JP2023064706A - エッチング液組成物 - Google Patents

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陽介 木村
Yosuke Kimura
翔太 岡崎
Shota Okazaki
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Abstract

【課題】一態様において、エッチング後に金属膜の光沢度が損なわれにくいエッチング液組成物を提供する。
【解決手段】本開示は、一態様において、基板上に形成された金属膜をエッチングするためのエッチング液組成物であって、リン酸、硝酸、有機酸、非有機陽イオン成分、エッチング抑制剤、及び水を含有し、前記金属膜は、タングステン、タンタル、ジルコニウム、ハフニウム、モリブデン、ニオブ、ルテニウム、オスミウム、レニウム、ロジウム、銅、ニッケル、コバルト、チタン、窒化チタン、アルミナ、アルミニウム及びイリジウムから選ばれる少なくとも1種の金属を含む金属膜である、エッチング液組成物に関する。
【選択図】なし

Description

本開示は、エッチング液組成物及びこれを用いたエッチング方法に関する。
半導体装置の製造過程において、例えば、タングステン、タンタル、ジルコニウム、ハフニウム、モリブデン、ニオブ、ルテニウム、オスミウム、レニウム、ロジウム、銅、ニッケル、コバルト、チタン、窒化チタン、アルミナ、アルミニウム及びイリジウム等の少なくとも1種の金属を含む被エッチング膜をエッチングして所定のパターン形状に加工する工程が行われている。
近年の半導体分野においては高集積化が進んでおり、配線の複雑化や微細化が求められており、パターンの加工技術やエッチング液に対する要求も高まりつつあり、様々なエッチング方法が提案されている。
例えば、特許文献1及び2には、アルミニウム系金属膜とモリブデン系金属膜を含む積層膜に対して、リン酸、硝酸、有機酸(例えば、酢酸等)にカチオン成分(例えば、アンモニウムイオン等)を含有するエッチング組成物を用いることで、積層膜を良好なテーパ形状に制御することが提案されている。
国際公開第2003/036707号 特開2003-13261号公報
従来のエッチング方法では、タングステン等の金属を含む被エッチング膜が高速でエッチングされると、不均一なエッチングが進行して光沢度が失われることがあった。特に、光沢度が損なわれるとレーザー散乱測定機などに支障をきたし、表面清浄性、形状など正確に測定できないことがあった。半導体ウエハの製造過程において、生産性、収率の観点から、光沢度が損なわれにくいエッチング液が求められている。
そこで、本開示は、一態様において、エッチング後に金属膜の光沢度が損なわれにくいエッチング液組成物を提供する。
本開示は、一態様において、基板上に形成された金属膜をエッチングするためのエッチング液組成物であって、リン酸、硝酸、有機酸、非有機陽イオン成分、エッチング抑制剤、及び水を含有し、前記金属膜は、タングステン、タンタル、ジルコニウム、ハフニウム、モリブデン、ニオブ、ルテニウム、オスミウム、レニウム、ロジウム、銅、ニッケル、コバルト、チタン、窒化チタン、アルミナ、アルミニウム及びイリジウムから選ばれる少なくとも1種の金属を含む金属膜である、エッチング液組成物に関する。
本開示は、一態様において、本開示のエッチング液組成物を用いて、少なくとも1種の金属を含む金属膜をエッチングする工程を含む、エッチング方法に関する。
本開示は、一態様において、本開示のエッチング液組成物を用いて、基板上に形成された金属膜をエッチングする工程を含み、前記基板は、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、及び太陽電池用基板から選ばれる少なくとも1種の基板である、基板処理方法に関する。
本開示は、一態様において、本開示のエッチング液組成物の製造方法であって、リン酸、硝酸及び有機酸を含む混酸組成物と、非有機陽イオン成分と、エッチング抑制剤とを配合して前記エッチング液組成物を得る工程を含む、エッチング液組成物の製造方法に関する。
本開示は、一態様において、本開示のエッチング液組成物の製造方法に使用するための混酸組成物であって、リン酸、硝酸及び有機酸を含む、混酸組成物に関する。
本開示によれば、一態様において、エッチング後に金属膜の光沢度が損なわれにくいエッチング液組成物を提供できる。
本開示は、一態様において、リン酸、硝酸、有機酸、非有機陽イオン成分、エッチング抑制剤、及び水を含むエッチング液を用いることで、エッチングによる金属膜の光沢度の低下を抑制できるという知見に基づく。
本開示は、一態様において、基板上に形成された金属膜をエッチングするためのエッチング液組成物であって、リン酸、硝酸、有機酸、非有機陽イオン成分、エッチング抑制剤、及び水を含有し、前記金属膜は、タングステン、タンタル、ジルコニウム、ハフニウム、モリブデン、ニオブ、ルテニウム、オスミウム、レニウム、ロジウム、銅、ニッケル、コバルト、チタン、窒化チタン、アルミナ、アルミニウム及びイリジウムから選ばれる少なくとも1種の金属を含む金属膜である、エッチング液組成物(以下、「本開示のエッチング液組成物」ともいう)に関する。
本開示のエッチング液組成物によれば、エッチング後に金属膜の光沢度が損なわれにくいエッチング液組成物を提供できる。
本開示の効果発現のメカニズムの詳細は明らかではないが、以下のように推察される。
本開示では、エッチング抑制剤が被エッチング膜である金属膜の表面を隙間なく被覆又は厚みのある保護膜を形成することで、金属膜の表面を保護しながら緩やかにエッチングするため、不均一なエッチングの進行を抑制し、エッチングによる金属膜の光沢度の低下を抑制できると考えられる。
更に、非有機陽イオン成分を含有することで、強酸の一部が中和され、被エッチング膜である金属膜の表面に過剰な強酸イオンが接触する頻度を低減させて、不均一なエッチングの進行を抑制し、エッチングによる金属膜の光沢度の低下を抑制できると考えられる。以上のことから、エッチング後に金属膜の光沢度が損なわれにくいと考えられる。
但し、本開示はこれらのメカニズムに限定して解釈されなくてもよい。
[リン酸]
本開示のエッチング液組成物中のリン酸の配合量は、光沢度の低下抑制の観点から、35質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、45質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、55質量%以上が更に好ましく、そして、光沢度の低下抑制の観点から、90質量%以下が好ましく、85質量%以下がより好ましく、80質量%以下が更に好ましい。
[硝酸]
本開示のエッチング液組成物中の硝酸の配合量は、光沢度の低下抑制の観点から、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、1.5質量%以上が更に好ましく、そして、光沢度の低下抑制の観点から、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、7質量%以下が更に好ましい。
[有機酸]
本開示のエッチング液組成物に含まれる有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、トリメリット酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、サリチル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスパラギン酸、及びグルタミン酸から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。光沢度の低下抑制の観点から、有機酸としては、炭素数1~10の1価の有機酸が好ましく、炭素数1~10の1価のカルボン酸がより好ましく、酢酸及びプロピオン酸の少なくとも一方が更に好ましい。有機酸は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本開示のエッチング液組成物中の有機酸の配合量は、エッチング抑制率の観点から、1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上が更に好ましく、そして、エッチング抑制率の観点から、70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、40質量%以下が更に好ましい。有機酸が2種以上の組合せである場合、有機酸の配合量はそれらの合計配合量である。
本開示のエッチング液組成物中のリン酸、硝酸及び有機酸の合計配合量は、光沢度の低下抑制の観点から、70質量%以上が好ましく、75質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、98質量%以下が好ましく、95質量%以下がより好ましく、90質量%以下が更に好ましい。同様の観点から、本開示のエッチング液組成物中におけるリン酸、硝酸及び有機酸の合計配合量は、70質量%以上98質量%以下が好ましく、75質量%以上95質量%以下がより好ましく、80質量%以上90質量%以下が更に好ましい。
[非有機陽イオン成分]
本開示のエッチング液組成物に含まれる非有機陽イオン成分は、一又は複数の実施形態において、光沢度の低下抑制の観点から、アンモニウムイオン及びアルカリ金属イオンから選ばれる少なくとも1種が挙げられ、これらの中でも、アンモニウムイオンが好ましい。非有機陽イオン成分は、1種でもよいし、2種以上の組合せでもよい。
非有機陽イオン成分の供給源としては、アンモニア;水酸化アンモニウム等のアンモニウム塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属塩等が挙げられる。これらの中でも、金属量低減の観点から、非有機陽イオン成分の供給源としては、アンモニア又はアンモニウム塩が好ましい。非有機陽イオン成分の供給源は、1種でもよいし、2種以上の組合せでもよい。
本開示のエッチング液組成物中の非有機陽イオン成分の配合量は、光沢度の低下抑制の観点から、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましく、そして、コストの観点から、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下が更に好ましい。非有機陽イオン成分が2種以上の組合せである場合、非有機陽イオン成分の配合量はそれらの合計配合量である。本開示において、非有機陽イオン成分の配合量とは、一又は複数の実施形態において、非有機陽イオン成分の供給源の配合量を示す。
[エッチング抑制剤]
本開示のエッチング液組成物に含まれるエッチング抑制剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本開示におけるエッチング抑制剤は、光沢度の低下抑制の観点から、エッチング抑制率が20%以上であることが好ましく、30%以上がより好ましく、40%以上が更に好ましく、50%以上が更に好ましく、60%以上が更に好ましく、70%以上が更に好ましく、80%以上が更に好ましく、85%以上が更に好ましく、90%以上が更に好ましく、94%以上が更に好ましい。
本開示において、エッチング抑制率とは、エッチング抑制剤を使用しない場合のエッチング速度に対するエッチング抑制剤を使用した場合のエッチング速度の減少率のことを示す。エッチング抑制率は、一又は複数の実施形態において、リン酸、硝酸、酢酸及び水からなり、前記リン酸、硝酸及び酢酸の配合量の質量比がエッチング液組成物におけるリン酸、硝酸及び酢酸の配合量の質量比と同じであり、前記リン酸、硝酸及び酢酸の合計配合量が85質量%である混酸水溶液のエッチング速度を100としたときの前記エッチング液組成物のエッチング速度の相対速度Aを、100から引いた値とすることができる。なお、混酸水溶液中の各成分の配合量の質量比は適宜設定することができる。エッチング抑制率は、一又は複数の実施形態において、温度等の実施条件をエッチングを行う条件に適合させて測定することができる。エッチング抑制率は、具体的には、実施例に記載の方法により求めることができる。
エッチング抑制率の測定条件は、被エッチング層に含まれる金属によって異なり、エッチング抑制率を測定するときの温度及び時間の好ましい範囲としては、一又は複数の実施形態において、後述する本開示のエッチング工程におけるエッチング温度及びエッチング時間の好ましい範囲が挙げられる。例えば、エッチング抑制率の測定における所定温度及び所定時間は、測定に用いる金属板がタングステン板の場合は90℃で120分間、モリブデン板の場合は40℃で10分間、ニッケル板の場合は40℃で10分間とすることができる。測定に用いる金属板の形状は、例えば、縦2cm、横2cm、厚さ0.1mmの板状体とすることができる。エッチング抑制率は、具体的には、実施例に記載の方法により求めることができる。
本開示におけるエッチング抑制剤としては、一又は複数の実施形態において、有機アミン化合物が挙げられ、例えば、ポリアルキレンイミン、ジアリルアミン由来の構成単位を有するポリマー、ポリアルキレンポリアミン、及びアミノ酸から選ばれる少なくとも1種の有機アミン化合物が挙げられる。これらの中でも、エッチング抑制剤としては、一又は複数の実施形態において、光沢度の低下抑制の観点から、ポリアルキレンイミン及びポリアルキレンポリアミンの少なくとも一方が好ましい。
前記ポリアルキレンイミンとしては、例えば、ポリエチレンイミン等が挙げられる。
前記ジアリルアミン由来の構成単位を含むポリマーとしては、例えば、ジアリルアミン/二酸化硫黄共重合体等が挙げられる。
ポリアルキレンポリアミンとしては、例えば、ジエチレントリアミン等が挙げられる。
アミノ酸としては、例えば、アルギニン、アスパラギン酸等が挙げられる。
エッチング抑制剤がポリアルキレンイミンである場合、エッチング抑制剤の数平均分子量は、光沢度の低下抑制の観点から、300以上が好ましく、600以上がより好ましく、1,200以上が更に好ましく、そして、粘度の観点から、100,000以下が好ましく、10,000以下がより好ましく、5,000以下がより好ましく、3,000以下が更に好ましい。同様の観点から、エッチング抑制剤の数平均分子量は、300以上100,000以下が好ましく、600以上5,000以下がより好ましく、1,200以上3,000以下が更に好ましい。
エッチング抑制剤がジアリルアミン由来の構成単位を含むポリマーである場合、エッチング抑制剤の重量平均分子量は、光沢度の低下抑制の観点から、2,000以上が好ましく、3,000以上がより好ましく、4,000以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、50,000以下が好ましく、10,000以下がより好ましく、7,000以下が更に好ましい。同様の観点から、エッチング抑制剤の重量平均分子量は、2,000以上50,000以下が好ましく、3,000以上10,000以下がより好ましく、4,000以上7,000以下が更に好ましい。
エッチング抑制剤がポリアルキレンポリアミンである場合、エッチング抑制剤の数平均分子量又は分子量は、光沢度の低下抑制の観点から、50以上が好ましく、80以上がより好ましく、100以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、1,000以下が好ましく、500以下がより好ましく、300以下が更に好ましい。同様の観点から、エッチング抑制剤の数平均分子量又は分子量は、50以上100,000以下が好ましく、80以上7,000以下がより好ましく、100以上4,000以下が更に好ましい。同様の観点から、エッチング抑制剤の数平均分子量又は分子量は、50以上1,000以下が好ましく、80以上500以下がより好ましく、100以上300以下が更に好ましい。
本開示において平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によって測定できる。
本開示のエッチング抑制剤の平均分子量の測定方法の例を以下に示す。
<GPC条件(ポリアルキレンイミン)>
試料液:0.1wt%の濃度に調整したもの
装置/検出器: HLC-8320GPC(一体型GPC)東ソー(株)製
カラム:α―M+α―M(東ソー株式会社製)
溶離液:0.15mol/L Na2SO4,1% CH3COOH/水
カラム温度:40℃
流速:1.0mL/min
試料液注入量:100μL
標準ポリマー:分子量が既知のプルラン(Shodex社 P-5、P-50,P-200、P-800)
<GPC条件(ジアリルアミン由来の構成単位を含むポリマー)>
試料液:0.1wt%の濃度に調整したもの
検出器:HLC-8320GPC(一体型GPC)東ソー(株)製
カラム:α―M+α―M(東ソー株式会社製)
溶離液:0.15mol/L Na2SO4,1% CH3COOH/水
カラム温度:40℃
流速:1.0mL/min
試料液注入量:100μL
標準ポリマー:分子量が既知のプルラン(Shodex社 P-5、P-50,P-200、P-800)
本開示におけるエッチング抑制剤としては、一又は複数の実施形態において、光沢度の低下抑制の観点から、エッチング抑制率が20%以上の有機アミン化合物であることが好ましい。
したがって、本開示は、一態様において、基板上に形成された金属膜をエッチング処理するためのエッチング液組成物であって、前記エッチング液組成物は、リン酸、硝酸、有機酸、非有機陽イオン成分、エッチング抑制剤、及び水を含有し、前記エッチング抑制剤は、下記条件で求められるエッチング抑制率が20%以上の有機アミン化合物である、エッチング液組成物に関する。
ここで、エッチング抑制率は、リン酸、硝酸、酢酸及び水からなり、前記リン酸、硝酸及び酢酸の配合量の質量比がエッチング液組成物におけるリン酸、硝酸及び酢酸の配合量の質量比と同じであり、前記リン酸、硝酸及び酢酸の合計配合量が85質量%である混酸水溶液のエッチング速度を100としたときの前記エッチング液組成物のエッチング速度の相対速度Aを、100から引いた値とする。
本開示のエッチング液組成物中のエッチング抑制剤の配合量は、光沢度の低下抑制の観点から、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下が更に好ましい。同様の観点から、本開示のエッチング液組成物中のエッチング抑制剤の配合量は、0.01質量%以上10質量%以下が好ましく、0.1質量%以上5質量%以下がより好ましく、0.5質量%以上3質量%以下が更に好ましい。エッチング抑制剤が2種以上の組合せである場合、エッチング抑制剤の配合量はそれらの合計配合量である。
[水]
本開示のエッチング液組成物は、一又は複数の実施形態において、水を含む。本開示のエッチング液に含まれる水としては、蒸留水、イオン交換水、純水及び超純水等が挙げられる。
本開示のエッチング液組成物中の水の配合量は、光沢度の低下抑制の観点から、2質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、7質量%以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。同様の観点から、本開示のエッチング液組成物中の水の配合量は、2質量%以上30質量%以下が好ましく、5質量%以上25質量%以下がより好ましく、7質量%以上20質量%以下が更に好ましい。
[その他の成分]
本開示のエッチング液組成物は、本開示の効果が損なわれない範囲で、その他の成分をさらに配合してなるものであってもよい。その他の成分としては、リン酸及び硝酸以外の無機酸、キレート剤、界面活性剤、可溶化剤、防腐剤、防錆剤、殺菌剤、抗菌剤、酸化防止剤等が挙げられる。
本開示のエッチング液組成物は、エッチングむら低減の観点から、過酸化水素を実質的に含まないことが好ましい。ここで、実質的に含まないとは、エッチング液組成物中における過酸化水素の配合量が、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以下、更に好ましくは0.01質量%以下、更に好ましくは0質量%、即ち、含有しないことを意味する。
[エッチング液組成物の製造方法]
本開示のエッチング液組成物は、一又は複数の実施形態において、リン酸と、硝酸と、有機酸と、非有機陽イオン成分と、エッチング抑制剤と、水と、所望により上述した任意成分とを公知の方法で配合することにより得られる。したがって、本開示は、一態様において、少なくとも、リン酸と、硝酸と、有機酸と、非有機陽イオン成分と、エッチング抑制剤と、水とを配合する工程を含む、エッチング液組成物の製造方法(以下、「本開示のエッチング液製造方法」ともいう)に関する。
本開示において「少なくとも、リン酸と、硝酸と、有機酸と、非有機陽イオン成分と、エッチング抑制剤と、水とを配合する」とは、一又は複数の実施形態において、リン酸と、硝酸と、有機酸と、非有機陽イオン成分と、エッチング抑制剤と、水と、必要に応じて上述した任意成分とを同時に又は順に混合することを含む。混合する順序は、特に限定されなくてもよい。前記配合は、例えば、プロペラ型撹拌機、ポンプによる液循環撹拌、ホモミキサー、ホモジナイザー、超音波分散機及び湿式ボールミル等の混合器を用いて行うことができる。
本開示のエッチング液製造方法において各成分の好ましい配合量は、上述した本開示のエッチング液組成物中の各成分の好ましい配合量と同じとすることができる。
本開示において「エッチング液組成物中の各成分の配合量」とは、一又は複数の実施形態において、エッチング工程に使用される、すなわち、エッチング処理への使用を開始する時点(使用時)でのエッチング液組成物中の各成分の配合量をいう。
本開示のエッチング液組成物中の各成分の配合量は、一又は複数の実施形態において、本開示のエッチング液組成物中の各成分の含有量とみなすことができる。ただし、中和の影響を受ける場合は、配合量と含有量が異なる場合がある。
本開示のエッチング液組成物は、一又は複数の実施形態において、リン酸、硝酸及び有機酸を含む混酸組成物と、非有機陽イオン成分と、エッチング抑制剤とを配合することにより得ることができる。したがって、本開示は、一態様において、本開示のエッチング液組成物の製造方法であって、リン酸、硝酸及び有機酸を含む混酸組成物と、非有機陽イオン成分と、エッチング抑制剤とを配合して本開示のエッチング液組成物を得る工程を含む、エッチング液組成物の製造方法に関する。
前記混酸組成物には、水、及び、必要に応じて上述したその他の成分が含まれていてもよい。前記混酸組成物と前記非有機陽イオン成分と前記エッチング抑制剤との配合は、上述した混合器を用いて行うことができる。
前記混酸組成物中のリン酸の配合量は、光沢度の低下抑制の観点から、25質量%以上90質量%以下が好ましく、30質量%以上85質量%以下がより好ましく、35質量%以上80質量%以下が更に好ましい。
前記混酸組成物中の硝酸の配合量は、光沢度の低下抑制の観点から、0.5質量%以上20質量%以下が好ましく、1質量%以上15質量%以下がより好ましく、2質量%以上10質量%以下が更に好ましい。
前記混酸組成物中の有機酸の配合量は、光沢度の低下抑制の観点から、10質量%以上70質量%以下が好ましく、15質量%以上65質量%以下がより好ましく、20質量%以上60質量%以下が更に好ましい。
前記混酸組成物中のリン酸と有機酸と硝酸との質量比(リン酸/有機酸/硝酸)は、光沢度の低下抑制の観点から、25~90/8~70/0.5~20が好ましく、30~85/8~65/1~15がより好ましく、35~80/8~60/2~10が更に好ましい。
前記混酸組成物中の水の配合量は、光沢度の低下抑制の観点から、1質量%以上30質量%以下が好ましく、3質量%以上25質量%以下がより好ましく、5質量%以上20質量%以下が更に好ましい。
前記混酸組成物は、一又は複数の実施形態において、本開示のエッチング液組成物の製造に使用される。したがって、本開示は、一態様において、本開示のエッチング液組成物の製造方法に使用するための混酸組成物であって、リン酸、硝酸及び有機酸を含む、混酸組成物に関する。
本開示のエッチング液組成物の実施形態は、全ての成分が予め混合された状態で市場に供給される、いわゆる1液型であってもよいし、使用時に混合される、いわゆる2液型であってもよい。2液型のエッチング液組成物としては、水が第1液と第2液とに分かれており、リン酸、硝酸、有機酸、非有機陽イオン成分、及びエッチング抑制剤がそれぞれ、第1液及び第2液のうちのいずれか一方又は双方に含まれており、使用時に第1液と第2液とが混合されるものが挙げられる。第1液及び第2液はそれぞれ必要に応じて上述した任意成分を含有してもよい。
本開示のエッチング液組成物のpHは、光沢度の低下抑制の観点から、1以下が好ましく、0以下がより好ましく、0未満が更に好ましく、-1程度が更に好ましい。なお、本開示のエッチング液組成物のpHは、好ましくは-5以上、より好ましくは-3以上とすることができる。本開示において、エッチング液組成物のpHは、25℃における値であって、pHメータを用いて測定でき、具体的には、実施例に記載の方法で測定できる。
本開示のエッチング液組成物は、その安定性が損なわれない範囲で濃縮された状態で保存および供給されてもよい。この場合、製造・輸送コストを低くできる点で好ましい。そしてこの濃縮液は、必要に応じて水又は酸水溶液を用いて適宜希釈してエッチング工程で使用することができる。希釈割合は例えば、3~100倍とすることができる。
[キット]
本開示は、その他の態様において、本開示のエッチング液組成物を製造するためのキット(以下、「本開示のキット」ともいう)に関する。
本開示のキットとしては、一又は複数の実施形態において、第1液と第2液とを相互に混合されない状態で含み、リン酸、硝酸、有機酸、非有機陽イオン成分、及びエッチング抑制剤がそれぞれ、第1液及び第2液のうちのいずれか一方又は双方に含まれており、使用時に第1液と第2液とが混合されるキット(2液型エッチング液)が挙げられる。第1液と第2液とが混合された後、必要に応じて水又は酸水溶液を用いて希釈されてもよい。第1液又は第2液には、エッチング液の調製に使用する水の全量又は一部が含まれていてもよい。第1液及び第2液にはそれぞれ必要に応じて、上述した任意成分が含まれていてもよい。
本開示のキットとしては、例えば、非有機陽イオン成分及びエッチング抑制剤を含む溶液(第1a液)と、リン酸、硝酸及び有機酸を含む混酸組成物(第2a液)とを相互に混合されない状態で含み、これらが使用時に混合されるキット(2液型エッチング液)が挙げられる。第1a液と第2a液とが混合された後、必要に応じて水又は酸水溶液を用いて希釈されてもよい。第1a液又は第2a液には、エッチング液の調製に使用する水の全量又は一部が含まれていてもよい。第2a液に含まれる酸は、エッチング液の調製に使用する酸の全量でもよいし、一部でもよい。第1a液は、酸を含んでいてもよい。第1a液及び第2a液にはそれぞれ必要に応じて、上述した任意成分が含まれていてもよい。
本開示のキットによれば、エッチング後に金属膜の光沢度が損なわれにくいエッチング液が得られうる。
[被エッチング膜]
本開示のエッチング液組成物を用いてエッチング処理される被エッチング膜は、一又は複数の実施形態において、少なくとも1種の金属を含む金属膜である。ここで、金属としては、本開示の効果の奏する限り特に限定されるものではないが、例えば、タングステン、タンタル、ジルコニウム、ハフニウム、モリブデン、ニオブ、ルテニウム、オスミウム、レニウム、ロジウム、銅、ニッケル、コバルト、チタン、窒化チタン、アルミナ、アルミニウム及びイリジウムから選ばれる少なくとも1種の金属が挙げられる。これらの中でも、本開示のエッチング液組成物は、一又は複数の実施形態において、タングステン、タンタル、ジルコニウム、モリブデン、ニオブ、及びニッケルから選ばれる少なくとも1種の金属を含む金属膜のエッチングに用いられることが好ましく、一又は複数の実施形態において、タングステン膜、モリブデン膜、又はニッケル膜のエッチングに好適に用いられる。すなわち、被エッチング膜は、一又は複数の実施形態において、タングステン膜、モリブデン膜又はニッケル膜である。
[エッチング方法]
本開示は、一態様において、本開示のエッチング液組成物を用いて、少なくとも1種の金属を含む金属膜をエッチングする工程(以下、「本開示のエッチング工程」ともいう)を含む、エッチング方法(以下、「本開示のエッチング方法」ともいう)に関する。本開示のエッチング方法によれば、エッチング後に金属膜の光沢度が損なわれにくいエッチング方法を提供できる。
本開示のエッチング工程において、エッチング処理方法としては、例えば、浸漬式エッチング、枚葉式エッチング等が挙げられる。
一又は複数の実施形態において、被エッチング膜がタングステン膜の場合、本開示のエッチング工程におけるエッチング液組成物の温度(エッチング温度)は、エッチングむら低減の観点から、0℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましく、70℃以上が更に好ましく、そして、150℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましく、110℃以下が更に好ましい。同様の観点から、一又は複数の実施形態において、被エッチング膜がタングステン膜の場合、エッチング温度は、0℃以上150℃以下が好ましく、50℃以上130℃以下がより好ましく、70℃以上110℃以下が更に好ましい。
一又は複数の実施形態において、被エッチング膜がモリブデン膜の場合、本開示のエッチング工程におけるエッチング液組成物の温度(エッチング温度)は、エッチングむら低減の観点から、0℃以上が好ましく、15℃以上がより好ましく、25℃以上が更に好ましく、そして、80℃以下が好ましく、65℃以下がより好ましく、50℃以下が更に好ましい。同様の観点から、一又は複数の実施形態において、被エッチング膜がモリブデン膜の場合、エッチング温度は、0℃以上80℃以下が好ましく、15℃以上65℃以下がより好ましく、25℃以上50℃以下が更に好ましい。
一又は複数の実施形態において、被エッチング膜がニッケル膜の場合、本開示のエッチング工程におけるエッチング液組成物の温度(エッチング温度)は、エッチングむら低減の観点から、0℃以上が好ましく、15℃以上がより好ましく、30℃以上が更に好ましく、そして、80℃以下が好ましく、65℃以下がより好ましく、50℃以下が更に好ましい。同様の観点から、一又は複数の実施形態において、被エッチング膜がニッケル膜の場合、エッチング温度は、0℃以上80℃以下が好ましく、15℃以上65℃以下がより好ましく、30℃以上50℃以下が更に好ましい。
本開示のエッチング工程において、エッチング時間は、例えば、1分以上180分以下に設定できる。
一又は複数の実施形態において、被エッチング膜がタングステン膜の場合、本開示のエッチング工程におけるエッチング速度は、生産性向上の観点から、0.0001mg/分以上が好ましく、0.0005mg/分以上がより好ましく、0.001mg/分以上が更に好ましく、そして、エッチングむら低減の観点から、10mg/分以下が好ましく、1mg/分以下がより好ましく、0.1mg/分以下が更に好ましい。
一又は複数の実施形態において、被エッチング膜がモリブデン膜の場合、本開示のエッチング工程におけるエッチング速度は、生産性向上の観点から、0.01mg/分以上が好ましく、0.03mg/分以上がより好ましく、0.05mg/分以上が更に好ましく、そして、エッチングむら低減の観点から、10mg/分以下が好ましく、3mg/分以下がより好ましく、1mg/分以下が更に好ましい。
一又は複数の実施形態において、被エッチング膜がニッケル膜の場合、本開示のエッチング工程におけるエッチング速度は、生産性向上の観点から、0.001mg/分以上が好ましく、0.005mg/分以上がより好ましく、0.01mg/分以上が更に好ましく、そして、エッチングむら低減の観点から、10mg/分以下が好ましく、1mg/分以下がより好ましく、0.5mg/分以下が更に好ましい。
本開示のエッチング液組成物及び本開示のエッチング方法は、一又は複数の実施形態において、電子デバイス、特に、半導体ウエハの製造工程において、金属をエッチングするために用いることができる。
本開示のエッチング液組成物及び本開示のエッチング方法は、一又は複数の実施形態において、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、及び太陽電池用基板から選ばれる少なくとも1種の基板の作製に好適に用いることができる。すなわち、本開示は、一態様において、本開示のエッチング液組成物又は本開示のエッチング方法を用いて、基板上に形成された金属膜をエッチングする工程を含み、前記基板は、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、及び太陽電池用基板から選ばれる少なくとも1種の基板である、基板処理方法(以下、「本開示の基板処理方法ともいう」)に関する。本開示の基板処理方法によれば、エッチング後に金属膜の光沢度が損なわれにくいため、生産性、収率を向上できる。
本開示のエッチング液組成物及び本開示のエッチング方法は、一又は複数の実施形態において、電子デバイス、特に、NAND型フラッシュメモリを含む不揮発性メモリ等の半導体メモリの製造工程において、電極をエッチングするために用いることができる。
本開示のエッチング液組成物及び本開示のエッチング方法は、一又は複数の実施形態において、三次元構造を有するパターンの作製に好適に用いることができる。これにより、大容量化されたメモリ等の高度なデバイスを得ることができる。
本開示のエッチング液組成物及び本開示のエッチング方法は、例えば、特開2020-145412号公報に開示されるようなエッチング方法に用いることができる。
以下に、実施例により本開示を具体的に説明するが、本開示はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
1.エッチング液の調製(実施例1~6、比較例1~3)
リン酸、硝酸、表1に示す有機酸、表1に示す非有機陽イオン成分、表1に示すエッチング抑制剤及び水を配合して実施例1~6、比較例1~3のエッチング液(pH:-1)を得た。
調製したエッチング液における各成分の配合量(質量%、有効分)を表1に示した。なお、表1中の水の配合量には、酸水溶液等に含まれる水の配合量も含まれている。
エッチング液の調製には、下記成分を用いた。
リン酸[燐化学工業社製、濃度85%]
硝酸[富士フイルム和光純薬株式会社、濃度70%]
(有機酸)
酢酸[富士フイルム和光純薬株式会社、濃度100%]
プロピオン酸[富士フイルム和光純薬株式会社、濃度98%]
(非有機陽イオン成分の供給源)
水酸化アンモニウム[アンモニア水、濃度29%]
(エッチング抑制剤)
ポリエチレンイミン[数平均分子量1,800、株式会社日本触媒製の「エポミンSP-018」]
ジエチレントリアミン[分子量103、東ソー株式会社の「DETA」]
(水)
水[栗田工業株式会社製の連続純水製造装置(ピュアコンティ PC-2000VRL型)とサブシステム(マクエース KC-05H型)を用いて製造した超純水]
2.エッチング液のpHの測定方法
エッチング液の25℃におけるpH値は、pHメータ(東亜ディーケーケー社製)を用いて測定した値であり、pHメータの電極をエッチング液へ浸漬して1分後の数値である。
3.エッチング液の評価
[タングステン板のエッチング速度及びエッチング抑制率の評価]
各組成に調製したエッチング液(実施例1~6及び比較例1~3)に、予め重量を測定した縦2cm、横2cm、厚み0.1mmタングステン板を浸漬させ、タングステン板は90℃で120分間エッチングさせた。その後、水洗浄した後に再度、タングステン板の重量を測定し、その差分をエッチング量とした。重量の測定には、精密天秤を用いた。
そして、下記式によりエッチング速度を求めた。
エッチング速度(mg/分)=エッチング量(mg)/エッチング時間(分)
タングステン板のエッチング速度の結果を、表1に示した。また、比較例1のタングステン板のエッチング速度を100とした各実施例の相対速度を100から引いた値をエッチング抑制率(%)とし、表1に示した。
[ニッケル板のエッチング速度及びエッチング抑制率の評価]
前記タングステン板の代りに縦2cm、横2cm、厚み0.1mmニッケル板を用いたこと、及び、エッチング条件をエッチング温度40℃、エッチング時間10分に変更しこと以外は、前記タングステンのエッチング方法と同様にしてニッケル板のエッチングを行い、ニッケル板のエッチング速度を測定した。ニッケル板のエッチング速度の結果を、表1に示した。また、比較例1のニッケル板のエッチング速度を100とした各実施例の相対速度を100から引いた値をエッチング抑制率(%)とし、表1に示した。
[モリブデン板のエッチング速度及びエッチング抑制率の評価]
前記タングステン板の代りに縦2cm、横2cm、厚み0.1mmモリブデン板を用いたこと、及び、エッチング条件をエッチング温度40℃、エッチング時間10分に変更したこと以外は、前記タングステンのエッチング方法と同様にしてモリブデン板のエッチングを行い、モリブデン板のエッチング速度を測定した。モリブデン板のエッチング速度の結果を、表1に示した。また、比較例1のモリブデン板のエッチング速度を100とした各実施例の相対速度を100から引いた値をエッチング抑制率(%)とし、表1に示した。
[光沢度の評価]
各エッチング液を用いたエッチング後のタングステン板、ニッケル板及びモリブデン板の外観を目視で確認し、エッチング後の光沢度を下記評価基準に基づいて行い、結果を表1に示した。
<評価基準>
5:板全面が鏡面状態
4:板の大部分が鏡面状態だが、一部腐食痕が見られる
3:板の半分が鏡面状態だが、半分は腐食痕が見られる
2:板の大部分は腐食痕が見られる
1:板全面が曇り鏡面が全くない
Figure 2023064706000001
表1に示されるように、エッチング抑制剤を含有する実施例1~6のエッチング液は、エッチング抑制剤が配合されていない比較例1~3に比べて、タングステン板、ニッケル板及びモリブデン板のエッチング速度が遅く、エッチングによる光沢度の低下が抑制されており、エッチング後に金属膜の光沢度が損なわれにくいエッチング組成物であることが分かる。
本開示のエッチング液組成物は、エッチング後に金属膜の光沢度が損なわれにくいため、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、及び太陽電池用基板上の金属膜のエッチングに有用である。

Claims (10)

  1. 基板上に形成された金属膜をエッチングするためのエッチング液組成物であって、
    リン酸、硝酸、有機酸、非有機陽イオン成分、エッチング抑制剤、及び水を含有し、
    前記金属膜は、タングステン、タンタル、ジルコニウム、ハフニウム、モリブデン、ニオブ、ルテニウム、オスミウム、レニウム、ロジウム、銅、ニッケル、コバルト、チタン、窒化チタン、アルミナ、アルミニウム及びイリジウムから選ばれる少なくとも1種の金属を含む金属膜である、エッチング液組成物。
  2. 前記非有機陽イオン成分は、アンモニウムイオン及びアルカリ金属イオンから選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載のエッチング液組成物。
  3. 前記エッチング抑制剤は、有機アミン化合物である、請求項1又は2に記載のエッチング液組成物。
  4. 前記エッチング抑制剤は、ポリアルキレンイミン、ジアリルアミン由来の構成単位を含むポリマー、ポリアルキレンポリアミン、及びアミノ酸から選ばれる少なくとも1種の有機アミン化合物である、請求項1から3のいずれかに記載のエッチング液組成物。
  5. 前記有機酸は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、トリメリット酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、サリチル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスパラギン酸、及びグルタミン酸から選ばれる少なくとも1種である、請求項1から4のいずれかに記載のエッチング液組成物。
  6. 前記非有機陽イオン成分の配合量は、0.1質量%以上20質量%以下である、請求項1から5のいずれかに記載のエッチング液組成物。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載のエッチング液組成物を用いて、少なくとも1種の金属を含む金属膜をエッチングする工程を含む、エッチング方法。
  8. 請求項1から6のいずれかに記載のエッチング液組成物を用いて、基板上に形成された金属膜をエッチングする工程を含み、
    前記基板は、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、及び太陽電池用基板から選ばれる少なくとも1種の基板である、基板処理方法。
  9. 請求項1から6のいずれかに記載のエッチング液組成物の製造方法であって、
    リン酸、硝酸及び有機酸を含む混酸組成物と、非有機陽イオン成分と、エッチング抑制剤とを配合して前記エッチング液組成物を得る工程を含む、エッチング液組成物の製造方法。
  10. 請求項9に記載のエッチング液組成物の製造方法に使用するための混酸組成物であって、
    リン酸、硝酸及び有機酸を含む、混酸組成物。
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