JP2023068783A - 消毒剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、動物にとって安全で、環境に対する負荷も少ない、優れた抗菌作用を示す消毒剤を提供することを目的とする。また、本発明は、様々な対象に生息する可能性のあるまたは生息している微生物を防除するための、安全で、環境に対する負荷も少ない方法を提供することを目的とする。【解決手段】少なくとも0.02質量容積(w/v)%のマグネシウム・イオンまたは少なくとも0.02質量容積(w/v)%のマグネシウム・イオンに相当する量の水溶性マグネシウム塩、およびイブキジャコウソウ(Thymus)属に属する植物の溶剤抽出液または精油を水性基材中に含むことを特徴とする消毒剤が提供される。【選択図】 なし
Description
本発明は、ヒト、コンパニオン・アニマル、家畜・家禽、各種製品、施設および設備等の有害微生物を防除するための消毒剤に関する。特にマグネシウム・イオンおよび植物成分を含む水性基材により構成される消毒剤に関する。
消毒剤は、ヒトやコンパニオン・アニマル、家畜・家禽などの動物のみならず、各種の食品や医療製品を含む農工業製品、そしてそれらの飼育施設や製造設備に生息する可能性のあるまたは生息している微生物を防除するため、広範に用いられている。そのような消毒剤は、ヒトやコンパニオン・アニマル、家畜・家禽などの動物に対して有害なものであるべきではない。また、昨今、持続可能な社会の実現のために、化学物質の環境への負荷をできるだけ抑制することが求められている。そして、そのために、様々な天然素材の利用への要請が高まっている。
特許文献1には、塩化マグネシウムを主成分とする「にがり」、植物の揮発性精油成分であるフィトンチッドおよびキトサンを含む、除菌作用を有する水性組成物が記載されている。また、フィトンチッドとしては、マツ、ヒノキ、モミ、スギ等の針葉樹、カシ、ツバキ、ユーカリ等の広葉樹、あるいはタケ類、ササ類、オオバコ、ヨモギ、イラクサ等に由来するものが例示されている。しかし、同文献には、タイム等のイブキジャコウソウ属(Thymus)に属する植物については何ら記載されていない。
特許文献2には、抗菌作用を有する金属イオン、L-システイン、L-アスコルビン酸、非イオン系を除く界面活性剤、増粘剤および収斂剤を含有することを特徴とする口腔用殺菌消毒液が記載されている。当該金属イオンとしては、III価の鉄イオン(Fe3+)、II価の鉄イオン(Fe2+)、亜鉛イオン(Zn2+)、銅イオン(Cu2+)、コバルトイオン(Co2+)、ニッケルイオン(Ni2+)および銀イオン(Ag+)が挙げられている。また、収斂剤としては、ミョウバン類、カテキン類、にがり類およびホップエキスが例示されている。さらに、同文献の消毒液には、ユーカリ、ミント、カモミール、ラベンダー、オレガノ、グローブ、ローズマリー、タイム、ネロリ、パイン、ベルガモット、シダーウッド、ヒノキチオール、ティートリーオイル等から選択される様々な植物のハーブエキスまたは精油が100~200ppmの濃度で含まれていてもよいとされている。しかしながら、同文献には、にがり類と組み合わせるものとして、タイムを特定的に選択することは、何ら具体的に記載されていないし、示唆もされていない。また、同文献には、マグネシウム・イオンとタイム等のイブキジャコウソウ属(Thymus)に属する植物に由来する成分との組み合わせが、相乗的な殺菌効果を示し得ることを示唆するところは全くない。
特許文献3には、クローブまたはローズマリーと酸化マグネシウムとを含むことを特徴とする抗菌剤が記載されており、それらの組み合わせが相乗的な抗菌効果をもたらしたとされている。一方、同文献には、比較例として、タイムの葉、茎および花の乾燥物を酸化マグネシウムと混合して得たものが記載されているが、そのような組み合わせではクローブやローズマリーに比べて十分な抗菌効果が得られなかったとされている。なお、同文献の酸化マグネシウムは水に難溶性のマグネシウム塩である。
このように、上記のいずれの先行技術文献も、マグネシウム・イオンないし水溶性マグネシウム塩とイブキジャコウソウ属(Thymus)に属する植物の溶剤抽出液または精油との組み合わせが、相乗的な殺菌効果を示すことを開示も示唆もしていない。
本発明は、動物にとって安全で、環境に対する負荷も少ない、優れた抗菌作用を示す消毒剤を提供することを課題とする。また、本発明は、ヒト、コンパニオン・アニマルおよび家畜・家禽などの動物、各種の食品や医療製品を含む農工業製品、そしてそれらの飼育施設や製造設備に生息する可能性のあるまたは生息している微生物を防除するための、安全で、環境に対する負荷も少ない方法を提供することを課題とする。
驚くべきことに、マグネシウム・イオンないし水溶性マグネシウム塩とイブキジャコウソウ属(Thymus)に属する植物の溶剤抽出液または精油との組み合わせが、相乗的な殺菌効果を示すことが見出された。このような相乗効果は、他の植物の精油類には見られなかった。したがって、本発明の第1の局面は、
[1] 少なくとも0.02質量容積(w/v)%のマグネシウム・イオンまたは少なくとも0.02質量容積(w/v)%のマグネシウム・イオンに相当する量の水溶性マグネシウム塩、およびイブキジャコウソウ(Thymus)属に属する植物の溶剤抽出液または精油を水性基材中に含むことを特徴とする、消毒剤である。
[1] 少なくとも0.02質量容積(w/v)%のマグネシウム・イオンまたは少なくとも0.02質量容積(w/v)%のマグネシウム・イオンに相当する量の水溶性マグネシウム塩、およびイブキジャコウソウ(Thymus)属に属する植物の溶剤抽出液または精油を水性基材中に含むことを特徴とする、消毒剤である。
前記マグネシウム・イオンが、天然素材である「にがり」に由来することは、本発明の好ましい実施の形態である。すなわち、本発明の一実施形態は、
[2] 前記マグネシウム・イオンが、にがりに由来するマグネシウム・イオンである、上記[1]に記載の消毒剤である。
[2] 前記マグネシウム・イオンが、にがりに由来するマグネシウム・イオンである、上記[1]に記載の消毒剤である。
また、水溶性マグネシウム塩として、食品添加物としても認められているものを利用することも、本発明の好ましい実施の形態である。すなわち、本発明の別の実施形態は、
[3] 前記水溶性マグネシウム塩が、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウムおよびそれらの混合物からなる群から選択される、上記[1]に記載の消毒剤である。
[3] 前記水溶性マグネシウム塩が、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウムおよびそれらの混合物からなる群から選択される、上記[1]に記載の消毒剤である。
本発明のイブキジャコウソウ(Thymus)属に属する植物としては、タチジャコウソウ(Thymus vulgaris)種に属する植物、例えば、コモンタイムまたはタイム・チモール(Thymus vulgaris ct.Thymol)が好適に利用できる。すなわち、本発明のさらなる実施形態は、
[4] 前記イブキジャコウソウ属に属する植物が、タチジャコウソウ(Thymus vulgaris)種に属する植物である、上記[1]~[3]のいずれかに記載の消毒剤、および
[5] 前記タチジャコウソウ種に属する植物が、コモンタイムまたはタイム・チモール(Thymus vulgaris ct.Thymol)である、上記[4]に記載の消毒剤である。
[4] 前記イブキジャコウソウ属に属する植物が、タチジャコウソウ(Thymus vulgaris)種に属する植物である、上記[1]~[3]のいずれかに記載の消毒剤、および
[5] 前記タチジャコウソウ種に属する植物が、コモンタイムまたはタイム・チモール(Thymus vulgaris ct.Thymol)である、上記[4]に記載の消毒剤である。
本発明のイブキジャコウソウ(Thymus)属に属する植物の溶剤抽出液または精油は、典型的には水に不~難溶であるから、それらの溶解、乳化および/または分散性を高めるために、本発明の水性基材が水混和性溶媒、例えばグリセリンを含んでいてもよい。すなわち、本発明のさらなる実施形態は、
[6] 前記水性基材が、0.1~10体積(v/v)%の水混和性溶媒を含む、上記[1]~[5]のいずれかに記載の消毒剤、および
[7] 前記水混和性溶媒がグリセリンである、上記[6]に記載の消毒剤である。
[6] 前記水性基材が、0.1~10体積(v/v)%の水混和性溶媒を含む、上記[1]~[5]のいずれかに記載の消毒剤、および
[7] 前記水混和性溶媒がグリセリンである、上記[6]に記載の消毒剤である。
また、本発明の植物の溶剤抽出液または精油を乳化させ、または乳化を安定させるために、本発明の消毒剤は乳化剤または乳化安定剤、例えばレシチンまたはローカストビーンガムを含んでいてもよい。すなわち、本発明のさらなる実施形態は、
[8] さらに乳化剤または乳化安定剤を含む、上記[1]~[7]のいずれかに記載の消毒剤、および
[9] 前記乳化剤または乳化安定剤が、レシチンまたはローカストビーンガムから選択される、上記[8]に記載の消毒剤である。
[8] さらに乳化剤または乳化安定剤を含む、上記[1]~[7]のいずれかに記載の消毒剤、および
[9] 前記乳化剤または乳化安定剤が、レシチンまたはローカストビーンガムから選択される、上記[8]に記載の消毒剤である。
本発明の消毒剤を用いることにより、様々な対象の有害微生物を効果的かつ安全に防除することができる。したがって、本発明の第2の局面は、
[10] 上記[1]~[9]のいずれかに記載の消毒剤で処理することを特徴とする、家畜・家禽および/またはその飼育施設、食品および/またはその製造設備、医療製品および/またはその製造設備、あるいは容器および/またはその製造設備の有害微生物を防除する方法である。
[10] 上記[1]~[9]のいずれかに記載の消毒剤で処理することを特徴とする、家畜・家禽および/またはその飼育施設、食品および/またはその製造設備、医療製品および/またはその製造設備、あるいは容器および/またはその製造設備の有害微生物を防除する方法である。
本発明によれば、動物にとって安全で、環境に対する負荷も少ない、優れた抗菌作用を示す消毒剤が提供される。また、本発明の消毒剤を用いることにより、様々な対象の有害微生物を、効果的かつ安全に、環境に対する負荷も少なく防除することができる。
マグネシウム
本発明の消毒剤には、少なくとも0.02質量容積(w/v)%のマグネシウム・イオンが含まれる。本発明の消毒剤に含まれるマグネシウム・イオンの量が、約0.03質量容積(w/v)%以上であることが好ましく、約0.05質量容積(w/v)%以上であることがより好ましく、約0.1質量容積(w/v)%以上であることがいっそう好ましい。本発明の消毒剤に含まれるマグネシウム・イオンの量について特に上限はないが、消毒剤の製造の容易性や各種用途への適応に際する利便性等の観点からは、約6.4質量容積(w/v)%以下、好ましくは約1.6質量容積(w/v)%以下、より好ましくは約0.8質量容積(w/v)%以下、いっそう好ましくは0.5質量容積(w/v)%以下を例示することができる。したがって、本発明の好適な消毒剤には、0.02~約6.4質量容積(w/v)%、好ましくは約0.03~約1.6質量容積(w/v)%、より好ましくは約0.05~約0.8質量容積(w/v)%、いっそう好ましくは約0.1~0.5質量容積(w/v)%のマグネシウム・イオンが含まれる。
本発明の消毒剤には、少なくとも0.02質量容積(w/v)%のマグネシウム・イオンが含まれる。本発明の消毒剤に含まれるマグネシウム・イオンの量が、約0.03質量容積(w/v)%以上であることが好ましく、約0.05質量容積(w/v)%以上であることがより好ましく、約0.1質量容積(w/v)%以上であることがいっそう好ましい。本発明の消毒剤に含まれるマグネシウム・イオンの量について特に上限はないが、消毒剤の製造の容易性や各種用途への適応に際する利便性等の観点からは、約6.4質量容積(w/v)%以下、好ましくは約1.6質量容積(w/v)%以下、より好ましくは約0.8質量容積(w/v)%以下、いっそう好ましくは0.5質量容積(w/v)%以下を例示することができる。したがって、本発明の好適な消毒剤には、0.02~約6.4質量容積(w/v)%、好ましくは約0.03~約1.6質量容積(w/v)%、より好ましくは約0.05~約0.8質量容積(w/v)%、いっそう好ましくは約0.1~0.5質量容積(w/v)%のマグネシウム・イオンが含まれる。
本発明の消毒剤を製造するにあたり、マグネシウム・イオンに富んだ天然素材を利用することは、本発明の好ましい実施形態の1つである。そのような天然素材としては、「にがり」を例示できる。「にがり」は容易に入手できるだけでなく、安全で環境に対して負荷をかけないマグネシウム・イオン供給源であり得る。一般的に市販されている「にがり」には約6,400mg/100mL程度のマグネシウム・イオンが含まれるとされている。そのような「にがり」としては、例えば「塩化マグネシウム スモールミネラルにがり」(規格:食品添加物、純度95.0~103.0%(Av=99.0%)、仁尾興産株式会社製)を利用することができる。
また、本発明の消毒剤には、上記した質量容積(w/v)%に相当する量のマグネシウム・イオンを供給できるだけの水溶性マグネシウム塩を含ませてもよい。すなわち、水溶性マグネシウム塩が、0.02~約6.4質量容積(w/v)%、好ましくは約0.03~約1.6質量容積(w/v)%、より好ましくは約0.05~約0.8質量容積(w/v)%、いっそう好ましくは約0.1~0.5質量容積(w/v)%のマグネシウム・イオンを供給するために必要な量で、本発明の消毒剤に含まれ得る。当業者は、そのような水溶性マグネシウム塩の量を、当該マグネシウム塩の分子量とマグネシウムの原子量に基づいて容易に計算することができる。
本発明の水溶性マグネシウム塩は、20℃において、100mLの純水に対して少なくとも1gの溶解度を示すマグネシウムの塩と定義される。本発明の水溶性マグネシウム塩の溶解度(20℃、純水)は、約10g/100mL以上であることが好ましく、約20g/100mL以上であることがより好ましく、約50g/100mL以上であることもより好ましい。本発明において好適な水溶性マグネシウム塩として、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウムを挙げることができる。それらはいずれも水に対して高い溶解度を示す。特に、塩化マグネシウムおよび硫酸マグネシウムは食品添加物として認められている安全性の高い塩類であるので、環境に対する負荷が少ない点から好ましい。また、前記塩の水和物を用いてもよい。例えば、塩化マグネシウム六水和物(試薬特級、富士フィルム和光純薬株式会社製(min98.0%))や硫酸マグネシウム七水和物(試薬特級、関東化学株式会社製(純度99.5%))、硝酸マグネシウム六水和物(試薬特級、関東化学株式会社製(純度99.0%))などが挙げられる。
イブキジャコウソウ(Thymus)属植物の溶剤抽出液または精油
本発明の消毒剤には、イブキジャコウソウ属に属する植物の溶剤抽出液または精油が含まれる。本発明のイブキジャコウソウ属に属する植物としては、例えば、タチジャコウソウ(一般名:コモンタイム。Thymus vulgaris)種、レモンタイム(Thymus citriodorus)種、ワイルドタイム(Thymus serpyllum)種、タイムマストキナ(Thymus mastichina)種、タイムサツレオイデス(Thymus satureioides)種などが挙げられ、そのいずれも好適に使用することができる。特にタチジャコウソウ種(コモンタイム)に属する植物が好ましい。
本発明の消毒剤には、イブキジャコウソウ属に属する植物の溶剤抽出液または精油が含まれる。本発明のイブキジャコウソウ属に属する植物としては、例えば、タチジャコウソウ(一般名:コモンタイム。Thymus vulgaris)種、レモンタイム(Thymus citriodorus)種、ワイルドタイム(Thymus serpyllum)種、タイムマストキナ(Thymus mastichina)種、タイムサツレオイデス(Thymus satureioides)種などが挙げられ、そのいずれも好適に使用することができる。特にタチジャコウソウ種(コモンタイム)に属する植物が好ましい。
また、タチジャコウソウ種に属する植物には、例えば、タイム・チモール(Thymus vulgaris ct.Thymol)、タイム・リナロール(Thymus vulgaris ct.Linalool)、タイム・ゲラニオール(Thymus vulgaris ct.Geraniol)、タイム・ツヤノール(Thymus vulgaris ct.Thujanol)、タイム・パラシメン(Thymus vulgaris ct.Paracymene)およびタイム・カルバクロール(Thymus vulgaris ct.Carvacrol)等のケモタイプが知られており、いずれのケモタイプも本発明において好適に使用できる。特に、タイム・チモール(Thymus vulgaris ct.Thymol)が好ましい。
本発明で使用する上記植物の溶剤抽出液は、植物の葉、茎および/または花を、例えば低級アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール等)、ヘキサン、アセトン、石油エーテルなどの適当な溶剤で抽出し、得られた抽出物から溶剤を除去することにより得られる。また、本発明で使用する上記植物の精油は、典型的には、植物の葉、茎および/または花を水蒸気蒸留法または熱水蒸留法に付すことにより得られる。本発明の植物の溶剤抽出液および精油は市販されており、そのいずれを使用しても差し支えない。
本発明の消毒剤は、イブキジャコウソウ属に属する植物の溶剤抽出液または精油を、少なくとも0.005体積(v/v)%以上、好ましくは0.01体積(v/v)%以上、より好ましくは0.02体積(v/v)%以上、いっそう好ましくは0.05体積(v/v)%以上の割合で含む。本発明の消毒剤に添加する当該溶剤抽出液または精油の量の上限について特に制約はないが、適切な殺菌効果が得られる範囲であれば十分であり、過剰に用いることは経済的な利点がない。例えば、5.0体積(v/v)%以下、好ましくは1.0体積(v/v)%以下、より好ましくは0.5体積(v/v)%以下の割合で、イブキジャコウソウ属に属する植物の溶剤抽出液または精油を本発明の消毒剤に添加すればよい。
水性基材
本発明の消毒剤は本質的に水性消毒剤であって、マグネシウム塩類を本発明の一方の有効成分であるマグネシウム・イオンとして十分に解離させ得るような水性基材を基にして製造される。当該水性基材は、水や緩衝液などで構成されていてよい。また、本発明の水性基材の全部または一部が上記の「にがり」であってもよい。しかしながら、本発明のもう一方の有効成分であるイブキジャコウソウ属に属する植物の溶剤抽出液または精油は、通常、水への溶解性が乏しいため、本発明の水性基材(ないし消毒剤)が、当該溶剤抽出液または精油を適切に溶解、乳化および/または分散できるように、水混和性溶媒を含むことは、本発明の好適な実施形態の1つである。そのような水混和性溶媒としては低級アルコール(例えば、エタノール)、ジエチレングリコールおよびグリセリンを挙げることができる。グリセリン、特に市販の約85%濃度のグリセリンを使用することが好ましい。
本発明の消毒剤は本質的に水性消毒剤であって、マグネシウム塩類を本発明の一方の有効成分であるマグネシウム・イオンとして十分に解離させ得るような水性基材を基にして製造される。当該水性基材は、水や緩衝液などで構成されていてよい。また、本発明の水性基材の全部または一部が上記の「にがり」であってもよい。しかしながら、本発明のもう一方の有効成分であるイブキジャコウソウ属に属する植物の溶剤抽出液または精油は、通常、水への溶解性が乏しいため、本発明の水性基材(ないし消毒剤)が、当該溶剤抽出液または精油を適切に溶解、乳化および/または分散できるように、水混和性溶媒を含むことは、本発明の好適な実施形態の1つである。そのような水混和性溶媒としては低級アルコール(例えば、エタノール)、ジエチレングリコールおよびグリセリンを挙げることができる。グリセリン、特に市販の約85%濃度のグリセリンを使用することが好ましい。
本発明の消毒剤に水混和性溶媒が含まれる場合、当該水混和性溶媒は、典型的には0.1~10体積(v/v)%、好ましくは1.0~10体積(v/v)%、より好ましくは2.0~6.0体積(v/v)%の割合で、本発明の消毒剤に含まれ得る。
乳化剤・乳化安定剤
本発明の消毒剤は、本発明の一方の有効成分であるイブキジャコウソウ属に属する植物の溶剤抽出液または精油が上記水性基材に安定して溶解、乳化および/または分散できるように、天然のまたは人工的に合成された乳化剤および/または乳化安定剤を含むことが好ましい。そのような乳化剤や乳化安定剤としては、当業者に公知のいずれのものも用いることができ、例えば、乳化剤としては、レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルおよびソルビタンエステルなどを挙げることができるが、これらに限定されない。また、乳化安定剤としては、ローカストビーンガム、グアーガム、キサンタンガム、カラギーナン、アルギン酸ナトリウムおよびカルボキシメチルセルロース等を挙げることができるが、これらに限定されない。
本発明の消毒剤は、本発明の一方の有効成分であるイブキジャコウソウ属に属する植物の溶剤抽出液または精油が上記水性基材に安定して溶解、乳化および/または分散できるように、天然のまたは人工的に合成された乳化剤および/または乳化安定剤を含むことが好ましい。そのような乳化剤や乳化安定剤としては、当業者に公知のいずれのものも用いることができ、例えば、乳化剤としては、レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルおよびソルビタンエステルなどを挙げることができるが、これらに限定されない。また、乳化安定剤としては、ローカストビーンガム、グアーガム、キサンタンガム、カラギーナン、アルギン酸ナトリウムおよびカルボキシメチルセルロース等を挙げることができるが、これらに限定されない。
本発明の消毒剤に乳化剤または乳化安定剤が含まれる場合、当該乳化剤または乳化安定剤は、典型的には0.001~1.0質量容積(w/v)%、好ましくは0.005~0.5質量容積(w/v)%、より好ましくは0.01~0.2質量容積(w/v)%の割合で本発明の消毒剤に含まれ得る。
その他の成分
本発明の消毒剤は、マグネシウム・イオンおよびイブキジャコウソウ属に属する植物の溶剤抽出液または精油の組み合わせを有効成分として含み、それにより相乗的な殺菌効果を示す。また、本発明の消毒剤は、製剤の均一性、分散性や安定性などの観点から、上記の水混和性溶媒や乳化剤・乳化安定剤を含むことが好ましい。さらに、本発明の消毒剤は、その用途などに応じて、pH安定剤や香料などの他の成分を任意に含んでもよい。加えて、本発明の消毒剤は、所望により、その効果をいっそう増強するために、天然のまたは人工的な追加の抗菌成分を含んでもよい。
本発明の消毒剤は、マグネシウム・イオンおよびイブキジャコウソウ属に属する植物の溶剤抽出液または精油の組み合わせを有効成分として含み、それにより相乗的な殺菌効果を示す。また、本発明の消毒剤は、製剤の均一性、分散性や安定性などの観点から、上記の水混和性溶媒や乳化剤・乳化安定剤を含むことが好ましい。さらに、本発明の消毒剤は、その用途などに応じて、pH安定剤や香料などの他の成分を任意に含んでもよい。加えて、本発明の消毒剤は、所望により、その効果をいっそう増強するために、天然のまたは人工的な追加の抗菌成分を含んでもよい。
しかしながら、環境への負荷をできるだけ抑制する観点から、本発明の消毒剤には、それが天然素材(例えば、「にがり」)を用いて配合される場合に当該天然素材に付随して持ち込まれるものを除いて、特許文献2に記載された抗菌作用を有する金属イオン、すなわちIII価の鉄イオン(Fe3+)、II価の鉄イオン(Fe2+)、亜鉛イオン(Zn2+)、銅イオン(Cu2+)、コバルトイオン(Co2+)、ニッケルイオン(Ni2+)および銀イオン(Ag+)ないしその塩が積極的に添加されないことが好ましい。したがって、本発明の消毒剤には、III価の鉄イオンが50ppm以上、II価の鉄イオンが110ppm以上、亜鉛イオンが7.5ppm以上、銅イオンが15ppm以上、コバルトイオンが180ppm以上、ニッケルイオンが85ppm以上、および銀イオンが1ppm以上の濃度で含まれないことが好ましい。
消毒剤
本発明の消毒剤は、上記の成分を混合し、それらを均一に溶解、乳化および/または分散させることで製造することができる。例えば、精製水に所定量の乳化剤(例えば、レシチン)および/または水混和性溶媒(例えば、グリセリン)を添加し、それを攪拌して均一な混合液を調整する。次いで、当該混合液に所定量のマグネシウム・イオン源(例えば、「にがり」や塩化マグネシウム六水和物)を添加し、それを攪拌して均一なマグネシウム溶液を得る。そして、当該マグネシウム溶液に所定量のイブキジャコウソウ属に属する植物の溶剤抽出液または精油を添加し、それを攪拌して均一な溶液、乳化液および/または分散液を得て、最後に乳化安定剤(例えば、ローカストビーンガム)を添加して攪拌することで、本発明の消毒剤を得ることができる。或いは、上記の成分の一部を他の成分とは別に混合しておき、両者を合してもよい。例えば、精製水に所定量のマグネシウム・イオン源(例えば、「にがり」や塩化マグネシウム六水和物)および、所望により乳化剤(例えば、レシチン)を添加し、それを攪拌して均一なマグネシウム溶液を得る。一方で、水混和性溶媒(例えば、グリセリン)とイブキジャコウソウ属に属する植物の溶剤抽出液または精油を混合して攪拌し、均一な混合液を得る。次に、当該マグネシウム溶液に対して、所定量のイブキジャコウソウ属に属する植物の溶剤抽出液または精油となる割合の前記の混合液を添加し、さらに乳化安定剤(例えば、ローカストビーンガム)を添加して攪拌することで、本発明の消毒剤を得ることができる。
本発明の消毒剤は、上記の成分を混合し、それらを均一に溶解、乳化および/または分散させることで製造することができる。例えば、精製水に所定量の乳化剤(例えば、レシチン)および/または水混和性溶媒(例えば、グリセリン)を添加し、それを攪拌して均一な混合液を調整する。次いで、当該混合液に所定量のマグネシウム・イオン源(例えば、「にがり」や塩化マグネシウム六水和物)を添加し、それを攪拌して均一なマグネシウム溶液を得る。そして、当該マグネシウム溶液に所定量のイブキジャコウソウ属に属する植物の溶剤抽出液または精油を添加し、それを攪拌して均一な溶液、乳化液および/または分散液を得て、最後に乳化安定剤(例えば、ローカストビーンガム)を添加して攪拌することで、本発明の消毒剤を得ることができる。或いは、上記の成分の一部を他の成分とは別に混合しておき、両者を合してもよい。例えば、精製水に所定量のマグネシウム・イオン源(例えば、「にがり」や塩化マグネシウム六水和物)および、所望により乳化剤(例えば、レシチン)を添加し、それを攪拌して均一なマグネシウム溶液を得る。一方で、水混和性溶媒(例えば、グリセリン)とイブキジャコウソウ属に属する植物の溶剤抽出液または精油を混合して攪拌し、均一な混合液を得る。次に、当該マグネシウム溶液に対して、所定量のイブキジャコウソウ属に属する植物の溶剤抽出液または精油となる割合の前記の混合液を添加し、さらに乳化安定剤(例えば、ローカストビーンガム)を添加して攪拌することで、本発明の消毒剤を得ることができる。
要するに、上記の添加の順序は、イブキジャコウソウ属に属する植物の溶剤抽出液または精油を本発明の消毒剤に均一に溶解、乳化および/または分散することができる限り、いずれのものであってもよい。また、添加の際には、各々の成分を一気に、または徐々に他の成分に対して加えてもよい。攪拌は、例えば公知の攪拌装置(例えば、パドル型やスクリュー型の攪拌翼を有するもの)やホモジナイザーを用いて実施することができる。攪拌の際には溶液を加熱することもできるが、イブキジャコウソウ属に属する植物の溶剤抽出液または精油が揮発性成分も含むことから、室温付近の温度で攪拌するのが好ましい。
本発明の消毒剤により処理することで、様々な対象(例えば、ヒト、コンパニオン・アニマルおよび家畜・家禽などの動物、各種の食品や医療製品を含む農工業製品、ならびに前記動物の飼育施設や前記製品の製造設備)に生息する可能性のあるまたは生息している微生物を防除することができる。本明細書にいう「処理」は、微生物を防除すべき対象を本発明の消毒剤と十分に、例えば少なくとも数秒間、好ましくは数十秒間以上、より好ましくは数分間以上、接触させることを意味する。具体的には、例えば微生物を防除すべき対象を本発明の消毒剤に浸漬すること、当該対象の表面を本発明の消毒剤で洗い流すこと、当該対象の表面に本発明の消毒剤を塗布、散布および/または噴霧すること意図する。また、処理には、本発明の消毒剤を含浸させた基材(例えば、脱脂綿や布)で微生物を防除すべき対象を拭き取ることも含まれる。そのような処理の後で、処理された対象の表面を清潔な水で洗い流してもよいし、洗い流さなくてもよい。
本発明の消毒剤は、例えば、家禽などの家畜動物の飼育施設における有害微生物の防除のために好適に使用することができる。そのような施設においては、家禽などの家畜動物の排せつ物から発生する臭気が周辺の環境に対して望ましくないことがあるが、本発明の消毒剤は優れた抗菌作用により当該排泄物中での微生物の繁殖を抑制することができるだけでなく、イブキジャコウソウ属に属する植物が有する芳香により望ましくない臭気をマスキングできるという追加の効果も期待できる。
以下の実施例により本発明をさらに説明する。本発明は、当該実施例に限定されない。
試薬類
以下の試薬類を用いて本発明の消毒剤の効果を確認した。
・精製水:日本薬局方精製水(高杉製薬株式会社製)
・塩化マグネシウム六水和物(試薬特級(min 98.0%)、富士フィルム和光純薬株式会社製)
・タイム精油(商品名:「タイム」、Essence-Organic Pty.Ltd.製(原産国フランス))
・タイム・チモール製油(商品名:「タイム・チモール」、生活の木製(原産国フランス))
・ペパーミント精油(商品名:「ペパーミント」、生活の木製(原産国フランス))
・ローズマリー・シネオール精油(商品名:「ローズマリー・シネオール」、生活の木製(原産国モロッコ))
・ラベンダー精油(商品名:「ラベンダー真正」、Essence-Organic Pty.Ltd.製(原産国フランス))
・グリセリン(平均濃度85.5%、商品名:グリセリンP「ケンエー」、健栄製薬株式会社製)
・ローカストビーンガム(商品名:「GRINDSTED LBG860(Locust Bean Gum)」、三晶株式会社製)
・レシチン(商品名:SLP-ホワイトおよびSLP―ホワイトリゾ、辻精油株式会社製)
・微生物検査用フィルム培地(大腸菌群数測定用、商品名:Medi・Ca(登録商標)CC、キッコーマンバイオケミファ株式会社および大日本印刷株式会社製)
以下の試薬類を用いて本発明の消毒剤の効果を確認した。
・精製水:日本薬局方精製水(高杉製薬株式会社製)
・塩化マグネシウム六水和物(試薬特級(min 98.0%)、富士フィルム和光純薬株式会社製)
・タイム精油(商品名:「タイム」、Essence-Organic Pty.Ltd.製(原産国フランス))
・タイム・チモール製油(商品名:「タイム・チモール」、生活の木製(原産国フランス))
・ペパーミント精油(商品名:「ペパーミント」、生活の木製(原産国フランス))
・ローズマリー・シネオール精油(商品名:「ローズマリー・シネオール」、生活の木製(原産国モロッコ))
・ラベンダー精油(商品名:「ラベンダー真正」、Essence-Organic Pty.Ltd.製(原産国フランス))
・グリセリン(平均濃度85.5%、商品名:グリセリンP「ケンエー」、健栄製薬株式会社製)
・ローカストビーンガム(商品名:「GRINDSTED LBG860(Locust Bean Gum)」、三晶株式会社製)
・レシチン(商品名:SLP-ホワイトおよびSLP―ホワイトリゾ、辻精油株式会社製)
・微生物検査用フィルム培地(大腸菌群数測定用、商品名:Medi・Ca(登録商標)CC、キッコーマンバイオケミファ株式会社および大日本印刷株式会社製)
防除試験
本発明の消毒剤の殺菌効果は、排水溝から採取した水に生息している細菌に対するものとして評価した。具体的には、排水溝から10mLの水を採取し、細菌原液とした。細菌原液中の菌数は採取した排水溝の水のロットにより異なったが、当該原液が100μLあたり約900個以下(コロニー形成数として)の細菌を含んでいた場合にはそのままで、またそれよりも多数の細菌を含んでいた場合には精製水で5倍または10倍に希釈した希釈液を接種のために用いた。当該排水溝の水または希釈液の100μLを900μLの精製水または試験液と混合して十分に攪拌した後に、その全量を上記微生物検査用フィルム培地に撒いてフィルム培地に一様に浸透させた。菌を接種したフィルム培地を36±1℃で24±1時間培養した後に、各フィルム培地上に出現したコロニーの数を計測した。その結果から、下記の式により防除率を求めた。
<式>
防除率(%)=(1-a/b)×100
a:試験液で処理したサンプルの菌数、b:精製水で処理したサンプルの菌数
本発明の消毒剤の殺菌効果は、排水溝から採取した水に生息している細菌に対するものとして評価した。具体的には、排水溝から10mLの水を採取し、細菌原液とした。細菌原液中の菌数は採取した排水溝の水のロットにより異なったが、当該原液が100μLあたり約900個以下(コロニー形成数として)の細菌を含んでいた場合にはそのままで、またそれよりも多数の細菌を含んでいた場合には精製水で5倍または10倍に希釈した希釈液を接種のために用いた。当該排水溝の水または希釈液の100μLを900μLの精製水または試験液と混合して十分に攪拌した後に、その全量を上記微生物検査用フィルム培地に撒いてフィルム培地に一様に浸透させた。菌を接種したフィルム培地を36±1℃で24±1時間培養した後に、各フィルム培地上に出現したコロニーの数を計測した。その結果から、下記の式により防除率を求めた。
<式>
防除率(%)=(1-a/b)×100
a:試験液で処理したサンプルの菌数、b:精製水で処理したサンプルの菌数
相乗効果の判定
コルビー(Colby)の式(Colby S.R.;Calculating synergistic and antagonistic responses of herbicide combinations;Weed 15,pp.20-22,1967)は、殺菌剤の相乗効果を判定するために広く用いられている(例えば、特許第4343303号、特表2000-509059号、特許第6799315号、特許第6013032号等)。すなわち、下記のコルビーの式により2種類の有効成分を混合して処理した際の期待値(E)を算出し、実際の防除率が当該期待値よりも大きければ、相乗効果があると判定される。
<式>
コルビーの期待値(E)=([A]+[B])-([A]×[B])/100
E:濃度[a]および[b]の有効成分AおよびBを混合した場合の予想防除率
[A]:有効成分Aを濃度[a]で使用した場合の防除率
[B]:有効成分Bを濃度[b]で使用した場合の防除率
コルビー(Colby)の式(Colby S.R.;Calculating synergistic and antagonistic responses of herbicide combinations;Weed 15,pp.20-22,1967)は、殺菌剤の相乗効果を判定するために広く用いられている(例えば、特許第4343303号、特表2000-509059号、特許第6799315号、特許第6013032号等)。すなわち、下記のコルビーの式により2種類の有効成分を混合して処理した際の期待値(E)を算出し、実際の防除率が当該期待値よりも大きければ、相乗効果があると判定される。
<式>
コルビーの期待値(E)=([A]+[B])-([A]×[B])/100
E:濃度[a]および[b]の有効成分AおよびBを混合した場合の予想防除率
[A]:有効成分Aを濃度[a]で使用した場合の防除率
[B]:有効成分Bを濃度[b]で使用した場合の防除率
実施例1:各種精油の効果試験
マグネシウム・イオンとの組み合わせにおける各種植物の精油の効果を、表1の試験液を調製して試験した。具体的には、精製水に所定量のグリセリンを添加・攪拌し、次いで、所定量のローカストビーンガム(LG)を添加し、よく攪拌してローカストビーンガムを十分に溶解した。その液に所定量の塩化マグネシウム六水和物を添加・溶解させて得たマグネシウム溶液に所定量の各種精油を添加し、液が透明になり水面に油滴がなくなるまで攪拌して、試験液を調製した。
マグネシウム・イオンとの組み合わせにおける各種植物の精油の効果を、表1の試験液を調製して試験した。具体的には、精製水に所定量のグリセリンを添加・攪拌し、次いで、所定量のローカストビーンガム(LG)を添加し、よく攪拌してローカストビーンガムを十分に溶解した。その液に所定量の塩化マグネシウム六水和物を添加・溶解させて得たマグネシウム溶液に所定量の各種精油を添加し、液が透明になり水面に油滴がなくなるまで攪拌して、試験液を調製した。
表1の結果から、コモンタイム精油では相乗効果ありと判定できたが、ペパーミント精油、ローズマリー・シネオール精油および真正ラベンダー精油のいずれも相乗効果なしと判定された。
実施例2:相乗効果の確認試験1
実施例1により、マグネシウム・イオンとコモンタイムの組み合わせによって相乗的な殺菌効果が得られることが見出されたため、さらにその相乗効果を確認した。具体的には、実施例1とは異なるロットの排水溝の水を接種に用い、マグネシウム・イオンの濃度を0.035(w/v)%としたものについて、実施例1と同様の試験を行った。表2に示した当該試験の結果からも、マグネシウム・イオンとコモンタイムの組み合わせによって相乗的な殺菌効果が得られることが確認された。
実施例1により、マグネシウム・イオンとコモンタイムの組み合わせによって相乗的な殺菌効果が得られることが見出されたため、さらにその相乗効果を確認した。具体的には、実施例1とは異なるロットの排水溝の水を接種に用い、マグネシウム・イオンの濃度を0.035(w/v)%としたものについて、実施例1と同様の試験を行った。表2に示した当該試験の結果からも、マグネシウム・イオンとコモンタイムの組み合わせによって相乗的な殺菌効果が得られることが確認された。
実施例3:相乗効果の確認試験2
マグネシウム・イオンとコモンタイムの組み合わせによって相乗的な殺菌効果が得られることをさらに確認するため、実施例1および2とは異なるロットの排水溝の水を接種に用い、コモンタイム精油の濃度を0.01(v/v)%としたものについて、実施例1と同様の試験を行った。表3に示した当該試験の結果からも、マグネシウム・イオンとコモンタイムの組み合わせによって相乗的な殺菌効果が得られることが確認された。
マグネシウム・イオンとコモンタイムの組み合わせによって相乗的な殺菌効果が得られることをさらに確認するため、実施例1および2とは異なるロットの排水溝の水を接種に用い、コモンタイム精油の濃度を0.01(v/v)%としたものについて、実施例1と同様の試験を行った。表3に示した当該試験の結果からも、マグネシウム・イオンとコモンタイムの組み合わせによって相乗的な殺菌効果が得られることが確認された。
実施例4:他のイブキジャコウソウ属植物由来の精油の効果試験
他のイブキジャコウソウ属植物由来の精油の効果を、タイム・チモール(Thymus vulgaris ct.Thymol)の精油を用いて試験した。具体的には、コモンタイム精油に代えてタイム・チモール精油を用いたこと以外は、実施例1と同様にして殺菌効果を試験した。表4に示した当該試験の結果から、他のイブキジャコウソウ属植物由来の精油も、コモンタイム精油と同等の殺菌効果を示すことが確認された。
他のイブキジャコウソウ属植物由来の精油の効果を、タイム・チモール(Thymus vulgaris ct.Thymol)の精油を用いて試験した。具体的には、コモンタイム精油に代えてタイム・チモール精油を用いたこと以外は、実施例1と同様にして殺菌効果を試験した。表4に示した当該試験の結果から、他のイブキジャコウソウ属植物由来の精油も、コモンタイム精油と同等の殺菌効果を示すことが確認された。
本発明は、例えば、消毒剤の製造のほか、家禽を含む家畜動物の飼育、および消毒剤により消毒することが必要とされる農工業製品の製造などにおいて利用可能である。
Claims (10)
- 少なくとも0.02質量容積%のマグネシウム・イオンまたは少なくとも0.02質量容積%のマグネシウム・イオンに相当する量の水溶性マグネシウム塩、およびイブキジャコウソウ(Thymus)属に属する植物の溶剤抽出液または精油を水性基材中に含むことを特徴とする、消毒剤。
- 前記マグネシウム・イオンが、にがりに由来するマグネシウム・イオンである、請求項1に記載の消毒剤。
- 前記水溶性マグネシウム塩が、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウムおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の消毒剤。
- 前記イブキジャコウソウ属に属する植物が、タチジャコウソウ(Thymus vulgaris)種に属する植物である、請求項1~3のいずれか一項に記載の消毒剤。
- 前記タチジャコウソウ種に属する植物が、コモンタイムまたはタイム・チモール(Thymus vulgaris ct.Thymol)である、請求項4に記載の消毒剤。
- 前記水性基材が、0.1~10体積%の水混和性溶媒を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の消毒剤。
- 前記水混和性溶媒がグリセリンである、請求項6に記載の消毒剤。
- さらに乳化剤または乳化安定剤を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の消毒剤。
- 前記乳化剤または乳化安定剤が、レシチンまたはローカストビーンガムから選択される、請求項8に記載の消毒剤。
- 請求項1~9のいずれか一項に記載の消毒剤で処理することを特徴とする、家畜・家禽および/またはその飼育施設、食品および/またはその製造設備、医療製品および/またはその製造設備、あるいは容器および/またはその製造設備の有害微生物を防除する方法。
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