JP2024051306A - 油脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】エイコサペンタエン酸及びドコサヘキサエン酸を含み、機能性に優れると共に、様々な油脂含有食品等に利用できる油脂組成物の提供。【解決手段】次の(A)~(D):(A)油脂中のジアシルグリセロールの含有量が30質量%以上、(B)ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸中のエイコサペンタエン酸の含有量が15~85質量%、(C)ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸中のドコサヘキサエン酸の含有量が15~85質量%、及び(D)ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸中のミリスチン酸、パルミチン酸及びステアリン酸の合計含有量に対する油脂中のモノアシルグリセロールの含有量の質量比が2.5以下を満たす油脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、油脂組成物に関する。
エイコサペンタエン酸(C20:5、EPA)、ドコサヘキサエン酸(C22:6、DHA)に代表されるn-3系脂肪酸は、生体内で合成できず、欠乏すれば皮膚炎等が発症することが知られている。また、n-3系脂肪酸の生理作用として、生活習慣病や認知機能低下の予防効果等が報告されている。特許文献1には、脂肪酸油混合物の重量に対して少なくとも50重量%のエイコサペンタエン酸及びドコサヘキサエン酸から選ばれる少なくとも1種の脂肪酸を含む脂肪酸油混合物を含む組成物であって、脂肪酸油混合物の脂肪酸の少なくとも15重量%がモノアシルグリセリドの形態にある悪液質の治療及び/又は予防処置のための組成物が報告されている。
現在では、厚生労働省よりエイコサペンタエン酸及びドコサヘキサエン酸の一日あたりの摂取目安量が定められ、これを含む油脂の利用が望まれている。
他方、ジアシルグリセロールを高濃度に含む油脂は、食後の血中トリグリセリド(中性脂肪)の増加を抑制し、体内への蓄積性が少ない等の生理作用を有することが報告されている。
そこで、n-3系脂肪酸とジアシルグリセロールの生理活性機能を有効に発現させるべく、例えば、特許文献2では、トリグリセリド0.1~59.8重量%、ジグリセリド40~99.7重量%、モノグリセリド0.1~10重量%及び遊離脂肪酸を5重量%以下含有し、かつジグリセリドを構成するアシル基中、ω3系不飽和アシル基含有量が15~89.5重量%であり、モノエンアシル基含有量が10~84.5重量%である油脂組成物が提案されている。
特表2020-503388号公報 特開2001-40386号公報
エイコサペンタエン酸及びドコサヘキサエン酸を含む油脂は、熱や光、空気で酸化し易い。そのため、当該油脂を食物として摂る場合、加熱調理に用いるよりもドレッシング等に利用することが望ましいといわれている。しかしながら、従来の油脂組成物は水相と分離し易く、汎用性が高いものではなかった。
したがって、本発明は、エイコサペンタエン酸及びドコサヘキサエン酸を含み、機能性に優れると共に、様々な油脂含有食品等に利用できる油脂組成物を提供することに関する。
本発明者は、油脂を構成する脂肪酸の種類とグリセリド組成に着目して鋭意研究を行ったところ、ジアシルグリセロール、エイコサペンタエン酸及びドコサヘキサエン酸を所定量ずつ含有し、さらに所定の飽和脂肪酸とモノアシルグリセロールの比率を一定範囲とすれば、室温で高い乳化安定性を有する油脂組成物が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、次の(A)~(D):
(A)油脂中のジアシルグリセロールの含有量が30質量%以上、
(B)ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸中のエイコサペンタエン酸の含有量が15~85質量%、
(C)ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸中のドコサヘキサエン酸の含有量が15~85質量%、及び
(D)ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸中のミリスチン酸、パルミチン酸及びステアリン酸の合計含有量に対する油脂中のモノアシルグリセロールの含有量の質量比が2.5以下
を満たす油脂組成物を提供するものである。
本発明によれば、エイコサペンタエン酸及びドコサヘキサエン酸を含み、機能性に優れると共に、室温で高い乳化安定性を有する油脂組成物を提供することができる。本発明の油脂組成物は、様々な油脂含有食品へ利用することができるため、エイコサペンタエン酸及びドコサヘキサエン酸の摂取を容易にすることができる。
本発明の油脂組成物は、次の(A)~(D)を満たす。
(A)油脂中のジアシルグリセロールの含有量が30質量%以上
(B)ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸中のエイコサペンタエン酸の含有量が15~85質量%
(C)ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸中のドコサヘキサエン酸の含有量が15~85質量%
(D)ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸中のミリスチン酸、パルミチン酸及びステアリン酸の合計含有量に対する油脂中のモノアシルグリセロールの含有量の質量比が2.5以下
本発明において、油脂組成物中の油脂の含有量は、使用性の点から、好ましくは90質量%(以下、単に「%」とする)以上、より好ましくは95%以上であり、また、好ましくは100%以下、より好ましくは99.9%以下である。
本発明において、油脂は、モノアシルグリセロール、ジアシルグリセロール及びトリアシルグリセロールのいずれか1種以上を含むものである。油脂の種類に特に制限はなく、食用油脂として使用できるものであれば何れでもよい。
本発明において、油脂中のジアシルグリセロールの含有量は30%以上である。油脂中のジアシルグリセロールの含有量は、効果を有効に発現する点、生理効果の点から、30%以上であって、好ましくは38%以上、より好ましくは40%以上、更に好ましくは45%以上、更に好ましくは50%以上、更に好ましくは55%以上、更に好ましくは60%以上、更に好ましくは65%以上、更に好ましく70%以上、更に好ましくは75%以上であり、また、油脂の工業的生産性の点から、100%以下であって、好ましくは99.5%以下、より好ましくは98%以下、更に好ましくは95%以下、更に好ましくは90%以下である。
本発明の油脂は、トリアシルグリセロールを含有してもよい。油脂中のトリアシルグリセロールの含有量は、油脂の工業的生産性の点から、好ましくは1%以上、より好ましくは2%以上、更に好ましくは5%以上、更に好ましくは10%以上であり、また、好ましくは70%以下、より好ましくは65%以下、更に好ましくは50%以下、更に好ましくは25%以下、更に好ましくは22%以下である。
油脂中のモノアシルグリセロールの含有量は、風味、油脂の工業的生産性、及び酸化安定性の点から、好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下、更に好ましくは15%以下、更に好ましくは5%以下、更に好ましくは3%以下、更に好ましくは2%以下、更に好ましくは1.5%以下であり、また、好ましくは0%超、より好ましくは0.1%以上である。油脂中のモノアシルグリセロールの含有量は、0%でもよい。
油脂中の遊離脂肪酸又はその塩の含有量は、風味、酸化安定性の点から、好ましくは3%以下、より好ましくは2%以下、更に好ましくは1%以下であり、また、好ましくは0%超である。油脂中の遊離脂肪酸又はその塩の含有量は、0%でもよい。
本発明において、ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸中のエイコサペンタエン酸の含有量は15~85%である。ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸中のエイコサペンタエン酸の含有量は、乳化安定性を高める点、生理効果の点から、15%以上であって、好ましくは18%以上、より好ましくは19%以上であり、また、酸化安定性の点から、85%以下であって、好ましくは80%以下、更に好ましくは70%以下、更に好ましくは60%以下、更に好ましくは50%以下、更に好ましくは40%以下、更に好ましくは30%以下である。
なお、本明細書における脂肪酸量は遊離脂肪酸換算量である。
本発明において、ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸中のドコサヘキサエン酸の含有量は15~85%である。ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸中のドコサヘキサエン酸の含有量は、乳化安定性を高める点、生理効果の点から、15%以上であって、好ましくは18%以上、より好ましくは30%以上であり、また、酸化安定性の点から、85%以下であって、好ましくは80%以下である。
ジアシルグリセロールを構成するエイコサペンタエン酸とドコサヘキサエン酸の比率[DHA/EPA]は、乳化安定性を高める点から、好ましくは0.1~5.0であり、より好ましくは0.5~3.0、更に好ましくは1.0~2.7である。
また、エイコサペンタエン酸とドコサヘキサエン酸の合計含有量は、乳化安定性を高める点、生理効果の点から、30%以上であって、好ましくは35%以上、より好ましくは40%以上、更に好ましくは50%以上である。
本発明において、ジアシルグリセロールを構成するエイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸以外の構成脂肪酸としては、特に限定されず、飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸のいずれであってもよい。
油脂の風味・工業的生産性の点からは、ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸中の不飽和脂肪酸の含有量は、好ましくは60~100%、より好ましくは62~99.8%、更に好ましくは64~99.5%である。不飽和脂肪酸の炭素数は、生理効果の点から、好ましくは14~24、より好ましくは16~22である。
なかでも、ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸中のオレイン酸(C18:1)の含有量は、油脂の工業的生産性の点から、好ましくは1%以上であり、より好ましくは4%以上、更に好ましくは8%以上、また、好ましくは30%以下、より好ましくは27%以下、更に好ましくは25%以下である。
また、ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸中のリノール酸(C18:2)の含有量は、油脂の工業的生産性の点から、好ましくは0.4%以上、より好ましくは0.5%以上、更に好ましくは0.8%以上であり、また、好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下、更に好ましくは10%以下である。
ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸中の飽和脂肪酸の合計含有量は、乳化安定性を高める点、外観、生理効果、油脂の工業的生産性の点から、0%より大きく、好ましくは8%以上、より好ましくは10%以上であり、また、好ましくは30%以下である。飽和脂肪酸の炭素数は、好ましくは12~24、より好ましくは14~22、更に好ましくは14~18である。
本発明において、ジアシルグリセロールを構成する炭素数14~18の飽和脂肪酸、すなわち、ミリスチン酸(C14)、パルミチン酸(C16)及びステアリン酸(C18)の合計含有量は、乳化安定性を高める点から、0%より大きく、好ましくは8%以上、より好ましくは9%以上、更に好ましくは10%以上、更に好ましくは20%以上であり、また、好ましくは30%以下である。ミリスチン酸(C14)、パルミチン酸(C16)、ステアリン酸(C18)の比率は特に制限されないが、パルミチン酸(C16)がこれら3つの飽和脂肪酸中、60%以上であることが好ましく、80%以上であることが更に好ましい。
本発明において、ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸中のミリスチン酸(C14)、パルミチン酸(C16)及びステアリン酸(C18)の合計含有量に対する油脂中のモノアシルグリセロールの含有量の質量比[MAG/SFA]は2.5以下である。当該質量比[MAG/SFA]は、乳化安定性を高める点から、2.5以下であって、好ましくは1.9以下、より好ましくは1.7以下、更に好ましくは1.5以下、更に好ましくは1.2以下、更に好ましくは0.9以下、更に好ましくは0.5以下、更に好ましくは0.1以下である。当該質量比[MAG/SFA]は、0であってもよい。
本発明において、油脂を構成する脂肪酸は、前述したジアシルグリセロールを構成する脂肪酸の組成と同じであっても異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
油脂を構成する脂肪酸中のエイコサペンタエン酸の含有量は、好ましくは15~85%であり、より好ましくは18~80%、更に好ましくは18~70%、更に好ましくは18~60%、更に好ましくは18~50%、更に好ましくは18~40%、更に好ましくは19~30%である。
また、油脂を構成する脂肪酸中のドコサヘキサエン酸の含有量は、好ましくは15~85%、より好ましくは18~80%、更に好ましくは30~80%である。
また、油脂を構成する脂肪酸中の不飽和脂肪酸の含有量は、好ましくは60~100%、より好ましくは62~99.8%、更に好ましくは64~99.5%である。
また、油脂を構成する脂肪酸中の飽和脂肪酸の合計含有量は、0%より大きく、好ましくは8~30%、より好ましくは9~30%、更に好ましくは10~30%、更に好ましくは20~30%である。
油脂を構成する脂肪酸中の炭素数14~18の飽和脂肪酸、すなわち、ミリスチン酸(C14)、パルミチン酸(C16)及びステアリン酸(C18)の合計含有量は、0%より大きく、好ましくは8~30%、より好ましくは9~30%、更に好ましくは10~30%、更に好ましくは20~30%である。
本発明の油脂組成物は、酸化安定性の点から、抗酸化剤を含有することが好ましい。
油脂組成物中の抗酸化剤の含有量は、風味、酸化安定性、着色抑制等の点から、好ましくは0.005%以上、3%以下、より好ましくは0.04%以上、2%以下、更に好ましくは0.08%以上、1%以下、更に好ましくは0.2%以上、0.8%以下である。
抗酸化剤としては、食品に使用するものであれば特に制限はないが、天然抗酸化剤、レシチン、トコフェロール、アスコルビルパルミテート、アスコルビルステアレート、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)及びブチルヒドロキシアニソール(BHA)等から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
本発明の油脂組成物は、構成脂肪酸中にエイコサペンタエン酸及びドコサヘキサエン酸を含むジアシルグリセロール含有油脂から調製することができる。必要に応じて通常の食用油脂を配合してもよい。
構成脂肪酸中にエイコサペンタエン酸及びドコサヘキサエン酸を含むジアシルグリセロール含有油脂は、油脂由来の脂肪酸とグリセリンとのエステル化反応、油脂とグリセリンとのエステル交換反応(グリセロリシス)等により得ることができる。
エステル化反応とグリセロリシス反応は、アルカリ金属又はその合金、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物や水酸化物、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のアルコキシド等の化学触媒を用いる化学法と、リパーゼ等の酵素を用いる酵素法とに大別される。
本発明において、油脂(食用油脂)は、植物性油脂、動物性油脂のいずれでもよい。例えば、大豆油、菜種油、サフラワー油、米油、コーン油、ヒマワリ油、綿実油、オリーブ油、ゴマ油、落花生油、ハトムギ油、小麦胚芽油、シソ油、アマニ油、エゴマ油、チアシード油、サチャインチ油、クルミ油、キウイ種子油、サルビア種子油、ブドウ種子油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、カボチャ種子油、椿油、茶実油、ボラージ油、パーム油、パームオレイン、パームステアリン、やし油、パーム核油、カカオ脂、サル脂、シア脂、藻油等の植物性油脂;魚油、アザラシ油、鯨油、ラード、牛脂、バター脂等の動物性油脂;あるいはそれらのエステル交換油、水素添加油、分別油等の油脂類を挙げることができる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、使用性の点から、エイコサペンタエン酸及びドコサヘキサエン酸を豊富に含む藻油、魚油、アザラシ油及び鯨油から選ばれる少なくとも1種の油脂を用いるのが好ましい。
油脂由来の脂肪酸は、油脂を加水分解して得ることができる。油脂を加水分解する方法としては、高温高圧分解法と酵素分解法が挙げられる。高温高圧分解法とは、油脂に水を加えて、高温、高圧の条件で反応することにより、脂肪酸とグリセリンを得る方法である。また、酵素分解法とは、油脂に水を加えて、油脂加水分解酵素を触媒として用い、低温の条件で反応することにより、脂肪酸とグリセリンを得る方法である。
加水分解反応は、常法に従って行うことができる。
油脂の加水分解後は、加水分解反応物を分別して固体を除去することが好ましい。分別方法としては、溶剤分別法、自然分別法(ドライ分別法)、湿潤剤分別法が挙げられる。
析出した固体の除去手段としては、静置分離、濾過、遠心分離、脂肪酸に湿潤剤水溶液を混合し分離する方法等が挙げられる。
油脂由来の脂肪酸とグリセリンとのエステル化反応は、酵素法により温和な条件で行うのが風味等の点で優れており好ましい。
酵素の使用量は、酵素の活性を考慮して適宜決定することができるが、反応速度を向上する点から、固定化酵素を使用する場合は、エステル化反応原料の合計質量に対して、好ましくは1~30%、より好ましくは2~20%である。
エステル化反応の反応温度は、反応速度を向上する点、酵素の失活を抑制する点から、好ましくは0~100℃、より好ましくは20~80℃、更に好ましくは30~60℃である。また、反応時間は、油脂の工業的な生産性の点から、好ましくは15時間以内、より好ましくは1~12時間、更に好ましくは2~10時間である。
脂肪酸とグリセリンとの接触手段としては、浸漬、攪拌、固定化リパーゼを充填したカラムにポンプ等で通液する方法等が挙げられる。
油脂とグリセリンとのエステル交換反応(グリセロリシス)は、化学法により行うのが反応性の点から好ましい。
触媒の使用量は、反応性の点から、反応原料の質量に対して、好ましくは0.001~3%、より好ましくは0.005~2%、更に好ましくは0.01~1%である。
反応温度は、反応性の点、及び副生成物の生成を抑制する点から、好ましくは120~200℃、より好ましくは150~180℃である。また、反応時間は、反応性の点から、好ましくは6時間以内、より好ましくは4時間以内である。
本発明において、エステル交換反応の際の反応系内の圧力は特に規定されず、常圧又は減圧下で行うことができる。常圧の場合は窒素気流下とすることが反応性の点から好ましい。
エステル化反応やエステル交換反応(グリセロリシス)の後は、通常油脂に対して用いられる精製工程を行ってもよい。具体的には、蒸留処理、酸処理、水洗、脱色、脱臭等の工程を挙げることができる。
本発明の油脂組成物は、一般の食用油脂と同様に使用でき、油脂を用いた各種飲食品や飼料に応用することができる。後掲の実施例に示すとおり、本発明の油脂組成物は、高い乳化安定性を有するため、ドレッシング、マヨネーズ等の水相を有する水中油型油脂含有食品、油中水型油脂含有食品等にも利用し易い。本発明の油脂組成物を用いれば、乳化剤の使用量を低減することができ、各種飲食品や飼料の風味・安全性の向上、製造負荷軽減等を図ることもできる。
前記飲食品としては、通常の飲食品の他、例えば、エイコサペンタエン酸やドコサヘキサエン酸、ジアシルグリセロールの生理効果を標榜した特定保健用食品、機能性表示食品等が挙げられる。
飲食品の形態としては、固形、半固形又は液状であり得、例えば、前述した水中油型油脂含有食品、油中水型油脂含有食品の他、飲料、ベーカリー食品、菓子、冷凍食品、レトルト食品、さらには、錠剤、カプセル剤、トローチ剤等の栄養補給用組成物が挙げられる。
飼料としては、牛、豚等に用いる家畜用飼料、ウサギ、マウス等に用いる小動物用飼料、ウナギ、エビ等に用いる魚介類用飼料、犬、猫等に用いるペットフード等が挙げられる。
〔分析方法〕
(i)油脂のグリセリド組成
油脂をクロロホルム/メタノール(1/9)混合溶媒を用いて1mg/mlとなるように溶解し、メタノールで10倍希釈後、補正用の標準サンプルと共に高速液体クロマトグラフィー(HPLC)に供して分析した。
<標準サンプル>
(1)ジアシルグリセロール用:トリオレイン/ジオレイン/モノオレイン=5/80/15
(重量比)
(2)トリアシルグリセロール用:トリオレイン/ジオレイン/モノオレイン=90/5/5(重量比)
<HPLC分析条件>
(条件)
装置:UHPLC(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)
カラム:L-カラム C8(2.1×35mm×5μm)(化学物質評価研究機構製)
カラム温度:40℃
サンプル注入量:10μL
流速:0.5mL/min
移動相:(A)水/アセトニトリル=9/1 (B)イソプロパノール
検出器:CAD(荷電化粒子検出器)
(ii)油脂の構成脂肪酸組成
日本油化学会編「基準油脂分析試験法」中の「脂肪酸メチルエステルの調製法(2.4.1.-1996)」に従って脂肪酸メチルエステルを調製し、得られた油脂サンプルを、American Oil Chemists. Society Official Method Ce 1f-96(GLC法)に準拠して測定した。
<GLC分析条件>
装置:アジレント7890B(アジレントテクノロジー社製)
カラム:CP-SIL88 50m×0.25mm×0.2μm(Agilent J&W社製)
キャリアガス:1.0mL He/min
インジェクター:Split(1:50)、T=300℃
ディテクター:FID、T=300℃
オーブン温度:150℃5min保持→1℃/min昇温→160℃5min保持→2℃/min昇温→200℃10min保持→10℃/min昇温→220℃5min保持
実施例1~7及び比較例1~7
〔油脂組成物の調製〕
(1)表2に示す油脂a~油脂iを用意した。
油脂a:DDオイルタイプ2(日本水産社製)を酵素により加水分解して得た脂肪酸328質量部とグリセリン50質量部とを混合し、イオン交換樹脂に固定化した1,3位選択リパーゼ(ノボザイムズ社製)を触媒としてエステル化反応後、固定化酵素を濾別した。その後、分子蒸留、酸処理及び水洗を行い、処理油を得た。処理油を脱臭して油脂aを得た。
油脂b:DDオイルタイプ2(日本水産社製)75質量部とグリセリン25質量部を混合し、水酸化カルシウムを触媒としてグリセロリシス反応を行った。その後、分子蒸留、酸処理及び水洗を行い、処理油を得た。処理油を脱臭して油脂bを得た。
油脂c: EPA-45RTG(日本水産社製)を酵素により加水分解して得た脂肪酸328質量部とグリセリン50質量部とを混合し、イオン交換樹脂に固定化した1,3位選択リパーゼ(ノボザイムズ社製)を触媒としてエステル化反応後、固定化酵素を濾別した。その後、分子蒸留、酸処理及び水洗を行い、処理油を得た。処理油を脱臭して油脂cを得た。
油脂d:大豆油を酵素により加水分解して得た脂肪酸455質量部、菜種油を酵素により加水分解して得た脂肪酸195質量部及びグリセリン99質量部を混合し、イオン交換樹脂に固定化した1,3位選択リパーゼ(ノボザイムズ社製)を触媒としてエステル化反応を行った。固定化酵素を濾別後、分子蒸留、酸処理及び水洗を行い、処理油を得た。処理油を脱臭して油脂dを得た。
油脂e:藻油(DSM社製)を酵素により加水分解処理して得た油脂82質量部とグリセリン25質量部を混合し、水酸化カルシウムを触媒としてグリセロリシス反応を行った。その後、分子蒸留、酸処理及び水洗を行い、処理油を得た。処理油を脱臭して油脂eを得た。
油脂f:藻油(DSM社製)80質量部とグリセリン25質量部を混合し、水酸化カルシウムを触媒としてグリセロリシス反応を行った。その後、分子蒸留、酸処理及び水洗を行い、処理油を得た。処理油を脱臭して油脂fを得た。
油脂g:藻油(DSM社製)を用いた。
油脂h:アマニ油を酵素により加水分解して得た脂肪酸300質量部及びグリセリン47質量部を混合し、イオン交換樹脂に固定化した1,3位選択リパーゼ(ノボザイムズ社製)を触媒としてエステル化反応を行った。固定化酵素を濾別後、酸処理及び水洗を行い、処理油を得た。処理油を脱臭して油脂hを得た。
油脂i:藻油(DSM社製)510質量部とグリセリン100質量部を混合し、水酸化カルシウムを触媒としてグリセロリシス反応を行った。その後、分子蒸留、晶析及び濾過を行い、処理油を得た。処理油を脱臭して油脂iを得た。
(2)油脂a~油脂iを表3に示す割合で混合し、油脂組成物を得た。油脂組成物のグリセリド組成及び脂肪酸組成を表3に示す。
〔乳化安定性評価方法〕
上記で調製した油脂組成物2gを10mLガラスバイアルに計量した後、スターラーで1,000r/min撹拌した。次いで、ガラスバイアルにイオン交換水2gを徐々に添加した後、スターラーで30秒、1,000r/min撹拌した。静置後、乳化状態を目視観察した。○を「乳化状態を維持」、×を「分離又は不均一な乳化(クリーミング状態)」とした。評価は24~26℃(室温相当)で行った。
結果を表4に示す。
表4に示すように、実施例1~7の油脂組成物は、2時間静置後において乳化状態を維持した。実施例3、6及び7の油脂組成物は、1日静置後においても乳化状態を維持し、一層高い乳化安定性を有することが確認された。
他方、トリアシルグリセロールを多く含有する油脂組成物(比較例1)、EPAとDHAの両方、或いはいずれかの濃度が低い油脂組成物(比較例2~4)、飽和脂肪酸に対するモノアシルグリセロールの比率が2.5より大きい油脂組成物(比較例5~7)では直ぐに分離するか、不均一な乳化となった。

Claims (3)

  1. 次の(A)~(D):
    (A)油脂中のジアシルグリセロールの含有量が30質量%以上、
    (B)ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸中のエイコサペンタエン酸の含有量が15~85質量%、
    (C)ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸中のドコサヘキサエン酸の含有量が15~85質量%、及び
    (D)ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸中のミリスチン酸、パルミチン酸及びステアリン酸の合計含有量に対する油脂中のモノアシルグリセロールの含有量の質量比が2.5以下
    を満たす油脂組成物。
  2. ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸中のミリスチン酸、パルミチン酸及びステアリン酸の合計含有量が8質量%以上である請求項1記載の油脂組成物。
  3. 油脂中のモノアシルグリセロールの含有量が30質量%以下である請求項1又は2記載の油脂組成物。
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