JP2023068836A - 船舶推進システムおよび船舶 - Google Patents
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Abstract
【課題】推進機の駆動に伴う環境負荷を極力低減しながら、主推進機および補助推進機が設けられた船体の定点保持を実現することが可能な船舶推進システムおよび船舶を提供する。【解決手段】この船舶推進システム102は、左右方向に回動して推力の向きを変更可能に構成され、船体101の船尾101bに取り付けられる主推進機1と、推力を発生させる補助プロペラ20を駆動させる電気モータ23を含み、左右方向に回動して推力の向きを変更可能に構成され、主推進機1よりも最大出力P20が小さいとともに、船尾101bに取り付けられる補助推進機2と、主推進機1と補助推進機2とを連携させることにより、船体101の船首101aの方位T1を目標方位T2に維持するとともに、船体101の位置A1を目標ポイントA2に維持する定点保持の制御を行う制御部6とを、備える。【選択図】図1
Description
この発明は、船舶推進システムおよび船舶に関する。
従来、船体の船尾に取り付けられる主推進機と船体の船尾に取り付けられるとともに補助推進機とを備える船舶推進システムが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
上記特許文献1には、船体の船尾に取り付けられる主推進機と、船体の船尾に取り付けられる補助推進機と、船体をユーザが指定した目標地点に維持する制御を行う制御装置とを備える自動復帰航行装置が開示されている。上記の制御装置は、主推進機および補助推進機を停止させた状態で、船体から目標地点までの距離が所定距離を超えた場合、補助推進機のみを駆動させて船体を目標地点に移動させる(復帰させる)ように構成されている。なお、制御装置は、船体が目標地点に復帰した場合、補助推進機を再び停止させる。船体を目標地点に復帰させる制御では、主推進機および補助推進機の両方が駆動するのではなく、補助推進機のみが駆動する。
ここで、上記特許文献1には明記されていないが、従来より、船首の方位をユーザが指定した目標方位に維持するとともに、船体の位置をユーザが指定した目標ポイントに維持する定点保持(ステイポイント)の制御が知られている。このような定点保持の制御に上記特許文献1に記載の船体を目標地点に復帰させる制御を適用した場合には、主推進機および補助推進機の両方を駆動させるのではなく、補助推進機のみを駆動させる制御が行われると考えられる。しかしながら、この場合には、補助推進機だけでは、通常定点保持に必要な船首の方位を維持しながら船体を移動させることが困難であると考えられる。なお、近年、船舶の分野では、SDGs(Sustainable Development Goals)の観点から船舶の推進機の駆動に伴う二酸化炭素の排出量を低減することなどの環境負荷を低減することが望まれている。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、推進機の駆動に伴う環境負荷を極力低減しながら、主推進機および補助推進機が設けられた船体の定点保持を実現することが可能な船舶推進システムおよび船舶を提供することである。
上記の課題を解決するために、この発明の第1の局面による船舶推進システムは、左右方向に回動して推力の向きを変更可能に構成され、船体の船尾に取り付けられる主推進機と、推力を発生させる補助推進部を駆動させる電気モータを含み、左右方向に回動して推力の向きを変更可能に構成され、主推進機よりも最大出力が小さいとともに、船尾に取り付けられる補助推進機と、主推進機と補助推進機とを連携させることにより、船体の船首の方位を目標方位に維持するとともに、船体の位置を目標ポイントに維持する定点保持の制御を行う制御部とを、備える。
この第1の局面による船舶推進システムでは、上記のように、主推進機と、補助推進機とを連携させることにより、船体の船首の方位を目標方位に維持するとともに、船体の位置を目標ポイントに維持する定点保持(ステイポイント)の制御を行う制御部を設ける。これによって、定点保持の制御において、補助推進機だけを駆動させる場合と異なり、主推進機と補助推進機とを連携させて、船体の回頭および移動を柔軟に行って、船体の船首の方位を目標方位に維持するとともに、船体の位置を目標ポイントに維持することができる。また、補助推進機を、推力を発生させる補助推進部を駆動させる電気モータを含むように構成する。これによって、主推進機を駆動する場合で、かつ、補助推進機をエンジン式の推進機とした場合と比較して、補助推進機からの二酸化炭素の排出量を低減することができる。以上により、補助推進機の駆動に伴う環境負荷を極力低減しながら、主推進機および補助推進機が設けられた船体の定点保持を実現することができる。
上記第1の局面による船舶推進システムにおいて、好ましくは、主推進機は、船体の左右方向の中心線上に配置され、補助推進機は、船体の左右方向の一方に偏って配置されている。このように構成すれば、主推進機が船体の左右方向の中心線上に配置されるとともに、補助推進機が船体の左右方向の一方に偏って配置された船舶において、主推進機と補助推進機とを連携させることにより、船体の回頭および移動を柔軟に行うことができるので、定点保持の制御において主推進機および補助推進機の推力の向きおよび大きさを調整することができる。
上記第1の局面による船舶推進システムにおいて、好ましくは、補助推進機は、主推進機よりも、推力の向きを変更するための左右方向の回動可能角度範囲が大きくなるように構成され、制御部は、定点保持の制御において、補助推進機を駆動させることにより、船体を回頭させるように構成されている。このように構成すれば、主推進機よりも推力の向きを変更するための左右方向の回動可能角度範囲が大きい電気モータ駆動(電動)の補助推進機により、船体の位置の変化が小さくなるように回頭する(その場回頭する)ことができる。
上記第1の局面による船舶推進システムにおいて、好ましくは、主推進機は、推力を発生させる主推進部を駆動させるように構成され、出力域の最大値および最小値がともに電気モータよりも大きいエンジンを含み、制御部は、主推進機と補助推進機とを連携させて船体を移動させる間において、エンジンの出力域の上限値を電気モータの出力域の最大値に合わせることによりエンジンの出力域を制限するとともに、主推進機と補助推進機とを連携させて船体を移動させる間において、電気モータの出力域の下限値をエンジンの出力域の最小値に合わせることにより電気モータの出力域を制限するように構成されている。このように構成すれば、エンジンの出力域および電気モータの出力域が同等になるように調整されるので、主推進機と補助推進機とを連携させる際に、エンジンの出力および電気モータの出力のバランスが崩れるのを防ぐことができる。
上記第1の局面による船舶推進システムにおいて、好ましくは、制御部は、定点保持の制御において船首の方位を目標方位で維持するために船体を回頭させる際に、主推進機の推力を発生させる主推進部を停止させた状態で、補助推進機の推力を発生させる補助推進部を駆動させることにより、船体を回頭させるように構成されている。このように構成すれば、電動式の補助推進機のみにより船体を回頭させることができるので、静かに船体を回頭させることができる。また、回頭時において電気モータ駆動(電動)の補助推進機のみから推力が発生されるので、これによっても、回頭時における環境負荷を低減することができる。
この場合、好ましくは、制御部は、船体の位置を保持しながら、船体をその場で船体の重心回りに回頭させるように構成されている。このように構成すれば、船体の位置を変えることなくその場で回頭を実現することができるので、定点保持の制御における目標ポイントを維持する精度を向上させることができる。
上記第1の局面による船舶推進システムにおいて、好ましくは、制御部は、定点保持の制御において船体の位置を目標ポイントで維持するために船体を移動させる際に、主推進機の推力を発生させる主推進部と補助推進機の推力を発生させる補助推進部とを同時に駆動させることにより、船首の方位を維持しながら船体を横方向または斜め方向に移動させるとともに、補助推進部を停止させた状態で、主推進部を駆動させることにより、船体を前後方向に移動させるように構成されている。このように構成すれば、主推進部と補助推進部とを同時に駆動(連携)させることにより船首の方位を維持しながら船体を横方向または斜め方向に移動することを実現できるとともに、主推進部のみを駆動させることにより船体を前後方向に移動することを実現することができる。
この場合、好ましくは、制御部は、主推進部の出力ベクトルおよび補助推進部の出力ベクトルの交点を、船体の重心と目標ポイントとを通る直線上に配置するとともに、船体の移動方向を示す主推進部の出力ベクトルおよび補助推進部の出力ベクトルの合力の向きを、重心から目標ポイントを向く方向に設定することにより、船首の方位を維持しながら船体を横方向または斜め方向に移動させるように構成されている。このように構成すれば、船体の左右方向の中心線に対して、主推進機および補助推進機がバランスよく配置されていない場合でも、船首の方位を維持しながら船体を横方向または斜め方向に移動させることが可能となる。
上記主推進部と補助推進部とを同時に駆動させて船首の方位を維持しながら船体を横方向または斜め方向に移動させる構成において、好ましくは、制御部は、船首の方位を維持しながら船体を横方向または斜め方向に移動させる際に、前後方向において、主推進部の出力ベクトルの向きと、補助推進部の出力ベクトルの向きとを互いに逆向きにするように構成されている。このように構成すれば、主推進部の出力ベクトルの向きと、補助推進部の出力ベクトルの向きとを互いに逆向きにすることにより、容易に、船首の方位を維持しながら船体を横方向または斜め方向に移動させることができる。
上記第1の局面による船舶推進システムにおいて、好ましくは、制御部は、定点保持の制御において、船首の方位を目標方位で維持するために船体を回頭させる制御と、船体の位置を目標ポイントで維持するために船体を移動させる制御とを異なるタイミングで行うように構成されている。このように構成すれば、船首の方位を目標方位で維持するための回頭と、船体の位置を目標ポイントで維持するための移動とを切り分けることにより、回頭時に船体の位置が変化することを抑制することができるとともに、移動時に船首の方位が変化することを抑制することができる。
上記第1の局面による船舶推進システムにおいて、好ましくは、主推進機は、推力を発生させる主プロペラを駆動させるエンジンを含み、船体の左右方向の中心線上に配置されたエンジン式船外機であり、補助推進機は、電気モータにより補助推進部としての補助プロペラを駆動させるように構成され、船体の左右方向の一方に偏って配置された電動式船外機である。このように構成すれば、電動式船外機の駆動に伴う環境負荷を低減することができるとともに、エンジン式船外機および電動式船外機が設けられた船体の定点保持を実現することができる。
この発明の第2の局面による船舶推進システムは、左右方向に回動して推力の向きを変更可能に構成され、船体の船尾に取り付けられる主推進機と、左右方向に回動して推力の向きを変更可能に構成され、主推進機よりも最大出力が小さいとともに、船尾に取り付けられる補助推進機と、主推進機と補助推進機とを連携させることにより、船体の船首の方位を目標方位に維持するとともに、船体の位置を目標ポイントに維持する定点保持の制御を行う制御部とを、備える。
この第2の局面による船舶推進システムでは、上記のように、主推進機と、補助推進機とを連携させることにより、船体の船首の方位を目標方位に維持するとともに、船体の位置を目標ポイントに維持する定点保持(ステイポイント)の制御を行う制御部を設ける。これによって、定点保持の制御において、補助推進機だけを駆動させる場合と異なり、主推進機と補助推進機とを連携させて、船体の回頭および移動を柔軟に行って、船体の船首の方位を目標方位に維持するとともに、船体の位置を目標ポイントに維持することができる。その結果、主推進機および補助推進機が設けられた船体の定点保持を実現することができる。
この発明の第3の局面による船舶は、船体と、船体に設けられる船舶推進システムとを備え、船舶推進システムは、左右方向に回動して推力の向きを変更可能に構成され、船体の船尾に取り付けられる主推進機と、推力を発生させる補助推進部を駆動させる電気モータを有し、左右方向に回動して推力の向きを変更可能に構成され、主推進機よりも最大出力が小さいとともに、船尾に取り付けられる補助推進機と、主推進機と補助推進機とを連携させることにより、船体の船首の方位を目標方位に維持するとともに、船体の位置を目標ポイントに維持する定点保持の制御を行う制御部とを、含む。
この第3の局面による船舶では、上記のように、主推進機と、補助推進機とを連携させることにより、船体の船首の方位を目標方位に維持するとともに、船体の位置を目標ポイントに維持する定点保持(ステイポイント)の制御を行う制御部を設ける。これによって、定点保持の制御において、補助推進機だけを駆動させる場合と異なり、主推進機と補助推進機とを連携させて、船体の回頭および移動を柔軟に行って、船体の船首の方位を目標方位に維持するとともに、船体の位置を目標ポイントに維持することができる。また、補助推進機を、推力を発生させる補助推進部を駆動させる電気モータを含むように構成する。これによって、主推進機を駆動する場合で、かつ、補助推進機をエンジン式の推進機とした場合と比較して、補助推進機からの二酸化炭素の排出量を低減することができる。以上により、補助推進機の駆動に伴う環境負荷を極力低減しながら、主推進機および補助推進機が設けられた船体の定点保持を実現することができる。
上記第3の局面による船舶において、好ましくは、主推進機は、船体の左右方向の中心線上に配置され、補助推進機は、船体の左右方向の一方に偏って配置されている。このように構成すれば、主推進機が船体の左右方向の中心線上に配置されるとともに、補助推進機が船体の左右方向の一方に偏って配置された船舶において、主推進機と補助推進機とを連携させることにより、船体の回頭および移動を柔軟に行うことができるので、定点保持の制御において主推進機および補助推進機の推力の向きおよび大きさを調整することができる。
上記第3の局面による船舶において、好ましくは、補助推進機は、主推進機よりも、推力の向きを変更するための左右方向の回動可能角度範囲が大きくなるように構成され、制御部は、定点保持の制御において、補助推進機を駆動させることにより、船体を回頭させるように構成されている。このように構成すれば、主推進機よりも推力の向きを変更するための左右方向の回動可能角度範囲が大きい電気モータ駆動(電動)の補助推進機により、船体の位置の変化が小さくなるように回頭する(その場回頭する)ことができる。
上記第3の局面による船舶において、好ましくは、主推進機は、推力を発生させる主推進部を駆動させるように構成され、出力域の最大値および最小値がともに電気モータよりも大きいエンジンを有し、制御部は、主推進機と補助推進機とを連携させて船体を移動させる間において、エンジンの出力域の上限値を電気モータの出力域の最大値に合わせることによりエンジンの出力域を制限するとともに、主推進機と補助推進機とを連携させて船体を移動させる間において、電気モータの出力域の下限値をエンジンの出力域の最小値に合わせることにより電気モータの出力域を制限するように構成されている。このように構成すれば、エンジンの出力域および電気モータの出力域が同等になるように調整されるので、主推進機と補助推進機とを連携させる際に、エンジンの出力および電気モータの出力のバランスが崩れるのを防ぐことができる。
上記第3の局面による船舶において、好ましくは、制御部は、定点保持の制御において船首の方位を目標方位で維持するために船体を回頭させる際に、主推進機の推力を発生させる主推進部を停止させた状態で、補助推進機の推力を発生させる補助推進部を駆動させることにより、船体を回頭させるように構成されている。このように構成すれば、電動式の補助推進機のみにより船体を回頭させることができるので、静かに船体を回頭させることができる。また、回頭時において電気モータ駆動(電動)の補助推進機のみから推力が発生されるので、これによっても、回頭時における環境負荷を低減することができる。
この場合、好ましくは、制御部は、船体の位置を保持しながら、船体をその場で船体の重心回りに回頭させるように構成されている。このように構成すれば、船体の位置を変えることなくその場で回頭を実現することができるので、定点保持の制御における目標ポイントを維持する精度を向上させることができる。
上記第3の局面による船舶において、好ましくは、制御部は、定点保持の制御において船体の位置を目標ポイントで維持するために船体を移動させる際に、主推進機の推力を発生させる主推進部と補助推進機の推力を発生させる補助推進部とを同時に駆動させることにより、船首の方位を維持しながら船体を横方向または斜め方向に移動させるとともに、補助推進部を停止させた状態で、主推進部を駆動させることにより、船体を前後方向に移動させるように構成されている。このように構成すれば、主推進部と補助推進部とを同時に駆動(連携)させることにより船首の方位を維持しながら船体を横方向または斜め方向に移動することを実現できるとともに、主推進部のみを駆動させることにより船体を前後方向に移動することを実現することができる。
この場合、好ましくは、制御部は、主推進部の出力ベクトルおよび補助推進部の出力ベクトルの交点を、船体の重心と目標ポイントとを通る直線上に配置するとともに、船体の移動方向を示す主推進部の出力ベクトルおよび補助推進部の出力ベクトルの合力の向きを、重心から目標ポイントを向く方向に設定することにより、船首の方位を維持しながら船体を横方向または斜め方向に移動させるように構成されている。このように構成すれば、船体の左右方向の中心線に対して、主推進機および補助推進機がバランスよく配置されていない場合でも、船首の方位を維持しながら船体を横方向または斜め方向に移動させることが可能となる。
本発明によれば、上記のように、推進機の駆動に伴う環境負荷を極力低減しながら、主推進機および補助推進機が設けられた船体の定点保持を実現することができる。
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
(船舶の構成)
図1~図11を参照して、一実施形態による船舶推進システム102を備えた船舶100の構成について説明する。
図1~図11を参照して、一実施形態による船舶推進システム102を備えた船舶100の構成について説明する。
なお、図中のFWDは、船舶100の前後方向のうちの前進方向を示しており、BWDは、船舶100の後進方向を示している。図中のRは、船舶100の左右方向(前後方向と直交する方向)の右舷(スターボード)方向を示している。図中のLは、船舶100の左右方向の左舷(ポートサイド)方向を示している。
図1に示すように、船舶100は、船体101と、船体101に設けられる船舶推進システム102とを備えている。船体101は、たとえば、ユーザが魚釣りを行うための釣り用船舶、または、ユーザが漁を行うための漁船などの船体であってもよいし、客船などの比較的大型の船体であってもよい。
(船舶推進システムの構成)
船舶推進システム102は、主推進機1と、補助推進機2と、ジョイスティック3と、航行に関する情報などを表示する表示装置4と、方位センサ5aと、位置センサ5bと、制御部6とを備えている。ジョイスティック3、表示装置4、方位センサ5a、位置センサ5bおよび制御部6は、船体101に搭載されている。
船舶推進システム102は、主推進機1と、補助推進機2と、ジョイスティック3と、航行に関する情報などを表示する表示装置4と、方位センサ5aと、位置センサ5bと、制御部6とを備えている。ジョイスティック3、表示装置4、方位センサ5a、位置センサ5bおよび制御部6は、船体101に搭載されている。
船舶推進システム102(制御部6)は、主推進機1と補助推進機2とを連携させることにより、船体101の船首101aの方位T1(FWD)を目標方位T2(図7参照)に維持するとともに、船体101の位置A1を目標ポイントA2(図7参照)に維持する定点保持(ステイポイント)の制御を行うように構成されている。定点保持の制御では、ユーザが操船を行うことなく、ユーザが指定した船体101の方位である目標方位T2、および、ユーザが指定した船体101の位置である目標ポイントA2が自動で維持される。定点保持の制御の詳細については後述する。
なお、上記の「連携」とは、定点保持(ステイポイント)の制御において、主推進機1と補助推進機2とを自動で同時に駆動させて、主推進機1と補助推進機2との互いの舵角(向き)および互いの出力を調整することである。
(船舶推進システムの「主推進機」の構成)
図2および図4に示す主推進機1は、船体101の船尾101b(トランサム)に1つのみ取り付けられている。主推進機1は、推力を発生させる主プロペラ10を駆動させるエンジン12を含むエンジン式船外機である。主推進機1は、船体101の左右方向の中心線α上に配置されている。主推進機1は、左右方向に回動して主プロペラ10の推力の向きを変更可能に構成されている。主プロペラ10は、特許請求の範囲の「主推進部」の一例である。
図2および図4に示す主推進機1は、船体101の船尾101b(トランサム)に1つのみ取り付けられている。主推進機1は、推力を発生させる主プロペラ10を駆動させるエンジン12を含むエンジン式船外機である。主推進機1は、船体101の左右方向の中心線α上に配置されている。主推進機1は、左右方向に回動して主プロペラ10の推力の向きを変更可能に構成されている。主プロペラ10は、特許請求の範囲の「主推進部」の一例である。
主推進機1は、主推進機本体1aと、主推進機本体1aに設けられる転舵機構1bとを備えている。主推進機本体1aは、転舵機構1bを介して船体101の船尾101bに取り付けられている。
主推進機本体1aは、主プロペラ10と、ECU(エンジンコントロールユニット)11と、エンジン12と、カウル13と、シフトアクチュエータ14と、ドライブシャフト15と、ギア部16と、プロペラシャフト17と、SCU(ステアリングコントロールユニット)18とを備えている。
ECU11は、たとえば、制御回路として構成されており、CPU(Central Processing Unit)を含んでいる。ECU11は、制御部6の指令に基づいて、エンジン12の駆動を制御するように構成されている。
エンジン12は、主プロペラ10の駆動源である。エンジン12は、主推進機1の上部に設けられており、ガソリンや軽油などの爆発燃焼により駆動される内燃機関により構成されている。エンジン12は、カウル13により覆われている。一例ではあるが、エンジン12の最大出力P10(図5参照)は、約200馬力である。
シフトアクチュエータ14は、ギア部16の噛み合いを切り換えることにより、主推進機1のシフト状態を前進状態(シフトF)、後進状態(シフトR)および中立状態(シフトN)のうちいずれかに切り換えるように構成されている。主推進機1のシフト状態が前進状態である場合には、主プロペラ10からFWD側に向かって推力が発生し、シフト状態が後進状態である場合には、主プロペラ10からBWD側に向かって推力が発生し、シフト状態が中立状態である場合には、主プロペラ10から推力が発生しない。
なお、シフト状態が切り換えられる際、主推進機1は、ギア部16の噛み合い状態が変わるため、ギア部16においてシフトショックが発生する。すなわち、シフト状態が切り換えられる際、主推進機1のギア部16から比較的大きな音および振動が発生する。
ドライブシャフト15は、エンジン12の動力を伝達可能にエンジン12のクランクシャフト(図示せず)に連結されている。ドライブシャフト15は、主プロペラ10が水中に配置された状態で、エンジン12の直下に延びている。
ギア部16は、ドライブシャフト15の回転力をプロペラシャフト17に伝達するように構成されている。プロペラシャフト17は、後端に主プロペラ10が取り付けられている。主プロペラ10は、水中で回転することにより、プロペラシャフト17の軸方向に推力を発生させるように構成されている。主プロペラ10は、シフト状態によって切り換えられる回転方向に応じて、推力の向きを前後で切り換えて船体101を前進または後進させるように構成されている。
SCU18は、たとえば、制御回路として構成されており、CPU(Central Processing Unit)を含んでいる。SCU18は、制御部6の指令に基づいて、転舵機構1bの駆動を制御するように構成されている。
転舵機構1bは、上下方向に延びるステアリングシャフト19を回動中心軸として、主推進機本体1aを左右方向に回動させるように構成されている。すなわち、転舵機構1bは、主推進機本体1aの左右方向の向きを変えるための機構である。主推進機本体1aの左右方向の向きが変わると、主推進機本体1aの向きに合わせて主プロペラ10の推力の向きも変わる。
一例ではあるが、主推進機1の推力の向きを変更するための左右方向の回動可能角度範囲θ1(図1参照)は、約60度(片側30度)である。また、一例ではあるが、転舵機構1bは、ステアリングシャフト19に回転力を付与する油圧シリンダー(図示せず)や、油圧シリンダーを駆動させるために油を圧送する電動ポンプ(図示せず)などにより構成されている。
(船舶推進システムの「補助推進機」の構成)
図3および図4に示す補助推進機2は、船体101の船尾101b(トランサム)に1つのみ取り付けられている。補助推進機2は、推力を発生させる補助プロペラ20を駆動させる電気モータ23を含む電動式船外機である。補助推進機2は、船体101の左右方向の一方に偏って配置されている。詳細には、補助推進機2は、船体101の左右方向の中心線α(図1参照)の左方に配置されている。補助推進機2は、左右方向に回動して補助プロペラ20の推力の向きを変更可能に構成されている。補助プロペラ20は、特許請求の範囲の「補助推進部」の一例である。
図3および図4に示す補助推進機2は、船体101の船尾101b(トランサム)に1つのみ取り付けられている。補助推進機2は、推力を発生させる補助プロペラ20を駆動させる電気モータ23を含む電動式船外機である。補助推進機2は、船体101の左右方向の一方に偏って配置されている。詳細には、補助推進機2は、船体101の左右方向の中心線α(図1参照)の左方に配置されている。補助推進機2は、左右方向に回動して補助プロペラ20の推力の向きを変更可能に構成されている。補助プロペラ20は、特許請求の範囲の「補助推進部」の一例である。
補助推進機2は、補助プロペラ20と、ダクト21と、MCU(モーターコントロールユニット)22と、電気モータ23と、カウル24と、SCU(ステアリングコントロールユニット)25と、転舵機構26とを備えている。
ダクト21は、補助プロペラ20が水中に配置された状態で補助推進機2の下部に設けられている。ダクト21は、円筒形状を有しており、内周側で補助プロペラ20を回転可能に支持している。図3では、補助プロペラ20の回転の中心位置を中心軸線βにより示している。すなわち、補助プロペラ20は、中心軸線βに沿った方向に推力を発生させるように構成されている。
MCU22は、たとえば、制御回路として構成されており、CPU(Central Processing Unit)を含んでいる。MCU22は、制御部6の指令に基づいて、電気モータ23の駆動を制御するように構成されている。
電気モータ23は、補助プロペラ20の駆動源である。電気モータ23は、船体101などに搭載されたバッテリ(図示せず)の電力により駆動するように構成されている。補助推進機2の電気モータ23の最大出力P20は、主推進機1のエンジン12の最大出力P10よりも小さい。一例ではあるが、電気モータ23の最大出力P20(図5参照)は、約20馬力である。
電気モータ23は、ダクト21に一体的に設けられる固定子23aと、補助プロペラ20に一体的に設けられる回転子23bとを含んでいる。
カウル24は、電気配線などが露出することがないように補助推進機2の上部を覆っている。なお、カウル24は、左右方向における推力の向きを変更する際に、補助プロペラ20のように左右方向に回動することはない。すなわち、補助推進機2は、転舵機構1bを除く主推進機本体1aの全体を左右方向に回動させる主推進機1とは異なり、転舵機構26を除く補助推進機2(補助推進機本体)の全体を左右方向に回動させるのではなく、補助推進機2の下方側の一部(ダクト21および補助プロペラ20など)のみを回動させるように構成されている。
したがって、補助推進機2は、主推進機1のエンジン12のような比較的大きな構成を左右方向に回動させる必要がないため、推力の向きを変更するための左右方向の回動可能角度範囲θ2(図1参照)が比較的大きい。一例ではあるが、補助推進機2の推力の向きを変更するための左右方向の回動可能角度範囲θ2は、約140度(片側70度)である。
補助プロペラ20は、水中で回転することにより推力を発生させるように構成されている。補助プロペラ20は、駆動源が電気モータ23であるため、主推進機1のようなシフトショックを発生させることなく、自在に正転、逆転(前後方向の推力の向き)および停止を切り換えることが可能に構成されている。
SCU25は、たとえば、制御回路として構成されており、CPU(Central Processing Unit)を含んでいる。SCU25は、制御部6の指令に基づいて、転舵機構26の駆動を制御するように構成されている。
転舵機構26は、補助推進機2に内蔵されている。転舵機構26は、上下方向に延びるステアリングシャフト27を回動中心軸として、ダクト21を左右方向に回動させるように構成されている。ダクト21の左右方向の向きが変わると、ダクト21に支持される補助プロペラ20の推力の向きも変わる。
一例ではあるが、転舵機構26は、ステアリングシャフト27に回転力を付与する減速ギアユニット(図示せず)や、減速ギアユニットを駆動させるための電気モータ(図示せず)などにより構成されている。
(エンジンおよび電気モータの出力域)
図5を参照して、主推進機1のエンジン12の出力域P1、および、補助推進機2の電気モータ23の出力域P2について説明する。
図5を参照して、主推進機1のエンジン12の出力域P1、および、補助推進機2の電気モータ23の出力域P2について説明する。
主プロペラ10を駆動させるエンジン12は、出力域P1の最大値および最小値がともに補助プロペラ20を駆動させる電気モータ23よりも大きい。詳細には、エンジン12の出力域P1の最大値(最大出力P10)は、電気モータ23の出力域P2の最大値(最大出力P20)よりも大きい。また、エンジン12の出力域P1の最小値(最小出力P11)は、電気モータ23の出力域P2の最小値(最小出力P21)よりも大きい。
なお、エンジン12は、定点保持(ステイポイント)の制御において主推進機1と補助推進機2とを連携させる際に、エンジン12の出力域P1の上限値が制限される。また、電気モータ23は、定点保持の制御において主推進機1と補助推進機2とを連携させる際に、電気モータ23の出力域P2の下限値が制限される。詳細については後述する。
(船舶推進システムの「ジョイスティック」の構成)
図6に示すジョイスティック3は、操船を行うための操作部である。ジョイスティック3は、本体部3aと、本体部3aから上方に延びる柱状のスティック部3bとを備えている。スティック部3bは、操船時にユーザにより把持される部分である。
図6に示すジョイスティック3は、操船を行うための操作部である。ジョイスティック3は、本体部3aと、本体部3aから上方に延びる柱状のスティック部3bとを備えている。スティック部3bは、操船時にユーザにより把持される部分である。
本体部3aは、ジョイスティックボタン30と、自動操船モードを開始するための3つのボタンであるステイポイントボタン31a、フィッシュポイントボタン31bおよびドリフトボタン31cと、推力調整操作ボタン32とを含んでいる。
ジョイスティックボタン30は、ジョイスティックモードの開始操作および終了操作を受け付けるボタンである。すなわち、ジョイスティックボタン30は、通常状態と、ジョイスティック3を用いて操船を行う状態(ジョイスティックモード)とを切り換えるためのボタンである。通常状態とは、シフト状態の切り換えおよびエンジン回転数の調整などを行うリモコンレバー(図示せず)と、ステアリングを操作するステアリングホイール(図示せず)とを用いて操船を行う状態である。
ステイポイントボタン31aは、ステイポイント(定点保持)の制御の開始操作および終了操作を受け付けるボタンである。ステイポイント(定点保持)の制御とは、船体101の船首101aの方位T1を目標方位T2に維持するとともに、船体101の位置A1を目標ポイントA2に維持する自動操船の制御である。
フィッシュポイントボタン31bは、フィッシュポイントの制御の開始操作および終了操作を受け付けるボタンである。フィッシュポイントの制御とは、船体101を回頭することにより船体101の船尾101b(または船首101a)を目標ポイントに向けるとともに、船体101を前後方向に移動させることにより船尾101b(または船首101a)が目標ポイントに向けられた船体101を目標ポイントに維持する自動操船の制御である。なお、フィッシュポイントの制御では、船体101が横方向に移動することはない。
ドリフトボタン31cは、ドリフトの制御の開始操作および終了操作を受け付けるボタンである。ドリフトの制御とは、船体101を回頭することにより船体101の船首101aの方位を目標方位に維持しながら、風および水の流れを含む外力を受けて船体101を移動させる自動操船の制御である。
推力調整操作ボタン32は、船舶100(主推進機1および補助推進機2)の推力の大きさのレベルを調整する操作を受け付けるボタンである。推力調整操作ボタン32は、推力の大きさのレベルを大きくするプラスボタン32aと、推力の大きさのレベルを小さくするマイナスボタン32bとを有している。
船舶100は、ジョイスティックモードにおいて、ユーザによるスティック部3bの傾倒操作に基づいて、船首101aの方位T1を維持しながらスティック部3bの傾倒方向に移動する。この場合、移動前後の船首101aの方位が平行になる。なお、船舶100(制御部6)は、スティック部3bの傾倒方向と実際の船体101の移動方向とが一致するように、ボートビルダーなどにより予め所定のキャリブレーションが行われる。
また、船舶100は、ジョイスティックモードにおいて、ユーザによるスティック部3bの捩り操作に基づいて、スティック部3bの捩り方向に回頭する。
また、船舶100は、ジョイスティックモードにおいて、ユーザによるスティック部3bの傾倒操作と捩り操作とを同時に行う操作に基づいて、スティック部3bの傾倒方向および捩り方向に旋回する。「旋回」とは、船首101aの方位T1をスティック部3bの捩り方向に徐々に変えながら、スティック部3bの傾倒方向に船体101を移動することを意味する。
なお、定点保持の制御では自動操船が行われるため、ユーザによりスティック部3bが操作されることはない。また、船舶100は、定点保持の制御において、船首101aの方位T1を維持しながらの移動、および、回頭のみを行い、旋回を行うことはない。
(船舶推進システムの「表示装置」の構成)
図7に示すように、表示装置4は、タッチパネル4aを備えている。一例ではあるが、表示装置4は、ステイポイントボタン31a(図6参照)が操作されてステイポイントの制御が開示された場合、船体101の簡易モデルDおよび船体101の周辺の障害物Oなどを含む船体101の周辺マップMを表示するように構成されている。
図7に示すように、表示装置4は、タッチパネル4aを備えている。一例ではあるが、表示装置4は、ステイポイントボタン31a(図6参照)が操作されてステイポイントの制御が開示された場合、船体101の簡易モデルDおよび船体101の周辺の障害物Oなどを含む船体101の周辺マップMを表示するように構成されている。
表示装置4は、ユーザによるタッチパネル4aに対するタッチ操作に基づいて、目標方位T2および目標ポイントA2の設定を受け付けるように構成されている。なお、目標方位T2および目標ポイントA2の設定は、パネル操作部(図示せず)などの他の操作部を介して行われてもよい。表示装置4は、周辺マップMに設定された目標方位T2および目標ポイントA2を表示するように構成されている。また、表示装置4は、周辺マップMに船舶100の現在の方位T1を表示するように構成されている。
(船舶推進システムの「方位センサ」の構成)
図1に示す方位センサ5aは、船舶100の船首101aの向き(FWD)である船舶100の現在の方位T1を測定するように構成されている。方位センサ5aは、定点保持の制御において、目標方位T2に対して船舶100の現在の方位T1がずれているか否かを判断する際などに使用される。一例ではあるが、方位センサ5aは、電子コンパスにより構成されている。
図1に示す方位センサ5aは、船舶100の船首101aの向き(FWD)である船舶100の現在の方位T1を測定するように構成されている。方位センサ5aは、定点保持の制御において、目標方位T2に対して船舶100の現在の方位T1がずれているか否かを判断する際などに使用される。一例ではあるが、方位センサ5aは、電子コンパスにより構成されている。
(船舶推進システムの「位置センサ」の構成)
位置センサ5bは、船体101の現在の位置A1を測定するように構成されている。なお、船舶100は、位置センサ5bにより測定される船体101の現在の位置A1の時間変化に基づいて、船舶100の現在の速度を取得することも可能である。一例ではあるが、位置センサ5bは、GPS(グローバルポジショニングシステム)装置により構成されている。
位置センサ5bは、船体101の現在の位置A1を測定するように構成されている。なお、船舶100は、位置センサ5bにより測定される船体101の現在の位置A1の時間変化に基づいて、船舶100の現在の速度を取得することも可能である。一例ではあるが、位置センサ5bは、GPS(グローバルポジショニングシステム)装置により構成されている。
(船舶推進システムの「制御部」の構成)
制御部6は、たとえば、制御回路として構成されており、CPU(Central Processing Unit)を含んでいる。
制御部6は、たとえば、制御回路として構成されており、CPU(Central Processing Unit)を含んでいる。
制御部6は、主推進機1と補助推進機2とを連携させることにより、船体101の船首101aの方位T1を目標方位T2に維持するとともに、船体101の位置A1を目標ポイントA2に維持する定点保持(ステイポイント)の制御を行うように構成されている。
詳細には、制御部6は、定点保持の制御において、目標方位T2からの船体101の船首101aの現在の方位T1のずれを回頭により修正する(方位のずれ量を回頭により0に近づける)ように構成されている。制御部6は、方位センサ5aの測定値に基づいて、船首101aの方位T1のずれ量を算出する。
また、制御部6は、定点保持の制御において、目標ポイントA2からの船体101の現在の位置A1のずれを移動により修正する(位置のずれ量を移動により0に近づける)ように構成されている。制御部6は、位置センサ5bの測定値に基づいて、位置のずれ量を算出する。なお、定点保持の制御における「移動」は、船体101の船首101aの方位T1を維持しながら船体101の位置A1を変えることを意味する。
制御部6は、定点保持の制御において、船首101aの方位T1を目標方位T2で維持するために船体101を回頭させる制御と、船体101の位置A1を目標ポイントA2で維持するために船体101を移動させる制御とを異なるタイミングで行うように構成されている。
制御部6は、主推進機1と補助推進機2とを連携させて船体101を移動させる間において、エンジン12の出力域P1の上限値を電気モータ23の出力域P2の最大値(最大出力P20)に合わせることによりエンジン12の出力域P1を制限するように構成されている(図5参照)。また、制御部6は、主推進機1と補助推進機2とを連携させて船体101を移動させる間において、電気モータ23の出力域P2の下限値をエンジン12の出力域P1の最小値(最小出力P11)に合わせることにより電気モータ23の出力域P2を制限するように構成されている(図5参照)。
すなわち、制御部6は、主推進機1と補助推進機2とを連携させて船体101を移動させる間において、エンジン12と電気モータ23とに対して、出力の上限値および下限値が同じになる共通の出力域を設定するように構成されている(図5参照)。
(船体を回頭する制御に関する構成)
図8に示すように、制御部6は、定点保持の制御において船首101aの方位T1を目標方位T2で維持するために船体101を回頭させる際に、主推進機1の推力を発生させる主プロペラ10を停止させた状態で、補助推進機2の推力を発生させる補助プロペラ20を駆動させることにより、船体101を回頭させるように構成されている。
図8に示すように、制御部6は、定点保持の制御において船首101aの方位T1を目標方位T2で維持するために船体101を回頭させる際に、主推進機1の推力を発生させる主プロペラ10を停止させた状態で、補助推進機2の推力を発生させる補助プロペラ20を駆動させることにより、船体101を回頭させるように構成されている。
この場合、制御部6は、定点保持の制御において、船体101の位置A1を保持しながら、船体101をその場で船体101の重心回りに回頭させるように構成されている。なお、このようないわゆる「その場回頭」は、推力の向きを変更するための左右方向の回動可能角度範囲θ1(図1参照)が比較的小さな主推進機1(エンジン式船外機)では実現することはできない。
(船体を移動する制御に関する構成)
図9および図10に示すように、制御部6は、定点保持の制御において船体101の位置A1を目標ポイントA2で維持するために船体101を移動させる際に、補助プロペラ20を停止させた状態で、主プロペラ10を駆動させることにより、船体101を前後方向に移動させるように構成されている。
図9および図10に示すように、制御部6は、定点保持の制御において船体101の位置A1を目標ポイントA2で維持するために船体101を移動させる際に、補助プロペラ20を停止させた状態で、主プロペラ10を駆動させることにより、船体101を前後方向に移動させるように構成されている。
また、制御部6は、定点保持の制御において船体101の位置A1を目標ポイントA2で維持するために船体101を移動させる際に、主推進機1の推力を発生させる主プロペラ10と補助推進機2の推力を発生させる補助プロペラ20とを同時に駆動させることにより、船首101aの方位T1を維持しながら船体101を横方向または斜め方向に移動させるように構成されている。
この場合、制御部6は、主プロペラ10の出力ベクトルV1および補助プロペラ20の出力ベクトルV2の交点Iを、船体101の重心と目標ポイントA2とを通る直線SL上に配置するとともに、船体101の移動方向を示す主プロペラ10の出力ベクトルV1および補助プロペラ20の出力ベクトルV2の合力V3の向きT3を、重心から目標ポイントA2を向く方向に設定することにより、船首101aの方位T1を維持しながら船体101を横方向または斜め方向に移動させるように構成されている。
また、制御部6は、船首101aの方位T1を維持しながら船体101を横方向または斜め方向に移動させる際に、前後方向において、主プロペラ10の出力ベクトルV1の向きと、補助プロペラ20の出力ベクトルV2の向きとを互いに逆向きにするように構成されている。
(船舶推進システムの制御部による定点保持の制御処理)
次に、図11を参照して、船舶推進システム102の制御部6による定点保持の制御処理について説明する。なお、図11に示すフローチャートでは、目標方位T2からの船首101aの現在の方位T1のずれ量が方位しきい値を超えるとともに、目標ポイントA2からの船体101の現在の位置A1のずれ量が位置しきい値を超える状態から制御処理がスタートするものとする。要するに、以下では、船首101aの方位T1が目標方位T2から比較的大きくずれるとともに、船体101の位置A1が目標ポイントA2から比較的大きくずれている状態を修正するための制御処理について説明する。
次に、図11を参照して、船舶推進システム102の制御部6による定点保持の制御処理について説明する。なお、図11に示すフローチャートでは、目標方位T2からの船首101aの現在の方位T1のずれ量が方位しきい値を超えるとともに、目標ポイントA2からの船体101の現在の位置A1のずれ量が位置しきい値を超える状態から制御処理がスタートするものとする。要するに、以下では、船首101aの方位T1が目標方位T2から比較的大きくずれるとともに、船体101の位置A1が目標ポイントA2から比較的大きくずれている状態を修正するための制御処理について説明する。
ステップS1において、方位センサ5aの測定値に基づいて、目標方位T2からの船首101aの方位T1のずれ量を算出する。その後、ステップS2に進む。
ステップS2において、主プロペラ10を停止させた状態で、補助プロペラ20を駆動させることにより、船体101を回頭させる。その後、ステップS3に進む。
ステップS3において、船首101aの方位T1のずれ量が、方位しきい値以下であるか否かが判断される。なお、船首101aの方位T1のずれ量が方位しきい値以下の場合には、船首101aの方位T1が目標方位T2に略一致することになる。ステップS3において、船首101aの方位T1のずれ量が方位しきい値以下であるならば、ステップS4に進み、船首101aの方位T1のずれ量が方位しきい値以下でなければ、ステップS1に戻る。
ステップS4において、位置センサ5bの測定値に基づいて、目標ポイントA2からの船体101の位置A1のずれ量を算出する。その後、ステップS5に進む。
ステップS5において、船首101aの方位T1を維持しながら目標ポイントA2に向けて船体101を移動させる。この際、前後方向に船体101を移動させる場合には、補助プロペラ20を停止させた状態で、主プロペラ10を駆動させることにより、船体101を移動させる。また、斜め方向または横方向に船体101を移動させる場合には、補助プロペラ20および主プロペラ10を同時に駆動させることにより、船体101を移動させる。その後、ステップS6に進む。
ステップS6において、船体101の位置A1のずれ量が、位置しきい値以下であるか否かが判断される。なお、船体101の位置A1のずれ量が位置しきい値以下の場合には、船体101の位置A1が目標ポイントA2に略一致することになる。ステップS6において、船体101の位置A1のずれ量が位置しきい値以下であるならば、エンドに進み、船体101の位置A1のずれ量が位置しきい値以下でなければ、ステップS4に戻る。
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
本実施形態では、上記のように、主推進機1と、補助推進機2とを連携させることにより、船体101の船首101aの方位T1を目標方位T2に維持するとともに、船体101の位置A1を目標ポイントA2に維持する定点保持(ステイポイント)の制御を行う制御部6を設ける。これによって、定点保持の制御において、補助推進機だけを駆動させる場合と異なり、主推進機1と補助推進機2とを連携させて、船体101の回頭および移動を柔軟に行って、船体101の船首101aの方位T1を目標方位T2に維持するとともに、船体101の位置A1を目標ポイントA2に維持することができる。また、補助推進機2を、推力を発生させる補助プロペラ20を駆動させる電気モータ23を含むように構成する。これによって、主推進機1を駆動する場合で、かつ、補助推進機2をエンジン式の推進機とした場合と比較して、補助推進機2からの二酸化炭素の排出量を低減することができる。以上により、補助推進機2の駆動に伴う環境負荷を極力低減しながら、主推進機1および補助推進機2が設けられた船体101の定点保持を実現することができる。
本実施形態では、上記のように、主推進機1は、船体101の左右方向の中心線α上に配置され、補助推進機2は、船体101の左右方向の一方に偏って配置されている。これによって、主推進機1が船体101の左右方向の中心線α上に配置されるとともに、補助推進機2が船体101の左右方向の一方に偏って配置された船舶100において、主推進機1と補助推進機2とを連携させることにより、船体101の回頭および移動を柔軟に行うことができるので、定点保持の制御において主推進機1および補助推進機2の推力の向きおよび大きさを調整することができる。
本実施形態では、上記のように、補助推進機2は、主推進機1よりも、推力の向きを変更するための左右方向の回動可能角度範囲θ2が大きくなるように構成され、制御部6は、定点保持の制御において、補助推進機2を駆動させることにより、船体101を回頭させるように構成されている。これによって、主推進機1よりも推力の向きを変更するための左右方向の回動可能角度範囲θ2が大きい電気モータ駆動(電動)の補助推進機2により、船体101の位置A1の変化が小さくなるように回頭する(その場回頭する)ことができる。
本実施形態では、上記のように、主推進機1は、推力を発生させる主プロペラ10を駆動させるように構成され、出力域P1の最大値および最小値がともに電気モータ23よりも大きいエンジン12を含み、制御部6は、主推進機1と補助推進機2とを連携させて船体101を移動させる間において、エンジン12の出力域P1の上限値を電気モータ23の出力域P2の最大値に合わせることによりエンジン12の出力域P1 を制限するとともに、主推進機1と補助推進機2とを連携させて船体101を移動させる間において、電気モータ23の出力域P2の下限値をエンジン12の出力域P1の最小値に合わせることにより電気モータ23の出力域P2を制限するように構成されている。これによって、エンジン12の出力域P1および電気モータ23の出力域P2同等になるように調整されるので、主推進機1と補助推進機2とを連携させる際に、エンジン12の出力および電気モータ23の出力のバランスが崩れるのを防ぐことができる。
本実施形態では、上記のように、制御部6は、定点保持の制御において船首101aの方位T1を目標方位T2で維持するために船体101を回頭させる際に、主推進機1の推力を発生させる主プロペラ10を停止させた状態で、補助推進機2の推力を発生させる補助プロペラ20を駆動させることにより、船体101を回頭させるように構成されている。これによって、電動式の補助推進機2のみにより船体101を回頭させることができるので、静かに船体101を回頭させることができる。また、回頭時において電気モータ駆動(電動)の補助推進機2のみから推力が発生されるので、これによっても、回頭時における環境負荷を低減することができる。
本実施形態では、上記のように、制御部6は、船体101の位置A1を保持しながら、船体101をその場で船体101の重心回りに回頭させるように構成されている。これによって、船体101の位置A1を変えることなくその場で回頭を実現することができるので、定点保持の制御における目標ポイントA2を維持する精度を向上させることができる。
本実施形態では、上記のように、制御部6は、定点保持の制御において船体101の位置A1を目標ポイントA2で維持するために船体101を移動させる際に、主推進機1の推力を発生させる主プロペラ10と補助推進機2の推力を発生させる補助プロペラ20とを同時に駆動させることにより、船首101aの方位T1を維持しながら船体101を横方向または斜め方向に移動させるとともに、補助プロペラ20を停止させた状態で、主プロペラ10を駆動させることにより、船体101を前後方向に移動させるように構成されている。これによって、主プロペラ10と補助プロペラ20とを同時に駆動(連携)させることにより船首101aの方位T1を維持しながら船体101を横方向または斜め方向に移動することを実現できるとともに、主プロペラ10のみを駆動させることにより船体101を前後方向に移動することを実現することができる。
本実施形態では、上記のように、制御部6は、主プロペラ10の出力ベクトルV1および補助プロペラ20の出力ベクトルV2の交点Iを、船体101の重心と目標ポイントA2とを通る直線SL上に配置するとともに、船体101の移動方向を示す主プロペラ10の出力ベクトルV1および補助プロペラ20の出力ベクトルV2の合力V3の向きT3を、重心から目標ポイントA2を向く方向に設定することにより、船首101aの方位T1を維持しながら船体101を横方向または斜め方向に移動させるように構成されている。これによって、船体101の左右方向の中心線αに対して、主推進機1および補助推進機2がバランスよく配置されていない場合でも、船首101aの方位T1を維持しながら船体101を横方向または斜め方向に移動させることが可能となる。
本実施形態では、上記のように、制御部6は、船首101aの方位T1を維持しながら船体101を横方向または斜め方向に移動させる際に、前後方向において、主プロペラ10の出力ベクトルV1の向きと、補助プロペラ20の出力ベクトルV2の向きとを互いに逆向きにするように構成されている。これによって、主プロペラ10の出力ベクトルV1の向きと、補助プロペラ20の出力ベクトルV2の向きとを互いに逆向きにすることにより、容易に、船首101aの方位T1を維持しながら船体101を横方向または斜め方向に移動させることができる。
本実施形態では、上記のように、制御部6は、定点保持の制御において、船首101aの方位T1を目標方位T2で維持するために船体101を回頭させる制御と、船体101の位置A1を目標ポイントA2で維持するために船体101を移動させる制御とを異なるタイミングで行うように構成されている。これによって、船首101aの方位T1を目標方位T2で維持するための回頭と、船体101の位置A1を目標ポイントA2で維持するための移動とを切り分けることにより、回頭時に船体101の位置A1が変化することを抑制することができるとともに、移動時に船首101aの方位T1が変化することを抑制することができる。
本実施形態では、上記のように、主推進機1は、推力を発生させる主プロペラを駆動させるエンジン12を含み、船体101の左右方向の中心線α上に配置されたエンジン式船外機であり、補助推進機2は、電気モータ23により補助プロペラ20を駆動させるように構成され、船体101の左右方向の一方に偏って配置された電動式船外機である。これによって、電動式船外機の駆動に伴う環境負荷を低減することができるとともに、エンジン式船外機および電動式船外機が設けられた船体101の定点保持を実現することができる。
[変形例]
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
上記実施形態では、説明の便宜上、制御部の処理動作を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部の処理動作を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
上記実施形態では、船舶推進システムが1つのみの主推進機を備える例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、船舶推進システムが複数の主推進機を備えていてもよい。
上記実施形態では、船舶推進システムが1つのみの補助推進機を備える例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、船舶推進システムが複数の補助推進機を備えていてもよい。
上記実施形態では、主推進機の主推進部を、主プロペラにより構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、主推進機の主推進部を、水を噴射することによって推力を発生させるジェットにより構成してもよい。
上記実施形態では、補助推進機の補助推進部を、補助プロペラにより構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、補助推進機の補助推進部を、水を噴射することによって推力を発生させるジェットにより構成してもよい。
上記実施形態では、主推進機を船体の左右方向の中心線上に配置した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、主推進機を船体の左右方向の中心線上からずれた位置に配置してもよい。
上記実施形態では、主推進機が主プロペラの駆動源としてエンジンを備える例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、主推進機が主プロペラの駆動源として電気モータを備えていてもよい。
上記実施形態では、主推進機および補助推進機を船外機により構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、主推進機および補助推進機を船内外機などにより構成してもよい。
1 主推進機
2 補助推進機
6 制御部
10 主プロペラ(主推進部)
12 エンジン
20 補助プロペラ(補助推進部)
23 電気モータ
100 船舶
101 船体
101a 船首
101b 船尾
102 船舶推進システム
A1 (船体の)位置
A2 目標ポイント
T1 (船首の)方位
T2 目標方位
T3 (主プロペラの出力ベクトルと補助プロペラの出力ベクトルとの合力の)向き
I (主プロペラの出力ベクトルと補助プロペラの出力ベクトルとの)交点
P1 (エンジンの)出力域
P2 (電気モータの)出力域
P20 (電気モータの)最大出力
SL (船体の重心と目標ポイントとを通る)直線
V1 (エンジンの)出力ベクトル
V2 (電気モータの)出力ベクトル
V3 (主プロペラの出力ベクトルと補助プロペラの出力ベクトルとの)合力
α (船体の左右方向の)中心線
θ2 (補助推進機の左右方向の)回動可能角度範囲
2 補助推進機
6 制御部
10 主プロペラ(主推進部)
12 エンジン
20 補助プロペラ(補助推進部)
23 電気モータ
100 船舶
101 船体
101a 船首
101b 船尾
102 船舶推進システム
A1 (船体の)位置
A2 目標ポイント
T1 (船首の)方位
T2 目標方位
T3 (主プロペラの出力ベクトルと補助プロペラの出力ベクトルとの合力の)向き
I (主プロペラの出力ベクトルと補助プロペラの出力ベクトルとの)交点
P1 (エンジンの)出力域
P2 (電気モータの)出力域
P20 (電気モータの)最大出力
SL (船体の重心と目標ポイントとを通る)直線
V1 (エンジンの)出力ベクトル
V2 (電気モータの)出力ベクトル
V3 (主プロペラの出力ベクトルと補助プロペラの出力ベクトルとの)合力
α (船体の左右方向の)中心線
θ2 (補助推進機の左右方向の)回動可能角度範囲
Claims (20)
- 左右方向に回動して推力の向きを変更可能に構成され、船体の船尾に取り付けられる主推進機と、
推力を発生させる補助推進部を駆動させる電気モータを含み、左右方向に回動して推力の向きを変更可能に構成され、前記主推進機よりも最大出力が小さいとともに、前記船尾に取り付けられる補助推進機と、
前記主推進機と前記補助推進機とを連携させることにより、前記船体の船首の方位を目標方位に維持するとともに、前記船体の位置を目標ポイントに維持する定点保持の制御を行う制御部とを、備える、船舶推進システム。 - 前記主推進機は、前記船体の左右方向の中心線上に配置され、
前記補助推進機は、前記船体の左右方向の一方に偏って配置されている、請求項1に記載の船舶推進システム。 - 前記補助推進機は、前記主推進機よりも、推力の向きを変更するための左右方向の回動可能角度範囲が大きくなるように構成され、
前記制御部は、前記定点保持の制御において、前記補助推進機を駆動させることにより、前記船体を回頭させるように構成されている、請求項1または2に記載の船舶推進システム。 - 前記主推進機は、推力を発生させる主推進部を駆動させるように構成され、出力域の最大値および最小値がともに前記電気モータよりも大きいエンジンを含み、
前記制御部は、
前記主推進機と前記補助推進機とを連携させて前記船体を移動させる間において、前記エンジンの出力域の上限値を前記電気モータの出力域の最大値に合わせることにより前記エンジンの出力域を制限するとともに、
前記主推進機と前記補助推進機とを連携させて前記船体を移動させる間において、前記電気モータの出力域の下限値を前記エンジンの出力域の最小値に合わせることにより前記電気モータの出力域を制限するように構成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の船舶推進システム。 - 前記制御部は、前記定点保持の制御において前記船首の方位を前記目標方位で維持するために前記船体を回頭させる際に、前記主推進機の推力を発生させる主推進部を停止させた状態で、前記補助推進機の推力を発生させる前記補助推進部を駆動させることにより、前記船体を回頭させるように構成されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の船舶推進システム。
- 前記制御部は、前記船体の位置を保持しながら、前記船体をその場で前記船体の重心回りに回頭させるように構成されている、請求項5に記載の船舶推進システム。
- 前記制御部は、前記定点保持の制御において前記船体の位置を前記目標ポイントで維持するために前記船体を移動させる際に、
前記主推進機の推力を発生させる主推進部と前記補助推進機の推力を発生させる前記補助推進部とを同時に駆動させることにより、前記船首の方位を維持しながら前記船体を横方向または斜め方向に移動させるとともに、
前記補助推進部を停止させた状態で、前記主推進部を駆動させることにより、前記船体を前後方向に移動させるように構成されている、請求項1~6のいずれか1項に記載の船舶推進システム。 - 前記制御部は、前記主推進部の出力ベクトルおよび前記補助推進部の出力ベクトルの交点を、前記船体の重心と前記目標ポイントとを通る直線上に配置するとともに、前記船体の移動方向を示す前記主推進部の出力ベクトルおよび前記補助推進部の出力ベクトルの合力の向きを、前記重心から前記目標ポイントを向く方向に設定することにより、前記船首の方位を維持しながら前記船体を横方向または斜め方向に移動させるように構成されている、請求項7に記載の船舶推進システム。
- 前記制御部は、前記船首の方位を維持しながら前記船体を横方向または斜め方向に移動させる際に、前後方向において、前記主推進部の出力ベクトルの向きと、前記補助推進部の出力ベクトルの向きとを互いに逆向きにするように構成されている、請求項7または8に記載の船舶推進システム。
- 前記制御部は、前記定点保持の制御において、前記船首の方位を前記目標方位で維持するために前記船体を回頭させる制御と、前記船体の位置を前記目標ポイントで維持するために前記船体を移動させる制御とを異なるタイミングで行うように構成されている、請求項1~9のいずれか1項に記載の船舶推進システム。
- 前記主推進機は、推力を発生させる主プロペラを駆動させるエンジンを含み、前記船体の左右方向の中心線上に配置されたエンジン式船外機であり、
前記補助推進機は、前記電気モータにより前記補助推進部としての補助プロペラを駆動させるように構成され、前記船体の左右方向の一方に偏って配置された電動式船外機である、請求項1~10のいずれか1項に記載の船舶推進システム。 - 左右方向に回動して推力の向きを変更可能に構成され、船体の船尾に取り付けられる主推進機と、
左右方向に回動して推力の向きを変更可能に構成され、前記主推進機よりも最大出力が小さいとともに、前記船尾に取り付けられる補助推進機と、
前記主推進機と前記補助推進機とを連携させることにより、前記船体の船首の方位を目標方位に維持するとともに、前記船体の位置を目標ポイントに維持する定点保持の制御を行う制御部とを、備える、船舶推進システム。 - 船体と、
前記船体に設けられる船舶推進システムとを備え、
前記船舶推進システムは、
左右方向に回動して推力の向きを変更可能に構成され、前記船体の船尾に取り付けられる主推進機と、
推力を発生させる補助推進部を駆動させる電気モータを有し、左右方向に回動して推力の向きを変更可能に構成され、前記主推進機よりも最大出力が小さいとともに、前記船尾に取り付けられる補助推進機と、
前記主推進機と前記補助推進機とを連携させることにより、前記船体の船首の方位を目標方位に維持するとともに、前記船体の位置を目標ポイントに維持する定点保持の制御を行う制御部とを、含む、船舶。 - 前記主推進機は、前記船体の左右方向の中心線上に配置され、
前記補助推進機は、前記船体の左右方向の一方に偏って配置されている、請求項13に記載の船舶。 - 前記補助推進機は、前記主推進機よりも、推力の向きを変更するための左右方向の回動可能角度範囲が大きくなるように構成され、
前記制御部は、前記定点保持の制御において、前記補助推進機を駆動させることにより、前記船体を回頭させるように構成されている、請求項13または14に記載の船舶。 - 前記主推進機は、推力を発生させる主推進部を駆動させるように構成され、出力域の最大値および最小値がともに前記電気モータよりも大きいエンジンを有し、
前記制御部は、
前記主推進機と前記補助推進機とを連携させて前記船体を移動させる間において、前記エンジンの出力域の上限値を前記電気モータの出力域の最大値に合わせることにより前記エンジンの出力域を制限するとともに、
前記主推進機と前記補助推進機とを連携させて前記船体を移動させる間において、前記電気モータの出力域の下限値を前記エンジンの出力域の最小値に合わせることにより前記電気モータの出力域を制限するように構成されている、請求項13~15のいずれか1項に記載の船舶。 - 前記制御部は、前記定点保持の制御において前記船首の方位を前記目標方位で維持するために前記船体を回頭させる際に、前記主推進機の推力を発生させる主推進部を停止させた状態で、前記補助推進機の推力を発生させる前記補助推進部を駆動させることにより、前記船体を回頭させるように構成されている、請求項13~16のいずれか1項に記載の船舶。
- 前記制御部は、前記船体の位置を保持しながら、前記船体をその場で前記船体の重心回りに回頭させるように構成されている、請求項17に記載の船舶。
- 前記制御部は、前記定点保持の制御において前記船体の位置を前記目標ポイントで維持するために前記船体を移動させる際に、
前記主推進機の推力を発生させる主推進部と前記補助推進機の推力を発生させる前記補助推進部とを同時に駆動させることにより、前記船首の方位を維持しながら前記船体を横方向または斜め方向に移動させるとともに、
前記補助推進部を停止させた状態で、前記主推進部を駆動させることにより、前記船体を前後方向に移動させるように構成されている、請求項13~18のいずれか1項に記載の船舶。 - 前記制御部は、前記主推進部の出力ベクトルおよび前記補助推進部の出力ベクトルの交点を、前記船体の重心と前記目標ポイントとを通る直線上に配置するとともに、前記船体の移動方向を示す前記主推進部の出力ベクトルおよび前記補助推進部の出力ベクトルの合力の向きを、前記重心から前記目標ポイントを向く方向に設定することにより、前記船首の方位を維持しながら前記船体を横方向または斜め方向に移動させるように構成されている、請求項19に記載の船舶。
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JP2020168921A (ja) * | 2019-04-02 | 2020-10-15 | ヤマハ発動機株式会社 | 船舶用推進システムおよび船舶 |
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-
2022
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