JP2023062408A - 電解槽 - Google Patents

電解槽 Download PDF

Info

Publication number
JP2023062408A
JP2023062408A JP2021172363A JP2021172363A JP2023062408A JP 2023062408 A JP2023062408 A JP 2023062408A JP 2021172363 A JP2021172363 A JP 2021172363A JP 2021172363 A JP2021172363 A JP 2021172363A JP 2023062408 A JP2023062408 A JP 2023062408A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrolytic cell
conductive elastic
elastic body
bent portion
electrode base
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021172363A
Other languages
English (en)
Inventor
弘喜 肥後橋
Hiroyoshi Higohashi
圭吾 石坂
Keigo Ishizaka
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Osaka Soda Co Ltd
Original Assignee
Osaka Soda Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Osaka Soda Co Ltd filed Critical Osaka Soda Co Ltd
Priority to JP2021172363A priority Critical patent/JP2023062408A/ja
Publication of JP2023062408A publication Critical patent/JP2023062408A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Electrolytic Production Of Non-Metals, Compounds, Apparatuses Therefor (AREA)

Abstract

【課題】導電性弾性体を好適に保持可能な電解槽を提供すること。【解決手段】一実施形態では、陽極100と、陰極200と、該陽極と該陰極との間に配置される隔膜300と、前記陽極および前記陰極の一方の電極の背面側に設けられた導電性弾性体400と、前記導電性弾性体の背面側に設けられかつ複数の開口部分を有して成る電極基部500と、前記導電性弾性体を前記電極基部に取り付け可能な取付け部材とを備え、前記取付け部材は、前記導電性弾性体の正面側に設けられたプレート状の本体部分710と、該プレート状の本体部分の所定箇所から連続する第1の屈曲部分721および該第1の屈曲部分と離隔対向する第2の屈曲部分722とを有して成り、ならびに、断面視で、少なくとも、前記プレート状の本体部分と前記導電性弾性体とが直接対向し、前記屈曲部分と前記電極基部とが直接対向可能となっている、電解槽が供される。【選択図】図4

Description

本発明は、電解槽に関する。特に、陽極、陰極、および隔膜を有して成る電解槽に関する。
現在、各種工業において電解が利用されている。電解、すなわち電気分解を行うには電解槽が用いられる。電解槽は、少なくとも陽極と陰極とを備えている。例えば塩化ナトリウム水溶液の電気分解が行われる電解槽は、塩素、水素および水酸化ナトリウム(いわゆる苛性ソーダ)を取り出すことができ、化学工業の基盤となる原料の生産に用いられている。また、水素製造に用いられるアルカリ水溶液の電解にも用いられている。
電解槽では、陽極で生成した物質と陰極で生成した物質との混合を避けるべく隔膜が更に設けられていることが多い。隔膜としてイオン交換膜を用いて塩化ナトリウム水溶液の電気分解を行うプロセスは、“イオン交換膜法食塩電解”等とも称される。
イオン交換膜法食塩電解の分野において、電解槽のタイプは様々なものがあるが、なかでもゼロギャップ式が主流になりつつある。ゼロギャップ式の電解槽では、陽極と隔膜と陰極とを互いに密着させて電極間距離を近づけ、電解液抵抗を減じている。それゆえ、このような電解槽の使用は、電力消費の低減につながる。
国際公開2020/009241号公報 国際公開2020/022440号公報 特許第3686270号公報 特許第5493787号公報
本願発明者は、ゼロギャップ式の電解槽には依然として改善し得る点があることを見出した。ゼロギャップ式の電解槽は、上記の陽極、陰極、および隔膜に加え、陽極および陰極の一方の電極(例えば陰極)の背面側に設けられた導電性弾性体と、導電性弾性体の背面側に設けられた電極基部としての集電板とを更に備える。この点につき、導電性弾性体を保持するための態様として、固定ピンを利用する態様および溶接を利用する態様が存在する。
しかしながら、前者の固定ピンを利用する態様では、固定ピンは、そのメイン軸部分が互いに対向配置される電極側から集電体側へと一方向に延在する構成を採るにすぎないため、固定ピンの抜けが生じ、隔膜等を損傷させる虞がある。又、後者の溶接を利用する態様では、溶接用に、メッキが表面に通常施されている電極基部から当該メッキを除去する必要があるため、メッキの無い電極基部の表面が電解槽内の高濃度アルカリに晒され得る。そのため、当該電極基部の表面が溶解し、電解特性低下の問題が生じる虞がある。
本発明はかかる事情に鑑みて為されたものである。即ち、本発明の主目的は、導電性弾性体を好適に保持可能な電解槽を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明の一実施形態では、
陽極と、陰極と、該陽極と該陰極との間に配置される隔膜と、前記陽極および前記陰極の一方の電極の背面側に設けられた導電性弾性体と、前記導電性弾性体の背面側に設けられかつ複数の開口部分を有して成る電極基部と、前記導電性弾性体を前記電極基部に取り付け可能な取付け部材とを備え、
前記取付け部材は、前記導電性弾性体の正面側に設けられたプレート状の本体部分と、該プレート状の本体部分の所定箇所から連続する第1の屈曲部分および該第1の屈曲部分と離隔対向する第2の屈曲部分とを有して成り、ならびに、断面視で、少なくとも、前記プレート状の本体部分と前記導電性弾性体とが直接対向し、前記屈曲部分と前記電極基部とが直接対向可能となっている、電解槽が供される。
本発明の一実施形態にかかる電解槽によれば、その構成要素である導電性弾性体を好適に保持可能である。
本発明の一実施形態に係る電解槽を模式的に示す分解斜視図 一実施形態に係る電極基部に取り付けられた導電性弾性体を模式的に示す部分拡大平面図 本発明の一実施形態に係る電解槽の構成要素である陰極側支持体を模式的に示す平面図 図3Aの線分II-II’における陰極側支持体を模式的に示す断面図 図3Aの線分I-I’における陰極側支持体を模式的に示す断面図 取付け部材を介して電極基部に取り付けられた導電性弾性体を備える本発明の一実施形態に係る電解槽を模式的に示す部分拡大断面図 本発明の一実施形態に係る電解槽の構成要素である取付け前段階の取付け準備部材を模式的に示す平面図 図5Aの線分III-III’における取付け前段階の取付け準備部材を模式的に示す側面図 本発明の一実施形態に係る電解槽の構成要素である取付け途中段階の取付け準備部材を模式的に示す側面図 本発明の一実施形態に係る電解槽の構成要素である取付け完了段階の取付け部材を模式的に示す断面図 一実施形態に係る取付け前段階の取付け準備部材を模式的に示す平面図 別の実施形態に係る取付け前段階の取付け準備部材を模式的に示す平面図 別の実施形態に係る取付け前段階の取付け準備部材を模式的に示す平面図 別の実施形態に係る電極基部に取り付けられた導電性弾性体を模式的に示す部分拡大平面図 本発明の別の実施形態に係る電解槽の構成要素である取付け前段階の取付け準備部材を模式的に示す平面図 本発明の別の実施形態に係る電解槽の構成要素である取付け途中段階(折り曲げ段階)の取付け準備部材を模式的に示す平面図 本発明の別の実施形態に係る電解槽の構成要素である取付け途中段階(電極基部の開口部分への差し込み段階)の取付け準備部材を模式的に示す断面図 本発明の別の実施形態に係る電解槽の構成要素である取付け完了段階の取付け部材を模式的に示す断面図
以下にて、図面を参照して本発明の一実施形態に係る電解槽を具体的に説明する。図面における各種の要素は、本発明の理解のために模式的かつ例示的に示したにすぎず、概観や寸法比などは実部と異なり得る。
本明細書において「電解槽」とは、広義には、電気分解を行うための装置のことを指しており、狭義には、陽極、陰極およびそれら電極間に設けられる隔膜を少なくとも備えた装置のことを指している。本明細書において「電解用電極」とは、広義には、電気分解を行うための装置に用いられる電極であって、狭義には、かかる装置に用いられる陽極および/または陰極のことを指している。
本明細書でいう「平面視」とは、電解槽を構成する隔膜及び電極等の延在方向に基づく厚み方向に沿って対象物を上側または下側から捉えた場合の形態に基づいている。また、本明細書でいう「断面視」とは、電解槽を構成する支持体及び電極等の厚み方向に対して略垂直な方向からみたときの状態のことである。本明細書で直接的または間接的に用いる“上下方向”および“左右方向”は、それぞれ図中における上下方向および左右方向に相当する。特記しない限り、同じ符号または記号は、同じ部材・部位または同じ意味内容を示すものとする。ある好適な態様では、鉛直方向下向き(すなわち、重力が働く方向)が「下方向」に相当し、その逆向きが「上方向」に相当すると捉えることができる。
本明細書で言及する各種の数値範囲は、下限および上限の数値そのものも含むことを意図している。つまり、例えば1~10といった数値範囲を例にとれば、下限値の“1”を含むと共に、上限値の“10”をも含むものとして解釈される。
まず、本発明の前提となる電解槽の基本的な構成について説明し、その後、本発明の特徴について説明を行う。なお、下記説明においては、電解槽のための電極、すなわち、電解用電極のことを単に「電極」とも称する、または、より具体的に「陽極」もしくは「陰極」とも称する。
[電解槽の基本的構成]
以下、本発明の一実施形態に係る電解槽の基本的構成について図1を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る電解槽を模式的に示す分解斜視図である。図1に示すように、本発明の一実施形態に係る電解槽1000は、陽極100と、陰極200と、陽極100と陰極200との間に配置される隔膜300とを少なくとも備える。
陽極100および陰極200は、電解質溶液に外部から電気エネルギーを与えるための電極である。典型的には、陽極100は、外部電源の正極に接続される電極であり、電解槽の運転時には酸化反応がもたらされ得る電極である。一方、陰極200は、典型的には外部電極の負極に接続される電極であり、電解槽の運転時には還元反応がもたらされ得る電極である。
隔膜300は、典型的には陽極室と陰極室とを隔てる部材である。好ましくは、陽極で生成した物質と陰極で生成した物質との混合を避けるべく隔膜300が設けられる。本発明において、隔膜300は電気分解に常套的に用いられるものであってよい。例えば、隔膜300はイオン交換膜である。あくまでも1つの例示にすぎないが、ソーダ工業に用いられる電解槽では、隔膜300として陽イオン交換膜を用いてよい。
本発明の一実施形態に係る電解槽1000は、陽極100および陰極200の一方の電極の背面側に設けられた導電性弾性体400と、導電性弾性体400の背面側に設けられた電極基部500と、外装体600を更に備え得る。
電極基部500は、導電性と耐食性を有する金属板であり得る。例えば、ニッケル、ステンレス等の板を用いることができる。また、銅等の金属板の表面にニッケル被覆を施したものを用いることができる。又、電極基部500は、電解槽1000内の各電極室内にて電解液および発生ガス等が円滑に流通可能とするために、開口付きの金属板であり得る。
外装体600は、電解槽1000の外装を構成し、1組で2つの支持体(陽極側支持体610と陰極側支持体620)から構成される。陽極側支持体610は、縁部に位置する支持体フレーム610A、支持体フレーム610Aに連続しかつ内部空間(具体的には凹部空間)を形作る底部(図示せず)、および電極基部500を設置するための支持部(リブに相当)(図示せず)を有して成る(図1参照)。同様に、陰極側支持体620は、縁部に位置する支持体フレーム620A、支持体フレーム620Aに連続しかつ内部空間(具体的には凹部空間)を形作る底部620B、および電極基部500を設置するための支持部620C(リブに相当)を有して成る(図1、図3Bおよび図3C参照)。即ち、支持体610、620では、支持体フレームが内部空間(具体的には凹部空間)を取り囲むように構成される。又、各支持体フレーム610A、620Aの上面(封止面に相当)にガスケットが位置づけられることが好ましい。具体的には、ガスケットは電極室内の電解液又は発生したガスを外部への漏れを防ぐために、支持体フレームの封止面間を塞ぐように配置される。ガスケットには弾性があり圧縮による弾性変形を利用することで、支持体フレームの封止面同士間に隙間が生じることが好適に防止されている。
上記のガスケットは電気分解に常套的に用いられるものであってよい。例えば、ガスケットは、アルカリ性に対し耐性があり、シール性が高い弾力性のある材料であることが好ましい。例えば天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム(EPMゴム)、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDMゴム)、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム、多孔質PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等から選択される群から成る少なくとも1種の樹脂材料から構成されていればよい。
図2は、電極基部に取り付けられた導電性弾性体を模式的に示す部分拡大平面図である。図2に示すように、導電性弾性体400は、その導電性に起因して電極間における通電に寄与しつつ、その弾性に起因して電極に対して押圧力を与えることができる。つまり、導電性弾性体400は、電解槽において反力を供することが可能な導電性の部品に相当し、かかる反力を供するために弾性変形が可能な構造を含む。導電性弾性体400は、電解槽1000においてバネ特性を発現させるために弾性変形に付された状態で使用される。具体的には、例えば弾性部430の波状湾曲が減じられるように変形に付された状態で導電性弾性体400が電解槽1000に設けられる。
具体的には、導電性弾性体400の反力は、陽極、陰極およびそれら電極間のイオン交換膜を含む電極組合せ体の押圧に利用される。導電性弾性体400は電極組合せ体の背面側において弾性変形に付された状態で使用され、かかる導電性弾性体400から供される弾性力(すなわち、反力)によって、電極組合せ体に押圧力がもたらされる。特に、弾性変形に付された導電性弾性体400は、一方の電極から他方の電極に向かって押圧力を与えるように働き、それによって電極組合せ体の密着化を促進する。つまり、導電性弾性体400の存在によって、陽極100と隔膜300と陰極200との間に緊密な接触がもたらされ、いわゆるゼロギャップ式として電解槽が好適に機能可能となる。
電解槽1000に用いられる導電性弾性体400は、弾性反発力が生じるのであれば、いずれの形態を有してもよい。例えば、導電性弾性体400は、弾性クッション、弾性マット(例えば金属製コイル体から成る部材、金属製の不織布、金属ワイヤーから成る編物・織物など)、板バネなど種々の形態を有し得る。
一例としては、導電性弾性体400は、所定の間隔をおいて複数形成された開口部分420を備えた固定部410と、当該固定部410から延在する複数の波状湾曲の弾性部430とを備え得る(図2参照)。なお、大型の電解槽においては、導電性弾性体400は単数で用いられるよりも複数設けられ得る(図1参照)。本明細書でいう「固定部」とは、部品の軸または土台となるような主骨格部分のことを意味する。本明細書でいう「弾性部」とは、その軸または土台となる部分から延びる又は分岐するように設けられた副骨格部分のことを意味している。
一例では、複数の弾性部430は、波状湾曲が交互に互い違いに配置された形態を有する。固定部410は、好ましくは長尺状の部材である。また、固定部410は、好ましくは平面的に延在している。弾性部430は、非平面的に延在しており、湾曲した形態を有している。
複数の弾性部430は、固定部410の長手方向沿いの複数の箇所、特に固定部410の側部から延びるように設けられている。複数の弾性部430は、固定部410の片側のみから延在していてよく、または、固定部410の両側からそれぞれ延在してもよい。導電性弾性体400では、固定部410と弾性部430とは互いに一体化していることが好ましい。かかる一体化物では、固定部410が非湾曲な形態を有する一方、弾性部430が湾曲した形態を有する。例えば、湾曲形態の弾性部430は、非湾曲形態の固定部410の長手方向に対して直交する方向に延在している。
かかる形態によれば、導電性弾性体400は、固定部410と複数の弾性部430とを骨格構造とする板バネ形態を成すため、元の形状を取ろうとする応力が働くのでバネ特性として反力が供されると共に、電解槽の使用時に破断が生じにくい。また、導電性弾性体400は、複数の弾性部430の各々が波状に湾曲しており、固定部410の長手方向に沿ってこの波状が非整列な配置状態となり得る。これにより、導電性弾性体400と電極との接点が電解運転時の電流分布にとって好適なものとなる。特に、導電性弾性体400と電極との接点が、いわゆる千鳥格子状の接点となり易い。これにより、電流の流れに偏りが発生しにくく、全体として均一な電流分布となることにつながり得る。その結果、電解運転時の電解電圧が全体として低下し、電解槽1000の運転が効率的となり得る。また、陰極200の構造体抵抗による電圧降下を低減することもできる。
又、導電性弾性体400は、弾性変形可能な構造および導電性の双方の観点から金属製となっている。例えば、導電性弾性体400は、チタン、ニッケル、ステンレス、鉄、および銅、ならびにそれらの合金から成る群から選択される少なくとも1種から成る基材から構成されていてよい。なお、導電性弾性体400の材質は、金属に限らずカーボンであってもよく、それゆえ、金属に加えて又はそれに代えてカーボンから導電性弾性体400が構成されていてもよい。また、そのような基材に対して電解反応触媒が付加されていてもよい。例えば、電解槽1000が食塩電解電解槽となる場合、当該基材に対して白金族金属被覆などが施されてもよく、導電性弾性体400に水素発生触媒機能などを担わせてもよい。
又、電解槽1000において、電極(陽極100および陰極200の少なくとも一方)は、通液性を有する導電性多孔基材であり得る。換言すれば、陽極100および陰極200の少なくとも一方がメッシュ開口を有する電極であることが好ましい。あくまでも例示にすぎないが、例えばエキスパンドメタル、金網(平織メッシュ、綾織メッシュ)またはパンチングメタルなどから電極が構成されていてよい。
耐食性の観点から、陽極100および陰極200の各々は、チタン、ニッケル、ステンレス鋼、タンタル、ジルコニウムおよびニオブ等から成る群から選択される少なくとも1種を含んで成り得る。また、そのような陽極100および陰極200の各々には適当な触媒が担持されていてよい。導電性の多孔基材における開口率は、特に制限されるわけではないが、20%~90%程度、例えば30%~80%、40%~75%または50%~75%などであってよい。
電解槽は、好ましくはゼロギャップ式であるところ、かかるゼロギャップ式に適した特徴を有している。そのような特徴の1つとして、電極材の剛性および可撓性といった所謂硬さや柔らかさの点で陽極100および陰極200が特徴を有している。具体的には、陽極100および陰極200の一方が、他方に対して相対的に可撓性を有しており、逆に当該他方が一方に対して相対的に剛性を有していることが好ましい。これにより、相対的に可撓性を有する電極が、導電性弾性体の反力を受けて撓むことができる一方、相対的に剛性を有する電極が、隔膜300を介してその撓みを受け止めることができる。
かかる観点から、陽極とイオン交換膜と陰極との間の互いの密着がより好適になり、電解槽が“ゼロギャップ式”としてより好適に機能できる。このようなことは、電解槽が大型の場合に特に当てはまる。つまり、ゼロギャップ式食塩電解の場合などに代表されるように、ゼロギャップのための押圧を必要とする電極主面が大きい場合に特に当てはまる。
所望の電解生成物をより大量に得るには、より大きな電解槽が用いられるが、電極の主面(特に、陽極100と陰極200とが互いに対向する主面)も、それに伴って大きくなる。大型のゼロギャップ式電解槽は、複数の電解槽ユニットから好ましくは構成され、その電解槽ユニットの各々では、対向する両側面に大きな電極主面が設けられている。あくまでも一例であるが所謂“複極式”の電解槽を例に採り説明すると、電解槽ユニットの対向する両側面の一方に陰極200(例えば、エキスパンドメタルから成る陰極面)が設けられている一方、当該両側面の他方に陽極100(例えば、エキスパンドメタルから成る陽極面)が設けられている。電解槽では、そのような電解槽ユニット同士が隔膜300(特に陽イオン交換膜)を介して互いに重ね合わさるように複数連結されている。
特に、隣接する電解槽ユニットでは、一方の電解槽ユニットの陰極面と、他方の電解槽ユニットの陽極面とが向き合うようにして重ねられる。このように複数の電解槽ユニットがイオン交換膜を介して組み合わされることによって電解槽が構成されている。なお、複数の電解槽ユニットから構成される電解槽としては“複極式”に限らず、“単極式”であってもよい。つまり、電解槽を構成する電極槽ユニットとして、陽極部と陰極部とを対向する両側面に備えた複極式の電解槽ユニットであることに限らず、対向する両側面に陽極部のみ及び陰極部のみを備えた“単極式”の電解槽ユニットであってもよい。かかる場合、陽極部のみを備える電解槽ユニットと陰極部のみを備える電解槽ユニットとがイオン交換膜を介して交互に配置されるように組み合わされることで、電解槽が構成され得る。
電解槽ユニットから構成される電解槽は、電極主面サイズが比較的大きく、その大きな電極面を通じて所望の電解反応がなされるので好ましいものの、電極面の平面度を保つのが難しくなる。具体的には、電極主面は、そのサイズが大きくなればなるほど、自重に起因した撓み等の影響が無視できなくなる傾向があり、また、電極支持体への取付けなども影響し、かかる電極主面は完全な平坦面を取り難い。例えば図1で例示したような電解槽1000でいえば、陽極面および陰極面の主面サイズは、数mオーダのサイズとなっている。好適な平坦面となるべく電極に剛性を持たせた場合であっても、そのような大きな電極主面では、上記理由等から例えば±0.5mm~1.0mm程度の平面度となっており、完全な平坦面(すなわち、平面度が0mm)とはなり難い。換言すれば、大型の電解槽において、剛性の電極主面は、巨視的には平坦に見えても、微視的にみれば局所的凹凸を伴った面となる傾向がある。
イオン交換膜を介して完全な平坦面となっていない電極同士を密着させると、その凹凸によって、電流分布の均一化が損なわれたりするおそれがある。そこで、好適な電解槽では、剛性電極に対して、それと対を成す電極を柔らかい可撓性電極としている。これにより、イオン交換膜を介して電極同士が強く密着させられたとしても、剛性電極面の凹凸に追随するように可撓性電極が撓むことになり、結果として電流分布の不均一化などが好適に防止され得る。
あくまでも一例であるが、陽極が相対的に硬い剛性のエキスパンドメタルから構成される一方、陰極が相対的に柔らかい可撓性のエキスパンドメタルから構成されていてよい。そして、イオン交換膜を介して陽極の剛性エキスパンドメタルと組み合わされる陰極の可撓性エキスパンドメタルの背面側に導電性弾性体400が設けられ得る。かかる場合、導電性弾性体400の反力によって、陰極の可撓性エキスパンドメタルが陽極の剛性エキスパンドメタルに向かって押圧されるが、その際に陰極の可撓性エキスパンドメタルが、陽極の剛性エキスパンドメタルの主面の平面度に応じて局所的に変位することができる。したがって、電解槽ユニット同士が強く締め付けられるように固定され、導電性弾性体400の反力が大きく働くような条件にされた場合であっても、陽極100と隔膜300と陰極200とが互いに好適に密着し、電流分布の不均一化などの不都合な現象は引き起こされ難い。
特に限定されないが、相対的に硬い剛性のエキスパンドメタルは、その特性故、0.2~2.0mm程度の厚みを有し、多孔すなわち開口を成すストランドの幅(刻み幅)は0.2~2.0mm程度であり得る。可撓性エキスパンドメタルはその特性故、0.1~1.0mm程度、好ましくは0.1~0.5mm程度の厚さを有し、多孔すなわち開口を成すストランドの幅は0.1~2.0mm程度、好ましくは0.1~1.5mm程度であり得る。可撓性電極として金網やパンチングメタルを使用する場合には、例えば厚みが0.1~1.0mm程度、好ましくは0.1~0.5mm程度であってよい。金網の場合には金網を構成する金属繊維の略直径を意味する線径φは0.05~1.0mm程度、好ましくは0.1~0.5mm程度となってよい。パンチングメタルの場合には、隣接する開口部間の非開口部長さLが0.1~2.0mm程度、好ましくは0.1~1.5mm程度となってよい。
一例としては、エキスパンドメタルの可撓性の陰極200と、隔膜300と、エキスパンドメタルの剛性陽極100とがその順で重ねられた配置に対して、導電性弾性体400が陰極200の背面側(すなわち、隔膜300の設置側と反対側)に設けられている。導電性弾性体400は、エキスパンドメタルの陰極200と陰極基部500との間で狭窄されるように変形に付されて設けられるので、導電性弾性体400の弾性部430と直接的に接するエキスパンドメタルの可撓性の陰極200には導電性弾性体400の弾性力が直接与えられることになる。その結果、エキスパンドメタルの可撓性の陰極200が、エキスパンドメタルの剛性陽極100に向かって押圧されるように付勢され、可撓性の陰極200と隔膜300と剛性陽極100との互いの密着化がもたらされる。なお、剛性陽極自体は、電解槽ユニットの電極支持体などに動かないように固定されているので、導電性弾性体の弾性力を受け止めるように作用して密着化に寄与する。
[本発明の特徴部分]
以下、本発明の一実施形態に係る電解槽1000の特徴部分について説明する。本願発明者は、その構成要素である導電性弾性体400を好適に保持可能な電解槽の構成について鋭意検討した。その結果、本願発明者は、下記の特徴を有する本発明の一実施形態に係る電解槽を案出するに至った。
本発明の一実施形態に係る電解槽1000は、導電性弾性体400を電極基部500に取り付け可能な取付け部材700を更に備える(図1~図4参照)。本発明の一実施形態では、かかる取付け部材700の構成に技術的特徴がある。
取付け部材700は、導電性弾性体400の正面側に設けられたプレート状の本体部分710と、プレート状の本体部分710の所定箇所から連続する少なくとも2つの屈曲部分720とを有して成る。屈曲部分720はカシメ部分であり得る。具体的には、少なくとも2つの屈曲部分720は、第1の屈曲部分721および当該第1の屈曲部分721と離隔対向する第2の屈曲部分722とを有して成る。
一実施形態では、上記の屈曲部分720はプレート状の本体部分710のメイン領域713内から連続することができる(図2および図4参照)。この場合、取付け部材700の本体部分710は導電性弾性体400の固定部410の長手方向に沿って延在するように配置され得る。別の実施形態では、上記の屈曲部分720αはプレート状の本体部分710αの側部領域712αから連続することができる(図7および図8D参照)。この場合、取付け部材700αの本体部分710αは導電性弾性体400αの固定部410αの短手方向に沿って延在するように配置され得る。
以下では、上記の一実施形態を例に採り説明を行う。上記の第1の屈曲部分721および第2の屈曲部分722の各々は、断面視で、プレート状の本体部分710と対向する第1領域720Aと、プレート状の本体部分710の延在方向に対して交差する方向に延在する第2領域720B(所定領域に相当)とを有して成る。本明細書でいう「第1領域720Aがプレート状の本体部分710と対向する」とは、第1領域720Aの主面がプレート状の本体部分710の主面と対向可能な位置関係を指す。
更に、断面視で、少なくとも、プレート状の本体部分710と導電性弾性体400とが直接対向し、屈曲部分720と電極基部500とが直接対向可能となっている。具体的には、プレート状の本体部分710の背面側主面711と導電性弾性体400とが直接対向し、屈曲部分720と電極基部500の背面側主面510および側面520とが直接対向可能となっている(図4参照)。なお、本明細書でいう「プレート状の本体部分710の背面側主面710」とは可撓性の電極(例えば可撓性の陰極)を基準として遠位側に設けられた本体部分710の主面を指す。又、本明細書でいう「電極基部500の背面側主面510」とは導電性弾性体400を基準として遠位側に設けられた電極基部500の主面を指し、具体的には電極基部500の背面側において隣り合う開口部間に形成された連続主面を指す。かかる構成によれば、断面視で、取付け部材700の本体部分710が導電性弾性体400と当接し、各屈曲部分720が電極基部500と当接可能となる。具体的には、断面視で、少なくとも第1の屈曲部分721および第2の屈曲部分722が電極基部500と当接可能となる。
又、別の観点から言えば、断面視で、取付け部材700の本体部分710と、当該本体部分710に連続する第1の屈曲部分721と、第2の屈曲部分722とにより囲まれる領域内に、少なくとも電極基部500の一部が位置付けられる。かかる構成によれば、断面視で、取付け部材700の本体部分710は電極基部500と直接対向可能となると共に、屈曲部分720が電極基部500と当接可能となる。
一方、上記別の実施形態に基づき屈曲部分720αがプレート状の本体部分710αの側部領域712αから連続する場合、取付け部材700αの本体部分710αと、当該本体部分710αに連続し、少なくとも相互に対向する2つの屈曲部分720α(第1の屈曲部分721αと第2の屈曲部分722α)とにより囲まれる領域内に、導電性弾性体400αの一部と電極基部500の一部とが相互に重なり合う重複部分800が位置付けられ得る(図7および図8D)。
更に別の観点でいえば、屈曲部分720の第2領域720Bが、少なくとも、相互に対向する電極基部500の第1の開口部分530と第1の開口部分530に離隔対向する第2の開口部分540とに差し込み可能となっている。これにより、断面視で、相互に対向する2つの屈曲部分720の第2領域720B間に電極基部500が挟み込まれる。
一例では、導電性弾性体400と電極基部500との間にて、相互に重なり合う導電性弾性体400の開口部分420と電極基部500の第1の開口部分530とにより、第1の重複開口部分Xが形成される。又、相互に重なり合う導電性弾性体400の開口部分420と電極基部500の第2の開口部分540とにより、第1の重複開口部分Xに離隔対向する第2の重複開口部分Yが形成される。かかる状態において、本発明の一実施形態では、断面視で、各屈曲部分720の第2領域720Bが、この第1の重複開口部分Xと第2の重複開口部分Yとにそれぞれ差し込まれ得る。
なお、本明細書でいう「重複開口部分」とは、導電性弾性体400と電極基部500との間にて、電極基部500の開口部分530、540と導電性弾性体400の開口部分420とが相互に重なり合って形成される開口部分を指す。
以上の事から、導電性弾性体400の延在方向(長手方向に相当)および厚み方向(短手方向に相当)にそれぞれ向かう力が作用するとしても、取付け部材700の本体部分710および屈曲部分720が導電性弾性体400のずれ移動を抑制することができる。その結果、本発明の一実施形態によれば、導電性弾性体400を所定箇所に好適に保持可能となる。以上の事から、本発明の一実施形態は、従前の「固定ピンを利用する態様」および「溶接を利用する態様」を用いなくとも、導電性弾性体400の所定箇所への好適な保持可能である点で有利である。
又、従前の「固定ピンを利用する態様」と比べて、本発明の一実施形態では、屈曲部分が2つ以上存在するため、取付け部材700と電極基部500との当接ポイントの数を増やすことが可能となる。これにより、電解運転時に、電流の流れに偏りが発生しにくくなり得るため、電解電圧を全体として低下させることができ得る。
ある好適な態様では、第1の屈曲部分と第2の屈曲部分とを有して成る屈曲部分群が、所定の間隔をおいて2つ以上設けられる。かかる態様によれば、断面視で、少なくとも、屈曲部分と電極基部とが直接対向する部分の数を増やすことが可能となる。これにより、断面視で、少なくとも屈曲部分と電極基部との当接ポイントの数を増やすことが可能となる。従って、導電性弾性体を所定箇所により好適に保持可能となる。
一実施形態では、相互に隣り合う一方の屈曲部分群750と他方の屈曲部分群750とは導電性弾性体400の固定部410の延在方向に沿って直列上に配置され得る(図2および図4参照)。この場合、取付け部材700の本体部分710が電極基部500と直接対向可能であることを前提として、屈曲部分720と電極基部500とが直接対向する部分の数を増やすことが可能となる。これにより、断面視で、屈曲部分720と電極基部500との当接ポイントの数を増やすことが可能となる。従って、導電性弾性体400を所定箇所により好適に保持可能となる。
一方、別の実施形態に基づき屈曲部分720αがプレート状の本体部分710αの側部領域712αから連続する場合、相互に隣り合う一方の屈曲部分群750αと他方の屈曲部分群750αとは導電性弾性体400αの固定部410αの延在方向に対して略垂直方向に沿って直列上に配置され得る(図7および図8D参照)。かかる構成においては、取付け部材700αの本体部分710αと、相互に対向する2つの屈曲部分720αとにより囲まれる領域内に位置付けられ得る「導電性弾性体400αの一部と電極基部500の一部との重複部分800」が2組以上設けられ得る。これにより、断面視でプレート状の本体部分710αと導電性弾性体400αとが直接対向する部分の数も増やすことができる。そのため、屈曲部分720αと電極基部500との当接ポイントの数に加えて、プレート状の本体部分710αと導電性弾性体400αとの当接ポイントの数も増やすことが可能となる。以上の事からも、本態様によれば、導電性弾性体400αを所定箇所により好適に保持可能となる。
(本発明の一実施形態に係る電解槽1000の製造方法)
以下、本発明の一実施形態に係る電解槽1000の製造方法について説明する。特に、本発明の一実施形態に係る電解槽1000の製造方法は、既述の構成を有する「取付け部材700の形成工程」を含む。
図5Aは、本発明の一実施形態に係る電解槽の構成要素である取付け前段階の取付け準備部材700Iを模式的に示す平面図である。図5Bは、図5Aの線分III-III’における取付け前段階の取付け準備部材を模式的に示す側面図である。
以下では、一実施形態に従い、プレート状の本体部分710のメイン領域713から連続する屈曲部分720(図2および図4参照)を形成する場合を例に採り、以下説明する。図5Aおよび図5Bに示すように、まず、取付け前段階の取付け準備部材700Iを用意する。かかる取付け準備部材700Iは、取付け前にて相互に離隔対向する第1のスリット部分730Iと第2のスリット部分740Iとを備えるプレート状部材である。即ち、使用前の取付け準備部材700Iは、プレート状の本体部分710Iと少なくとも2つの相互に対向するスリット部分730I、740Iとを有して成る。
かかる第1のスリット部分730Iおよび第2のスリット部分740Iのスリット形態に起因して、各スリット部分に囲まれる内側領域711Iは可撓性を有することができる。そのため、各スリット部分に囲まれる可撓性部分を下方向へと押し出すことで、図5Aおよび図5Bに示す初期状態から図5Cに示す中間状態にうつすことができる。
なお、各スリット部分は平面視で外側又は内側に湾曲する形態をとることができる。又、各スリット部分は、プレート状の本体部分710Iの長手方向に沿って一列上に配置され得る。特に限定されるものではないが、一例では、図5Aおよび図6Aに示すように、平面視で外側にU字状に湾曲する形態をとることができる。別例では、図6Bに示すように、平面視で1つの屈曲ポイントを有し、かつ外側に湾曲する形態をとることができる。更なる別例では、図6Cに示すように、平面視で2つの屈曲ポイントを有し、かつ外側に湾曲する形態をとることができる。
図5Cは、本発明の一実施形態に係る電解槽の構成要素である取付け途中段階の取付け部材を模式的に示す側面図である。図5Cに示す中間状態では、プレート状の本体部分710Iの延在方向に対して略垂直方向に延在する2つの延在部分720I(第1の延在部分721Iおよび第2の延在部分722I)を形成することができる。これにより、プレート状の本体部分710Iおよび2つの延在部分720I(第1の延在部分721Iおよび第2の延在部分722I)を有して成る取付け準備部材700Iを供することができる。なお、第1の延在部分721Iおよび第2の延在部分722Iは、相互に離隔対向する配置関係となっている。
そして、導電性弾性体400を設置する側の支持体の支持部(リブに相当)上にて、溶接等により縁部を支持体フレーム側に溶接して、電極基部500を設置する。導電性弾性体400を設置する側の支持体としては、例えば、図1および図3A~図3Cに示す陰極側の支持体を用いることができる。この場合、電極基部500は陰極基部となり得る。電極基部500の設置後、電極基部500の主面と対向するように導電性弾性体400を設置して、支持体フレームに溶接した金属板(例えばNi板)に設置した導電性弾性体400の両端部をスポット溶接させる。
かかる状態にて、図2に示すように、例えば、導電性弾性体400の固定部410上に本体部分710I(図5C併せて参照)が位置づけられるように、取付け準備部材700Iを設ける。一実施形態では、取付け準備部材として、図5Aに示すスリット部分を有してなるものを用いる場合、本体部分710Iが導電性弾性体400の固定部410の長手方向に沿って延在するように、取付け準備部材700Iを設置する。
具体的には、相互に対向する電極基部500の第1の開口部分530と第2の開口部分540とに、図5Cに示す取付け準備部材700Iの第1の延在部分721Iと第2の延在部分722Iとをそれぞれ差し込む。より具体的には、取付け準備部材として、図5Aに示すスリット部分を有してなるものを用いる場合、断面視で、既述の導電性弾性体400と電極基部500との間にて形成される第1の重複開口部分Xと第2の重複開口部分Yとに、図5Cに示す取付け準備部材700Iの第1の延在部分721Iと第2の延在部分722Iとをそれぞれ差し込む。
取付け準備部材700Iの延在部分720Iの差込み後、図2の右下および図5Cに示す取付け準備部材700Iに形成された開口部分760Iを介して、電極基部500の開口部分530、540を通りぬけるように治具2000を挿入する。治具2000の挿入後、治具2000を用いて、取付け準備部材700Iの第1の延在部分721Iの一部と第2の延在部分722Iの一部(図2および図5D参照)がそれぞれ内側に屈曲するように、2つの延在部分720Iの一部を加締める。
一方、別の実施形態に従い、プレート状の本体部分710αの側部領域712αから連続する屈曲部分720αを形成する場合には、まず、プレート状の本体部分710αIの側部領域712αIに相互に対向する突起720αIを有してなる、取付け前段階の取付け準備部材700αIを用いることができる(図7および図8A参照)。 具体的には、相互に対向する突起720αIは、導電性弾性体400αの固定部410αを長軸としてその両側に位置付け可能に供され得る。かかる2つの突起720αIは、固定部410αの長軸の両側に設置されるのであれば、プレート状の本体部分710αIの側部領域712αIの任意の箇所に配置し得る。
一例では、第1の突起721αIと第2の突起722αIが、本体部分710αIの側部領域712αの短手側714αIに供され得る。別例では、第1の突起721αIと第2の突起722αIが、側部領域712αIの両端側に供されてよい。図面(図8A~図8D)では、第1の突起721αIと第2の突起722αIが、側部領域712αIの両端に供される場合を例に採ったものを図示している。この場合、後述するように、第1の突起721αIと第2の突起722αIとを有して成る突起群750αIが、所定の間隔をおいて2つ以上設けられることが好ましい(図7および図8A参照)。
その後、かかる突起720αIを、プレート状の本体部分710αIの延在方向に対して略下方垂直方向に折り曲げる(図8B参照)。次いで、上述のプレート状の本体部分710のメイン領域713から連続する屈曲部分720(図2および図4参照)を形成する場合と同様に、電極基部500の設置後、電極基部500の主面と対向するように導電性弾性体400αを設置した状態にて、導電性弾性体400αの固定部410α上に本体部分710αIが位置づけられるように、取付け準備部材700αIを設ける。かかる別の実施形態では、取付け準備部材700αIとして、本体部分710αIが導電性弾性体400αの固定部410αの短手方向を跨ぐように、取付け準備部材700αIを設置する(図7参照)。
かかる状態にて、相互に対向する電極基部500の第1の開口部分550と第2の開口部分560とに、プレート状の本体部分710αIの側部712αIに設けられた相互に対向する突起720αIをそれぞれ差し込む(図8C参照)。かかる突起720αIの差込み後、電極基部500の第1の開口部分550および第2の560をそれぞれ通りぬけるように治具を挿入し、その後、治具を用いて、取付け準備部材700αIの少なくとも相互に対向する2つの突起720αIがそれぞれ内側に屈曲するように当該突起720αIを加締める(図8D参照)。
以上により、いずれの実施形態においても、導電性弾性体400、400αの正面側に設けられたプレート状の本体部分710、710αと、プレート状の本体部分710、710αの所定箇所から連続する少なくとも2つの屈曲部分720、720αとを有して成る、取付け部材700、700αを形成することができる(図2、図5D、図7および図8D参照)。
これにより、全体として、図5Dおよび図8D(取付け完了段階の取付け部材を模式的に示す断面図)に示すように、断面視で、導電性弾性体400、400α上に取付け部材700、700αの本体部分710、710αを当接させると共に、屈曲部分720、720α上に電極基部500を当接させることが可能となる。その結果、導電性弾性体400、400αの延在方向(長手方向に相当)および厚み方向(短手方向に相当)にそれぞれ向かう力が作用するとしても、取付け部材700、700αの本体部分710、710αおよび屈曲部分720、720αが導電性弾性体400、400αのずれ移動を抑制することができる。その結果、導電性弾性体400、400αを所定箇所に好適に保持可能となる。
なお、一実施形態において、ある好適な態様では、第1のスリット部分730Iと第2のスリット部分740Iとを有して成るスリット部分群750Iが、所定の間隔をおいて2つ以上設けられる(図5A参照)。又、別の実施形態において、ある好適な態様では、第1の突起721αIと第2の突起722αIとを有して成る突起群750αIが、所定の間隔をおいて2つ以上設けられる(図7および図8A参照)。かかる態様によれば、取付け準備部材700I、700αIから、プレート状の本体部分710I、710αIと屈曲部分720、720αとを有して成る取付け部材700、700αを最終的に形成した際において、断面視で、屈曲部分720、720αと電極基部500とが直接対向する部分の数を増やすことが可能となる。これにより、断面視で、屈曲部分720、720αと電極基部500との当接ポイントの数を増やすことが可能となる。これにより、導電性弾性体400、400αを所定箇所により好適に保持可能となる。それ故、導電性弾性体400、400αを電極基部500により好適に取り付けることが可能となる。導電性弾性体400の取付け後、当該導電性弾性体400と対向するように可撓性の多孔性基材から構成される陰極200を設置する。この場合、陽極側では、導電性弾性体を設置することなく、剛性を有する多孔性基材から構成される陽極100を設ける。
その後、陽極100と陰極200との間に隔膜300を位置付けた状態で、陽極側の支持体フレーム610Aと陰極側の支持体フレーム620Aとを直接対向させた上で両者を接続させる。かかる支持体フレーム同士の接続完了後に、電極室内に電解液を注入する。以上により、本発明の一実施形態に係る電解槽1000を製造することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明してきたが、あくまでも典型例を例示したに過ぎない。従って、本発明はこれに限定されず、種々の態様が考えられることを当業者は容易に理解されよう。
本発明の一実施形態に係る電解槽は、電気分解のために、例えばソーダ工業用に用いることができる。
2000 治具
1000 電解槽
100 陽極
200 陰極
300 隔膜
400、400α 導電性弾性体
410、410α 固定部
420、420α 開口部分
430 弾性部
500 電極基部
510 電極基部の背面側主面
520 電極基部の側面
530、550、570 電極基部の第1の開口部分
540、560、580 電極基部の第2の開口部分
600 外装体
610 陽極側支持体
620 陰極側支持体
610A 陽極側支持体の支持体フレーム
620A 陰極側支持体の支持体フレーム
620B 陰極側支持体の底部
620C 陰極側支持体の支持部(リブに相当)
700、700α 取付け部材
700I、700αI 取付け準備部材
710I、710αI 取付け準備部材のプレート状の本体部分
712αI プレート状の本体部分の側部領域
720I 延在部分
721I 第1の延在部分
722I 第2の延在部分
720αI 取付け準備部材の突起
721αI 第1の突起
722αI 第2の突起
710、710α プレート状の本体部分
711 プレート状の本体部分の背面側主面
712 プレート状の本体部分の側部領域
713 プレート状の本体部分のメイン領域
720 屈曲部分
720A 屈曲部分の第1領域
720B 屈曲部分の第2領域
721 第1の屈曲部分
722 第2の屈曲部分
730I、740I、730II、740II、730III、740III スリット部分
750、750α 屈曲部分群
750I スリット部分群
750αI 取付け準備部材の突起群
800 重複部分(導電性弾性体の一部と電極基部の一部とが相互に重なり合う部分)

Claims (12)

  1. 陽極と、陰極と、該陽極と該陰極との間に配置される隔膜と、前記陽極および前記陰極の一方の電極の背面側に設けられた導電性弾性体と、前記導電性弾性体の背面側に設けられかつ複数の開口部分を有して成る電極基部と、前記導電性弾性体を前記電極基部に取り付け可能な取付け部材とを備え、
    前記取付け部材は、前記導電性弾性体の正面側に設けられたプレート状の本体部分と、該プレート状の本体部分の所定箇所から連続する第1の屈曲部分および該第1の屈曲部分と離隔対向する第2の屈曲部分とを有して成り、ならびに、断面視で、少なくとも、前記プレート状の本体部分と前記導電性弾性体とが直接対向し、前記屈曲部分と前記電極基部とが直接対向可能となっている、電解槽。
  2. 断面視で、前記取付け部材の前記本体部分が前記導電性弾性体と当接し、各屈曲部分が前記電極基部と当接可能となっている、請求項1に記載の電解槽。
  3. 断面視で、前記取付け部材の前記本体部分と、該本体部分に連続する前記第1の屈曲部分と、前記第2の屈曲部分とにより囲まれる領域内に、少なくとも前記電極基部が位置付けられる、請求項1又は2に記載の電解槽。
  4. 断面視で、前記第1の屈曲部分の前記本体部分の延在方向に対して交差する方向に延在する所定領域および前記第2の屈曲部分の前記所定領域が、少なくとも、相互に対向する前記電極基部の第1の開口部分と該第1の開口部分に離隔対向する第2の開口部分とにそれぞれ差し込まれる、請求項1~3のいずれかに記載の電解槽。
  5. 前記導電性弾性体が複数の開口部分を有して成り、断面視で、各屈曲部分の前記所定領域が、相互に重なり合う前記導電性弾性体の前記開口部分と前記電極基部の前記開口部分とにより形成される重複開口部分に差し込まれる、請求項4に記載の電解槽。
  6. 前記第1の屈曲部分と前記第2の屈曲部分とを有して成る屈曲部分群が、所定の間隔をおいて2つ以上設けられる、請求項1~5のいずれかに記載の電解槽。
  7. 前記屈曲部分がカシメ部分である、請求項1~6のいずれかに記載の電解槽。
  8. 前記屈曲部分が前記本体部分のメイン領域から連続する、請求項1~7のいずれかに記載の電解槽。
  9. 前記屈曲部分が前記本体部分の側部領域から連続する、請求項1~8のいずれかに記載の電解槽。
  10. 前記導電性弾性体が固定部および該固定部から延在する弾性部を備え、前記プレート状の本体部分が前記固定部上に配置される、請求項1~9のいずれかに記載の電解槽。
  11. 前記導電性弾性体の前記複数の開口部分が前記固定部に形成されている、請求項5に従属する請求項6~10のいずれかに記載の電解槽。
  12. ゼロギャップ式の電解槽である、請求項1~11のいずれかに記載の電解槽。
JP2021172363A 2021-10-21 2021-10-21 電解槽 Pending JP2023062408A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021172363A JP2023062408A (ja) 2021-10-21 2021-10-21 電解槽

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021172363A JP2023062408A (ja) 2021-10-21 2021-10-21 電解槽

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023062408A true JP2023062408A (ja) 2023-05-08

Family

ID=86270006

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021172363A Pending JP2023062408A (ja) 2021-10-21 2021-10-21 電解槽

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023062408A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN111433391B (zh) 碱性水电解用膜-电极-垫片复合体
CA3021831C (en) Electrolytic cell including elastic member
KR102245994B1 (ko) 이온교환막 전해조 및 탄성체
US6495006B1 (en) Bipolar ion exchange membrane electrolytic cell
JP7473039B2 (ja) 電解槽用の導電性弾性体および電解槽
CN114555866A (zh) 碱性水电解槽用弹性垫
KR860001501B1 (ko) 전극소자 및 그 제조방법
JP2023062408A (ja) 電解槽
CN113279003A (zh) 用于电解槽的电极结构
JP2022054191A (ja) 電解槽
CN114144606B (zh) 电解槽用密封垫及使用该电解槽用密封垫的电解槽
JP7496480B2 (ja) 電解槽
JP7202759B2 (ja) 弾性マット及び電解槽
JP2022180793A (ja) 電解槽
TW202214912A (zh) 鹼水電解槽
JP2021130837A (ja) 電解槽のための電極構造
JP2014214350A (ja) イオン交換膜電解槽