JP2023066493A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Sakiko Suzuki
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Abstract

【課題】高速操縦安定性を向上しながら、低転がり抵抗性および耐フラットスポット性を良好に確保し、これら性能を高度に両立することを可能にした空気入りタイヤを提供する。【解決手段】カーカス層4とベルトカバー層8とを備えた空気入りタイヤにおいて、カーカス層4を、20℃における3%伸長時の引張剛性A20に対する80℃における3%伸長時の引張剛性A80の割合が80%以上である有機繊維コードで構成し、ベルトカバー層8を、弾性率10000MPa以上の高弾性繊維ヤーンとナイロン46繊維からなる低弾性繊維ヤーンとを撚り合わせた複合繊維コードで構成する。【選択図】図1

Description

本発明は、有機繊維コードからなるカーカス層と複合繊維コードからなるベルトカバー層とを備えた空気入りタイヤに関する。
高速走行時に優れた走行性能を発揮するタイヤ(所謂、ハイパフォーマンスタイヤ)においては、高速操縦安定性を向上するために、カーカス層を構成するコードとして、温度による引張剛性の低下が小さいレーヨン繊維コードを用いることがある(例えば、特許文献1を参照)。また、十分な高速耐久性を確保するために、ベルトカバー層に、アラミド繊維からなる素線とナイロン繊維(特にナイロン66繊維等の汎用ナイロン)からなる素線とを撚り合わせた複合繊維コードを用いることがある(例えば、特許文献2を参照)。
このようなカーカス層およびベルトカバー層を組み合わせることで、ハイパフォーマンスタイヤとして優れた性能が得られるように思われるが、レーヨン繊維コードからなるカーカス層は、転がり抵抗を低減しにくいという問題がある。また、複合繊維コードに汎用ナイロンが使用されると、高温での熱収縮が大きくなることから高速耐久性の面では有利であるものの、汎用ナイロンのガラス転移点が低いために、高速走行時に発生する高熱により歪みがセットされ易くなり、耐フラットスポット性が悪化するという問題がある。そのため、ハイパフォーマンスタイヤにおいて、高速操縦安定性を向上しながら、低転がり抵抗性および耐フラットスポット性を良好に確保することが求められている。
特開2015‐205666号公報 特開2013‐147214号公報
本発明の目的は、高速操縦安定性を向上しながら、低転がり抵抗性および耐フラットスポット性を良好に確保し、これら性能を高度に両立することを可能にした空気入りタイヤを提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、前記トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部とを備え、前記一対のビード部間に装架された少なくとも1層のカーカス層と、前記トレッド部における前記カーカス層の外周側に配置された複数層のベルト層と、前記ベルト層の外周側に配置されたベルトカバー層とを有する空気入りタイヤにおいて、前記カーカス層は、20℃における3%伸長時の引張剛性A20に対する80℃における3%伸長時の引張剛性A80の割合が80%以上である有機繊維コードで構成され、前記ベルトカバー層は、弾性率10000MPa以上の高弾性繊維ヤーンとナイロン46繊維からなる低弾性繊維ヤーンとを撚り合わせた複合繊維コードで構成されたことを特徴とする。
本発明においては、ベルトカバー層を構成する複合繊維コードが、弾性率10000MPa以上の高弾性繊維ヤーンとナイロン46からなる低弾性繊維ヤーンであるので、加硫成形時におけるベルト層へのコードの食い込みを低弾性繊維ヤーンを構成するナイロン46繊維の伸びにより防止しながら、低弾性繊維ヤーンがガラス転移点の高いナイロン46であることにより、高速走行時に発生する高熱に対するセット性が改善されるため、耐フラットスポット性を向上することができる。また、カーカス層を構成する有機繊維コード(以下、「カーカスコード」という場合がある)が上述の物性を備えた有機繊維コードで構成されているため、高速操縦安定性を向上し、且つ耐フラットスポット性を改善するには有利になる。このようなカーカス層とベルトカバー層とを併用した本発明の空気入りタイヤは、カーカス層およびベルトカバー層の協働により、上述の複数のタイヤ性能(高速操縦安定性、低転がり抵抗性、および耐フラットスポット性)をバランスよく高度に両立することができる。
尚、カーカスコード(有機繊維コード)の引張剛性A20,A80はそれぞれ、JIS L1017の「化学繊維タイヤコード試験方法」に準拠し、引張り試験を実施して求めた。具体的には、JIS L1017,8.6bに従って測定した「伸長率3%における一定伸長時荷重」をA20とし、JIS L1017,8.6bに準拠して室温80℃の条件で測定した「伸長率3%における一定伸長時荷重」をA80とした。また、高弾性繊維ヤーンの弾性率は、タイヤから取り出した複合繊維コードをヤーンに分解し、JIS L1017の「化学繊維タイヤコード試験方法」に従い、引張り試験を実施して求めた。具体的には、44N負荷時のヤーンの伸びをe1(%)、149N負荷時のヤーンの伸びをe2(%)としたとき、以下の式により弾性率Eを求めた。
E=[105/(e2-e1)×100]/S
ここで、Sはヤーンの断面積(単位:mm2)であり、Sの求め方は以下の通りである。
S=D/10000p
(但し、Dはヤーンの公称繊度(dtex)、pは繊維の公称比重である。)
本発明においては、低弾性繊維ヤーンの下撚り数を高弾性繊維ヤーンの下撚り数よりも低くすると共に、下記式で定義される低弾性繊維ヤーンの下撚り係数Lと高弾性繊維ヤーンの下撚り係数Hとの比L/Hを0.90以下にすることが好ましい。これにより、複合繊維コードの収縮性が増強し、高速走行時におけるベルト層のタガ効果が高められるので、耐フラットスポット性や高速操縦安定性を一層向上することができる。
L=TL×DL 1/2
H=TH×DH 1/2
(但し、TL,THはそれぞれの繊維ヤーンの下撚り数(回/10cm)、DL、DHはそれぞれの繊維ヤーンの繊度(dtex)である。)
本発明においては、高弾性繊維ヤーンがアラミド繊維からなることが好ましい。また、本発明においては、カーカス層を構成する有機繊維コードがレーヨン繊維からなることが好ましい。このような材料を用いることで、前述の各層に基づく性能を向上するには有利になる。
本発明においては、タイヤ赤道を中心とした接地幅の70%の領域をセンター領域とし、そのタイヤ幅方向外側の領域をそれぞれショルダー領域としたとき、前記センター領域に配置された前記複合コードのタイヤ内におけるコード張力Ceと前記ショルダー領域に配置された前記複合コードのタイヤ内におけるコード張力Shとの比Ce/Shが1.0以上2.0以下であることが好ましい。このようにタイヤ幅方向の部位ごとの張力を設定することで、発熱を抑制し、タイヤ耐久性を向上することができる。
本発明において、「接地幅」とは、タイヤ幅方向両側の接地端の間の距離である。「接地端」とは、タイヤを正規リムにリム組みして正規内圧を充填した状態で平面上に垂直に置いて正規荷重を加えたときに形成される接地領域のタイヤ軸方向の両端部である。「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えば、JATMAであれば標準リム、TRAであれば“Design Rim”、或いはETRTOであれば“Measuring Rim”とする。「正規内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表“TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値、ETRTOであれば“INFLATION PRESSURE”であるが、タイヤが乗用車用である場合には180kPaとする。「正規荷重」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば最大負荷能力、TRAであれば表“TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値、ETRTOであれば“LOAD CAPACITY”であるが、タイヤが乗用車用である場合には前記荷重の88%に相当する荷重とする。
本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示す子午線断面図である。
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、本発明の空気入りタイヤは、トレッド部1と、このトレッド部1の両側に配置された一対のサイドウォール部2と、サイドウォール部2のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部3とを備えている。図1において、符号CLはタイヤ赤道を示す。図1は子午線断面図であるため描写されないが、トレッド部1、サイドウォール部2、ビード部3は、それぞれタイヤ周方向に延在して環状を成しており、これにより空気入りタイヤのトロイダル状の基本構造が構成される。以下、図1を用いた説明は基本的に図示の子午線断面形状に基づくが、各タイヤ構成部材はいずれもタイヤ周方向に延在して環状を成すものである。
左右一対のビード部3間にはタイヤ径方向に延びる複数本の補強コード(以下、カーカスコードという)を含むカーカス層4が装架されている。各ビード部には、ビードコア5が埋設されており、そのビードコア5の外周上に断面略三角形状のビードフィラー6が配置されている。カーカス層4は、ビードコア5の廻りにタイヤ幅方向内側から外側に折り返されている。これにより、ビードコア5およびビードフィラー6はカーカス層4の本体部(トレッド部1から各サイドウォール部2を経て各ビード部3に至る部分)と折り返し部(各ビード部3においてビードコア5の廻りに折り返されて各サイドウォール部2側に向かって延在する部分)とにより包み込まれている。
一方、トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には複数層(図示の例では2層)のベルト層7が埋設されている。各ベルト層7は、タイヤ周方向に対して傾斜する複数本の補強コード(以下、ベルトコードという)を含み、かつ層間でベルトコードが互いに交差するように配置されている。これらベルト層7において、ベルトコードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は例えば10°~40°の範囲に設定されている。ベルト層7を構成するベルトコードとしては、例えばスチールコードが好ましく使用される。
更に、ベルト層7の外周側には、高速耐久性の向上を目的として、ベルトカバー層8が設けられている。ベルトカバー層8は、タイヤ周方向に配向する補強コード(以下、カバーコードという)を含む。ベルトカバー層8において、カバーコードはタイヤ周方向に対する角度が例えば0°~5°に設定されている。ベルトカバー層8としては、ベルト層7の幅方向の全域を覆うフルカバー層8aや、ベルト層7のタイヤ幅方向の両端部を局所的に覆う一対のエッジカバー層8bをそれぞれ単独で、またはこれらを組み合わせて設けることができる(図示の例では、フルカバー層8aおよびエッジカバー層8bの両方が設けられている)。ベルトカバー層8は、例えば、少なくとも1本のカバーコードをコートゴムで被覆したストリップ材をタイヤ周方向に螺旋状に巻回して構成するとよく、特にジョイントレス構造とすることが望ましい。
本発明は、主として、上述のカーカス層4およびベルトカバー層8のそれぞれを構成するコード(カーカスコード、カバーコード)に関するものであるので、タイヤの基本的な構造は他のタイヤ構成部材は、上述のものに限定されない。
本発明において、カーカス層4を構成するカーカスコードは、有機繊維コードのフィラメント束を撚り合わせた有機繊維コードで構成される。有機繊維コードの材質は、後述の物性を満たしていれば特に限定されず、レーヨン繊維コード、ポリエステル繊維コードを例示することができる。中でも、レーヨン繊維コードを好適に用いることができる。このカーカスコード(有機繊維コード)は、20℃における3%伸長時の引張剛性A20に対する80℃における3%伸長時の引張剛性A80の割合(以下、剛性保持率という)が80%以上、好ましくは85%以上という物性を有する。このような物性を有するカーカスコードをカーカス層4に用いているので、温度変化に起因する引張剛性の低下が小さくなり、高速操縦安定性および耐フラットスポット性を向上することができる。カーカスコードの剛性保持率が80%未満であると、耐フラットスポット性を向上する効果が得られない。
本発明では、ベルトカバー層8を構成するカバーコードとして、高弾性繊維ヤ-ンと低弾性繊維ヤーンとを撚り合わせた複合繊維コードが使用される。複合繊維コードの構造は特に限定されないが、例えば、高弾性繊維ヤーン2本と低弾性繊維ヤーン1本とを撚り合わせた3本撚り構造や、高弾性繊維ヤーン1本と低弾性繊維ヤーン1本とを撚り合わせた2本撚り構造にすることができる。
複合繊維コードに使用される高弾性繊維ヤーンは、弾性率が10000MPa以上である。高弾性繊維ヤーンの材料は、特に限定されるものではないが、芳香族ポリアミド繊維(アラミド繊維)、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール繊維(PBO繊維)、ポリケトン繊維(POK繊維)等を例示することができる。中でも、アラミド繊維を好適に用いることができる。このような高弾性繊維ヤーンを用いることで、その拘束作用により高速耐久性を確保することができる。高弾性繊維ヤーンの弾性率が10000MPa未満であると、十分な拘束力が得られず、高速耐久性を十分に確保することが難しくなる。
複合繊維コードに使用される低弾性繊維ヤーンとしては、ナイロン46繊維が必ず使用される。ナイロン46繊維は、タイヤにおいて一般的に使用される汎用ナイロン(ナイロン66やナイロン6)と比較して、ガラス転移点が高温であるため、高速走行時に発生する高熱に対するセット性が改善されるため、耐フラットスポット性を向上するには有利である。また、ナイロン46繊維の伸びにより、加硫成形時におけるベルト層へのコードの食い込みを防止することができる。更に、ナイロン46繊維を含むことで転がり抵抗を低減するには有利になる。低弾性繊維ヤーンとしてナイロン46繊維以外(例えばナイロン66やナイロン6等の汎用ナイロン)が使用されると、高温での熱収縮が大きくなることから高速耐久性の面では有利であるものの、これら汎用ナイロンのガラス転移点が低いために、高速走行時に発生する高熱により歪みがセットされ易くなり、耐フラットスポット性が悪化する。
上述の高弾性繊維ヤーンと低弾性繊維ヤーンとの組み合わせによって複合繊維コードを構成するにあたって、低弾性繊維ヤーンの下撚り数を高弾性繊維ヤーンの下撚り数よりも低くすると共に、下記式で定義される低弾性繊維ヤーンの下撚り係数Lと高弾性繊維ヤーンの下撚り係数Hとの比L/Hを好ましくは0.90以下、好ましくは0.80以下の範囲に設定するとよい。これにより、複合繊維コードの収縮性が増強し、高速走行時におけるベルト層7のタガ効果が高められるので、高速操縦安定性や耐フラットスポット性を一層向上することができる。比L/Hが0.90を超えると耐フラットスポット性が低下する。尚、比L/Hの下限値は特に限定されないが、本発明で使用される上述の高弾性繊維ヤーンおよび低弾性繊維ヤーンの組み合わせの場合、比L/Hの下限値は例えば0.60以上が想定される。
L=TL×DL 1/2
H=TH×DH 1/2
(但し、TL,THはそれぞれの繊維ヤーンの下撚り数(回/10cm)、DL、DHはそれぞれの繊維ヤーンの繊度(dtex)である。)
本発明は、上述のように、ベルトカバー層8を構成する複合繊維コードが、弾性率10000MPa以上の高弾性繊維ヤーンとナイロン46からなる低弾性繊維ヤーンであるので、加硫成形時におけるベルト層7へのコードの食い込みを低弾性繊維ヤーンを構成するナイロン46繊維の伸びにより防止しながら、高弾性繊維ヤーンの拘束作用により高速耐久性を確保することができ、かつ低弾性繊維ヤーンがガラス転移点の高いナイロン46繊維であることにより、高速走行時に発生する高熱に対するセット性が改善されるため、耐フラットスポット性を向上することができる。また、ナイロン46繊維を含むことで転がり抵抗を低減することもできる。一方で、カーカスコードが上述の有機繊維コード(好ましくはレーヨン繊維コード)で構成されるので、高速操縦安定性を向上し、かつ耐フラットスポット性を良好に確保することができる。これらカーカス層4およびベルトカバー層8の協働により、本発明のタイヤは、上述の複数のタイヤ性能(高速操縦安定性、低転がり抵抗性、および耐フラットスポット性)をバランスよく高度に両立することができる。
図1に示すように、タイヤ赤道CLを中心とした接地幅Wの70%の領域をセンター領域Aとし、そのタイヤ幅方向外側の領域をそれぞれショルダー領域Bとしたとき、センター領域Aに配置された複合繊維コードのタイヤ内におけるコード張力Ceとショルダー領域Bに配置された複合繊維コードのタイヤ内におけるコード張力Shとの比Ce/Shが1.0以上2.0以下であることが好ましい。このようにタイヤ幅方向の部位ごとの張力の関係を設定することで、発熱を抑制し、タイヤ耐久性を向上することができる。比Ce/Shが2.0を超えると、ショルダー領域のコード張力が低すぎる場合にコードの発熱が増加してコードメルトが発生して高速耐久性が低下する。比Ce/Shが1.0未満であると、ショルダー領域のコード張力が高すぎる場合にショルダー部の剛性が上がり過ぎてしまい、接地形状が丸くなり、走行時にベルト層7とベルトカバー層8との間のセパレーションが進行し易く、タイヤ耐久性が低下する。張力Ce,Shは、前述の関係を満たしていれば特に限定されないが、張力Ceは例えば1.2cN/dtex~2.5cN/dtex、張力Shは例えば0.9cN/dtex~2.0cN/dtexに設定することができる。このような張力Ce,Shの関係は、例えば、タイヤ成形時に曲率ドラム(製造するタイヤのセンター部に対応する部位よりも製造するタイヤのショルダー部に対応する部位で周長が小さい曲率をもったドラム)を用いたり、ベルトカバー材の巻き付け張力を制御することで達成することができる。尚、張力Ceは最外側のベルト層7のセンター部に位置する5本の複合繊維コードにおいて測定した値であり、張力Shはベルトカバー層を構成するストリップ材の末端よりも2周以上タイヤ幅方向内側かつ最外側のベルト層7のショルダー部に位置する5本の複合繊維コードにおいて測定した値である。
以下、実施例によって本発明を更に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
タイヤサイズが245/40R18であり、図1に示す基本構造を有し、カーカス層について、カーカスコードの材質、引張剛性保持率〔単位:%〕を表1のように設定し、ベルトカバー層について、複合繊維コードの種類(高弾性繊維ヤーンおよび低弾性繊維ヤーンのそれぞれの材質)、高弾性繊維ヤーンの弾性率〔単位:MPa〕、低弾性繊維ヤーンの下撚り係数Lと高弾性繊維ヤーンの下撚り係数Hとの比L/H、センター領域に配置された複合繊維コードのタイヤ内におけるコード張力Ceとショルダー領域に配置された複合繊維コードのタイヤ内におけるコード張力Shとの比Ce/Shを表1のように設定した従来例1、比較例1~2、実施例1~4の空気入りタイヤ(試験タイヤ)を製作した。
表1において、カーカスコードの「引張剛性保持率」は、20℃における3%伸長時の引張剛性A20に対する80℃における3%伸長時の引張剛性A80の割合である。引張剛性A20,A80はそれぞれ、JIS L1017の「化学繊維タイヤコード試験方法」に準拠し、引張り試験を実施して求めた。具体的には、JIS L1017,8.6bに従って測定した「伸長率3%における一定伸長時荷重」をA20とし、JIS L1017,8.6bに準拠して室温80℃の条件で測定した「伸長率3%における一定伸長時荷重」をA80として求めた。高弾性繊維ヤーンの弾性率は、タイヤから取り出した複合繊維コードをヤーンに分解し、JIS L1017の「化学繊維タイヤコード試験方法」に従い、引張り試験を実施して求めた。具体的には、44N負荷時のヤーンの伸びをe1(%)、149N負荷時のヤーンの伸びをe2(%)とし、以下の式により弾性率Eを求めた。
E=[105/(e2-e1)×100]/S
ここで、Sはヤーンの断面積(単位:mm2)であり、Sの求め方は以下の通りである。
S=D/10000p
(但し、Dはヤーンの公称繊度(dtex)、pは繊維の公称比重である。)
表1のカーカスコードの材質の欄について、ポリエチレンテレフタレート繊維コードを使用した場合を「PET」、レーヨン繊維コードを使用した場合を「レーヨン」と表示した。表1の高弾性繊維ヤーンの材質の欄について、アラミド繊維を用いた場合を「アラミド」と表示した。表1の低弾性繊維ヤーンの材質の欄について、ナイロン66繊維を用いた場合を「N66」、ナイロン46繊維を用いた場合を「N46」と表示した。
比Ce/Shに関して、タイヤ内におけるコード張力[cN/dtex]は、トレッド部からトレッドゴムを取り除いてベルトカバー層を露出させ、ベルトカバー層の所定の長さ範囲から繊維コードを引き剥がし、その採取後の長さを測定し、採取前の長さに対する収縮量を求めた。特に、最外側のベルト層のセンター部に位置する5本の繊維コードについて収縮量の平均値を求めた。そして、その収縮量(%)に対応する荷重をS-S曲線から求め、1dtex当たりの値に換算することにより測定した。尚、張力Ceは最外側のベルト層のセンター部に位置する5本の繊維コードにおいて測定し、張力Shは外側のベルト層のショルダー部に位置する5本の繊維コードにおいて測定した。また、比L/Hに関して、低弾性繊維ヤーンの下撚り係数Lと高弾性繊維ヤーンの下撚り係数Hはそれぞれ下記式により求めた。
L=TL×DL 1/2
H=TH×DH 1/2
(但し、TL,THはそれぞれの繊維ヤーンの下撚り数(回/10cm)、DL、DHはそれぞれの繊維ヤーンの繊度(dtex)である。)
これら試験タイヤについて、下記の評価方法により、耐フラットスポット性、低転がり抵抗性、高速操縦安定性を評価し、その結果を表1~2に併せて示した。
耐フラットスポット性
各試験タイヤを、リムサイズ18×7.0Jのホイールに組み付け、空気圧を230kPaとし、室内ドラム試験機(ドラム径1707mm)により、JASO C607に準拠してユニフォミティ(RFV)を測定すると共に、ドラム上を速度150km/hにて30分間予備走行させたのち、ドラムを停止して荷重6.37kNを負荷した状態で1時間放置した。その後、再びユニフォミティ(RFV)を測定し、予備走行前後におけるユニフォミティ値(RFV値)の差を評価指標として、評価結果を、従来例1の値を100とする指数として示した。この指数が小さいほど耐フラットスポット性に優れることを意味する。尚、指数値が「95」以上では十分な改善効果が得られなかったことを意味する。
低転がり抵抗性
各試験タイヤを、リムサイズ18×7.0Jのホイールに組み付け、空気圧を200kPaとし、室内ドラム試験機(ドラム径1707mm)に装着し、JIS D4234に準拠して、JATMA記載の当該空気圧における最大負荷荷重の85%に相当する荷重を負荷してドラムに押し付けた状態で、速度80km/hで走行したときの転動抵抗を測定した。評価結果は、従来例1の値を100とする指数として示した。この指数が小さいほど転動抵抗が小さく、低転がり抵抗性に優れることを意味する。
高速操縦安定性
各試験タイヤを、リムサイズ18×7.0Jのホイールに組み付け、空気圧を200kPaとし、排気量2.0Lの試験車両(FR乗車両)に装着し、テストコースにて訓練された5名のドライバーが120km/hで高速走行した際の操縦安定性について官能評価を行った。評価結果は、従来例1を3.0(基準)とする5点法にて評価し、最高点と最低点を除いた3名の平均点で表した。この点数が大きいほど高速操縦安定性に優れることを意味する。尚、点数が「3.5」未満では十分な改善効果が得られなかったことを意味する。
Figure 2023066493000002
表1から判るように、実施例1~4のタイヤは、従来例1との対比において、高速操縦安定性を向上する一方で、優れた耐フラットスポット性および低転がり抵抗性を確保し、これら性能をバランスよく高度に両立することができた。一方、比較例1は、カーカスコードの引張剛性保持率は良好であるものの、複合繊維コードを構成する低弾性繊維ヤーンがナイロン66繊維からなるため、低転がり抵抗性が悪化した。また、耐フラットスポット性を改善する効果が十分に得られなかった。比較例2は、カーカスコードの引張剛性保持率が低いため、ベルトカバー層が本発明の条件(高弾性繊維ヤーンの弾性率が10000MPa以上、且つ、低弾性繊維ヤーンがナイロン46繊維で構成されている)を満たしていても、高速操縦安定性を向上する効果が十分に得られなかった。
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 ベルトカバー層
CL タイヤ赤道
A センター領域
B ショルダー領域
E 接地端

Claims (5)

  1. タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、前記トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部とを備え、前記一対のビード部間に装架された少なくとも1層のカーカス層と、前記トレッド部における前記カーカス層の外周側に配置された複数層のベルト層と、前記ベルト層の外周側に配置されたベルトカバー層とを有する空気入りタイヤにおいて、
    前記カーカス層は、20℃における3%伸長時の引張剛性A20に対する80℃における3%伸長時の引張剛性A80の割合が80%以上である有機繊維コードで構成され、
    前記ベルトカバー層は、弾性率10000MPa以上の高弾性繊維ヤーンとナイロン46繊維からなる低弾性繊維ヤーンとを撚り合わせた複合繊維コードで構成されたことを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記低弾性繊維ヤーンの下撚り数を前記高弾性繊維ヤーンの下撚り数よりも低くすると共に、下記式で定義される前記低弾性繊維ヤーンの下撚り係数Lと前記高弾性繊維ヤーンの下撚り係数Hとの比L/Hを0.90以下にしたことを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
    L=TL×DL 1/2
    H=TH×DH 1/2
    (但し、TL,THはそれぞれの繊維ヤーンの下撚り数(回/10cm)、DL、DHはそれぞれの繊維ヤーンの繊度(dtex)である。)
  3. 前記高弾性繊維ヤーンがアラミド繊維からなることを特徴とする請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記カーカス層を構成する有機繊維コードがレーヨン繊維からなることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  5. タイヤ赤道を中心とした接地幅の70%の領域をセンター領域とし、そのタイヤ幅方向外側の領域をそれぞれショルダー領域としたとき、前記センター領域に配置された前記複合コードのタイヤ内におけるコード張力Ceと前記ショルダー領域に配置された前記複合コードのタイヤ内におけるコード張力Shとの比Ce/Shが1.0以上2.0以下であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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