JP2023061143A - 作物用炭酸ガス施用装置およびシステム - Google Patents

作物用炭酸ガス施用装置およびシステム Download PDF

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Abstract

【課題】農業用ハウスにおける炭酸ガス濃度をより好適に制御するための炭酸ガス施用設備およびシステムを提供すること。【解決手段】生ガス式炭酸ガス供給手段、燃焼式炭酸ガス供給手段、および少なくとも1つの環境検出センサを備える作物用炭酸ガス施用設備が提供される。環境検出センサによって検出される農業用ハウスの環境パラメータに基づいて、生ガス式炭酸ガス供給手段および燃焼式炭酸ガス供給手段の各々が制御され、作物に炭酸ガスが供給される。また、生ガス式および燃焼式を含む少なくとも2つの炭酸ガス供給手段、農業用ハウスの環境データを取得する少なくとも1つの環境検出センサ、各炭酸ガス供給手段の判定条件を格納する記憶部、ならびに環境検出センサによって取得された環境データおよび判定条件に基づき、炭酸ガス供給手段の各々に炭酸ガスを供給させるかどうかを判定する制御部を備える、作物用炭酸ガス施用システムが提供される。【選択図】図1

Description

本発明は作物用炭酸ガス施用装置およびシステムに関する。特に、本発明は、作物の栽培環境を制御するための炭酸ガス施用設備およびシステムに関する。
作物の生育を促進させるため、作物に対して炭酸ガスを施用することで光合成を活発化させる装置が公知である。
従来から、作物に対する炭酸ガスの施用には、生ガスと呼ばれる液化炭酸ガスを用いた手法が採用されている。また、別手法として、燃焼式と呼ばれる燃料などの燃焼によって生じる炭酸ガスを用いる手法も存在する。
特開2014-11991号公報 特開2009-153459号公報
本願発明者は、従来の炭酸ガス施用装置に克服すべき課題があることに気づき、そのための対策をとる必要性を見出した。具体的には、以下の課題があることを見出した。
例えば、特許文献1には、炭酸ガスボンベまたは炭酸ガス貯蔵タンクに接続された炭酸ガス施用装置が開示されている。かかる炭酸ガス施用装置では、電磁弁を制御することによって、炭酸ガスボンベまたは炭酸ガス貯蔵タンクから作物に炭酸ガスが供給される。
また、特許文献2には、園芸施設内の二酸化炭素濃度を上昇させることが可能な二酸化炭素施用装置が開示されている。かかる二酸化炭素施用装置では、燃料を燃焼させることで二酸化炭素が生成される。生成された二酸化炭素は、送風機、送風機に連結されたダクト、および潅水用チューブによって作物に供給される。
上述の施用装置において、炭酸ガスボンベを用いる生ガス式の炭酸ガス施用は、高濃度の炭酸ガスを素早く作物に供給できるものの、適正濃度を超えて炭酸ガスが過剰に供給され、炭酸ガスを浪費する虞がある。また、燃焼式の炭酸ガス施用装置は、比較的低濃度の二酸化炭素を供給できるものの、炭酸ガスの発生に際して熱を伴うため、閉鎖された施設では、施設内の温度を過度に上昇させて作物の生育を妨げる懸念がある。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の主たる目的は、農業用ハウスにおける炭酸ガス濃度をより好適に制御するための炭酸ガス施用設備およびシステムを供することである。
上記目的を達成するため、本発明では、農業用ハウスに設けられる作物用炭酸ガス施用設備であって、生ガス式炭酸ガス供給手段、燃焼式炭酸ガス供給手段、および少なくとも1つの環境検出センサを備え、前記環境検出センサによって、前記農業用ハウスの環境パラメータが検出され、該環境パラメータに基づいて、前記生ガス式炭酸ガス供給手段および前記燃焼式炭酸ガス供給手段の各々を制御し、作物に炭酸ガスを供給する、作物用炭酸ガス施用設備が提供される。
また、本発明では、生ガス式炭酸ガス供給手段および燃焼式ガス供給手段を含む少なくとも2つの炭酸ガス供給手段、農業用ハウスの環境データを取得する少なくとも1つの環境検出センサ、前記少なくとも2つの炭酸ガス供給手段の各々の判定条件を格納する記憶部、ならびに、前記環境検出センサによって取得された前記環境データを受け取って、該環境データおよび前記判定条件に基づき、前記少なくとも2つの炭酸ガス供給手段の各々に炭酸ガスを供給させるかどうかを判定する制御部、を備える、作物用炭酸ガス施用システムが提供される。
本発明に係る作物用炭酸ガス施用設備およびシステムは、農業用ハウスにおける炭酸ガス濃度のより好適な制御を実現する。
より具体的には、本発明の作物用炭酸ガス施用設備では、生ガス式炭酸ガス供給手段および燃焼式炭酸ガス供給手段の各々が、環境検出センサによって検出される環境パラメータに基づいて制御される。したがって、異なる2種類の炭酸ガス供給手段の組合せによって農業用ハウスへの炭酸ガスの供給が実施され、検出された環境パラメータに基づくより好適な炭酸ガス供給の制御が可能となり得る。
また、本発明の作物用炭酸ガス施用システムでは、記憶部によって格納される判定条件と、環境検出センサによって取得された環境データとに基づき、生ガス式炭酸ガス供給手段および燃焼式炭酸ガス供給手段の各々に炭酸ガスを供給させるかどうかを制御部が判定する。このようなシステムにより、生ガス式および燃焼式の炭酸ガス施用システムの各々が適切な条件に基づいて制御され、農業用ハウスにおける炭酸ガス濃度のより好適な制御が実現され得る。
図1は、本発明の一実施形態に係る作物用炭酸ガス施用設備の構成図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る作物用炭酸ガス施用設備の構成図である。 図3は、本発明の一実施形態に係る作物用炭酸ガス施用システムのハードウェア構成図である。 図4は、本発明の一実施形態に係る作物用炭酸ガス施用システムにおける炭酸ガス供給の制御を示すフローチャートである。 図5は、本発明の一実施形態に係る作物用炭酸ガス施用システムにおける、判定時間間隔を用いた炭酸ガス供給の制御を示すフローチャートである。
以下では、図面を参照して本発明の一実施形態に係る作物用炭酸ガス施用設備およびシステムをより詳細に説明する。図面における各種の要素は、本発明の説明のために模式的かつ例示的に示したにすぎず、外観や寸法比などは実物と異なり得る。
さらに、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語を用いる。しかしながら、これらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、これらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が制限されるものではない。また、複数の図面の同一符号の部分は、同一または同等の部分を指す。
また、本発明の例示態様の説明は、添付の図面(記載された説明全体の一部とみなされる図面)に関連して読まれることを意図している。本願明細書で開示される本発明の態様に関する説明において、方向または向きに関する言及は、単に説明の便宜上であり、本発明の範囲を限定することは意図されていない。「下方」、「上方」、「水平」、「垂直」、「上」、「下」、「頂」、「底」などの相対的な用語、ならびに、その派生用語、「下方に」、「上方に」などは、記載された如くまたは図示される如くの方向に言及すると解されるべきである。かかる相対的な用語は説明の便宜のためのみであり、特に明示的な説明がされない限り、特定の方向に装置が構成または操作されていることを要するものではない。また、「取り付けられた」、「付加された」、「接続された」、および「相互接続された」などの用語、ならびに、同様の用語は、別途で明示的に説明されない限り、介在物によって構造物同士が互いに直接的または間接的に固定または取り付けられている関係や、双方が可動もしくは剛性の取り付けまたはその関係であることを述べている。さらに、本発明の特徴または利益は、好ましい態様を参照することによって例示されている。このような態様は十分に詳細に説明されており、当業者が本発明を実施できるようになっている。また、他の態様も利用することができ、プロセス、または機械的な変更が本発明の範囲を逸脱せずに可能であることを理解されたい。したがって、本発明は、考えられる特徴の非制限的な組合せを例示する好ましい態様(単独または他の特徴と組み合わされた態様)に明示的に限定されない。
ここで、本発明における「作物」とは、農業用ハウスまたは温室などの各種栽培施設で生育される植物を意味する。本発明の作物用炭酸ガス施用設備およびシステムは、例えば野菜、果物、花き、穀物などの植物の生育を促進するために用いられ得る。
図1は、本発明の一実施形態に係る作物用炭酸ガス施用設備100の構成図である。作物用炭酸ガス施用設備100は農業用ハウス50に設けられ、農業用ハウス50内の作物に炭酸ガスを供給するように構成される。本発明の作物用炭酸ガス施用設備100は、生ガス式炭酸ガス供給手段30、燃焼式炭酸ガス供給手段20、および少なくとも1つの環境検出センサ40を備える。ここで、本発明における「生ガス式炭酸ガス供給手段」は、広義には炭酸ガスの純ガスを用いる手段を意味する。かかる手段では、炭酸ガスを封入したボンベなどから炭酸ガス供給が実施されてよく、ボンベ型炭酸ガス供給手段と称すこともできる。また、本発明における「燃焼式炭酸ガス供給手段」は、燃料の燃焼によって発生させた炭酸ガスを供給する。環境検出センサ40は、農業用ハウス50の環境パラメータを検出する。検出された環境パラメータに基づいて、生ガス式炭酸ガス施用手段30および燃焼式炭酸ガス供給手段20の各々が制御され、作物に炭酸ガスが供給される。すなわち、本発明の一実施形態に係る作物用炭酸ガス施用設備100は、少なくとも1つの環境検出センサ40が検出した環境パラメータに基づき、生ガス式炭酸ガス供給手段30および燃焼式炭酸ガス供給手段20の各々による炭酸ガスの供給を制御する。つまり、本発明の作物用炭酸ガス施用設備100では、農業用ハウス50の環境パラメータに基づいて異なる2種の炭酸ガス供給手段を制御することで、農業用ハウス50における炭酸ガス濃度が制御され得る。上述の構成により、高濃度で局所的な炭酸ガス供給を可能とし得る生ガス式炭酸ガス供給手段30と、低濃度で広範囲にわたる炭酸ガス供給を可能とし得る燃焼式炭酸ガス供給手段20とを組み合わせた、より好適な炭酸ガスの供給制御が実現し得る。すなわち、特徴の異なる2種の炭酸ガス供給手段を組み合わせた炭酸ガスの供給は、農業用ハウスの環境状況に応じた、より柔軟な炭酸ガス濃度制御を可能とし得る。
燃焼式炭酸ガス供給手段では、一般的に灯油、プロパンガスなどの化石燃料、またはバイオマスなどが燃料として用いられる。そのため、燃焼式炭酸ガス供給手段は、液化炭酸ガスなどの純ガスを用いる生ガス式炭酸ガス供給手段と比較すると比較的低コストで運用可能であり得る。一方で、燃焼に際して熱が発生するため、農業用ハウス50の温度が高い場合には、燃焼式炭酸ガス供給手段20の施用は作物の生育にとって不都合となる虞がある。本発明の作物用炭酸ガス供給設備100は、燃焼式炭酸ガス供給手段20と併せて、生ガス式炭酸ガス供給手段30による炭酸ガス供給をも実施可能とする。そのため、農業用ハウス50における温度および炭酸ガス濃度に関連する環境パラメータに応じて、より適切な炭酸ガス供給手段を選択できる。したがって、本発明の作物用炭酸ガス施用設備により、農業用ハウスの温度を適切に保持しながら、より効率的に炭酸ガスを供給することが可能となり得る。
本発明の一実施形態に係る作物用炭酸ガス施用設備100において、生ガス式炭酸ガス供給手段30および燃焼式炭酸ガス供給手段20の各々は、所定の判定時間間隔で、環境検出センサ40によって検出された環境パラメータに基づき制御されてよい。ここで、本発明における「判定時間間隔」は、炭酸ガス供給手段の各々による炭酸ガスの供給または供給停止の判断が実施される時間間隔に相当する。すなわち、炭酸ガス供給手段の各々は、所定の時間間隔毎に、環境パラメータに基づいて炭酸ガス供給の実施または停止を制御され得る。換言すれば、炭酸ガス供給手段の各々は、所定の判定時間間隔において検出された環境パラメータに基づいて制御され得る。これは、炭酸ガス供給手段の各々の作動の制御が、所定の判定時間間隔をおいて間欠的に実施され得ることを意味する。
判定時間間隔を用いた制御により、例えば炭酸ガスの供給を開始した後、供給された炭酸ガスが農業用ハウス内の作物に行き渡ってから、供給の継続または停止を判定することが可能となり得る。そのため、農業用ハウス内における炭酸ガス濃度分布の偏りが全体として減じられ得、農業用ハウスの炭酸ガス濃度のより好適な制御が実現され得る。
また、このように所定の時間間隔をおいた不連続な制御を実施することで、供給の開始および停止が短時間において不必要に繰り返されることも防止され得る。特に、燃焼式炭酸ガス供給手段においては、炭酸ガス供給に際して、燃焼を開始してから、農業用ハウスの炭酸ガス濃度が上昇するまでに比較的時間を要する。判定時間間隔を導入することで、炭酸ガス供給の継続または停止の判断が、燃焼式炭酸ガス供給手段20から供給された炭酸ガスによる影響が反映された環境パラメータに基づいて実施されるため、より効率的な炭酸ガス供給制御が可能となり得る。さらに、判定時間間隔を導入した燃焼式炭酸ガス供給手段20の制御では、短時間における点火および消火の繰返しによる不完全燃焼の発生がより好適に防止され得る。以上のことから、判定時間間隔を用いる炭酸ガス供給手段の制御は、農業用ハウスにおける炭酸ガス濃度のより好適な制御を実現し得る。
さらに、判定時間間隔は、炭酸ガス供給手段ごとに異なる時間間隔であってよい。すなわち、判定時間間隔は、作物の生育環境および炭酸ガス供給手段の特性などに応じて、炭酸ガス供給手段の各々について適宜設定されてよい。したがって、生ガス式炭酸ガス供給手段30の判定時間間隔と、燃焼式炭酸ガス供給手段20の判定時間間隔とは、互いに異なる時間間隔であってよい。これは、生ガス式炭酸ガス供給手段30と燃焼式炭酸ガス供給手段20とが、互いに異なる時間周期で制御され得ることを意味する。供給手段によって異なる判定時間間隔を用いた制御を実施することで、制御される炭酸ガス供給手段の特性および作物の周囲環境などに応じて、より好適に炭酸ガス濃度を制御することが可能となり得る。
生ガス式炭酸ガス供給手段30の判定時間間隔は、例えば1秒以上15分以下であってよい。時間応答における優位性を重視すると、判定時間間隔は、好ましくは5秒以上5分以下、より好ましくは10秒以上3分以下であることができる。燃焼式炭酸ガス供給手段20の判定時間間隔は、例えば1分以上60分以下であってよい。不完全燃焼の発生防止を重視すると、判定時間間隔は、例えば3分以上60分以下、好ましくは3分以上40分以下、より好ましくは5分以上30分以下であることができる。判定時間間隔が上述の範囲内であると、各炭酸ガス供給手段による作物への炭酸ガス供給がより好適に制御され得る。
また、燃焼式炭酸ガス供給手段20の判定時間間隔は、生ガス式炭酸ガス供給手段30の判定時間間隔よりも相対的に長くてよい。換言すれば、生ガス式炭酸ガス供給手段30は、燃焼式炭酸ガス供給手段20よりも短い時間周期で炭酸ガス供給の継続または停止の制御が実施されてよい。このような判定時間間隔の差を設けることにより、燃焼式炭酸ガス供給手段20によって、低濃度の炭酸ガスを広範囲に行きわたらせながら、生ガス式炭酸ガス供給手段30によって局所的に高濃度の炭酸ガスを供給し、農業用ハウス50における炭酸ガス濃度をより細かく制御することが可能となり得る。
さらに、石油などの化石燃料を用いる燃焼式炭酸ガス供給手段20は、不完全燃焼の発生を防止する観点から、燃焼の開始と終了との間に、ある程度の時間を置くように制御されることが望ましい。燃焼式炭酸ガス供給手段20の制御を相対的に長い判定時間間隔で実施することは、生ガス式炭酸ガス供給手段30からの高濃度の炭酸ガス供給による一時的な環境パラメータの変化が燃焼式炭酸ガス供給手段に及ぼし得る影響を低減し得る。すなわち、生ガス式炭酸ガス供給手段からの炭酸ガス供給による環境パラメータの急激な変化に伴って、燃焼式炭酸ガス供給手段が不必要に稼働を開始および/または終了させることが防止され得るため、より効率的な炭酸ガス供給が実現され得る。一方で、生ガス式炭酸ガス供給手段30では、施用に際して不完全燃焼は発生しないため、比較的短い判定時間間隔での制御が可能である。したがって、相対的に長い判定時間間隔で制御される燃焼式炭酸ガス供給手段20と、相対的に短い判定時間間隔で制御される生ガス式炭酸ガス供給手段30とを併用することで、不完全燃焼の発生を防止しながら、時間応答性により優れた炭酸ガス濃度の制御が実現され得る。
例えば、燃焼式炭酸ガス供給手段20の判定時間間隔は、生ガス式炭酸ガス供給手段30の判定時間間隔の2~600倍、3~400倍、3~200倍、または3~100倍であってよい。これらの2種の炭酸ガス供給手段の併用に際して、より時間分解能の高い炭酸ガス濃度制御を重視すると、燃焼式炭酸ガス供給手段20の判定時間間隔は、生ガス式炭酸ガス供給手段30の判定時間間隔の5~200倍、10~100倍、または10~50倍であることができる。各炭酸ガス供給手段の判定時間間隔が上述の範囲内であると、不完全燃焼の発生防止と高い時間応答性とを両立した、より好適な炭酸ガス濃度の制御が実現され得る。
本発明の作物用炭酸ガス施用設備では、時刻に基づいた制御が実施されてよい。すなわち、作物用炭酸ガス施用設備は、所定の時間帯において炭酸ガスの供給を実施し、所定の時間外において炭酸ガス供給を停止するように、各炭酸ガス施用手段を制御してよい。このような実施形態において、判定時間間隔は、少なくとも所定の時間帯において用いられてよい。つまり、本発明の作物用炭酸ガス施用設備は、例えば光合成が実施される時間帯においてのみ、炭酸ガス供給制御に判定時間間隔を導入していてよい。さらに、導入される判定時間間隔の長さは、必要に応じて所定の時間帯ごとに変更されてよい。例えば、光合成の活発化によって炭酸ガスの消費量が増加する日中の時間帯には、比較的短い判定時間間隔が導入され、光合成速度が低下する夕方の時間帯に比較的長い判定時間間隔が導入されてよい。上述のように、時間帯によって異なる判定時間間隔を導入することで、光合成速度により好適に対応した炭酸ガス制御が可能となり得、より効率的な炭酸ガス供給が実現され得る。
本発明の一実施形態において、生ガス式炭酸ガス供給手段30は、炭酸ガス源31から施用導管32を介して作物に炭酸ガスを供給するように構成されていてよい。より詳細には、生ガス式炭酸ガス供給手段30は、炭酸ガス源31、開閉制御される電磁弁33、および電磁弁33を介して炭酸ガス源31から作物近傍にまで延在する施用導管32を有して成ってよい。図1に示すように、施用導管32は、農業用ハウス内の複数の畝60のそれぞれに、畝の長手方向に沿って配設されてよい。炭酸ガス源31は、高濃度の炭酸ガスを貯蔵できるものであれば特に限定されない。例えば、炭酸ガスの純ガスが充填されたガスボンベまたはタンクなどを炭酸ガス源31として用いることができる。効率よく局所的に炭酸ガスを作物に供給することを重視すると、高濃度の炭酸ガス供給が可能な液化炭酸ガスボンベまたはタンクを用いることが好ましい。また、電磁弁33は、開閉制御によって炭酸ガス源31から施用導管32への炭酸ガスの流出を制御可能に構成されてよい。すなわち、上述の構成の生ガス式炭酸ガス供給手段30では、電磁弁33の開閉状態を制御することで、炭酸ガス源31から作物近傍への炭酸ガス供給が制御される。
生ガス式炭酸ガス供給手段30に用いられる施用導管32は、複数の細孔が形成された有孔管であってよい。例えば、施用導管32は、合成樹脂製、例えばポリエチレン、および/またはポリ塩化ビニルなどから成るチューブまたはパイプなどの管であってよい。施用導管32は、特に限定されないものの、より均一に炭酸ガスを供給することを重視すると、圧力補正機構を有する点滴型灌水チューブであることがより好ましい。例えば、施用導管32は、長手方向に凹凸を繰り返す波形状(例えば、ジグザグ状)の流路を有する点滴型灌水チューブであってよい。このような点滴型灌水チューブを施用導管32として用いることにより、施用導管32の全長にわたって均一な流量で炭酸ガスを供給することが可能となり得る。圧力補正機構を有する点滴型灌水チューブとしては、例えば、Green irrigation system社製のDrop Line(製品名)(穴間隔30cm、内径16.1mm、肉厚0.3mm、施用圧0.1MPa)を用いることができる。
施用導管32を作物近傍に配設することで、炭酸ガスの局所施用が可能となる。ここで、「局所施用」とは、作物近傍に炭酸ガスをスポット的に供給することを指す。つまり、本発明における「局所施用」とは、農業用ハウスにおける全体的な施用ではなく、少なくとも作物の近傍の一部の領域の炭酸ガス濃度の上昇が達成されればよい。また、「作物近傍」とは、標的濃度の炭酸ガスが施用導管から作物へと行き渡る範囲内であって、例えば、作物の根元部分および/または葉部分の近傍を指す。あくまでも例示にすぎないが、施用導管は、作物の根元部分または葉部分から約0cm(0cmを含まず)~約350cm、例えば約1cm~約250cm、約1~約100cm、約1~約50cm、または約1~約30cm離れた位置に配置されてよい。なお、上述の範囲は、作物の種類、栽培形態、および農業用ハウスの軒高などによって適宜変更され得る。施用導管32の配設箇所については、作物の近傍である限り特に限定されず、例えば作物の下部または成長点付近に配設することができる。一般に、植物は葉の下面に気孔を多く有し、葉の内部と外部との炭酸ガス濃度差に応じて、気孔から炭酸ガスを吸収する。そのため、施用導管32は、作物の下部から上方に向かって炭酸ガスを放出するように配設されてよい。また、各畝60に対して複数の施用導管32が配設されてよく、例えば作物の根元付近および成長点の双方に施用導管32が配設されてよい。図1では、農業用ハウス50内の畝60に施用導管32を配設する実施形態を示しているものの、作物の近傍に配設される構成である限り特に限定されず、例えば栽培ベッドなどに配設されてもよい。
本発明の一実施形態において、燃焼式炭酸ガス供給手段20は、燃焼に際して生じた炭酸ガスを作物に送達させるように構成されていてよい。燃焼式炭酸ガス供給手段20による炭酸ガス供給の制御は、燃焼の開始(または継続)および停止を制御することによって実施され得る。したがって、燃焼式炭酸ガス供給手段20は、燃焼制御される燃焼式炭酸ガス発生装置21を少なくとも有して成る。かかる燃焼式炭酸ガス発生装置21において燃料の燃焼によって発生した炭酸ガスを農業用ハウス内に放出することで、作物への炭酸ガス供給が為されてよい。また、燃焼式炭酸ガス供給手段20は、燃焼式炭酸ガス発生装置21に設けられたファン24をさらに有して成ってもよい。上述の構造を有する燃焼式炭酸ガス供給手段20では、燃焼式炭酸ガス発生装置21の稼働の開始(例えば、点火)および停止(例えば、消火)を制御し、燃焼に際して発生した炭酸ガスは、燃焼式炭酸ガス発生装置21に設けられたファン24によって作物に送達される。燃焼式炭酸ガス発生装置21では、燃料として、例えば灯油、プロパンガス、もしくは天然ガスなどの炭化水素燃料、またはバイオマス燃料などが用いられ得る。図1に示すように、燃焼式炭酸ガス発生装置21に用いられる燃料は、農業用ハウスの外部に設置された燃料タンク23に貯蔵され、燃料輸送管22によって燃焼式炭酸ガス発生装置21に輸送されてよい。燃焼式炭酸ガス発生装置21としては、例えば、ネポン株式会社製の光合成促進機グロウェア(製品名)CG4型シリーズを用いることができる。ファン24は、例えば燃焼式炭酸ガス発生装置21の炭酸ガス排出口付近に配置されてよい。また、ファンが組み込まれた燃焼式炭酸ガス発生装置21を用いることで、炭酸ガスの拡散が実施されてもよい。ファン24は、高静圧のファンであれば特に限定されず、例えばターボファンであることができる。また、本発明の燃焼式炭酸ガス供給手段には、複数のファンが用いられてもよい。ファン24の能力および数については、作物用炭酸ガス施用設備100を配置する農業用ハウス50の規模、または農業用ハウス50における炭酸ガスを使用する領域の広さなどに応じて適宜決定されてよい。
また、燃焼式炭酸ガス供給手段20は、農業用ハウス50に配設されたダクト25を介して炭酸ガスを送り込むように構成されていてよい。すなわち、本発明の一実施形態において、燃焼式炭酸ガス供給手段20は、燃焼制御される燃焼式炭酸ガス発生装置21、燃焼式炭酸ガス発生装置21に設けられたファン24、およびダクト25を有して成ってよい。図2に示すように、ダクト25は、農業用ハウス内の畝60の長手方向に沿って複数配設されてよい。燃焼式炭酸ガス発生装置21で発生した炭酸ガスは、ファン24によってダクト25内に送り込まれる。畝60の長手方向に沿うように延在するダクト25には複数の穴が設けられ、かかる穴から作物に向かって炭酸ガスが送出され得る。すなわち、ダクト25を介する作物への送風によって、燃焼により生じた低濃度の炭酸ガスが送達される。このような構造により、燃焼式炭酸ガス発生装置21で生成した炭酸ガスは、より効率的に作物に送達され得る。
さらに、ダクト25を用いた低濃度の炭酸ガスの供給は、作物近傍の気体の流動量をより向上させることにも寄与し得る。一般に、ダクトによる施用はファンによって送風を行うため、燃焼によって生じた炭酸ガスとファンによって送られた気体とが混ざり、施用気体において、炭酸ガス濃度が下がった状態かつ体積が大きい状態となる。施用気体がより大きな気体体積を有した状態でダクトを用いて作物近傍へ供給することにより、特に葉付近の気体の流動量は、施用気体体積が小さい施用方法と比較してより大きくなる。葉付近の気体流動量が多いと、葉面の裏側の気体流動量も大きくなる可能性が高まる。葉裏側の気体流動層は一般に葉面境界層と呼ばれ、作物の光合成においてその境界層での気体流動の抵抗が大きいほど、炭酸ガスの吸収が小さくなるとされる。以上から、気体の体積流動量が大きい場合、光合成による葉における炭酸ガス吸収の妨げとなる要因を減らすことで、より効率的な施用が可能となり得る。
また、本発明の一実施形態において、作物用炭酸ガス施用設備は、生ガス式炭酸ガス供給手段および燃焼式炭酸ガス供給手段の少なくとも一方を2つ以上備えてよい。これは、本発明の作物用炭酸ガス施用設備において、生ガス式炭酸ガス供給手段および燃焼式炭酸ガス供給手段を含む少なくとも3つの炭酸ガス供給手段が含まれ得ることを意味する。炭酸ガス供給手段の数およびその配置については、作物用炭酸ガス施用設備を配置する農業用ハウスの規模、または農業用ハウスにおける炭酸ガスを使用する領域の広さなどによって適宜決定されてよい。例えば、炭酸ガス供給手段は、生ガス式炭酸ガス供給手段および燃焼式炭酸ガス供給手段を少なくとも2つずつ有して成ってよく、または少なくとも4つずつ含んで成ってよい。上述の作物用炭酸ガス施用設備によって、大規模な農業用ハウスにおいても、より好適な炭酸ガスの濃度制御が実現され得る。
例えば、本発明の作物用炭酸ガス施用設備において、炭酸ガス供給手段および環境検出センサは、農業用ハウス内の各畝に少なくとも1つずつ設けられてよい。すなわち、作物用炭酸ガス施用設備では、畝ごとに設置された環境検出センサによって検出された環境データに基づき、炭酸ガス供給手段の各々が制御されてよい。これは、農業用ハウスの各畝について、独立して炭酸ガス濃度が制御され得ることを意味する。このような構成は、1つの農業用ハウス内において、畝ごとに異なる栽培環境で作物を栽培することを可能とし得る。一般に、作物が光合成を活発に実施するために必要とする環境条件は、作物の種類や生育段階などによって異なる。上述の構成を有する本発明の作物用炭酸ガス施用設備は、例えば生育のための最適な炭酸ガス濃度が異なる複数の品種を1つの農業用ハウス内で栽培する場合において、好適であり得る。また、同一品種の作物を異なる炭酸ガス濃度で生育することで、最適な炭酸ガス濃度について比較試験を実施する場合においても好適であり得る。
環境検出センサ40は、農業用ハウス50における環境パラメータを検出する。検出される環境パラメータは、作物の生育に関与するパラメータである限り特に限定されないものの、例えば、炭酸ガス濃度、温度、湿度、飽差、日射強度、日射量、土壌水分、土壌塩類濃度、土壌地温、風向風速、液体肥料における養液量と廃液量の差、および養液と廃液との濃度差、水温、pH、作物外観画像による萎れの程度、ならびに/または葉画像から推定される葉面積などが挙げられる。光合成に関与し得る環境パラメータであることを重視すると、環境検出センサ40は、農業用ハウス50の炭酸ガス濃度、温度、湿度、日射強度、日射量、光合成速度、および光合成光量子束密度(PPFD;Photosynthetic Photon Flux Density)から成る群から選択される少なくとも1つの環境パラメータを検出することが好ましい。したがって、本発明の作物用炭酸ガス施用設備100における環境検出センサ40は、炭酸ガス濃度センサ、温度センサ、湿度センサ、日射計、光合成速度計測器、および光量子センサから成る群から選択される少なくとも1つであってよい。したがって、本発明の作物用炭酸ガス施用設備100では、炭酸ガス濃度、温度、湿度、日射強度、日射量、光合成速度、およびPPFDから成る群から選択される少なくとも1つの環境パラメータに基づいて、生ガス式炭酸ガス供給手段30および燃焼式炭酸ガス供給手段20の各々が制御され得る。上述の環境パラメータに基づく制御により、農業用ハウスの炭酸ガス濃度のより好適な制御が実現され得る。また、本発明の作物用炭酸ガス施用設備には、同じ種類の環境検出センサが複数備えられていてもよい。
図示されていないものの、環境検出センサは、農業用ハウス50の外部に設けられていてもよい。例えば、環境検出センサは、農業用ハウス50の外部における炭酸ガス濃度、温度、湿度、飽差、日射強度、日射量、風向、風速、雨量、および/または気圧などを検出してよい。本発明の一実施形態において、作物用炭酸ガス施用設備は、農業用ハウス50の内部および/または外部における複数の環境パラメータに基づいて、各炭酸ガス供給手段を制御し得る。なお、本発明に用いられる環境検出センサとしては、例えば市販の環境検出センサを用いてよい。
炭酸ガス濃度センサは、農業用ハウス50における炭酸ガス濃度を検出可能である限り特に限定されず、例えば、非分散型赤外線吸光法、固体電解質法、または静電容量法に基づくセンサであることができる。炭酸ガス濃度センサは市販のものを用いてよく、例えば、Senseair社製のK30 FR、または株式会社村田製作所製のIMG-CA0011-00を用いることができる。本発明の一実施形態において、作物用炭酸ガス施用設備100は、作物の生育環境の炭酸ガス濃度センサに基づいて各炭酸ガス供給手段を制御し得る。この実施形態において、炭酸ガス濃度センサは、炭酸ガスが供給される作物の生育環境における炭酸ガス濃度を検出するように配置され得る。より詳細には、炭酸ガス濃度センサは、農業用ハウス50において、各炭酸ガス供給手段からの炭酸ガスの送出位置(例えば、施用導管の細孔、ファンまたはダクト)の付近を避けて配置されることが望ましい。すなわち、炭酸ガス濃度センサは、各炭酸ガス供給手段から送達される炭酸ガスが直接吹き付けられないように、作物の生育環境に配置されることが望ましい。このような配置により、作物の生育環境における炭酸ガス濃度がより正確に検出され得、より好適な炭酸ガス濃度制御が可能となり得る。
また、本発明の一実施形態において、炭酸ガス濃度センサは、各炭酸ガス供給手段に設けられてよい。このような実施形態において、作物用炭酸ガス施用設備では、各炭酸ガス供給手段が作物に供給する炭酸ガス施用量に基づく制御が実施され得る。例えば、炭酸ガス濃度センサは、ダクト内を通過する炭酸ガス濃度を検出するように備えられてよい。また、生ガス式炭酸ガス供給手段から供給される炭酸ガスの施用量は、電磁弁から施用導管に送達される炭酸ガスの流量を計測する流量センサによって計測されてもよい。なお、流量センサとしては、例えば市販の流量センサを用いてよい。
温度センサは、作物の生育環境の温度を検出可能である限り特に限定されないものの、例えば熱電対、測温抵抗体、またはサーミスタ測温体などを利用する温度センサが用いられてよく、市販の温度センサを用いてもよい。湿度センサは、作物の生育環境の温度を検出可能である限り特に限定されないものの、例えば電解質式、高分子式、またはセラミックス式などの湿度センサが用いられてよく、市販の湿度センサを用いてもよい。また、温湿度センサによって温度と湿度の双方が検出されてもよい。本発明の一実施形態では、温度と湿度に基づく飽差を検出する飽差センサを用いて、検出された飽差に基づいて各炭酸ガス供給手段が制御されてよい。
日射計は、作物の生育環境の日射強度および日射量を測定可能である限り特に限定されないものの、例えば熱電素子、または光電素子を利用する日射計が用いられてよく、市販の日射計が用いられてよい。
本発明において、「光合成速度」なる用語は単位葉面積あたりの炭酸ガス交換速度に相当し、単位「μmol・m-2・s-1」で表される。光合成速度は、特に限定されないものの、例えば[令和3年8月19日検索]、インターネット、<URL:http://envbio.envi.osakafu-u.ac.jp/osakafu-content/uploads/sites/34/2015/12/Chamber-3.pdf>に記載されているチャンバー法、または、田中佑、個葉ガス交換測定とその応用、日本作物学会紀事、第85巻、2016、339頁~346頁に記載されている個葉ガス交換法に基づいて測定されてよい。また、光合成速度は、上述の方法に基づく光合成速度計測器によって測定されてよい。代替的には、別個の環境検出センサによって検出された環境パラメータから計算によって求められてもよい。
本発明において、「光合成光量子束密度(PPFD)」とは、単位時間に単位面積を通過する光量子のうち、光合成に有効な約400nm~約700nmまでの波長域における光量子の数を指し、単位「μmol・m-2・s-1」で表される。一般に、植物の光化学反応は、クロロフィルが一定の波長を有する光量子を電子に変換する工程から開始される。したがって、作物の光合成は特定波長の光量子数に依存して実施されることから、PPFD値に基づく炭酸ガス供給制御を行うことで、より効率的な作物への炭酸ガス供給が実現され得る。特に限定されないものの、PPFDの測定には、例えば波長別の放射量を測定できる分光放射計、または約400nm~約700nmの光のみを測定する光量子計を用いることができる。なお、分光放射計または光量子計には、例えば市販の機器を用いてよい。これらの測定機器の配置は、作物によって覆われない位置であれば特に限定されず、例えば農業用ハウス50内の天井面または側面に設置されてよい。
本発明の一実施形態において、作物用炭酸ガス施用設備は、開閉可能な窓を備える農業用ハウス50に設けられ得る。窓は、例えば農業用ハウス50内が高温および/または高湿である場合に開けられ、低温である場合には閉じられる。このような農業用ハウス50では、窓の開度に基づいて、生ガス式炭酸ガス供給手段30および燃焼式炭酸ガス供給手段20の少なくとも一方が制御されてよい。例えば、農業用ハウスの窓の開度が窓開閉制御装置によって制御される場合、作物用炭酸ガス施用設備は、窓開閉制御装置から取得した窓の開閉状態(または開度データ)に基づき、炭酸ガスの供給を制御してよい。代替的には、農業用ハウスに窓の開度センサを設け、かかるセンサによって検出された窓の開度に応じて炭酸ガス供給手段の少なくとも1つが制御されてもよい。例えば、窓が開状態であり、農業用ハウス50内が比較的高温である場合には、燃焼式炭酸ガス供給手段20よりも熱を伴わない生ガス式炭酸ガス供給手段30の施用が好ましい。さらに、窓が開状態であると、窓から炭酸ガスが漏出するため、作物に対して局所的な炭酸ガス供給が可能であるという点においても、生ガス式炭酸ガス供給手段30の施用がより有利であり得る。一方で、窓が閉状態であり、農業用ハウス50内が比較的低温である場合には、燃焼式炭酸ガス供給手段20の施用がより好ましい。また、窓が閉状態であり、炭酸ガス濃度が特に低い場合などには、燃焼式および生ガス式の両方の炭酸ガス供給手段が用いられてもよい。上述のように、本発明の作物用炭酸ガス施用設備は、換気窓の開度に応じて、燃焼式および生ガス式の各炭酸ガス供給手段をより適切に制御し、農業用ハウス内の炭酸ガス濃度をより好適に制御し得る。
また、本発明の作物用炭酸ガス施用設備では、農業用ハウス50の炭酸ガス濃度に対して、直接的または間接的に影響を及ぼし得る構成要素の制御に基づき、各炭酸ガス供給手段が制御されてよい。炭酸ガス濃度に影響を及ぼし得る構成要素の例示としては、例えば暖房機、灌水電磁弁、灌水ポンプ、開閉可能な遮光カーテン、保温カーテン、天窓、側窓、細霧冷房、液肥混合タンク電磁弁、液肥混合タンクポンプ、循環扇、換気扇などが挙げられる。さらに、本発明の作物用炭酸ガス施用設備では、上述のような構成要素の制御と環境検出センサによって検出される環境パラメータとに基づいて炭酸ガス供給手段の各々が制御されてよい。
図3は、本発明の一実施形態に係る作物用炭酸ガス施用システム200のハードウェア構成図である。以下、図3を参照しながら、本発明の作物用炭酸ガス供給システムのハードウェア構成について説明する。
本発明の一実施形態において、作物用炭酸ガス施用システム200は、少なくとも2つの炭酸ガス供給手段、少なくとも1つの環境検出センサ40、記憶部13、および制御部11を備える。図3に示されるように、これらの構成要素は、通信バス15で通信可能に接続されていてよい。本発明の作物用炭酸ガス施用システム200において、少なくとも2つの炭酸ガス供給手段は生ガス式炭酸ガス供給手段30および燃焼式炭酸ガス供給手段20を含み、少なくとも1つの環境検出センサ40は農業用ハウス50の環境データを取得するように構成され得る。さらに、記憶部13は少なくとも2つの炭酸ガス供給手段の各々の判定条件を格納してよい。制御部11は、環境検出センサ40によって取得された環境データを受け取って、かかる環境データおよび判定条件に基づき、少なくとも2つの炭酸ガス供給手段の各々に炭酸ガスを供給させるかどうかを判定する。したがって、本発明の作物用炭酸ガス施用システム200は、生ガス式および燃焼式を含む2種の炭酸ガス施用システムを少なくとも2つ備えており、各炭酸ガス施用システムからの炭酸ガス供給は、農業用ハウス50の環境データと、記憶部13に予め格納された判定条件とに基づいて制御部11によって制御され得る。換言すれば、本発明のシステムにおいて、制御部11は、炭酸ガス供給手段の各々についての判定条件に従い、各炭酸ガス供給手段からの炭酸ガスの供給および供給停止について判定し得る。これは、制御部11が、異なる2種の炭酸ガス供給手段の各々を、供給手段の各々について別個に設定される判定条件に基づき、並列に制御できることを意味する。上述の作物用炭酸ガス施用システム200により、特性の異なる2種の炭酸ガス施用手段を組み合わせた炭酸ガス供給が可能となるため、より好適な炭酸ガス濃度制御が実現され得る。さらに、炭酸ガス手段の各々について別個の判定条件を設けることで、農業用ハウス50の環境変化および作物の特性に対してより柔軟に対応可能な炭酸ガス濃度制御が可能となり得る。
記憶部13は、複数の記憶素子を有する、RAMなどの半導体揮発性メモリおよび/またはフラッシュROMなどの半導体不揮発性メモリによって構成されてよい。記憶部13には、炭酸ガス供給手段を制御するための判定条件が格納されている。さらに、記憶部13は、炭酸ガス供給手段による炭酸ガスの供給を制御するために必要なデータおよび/またはプログラムを格納してよい。例えば、環境検出センサ40からの環境データ、制御部11の動作のためのコンピュータ・プログラム、および/またはプログラムの実行履歴などが記憶部13に格納されてよい。また、記憶部13の一部は、取り外し可能な記録媒体であってもよい。
制御部11は、例えば中央演算処理装置(CPU)またはデジタル信号処理プロセッサなどの集積回路(IC)チップであり得る。本発明の作物用炭酸ガス施用システム200において、制御部11は、記憶部13に格納された制御プログラムを実行することで、炭酸ガス供給手段の各々からの炭酸ガス供給を制御することができる。また、制御部11は、記憶部13から読み出された判定条件を格納するメモリ12を有してよい。
図3に示すように、本発明の作物用炭酸ガス施用システム200において、各構成要素同士は、インタフェース装置16a~16cを介して通信可能に接続されてよい。インタフェース装置は、各構成要素同士が通信可能である限り特に限定されないものの、例えばUSB端子、イーサネット端子などが用いられ得る。また、インタフェース装置の1つまたは複数は、無線通信を行うための無線インタフェースであってもよい。特に限定されないものの、そのような無線インタフェースとしては、例えば2.4GHz/5.2GHz/5.3GHz/5.6GHz等の周波数を利用して無線通信を行う、Wi-Fi(登録商標)規格に準拠した規格、および/または、いわゆる5G、4G等として規定される移動通信システムが採用され得る。
例えば、インタフェース装置16aおよび16bは、制御部11から生ガス式炭酸ガス供給手段30または燃焼式炭酸ガス供給手段20の各々に信号を出力する。また、インタフェース装置16cは、環境検出センサ40から環境データを受け取る。インタフェース16cは、環境検出センサ40から環境データを取得可能な規格である限り特に限定されないものの、例えば、SPI(Serial Peripheral Interface)、汎用非同期式送受信回路(UART;Universal Asynchronous Receiver/Transmitter)、またはI2C(Inter-Integrated Circuit)、またはアナログ信号入力などが用いられてよい。
また、本発明の一実施形態において、生ガス式炭酸ガス供給手段30および燃焼式炭酸ガス供給手段20の制御にはリレーが用いられる。すなわち、制御部からリレーへのオンオフ信号に基づいて、各炭酸ガス供給手段の閉回路または開回路が切り替えられ、対象手段のオンオフが制御される。かかる実施形態において、制御部からリレーへオンオフ信号を出すことにより、後述する制御盤に備えられたAC-DC変換によって生じた電流を動力源として電磁弁が開閉され、生ガス式炭酸ガス供給手段30からの炭酸ガス供給が制御される。また、燃焼式炭酸ガス供給手段30については、燃焼式炭酸ガス発生装置における無電圧接点外部入力に対してリレーが用いられてよい。リレーを用いて無電圧接点をオンオフ制御することで、燃焼式炭酸ガス供給手段30からの炭酸ガス供給が制御される。
記憶部13に格納される判定条件は、各炭酸ガス供給手段について、環境検出センサ40によって検出される環境データの値に応じて炭酸ガス供給および供給停止を制御するための条件である。すなわち、判定条件は、環境検出センサ40によって検出される環境データが予め設定された範囲内の値であるかどうかを判定し、判定結果に基づいて炭酸ガス供給手段の動作を制御するために設定される。したがって、本発明の制御部11は、例えば環境データの値が予め設定された範囲内である場合に炭酸ガス供給手段から炭酸ガスを供給させ、予め設定された範囲外である場合には炭酸ガスの供給を実施しない。判定条件は、農業用ハウス50の炭酸ガス濃度を変化させ得るパラメータ、または作物の光合成に関与し得るパラメータに基づいて設定されてよい。例えば、判定条件は、環境検出センサ40によって検出された炭酸ガス濃度、温度、湿度、光合成速度、PPFD値、換気窓の開度、および/または日射などの環境データの値に応じた各炭酸ガス供給手段の動作について、適宜設定されてよい。
また、判定条件は、農業用ハウスの炭酸ガス濃度に対して直接的または間接的に影響を及ぼし得る構成要素の制御装置から通信などによって得られる制御状態のデータに基づき、各炭酸ガス供給手段が制御されてよい。例えば、判定条件は、農業用ハウスの換気窓の開閉を制御する窓開閉制御装置から取得される窓の開閉状態について、適宜設定されてよい。炭酸ガス濃度に影響を及ぼし得る構成要素の例示としては、例えば暖房機、灌水電磁弁、灌水ポンプ、開閉可能な遮光カーテン、保温カーテン、天窓、側窓、細霧冷房、液肥混合タンク電磁弁、液肥混合タンクポンプ、循環扇、換気扇などが挙げられる。
本発明の一実施形態において、判定条件には、設定された環境データの値の範囲の上限および/または下限にヒステリシス特性が付されてよい。より詳細には、環境データの値が高い方向に変化する場合および低い方向に変化する場合において閾値を変更することで、炭酸ガスの供給制御にヒステリシス特性が付与されてよい。例えば、炭酸ガス目標濃度Cに対して、炭酸ガス濃度閾値C1およびC2を、C1<C<C2となるように設定し、炭酸ガス濃度が目標濃度Cより高い濃度から低下して、閾値C1未満になった場合に炭酸ガス供給を開始し、閾値C未満の濃度から上昇して、閾値C2より高くなった場合に炭酸ガス供給を停止するように判定条件が設定されてよい。このようなヒステリシス特性を持たせた判定条件を用いることで、閾値付近におけるチャタリング(供給の開始および停止の繰返し)の発生が防止され得る。
また、図3に示すように、本発明の作物用炭酸ガス施用システム200は、現在時刻を取得する計時部14をさらに備えてよい。計時部14は、例えば時間計測用ソフトウェア、タイマーIC、またはGPS時計によって構成されてよい。制御部11は計時部14と通信可能に接続されており、計時部14によって計測された時刻情報を取得可能に構成されていてよい。上述の構成を有する作物用炭酸ガス施用システム200では、計時部14によって取得された時刻情報に基づく炭酸ガス供給制御が実行されてよい。例えば、記憶部13は、所定時刻に基づいて設定された判定条件を格納していてよい。したがって、制御部11は、計時部14によって計測された現在時刻と、所定時刻に基づいて設定された判定条件とに基づき、少なくとも2つの炭酸ガス供給手段の各々に炭酸ガスを供給させるかどうかを判定してよい。作物の光合成に関与する環境条件(例えば、温度、炭酸ガス濃度、および日射など)は、朝方から夕方にかけて変化することが予想できる。例えば、作物が光合成を開始する朝方は温度が比較的低い一方で、日中は温度が高くなる。また、朝方に比べて日中は光合成がより盛んに実施されるため、炭酸ガス濃度が低下しやすい。したがって、朝方は熱を伴う燃焼式炭酸ガス供給手段20の施用が好ましく、日中は生ガス式炭酸ガス供給手段30の施用が効果的であり得る。さらに、夕方にかけて光合成速度は低下するため、判定条件における目標炭酸ガス濃度を日中よりも低い濃度に設定することで、炭酸ガスの浪費を防止することができる。さらに、光合成が行われない夜間には炭酸ガスの供給を停止するように、終了時刻が設定されてもよい。このように、所定の時間範囲ごとに異なる判定条件を用いることで、炭酸ガス供給の制御は、予想される環境データの変化に適切に対応し得る、より好適な炭酸ガス濃度の制御を実現し得る。
図4および図5は、図3に示した作物用炭酸ガス施用システム200による炭酸ガス濃度制御の流れを示すフローチャートである。本発明の一実施形態に係る作物用炭酸ガス施用システム200において、図4および図5のフローチャートに示す一連の処理は、炭酸ガス供給手段の各々について独立して実施するように構成されていてよい。以下、図3~図5を参照しながら、作物用炭酸ガス施用システム200の動作の流れについて説明する。
図4に示すように、本発明の一実施形態に係る作物用炭酸ガス施用システム200の制御は、制御部11が制御プログラムを実行することによって開始される。ステップS101において、制御部11は、環境検出センサ40から環境データを取得する。続いて、制御部11は、記憶部13に格納されている判定条件を読み出す。読み出された判定条件は、メモリ12および/または制御部11内のバッファ、キャッシュメモリ(図示せず)などに格納され得る。取得した環境データと、読み出した判定条件とを利用し、環境データが炭酸ガスを供給する条件を満たしているかどうかを判定する(ステップS102)。炭酸ガスを供給する条件を満たしている場合、制御部11は、炭酸ガス供給手段に炭酸ガスを供給させる(ステップS103)。例えば、取得した環境データが生ガス式炭酸ガス供給手段30の判定条件を満たしていれば、制御部11によって電磁弁33(図1および図2)が開状態にされる。同様に、取得した環境データが燃焼式炭酸ガス供給手段の判定条件を満たしていれば、燃焼式炭酸ガス発生装置21(図1および図2)において燃焼が開始される。一方で、判定条件を満たしていない場合には、炭酸ガスの供給は実施されない(ステップS104)。その後、ステップS105において、制御部11は制御を停止するか否かを判定する。このステップにおいて、システムにおけるエラーの発生、管理者によるシステム作動停止、終了時刻の経過など、制御が停止される可能性のある振る舞いがあった場合、制御部11は制御を終了する。上記以外の場合には、再びステップS101が実施され、制御が継続される。
また、本発明の一実施形態に係る作物用炭酸ガス施用システムにおいて、制御部11は、炭酸ガス施用システムの各々の制御を所定の判定時間間隔で実施してよい。判定時間間隔は炭酸ガス供給手段の各々について設定され、記憶部13に格納されてよい。すなわち、本発明の作物用炭酸ガス施用システムにおいて、記憶部13は、少なくとも2つの炭酸ガス供給手段の各々の判定時間間隔を格納し、制御部11による少なくとも2つの炭酸ガス供給手段の各々に炭酸ガスを供給させるかどうかの判定は、判定時間間隔で繰り返され得る。換言すれば、制御部11は、各炭酸ガス供給手段について、一度炭酸ガスの供給について判定した後、所定の時間間隔をおいてから次の判定のためのステップに移行してよい。炭酸ガス供給手段の各々について判定時間間隔を導入することにより、炭酸ガス供給手段から供給開始された炭酸ガスが、施用導管および/またはダクトを介して作物に送達されるまでの時間が確保され得る。さらに、供給の開始および停止が短時間において不必要に繰り返されることを防止できるという利点も有するため、より好適な炭酸ガス濃度制御が実現され得る。
記憶部13に格納される判定時間間隔は、周囲環境および炭酸ガス供給手段の特性などに応じて、炭酸ガス供給手段の各々について適宜設定されてよく、例えば炭酸ガス供給手段ごとに異なる時間間隔であってよい。すなわち、制御部11は、炭酸ガス供給手段の各々について、互いに異なる判定時間間隔に基づいて制御されてよい。
本発明の一実施形態において、燃焼式炭酸ガス供給手段20について設定される判定時間間隔は、短時間における点火および消火の繰返しによる不完全燃焼の発生を防止する観点から、生ガス式炭酸ガス供給手段30よりも長い時間間隔であり得る。したがって、記憶部13に格納される生ガス式炭酸ガス供給手段の判定時間間隔は、燃焼式ガス供給手段の判定時間間隔よりも相対的に短くすることができる。このように、炭酸ガス供給手段の特性に応じた判定時間間隔を導入することにより、制御部11は、燃焼式および生ガス式という、特性の異なる2種の炭酸ガス供給手段を並行して制御することが可能となる。すなわち、不完全燃焼の発生を適切に防止しながら、周囲環境に応じたより好適な炭酸ガス濃度の制御が実現され得る。
本発明の一実施形態において、作物用炭酸ガス施用システムの炭酸ガス供給手段の各々は、所定の時間帯について設定された判定条件および/または判定時間間隔に基づいて制御されてよい。換言すれば、記憶部に格納される判定条件および/または判定時間間隔は、所定の時間帯ごとに異なっていてよい。表1に、本発明の一実施形態において用いられる判定条件および判定時間間隔を示す。
Figure 2023061143000002
表1において、「制御実行時間帯」なる用語は、制御部が各炭酸ガス供給手段の制御を実行する時間帯に相当する。表1に示す実施形態において、例えば、燃焼式炭酸ガス供給手段は、6:00~9:30の制御実行時間帯において、炭酸ガス濃度が1500ppm未満かつ温度が25℃未満である場合に炭酸ガス供給が開始される。制御部は、20分ごとに環境データがこの判定条件を満たすかどうかを判定し、炭酸ガス供給の開始、継続、または停止を制御する。9:30を経過すると、燃焼式炭酸ガス供給手段の判定条件における炭酸ガス濃度は1200ppm未満に切り替わり、15分の判定時間間隔で制御が実施される。時刻が12:30を過ぎると、燃焼式炭酸ガス供給手段の制御は終了する。また、表1に示すように、同一の時間帯において複数の判定条件が設定されてよい。例えば、生ガス式炭酸ガス供給手段は、8:00~12:00の制御実行時間帯において、炭酸ガス濃度が600ppm未満かつ温度が25℃未満である場合(判定条件1)、または炭酸ガス濃度が400ppm未満かつ温度が25℃以上である場合(判定条件2)に炭酸ガス供給を開始する。このように、判定時間間隔および少なくとも1つの環境データに基づく判定条件を、時間帯ごとに個別に設定することで、予想される作物の光合成速度により好適に対応した炭酸ガス濃度制御が可能となり得る。
図5は、本発明の一実施形態に係る作物用炭酸ガス施用システムにおいて、炭酸ガス手段の各々についての判定時間間隔を導入した制御フローを示すフローチャートである。作物用炭酸ガス施用システムの制御は、制御部11が制御プログラムを実行することによって開始される。ステップS201において、制御部11は、計時部14から制御の開始時刻を取得する。次いで、ステップS202において、制御部11は環境検出センサ40から環境データを取得する。続いて、制御部11は、記憶部13に格納されている判定条件を読み出す。読み出された判定条件は、メモリ12および/または制御部11内のバッファ、キャッシュメモリ(図示せず)などに格納され得る。取得した時刻情報、環境データ、および読み出した判定条件を利用し、環境データが炭酸ガスを供給する条件を満たしているかどうかを判定する(ステップS203)。炭酸ガスを供給する条件を満たしている場合、制御部11は、炭酸ガス供給手段に炭酸ガスを供給させる(ステップS204)。例えば、取得した環境データが生ガス式炭酸ガス供給手段の判定条件を満たしていれば、制御部11によって電磁弁33(図1および図2)が開状態にされる。また、取得した環境データが燃焼式炭酸ガス供給手段の判定条件を満たしている場合、燃焼式炭酸ガス発生装置21(図1および図2)において燃焼が開始される。一方で、判定条件を満たしていない場合には、炭酸ガスの供給は実施されない(ステップS205)。その後、ステップS206に進み、制御部11は、計時部14から判定時刻Aを取得する。続いて、制御部11は記憶部13に格納されている判定時間間隔を読み出す。そして、取得した判定時刻AとステップS201において取得された開始時刻との時間間隔が、所定の判定時間間隔に達しているか否かを判定する(ステップS207)。判定時間間隔に達している場合、制御フローはステップS208に移行し、制御部11は、計時部14から判定時刻Bを取得する。判定時間間隔に達しない場合には、再度ステップS206およびS207が繰り返される。判定時刻Bを取得後、ステップS209において、制御部11はシステムの作動を停止するか否かを判定する。このステップにおいて、システムにおけるエラーの発生、管理者によるシステム作動停止、または予め設定された終了時刻の経過など、制御が停止される可能性のある振る舞いがあった場合、制御部11は制御を終了する。それ以外の場合には、制御フローは再度ステップS202に移行する。すなわち、制御部11は、再び環境データを取得し、ステップS203において、取得した環境データが判定条件を満たすか否かを判断する。判定条件を満たす場合、制御部11は炭酸ガス供給手段に炭酸ガスを供給させる。例えば、前回の判定において炭酸ガス供給手段が出力オン状態であった場合には、そのまま出力オン状態が継続されてよい。一方で、判定条件を満たしていない場合には炭酸ガス供給が停止される。炭酸ガス供給手段の出力に係る判定が為された後、制御部11は、ステップS206にて判定時刻Aを取得し、ステップS207にて判定時間間隔の判定を行う。2回目以降の判定時間間隔の判定は、S208にて取得した判定時刻Bと、直前に取得した判定時刻Aとの時間間隔を用いて実施されてよい。すなわち、ステップS208において、制御フローを開始した後の1回目の判定は、ステップS201において取得された開始時刻と判定時刻Aとの時間間隔に基づいて実施され得る。一方で、2回目以降の判定は、前回の判定後にステップS208で取得した判定時刻Bと、直前に取得した判定時刻Aとの時間間隔に基づいて実施されてよい。その後、ステップS208、次いでステップS209に進み、作動を停止する判定が為されるまで、上述の制御フローが繰り返される。
また、図3に示すように、本発明の一実施形態に係る作物用炭酸ガス施用システム200は、制御盤10をさらに備え、制御盤10は、記憶部13および制御部11を有して成ってよい。また、本発明の一実施形態において、制御盤10は、計時部14をさらに有して成ってよい。このような作物用炭酸ガス施用システム200において、制御盤10は、生ガス式炭酸ガス供給手段および燃焼式炭酸ガス施用手段を含む少なくとも2つの炭酸ガス供給手段の各々、および環境検出センサ40と通信可能に接続されてよい。すなわち、制御盤10における制御部11は、少なくとも2つの炭酸ガス供給手段の各々に炭酸ガスを供給させるかどうかを判定し得る。このように、制御盤10によって複数の炭酸ガス供給手段の一元的な管理が可能となるため、作物用炭酸ガス施用システム200の作動に際して、運用コスト効率および管理者による操作の容易性がより向上され得る。図1および図2において、制御盤10が農業用ハウス50の内部に配置される実施形態が示されているものの、制御盤は、農業用ハウス50の外部に設けられてもよい。また、制御盤は、デスク型またはスタンド型のいずれの形態でもよい。
本発明の一実施形態において、作物用炭酸ガス施用システムは、複数の農業用ハウスへの炭酸ガス供給を制御するように構成され得る。より詳細には、本発明の作物用炭酸ガス施用システムにおいて、燃焼式および生ガス式を含む少なくとも2つの炭酸ガス供給手段、および少なくとも1つの環境検出センサ40が、複数の農業用ハウスの各々に設けられてよい。このような構成の作物用炭酸ガス施用システムにおいて、制御部11は、複数の農業用ハウスの各々における環境検出センサ40の各々によって検出された環境データに基づき、炭酸ガス供給手段の各々に炭酸ガスを供給させるかどうかを判定することができる。したがって、本発明の作物用炭酸ガス施用システムは、複数の農業用ハウスにおける炭酸ガス濃度を一元的に制御し得る。例えば、各炭酸ガス供給手段の制御は、ひとつの制御盤によってまとめて実施されてよい。記憶部13に格納される判定条件および判定時間間隔などは、各炭酸ガスの各々について個別に設定され得る。制御部11は、炭酸ガス供給手段の各々について、独立して制御フローを実施し得る。このような構成により、複数の農業用ハウスにおける炭酸ガス供給手段の制御をまとめて管理することが可能となり、作物用炭酸ガス施用システムの運用コスト効率がより向上されることで、より好適な炭酸ガス濃度の制御が実現され得る。
以上、本発明について説明してきたものの、本発明の適用範囲における典型例を示したに過ぎない。上記以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
本発明の作物用炭酸ガス施用設備およびシステムは、農業用ハウスまたは温室などの各種栽培施設で好適に利用することができる。
100 作物用炭酸ガス施用設備
200 作物用炭酸ガス施用システム
10 制御盤
11 制御部
12 メモリ
13 記憶部
14 計時部
15 通信バス
16 インタフェース装置
20 燃焼式炭酸ガス供給手段
21 燃焼式炭酸ガス発生装置
22 燃料輸送管
23 燃料タンク
24 ファン
25 ダクト
30 生ガス式炭酸ガス供給手段
31 炭酸ガス源
32 施用導管
33 電磁弁
40 環境検出センサ
50 農業用ハウス
60 畝

Claims (16)

  1. 農業用ハウスに設けられる作物用炭酸ガス施用設備であって、
    生ガス式炭酸ガス供給手段、燃焼式炭酸ガス供給手段、および少なくとも1つの環境検出センサを備え、
    前記環境検出センサによって、前記農業用ハウスの環境パラメータが検出され、該環境パラメータに基づいて、前記生ガス式炭酸ガス供給手段および前記燃焼式炭酸ガス供給手段の各々を制御し、作物に炭酸ガスを供給する、作物用炭酸ガス施用設備。
  2. 前記生ガス式炭酸ガス供給手段および前記燃焼式炭酸ガス供給手段の各々が、所定の判定時間間隔で前記環境パラメータに基づき制御される、請求項1に記載の作物用炭酸ガス施用設備。
  3. 前記生ガス式炭酸ガス供給手段の前記判定時間間隔と、前記燃焼式炭酸ガス供給手段の前記判定時間間隔とが、互いに異なる時間間隔である、請求項2に記載の作物用炭酸ガス施用設備。
  4. 前記燃焼式炭酸ガス供給手段の前記判定時間間隔が、前記生ガス式炭酸ガス供給手段の前記判定時間間隔よりも相対的に長い、請求項2または3に記載の作物用炭酸ガス施用設備。
  5. 前記燃焼式炭酸ガス供給手段の前記判定時間間隔が、前記生ガス式炭酸ガス供給手段の前記判定時間間隔の5~200倍である、請求項2~4のいずれかに記載の作物用炭酸ガス施用設備。
  6. 前記環境検出センサが、前記農業用ハウスにおける炭酸ガス濃度、温度、湿度、日射強度、日射量、光合成速度、および光合成光量子束密度から成る群から選択される少なくとも1つの前記環境パラメータを検出する、請求項1~5のいずれかに記載の作物用炭酸ガス施用設備。
  7. 前記農業用ハウスの窓の開度に基づいて、前記生ガス式炭酸ガス供給手段および前記燃焼式炭酸ガス供給手段の少なくとも一方が制御される、請求項1~6のいずれかに記載の作物用炭酸ガス施用設備。
  8. 前記生ガス式炭酸ガス供給手段が、炭酸ガス源、開閉制御される電磁弁、および該電磁弁を介して前記炭酸ガス源から作物近傍にまで延在する施用導管を有して成る、請求項1~7のいずれかに記載の作物用炭酸ガス施用設備。
  9. 前記燃焼式ガス供給手段が、燃焼制御される燃焼式炭酸ガス発生装置、該燃焼式炭酸ガス発生装置に設けられたファン、およびダクトをさらに有して成る、請求項1~8のいずれかに記載の作物用炭酸ガス施用設備。
  10. 前記生ガス式供給手段および前記燃焼式ガス供給手段の少なくとも一方を2つ以上備える、請求項1~9のいずれかに記載の作物用炭酸ガス施用設備。
  11. 生ガス式炭酸ガス供給手段および燃焼式ガス供給手段を含む少なくとも2つの炭酸ガス供給手段、
    農業用ハウスの環境データを取得する少なくとも1つの環境検出センサ、
    前記少なくとも2つの炭酸ガス供給手段の各々の判定条件を格納する記憶部、ならびに
    前記環境検出センサによって取得された前記環境データを受け取って、該環境データおよび前記判定条件に基づき、前記少なくとも2つの炭酸ガス供給手段の各々に炭酸ガスを供給させるかどうかを判定する制御部、を備える、作物用炭酸ガス施用システム。
  12. 前記記憶部が、前記少なくとも2つの炭酸ガス供給手段の各々の判定時間間隔を格納し、
    前記制御部による前記少なくとも2つの炭酸ガス供給手段の各々に前記炭酸ガスを供給させるかどうかの判定は、前記判定時間間隔で繰り返される、請求項11に記載の作物用炭酸ガス施用システム。
  13. 前記記憶部に格納される前記生ガス式炭酸ガス供給手段の前記判定時間間隔が、前記燃焼式ガス供給手段の前記判定時間間隔よりも相対的に短い、請求項12に記載の作物用炭酸ガス施用システム。
  14. 現在時刻を計測する計時部をさらに備え、
    前記記憶部は、所定時刻に基づいて設定された前記判定条件を格納し、
    前記制御部は、前記計時部によって計測された前記現在時刻と、前記所定時刻に基づいて設定された前記判定条件とに基づき、前記少なくとも2つの炭酸ガス供給手段の各々に前記炭酸ガスを供給させるかどうかを判定する、請求項11~13のいずれかに記載の作物用炭酸ガス施用システム。
  15. 前記少なくとも2つの炭酸ガス供給手段、および少なくとも1つの前記環境検出センサが複数の農業用ハウスの各々に設けられ、
    前記制御部が、前記複数の農業用ハウスにおける前記環境検出センサの各々によって検出された前記環境データに基づき、前記少なくとも2つの炭酸ガス供給手段の各々に前記炭酸ガスを供給させるかどうかを判定する、請求項11~14のいずれかに記載の作物用炭酸ガス施用システム。
  16. 制御盤をさらに備え、該制御盤が、前記記憶部および前記制御部を有して成る、請求項11~15のいずれかに記載の作物用炭酸ガス施用システム。
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