JP2023062264A - 距離計測装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】計測可能な距離レンジを長くできる距離計測装置を提供すること。【解決手段】距離計測装置は、第1波長の第1パルス光を出力する第1レーザー光源と、第1波長とは異なる第2波長の第2パルス光を、第1パルス光がオフの期間に出力する第2レーザー光源と、第1パルス光と第2パルス光とを同じ光軸上に合波して測定対象に照射する光学系と、測定対象で反射し、第1パルス光と第2パルス光とが合波された第1反射光を受光し、光電変換する第1受光素子と、第1受光素子からの信号が入力され、第1反射光のエネルギーのローレベルとハイレベルとの差に応じた電気信号を生成する処理部と、を備える。【選択図】図1
Description
本開示は、距離計測装置に関する。
パルス発光したレーザー光を走査し、測定対象からの反射光を受光素子で検出して、発光から検出までの時間と光速から距離を算出する距離計測装置の水中での利用が検討されている。
本開示は、計測可能な距離レンジを長くできる距離計測装置を提供することを目的とする。
本発明の一実施形態に係る距離計測装置は、第1波長の第1パルス光を出力する第1レーザー光源と、前記第1波長とは異なる第2波長の第2パルス光を、前記第1パルス光がオフの期間に出力する第2レーザー光源と、前記第1パルス光と前記第2パルス光とを同じ光軸上に合波して測定対象に照射する光学系と、前記測定対象で反射し、前記第1パルス光と前記第2パルス光とが合波された第1反射光を受光し、光電変換する第1受光素子と、前記第1受光素子からの信号が入力され、前記第1反射光のエネルギーのローレベルとハイレベルとの差に応じた電気信号を生成する処理部と、を備える。
本開示によれば、計測可能な距離レンジを長くできる距離計測装置を提供することができる。
以下、図面を参照し、実施形態について説明する。各図面中、同じ構成には同じ符号を付している。なお、各図面は、実施形態を模式的または概念的に示したものであるため、各部材のスケール、間隔若しくは位置関係などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。又、部材の一部の図示を省略する場合がある。
図1に示すように、実施形態の距離計測装置は、第1レーザー光源11と、第2レーザー光源12と、光学系30と、第1受光素子21と、第2受光素子22とを有する。
第1レーザー光源11及び第2レーザー光源12は、例えば、誘導放出を起こす媒質に半導体を用いた半導体レーザー(またはレーザーダイオード)である。また、第1レーザー光源11及び第2レーザー光源12として、媒質に絶縁性固体材料を用いた固体レーザーを用いることもできる。
第1レーザー光源11は、第1波長λ1の第1パルス光P1を出力する。第2レーザー光源12は、第1波長λ1とは波長が異なる第2波長λ2の第2パルス光P2を出力する。例えば、第1波長λ1は350nm以上550nm以下の範囲で設定でき、第2波長λ2は500nm以上1600nm以下の範囲で設定できる。
光学系30は、後述するように、第1パルス光P1と第2パルス光P2とを同じ光軸上に合波して測定対象100に照射する。光学系30は、ダイクロイックミラー31と、ビームスプリッタ32と、透過反射部材33と、集光レンズ34とを有する。
第1レーザー光源11、ダイクロイックミラー31、ビームスプリッタ32、及び透過反射部材33は、同じ光軸上に配置されている。上記光軸上において、ダイクロイックミラー31は第1レーザー光源11とビームスプリッタ32との間に配置され、ビームスプリッタ32はダイクロイックミラー31と透過反射部材33との間に配置されている。
第1パルス光P1と第2パルス光P2は、ダイクロイックミラー31により、同じ光軸上に合波させられる。第1パルス光P1は、ダイクロイックミラー31を透過する。第2パルス光P2は、ダイクロイックミラー31で反射して、ダイクロイックミラー31を透過した第1パルス光P1と同じ光軸上で第1パルス光P1と合波される。
第1レーザー光源11と第2レーザー光源12は、図1に示す位置から互いを入れ替えた位置に配置することもできる。この場合、第2レーザー光源12からの第2パルス光P2はダイクロイックミラー31を透過し、第1レーザー光源11からの第1パルス光P1はダイクロイックミラー31で反射する。
ビームスプリッタ32は、第1レーザー光源11と透過反射部材33との間、および第2レーザー光源12と透過反射部材33との間に配置されている。ビームスプリッタ32は、第1パルス光P1と第2パルス光P2との合波光Pを、透過反射部材33に向かう透過光と、第2受光素子22に向かう第2反射光R2とに分割する。
透過反射部材33は、ビームスプリッタ32を透過した合波光Pを透過させる孔部33aを有する。また、透過反射部材33は、測定対象100で反射した第1反射光R1を第1受光素子21に向けて反射させるミラー部33bを有する。
第1受光素子21は、測定対象100で反射し、透過反射部材33のミラー部33bを経由した第1反射光R1を受光し、光電変換する。第1受光素子21は、例えばフォトダイオードである。第1受光素子21と透過反射部材33との間に、集光レンズ34が配置されている。
第2受光素子22は、上記合波光Pのうちビームスプリッタ32で反射して分割された第2反射光R2を受光し、光電変換する。第2受光素子22は、例えばフォトダイオードである。
第1パルス光P1と第2パルス光P2を同じ光軸上に合波させる合波器としては、ダイクロイックミラー31に限らず、図2に示す合波用ビームスプリッタ35を用いることもできる。合波用ビームスプリッタ35は、偏光ビームスプリッタであり、例えば、P偏光を透過させ、S偏光を反射させる。
通常、半導体レーザーが出力するレーザー光は直線偏光状態にあり、半導体レーザーを回転させることで偏光方向をコントロールすることができる。例えば、合波用ビームスプリッタ35に対して、P偏光状態に制御した第1パルス光P1は合波用ビームスプリッタ35を透過し、S偏光状態に制御した第2パルス光P2は合波用ビームスプリッタ35で反射して、合波用ビームスプリッタ35を透過した第1パルス光P1に対して同じ光軸上で合波される。
また、第1パルス光P1と第2パルス光P2を同じ光軸上に合波させる合波器としては、図3に示すファイバーカプラ36を用いることもできる。
ファイバーカプラ36において2本の光ファイバー37a、37bが結合している。第1レーザー光源11からの第1パルス光P1は第1光ファイバー37aに入射し、第2レーザー光源12からの第2パルス光P2は第2光ファイバー37bに入射する。第1光ファイバー37aを伝搬した第1パルス光P1と、第2光ファイバー37bを伝搬した第2パルス光P2とは、ファイバーカプラ36において同じ光軸上に合波される。
実施形態の距離計測装置は、さらに、図4に示す処理部50を有する。処理部50は、第1受光素子21と電気的に接続された第1アンプ51と、第1アンプ51と電気的に接続されたAC結合コンデンサ52と、AC結合コンデンサ52と電気的に接続された第2アンプ53と、第2アンプ53と電気的に接続されたADコンバーター54とを有する。
次に、本発明の実施形態の距離計測装置を用いた測定対象100までの距離の計測方法について、前述した図に加えて、図5に示すフローチャート及び図6A~図8Cに示す波形図も参照して説明する。
本発明の実施形態の距離計測装置は、例えば、ケース内に収容された状態で、水中に設置、または水中を移動する装置に搭載され、ケースの外部に位置する測定対象100までの距離を計測することができる。
<ステップS1>
第1レーザー光源11から第1波長λ1の第1パルス光P1を出力し、第2レーザー光源12から第2波長λ2の第2パルス光P2を出力する。第1パルス光P1及び第2パルス光P2は、単発パルスではなく、連続パルスである。
第1レーザー光源11から第1波長λ1の第1パルス光P1を出力し、第2レーザー光源12から第2波長λ2の第2パルス光P2を出力する。第1パルス光P1及び第2パルス光P2は、単発パルスではなく、連続パルスである。
図6Aは第1パルス光P1の出力波形図であり、図6Bは第2パルス光P2の出力波形図である。図6A及び図6Bにおいて、横軸は時間[秒]を、縦軸は出力[W]を表す。
第2レーザー光源12は、第2パルス光P2を、第1パルス光P1がオフの期間に出力する。すなわち、第1パルス光P1の位相と第2パルス光P2の位相とは、逆位相の関係にある。
実施形態の距離計測装置を水中に設置した際に、第2波長λ2の第2パルス光P2の水中での減衰率は、第1波長λ1の第1パルス光P1の水中での減衰率よりも大きい。第2レーザー光源12は、第1パルス光P1のピーク出力よりも低いピーク出力の第2パルス光P2を出力する。
第1パルス光P1と第2パルス光P2は、図1に示すダイクロイックミラー31、図2に示す合波用ビームスプリッタ35、または図3に示すファイバーカプラ36により、同じ光軸上に合波される。第1パルス光P1と第2パルス光P2との合波光Pは、逆位相の関係にある第1パルス光P1と第2パルス光P2とが重畳したパルス光である。
<ステップS2>
合波光Pは、ビームスプリッタ32で透過反射部材33に向かう透過光と、第2受光素子22に向かう第2反射光R2とに分割される。
合波光Pは、ビームスプリッタ32で透過反射部材33に向かう透過光と、第2受光素子22に向かう第2反射光R2とに分割される。
<ステップS3>
ビームスプリッタ32を透過した合波光Pは、透過反射部材33の孔部33aを透過し、さらにケース外に出射し、測定対象100に照射される。測定対象100に照射された合波光Pは、測定対象100で拡散反射する。
ビームスプリッタ32を透過した合波光Pは、透過反射部材33の孔部33aを透過し、さらにケース外に出射し、測定対象100に照射される。測定対象100に照射された合波光Pは、測定対象100で拡散反射する。
測定対象100で反射した第1反射光R1は、ケース内に戻り、透過反射部材33のミラー部33bに入射する。ミラー部33bに入射した第1反射光R1は、ミラー部33bで反射して、集光レンズ34によって集光され、第1受光素子21に入射する。第1反射光R1は、第1パルス光P1と第2パルス光P2との合波光Pが測定対象100で反射した光であり、パルス光である。
<ステップS4A>
第1受光素子21は、第1反射光R1を受光し、第1反射光R1のエネルギーに応じた電流を、図4に示す処理部50に出力する。第1受光素子21から信号(電流信号)の入力を受けた処理部50は、以下に示すステップS5A~ステップS8Aにより、パルス光である第1反射光R1のエネルギーのローレベルとハイレベルとの差に応じた電気信号を生成する。
第1受光素子21は、第1反射光R1を受光し、第1反射光R1のエネルギーに応じた電流を、図4に示す処理部50に出力する。第1受光素子21から信号(電流信号)の入力を受けた処理部50は、以下に示すステップS5A~ステップS8Aにより、パルス光である第1反射光R1のエネルギーのローレベルとハイレベルとの差に応じた電気信号を生成する。
<ステップS5A>
図4において、各要素の入出力信号の波形図を吹き出しに示している。第1アンプ51は、第1受光素子21からの電流信号A1を電圧信号V1に変換し、増幅する。
図4において、各要素の入出力信号の波形図を吹き出しに示している。第1アンプ51は、第1受光素子21からの電流信号A1を電圧信号V1に変換し、増幅する。
<ステップS6A>
AC結合コンデンサ52は、第1アンプ51から出力された電圧信号V1から直流成分を減衰させて(または遮断して)交流成分を取り出し、交流電圧V2を生成する。図4には、例えば交流成分のみからなる交流電圧V2の波形を示す。
AC結合コンデンサ52は、第1アンプ51から出力された電圧信号V1から直流成分を減衰させて(または遮断して)交流成分を取り出し、交流電圧V2を生成する。図4には、例えば交流成分のみからなる交流電圧V2の波形を示す。
<ステップS7A>
第2アンプ53は、交流電圧V2における交流成分のローレベルを0Vに調整した電圧V3を生成する。ここまでの処理で扱われる信号はアナログ信号である。
第2アンプ53は、交流電圧V2における交流成分のローレベルを0Vに調整した電圧V3を生成する。ここまでの処理で扱われる信号はアナログ信号である。
<ステップS8A>
ADコンバーター54は、電圧V3をデジタルデータに変換する。
ADコンバーター54は、電圧V3をデジタルデータに変換する。
上記ステップS2の後、ビームスプリッタ32で分割された第2反射光R2に対しても、ステップS4B~ステップS8Bにおいて、ステップS4A~ステップS8Aと同じ信号処理が実行される。
<ステップS4B>
ステップS4Bにおいて、測定対象100を経由しない第2反射光R2を受光した第2受光素子22は、第2反射光R2のエネルギーに応じた電流を、処理部50に出力する。第2反射光R2は、測定対象100で反射した第1反射光R1を利用して測定対象100までの距離を算出するための基準光(パルス光)となる。
ステップS4Bにおいて、測定対象100を経由しない第2反射光R2を受光した第2受光素子22は、第2反射光R2のエネルギーに応じた電流を、処理部50に出力する。第2反射光R2は、測定対象100で反射した第1反射光R1を利用して測定対象100までの距離を算出するための基準光(パルス光)となる。
<ステップS5B~ステップS8B>
以降、処理部50において、ステップS5A~ステップS8Aと同じ処理が、ステップS5B~ステップS8Bとして実行される。この結果、ステップS8Bにおいて、第2受光素子22が受光した基準光のエネルギーのローレベルとハイレベルとの差に応じた電気信号(デジタルデータ)が生成される。
以降、処理部50において、ステップS5A~ステップS8Aと同じ処理が、ステップS5B~ステップS8Bとして実行される。この結果、ステップS8Bにおいて、第2受光素子22が受光した基準光のエネルギーのローレベルとハイレベルとの差に応じた電気信号(デジタルデータ)が生成される。
<ステップS9>
第2受光素子22が第2反射光R2(基準光)を受光した時刻(基準時刻)と、第1受光素子21が第1反射光R1を受光した時刻との時間差から、測定対象100までの距離が算出される。
第2受光素子22が第2反射光R2(基準光)を受光した時刻(基準時刻)と、第1受光素子21が第1反射光R1を受光した時刻との時間差から、測定対象100までの距離が算出される。
レーザー光を利用して例えば水中で距離計測を行う場合、レーザー光の水中での減衰により、近距離計測時と遠距離計測時で測定対象からの反射光のエネルギーに大きな差が生じやすく、反射光の全てのエネルギー範囲に電気回路の入力レンジを対応させることが困難なことがある。一般的には、状況に応じて、レーザー光のエネルギーを可変、または受光素子のゲインを可変することで、電気回路に入力する信号エネルギーのレンジを電気回路の入力レンジに収めるようにできる。しかしながら、高精度の距離計測には微小時間の計測が必要となるため、レーザー光のエネルギーや受光素子のゲインの可変による信号波形の変形で計測誤差が大きくなりやすい問題がある。
本発明の実施形態によれば、処理部50において、第1反射光R1の全体のエネルギーではなく、第1反射光R1のローレベルとハイレベルとの差を利用する。
図7Aは、距離計測装置から第1距離に位置する測定対象で反射して、第1受光素子21に入力する第1反射光R1の出力波形図である。図7Aにおいて、横軸は時間[秒]を、縦軸は出力[W]を表す。第1反射光R1は、前述したように、図6Aに示す第1パルス光(実線)と、図6Bに示す第2パルス光(破線)とが同じ光軸上で合波された合波光である。
第1受光素子21においては、図7Aに示す第1反射光R1を、第1パルス光と第2パルス光の区別なく、図7Bに示すエネルギーとして検出する。図7Bにおいて、横軸は時間[秒]を、縦軸はエネルギー[W]を表す。
第1パルス光と第2パルス光は逆位相の関係にある。第2パルス光のピーク出力は第1パルス光のピーク出力よりも低い。レーザー光の水中での減衰率は、レーザー光の波長に依存する。第1パルス光の波長と第2パルス光の波長は異なる。この波長の違いにより、本実施形態では、第2パルス光の水中での減衰率は第1パルス光の水中での減衰率よりも大きい。このような条件により、図7Bに示す第1受光素子21の検出エネルギーにおけるハイレベルとローレベルの差が生じやすくなる。
図8Aは、距離計測装置から、第1距離よりも長い第2距離に位置する測定対象で反射して、第1受光素子21に入力する第1反射光R1のエネルギーの波形図である。図8Aにおいて、横軸は時間[秒]を、縦軸はエネルギー[W]を表す。
第2距離は第1距離よりも長いため、第2距離に位置する測定対象で反射した第1反射光R1が第1受光素子21で検出されるまでの時間は、第1距離に位置する測定対象で反射した第1反射光R1が第1受光素子21で検出されるまでの時間よりも長くなる。
第2距離の計測においても、第1受光素子21は、図8Aに示す第1反射光R1を、第1パルス光と第2パルス光の区別なく、図8Bに示すエネルギーとして検出する。図8Bにおいて、横軸は時間[秒]を、縦軸はエネルギー[W]を表す。第2距離の計測においても、上記条件により、図8Bに示す第1受光素子21の検出エネルギーにおけるハイレベルとローレベルの差が生じやすくなる。
ここで、第2距離は第1距離よりも長いため、図8Aに示す第1反射光R1は、図7Aに示す第1反射光R1よりも減衰して、第1受光素子21に入力する。図8Aには、第2パルス光が減衰して、第2パルス光のエネルギーレベルがほとんど0になった例を示す。
第1受光素子21が検出したエネルギーからは、前述したように、処理部50のAC結合コンデンサ52において交流成分が取り出される。図7Cは、図7Bに示す検出エネルギーから取り出された交流成分(交流電圧)の波形図であり、図8Cは、図8Bに示す検出エネルギーから取り出された交流成分(交流電圧)の波形図である。図7C及び図8Cにおいて、横軸は時間[秒]を、縦軸は電圧[V]を表す。
図7B及び図8Bに示すように、測定対象との距離が近距離(第1距離)か、遠距離(第2距離)かによって、第1受光素子21の検出エネルギーに大きな差があったとしても、処理部50における信号処理により、図7C及び図8Cに示すように、測定対象との距離が近距離(第1距離)でも遠距離(第2距離)でも交流成分のレベル(電圧レベル)は大きな差がなくなり、電気回路の入力レンジ内での信号処理が可能となる。これにより、本発明の実施形態によれば、高い精度で計測可能な距離レンジを長くすることができる。
図7B及び図8Bに示す第1受光素子21の検出エネルギーにおけるハイレベルとローレベルの差が生じればよい。第2パルス光の水中での減衰率が第1パルス光の水中での減衰率よりも大きい場合に、第2パルス光のピーク出力を第1パルス光のピーク出力よりも高くすると、第2パルス光が減衰して、第2パルス光のハイレベルが第1パルス光のハイレベルと同一レベルになった状態で第1反射光R1が第1受光素子21に入力する可能性がある。この場合、図7B及び図8Bに示す第1受光素子21の検出エネルギーにおけるハイレベルとローレベルの差が生じない。
したがって、第2パルス光の水中での減衰率が第1パルス光の水中での減衰率よりも大きい場合には、第2パルス光のピーク出力を第1パルス光のピーク出力よりも低くすることが好ましい。逆に、第1パルス光の水中での減衰率が第2パルス光の水中での減衰率よりも大きい場合には、第1パルス光のピーク出力を第2パルス光のピーク出力よりも低くすることが好ましい。
第1パルス光のピーク出力と第2パルス光のピーク出力が同じ場合でも、第1パルス光の水中での減衰率と第2パルス光の水中での減衰率との関係によっては、図7B及び図8Bに示す第1受光素子21の検出エネルギーにおけるハイレベルとローレベルの差が生じ得る。
ビームスプリッタ32及び第2受光素子22を配置せずに、第1レーザー光源11及び第2レーザー光源12からのパルス光の出射タイミング(出射時刻)と、第1受光素子21が第1反射光R1を受光した時刻との時間差から、測定対象100までの距離を算出することも可能である。
なお、基準時刻と、第1受光素子21が第1反射光R1を受光する時刻との正確な時間差を得るには、基準時刻として、レーザー光源11、12自体の出射時刻を利用するよりも、上記実施形態のように第2受光素子22で受光する時刻を用いた方が好ましい。
また、距離計測装置は、第3レーザー光源をさらに有することができる。第3レーザー光源は、第1パルス光の第1波長λ1及び第2パルス光の第2波長λ2とは波長が異なる第3波長λ3の第3パルス光を出力する。例えば、第2波長λ2は第1波長λ1よりも長く、第3波長λ3は第2波長λ2よりも長い。
図9Aは第1パルス光の出力波形図であり、図9Bは第2パルス光の出力波形図であり、図9Cは第3パルス光の出力波形図である。図9A~図9Cにおいて、横軸は時間[秒]を、縦軸は出力[W]を表す。
第2レーザー光源12は、第2パルス光を、第1パルス光がオフの期間に出力し、第3レーザー光源も、第3パルス光を、第1パルス光がオフの期間に出力する。すなわち、第第2パルス光の位相と第3パルス光の位相は、第1パルス光の位相に対して逆位相である。
距離計測装置が水中に設置された際に、第3パルス光の水中での減衰率は、第1レーザー光源11からの第1パルス光の水中での減衰率よりも大きく、かつ第2レーザー光源12からの第2パルス光の水中での減衰率と異なる。例えば、第2パルス光の水中での減衰率は第1パルス光の水中での減衰率よりも大きく、第3パルス光の水中での減衰率は第2パルス光の水中での減衰率よりも大きい。第2パルス光のピーク出力は第1パルス光のピーク出力よりも低く、第3パルス光のピーク出力は第2パルス光のピーク出力よりも低い。
図1に示すダイクロイックミラー31、図2に示す合波用ビームスプリッタ35、または図3に示すファイバーカプラ36は、第1パルス光と、少なくとも第2パルス光と第3パルス光のいずれかと、を同じ光軸上に合波させる。上記実施形態では、第1パルス光と第2パルス光とを合波した例を示したが、第1パルス光と第3パルス光とを合波することもできる。さらには、第1パルス光、第2パルス光、及び第3パルス光を合波することもできる。
第1パルス光、第2パルス光、及び第3パルス光の合波光は、上記実施形態と同様に、測定対象100に照射され、測定対象100で拡散反射する。この第1反射光R1は第1受光素子21で光電変換され、光電変換された電気信号に対しては処理部50において上記実施形態と同様の信号処理が実行される。
図10Aは、距離計測装置から第1距離(近距離)に位置する測定対象で反射して、第1受光素子21に入力する第1反射光R1のエネルギーの波形図である。図10Aにおいて、横軸は時間[秒]を、縦軸はエネルギー[W]を表す。ここで、第1反射光R1は、図9Aに示す第1パルス光(実線)と、図9Bに示す第2パルス光(破線)と、図9Cに示す第3パルス光(1点鎖線)とが同じ光軸上で合波された合波光である。
第1受光素子21においては、図10Aに示す第1反射光R1を、第1パルス光と第2パルス光と第3パルス光との区別なく、図10Bに示すエネルギーとして検出する。図10Bにおいて、横軸は時間[秒]を、縦軸はエネルギー[W]を表す。
図11Aは、距離計測装置から、第1距離よりも長い第2距離(中距離)に位置する測定対象で反射して、第1受光素子21に入力する第1反射光R1のエネルギーの波形図である。図11Aにおいて、横軸は時間[秒]を、縦軸はエネルギー[W]を表す。第2距離は第1距離よりも長いため、第2距離に位置する測定対象で反射した第1反射光R1が第1受光素子21で検出されるまでの時間は、第1距離に位置する測定対象で反射した第1反射光R1が第1受光素子21で検出されるまでの時間よりも長くなる。
第2距離の計測においても、第1受光素子21は、図11Aに示す第1反射光R1を、第1パルス光と第2パルス光と第3パルス光との区別なく、図11Bに示すエネルギーとして検出する。図11Bにおいて、横軸は時間[秒]を、縦軸はエネルギー[W]を表す。第2距離は第1距離よりも長いため、図11Aに示す第1反射光R1は、図10Aに示す第1反射光R1よりも減衰して、第1受光素子21に入力する。
図12Aは、距離計測装置から、第2距離よりも長い第3距離(遠距離)に位置する測定対象で反射して、第1受光素子21に入力する第1反射光R1のエネルギーの波形図である。図12Aにおいて、横軸は時間[秒]を、縦軸はエネルギー[W]を表す。第3距離は第2距離よりも長いため、第3距離に位置する測定対象で反射した第1反射光R1が第1受光素子21で検出されるまでの時間は、第2距離に位置する測定対象で反射した第1反射光R1が第1受光素子21で検出されるまでの時間よりも長くなる。
第3距離の計測においても、第1受光素子21は、図12Aに示す第1反射光R1を、第1パルス光と第2パルス光と第3パルス光との区別なく、図12Bに示すエネルギーとして検出する。図12Bにおいて、横軸は時間[秒]を、縦軸はエネルギー[W]を表す。第3距離は第2距離よりも長いため、図12Aに示す第1反射光R1は、図11Aに示す第1反射光R1よりも減衰して、第1受光素子21に入力する。図12Aには、第2パルス光及び第3パルス光が減衰して、第2パルス光及び第3パルス光のエネルギーレベルがほとんど0になった例を示す。
第1受光素子21が検出したエネルギーからは、前述したように、処理部50のAC結合コンデンサ52において交流成分が取り出される。図10Cは、図10Bに示す検出エネルギーから取り出された交流成分(交流電圧)の波形図であり、図11Cは、図11Bに示す検出エネルギーから取り出された交流成分(交流電圧)の波形図であり、図12Cは、図12Bに示す検出エネルギーから取り出された交流成分(交流電圧)の波形図である。図10C、図11C、及び図12Cにおいて、横軸は時間[秒]を、縦軸は電圧[V]を表す。
図10B、図11B、及び図12Bに示すように、測定対象との距離が近距離(第1距離)か、中距離(第2距離)か、遠距離(第3距離)かによって、第1受光素子21の検出エネルギーに大きな差があったとしても、処理部50における信号処理により、図10C、図11C、及び図12Cに示すように交流成分のレベル(電圧レベル)は大きな差がなくなり、電気回路の入力レンジ内での信号処理が可能となる。これにより、高い精度で計測可能な距離レンジを長くすることができる。
前述した距離計測において、第1パルス光、第2パルス光、及び第3パルス光の合波光を用いた場合には、第1パルス光及び第2パルス光の合波光を用いた場合に比べて、図10B、図11B、及び図12Bに示す第1受光素子21の検出エネルギーにおけるハイレベルとローレベルの差を生じさせやすくできる。
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。本発明の上述した実施形態を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての形態も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものである。
11…第1レーザー光源、12…第2レーザー光源、30…光学系、21…第1受光素子、22…第2受光素子、31…ダイクロイックミラー、32…ビームスプリッタ、33…透過反射部材、35…合波用ビームスプリッタ、36…ファイバーカプラ、50…処理部、100…測定対象、P1…第1パルス光、P2…第2パルス光、P…合波光、R1…第1反射光、R2…第2反射光
Claims (12)
- 第1波長の第1パルス光を出力する第1レーザー光源と、
前記第1波長とは異なる第2波長の第2パルス光を、前記第1パルス光がオフの期間に出力する第2レーザー光源と、
前記第1パルス光と前記第2パルス光とを同じ光軸上に合波して測定対象に照射する光学系と、
前記測定対象で反射し、前記第1パルス光と前記第2パルス光とが合波された第1反射光を受光し、光電変換する第1受光素子と、
前記第1受光素子からの信号が入力され、前記第1反射光のエネルギーのローレベルとハイレベルとの差に応じた電気信号を生成する処理部と、
を備える距離計測装置。 - 前記電気信号は、交流電圧である請求項1に記載の距離計測装置。
- 前記距離計測装置を水中に設置した際に、前記第2パルス光の前記水中での減衰率は、前記第1パルス光の前記水中での減衰率よりも大きい請求項1または2に記載の距離計測装置。
- 前記第2レーザー光源のピーク出力は、前記第1レーザー光源のピーク出力よりも低いピーク出力の前記第2パルス光を出力する請求項1~3のいずれか1つに記載の距離計測装置。
- 前記第1波長は、350nm以上550nm以下であり、
前記第2波長は、500nm以上1600nm以下である請求項1~4のいずれか1つに記載の距離計測装置。 - 前記第1反射光を前記第1受光素子に向けて反射させる透過反射部材をさらに有する請求項1~5のいずれか1つに記載の距離計測装置。
- 第2受光素子と、
前記第1レーザー光源と前記透過反射部材との間、および前記第2レーザー光源と前記透過反射部材との間に配置され、前記第1パルス光および前記第2パルス光を、前記透過反射部材に向かう透過光と、前記第2受光素子に向かう第2反射光とに分割するビームスプリッタと、
をさらに有する請求項6に記載の距離計測装置。 - 前記距離計測装置を水中に設置した際に、前記水中での減衰率が前記第1パルス光よりも大きく、かつ前記第2パルス光と異なる第3パルス光を出力する第3レーザー光源をさらに有する請求項1~7のいずれか1つに記載の距離計測装置。
- 前記光学系は、前記第1パルス光と、少なくとも前記第2パルス光と前記第3パルス光のいずれかを合波させるダイクロイックミラーを有する請求項8に記載の距離計測装置。
- 前記光学系は、前記第1パルス光と、少なくとも前記第2パルス光と前記第3パルス光のいずれかの光と、を合波させるファイバーカプラを有する請求項8に記載の距離計測装置。
- 前記光学系は、前記第1パルス光と、少なくとも前記第2パルス光と前記第3パルス光のいずれかの光と、を合波させる合波用ビームスプリッタを有する請求項8に記載の距離計測装置。
- 前記処理部は、
前記第1受光素子からの電流信号を電圧信号に変換し、
前記電圧信号から直流成分を減衰させ、交流成分を取り出し、
前記交流成分のローレベルを0Vに調整した電圧を生成し、
前記電圧をデジタルデータに変換する請求項1~11のいずれか1つに記載の距離計測装置。
Priority Applications (1)
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JP2021172134A JP2023062264A (ja) | 2021-10-21 | 2021-10-21 | 距離計測装置 |
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JP2021172134A JP2023062264A (ja) | 2021-10-21 | 2021-10-21 | 距離計測装置 |
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Family Applications (1)
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JP2021172134A Pending JP2023062264A (ja) | 2021-10-21 | 2021-10-21 | 距離計測装置 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2023062264A (ja) |
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2021
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