JP2023071245A - ポリウレタンエラストマー - Google Patents
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Abstract
【課題】圧縮永久歪、耐酸性、耐アルカリ性、および耐熱水性の向上を図ることができる、ポリウレタンエラストマーを提供する。【解決手段】ポリウレタンエラストマーは、m-キシリレンジイソシアネートを含むポリイソシアネート成分と、ポリカーボネートポリオールを含むマクロポリオール成分と、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジフェニルメタンジアミンを含む鎖伸長成分との反応生成物を含み、マクロポリオール成分の数平均分子量が、500超過2000未満である。【選択図】なし
Description
本発明は、ポリウレタンエラストマーに関する。
ポリウレタンエラストマーは、ポリイソシアネートおよびマクロポリオールの反応により形成されるソフトセグメントと、ポリイソシアネートおよび鎖伸長剤の反応により形成されるハードセグメントとを有している。ポリウレタンエラストマーは、ゴム弾性体であり、耐摩耗性を必要とする工業用ロールなどの各種産業分野において広範に使用される。
より具体的には、以下の方法で得られるポリウレタンエラストマーが知られている。すなわち、この方法では、まず、p-キシリレンジイソシアネートと、ポリテトラメチレンエーテルグリコールとを反応させて、プレポリマーを得る。次いで、プレポリマーと、3,3’-ジクロロ-4,4-ジアミノジフェニルメタン(MOCA)とを反応させて、ポリウレタンエラストマーを得る(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、特許文献1に記載のポリウレタンエラストマーでは、圧縮永久歪、耐酸性、耐アルカリ性、および耐熱水性が十分ではないという不具合がある。
本発明は、圧縮永久歪、耐酸性、耐アルカリ性、および耐熱水性を向上することができる、ポリウレタンエラストマーを提供する。
本発明[1]は、m-キシリレンジイソシアネートを含むポリイソシアネート成分と、
ポリカーボネートポリオールを含むマクロポリオール成分と、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジフェニルメタンジアミンを含む鎖伸長成分との反応生成物を含み、前記マクロポリオール成分の数平均分子量が、500超過2000未満である、ポリウレタンエラストマーである。
ポリカーボネートポリオールを含むマクロポリオール成分と、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジフェニルメタンジアミンを含む鎖伸長成分との反応生成物を含み、前記マクロポリオール成分の数平均分子量が、500超過2000未満である、ポリウレタンエラストマーである。
本発明[2]は、前記ポリイソシアネート成分、および前記マクロポリオール成分の1次反応生成物を含むイソシアネート基末端プレポリマー成分と、前記鎖伸長成分との2次反応生成物を含む、上記[1]に記載のポリウレタンエラストマーを含んでいる。
本発明[3]は、前記マクロポリオール成分中の水酸基に対する、前記ポリイソシアネート成分中のイソシアネート基の当量比(NCO/OH)が、1.5超過3.0未満である、上記[2]に記載のポリウレタンエラストマーを含んでいる。
本発明のポリウレタンエラストマーは、m-キシリレンジイソシアネートを含むポリイソシアネート成分と、ポリカーボネートポリオールを含むマクロポリオール成分と、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジフェニルメタンジアミン(MOCA)を含む鎖伸長成分と
の反応生成物を含み、マクロポリオール成分の数平均分子量が、500超過2000未満である。そのため、本発明のポリウレタンエラストマーは、圧縮永久歪、耐酸性、耐アルカリ性、および耐熱水性の向上を図ることができる。
の反応生成物を含み、マクロポリオール成分の数平均分子量が、500超過2000未満である。そのため、本発明のポリウレタンエラストマーは、圧縮永久歪、耐酸性、耐アルカリ性、および耐熱水性の向上を図ることができる。
ポリウレタンエラストマーは、TPU(熱可塑性ポリウレタン樹脂)またはTSU(熱硬化性ポリウレタン樹脂)である。好ましくは、ポリウレタンエラストマーは、TSU(熱硬化性ポリウレタン樹脂)である。ポリウレタンエラストマーは、ポリイソシアネート成分と、マクロポリオール成分と、鎖伸長成分との反応生成物を含んでいる。
ポリイソシアネート成分は、必須成分として、m-キシリレンジイソシアネートを含んでいる。ポリイソシアネート成分中のm-キシリレンジイソシアネートの割合は、例えば、50質量%以上であり、好ましくは、90質量%以上であり、より好ましくは、95質量%以上である。さらに好ましくは、ポリイソシアネート成分は、m-キシリレンジイソシアネートからなる。
また、ポリイソシアネート成分は、任意成分として、m-キシリレンジイソシアネート以外のポリイソシアネート(以下、その他のポリイソシアネートとする)を含んでいてもよい。
その他のポリイソシアネートとしては、ポリイソシアネート単量体(m-キシリレンジイソシアネートを除く)、およびポリイソシアネート変性体が挙げられる。ポリイソシアネート単量体としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートおよび芳香脂肪族ポリイソシアネート(m-キシリレンジイソシアネートを除く)が挙げられる。芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、トルイジンジイソシアネート(TODI)、パラフェニレンジイソシアネート、および、ナフタレンジイソシアネート(NDI)が挙げられる。脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、鎖状脂肪族ポリイソシアネートおよび脂環族ポリイソシアネートが挙げられる。鎖状脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)およびヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)が挙げられる。脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(H12MDI)、および、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(H6XDI)が挙げられる。芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、p-キシリレンジイソシアネート(p-XDI)、および、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)が挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
ポリイソシアネート変性体としては、m-キシリレンジイソシアネートまたはポリイソシアネート単量体を、公知の方法で変性した変性体が挙げられる。ポリイソシアネート変性体としては、例えば、ウレトジオン変性体、イソシアヌレート変性体、アロファネート変性体、ポリオール変性体、ビウレット変性体、ウレア変性体、オキサジアジントリオン変性体およびカルボジイミド変性体が挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
ポリイソシアネート成分における、その他のポリイソシアネートの含有割合は、例えば、50質量%以下、好ましくは、10質量%以下、より好ましくは、5質量%以下である。さらに好ましくは、ポリイソシアネート成分は、その他のポリイソシアネートを含まない。
マクロポリオール成分は、分子中に水酸基を2つ以上有し、比較的高分子量(数平均分子量(Mn)が、例えば、500以上、より好ましくは、800以上であり、また、例えば、3000以下、より好ましくは、2000以下)の有機化合物である。マクロポリオール成分は、必須成分として、ポリカーボネートポリオールを含んでいる。マクロポリオール成分中のポリカーボネートポリオールの割合は、例えば、50質量%以上であり、好ましくは、90質量%以上であり、より好ましくは、95質量%以上である。さらに好ましくは、マクロポリオール成分は、ポリカーボネートポリオールからなる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、低分子量ポリオール(好ましくは、2価アルコール)を開始剤とするエチレンカーボネートの開環重合体、例えば、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオールまたは1,6-ヘキサンジオールなどの2価アルコールと、開環重合体との共重合体が挙げられる。また、ポリカーボネートポリオールは、結晶性ポリカーボネートポリオール(結晶性とは、25℃でワックス状固体を意味する)と、非晶性ポリカーボネートポリオール(非晶性とは、25℃で高粘性液体を意味する)に区分される。好ましくは、結晶性ポリカーボネートポリオールが用いられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
ポリカーボネートポリオールの数平均分子量(Mn)は、例えば、500以上、好ましくは、800以上、より好ましくは、1000以上である。また、ポリカーボネートポリオールの数平均分子量は、例えば、5000以下、好ましくは、2000以下、より好ましくは、1800以下、さらに好ましくは、1500以下である。上記範囲内であれば、圧縮永久歪、耐酸性、耐アルカリ性、および耐熱水性の向上を図ることができるポリウレタンエラストマーを得ることができる。数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフにより、ポリスチレン換算分子量として測定できる(以下同様)。
ポリカーボネートポリオールの平均水酸基数は、例えば、2.0以上である。また、ポリカーボネートポリオールの平均水酸基数は、例えば、3.0以下である。ポリカーボネートポリオールの平均水酸基数は、好ましくは、2.0である。
ポリカーボネートポリオールの平均水酸基数は、開始剤の種類、または、数平均分子量(Mn)および平均水酸基当量から、公知の方法で算出できる。
また、マクロポリオール成分は、任意成分として、ポリカーボネートポリオール以外のマクロポリオール(以下、その他のマクロポリオールとする)を含んでいてもよい。
その他のマクロポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、植物油ポリオール、ポリオレフィンポリオール、およびアクリルポリオールが挙げられる。
その他のマクロポリオールは、単独使用または2種類以上併用できる。
マクロポリオール成分における、その他のマクロポリオールの含有割合は、例えば、50質量%以下、好ましくは、10質量%以下、より好ましくは、5質量%以下である。さらに好ましくは、マクロポリオール成分は、その他のマクロポリオールを含まない。
マクロポリオール成分の数平均分子量(Mn)は、例えば、500以上、好ましくは、800以上、より好ましくは、1000以上である。また、マクロポリオール成分の数平均分子量は、例えば、5000以下、好ましくは、2000以下、より好ましくは、1800以下、さらに好ましくは、1500以下である。マクロポリオール成分の数平均分子量(Mn)が、上記範囲内であれば、圧縮永久歪、耐酸性、耐アルカリ性、および耐熱水性の向上を図ることができるポリウレタンエラストマーを得ることができる。
数平均分子量(Mn)は、水酸基当量および平均水酸基数から、公知の方法で算出できる。また、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフにより、ポリスチレン換算分子量として測定できる(以下同様)。
マクロポリオール成分の平均水酸基数は、例えば、2.0以上である。また、マクロポリオール成分の平均水酸基数は、例えば、3.0以下である。マクロポリオール成分の平均水酸基数は、好ましくは、2.0である。平均水酸基数は、開始剤の種類、または、数平均分子量(Mn)および平均水酸基当量から、公知の方法で算出できる。
鎖伸長成分は、必須成分として、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジフェニルメタンジアミン(MOCA)を含んでいる。鎖伸長成分中の3,3’-ジクロロ-4,4’-ジフェニルメタンジアミン(MOCA)の割合は、例えば、50質量%以上であり、好ましくは、90質量%以上であり、より好ましくは、95質量%以上である。さらに好ましくは、鎖伸長成分は、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジフェニルメタンジアミン(MOCA)からなる。
また、鎖伸長成分は、任意成分として、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジフェニルメタンジアミン(MOCA)以外の鎖伸長剤(以下、その他の鎖伸長剤とする)を含んでいてもよい。また、鎖伸長成分は、硬度の向上を図るべく、好ましくは、任意成分として低分子量ポリオールを含有しない。
その他の鎖伸長剤としては、例えば、芳香族ポリアミン(3,3’-ジクロロ-4,4’-ジフェニルメタンジアミン(MOCA)を除く)が挙げられる。
芳香族ポリアミンとしては、例えば、芳香族ジアミン(MOCAを除く)が挙げられる。芳香族ジアミンとしては、例えば、2,4-ジエチルトルエンジアミン、2,6-ジエチルトルエンジアミン、ジメチルチオトルエンジアミン、4,4’-ジフェニルメタンジアミン、4,4’-メチレンビス(n-sec-ブチルアニリン)、4,4’-メチレンビス(2,6-ジエチルアニリン)、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジエチル-5,5’-ジメチルジフェニルメタン、および、テトラクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタンが挙げられる。また、芳香族ポリアミンとしては、市販品も挙げられる。市販品としては、例えば、エタキュア100(2,4-ジエチルトルエンジアミンと2,6-ジエチルトルエンジアミンの混合物、アルベマール社製)、エタキュア300(ジメチルチオトルエンジアミン、アルベマール社製)、エタキュア420(4,4’-メチレンビス(n-sec-ブチルアニリン)、アルベマール社製)、ロンザキュアM-DEA(4,4’-メチレンビス(2,6-ジエチルアニリン)、ロンザ社製)、キュアハードMED-J(4,4’-ジアミノ-3,3’-ジエチル-5,5’-ジメチルジフェニルメタン)、および、TCDAM(テトラクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、イハラケミカル社製)が挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
鎖伸長成分における、その他の鎖伸長剤の含有割合は、例えば、50質量%以下、好ましくは、10質量%以下、より好ましくは、5質量%以下である。さらに好ましくは、鎖伸長成分は、その他の鎖伸長剤を含まない。
ポリイソシアネート成分の含有割合は、ポリイソシアネート成分およびマクロポリオール成分の総量に対して、例えば、20質量%以上、好ましくは、25質量%以上である。また、ポリイソシアネート成分の含有割合は、例えば、50質量%以下、好ましくは、40質量%以下、より好ましくは、35質量%以下、さらに好ましくは、32質量%以下である。ポリイソシアネート成分の含有割合が、上記範囲内であれば、本発明のポリウレタンエラストマーは、圧縮永久歪、耐酸性、耐アルカリ性、および耐熱水性の向上を図ることができる。
マクロポリオール成分の含有割合は、ポリイソシアネート成分およびマクロポリオール成分の総量に対して、例えば、60質量%以上、好ましくは、65質量%以上、より好ましくは、70質量%以上である。また、マクロポリオール成分の含有割合は、例えば、85質量%以下、好ましくは、80質量%以下、より好ましくは、75質量%以下である。マクロポリオール成分の含有割合が、上記範囲内であれば、本発明のポリウレタンエラストマーは、圧縮永久歪、耐酸性、耐アルカリ性、および耐熱水性の向上を図ることができる。
鎖伸長成分の含有割合は、ポリイソシアネート成分およびマクロポリオール成分の総量100質量部に対して、例えば、10質量部以上、好ましくは、13質量部以上、より好ましくは、16質量部以上である。また、鎖伸長成分の含有割合は、例えば、30質量部以下、好ましくは、23質量部以下、より好ましくは、20質量部以下である。鎖伸長成分の含有割合が、上記範囲内であれば、本発明のポリウレタンエラストマーは、圧縮永久歪、耐酸性、耐アルカリ性、および耐熱水性の向上を図ることができる。
ポリウレタンエラストマーの総量(ポリイソシアネート成分と、マクロポリオール成分と、鎖伸長成分との総量、以下同様)に対して、ポリイソシアネート成分の含有割合が、例えば、15質量%以上、好ましくは、20質量%以上、より好ましくは、22質量%以上である。また、ポリイソシアネート成分の含有割合は、例えば、40質量%以下、好ましくは、30質量%以下、より好ましくは、25質量%以下である。ポリイソシアネート成分の含有割合が、上記範囲内であれば、本発明のポリウレタンエラストマーは、圧縮永久歪、耐酸性、耐アルカリ性、および耐熱水性の向上を図ることができる。
ポリウレタンエラストマーの総量に対して、マクロポリオール成分の含有割合が、例えば、50質量%以上、好ましくは、55質量%以上、より好ましくは、60質量%以上である。また、マクロポリオール成分の含有割合は、例えば、70質量%以下、好ましくは、65質量%以下、より好ましくは、62質量%以下である。マクロポリオール成分の含有割合が、上記範囲内であれば、本発明のポリウレタンエラストマーは、圧縮永久歪、耐酸性、耐アルカリ性、および耐熱水性の向上を図ることができる。
ポリウレタンエラストマーの総量に対して、鎖伸長成分の含有割合が、例えば、10質量%以上、好ましくは、12質量%以上、より好ましくは、14質量%以上である。また、鎖伸長成分の含有割合が、例えば、30質量%以下、好ましくは、20質量%以下、より好ましくは、18質量%以下、さらに好ましくは、15質量%以下である。鎖伸長成分の含有割合が、上記範囲内であれば、本発明のポリウレタンエラストマーは、圧縮永久歪、耐酸性、耐アルカリ性、および耐熱水性の向上を図ることができる。
ポリウレタンエラストマーの製造方法としては、例えば、ワンショット法、プレポリマー法などの公知の方法が挙げられ、好ましくは、プレポリマー法が挙げられる。ワンショット法では、例えば、ポリイソシアネート成分と、マクロポリオール成分と、鎖伸長成分とを、一度に反応させる。プレポリマー法では、例えば、まず、ポリイソシアネート成分とマクロポリオール成分とを反応させて、分子末端にイソシアネート基を有するイソシアネート基末端プレポリマー成分を合成する。次いで、得られたイソシアネート基末端プレポリマー成分と、鎖伸長成分とを反応させる。
すなわち、ポリウレタンエラストマーは、好ましくは、1次反応生成物を含むイソシアネート基末端プレポリマー成分と、鎖伸長成分との2次反応生成物を含んでいる。1次反応生成物は、ポリイソシアネート成分と、マクロポリオール成分との反応生成物である。2次反応生成物は、イソシアネート基末端プレポリマー成分と、鎖伸長成分との反応生成物である。
イソシアネート基末端プレポリマー成分は、ポリイソシアネート成分と、マクロポリオール成分の1次反応生成物を含んでいる。
プレポリマー法では、まず、ポリイソシアネート成分と、マクロポリオール成分とを反応させて、1次反応生成物を含む、イソシアネート基末端プレポリマー成分を得る。
イソシアネート基末端プレポリマー成分は、例えば、ポリイソシアネート成分とマクロポリオール成分とを、所定の割合で反応させることによって得られる(プレポリマー工程)。
ポリイソシアネート成分とマクロポリオール成分との配合割合は、マクロポリオール成分の水酸基に対して、ポリイソシアネート成分のイソシアネート基が過剰となるように、調整される。より具体的には、マクロポリオール成分中の水酸基(OH)に対する、ポリイソシアネート成分中のイソシアネート基(NCO)の当量比(NCO/OH)が、例えば、1.5超過、好ましくは、1.7以上、より好ましくは、1.8以上である。また、マクロポリオール成分中の水酸基に対する、ポリイソシアネート成分中のイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/水酸基)が、例えば、3.0未満、好ましくは、2.5以下、より好ましくは、2.2以下である。上記当量比(NCO/OH)が、上記範囲内であれば、圧縮永久歪、耐酸性、耐アルカリ性、および耐熱水性の向上を図ることができるポリウレタンエラストマーを得ることができる。
重合方法としては、例えば、バルク重合および溶液重合が挙げられる。バルク重合では、例えば、ポリイソシアネート成分およびマクロポリオール成分を、窒素気流下で反応させる。反応温度は、例えば、50℃以上である。また、反応温度は、例えば、250℃以下、好ましくは、200℃以下である。また、反応時間が、例えば、0.5時間以上、好ましくは、1時間以上である。また、反応時間が、例えば、15時間以下である。溶液重合では、ポリイソシアネート成分およびマクロポリオール成分を、公知の有機溶剤の存在下で反応させる。反応温度は、例えば、50℃以上である。また、反応温度は、例えば、120℃以下、好ましくは、100℃以下である。また、反応時間が、例えば、0.5時間以上、好ましくは、1時間以上である。また、反応時間が、例えば、15時間以下である。
また、必要に応じて、公知のウレタン化触媒を添加することができる。ウレタン化触媒としては、例えば、アミン類および有機金属化合物が挙げられる。ウレタン化触媒の添加割合は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
これにより1次反応生成物を含むイソシアネート基末端プレポリマー成分(プレポリマー反応液)が得られる。また、上記の反応で得られるイソシアネート基末端プレポリマー成分は、イソシアネート基末端プレポリマー(1次反応生成物)の他、未反応のポリイソシアネート(ポリイソシアネート成分)を含有できる。未反応のポリイソシアネートは、必要に応じて、公知の除去方法により反応混合物から除去される。除去方法としては、例えば、蒸留法および抽出法が挙げられる。
イソシアネート基末端プレポリマーは、ハードセグメントの凝集性を向上させる観点から、好ましくは、1次反応生成物および未反応のポリイソシアネートを含む。
イソシアネート基末端プレポリマー成分のイソシアネート基濃度は、例えば、4.0質量%以上、好ましくは、5.0質量%以上、より好ましくは、5.5質量%以上である。また、イソシアネート基末端プレポリマーのイソシアネート基濃度は、9.0質量%以下、好ましくは、8.0質量%以下、より好ましくは、7.0質量%以下、さらに好ましくは、6.5質量%以下である。なお、イソシアネート基濃度(イソシアネート基含有率)は、ジ-n-ブチルアミンによる滴定法や、FT-IR分析などの公知の方法によって求めることができる。
そして、ポリウレタンエラストマーは、上記のイソシアネート基末端プレポリマー成分と鎖伸長成分とを反応させることにより、得られる(鎖伸長工程)。
イソシアネート基末端プレポリマー成分と鎖伸長成分との配合割合は、イソシアネート基末端プレポリマー成分のイソシアネート基に対する、鎖伸長成分のアミノ基の当量比として調整される。
より具体的には、例えば、イソシアネート基末端プレポリマー成分中のイソシアネート基に対する鎖伸長成分のアミノ基の当量比(アミノ基/イソシアネート基)が、例えば、0.80以上、好ましくは、0.85以上であり、また例えば、1.1以下、好ましくは、1.0未満、より好ましくは、0.95以下である。所望の硬度を得る観点から、好ましくは、1.0未満である。
また、イソシアネート基末端プレポリマー成分と鎖伸長成分との反応では、例えば、バルク重合および/または溶液重合が、採用される。反応温度は、例えば、室温(25℃)以上、好ましくは、50℃以上である。また、反応温度は、例えば、200℃以下、好ましくは、150℃以下である。また、反応時間が、例えば、5分以上、好ましくは、1時間以上である。また、反応時間が、例えば、72時間以下、好ましくは、48時間以下である。イソシアネート基末端プレポリマー成分と鎖伸長成分との混合時には、必要に応じて、ウレタン化触媒を、適宜の割合で添加できる。
これにより、イソシアネート基末端プレポリマー成分と鎖伸長成分との反応生成物を含むポリウレタンエラストマーが得られる。
イソシアネート基末端プレポリマー成分と鎖伸長成分との反応において、より具体的には、好ましくは、イソシアネート基末端プレポリマー成分と鎖伸長成分との混合物は、必要に応じて脱泡され、予備加熱した成形型内で硬化し、脱型される。これにより、所望形状に成形されたポリウレタンエラストマーが得られる。
すなわち、ポリウレタンエラストマーは、好ましくは、注型成形により得られる。従って、ポリウレタンエラストマーは、好ましくは、注型ポリウレタンエラストマーである。ポリウレタンエラストマーは、ポリウレタンエラストマー成形品であり、注型ポリウレタンエラストマーは、注型成形により得られる成形品(注型成形品)であり、目的および用途に応じた所定形状を単独で有する物品であって、被塗物に対して塗布されるコーティング剤とは区別される。
また、ポリウレタンエラストマーを、熱処理することができる。熱処理温度は、例えば、50℃以上、好ましくは、80℃以上である。また、熱処理温度は、例えば、200℃以下、好ましくは、150℃以下である。また、熱処理時間が、例えば、30分以上、好ましくは、1時間以上である。また、熱処理時間が、例えば、30時間以下、好ましくは、20時間以下である。
また、ポリウレタンエラストマーを、養生することができる。養生温度は、例えば、10℃以上、好ましくは、20℃以上である。また、養生温度は、例えば、50℃以下、好ましくは、40℃以下である。また、養生時間が、例えば、1時間以上、好ましくは、10時間以上である。また、養生時間が、例えば、20日間以下、好ましくは、10日間以下である。
これにより得られるポリウレタンエラストマーのアスカーA硬度(JIS K6253-3(2012年)に準拠)は、例えば、80A以上、好ましくは、90A以上、より好ましくは、95A以上である。
ポリウレタンエラストマーは、必要に応じて、イソシアネート基末端プレポリマー成分と鎖伸長成分との反応生成物の他、公知の添加剤を含むことができる。すなわち、ポリウレタンエラストマーは、ポリウレタンエラストマー組成物であってもよい。
添加剤としては、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、ブロッキング防止剤、離型剤、顔料、染料、滑剤、フィラー、加水分解防止剤、防錆剤およびブルーイング剤が挙げられる。添加剤の添加量は、目的および用途に応じて、適宜設定される。また、添加剤は、イソシアネート基末端プレポリマーの合成時、および鎖伸長反応時に、目的および用途に応じて、適宜添加できる。
そして、上記のポリウレタンエラストマーにおいて、イソシアネート基末端プレポリマー成分に含まれる1次反応生成物は、ポリイソシアネート成分と、ポリカーボネートポリオールを含むマクロポリオール成分との反応生成物を含む。そして、鎖伸長成分が、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジフェニルメタンジアミン(MOCA)を含む。
この点、特許文献1に記載されるように、p-キシリレンジイソシアネート(p-XDI)と、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)とを反応させて、プレポリマーを合成し、次いで、プレポリマーと、3,3’-ジクロロ-4,4-ジアミノジフェニルメタン(MOCA)とを反応させて、ポリウレタンエラストマーを得た場合、耐薬品性(耐酸性、耐アルカリ性など)が劣る。そこで、耐薬品性の向上を図るべく、PTMEGに代えて、ポリカーボネートジオール(PCD)を用いることが試案される。しかし、p-XDIと、PCDとの反応では、得られるプレポリマーの固化を生じる。一方、本発明のポリウレタンエラストマーは、m-キシリレンジイソシアネート(m-XDI)を含むポリイソシアネート成分と、ポリカーボネートポリオールを含むマクロポリオール成分と、MOCAを含む鎖伸長成分との反応生成物を含む。そして、m-キシリレンジイソシアネート(m-XDI)は、p-XDIより結晶性が低い一方で、MOCAは、ハードセグメントの凝集性を向上させる。その結果、得られたポリウレタンエラストマーは、圧縮永久歪、耐酸性、耐アルカリ性、および耐熱水性の向上を図ることができる。
ポリウレタンエラストマーは、任意の形状に成形される。熱硬化性エラストマーの場合には、注型成形時に、所定形状に成形される。熱可塑性エラストマーの場合には、まずペレットなどに成形し、その後、所定形状に成形できる。成形方法としては、例えば、熱圧縮成形、射出成形、押出成形、溶融紡糸成形が挙げられる。また、成形後の形状としては、例えば、板状、繊維状、ストランド状、フィルム状、シート状、パイプ状、ボトル状、中空状、箱状およびボタン状が挙げられる。
成形品の用途としては、特に制限されないが、例えば、透明性硬質プラスチック、フィルム、シート、バンド、ベルト、チューブ、ブレード、スピーカー、センサー、アウトソール、糸、繊維、不織布、化粧品、靴用品、断熱材、シール材、テープ材、太陽光発電部材、ロボット部材、アンドロイド部材、ウェアラブル部材、衣料用品、衛生用品、化粧用品、家具用品、食品包装部材、スポーツ用品、レジャー用品、医療用品、介護用品、住宅用部材、音響部材、照明部材、防振部材、防音部材、日用品、雑貨、クッション、寝具、応力吸収材、応力緩和材、自動車内装材、自動車外装材、鉄道部材、航空機部材、光学部材、OA機器用部材、雑貨表面保護部材、半導体封止材、健康器具、メガネレンズ、玩具、パッキン、ケーブルシース、ワイヤーハーネス、電気通信ケーブル、自動車配線、コンピューター配線、工業用品、衝撃吸収材および半導体用品が挙げられる。成形品の用途として、好ましくは、耐摩耗性が要求される、工業用ロールが挙げられる。
次に、本発明を実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は、これらによって限定されるものではない。なお、「部」および「%」は、特に言及がない限り、質量基準である。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
<合成例(イソシアネート基末端プレポリマー成分の合成)>
合成例1
攪拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、m-XDI(1,3-キシリレンジイソシアネート、商品名「タケネート500」、三井化学社製)27.9質量部と、数平均分子量1000のPCD1000(ポリカーボネートジオール、商品名:UH-100W、宇部興産社製)72.1質量部とを装入し、窒素雰囲気下、80℃にてイソシアネート基含量が6.0質量%になるまで反応させ、イソシアネート基末端プレポリマー成分を得た。なお、PCD1000中の水酸基(OH)に対する、m-XDI中のイソシアネート基の当量比(NCO/OH)は、2.0であった。
合成例1
攪拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、m-XDI(1,3-キシリレンジイソシアネート、商品名「タケネート500」、三井化学社製)27.9質量部と、数平均分子量1000のPCD1000(ポリカーボネートジオール、商品名:UH-100W、宇部興産社製)72.1質量部とを装入し、窒素雰囲気下、80℃にてイソシアネート基含量が6.0質量%になるまで反応させ、イソシアネート基末端プレポリマー成分を得た。なお、PCD1000中の水酸基(OH)に対する、m-XDI中のイソシアネート基の当量比(NCO/OH)は、2.0であった。
合成例2
攪拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、m-XDI33.2質量部と、数平均分子量1000のPCD1000を40.1質量部、および数平均分子量500のPCD500(ポリカーボネートジオール、商品名:UH-50、宇部興産社製)を26.7質量部とを装入し、窒素雰囲気下、80℃にてイソシアネート基含量が7.0質量%になるまで反応させ、イソシアネート基末端プレポリマー成分を得た。なお、PCD1000およびPCD500中の水酸基(OH)に対する、m-XDI中のイソシアネート基の当量比(NCO/OH)は、2.0であった。
攪拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、m-XDI33.2質量部と、数平均分子量1000のPCD1000を40.1質量部、および数平均分子量500のPCD500(ポリカーボネートジオール、商品名:UH-50、宇部興産社製)を26.7質量部とを装入し、窒素雰囲気下、80℃にてイソシアネート基含量が7.0質量%になるまで反応させ、イソシアネート基末端プレポリマー成分を得た。なお、PCD1000およびPCD500中の水酸基(OH)に対する、m-XDI中のイソシアネート基の当量比(NCO/OH)は、2.0であった。
合成例3
攪拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、m-XDI20.1質量部と、数平均分子量1000のPCD1000を14.4質量部、および数平均分子量2000のPCD2000(ポリカーボネートジオール、商品名:UH-200W、宇部興産社製)を65.5質量部とを装入し、窒素雰囲気下、80℃にてイソシアネート基含量が5.0質量%になるまで反応させ、イソシアネート基末端プレポリマー成分を得た。なお、PCD1000およびPCD2000中の水酸基(OH)に対する、m-XDI中のイソシアネート基の当量比(NCO/OH)は、2.3であった。
攪拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、m-XDI20.1質量部と、数平均分子量1000のPCD1000を14.4質量部、および数平均分子量2000のPCD2000(ポリカーボネートジオール、商品名:UH-200W、宇部興産社製)を65.5質量部とを装入し、窒素雰囲気下、80℃にてイソシアネート基含量が5.0質量%になるまで反応させ、イソシアネート基末端プレポリマー成分を得た。なお、PCD1000およびPCD2000中の水酸基(OH)に対する、m-XDI中のイソシアネート基の当量比(NCO/OH)は、2.3であった。
合成例4
攪拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、m-XDI24.8質量部と、数平均分子量1000のPCD1000を75.2質量部とを装入し、窒素雰囲気下、80℃にてイソシアネート基含量が4.8質量%になるまで反応させ、イソシアネート基末端プレポリマー成分を得た。なお、PCD1000中の水酸基(OH)に対する、m-XDI中のイソシアネート基の当量比(NCO/OH)は、1.75であった。
攪拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、m-XDI24.8質量部と、数平均分子量1000のPCD1000を75.2質量部とを装入し、窒素雰囲気下、80℃にてイソシアネート基含量が4.8質量%になるまで反応させ、イソシアネート基末端プレポリマー成分を得た。なお、PCD1000中の水酸基(OH)に対する、m-XDI中のイソシアネート基の当量比(NCO/OH)は、1.75であった。
合成例5
攪拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、m-XDI32.2質量部と、数平均分子量1000のPCD1000を67.8質量部とを装入し、窒素雰囲気下、80℃にてイソシアネート基含量が8.7質量%になるまで反応させ、イソシアネート基末端プレポリマー成分を得た。なお、PCD1000中の水酸基(OH)に対する、m-XDI中のイソシアネート基の当量比(NCO/OH)は、2.5であった。
攪拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、m-XDI32.2質量部と、数平均分子量1000のPCD1000を67.8質量部とを装入し、窒素雰囲気下、80℃にてイソシアネート基含量が8.7質量%になるまで反応させ、イソシアネート基末端プレポリマー成分を得た。なお、PCD1000中の水酸基(OH)に対する、m-XDI中のイソシアネート基の当量比(NCO/OH)は、2.5であった。
合成例6
攪拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、p-XDI(1,4-キシリレンジイソシアネート、三井化学社製)27.7質量部と、数平均分子量1000のPTMEG1000(ポリテトラメチレンエーテルグリコール、商品名:PTMG1000、三菱化学社製)を72.3質量部とを装入し、窒素雰囲気下、80℃にてイソシアネート基含量が5.7質量%になるまで反応させ、イソシアネート基末端プレポリマー成分を得た。なお、PTMEG1000中の水酸基(OH)に対する、p-XDI中のイソシアネート基の当量比(NCO/OH)は、2.0であった。
攪拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、p-XDI(1,4-キシリレンジイソシアネート、三井化学社製)27.7質量部と、数平均分子量1000のPTMEG1000(ポリテトラメチレンエーテルグリコール、商品名:PTMG1000、三菱化学社製)を72.3質量部とを装入し、窒素雰囲気下、80℃にてイソシアネート基含量が5.7質量%になるまで反応させ、イソシアネート基末端プレポリマー成分を得た。なお、PTMEG1000中の水酸基(OH)に対する、p-XDI中のイソシアネート基の当量比(NCO/OH)は、2.0であった。
合成例7
攪拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、p-XDI27.7質量部と、数平均分子量1000のPCD1000を72.1質量部とを装入し、窒素雰囲気下、80℃にてイソシアネート基含量が6.0質量%になるまで反応させたところ、固化を生じ、イソシアネート基末端プレポリマー成分が得られなかった。なお、PCD1000中の水酸基(OH)に対する、p-XDI中のイソシアネート基の当量比(NCO/OH)は、2.0であった。
攪拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、p-XDI27.7質量部と、数平均分子量1000のPCD1000を72.1質量部とを装入し、窒素雰囲気下、80℃にてイソシアネート基含量が6.0質量%になるまで反応させたところ、固化を生じ、イソシアネート基末端プレポリマー成分が得られなかった。なお、PCD1000中の水酸基(OH)に対する、p-XDI中のイソシアネート基の当量比(NCO/OH)は、2.0であった。
合成例8
攪拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、m-XDI27.7質量部と、数平均分子量1000のPTMEG1000を72.3質量部とを装入し、窒素雰囲気下、80℃にてイソシアネート基含量が5.7質量%になるまで反応させ、イソシアネート基末端プレポリマー成分を得た。なお、PTMEG1000中の水酸基(OH)に対する、m-XDI中のイソシアネート基の当量比(NCO/OH)は、2.0であった。
攪拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、m-XDI27.7質量部と、数平均分子量1000のPTMEG1000を72.3質量部とを装入し、窒素雰囲気下、80℃にてイソシアネート基含量が5.7質量%になるまで反応させ、イソシアネート基末端プレポリマー成分を得た。なお、PTMEG1000中の水酸基(OH)に対する、m-XDI中のイソシアネート基の当量比(NCO/OH)は、2.0であった。
合成例9
攪拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、m-XDI42.3質量部と、数平均分子量500のPCD500を57.7質量部とを装入し、窒素雰囲気下、80℃にてイソシアネート基含量が9.4質量%になるまで反応させたところ、固化を生じ、イソシアネート基末端プレポリマー成分が得られなかった。なお、PCD500中の水酸基(OH)に対する、m-XDI中のイソシアネート基の当量比(NCO/OH)は、2.0であった。
攪拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、m-XDI42.3質量部と、数平均分子量500のPCD500を57.7質量部とを装入し、窒素雰囲気下、80℃にてイソシアネート基含量が9.4質量%になるまで反応させたところ、固化を生じ、イソシアネート基末端プレポリマー成分が得られなかった。なお、PCD500中の水酸基(OH)に対する、m-XDI中のイソシアネート基の当量比(NCO/OH)は、2.0であった。
合成例10
攪拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、m-XDI18.1質量部と、数平均分子量2000のPCD2000を81.9質量部とを装入し、窒素雰囲気下、80℃にてイソシアネート基含量が4.6質量%になるまで反応させ、イソシアネート基末端プレポリマー成分を得た。なお、PCD2000中の水酸基(OH)に対する、m-XDI中のイソシアネート基の当量比(NCO/OH)は、2.4であった。
攪拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、m-XDI18.1質量部と、数平均分子量2000のPCD2000を81.9質量部とを装入し、窒素雰囲気下、80℃にてイソシアネート基含量が4.6質量%になるまで反応させ、イソシアネート基末端プレポリマー成分を得た。なお、PCD2000中の水酸基(OH)に対する、m-XDI中のイソシアネート基の当量比(NCO/OH)は、2.4であった。
各実施例および各比較例
表1に記載した各合成例のイソシアネート基末端プレポリマー成分(プレポリマー)を、80℃に加熱した。また、表2に記載の鎖伸長剤を、120℃に加熱した。そして、プレポリマーと鎖伸長剤とを、当量比(活性水素基/NCO)が0.90となる割合で混合した。次いで、これらの混合物を、予め110℃に温調した金型に流し込み、110℃のオーブン中で2時間硬化させ、ポリウレタンエラストマーを得た。また、金型からポリウレタンエラストマーを脱型した。その後、ポリウレタンエラストマーを、110℃のオーブン中で16時間、熱処理した。これにより、シート形状のポリウレタンエラストマーを得た。このとき、比較例4および比較例6は、プレポリマーと鎖伸長剤の混合直後から増粘して金型に流し込むことができなかったため、成形できなかった。
表1に記載した各合成例のイソシアネート基末端プレポリマー成分(プレポリマー)を、80℃に加熱した。また、表2に記載の鎖伸長剤を、120℃に加熱した。そして、プレポリマーと鎖伸長剤とを、当量比(活性水素基/NCO)が0.90となる割合で混合した。次いで、これらの混合物を、予め110℃に温調した金型に流し込み、110℃のオーブン中で2時間硬化させ、ポリウレタンエラストマーを得た。また、金型からポリウレタンエラストマーを脱型した。その後、ポリウレタンエラストマーを、110℃のオーブン中で16時間、熱処理した。これにより、シート形状のポリウレタンエラストマーを得た。このとき、比較例4および比較例6は、プレポリマーと鎖伸長剤の混合直後から増粘して金型に流し込むことができなかったため、成形できなかった。
なお、金型として、2mm厚みのシート形状の金型と、直径29mm×厚み12mmのボタン形状の金型(円柱状金型)とを使用した。
<評価>
(1)圧縮永久歪み
円柱状金型で作成したポリウレタンエラストマーを測定試料とし、25%圧縮治具へセットして一定の圧縮歪みを加え、70℃×22時間後に圧縮治具から取り出し、23℃×30分放置後の永久歪みを測定した。結果を表2に示す。
(1)圧縮永久歪み
円柱状金型で作成したポリウレタンエラストマーを測定試料とし、25%圧縮治具へセットして一定の圧縮歪みを加え、70℃×22時間後に圧縮治具から取り出し、23℃×30分放置後の永久歪みを測定した。結果を表2に示す。
(2)耐酸性
2mmシート金型で作成したポリウレタンエラストマーを8mm幅×20~35mm長さの短冊状に打ち抜いて測定試料とし、試験前の重量(W1)と、23℃、10%塩酸液中に1週間浸漬試験した後の重量(W2)を測定した。試験前後の重量変化(W=(W1-W2)/W1×100(単位:%))により耐酸性を評価した。評価方法は、0.5%未満を「○」とし、0.5%以上を「×」とした。結果を表2に示す。
2mmシート金型で作成したポリウレタンエラストマーを8mm幅×20~35mm長さの短冊状に打ち抜いて測定試料とし、試験前の重量(W1)と、23℃、10%塩酸液中に1週間浸漬試験した後の重量(W2)を測定した。試験前後の重量変化(W=(W1-W2)/W1×100(単位:%))により耐酸性を評価した。評価方法は、0.5%未満を「○」とし、0.5%以上を「×」とした。結果を表2に示す。
(3)耐アルカリ性
2mmシート金型で作成したポリウレタンエラストマーを8mm幅×20~35mm長さの短冊状に打ち抜いて測定試料とし、試験前の重量(W1)と、23℃、10%水酸化ナトリウム液中に1週間浸漬試験した後の重量(W2)を測定した。試験前後の重量変化(W=(W1-W2)/W1×100(単位:%))により耐アルカリ性を評価した。評価方法は、0.5%未満を「○」とし、0.5%以上を「×」とした。結果を表2に示す。
2mmシート金型で作成したポリウレタンエラストマーを8mm幅×20~35mm長さの短冊状に打ち抜いて測定試料とし、試験前の重量(W1)と、23℃、10%水酸化ナトリウム液中に1週間浸漬試験した後の重量(W2)を測定した。試験前後の重量変化(W=(W1-W2)/W1×100(単位:%))により耐アルカリ性を評価した。評価方法は、0.5%未満を「○」とし、0.5%以上を「×」とした。結果を表2に示す。
(4)耐熱水性
2mmシート金型で作成したポリウレタンエラストマーを、3号形試験片形状に打抜いて測定試料を作製した。測定試料は80℃熱水中に9日間浸漬したものを試験後サンプル(T1)、浸漬していないものを試験前サンプルとし(T2)、引張圧縮試験機を用いて、JIS K-6400(2012年)に従って引張試験し、破断時における破断強度を測定した。試験前後の破断強度変化(T=(T1-T2)/T1×100(単位:%))により耐熱水性を評価した。評価方法は、20%未満を「○」とし、20%以上を「×」とした。結果を表2に示す。
2mmシート金型で作成したポリウレタンエラストマーを、3号形試験片形状に打抜いて測定試料を作製した。測定試料は80℃熱水中に9日間浸漬したものを試験後サンプル(T1)、浸漬していないものを試験前サンプルとし(T2)、引張圧縮試験機を用いて、JIS K-6400(2012年)に従って引張試験し、破断時における破断強度を測定した。試験前後の破断強度変化(T=(T1-T2)/T1×100(単位:%))により耐熱水性を評価した。評価方法は、20%未満を「○」とし、20%以上を「×」とした。結果を表2に示す。
Claims (3)
- m-キシリレンジイソシアネートを含むポリイソシアネート成分と、
ポリカーボネートポリオールを含むマクロポリオール成分と、
3,3’-ジクロロ-4,4’-ジフェニルメタンジアミンを含む鎖伸長成分と
の反応生成物を含み、
前記マクロポリオール成分の数平均分子量が、500超過2000未満である、
ポリウレタンエラストマー。 - 前記ポリイソシアネート成分、および前記マクロポリオール成分の1次反応生成物を含むイソシアネート基末端プレポリマー成分と、前記鎖伸長成分との2次反応生成物を含む、請求項1に記載のポリウレタンエラストマー。
- 前記マクロポリオール成分中の水酸基に対する、前記ポリイソシアネート成分中のイソシアネート基の当量比(NCO/OH)が、1.5超過3.0未満である、請求項2に記載のポリウレタンエラストマー。
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