JP2023067821A - 油脂組成物 - Google Patents

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Aya Sasaki
勝義 齋藤
Katsuyoshi Saito
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Abstract

【課題】未精製オリーブ油の特徴的な香りは有しつつ、苦味及び辛味が低減された油脂組成物の提供。【解決手段】次の成分(A)及び(B):(A)構成脂肪酸の30~70質量%がα-リノレン酸である油脂(B)未精製オリーブ油を含有し、ジアシルグリセロールの含有量が14質量%以上であり、3-ヘキセン-1-オールの含有量が0.4ppm以上である油脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、油脂組成物に関する。
オリーブ果実を圧搾して得られる未精製のオリーブ油は、オリーブ果実のフルーティな香りや草のような青々しい香りが特徴である。一方で、精製度の低いオリーブ油には特有の苦味と辛味があり、苦手とする消費者も多い。この苦味と辛味は、精製オリーブ油をブレンドした混合油(ピュアオリーブオイル)では弱まるが、脱酸、脱色、脱臭といった油の精製工程を経ることで、前述した未精製オリーブ油の特徴的な香りも同時に弱まってしまうという問題がある。
α-リノレン酸(C18:3、ALA)は、ω3系高度不飽和脂肪酸の一つであり、抗動脈硬化作用、抗血圧作用、抗アレルギー作用等があることが報告されている。また、ジアシルグリセロールを高濃度に含む油脂は、食後の血中トリグリセリド(中性脂肪)の増加を抑制し、体内への蓄積性が少ない等の生理作用を有することが報告されている。
最近では、生理効果を有効に得るべく、構成脂肪酸としてα-リノレン酸を多く含むジアシルグリセロール含有油脂が種々提案されている(例えば、特許文献1)。しかし、オリーブ油の風味に関する技術については言及されていない。
特開2002-138296号公報
本発明は、未精製オリーブ油の特徴的な好ましい香りは有しつつ、苦味及び辛味が低減された油脂組成物を提供することに関する。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を行ったところ、ジアシルグリセロールと3-ヘキセン-1-オールを高含有させると共に、α-リノレン酸を構成脂肪酸として含む油脂を未精製オリーブ油に組み合わせて含有させれば、未精製オリーブ油の特徴的な青々しい香りが維持されつつも、その苦味と辛味が低減された油脂組成物が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、次の成分(A)及び(B):
(A)構成脂肪酸の30~70質量%がα-リノレン酸である油脂
(B)未精製オリーブ油
を含有し、ジアシルグリセロールの含有量が14質量%以上であり、3-ヘキセン-1-オールの含有量が0.4ppm以上である油脂組成物を提供するものである。
本発明によれば、未精製オリーブ油の特徴的な青々しい香りを有しつつ、苦味と辛味が低減された油脂組成物を提供することができる。
本発明の油脂組成物は、(A)構成脂肪酸の30~70質量%がα-リノレン酸である油脂を含有する。本明細書において「(A)構成脂肪酸の30~70質量%がα-リノレン酸である油脂」を「成分(A)油脂」ともいう。
本発明において、成分(A)油脂の油脂を構成する脂肪酸中のα-リノレン酸の含有量は30~70質量%(以下、単に「%」とする)であるが、オリーブ油らしい青々しい風味を保持する点、生理効果の点から、30%以上であって、好ましくは40%以上、更に好ましくは45%以上、更に好ましくは50%以上、更に好ましくは52%以上であり、また、酸化安定性の点から、70%以下であって、好ましくは65%以下、より好ましくは60%以下である。
成分(A)油脂を構成する脂肪酸中のα-リノレン酸の含有量は、30~70%であって、より好ましくは40~65%、更に好ましくは45~65%、更に好ましくは50~60%、更に好ましくは52~60%である。
なお、本明細書における脂肪酸量は遊離脂肪酸換算量である。
本発明において、成分(A)油脂を構成するα-リノレン酸以外の構成脂肪酸としては、特に限定されず、飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸のいずれであってもよい。
油脂の風味・工業的生産性の点からは、油脂を構成する脂肪酸中の不飽和脂肪酸の含有量は、好ましくは60~100%、より好ましくは70~100%、更に好ましくは80~99.5%である。不飽和脂肪酸の炭素数は、生理効果の点から、好ましくは14~24、より好ましくは16~22である。
なかでも、成分(A)油脂を構成する脂肪酸中のリノール酸(C18:2)の含有量は、工業的生産性の点から、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上であり、また、好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下、更に好ましくは20%以下である。
成分(A)油脂を構成する脂肪酸中のリノール酸の含有量は、好ましくは5~40%、より好ましくは5~30%、更に好ましくは10~20%である。
また、成分(A)油脂を構成する脂肪酸中のオレイン酸(C18:1)の含有量は、工業的生産性の点から、好ましくは10%以上であり、また、好ましくは65%以下、より好ましくは50%以下、更に好ましくは30%以下である。
成分(A)油脂を構成する脂肪酸中のオレイン酸の含有量は、10~65%、より好ましくは10~50%、更に好ましくは10~30%である。
成分(A)油脂を構成する脂肪酸中の飽和脂肪酸の合計含有量は、外観、生理効果、油脂の工業的生産性の点から、好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下、更に好ましくは10%以下、更に好ましくは7%以下であり、また、0.5%以上であるのが好ましい。
飽和脂肪酸の炭素数は、好ましくは14~24、より好ましくは16~22である。
油脂組成物中の成分(A)油脂の含有量は、オリーブ油の青々しい香りを保持するという点から、好ましくは15%以上、より好ましくは20%以上、更に好ましくは25%以上であり、また、オリーブ油らしい香りを損なわないという点から、好ましくは60%以下、より好ましくは55%以下である。
油脂組成物中の成分(A)油脂の含有量は、好ましくは15~60%、より好ましくは20~60%、更に好ましくは25~55%である。
本発明の油脂組成物は、(B)未精製オリーブ油を含有する。本明細書において「(B)未精製オリーブ油」を「成分(B)油脂」ともいう。
本明細書において「未精製オリーブ油」は、油脂の精製工程を経ていないオリーブ油である。未精製オリーブ油は、一般的には、エキストラバージンオリーブオイルと称され、遊離酸度が0.8%以下であり、オリーブの実だけを原料にし、加熱や化学的な処理を行っていないものと定義される(国際オリーブ協会(IOC))。
オリーブ(Olea europaea L.)の品種には、マンザニロ、セビラノ、ミッション、ネバジロ・ブランコ、アスコラノ等があるが、本発明においてはいずれの品種も用いることができる。
成分(B)油脂は、オリーブ油の青々しい香りをしっかりと感じられるという点から、3-ヘキセン-1-オール(分子式C612O)の含有量が0.5ppm(質量ppm、以下同じ)以上であることが好ましい。成分(B)油脂中の3-ヘキセン-1-オールの含有量は、同様の観点から、好ましくは0.7ppm以上、より好ましくは0.9ppm以上である。成分(B)油脂中の3-ヘキセン-1-オールの含有量の上限値は特に限定されないが、好ましくは2.0ppm以下である。
また、成分(B)油脂は、風味や酸化安定性の点から、油脂を構成する脂肪酸中のオレイン酸の含有量が70%以上であることが好ましい。成分(B)油脂を構成する脂肪酸中のオレイン酸の含有量は、同様の観点から、好ましくは70~85%であることが好ましい。
成分(B)油脂を構成するオレイン酸以外の構成脂肪酸としては、特に限定されず、飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸のいずれであってもよい。
油脂組成物中の成分(B)油脂の含有量は、オリーブ油の風味が感じられる点から、好ましくは40%以上、より好ましくは45%以上であり、また、苦味・辛味を和らげるという点から、好ましくは85%以下、より好ましくは82%以下、更に好ましくは80%以下、より更に好ましくは75%以下である。
油脂組成物中の成分(B)油脂の含有量は、好ましくは40~85%、より好ましくは40~82%、更に好ましくは40~80%、より更に好ましくは45~75%である。
本発明において、油脂組成物中の成分(B)油脂の含有量に対する成分(A)油脂の含有量の質量比[(A)/(B)]は、苦味・辛味が弱くオリーブ油らしい青々しい風味が感じられるという点から、好ましくは0.2以上であり、より好ましくは0.3以上であり、また、オリーブ油らしい青々しい風味がしっかり感じられるという点から、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.3以下である。
本発明において、油脂組成物中の油脂の含有量は、使用性の点から、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、更に好ましくは98%以上であり、また、好ましくは100%、より好ましくは99.9%以下である。
本発明において、油脂は、モノアシルグリセロール、ジアシルグリセロール及びトリアシルグリセロールのいずれか1種以上を含むものである。
本発明では、油脂組成物中のジアシルグリセロールの濃度が高濃度になると、精製度の低いオリーブ油特有の苦味と辛味を低減する効果が増す。そのため、油脂組成物中のジアシルグリセロールの含有量は14%以上である。
油脂組成物中のジアシルグリセロールの含有量は、苦味と辛味を低減する効果の点、生理効果の点から、14%以上であって、好ましくは15%以上、より好ましくは16%以上、更に好ましくは20%以上である。また、油脂組成物中のジアシルグリセロールの含有量の上限値は、生理効果、および工業的生産性の点から、好ましくは60%以下、より好ましくは55%以下、更に好ましくは50%以下である。
油脂組成物中のジアシルグリセロールの含有量は、好ましくは14~60%、より好ましくは15~60%、更に好ましくは16~55%、より更に好ましくは20~55%、より更に好ましくは20~50%である。
また、油脂組成物中のトリアシルグリセロールの含有量は、油脂の工業的生産性の点から、好ましくは35%以上、より好ましくは40%以上、更に好ましくは45%以上であり、また、好ましくは85%以下、より好ましくは82%以下、更に好ましくは80%以下である。
油脂組成物中のトリアシルグリセロールの含有量は、好ましくは35~85%、より好ましくは40~82%、更に好ましくは40~80%、より更に好ましくは45~80%である。
油脂組成物中のモノアシルグリセロールの含有量は、風味、油脂の工業的生産性、及び酸化安定性の点から、好ましくは5%以下であり、より好ましくは3%以下、更に好ましくは2%以下、更に好ましくは1.5%以下であり、また、好ましくは0%超である。油脂組成物中のモノアシルグリセロールの含有量は0%でもよい。
油脂組成物中の遊離脂肪酸又はその塩の含有量は、風味、酸化安定性の点から、好ましくは3%以下、より好ましくは2%以下、更に好ましくは1%以下であり、また、好ましくは0%超である。油脂組成物中の遊離脂肪酸又はその塩の含有量は0%でもよい。
トリアシルグリセロール、ジアシルグリセロール及びモノアシルグリセロールの脂肪酸組成は同じであっても異なっていてもよい。
本発明の油脂組成物は、オリーブ油らしい青々しい風味が感じられるという点から、3-ヘキセン-1-オールの含有量が0.4ppm以上である。油脂組成物中の3-ヘキセン-1-オールの含有量は、同様の観点から、好ましくは0.5ppm以上である。油脂組成物中の3-ヘキセン-1-オールの含有量の上限値は特に限定されないが、オリーブ油らしい風味のバランスの点から、好ましくは1.5ppm以下、より好ましくは1.2ppm以下である。
また、本発明の油脂組成物は、オリーブ油らしい青々しい風味をはっきりと感じられるという点から、α-リノレン酸の含有量が、好ましくは10~45%、より好ましくは13~40%である。
本発明の油脂組成物は、オリーブ油らしい青々しい風味を有するという点から、油脂組成物中の3-ヘキセン-1-オールの含有量(ppm)とα-リノレン酸の含有量(質量%)を乗じた値[3-ヘキセン-1-オール(ppm)×α-リノレン酸(質量%)]が5以上であることが好ましい。油脂組成物中の3-ヘキセン-1-オールの含有量(ppm)とα-リノレン酸の含有量(質量%)を乗じた値[3-ヘキセン-1-オール(ppm)×α-リノレン酸(質量%)]は、同様の観点から、好ましくは7以上である。当該値の上限値は特に限定されないが、生理効果の点から、好ましくは35以下、より好ましくは25以下、更に好ましくは20以下である。
本発明の油脂組成物は、酸化安定性の点から、更に抗酸化剤を含有することが好ましい。
油脂組成物中の抗酸化剤の含有量は、風味、酸化安定性、着色抑制等の点から、好ましくは0.005%以上、1%以下、より好ましくは0.04%以上、0.6%以下、更に好ましくは0.08%以上、0.3%以下である。
抗酸化剤としては、食品に使用するものであれば特に制限はないが、天然抗酸化剤、レシチン、トコフェロール、アスコルビルパルミテート、アスコルビルステアレート、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)及びブチルヒドロキシアニソール(BHA)等から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
本発明の油脂組成物は、例えば、ジアシルグリセロールと3-ヘキセン-1-オールが前述した含有量となるように、成分(A)油脂、成分(B)油脂及び更に必要に応じてその他の成分を適宜配合して得ることができる。
ジアシルグリセロールは、油脂由来の脂肪酸とグリセリンとのエステル化反応、油脂とグリセリンとのエステル交換反応(グリセロリシス)等により得ることができる。
エステル化反応とグリセロリシス反応は、アルカリ金属又はその合金、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物や水酸化物、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のアルコキシド等の化学触媒を用いる化学法と、リパーゼ等の酵素を用いる酵素法とに大別される。
なかでも、脂肪酸組成を制御する点から、後述する油脂由来の分別脂肪酸とグリセリンとのエステル化反応が好ましい。
本発明において、油脂(食用油脂)は、植物性油脂、動物性油脂のいずれでもよい。例えば、大豆油、菜種油、サフラワー油、米油、コーン油、ヒマワリ油、綿実油、ゴマ油、落花生油、ハトムギ油、小麦胚芽油、シソ油、アマニ油、エゴマ油、チアシード油、サチャインチ油、クルミ油、キウイ種子油、サルビア種子油、ブドウ種子油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、カボチャ種子油、椿油、茶実油、ボラージ油、パーム油、パームオレイン、パームステアリン、やし油、パーム核油、カカオ脂、サル脂、シア脂、藻油等の植物性油脂;魚油、ラード、牛脂、バター脂等の動物性油脂;あるいはそれらのエステル交換油、水素添加油、分別油等の油脂類を挙げることができる。
なかでも、使用性の点から、植物性油脂を用いるのが好ましく、更に低温耐性に優れた液状油脂を用いるのが好ましく、更にα-リノレン酸を豊富に含むシソ油、アマニ油、エゴマ油、チアシード油及びサチャインチ油から選ばれる少なくとも1種の油脂を用いるのが好ましい。なお、液状油脂とは、基準油脂分析試験法2.3.8-27による冷却試験を実施した場合、20℃で液状である油脂をいう。
油脂由来の脂肪酸は、油脂を加水分解して得ることができる。油脂を加水分解する方法としては、高温高圧分解法と酵素分解法が挙げられる。高温高圧分解法とは、油脂に水を加えて、高温、高圧の条件で反応することにより、脂肪酸とグリセリンを得る方法である。また、酵素分解法とは、油脂に水を加えて、油脂加水分解酵素を触媒として用い、低温の条件で反応することにより、脂肪酸とグリセリンを得る方法である。
加水分解反応は、常法に従って行うことができる。
油脂の加水分解後は、加水分解反応物を分別して固体を除去することが好ましい。分別方法としては、溶剤分別法、自然分別法(ドライ分別法)、湿潤剤分別法が挙げられる。
析出した固体の除去手段としては、静置分離、濾過、遠心分離、脂肪酸に湿潤剤水溶液を混合し分離する方法等が挙げられる。
油脂由来の脂肪酸とグリセリンとのエステル化反応は、酵素法により温和な条件で行うのが風味等の点で優れており好ましい。
酵素の使用量は、酵素の活性を考慮して適宜決定することができるが、反応速度を向上する点から、固定化酵素を使用する場合は、エステル化反応原料の合計質量に対して、好ましくは1~30%、より好ましくは2~20%である。
エステル化反応の反応温度は、反応速度を向上する点、酵素の失活を抑制する点から、好ましくは0~100℃、より好ましくは20~80℃、更に好ましくは30~60℃である。また、反応時間は、工業的な生産性の点から、好ましくは15時間以内、より好ましくは1~12時間、更に好ましくは2~10時間である。
脂肪酸とグリセリンとの接触手段としては、浸漬、攪拌、固定化リパーゼを充填したカラムにポンプ等で通液する方法等が挙げられる。
エステル化反応の後は、通常油脂に対して用いられる精製工程を行ってもよい。具体的には、蒸留処理、酸処理、水洗、脱色、脱臭等の工程を挙げることができる。
このようにして得られた反応油中のジアシルグリセロールの含有量は、使用性の点から、好ましくは70%以上、より好ましくは78%以上、更に好ましくは80%以上であり、また、工業的生産性の点から、好ましくは99.5%以下、より好ましくは98%以下、更に好ましくは95%以下、更に好ましくは90%以下である。
反応油中のジアシルグリセロールの含有量は、好ましくは70~99.5%、より好ましくは78~98%、更に好ましくは80~95%、更に好ましくは80~90%である。
本発明の油脂組成物は、一般の食用油脂と同様に使用でき、油脂を用いた各種飲食品や飼料に応用することができる。飲食品としては、通常の飲食品の他、例えば、α-リノレン酸やジアシルグリセロールの生理効果を標榜した特定保健用食品、機能性表示食品等が挙げられる。
飲食品の形態としては、固形、半固形又は液状であり得、例えば、飲料、油中水型油脂含有食品、水中油型油脂含有食品、ベーカリー食品、菓子、冷凍食品、レトルト食品、更には、錠剤、カプセル剤、トローチ剤等の栄養補給用組成物が挙げられる。
飼料としては、牛、豚等に用いる家畜用飼料、ウサギ、マウス等に用いる小動物用飼料、ウナギ、エビ等に用いる魚介類用飼料、犬、猫等に用いるペットフード等が挙げられる。
〔分析方法〕
(i)油脂のグリセリド組成
ガラス製サンプル瓶に、油脂サンプル約10mgとトリメチルシリル化剤(「シリル化剤TH」、関東化学製)0.5mLを加え、密栓し、70℃で15分間加熱した。これに水1.0mLとヘキサン1.5mLを加え、振とうした。静置後、上層をガスクロマトグラフィー(GLC)に供して分析した。
<GLC分析条件>
(条件)
装置:アジレント7890B(アジレントテクノロジー社製)
カラム:DB-1ht 10m×0.25mm×0.2μm (Agilent J&W社製)
キャリアガス:1.0mL He/min
インジェクター:Split(1:50)、T=340℃
ディテクター:FID、T=350℃
オーブン温度:80℃から10℃/分で340℃まで昇温、15分間保持
(ii)油脂の構成脂肪酸組成
日本油化学会編「基準油脂分析試験法」中の「脂肪酸メチルエステルの調製法(2.4.1.-1996)」に従って脂肪酸メチルエステルを調製し、得られた油脂サンプルを、American Oil Chemists. Society Official Method Ce 1f-96(GLC法)に準拠して測定した。
<GLC分析条件>
装置:アジレント7890B(アジレントテクノロジー社製)
カラム:CP-SIL88 50m×0.25mm×0.2μm(Agilent J&W社製)
キャリアガス:1.0mL He/min
インジェクター:Split(1:50)、T=300℃
ディテクター:FID、T=300℃
オーブン温度:150℃5min保持→1℃/min昇温→160℃5min保持→2℃/min昇温→200℃10min保持→10℃/min昇温→220℃5min保持
(iii)3-ヘキセン-1-オールの分析
3-ヘキセン-1-オールの分析は、ヘッドスペース固相マイクロ抽出/ガスクロマトグラフ質量分析(HS SPME/GC/MS)法により行った。SPMEファイバーは50/30μm、DVB/CAR/PDMSファイバー(SUPELCO社製)を、オートサンプラーはMPS-2(Gerstel社製)を用いた。
ヘッドスペース用バイアル(10mL容; GL Sciences社製)に油脂サンプルを1g採取し、40℃で20分間加温後、SPMEファイバーによりヘッドスペース相を30分間サンプリングした。測定はGC/MSにより行った。
<GC/MS分析条件>
装置:アジレント7890A/5975(アジレントテクノジー社製)
カラム:VF-WAX 60m×0.25mm×1.0μm(Agilent J&W社製)
キャリアガス:1.0mL He/min
インジェクター:Splitless、T=240℃
オーブン温度:35℃4min保持→3℃/min昇温→185℃→10℃/min昇温→240℃10min保持
イオン化方法:EI(70eV)
イオン源温度:230℃
測定モード:前イオンスキャン範囲:m/z30~500
〔原料油脂〕
次の油脂1~6を用意した。グリセリド組成及び脂肪酸組成を表1に示す。
Figure 2023067821000001
油脂1:半精製アマニ油(ADM社製)を酵素により加水分解して得た脂肪酸をウィンタリングにより飽和脂肪酸含量を低減させた。次いで、市販の固定化1,3位選択リパーゼを触媒として、分別脂肪酸とグリセリンとを減圧下でエステル化反応を行った。固定化酵素を濾別した後、反応終了品を分子蒸留にかけて精製し、トコフェロール製剤(理研ビタミン社製)0.2質量%を添加して油脂1を得た。
油脂2:日清アマニ油(日清オイリオ社製)
油脂3:エキストラバージンオリーブオイル(カネダ社製)
油脂4:BOSCOオリーブオイル(エキストラバージンオリーブオイルと精製オリーブオイルの混合油、日清オイリオ社製)
油脂5:オリーブオイル(エキストラバージンオリーブオイルと精製オリーブオイルの混合油、J-オイルミルズ社製)
油脂6:日清キャノーラ油(日清オイリオ社製)
〔スタンダードサンプルの調製〕
20ml容のガラスバイアルに合計10gとなるように油脂3と油脂4を表2に示す割合で混合したスタンダードサンプルを作製した。「6」(非常に強い)~「0」(非常に弱い)の7段階で、スタンダードサンプルの風味評価を行い、香り(グリーン)・苦味(ビター)・辛味(パンジェント)の評点を決定した。専門パネル4名で官能評価を行い、協議により評点を決定した。
結果を表2に示す。
Figure 2023067821000002
〔原料油脂の風味評価〕
20ml容のガラスバイアルに合計10gとなるようにそれぞれの原料油脂を入れ、評価サンプルを作製した。
評価サンプルと各スタンダードサンプルとを比較し、最も風味の近いスタンダードサンプルをその評価サンプルの評点とした。各評価サンプルについて、香り(グリーン)・苦味(ビター)・辛味(パンジェント)の3項目をそれぞれスタンダードサンプルとの比較により評価した。評価は専門パネル4名で行い、その平均点を評価サンプルの評点とした。
結果を表3に示す。
Figure 2023067821000003
実施例1~5及び比較例1~7
〔油脂組成物の調製〕
表4に示した割合で原料油脂を混合し、油脂組成物をそれぞれ調製した。
〔油脂組成物の風味評価〕
前述した原料油脂の風味評価と同様に油脂組成物の風味評価を行った。すなわち、20ml容のガラスバイアルに合計10gとなるようにそれぞれの油脂組成物を入れ、評価サンプルを作製した。
評価サンプルと各スタンダードサンプルとを比較し、最も風味の近いスタンダードサンプルをその評価サンプルの評点とした。各評価サンプルについて、香り(グリーン)・苦味(ビター)・辛味(パンジェント)の3項目をそれぞれスタンダードサンプルとの比較により評価した。評価は専門パネル4名で行い、その平均点を評価サンプルの評点とした。
結果を表4に示す。
Figure 2023067821000004
表4に示すとおり、油脂1と油脂3を配合した実施例の油脂組成物は、未精製オリーブ油の特徴的な青々しい香りが維持されつつも、その苦味と辛味が低減されることが確認された。
これに対して、ジアシルグリセロール量が少ない比較例1、4及び6の油脂組成物、油脂1、2ではなく油脂6を配合した比較例2、3及び5、3-ヘキセン-1-オール量が少ない比較例7は、未精製オリーブ油の特徴的な青々しい香りが失われるか、維持できても苦味と辛味も残ることが確認された。

Claims (5)

  1. 次の成分(A)及び(B):
    (A)構成脂肪酸の30~70質量%がα-リノレン酸である油脂
    (B)未精製オリーブ油
    を含有し、ジアシルグリセロールの含有量が14質量%以上であり、3-ヘキセン-1-オールの含有量が0.4ppm以上である油脂組成物。
  2. 油脂組成物中の3-ヘキセン-1-オールの含有量(ppm)とα-リノレン酸の含有量(質量%)を乗じた値が5以上である請求項1記載の油脂組成物。
  3. 成分(A)の含有量が15~60質量%である請求項1又は2記載の油脂組成物。
  4. 成分(B)の含有量が40~85質量%である請求項1~3のいずれか1項記載の油脂組成物。
  5. 成分(B)が、油脂を構成する脂肪酸中のオレイン酸の含有量が70質量%以上である未精製オリーブ油である請求項1~4のいずれか1項記載の油脂組成物。
JP2022171792A 2021-10-29 2022-10-26 油脂組成物 Pending JP2023067821A (ja)

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