以下、添付図面に基づいて、本発明の好ましい実施態様につき、詳細に説明を加える。
図1は、本発明の好ましい実施態様にかかる炭酸ガス供給システム1の構成を示す説明図である。
本実施態様にかかる炭酸ガス供給システム1は、複数の炭酸ガス供給装置100と、集中制御装置300を備えている。各炭酸ガス供給装置100は、WAN(Wide Area Network)、専用通信網、VPN(Virtual Private
Network)、インターネット等の通信網NWによって、集中制御装置300と、それぞれが通信可能に接続されている。これにより、通信網NWを介して、集中制御装置300が、複数の炭酸ガス供給装置100を制御可能に構成されている。
各炭酸ガス供給装置100は、供給制御部101と、通信部102と、流量調整部103と、気体供給手段である炭酸ガス供給手段104及び空気供給手段105と、供給位置変更手段106と、気体供給パイプ107とを備えている。供給制御部101は、CPU、記憶装置、記録装置、プログラム(いずれも図示せず)等を有する電子制御機構である。供給制御部101は、通信部102と、流量調整部103と、供給位置変更手段106とを電気的に接続している。さらに、供給制御部101は、通信部102を通じて、集中制御装置300からの制御情報を取得して、制御情報に基づいて、後述する流量調整部103及び供給位置変更手段106の制御を行うように構成されている。
図2は、図1の炭酸ガス供給装置100の構成を示す説明図である。
炭酸ガス供給装置100は、栽培施設400内に配設され、栽培植物に炭酸ガスや空気などの気体を供給するように構成されている。炭酸ガス供給装置100は、上下方向に高さを異ならせて配設した3本の気体供給パイプ107を備え、かつ、気体供給パイプ107を支持する複数の支柱108と、支柱108に気体供給パイプ107を載置するための複数のフック109とを備えている。
通信部102は、通信網NWと接続する通信ポート(図示せず)を有している。供給制御部101は、通信部102が通信網NWと接続されていることによって、通信網NWと接続されている集中制御装置300との通信が可能となっている。
流量調整部103は、電気信号で流量が制御可能な圧力調整器113付きの調節弁によって構成されている。流量調整部103は、炭酸ガス供給手段104及び空気供給手段105と供給位置変更手段106とを接続する三方弁によって構成されている。流量調整部103は、さらに、炭酸ガスを供給する炭酸ガス供給手段104と接続された流量調整弁103aと、空気を供給する空気供給手段105と接続された流量調整弁103bとを有し、供給制御部101からの制御信号を取得することによって、それぞれの流量調整弁103a,103bの流量及び圧力を制御するように構成されている。これにより、流量調整部103は、供給位置変更手段106を介して、気体供給パイプ107への気体供給の開始及び停止や、供給する炭酸ガスの濃度調節を行うことができる。例えば、流量調整部103を、炭酸ガス供給手段104と接続された流量調整弁103aを閉じ、炭酸ガスの供給を停止するように制御すれば、空気のみを供給することができる。
また、流量調整部103として、調節弁ではなく、より構造が単純な開閉弁を用いると、安価に構成でき、経済的である。しかし、開閉弁は、弁の開放度合いによる、気体の単位時間当たりの流量調整ができないため、単純な弁の開放や閉鎖によっては適切に炭酸ガスの濃度調節をすることが難しい。その場合、開閉弁の動作は、調節弁における開放動作の代わりに、所定の時間間隔で弁の開閉を繰り返すようにし、かつ、調節弁における閉鎖動作の代わりに、上記の開閉動作を停止したうえで弁を閉鎖するように変更するとよい。これによって、流量調整部103は、弁の開閉をする所定の時間間隔の調節により、気体の単位時間当たりの流量を調整することができるため、適切な炭酸ガスの濃度調節が可能になる。
なお、圧力調整器113は、炭酸ガスが気体供給パイプ107全体に、所定の濃度で効率よく行き渡るよう、炭酸ガスに圧力を加えるものである。圧力調整器113によって、炭酸ガスを供給する際、適切な圧力を加え、炭酸ガスの供給量を最適化し、余分な炭酸ガスの消費を抑える機能を有している。
炭酸ガス供給手段104は、栽培植物401に供給する炭酸ガスが入ったボンベ又はタンクによって構成されている。炭酸ガスを効率的よく局所的に供給するためには、炭酸ガス供給手段104として、高濃度の炭酸ガスの供給が可能な液化炭酸ガスボンベ又はタンクを用いることが特に好ましい。
空気供給手段105は、栽培植物401に供給する圧縮空気が入ったボンベ又はタンクによって構成されている。空気供給手段105を設けることによって、気体供給パイプ107内に供給される炭酸ガスを希釈することができ、栽培植物401に供給する炭酸ガスを所望の濃度に調節することが可能になる。また、空気供給手段105から空気のみを供給することによって、気体供給パイプ107の近傍に、酸素を供給し、栽培植物の呼吸を活性化して生育を促すことができる。例えば、悪天候や夜間等、日照量が落ちて光合成が行われていない間にも、気体供給パイプ107に空気を送り続けることにより、効率的な栽培植物の育成が可能となる。
さらに、流量調整部103に流量を検出する検出手段を設けて、かつ、炭酸ガス供給手段104及び空気供給手段105のボンベ又はタンクのバルブに開閉検知手段を設けて、バルブが開いている状態が検知されているにもかかわらず、流量調整部103に、二酸化炭素や空気が流れていないことが検出されると、供給制御部101が異常を検知して、アラーム情報を集中制御部301に報知する構成としてもよい。この場合、報知によりアラーム情報を取得した集中制御部301は、出力部304に警告を表示する。これにより、管理者が迅速にボンベ又はタンクが空になったことを知り、ボンベ又はタンクを迅速に交換できる。また、供給制御部101が、流量を検出する検出手段により、炭酸ガス供給手段104から供給された炭酸ガス又は空気供給手段105から供給された空気の積算流量を取得して、その情報を集中制御部301に送信する構成としてもよい。この場合、積算流量に関する情報を取得した集中制御部301は、この情報を出力部304に表示する。これにより、管理者は、ボンベ又はタンクが空になる時期を予測できるため、ボンベ又はタンクの交換が円滑にできる。
図2に示されるように、列状に定植された栽培植物401に沿って、支柱108が所定間隔で立設されている。支柱108は、その長さ方向に沿って、気体供給パイプ107を載置可能な複数のフック109を備えている。複数のフック109により、複数の気体供給パイプ107を、上下方向に高さが異なるよう支柱108に多段に載置することができる。
気体供給パイプ107は、パイプ全体から気体を外部に均一に供給することができるように、全周に亘り多数の微細孔が形成された通気性の管壁を有している。このような気体供給パイプ107としては、例えば、ポーラスパイプや潅水用パイプを用いることができる。
複数本の気体供給パイプ107はそれぞれ、所定間隔で立設されている支柱108に設けられた同じ高さのフック109に載置されており、各気体供給パイプ107同士が略平行となるように設けられている。さらに、気体供給パイプ107は、それぞれが、上下方向に、所定の供給基準位置および所定の供給基準位置から一定の距離を隔てて、設けられている。ここで、所定の供給基準位置とは、栽培植物401の葉が生い茂った繁茂部分の略中央位置となる高さを指し、炭酸ガスを、気体供給パイプ107から葉が生い茂った繁茂部分に、効率よく供給するための、基準となる位置である。なお、所定の供給基準位置は管理者が自由に設定できる。所定の供給基準位置は、栽培植物401の繁茂部分の中央近傍の高さとすることが望ましい。
図2においては、所定の供給基準位置と、その供給基準位置から上下方向にほぼ同じ距離を隔てた位置に配設した合計で3本の気体供給パイプ107が図示されている。このように、気体供給パイプ107の配設方法として、中段の気体供給パイプ107を所定の供給基準位置に配置し、上段の気体供給パイプ107は繁茂部分の上端近傍に、下段の気体供給パイプ107は栽培植物401の繁茂部分の下端近傍に配設することが望ましい。このように、複数の気体供給パイプ107を配置することにより、繁茂部分の上端近傍から下端までの範囲をカバーして、栽培植物401に好適に炭酸ガスを散布できる。
複数の気体供給パイプ107は、上下方向に高さを異ならせて配設されているから、後述する供給位置変更手段106によって、炭酸ガスを供給する気体供給パイプ107を選択的に切り換えることによって、炭酸ガスの供給位置を上下方向に変更することが可能な構成となっている。この構成において、集中制御部300は、通常、所定の供給基準位置に配設された気体供給パイプ107から炭酸ガスを供給するよう、供給制御部101を介して供給位置変更手段106を制御する。そして、
栽培植物401の繁茂部分近傍で、上方または下方に気流が発生した場合に、その情報を取得して、気流の向きに応じて、炭酸ガス107を供給する気体供給パイプ107を、気流の向きと逆方向に上下に切り換えることによって、炭酸ガスが上下に流されても、気流の流れを利用して、栽培植物401の繁茂部分の炭酸ガスが向かうように炭酸ガスを散布することができる。
すなわち、下降気流が生じている場合には、上段の気体供給パイプ107から、上昇気流が生じている場合には、下段の気体供給パイプ107から、上昇気流も下降気流も生じていない場合には、中央の気体供給パイプ107から炭酸ガスを供給することにより、炭酸ガスを所望のように栽培植物401の繁茂部分に向けて供給することが可能になる。これにより、炭酸ガスの吸収効率を向上できる。
供給位置変更手段106は、供給制御部101によって弁体が開閉制御される切替弁112によって構成されている。供給位置変更手段106は、気体が流入する流入口110と、気体が排出される複数の排出口111を備え、流入口110が流量調整部103と接続され、複数の排出口111が、多段に載置された複数の気体供給パイプ107にそれぞれ接続されている。
図示されていないが、供給位置変更手段106内において、排出口111は、そのうちの一つが択一的又は選択的に流入口110と接続されている。そして、供給制御部101が排出口111の弁体を開閉制御することよって、流入口110と接続する排出口111が切り換えられるように構成され、これにより、供給位置変更手段106は、炭酸ガス供給手段104及び空気供給手段105から供給された供給気体を、複数接続された気体供給パイプ107へ選択的に供給可能に構成されている。なお、排出口111から分岐し、気体供給パイプ107の配管へと続く中間に電磁弁などの開閉バルブを設けて気体供給パイプ107からの気体供給を自在に調節する構成としてもよい。
図3は、図1の炭酸ガス供給システム1に設けられた送風ユニット200の略正面図である。
送風ユニット200は、集中制御装置300からの指令によって駆動制御され、栽培植物401に空気を送風する小型の送風機構である。図3に示されるように、送風ユニット200は、ユニット制御部201と、送風機202と、太陽光パネル203と、センサモジュール204を備えており、センサモジュール204は、通信部205と、識別子206と、炭酸ガス濃度センサ207と、風力センサ208を備えている。
送風ユニット200は、各気体供給パイプ107と着脱自在な取付部209を備えている。送風ユニット200は、この取付部209によって、気体供給パイプ107に着脱自在に取り付けられる。これにより、送風ユニット200の配設や設置位置の変更を容易に行うことができる。なお、送風ユニット200は、所定の供給基準位置に配設されている気体供給パイプ107にのみ取り付けるようにしてもよく、また、支柱108に取り付けるようにしてもよく、さらには、支柱108や栽培施設400内の天井や配管から吊下げる構成としてもよい。いずれの場合も、送風ユニット200は、栽培植物401の葉群近傍に省電力で送風可能となるように、栽培植物401の葉群の近傍に設けることが望ましい。
ユニット制御部201は、送風機202と、太陽光パネル203と、センサモジュール204と、通信部205とに電気的に接続している。ユニット制御部201は、CPU、記憶装置、記録装置、プログラム(いずれも図示せず)等を有する電子制御機構であり、集中制御装置300から、通信部205を通じて指令を取得し、送風機202の駆動制御を行うとともに、送風機202の駆動情報、太陽光パネル203の発電情報及びセンサモジュール204の検出情報等の各種情報を、通信部205から集中制御装置300に送信するように構成されている。
送風機202は、送風用のファンを備えた、送風方向が変更可能な小型の送風装置である。送風用のファンは上下方向及び左右方向に回動可能な首振り機能を有しており、送風方向を立体的に変化させて空気を送風することができる。加えて、送風用のファンの羽を逆回転させることができ、通常の送風方向とは反対方向へ送風可能である。これにより、送風機202は、柔軟に送風方向を変更可能な構成となっている。
ここで、従来の、栽培施設内に配置される、大型、大風量、大消費電力の送風機に代えて、栽培施設内に分散配置した複数の小型の送風機202によって栽培植物401へ送風する構成によれば、列状に定植された栽培植物401の全体に行き渡る大風量の風を起こす必要がなく、栽培植物401の繁茂部分近傍へ局所的に送風が可能となるため、従来と比べ、送風機全体を省電力化できる。加えて、送風機近傍に定植さえた栽培植物401が大風量の送風にさらされてストレスを受け、その成長が妨げられる、又は、品質に劣化が生ずるといった事態を防止できる。さらに、複数の小型の送風機202を栽培施設内で分散配置して多点で送風する構成によれば、送風の場所及び方向の細かなコントロールが可能となるため、栽培施設内の温度、湿度、二酸化炭素濃度を均一化しやすい。これにより、栽培植物401全体の光合成の効率を高めることができる。
また、送風機202が栽培植物401の繁茂部分近傍に送風する理由は次の通りである。栽培植物401は、葉内と葉外の二酸化炭素濃度の濃度差によって、気孔から葉内に二酸化炭素を吸収する。しかし、葉内の炭酸ガス濃度が所定以上となると、気孔を閉じる性質があり、これにより、炭酸ガスの吸収速度が低下するため、そのまま炭酸ガスを供給し続けても、栽培植物401に効率よく炭酸ガスを吸収させることができない。このとき、葉の表面に薄い二酸化炭素の層(葉面境界層)ができ、栽培植物401の呼吸が妨げられて、転流が阻害されることにより葉内の二酸化炭素濃度が下がらず、光合成の速度が低下している。そのため、葉の気孔を再び開いて炭酸ガスを吸収するようにするためには、葉面境界層を除去し、栽培植物401の呼吸を促すことで転流を促進し、これにより葉内の二酸化炭素濃度を低下させ、再び気孔を開かせることが有効である。そのため、葉面境界層を送風によって、除去することが、栽培植物401の光合成を好適に促進する上で望ましい。
したがって、本実施態様においては、栽培植物401に所定量の炭酸ガスを吸収させた後、炭酸ガスの供給を一旦停止し、送風機202により空気を送風して、栽培植物401の繁茂部分近傍の炭酸ガスを除去するように構成されている。これにより、炭酸ガスを吸収して気孔を閉じ、光合成が緩慢化した栽培植物401の呼吸を促して転流を促進する。すると、葉内の炭酸ガス濃度が迅速に低下し、再び気孔を開いて光合成が活発化する。したがって、栽培植物401を、炭酸ガスを供給し続けた場合と比較して格段に早く、炭酸ガスを再び吸収可能な状態にすることができる。したがって、炭酸ガスを除去した後に、再び、気体供給パイプ107から炭酸ガスを栽培植物401に供給することによって、栽培植物401に効果的に炭酸ガスを吸収させ、栽培植物401の光合成効率を高めることができる。
送風用のファンの駆動及び停止は、ユニット制御部201によって制御され、送風用のファンを駆動することによって、栽培植物401の繁茂部分に空気が送風される。その結果、栽培植物401の繁茂部分近傍の炭酸ガスが除去され、炭酸ガス濃度を低下させることができる。送風機202は、例えば、2.5m/sの風を送風する構成とし、炭酸ガスを除去する。
また、栽培植物401は、葉温が上がりすぎると光合成速度が低下するため、送風機202から空気を栽培植物401に送風することによって、炭酸ガスを除去するだけでなく、栽培植物401の葉温の過度な上昇を防ぐことができ、光合成をより促進することが可能になる。
太陽光パネル203は、蓄電装置210付きの太陽光発電装置であり、太陽光を受けて発生した電力をユニット制御部201、送風機202および、センサモジュール204に供給する。送風ユニット200が太陽光パネル203を備えているため、送風ユニット200を設置する際に、送風ユニット200の稼働に必要な電源と接続するためのケーブル等を省略することができ、送風ユニット200を、栽培施設400内において、任意の位置に設置することができる。
さらに、太陽光パネル203が蓄電装置210を備えているため、発電可能な日照を得られない時間帯においても、送風ユニット200の稼働電力を確保することができる。これにより、天候の変化による電力量の欠乏を補い、安定して、ユニット制御部201及びセンサモジュール204を稼働させることができる。
さらに、太陽光パネル203には、バッテリ等の他の電源を組み込んでもよく、これにより、一層、安定した電力供給が可能となる。また、送風ユニット200は、太陽光パネル203の発電量を検出し、その発電量から日照度を計算することによってで、日照度の情報を取得可能に構成されている。すなわち、発電量と日照度の比例関係から、送風ユニット200は、発電量に応じた日照度を算出するように構成されている。
センサモジュール204は、通信部205、識別子206、炭酸ガス濃度を測定する炭酸ガスセンサ207、風力を検出する風力センサ208を備えている。センサモジュール204は、集中制御装置300からの指令に応じて、各種センサの検出情報を、通信部205を介して、集中制御装置300へ送信する。各種センサの検出情報としては、例えば、炭酸ガスセンサ207で検出した炭酸ガス濃度の情報、風力センサ208で検出した風力の向きに関する情報、送風ユニット200によって算出された日照度に関する情報などが含まれる。なお、各種センサの検出情報は、送風ユニット200の記憶装置(図示せず)に一時記憶されるように構成されている。
通信部205は、無線通信を可能とする無線通信媒体(図示せず)を有しており、通信網NWと接続する通信ポート(図示せず)を有している。通信部205の無線通信は、例えば、IEEE802.11規格の無線LANの方式で行われる。通信の一部又は全部を、通信ケーブルを用いた有線接続とすることも可能であるが、送風ユニット200との通信に関しては、送風ユニット200の設置の自由度や利便性等の観点から、無線通信媒体を用いることが好ましい。通信部205が通信網NWと接続することによって、通信網NWと接続されている集中制御装置300との情報の送受信が可能になる。
識別子206は、複数の送風ユニット200の中から、1つの送風ユニット200を認識するための識別情報を有する電子タグ等の識別機構である。識別情報は、集中制御装置300が認識した1つの送風ユニット200を制御するために用いられるものである。識別子206は、識別情報に位置情報を含むようにしてもよい。ここに、位置情報とは、栽培施設400内における位置が座標として指定されるように数値化された情報である。例えば、識別子206として送風ユニット200の識別番号と位置情報が記憶されたRFIDタグを用いて、所定の読み取り装置により、集中制御装置300が送風ユニット200のRFIDタグから、識別番号と位置情報を取得するように構成することができる。このようにすると、多数の送風ユニットを配設する場合に、RFIDタグの書き換え機能により、送風ユニット200の配設の際、位置情報の設定やその設定変更が容易となる。
炭酸ガス濃度センサ207は、炭酸ガス濃度を検出するセンサである。炭酸ガス濃度センサ207は、炭酸ガス濃度を検出すると、炭酸ガス濃度とその検出位置の情報を含む炭酸ガス濃度情報を生成する。集中制御部301は、炭酸ガス濃度センサ207から炭酸ガス濃度情報を取得可能に構成されている。
風力センサ208は、気流が上方に流れているか、下方に流れているかを検出するとともに、気流の風力を検出するセンサである。風力センサ208は、設置位置における気流の方向を検出可能とするため、センサ部分(図示せず)を上下の開いた円筒で囲い、上下方向以外の気流を遮断するように構成されている。
なお、センサモジュール204内に、稼働に必要な電源が組み込まれていてもよい。これによって、日照の少ない曇り等の天候においても、電力不足を防止して好適に、炭酸ガス濃度情報や風力情報が検出可能となる。
図4は、集中制御装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
集中制御装置300は、栽培施設400内の各種検出情報を取得して、炭酸ガス供給装置100及び送風ユニット200を制御する機能を有している。集中制御装置300は、例えばパーソナルコンピュータ等(ノートパソコンやタブレット端末、スマートフォン及びその他の携帯電子端末等を含む)によって構成することができる。
集中制御装置300は、集中制御部301を備えており、集中制御部301には、通信部302と、入力部303と、出力部304と、記憶部305と、記録部306と、計時手段307とが接続されている。
集中制御部301は、CPU等の回路を用いて構成される。集中制御部301は、記録部306に記録されたデータベース309に格納されている制御プログラム308を実行し、炭酸ガス供給装置100及び送風ユニット200を制御するように構成されている。
通信部302は、通信網NWと接続する通信ポートを有し、通信部302が通信網NWと接続することによって、通信網NWと接続されている炭酸ガス供給装置100や送風ユニット200との情報のやり取りが可能となる。
通信部302は、無線通信を可能とする無線通信媒体を有しており、無線通信は、例えば、IEEE802.11規格の無線LANの方式で行われる。また、通信の一部又は全部を、通信ケーブルを用いた有線接続とすることもできるが、送風ユニット200との通信に関しては、送風ユニット200の設置の自由度や利便性等の観点から、無線通信媒体を用いることが好ましい。
入力部303は、管理者によって入力操作されるキーボードやマウス等のハードウェアによって構成されている。管理者は、入力部303を操作することによって、データベース309内の情報の閲覧や、集中制御部301の処理の実行開始又は終了の操作等を行うことができる。
出力部304は、集中制御部301等の演算処理の結果を出力するモニタ、プリンタ等によって構成されている。管理者は、出力部304によって集中制御装置300から必要な情報を取得することができる。
記憶部305は、RAM等によって構成される揮発性のメモリによって構成されている。記憶部305には、制御プログラム308の実行に際して必要な情報が一時的に記憶される。
記録部306は、HDD等の磁気記録機構、又はSSDやフラッシュメモリ等の半導体記録機構によって構成される不揮発性のメモリ機構である。記録部306には制御プログラム308とデータベース309が格納されている。
計時手段307は、現在時刻を計測する機構で、例えば、時間計測用ソフトウェアやGPS時計によって構成され、集中制御部301は、計時手段307から現在時刻の情報を取得可能に構成されている。
制御プログラム308は、集中制御部301が適切な炭酸ガス及び空気の供給を制御するためのプログラムである。集中制御部301は、制御プログラム308を実行し、炭酸ガス供給装置100による炭酸ガス及び空気の供給や送風ユニット200による炭酸ガスの除去などの栽培植物への炭酸ガス及び空気の供給に関する必要な処理を実行するように構成されている。
データベース309には、炭酸ガス供給装置100及び送風ユニット200の制御についての必要なデータが格納されている。例えば、炭酸ガス供給装置100や送風ユニット200から取得した各種検出情報、又は、制御プログラム308の実行履歴、入力部303からの入力情報などのデータが記憶されている。
図5から図10は、本発明の好ましい実施態様にかかる炭酸ガス供給システム1における炭酸ガス及び空気の供給処理の一例を示すフローチャートである。
図1に示されるように、本発明の好ましい実施態様にかかる炭酸ガス供給システム1は、栽培施設400内に複数の炭酸ガス供給装置100が設置されており、集中制御装置300が、通信網NWを介して、各炭酸ガス供給装置100と並行して通信を行い、制御するよう構成されている。
この構成においては、栽培施設400内に、例えば、総数Nの炭酸ガス供給装置100を設置した場合、あらかじめ各炭酸ガス供給装置100に、制御番号として1〜Nの番号が割り当てられる。このように、全ての炭酸ガス供給装置100に対し、一意の制御番号が割り当てられている。
図5から図10に示されているフローチャートの一連の処理は、本実施態様にかかる炭酸ガス供給システムにおいて、制御番号ごとに、すなわち、炭酸ガス供給装置100ごとに独立して行うように構成されている。そのため、図5から図10のフローチャートの一連の処理において、炭酸ガス供給装置100と集中制御装置300との間で送受信される全ての情報は、その炭酸ガス供給装置100に対応する制御番号を含んでいる。すなわち、各炭酸ガス供給装置100の供給制御部101は、割り当てられた制御番号を保持し、集中制御装置300へ、その制御番号が含まれた情報を送信し、集中制御装置300の集中制御部301は、各供給制御部101に対し、その供給制御部101に割り当てられた制御番号と同一の番号が含まれた情報を、個別に送信する。
また、送風ユニット200と集中制御装置300との間で送受信される全ての情報には、送風ユニット200が設置されている炭酸ガス供給装置100に対応する制御番号が含まれている。具体的には、制御番号は、送風ユニット200のユニット制御部201の記録装置に保持されている。そのため、集中制御部301は、炭酸ガス供給装置100ごとに、その炭酸ガス供給装置100に設置されている送風ユニット200を制御することができる。
このように、各炭酸ガス供給装置100に、制御番号が割り当てられているため、集中制御装置300の集中制御部301が、複数の炭酸ガス供給装置100を特定して通信することが可能となり、炭酸ガス供給装置100ごとに制御できる。また、データベース309において、制御プログラム308や処理の記録を、制御番号を用いて、炭酸ガス供給装置100ごとに管理できる。
そして、各炭酸ガス供給装置100を一意の制御番号で管理するため、炭酸ガス及び空気の供給を制御する条件を、炭酸ガス供給装置100ごとに設定することも可能である。このように設定すれば、例えば、炭酸ガス及び空気の適切な供給条件が異なる種々の栽培植物について、単一の栽培施設400で一括して育成を行う場合に好適である。また、同一種の栽培植物について、異なる供給制御を行い、供給制御の方法を比較試験する場合にも好適である。
この場合、送風ユニット200との通信において制御番号を含めるようにする。例えば、各送風ユニット200において、その送風ユニット200が設置されている炭酸ガス供給装置100の制御番号を、ユニット制御部201の記録装置に保持させる、あるいは、識別子206の識別情報に登録する必要がある。
本発明の好ましい実施形態にかかる炭酸ガス供給装置100においては、各気体供給パイプ107に複数の送風ユニット200が設けられている(図2参照)。この場合には、集中制御部301は、各送風ユニット200の各種センサに、各送風ユニット200の設置位置を一地点とする、栽培施設400内の複数地点での同時並行的に測定を行わせる。このように複数地点で同時に測定された情報は、集中制御部301において、各送風ユニット200の位置情報と紐付けでデータベース309に記録することで、栽培施設400内における分布情報が得られる。すなわち、測定された情報が日照度であれば日照度の分布が、炭酸ガス濃度であれば炭酸ガス濃度の分布が、気流であれば気流の分布が取得できる。これにより、例えば、栽培施設内における炭酸ガス濃度の分布を集中制御部301が取得し、炭酸ガス濃度の分布からの濃度の偏りを参照して、送風ユニット200の駆動を制御し、炭酸ガスの濃度の高い方へ送風するようにして、栽培施設400内の炭酸ガス濃度の均一化を図ることもできる。
さらに、各送風ユニット200の位置情報は制御番号を含んでおり、集中制御部301は、各送風ユニット200から取得した日照度、炭酸ガス濃度、又は気流の情報を、制御番号と紐づけてデータベース309に記録する。
一つの炭酸ガス供給装置100において複数の送風ユニット200を配設する場合、集中制御部301は、図5から図10に示されているフローチャートの各種判定の際に、判定に用いる所定の数値と比較できるように、日照度、炭酸ガス濃度、又は気流の分布情報を取得後、判定処理の前に、その分布情報を単純な数値(スカラー値)に変換したものを算出する。例えば、所定の方法による代表値の選出や、空間平均をとるなどの統計処理によって、日照度、炭酸ガス濃度、又は気流の分布情報を単純な数値にする。これにより、一つの炭酸ガス供給装置100に複数の送風ユニット200を設置した場合であっても、これらの送風ユニット200から取得される分布情報を、炭酸ガス供給装置100につき一つの数値として取得できるため、図5から図10に示されているフローチャートの一連の処理において、必要な判定を実行することができる。
図5は、本実施態様にかかる炭酸ガス供給システムにおける炭酸ガス及び空気の供給処理のメインフローを示すフローチャートである。このフローチャートに従って各処理が行われることにより、本実施態様にかかる炭酸ガス供給システム1によって、栽培施設400内の栽培植物401への炭酸ガス及び空気の供給を行う。
本実施態様にかかる炭酸ガス供給システム1における炭酸ガス及び空気の供給処理は、集中制御装置300において、管理者による入力部303からの開始の要求に応じ、集中制御部301が、制御プログラム308を実行することによって開始される。そして、メインフローの開始の情報は、集中制御部301により、データベース309に記録される。炭酸ガス及び空気の供給処理の開始の情報は開始時刻を含み、開始時刻は集中制御部301により、計時手段307を介して計測されるように構成されている。
以下、逐次的な説明は省くが、本実施態様において実行される全ての通信、制御、測定、判定等の処理の結果は、データベース309に記録される。すなわち、通信、制御、測定、判定等の処理が実行されると、その実行の結果が集中制御部301により、データベース309に記録される。なお、その記録には各処理の実行の時刻も含まれており、その時刻に関する情報は、集中制御部301が、計時手段307から取得する。
まず、集中制御部301が、制御プログラム308を実行し、気体供給開始処理を行う。気体供給開始処理は、気体供給を開始するための処理である。これにより、炭酸ガス供給システム1による炭酸ガス及び空気の供給が開始される(ステップS101)。気体供給開始処理の詳細については後述する。
気体供給開始処理(ステップS101)が終了すると、データベース309に記録されている流量調整弁103aの開閉に関するデータの参照によって、供給気体が炭酸ガスを含有しているか否かが判定される(ステップS102)。
供給気体が炭酸ガスを含有していれば、ステップS103が開始され、供給気体が炭酸ガスを含有していなければ、ステップS105が開始される。
ステップS103では、炭酸ガス供給位置変更処理が行われる。炭酸ガス供給位置変更処理は、栽培植物401の炭酸ガス吸収効率を高めるため、所定条件下で炭酸ガスの供給位置を変更するための処理である。炭酸ガス供給位置変更処理の詳細については後述する。
炭酸ガス供給位置変更処理(ステップS103)が終了すると、炭酸ガス間欠供給処理が行われる(ステップS104)。炭酸ガス間欠供給処理は、光合成の促進のため、所定条件下で栽培植物401に送風するための処理である。炭酸ガス間欠供給処理の詳細については後述する。
炭酸ガス間欠供給処理(ステップS104)が終了すると、メインフローの最初に戻り、再び気体供給開始処理(ステップS101)が行われる。
ステップS105では、集中制御部301が、計時手段307から現在時刻を取得する。そして、現在時刻が、予め設定された、炭酸ガス及び空気の供給処理の終了時刻に達したか否かが判定される(ステップS105)。
ここで、炭酸ガス及び空気の供給処理の終了時刻とは、炭酸ガス及び空気の供給処理の稼働期間の終了時刻であり、管理者が任意に設定することができる。炭酸ガス及び空気の供給処理の終了時刻を定めることなく、炭酸ガス及び空気の供給処理の稼働期間が無制限となるよう設定することもできる。
ステップS105において、炭酸ガス及び空気の供給処理の終了時刻でない場合、又は、炭酸ガス及び空気の供給処理の終了時刻が無制限に設定されている場合、メインフローの最初の処理(ステップS101)に戻る。炭酸ガス及び空気の供給処理の終了時刻に達していれば、ステップS106が開始される。
ステップS106においては、空気供給停止処理が行われる。空気供給停止処理は、所定条件下で気体供給パイプ107から栽培植物401に空気の供給を行っている場合に、その供給を停止する処理である。
その後、集中制御部301による制御プログラム308の実行が終了し、炭酸ガス及び空気の供給処理の一連の処理が終了する。
図6は、気体供給開始処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
気体供給開始処理においては、まず、集中制御装置300の集中制御部301がデータベース309に記録されている炭酸ガス供給条件に関するデータを参照することにより、選択されている炭酸ガス供給条件の確認が行われる(ステップS201)。
ここで、炭酸ガス供給条件とは、炭酸ガスの供給を開始するための条件であり、あらかじめ管理者の選択によって炭酸ガス供給システム1に設定される。炭酸ガス供給条件としては、時刻条件、日照度条件などを挙げることができる。
時刻条件とは、炭酸ガス供給条件の判定時において、その時刻があらかじめ設定された所定の時間帯に属しているかを判定するための条件である。所定の時間帯とは、晴天の際、栽培施設400において、栽培植物401の光合成に適した日照が得られる時間帯など、管理者によって予め指定された時間帯をいう。
また、日照度条件とは、炭酸ガス供給条件の判定時において測定された照度が所定の照度以上であるかを判定する条件である。所定の日照度とは、栽培植物401が光合成可能になる照度である。
炭酸ガス供給条件が時刻条件の場合には、ステップS202において、集中制御部301が、計時手段307により現在時刻を取得し、現在時刻が、時刻条件において設定されている時刻の範囲内であるか否かが判定される。設定されている時刻の範囲内であれば、流量調整弁103aが開放され(ステップS203)、範囲外であれば、流量調整弁103bが開放済みかどうかが判定される(ステップS204)。
炭酸ガス供給条件が日照度条件の場合、ステップS202において、日照度情報を取得する処理が行われる。ここで、日照度情報は次のように取得される。まず、集中制御装置300の集中制御部301から送風ユニット200に対し、日照度情報を取得するように指令が送られる。この指令により、送風ユニット200に、ユニット制御部201が、送風ユニット200に設けられた太陽光パネル203の発電量を測定させる。測定した太陽光パネル203の発電量と日照度の比例関係から、発電量に応じた日照度が算出される。この算出された日照度は、送風ユニット200の位置情報と組み合わされた日照度情報として、ユニット制御部201から集中制御部301に送られ、集中制御装置300において、データベース309に記録される。
続いて、集中制御装置300の集中制御部301により、データベース309に記録されている日照度情報に関するデータが参照され、ステップS201において取得された日照度情報が集中制御部301に読み込まれ、所定の方法により数値化される。こうして、数値化された日照度情報が炭酸ガス供給条件を満たしているか否かが判定される(ステップS202)。具体的には、数値化された日照度情報に基づいて、栽培施設400における日照度が、光合成可能となる照度であるか否かが判定される(ステップS202)。日照度が光合成可能な照度を超えていれば、流量調整弁103aが開放され(ステップS203)、超えていなければ、流量調整弁103bが開放済みかどうかが判定される(ステップS204)。なお、光合成可能な照度は、管理者により予めデータベース309に登録されている。
ステップS202において、ステップS201で取得された日照度が光合成可能となる照度であると判定された場合、集中制御装置300の集中制御部301により、炭酸ガス供給装置100に対し、流量調整弁103aを開放するように指令が送られる(ステップS203)。この指令により、炭酸ガス供給装置100の供給制御部101により、流量調整弁103aが開放される。これにより、気体供給パイプ107に炭酸ガスの供給が開始され、栽培植物401が光合成をするのに必要な炭酸ガスを供給できるようになる。
これに対して、日照度が光合成可能な照度を超えていない場合、又は、流量調整弁103aが開放された場合、集中制御装置300の集中制御部301により、データベース309に記録されている流量調整弁103bの開閉に関するデータが参照され、流量調整弁103bが開放済みか否か判定される(ステップS204)。流量調整弁103bが開放されていれば、気体供給開始処理は終了し、開放されていなければ、流量調整弁103bが開放される(ステップS205)。
ステップS205では、集中制御装置300の集中制御部301により、炭酸ガス供給装置100に対し、流量調整弁103bを開放するように指令が送られる。この指令を受けると、炭酸ガス供給装置100の供給制御部101により、流量調整弁103bが開放される。流量調整弁103bが開放された場合、これにより、炭酸ガスと空気が気体供給パイプ107に同時に流されるため、炭酸ガスを、空気と混合して希釈し、所定の濃度(例えば400ppm〜800ppm)として供給することができる。
気体供給開始処理は、栽培植物401が光合成可能なタイミングで炭酸ガスが供給するように構成され、これにより効率的な炭酸ガスの供給が可能となる。これに加え、栽培植物401が光合成をすることができない時は、植物の呼吸に必要な空気を供給することにより、栽培植物401の成長を促進することができる。
また、炭酸ガス供給条件が満たされており(ステップS202)、ステップS203をスキップした場合には、空気が気体供給パイプ107に流され、栽培植物401に、呼吸に必要な酸素を供給できるため、栽培植物401の育成を促進できる。その後、気体供給開始処理は終了しメインフローに戻る。
図7は、炭酸ガス供給位置変更処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
炭酸ガス供給位置変更処理においては、まず、集中制御部301が、栽培施設400における気流情報を取得するための処理が行われる(ステップS301)。
気流情報は次のように取得される。まず、集中制御装置300の集中制御部301から送風ユニット200に対し、気流を測定するように指令が送られる。この指令により、送風ユニット200のユニット制御部201が、送風ユニット200に設けられた風力センサ208に対し、栽培施設400における気流の上下方向の風向きと風力を測定させる。測定された気流の風向き及び風力は、気流情報として、送風ユニット200の位置情報と組み合わされ、ユニット制御部201から集中制御部301に送られ、集中制御装置300において、データベース309に記録される。
続いて、集中制御装置300の集中制御部301により、データベース309に記録されている気流情報が参照され、ステップS301で取得された気流情報が所定の方法により数値化され、上昇気流が発生しているかが判断される(ステップS302)。上昇気流は、所定の風力以上であって、かつ、上向きの風向であることを条件として判断する。
上昇気流が発生している場合には、集中制御装置300の集中制御部301から炭酸ガス供給装置100に対し、炭酸ガスを供給する気体供給パイプ107の接続先を下段に変更するように指令が送られる(ステップS303)。この指令により、供給位置の変更が行われる。すなわち、供給制御部101が、供給位置変更手段106によって、上下方向多段に載置された気体供給パイプ107のうち、所定の供給基準位置より下段に位置するものを、炭酸ガス供給手段104と接続させる。これにより、気流を利用して、上昇気流の風上から、栽培植物401の繁茂部分への炭酸ガスの供給が可能となる。
上昇気流が発生していなければ、集中制御装置300の集中制御部301により、データベース309に記録されている気流情報が参照され、ステップS301で取得された気流情報から、下降気流が発生しているかが判定される(ステップS304)。下降気流は、例えば、所定の風力以上であって、下向きの風向であることを条件として判断する。
下降気流が発生している場合には、集中制御装置300の集中制御部301から炭酸ガス供給装置100に対し、炭酸ガスを供給する気体供給パイプ107の接続先を上段に変更するように指令が送られる(ステップS305)。この指令により、気体供給位置の変更が行われる。すなわち、供給制御部101が、供給位置変更手段106を制御することによって、上下方向多段に載置された気体供給パイプ107のうち、所定の供給基準位置より上段に位置するものを、炭酸ガス供給手段104と接続させる。これにより、下降気流の風上から、栽培植物401の繁茂部分への適切な炭酸ガスの供給が可能となる。ステップS305が完了すると、炭酸ガス供給位置変更処理は終了する。
このように炭酸ガスの供給位置を変えることによって、気流の風上から栽培植物401の繁茂部分に向かって炭酸ガスを供給することができる。そのため、栽培施設400内に気流が生じていても、栽培植物401の繁茂部分へ適切に炭酸ガスを供給することが可能となる。その結果、栽培植物401の炭酸ガスの吸収効率を高めることができる。
図8は、炭酸ガス間欠供給処理(濃度条件)のサブルーチンを示すフローチャートであり、図9は、炭酸ガス間欠供給処理(時間条件)のサブルーチンを示すフローチャートである。図10は、図8及び図9に示されている送風処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
炭酸ガス間欠供給処理においては、栽培植物401に所定濃度の炭酸ガスが供給されるように、炭酸ガスの供給量が制御され、炭酸ガスの供給が間欠的に行われる。この炭酸ガス供給量の制御は、濃度条件により行われるものと、時間条件により行われるものがあり、どちらの条件を用いるかは、管理者によってあらかじめ選択される。
炭酸ガス間欠供給処理において、濃度条件による炭酸ガス供給量の制御が選択されている場合、図8に示された炭酸ガス間欠供給処理(濃度条件)が行われる。
図8に示された炭酸ガス間欠供給処理(濃度条件)は、炭酸ガスの濃度に応じた炭酸ガスの供給を行うための処理であり、具体的には、栽培植物401の葉群の近傍における炭酸ガス濃度が測定され、その測定値に応じて、所定の処理が行われる。
炭酸ガス間欠供給処理(濃度条件)においては、まず栽培施設400における炭酸ガス濃度情報が取得される(ステップS401)。
炭酸ガス濃度情報は次のように取得される。
まず、集中制御装置300の集中制御部301から、送風ユニット200に対し、炭酸ガス濃度を測定するように指令が送られる。この指令により、送風ユニット200のユニット制御部201が、炭酸ガス濃度センサ207に、その周囲の炭酸ガス濃度を測定させる。この炭酸ガス濃度は、送風ユニット200の位置情報と組み合わされた炭酸ガス濃度情報として、ユニット制御部201から集中制御部301に送られ、集中制御装置300において、データベース309に記録される。
続いて、集中制御装置300の集中制御部301により、データベース309に記録されている炭酸ガス濃度情報が参照され、ステップS401で測定された炭酸ガス濃度情報が所定の方法により数値化され、炭酸ガス濃度が所定濃度を超えているか判定される(ステップS402)。炭酸ガス濃度が所定濃度を超えていれば、流量調整弁103aが閉鎖され(ステップS403)、超えていなければ、ステップS401に戻る。
炭酸ガス濃度が所定濃度を超えている場合には、集中制御装置300の集中制御部301から、炭酸ガス供給装置100に対し、流量調整弁103aを閉鎖するように指令が送られる(ステップS403)。この指令により、炭酸ガス供給装置100の供給制御部101により、流量調整弁103aが閉鎖される。その結果、気体供給パイプ107への炭酸ガスの供給が停止される。
流量調整弁103aが閉鎖され、ステップS403が完了すると、送風処理が行われる(ステップS404)。送風処理については後述する。送風処理が完了すると、炭酸ガス間欠供給処理(濃度条件)は終了する。
図9は、炭酸ガス間欠供給処理(時間条件)のサブルーチンを示すフローチャートである。炭酸ガス間欠供給処理において、管理者によって、時間条件による炭酸ガス供給量の制御が選択されている場合、図9に示された炭酸ガス間欠供給処理(時間条件)が行われる。
図9に示された炭酸ガス間欠供給処理(時間条件)は、所定の時間だけ炭酸ガスの供給をする処理であり、具体的には、計時手段307により炭酸ガスを供給する時間が測定され、所定時間が経過するまで、炭酸ガスが供給される。
すなわち、炭酸ガス間欠供給処理(時間条件)においては、まず、集中制御装置300において、所定時間が経過したか否かの判定が行われる(ステップS501)。
この判定は次のように行われる。まず、集中制御装置300の集中制御部301により、計時手段307から現在時刻が取得され、データベース309に記録されている流量調整弁103aの開閉に関するデータが参照されて、流量調整弁103aの開放時刻が取得される。そして、集中制御部301により、取得された現在時刻と流量調整弁103aの開放時刻との時間間隔が比較され、現在時刻において所定時間が経過したか否かが判定される。所定時間を経過していれば、流量調整弁103aが閉鎖され(ステップS502)、所定時間を経過していなければ、再度ステップS501が行われ、所定時間が経過したか否かが判定される。
所定時間を経過していれば、集中制御装置300の集中制御部301から炭酸ガス供給装置100に対し、流量調整弁103aを閉鎖するように指令が送られる(ステップS502)。この指令により、炭酸ガス供給装置100の供給制御部101により、流量調整弁103aが閉鎖される。その結果、気体供給パイプ107への炭酸ガスの供給が停止される。ここで、所定時間の経過により、気体供給パイプ107への炭酸ガスの供給を停止するのは、栽培植物401が炭酸ガスを吸収して、光合成が緩慢化するためである。すなわち、所定時間とは、炭酸ガスの供給により栽培植物401の光合成が緩慢化するまでの時間である。
流量調整弁103aが閉鎖され、ステップS502が完了すると、図10に示される送風処理が行われる(ステップS503)。送風処理が完了すると、炭酸ガス間欠供給処理(時間条件)は終了する。
図10は、図8及び図9に示されている送風処理のサブルーチンを示すフローチャートである。図10に示された送風処理は、栽培植物401に空気を送風する処理であり、具体的には、送風機202によって、栽培植物401の繁茂部分に向けて、空気が送風されて、栽培植物401の繁茂部分近傍の炭酸ガスが除去される。
栽培植物401は所定量の炭酸ガスが吸収すると、栽培植物401の炭酸ガスの吸収効率が低下し、光合成が緩慢となる。加えて、吸収されなかった炭酸ガスが、栽培植物の葉面境界層に滞留するため、葉の周囲の酸素濃度が低下する。その結果、栽培植物の呼吸を妨げ、光合成の速度をさらに低下する。そこで、本実施態様にかかる送風処理においては、所定時間炭酸ガスを供給した後に、栽培植物401の繁茂部分に空気を送風することによって、その近傍に滞留している炭酸ガスを除去して、炭酸ガス濃度を低下させ、栽培植物401の呼吸を促進させることで転流を促し、栽培植物401の葉内の炭酸ガス濃度を低下させる。これにより、早期に、栽培植物401が、再び炭酸ガスを効率よく吸収できる状態とする。このようにして、効率的な炭酸ガスの供給を可能とする。
送風処理においては、まず、集中制御装置300の集中制御部301から各送風ユニット200に対し、送風を開始するように指令が送られる(ステップS601)。この指令により、各送風ユニット200のユニット制御部201が、送風機202を駆動させ、栽培植物401への送風を開始させる。
次いで、栽培施設400における炭酸ガス濃度情報が取得される(ステップS602)。すなわち、集中制御装置300の集中制御部301から各送風ユニット200に対し、炭酸ガス濃度情報を取得するように指令が送られる。この指令により、各送風ユニット200のユニット制御部201が、炭酸ガス濃度センサ207に対し、周囲の炭酸ガス濃度を測定させる。この炭酸ガス濃度は、各送風ユニット200の位置情報と組み合わされた炭酸ガス濃度情報として、ユニット制御部201から集中制御部301に送られ、集中制御装置300において、データベース309に記録される。
そして、集中制御装置300の集中制御部301により、データベース309に記録されている炭酸ガス濃度情報が参照され、ステップS602で測定された炭酸ガス濃度情報から、送風ユニット200ごとに炭酸ガス濃度が所定濃度未満となったか否か、判定される(ステップS603)。送風ユニット200ごとに、炭酸ガス濃度が所定濃度未満ならば、送風が停止され(ステップS604)、所定濃度以上ならば、ステップS602)に戻り、炭酸ガス濃度が測定される。
各送風ユニット200において、炭酸ガス濃度が所定濃度未満の場合には、集中制御装置300の集中制御部301から、その送風ユニット200に対し、送風を停止するように指令が送られる(ステップS604)。この指令により、その送風ユニット200のユニット制御部201により、送風機202の駆動が停止され、栽培植物401への送風が停止される。
全ての送風ユニット200において、送風機202の駆動が停止し、ステップS604が完了すると、送風処理は終了する。
図11は、本発明の他の実施態様にかかる炭酸ガス供給装置100の構成の略説明図である。図11に示されるように、本実施態様にかる炭酸ガス供給装置100においては、一つの支柱108に一本の気体供給パイプ107のみが載置され、各気体供給パイプ107が、支柱108に沿って、上下方向にスライド可能に構成されている。
図11に示されるように、1本の気体供給パイプ107は、支柱108の長さ方向に沿って上下に駆動制御可能なアクチュエータ119と連結されたフック109上に載置されている。ここに、アクチュエータ119は、供給制御部101の電気制御により支柱108の長さ方向に沿って上下にスライドするように構成され、アクチュエータ119とともに、フック109の位置が上下方向に変更可能に構成されている。
なお、アクチュエータ119は供給制御部101と電気的に接続されているか、または、供給制御部101と通信可能な通信部を備えている。これにより、集中制御部301が、供給制御部101に指令を送ることで、アクチュエータ119を駆動し、フック109の位置を動かして気体供給パイプ107を上下方向にスライドさせ、供給位置を変更することができる。このとき、フック109の位置は、栽培植物401に沿って立設されたすべての支柱108において、高さが一致するよう制御される。
本実施態様によれば、支柱108上に複数の気体供給パイプ107を載置する必要がなくなるだけでなく、気体供給パイプ107の高さをより細かく変更し、気体供給位置を所望のように決定することが可能となる。したがって、栽培施設400内における上昇気流又は下降気流に対し、その風力に応じて、炭酸ガスの供給位置の変更することが可能となる。すなわち、集中制御装置300の集中制御部301が、所定の供給基準位置からの炭酸ガスの供給位置の距離が、風力の大きいときには大きく、風力の小さいときには小さくなるように調整することによって、風力と比例するように所定の供給基準位置からの距離を決定して、供給位置を変更することができ、したがって、風力に応じて、最適な供給位置から炭酸ガスを供給することが可能となる。
図1ないし図10に示された実施態様においては、上昇気流が検出されたときには、集中制御装置300の集中制御部301から炭酸ガス供給装置100に対し、気体供給パイプ107の接続先を下段に変更するように指令が送られ(ステップS303)、一方、下降気流が検出されたときには、集中制御装置300の集中制御部301から炭酸ガス供給装置100に対し、気体供給パイプ107の接続先を上段に変更するように指令が送られる(ステップS305)ように構成されているが、本実施態様においては、上昇気流が検出されたときには、集中制御装置300の集中制御部301から炭酸ガス供給装置100に対し、気体供給パイプ107を下方向にスライドさせる旨の指令が送られ、一方、下降気流が検出されたときには、集中制御装置300の集中制御部301から炭酸ガス供給装置100に対し、気体供給パイプ107を上方向にスライドさせる旨の指令が送られる。
図12は、本発明の他の実施態様にかかる炭酸ガス供給装置100の構成の略説明図である。図12に示されるように、本実施態様においては、気体供給パイプ107が栽培植物401の根元にも配設されている。
植物は根からも呼吸を行うため、図12に示されるように、気体供給パイプ107のいずれか一本を栽培植物401の根元に配設すると、効果的に栽培植物401の呼吸を助けることができる。また、気体供給パイプ107を配設しているため、栽培植物401の根元近傍の地中にも空気を吹き込むことができ、したがって、地中の微生物を活性化させることが可能になるので、土中の養分を高めることができ、栽培植物401の生育をより促すことができる。
さらに、気体供給パイプ107のいずれか一本を、栽培植物401の根元近傍の土中に埋設する構成としてもよい。これによって、地中のより深い位置で空気を吹き込み、地中のより深い位置にいる微生物を活性化できる。その結果、より広い範囲で土中の養分を高めることができ、栽培植物401の生育をさらに促すことができる。例えば、炭酸ガス供給システム1は、炭酸ガスの供給を行っていないときに、土中に埋設した気体供給パイプ107から空気を送風する構成としてもよい。
さらに、本発明の他の実施態様にかかる炭酸ガス供給システムについて説明する。
図1ないし図10に示された実施態様においては、集中制御装置300と送風ユニット200との間で通信される情報にあらかじめ制御番号を含めるようにしているが、本実施態様においては、以下のようにして、送風ユニット200が特定される。
本実施態様においては、栽培施設400内の各送風ユニット200は、単位時間ごとに気流を測定し、その都度、測定した気流を気流情報として集中制御装置300へ送信し、集中制御装置300の集中制御部301は、この気流情報を受信してデータベース309に記録する。このようにすることで、集中制御部301は、栽培施設400において、定期的に各送風ユニット200の位置情報を含む気流情報を取得でき、送風ユニット200の設置位置における気流情報がモニタリング可能となる。なお、図7に示された前記実施態様においては、ステップS301の集中制御部301が、栽培施設400における気流情報を取得するための処理が行われるが、本実施態様においては、ステップS301はスキップされる。
また、データベース309には、予め、栽培施設400内に設置された炭酸ガス供給装置100の設置位置に関する情報が登録されている。設置位置に関する情報として、例えば、栽培施設400内の平面区画を二次元直交座標系で表し、炭酸ガス供給装置100の専有する区画を、座標範囲として数値化する。さらに、データベース309には、その座標範囲が、設置情報として、それぞれの炭酸ガス供給装置100と対応した制御番号に紐付けられて登録されている。
そして、図5から図10に示されているフローチャートの日照度、炭酸ガス濃度又は気流を測定する処理において、集中制御装置300の集中制御部301は、送風ユニット200から位置情報を受け取ると、データベース309に記録されている炭酸ガス供給装置100の設置位置に関する情報が参照され、取得した位置情報の座標がどの設置情報の座標範囲に含まれるかが判定される。そして、集中制御部301により、座標範囲と紐付けられている制御番号をもとに、送風ユニット200との間で送受信される全ての情報について、制御番号が付与される。
このようにして、集中制御部301は、各送風ユニット200について、その位置情報から、どの炭酸ガス供給装置100に属するかを特定することができる。
さらに、集中制御部301は、送風ユニット200との通信において、特定した炭酸ガス供給装置100の制御番号を指令情報に含めることで、特定した炭酸ガス供給装置100について、その指令情報による1対1の制御が可能となる。
このような構成とすることにより、栽培施設400内において、集中制御装置300が、設置された炭酸ガス供給装置100をそれぞれ独立して制御することができ、炭酸ガス供給装置100ごとに、栽培植物401への炭酸ガス及び空気の供給をすることができる。そのため、栽培施設400の規模に応じて設置する炭酸ガス供給装置100の数を変更することによって、炭酸ガス供給システム1の規模の拡張や変更を柔軟かつ容易に行うことができる。例えば、送風ユニット200を追加設置する場合や、送風ユニット200の設置場所を適宜入れ替える場合に好適である。また、栽培施設400内全体の炭酸ガス供給装置の制御を、集中制御部で一元管理することで、炭酸ガス供給システム1のコスト効率の向上を図ることができる。
本発明は、以上の実施態様に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。また、本明細書において、手段とは必ずしも物理的な手段を意味するものではなく、各手段の機能がソフトウェアによって実現されるものでもよく、さらには、一つの手段の機能が二以上の物理的手段により実現されるものであっても、また、二以上の手段の機能が一つの物理的手段により実現されるものであってもよい。
たとえば、図2に示された前記実施態様においては、複数の送風ユニット200を配置しているが、これらの送風ユニット200を、規則的な並びになるように気体供給パイプ107に配置してもよい。すなわち、各炭酸ガス供給装置100において、複数の送風ユニット200が、気体供給パイプ107の各段に、上下方向及び長手方向に等間隔に並ぶように設置する構成とする。この場合には、栽培施設400の各炭酸ガス供給装置100の設置範囲において、炭酸ガス濃度分布を高さ方向に対して均等に測定可能となり、炭酸ガス濃度分布の変化や勾配から気流の動きを推定することで、風力センサ208を用いずとも気流の上下が検出可能となる。したがって、このような構成とすることにより風力センサ208の設置を省略して、風力センサ208の費用を節約することができる。
また、図2においては、説明の便宜上、支柱108に上下に高さの異なる3本の気体供給パイプ107が載置された例が示されているが、支柱108のフック109に載置する気体供給パイプ107の本数は、栽培植物401の種類や形状等に応じて、任意に選択することができ、支柱108に3本より多くの気体供給パイプ107を載置すれば、より細かく炭酸ガスの供給位置を設定することが可能となり、栽培植物401の炭酸ガスの吸収効率をさらに向上させることができる。
また、送風ユニット200を、密に設置しすぎると、太陽光パネル203に適切な日照が当てられないおそれがあるが、そのような場合にはときは、送風ユニット200の一部を、センサモジュール204のみの構成に置き換えることもでき、風浮力センサ207の数も少なくてすむから、構成をより簡易化でき、経済的である。
また、図1ないし図10に示された実施態様においては、複数の送風ユニット200の送風方向を限定してはいないが、上段に配設された送風ユニット200の送風方向に対して、中段下段に配設された送風ユニット200の送風用のファンを逆回転とし、送風方向を逆にしてもよい。このようにすることで、同一方向に送風する場合と比べ、供給気体がそれぞれ逆方向に流されることにより、炭酸ガス濃度の偏りが防止され、撒布した供給気体の栽培設備内における濃度の均一化が図られる。その他、炭酸ガス供給装置100を複数設置する場合、隣接する炭酸ガス供給装置100同士の送風ユニット200の送風方向を逆となるようにしてもよい。
また、図9に示された炭酸ガス間欠供給処理(時間条件)においては、計時手段307により炭酸ガスを供給する時間が測定され、所定時間が経過したときに、所定の処理が行われるように構成されているが、流量調整弁103aに流量計を設けることによって、図9のステップS501において、集中制御装置300の集中制御部301が、流量計から、図6に示されているステップS203において流量調整弁103aが開放された後、ステップS501に至るまでの間に供給された炭酸ガスの量を取得し、取得された炭酸ガス供給量が所定量以上か否かを判定し、所定量以上であれば、ステップS502が開始し、所定量未満であれば、再度ステップS501を実行するようにしてもよい。
また、図10に示された送風処理においては、送風機202による空気の送風によって、栽培植物401の繁茂部分近傍に滞留した炭酸ガスの除去をしているが、栽培植物401が背丈の小さいものであり、気体供給パイプ107がいずれも栽培植物401と密接するように配設されている構成の場合には、気体供給パイプ107から多量の空気を供給することで炭酸ガスの除去を行うようにしてもよい。
すなわち、図10のステップS601では、集中制御装置300の集中制御部301から送風ユニット200に対し、送風を開始する旨の指令が送られるように構成されているが、ステップS604においては、集中制御装置300の集中制御部301から送風ユニット200に対し、送風を停止する旨の指令が送られるように構成されているが、ステップS601に代えて、炭酸ガス供給装置100に対し、多量の空気が供給されるよう流量調整弁103bを制御し、ステップS604に代えて、炭酸ガス供給装置100に対し、空気の供給量を元に戻すよう流量調整弁103bを制御するようにしてもよい。このように構成することによって、送風機202を省略することができ、コストダウンが可能になる。
また、図12に示された実施態様においては、栽培植物401の根元に配設した気体供給パイプ107は、供給制御手段106に接続されているが、栽培植物401の根元に配設した気体供給パイプ107を、供給制御手段106とは接続せず、流量調整弁を介して、直接空気供給手段105と接続し恒常的に空気を供給するようにしてもよい。これによって、栽培植物401の光合成が行われにくい、夜間や天候の悪い日等でも、呼吸に必要な酸素を供給することで、成長を促進することができる。