JP2023061190A - 易接着フィルム、偏光板、粘着剤付き偏光板および画像表示装置 - Google Patents

易接着フィルム、偏光板、粘着剤付き偏光板および画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高温環境下での単体透過率の低下が抑制された偏光板、およびそれに用いられる易接着フィルムを提供する。【解決手段】易接着フィルム(1)は、透明フィルム基材(11)の表面に易接着層(15)を備える。易接着層は、バインダ樹脂および水溶性のラジカル捕捉剤を含む。偏光板(50)は、ポリビニルアルコール系偏光子(5)の少なくとも一方の面に、接着剤層(6)を介して、上記の易接着フィルム(1)が貼り合わせられた構成を有する。【選択図】図2

Description

本発明は、透明フィルム基材の表面に易接着層を備える易接着フィルムに関する。さらに、本発明は、偏光子の表面に易接着フィルムが貼り合わせられた偏光板、および当該偏光板の少なくとも一方の面に粘着剤層を備える粘着剤付き偏光板、ならびに当該偏光板を備える画像表示装置に関する。
モバイル機器、カーナビゲーション装置、パソコン用モニタ、テレビ等の各種画像表示装置として、液晶表示装置や有機EL表示装置が広く用いられている。液晶表示装置は、その表示原理から、液晶セルの視認側表面に偏光板が配置されている。透過型の液晶表示装置では、液晶セルの両面に偏光板が配置されている。有機EL表示装置では、外光が金属電極(陰極)で反射されて鏡面のように視認されることを抑止するために、視認側表面に円偏光板(典型的には、偏光板と1/4波長板の積層体)が配置される場合がある。
偏光板は、一般に、偏光子の片面または両面に、偏光子の保護等を目的とした透明フィルム(偏光子保護フィルム)を備える。偏光子としては、ポリビニルアルコール(PVA)系フィルムにヨウ素を吸着させ、延伸等により分子を配向されたものが広く使用されている。
偏光子の表面に貼り合わせられる偏光子保護フィルムとしては、PVA系偏光子との接着性に優れることから、酢酸セルロース等のセルロース系フィルムが広く用いられている。偏光子保護フィルムとして、アクリル、ポリエステル、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン等の樹脂材料からなるフィルムも用いられるようになっている。これらの樹脂材料からなるフィルムは、セルロース系フィルムに比べて低透湿であり、偏光子の表面に低透湿樹脂フィルムが貼り合わせられた偏光板は、高湿度環境に長時間曝された場合でも光学特性の変化が小さく、耐久性に優れる傾向がある。
上記の通り、液晶表示装置や有機EL表示装置では、画像表示セルの視認側表面に偏光板が設けられている。近年では、そのさらに視認側に、外表面からの衝撃による破損防止等を目的として、透明樹脂板やガラス板等の前面透明板(「カバーウインドウ」等とも称される)を配置した構成が広く採用されている。偏光板の視認側に粘着剤層を介して前面透明板を貼り合わせた構成では、高温環境下で、偏光板の面内中央部が赤変し、透過率が低下することが、特許文献1および特許文献2等において指摘されている。
偏光板の透過率の低下は、高温環境下において、偏光子を構成するPVAが脱水反応によりポリエン化することが一因であると考えられており、特許文献1では、偏光子に貼り合わせられた偏光子保護フィルムの吸水量や透湿度を制御して、偏光子に滞留する水分を低減することにより、PVAのポリエン化を抑制することが提案されている。特許文献2では、偏光板と前面透明板とを貼り合わせる粘着剤層の透湿度および水分量を制御し、粘着剤層の端面から水分を散逸させることによりPVAのポリエン化を抑制することが提案されている。
特許文献3では、PVA系偏光子、PVA系偏光子と偏光子保護フィルムとを貼り合わせる接着剤、または偏光板と画像表示セルおよび前面透明部材とを貼り合わせる粘着剤が、特定のヒンダードアミン化合物を含むことにより、PVAのポリエン化による偏光子の透過率の低下を抑制できることが記載されている。
特開2014-102353号公報 特開2017-75998号公報 国際公開第2020/100869号
画像表示装置の大型化や高輝度化が進む中、画像表示装置を構成する偏光板には、より過酷な環境(例えば、より高温の条件)でも、光学特性の変化が小さいことが要求されるようになっている。特許文献1,2に記載されているように、偏光板内に滞留する水分量を制御する方法では、PVA系偏光子のポリエン化の抑制効果は限定的である。
特許文献3で提案されているように、偏光子、または接着剤もしくは粘着剤に、ヒンダードアミン化合物を添加する方法では、層間の接着性等に改善の余地がある。
上記に鑑み本発明者らが検討の結果、偏光子の表面に貼り合わせられる偏光子保護フィルムとして、易接着層にラジカル捕捉剤を含む易接着フィルムを用いることにより、層間の接着性に優れ、かつ偏光子の劣化が抑制された偏光板が得られることが見出された。
本発明の一態様は、透明フィルム基材の表面に易接着層を備える易接着フィルムであり、易接着層が、バインダ樹脂および水溶性のラジカル捕捉剤を含む。易接着層に含まれるラジカル捕捉剤は、例えば、ヒンダードアミン化合物であり、好ましくは、ニトロキシド基を有する化合物(N-オキシル化合物)である。ラジカル捕捉剤は、活性化によりニトロキシド基を生成可能な化合物であってもよい。
易接着層におけるラジカル捕捉剤の含有量は、例えば0.01~10重量%程度である。易接着層は、さらに微粒子を含んでいてもよい。
易接着フィルムは、偏光板の偏光子保護フィルムとして好適に用いらえる。本発明のさらなる態様は、ポリビニルアルコール系偏光子に、接着剤層を介して上記の易接着フィルムが貼り合わせられた偏光板である。偏光子と易接着フィルムとは、光ラジカル重合性の接着剤を介して貼り合わせられていてもよい。
上記の偏光板は、少なくとも一方の面に粘着剤層を備える粘着剤付き偏光板として実用に供してもよい。液晶表示セルや有機ELセル等の画像表示セルの表面に偏光板を配置することにより、画像表示装置を形成できる。
ポリビニルアルコール系偏光子の少なくとも一方の面に貼り合わせられる偏光子保護フィルムとして、ラジカル捕捉剤を含む易接着層を備える易接着フィルムを備える偏光板は、画像表示装置が高温環境に曝された場合でも、単体透過率の変化が少なく、耐久性に優れている。
易接着フィルムの構成例を示す断面図である。 偏光板の構成例を示す断面図である。 粘着剤付き偏光板の構成例を示す断面図である。 画像表示装置の構成例を示す断面図である。
図1は、本発明の一実施形態にかかる易接着フィルムの構成例を示す概略断面図である。易接着フィルム1は、フィルム基材11の少なくとも一方の面に易接着層15を備える。フィルム基材の両面に易接着層が設けられていてもよい。易接着フィルムは、他のフィルムやガラス基板等と貼り合わせて用いられる。
易接着フィルムの使用形態として、偏光子保護フィルムが挙げられる。図2は、偏光子保護フィルムとしての易接着フィルム1を備える偏光板の構成例を示す断面図である。偏光板50は、偏光子5の一方の面(第一主面)に、接着剤層6を介して貼り合わせられた易接着フィルム1を備える。図2に示す偏光板50では、易接着フィルム1は、フィルム基材11の偏光子5との貼り合わせ面に易接着層15を有する。偏光子5が貼り合わせられていない面に易接着層が設けられていてもよい。図2に示す偏光板50では、偏光子5の他方の面(第二主面)に、接着剤層7を介して透明保護フィルム2が貼り合わせられている。
[易接着フィルム]
易接着フィルム1は、フィルム基材11の少なくとも一方の面に易接着層15を備える。
<フィルム基材>
フィルム基材11としては透明フィルムが好ましい。透明フィルム基材の全光線透過率は80%以上が好ましく、85%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。フィルム基材11を構成する樹脂材料としては、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂等が挙げられる。易接着フィルムが光学等方性の偏光子保護フィルムとして用いられる場合は、複屈折が小さいことから、フィルム基材11の樹脂材料として、アクリル系樹脂または環状ポリオレフィン系樹脂が好ましく、アクリル系樹脂が特に好ましい。
環状ポリオレフィン系樹脂としては、例えばポリノルボルネンが挙げられる。環状ポリオレフィン系樹脂の市販品として、日本ゼオン製のゼオノアおよびゼオネックス、JSR製のアートン、三井化学製のアペル、TOPAS ADVANCED POLYMERS製のトパス等が挙げられる。環状ポリオレフィン系フィルムは、環状オレフィン系樹脂を50重量%以上含有するものが好ましい。
アクリル系樹脂としては、ポリメタクリル酸メチル等のポリ(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル-アクリル酸エステル-(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸メチル-スチレン共重合体(MS樹脂等)、脂環族炭化水素基を有する重合体(例えば、メタクリル酸メチル-メタクリル酸シクロヘキシル共重合体、メタクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸ノルボルニル共重合体等)が挙げられる。
本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリルおよび/またはメタクリルを意味する。アクリル系樹脂は、アクリル酸またはその誘導体を構成モノマー成分とするもの、およびメタクリル酸またはその誘導体を構成モノマー成分とするものを包含する。
アクリル系樹脂として、特開2006-283013号公報、特開2006-335902号公報、特開2006-274118号公報等に記載の、グルタル酸無水物構造を有するアクリル系樹脂;および/または、特開2000-230016号公報、特開2001-151814号公報、特開2002-120326号公報、特開2002-254544号公報、特開2005-146084号公報等に記載のラクトン環構造を有するアクリル系樹脂を用いてもよい。グルタル酸無水物構造を有するアクリル系樹脂、およびラクトン環構造を有するアクリル系樹脂は、高い耐熱性、高い透明性、および高い機械的強度を有するため、偏光度が高くかつ耐久性に優れる偏光板の製造に適している。
フィルム基材11がアクリル系フィルムである場合、フィルム基材中のアクリル系樹脂の含有量は、50重量%以上が好ましく、60~98重量%がより好ましく、70~97重量%がさらに好ましい。アクリル系フィルムは、アクリル系樹脂以外の熱可塑性樹脂を含有していてもよい。例えば、他の熱可塑性樹脂を配合することにより、アクリル系樹脂の複屈折を打ち消して、光学等方性に優れるアクリル系フィルムが得られる。また、フィルムの機械強度向上等を目的として、アクリル系樹脂以外の熱可塑性樹脂を配合してもよい。
アクリル系樹脂以外の熱可塑性樹脂としては、オレフィン系重合体、ハロゲン化ビニル系重合体、ポリスチレン、スチレンとアクリル系モノマーと共重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリオキシベンジレン、ポリアミドイミド、ゴム系ポリマー等が挙げられる。
フィルム基材11は、酸化防止剤、安定剤、補強材、紫外線吸収剤、難燃剤、帯電防止剤、着色剤、充填剤、可塑剤、滑剤、フィラー等の添加剤を含んでいてもよい。樹脂材料と添加剤等を混合し、予めペレット等の熱可塑性樹脂組成物としてからフィルム化を行ってもよい。
フィルム基材11の厚みは5~200μm程度である。機械強度、透明性およびハンドリング性等の観点から、フィルム基材11の厚みは10~100μmが好ましく、15~60μmがより好ましい。
フィルム基材11のガラス転移温度Tgは、100℃以上が好ましく、110℃以上がより好ましい。フィルム基材11がアクリル系フィルムである場合、前述のように、アクリル系樹脂として、グルタル酸無水物構造を有するアクリル系樹脂やラクトン環構造を有するアクリル系樹脂を用いることにより、アクリル系フィルムのTgを高め、耐熱性を向上できる。フィルム基材11のTgの上限は特に限定されないが、成形性等の観点から170℃以下が好ましい。
フィルム基材11の製造方法としては、溶液キャスト法、溶融押出法、カレンダー法、圧縮成形法等が挙げられる。フィルム基材11は、未延伸フィルムおよび延伸フィルムのいずれでもよい。フィルム基材11がアクリル系フィルムである場合、機械強度向上の観点から、アクリル系フィルムは、少なくとも1方向に延伸された延伸フィルムであることが好ましく、二軸延伸フィルムが特に好ましい。アクリル系樹脂の複屈折を打ち消すように他の熱可塑性樹脂を配合することにより、延伸した場合でもレターデーションが小さく光学等方性に優れるアクリル系フィルムが得られる。
<易接着層>
フィルム基材11の表面に設けられる易接着層15は、バインダ樹脂およびラジカル捕捉剤を含む。易接着層15が設けられることにより、偏光子等のフィルムやガラス基板等に対する接着性を向上できる。易接着層15がラジカル捕捉剤を含むことにより、易接着フィルム1と偏光子5とが貼り合わせられた偏光板において、偏光子5の劣化が抑制される。
易接着層15は、さらに微粒子を含んでいてもよい。易接着層15が微粒子を含むことにより、易接着層15の表面に微細な凹凸が形成され、フィルムの滑り性が向上する。そのため、易接着フィルム1のロール搬送時の傷付きの低減や、ロール状に巻き取る際のブロッキング抑制に寄与する。
(バインダ樹脂)
易接着層15のバインダ樹脂としては、アクリル系フィルム等のフィルム基材との密着性に優れることから、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、イソシアネート樹脂、ポリエステル樹脂、分子中にアミノ基を含むポリマー類、オキサゾリン基等の架橋性官能基を有するアクリル樹脂等の反応性基を有する樹脂(ポリマー)が用いられる。易接着層15のバインダ樹脂としては、ポリウレタン樹脂が特に好ましい。ポリウレタン樹脂バインダを含む易接着層15は、フィルム基材11との密着性が高い。また、易接着層15がポリウレタン樹脂バインダを含む易接着フィルム1は、接着剤層を介して偏光子等のフィルムを積層した際に、高い接着性を示す傾向がある。
ウレタン樹脂は、代表的には、ポリオールとポリイソシアネートの反応生成物である。ポリオール成分としては、ポリアクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等の高分子ポリオールが好ましく用いられる。ポリイソシアネートとしては、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートおよび芳香族ジイソシアネートのいずれも使用可能であり、透明性等の観点から、脂肪族ジイソシアネートまたは脂環式ジイソシアネートが好ましい。
易接着層15を構成するウレタン樹脂は、好ましくは、カルボキシ基を有する。ウレタン樹脂がカルボキシ基を有することにより、架橋構造の導入が可能となり、易接着フィルム1と偏光子等との接着耐久性が向上する傾向がある。カルボキシ基を有するウレタン樹脂は、例えば、ポリオールとポリイソシアネートに加え、遊離カルボキシ基を有する鎖長剤を反応させることにより得られる。遊離カルボキシ基を有する鎖長剤としては、ジヒドロキシカルボン酸、ジヒドロキシスクシン酸等が挙げられる。ジヒドロキシカルボン酸としては、ジメチロールアルカン酸(例えば、ジメチロール酢酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸、ジメチロールペンタン酸)等のジアルキロールアルカン酸等が挙げられる。
ウレタン樹脂の製造方法は特に限定されず、モノマー成分を一度に反応させるワンショット法、および段階的に反応させる多段法のいずれでもよい。遊離カルボキシ基を有する鎖長剤を用いてウレタン樹脂にカルボキシ基を導入する場合は、多段階法が好ましい。ウレタン樹脂の製造に際しては、必要に応じてウレタン反応触媒を用いてもよい。
ウレタン樹脂の数平均分子量は、5,000~600,000が好ましく、10,000~400,000がより好ましい。ウレタン樹脂の酸価は、10~50が好ましく、20~45がより好ましい。
ウレタン樹脂として、市販品を用いてもよい。市販の水系ウレタン樹脂としては、第一工業製薬製の「スーパーフレックス」シリーズ(150、150HS,210、460、470、870等)および「エラストロン」シリーズ(H-3等)、三井化学製の「タケラック」シリーズ(W-6010、W-6020、W-605、W-6061、WS-4000、WS-5100、WSA-5920等)および「オレスター」シリーズ(UD-350等)、DIC製の「ハイドラン」シリーズ(AP-20、AP-40F、RCP-A-220、WLS-210等)、三洋化成工業製「パーマリン」シリーズ(UA-368等)等が挙げられる。
ウレタン樹脂は、架橋構造を有していてもよい。ウレタン樹脂に架橋構造が導入されることにより、易接着フィルム1と偏光子等との接着耐久性が向上する傾向がある。架橋剤としては、ウレタン樹脂の架橋性官能基と反応可能なものを特に制限なく使用できる。ウレタン樹脂がカルボキシ基を有する場合は、アミノ基、オキサゾリン基、エポキシ基、カルボジイミド基等を含む架橋剤が用いられる。これらの中でも、オキサゾリン基を有する架橋剤が好ましい。オキサゾリン基は、常温ではカルボキシ基との反応性が小さいため、ウレタン樹脂と混合したときのポットライフが長く、工程のリードタイムに柔軟に対応できる。
架橋剤は低分子化合物でもよく、ポリマーでもよい。水系組成物への溶解性が高く、ウレタン樹脂との相溶性にも優れることから、架橋剤としてはアクリル系ポリマーが好ましい。特に、架橋剤としてオキサゾリン基を有するアクリル系ポリマーを用いた場合に、易接着フィルム1と偏光子等のフィルムとの接着性が向上する傾向がある。
架橋剤の使用量は、ウレタン樹脂100重量部に対して、1~30重量部が好ましく、3~20重量部がより好ましい。
(ラジカル捕捉剤)
易接着層15に含まれるラジカル捕捉剤は、高温環境下での偏光子の劣化(主に単体透過率の低下)を抑制する作用を有する。高温環境下で偏光板内に滞留している水分の移動に伴って、ラジカル捕捉剤が易接着層から偏光子に移行することが、偏光子の劣化抑制に寄与していると考えられる。
水分の存在下において、易接着層15から偏光子5等への移行を促進する観点から、ラジカル捕捉剤は水溶性であることが好ましい。ラジカル捕捉剤は、25℃の水に対する溶解度(100gの水に溶解可能なラジカル捕捉剤の質量(g))が、1以上であることが好ましく、2以上がより好ましく、5以上がさらに好ましい。
水溶性のラジカル捕捉剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物、リン系化合物、イオウ系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ヒドロキシルアミン系化合物、サルチル酸エステル系化合物、トリアジン系化合物等のラジカル捕捉機能を有する化合物が挙げられる。これらの中でも、偏光子の劣化を抑制する効果が高いことから、ヒンダードアミン系化合物が好ましい。
ヒンダードアミン系化合物は、第二級アミンまたは第三級アミンの窒素原子に隣接する炭素原子がアルキル置換された化合物である。ラジカル捕捉剤として機能するヒンダードアミン化合物としては、一般式(1)で表される構造を有する化合物が挙げられる。
Figure 2023061190000002
一般式(1)において、点線部の左側は任意の有機基である。一般式(1)において、Rは、オキシル、水素原子、ヒドロキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、または炭素数1~30のアルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルコキシ基もしくはアシル基である。
一般式(1)において、R~Rは、それぞれ独立に、炭素数1~10のアルキル基であり、アルキル基の炭素数は、1~6が好ましく、1~3が好ましい。中でも、化合物の安定性およびラジカル捕捉効果等の観点から、R~Rの全てがメチル基である化合物が好ましい。
一般式(1)において、nは0または1であり、構造の安定性の観点から、nは0が好ましい。一般式(1)において、n=0である化合物は、2,2,6,6-テトラアルキルピペリジンの誘導体である。一般式(1)において、n=0であり、R~Rの全てがメチル基である化合物は、2,2,6,6-テトラメチルピペリジンの誘導体である。
一般式(1)において、窒素原子に結合するRがオキシルである化合物(N-オキシル化合物)のニトロキシドは、安定なニトロキシラジカル(RN-O・)を生成し、ラジカルを捕捉する作用を有する。ニトロキシラジカルは、ラジカルを捕捉した後、過酸を取り込んでニトロキシラジカルに戻るという反応サイクルを有するため、少量の添加でも、永続的にラジカル捕捉作用を有する。
がオキシル以外である場合は、紫外線照射等の活性化によりニトロキシド(ニトロキシラジカル)が生成する。そのため、一般式(1)で表される化合物は、Rがオキシル以外である場合も、RがオキシルであるN-オキシル化合物と同様に、ラジカル捕捉作用を有する。すなわち、ラジカル捕捉剤は、ニトロキシド基を有する化合物、または活性化によりニトロキシド基を生成可能な化合物であることが好ましい。
紫外線照射等の活性化を伴わずにラジカル捕捉作用を発揮できることから、ラジカル捕捉剤としては、ニトロキシド基を有する化合物が特に好ましく、上記一般式(1)におけるRはオキシルであることが好ましい。
一般式(1)で表される構造を有する化合物としては、例えば、以下の一般式(2)~(5)で表わされる化合物等が挙げられる。
Figure 2023061190000003
一般式(2)~(5)におけるR~Rおよびnは、上記の一般式(1)と同様である。一般式(2)および一般式(3)において、R~Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10のアルキル基もしくはアシル基、または炭素数6~20のアリール基である。一般式(4)および一般式(5)において、R~R12は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1~10のアルキル基、アシル基、アミノ基もしくはアルコキシ基、または炭素数6~20のアリール基である。
化合物の水溶性および入手容易性等の観点から、一般式(2)および一般式(3)におけるR~Rは、水素原子または炭素数1~10のアルキル基であることが好ましく、水素原子であることが特に好ましい。化合物の水溶性および入手容易性等の観点から、一般式(4)におけるR~R11は、水素原子、または炭素数1~10のアルキル基であることが好ましく、一般式(5)におけるR12は、ヒドロキシ基、アミノ基、またはアルコキシ基であることが好ましい。
上記のように、N-オキシル化合物はラジカル捕捉作用を有する。ラジカル捕捉剤として作用するN-オキシル化合物としては、例えば、特開2003-64022号公報、特開平11-222462号公報、特開2002-284737号公報、国際公開第2016/047655号等に記載の化合物が挙げられる。
また、一般式(1)で表される化合物以外であっても、N-ニトロキシ化合物は、ラジカル捕捉剤としての作用を有し得る。N-ニトロキシ化合物の例としては、下記の式(6)~(8)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2023061190000004
一般式(6)中、Rは、水素原子、炭素数1~10のアルキル基もしくはアシル基、または炭素数6~20のアリール基である。
水溶性や偏光子の劣化抑制の観点から、ラジカル捕捉剤の分子量は、1000以下が好ましく、500以下がより好ましく、300以下がさらに好ましい。易接着層に含まれるラジカル捕捉剤は1種のみでもよく、2種以上でもよい。
易接着層におけるラジカル捕捉剤の含有量は、0.01重量%以上が好ましく、0.05重量%以上がより好ましく、0.1重量%以上がさらに好ましく、0.15重量%以上が特に好ましく、0.2重量%以上、0.3重量%以上、0.5重量%以上または1.0重量%以上であってもよい。易接着層15に含まれるラジカル捕捉剤の含有量が多いほど、偏光子5に移行するラジカル捕捉剤の量が多く、偏光子の劣化が抑制される傾向がある。また、易接着層にラジカル捕捉剤を含める場合は、延伸時の配向不良や、硬化阻害、接着阻害等が生じ難いため、偏光子や接着剤層、粘着剤層等にラジカル捕捉剤を含める場合に比べて、より多くの量を添加することが可能である。
一方で、易接着層15にラジカル捕捉剤を含める場合は、少量の添加であっても、偏光子5にラジカル捕捉剤が移行しやすく、偏光子の劣化を抑制する効果に優れている。特に、易接着層15がラジカル捕捉剤としてニトロキシド基を有するヒンダードアミン化合物を含有する場合は、1重量%以下の低濃度でも、優れた偏光子劣化抑制効果を示す。
易接着層15に含まれるラジカル捕捉剤の量が過度に多い場合は、透明性が低下する場合がある。また、偏光板や画像表示装置の製造工程において他の層に移行するラジカル捕捉剤の量が多く、接着阻害等の原因となり得る。そのため、易接着層におけるラジカル捕捉剤の含有量は、10重量%以下が好ましく、7重量%以下がより好ましく、5重量%以下がさらに好ましく、4重量%以下、3重量%以下または2重量%以下であってもよい。
(微粒子)
前述の通り、易接着層15は微粒子を含んでいてもよい。易接着層15に微粒子が含まれることにより、易接着層の表面に微細な凹凸形状が形成され、易接着フィルム1の滑り性が向上し、ブロッキングを抑制できる。
滑り性向上に寄与する凹凸を形成する観点から、微粒子の粒子径(平均一次粒子径)は、10nm以上が好ましく、15nm以上がより好ましく、20nm以上がさらに好ましい。微粒子の平均一次粒子径は、易接着層の厚みよりも小さいことが好ましい。微粒子の粒子径が易接着層の厚みよりも小さいことにより、易接着層からの微粒子の脱落を抑制できる。微粒子の粒子径は、250nm以下が好ましく、200nm以下がより好ましい。また、微粒子の平均一次粒子径が可視光波長よりも小さいことにより、バインダ樹脂と微粒子との界面での可視光の散乱を抑制できる。透明性向上の観点からは、微粒子の粒子径は100nm以下が好ましく、80nm以下がより好ましく、60nm以下がさらに好ましく、50nm以下が特に好ましい。
易接着層15の微粒子は、無機微粒子および有機微粒子のいずれでもよい。分散性および粒子径の均一性に優れることから、微粒子としては無機微粒子が好ましい。無機微粒子としては、チタニア、アルミナ、ジルコニア等の無機酸化物;炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、燐酸カルシウム等が挙げられる。これらの中でも無機酸化物が好ましい。有機微粒子としては、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられる。微粒子に起因する光散乱を抑制するためには、バインダ樹脂(一般に屈折率1.5程度)と微粒子との屈折率差が小さいことが好ましい。バインダ樹脂との屈折率差が小さく、かつ分散性に優れることから、易接着層15の微粒子としてはシリカ粒子が好ましい。
水系の組成物から易接着層15を形成する場合、水分散性の高い微粒子を用いることが好ましい。微粒子の水分散液を組成物中に配合してもよい。微粒子の分散性を高めるためには、アミンやアンモニア等のアルカリ成分を添加して、易接着組成物を弱アルカリ性としてもよい。
水分散性のシリカ粒子としては、コロイダルシリカが好ましく用いられる。コロイダルシリカとして、扶桑化学工業(株)製のクォートロンPLシリーズ、日産化学工業(株)製のスノーテックスシリーズ、日本アエロジル(株)製のAERODISPシリーズおよびAEROSILシリーズ、日本触媒(株)製のシーホースターKEシリーズ等の市販品を用いてもよい。
易接着層15の表面への凹凸形成により、易接着フィルム1の滑り性を高める観点から、易接着層15における微粒子の含有量は、3重量%以上が好ましく、5重量%以上がより好ましい。特に、易接着層15の厚みが小さい場合は、微粒子の含有量を大きくして単位面積当たりの微粒子の量(数密度)を高めることにより、易接着層15の面内に均一に凹凸を形成することが好ましい。易接着層15における微粒子の含有量は、8重量%以上が好ましく、10重量%以上がより好ましく、12重量%以上がさらに好ましい。易接着層15の微粒子の含有量が過度に大きいと、バインダ樹脂と微粒子との界面での光散乱の増大に起因する光学特性の低下を招く場合がある。また、微粒子含有量の増大に伴って、バインダ樹脂の相対的な含有量が小さくなるため、易接着層の接着性が低下する場合がある。そのため、易接着層15における微粒子の含有量は、50重量%以下が好ましく、40重量%以下がより好ましく、30重量%以下がさらに好ましい。
<易接着層の形成>
フィルム基材11の表面への易接着層15の形成方法は特に限定されない。好ましくは、バインダ樹脂およびラジカル捕捉剤、ならびに必要に応じて微粒子を含む易接着組成物(塗液)を、フィルム基材11上に塗布し、加熱することにより、易接着層15が形成される。
(易接着組成物)
易接着組成物は、水を溶媒とする水系の組成物であることが好ましい。易接着組成物における固形分(不揮発成分)の濃度は、1~30重量%が好ましく、2~20重量%がより好ましく、3~15重量%がさらに好ましい。
水系の易接着組成物は、溶媒(および分散媒)としての水と、バインダ樹脂またはその前駆物質と、微粒子とを含む。易接着組成物は、さらに微粒子の分散性向上等のために、アンモニアやアミン等のアルカリ成分を含んでいてもよい。
易接着組成物は、バインダ樹脂(またはその前駆物質)、ラジカル捕捉剤および微粒子に加えて、架橋剤を含んでいてもよい。易接着組成物は、架橋促進剤等の触媒、酸化防止剤、紫外線吸収剤、レベリング剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、分散安定剤、消泡剤、増粘剤、分散剤、界面活性剤、滑剤等の添加剤を含んでいてもよい。
(フィルム基材上への易接着層の形成)
フィルム基材11上に易接着組成物を塗布する前に、フィルム基材の表面処理を行ってもよい。表面処理を行うことにより、フィルム基材の濡れ張力を調整し、易接着層15との密着性を向上できる。表面処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、オゾン吹き付け、紫外線照射、火炎処理、化学薬品処理等が挙げられる。これらの中でも、コロナ処理またはプラズマ処理が好ましい。
易接着組成物の塗布方法としては、バーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、スロットオリフィスコート法、カーテンコート法、ファウンテンコート法等が挙げられる。塗布後の易接着組成物を加熱して、溶媒を除去することにより易接着層15が形成される。加熱によりバインダ樹脂の前駆物質を反応させ硬化させてもよい。例えば、易接着組成物が架橋剤を含む場合は、加熱により架橋反応を促進できる。
易接着層形成時の加熱温度は、例えば50~200℃程度である。易接着組成物における樹脂成分の硬化反応を促進する観点から、加熱温度は100℃以上が好ましく、120℃以上がより好ましく、130℃以上がさらに好ましく、135℃以上が特に好ましい。易接着組成物がアミンやアンモニア等のアルカリ成分を含む場合は、アルカリ成分を効率的に揮発除去して残存アルカリ量を低減する観点から、加熱温度はアルカリ成分の沸点よりも高いことが好ましい。
フィルム基材の製造工程において易接着層を形成してもよい。また、フィルム基材の形成時の加熱を利用して、易接着層を形成してもよい。例えば、フィルム基材が延伸フィルムである場合には、延伸前のフィルムや縦延伸後のフィルムの表面に、易接着組成物を塗布し、テンターによる横延伸または同時二軸延伸時の加熱を利用して、溶媒の乾燥や樹脂の硬化を行うことができる。
易接着組成物を塗布後にフィルム基材の延伸を行う場合は、易接着層へのクラック発生等の不具合を抑制する観点から、延伸倍率は5倍以下が好ましく、4倍以下がより好ましく、3倍以下がさらに好ましく、2.5倍以下が特に好ましい。延伸倍率の下限は特に限定されないが、フィルム強度向上の観点から、延伸倍率は1.3倍以上が好ましく、1.5倍以上がより好ましい。フィルム基材がアクリル系フィルムである場合は、フィルム強度向上の観点から、搬送方向(MD)および幅方向(TD)のそれぞれに、上記の延伸倍率で延伸を実施することが好ましい。
フィルム基材の二軸延伸を行う場合、二軸延伸は、逐次二軸延伸でもよく、同時二軸延伸でもよい。また、斜め延伸を行ってもよい。逐次二軸延伸を行う場合は、前述のように、ロール延伸によりフィルムを1方向(MD)に延伸した後、フィルム上に易接着組成物を塗布し、テンターによる延伸時に易接着組成物の加熱を行ってもよい。
易接着組成物の固形分濃度および塗布厚みを調整することにより、易接着層15の厚みを調整できる。易接着組成物を塗布後にフィルム基材の延伸を行う場合は、延伸倍率によっても易接着層15の厚みを調整できる。
易接着層の厚みは特に制限されないが、一般には、10nm~2μm程度である。偏光子等に対する接着性向上、および易接着層に含まれるラジカル捕捉剤の量を高めて偏光子の劣化を抑制する観点から、易接着層の厚みは50nm以上が好ましく、80nm以上がより好ましく、100nm以上がさらに好ましく、110nm以上、120nm以上、130nm以上、140nm以上または150nm以上であってもよい。偏光子等との貼り合わせ時の貼合ムラの抑制や、偏光板が加湿環境に曝された際のスジ状のムラの発生を抑制する観点から、易接着層の厚みは500nm以下が好ましく、300nm以下がより好ましく、280nm以下がさらに好ましく、250nm以下または230nm以下であってもよい。
[偏光板]
偏光板は、偏光子の少なくとも一方の面に透明保護フィルム(偏光子保護フィルム)を備える。偏光板は、偏光子の一方の面のみに偏光子保護フィルムを備えるものでもよく、図2に示すように偏光子5の両面に偏光子保護フィルムを備えるものでもよい。
偏光子の一方の面に、上記の易接着フィルムを貼り合わせることにより、偏光子の一方の面のみに偏光子保護フィルムとしての易接着フィルムを備える偏光板が形成される。なお、図2では、偏光子の一方の面に偏光子保護フィルムとして易接着フィルム1が貼り合わせられ、他方の面に透明フィルム2が貼り合わせられた偏光板50を示しているが、上記の通り、偏光板は、偏光子の一方の面のみに偏光子保護フィルムが貼り合わせられたもの(いわゆる「片保護偏光板」)でもよい。片保護偏光板の偏光子保護フィルムが設けられていない側の面は、偏光子5に接して粘着剤層等が設けられる。
偏光子の両方の面に偏光子保護フィルムを有する偏光板は、偏光子の少なくとも一方の面に、上記の易接着フィルムが貼り合わせられていればよい。偏光板は、偏光子の両面に上記の易接着フィルムが貼り合わせられたものであってもよい。偏光子5と易接着フィルム1とは、接着剤層6を介して貼り合わせられる。
<偏光子>
偏光子5としては、ポリビニルアルコールや、部分ホルマール化ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール系フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて1方向に配向させたポリビニルアルコール(PVA)系偏光子が用いられる。例えば、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素染色および延伸を施すことにより、PVA系偏光子が得られる。
偏光子5の製造工程においては、必要に応じて、水洗、膨潤、架橋等の処理が行われてもよい。延伸は、ヨウ素染色の前後いずれに行われてもよく、染色しながら延伸が行われてもよい。延伸は、空中での延伸(乾式延伸)、あるいは、水中や、ホウ酸、ヨウ化カリウム等を含む水溶液中での延伸(湿式延伸)のいずれでもよく、これらを併用してもよい。偏光子5の膜厚は特に制限されないが、一般的に、1~50μm程度である。
偏光子5として、厚みが10μm以下の薄型のPVA系偏光子を用いることもできる。薄型の偏光子としては、例えば、特開昭51-069644号公報、特開2000-338329号公報、WO2010/100917号パンフレット、特許第4691205号明細書、特許第4751481号明細書等に記載されている薄型偏光子を挙げることができる。これらの薄型偏光子は、PVA系樹脂層と延伸用樹脂基材とを積層体の状態で延伸する工程と、ヨウ素染色する工程とを含む製法により得られる。この製法であれば、PVA系樹脂層が薄くても、延伸用樹脂基材に支持されているため、延伸による破断等の不具合なく延伸することが可能となる。
偏光子には、ヒンダードアミン化合物等のラジカル捕捉剤が含まれていてもよい。偏光子がラジカル捕捉剤を含むことにより、画像表示装置の使用環境での偏光子の劣化が抑制される傾向がある。ただし、偏光子にラジカル捕捉剤を含めるためには、PVAフィルム(またはPVA塗膜)を形成するための溶液にラジカル捕捉剤を添加し、製膜した後に延伸を行うか、ヨウ素染色のための溶液、または染色後の洗浄液等にラジカル捕捉剤を含める必要がある。そのため、ラジカル捕捉剤が、PVAのヨウ素染色や、延伸時のヨウ素の配向を阻害したり、PVAへのラジカル捕捉剤の吸着時にヨウ素の脱着を伴う場合があり、偏光度の低下や透過光の着色の原因となり得る。
そのため、偏光子におけるラジカル捕捉剤の含有量は、1重量%未満が好ましく、0.1重量%未満がより好ましく、0.05重量%未満がさらに好ましく、0.01重量%未満、0.005重量%未満または0.001重量%未満であってもよい。偏光子はラジカル捕捉剤を含まないものであってもよい。なお、ここでは、易接着層15がラジカル捕捉剤を含む易接着フィルム1と貼り合わせる前の偏光子について述べている。前述のように、易接着フィルム1と偏光子5とを貼り合わせた偏光板では、易接着層15から偏光子5にラジカル捕捉剤が移行するため、偏光子に上記範囲を超える量のラジカル捕捉剤が含まれていてもよい。
<接着剤>
偏光子5と易接着フィルム1との貼り合わせに用いられる接着剤層6は、光学的に透明であれば、その材料は特に制限されず、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、ポリビニルアルコール等が挙げられる。接着剤層6の厚みは、例えば、0.01~20μm程度であり、被着体の種類や接着剤の材料等に応じて適宜に設定される。塗布後の架橋反応により接着性を示す硬化型の接着剤を用いる場合、接着剤層6の厚みは0.01~5μmが好ましく、0.03~3μmがより好ましい。
接着剤としては、水系接着剤、溶剤系接着剤、ホットメルト接着剤系、活性エネルギー線硬化型接着剤等の各種形態のものが用いられる。これらの中でも、接着剤層の厚みを小さくできることから、水系接着剤または活性エネルギー線硬化型接着剤が好ましい。
水系接着剤のポリマー成分としては、ビニルポリマー、ゼラチン、ビニル系ラテックス、ポリウレタン、ポリエステ系、エポキシ等を例示できる。これらの中でも、易接着フィルムと偏光子との接着性に優れることから、ビニルポリマーが好ましく、ポリビニルアルコール系樹脂が特に好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂の中でも、アセトアセチル基含有ポリビニルアルコールが好ましい。
ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度は、接着性の点から、100~5000程度が好ましく、1000~4000がより好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂の平均ケン化度は、85モル%以上が好ましく、90モル%以上がより好ましい。
水系接着剤組成物(溶液)は、ポリビニルアルコール系樹脂等のポリマーに加えて、架橋剤を含んでいてもよい。架橋剤としては、接着剤を構成するポリマーと反応性を有する官能基を1分子中に少なくとも2つ有する化合物が用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂の架橋剤としては、アルキレンジアミン類;イソシアネート類;エポキシ類;アルデヒド類;メチロール尿素、メチロールメラミン等のアミノ-ホルムアルデヒドが挙げられる。これらの中でも、アミノ-ホルムアルデヒドが好ましい。アミノ-ホルムアルデヒド樹脂としてはメチロール基を有する化合物が好ましく、メチロールメラミンが特に好ましい。接着剤組成物中の架橋剤の配合量は、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、10~60重量部程度が好ましく、20~50重量部がより好ましい。
活性エネルギー線硬化型接着剤は、電子線や紫外線等の活性エネルギー線の照射により、ラジカル重合、カチオン重合またはアニオン重合可能な接着剤である。中でも、低エネルギーで硬化可能であることから、紫外線照射によりラジカル重合が開始する光ラジカル重合性接着剤が好ましい。
ラジカル重合性接着剤のモノマーとしては、(メタ)アクリロイル基を有する化合物や、ビニル基を有する化合物が挙げられる。中でも、(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好適である。(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、C1-20鎖状アルキル(メタ)アクリレート、脂環式アルキル(メタ)アクリレート、多環式アルキル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。ラジカル重合性接着剤は、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N‐メチロール(メタ)アクリルアミド、N‐メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N‐エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン等の窒素含有モノマーを含んでいてもよい。ラジカル重合性接着剤は、架橋成分として、トリプロピレングリコールジアクリレート、1,9‐ノナンジオールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、環状トリメチロールプロパンフォルマルアクリレート、ジオキサングリコールジアクリレート、EO変性ジグリセリンテトラアクリレート等の多官能モノマーを含んでいてもよい。
光ラジカル重合性接着剤等の光硬化型接着剤は、光重合開始剤を含むことが好ましい。光重合開始剤は、反応種に応じて適宜選択すればよい。例えば、ラジカル重合性接着剤には、光重合開始剤として、光照射によりラジカルを生成する光ラジカル発生剤を配合すること好ましい。光ラジカル発生剤の含有量は、モノマー100重量部に対して、通常0.1~10重量部程度、好ましくは、0.5~3重量部である。なお、ラジカル重合性接着剤を電子線硬化型として用いる場合には、光重合開始剤は特に必要ない。ラジカル重合性接着剤には、必要に応じて、カルボニル化合物等で代表される光増感剤を添加することもできる。光増感剤は、電子線による硬化速度や感度を上昇させるために用いられる。光増感剤の使用量はモノマー100重量部に対して、通常0.001~10重量部程度、好ましくは、0.01~3重量部である。
接着剤は、必要に応じて適宜の添加剤を含んでいてもよい。添加剤の例としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等のカップリング剤、エチレンオキシド等の接着促進剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤、染料、加工助剤、イオントラップ剤、酸化防止剤、粘着付与剤、充填剤、可塑剤、レベリング剤、発泡抑制剤、帯電防止剤、耐熱安定剤、耐加水分解安定剤等が挙げられる。
接着剤には、ヒンダードアミン化合物等のラジカル捕捉剤が含まれていてもよい。接着剤がラジカル捕捉剤を含むことにより、画像表示装置の使用環境等において接着剤中のラジカル捕捉剤が偏光子に移行するため、偏光子の劣化が抑制される傾向がある。ただし、接着剤がラジカル捕捉剤を含む場合は、ラジカル捕捉剤が接着剤の硬化反応を阻害し、接着力低下の原因となり得る。特に、ラジカル重合型の接着剤においては、硬化反応に必要なラジカルが、ラジカル捕捉剤によりトラップされるため、重合阻害の影響が大きい。
そのため、接着剤におけるラジカル捕捉剤の含有量は、1重量%未満が好ましく、0.1重量%未満がより好ましく、0.05重量%未満がさらに好ましく、0.01重量%未満、0.005重量%未満または0.001重量%未満であってもよい。接着剤はラジカル捕捉剤を含まないものであってもよい。なお、ここでは、偏光子や易接着フィルム等の被着体との貼り合わせ前(すなわち硬化前)の接着剤について述べている。硬化後の接着剤層においては、易接着層等から移行したラジカル捕捉剤が、上記範囲を超えて含まれていてもよい。
<偏光板の作製>
偏光子5の一方の面(第一主面)に、接着剤層6を介して易接着フィルム1を貼り合わせることにより偏光板が製造される。易接着フィルム1は、易接着層形成面が接着剤層を介して偏光子5と貼り合わせられていてもよく、易接着層非形成面が接着剤層を介して偏光子5と貼り合わせられていてもよい。
図2に示すように、易接着フィルム1の易接着層15形成面に接着剤層6を介して偏光子5を貼り合わせることにより、偏光子と偏光子保護フィルム(易接着フィルム1)との接着性に優れる。また、易接着フィルム1の易接着層15形成面が偏光子5に面している場合は、易接着層15と偏光子5との距離が近いため、画像表示装置の使用環境等の水分存在下において、易接着層15に含まれるラジカル捕捉剤が、接着剤層6を介して偏光子5内に移行しやすく、より優れた偏光子の劣化抑制効果が得られる。
偏光子5と易接着フィルム1との貼り合わせにおいては、偏光子5および易接着フィルム1のいずれか一方または両方に、接着剤組成物を塗布した後、偏光子5と易接着フィルム1とをロールラミネータ等により貼り合わせ、接着剤を硬化させることが好ましい。偏光子5および/または易接着フィルム1への接着剤組成物の塗布方法としては、ロール法、噴霧法、浸漬法等が挙げられる。偏光子5および/または易接着フィルム1の表面に接着剤組成物を塗布する前に、コロナ処理、プラズマ処理、ケン化処理等の表面処理を行ってもよい。
偏光子5と易接着フィルム1とを貼り合わせた後に、接着剤の種類に応じて、接着剤を硬化させることにより、接着剤層6が形成される。水系接着剤を用いた場合は、加熱乾燥により接着剤の硬化が行われる。活性エネルギー線硬化型接着剤を用いた場合は、電子線や紫外線等の活性エネルギー線の照射により接着剤の硬化が行われる。前述のように、接着剤がラジカル捕捉剤を実質的に含まないことにより、接着剤の硬化阻害が生じ難く、偏光子5と易接着フィルム1との接着力が高い偏光板が得られる。
<透明保護フィルム>
偏光子5の第二主面には、接着剤層7を介して透明保護フィルム2が貼り合わせられてもよい。透明保護フィルム2としては、任意の適切な透明フィルムを採用し得る。透明保護フィルム2の厚みは、5~200μm程度である。機械強度、透明性およびハンドリング性等の観点から、透明保護フィルム2の厚みは10~100μmが好ましく、15~60μmがより好ましい。易接着フィルム1と透明保護フィルム2の厚みは同一でもよく異なっていてもよい。
透明保護フィルム2を形成する材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル類;ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー;ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体等のスチレン系ポリマー;ポリノルボルネン等の環状ポリオレフィン;ポリカーボネート等が挙げられる。
透明保護フィルム2は、偏光子5との貼り合わせ面に易接着層(不図示)を備えていてもよい。透明保護フィルム2には、易接着フィルム1の易接着層15と同様の易接着層が設けられてもよい。透明保護フィルム2は、位相差フィルム、視野角補償フィルム等の光学機能フィルムであってもよい。
偏光子5と透明保護フィルム2との貼り合わせに用いられる接着剤層7としては、水系接着剤、溶剤系接着剤、ホットメルト接着剤系、活性エネルギー線硬化型接着剤等の各種形態のものが用いられる。接着剤層6と接着剤層7に同一の接着剤組成物を用いてもよい。
偏光板は、偏光子保護フィルムとしての透明保護フィルム2に加えて、位相差フィルム、視角補償フィルム、輝度向上フィルム等の光学層を有するものであってもよい。
[粘着剤付き偏光板]
偏光板50の一方の面または両面には、液晶セルや有機ELセル等の画像表示セル60への貼り合わせのための粘着剤層20や、前面透明部材70への貼り合わせのための粘着剤層30を設けてもよい。
図3は、偏光板10の両面に粘着剤層20,30を備える粘着剤付き偏光板90の構成例を示す断面図である。粘着剤層20,30の表面には、粘着剤層の汚染防止等を目的として、はく離ライナー(不図示)が仮着されていてもよい。はく離ライナーとしては、プラスチックフィルムの表面を、シリコーン系離型剤、長鎖アルキル系離型剤、フッ素系離型剤等の剥離剤でコート処理したものが好ましく用いられる。
偏光板上に予め粘着剤層が付設された粘着剤付き偏光板を用いれば、画像表示装置を形成する際に、画像表示セル60や前面透明部材との貼り合わせのために、偏光板50上に別途の粘着剤層を付設する工程を設ける必要がない。そのため、画像表示装置の製造工程を簡略化できる。
粘着剤層20,30を形成する粘着剤としては、アクリル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、フッ素系やゴム系等のポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。特に、光学的透明性に優れ、適度な濡れ性と凝集性を示し、かつ耐候性や耐熱性等に優れることから、アクリル系粘着剤が好ましい。
粘着剤層に含まれる酸が偏光子に移行すると、ポリビニルアルコールの脱水によるポリエン化の酸触媒として作用し、偏光板の単体透過率低下の原因となり得る。そのため、偏光板50上に設けられる粘着剤層20,30は、(メタ)アクリル酸等の有機酸モノマー(遊離の有機酸)の含有量が低いことが好ましい。粘着剤層20,30における酸モノマーの含有量は、100ppm以下が好ましく、70ppm以下がより好ましく、50ppm以下がさらに好ましい。粘着剤層の酸モノマー含有量は、粘着剤を純水中に浸漬し、100℃で45分加温して、水中に抽出された酸モノマーをイオンクロマトグラフで定量することにより求められる。
熱硬化型や光硬化型のポリマーにおいて、未反応の残留モノマーの存在は不可避である。そのため、粘着剤層における酸モノマー含有量を低減させるためには、ベースポリマーを構成するモノマー成分における(メタ)アクリル酸等の有機酸モノマー成分の量を少なくすることが好ましい。粘着剤のベースポリマーは、モノマーユニットとして有機酸モノマー(カルボキシ基含有モノマー)を実質的に含有しないことが好ましい。ベースポリマーの構成モノマー成分全量に対する、カルボキシ基含有モノマー成分の含有量は、0.5重量%以下が好ましく0.1重量%以下がより好ましく、0.05重量%以下がさらに好ましい。
粘着剤層20,30の厚みは特に限定されないが、接着性やハンドリング性等の観点から、一般には、5~500μm程度であり、10~300μm程度であってもよい。偏光板10の一方の面に配置される粘着剤層20の厚みと、偏光板10の他方の面に配置される粘着剤層30の厚みは、同一でもよく、異なっていてもよい。
粘着剤層には、ヒンダードアミン化合物等のラジカル捕捉剤が含まれていてもよい。粘着剤がラジカル捕捉剤を含むことにより、画像表示装置の使用環境等において、粘着剤中のラジカル捕捉剤が偏光子に移行するため、偏光子の劣化が抑制される傾向がある。ただし、画像表示装置において粘着剤層20,30は、偏光子5から隔てて配置されているため、粘着剤層20,30から偏光子5に移行するラジカル捕捉剤の量が少なく、偏光子の劣化を抑制する効果は限定的である。偏光子の劣化抑制効果を高めるためには、粘着剤に含まれるラジカル捕捉剤の量を高める必要があるが、ラジカル捕捉剤の量が過度に多い場合は、粘着剤の組成の変化(接着に寄与する成分の減少)やラジカル捕捉剤のブリードアウト等に起因して、粘着剤の接着力(被着体に対する投錨力)が低下する傾向がある。また、粘着剤が光硬化性の組成物である場合、ラジカル捕捉剤が硬化阻害の原因となり得る。
そのため、接着剤層におけるラジカル捕捉剤の含有量は、10重量%未満が好ましく、5重量%未満がより好ましく、1重量%未満がさらに好ましく、0.5重量%未満、0.1重量%未満、0.05重量%未満、0.01重量%未満、0.005重量%未満または0.001重量%未満であってもよい。粘着剤層はラジカル捕捉剤を含まないものであってもよい。なお、ここでは、偏光板等の被着体との貼り合わせ前の粘着剤層について述べている。偏光板と貼り合わせた後の粘着剤層には、易接着層等から移行したラジカル捕捉剤が、上記範囲を超えて含まれていてもよい。
[画像表示装置]
偏光板10を、液晶セルや有機ELセル等の画像表示セル60の表面に貼り合わせることにより、画像表示装置を形成できる。液晶表示装置の形成は、液晶セルと偏光板、および必要に応じて照明システム等の構成部品を適宜に組立てて駆動回路を組込むこと等により形成される。有機EL表示装置においては、有機ELセルの表面に、偏光板と位相差フィルム(典型的には1/4波長板)とを組み合わせた円偏光板と貼り合わせることにより、金属電極等による外光の反射光の再出射を低減して、視認性を向上できる。
図4は、画像表示装置の一形態を示す模式的断面図である。図4の画像表示装置100では、画像表示セル60の視認側に、粘着剤層20を介して偏光板50が貼り合わせられており、偏光板50のさらに視認側に、粘着剤層30を介して前面透明部材70が貼り合わせられている。
なお、図示していないが、液晶セルを備える液晶表示装置では、画像表示セル60の視認側と反対側の面に、適宜の粘着剤層または接着剤層を介して光源側偏光板が貼り合わせられ、さらにバックライト等の光源が配置される。
画像表示セル60の視認側に配置される前面透明部材70としては、前面透明板(カバーウインドウ)やタッチパネル等が挙げられる。前面透明板としては、適宜の機械強度および厚みを有する透明板が用いられる。このような透明板としては、例えばアクリル系樹脂やポリカーボネート系樹脂のような透明樹脂板、あるいはガラス板等が用いられる。タッチパネルとしては、抵抗膜方式、静電容量方式、光学方式、超音波方式等の各種タッチパネルや、タッチセンサー機能を備えるガラス板や透明樹脂板等が用いられる。
画像表示装置100は、偏光板50の両面に粘着剤層20,30を介して、画像表示セル60および前面透明部材70が貼り合わせられているため、偏光板50の主面から水分が散逸し難く、偏光板の内部に水分が滞留しやすい。水分が滞留した状態で、高温環境に長時間暴露されると、偏光子のポリエン化が進行しやすく、偏光板の単体透過率が低下することが知られている。
上記の通り、偏光子5に貼り合わせられた易接着フィルム1の易接着層15がラジカル捕捉剤を含むことにより、偏光板50の両面に画像表示セル60および前面透明部材70を備える画像表示装置100においても、偏光子5のポリエン化が抑制されるため、加熱による偏光板の単体透過率の低下量が少ない。
偏光板内に水分が存在する状態で高温環境に曝されると、易接着層15に含まれるラジカル捕捉剤が、水分を介して他の層に拡散(移行)しやすくなり、易接着フィルム1に貼り合わせられている偏光子5にもラジカル捕捉剤が移行し、偏光子のポリビニルアルコールのポリエン化を抑制する作用を発揮すると考えられる。すなわち、高温かつ水分の存在というポリエン化が促進されやすい環境で、易接着層15から偏光子5へのラジカル捕捉剤の移行も促進されるために、ポリエン化が抑制され、偏光板の単体透過率の低下が抑制されると考えられる。
上記のように、偏光子5がラジカル捕捉剤を含む場合は、ヨウ素の染色不良や配向不良の原因となり得る。接着剤層6,7や粘着剤層20,30がラジカル捕捉剤を含む場合は、硬化阻害やブリードアウト等による接着力の低下が懸念される。また、粘着剤層20,30と偏光子5の間には、偏光子保護フィルム1,2が配置されているため、粘着剤層と偏光子の距離が長く、粘着剤層から偏光子に移行するラジカル捕捉剤の量が少ないため、ポリエン化抑制効果が限定的である。
これに対して、偏光子5に隣接する易接着フィルム1の易接着層15がラジカル捕捉剤を含む場合は、硬化阻害や接着不良が生じ難く、かつ、易接着層15と偏光子5との距離が近いため、偏光子5にラジカル捕捉剤が移行しやすい。そのため、層間の接着力を低下させることなく、高温環境での偏光板の単体透過率の低下が抑制された画像表示装置が得られる。
なお、図4では、画像表示セル60の視認側に配置された偏光板50において、偏光子5と前面透明部材70の間に偏光子保護フィルムとしての易接着フィルム1を備える形態を図示しているが、易接着層15がラジカル捕捉剤を含む易接着フィルム1の配置は、当該形態に限定されない。例えば、偏光子5と画像表示セル60の間に配置される偏光子保護フィルムが、上記の易接着フィルムであってもよい。液晶表示装置においては、画像表示セルと光源の間に配置される偏光板が、偏光子保護フィルムとして、上記の易接着フィルムを備えていてもよい。前述のように、画像表示装置に用いられる偏光板は、偏光子の片面のみに偏光子保護フィルムとしての易接着フィルムが貼り合わせられた片保護偏光板であってもよい。
以下、実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下において、濃度に関する「%」の記載は、特に断りがない限り重量%である。
[実施例1]
<易接着フィルムの作製>
(易接着組成物の調製)
樹脂成分としてポリエステルウレタンおよびイソホロンジイソシアネートを含み、さらに硬化触媒としてのトリエチルアミンおよび分散媒としてのメチルエチルケトンを含む固形分35%の水系ポリウレタン(第一工業製薬製「スーパーフレックス210R」)16.5重量部、固形分25%のオキサゾリン含有ポリマー水溶液(日本触媒製「エポクロスWS-700」)4.2重量部、1%のアンモニア水2.3重量部、平均一次粒子径35nmのコロイダルシリカの20%水分散液(扶桑化学工業製「クォートロンPL-3」)6重量部、および純水71重量部を混合して、易接着組成物Aを調製した。
この易接着組成物Aに、下記の式(9)で表されるラジカル捕捉剤(4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル)を0.0008重量部(組成物の固形分100重量部に対して0.01重量部に相当)を添加して、ラジカル捕捉剤を含有する易接着組成物を調製した。
Figure 2023061190000005
(アクリル系フィルム上への易接着層の形成)
溶融押出製膜装置、グラビアコーター、テンター式同時二軸延伸装置、および巻取り装置を備えるフィルム製造装置を用いて、易接着フィルムを作製した。アクリル系樹脂として、特開2017-26939号の実施例に記載の「透明保護フィルム1A」の作製に用いたものと同一のイミド化MS樹脂(ガラス転移温度:120℃)のペレットを用いた。アクリル系樹脂をTダイから溶融押出して160μmの厚みで製膜し、フィルムの一方の面にグラビアコーターにて上記の易接着組成物を約9μmのウェット厚みで塗布し、温度140℃の加熱炉内で同時二軸延伸テンターにより長手方向(MD)および幅方向(TD)にそれぞれ2倍に延伸して、厚み40μmのアクリル系フィルムの一方の面に厚み200nmの易接着層を備える易接着フィルムを得た。
<偏光板の作製>
(偏光子の作製)
厚み45μmのポリビニルアルコール(PVA)系樹脂フィルム(クラレ製「PE4500」)の長尺ロールを、ロール延伸機により長手方向に5.9倍になるように長手方向に一軸延伸しながら、表1に示す膨潤浴、染色浴、架橋浴1、架橋浴2、および洗浄浴を順に搬送し、70℃で5分間乾燥させて厚み18μmの偏光子を作製した。染色浴におけるヨウ素濃度およびヨウ化カリウム濃度は、偏光子の単体透過率が43.4%になるように調整した。
Figure 2023061190000006
(紫外線硬化型接着剤の調製)
N-ヒドロキシエチルアクリルアミド40重量部およびアクリロイルモルホリン60重量部を硬化性成分として含み、さらに重合開始剤として2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン(BASF製「イルガキュア819」)3重量部を含む紫外線硬化型接着剤を調製した。
(偏光子と偏光子保護フィルムの貼り合わせ)
片面の偏光子保護フィルムとして、上記で作製した易接着フィルムを用い、他方の面の偏光子保護フィルムとして二軸延伸環状ポリオレフィンフィルム(日本ゼオン製「ゼオノアフィルムZF-14」)を用いた。易接着フィルムの易接着層形成面およびゼオノアフィルムの表面に、上記の紫外線硬化型接着剤を約1μmの厚みで塗布し、ロールラミネータで偏光子に貼り合わせた後、積算光量1000mJ/cmの紫外線を照射して接着剤を硬化させ、偏光子の一方の面にアクリル系フィルム(易接着フィルム)、他方の面にゼオノアフィルムを備える偏光板を得た。
[実施例2~5]
易接着組成物の調製において、易接着組成物Aに添加するラジカル捕捉剤の量(組成物の固形分に対する量)を表2に示すように変更した。それ以外は、実施例1と同様にして、易接着フィルムを作製し、得られた易接着フィルムを偏光子に貼り合わせて偏光板を得た。
[比較例1]
易接着組成物の調製において、ラジカル捕捉剤を添加せずに、易接着組成物Aをそのまま用いた。それ以外は、実施例1と同様にして、易接着フィルムを作製し、得られた易接着フィルムを偏光子に貼り合わせて偏光板を得た。
[比較例2]
接着剤の調製において、上記の式(9)で表されるラジカル捕捉剤を、濃度が10%となるように添加して、ラジカル捕捉剤を含む接着剤を調製した。偏光子と易接着フィルムとの貼り合わせにこの接着剤を用いたこと以外は、比較例1と同様にして偏光板を作製した。
[比較例3,4]
接着剤に添加するラジカル捕捉剤の量(接着剤中の濃度)を表2に示す様に変更したこと以外は、比較例2と同様にして偏光板を作製した。
[偏光板の評価]
<接着強度>
偏光板を、偏光子の延伸方向と平行(吸収軸方向)に200mm、直交方向(透過軸方向)に15mmの大きさに切り出し、易接着フィルムと偏光子との間にカッターナイフで切り込みを入れた後、偏光板のゼオノアフィルム側の面をガラス板に貼り合わせた。引張圧縮試験機(ミネベア製「TG-1kN」)にて、剥離角度90°、剥離速度1000mm/分で剥離試験を行い、偏光子と易接着フィルムとの接着力を測定した。
<加熱試験での単体透過率の変化>
(アクリル系粘着剤の調製)
ブチルアクリレートと4-ヒドロキシブチルアクリレートを99:1の重量比で共重合した重量平均分子量180万のアクリル系ポリマーの溶液に、ポリマー100重量部に対して、イソシアネート系架橋剤(東ソー製「タケネート D110N」)0.02重量部、およびシランカップリング剤(信越化学工業製「X-41-1056」)0.2重量部を配合して、アクリル系粘着剤組成物を調製した。
(粘着剤層の作製)
はく離ライナー(表面にシリコーン離型層を備えるポリエステルフィルム;三菱ケミカル製「MRF38」)の離型層形成面に、上記のアクリル系粘着剤組成物を、乾燥後の粘着剤層の厚さが20μmになるように塗布し、90℃で1分間乾燥を行い、はく離ライナー上に粘着剤層を形成した。
(評価用疑似画像表示装置の作製)
偏光板を、1辺40mmの正方形に切り出し、ゼオノアフィルム側の面を、上記の粘着剤層を介してガラス板に貼り合わせた。偏光板の他方の面(易接着フィルム側の面)を、厚み200μmの酸フリーアクリル系粘着シート(日東電工製、「LUCIACS CS9868」)を介して別のガラス板に貼り合わせて、偏光板の両面に粘着剤層を介してガラス板が貼り合わせられた疑似画像表示装置を作製した。
(加熱による単体透過率変化ΔTsの評価)
上記の疑似画像表示装置を、温度105℃の熱風オーブン内に48時間静置して加熱試験を実施した。加熱試験前の単体透過率Tsおよび加熱試験後の単体透過率Tsから、下記式により加熱試験前後での単体透過率の減少量ΔTsを算出した。なお、単体透過率は、JlS Z 8701-1982の2度視野(C光源)により、視感度補正を行ったY値であり、分光光度計(村上色彩技術研究所製、「DOT-3」)を用いて測定した。
ΔTs(%)=Ts(%)-Ts(%)
[評価結果]
実施例1~5および比較例1~4の偏光板における易接着フィルムの易接着層、および接着剤におけるラジカル捕捉剤の含有量、偏光子と易接着フィルムとの接着力、ならびに加熱試験前後での単体透過率の減少量ΔTsを、表2に一覧で示す。
Figure 2023061190000007
易接着層がラジカル捕捉剤を含まない比較例1では、加熱試験による単体透過率の減少量ΔTsが19%であったのに対し、0.01%のラジカル捕捉剤を含む易接着層を備える易接着フィルムを用いた実施例1では、ΔTsが5%であり、加熱による偏光板の単体透過率の減少が抑制されていた。実施例2~5では、実施例1よりもさらにΔTsが小さく、易接着層に含まれるラジカル捕捉剤の量が多いほど、単体透過率の低下が抑制される傾向がみられた。これは、易接着層に含まれるラジカル捕捉剤が、加熱環境で偏光子に移行し、ポリビニルアルコールのポリエン化を抑制する作用を有するためであると考えられる。
接着剤層にラジカル捕捉剤を含めた比較例2~4では、実施例1~5と同様、ラジカル捕捉剤の添加量の増大に伴って、ΔTsが小さくなる傾向がみられた。ただし、比較例2~4では、ラジカル捕捉剤の添加量の増大に伴って、偏光子と易接着フィルムとの接着力が低下する傾向がみられ、優れた加熱耐久性と接着力との両立が困難であることが分かる。比較例2~4では、接着剤に含まれるラジカル捕捉剤が、接着剤の硬化反応を阻害したことが、接着力低下の原因であると考えられる。
[比較例5~7:粘着剤にラジカル捕捉剤を添加した例]
比較例5~7では、比較例1で作製した偏光板を用い、アクリル系粘着剤の調製において、上記の式(9)で表されるラジカル捕捉剤を、表3に示す濃度となるように添加することにより、偏光板のゼオノアフィルム側の面とガラス板とを貼り合わせる粘着剤層がラジカル捕捉剤を含有する疑似画像表示装置を作製し、加熱試験前後の単体透過率の減少量ΔTsを測定した。
<投錨力の測定>
偏光板のゼオノアフィルム側の面に、上記のラジカル捕捉剤を含む粘着剤層を貼り合わせて粘着剤付き偏光板を作製し、幅50mm、長さ200mmにカットし、偏光板の易接着フィルム側の面を、両面テープでガラス板に貼り合わせた。幅25mm、長さ200mmにカットしたITOフィルムを、粘着剤付き偏光板の粘着剤層上に貼り合わせ、室温で20分静置したものを測定試料とした。引張圧縮試験機(ミネベア製「TCM-1kNB」)にて、剥離角度180℃、剥離速度1000mm/分で剥離試験を行い、偏光板(ゼオノアフィルム)と粘着剤層との界面での剥離力を求め、これを粘着剤の投錨力とした。
実施例1,5および比較例1の偏光板と、ラジカル捕捉剤を含まない粘着剤層との投錨力を、上記と同様にして特定した。
[評価結果]
実施例1,5および比較例1,7~8の偏光板における易接着フィルムの易接着層、および粘着剤層のラジカル捕捉剤の含有量、偏光板に対する粘着剤層の投錨力、ならびに加熱試験前後での単体透過率の減少量ΔTsを、表3に一覧で示す。
Figure 2023061190000008
粘着剤層が0.01%のラジカル捕捉剤を含む比較例5では、比較例1に比べるとΔTsが小さくなっていたものの、実施例1~5に比べると、単体透過率の低下抑制効果は限定的であった。粘着剤層と偏光子の間には偏光子保護フィルムが配置され両者が隔てられているため、粘着剤層から偏光子に移行するラジカル捕捉剤の量が少ないことが、ΔTs低減効果が限定的であることの一因として考えられる。
粘着剤が0.2%のラジカル捕捉剤を含む比較例6では、比較例5に比べるとΔTsが小さいものの、単体透過率の低下抑制効果は不十分であった。また、比較例6では、粘着剤の投錨力の低下がみられた。粘着剤層が20%のラジカル捕捉剤を含む比較例7では、比較例5,6に比べるとΔTsが小さくなっていた。しかし、粘着剤層へのラジカル捕捉剤の添加量が過剰であるため、粘着剤の投錨力が大幅に低下していた。
上記の各実施例および比較例の結果から、偏光子に貼り合わせられる易接着フィルムの易接着層がラジカル捕捉剤を含むことにより、高温環境における偏光板の単体透過率低下を抑制できるとともに、偏光特性や部材間の接着性に与える影響が小さいことが分かる。
1 易接着フィルム
11 フィルム基材
15 易接着層
2 透明フィルム
5 偏光子
6,7 接着剤層
50 偏光板
20,30 粘着剤層
90 粘着剤付き偏光板
60 画像表示セル
70 前面透明部材
100 画像表示装置

Claims (8)

  1. 透明フィルム基材の表面に易接着層を備え、
    前記易接着層が、バインダ樹脂および水溶性のラジカル捕捉剤を含む、易接着フィルム。
  2. 前記ラジカル捕捉剤が、ヒンダードアミン化合物である、請求項1に記載の易接着フィルム。
  3. 前記ラジカル捕捉剤が、ニトロキシド基を有する化合物、またはニトロキシド基を生成可能な化合物である、請求項1または2に記載の易接着フィルム。
  4. 前記易接着層が、前記ラジカル捕捉剤を0.01~10重量%含有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の易接着フィルム。
  5. 前記易接着層が、さらに微粒子を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の易接着フィルム。
  6. 第一主面および第二主面を有するポリビニルアルコール系偏光子、および前記偏光子の第一主面に接着剤層を介して貼り合わせられた透明フィルムを備え、
    前記透明フィルムが請求項1~5のいずれか1項に記載の易接着フィルムである、偏光板。
  7. 請求項6に記載の偏光板の少なくとも一方の面に粘着剤層を備える、粘着剤付き偏光板。
  8. 画像表示セルと、請求項6に記載の偏光板とを有する、画像表示装置。

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