊維層を有機溶剤(アセトン)で完全に除去すると、PETフィルム上に、線幅約500nmの細いアルミニウムの網目状ネットワークからなる配線パターンを形成することができた。この時、ドラムの回転方向(除去前の感光性繊維層の配向方向)に対して平行な配線パターンのアルミニウムの網目状ネットワークには、配線パターンに対して平行方向の強い配向がみられた。また、ドラムの回転方向(除去前の感光性繊維層の配向方向)に対して垂直な配線パターンのアルミニウムの網目状ネットワークには、配線パターンに対して垂直方向の強い配向が見られた。そのSEM写真を図4A及び図4Bに示す。図4Aにおいて、矢印は回転ドラムの回転方向を示す。図4Bは、図4Aの符号Aで示す箇所の拡大図である。
<f.配線パターンの導電性および透明性)
配線パターン部分の電気特性を4端子抵抗測定法により測定した。その結果、回転ドラムの回転方向(除去前の感光性繊維層の配向方向)に対して平行な配線パターンにおけるシート抵抗は約58Ω/□であった。それに対して、回転ドラムの回転方向(除去前の感光性繊維層の配向方向)に対して垂直なおけるシート抵抗は約136Ω/□であり、導電性に明確な差(異方性)が生じた。
次に、曲げ半径3mmの屈曲試験を行った。回転ドラムの回転方向(除去前の感光性繊維層の配向方向)に対して平行な配線パターンに、配線パターンに対して垂直方向の屈曲を10回行ってもシート抵抗に変化は見られず、高い導電性を維持していた。また、回転ドラムの回転方向(除去前の感光性繊維層の配向方向)に対して垂直な配線パターンに、配線パターンに対して垂直方向の屈曲を10回行っても、シート抵抗に変化は見られず、高い導電性を維持していた。
次に、紫外可視分光光度計および目視により透明性を計測・観察した。その結果、回転ドラムの回転方向(除去前の感光性繊維層の配向方向)に対して平行な配線パターン部分、および、垂直な配線パターン部分は、どちらも、可視光の波長領域380nm~780nmにおいて光透過率約80%を示し、目視によっても透明であることが確認できた。
(比較例1)
<a.感光性繊維製造用組成物>
実施例1で調製したポジ型の感光性繊維製造用組成物を用いた。
<b.電界紡糸法による感光性繊維層の製造方法>
本比較例において、電界紡糸法による感光性繊維の製造は、高圧電源部に(株)グリーンテクノ製GT80Pを用いた自作のエレクトロスピニング装置を用いて実施した。感光性繊維製造用組成物は、1mlのロック式プラスチック製注射筒(アズワン株式会社製)に注入した。注射筒には、針長13mmのロック式金属製ニードル24G(武蔵エンジニアリング株式会社製)を取り付けた。次に、感光性繊維を受け取るためのアルミニウム蒸着PETフィルム(PETフィルムの厚み12μm、アルミニウム蒸着膜の厚み約45nm)を、固定した金属板に、アルミニウム蒸着膜を表面にして張り付け、ニードル先端と金属板に張り付けたアルミニウム蒸着PETフィルム間の距離(吐出距離)を10cmに調整した。電界紡糸中の印加電圧は5kV、吐出速度は0.5μl/秒、吐出時間は70秒、実験室内の温度は23℃とした。
固定した金属板にアルミニウム蒸着PETフィルムを張り付けて電界紡糸法を行った結果、アルミニウム蒸着PETフィルムのアルミニウム蒸着膜面に、直径約650nmの感光性繊維がランダムに堆積し、配向性の見られない感光性繊維層が得られた。そのSEM写真を図5に示す。
<c.感光性繊維層のパターニング>
感光性繊維層が堆積された上記のアルミニウム蒸着PETフィルム(第1積層体)を金属板から剥がした後、90℃のオーブンで5分間加熱を行った。加熱によって、感光性繊維層中の残留溶媒を除去し、さらに、感光性繊維の熱ダレを利用して感光性繊維層をアルミニウム蒸着PETフィルムに密着させると同時に、3次元状に堆積していた繊維を2次元状のネットワーク形状に変化させ、第2積層体を得た。
次に、超高圧水銀ランプを光源に用いて、第2積層体の感光性繊維層を、縦方向および横方向の配線パターン(L/S=250/250μm)が描かれているフォトマスクを介してコンタクト露光した。露光波長は、350nm~450nmまでのブロードバンド露光とし、露光量は、i線波長にて測定し、190mJ/cmとした。感光性繊維層の露光後、現像液(金属腐食防止剤を含有させたアルカリ性水溶液(水酸化テトラメチルアンモニウム3.3%))に5分間暴露し、次いで、純水で5分間リンスした。その後、40℃のオーブンで5分間加熱して乾燥させ、アルミニウム蒸着PETフィルム上に、縦方向および横方向の配線パターンを持つ感光性繊維層を有する積層体(第3積層体)を得た。
<d.アルミニウム蒸着PETフィルムのエッチング>
上記第3積層体を、アルミニウムエッチング液Pure Etch AS1(リン酸・硝酸・酢酸系、林純薬工業株式会社製)に浸漬し、感光性繊維層をエッチングマスクとして、アルミニウムのウェットエッチングを行った(25℃、2分)。その後、感光性繊維層を有機溶剤(アセトン)で完全に除去すると、PETフィルム上に、線幅約700nmの細いアルミニウムの網目状ネットワークからなる配線パターンを形成することができた。この時、縦方向の配線パターンであっても、横方向の配線パターンであっても、アルミニウムの網目状ネットワークに配向は見られなかった。
<e.配線パターンの導電性)
配線パターン部分の電気特性を4端子抵抗測定法により測定した。その結果、縦方向の配線パターンにおけるシート抵抗は約73Ω/□であった。また、横方向配線パターンにおけるシート抵抗も約73Ω/□であり、導電性に明確な違い(異方性)は見られなかった。
次に、紫外可視分光光度計および目視により透明性を計測・観察した。その結果、縦方向の配線パターン部分、および、横方向の配線パターン部分は、どちらも、可視光の波長領域380nm~780nmにおいて光透過率約76%を示し、目視によっても透明であることが確認できた。
1 基材
2 金属層
2A パターン状の金属層
3 感光性繊維層
3A パターン状の感光性繊維層
10 シリンジ
11 回転体ドラム
12 高電圧ポンプ

Claims (12)

  1. 基材と、前記基材上に形成された金属層と、前記金属層上に形成された感光性繊維層とを有する積層体を製造する積層体の製造方法であって、
    感光性繊維製造用組成物を用いて電界紡糸法により紡糸され、前記金属層上に感光性繊維から形成される前記感光性繊維層が形成される工程を含み、
    前記電界紡糸法による前記紡糸が、前記感光性繊維製造用組成物を吐出するためのノズルと、前記ノズルと対向して配置された、前記基材上に形成された前記金属層とが、相対移動しながら行われる、
    積層体の製造方法。
  2. 前記電界紡糸法による前記紡糸の際、前記金属層が表面に形成された前記基材が回転体の表面に固定されており、
    前記相対移動が前記回転体の円周方向の回転による相対移動である、
    請求項1に記載の積層体の製造方法。
  3. 前記電界紡糸法による前記紡糸の際の前記回転体の周速度が、0.5m/秒以上である、請求項2に記載の積層体の製造方法。
  4. 前記感光性繊維製造用組成物が、ポジ型感光性樹脂組成物である、請求項1~3のいずれかに記載の積層体の製造方法。
  5. 前記ポジ型感光性樹脂組成物が、(メタ)アクリル樹脂及びポリビニルフェノール樹脂の少なくともいずれか、溶解抑制剤、及び溶剤を含有する、請求項4に記載の積層体の製造方法。
  6. 前記ポジ型感光性樹脂組成物が、更に電解質を含有する、請求項5に記載の積層体の製造方法。
  7. 前記感光性繊維層が形成される工程が、
    前記電界紡糸法による前記紡糸が、前記ノズルと前記金属層とが第1の方向に相対移動しながら行われ、第1の感光性繊維層が形成される第1紡糸処理と、
    前記第1の感光性繊維層がパターン状に加工される加工処理と、
    前記電界紡糸法による前記紡糸が、前記ノズルと前記パターン状の前記第1の感光性繊維層が形成された前記金属層とが前記第1の方向とは異なる第2の方向に相対移動しながら行われる第2紡糸処理と、を含む、
    請求項1~6のいずれかに記載の積層体の製造方法。
  8. 相対移動における前記第1の方向と前記第2の方向とが、前記金属層上の走査方向として見たときに、直交している、請求項7に記載の積層体の製造方法。
  9. 基材と、前記基材上に形成された金属層と、前記金属層上に形成された感光性繊維層とを有する積層体であって、
    前記感光性繊維層が、感光性繊維から形成されており、
    前記感光性繊維層における前記感光性繊維が、配向性を有して配されており、
    前記配向性が、前記感光性繊維層をマスクとして前記金属層をエッチングして得られた、前記感光性繊維層の網目状パターンが転写された前記金属層について、直交する2つの方向の表面抵抗値を測定した際に、測定された前記2つの方向の表面抵抗値の比が、小さい方の表面抵抗値を分母とし、大きい方の表面抵抗値を分子としたときに、1.5以上であるような配向性である、
    積層体。
  10. 前記感光性繊維が、感光性繊維製造用組成物から形成された感光性繊維である、請求項9に記載の積層体。
  11. 前記感光性繊維製造用組成物が、ポジ型感光性樹脂組成物である、請求項10に記載の積層体。
  12. 請求項1~8のいずれかに記載の積層体の製造方法により得られた積層体、及び請求項9~11のいずれかに記載の積層体のいずれかの前記感光性繊維層が、マスクを介して露光される工程と、
    前記マスクを介して露光された前記感光性繊維層が、現像液により現像され、パターン状の感光性繊維層が形成される工程と、
    前記パターン状の前記感光性繊維層をマスクとして前記金属層がエッチングされ、パターン状の金属層が形成される工程と、
    を含む、パターン状の金属層を有する基材の製造方法。

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